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特許6991944調光照明システム及び調光調色照明システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】調光照明システム及び調光調色照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/10 20200101AFI20220127BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20220127BHJP
   H05B 45/325 20200101ALI20220127BHJP
   H05B 45/3725 20200101ALI20220127BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20220127BHJP
   H05B 47/155 20200101ALI20220127BHJP
   H05B 47/165 20200101ALI20220127BHJP
   H05B 47/18 20200101ALI20220127BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20220127BHJP
【FI】
H05B45/10
H05B45/20
H05B45/325
H05B45/3725
H05B47/105
H05B47/155
H05B47/165
H05B47/18
H05B47/19
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018146314
(22)【出願日】2018-08-02
(65)【公開番号】P2020021686
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2020-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 浩亨
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-086335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00、47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定調光率を設定する設定端末と、
正調光率を演算する修正演算を行う第1演算装置と、
元調光率を演算する復元演算を行う第3演算装置と、駆動回路と、発光素子を含む光源部を備えた照明制御システムであって、
前記修正演算は、前記設定調光率の値を所定の数式によって前記修正調光率の値に変換する演算であり、
前記復元演算は、前記修正調光率の値を前記設定調光率と同一の値とする数式により前記復元調光率の値に復元する演算であり、
前記駆動回路は、前記復元調光率に対応する駆動出力を、前記発光素子を含む前記光源部に供給する、照明制御システム。
【請求項2】
設定高色温度調光率及び設定低色温度調光率からなる設定調光率、修正高色温度調光率及び修正低色温度調光率からなる修正調光率、復元高色温度調光率及び復元低色温度調光率からなる復元調光率を演算する照明制御システムであって、
前記設定高色温度調光率及び前記設定低色温度調光率の和である設定全調光率と設定色温度を設定する、又は前記設定高色温度調光率及び前記設定低色温度調光率を設定する設定端末と、
記修正調光率を演算する修正演算を行う第1演算装置と、
記復元調光率を演算する復元演算を行う第3演算装置と、駆動回路と、高色温度発光素子と低色温度発光素子を含む光源部を備え、
前記修正演算は、前記設定調光率の値を所定の数式によって前記修正調光率の値に変換する演算であり、
前記復元演算は、前記修正調光率の値を前記設定調光率と同一の値とする数式により前記復元調光率の値に復元する演算であり、
前記駆動回路は、前記復元調光率に対応する駆動出力を、前記発光素子を含む前記光源部に供給する、照明制御システム。
【請求項3】
前記修正調光率を無線送信する送信器又は有線送信する送信端子と、送信された前記修正調光率を受信する受信器又は受信端子を更に備えた、請求項1又は2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記設定調光率の値が0%より大きく10%以下の場合において、前記設定調光率から演算された前記修正調光率は、前記設定調光率より値が大きい、請求項1から3のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記修正調光率の少なくとも1つと、対応する前記設定調光率の差が、20%以下である、請求項1から4のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記修正調光率は、対応する前記設定調光率に係数を掛け、オフセットを加えた関数で表される、請求項1から5のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記修正調光率は、対応する前記設定調光率がゼロの場合に、ゼロでない場合と不連続な差がある、請求項1から6のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項8】
前記修正調光率は、PWM信号として前記第3演算装置に入力される、請求項1から7のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項9】
前記復元調光率は、PWM信号として前記第3演算装置から出力される、請求項1から8のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項10】
設定高色温度調光率及び設定低色温度調光率からなる設定調光率、修正高色温度調光率及び修正低色温度調光率からなる修正調光率、復元高色温度調光率及び復元低色温度調光率からなる復元調光率を演算する照明制御システムであって、
前記設定高色温度調光率及び前記設定低色温度調光率の和である設定全調光率と設定色温度を設定する、又は前記設定高色温度調光率及び前記設定低色温度調光率を設定する設定端末と、
前記修正調光率を演算する修正演算を行う第1演算装置と、
前記復元調光率を演算する復元演算を行う第3演算装置と、駆動回路と、高色温度発光素子と低色温度発光素子を含む光源部を備え、
前記修正演算は、前記設定調光率の値を所定の数式によって前記修正調光率の値に変換する演算であり、
前記復元演算は、前記修正調光率の値を前記設定調光率と同一の値とする数式により前記復元調光率の値に復元する演算であり、
前記光源部は高色温度発光素子と低色温度発光素子を含み、
前記復元調光率は復元高色温度調光率のPWM信号及び復元低色温度調光率のPWM信号よりなり、
前記復元高色温度調光率のPWM信号において前記高色温度発光素子が駆動されるパルスと、前記復元低色温度調光率のPWM信号において前記低色温度発光素子が駆動されるパルスとが、同時にONにならない、照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてLED照明の調光に用いる調光照明システム、調光調色照明システム、調光電源及び調光調色電源に関し、特にPWM方式を用いた調光・調光調色に関する。
【背景技術】
【0002】
LED照明の明るさを調節する調光の方式としては、LEDへ供給する電力のパルス幅を制御するPWM(Pulse Width Modulation)方式が広く用いられている。この方式ではPWMのデューティがLEDへの供給電力と比例する。PWMは「パルス幅」というアナログ情報を用いた制御を行っており、パルスの立ち上がり・立下りの時間ばらつきやノイズの影響を受ける場合がある。そこで、特許文献1では、増幅器のばらつきを考慮して、上述の比例関係を少し変え、オンデューティが例えば98%で器具出力が0%、5%で器具出力が100%となる方式が記載されている。
調光は無線によって行うこともできる。特許文献2には、無線コントローラーから通信モジュールを経て照明機器が制御される方式が記載され、無線モジュールから照明機器への制御方法の一例としてPWM制御が挙げられている。
【0003】
また、照明のLED化に伴い、照明の色温度を変化させる調色照明が用いられるようになってきている。PWMによる調色制御の例として、特許文献3に、色温度が5000K(ケルビン)の昼白色の光を出射する第1LEDと、色温度が3000Kの電球色の光を出射する第2LEDとを用い、調色用第1PWM信号とそれとは逆相の調色用第2PWM信号を用いて、調色を行う例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-056781号公報
【文献】特開2013-235837号公報
【文献】特開2014-78405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1の課題は、PWM制御の調光範囲として0%から100%を得ようとする場合、特に0%近傍ではパルス幅の立ち上がり・立ち下がりやばらつきの影響によるパルス幅の誤差、ひいては制御の不安定性が生じやすくなる。PWM制御で調色を行う場合にも、同様の制御の不安定性が生じる。
【0006】
第2の課題は、調色制御を行う色温度範囲と、光源における調色可能な色温度範囲とが異なる場合に調色制御を可能にすることである。特に、調色可能な色温度範囲が異なっている複数の光源を用いる場合、1つの調色制御で複数の光源に対して同じ調色制御ができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、設定調光率を設定する設定端末と、前記設定調光率より修正調光率を演算する第1演算装置と、前記修正調光率より前記設定調光率と同一又は類似の値である復元調光率を演算する第3演算装置と、駆動回路と、発光素子を含む光源部を備えた照明制御システムであって、前記駆動回路は、前記復元調光率に対応する駆動出力を、前記発光素子を含む前記光源部に供給する、照明制御システムである。
【0008】
本発明は、設定調光率を設定する設定端末と、正調光率を演算する修正演算を行う第1演算装置と、元調光率を演算する復元演算を行う第3演算装置と、駆動回路と、発光素子を含む光源部を備えた照明制御システムであって、前記修正演算は、前記設定調光率を前記修正調光率に変換する演算であり、前記復元演算は、前記修正調光率を前記設定調光率と同一の値とする数式により前記復元調光率に復元する演算であり、前記駆動回路は、前記復元調光率に対応する駆動出力を、前記発光素子を含む前記光源部に供給する、照明制御システムである。
【0009】
本発明は、設定高色温度調光率及び設定低色温度調光率からなる設定調光率、修正高色温度調光率及び修正低色温度調光率からなる修正調光率、復元高色温度調光率及び復元低色温度調光率からなる復元調光率を演算する照明制御システムであって、前記設定高色温度調光率及び前記設定低色温度調光率の和である設定全調光率と設定色温度を設定する、又は前記設定高色温度調光率及び前記設定低色温度調光率を設定する設定端末と、記修正調光率を演算する修正演算を行う第1演算装置と、前記復元調光率を演算する復元演算を行う第3演算装置と、駆動回路と、高色温度発光素子と低色温度発光素子を含む光源部を備え、前記修正演算は、前記設定調光率を前記修正調光率に変換する演算であり、前記復元演算は、前記修正調光率を前記設定調光率と同一の値とする数式により前記復元調光率に復元する演算であり、前記駆動回路は、前記復元調光率に対応する駆動出力を、前記発光素子を含む前記光源部に供給する、照明制御システムである。
【0010】
本発明は、前記設定調光率の値が0%より大きく10%以下の場合において、前記設定調光率から演算された前記修正調光率は、前記設定調光率より値が大きいことが好ましい。
【0011】
本発明は、前記修正調光率の少なくとも1つと、対応する前記設定調光率の差が、20%以下であることが好ましい。
【0012】
本発明は、前記修正調光率が、対応する前記設定調光率に係数を掛け、オフセットを加えた関数で表されることが好ましい。
【0013】
本発明は、前記修正調光率が、対応する前記設定調光率がゼロの場合に、ゼロでない場合と不連続な差があることが好ましい。
【0014】
本発明は、前記修正調光率が、PWM信号として前記第3演算装置に入力されることが好ましい。
【0015】
本発明は、前記復元調光率が、PWM信号として前記第3演算装置から出力されることが好ましい。
【0016】
本発明は、設定高色温度調光率及び設定低色温度調光率からなる設定調光率、修正高色温度調光率及び修正低色温度調光率からなる修正調光率、復元高色温度調光率及び復元低色温度調光率からなる復元調光率を演算する照明制御システムであって、前記設定高色温度調光率及び前記設定低色温度調光率の和である設定全調光率と設定色温度を設定する、又は前記設定高色温度調光率及び前記設定低色温度調光率を設定する設定端末と、前記修正調光率を演算する修正演算を行う第1演算装置と、前記復元調光率を演算する復元演算を行う第3演算装置と、駆動回路と、高色温度発光素子と低色温度発光素子を含む光源部を備え、前記修正演算は、前記設定調光率を前記修正調光率に変換する演算であり、前記復元演算は、前記修正調光率を前記設定調光率と同一の値とする数式により前記復元調光率に復元する演算であり、前記光源部は高色温度発光素子と低色温度発光素子を含み、前記復元調光率は復元高色温度調光率のPWM信号及び復元低色温度調光率のPWM信号よりなり、前記復元高色温度調光率のPWM信号において前記高色温度発光素子が駆動されるパルスと、前記復元色温度調光率のPWM信号において前記低色温度発光素子が駆動されるパルスとが、同時にONにならない、照明制御システムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、伝送時に誤差を生じるおそれのあるPWM制御などの場合における調光の制御安定性を向上させることができる。
【0022】
また本発明によれば、伝送時に誤差を生じるおそれのあるPWM制御などを用いて高色温度LED・低色温度LEDを制御する場合に、調色の制御安定性を向上させることができる。
【0023】
また本発明によれば、個別の光源における調色制御可能な色温度範囲が設定端末における調色制御可能な色温度範囲と異なる場合においても、調色制御を行うことができる。
【0024】
また本発明によれば、個別の光源における調色制御可能な色温度範囲が設定端末における調色制御可能な色温度範囲と異なる場合においても、制御安定性を向上させた調色制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態1の照明制御システムの構成図。
図2】実施形態1の照明制御システムにおける設定調光率と修正調光率の関係を示す図。
図3】実施形態1の照明制御システムにおける修正調光率と復元調光率の関係を示す図。
図4】実施形態1の照明装置の断面図。
図5】実施形態1のバリエーションの照明制御システムの構成図。
図6】実施形態1のバリエーション(有線接続)の照明制御システムの構成図。
図7】実施形態2の照明制御システムの構成図。
図8】実施形態2のタッチパネルディスプレイの表示を示す図。
図9】実施形態2の設定全調光率D、設定色温度Tの値に対する復元調光率の関係を示す表。
図10】実施形態2のパルスPとパルスPの時間的関係を示す図。
図11】実施形態3の照明制御システムの構成図。
図12】実施形態3の仮想設定調光率と駆動調光率の関係を示す表。
図13】実施形態3のバリエーションにおける、設定色温度係数Cと駆動色温度Tの関係。
図14】実施形態4の照明制御システムの構成図。
図15】実施形態4の照明制御システムにおける、仮想修正調光率と仮想復元調光率の関係を示す表。
図16】実施形態4の照明制御システムにおける、仮想修正調光率と駆動調光率の関係を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<実施形態1>
<照明制御システム>
本実施形態に係る照明制御システムは、無線による調光信号の伝送が可能な照明制御システムである。これは、構成図である図1に示すように、設定端末であるタブレット10、受信部である受信モジュール20、電源30、配線39、光源部40を備える。タブレット10は設定部であるタッチパネルディスプレイ11、第1演算装置12、及び送信器13を内蔵し、受信モジュール20は受信器21、第2演算装置22を内蔵し、電源30はマイコンである第3演算装置31、駆動回路32を備え、光源部40はプリント基板41に実装された発光素子である複数のLED素子42を備える。受信モジュール20はカード型をしており、その接点が電源30の接続部に接続され、接点からの信号が第3演算装置31に伝えられる。
【0027】
なお、受信モジュール20、電源30、配線39、光源部40を合わせてLED照明装置50と呼ぶこととする。
【0028】
<設定端末(タブレット)・送信モジュール>
ユーザーはタッチパネルディスプレイ11で設定調光率yを設定し、設定調光率yは第1演算装置12で修正調光率y=ay+b(ただしy=0%のときy=0%)に変換される。一例としてa=0.96、b=0.04であり、この時のyとyの関係を図2に示す。この場合は、bという「オフセット」を加えた信号をベースにした信号となる。送信器13は修正調光率yをデジタル信号として無線送信する。無線送信の方式は特に限定されないが、例えばIEEE802.15.4やIEEE802.15.1での送信が好ましく、中継器等を介して伝送してもよい。送信器13から中継器まではIEEE802.11xとし、中継器から受信モジュール20まではIEEE802.15.4やIEEE802.15.1など別方式で伝送してもよい。なお、送信器13を用いず有線で電源に信号を送ってもよい。また、タブレットでなくPC(パソコン)やスマートホンに同じ動作をさせてもよく、タブレット、PC、スマートホン等を総称して「設定端末」と呼ぶこととする。
【0029】
<受信モジュール・電源>
受信モジュール20の受信器21で受信された修正調光率yのデジタル信号は、第2演算装置22で修正調光率yのPWM信号に変換される。これは、例えば周波数1kHz、デューティyのパルスである。
【0030】
電源30内の第3演算装置31において、修正調光率yは「y3=(y―b)/a」の式により復元調光率y3に復元される。この関係を図3に示す。復元調光率y3は設定調光率yと数式上は同じになるが、伝送に伴うノイズの影響を受ける場合があるため、設定調光率と同一又は類似の値になる。
【0031】
<光源部>
電源30の駆動回路32は、配線39を通じて、接続されている光源部40に対し、復元調光率yに対応する駆動出力、例えばデューティyのPWM駆動電流を供給する。複数のLED素子42は、プリント基板41に直列に接続され、光源部40を構成している。
【0032】
受信モジュール20、電源30と光源部40からなるLED照明装置50の断面図を図4に示す。収容部46と一体化された反射板45が天井49に取付けられる。取付部材43の下側にプリント基板41が設置され、プリント基板上にLED素子42が実装されるとともに、取付部材43の両端にカバー部材44が取り付けられている。取付部材43の上側に電源30が設置され、電源30に受信モジュール20が接続されている。
【0033】
<利点>
本発明により、調光率の伝送精度向上を図ることができる。この説明のため、本発明の「タブレットでの修正」「電源での復元」を行わずに調光率に対応したPWM信号による制御を行う場合を考える。PWM信号は、パルスが瞬間的に立ち上がり、一定時間の後、瞬間的に立ち下がる場合には正確なパルス幅を伝送できるが、実際にはパルスの立ち上がり・立ち下がりに「なまり」が生じるため、パルス幅がこの「なまり」に対して無視できないほど狭くなると、パルスのどの高さの幅をパルス幅とするかで伝送データに不正確性が生じる。この信号が例えば調光率2%であって、デューティ±1%に相当する不正確性が生じると、従来の方式では調光率の変動が1%から3%となり、最小最大の値が3倍ばらつくことになる。従って1個の照明器具の明るさが時間的に3倍変動したり、多数の照明器具の明るさが3倍変わることになる。
【0034】
一方、本発明の方式では、設定調光率2%が修正調光率6%に修正されて伝送されるため、そこでデューティ±1%に相当する不正確性があったとしても、修正調光率が5%から7%になる。これより修正調光率の変動が7÷5=1.4倍に減少する。
【0035】
なお、上述の例では、設定調光率と修正調光率の差は高々4%であり、大きな差がない式を採用している。このような場合、4%以下の調光ができないという点を除けば、通常のPWM調光と互換性がある、つまり電源30は通常のPWM調光信号を入力可能な電源としても使用することができるというメリットがある。
【0036】
なお、受信後の修正調光率はPWM信号として第3演算装置に入力されるとして説明しているが、単純なアナログ電圧信号など他の形式であってもよい。第3演算装置から出力される復元調光率としてはPWM信号として説明しているが、単純なアナログ電圧信号など他の形式であってもよい。
【0037】
<好ましい設定調光率、修正調光率、復元調光率の関係>
修正調光率は、設定調光率が小さい領域、例えば設定調光率が0%より大きく10%以下の場合において、設定調光率より大きいことが好ましい。これにより設定調光率が小さい場合にも精度良く光源部の調光が可能となる。
【0038】
修正調光率は、設定調光率との差があまり大きくないことが好ましく、修正調光率と設定調光率の差(y-y)の絶対値が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。このように差が小さい場合、復元調光率を生成する機能のない電源を動作させた場合であっても、一応の調光制御が可能となる。
【0039】
修正調光率は、設定調光率に係数を掛け、オフセットを加えた関数で表されるもの、つまり「y=ay+b」の形式で表されることが好ましい。このとき、a、bの値は任意であり、例えばa=0.85、b=0.15であってもよい。
【0040】
修正調光率は、特に設定調光率がゼロの場合とゼロでない場合(例えば1%)で明確な差、例えば不連続な差があることが好ましい。それにより、復元調光率で調光率ゼロによる消灯を確実に行うことができる。上述の設定調光率yと修正調光率yの式の例においては、y=0ではy=0、y=0.01ではy≒0.05と、明確な差をつけている。
【0041】
設定調光率と修正調光率の式は1つの式でなく、複数の区間について別の式で表してもよい。例として、「y≦10%のときy=aL+bL1、>10%のときy=aH+bH」などであってもよい。
【0042】
設定調光率と修正調光率の式は線形に限られず、2次関数・多項式その他任意の関数であってもよい。設定調光率より修正調光率の導出を行う演算は、入力値に対してメモリーされたテーブルを参照して出力値を算出する方法としてもよい。
【0043】
<バリエーション1>
無線で伝送される調光率は修正調光率yでなく設定調光率yのままとし、受信モジュール側の第2演算装置22で「修正調光率y」を生成して電源30に伝えてもよい。これは、図5のように、ハードウエアの構成は図1と同じだが、設定調光率から修正調光率への演算を「演算装置12」でなく「演算装置22」で行うように、演算装置12及び演算装置22の演算をソフトウエア的に変えるだけで実現できる。
【0044】
<バリエーション2>
設定端末10から電源30への調光信号の伝送は無線に限らず、有線であってもよい。この構成を図6に示す。第1演算装置12より出力された修正調光率の信号は、インターフェース14によってPWM信号の形式になり、送信端子15に接続されたケーブル18で伝送され、電源30の受信端子19で受信され、第3演算装置31に入力する。
【0045】
<その他のバリエーション>
光源部に供給される駆動出力は、光源部40を復元調光率に応じた明るさで点灯できる駆動出力であれば、上述のデューティyのPWM駆動電流に限られない。例えば、駆動出力を復元調光率に対応した定電流としてもよく、その場合フリッカ(ちらつき)や電磁ノイズの影響を低減できる。
【0046】
また、駆動出力として、PWMとPWM以外の駆動を組み合わせても良く、例えば復元調光率の低い領域では振幅を変化させてもよい。
【0047】
<実施形態2>
<照明制御システム>
本実施形態に係る照明制御システムは、無線による調光・調色信号の伝送が可能な照明制御システムである。これは、構成図である図7に示すように、設定端末であるタブレット60、受信モジュール70、電源80、配線89、光源部90を備える。設定端末60は設定部であるタッチパネルディスプレイ61、第1演算装置62、及び送信器63を内蔵し、受信モジュール70は受信器71、第2演算装置72を内蔵し、電源80は第3演算装置81、駆動回路82を備え、光源部90はプリント基板91に実装された複数の発光素子である高色温度LED素子92c、低色温度LED素子92wを備える。受信モジュール70はカード型をしており、その接点が電源80の接続部に接続され、接点からの信号が第3演算装置81に伝えられる。
【0048】
なお、受信モジュール70、電源80、配線89、光源部90を合わせてLED照明装置100と呼ぶこととする。
【0049】
<設定端末・送信モジュール>
ユーザーは図8に示すタッチパネルディスプレイ61の設定画面で設定全調光率D(0~1)及び設定色温度T(上記例では6000K~2500K)を設定する。設定端末60の第1演算装置62は、設定全調光率D及び設定色温度T(あるいはTに対応する設定色温度係数C)より、設定調光率(設定高色温度調光率y1c及び設定低色温度調光率y1w)を以下の様に演算する。
【0050】
設定側高色温度(この場合6000K)をTac、設定側低色温度(この場合2500K)をTaw、設定全調光率Dを0~1、設定色温度係数Cを0~1(Tacのとき1、Tawのとき0)とすると、設定色温度Tは、
=Cac+(1-C)Taw
つまり設定色温度係数Cは、
=(T-Taw)/(Tac-Taw
となり、設定調光率(y1c、y1w)は、
1c=D、y1w=D(1-C
となる。
【0051】
例えば設定全調光率D=75%、設定色温度T=5000Kの場合、設定調光率(y1c、y1w)は、それぞれ54%、21%となる。
【0052】
その上で、設定調光率(y1c、y1w)はそれぞれ第1演算装置62で修正調光率(修正高色温度調光率y2c=a1c+b(ただしy1c=0%のときy2c=0%)、修正低色温度調光率y2w=a1w+b(ただしy1w=0%のときy2w=0%))へと変換される。一例としてa=a=0.96、b=b=0.04である。送信モジュールは修正調光率(y2c、y2w)をデジタル信号として無線送信する。
【0053】
なお、修正調光率(y2c、y2w)は設定全調光率D、設定色温度係数Cから以下の様に直接演算することができる。
【0054】
2c=a+b(ただしD=0%又はC=0%のときy2c=0%)
2w=a(1-C)+b(ただしD=0%又はC=100%のときy2w=0%)
また、タッチパネルディスプレイ61の設定画面で、設定調光率(y1c、y1w)が設定できるようにしてもよい。
【0055】
<受信モジュール・電源>
受信モジュール70の受信器71で受信されたデジタル信号である修正調光率(y2c、y2w)は、受信モジュール20でデジタル信号からPWM信号に変換される。これは、例えば周波数1kHz、デューティがそれぞれy2c、y2wのパルスであるが、これに限られ図、例えば周波数20kHzであってもよい。
【0056】
電源80内の第3演算装置81において、修正調光率(y2c、y2w)より復元調光率(復元高色温度調光率y3c=(y2c―b)/a、復元低色温度調光率y3w=(y2w―b)/a)が演算される。復元調光率(y3c、y3w)はそれぞれ設定調光率(y1C、1w)と数式上は同じになるが、パルス幅の立ち上がり・立ち下がりなどによるばらつきの影響を受けた後の値である。駆動回路82はy3c、y3wに応じた駆動電流を配線89を通じてそれぞれ光源部90の高色温度LED素子92c、低色温度LED素子92wに出力する。
【0057】
代表的な設定全調光率D、設定色温度Tの値に対する復元調光率(y3c、y3w)の表を図9に示す。
【0058】
復元調光率(y3c、y3w)のPWM信号の波形に関し、その時間的関係は特に限定されなくてもよいが、本実施形態においては、特に高色温度LED素子92cの駆動電流と低色温度LED素子92wの駆動電流が同時にON状態にならないようにしている。これは、高色温度LED用と低色温度LED用の2つの電源を用いず、1つの電源だけを時間的に切り替えて用いるための工夫である。
【0059】
一例として、図9の表において「D=75%、T=5000K」で設定し、1デューティの期間がTの場合を考える。このとき、表の矢印の行のセルを見て、復元高色温度調光率y3c(高色温度LED用デューティ)が54%、復元低色温度調光率y3w(低色温度用デューティ)が21%となる。高色温度LED素子92cのPWM駆動電流がONとなる1つのパルスP、低色温度LED素子92wのPWM駆動電流がONとなる1つのパルスPを考える時、パルスPが立ち上がるタイミングを、D=100%(フルパワー)の時のパルスPCが終わる「0.71T」とする。すると、横軸に1デューティの時間(%)、縦軸に出力を取った場合のパルスPとパルスPの時間的関係を示す図10において、パルスPは「0~0.54T」、パルスPは「0.71T~0.92T」(注:0.71+0.21=0.92)となり、パルスPとパルスPが同時にONになることはない。従って1つの電源を用いて、あるタイミングでは高色温度LED素子92cのみ、別のタイミングでは低色温度LED素子92wのみ駆動することができ、1つの電源を時間的に切り替えることで調光調色を実現できる。なお、このようにタイミングを調整せず、パルスPとパルスPを独立してLEDに供給することもできるが、その場合はパルスPとパルスPが同時に生じるタイミングが発生するため、パルスP用とパルスP用の2つの電源が必要となる。
【0060】
<好ましい設定調光率、修正調光率、復元調光率の関係>
修正調光率(y2c、y2w)の少なくとも1つは、対応する設定調光率(y1c、y1w)が小さい領域、例えば設定調光率(y1c、y1w)が10%以下の場合において値が設定調光率(y1c、y1w)より大きい関数によって修正されることが好ましい。
【0061】
修正調光率(y2c、y2w)の少なくとも1つは、対応する設定調光率(y1c、y1w)との差があまり大きくないことが好ましく、その差(y2c-y1c又はy2w-y1w)の絶対値が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。このように差が小さい場合、復元調光率(y3c、y3w)を生成する機能のない電源を動作させた場合であっても、一応の調光制御が可能となる。
【0062】
修正調光率(y2c、y2w)の少なくとも1つは、対応する設定調光率(y1c、y1w)に係数を掛け、オフセットを加えた関数で表されるもの、つまり「y2c=a1c+b又はy2w=a1w+b」の形式で表されることが好ましい。このとき、a、bの値は任意であり、例えばa=0.85、b=0.15であってもよい。
【0063】
修正調光率(y2c、y2w)の少なくとも1つは、対応する設定調光率(y1c、y1w)がゼロの場合とゼロでない場合(例えば1%)で明確な差、例えば不連続な差があることが好ましい。それにより、対応する復元調光率(y3c、y3w)で調光率ゼロによる消灯を確実に行うことができる。上述の設定調光率(y1c、y1w)と修正調光率(y2c、y2w)の式において、y1c=0ではy2c=0、y2c=0.01ではy2c≒0.05と、明確な差をつけることが好ましい。
【0064】
設定調光率(y1c、y1w)と修正調光率(y2c、y2w)の式は1つの式でなく、複数の区間について別の式で表してもよい。例として、「y1c≦10%のときy2c=acL+bcL1、>10%のときy2c=acH+bcH」などであってもよい。
【0065】
設定調光率(y1c、y1w)と修正調光率(y2c、y2w)の式は線形に限られず、2次関数・多項式その他任意の関数であってもよい。調光率の修正を行う演算は、入力値に対してメモリーされたテーブルを参照して出力値を算出する方法としてもよい。
【0066】
<実施形態3>
調色可能な照明器具の色温度範囲は規格化されておらず、さまざまなものがあり、例えば、高色温度LED素子が6500K、低色温度LED素子が2200Kで構成されているものがある。その場合には、設定端末の設定を「高色温度LED=6500K、低色温度LED=2200K」と合わせればよい。しかし、設定端末で多数の照明器具を同時に制御するなどの場合に、各照明器具に合わせて色温度制御範囲を変更するのは煩雑となる。そこで、本実施形態では、実際の照明器具の色温度制御範囲にかかわらず、設定端末で例えば「6000K-2500K」という色温度範囲として調色制御を行い、照明器具側で実際の色温度で照明するための駆動信号に変換して駆動する。
【0067】
<照明制御システム>
具体的な照明制御システムは、構成図である図11に示すように、設定端末であるタブレット110、受信モジュール120、電源130、配線139、光源部140を備える。設定端末110は設定部であるタッチパネルディスプレイ111、第1演算装置112、及び送信器113を内蔵し、受信モジュール120は受信器121、第2演算装置122を内蔵し、電源130は第3演算装置131、駆動回路132、スイッチ136を備え、光源部140はプリント基板141に実装された複数の発光素子である高色温度LED素子142c(色温度Tbc)、低色温度142w(色温度Tbw)を備える。受信モジュール120はカード型をしており、その接点が電源130の接続部に接続され、接点からの信号が第3演算装置131に伝えられる。
【0068】
なお、受信モジュール120、電源130、配線139、光源部140を合わせてLED照明装置150と呼ぶこととする。
【0069】
<設定端末・送信モジュール>
設定端末110は、図8に示したタッチパネルディスプレイ61と同様の表示を行うタッチパネルディスプレイ111を備え、設定全調光率Dとして0~1、設定色温度Tとして6000K~2500Kの範囲内の設定を行うことができる。
【0070】
第1演算装置112は設定全調光率Dと設定色温度Tより、仮想設定調光率(仮想設定高色温度調光率yac、仮想設定低色温度設定調光率yaw)を以下のように算出する。設定側高色温度をTac(この場合6000K)設定側低色温度をTaw(この場合2500K)、設定全調光率Dを0~1、設定色温度係数Cを0~1(Tacのとき1、Tawのとき0)とする。設定色温度Tと設定色温度係数Cの関係を、
=Cac+(1-C)Taw
とすると、
=(T-Taw)/(Tac-Taw
となる。これより設定全調光率D、設定色温度Tによって定まる仮想設定調光率(yac、yaw)はそれぞれ
ac=D、yaw=D(1-C
となる。
【0071】
送信器113は仮想設定調光率(yac、yaw)をデジタル信号として送信する。
【0072】
<受信モジュール・電源>
受信モジュール120の受信器121は、デジタル信号である仮想設定調光率(yac、yaw)を受信し、第2演算装置122はそれぞれデューティyac、yawのPWM信号に変換する。
【0073】
電源130内の第3演算装置131において、スイッチ136がOFFの時は、仮想設定調光率(yac、yaw)に応じたPWM信号がそのまま出力され、駆動回路132は、同じ波形の駆動電流を光源部140の高色温度LED素子142c、低色温度LED素子142wに対してそれぞれ出力する。
【0074】
ここで、光源部140を構成する高色温度LED素子142cの色温度Tbcが6500K、低色温度LED素子142wの色温度Tbwが2200Kの場合を考えると、設定色温度Tを得るために、工夫が必要となる。スイッチ136がONの時、第3演算装置131は、以下の様に駆動調光率(駆動高色温度調光率ybc、駆動低色温度調光率ybw)を演算する。
【0075】
色温度Tbcの高色温度LED素子142cと色温度Tbwの低色温度LED素子142wで構成される光源部140の駆動色温度Tを設定色温度Tにするためには、T=T、つまり
bc+(1-C)Tbw=Cac+(1-C)Taw
より
=C(Tac-Taw)/(Tbc-Tbw)+(Taw-Tbw)/(Tbc-Tbw
ac-Taw=ΔTa、bc-Tbw=ΔTとおいて=ybc/(ybc+ybw)より、
bc=yac(Tac-Tbw)/ΔT+yaw(Taw-Tbw)/ΔT
bw=yac(Tbc-Tac)/ΔT+yaw(Tbc-Taw)/ΔT
となり、本実施形態で実際に用いられている値、Tac=6000、Taw=2500、Tbc=6500、Tbw=2200を代入すると、
bc=0.884yac+0.070yaw
bw=0.116yac+0.930yaw
となる。駆動回路132は駆動調光率(ybc、ybw)に対応する駆動出力を配線139を通じて光源140に出力する。
【0076】
このように、駆動調光率(ybc、ybw)のそれぞれが、仮想設定調光率(yac、yaw)の両者を用いて演算される。言い換えると、仮想設定調光率(yac、yaw)を行列演算して駆動調光率(ybc、ybw)を導出する形式になっている。図12に、設定色温度Tが6000Kから2500K、設定全調光率1の場合の駆動調光率の表を示す。
【0077】
<バリエーション>
上述の例では、一つの設定端末110で1つのLED照明装置150を制御する場合であったが、実際には一つの設定端末で、高色温度LED素子、低色温度LED素子の色温度が異なる複数のLED照明装置を制御する場合に、本方式であれば各LED照明装置で用いるLEDの色温度の違いにかかわらず同じ色温度制御ができるため特に適している。
【0078】
上述の例ではTbc>Tac、Tbw<Tawなので、設定された色温度範囲の色温度Tを光源部140ですべて再現することが出来たが、Tbc<Tac、Tbw>Tawであってもよい。例えば、図11における光源部140を140Vに置き換え、高色温度LED素子142cを142Vc(色温度Tbc=5500K)、低色温度LED素子142wを142Vw(色温度Tbw=3000K)に置き換えた場合とする。
【0079】
先ほどの駆動調光率(ybc、ybw)と仮想設定調光率(yac、yaw)の関係は、上記値を入れると、
bc=1.2yac-0.2yaw
bw=-0.2yaw+1.2yac
となるが、駆動調光率(ybc、ybw)は0以上1以下の値しかとることが出来ない。従って、設定色温度係数Cと光源部140Vの駆動色温度Tの関係は図13のようになる。
【0080】
この場合T<3000K、T>5500Kは設定範囲外となる。そこで、例えば光源部140から設定端末110に色温度設定範囲の情報を送り、設定端末110はタッチパネルディスプレイ111において設定範囲外の色温度が設定された場合に「この範囲の色温度は設定できません」「この範囲の色温度が設定できない照明器具があります」などと警告表示を行うようにしてもよい。
【0081】
<実施形態4>
実施形態4は、実施形態1における「修正調光率」の考えを実施形態3と組み合わせたものである。
【0082】
<照明制御システム>
照明制御システムは、構成図である図14に示すように、設定端末であるタブレット160、受信モジュール170、電源180、配線189、光源部190を備える。設定端末160は設定部であるタッチパネルディスプレイ161、第1演算装置162、及び送信器163を内蔵し、受信モジュール170は受信器171、第2演算装置172を内蔵し、電源180は第3演算装置181、スイッチ186、駆動回路182を備え、光源部190はプリント基板191に実装された複数の発光素子である高色温度LED素子192c(色温度Tbc)、低色温度LED素子192w(色温度Tbw)を備える。受信モジュール170はカード型をしており、その接点が電源180の接続部に接続され、接点からの信号が第3演算装置181に伝えられる。
【0083】
なお、受信モジュール170、電源180、配線189、光源部190を合わせてLED照明装置200と呼ぶこととする。
【0084】
<設定端末・送信モジュール>
設定端末160は、図8に示したタッチパネルディスプレイ61と同様の表示を行うタッチパネルディスプレイ111を備え、設定全調光率Dとして0~1、設定色温度TとしてTac(6000K)~Taw(2500K)の設定を行うことができる。
【0085】
第1演算装置162は設定全調光率Dと設定色温度係数C=T/(Tac-Taw)より仮想設定調光率(yac、yaw)を
ac=D、yaw=D(1-C
と演算する。
【0086】
第1演算装置162はさらに、仮想設定調光率(yac、yaw)をそれぞれ仮想修正調光率(仮想修正高色温度調光率y2c=aac+b(ただしyac=0%のときy2c=0%)、仮想修正低色温度調光率y2w=aaw+b(ただしyaw=0%のときy2w=0%)へと変換する。一例としてa=a=0.96、b=b=0.04である。送信モジュールは仮想修正調光率(y2c、y2w)をデジタル信号として無線送信する。
【0087】
<受信モジュール・電源>
受信モジュール170の受信器171で受信されたデジタル信号である仮想修正調光率(y2c、y2w)は、受信モジュール20でデジタル信号からPWM信号に変換される。これは、例えば周波数1kHz、デューティがそれぞれy2c、y2wのパルスである。
【0088】
電源180内の第3演算装置181において、仮想修正調光率(y2c、y2w)は仮想復元調光率(仮想復元高色温度調光率y3c=(y2c―b)/a、仮想復元低色温度調光率y3w=(y2w―b)/a)に復元される。
【0089】
電源180内のスイッチ186がOFFの場合は、第3演算装置181は設定色温度と同じ色温度のLEDを用いた場合の駆動調光率として、上述の仮想復元調光率(y3c、y3w)を出力する。図15に、設定色温度Tが6000Kから2500K、設定全調光率1の場合の、仮想修正調光率・仮想復元調光率の表を示す。
【0090】
電源180内のスイッチ186をONとすることにより、第3演算装置181は光源部駆動色温度を合わせるための信号の変換を行う。
【0091】
調光率の修正がない場合には、色温度が設定と異なるLEDを用いる場合の駆動調光率(ybc、ybw)は、
bc=yac(Tac-Tbw)/ΔT+yaw(Taw-Tbw)/ΔT
bw=yac(Tbc-Tac)/ΔT+yaw(Tbc-Taw)/ΔT
であった。yac、ybcが仮想修正調光率(y2c、y2w)の場合の駆動調光率(ybc、ybw)は、
bc=(y2c/a)(Tac-Tbw)/ΔT+(y2w/a)(Taw-Tbw)/ΔT+((-b/a)(Tac-Tbw)/ΔT+(-b/a)(Taw-Tbw)/ΔT
bw=(y2c/a)(Tbc-Tac)/ΔT+(y2w/a)(Tbc-Taw)/ΔT+((-b/a)(Tbc-Tac)/ΔT+(-b/a)(Tbc-Taw)/ΔT
となる。
【0092】
本実施形態で実際に用いられている値、Tac=6000、Taw=2500、Tbc=6500、Tbw=2200、a=a=0.96、b=b=0.04を代入すると、
bc=0.920y2c+0.073y2w-0.040
bw=0.121y2c+0.969y2w-0.044
ただし、y2c=0のときは、上述の式でy2c=0.04として計算し、y2w=0の時は、上述の式でy2w=0.04として計算する。
【0093】
駆動回路182は駆動調光率(ybc、ybw)に対応する駆動出力を配線189を通じて光源190に出力する。
【0094】
なお、ここで仮想修正調光率(y2c、y2w)から駆動調光率(ybc、ybw)を直接算出する式を示したが、仮想修正調光率(y2c、y2w)から仮想復元調光率(y3c、y3w)を算出した上で、駆動調光率(ybc、ybw)を算出してもよい
図16に、設定色温度Tが6000Kから2500K、設定全調光率1の場合の、設定色温度Tに対する仮想修正調光率(y2c、y2w)と駆動調光率(ybc、ybw)の表を示す。
【0095】
以上のようにして、制御側と光源側で調色可能範囲が異なる場合に調色制御を行う場合において、調光率0%付近での誤差を減少させるための修正を行った仮想修正調光率より、設定色温度と異なる色温度のLEDを用いた光源部を駆動するための駆動調光率を算出することができる。
【0096】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0097】
10、60、110、160 タブレット(設定端末)
11、61、111、161 タッチパネルディスプレイ(設定部)
12、62、112、162 第1演算装置
13、63、113、163 送信器
14 インターフェース
15 送信端子
18 ケーブル
19 受信端子
20、70、120、170 受信モジュール
21、71、121、171 受信器
22、72、122、172 第2演算装置
30、80、130、180 電源
31、81、131、181 第3演算装置
32、82、132、182 駆動回路
39、89、139、189 配線
136、186 スイッチ
40、90、140、140V、190 光源部
41、91、141、191 プリント基板
42 LED素子
43 取付部材
44 カバー部材
45 反射板
46 収容部
49 天井
92c、142c、142Vc、192c 高色温度LED素子
92w、142w、142Vw、192w 低色温度LED素子
50、100、150、200 LED照明装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16