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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】車両用の吸気加熱システム
(51)【国際特許分類】
   F02M 31/13 20060101AFI20220105BHJP
   B60R 16/04 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
F02M31/13 311H
B60R16/04 W
F02M31/13 301Q
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018116880
(22)【出願日】2018-06-20
(65)【公開番号】P2019007486
(43)【公開日】2019-01-17
【審査請求日】2020-07-03
(31)【優先権主張番号】15/628,974
(32)【優先日】2017-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500114232
【氏名又は名称】フィリップス アンド テムロ インダストリーズ、 インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ダブリュ・トンキン
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・エヌ・ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー・ジェイ・ハルバーグ
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-067222(JP,A)
【文献】特開2015-223029(JP,A)
【文献】特開2011-250610(JP,A)
【文献】特開平11-346913(JP,A)
【文献】特開2007-239645(JP,A)
【文献】特開2004-348982(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0118254(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0038592(US,A1)
【文献】米国特許第07934491(US,B2)
【文献】米国特許第05419187(US,A)
【文献】米国特許第07472695(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 31/13
B60R 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の吸気加熱システムであって、前記システムは、
前記車両の吸気と接触している加熱コイルに、前記車両のバッテリを選択的に接続するように構成された電気的スイッチングデバイスと、
エンジン制御装置からのイネーブル信号に応答して、全電流において前記加熱コイルに前記バッテリを接続するように前記電気的スイッチングデバイスを駆動することと、
記加熱コイルの抵抗を測定することと、
前記加熱コイルの測定された抵抗から接続抵抗を減算することによって前記加熱コイルの初期温度を示す抵抗値を計算すること、ここにおいて、前記接続抵抗は前記電気的スイッチングデバイスと前記加熱コイルの間に存在する
前記加熱コイルの推定温度が所望の温度値を超えることに応答して、前記車両の前記バッテリから前記加熱コイルへの電流を低減させるように前記電気的スイッチングデバイスを調節することと
を行うように構成された制御回路と
を備える、システム。
【請求項2】
前記制御回路は、前記加熱コイルの前記初期温度と温度上昇との和に基づいて、前記加熱コイルの温度を推定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記電気的スイッチングデバイスを流れる電流の電流値を繰り返し測定することと、
前記測定された電流値の二乗値を積算することと
によって、前記温度上昇を推定するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御回路は、積算された電流二乗値によってインデックス付けされた温度上昇の参照テーブルに基づいて、前記温度上昇を推定するように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御回路は、対象期間にわたる前記加熱コイルの前記測定された抵抗の上昇率に基づいて、前記加熱コイルの前記初期温度を推定するように構成される、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御回路は、前記加熱コイルの前記初期温度を推定する前に、(i)基準電流二乗値と、(ii)前記積算された電流二乗値との比率によって、前記上昇率をスケーリングするように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記電気的スイッチングデバイスを流れる電流の電流値と、前記電気的スイッチングデバイスの端子における電圧値とを測定することと、
前記測定された電圧値と前記測定された電流値との比率に基づいて、前記加熱コイルの前記抵抗を計算することと
によって、前記加熱コイルの前記抵抗を測定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御回路は、
前記電気的スイッチングデバイスがオフになっている間の前記電気的スイッチングデバイスの前記端子における基準電圧を測定することと、
前記加熱コイルの前記抵抗を計算する前に、前記測定された電圧値から前記基準電圧を減算することと
を行うように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記電気的スイッチングデバイスは、並列に接続された複数のトランジスタを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御回路は、パルス幅変調を使用して前記電気的スイッチングデバイスを駆動するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記電気的スイッチングデバイスと前記制御回路とを収容する金属筐体を更に備え、 ここにおいて、前記電気的スイッチングデバイスは、前記電気的スイッチングデバイスから熱を吸収する前記金属筐体に熱的に結合される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御回路、前記電気的スイッチングデバイス、及び前記金属筐体のうちの少なくとも1つの温度を測定するように構成された温度センサを更に備え、
ここにおいて、前記制御回路は、前記測定された温度が温度閾値を超えることに応答して、前記電気的スイッチングデバイスをオフにするように構成される、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
(i)通信バス上で前記エンジン制御装置から前記所望の温度値を受け取ること、及び(ii)前記制御回路に前記所望の温度値を供給すること、を行うように構成されたトランシーバを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記トランシーバは、
所定の時間期間よりも長い間の前記通信バス上での無活動状態に応答して、低電力モードに入るように前記制御回路に指示することと、
前記通信バス上で所定の信号を受け取ることに応答して、動作モードに入るように前記制御回路に指示することと
を行うように構成され、
ここにおいて、前記制御回路は、前記動作モードにあるときよりも、前記低電力モードにあるとき、より少ない電力を消費する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記バッテリは、内部抵抗によって特徴付けられ、
前記制御回路は、
前記バッテリが前記電気的スイッチングデバイスによって前記加熱コイルから切断されている間の前記バッテリの第1の電圧を測定することと、
一旦前記電気的スイッチングデバイスが前記バッテリに前記加熱コイルを接続すると、前記バッテリの第2の電圧を測定し、前記電気的スイッチングデバイスを流れる電流を測定することと、
前記第1の電圧、前記第2の電圧、及び前記電流に基づいて、前記内部抵抗を決定することと
を行うように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
車両用の吸気加熱システムを動作させる方法であって、前記方法は、
エンジン制御装置からのイネーブル信号に応答して、全電流において加熱コイルにバッテリを接続するように電気的スイッチングデバイスを駆動することと、
記加熱コイルの抵抗を測定することと、
前記加熱コイルの測定された抵抗から接続抵抗を減算することによって前記加熱コイルの初期温度を示す抵抗値を計算すること、ここにおいて、前記接続抵抗は前記電気的スイッチングデバイスと前記加熱コイルの間に存在する
前記加熱コイルの温度が所望の温度値を超えることに応答して、前記車両の前記バッテリから前記加熱コイルへの電流を低減させるように前記電気的スイッチングデバイスを調節することと
を備える、方法。
【請求項17】
前記加熱コイルの前記初期温度と温度上昇との和に基づいて、前記加熱コイルの温度を推定することを更に備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記温度上昇を推定することは、
前記電気的スイッチングデバイスを流れる電流の電流値を繰り返し測定することと、
前記測定された電流値の二乗値を積算することと
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
対象期間にわたる前記加熱コイルの前記測定された抵抗の上昇率に基づいて、前記加熱コイルの前記初期温度を推定することを更に備える、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記加熱コイルの前記初期温度を推定する前に、(i)基準電流二乗値と、(ii)前記積算された電流二乗値との比率によって、前記上昇率をスケーリングすることを更に備える、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
[0001]本願は、2016年5月26日に出願された米国特許出願第15/166,009号の一部継続出願である。上記で参照された出願の開示全体が、参照により組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
[0002]本開示は、内燃機関における吸気加熱システムに関し、更に詳細には、吸気加熱システムの電子制御に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]内燃機関用の混合気は、冷えているとき、点火がより困難であり、より不完全な燃焼(less complete combustion)及び増大した排出物をもたらす。一旦エンジンが温まる(warmed up)と、シリンダは、混合気を十分に温め得る。しかしながら、始動時において、エンジンは、混合気に寄与する熱を有していない可能性がある。冷間始動条件は、周囲空気温度が低いときに特に厳しい。吸気加熱システムが、エンジンに到達する空気を加熱するために使用され得る。このシステムは、吸気マニホールド内に、又は吸気マニホールドよりも前に位置し得る。吸気加熱システムは、エンジンを始動しようと試みる前に、温度上昇させられ得る(may be brought up to temperature)。
【0004】
[0004]吸気を加熱することは、より容易な点火を可能にし得、より効果的に燃料を浮遊状態に保持し得、より少ない燃料液滴が、空気中の浮遊状態から抜け出すこと(falling out of suspension)をもたらす。吸気加熱システムは、エンジンのより高速な始動を可能にし得、始動時の排出物(時に、「白煙」として見られる)を低減させ、エンジンの摩耗を低減させ、始動中の全体的なバッテリ消費を低減させ、始動時の燃料消費を低減させ得る。
【0005】
[0005]図1では、トラック100の原寸に比例していない図が、エンジン104及び空気加熱器108を含む。示されていないが、エンジン104用の吸気マニホールドは、空気加熱器108を含み得る。エンジン制御装置112からの制御信号に基づいて、空気加熱器制御装置116が、空気加熱器108にバッテリ120を接続する。
【0006】
[0006]例えば、空気加熱器制御装置116は、電気機械式継電器を含み得る。空気加熱器制御装置116はまた、空気加熱器108が過剰温度状態に到達しないように、タイマを含み得る。しかしながら、エンジン104が、空気加熱器108が冷えてなく温かい、温かい状態から始動された場合、このタイムアウトは長すぎる可能性があり、空気加熱器108は、過剰温度状態を経験し得る。これは、空気加熱器108に対する消耗を増大させ得る。
【0007】
[0007]本明細書で提供される背景技術の説明は、本開示のコンテキストを概して提示することを目的とする。この背景技術のセクションに説明される限りにおいて、本発明者らの研究、並びにさもなければ出願時に先行技術として見なされ得ない説明の態様は、本開示に対する先行技術として明示的にも暗示的にも認められない。
[先行技術文献]
[特許文献1] 米国特許第7934491号明細書
[特許文献2] 米国特許第5419187号明細書
【発明の概要】
【0008】
[0008]車両用の吸気加熱システムが、車両の吸気と接触している加熱コイルに、車両のバッテリを選択的に接続するように構成された電気的スイッチングデバイスを含む。吸気加熱システムは、エンジン制御装置からのイネーブル信号に応答して、全電流において加熱コイルにバッテリを接続するように電気的スイッチングデバイスを駆動するように構成された制御回路を含む。制御回路は、加熱コイルの初期温度を示す、加熱コイルの抵抗を測定することと、加熱コイルの推定温度が所望の温度値を超えることに応答して、車両のバッテリから加熱コイルへの電流を低減させるように電気的スイッチングデバイスを調節する(modulate)こととを行うように構成される。
【0009】
[0009]他の特徴では、制御回路は、加熱コイルの初期温度と温度上昇との和に基づいて、加熱コイルの温度を推定するように構成される、他の特徴では、制御回路は、電気的スイッチングデバイスを流れる電流の電流値を繰り返し測定することと、測定された電流値の二乗値を積算することと(accumulating)によって、温度上昇を推定するように構成される。
【0010】
[0010]他の特徴では、制御回路は、積算された電流二乗値(accumulated current squared values)によってインデックス付けされた温度上昇の参照テーブルに基づいて、温度上昇を推定するように構成される。他の特徴では、制御回路は、対象期間にわたる加熱コイルの抵抗の上昇率に基づいて、加熱コイルの初期温度を推定するように構成される。他の特徴では、制御回路は、加熱コイルの初期温度を推定する前に、(i)基準電流二乗値と、(ii)積算された電流二乗値との比率によって、上昇率をスケーリングする(scale)ように構成される。
【0011】
[0011]他の特徴では、制御回路は、電気的スイッチングデバイスを流れる電流の電流値と、電気的スイッチングデバイスの端子における電圧値とを測定することと、測定された電圧値と測定された電流値との比率に基づいて、加熱コイルの抵抗を計算することとによって、加熱コイルの抵抗を測定するように構成される。他の特徴では、制御回路は、電気的スイッチングデバイスがオフになっている間の電気的スイッチングデバイスの端子における基準電圧を測定することと、加熱コイルの抵抗を計算する前に、測定された電圧値から基準電圧を減算することとを行うように構成される。
【0012】
[0012]他の特徴では、電気的スイッチングデバイスは、並列に接続された複数のトランジスタを備える。他の特徴では、制御回路は、パルス幅変調を使用して電気的スイッチングデバイスを駆動するように構成される。他の特徴では、システムは、電気的スイッチングデバイスと制御回路とを収容する金属筐体を含む。電気的スイッチングデバイスは、電気的スイッチングデバイスから熱を吸収する金属筐体に熱的に結合される。他の特徴では、システムは、制御回路、電気的スイッチングデバイス、及び金属筐体のうちの少なくとも1つの温度を測定するように構成された温度センサを含む。制御回路は、測定された温度が温度閾値を超えることに応答して、電気的スイッチングデバイスをオフにするように構成される。
【0013】
[0013]他の特徴では、システムは、(i)通信バス上でエンジン制御装置から所望の温度値を受け取ること、及び(ii)制御回路に所望の温度値を供給すること、を行うように構成されたトランシーバを含む。他の特徴では、トランシーバは、所定の時間期間よりも長い間の通信バス上での無活動状態に応答して、低電力モードに入るように制御回路に指示するように構成される。トランシーバは、通信バス上で所定の信号を受け取ることに応答して、動作モードに入るように制御回路に指示するように更に構成される。制御回路は、動作モードにあるときよりも、低電力モードにあるとき、より少ない電力を消費する。
【0014】
[0014]他の特徴では、バッテリは、内部抵抗によって特徴付けられ、制御回路は、バッテリが電気的スイッチングデバイスによって加熱コイルから切断されている間のバッテリの第1の電圧を測定するように構成される。制御回路は、一旦電気的スイッチングデバイスがバッテリに加熱コイルを接続すると、バッテリの第2の電圧を測定し、電気的スイッチングデバイスを流れる電流を測定するように更に構成される。制御回路は、第1の電圧、第2の電圧、及び電流に基づいて、内部抵抗を決定するように更に構成される。
【0015】
[0015]車両用の吸気加熱システムを動作させる方法が、エンジン制御装置からのイネーブル信号に応答して、全電流において加熱コイルにバッテリを接続するように電気的スイッチングデバイスを駆動することを含む。方法は、加熱コイルの初期温度を示す、加熱コイルの抵抗を測定することを含む。方法は、加熱コイルの温度が所望の温度値を超えることに応答して、車両のバッテリから加熱コイルへの電流を低減させるように電気的スイッチングデバイスを調節することを含む。
【0016】
[0016]他の特徴では、方法は、加熱コイルの初期温度と温度上昇との和に基づいて、加熱コイルの温度を推定することを含む。他の特徴では、温度上昇を推定することは、電気的スイッチングデバイスを流れる電流の電流値を繰り返し測定することと、測定された電流値の二乗値を積算することとを含む。
【0017】
[0017]他の特徴では、方法は、対象期間にわたる加熱コイルの抵抗の上昇率に基づいて、加熱コイルの初期温度を推定することを含む。他の特徴では、方法は、加熱コイルの初期温度を推定する前に、(i)基準電流二乗値と、(ii)積算された電流二乗値との比率によって、上昇率をスケーリングすることを含む。
【0018】
[0018]本開示の更なる適用分野が、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、及び図面から明らかになるであろう。発明を実施するための形態及び特定の例は、例示のみを目的として意図されており、本開示の範囲を限定するようには意図されない。
【0019】
[0019]本開示は、発明を実施するための形態及び添付の図面から、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】[0020]吸気加熱システムを備えたエンジンの機能ブロック図。
図2】[0021]選択された電力接続及び接地接続を示す、吸気加熱システムを備えたエンジンの機能ブロック図。
図3A】[0022]空気加熱器制御装置の実装例の機能ブロック図。
図3B】[0023]空気加熱器制御装置の別の実装例の機能ブロック図。
図4】[0024]吸気加熱システムを有するエンジンを始動することに関する、エンジン制御装置の動作例の流れ図。
図5】[0025]吸気加熱システムを有するエンジンを始動するための代替のエンジン制御装置の動作の流れ図。
図6A】[0026]本開示の原理による、空気加熱器制御装置の動作例の流れ図。
図6B】[0026]本開示の原理による、空気加熱器制御装置の動作例の流れ図。
図7A】[0027]本開示の原理による、空気加熱器制御装置の動作例の別の流れ図。
図7B】[0027]本開示の原理による、空気加熱器制御装置の動作例の別の流れ図。
図8】[0028]温度に基づく加熱器の抵抗率の変化を実証する、例となる時間プロット図。
図9】[0029]様々な状態における吸気加熱器についての電流及び電流微分(current derivative)トレースの例の時間プロット図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0030]図面では、参照番号が、同様の及び/又は同一の要素を識別するために再使用され得る。
【0022】
[0031]先行技術では、エンジン制御装置が、吸気加熱器システムが動作温度まで上昇するまでの予期される時間量に基づく所定の時間期間の間、吸気加熱器システムを作動させ得る。この固定された時間は、空気加熱器が周囲空気よりも温かい場合がある事実を考慮しない可能性があり、また、より温かい周囲温度が、空気加熱器がより迅速に温度に達すること(come up to temperature)を可能にすることを考慮しない。
【0023】
[0032]本開示による空気加熱器制御装置は、空気加熱器温度を決定し、空気加熱器が所望の動作温度に到達し、維持するように、それに供給される電流を制御することが可能である。このように、たとえエンジン制御装置が、必要以上に長い間、空気加熱器システムを作動させたとしても、空気加熱器は、過剰温度状態に到達しないようになる。
【0024】
[0033]空気加熱器内に温度センサを配置することは、例えば、空気加熱器制御装置から空気加熱器へ延びる1つ又は2つの追加のリード線のような、追加の部品及び追加の配線を必要とする。更に、高い温度、及び場合によっては燃料の存在が、温度センサに対する信頼性の懸念を引き起こし得る。本開示の発明者が認識したところでは、空気加熱器の抵抗コイル自体が、サーミスタの一形態として機能し、温度が変化するにつれて抵抗が変化する。
【0025】
[0034]冷えた周囲の始動温度から動作温度までの加熱コイルの抵抗におけるこの変化は、温度を推測し、それに応じて加熱コイルを制御するために使用され得る。同等に、抵抗自体が、制御のために使用され、動作温度に対応する目標抵抗と比較され得る。
【0026】
[0035]加熱コイルの抵抗における総変化が、空気加熱器制御装置と空気加熱器との間の接続抵抗と比べて桁外れに大きい場合、接続抵抗は無視され得る。それは正確な仮定ではない可能性があり、したがって、接続抵抗は、決定されて、除外される。空気加熱器についての既知の抵抗では、第1の手法は、(空気加熱器に電力を供給することなく)単に空気加熱器の温度を測定し、測定された抵抗と既知の空気加熱器抵抗との間の差が、接続抵抗であることを計算することであり得る。
【0027】
[0036]しかしながら、空気加熱器の抵抗は、周囲空気温度に依存して変化する。空気加熱器制御装置が、周囲空気温度センサを含んでいる、又はエンジン制御装置等から周囲空気温度データを受け取ることができる場合、空気加熱器制御装置は、様々な周囲条件での空気加熱器の抵抗についての所定の実験データに基づいて、その抵抗の変化を補償することができる。
【0028】
[0037]この周囲補償を用いたとしても、空気加熱器は、実際には周囲温度でないことがあり得る。これは、エンジンが、全てのエンジン構成要素が周囲温度に戻るのに十分に長い期間の間、周囲温度において「浸漬(soaked)」されていない、温かい又は熱い始動状況において当てはまる可能性が高い。例えば、車両を一晩放置したときのように、エンジン構成要素が周囲温度に戻った場合、これは、冷間始動と呼ばれる。空気加熱器の温度を知ることなしに、空気加熱器制御装置は、接続抵抗を計算するために空気加熱器の抵抗を推測することはできない。
【0029】
[0038]本開示では、空気加熱器の抵抗は、温度が上昇するにつれて増大すると仮定する。抵抗、並びに温度に対するその変化は、空気加熱器において使用される要素の化学作用(chemistry of the elements)に依存する。したがって、明らかに増大した接続抵抗は、実際には、空気加熱器が周囲温度よりも高温であることを意味し得る。
【0030】
[0039]空気加熱器の増大した測定された抵抗は、空気加熱器が周囲よりも温かいか、接続抵抗がより高いかのいずれかを意味し得るので、これらを区別する方法が開発されてきた。抵抗の変化率は、空気加熱器を温めることの開始時に最大となり、空気加熱器が動作温度に近付くにつれて鈍化することが、実験的に観測されてきた。したがって、始動の開始時の空気加熱器の温度は、始動中の抵抗の変化率に基づいて推測され得る。
【0031】
[0040]一旦始動時の空気加熱器温度が決定されると、その抵抗は、空気加熱器制御装置によって記憶された既知の実験データであり得る。その後、空気加熱器の抵抗は、接続抵抗を決定するために、始動時に測定された抵抗から減算され得る。空気加熱器への接続は、空気加熱器自体ほど温まらないので、接続抵抗の温度依存性は、些細である(trivial)として、いくつかの実装では無視され得る。
【0032】
[0041]接続抵抗を知り、動作温度(600°C等)での空気加熱器の抵抗を予めプログラムされることで、空気加熱器制御装置は、所望の抵抗に達するために、空気加熱器に供給されている電流を調節し得る。一旦測定された抵抗が、目標加熱器抵抗に接続抵抗を加えた和に等しくなると、電流は、その水準に測定抵抗を維持するために低減され得る。
【0033】
[0042]抵抗を測定することは、一般に、電圧及び電流を測定することと、それらの比率を計算することとによって行われる。1つの追加の問題点が、電圧は、空気加熱器制御装置において測定され得るが、空気加熱器制御装置の接地基準は、空気加熱器から見た(seen by)有効な接地とは異なり得ることである。以下で図2により詳細に説明されるように、電動ファン又は電子燃料噴射ポンプのような、エンジンの他の電気的特徴が、空気加熱器と接地接続を共有し得る。電圧が、バッテリに戻る接地の接続に沿って低下するにつれて、空気加熱器の負側における電圧は、空気加熱器制御装置が予期しているようなゼロボルトではなく、より高い電圧になり得る。更に、空気加熱器制御装置の接地基準はまた、バッテリ出力端子のゼロボルトでないことがあり得る。
【0034】
[0043]したがって、空気加熱器の両端の電圧の正確な測定値(an accurate reading)を得るために、空気加熱器制御装置は、空気加熱器の負側の電圧を測定する必要があり得る。空気加熱器に電流が流れていないとき、空気加熱器の正側及び負側は、同じ電圧になる。結果として、空気加熱器制御装置は、(一時的に)空気加熱器をオフにし、電圧を測定し、その後、その電圧を空気加熱器の負の電圧の基準として使用し得る。
【0035】
[0044]この基準は、電流が空気加熱器に供給されているときに、空気加熱器の正側の電圧から減算され得る。この基準(加熱器接地と呼ばれる)電圧の測定は、加熱器接地における予期される変動に基づいて、必要に応じた頻度で行われ得る。例えば、加熱器接地における対象となる変動が、数ミリ秒ではなく、数秒にわたって起こる場合、加熱器接地の測定は、1秒に1回行われ得る。
【0036】
[0045]図面に戻ると、図2は、本開示の原理による、空気加熱器制御装置204と空気加熱器208とで構成されたトラック200における選択された接地接続及び電力接続を示す。空気加熱器208は、エンジン212に供給される空気を選択的に加熱する。空気加熱器制御装置204は、エンジン制御装置216によって起動され得る。空気加熱器制御装置204は、バッテリ220から空気加熱器208に電流を供給する。始動器224が、エンジンのクランク軸を選択的に回転し、また、バッテリ220によって電力を供給される。異なる参照番号が使用されているが、空気加熱器制御装置204は、図1のエンジン制御装置112及び空気加熱器108と共に使用するために構成され得る。換言すれば、エンジン制御装置112は、本開示の空気加熱器制御装置204と共に作動するために、新しいプログラミングが必要なくなり得る。
【0037】
[0046]破線から分かるように、バッテリ220は、始動器224と、エンジン制御装置216と、空気加熱器208にその電力を選択的に接続する空気加熱器制御装置204とに電力を供給する。一方で、実線は、トラック200のフレーム228への、並びにエンジン制御装置216へのバッテリの接地接続を示す。いくつかの車両では、エンジン212は、フレーム228に接地される。これは例として示されるほんの1つの接地構成にすぎず、本開示の原理は、この構成に限定されない。
【0038】
[0047]空気加熱器208、始動器224、及び追加の電気的特徴232等の、他の構成要素は、フレーム228にエンジン212(特に、エンジンブロック)を通じて接地され得る。結果として、空気加熱器208から見た有効な接地電圧は、その同じ接地経路をたどる電流によって乗算された、バッテリ220に戻る接地経路の抵抗に基づく。一般に、始動器224は、空気加熱器208と同時には運転しない。
【0039】
[0048]しかしながら、電気的特徴232のような、他の電気的特徴は、空気加熱器208と同時に運転し得る。電気的特徴232によって消費される電流(current drawn)は、空気加熱器208の接地電圧を変化させ得る。例えば、電気的特徴232は、電動ファン又は燃料ポンプのような電子燃料噴射の構成要素であり得る。空気加熱器208から見た接地電圧におけるこの変動(variation)は、以下でより詳細に説明されるように、測定され、除去される。
【0040】
[0049]図3Aでは、空気加熱器制御装置204の実装例が、空気加熱器208にバッテリ220を選択的に接続する1つ又は複数の電力スイッチ300を含む。シャント抵抗器304は、電力スイッチ300と直列に配置され得、シャント抵抗器304の両端の電圧は、電力スイッチ300を流れる電流の量を決定するために、電流モニタ308によって測定される。
【0041】
[0050]複数の電力スイッチ300が、並列に配列され、同じゲート信号によって制御され得る。これら電力スイッチ300は、空気加熱器制御装置204の筐体のような、熱シンクに熱的に接続された単一のパッケージ又は複数のパッケージに含まれ得る。熱接続部312が、図3Aに例示のために示され、直接的な金属間接触又は熱ペーストの形をとり得る。
【0042】
[0051]逆バッテリ接続から保護するために、ダイオードが、バッテリ220へ向かう電流の逆流を防止するために、電力スイッチ300と直列に配置され得る。このダイオードは、並列の複数のダイオードの形をとり得、これらダイオードの各々は、実際には、ダイオードとして動作するように構成された電気スイッチであり得る。例えば、並列に接続された電気スイッチのセットは、電気スイッチのセットの両端の電圧が、電流がバッテリ220に向かって流れていることを示すとき、開回路を作成するように制御され得る。
【0043】
[0052]複数の電力スイッチ300は、パルス幅変調(PWM)駆動装置316によって駆動される。例えば、初期の電源投入段階中に、PWMのデューティサイクルは、電力スイッチ300が空気加熱器208に電力を供給するために常にオンのままであるように、100%に設定され得る。PWM駆動装置316は、過剰な電気放出(excessive electrical emissions)を生じさせること回避するために、成形パルスを生成するように電力スイッチ300を制御し得る。詳しくは、その開示全体が参照により組み込まれている、2009年1月6日に発行された「Controller for Air Intake Heater」と題する米国特許第7,472,695号、代理人整理番号4898-000478-US-CPB、代表発明者Andrew Prustを参照されたい。
【0044】
[0053]電圧モニタ320は、負荷電圧-即ち、電力スイッチ300と空気加熱器208との間の節点における電圧を測定する。電圧モニタ320は、空気加熱器208から見た有効な接地電圧を決定するとき、空気加熱器制御装置204の接地から500mVほど低い電圧を測定する必要があり得る。
【0045】
[0054]短絡保護回路324が、電圧モニタ320によって測定された電圧が低すぎる場合、PWM駆動装置316にディセーブル信号を出力する。空気加熱器208内に短絡又は部分的な短絡が存在する場合、電圧モニタ320によって測定される電圧は、通常よりもはるかに低くなる。例えば、空気加熱器208の両端の予期される電圧は、10又は11ボルトであり得、したがって、閾値は、5ボルトに設定され得る。短絡保護回路324は、アナログ領域で動作し、電圧モニタ320からの電圧を評価する前に始動し且つ起動コードを実行する必要があり得るマイクロプロセッサよりも、迅速な応答を提供し得る。
【0046】
[0055]他の実装では、短絡保護回路324は、電流モニタ308によって測定される電流に基づいて動作し得る。例えば、短絡保護回路324は、測定された電流が、所定の時間期間よりも長い間、閾値を超えていることに応答して、短絡を識別し得る。様々な実装では、短絡保護回路324は、電圧及び電流を受け取り、発生している電圧状態又は電流状態のいずれかに基づいて、短絡を識別し得る。
【0047】
[0056]以下に説明されるような制御回路328が、プログラム可能な論理デバイス、マイクロプロセッサ及びメモリ、等であり得、測定された電圧及び測定された電流を受け取り、指示されたデューティサイクルでPWM駆動装置316を命令する。PWM駆動装置316は、電力スイッチ300がいつオフであるかのインジケーション(indication)を返し得る。その後、制御回路328は、空気加熱器208から見た有効な接地電圧を決定するために、電力スイッチ300がオフである間に電圧測定を行い得る。
【0048】
[0057]制御回路328は、電流及び電圧を測定するためのアナログ-デジタル変換器(ADC)を含み得る。同じADCが電流と電圧の両方を測定するために多重化される場合、いくつかのADCの誤差又は非線形性が、抵抗を計算するために電圧及び電流が分割されるとき、除去され得る。
【0049】
[0058]制御回路328内に一体化され得るタイマ回路332が、制御回路328に対して様々な対象期間のタイミングをとる(times)。例えば、1つのタイマは、空気加熱器208が、空気加熱器208の電流作動のために加熱していた時間全体を測定し得る。別のタイマは、空気加熱器208の接地電圧がどのくらいの頻度で検査されるかを追跡し得る。別のタイマは、抵抗測定間の期間を測定し得る。
【0050】
[0059]温度遮断器336が、空気加熱器制御装置204の温度が閾値を上回って上昇することに応答して、PWM駆動装置316にディセーブル信号を供給する。例えば、サーミスタ340は、空気加熱器制御装置204の筐体、電力スイッチ300のうちの1つ又は複数のパッケージ、等の温度を測定し得る。
【0051】
[0060]制御回路328は、エンジン制御装置216から吸気加熱を要求する信号を受け取り得る。例えば、エンジン制御装置216から制御回路328への単一導体は、吸気加熱を要求するためにアサートされ得、一方、エンジン制御装置216と制御回路328との間の第2の導体は、制御回路328がエラー状態を信号で返すために使用される。
【0052】
[0061]いくつかの実装では、制御回路328に供給される信号は2値であり、吸気加熱が要求されているか、又は要求されていないかのいずれかを示す。他の実装では、信号は、加熱器のある特定の所望の温度のような、要求される加熱度(a degree of heating)を示すために、アナログ領域又はデジタル領域のいずれかで調節され得る。
【0053】
[0062]同様に、制御回路328からエンジン制御装置216に返される信号は、エラーがないか、エラーがあるかのいずれかを示す2値信号であり得る。この帰還信号はまた、エラーのタイプを示すために、又は、例えば、空気加熱器208が動作温度に到達した等の、他の状態を示すために、アナログ領域又はデジタル領域で調節され得る。いくつかの実装では、トランシーバ344が、制御回路328がCAN(controller area network)バス又はJ1939バス等の、車両バス上でエンジン制御装置216と通信することを可能にする。
【0054】
[0063]様々な実装では、制御回路328のような、空気加熱器制御装置204の構成要素は、完全にオフになる又は低電力状態に入るように構成され得る。例えば、トランシーバ344は、所定の時間期間よりも長い間、エンジン制御装置216から信号を受け取らなかったことに応答して、低電力状態に入るように空気加熱器制御装置204の構成要素に指示し得る。トランシーバ344は、全電力モードに空気加熱器制御装置204を戻す前に、所定の起動信号又はパケットを待ち得る。全電力モードに戻るとき、制御回路328は、PWM駆動装置316を制御するオペコードを実行する前に、始動ルーチンを行う必要があり得る。
【0055】
[0064]図3Aでは、固有の接続抵抗(intrinsic connection resistances)は示されていないが、空気加熱器208における要素の抵抗は、抵抗器348として概略的に示されている。一方で、バッテリ220は、内部抵抗(図示せず)によって特徴付けられ得、これは、バッテリ220の健全性の1つの指標(inducation)であり得る。制御回路328は、電力スイッチ300がオフになっている状態でバッテリ220の第1の電圧を測定し得る。例えば、制御回路328は、電流モニタ308によって測定される、シャント抵抗器304の端子のうちの1つの電圧値を受け取り得る。その後、制御回路328は、電力スイッチ300をオンにし、バッテリ220の第2の電圧と、シャント抵抗器304を流れる電流とを測定し得る。その後、バッテリの内部抵抗は、電流によって除算された、第1の電圧と第2の電圧との間の差として、制御回路328によって計算され得る。
【0056】
[0065]電圧モニタ320によって測定された電圧が、電流モニタ308によって測定された電流によって除算されるとき、結果として生じる抵抗は、抵抗器348の抵抗に、空気加熱器制御装置204と空気加熱器208との間で、並びに空気加熱器208からバッテリ220に戻るまでに経験される接続抵抗を加えたものにほぼ等しくなる。
【0057】
[0066]図3Bは、空気加熱器制御装置204の別の実装例のブロック図であり、204-2とラベル付けされている。空気加熱器制御装置204-2の多くの構成要素が、図3A中の空気加熱器制御装置204のそれらと同様である。図3Bでは、図3Aの電圧モニタ320は省略されている。
【0058】
[0067]更に、短絡保護回路324は、短絡電圧検出回路380で置き換えられている。短絡電圧検出回路380が抵抗器348の両端の短絡を表す電圧を検出したとき、ディセーブル信号が、PWM駆動装置316に送られる。例えば、短絡電圧検出回路380は、抵抗器348の両端で測定された電圧が所定の基準電圧未満であることに応答してディセーブル信号を生成するアナログ電圧比較器を含み得る。
【0059】
[0068]図4では、エンジン制御装置のためのエンジン始動に関する動作例が、400において開始する。車両の運転者等によって、エンジン始動要求が行われた場合、制御は404に移り、そうでない場合、制御は400に留まる。404において、制御はタイマをリセットし、それは、ゼロから開始して、カウントを上昇させる。408において、制御は、吸気加熱器にオンになるように指示する。
【0060】
[0069]412において、オプションの動作が行われる。エンジン制御装置は、吸気加熱器が動作温度まで上昇することが予期される所定の時間を有し得る。エンジン制御装置は、最後のエンジン始動時間と周囲温度とに基づいて、所定の加熱時間を調整し得る。周囲温度がより高いときは、吸気加熱器がより迅速に動作温度に達することが可能であるので、所定の加熱時間は低減される。更に、最後のエンジン始動時間が比較的最近である場合、所定の加熱時間は、最後のエンジン始動時間がどのくらい最近であったかに比例して低減され得る。
【0061】
[0070]416において、制御は、タイマと、412において調整された可能性がある所定の時間とを比較する。一旦タイマが所定の時間を超えると、制御は420に移る。420において、制御は、バッテリ容量が始動器によって使用され得るように、吸気加熱器にオフになるように指示する。424において、制御は、エンジンを始動する。エンジン制御装置のための複雑な工程を通じて、エンジン始動の詳細は、吸気加熱器制御に関連していないことがあり得、示されていない。
【0062】
[0071]428において、エンジンが始動された後、制御は、周囲温度が冷間始動の閾値未満であるかどうかを決定する。そうである場合、制御は432に移り、そうでない場合、制御は400に戻る。432において、制御は、タイマをリセットし、また、第2のタイマであるタイマ2をリセットする。タイマは、始動後のエンジンの温め(engine warmup)を促進するために、追加の吸気加熱を追跡するために使用される。第2のタイマであるタイマ2は、吸気加熱システムの遮断時間を追跡するために使用される。例えば、エンジン制御装置は、吸気加熱器が2分間オンのままであるべきことを決定し得る。しかしながら、吸気加熱システムは、30秒後の内部遮断を含み得る。したがって、タイマ2は、この30秒間隔を追跡し、30秒後毎に、吸気加熱の要求を更新する。
【0063】
[0072]436において、制御は、吸気加熱器にオンになるように指示する。440において、制御は、どれだけの追加の加熱時間が望ましいかを決定する。この追加の加熱時間は、周囲温度が低下するにつれて増大し得る。444において、制御は、タイマと、440において決定された追加の時間と比較する。追加の時間が経過した場合、制御は448に移り、そうでない場合、制御は452に移る。448において、吸気加熱のための追加の時間が満了し、制御は、吸気加熱器にオフになるように指示する。その後、制御は400に戻る。
【0064】
[0073]452において、制御は、タイマ2と、吸気加熱システムの遮断期間と比較する。例えば、遮断期間は、30秒であり得る。タイマ2が遮断期間を超えた場合、制御は456に移り、そうでない場合、制御は444に戻る。456において、制御は、吸気加熱器にオンになるように指示し、タイマ2をリセットする。その後、制御は444に戻る。
【0065】
[0074]図5では、エンジン制御装置の動作は、吸気加熱システムによって供給されるフィードバックに基づいて適合され得る。吸気加熱システムが、加熱器が動作温度に到達したことを示すことが可能であるとき、エンジン制御装置は、より早くエンジンを始動させることが可能になり得る。図4からの参照番号が、図5中の同様の動作を示すために使用される。408において、吸気加熱器のオンを指示した後、制御は、500において、加熱器が完了したことの指標が受け取られたかどうかを決定する。このような加熱器完了信号が受け取られた場合、制御は、420に移り、そうでない場合、制御は500に留まる。
【0066】
[0075]図6Aでは、吸気加熱システムによって行われる制御例が、600において開始する。例えば、図6A及び図6Bで行われる制御は、図3A又は図3Bの制御回路328において、コンピュータ可読命令のようなプログラミングとして実装され得る。600において、吸気加熱要求が受け取られる前に、制御は、0%デューティサイクルのパルス幅変調(PWM)を使用して加熱器を駆動する等によって、加熱器をオフにする。602において、吸気加熱要求が受け取られた場合、制御は604に移り、そうでない場合、制御は600に留まる。
【0067】
[0076]604において、制御は、加熱器の電圧を測定する。加熱器に電流が供給されていないので、加熱器の両端の電圧降下はゼロであり、したがって、測定された電圧は、加熱器の負側の電圧である。上記で説明されたように、この電圧は、吸気加熱器と同じ接地経路をわたって移動する他の電流の流れ(current draws)により、ゼロでない可能性がある。この測定された電圧は、加熱器の接地電圧と呼ばれる。
【0068】
[0077]608において、制御は、100%デューティサイクルのPWMで加熱器を駆動する。加えて、制御は、3つのタイマを開始する:全体タイマ、(抵抗測定間の期間のタイミングをとるための)測定タイマ、及び(接地電圧測定間の期間のタイミングをとるための)電圧タイマ。612において、電圧タイマが所定の電圧測定間隔(1秒等)以上である場合、制御は616に移り、そうでない場合、制御は620に移る。他の実装では、電圧測定間隔は、設定されないことがあり得、スイッチング要素において測定された電圧が、所定の率よりも大きく変化した場合、接地電圧測定がその代わりに行われ得る。例えば、200ミリ秒以内での50mVを超える電圧における変化は、接地電圧を再取得する必要があることを示し得る。
【0069】
[0078]620において、制御は、測定タイマが所定の抵抗測定間隔(50ミリ秒等)以上であるかどうかを決定する。そうである場合、制御は624に移り、そうでない場合、制御は628に移る。
【0070】
[0079]628において、制御は、制御装置の温度が閾値よりも高いかどうかを決定する。そうである場合、制御は632に移り、そうでない場合、制御は636において継続する。636において、制御は、全体タイマが、所定の始動ウィンドウ(例えば、3.5秒)以上であるかどうかを決定する。そうである場合、制御は図6Bの640に移り、そうでない場合、制御は612に戻る。図6A及び図6Bに示される動作の順序は、本開示の教示から逸脱することなく変更され得ることに留意されたい。特定の例として、612及び620における検査は、順序を逆にされ得る。
【0071】
[0080]616において、接地電圧測定のための時間となる。しかしながら、加熱器が100%デューティサイクルで駆動されているので、接地電圧を測定するためのオフ時間がない。したがって、PWMデューティサイクルは、90%に設定される。644において、制御は、次のPWMオフ時間(即ち、サーチがオフにされる10%のPWM期間)の間の加熱器の接地電圧を測定する。648において、制御は、PWMを100%に設定し戻す。652において、制御は、電圧タイマをリセットし、620において継続する。
【0072】
[0081]624において、抵抗を測定するための時間となり、したがって、電流及び電圧が測定される。656において、電流値の二乗の積算がまた決定される。これは、実験室測定において存在する状態に基づいて、抵抗の変化率をスケーリングするために、図6Bにおいて使用される。
【0073】
[0082]660において、制御は、測定された電圧を電流で除算することによって、抵抗を計算する。しかしながら、最初に、測定された電圧は、(644又は604のいずれかで測定された)直近に測定された接地電圧によって調整される。測定された接地電圧は、加熱器のもの以外の電流の流れによって引き起こされる接続抵抗の両端の電圧を示す。664において、制御は、測定タイマをリセットし、668において継続する。測定された抵抗が、予期される範囲外である(最低の吸気加熱器抵抗及びゼロ接続抵抗等の最小限の抵抗を下回るか、最大の予期される接続抵抗を加えた最大の予期される加熱器抵抗等の上限よりも大きいかのいずれかの)場合、制御は632に移り、そうでない場合、制御は672に移る。
【0074】
[0083]632において、制御は、PWMをゼロパーセントに設定し、それによって、空気加熱器への電流の供給を停止させる。制御はまた、エンジン制御装置に返すエラーを示し、終了する。672において、制御は、抵抗が過剰温度状態を示すかどうかを決定する。そうである場合、制御は632に移り、そうでない場合、制御は628に移る。過剰温度状態は、測定抵抗が限界(limit)よりも大きくなることによって示される。例えば、限界は、高すぎると考えられる温度での加熱器の抵抗を加えた、以前に測定された接続抵抗に基づき得る。前の始動からの接続抵抗は、過剰温度検査における偽陽性(false positives)を阻止するために、所定のパーセンテージ(10%又は20%等)だけ増大され得る。
【0075】
[0084]図6B中の640において、初期始動期間が経過し、制御は、対象期間にわたって測定された抵抗についての最良適合線を決定する。例えば、対象期間は、3秒台(the three second mark)の前後半秒であり得る(ここで、3秒は、吸気加熱器が最初にオンにされてからの時間量である)。最良適合線は、傾き及び切片を与える。
【0076】
[0085]最小二乗当てはめを使用する線形回帰の1つの技法が、点の配列からy=mx+bによって記述される線までの垂直距離を使用し、ここで、mは線の傾きであり、bはy切片である。この方法は、y-(mx+b)によって記述される距離の二乗を計算し、二乗された距離の和を最小化する。これら点に線を当てはめるために、以下のモーメントが、点のセットのために計算される:
【0077】
【数1】
【0078】
Nが、合計された点の数であるとともに、y切片bは:
【0079】
【数2】
【0080】
及び傾きmは:
【0081】
【数3】
【0082】
[0086]空気加熱器が加熱するにつれて、上記の計算は、100ミリ秒毎にr及びtを計算し、これら点を配列に配置することによって行われ得る。数Nが、1から15まで増えるにつれて、傾きについてのmを計算する。配列においてN=15個の点が存在するようになった後、FIFO(先入れ先出し法)工程が、最新の15個の点の傾きを計算するために使用され得る。
【0083】
[0087]制御は676において継続し、ここで、最良適合線から決定された抵抗の傾きがスケーリングされる。研究室において行われた加熱サイクルと比較した現行の加熱サイクル中に吸気加熱器に供給される電力の差を考慮して、抵抗の傾きは、測定された電力(即ち、電流の二乗の積算値)によって除算された、研究室で測定された電力(即ち、研究室における空気加熱器に供給される電流の二乗)によって乗算される。
【0084】
[0088]680において、スケーリングされた抵抗の傾きは、熱抵抗オフセットを決定するために使用される。換言すれば、これは、始動時の加熱器の抵抗と、基準温度(20°C等)での加熱器との間の抵抗における差を示す。例えば、参照テーブルが、スケーリングされた抵抗の傾きの値の範囲及び熱抵抗オフセットの値の対応するセットを有し得る。参照テーブルにおける値の間に収まる(falling between)スケーリングされた抵抗の傾きの値は、線形又は高次の補間を使用して補間され得る。他の実装では、数式が、傾斜をなすスケーリングされた抵抗(scaled resistances sloped)を、熱抵抗オフセットにマッピングする実験データから決定され得る。
【0085】
[0089]参照テーブルの例は、以下の通りである:
【0086】
【表1】
【0087】
[0090]684において、ここで制御は、始動時に測定された抵抗から、基準温度(20°C等)での加熱器抵抗と、熱抵抗オフセットとを減算することによって、空気加熱器と直列において存在する接続抵抗を決定することが可能である。いくつかの実装では、始動時に測定された抵抗は、始動時の過渡事象によって引き起こされる誤差を回避するために、一番最初(very first)の読取りにおいてではなく、その代わりに、いくらかのほんの僅かな時間(250ミリ秒等)後において取得され得る。例えば、ほんの僅かな時間は、1秒未満を意味し得る。
【0088】
[0091]688において、制御は、計算された接続抵抗が、以前に決定された接続抵抗と、閾値よりも多く異なっているかどうかを決定する。そうである場合、これは、不良接続を示し得、制御は692に移る。そうでない場合、制御は696において継続する。696において、制御は、加熱器が目標動作温度に到達したとき、加熱器の(測定されることになる)所望の抵抗を決定する。所望の抵抗は、目標温度での加熱器抵抗と、計算された接続抵抗との和として計算され得る。様々な実装では、目標温度値は、(通信バス上でトランシーバを介してのように)エンジン制御モジュールから受け取られ得る。
【0089】
[0092]制御は、700において継続し、ここで、吸気加熱要求が依然として存在している場合、制御は704に移り、そうでない場合、制御は、図6A中の600に戻る。704において、全体タイマが遮断期間を超えた場合、制御は、同様に図6Aの600に戻り、そうでない場合、制御は708において継続する。708において、制御は、測定タイマが抵抗測定間隔以上であるかどうかを決定する。そうである場合、制御は712に移り、そうでない場合、制御は716に移る。
【0090】
[0093]712において、制御は、電流及び電圧を測定する。720において、制御は、PWMオフ時間の間の加熱器の接地電圧を測定する。吸気加熱器が依然として100%デューティサイクルで駆動されている場合、制御は、(図6Aの616及び648において示されるように)測定の前に90%等のより低いパーセンテージにPWMを設定し、その後、100%にデューティサイクルを戻す。制御は、724において継続し、ここで、抵抗が計算される。728において、制御は、測定タイマをリセットし、732において継続する。
【0091】
[0094]732において、計算された抵抗が範囲外であった場合、制御は692に移り、そうでない場合、制御は736に移る。736において、抵抗が過剰温度状態を示す場合、制御は692に移り、そうでない場合、制御は716において継続する。716において、制御装置の温度が閾値よりも高い場合、制御は692に移り、そうでない場合、制御は740において継続する。
【0092】
[0095]740において、制御は、測定された抵抗と、696からの所望の抵抗との間の差を最小化するようにPWMデューティサイクルを設定する。換言すれば、これは、目標動作温度を達成するために、加熱器温度の閉ループ制御として機能する。例えば、制御は、所定の定数で(with)比例積分又は比例積分微分制御を使用し得、ここで、性能指数は、測定された温度と所望の温度との間の差である。その後、制御は、閉ループ制御の別の繰返しのために、700に戻る。
【0093】
[0096]図7A図7Bでは、流れ図が、図6A図6Bのそれと同様の加熱器制御を図示する。図6A図6Bで説明された方法では、接続抵抗を推定する際の誤差は、加熱器温度を推定する際の誤差をもたらし得る。例えば、接続抵抗を推定する際の誤差、及び測定接地と加熱器接地との間のシフトは、最大で摂氏100度又は摂氏150度の推定誤差をもたらし得る。接続抵抗を推定する目的は、加熱器要素の接地が測定回路の接地から(非ゼロの接続抵抗の両端の電圧降下によって)シフトされるとき、加熱器要素の両端の電圧を測定することに関連付けられた測定誤差を最小化することである。
【0094】
[0097]ある特定の加熱器温度が望ましいが、推定温度が実際よりも高くなることを測定誤差がもたらし得る場合、推定温度が所望の温度に到達したときに、所望の温度は、実際には達成されていない可能性がある。所望の温度に実際に到達することを保証するために、加熱器は、推定温度が安全マージンを加えた所望の温度に到達するまで駆動され得る。これは、所望の温度を達成することを保証するために必要な時間量を長くし得、加熱器がどのくらい迅速に温度に達するべきかについての顧客要件を満たさない可能性がある。加熱器の目標温度は、エンジンの始動パラメータ及び排出目標に基づいて、エンジン製造業者によって設定され得る。
【0095】
[0098]図7A図7Bで説明される方法は、他の要因の中でも特に、接地シフトによって影響を受け得る電圧測定に大きく依存することなく、加熱器に運ばれる電流の二乗を積算することに依存する。図6A図6Bの参照番号に対応する図7A図7B中の参照番号は、同様の動作を示す。
【0096】
[0099]図7Aでは、制御は、図6Aのそれと同様に開始する。いくつかの実装では、電圧測定は、完全に除去され得、図6Aと比較して、ブロック604、612、616、644、648、及び652が省略され得ることを意味する。更に、ブロック608は、電圧タイマを開始することを取り除くように変更される。
【0097】
[0100]図7Bでは、ブロック640及び676は、図6Bのそれらと同様である。676の後、制御は852において継続し、ここで、初期加熱器温度(即ち、吸気加熱要求が受け取られ、制御が図7A中の604に移ったときのもの)が推定される。初期加熱器温度は、676で計算されるスケーリングされた抵抗の傾きに基づいて推定される。上記に示されたようなテーブルが、スケーリングされた抵抗の傾きに基づいて、初期加熱器温度を参照するために使用され得る。他の実装では、スケーリングされた抵抗の傾きの関数である式が、初期加熱器温度を推定するために評価され得る。
【0098】
[0101]856において、制御は、吸気加熱要求が依然として存在しているかどうかを決定する。そうである場合、制御は860に移り、そうでない場合、制御は図7Aに戻り、ここで、加熱器は、0%デューティサイクルで加熱器を駆動することによってオフにされる。860において、全体タイマが30秒等の遮断期間を超えた場合、制御は、図7Aに戻り、そうでない場合、制御は864において継続する。864において、測定タイマが50ミリ秒等の所定の期間に到達した場合、制御は868に移り、そうでない場合、制御は872に移る。
【0099】
[0102]868において、測定タイマがリセットされる。876において、制御は、加熱器に運ばれる電流を測定する。この測定は、単一の電流測定であり得るか、又は最後の測定間隔からの時間期間にわたって測定された電流の平均を表し得る。測定された電流の二乗が計算され、積算された二乗された電流に加算される。880において、積算された電流の二乗に基づいて、加熱器温度上昇が推定される。例えば、所定の係数を有する一次式又は多項式が、積算された電流の二乗の関数として、加熱器温度上昇を計算するために使用され得る。
【0100】
[0103]884において、加熱器温度は、初期加熱器温度に温度上昇を加算することによって推定される。888において、制御は、推定温度が目標温度以上であるかどうかを決定する。そうである場合、制御は図7Aに移り、そうでない場合、制御は872において継続する。これは、一旦所望の温度に到達すると、加熱器をオフにする。エンジンが所望の温度に達した際に、即時に始動されない可能性がある実装では、閉ループ制御が、温度を維持するために行われ得る。
【0101】
[0104]例えば、直接図7Aに移る代わりに、制御は、基準加熱器抵抗を測定し得、それは、制御が所望の温度であると考える現在の加熱器温度に対応する。その後、制御は、基準加熱器抵抗と、周期的(50ミリ秒毎等)に更新される測定された加熱器抵抗との間の差を最小化するために、PWMデューティサイクルに対して閉ループ制御を行い得る。閉ループ制御を行っている間、遮断期間検査(860)、制御装置の温度検査(872)、及び空気加熱要求の存在検査(852)は、依然として行われる。閉ループ制御では、加熱器の温度は、熱が加熱器よりもはるかに冷たいであろう周囲の空気中に放散されるにつれて(as)、略維持され得る。
【0102】
[0105]888における制御は、推定温度への変換を必要とする代わりに、積算された二乗された電流の領域で行われ得る。例えば、884が除去され得、852が、到達すべき目標の積算された電流二乗値を決定することによって補足され得る。その後、ブロック888は、単に、積算された電流二乗値と目標値と比較する。一旦目標値に到達すると、加熱器を所望の温度に到達させるのに、十分な量の電流が加熱器に運ばれている。
【0103】
[0106]872において、制御装置回路又はハウジングの温度が、摂氏50度等の閾値よりも高い場合、制御は892において継続し、そうでない場合、制御装置は856のもとに戻る。制御装置の温度は、サーミスタを使用して測定され得る。892において、加熱器は、デューティサイクルを0%に設定することによってディセーブルにされ、エラーが示される。その後、制御は終了する。
【0104】
[0107]図8では、プロットが、35秒の始動にわたっての加熱器電圧、加熱器アンペア数、加熱器要素温度、及び(バッテリにおいて測定されたような)加熱器抵抗を示す。右側の軸(0から900まで)は、摂氏度単位の要素温度並びにアンペア単位の電流の両方を示す。左側の軸(0から25まで)は、ボルト単位の電圧並びにオーム単位の抵抗のスケーリング及びシフトされた値を示す。電圧と同じスケールで、バッテリにおいて測定される加熱器の抵抗を適合させるために、30ミリオームが、測定された抵抗から減算され、その結果が、2000によって乗算された。この特定の検査では、接続抵抗は、略4ミリオームであり、これは、実用的な実装でよりも高くなり得る。
【0105】
[0108]図9では、経時的な電流のプロットされた関数並びに電流関数の微分がプロットされる。右側の軸(-9から0まで)は、1秒当たりのアンペア単位の電流の傾きに対応する。抵抗は、電圧が11.0Vであるので、アンペア数の曲線(amperage curves)から計算され得る。
【0106】
[0109]第1の電流トレース904が、研究室の測定において使用されるような、基準温度(20°C等)での標準の相互接続抵抗に対応する。第2の電流トレース908は、増大された相互接続抵抗に対応する。第3の電流トレース912は、より低い温度の始動に対応する。数学的微分トレース924、928、及び932は、電流トレース904、908、及び912にそれぞれ対応する。
【0107】
[0110]図示されている電流の傾きが負である一方で、(制御回路によって測定される)対応する抵抗の傾きは、オームの法則がそれらを反比例して関連付けるので、正である。傾きを見なければ、より多くの相互接続抵抗は、より熱い始動コイル温度と同じに見える。抵抗の変化率は、コイルが過熱されるにつれて鈍化するので、非常に低い温度で始動するコイルの傾きは、より高い温度で始動したものよりも低くなる。したがって、傾きは、観測された抵抗のうちのどれだけが接続抵抗であり、どれだけが加熱コイルにおける熱に関連した抵抗の増大であるかを区別し得る。
【0108】
[結論]
[0111]前述の説明は、本質的に例示に過ぎず、決して本開示、その適用、又は用途を限定することを意図するものではない。本開示の幅広い教示は、様々な形態で実装され得る。したがって、本開示は、特定の例を含む一方で、他の変更が、図面、明細書、及び以下の特許請求の範囲を検討した際に明らかになるので、本開示の真の範囲は、そのように限定されるべきでない。方法内の1つ又は複数のステップは、本開示の原理を変えることなく、異なる順序で(又は同時並行に)実行され得ることが理解されるべきである。更に、実施形態の各々は、ある特定の特徴を有するものとして上記で説明されているが、本開示の任意の実施形態に関して説明されたこれらの特徴のうちの任意の1つ又は複数が、他の実施形態のうちの任意のものにおいて実装され得、及び/又は、たとえその組合せが明確に説明されていなかったとしても、他の実施形態のうちの任意のものの特徴と組み合わされ得る。換言すれば、説明された実施形態は、互いに排他的ではなく、1つ又は複数の実施形態を互いに置き換えることは、本開示の範囲内にある。
【0109】
[0112]要素間(例えば、モジュール間、回路要素間、半導体層間、等)の空間的及び機能的関係性が、「接続される」、「係合される」、「結合される」、「近接する」、「隣接する」、「の上部に」、「上方に」、「下方に」、及び「配置される」を含む、様々な用語を用いて説明されている。「直接」であると明確に説明されていない限り、第1の要素と第2の要素との間の関係性が上記の開示で説明されているとき、その関係性は、他に介在する要素が第1の要素と第2の要素との間に存在しない直接的な関係性であり得るが、1つ又は複数の介在する要素が第1の要素と第2の要素との間に(空間的に又は機能的にのいずれかで)存在する間接的な関係性でもあり得る。本明細書で使用される場合、A、B、及びCのうちの少なくとも1つという表現は、非排他的論理和ORを使用して、論理(A又はB又はC)を意味すると解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、及びCの少なくとも1つ」を意味するものと解釈されるべきではない。
【0110】
[0113]図面では、矢尻によって示される、矢印の方向は、概して、例示の対象となる情報(データ又は命令等)の流れを示す。例えば、要素A及び要素Bは様々な情報を交換するが、要素Aから要素Bへ送信される情報が例示に関連するとき、矢印は、要素Aから要素Bまでを指し得る。この一方向の矢印は、他のいかなる情報も要素Bから要素Aへ送信されないことを暗示するものではない。更に、要素Aから要素Bへ送られる情報については、要素Bは、要素Aに情報についての要求を送り得、又は要素Aへの情報の確認応答を受け取り得る。
【0111】
[0114]本願では、以下の定義を含め、「モジュール」という用語又は「コントローラ」という用語は、「回路」という用語で置き換えられ得る。「モジュール」という用語は、特定用途向け集積回路(ASIC);デジタル式、アナログ式、又は混合型アナログ/デジタル式個別回路;デジタル式、アナログ式、又は混合型アナログ/デジタル式集積回路;組合せ論理回路;フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA);コードを実行するプロセッサ回路(共有型、専用型、又はグループ型);プロセッサ回路によって実行されるコードを記憶しているメモリ回路(共有型、専用型、又はグループ型);説明された機能を提供する他の適切なハードウェア構成要素;又はシステム・オン・チップなどにおける、上記のうちのいくつか又は全部からなる組合せを指す、又はその一部である、又はそれを含み得る。
【0112】
[0115]モジュールは、1つ又は複数のインターフェース回路を含み得る。いくつかの例では、インターフェース回路は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット、ワイドエリアネットワーク(WAN)、又はそれらの組合せに接続される有線又は無線インターフェースを含み得る。本開示の任意の所与のモジュールの機能は、インターフェース回路を介して接続されている複数のモジュール間に分散され得る。例えば、複数のモジュールは、負荷分散を可能にし得る。更なる例では、サーバ(リモート又はクラウドとしても知られている)モジュールが、クライアントモジュールに代わって何らかの機能を実現し得る。
【0113】
[0116]上記で使用されているコードという用語は、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又はマイクロコードを含み得、プログラム、ルーチン、関数、クラス、データ構造、及び/又はオブジェクトを指し得る。共有型プロセッサ回路という用語は、複数のモジュールからの一部のコード又は全てのコードを実行するシングルプロセッサ回路を包含する。グループ型プロセッサ回路という用語は、追加のプロセッサ回路との組合せにおいて、1つ又は複数のモジュールからの一部のコード又は全てのコードを実行するプロセッサ回路を包含する。複数のプロセッサ回路への参照は、個別のダイ上の複数のプロセッサ回路、単一のダイ上の複数のプロセッサ回路、単一のプロセッサ回路の複数のコア、単一のプロセッサ回路の複数のスレッド、又は上記の組合せを包含する。共有型メモリ回路という用語は、複数のモジュールからの一部のコード又は全てのコードを記憶している単一のメモリ回路を包含する。グループ型メモリ回路という用語は、追加のメモリとの組合せにおいて、1つ又は複数のモジュールからの一部のコード又は全てのコードを記憶しているメモリ回路を包含する。
【0114】
[0117]メモリ回路という用語は、コンピュータ可読媒体という用語のサブセットである。本明細書で使用される場合、コンピュータ可読媒体という用語は、媒体(搬送波上等)を通じて伝播される一時的な電気信号又は電磁信号を包含しない。したがって、コンピュータ可読媒体という用語は、有形及び非一時的なものとみなされ得る。非一時的で有形のコンピュータ可読媒体の非限定的な例としては、不揮発性メモリ回路(フラッシュメモリ回路、消去可能プログラマブル読取専用メモリ回路、又はマスク読取専用回路等)、揮発性メモリ回路(スタティックランダムアクセスメモリ回路又はダイナミックランダムアクセスメモリ回路等)、磁気記憶媒体(アナログ又はデジタル磁気テープ又はハードディスクドライブ等)、及び光記憶媒体(CD、DVD、又はブルーレイディスク等)がある。
【0115】
[0118]本願で説明された装置及び方法は、コンピュータプログラムにおいて具現化される1つ又は複数の特定の機能を実行するように汎用コンピュータを構成することによって作成される専用コンピュータによって、部分的又は完全に実装され得る。上記で説明された機能ブロック及び流れ図の要素は、熟練した技術者又はプログラマの日常業務によってコンピュータプログラムに変換され得るソフトウェア仕様として機能する。
【0116】
[0119]コンピュータプログラムは、少なくとも1つの非一時的で有形のコンピュータ可読媒体上に記憶されたプロセッサ実行可能命令を含む。コンピュータプログラムはまた、記憶されたデータを含み得るか、又は記憶されたデータに依拠し得る。コンピュータプログラムは、専用コンピュータのハードウェアと対話する基本入力/出力システム(BIOS)、専用コンピュータの特定のデバイスと対話するデバイス駆動装置、1つ又は複数のオペレーティングシステム、ユーザアプリケーション、バックグラウンドサービス、バックグラウンドアプリケーション、等を包含し得る。
【0117】
[0120]コンピュータプログラムは、(i)HTML(ハイパーテキストマークアップ言語)又はXML(拡張可能マークアップ言語)等の構文解析される記述テキスト、(ii)アセンブリコード、(iii)コンパイラによってソースコードから生成されるオブジェクトコード、(iv)インタプリタによる実行のためのソースコード、(v)ジャストインタイムコンパイラによるコンパイル及び実行のためのソースコード、等を含み得る。単に例として、ソースコードは、C、C++、C#、オブジェクティブC、Swift、Haskell、Go、SQL、R、Lisp、Java(登録商標)、Fortran、Perl、Pascal、Curl、OCaml、Javascript(登録商標)、HTML5(ハイパーテキストマークアップ言語 第5改訂版)、Ada、ASP(アクティブサーバページ)、PHP(PHP:ハイパーテキストプリプロセッサ)、Scala、Eiffel、Smalltalk、Erlang、Ruby、Flash(登録商標)、Visual Basic(登録商標)、Lua、MATLAB、SIMULINK、及びPython(登録商標)を含む言語からの構文を使用して記述され得る。
【0118】
[0121]特許請求の範囲に記載されるいずれの要素も、要素が「~のための手段」という表現を使用して、又は、方法の請求項の場合には、「~のための動作」若しくは「~のためのステップ」という表現を使用して、明確に記載されていない限り、米国特許法第112条(f)の意味内のミーンズプラスファンクション要素であるとは意図さない。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 車両用の吸気加熱システムであって、前記システムは、
前記車両の吸気と接触している加熱コイルに、前記車両のバッテリを選択的に接続するように構成された電気的スイッチングデバイスと、
エンジン制御装置からのイネーブル信号に応答して、全電流において前記加熱コイルに前記バッテリを接続するように前記電気的スイッチングデバイスを駆動することと、 前記加熱コイルの初期温度を示す、前記加熱コイルの抵抗を測定することと、
前記加熱コイルの推定温度が所望の温度値を超えることに応答して、前記車両の前記バッテリから前記加熱コイルへの電流を低減させるように前記電気的スイッチングデバイスを調節することと
を行うように構成された制御回路と
を備える、システム。
[2] 前記制御回路は、前記加熱コイルの前記初期温度と温度上昇との和に基づいて、前記加熱コイルの温度を推定するように構成される、[1]に記載のシステム。
[3] 前記制御回路は、
前記電気的スイッチングデバイスを流れる電流の電流値を繰り返し測定することと、 前記測定された電流値の二乗値を積算することと
によって、前記温度上昇を推定するように構成される、[2]に記載のシステム。
[4] 前記制御回路は、積算された電流二乗値によってインデックス付けされた温度上昇の参照テーブルに基づいて、前記温度上昇を推定するように構成される、[3]に記載のシステム。
[5] 前記制御回路は、対象期間にわたる前記加熱コイルの前記抵抗の上昇率に基づいて、前記加熱コイルの前記初期温度を推定するように構成される、[3]に記載のシステム。
[6] 前記制御回路は、前記加熱コイルの前記初期温度を推定する前に、(i)基準電流二乗値と、(ii)前記積算された電流二乗値との比率によって、前記上昇率をスケーリングするように構成される、[5]に記載のシステム。
[7] 前記制御回路は、
前記電気的スイッチングデバイスを流れる電流の電流値と、前記電気的スイッチングデバイスの端子における電圧値とを測定することと、
前記測定された電圧値と前記測定された電流値との比率に基づいて、前記加熱コイルの前記抵抗を計算することと
によって、前記加熱コイルの前記抵抗を測定するように構成される、[1]に記載のシステム。
[8] 前記制御回路は、
前記電気的スイッチングデバイスがオフになっている間の前記電気的スイッチングデバイスの前記端子における基準電圧を測定することと、
前記加熱コイルの前記抵抗を計算する前に、前記測定された電圧値から前記基準電圧を減算することと
を行うように構成される、[7]に記載のシステム。
[9] 前記電気的スイッチングデバイスは、並列に接続された複数のトランジスタを備える、[1]に記載のシステム。
[10] 前記制御回路は、パルス幅変調を使用して前記電気的スイッチングデバイスを駆動するように構成される、[1]に記載のシステム。
[11] 前記電気的スイッチングデバイスと前記制御回路とを収容する金属筐体を更に備え、 ここにおいて、前記電気的スイッチングデバイスは、前記電気的スイッチングデバイスから熱を吸収する前記金属筐体に熱的に結合される、
[1]に記載のシステム。
[12] 前記制御回路、前記電気的スイッチングデバイス、及び前記金属筐体のうちの少なくとも1つの温度を測定するように構成された温度センサを更に備え、
ここにおいて、前記制御回路は、前記測定された温度が温度閾値を超えることに応答して、前記電気的スイッチングデバイスをオフにするように構成される、
[11]に記載のシステム。
[13] (i)通信バス上で前記エンジン制御装置から前記所望の温度値を受け取ること、及び(ii)前記制御回路に前記所望の温度値を供給すること、を行うように構成されたトランシーバを更に備える、[1]に記載のシステム。
[14] 前記トランシーバは、
所定の時間期間よりも長い間の前記通信バス上での無活動状態に応答して、低電力モードに入るように前記制御回路に指示することと、
前記通信バス上で所定の信号を受け取ることに応答して、動作モードに入るように前記制御回路に指示することと
を行うように構成され、
ここにおいて、前記制御回路は、前記動作モードにあるときよりも、前記低電力モードにあるとき、より少ない電力を消費する、[13]に記載のシステム。
[15] 前記バッテリは、内部抵抗によって特徴付けられ、
前記制御回路は、
前記バッテリが前記電気的スイッチングデバイスによって前記加熱コイルから切断されている間の前記バッテリの第1の電圧を測定することと、
一旦前記電気的スイッチングデバイスが前記バッテリに前記加熱コイルを接続すると、前記バッテリの第2の電圧を測定し、前記電気的スイッチングデバイスを流れる電流を測定することと、
前記第1の電圧、前記第2の電圧、及び前記電流に基づいて、前記内部抵抗を決定することと
を行うように構成される、[1]に記載のシステム。
[16] 車両用の吸気加熱システムを動作させる方法であって、前記方法は、
エンジン制御装置からのイネーブル信号に応答して、全電流において加熱コイルにバッテリを接続するように電気的スイッチングデバイスを駆動することと、
前記加熱コイルの初期温度を示す、前記加熱コイルの抵抗を測定することと、
前記加熱コイルの温度が所望の温度値を超えることに応答して、前記車両の前記バッテリから前記加熱コイルへの電流を低減させるように前記電気的スイッチングデバイスを調節することと
を備える、方法。
[17] 前記加熱コイルの前記初期温度と温度上昇との和に基づいて、前記加熱コイルの温度を推定することを更に備える、[16]に記載の方法。
[18] 前記温度上昇を推定することは、
前記電気的スイッチングデバイスを流れる電流の電流値を繰り返し測定することと、 前記測定された電流値の二乗値を積算することと
を含む、[17]に記載の方法。
[19] 対象期間にわたる前記加熱コイルの前記抵抗の上昇率に基づいて、前記加熱コイルの前記初期温度を推定することを更に備える、[18]に記載の方法。
[20] 前記加熱コイルの前記初期温度を推定する前に、(i)基準電流二乗値と、(ii)前記積算された電流二乗値との比率によって、前記上昇率をスケーリングすることを更に備える、[19]に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9