IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケメット エレクトロニクス コーポレーションの特許一覧

特許6991974コンデンサ及び封止材厚さ規制用薄膜を用いた製造方法
<>
  • 特許-コンデンサ及び封止材厚さ規制用薄膜を用いた製造方法 図1A
  • 特許-コンデンサ及び封止材厚さ規制用薄膜を用いた製造方法 図1B
  • 特許-コンデンサ及び封止材厚さ規制用薄膜を用いた製造方法 図1C
  • 特許-コンデンサ及び封止材厚さ規制用薄膜を用いた製造方法 図1D
  • 特許-コンデンサ及び封止材厚さ規制用薄膜を用いた製造方法 図2
  • 特許-コンデンサ及び封止材厚さ規制用薄膜を用いた製造方法 図3
  • 特許-コンデンサ及び封止材厚さ規制用薄膜を用いた製造方法 図4
  • 特許-コンデンサ及び封止材厚さ規制用薄膜を用いた製造方法 図5
  • 特許-コンデンサ及び封止材厚さ規制用薄膜を用いた製造方法 図6
  • 特許-コンデンサ及び封止材厚さ規制用薄膜を用いた製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】コンデンサ及び封止材厚さ規制用薄膜を用いた製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/08 20060101AFI20220105BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20220105BHJP
   H01G 9/012 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H01G9/08 A
H01G9/00 290K
H01G9/00 290L
H01G9/00 290Z
H01G9/012 301
H01G9/012 303
H01G9/012 305
H01G9/08 C
H01G9/08 E
【請求項の数】 63
(21)【出願番号】P 2018530865
(86)(22)【出願日】2016-12-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-14
(86)【国際出願番号】 US2016067255
(87)【国際公開番号】W WO2017106700
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2019-11-22
(31)【優先権主張番号】62/269,646
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511231986
【氏名又は名称】ケメット エレクトロニクス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サミー ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】ポルトラック ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ラムズボトム ロバート アンドリュー
【審査官】多田 幸司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-110691(JP,A)
【文献】実開平02-101525(JP,U)
【文献】特開平08-236399(JP,A)
【文献】特開2012-099812(JP,A)
【文献】実開昭61-033428(JP,U)
【文献】特開2009-071170(JP,A)
【文献】特開2010-212650(JP,A)
【文献】特開2012-015384(JP,A)
【文献】特開2008-098394(JP,A)
【文献】特開2005-328100(JP,A)
【文献】特開2015-220247(JP,A)
【文献】特開2015-073097(JP,A)
【文献】特開2015-037192(JP,A)
【文献】特開2002-134362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 9/08
H01G 9/00
H01G 9/012
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノード、前記アノード上の誘電体、及び前記誘電体上のカソードを備える容量性素子と、
前記容量性素子を少なくとも部分的に封入する封止材とを含み、前記封止材は、前記容量性素子と前記封止材の外部表面との間に、封止樹脂と少なくとも一つの薄膜とを含み、前記封止樹脂は前記容量性素子を封止し前記薄膜に浸透する、コンデンサ。
【請求項2】
前記アノードに電気的に接触する少なくとも一つのアノードリードをさらに含む請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記アノードリードはアノードワイヤである請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記アノードに電気的に接触するアノード終端を前記封止材の表面にさらに備える請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記電気的接触は金属膜化ホールを含む請求項4に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記金属膜化ホールはアノードリードを通って延びる請求項5に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記アノードリードはアノードワイヤである請求項6に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記金属膜化ホールは前記コンデンサの表面に露出する請求項5に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記薄膜の反対側に第2薄膜をさらに含み、前記金属膜化ホールは少なくとも前記アノードの一部と前記封止材の一部に延びる請求項5に記載のコンデンサ。
【請求項10】
少なくとも一つのアノード端子又はカソード端子をさらに含む請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項11】
少なくとも一つの前記アノード端子又はカソード端子は前記封止材の表面を介して露出する請求項10に記載のコンデンサ。
【請求項12】
少なくとも一つの前記アノード端子又はカソード端子は前記封止材の表面に存在する請求項10に記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記カソード端子が前記カソードと電気的に接触する請求項12に記載のコンデンサ。
【請求項14】
複数の前記容量性素子を含む請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項15】
前記カソードは導電性ポリマー又は導電性金属酸化物の少なくとも一つを含む請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項16】
前記導電性金属酸化物は二酸化マンガンを含む請求項15に記載のコンデンサ。
【請求項17】
前記アノードはバルブメタル又はバルブメタルの導電性酸化物を含む請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項18】
前記バルブメタル又はバルブメタルの導電性酸化物はAl, W, Ta, Nb, Ti, Zr, Hf及びその導電性酸化物からなるグループから選択される請求項17に記載のコンデンサ。
【請求項19】
前記カソード又は前記アノードの一つと電気的に接触するメッキ層をさらに含む請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項20】
前記メッキ層は回路トレースである請求項19に記載のコンデンサ。
【請求項21】
前記薄膜は前記カソードと前記メッキ層との間にある請求項19に記載のコンデンサ。
【請求項22】
前記薄膜は補強材料を含む請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項23】
アノード、前記アノードから延びるアノードリード、前記アノード上の誘電体、及び前記誘電体上のカソードを含む容量性素子と、
前記容量性素子の少なくとも一部上の封止材であって、前記封止材は封止樹脂と薄膜とを含み、前記封止樹脂は前記容量性素子を封止し前記薄膜に浸透する、前記封止材と、 前記封止材の面上のアノード端子と、
前記封止材を通り、前記アノードリードを通って延長し、前記アノードリードと前記アノード端子とを電気的に接続する第1金属膜化ホールとを含むコンデンサ。
【請求項24】
前記アノードリードはアノードワイヤである請求項23に記載のコンデンサ。
【請求項25】
前記封止材は少なくとも一つの薄膜を含む請求項23に記載のコンデンサ。
【請求項26】
前記薄膜は補強材料を含む請求項25に記載のコンデンサ。
【請求項27】
前記封止材の表面にカソード終端をさらに含み、前記カソード終端は前記カソードと電気的に接触する請求項23に記載のコンデンサ。
【請求項28】
前記カソードとの電気接点は第2金属膜化ホールである請求項27に記載のコンデンサ。
【請求項29】
前記カソード終端はメタル層を含む請求項27に記載のコンデンサ。
【請求項30】
前記メタル層はメッキされたメタル層である請求項29に記載のコンデンサ。
【請求項31】
前記メタル層は前記封止材上に存在する請求項29に記載のコンデンサ。
【請求項32】
前記アノードはバルブメタル又はバルブメタルの導電性酸化物を含む請求項23に記載のコンデンサ。
【請求項33】
前記バルブメタル又はバルブメタル酸化物はAl, W, Ta, Nb, Ti, Zr, Hf及びその酸化物からなるグループから選択される請求項32に記載のコンデンサ。
【請求項34】
前記カソード又は前記アノードの一つと電気的に接触するメッキ層をさらに含む請求項23に記載のコンデンサ。
【請求項35】
前記封止材は前記容量性素子と前記メッキ層との間にある請求項34に記載のコンデンサ。
【請求項36】
前記メッキ層は回路トレースである請求項35に記載のコンデンサ。
【請求項37】
複数の前記容量性素子を含む請求項23に記載のコンデンサ。
【請求項38】
前記カソードは導電性ポリマー又は導電性メタル酸化物の少なくとも一つを含む請求項23に記載のコンデンサ。
【請求項39】
前記導電性メタル酸化物は二酸化マンガンを含む請求項38に記載のコンデンサ。
【請求項40】
アノードと、前記アノード上の誘電体と、前記誘電体上のカソードとを含む容量性素子を形成し、
事前に形成された薄膜を前記容量性素子に適用し、
前記容量性素子の少なくとも一部を封止材に封入し、前記薄膜は外側境界を形成し、前記外側境界の範囲内において前記封止材の少なくとも一部が拘束されているコンデンサ形成方法。
【請求項41】
さらに前記封止材を通るホールを形成する請求項40に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項42】
前記ホールは少なくとも前記アノードリードの一部を通って延長し前記アノードリードは前記アノードと電気的に接触する請求項41に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項43】
前記アノードリードはアノードワイヤである請求項42に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項44】
さらに前記ホールに表面金属膜を形成し、前記表面金属膜は前記アノードリードに電気的に接触する請求項42に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項45】
さらに前記封止材の外側にアノード終端を形成する請求項40に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項46】
前記アノード終端は前記アノードと電気的に接触する請求項45に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項47】
前記電気的接触は前記封止材を通る表面金属膜を含む請求項46に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項48】
前記表面金属膜化はメッキ、スパッタリング、蒸着、焼結拡散、及びコーティングからなるグループから選択される請求項47に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項49】
さらに導電層を前記封止材の表面に適用し、前記導電層は前記カソード又は前記アノードと電気的に接触する請求項40に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項50】
前記導電層はメタルホイルを含む請求項49に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項51】
前記導電層はリードフレームである請求項49に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項52】
前記電気的接触は表面金属膜を含む請求項49に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項53】
前記表面金属膜は前記封止材を通るホール内に存在する請求項52に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項54】
さらに少なくとも一つの前記薄膜をキャビティを形成する前記容量性素子に適用し、前記封入は前記封止材を前記キャビティに充填することを含む請求項40に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項55】
さらに導電層を前記封止材の表面に適用することを含む請求項40に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項56】
前記導電層はリードフレームである請求項55に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項57】
前記リードフレームは前記アノード又はカソードの一つに電気的に接続する請求項56に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項58】
前記アノードはバルブメタル又はバルブメタルの導電性酸化物を含む請求項40に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項59】
前記バルブメタル又はバルブメタル酸化物はAl, W, Ta, Nb, Ti, Zr, Hf及びその導電性酸化物からなるグループから選択される請求項58に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項60】
前記カソードは導電性ポリマー又は導電性メタル酸化物の少なくとも1つを含む請求項40に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項61】
前記導電性メタル酸化物は二酸化マンガンを含む請求項60に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項62】
前記薄膜には封止樹脂を含浸させている、請求項40に記載のコンデンサ形成方法。
【請求項63】
前記封止樹脂は前記封止材である、請求項62に記載のコンデンサ形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンデンサ、好ましくは電気性能を維持又は向上するとともに体積効率を向上するバルブメタルコンデンサ及びコンデンサの製造方法に関する。より具体的には、本発明は容量素子とコンデンサ外部表面間に封止材を介して規制可能な厚さを形成する薄膜を使用することにより体積効率が向上する、コンデンサ及びコンデンサの形成方法を提供する。
【0002】
関連出願の相互参照
本願は2015年12月18日に出願された係属中の米国仮特許出願第62/269,646の優先権の利益を米国特許法119条に基づいて主張する。
【背景技術】
【0003】
バルブメタルコンデンサ特に表面実装バルブメタルコンデンサの製造は、通常、アノードから延びるアノードワイヤを含むモノリシック構造を形成し、誘電体をアノードとカソードとの間に挟んで誘電体と電荷収集カソードとをアノードの表面に設ける。誘電体とカソードとが形成されるアノードの表面は粗面又は増加した表面積であり、それによりデバイスの容量が増大する。製造プロセスは、アノードから第1位置のリードフレームまで延長するアノードリードを取り付け、カソードを第2位置のリードフレームに取り付けることを含む。
【0004】
アーク放電を回避するためにアノード部とカソード部とを十分に離間させる必要があることは容易に理解される。この要件は、最終的なコンデンサのかなりの体積が容量に貢献しないので、体積効率のロスを生む。例えば、図1Aを参照すると、アノード表面から封止材8の外縁まで延長するアノードリード3を囲うコンデンサの体積は電気的な目的がなく、単に溶着時のダメージを回避するためにリードフレーム4をアノードリードへ取り付ける場所をカソード層から十分に離間させて提供する機能を与えているに過ぎない。この問題は、溶着の影響が周囲によって弱まることなくダメージを受けやすくかつ保護されていない誘電体層やカソード層に及ぶことでこれらの層の性能が低下することを確実に防ぐために、容量性素子のアクティブエリアと接合部9との間に十分な間隔をあける必要があるのでより深刻なものとなる。製造精度の実用上の限界により必要とされる間隔をシールディングしない場合以上に短縮できないので溶着プロセスから素子をシールドすることは占有体積を削減するうえで有効ではない。複数の容量性素子を1つのコンデンサにまとめると体積効率をむしろ悪化させることになる。
【0005】
表面実装コンデンサの主要購入者である電子デバイス製造業者は表面実装コンデンサを回路基板又は関連する素子へ実装するためにそれに合わせた大規模な製造インフラを整備して電気サブアセンブリを製造している。従って、現在使用されている表面実装コンデンサに構造が類似するコンデンサを供給する必要がある。特にデバイスの体積、形状、寸法は現行の取付位置で使用するインストールドベースに適合させねばならない。また、エレクトロニクス産業は常に電子デバイスの小型化、あるいは同一サイズのデバイスからより大きな容量や能力の創出を追求している。従ってコンデンサ等の部品製造業者は所定の体積の中により多くの機能を追求する。これらの相反する要求により高い体積効率即ち単位体積当たりの容量を有するとともにサイズやリードの向きが業界標準の表面実装コンデンサに似た表面実装コンデンサへの要望が高まっている。個々のリードフレームへのアノードの取付けによる体積効率のロスに対処するために、取付けを封止材の外側に位置付ける製造業者もいる。アノード延長部を既存の外部終端、即ち封止材の外面に接続する方法は、参照により共に本願に組み込まれる米国特許第6,819,546号及び第7,161,797号に提案されている。これらの方法はリードフレーム又は同等物に接着されたアノード及びカソードが封止材に埋め込まれた状態で従来のリードフレーム部を形成し、デバイスの端部に適用された導電層により端子のエッジ部を露出されたアノード延長部に接続することに関連する。
【0006】
他の製造方法は参照により本願に組み込まれる米国特許出願公開第2010/0165547号に記載されている。それに記載のデバイスはアノード延長部及び適用された導電性カソードの一部が保護封止材の外側に露出している。アノード延長部及びカソードが露出するデバイスの端面はフレーム溶射され、その後はんだ付け可能にされてデバイスの各端部に端子を形成する。この適用された端子材料はデバイスの端面だけに存在し、デバイスの底面即ち実装面には大きな存在とならない。しかも端子はデバイスの全体の端面をカバーする。このデザインは積層セラミックコンデンサ(MLCC)デバイスの端子構造を備えたバルブメタルデバイスを表している。これらの端子構成は、これらのデバイスが表面実装コンデンサの業界標準である端子終端仕様と代替できないので、当該技術分野では望ましくない。さらにこれらの端子構成は端子がデバイスの全幅を広げるので望ましくない。プリント基板(PCB)にデバイスを実装する際のはんだ付けプロセスの間デバイスを安定化するために、業界標準に従ってプリント基板上のマウントパッドは常にデバイスの端子より狭い。端子がデバイスの全幅を広げるとデバイスが事実上容量性デバイスによって埋められる回路基板上のスペース以上にスペースを必要とする以上にプリント基板上のマウントパッドが広がり、結果的にこの端子構成では理想的な体積効率を得ることができない。従って、デバイスの幅より大幅に狭い端子を有するデバイスが容量性デバイスよりも狭いプリント基板上のマウントパッドを必要とし、これによりPCB上により少ないスペースを必要とすることでPCBの体積効率を大きくする。デバイスは業界標準に適合しかつデバイスの端子がデバイスケースよりも狭く 0.4 mm以上であることが望ましい。米国特許第6,819,546号、第 7,161,797号及び米国特許出願公開第2010/0165547号に記載されるような端子がデバイスの上端に達する端子構造も問題緩和のために回路基板の上に導電性メタル接地シールドを配備する携帯電話に見られるような無線通信を使う最近の電子デバイス、即ち無線周波数障害及び電波障害に敏感な電子デバイスの共通の問題により望ましくない。これらのデバイスではシールドがプリント基板に実装されたデバイスの上端に接触し得る。従って端子がデバイスの上端に達するデバイスは端子と接地シールドとの間に潜在的な電気経路を設けそれによりデバイスと回路を動作不能にする。
【0007】
表面実装電解コンデンサの別の製造方法が参照により本願に組み込まれる米国特許第6,185,091号に記載の方法により提案されている。これらの開示も体積効率の低下につながるものである。電子回路の性能改善に焦点を当てた製造方法である。このデザインはアノードとカソードの延長部の取り付けが必要である。これらは封入の前に機械的に取り付けられる端子を記載している。上記の方法はカプセル内にスペースを占有するのでデバイスの体積効率を低下させる。さらに、取り付け方法について何ら示唆されてないので体積効率の悪い従来の取り付け方法に従わざるを得ない。
【0008】
アノード及びカソードの取り付け方法から得られる体積効率の利点に加えて封入方法はデバイスの最終体積効率において大きな役割を果たす。当該技術分野では能動素子の封止材の薄壁を生成するために多くの方法が実行され能動素子を環境から保護している。従来の方法は素子が射出成形用キャビティ内にサスペンドされるように素子の回りに射出成形することを含む。この方法は、キャビティ内に素子をサスペンドするプロセスの一部である構造が素子を支持するためにしっかりしたものでなければならず、従ってデバイス内に組み込まれアクティブ容量として使われないスペースを占有するので、効率向上とはならない。このスペースを占有する材料の例がリードフレームである。該リードフレームは素子を支持するためにパッケージ内で広がらねばならず、その素子を支持する能力はその厚さに関連している。さらに、フェイスダウンとして知られている方法が容量性素子の反対側のリードフレームの一方側を金型キャビティに対向して支持されるように使い、素子を支持するために必要な厚さを薄くしている。しかしフェイスダウンリードフレームの厚さを薄くすることは封止材に対する接着力によって制限されかつリードフレームを封止材で機械的に固定するために必要な厚さによって制限される。体積効率を向上するためにこれらの要件のいずれかを欠くと、コンデンサの端子にかかる外力が内部の素子に直接伝わりダメージが生じるおそれがある。これらのファクタ-は体積効率向上の、特にデバイスの厚さ寸法についての制限となる。さらに、フェイスダウンのデザインにおけるリードフレームの構成がフェイスダウンのリードフレームと反対側の素子側の封止材の厚さをコントロールできなくする。この厚さは射出成形プロセスによりコントロールされる。
【0009】
射出成形プロセスによって樹脂がキャビティに充填され容量素子がサスペンドされる。通常このサスペンションは、リードフレームを表面に押し付けるとともに射出用キャビティをその表面と反対側に位置づけてフェイスダウンパッケージングのようにリードフレーム等の従来の終端部を支持することにより行う。このプロセスの1つの課題は樹脂がキャビティに対して長アスペクト比領域を占めるコンデンサキャビティの直接内部に存在するかまたは樹脂が入らない長アスペクト比領域を占めるこのコンデンサキャビティの外側にむかって存在することである。樹脂が一部コンデンサキャビティ内にあればデバイスのキャビティ部分に接触する樹脂のその部分を完成したデバイスの一部としないために後で除去する必要がある。この除去プロセスは電気的性能とターゲットとする仕上げの寸法を達成するうえで影響を及ぼし、製造時に樹脂の壁厚を薄くすることがより困難となる。それに加えて、この部分の除去に要するステップはコストアップを招くとともに特に当該技術分野が現在取り組み中の目標である、仕上がり寸法のコントロールをより複雑にする。射出樹脂がキャビティの外側にむかって存在すれば長アスペクト比のキャビティへの樹脂のフローがプロセスの主な制約である。小型化が目標であるので容量性素子と周囲との間の樹脂壁はできる限り薄いことが好ましい。業界の標準的なコンデンサの場合樹脂のフローが必要なキャビティ領域を射出される壁の厚さに対し長さを100倍以上にすることが可能である。この長アスペクト比により該フローから生じる背圧とそれが別のフロー特性に与える影響に起因してキャビティの残りの部分を充たすことが困難となり、それにより、加熱されたキャビティ金型に隣接する樹脂をより多く混合させて材料を時期尚早に硬化させるリスクがある。
【0010】
キャビティと素子間を長アスペクト比とすることを可能にするプロセスコンディションや材料の調達は可能であるが、上記のように容量性素子の長手部分に渡って材料を送るためには通常高圧が必要でありコストアップになり使用材料が複雑化する。高圧により一連の望まない特徴が生じる。長アスペクト比が容量性素子の2つの側に存在すれば均等にバランスの取れた圧力を送る実用性が損なわれ容量性素子は封止材の一方側に偏る。通常最終部品は封止材の壁厚を最小にする必要があるので、この偏りにより全体が最終部品の厚さとなる可能性を失うことになる。さらにそのような長アスペクト比の充填を伴うプロセスは、長アスペクト比の部分を材料が通過する間に生じる圧力によって素子にストレスがかかり素子を損傷し、パッケージ内で素子を移動させて品質の低下及び/又は能率の低下を招くリスクがある。
【0011】
長アスペクト比に対し良好な充填を達成する別の方法は、液状樹脂で予めキャビティを充たし、固定高さにキャビティを低くしキャビティから液状樹脂を出して、キャビティとキャビティに同伴する他の固定部を低くすることによって定まる望ましい樹脂量だけを残す。この方法の限界は、全ての部分に最小の壁厚を維持することが封止材のキャビティ厚さを容量性素子のバラツキのうち最大のものに合わせることを必要とするので非常に薄い封止材の壁を達成する場合各容量性素子の製造バラツキが達成できる壁厚を制限することである。素子毎に高さ制限を変えるプロセスは実用性がなく、封止材の壁を極めて薄く仕上げた部品はプロセスの終盤で失敗を招くことになる。
【0012】
開示される他の方法は、参照により本願に組み込まれる米国特許第7,595,235号に記載されるように、樹脂がデバイスの長アスペクト比部分を横断する必要を無くすために樹脂を封止材の部分に直接供給するための樹脂シートを使用することである。このプロセスにより樹脂を流す前に容量性素子表面に樹脂が分布されるため封止材樹脂の移動による影響を抑えられる。この方法により封止プロセスでのストレスを減らせる一方コンデンサの厚さを決める最終的なキャビティの寸法をコントロールする方法がなければ封止材の厚さの微細なコントロールを依然欠くことになる。
【0013】
上記のようにバルブメタル表面実装コンデンサの業界標準に一致する正確な端子構成を維持しつつ体積効率を向上するデバイスに対する要望は途絶えることがない。広範な取り組みがなされてはいるが体積効率の向上及びコンデンサの電気性能の改善に対する要望が依然根強く存在する。ここにそのような改善を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は改善されたコンデンサ及び改善されたコンデンサの製造方法を提供する。
【0015】
本発明の具体的な特徴は製造されるデバイス及びデバイの製造方法について開示し、封止材により占有される体積を大幅に削減しコンデンサとしての機能を損なうことなく体積効率を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の1つの実施例はバルブメタル又はバルブメタルの導電性酸化物からなる少なくとも1つのアノードとアノードリードを含むコンデンサである。誘電体がアノードに形成されカソード層が誘電体に形成される。容量性素子がリードフレームに取り付けられ、アノードリードがリードフレームのアノード部分のリードフレームに電気的に接合され容量性素子のカソードがリードフレームのカソード部分に通常は導電性接着剤で取り付けられる。薄膜層がデバイスの2つの対向する側のコンデンサデバイス外部表面と容量性素子との間にあり、該薄膜がコンデンサデバイスの厚さ寸法のうち封止材の固定された厚さを与える。
【0017】
本発明の別の実施例はバルブメタル又はバルブメタルの導電性酸化物からなる少なくとも1つのアノード及びアノードリードからなるコンデンサである。誘電体がアノードの上に形成されカソード層が誘電体の上に形成される。容量性素子がリードフレームに取り付けられ、アノードリードがリードフレームのアノード部分のリードフレームに電気的に接続され容量性素子のカソードがリードフレームのカソード部分に通常は導電性接着剤で取り付けられる。容量性素子はリードフレームの片側に取り付けられる。容量性素子に取り付けられたリードフレームの表面は封止材に埋め込まれ、薄膜層がコンデンサデバイス外部表面とデバイスのリードフレームの反対側の容量性素子との間にあり、該薄膜がコンデンサデバイスの厚さ寸法のうち封止材の固定された厚さを与える。このようなデバイスにおいて封入のプロセスで封止材成形キャビティがその厚さ寸法にデバイスを圧縮するときリードフレームと薄膜がともにデバイスの厚さをコントロールする部分を提供する。
【0018】
本発明のさらに別の実施例はバルブメタル又はバルブメタルの導電性酸化物からなる少なくとも1つのアノード及びアノードリードからなるコンデンサである。誘電体がアノードの上に形成されカソードが誘電体の上に形成される層で、カソード層がカソード集電層、好ましくは容量性素子のアノード部の端部を超えて延びるホイルからなる。容量性素子が2つの薄膜層の間に封入され、薄膜層には封止樹脂を含侵させている。封入構造は容量性素子のアノードリード部分をデバイスの一方の表面に露出させ、カソード集電層部分をデバイスの別の又は同じ表面に露出させるように整えられる。アノードリードとカソード集電層の露出部分は容量性素子の前記部分の上に金属メッキ層を形成するように処理される。予め形成された金属端子が好ましくははんだ付けによって金属メッキ層に取り付けられる。
【0019】
本発明のさらに別の実施例はバルブメタル又はバルブメタルの導電性酸化物からなる少なくとも1つのアノード及びアノードリードからなるコンデンサである。誘電体がアノードの上に形成されカソード層が誘電体の上に形成される。容量性素子は2つの薄膜層の間に封入され、薄膜層には封止樹脂とホイルを含侵させ好ましくはデバイスの一方の側は銅ホイルであり、薄膜は容量性素子とデバイスの外部表面即ちデバイスのそれぞれの側のホイルと接触している。デバイス封止材層の外部表面から封止材及び薄膜を通るホールが容量性素子のカソードに交差するように形成され、もう一方のホールが封止材層を通りアノードリードを通って形成される。ホールはホイルと同じ側から形成される。このホールは封止材に接着しアノードリードの垂直面及びホイルと電気接続を形成するメッキによって表面が金属膜化される。同様に金属膜化されたホールが容量性素子のカソードとホイル間の電気接続を形成する。このホイルはデバイス表面のアノード部分とカソード部分を電気的に切り離して端子を形成するようにパターン状にエッチングされる。銅はその後はんだが可能な面となるように処理される。
【0020】
本発明のさらに別の実施例はバルブメタル又はバルブメタルの導電性酸化物からなる少なくとも1つのアノード及びアノードリードからなるコンデンサである。誘電体がアノードの上に形成されカソード層が誘電体の上に形成され、カソード層は容量性素子のアノード部分の端部を超えて延長するカソード集電層好ましくはホイルを含む。容量性素子はデバイスの一方側で2つの薄膜層とホイル好ましくは銅ホイルの間に封入される。薄膜は容量性素子とデバイスの外部表面即ちデバイスのそれぞれの側のホイルに接触している。ホイルの外部表面から封止材及び薄膜を通りアノードリードを通るホールが形成される。このホールは封止材に接着しアノードリードの垂直面及びホイルと電気接続を形成するメッキによって表面が金属膜化される。同様に金属膜化されたホールが好ましくは集電層を介してカソード層とホイル間の電気接続を形成する。このホイルはデバイス表面のアノード部分とカソード部分を電気的に切り離して端子を形成するようにパターン状にエッチングされる。ホイルはその後はんだが可能な面となるように処理される。
【0021】
本発明の一実施例はコンデンサである。該コンデンサはアノード、アノード上の誘電体、誘電体上のカソードを含む容量性素子を含む。封止材が少なくとも部分的に容量性素子を包み、封止材は容量性素子と封止材の外部表面との間に少なくとも1つの薄膜を含む。
【0022】
さらに別の実施例はアノード、該アノードから延びるアノードリード、該アノード上の誘電体、及び該誘電体上のカソードを含む容量性素子を含むコンデンサである。封止材が容量性素子の少なくとも一部の上にあり、アノード端子が封止材の面にある。第1の金属膜化ホールが封止材を貫通し、第1の金属膜化ホールがアノードリードを貫通して延長しアノードリードとアノード端子とを電気的に接続する。
【0023】
さらに別の実施例はコンデンサの形成方法である。該方法は:
アノード、アノード上の誘電体、及び誘電体上のカソードを含む容量性素子を形成し;及び
少なくとも1つの薄膜を含む封止材に容量性素子の少なくとも一部を封入することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1a】表面実装コンデンサの従来技術の概略図である。
図1b】フェイスダウンされた表面実装コンデンサの従来技術の概略図である。
図1c】従来技術の基板構造の表面実装コンデンサの概略図である。
図1d】表面実装コンデンサの従来技術のシート構造の概略図である。
図2】本発明の一実施例の概略断面図である。
図3】本発明の一実施例の中間ステップの概略断面図である。
図4】本発明の一実施例の概略断面図である。
図5】本発明の一実施例の概略断面図である。
図6】本発明の一実施例の概略断面図である。
図7】本発明の一実施例の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は体積効率が向上したコンデンサ及び該コンデンサの製造方法を提供する。該方法はコンデンサ素子と封止材の外部表面間の封止材壁を薄膜の使用によりコントロールする改善された方法を含む。該方法はさらに容量性素子のアノードリードを大幅に向上した体積効率で外部アノード端子へ取り付けて全体のサイズに対し素子の容量性領域のサイズを増加させるとともに電気性能も維持向上する改善された方法を含む。さらに具体的には、本発明は、コンデンサと、ホール即ちボイドを通り、封止材及びアノードリードを通ってアノードリードを外部終端への接続する該コンデンサの製造方法を提供する。
【0026】
本発明は不可欠だが限定されない明細書に記載の構成要素を形成する様々な図面を参照して説明される。様々の図を通して同一要素は同一番号を付す。
【0027】
図1Aは従来技術の表面実装コンデンサ1の概略断面図を示す。図1Aにおいてアノード2はそこから延びるアノードリード3を有する。該アノードリードはアノードリードフレーム4と通常は溶着9により電気接続される。誘電体5はアノードの少なくとも一部上にあり、アノードをカソード6から分離する。カソードは導電性接着剤11によりカソードリードフレーム7と電気接続され、アノードリードフレームとカソードリードフレームの接点部を除く全体構造が非導電性封止材8に包まれる。アノードリードフレーム4、カソードリードフレーム7は当該技術分野で多くの著述があるように好ましくはアレイ形状のほぼ連続したリードフレームの一部を形成し、複数のアノードリードとカソードリードが共通リードフレームと一体化する。アノード、カソードリードはコンデンサがダイシング等で単体にされると電気的に分離される。
【0028】
図1Bは従来技術のフェイスダウンされた表面実装コンデンサ50の概略断面図を示す。図1Bにおいてアノード51はそこから延びるアノードリード53を有する。該アノードリードはアノードリードフレームタブ55と通常は溶着により電気接続される。誘電体56はアノードの少なくとも一部上にあり、アノードをカソード57から分離する。カソードは導電性接着剤59によりカソードリードフレーム58と電気接続され、アノードリードフレームとカソードリードフレームの接点部を除く全体構造が非導電性封止材60に包まれる。アノードリードフレーム61、カソードリードフレーム58は当該技術分野で多くの著述があるように好ましくはアレイ形状のほぼ連続したリードフレームの一部を形成し、複数のアノード、カソードリードが共通リードフレームと一体化する。アノード、カソードリードはコンデンサがダイシング等で単体にされると電気的に分離される。
【0029】
図1Cは従来技術の基板116上の表面実装コンデンサ100の概略断面図を示す。図1Cにおいてアノード101はそこから延びるアノードリード103を有する。該アノードリードはアノードスペーサ105と通常は溶着により電気接続される。誘電体106はアノードの少なくとも一部上にあり、アノードをカソード107から分離する。カソードは導電性接着剤108により内部カソードパッド109と電気接続される。通常内部カソードパッドは基板112のホールをメッキすることにより形成されるカソード電気経路111により外部カソード端子110に電気接続される。通常内部アノードパッド113は基板112のホールをメッキすることにより形成されるアノード電気経路115により外部アノード端子114に電気接続される。アノードスペーサ105は通常は溶着やはんだ付けによりアノードリード103に電気接続され内部アノードパッド113に電気接続される。内部アノード及びカソードパッド、外部アノード及びカソード端子、アノード及びカソード電気経路、及び基板を含む基板アセンブリを除く全体構造が非導電性封止材117に封入される。内部アノード及びカソードパッドの少なくとも一部と基板の一部は非導電性材料と接触してデバイスの底面に露出した外部アノードとカソード端子部分を備えたデバイスを形成する。
【0030】
図1Dは従来技術の表面実装コンデンサ150の概略断面図を示す。図1Dにおいてアノード151はそこから延びるアノードリード153を有する。誘電体156はアノードの少なくとも一部上にあり、アノードをカソード157から分離する。容量性素子はアノード、アノードリード、誘電体及びカソードを含む。容量性素子は2つの樹脂層、上部樹脂層159と下部樹脂層160を含む非導電性接着剤により封入される。ホール161が下部樹脂層160に形成されてカソード157へとつながり表面が金属膜化されてカソード157と外部カソード端子163との間に電気接続152を形成する。ホール162が形成されてアノードリード153へとつながり表面が金属膜化されてアノードリード153と外部アノード端子164との間に電気接続158を形成する。
【0031】
従来技術のアセンブリはリードフレーム又はデバイスを終端するメッキ終端を用いる固体電解質バルブメタルコンデンサの一般的な製造方法を説明している。本発明のデバイスはそのまま従来技術に代わるものであり従って好ましくは従来技術の端子構成に一致するとともにその体積効率を向上する。
【0032】
図2は本発明の一実施例の概略図を示す。図2においてコンデンサ214は好ましくはバルブメタルアノードであるアノード200とアノードワイヤとして表されそこから延びるアノードリード203を有する。誘電体204はアノードの少なくとも一部の上にあり、アノードをカソード205から分離する。アノードリード203はアノードリードフレームタブ206に通常は溶着により接続される。アノードリードフレームタブ206はアノードリードフレーム207に接続又は一体化される。カソード205はカソードリードフレーム208に通常導電性接着剤209により電気接続される。薄膜210がトップシールを形成し、それが封止材211と協力してアノード、アノードリード、誘電体、及びカソードを含む容量性素子を少なくとも部分的に包む。全体のデバイス厚さ212は薄膜厚さ213を含めて全てのデバイス構成要素を積重ねた厚さである。薄膜厚さは事前に形成が可能であるため調節が容易であり、薄膜は一方向に境界を形成して封止材を拘束する。
【0033】
図3はコンデンサ250が製造プロセスの中間のステップで形成される本発明の一実施例の概略図を示す。図3において、好ましくはバルブメタルアノードであるアノード251はそこから延びるアノードリード253を有する。誘電体255がアノードの少なくとも一部の上にあり、カソード256からアノードを分離する。上部薄膜257と底部薄膜258が容量性素子を挟んでその表裏に位置する。これら薄膜は容量性素子が部分的に封止材259に封入されるようにそれを挟む。薄膜257、258は封止材259と協力してアノード、アノードリード、誘電体、カソードを含む容量性素子を少なくとも部分的に封入してポケット、即ちキャビティ―を形成し、成形中にその中に封止材が収容される。薄膜は封止材259と同じ樹脂を含むか又は該樹脂が薄膜257、258に入るか又は薄膜から出てくるが望ましいがこれに限定されることはない。外部アノード、カソード端子261、260が底部薄膜258に接着される。アノードホール263、カソードホール262が外部アノード及びカソード端子にそれぞれ形成され、薄膜及び封止材を通る。アノードホール263はアノードワイヤとして表されるアノードリード253に好ましくはそれを貫通して形成され、好ましくは上部薄膜まで延びる。表面金属膜267がアノードホールに形成され、アノードリードが外部アノード端子に電気接続されて封止材259に接着される。この表面金属膜はホールサイズがアノードリードの長さ方向に拡大することなくアノードリードに垂直にカットされた部分に沿ってアノードリードを電気接続し、電気接続部分を最大化する。別の実施例は、アノードホールがアノードのメタルに到達しアノードホールの表面金属膜が直接アノードに電気接続して外部アノード端子に電気接続することである。表面金属膜は単一金属、合金、一連の金属であっても良く、適切な電気接続を達成する。この代替の実施例では、アノードリードが存在してもしなくても良いが、好ましくは体積効率を高めるためにアノードリードは存在しない方が良い。カソードホール262はカソード256の一部を通るように形成される。カソードホール262は表面が金属膜化されてカソードと外部カソード端子との間を電気接続する。ライン264、265は本発明の好ましい一実施例を示し、該ラインが規定長さのデバイスを形成するようにデバイスがカットされる部分を表す。通常ダイシングによるカッティングプロセスは好ましくは表面が金属膜化されたホール262、263の一部分を露出させ図4に示すようにカット後はコンデンサとしての終端を形成する。
【0034】
図4図3の実施例のカット後の概略図である。図4において、コンデンサ250は好ましくはバルブメタルアノードであるアノード251とアノードワイヤとして表されアノードから延びるアノードリード253を有する。誘電体255がアノードの少なくとも一部の上にあり、カソード256からアノードを分離する。上部薄膜257と底部薄膜258が容量性素子を挟んでその表裏に位置する。これら薄膜は容量性素子を封止材259内に配置して薄膜257、258及び封止材259が協力して少なくとも部分的に容量性素子を封入する。薄膜257、258及び封止材259が共通の樹脂を含みかつ該樹脂が一方の又は両方の薄膜に浸透できることが望ましいがそれには限定されない。さらに一実施例において下部薄膜258を形成する樹脂が薄膜層から出て薄膜の間の容量性素子の周囲を充填することが好ましいがこれに限定されることはない。外部アノード、カソード端子261、260は封止材259に接着される。アノードホール263とカソードホール262の残余部分とその中に含まれた表面金属膜がコンデンサの表面に導電性リードを形成して回路トレースとして機能し、封止材と一体となり又はその上で付加的機能に接続する。
【0035】
図5は本発明の一実施例の概略図である。図5において、コンデンサ350は好ましくはバルブメタルアノードであるアノード351とアノードワイヤとして表されアノードから延びるアノードリード353を有する。誘電体355がアノードの少なくとも一部の上にあり、カソード356からアノードを分離する。上部薄膜357と底部薄膜358が容量性素子を挟んでその表裏に位置する。これら薄膜は容量性素子を封止材359内に配置して薄膜357、358が封止の一部を構成する。好ましい実施例は封止材を形成する樹脂が薄膜357、358にも含まれ、薄膜に浸透できることである。あるいは、封止材を形成する樹脂が薄膜層から発生して容量性素子の周囲を充たして容量性素子を薄膜の間に封入する。外部アノード、カソード端子361、360が封止材359に接着される。アノードホール363、カソードホール362がそれぞれ外部アノード、カソード端子に形成され、封止材と下部薄膜を貫通する。アノードホール363はアノードリード353を貫通する。表面金属膜がアノードホールに形成されアノードリード353が外部アノード端子361に電気接続され封止材の表面に接着される。この表面金属膜がアノードリードの垂直カット部分に沿ってアノードリードに接続されアノードリードの長さ方向にホールサイズを拡張することなく電気接続面積を最大化する。カソードホール362はカソード356に電気接続する。カソードホール362は表面が金属膜化371されカソード356と外部カソード360との間に電気接続を形成する。隔離材料364は容量性素子に含まれるオプション機能である。この隔離材料はアノードリード353の部分にわたってカソード356が形成することを妨げる。この隔離材料は通常アノード部分又はアノードリード部分にわたって適用されカソードを形成する化学処理がアノードの電気的接合部分となるアノード部分にカソード材料を堆積しないようにする。この材料としてバリアを形成する樹脂等が好ましいが、これに限定されることはない。
【0036】
図6は本発明の一実施例の概略図である。図6において、コンデンサ400は好ましくはバルブメタルアノードであるアノード401とアノードワイヤとして表されアノードから延びるアノードリード403を有する。誘電体405がアノードの少なくとも一部の上にあり、カソード406からアノードを分離する。集電カソード層407がカソードに取り付けられ封止材410の縁まで延びて一方の面から露出する。アノードリード403も好ましくは他方の表面から露出して意図された同じ表面に露出する。上部薄膜408と底部薄膜409が容量性素子を挟んでその表裏に位置する。これら薄膜は封止材の一部を形成し、封止材410の内部に容量性素子を配置して薄膜408、409が封止材の一部となる。封止材410を形成する樹脂が薄膜にも組み込まれ、薄膜に含侵させても良いし、薄膜から出ても良いが、これに限定はされない。封止材410を形成する樹脂は薄膜により囲まれている容量性素子の周囲エリアの少なくとも一部、及びより好ましくは全体を充たすことが望ましいがそれに限定されることはない。カソード集電層及びアノードリードははんだ付け可能材料411によってメッキされる。事前に形成されたメタルカソード端子412がカソード集電層上のはんだ付け可能材料に接合され、事前に形成されたメタルアノード端子413がアノードリードのはんだ付け可能材料411に接合される。接合は好ましくははんだ414、415によって行われる。
【0037】
図7は本発明の一実施例の概略図である。図7において、コンデンサ450は好ましくはバルブメタルアノードであるアノード451とアノードワイヤとして表されアノードから延びるアノードリード453を有する。誘電体405がアノードの少なくとも一部の上にあり、カソード456からアノードを分離する。カソードホイル465がカソード456に電気接続される。上部薄膜457と底部薄膜458が容量性素子を挟んでその表裏に位置する。これら薄膜は封止材459の内部に容量性素子を配置して薄膜457、458及び封止材が協力して封止構造を形成する。封止材を形成する樹脂が薄膜457、458に組み込まれ、該樹脂が薄膜に含侵しても良いし、薄膜から発生することが望ましいが、これに限定はされない。さらに樹脂が薄膜間の領域の少なくとも部分的に、及び好ましくは薄膜間の領域を完全に充たしそれによって容量性素子の縁を封入することが望ましいがそれに限定されることはない。外部アノード及びカソード端子460、461が封止構造好ましくは底部薄膜に接着される。アノードホール462及びカソードホール463がそれぞれ外部アノード及びカソード内に形成され封止材及び薄膜を貫通する。アノードホール462はアノードリード453を貫通する。表面金属膜464がアノードホールに形成されてアノードリード453が外部アノード端子に接続され、封止構造体好ましくは下部薄膜に接着される。この表面金属膜がアノードリードの垂直カット部分に沿ってアノードリードに電気的に接続されアノードリードの長さ方向にホールサイズを拡張することなく電気接続面積を最大化する。カソードホール463はカソードホイル465の一部を通るように形成される。カソードホール463は表面が金属膜化466されてカソードホイル465と外部カソード端子461との間を電気接続する。
【0038】
好ましい実施例は、コンデンサがバルブメタル又はバルブメタルの導電性酸化物を含む少なくとも1つのアノードとアノードワイヤを含む。誘電体がアノードの上に形成され、カソード層が誘電体の上に形成される。容量性素子がリードフレームに取り付けられ、アノードリードが通常導電性接着剤によりリードフレームのアノード部分に電気的に接合され、容量性素子のカソードがリードフレームのカソード部分に取り付けられる。薄膜層がデバイスの2つの対向する側の、コンデンサデバイスの外部表面と容量性素子の間に設けられ、該薄膜がコンデンサデバイス厚さ寸法において、封止材の固定の厚さを与える。
【0039】
コンデンサの製造において、薄膜がデバイスの厚さ方向に封止材成形キャビティに抵抗するように薄膜層を容量性素子とリードフレームの少なくとも片側望ましくは両側に配して容量性素子とリードフレームを封止材成形キャビティに入れる。
【0040】
封入の過程で封止材料の流れを制限する金型キャビティ領域を封止材成形キャビティとも称する。このキャビティは封止材料のフローを制限することで、デバイスの任意の側を形成する。薄膜の場合、このキャビティが薄膜に接してデバイスの任意の外側面の外部位置を決める封止材キャビティとして機能する。これは金型キャビティウォールとして知られるものに類似する。デバイスの外側面がこのキャビティ内側形状により輪郭が決まる。これは従来の金型キャビティに関連しているが、封止材成形キャビティはデバイスの外側面の一部のみ輪郭を決めるプレートや一連の接続面等の単一面であっても良い。
【0041】
本発明は封入されたコンデンサに再現性のある規定の厚さを与える。事前に形成された薄膜を利用し該薄膜を容量性素子及び金型キャビティの表面に適用することで、薄膜は容量性素子表面と効果的に作用して成形中に封止材が拘束されるキャビティを形成するとともに容量性素子が封止材内部で適切に位置づけられることを確実にする。薄膜が存在しない方向において封止材は射出成形用キャビティにより拘束される。アノード又はカソードいずれかの導電性構成要素を露出させることによりアノード又はカソードと電気的に接合させて封止材の終端への表面接合が可能となり、それにより電気接続のための厚さを減少でき、薄膜を使用することで封止材の厚さを薄くでき完成したコンデンサが規定された固定の厚さとなる。そのようなデバイスにおいて、薄膜はデバイスの厚さの一部となるが、封止材がキャビティ内に形成されデバイス上またはデバイス中に圧入されるので所定厚さ寸法のデバイスが封入プロセス中に達成される。
【0042】
好ましい実施例では、薄膜層には封止樹脂を含侵させる。該封止樹脂は強い接着力を得るために封止に用いるものと同じ樹脂であることが特に好ましい。
【0043】
好ましい実施例では、薄膜はカソードと外部銅ホイルとの間に設けられ、薄膜は容量性素子と物理的に接触する。いずれかがサンドイッチされた構成で、一方のホールが銅ホイルと封止材を通って形成され容量性素子のカソードと交差し、別のホールが封止材層とアノードリードを通って形成される。ホールは外部銅ホイルと同じ側から形成されるのが望ましい。ホールは封止材に接着してアノードリードの垂直面と外部銅ホイルに電気接続するメッキによって表面が金属膜化される。同様の表面が金属膜化されたホールが容量性素子のカソードと外部銅ホイルとの間に電気接続を形成する。外部銅ホイルは端子形成のためにデバイス表面のアノードとカソード部分を電気的に遮断するパターンにエッチングされることが望ましい。銅ホイルはその後はんだ付け可能面となるように処理される。
【0044】
一実施例では、コンデンサの少なくともアノード部分に表面が金属膜化されたホールを含むコンデンサが提供される。表面が金属膜化されたホールはカッティングプロセスにより一部が露出されそれにより各端子接続領域にデバイスの端子部分と異なるコンデンサ側にはんだ付け可能表面を提供する。表面実装コンデンサが端子面以外の実装面と対向する側に垂直な金属膜化された表面を有しており端子を回路基板に取り付けるのに使用されるはんだがコンデンサの側面に沿って形成されるはんだフィレット表面を形成することは業界において一般的である。これによって目視によりはんだ付けを検証できてデバイスのリワークが容易になる。さらに、はんだのフィレットがコンデンサの各端部にかかる力にバランスを与え、はんだリフロープロセスの間所望の回路基板スペースの中心に該部品を維持できる。表面金属膜とアノードリード間の接続の全体が損なわれることなく金属膜化されたホールの露出部分がデバイスに維持される。従来技術の記載のように、該ホールがアノードリードに形成されるのみで、アノードへの接続の全体を保持するとともにデバイスの側面の金属膜接続を露出することは実現が困難である。体積効率向上のため金属膜化されたホールの任意部分を露出するには金属膜化層と接合するアノードリードの少なくとも一部除去が必要である。アノードリードと接合する金属膜化部分の除去は電気性能の損失をもたらす。さらに、内部に金属膜があるホールの形成を利用すれば、端子面に垂直なはんだ付け可能な表面を備えたコンデンサをより効果的に作れる。一般的に表面実装コンデンサのユーザは任意の方向にはんだ付け可能表面の幅よりも小さいデバイスの垂直面に沿ったはんだ付け可能な表面を望んでいる。本発明においてこの特徴は金属膜化されるホールの深さと幅の寸法によりコントロールできる。当該技術分野の別の方法はこの金属膜をアノードリードと端子間にデバイスの垂直面全体にわたり形成することである。これはデバイスのショートやはんだ付け不良を含み多くの問題あるのでユーザにとって望ましくない。
【0045】
薄膜層は容量性素子表面とコンデンサデバイスの外部表面の一つとの間のコンデンサ封止材の壁の厚さを制限するために容量性素子と接触する層である。薄膜内に容量性素子を保持することで封止材が未処理エリアに侵入しそれによって封止材が機能しなくなるリスクを抑制する。
【0046】
十分な処理により薄膜は封止材を制限するスペースを形成する任意の層となり、封入プロセスの間、封止材が封止材成形キャビティと容量性素子の一面とによって少なくとも2つの側面で拘束されることにより容量性素子表面の封止材成形キャビティエリアの進入を制限する。封止材成形キャビティは任意の表面となり、それは封入プロセスになると封止材料に対するバリアとして働きデバイスがキャビティから取り出されるとき容量性素子の少なくとも一部を囲む外部表面となる面を形成する。この薄膜層は容量性素子に向かう圧力を受けると容量性素子表面に接触して封止材成形キャビティと容量性素子間との距離を制限してコンデンサデバイスの封止厚さを規定する。
【0047】
一実施例では、薄膜が多孔質であり、それにより封止材料が薄膜層を通過するとともに薄膜層が一方の面で容量性素子面とその反対面で封止材成形キャビティと接触する。多孔質薄膜はガラスウィーブ、ファイバ、エッチングを施された材料、固着されていない粒子等の補強材または充填材を含んでも良く、それらは制限された厚さを有する。
【0048】
一実施例では、薄膜は封止樹脂を含むあるいは封止樹脂に接着される個体膜を含む。
【0049】
一実施例では、薄膜は圧縮可能である。圧縮可能薄膜は容量性素子表面と封止材成形キャビティとの間に圧縮された形状で固定の最小距離を設けることを可能にし、封止材料により圧縮された形状でまたは跳ね返った状態で保持され得る。圧縮可能薄膜は同一の封止材成形キャビティ内で容量性素子を交差して又は容量性素子に平行により均一に力を分布させて、容量性素子を封止材成形キャビティから固定距離内に保持させるとともに、容量性素子に加えられる力を緩和するように機能する。
【0050】
薄膜層は容量性素子の複数の面に適用されて厚さ以外のデバイス寸法に対し薄膜の厚さ制限機能を発揮する。
【0051】
ある実施例では接着剤又は封止材料が容量性素子と薄膜間に存在することで薄膜をコンデンサ面に接着させる。この樹脂又は接着部分は薄膜をコンデンサ面に固定し、従って薄膜の厚さ制限機能の一部も担う。
【0052】
キャビティと容量性素子間に固定厚さを形成するために薄膜の接触が十分であるうちは通常薄膜の全表面と容量性素子とが接触する必要がない。薄膜が容量性素子に向けて押し付けられる時、容量性素子と薄膜の一部のみが接触し薄膜の必要とされるアクションが行われる。さらに表面張力と薄膜への粘着力により薄膜の全面には少量の封止材料があれば良く、それが容量性素子に接触すると薄膜の機能の一部を担う。
【0053】
ホールはアノードリードにできる限り接近するのではなく、アノードリードを通過好ましくは貫通することによってアノードリードを露出するために、十分な深さと断面積を備えることが望ましい。アノードリードを貫通するホールの形成によってアノードリードの断面積部分を露出させ、それによりアノードリードを一方向に沿って長くすることなくアノードリードの表面金属膜の電気接触領域を広げ、それによりデバイスの大幅な長さを占有することなくより広い接触面積を獲得することによってデバイスの体積効率を向上する。アノードリードを貫通するホールの形成の別の利点は、複数のアノードリードが同一のホールを通って接続されることが可能となり、コンデンサのグループが共通の表面金属膜を備えることである。複数のアノード従ってアノードリードを共通のパッケージに備えることはコンデンサの追加や抵抗の減少が必要な場合に有利である。デバイスのカソード部分に形成されたホールがカソードを貫通して接続部を増やすことも好ましいが、これは必要とされない。カソード層は通常アノードの大部分の長さや幅を横断するので、体積効率を損なうことなく表面金属膜化の間広い接触表面積を有する。
【0054】
ホールは当該技術分野で周知の技術で形成され、表面金属膜化はメッキ、スパッタリング、蒸着、焼結、拡散、コーティングから選択された方法により導電性材料、好ましくはメタルをホールに適用することで達成する。
【0055】
カソード層はここで制限を受けず、一般的にコンデンサ業界に見られるアノードの誘電体上にある導電性ポリマー、又は二酸化マンガンを含むカソード層と同じである。導電性ポリマーは、例えば、インサイチュ(in situ)重合、ワンポット重合、電気化学的重合、予備重合ポリマーディップ等多くの周知方法により形成できる。特に好ましい導電性ポリマーはポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、及びその派生物である。本発明を実施するために好ましいポリマーはポリ3,4-エチレンジオキシチオフェンである。好ましくは付加的なカソード層が導電性ポリマー層又は二酸化マンガン層の上に形成されて本発明の実施に特に適した炭素含有層やメタル含有層のそれへの接続を容易にする。炭素含有層は通常樹脂の中に導電性炭素を含む。メタル含有層は通常メタルを含む樹脂層であり、樹脂が例えば銀フレークを含むか、又はメタル含有層が金属メッキであっても良い。カソードホール部分のカソード層を金属膜化するプロセスが単純化される為、カソード層は金属メッキで形成されることが望ましい。メタルホイルをカソードに組み込んでも良い。メタルホイルは導電性接着剤、はんだ付け、ろう付け、溶着を含むがこれに限定されない電気的及び物理的接合の多様な方法によって他のカソードに接合される。これらのカソードホイルは内部カソード層と電流を送受するカソードの一部として機能する。このカソードホイルは好ましくは銅、銀、ステンレススチール、他の導電性材料からなるが、これに限定されない。
【0056】
デバイスの外部表面の端子はデバイスと電気回路間の電気接続の場に使われる。端子は通常業界で普通に使われる方法で接合可能な金属からなる。そのような方法ははんだ付け、ワイヤーボンディング、ろう付け、溶着、超音波接合、Cu ピラーボンディングを含むがこれに限定されない。実施例では接点は通常リードフレームとして形成されるが、別の実施例ではメタルホイルにより、即ちデバイスの外面のデバイスの一部をなす層としてメッキ等で形成される。端子として最も好ましいメタルはその導電性及び他のプロセスの利点から銅であるが他のメタルや材料も端子材料として機能し、ニッケル、ステンレススチール、メタル含有ポリマー、導電性ポリマー等を含むがこれに限定はされない。通常端子形状はPCBはんだ付け配置の業界標準を充たすために四角形だがこれに本発明は限定されない。終端部はデバイスの外部表面の一以上の部分とデバイスの別の外部表面部分との間の電気経路を提供する。これは業界ではトレースとして一般的に知られている。デバイス表面に形成された電気経路は封止材内部にある容量性素子に接続する金属膜の部分を端子が存在する封止材の他の部分や表面に接続する。これらのトレースを設けることは表面金属膜化用のホールをデバイスの表面又は内部の一部に形成可能にするとともにデバイスの他の部分に端子を提供することによってトレースが端子の接続部分の一部にもなるかどうかに関わらず電気的に構成を簡略化するメリットを提供することになる。
【0057】
バルブメタルに十分な表面金属膜を形成するにはバルブメタルに追加の処理を必要とすることが当業者に知られている。場合によっては、これは金属膜化技術の一部であり単にバルブメタルと表面金属膜について明らかであっても、デバイスについては明らかではない。場合によっては、バルブメタルを準備するのに追加の行程や材料を要しバルブメタルを十分に金属膜化するのが困難となる。そのような場合はアノードの一部、それに限定されないが好ましくはアノードリードが処理されてホールの表面金属膜と代替可能材料でバルブメタルに金属結合を形成する。この処理により該表面金属膜をバルブメタルに電気接合する性能を向上させる電気結合層を形成する。
【0058】
封止材は通常は樹脂と充填材から形成されることは当業者に知られている。充填材は封止材の構成において樹脂部分に取って代わることで熱膨張率をコントロールする方法を提供する。これは通常の封入技術であるが本発明が樹脂や樹脂含有システムである封止材に限定されることはない。他の封止材料や方法も本発明に適用できる。
【0059】
アノードは導体であり好ましくはメタルであり好ましくはタンタル、アルミニューム、チタニウム、ジルコニウム、ハフニウム、これらの合金又はNbOなどその導電性酸化物から選択されるバルブメタルである。
【0060】
本発明はそれに限定されない好ましい実施例を参照して説明された。追加の実施例や改善が可能であり、それらはここで具体的に述べられていないがここに添付する特許請求の範囲の中により具体的に述べられた本発明の範囲に属する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7