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特許6991946車両用フロアマットおよび車両用フロアマットの製造方法
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  • 特許-車両用フロアマットおよび車両用フロアマットの製造方法 図1
  • 特許-車両用フロアマットおよび車両用フロアマットの製造方法 図2
  • 特許-車両用フロアマットおよび車両用フロアマットの製造方法 図3
  • 特許-車両用フロアマットおよび車両用フロアマットの製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】車両用フロアマットおよび車両用フロアマットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/04 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
B60N3/04 Z
B60N3/04 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018149195
(22)【出願日】2018-08-08
(65)【公開番号】P2020023275
(43)【公開日】2020-02-13
【審査請求日】2020-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100207653
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡
(72)【発明者】
【氏名】清水 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】岩下 和樹
(72)【発明者】
【氏名】森 優一
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-087552(JP,U)
【文献】実開昭60-137634(JP,U)
【文献】特開平10-119625(JP,A)
【文献】実開平02-007134(JP,U)
【文献】特公昭59-015073(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の床部に敷設される車両用フロアマットであって、
前記車両用フロアマットは、複数のシート状部材を積層し、接着剤により接着して一体化したものであり、
前記床部の凹凸部の形状に対応して折り曲げる折曲部を有し、
最下層の前記シート状部材である最下層シート部の前記折曲部にのみ熱可塑性樹脂が含浸されていることを特徴とする車両用フロアマット。
【請求項2】
前記凹凸部に当接する凹凸敷設部を有し、
前記折曲部の折り曲げ形状が円弧状である場合に、前記凹凸敷設部にも前記熱可塑性樹脂が含浸されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用フロアマット。
【請求項3】
車両内の床部に敷設される車両用フロアマットであって、
前記車両用フロアマットは、複数のシート状部材を積層し、接着剤により接着して一体化したものであり、
前記床部の凹凸部の形状に対応して折り曲げる折曲部と、前記凹凸部に当接する凹凸敷設部を有し、
最下層の前記シート状部材である最下層シート部の前記折曲部と前記凹凸敷設部にのみ熱可塑性樹脂が含浸されていることを特徴とする車両用フロアマット。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂の融点は、前記接着剤が剥離する温度よりも低いことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の車両用フロアマット。
【請求項5】
前記最下層シート部が不織布により形成されていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の車両用フロアマット。
【請求項6】
前記複数のシート状部材を接着する工程と、
前記最下層シート部に前記熱可塑性樹脂を含浸させる工程と、
前記車両用フロアマットを折り曲げた状態で前記熱可塑性樹脂を加熱する工程と、
前記車両用フロアマットを折り曲げた状態で加熱した前記熱可塑性樹脂を冷却する工程と、を有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の車両用フロアマットの製造方法。
【請求項7】
車両内の床部に敷設される車両用フロアマットの製造方法であって、
複数のシート状部材を積層し、接着剤により接着して一体化する工程と、
最下層の前記シート状部材である最下層シート部であって、前記床部の凹凸部の形状に対応して折り曲げる折曲部にのみ熱可塑性樹脂を含浸させる工程と、
前記車両用フロアマットを折り曲げた状態で前記熱可塑性樹脂を加熱する工程と、
前記車両用フロアマットを折り曲げた状態で加熱した前記熱可塑性樹脂を冷却する工程と、を有することを特徴とする車両用フロアマットの製造方法。
【請求項8】
車両内の床部に敷設される車両用フロアマットの製造方法であって、
複数のシート状部材を積層し、接着剤により接着して一体化する工程と、
最下層の前記シート状部材である最下層シート部であって、前記床部の凹凸部の形状に対応して折り曲げる折曲部と前記凹凸部に当接する凹凸敷設部にのみ熱可塑性樹脂を含浸させる工程と、
前記車両用フロアマットを折り曲げた状態で前記熱可塑性樹脂を加熱する工程と、
前記車両用フロアマットを折り曲げた状態で加熱した前記熱可塑性樹脂を冷却する工程と、を有することを特徴とする車両用フロアマットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内の床部に敷設される車両用フロアマットおよび当該車両用フロアマットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員の靴等に付着した汚れが車両内の床部に付着することを防止するため、通常床部にはフロアマットが敷設される。いわゆる純正品のフロアマットは、車種毎に車両の床部形状に合わせて製造されているため、床部に敷設した際にはフロアの形状に過不足無く適合する。
【0003】
一方、特定の車種に適合したものではない汎用性を有するフロアマットも一般的に市販されている。このような汎用フロアマットは、車両の床部に敷設した際に、床部の凹凸等の形状に一部適合しない場合がある。例えば、フロアマットの端部が位置する部分のフロアに凸部があるような場合には、フロアマットが折り曲げられてその凸部に乗り上げることになるが、フロアマット自体の復元力により、フロアマットと床部との間に隙間が生じたり、フロアマットが捲れ上がったりすることがある。
【0004】
そのような場合に床部の形状に適応するため、フロアマットに熱可塑性樹脂フィルムを用い、フロアマットを加熱して冷間圧縮プレスにより所望形状に成形したトランク内装材が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開平3-20143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のトランク内装材は、折り曲げない部分も含めてマット状物の両面全体に熱可塑性樹脂フィルムを積層する必要があった。そのため、使用する熱可塑性樹脂フィルムに無駄が生じ、製造コストの上昇を招いていた。
【0007】
そこで、本発明は以上の問題点を解決し、折り曲げた状態を維持するために必要な部分にのみ熱可塑性樹脂を配した車両用フロアマットおよび当該車両用フロアマットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車両用フロアマットは、車両内の床部に敷設される車両用フロアマットであって、前記車両用フロアマットは、複数のシート状部材を積層し、接着剤により接着して一体化したものであり、前記床部の凹凸部の形状に対応して折り曲げる折曲部を有し、最下層の前記シート状部材である最下層シート部の前記折曲部にのみ熱可塑性樹脂が含浸されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る車両用フロアマットは、前記凹凸部に当接する凹凸敷設部を有し、前記折曲部の折り曲げ形状が円弧状である場合に、前記凹凸敷設部にも前記熱可塑性樹脂が含浸されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る車両用フロアマットは、車両内の床部に敷設される車両用フロアマットであって、前記車両用フロアマットは、複数のシート状部材を積層し、接着剤により接着して一体化したものであり、前記床部の凹凸部の形状に対応して折り曲げる折曲部と、前記凹凸部に当接する凹凸敷設部を有し、最下層の前記シート状部材である最下層シート部の前記折曲部と前記凹凸敷設部にのみ熱可塑性樹脂が含浸されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る車両用フロアマットは、前記熱可塑性樹脂の融点は、前記接着剤が剥離する温度よりも低いことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る車両用フロアマットは、前記最下層シート部が不織布により形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る車両用フロアマットの製造方法は、前記複数のシート状部材を接着する工程と、前記最下層シート部に前記熱可塑性樹脂を含浸させる工程と、前記車両用フロアマットを折り曲げた状態で前記熱可塑性樹脂を加熱する工程と、前記車両用フロアマットを折り曲げた状態で加熱した前記熱可塑性樹脂を冷却する工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係る車両用フロアマットの製造方法は、車両内の床部に敷設される車両用フロアマットの製造方法であって、複数のシート状部材を積層し、接着剤により接着して一体化する工程と、最下層の前記シート状部材である最下層シート部であって、前記床部の凹凸部の形状に対応して折り曲げる折曲部にのみ熱可塑性樹脂を含浸させる工程と、前記車両用フロアマットを折り曲げた状態で前記熱可塑性樹脂を加熱する工程と、前記車両用フロアマットを折り曲げた状態で加熱した前記熱可塑性樹脂を冷却する工程と、を有することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る車両用フロアマットの製造方法は、車両内の床部に敷設される車両用フロアマットの製造方法であって、複数のシート状部材を積層し、接着剤により接着して一体化する工程と、最下層の前記シート状部材である最下層シート部であって、前記床部の凹凸部の形状に対応して折り曲げる折曲部と前記凹凸部に当接する凹凸敷設部にのみ熱可塑性樹脂を含浸させる工程と、前記車両用フロアマットを折り曲げた状態で前記熱可塑性樹脂を加熱する工程と、前記車両用フロアマットを折り曲げた状態で加熱した前記熱可塑性樹脂を冷却する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る車両用フロアマットによれば、車両内の前記床部の凹凸部の形状に適合して折り曲げ状態で敷設することができる。また、本発明に係る車両用フロアマットの製造方法によれば、車両内の前記床部の凹凸部の形状に適合して折り曲げ状態で敷設することができる車両用フロアマットを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例1を示す車両内の床部に敷設した車両用フロアマットの斜視図である。
図2】同、車両用フロアマットを取り外した状態の車両内を示す斜視図である。
図3】同、車両用フロアマットの一部の縦断面図である。
図4】同、車両用フロアマットの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について、添付の図1図4を参照して説明する。以下に説明する実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0019】
図1図4は本発明の実施例1を示しており、図1に示すように、車両用フロアマット1は、車両2の運転席(図示せず)下方の床部3に敷設されるものである。図1および図2において、4はアクセルペダル、5はブレーキペダル、6はフットレストである。
【0020】
図3に示すように、車両用フロアマット1は、シート状部材である第一層部11と、同じくシート状部材である第二層部12と、第三層部13の3層構造を有する。第一層部11は不織布シートにより形成されており、第二層部12はポリエステルシートにより形成されており、第三層部13はポリプロピレン(PP)製又はナイロン製のパイル糸により形成されている。なお、第一層部11、第二層部12および第三層部13は、これらの部材に限らず他の素材により形成してもよい。
【0021】
最下層シート部である第一層部11は、例えば、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維から選ばれる1種若しくは2種以上を構成繊維とする不織布シートを用いることができる。
【0022】
第一層部11の上側に第二層部12が積層され、第二層部12に第三層部13であるパイル糸が植え付けられている。第一層部11と第二層部12は、接着剤14により接着されている。接着剤14は、第三層部13であるパイル糸を第二層部12に固定する効果も有する。
【0023】
接着剤14としては、有機系接着剤のうち、熱可塑性樹脂系、熱硬化性樹脂系またはエラストマー系のものを使用できる。接着剤14の形態は、ホットメルト系、エマルジョン系、ラテックス系、水系、溶液系のものが使用可能である。接着剤14は、剥離する温度が後述する熱可塑性樹脂15の融点よりも高いものを使用する。
【0024】
本実施例の車両用フロアマット1の周縁部16は、解れ防止の為にバイアステープ17によりパイピングされているが、パイピングではなくオーバーロック加工等の他の加工を施してもよい。車両用フロアマット1は、第三層部13側が表面22で、第一層部11側が裏面23である。
【0025】
図2に示すように、本実施例の車両2内の床部3は、平坦部分である平坦床部31と、平坦床部31の前側に形成された凸状の凸段部32と、平坦床部31の左後側に形成された凹状の凹段部33を有している。また、平坦床部31の左前側には、凸状のフットレスト6が配設されている。車両用フロアマット1は、平坦床部31と、凸段部32の傾斜部34と、凹段部33と、フットレスト6の足載置部35に敷設される。
【0026】
床部3に車両用フロアマット1が敷設されると、平坦床部31と凸段部32との境界B1と、平坦床部31と凹段部33との境界B2と、平坦床部31とフットレスト6との境界B3において折り曲げられる。したがって、図1および図4に示すように、本実施例の車両用フロアマット1は、3箇所の折曲部R1,R2,R3を有している。本実施例においては、凸段部32、凹段部33およびフットレスト6が本発明の凹凸部である。
【0027】
図1および図4に示すように、車両用フロアマット1は、平坦床部31に敷設される平坦敷設部18と、傾斜部34に敷設される凸敷設部19と、凹段部33に敷設される凹敷設部20と、足載置部35に敷設される凸敷設部21を有している。凸敷設部19、凹敷設部20および凸敷設部21が本発明の凹凸敷設部である。
【0028】
図4に示すように、第一層部11の折曲部R1,R2,R3には、熱可塑性樹脂15が含浸されている。熱可塑性樹脂15は、車両用フロアマット1の製造段階において、第一層部11と第二層部12を接着剤14により接着する前に第一層部11に含浸させてもよく、また、車両用フロアマット1の製造後に、車両用フロアマット1の裏面22側から第一層部11に含浸させてもよい。また、熱可塑性樹脂15を折曲部R1,R2,R3だけでなく、その周辺部S1,S2,S3にも含浸させることにより、車両用フロアマット1を折り曲げた状態で維持する効果を高めることができる。
【0029】
折曲部R2のように、折り曲げ形状が円弧状等、折り曲げ難い形状である場合には、折曲部R2と周辺部S2に加えて、凹敷設部20にも熱可塑性樹脂15を含浸させることで、車両用フロアマット1を折り曲げた状態で維持する効果を高めることができる。
【0030】
特に限定されないが、熱可塑性樹脂15としては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を用いることができるが、熱可塑性樹脂15の融点が、第一層部11、第二層部12および第三層部13を接着した接着剤14が剥離する温度よりも低いものに限られる。そのため、接着剤14と熱可塑性樹脂15の組み合わせは、接着剤14の剥離温度と熱可塑性樹脂15の融点とを考慮して選択する。
【0031】
ここで、車両用フロアマット1の製造方法について説明する。先ず、第一層部11および第二層部12を所望の形状に切断する。なお、車両用フロアマット1の形状(外形)は、第一層部11および第二層部12を床部3の形状に合わせて切断しているが、複数の車種に対応可能な汎用性を有する形状に切断してもよい。そして、第二層部12に第三層部13を植え込む(タフティング)。次に、第一層部11と第二層部12を接着剤14により接着する。次に、車両用フロアマット1の裏面22である第一層部11の折曲部R1,R2,R3、周辺部S1,S2,S3および凹敷設部20に融解し液化した熱可塑性樹脂15を含浸させる。なお、熱可塑性樹脂15を含浸させる範囲は、折曲部R1,R2,R3のみや、折曲部R1,R2,R3と周辺部S1,S2,S3や、折曲部R1,R2,R3と周辺部S2等、適宜選択することができる。次に、車両用フロアマット1を熱可塑性樹脂15が軟化または融解する温度に加熱すると共に、折曲部R1,R2,R3を床部3の凸段部32、凹段部33およびフットレスト6に適合するように折り曲げてプレスする。車両用フロアマット1の折曲部R1,R2,R3を折り曲げた状態で加熱した熱可塑性樹脂15を冷却する。これにより、熱可塑性樹脂15が固化し、折曲部R1,R2,R3が折り曲げられた状態で維持される。そのため、床部3の凸段部32、凹段部33およびフットレスト6に隙間なく当接させて車両用フロアマット1を敷設することができる。なお、本実施例では、車両用フロアマット1の折り曲げ時にプレスしたが、折り曲げた状態で熱可塑性樹脂15を加熱・冷却し、折り曲げた状態を維持できれば、プレス機等を使用したプレスを行う必要はない。
【0032】
車両用フロアマット1を凸段部32、凹段部33およびフットレスト6に対応させて敷設できるようにする他の方法として、車両用フロアマット1の表面22である第三層部13側の折曲部R1,R2,R3を加熱することで、第三層部13のみ又は第二層部12および第三層部13を一部融解又は軟化させ、折曲部R1,R2,R3のパイル糸等が収縮することで、凸段部32、凹段部33およびフットレスト6に適合するように折り曲げることができる場合もある。
【0033】
以上のように、本実施例の車両用フロアマット1は、車両2内の床部3に敷設される車両用フロアマット1であって、車両用フロアマット1は、第一層部11と第二層部12を積層し、接着剤14により接着して一体化したものであり、床部3の凸段部32、凹段部33およびフットレスト6の形状に対応して折り曲げる折曲部R1,R2,R3を有し、最下層のシート状部材である第一層部11の折曲部R1,R2,R3に熱可塑性樹脂15が含浸されていることにより、車両2内の床部3の形状に適合して折曲部R1,R2,R3を折り曲げた状態で維持させ、車両用フロアマット1を床部3に綺麗に当接させて敷設することができる。
【0034】
また、本実施例の車両用フロアマット1は、床部3の凸段部32、凹段部33およびフットレスト6に当接する凸敷設部19、凹敷設部20および凸敷設部21を有し、第一層部11の凸敷設部19、凹敷設部20および凸敷設部21に熱可塑性樹脂15が含浸されていることにより、より確実に凸段部32、凹段部33およびフットレスト6に適合するように車両用フロアマット1を折り曲げた状態で維持することができる。
【0035】
また、本実施例の車両用フロアマット1は、熱可塑性樹脂15の融点は、接着剤14が剥離する温度よりも低いことにより、熱可塑性樹脂15を軟化又は融解する温度まで車両用フロアマット1を加熱した場合であっても、第一層部11、第二層部12および第三層部13を接着した接着剤14が剥離することを防止することができる。
【0036】
また、本実施例の車両用フロアマット1は、第一層部11が不織布により形成されていることにより、熱可塑性樹脂15を容易に含浸させることができる。
【0037】
また、本実施例の車両用フロアマット1の製造方法は、第一層部11と第二層部12を接着する工程と、第一層部11に熱可塑性樹脂15を含浸させる工程と、車両用フロアマット1を折り曲げた状態で熱可塑性樹脂15を加熱する工程と、車両用フロアマット1を折り曲げた状態で加熱した熱可塑性樹脂15を冷却する工程と、を有することにより、車両2内の床部3の凸段部32、凹段部33およびフットレスト6に適合して敷設可能な車両用フロアマット1を製造することができる。
【0038】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。例えば、車両用フロアマットを構成するシート状部材の積層枚数は適宜変更可能である。また、車両用フロアマットは、助手席用、2列目シート用、3列目シート用のものであってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 車両用フロアマット
2 車両
3 床部
6 フットレスト(凹凸部)
11 第一層部(シート状部材、最下層シート部)
12 第二層部(シート状部材)
13 第三層部
14 接着剤
15 熱可塑性樹脂
19 凸敷設部(凹凸敷設部)
20 凹敷設部(凹凸敷設部)
21 凸敷設部(凹凸敷設部)
32 凸段部(凹凸部)
33 凹段部(凹凸部)
R1 折曲部
R2 折曲部
R3 折曲部
図1
図2
図3
図4