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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
   F02C 1/10 20060101AFI20220105BHJP
   F01D 15/10 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
F02C1/10
F01D15/10 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018506117
(86)(22)【出願日】2016-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-09-13
(86)【国際出願番号】 GB2016052399
(87)【国際公開番号】W WO2017021736
(87)【国際公開日】2017-02-09
【審査請求日】2019-05-10
(31)【優先権主張番号】1513936.3
(32)【優先日】2015-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518035802
【氏名又は名称】ツリー アソシエイツ エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】特許業務法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キリングベック、 ベルナルド
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/176257(WO,A1)
【文献】米国特許第05392606(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/10
F01D 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサと、
前記コンプレッサの入口と出口に接続された閉じた流路であって前記コンプレッサにより圧縮されたガスが内部を移動可能な閉じた流路と、
転軸に接続された少なくとも1組のタービンブレードを備えて前記コンプレッサの出口と前記閉じた流路で直結される前記コンプレッサとは別体のタービン部と、
前記タービン部を通過した流体である前記圧縮されたガスを前記閉じた流路内で受け取り前記圧縮されたガスの温度と圧力とを低減するように構成されるとともに前記圧縮されたガスが出口から逆止弁を介して前記コンプレッサに供給されて再び圧縮される熱交換器と、
前記回転軸に接続されて生成された電気の少なくとも一部が前記コンプレッサへフィードバックされる前記コンプレッサとは別体の発電機と、
前記発電機に接続されて前記発電機から生み出される電力の前記コンプレッサへのフィードバックを制御する制御部とを備えているエンジン。
【請求項2】
前記熱交換器の出口と前記コンプレッサの入口との間に配置されて前記ガスを前記熱交換器から前記コンプレッサへの方向のみに流す逆止弁を備えている、請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記タービン部に設けられた複数組のタービンブレードが、前記回転軸に取り付いている、請求項1または請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記圧縮されたガスが、二酸化炭素もしくはアンモニアである、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のエンジン。
【請求項5】
前記熱交換器に付加したエネルギー回収手段を備え、該エネルギー回収手段が前記熱交換器から熱エネルギーを回収し、エンジンから出力される付加的なエネルギーとして供給する、請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー出力を供給するためのタービンを駆動するために循環型圧縮ガスを使用するエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンは、従来の内燃エンジンから圧縮空気、風、水力やその他の動力源により駆動されるエンジンまで、多様なエンジンがよく知られている。
【0003】
そのようなエンジンは、全て、エネルギー消費を最小化しつつエネルギー出力を供給する必要があり、また、環境に害を与え得る排気物を最小化する必要もある。
それ以上に、それらのエンジンは、多くの場合、可動部品の使用量を最少にして摩滅の少ない部品を提供することでメンテナンス要求を減らし、製品寿命を長期化させる要望があるのと同様に、簡単に出力を制御できる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高効率で、出力に関する制御性が良く、それでいて、単純でメンテナンスがしやすく、最小のメンテナンスで長い期間使用可能なエンジンを提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、コンプレッサと、前記コンプレッサの入口と出口に接続された流路であって、前記コンプレッサによって駆動される圧縮されたガスが内部を移動可能な閉じた流路と、前記コンプレッサの前記出口は使用中のエンジン出力として作動する回転軸に接続された少なくとも1組のタービンブレードを備えるタービン部に流路を通じて接続された出口であって前記タービン部を通過して前記圧縮されたガスの温度と圧力を低減するように構成されたガスを前記閉じた流路内で受け取るためのコンデンサと称する熱交換器とを備え、前記熱交換器の出口は前記コンプレッサの入口に接続されている熱交換器であるエンジンが提供されている。
【0006】
前記タービンは、共通の回転軸に沿って配置される複数組のタービンブレードを備えていてもよく、各組内のタービンブレードの数および相対的な位置関係は、タービン部を通る圧縮されたガスの流れを制御しエンジンの出力を制御するように構成されている。
【0007】
膨張した循環ガスのコンプレッサの入口への流れを制御することで、効率を高め、与えられた負荷に対するエンジン性能を最適化するために、逆止弁が、コンプレッサの入口に配置されていてもよい。
【0008】
前記エンジン内の循環ガスは、アンモニアでもよく、より好ましくは、安全性と動作効率の理由から、二酸化炭素であってもよい。
【0009】
前記熱交換器の構成部品として、コンプレッサを動かしエンジン効率を向上させるために、電気エネルギーへと変換可能な熱エネルギーを回復すなわち回収するためのエネルギー回収手段が取り付けられてもよい。
【0010】
前記タービン部の回転軸は、エンジンの全体性能を制御するために、コンプレッサを生成するのに必要なエネルギーの一部を供給する発電機に接続されてもよい。
【0011】
本発明の一実施例は、添付の図面を参照してここに説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明にかかるエンジンの概略図である。
図2図1のエンジン内の循環ガスの流れを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照すると、エンジン1は、圧縮されたガスを保持するためのガスの流路2を有している。
ガスは、二酸化炭素やアンモニアであってもよく、適切な圧縮圧で保持可能な他の適切なガスであってもよい。
圧縮圧は、エンジン1の要求出力の影響を受け、その他にも全体重量や、好適な動作圧力や、流路2およびエンジン1の他の部分を形成する部品の温度閾値といった要求の影響も受ける。
【0014】
コンプレッサ3は、使用中、閉じた流路2内のガスを圧縮し、その圧縮されたガスをコンプレッサ3の出口4からタービン部5へと送るために設けられる。
本実施例におけるコンプレッサ3は、電気により動力を得ているが、その他の動力源を有していてもよい。
コンプレッサ3の出口4の直径の値により、圧縮されたガスがタービン部5に到着した際の圧力と流速が制御される。
閉じた流路2のこの部分で圧縮されたガスの圧力と温度が臨界点にあると、高効率が得られる。
圧縮されたガスを熱することでその助けとするために、コンプレッサ3に近接してヒーター(不図示)が組み込まれてもよい。
圧縮されたガスは、コンプレッサ3の出口4からタービン部5の中へと通過する際、タービンブレード組6、7、8を通過する。
その動作中に、圧縮されたガスは、膨張し、一連のタービンブレード組6,7,8およびこれらのタービンブレード組6,7,8が取り付いている中央の回転軸9を動かす。
本実施例では、3組のタービンブレード6,7,8が設けられているが、組数ならびに各組内タービンブレードの本数、およびそれらの角度は、タービン部5に存在するガスの圧力や流速によって選択されてもよい。
回転軸9は、出力として動作し、ギアボックスを通じて駆動機構へと接続されてもよい。
【0015】
本実施例では、制御部11、12に接続されている発電機10が関連付けて示されている。
発電機10の動作出力である回転軸9の出力負荷を制御し、また、発電機10から生み出される電力のコンプレッサ3へのフィードバックを潜在制御し、エネルギー出力を最適化する際にエンジン1の全体動作出力を再度制御するために、これらの制御部11、12は、発電機10から電力を受け取ってもよい。
加えて、または代替手段として、発電機10は、コンプレッサ3を起動するモーターとして働くように、コンプレッサ3に機械的に接続されていてもよい。
また、小サイズ化および2つの要素の接続に伴う機械的な損失の低減のために、発電機10とタービン部5の部品は、1つのユニットに統合されていてもよい。
【0016】
一実施例では、高効率を提供するために、発電機10は、400Hzの交流を生成する一方で、標準的な電気部品を使用するために50Hzへと降下させるステッピング部も有している。
【0017】
圧縮されたガスは、タービンブレード組6,7,8を通過した後、とても低い圧力で熱交換器13を通ってタービン部5から出ていく。
本実施例において熱交換器13は、一組のパイプであり、膨張後のガス内の残留熱を発散させる。
一実施例では、コンデンサと称する熱交換器13は、エンジン1の電気出力効率を向上させたり、制御部11、12やコンプレッサ3へ実際に供給したりするために、その場の熱エネルギーを回収させて、他の形態のエネルギーへ(電気エネルギーにさえも)潜在的に変換してもよい。
熱交換器13の出力は、オプションで追加する減圧部14とオプションの逆止弁15とを通って供給され、戻ってくると、コンプレッサ3に圧縮される。
逆止弁15は、ガスの流れを確実に一方向に流れるようにし、(特に、起動中の)システム全体のガスが確実に正しく流れるようにしてもよく、ガスの流れを通じてエンジン出力を制御するのに用いられてもよい。
これにより、エンジン効率が最適化される。
【0018】
逆止弁15は、コンプレッサ3の動作効率を最適化するために、コンプレッサ3内の圧力差を制御することにも用いられても良い。
【0019】
解放バルブ(不図示)は、蓄積された不要な圧力を、安全上の理由で必要な場合に開放するために、閉じた流路2内の適切な場所に設けられていてもよい。
【0020】
動作の一実施例において、駆動ガスとしての二酸化炭素は、コンプレッサ3内の圧力差がおよそ22バールとなるように制御される(コンプレッサ3の入口で30バール、出口で52バールである)。
【0021】
図2は、関連要素内の閉じた流路2内のガスの位置を用いて、エンジン1中のガスの流れを、対応する符号を有する図1で概略が説明されているように、概略形態で示している。
これより、閉じた流路2内のガス損失は、確かに最小であることがわかる。
これは、エンジン1全体での動作部品を最少にしつつ、閉じた流路2内で使用されるガスの消費が無いことから環境への損害を極めて少なくしながら、ガスを長期間循環することが可能であることを意味している。
【0022】
上述のように説明した通り、コンプレッサ3とこのコンプレッサ3の出口4からの出力を簡単に制御することにより、高効率に、かつ、メンテナンスを減らし動作を改善させるために動作部品数を最少にしながらエンジン1の出力を最適にするよう、発電機10は、動力を得ることができる。
このような構成をとることで、エンジン動作時のノイズ出力が最小化される。
また、コンプレッサ3を適切に動作させ、発電された電気をコンプレッサ3へフィードバックし、逆止弁15を適切に制御することに加えて熱交換器13により適切にエネルギーを回収させることを通じてエンジン1への調節を最少化しながら幅広いパワーを出力するように制御することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 ・・・エンジン
2 ・・・流路
3 ・・・コンプレッサ
4 ・・・出口
5 ・・・タービン部
6 ・・・タービンブレード
7 ・・・タービンブレード
8 ・・・タービンブレード
9 ・・・回転軸
10 ・・・発電機
11 ・・・制御部
12 ・・・制御部
13 ・・・熱交換器
14 ・・・減圧部
15 ・・・逆止弁
図1
図2