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特許6991988一体化されたセンサおよび送信機を備える弁インプラント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】一体化されたセンサおよび送信機を備える弁インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20220105BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20220105BHJP
【FI】
A61F2/24
A61B5/33 100
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018547314
(86)(22)【出願日】2017-03-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-04
(86)【国際出願番号】 US2017021431
(87)【国際公開番号】W WO2017156175
(87)【国際公開日】2017-09-14
【審査請求日】2020-03-04
(31)【優先権主張番号】62/305,347
(32)【優先日】2016-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/417,206
(32)【優先日】2016-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/452,617
(32)【優先日】2017-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】サルヴァドール・マルケス
(72)【発明者】
【氏名】ダ-ユ・チャン
(72)【発明者】
【氏名】シンディー・ウー
(72)【発明者】
【氏名】ハオ-チュン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リン・ティー・ダン
(72)【発明者】
【氏名】ハビアー・エー・サンギネッティ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・エイチ・シーモンズ
(72)【発明者】
【氏名】ヤロン・ケイダー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァージニア・チ・リン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エス・コンクリン
(72)【発明者】
【氏名】ドナルド・イー・ボボ・ジュニア
【審査官】寺澤 忠司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0045165(US,A1)
【文献】国際公開第2015/200707(WO,A1)
【文献】特表2008-518706(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0296382(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0107768(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0081154(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
A61B 5/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工弁であって、
複数の弁尖と、
前記複数の弁尖を支持し、前記人工弁の流出端において終端する複数の交連支持体を画定するように構成されているフレームアセンブリと、
前記フレームアセンブリに関連付けられ、前記複数の交連支持体のうちの1つまたは複数のたわみを示すセンサ信号を発生させるように構成されている電気的センサデバイスと、
前記電気的センサデバイスから前記センサ信号を受信し、送信信号をワイヤレスに送信するように構成されている送信機アセンブリであって、前記送信信号は、少なくとも一部は前記センサ信号に基づく、送信機アセンブリと、
環状封止リングと
を備え、前記送信機アセンブリは、前記環状封止リングの一部に沿って設けられたコア形態の周りに巻き付けられた複数の巻線を備える、人工弁。
【請求項2】
前記電気的センサデバイスは、歪みゲージである請求項1に記載の人工弁。
【請求項3】
前記歪みゲージは、前記フレームアセンブリのエッチングされた部分内に配設される導電性材料を含む請求項2に記載の人工弁。
【請求項4】
前記歪みゲージは、前記フレームアセンブリ上に印刷された導電性材料を含む請求項2に記載の人工弁。
【請求項5】
前記電気的センサデバイスは、圧電センサを備える請求項1に記載の人工弁。
【請求項6】
前記圧電センサは、保護ハウジング内に収納された回路を含むセンサマイクロチップのコンポーネントである請求項5に記載の人工弁。
【請求項7】
前記圧電センサは、前記複数の交連支持体のうちの1つの交連支持体の基部に固定される請求項5または6に記載の人工弁。
【請求項8】
前記圧電センサは、前記複数の交連支持体のうちの1つの交連支持体の遠位端部分に固定される請求項5または6に記載の人工弁。
【請求項9】
前記圧電センサは、
第1の導電層と第2の導電層との間に配設される圧電材料層と、
前記圧電材料層、前記第1の導電層、および前記第2の導電層のうちの1つまたは複数に対する保護障壁を少なくとも部分的にもたらす、生体適合性を有するラミネート層とを備える請求項5に記載の人工弁。
【請求項10】
前記送信機アセンブリは、外部電源からワイヤレスに電力を受信し、前記受信した電力を使用して前記送信信号を送信するように構成される請求項5または9に記載の人工弁。
【請求項11】
前記外部電源は、前記人工弁が埋め込まれている患者の腹部の周りに着用されるように構成されている着用可能なストラップを備える請求項10に記載の人工弁。
【請求項12】
前記圧電センサは、ピエゾ抵抗デバイスを含む請求項5または11に記載の人工弁。
【請求項13】
前記圧電センサは、前記フレームアセンブリのステント部材内に一体化される請求項5に記載の人工弁。
【請求項14】
前記ステント部材は、可撓性プラスチックを含む請求項13に記載の人工弁。
【請求項15】
前記ステント部材は、圧電材料の積み重ねられたシートを含む請求項13または14に記載の人工弁。
【請求項16】
前記送信機アセンブリは、前記フレームアセンブリの補強バンドの周りに巻き付けられたアンテナコイルを備える請求項1に記載の人工弁。
【請求項17】
前記電気的センサデバイスは、アナログセンサ信号をデジタルセンサ信号に変換するための回路を備える請求項1に記載の人工弁。
【請求項18】
血流内腔内の血液の流れを感知し、前記流れに基づき流量信号を発生させるように構成されている流量センサをさらに備える請求項1から17のいずれか一項に記載の人工弁。
【請求項19】
人工弁であって、
複数の弁尖と、
前記複数の弁尖を支持し、前記人工弁の流出端において終端する複数の交連支持体を画定するように構成されているフレームアセンブリと、
前記フレームアセンブリに関連付けられ、前記複数の交連支持体のうちの1つまたは複数のたわみを示すセンサ信号を発生させるように構成されている電気的センサデバイスと、
前記電気的センサデバイスから前記センサ信号を受信し、送信信号をワイヤレスに送信するように構成されている送信機アセンブリであって、前記送信信号は、少なくとも一部は前記センサ信号に基づく、送信機アセンブリと
を備え、
前記電気的センサデバイスは、歪みゲージであり、前記歪みゲージは、前記フレームアセンブリのエッチングされた部分内に配設される導電性材料を含む、人工弁。
【請求項20】
人工弁であって、
複数の弁尖と、
前記複数の弁尖を支持し、前記人工弁の流出端において終端する複数の交連支持体を画定するように構成されているフレームアセンブリと、
前記フレームアセンブリに関連付けられ、前記複数の交連支持体のうちの1つまたは複数のたわみを示すセンサ信号を発生させるように構成されている電気的センサデバイスと、
前記電気的センサデバイスから前記センサ信号を受信し、送信信号をワイヤレスに送信するように構成されている送信機アセンブリであって、前記送信信号は、少なくとも一部は前記センサ信号に基づく、送信機アセンブリと
を備え、
前記電気的センサデバイスは、歪みゲージであり、前記歪みゲージは、前記フレームアセンブリ上に印刷された導電性材料を含む、人工弁。
【請求項21】
人工弁であって、
複数の弁尖と、
前記複数の弁尖を支持し、前記人工弁の流出端において終端する複数の交連支持体を画定するように構成されているフレームアセンブリと、
前記フレームアセンブリに関連付けられ、前記複数の交連支持体のうちの1つまたは複数のたわみを示すセンサ信号を発生させるように構成されている電気的センサデバイスと、
前記電気的センサデバイスから前記センサ信号を受信し、送信信号をワイヤレスに送信するように構成されている送信機アセンブリであって、前記送信信号は、少なくとも一部は前記センサ信号に基づく、送信機アセンブリと
を備え、
前記送信機アセンブリは、前記フレームアセンブリの補強バンドの周りに巻き付けられたアンテナコイルを備える、人工弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、人工インプラントデバイス(prosthetic implant device)の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓弁などの、生体適合性を有するインプラントデバイスは、様々な病状を治療するために患者体内に埋め込まれ得る。そのようなインプラントデバイスの埋め込み後の誤動作は、重大な健康問題をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
この発明の概要は、いくつかの例を提示するものであり、本発明の範囲をいかなる形でも制限することを意図しない。たとえば、この発明の概要の例に含まれる特徴は、請求項において明示的に特徴を述べていない限り、請求項では要求されない。また、この発明の概要における例で、および本開示の別のところで説明されている特徴、コンポーネント、ステップ、コンセプトなどは、様々な仕方で組み合わされ得る。
【0004】
いくつかの実装形態において、人工インプラント(たとえば、人工弁、人工心臓弁、弁輪形成リング、ステント、グラフトなど)は、1つまたは複数のセンサデバイスを備え得る。たとえば、人工弁は、複数の弁尖、複数の弁尖を支持するように構成されているフレームアセンブリを含むことができ、複数の交連支持体(commissure support)(たとえば、交連ポスト、交連取付構造体、他の支持構造体など)を画定し得る。交連支持体は、人工弁の流出端において、またはその近くで終端し得る。人工弁は、センサデバイス(たとえば、センサ)またはフレームアセンブリに関連付けられている電気的センサデバイス(たとえば、電気的センサ)も含み得る。センサデバイス(たとえば、電気的センサデバイス)は、複数の交連支持体(または人工弁もしくはフレームアセンブリの別の部分)のうちの1つまたは複数のたわみを示すセンサ信号を発生させるように構成され得る。センサデバイス(たとえば、電気的センサデバイス)は、アナログセンサ信号をデジタルセンサ信号に変換するための回路を備えることができる。人工弁は、センサデバイス(たとえば、電気的センサデバイス)からセンサ信号を受信し、送信信号をワイヤレスに送信するように構成されている送信機アセンブリも備えることができ、送信信号は、少なくとも一部はセンサ信号に基づく(たとえば、送信信号は、センサ信号と相関する、関係する、比例する、などの関連性を有する)。
【0005】
センサデバイス(たとえば、電気的センサデバイス)は、歪みゲージであってよい。たとえば、歪みゲージは、フレームアセンブリのエッチングされた部分内に配設される導電性材料を含み得る。歪みゲージは、フレームアセンブリ上に印刷された導電性材料を含むことができる。
【0006】
センサデバイス(たとえば、電気的センサデバイス)は、圧電センサを含み得る。たとえば、圧電センサは、保護ハウジング内に収納された回路を含むセンサマイクロチップのコンポーネントであってよい。圧電センサは、複数の交連支持体(たとえば、交連ポスト、交連取付構造体、他の支持構造体、など)のうちの1つの基部に固定され得る。圧電センサは、複数の交連支持体のうちの1つの遠位端部分に固定され得る。圧電センサは、第1の導電層と第2の導電層との間に配設される圧電材料層を含むことができる。生体適合性を有するラミネート層は、圧電材料層、第1の導電層、および第2の導電層のうちの1つまたは複数に対する保護障壁を少なくとも部分的にもたらすように構成され得る。圧電センサは、ピエゾ抵抗デバイスを含み得る。圧電センサは、フレームアセンブリのステント部材内に組み込まれ得る。ステント部材は、可撓性プラスチック、形状記憶材料、ニチノール、ステンレス鋼、他の材料、および/またはこれらのうちの1つまたは複数のものの組合せを含むことができる。ステント部材は、圧電材料の積層シート(たとえば、2~15枚の積層シート)を含み得る。
【0007】
送信機アセンブリは、外部電源からワイヤレスに電力を受信し、受信電力を使用して送信信号を送信するように構成され得る。外部電源は、様々な電源(たとえば、本開示において開示されているか、または他の形で知られている電源)であってよく、人工弁が埋め込まれている患者の腹部の周りに着用されるように構成されている着用可能なストラップを備えることができる。送信機アセンブリは、フレームアセンブリの補強バンドに巻き付けられたアンテナコイルを備えることができる。任意選択で、発電機は、追加的にまたは代替的に、発電のためにフレームアセンブリに関連付けられることも可能である(たとえば、移動、たわみなどに応じて)。
【0008】
人工弁は、それに加えて(または上記の電気的センサデバイス例のうちの1つの代替として)血流内腔内の血液の流れを感知し、その流れに基づき流量信号を発生させるように構成されている流量センサを備えることができる。人工弁は、環状封止リングをさらに備えることができ、送信機アセンブリは、環状封止リングの一部に沿って設けられたコア形態の周りに巻き付けられた複数の巻線を備える。これは、本明細書の別のところで説明されているコア形態および/または複数の巻線と同じであるか、または類似するものであってよい。
【0009】
患者体内にある(たとえば、患者体内の心臓または他の部位に埋め込まれている)人工インプラント(たとえば、上で説明されている人工弁もしくは本開示の別のところで説明されている人工インプラント)を監視する方法および/またはその/1つの人工インプラントを有する患者を監視する方法は、様々なステップを含み得る。たとえば、この方法は、人工インプラントの1つもしくは複数の部分もしくは支持体または人工インプラントのフレームアセンブリのたわみを測定するステップを含み得る(たとえば、上記のものと同じまたは類似する人工弁において、方法は、その/1つの人工弁の複数の交連支持体のうちの1つまたは複数のたわみを測定するステップを含むことができる)。これは、たとえば、人工インプラントのフレームがアセンブリに関連付けられている、たとえば、フレームアセンブリに含まれるか、またはその一部であり得る複数の交連支持ポストに関連付けられている、センサデバイスまたは電気的センサデバイス(たとえば、上で説明されているセンサデバイス/電気的センサデバイスまたは本開示の別のところで説明されているセンサデバイスと同じか、または類似のもの)を使用して行われ得る。この方法は、患者の生体組織を通して人工インプラントの送信機アセンブリを外部受信機にワイヤレスに結合するステップを含むことができる。この方法は、送信機アセンブリを使用してたわみを示すデータを外部受信機にワイヤレスに送信するステップも含み得る。
【0010】
人工インプラント(たとえば、上で説明されている人工弁および/または本明細書の別のところで説明されている他の人工インプラント/弁)を使用するステップを伴う方法は、人工インプラントにおける電力を外部電源からワイヤレスに受信するステップであって、データをワイヤレスに送信するステップが少なくとも一部は受信電力を使用して実行され得る、ステップを含むことができる。電力は、電気的センサデバイスの圧電デバイスを使用して受信され得る。電力を受信するステップは、圧電デバイスを使用して超音波信号を受信するステップを含むことができる。電力を受信するステップは、患者の腹部の周りに着用された着用可能ストラップからワイヤレス電力信号を受信するステップも含むことができる。圧電センサデバイスは、ピエゾ抵抗デバイスを含み得る。圧電センサは、フレームアセンブリ、支持体(たとえば、交連支持体のうちの1つ)、または他の部分内に組み込まれ得る。たとえば、複数の交連支持体または他の支持体の1つは、圧電材料の積層シートを含むことができる。圧電センサは、上で説明されている圧電センサまたは本開示の別のところで説明されているものと同じ、または類似しているものであってよい。
【0011】
人工インプラント(たとえば、上で説明されているか、または本開示の別のところで説明されている人工弁/インプラントと同じであるか、または類似しているものであってよい)は、発電機を備えることができる。人工インプラントは、フレームアセンブリを備えることができる。人工インプラントが人工弁(たとえば、人工心臓弁)である場合、人工弁は、複数の弁尖、および複数の弁尖を支持するように構成されているフレームアセンブリを含むことができ、複数の交連支持体(たとえば、交連ポスト、交連取付構造体、他の支持構造体など)を画定し得る。交連支持体は、人工弁の流出端において、またはその近くで終端し得る。発電機は、人工インプラントのフレームアセンブリに接続され、それと一体化され、および/または他の何らかの形でそれと関連付けられ得る。発電機は、人工インプラントの1つまたは複数の部分または支持体のたわみに応じて(たとえば、複数の交連支持体のうちの1つまたは複数のたわみに応じて)電力を発生させるように構成され得る。人工インプラント/弁は、発電機から発生させた電力を使用して送信信号をワイヤレスに送信するように構成されている送信機アセンブリも備えることができる。
【0012】
上で説明されているか、または本明細書の別のところで説明されている1つ/複数の送信機アセンブリは、導電コイルを備えることができる。1つ/複数の送信機アセンブリは、コイルを使用してワイヤレス送信を実行するようにさらに構成され得る。人工弁の複数の交連支持体(たとえば、交連ポスト、交連取付構造、他の支持構造体など)または人工インプラントの他の支持体/部分のうちの1つ、いくつか、またはすべては、人工インプラント/弁が配設される流体流路内に流体渦が形成されたことに応じてたわむように構成され得る。任意選択で、発電機は、交連支持体または他の支持体/部分のうちの1つまたは複数の上に配設され、その中に配設され、それに接続/取り付けられ、または他の何らかの形でそれに関連付けられ得る。発電機は、圧電容量性デバイスを含み得る。発電機は、第1の導電性プレートと第2の導電性プレートとの間に配設されている圧電材料層と、圧電材料層、第1の導電性プレート、および第2の導電性プレートのうちの1つまたは複数に対する保護障壁を少なくとも部分的にもたらす生体適合性ラミネート層とを備えることができる。
【0013】
本明細書における人工インプラント/弁のどれかとともに使用されるフレームアセンブリは、可撓性ステントポストを備えることができる。可撓性ステントポストは、複数の交連支持体のうちの1つに対して少なくとも部分的な支持体を形成するように構成され得る。発電機は、ステントポストの上に配設され、その中に配設され、それに接続/取り付けられ、それと一体化され、または他の何らかの形でそれに関連付けられ得る。可撓性ステントポストは、中に圧電デバイスを収納する保護被覆を備えることができる。人工インプラント/弁は、少なくとも部分的に発電機を覆う布層を含むことができる。
【0014】
上で説明されているか、または本開示の別のところで説明されている人工弁は、経カテーテル心臓弁アセンブリまたは経カテーテル心臓弁であってよい。経カテーテル心臓弁アセンブリは、経カテーテル心臓弁を含み得る。経カテーテル心臓弁は、カテーテルで送達できるように半径方向に折り畳める、また患者の大動脈内に展開できるように拡張可能である支持フレームを備えることができる。支持フレームは、内面および外面と、半径方向に折り畳める弁構造体(たとえば、弁尖アセンブリなど)とを備えることができる。弁構造体は、複数のそれぞれの交連部分に固定された複数の弁尖を備え得る。弁構造体は、支持フレーム内に配設され、支持フレームの内面に固定され得る。経カテーテル心臓弁アセンブリまたは経カテーテル心臓弁は、センサデバイスをさらに備えることができる(たとえば、上で説明されているかまたは本開示の別のところで説明されているセンサデバイスと同じであるか、または類似のもの)。センサデバイスは、物理的または生理学的パラメータを感知し、感知された物理的または生理学的パラメータに基づきセンサ信号を提供するように構成され得る。経カテーテル心臓弁アセンブリまたは経カテーテル心臓弁は、センサデバイスに電気的に結合されている送信機アセンブリも含むことができる(たとえば、上で説明されているかまたは本開示の別のところで説明されている送信機アセンブリと同じであるか、または類似のもの)。送信機アセンブリは、センサデバイスからセンサ信号を受信し、送信信号をワイヤレスに送信するように構成されるものとしてよく、送信信号は、少なくとも一部はセンサ信号(たとえば、センサ信号と相関する、関係する、比例する、などの関連性を有する)に基づく。送信機アセンブリは、経カテーテル心臓弁アセンブリに、または経カテーテル心臓弁につながれるものとしてよい。たとえば、送信機アセンブリは、経カテーテル心臓弁アセンブリの支持フレームにつながれるものとしてよい。送信機アセンブリは、カテーテルで送達できるように折り畳めるアンテナコイルを備えることができる。送信機アセンブリは、患者の体外にある電力送信機から電力をワイヤレスに受信するように構成され得る。
【0015】
その/1つの人工インプラント(たとえば、上で説明されているか、または本開示の別のところで説明されている人工インプラント/弁と同じか、または類似しているもの)は、センサデバイス(たとえば、上で説明されているか、または本開示の別のところで説明されているセンサデバイスと同じか、または類似しているもの)と、送信機アセンブリ(たとえば、上で説明されているか、または本開示の別のところで説明されている送信機アセンブリと同じか、または類似しているもの)とを備えることができる。人工インプラントは、フレームアセンブリを備えることができる。人工インプラントが人工弁である場合、人工弁は、複数の弁尖と、複数の弁尖を支持するように構成されているフレームアセンブリとを備えることができる。人工弁のフレームアセンブリは、人工弁の流出端において、またはその近くで終端するように設計/整形され得る複数の交連支持体(たとえば、交連ポスト、交連取付構造体、他の支持構造体など)を備え、画定し得る。人工インプラント/弁は、人工インプラント/弁の流入端において配設された環状封止リングを備え得る。センサデバイスは、物理的/生理学的パラメータを感知し、センサ信号を提供するように構成され得る。送信機アセンブリは、複数の巻線を有する導電コイルを備えることができる。送信機アセンブリは、センサデバイスからセンサ信号を受信し、送信信号をワイヤレスに送信するように構成されるものとしてよく、送信信号は、少なくとも一部はセンサ信号に基づく(たとえば、送信信号は、センサ信号と相関する、関係する、比例する、などの関連性を有する)。送信機アセンブリは、環状封止リングの近くに、または人工インプラント/弁上の別の位置に配設され得る。
【0016】
送信機アセンブリは、コア形態を備えることができる。コア形態は、様々な仕方で構成され得る。たとえば、コア形態は、封止リングの近くの人工弁の周りに円周方向に巻き付けられるものとしてよい。導電コイルの複数の巻線は、コア形態の周りに円周方向に巻き付けられ得る。任意選択で、複数の巻線は、コア形態の周りで軸方向に巻き付けられてよい。コア形態は、環状封止リングの一部に沿って設けられるものとしてよく、複数の巻線は、コア形態の周りに円周方向に巻き付けられ得る。コア形態は、環状封止リングの軸と同軸であってよい。コア形態は、3つの辺を有する軸方向断面形状を有することができる。複数の巻線は、環状封止リングに関して半径方向外向きに面している平面内に置かれ得る。コア形態は、複数の巻線内に配設され得る。コア形態は、磁気コア、空コア、別のタイプのコア、またはこれらのうちのいくつかもしくはすべての組合せであってよい。コア形態および複数の巻線は、本開示の別のところで説明されている他のコア形態および/または巻線と同じであるか、または類似するものであってよい。
【0017】
その/1つの人工インプラント(たとえば、上で説明されているか、または本開示の別のところで説明されている人工インプラント/弁と同じであるか、または類似しているもの)は、1つまたは複数の電極を備えることができる。人工インプラントは、フレームアセンブリを備えることができる。人工インプラントが人工弁である場合、人工弁は、複数の弁尖と、複数の弁尖を支持するように構成されているフレームアセンブリと、1つまたは複数の電極とを備えることができる。人工弁のフレームアセンブリは、人工弁の流出端において、またはその近くで終端するように設計/整形され得る複数の交連支持体(たとえば、交連ポスト、交連取付構造体、他の支持構造体など)を備え、画定し得る。人工インプラント/弁は、フレームアセンブリに関連付けられ得る第1の電極を備えることができ、電気的インパルスを検出するように構成され得る。人工インプラント/弁は、フレームアセンブリにも関連付けられ得る第2の電極を備えることもでき、電気的インパルスを検出するように構成され得る。第2の電極は、第1の電極に電気的に結合され得る。人工インプラント/弁は、第1の電極および/または第2の電極に類似するものとしてよい、および電気的に結合されてもよい追加の電極も備え得る。人工インプラント/弁は、第1の電極と第2の電極(および/または追加の電極)との間の電圧差を増幅し、増幅された信号を提供するように構成されている増幅器も備え得る。人工インプラント/弁は、増幅された信号を受信し、送信信号をワイヤレスに送信するように構成され得る送信機アセンブリ(たとえば、上で説明されているか、または本明細書の別のところで説明されている送信機アセンブリと同じであるか、または類似しているもの)も備えることができ、送信信号は、少なくとも一部は増幅された信号に基づく(たとえば、送信信号は、増幅された信号と相関する、関係する、比例する、などの関連性を有する)。
【0018】
その/1つの人工インプラント(たとえば、上で説明されているか、または本開示の別のところで説明されている人工インプラント/弁と同じであるか、または類似しているもの)は、流量センサ(たとえば、血流センサ)を備えることができる。人工インプラントが人工弁である場合、人工弁は、複数の弁尖と、複数の弁尖を支持するように構成されているフレームアセンブリとを備えることができる。人工弁のフレームアセンブリは、人工弁の流出端において、またはその近くで終端するように設計/整形され得る複数の交連支持体(たとえば、交連ポスト、交連取付構造体、他の支持構造体など)を備え、画定し得る。任意選択で、人工インプラント/弁は、人工インプラント/弁の流入端において配設された環状封止リングを備え得る。人工インプラント/弁は、血流内腔を備えるか、または画定し得る(たとえば、フレーム、外壁、環状封止リング、などは血流内腔を形成し、周りを囲み、画定し、などのことを行い得る)。流量センサは、血流内腔内の血液の流れを感知し、その流れに基づき流量信号を発生させるように構成され得る。
【0019】
人工インプラント/弁は、上で説明されているか、または本開示の別のところで説明されている送信機アセンブリと同じであるか、または類似のものであってよい送信機アセンブリをさらに備え得る。送信機アセンブリは、流量信号を受信し、送信信号をワイヤレスに送信するように構成されるものとしてよく、送信信号は、少なくとも一部は流量信号に基づく(たとえば、送信信号は、流量信号と相関する、関係する、比例する、などの関連性を有する)。送信機アセンブリは、流量信号を増幅するように構成されている増幅器(たとえば、上で説明されているか、または本明細書の別のところで説明されている増幅器と同じであるか、または類似しているものであってよい)を備え得る。送信機アセンブリは、流量信号をフィルタリングするように構成されている少なくとも1つのフィルタを備えることができる。人工インプラント/弁は、第2の流量センサ、追加の流量センサ、および/または他のタイプのセンサをさらに備え得る。
【0020】
本明細書で説明されている流量センサは、フレームアセンブリおよび/または環状封止リンクに物理的に(たとえば、直接的に)取り付けられ得る。たとえば、流量センサは、血流内腔内の環状封止リングの内面の一部に物理的に(たとえば、直接的に)取り付けられ得る。流量センサが取り付けられている環状封止リングの内面の一部分は、複数の弁尖のうちの2つの弁尖の集束点の近くにあるものとしてよい。流量センサが取り付けられている環状封止リングの内面の一部分は、複数の弁尖のうちの1つの弁尖の中間領域のところにもあるものとしてよい。任意選択で、流量センサは、人工弁の複数の弁尖のうちの1つまたは複数の弁尖に物理的に(たとえば、直接的に)取り付けられ得る。流量センサは、複数の弁尖のうちの1つと複数の弁尖のうちの別のものとの集束領域のすぐ近くで複数の弁尖のうちの1つの一部に物理的に(たとえば、直接的に)取り付けられ得る。
【0021】
その/1つの人工インプラント(たとえば、上で説明されているか、または本開示の別のところで説明されている人工インプラント/弁と同じであるか、または類似しているもの)は、1つまたは複数の流量センサ(たとえば、上で説明されているか、または本明細書の別のところで説明されている他の流量センサと同じであるか、または類似しているもの)を備えることができる。人工インプラントが人工弁である場合に、人工弁は、複数の弁尖を備えることができる。人工インプラント/弁尖は、血流内腔を備えるか、または画定することができる。任意選択で、人工インプラント/弁は、人工インプラント/弁の流入端において配設された環状封止リングを備えるものとしてよく、環状封止リングは、血流内腔またはその一部を形成するか、画定することができる。流量センサは、血流(たとえば、冠血流)を示す人工インプラント/弁の流出側における血流を感知するように構成され得る。流量センサは、流出側の環状封止リングの外面に、または別の位置(たとえば、フレームアセンブリ上の)に物理的に(たとえば、直接的に)取り付けられ得る。流量センサは、また、人工弁の流出側のフレームアセンブリの1つまたは複数の交連支持体に物理的に(たとえば、直接的に)取り付けられ得る。
【0022】
その/1つの人工インプラント(たとえば、上で説明されているか、または本開示の別のところで説明されている人工インプラント/弁と同じであるか、または類似しているもの)は、人工インプラント/弁およびセンサデバイス(たとえば、上で説明されているか、または本明細書の別のところで説明されている他のセンサデバイスと同じであるか、または類似しているもの)の流入端に配設されている環状封止リングを備えることができる。人工インプラントは、フレームアセンブリを備えることができる。人工インプラントが人工弁である場合、人工弁は、複数の弁尖と、複数の弁尖を支持するように構成されているフレームアセンブリとを備えることができる。人工弁のフレームアセンブリは、人工弁の流出端において、またはその近くで終端するように設計/整形され得る複数の交連支持体(たとえば、交連ポスト、交連取付構造体、他の支持構造体など)を備え、画定し得る。封止リングは、中に形成される円周溝を有することができる。センサデバイスは、物理的または生理学的パラメータを感知し、センサ信号を提供するように構成され得る。人工インプラント/弁は、送信機アセンブリ(たとえば、上で説明されているか、または本明細書の別のところで説明されている送信機アセンブリと同じであるか、または類似しているもの)も備え得る。送信機アセンブリは、センサデバイスからセンサ信号を受信し、送信信号をワイヤレスに送信するように構成されるものとしてよく、送信信号は、少なくとも一部はセンサ信号に基づく(たとえば、送信信号は、センサ信号と相関する、関係する、比例する、などの関連性を有する)。送信機アセンブリは、封止リングの円周溝内に埋め込まれたリング形状の導電コイルを備え得る。導電コイルは、送信信号をワイヤレスに送信するように構成され得る。センサデバイスは、エナジーハーベスティング手段および/または電池電力などを用いる自己給電式である。
【0023】
患者監視システムは、人工インプラント/弁(たとえば、上で説明されているか、または本開示の別のところで説明されている人工インプラント/弁と同じであるか、または類似しているもの)を備えることができる。人工インプラント/弁は、インプラントデバイスであってよく、患者体内に埋め込まれるように構成され、センサデバイス(たとえば、上で説明されているか、または本明細書の別のところで説明されているセンサデバイスと同じであるか、または類似のもの)を備えることができる。人工インプラントが人工弁である場合、人工弁は、複数の弁尖と、複数の弁尖を支持するように構成されているフレームアセンブリとを備えることができる。人工弁のフレームアセンブリは、人工弁の流出端において、またはその近くで終端するように設計/整形され得る複数の交連支持体(たとえば、交連ポスト、交連取付構造体、他の支持構造体など)を備え、画定し得る。センサデバイスは、歪みゲージデバイスであってよい。人工弁では、歪みゲージデバイスは、人工弁の複数の交連支持体または別のコンポーネントのうちの1つ(たとえば、第1の交連支持体)に接続されるか(たとえば、直接的に接続されるか)、中にもしくは上に形成されるか、または他の何らかの形で関連付けられ得る。歪みゲージデバイスは、人工弁インプラントの複数の交連支持体また他のコンポーネントのうちの1つ(たとえば、第1の交連支持体)のたわみを示すセンサ信号を提供するように構成され得る。交連支持体を含まない他の人工インプラントでは、フレームアセンブリの他の支持体または部分は、たわみを検出するのと同様にして使用され得る。人工インプラント/弁は、ワイヤレス送信機アセンブリ(たとえば、上で説明されているか、または本明細書の別のところで説明されている送信機アセンブリと同じであるか、または類似しているもの)を備え得る。送信機アセンブリは、アンテナを有することができる。送信機アセンブリは、センサ信号を受信し、送信信号をワイヤレスに送信するように構成されるものとしてよく、送信信号は、少なくとも一部はセンサ信号に基づく(たとえば、送信信号は、センサ信号と相関する、関係する、比例する、などの関連性を有する)。患者監視システムは、人工インプラント/弁の送信機アセンブリまたは送信機アセンブリのアンテナとワイヤレスに結合するように構成されている受信機デバイスをさらに備えることができる。受信機デバイスは、人工インプラント/弁が患者体内に埋め込まれ、受信機デバイスが患者の体外に配置されているときに、送信信号を受信する(たとえば、信号をワイヤレスに受信する)ように構成され得る。
【0024】
人工インプラント/弁(たとえば、上で説明されているか、または本開示の別のところで説明されている人工インプラント/弁と同じであるか、または類似しているもの)を監視し、および/または人工インプラント/弁を有する患者を監視する方法は、外部受信機デバイスを患者体内に埋め込まれたその/1つの人工インプラント/弁にワイヤレスに結合するステップと、人工インプラント/弁のセンサデバイスを使用して患者に関連付けられている物理的/生理学的パラメータを測定するステップと、送信機アセンブリを使用して物理的/生理学的パラメータの測定結果に基づき信号をワイヤレスに送信するステップとを含むことができる。いくつかの実施形態において、送信機アセンブリは、人工インプラント/弁の封止リング内に埋め込まれたリング形状の導電コイルを備える。いくつかの実施形態において、この方法は、エナジーハーベスティング手段または電池電力を使用してセンサデバイスに給電するステップを含む。
【0025】
人工インプラント/弁(たとえば、上で説明されているか、または本開示の別のところで説明されている人工インプラント/弁と同じであるか、または類似しているもの)を監視し、および/または人工弁インプラントを有する患者を監視する方法は、外部受信機デバイスを患者体内に埋め込まれたその/1つの人工インプラント/弁にワイヤレスに結合するステップと、人工弁インプラントデバイスの1つまたは複数の交連支持体または他の部分/コンポーネントに関連付けられている歪みゲージを使用して人工インプラント/弁の1つまたは複数の交連支持体または他の部分/コンポーネントのたわみまたは歪みを測定するステップと、人工インプラント/弁のワイヤレス送信機アセンブリを使用して測定された変更に少なくとも一部は基づき交連変更情報を外部受信機デバイスにワイヤレスに送信するステップと、たわみ情報(たとえば、交連たわみ情報)を使用して人工インプラント/弁の機能に関係する診断情報を決定するステップとを含むことができる。診断情報は、心拍数、収縮期間、拡張期間、弁閉鎖圧力、等容性収縮、圧力変化率、血流、心腔圧力、心臓血管圧力、血圧、および他のパラメータのうちの1つまたは複数に関係し得る。
【0026】
人工インプラント/弁(たとえば、上で説明されているか、または本明細書の別のところで説明されている人工インプラント/弁と同じであるか、または類似しているもの)は、複数の弁尖、複数の弁尖を支持するように構成されているフレームアセンブリ、フレームアセンブリに取り付けられ、人工インプラント/弁の流入端において配設されている環状リング構造体、および/またはこれらのもののサブセットを含むことができる。人工インプラント/弁のフレームアセンブリは、人工インプラント/弁の流出端において、またはその近くで終端するように設計/整形され得る複数の交連支持体(たとえば、交連ポスト、交連取付構造体、他の支持構造体など)を備え、画定し得る。封止リングは、中に形成されている円周溝、電子回路、および環状リング構造体の円周部分に関連付けられているコイルを有することができる。コイルは、電磁エネルギーを受信し、電子回路に電力を供給し、ワイヤレスデータを送受信するように構成され得る。さらに、電子回路は、人工インプラント/弁に関連付けられている患者の生理学的パラメータおよびインプラント/弁の機械的または機能的パラメータのうちの1つまたは複数を感知するように構成され得る。電子回路は、感知されたパラメータ(たとえば、生理学的、機械的、または機能的パラメータ)を外部受信機ユニットに伝達するようにさらに構成され得る。
【0027】
人工弁輪形成リングは、上で説明されているか、または本明細書の別のところで説明されている人工インプラント/弁に関して説明されているのと同じであるか、または類似している特徴を備えることができる。人工弁輪形成リングは、リング構造体(たとえば、環状封止リング構造体)と、1つまたは複数の電極(および/または別のタイプのセンサデバイス)を備えることができる。たとえば、人工弁輪形成リングは、環状封止リング構造体に関連付けられ得る第1の電極を備えることができ、電気的インパルスを検出するように構成され得る。人工弁輪形成リングは、環状封止リング構造体に関連付けられ得る第2の電極を備えることができ、電気的インパルスを検出するように構成され得る。第2の電極は、第1の電極に電気的に結合され得る。人工弁輪形成リングは、第1の電極および/または第2の電極に類似するものとしてよい、および電気的に結合されてもよい追加の電極も備え得る。人工弁輪形成リングは、第1の電極と第2の電極(および/または追加の電極)との間の電圧差を増幅し、増幅された信号を提供するように構成されている増幅器も備え得る。人工弁輪形成リングは、増幅された信号を受信し、送信信号をワイヤレスに送信するように構成され得る送信機アセンブリ(たとえば、上で説明されているか、または本明細書の別のところで説明されている送信機アセンブリと同じであるか、または類似しているもの)も備えることができ、送信信号は、少なくとも一部は増幅された信号に基づく(たとえば、送信信号は、増幅された信号と相関する、関係する、比例する、などの関連性を有する)。
【0028】
様々な実施形態が、例示することを目的として添付図面に示されており、決して本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきでない。それに加えて、異なる開示されている実施形態の様々な特徴を組み合わせることで、本開示の一部となる、追加の実施形態を形成することができる。図面全体を通し、参照要素の間の一般的対応関係を示すために参照番号が再利用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】1つまたは複数の実施形態による中に埋め込まれている外科人工心臓弁を有する心臓の断面図である。
図2図1に示されている大動脈弁の拡大図である。
図3】1つまたは複数の実施形態によるインプラント患者の進行中の健康状態を監視するためのシステムを示す図である。
図4】1つまたは複数の実施形態による埋め込み可能なセンサデバイスを表すブロック図である。
図5A】1つまたは複数の実施形態による抵抗センサデバイスの回路図である。
図5B】1つまたは複数の実施形態による抵抗センサデバイスの平面図である。
図5C】1つまたは複数の実施形態による抵抗センサデバイスの断面図である。
図6A】1つまたは複数の実施形態による容量センサの回路図である。
図6B】1つまたは複数の実施形態による容量センサの回路図である。
図6C】1つまたは複数の実施形態による容量センサの断面図である。
図7】1つまたは複数の実施形態による外部ローカルモニタシステムを示すブロック図である。
図8】1つまたは複数の実施形態による電力および/またはデータ通信システムを示す図である。
図9】1つまたは複数の実施形態による埋め込まれたセンサモジュールと結合するために使用され得る外部コイルデバイスの一実施形態を示す図である。
図10】1つまたは複数の実施形態による手術後患者監視のためのセンサおよび/またはワイヤレス送信機能を備える人工心臓弁の斜視図である。
図11図10に示されている人工心臓弁の上面図である。
図12】1つまたは複数の実施形態による図10の人工心臓弁の分解斜視図である。
図13】1つまたは複数の実施形態による図10の人工心臓弁の別の部分分解図である。
図14A】1つまたは複数の実施形態によるそれと関連付けられている電子センサデバイスを有するインプラントデバイスを示す図である。
図14B】1つまたは複数の実施形態によるそれと関連付けられている電子センサデバイスを有するインプラントデバイスを示す図である。
図15】1つまたは複数の実施形態によるステント部材アセンブリを示す図である。
図16A】本明細書で開示されている1つまたは複数の実施形態による心臓弁アセンブリの上面図である。
図16B】1つまたは複数の実施形態による図16Aの心臓弁アセンブリの断面図である。
図16C】1つまたは複数の実施形態による図16Bの断面の一部の拡大図である。
図17】1つまたは複数の実施形態による送信機アセンブリを示す図である。
図18A】それに関連付けられているデータおよび/または電力伝達のためのアンテナコイルを有するインプラントデバイスの様々な実施形態を示す図である。
図18B】それに関連付けられているデータおよび/または電力伝達のためのアンテナコイルを有するインプラントデバイスの様々な実施形態を示す図である。
図18C】それに関連付けられているデータおよび/または電力伝達のためのアンテナコイルを有するインプラントデバイスの様々な実施形態を示す図である。
図18D】それに関連付けられているデータおよび/または電力伝達のためのアンテナコイルを有するインプラントデバイスの様々な実施形態を示す図である。
図18E】それに関連付けられているデータおよび/または電力伝達のためのアンテナコイルを有するインプラントデバイスの様々な実施形態を示す図である。
図18F】それに関連付けられているデータおよび/または電力伝達のためのアンテナコイルを有するインプラントデバイスの様々な実施形態を示す図である。
図19A図18Aのインプラントデバイスのアンテナ構造体の断面図である。
図19B図18Bのインプラントデバイスのアンテナ構造体の断面図である。
図19C図18Cのインプラントデバイスのアンテナ構造体の断面図である。
図19D図18Dのインプラントデバイスのアンテナ構造体の断面図である。
図20】1つまたは複数の実施形態による一体化された交連たわみセンサを有する心臓弁の側面図である。
図21】1つまたは複数の実施形態によるインプラントデバイスのためのステント部材の斜視図である。
図22】一実施形態による歪みゲージ一体化インプラントデバイスに関連付けられている実験結果を示すグラフである。
図23】一実施形態による歪みゲージ一体化インプラントデバイスに関連付けられている実験結果を示すグラフである。
図24】一実施形態による歪みゲージ一体化インプラントデバイスに関連付けられている実験結果を示すグラフである。
図25】1つまたは複数の実施形態による流体流路内に配設されている弁インプラントの側面図である。
図26】1つまたは複数の実施形態による圧電デバイスを表す図である。
図27】1つまたは複数の実施形態による多層圧電ポリマー発電機アセンブリの切欠図である。
図28】1つまたは複数の実施形態による発電機弁ステントポストアセンブリを示す図である。
図29】1つまたは複数の実施形態による弁インプラントデバイスの斜視図である。
図30】1つまたは複数の実施形態による自己給電式センサモジュールのブロック図である。
図31】1つまたは複数の実施形態による心臓弁インプラントデバイスのためのステント部材の斜視図である。
図32】1つまたは複数の実施形態による圧電一体化可撓性ステントバンド構造体の側断面図である。
図33】一実施形態による圧電一体化インプラントデバイスに関連付けられている実験結果を示すグラフである。
図34】一実施形態による圧電一体化インプラントデバイスに関連付けられている実験結果を示すグラフである。
図35】1つまたは複数の実施形態によるそれに関連付けられている手術後インプラントデバイスおよび/または患者を監視するためのプロセスを示す流れ図である。
図36】1つまたは複数の実施形態によるそれに関連付けられている手術後インプラントデバイスおよび/または患者を監視するためのプロセスを示す流れ図である。
図37】1つまたは複数の実施形態による経カテーテル心臓弁およびセンサアセンブリの斜視図である。
図38】1つまたは複数の実施形態による圧縮状態にある図37の経カテーテル心臓弁およびセンサアセンブリの斜視図である。
図39】1つまたは複数の実施形態による弁インプラントデバイスの斜視図である。
図40】1つまたは複数の実施形態による弁輪形成リングを示す図である。
図41】一実施形態によるECG一体化インプラントデバイスに関連付けられている実験結果を示すグラフである。
図42】一実施形態によるECG一体化インプラントデバイスに関連付けられている実験結果を示すグラフである。
図43】1つまたは複数の実施形態によるそれとともに組み込まれている1つまたは複数の流量センサを有するインプラントデバイスの底面図である。
図44】1つまたは複数の実施形態による血管内に埋め込まれた流量センサ一体化心臓弁の斜視図である。
図45】1つまたは複数の実施形態によるセンサ一体化弁インプラントデバイスの一実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本明細書で用意されている見出しは、便宜上のものにすぎず、請求されている発明の範囲または意味に必ずしも影響しない。
【0031】
以下では特定の好ましい実施形態および例が開示されているが、本発明の主題は、具体的に開示されている実施形態を超えて、他の代替的実施形態および/または用途、ならびにその変更形態および等価物に拡大適用される。そこで、ここから生じ得る請求項の範囲は、以下で説明されている特定の実施形態のどれにも制限されない。たとえば、本明細書で開示されている方法またはプロセスにおいて、この方法またはプロセスの活動または動作は、好適な順序で実行されるものとしてよく、必ずしも特定の開示されている順序に制限されない。様々な動作は、次いでいくつかの実施形態の理解に役立ち得る形で、複数の離散的な動作として記述することができるが、記述の順序は、これらの動作が順序に依存することを意味すると解釈されるべきでない。それに加えて、本明細書で説明されている構造、システム、および/またはデバイスは、一体型コンポーネントとして、または個別のコンポーネントとして具現化され得る。様々な実施形態を比較することを目的として、これらの実施形態のいくつかの態様および利点が説明される。必ずしもそのようなすべての態様または利点が特定の実施形態によって達成されるとは限らない。そこで、たとえば、様々な実施形態は、本明細書でも教示または示唆され得るような他の態様または利点を必ずしも達成することなく本明細書で教示されているような1つの利点または複数の利点の群を達成または最適化する形で実施され得る。例示的な一実施形態に関して説明されている特徴は、この実施形態に関して特には説明されていないとしても本明細書で開示されている他の実施形態に組み込まれ得る。
【0032】
概要
人間および他の脊椎動物では、心臓は、一般的に、4つのポンプ室を有する筋肉性の器官を含み、その流れは、少なくとも部分的に様々な心臓弁、すなわち、大動脈弁、僧帽弁(二尖弁)、三尖弁、および肺動脈弁によって制御される。これらの弁は、心周期の様々な段階(たとえば、弛緩および収縮)において存在する圧力勾配に応じて開閉し、心臓のそれぞれの領域および/または血管(たとえば、肺動脈幹、大動脈など)への血液の流れを少なくとも部分的に制御するように構成され得る。
【0033】
心臓弁は、一般的に、本明細書において輪と称される、比較的密度の高い線維輪、さらには輪に取り付けられている複数の弁尖または先端を備え得る。いくつかの弁は、弁尖を固定する腱索および乳頭筋の集合体をさらに含み得る。一般的に、弁尖または先端のサイズは、心臓が収縮したときにその結果対応する心腔内に生じる血圧増大が弁尖を少なくとも部分的に開かせて心腔からの流れを許すようなサイズであり得る。心腔内の圧力が正常なレベルに戻るにつれ、その後の室または血管内の圧力は支配的なものとなり、再び弁尖を圧迫するようになり得る。その結果、弁尖/先端は互いに同格になり、それによって、流路を閉じ得る。
【0034】
心臓弁膜症は、心臓の弁の1つまたは複数が適切に機能できなくなる病状を代表するものである。疾患のある心臓弁は、血液の適量の前方流が弁を通るのを許すほどには弁が十分に開かない場合に、狭窄として、および/または弁が閉じられたときに、弁が完全に閉じず、血液の過剰な逆流が弁を通ることを引き起こす場合に、閉鎖不全として分類され得る。いくつかの病状において、弁疾患は、重症の衰弱を引き起こし、処置しないままだと命にすらかかわり得る。
【0035】
人工心臓インプラントを疾患のある、または損傷した弁の輪に固定するステップを含む、疾患のある、または損傷した弁を置換するか、または修復するために様々な外科技術が使用され得る。人工心臓インプラントは、機械的人工心臓弁、弁付き導管、弁輪形成リング、ステント、グラフトなどを含み得る。弁置換術では、損傷した弁尖は切除され、置換弁を受け入れるように輪が彫られ得る。
【0036】
人工心臓弁は、様々な合成および/または生体由来の材料/組織から作製され得る。人工心臓弁は、心臓のオリフィスまたは輪の1つに独立して埋め込まれ得るか、または弁に沿って延在する流れ導管に他の何らかの形で結合され得る。たとえば、弁付き導管は、弁それ自体の機能を置換することに加えて、上行大動脈などの、大動脈弁の上および下の流路の一部分の再形成用に設計され得る。患者システム内へのセンサの導入は、外科的手段または低侵襲手段を通じてなされ得る。
【0037】
心臓弁インプラントを受ける患者は、手術後合併症を被る可能性がある。たとえば、患者は、特に、インプラント手術の後30日または60日以内に合併症を生じやすい。しかしながら、そのような期間には、患者は病院または拡張看護施設/システム内にもはやいない可能性があり、したがって、合併症が生じることで、看護施設/システムに再入院する必要が生じ、潜在的に患者治療全体に対するコストが著しく増加する可能性がある。さらに、患者が入院治療を必要とすると解釈する認知可能な症状を通じて合併症が現れるまで合併症を認識することができないので患者の再入院が遅れる結果、健康上のリスクが高まり得る。
【0038】
本明細書では、場合によっては関連する病院または介護施設の外の環境を含む、人工心臓弁インプラント移植者を手術後に監視するためのシステム、デバイス、および方法が開示される。本明細書で開示されているいくつかの実施形態は、患者の心臓弁および/または心臓の1つまたは複数の症状を感知するための一体化された感知機能を含む心臓弁デバイス/システムを提供する。心臓弁は、弁内のセンサシステムからそのような感知されたパラメータ(たとえば、重大な患者問題)をいくつかの実施形態において患者が携帯できる、近くの、または遠くのワイヤレス受信機デバイスにワイヤレスに伝達するように構成され得る。受信機は、受信されたセンサ情報に関連付けられている情報を、離れた場所にある病院または介護施設監視システムなどの、ケアプロバイダシステムに伝達するように構成され得る。本明細書で開示されている原理によるセンサ統合インプラントデバイスは、外科弁(たとえば、大動脈弁または僧帽弁)、経カテーテル心臓弁(THV)、弁輪形成リング(たとえば、僧帽弁、三尖弁)、ペースメーカー(たとえば、電気的リードと接続されている)、または同様のものを含むことができるか、または代替的に、弁もしくは他のインプラントデバイスと統合されていないスタンドアロンのセンサデバイスに適用可能であり得る。
【0039】
センサ対応心臓弁インプラントによって追跡され得る生理学的パラメータは、不整脈、血圧、心拍出量(たとえば、エコーセンサ、誘導、心弾動図、もしくは同様のもの)、および/または他のパラメータを含むことができる。さらに、本明細書で開示されているインプラントデバイスは、歪みゲージ、圧力センサ、光学センサ、音センサ、位置センサ、加速度センサ、または他のタイプのセンサなどの、所望の、または実用的なタイプのセンサを組み込むことができる。一体化されたインプラントセンサは、有利には、患者の体外に配設されている受信機デバイス(たとえば、ボックス)にワイヤレスに送信され得る電気信号を発生させるように構成され得る。いくつかの実施形態において、受信機デバイスは、少なくとも一部はこれらの信号に基づく情報を離れた場所にある介護者システム/事業体に転送するように構成される。
【0040】
いくつかの実施形態において、インプラントデバイスに関連付けられているセンサデバイスは、圧力および/または電気的活動を感知し得る。たとえば、圧力は、インプラントがどの程度正常に機能しているかに関する情報、さらには場合によっては水分補給に関する情報をもたらし得る。電気的活動センサは、不整脈または他の病状を検出するために使用される情報を提供することができる。本開示によりデバイス内に一体化されている圧力センサは、たとえば、インプラントフレーム内に一体化され得る、微小電気機械(MEMS)デバイス(たとえば、加速度計)を含み得る。いくつかの実施形態において、2つまたはそれ以上のセンサが利用され得る。一例として、弁インプラントの流入端と流出端との間の差圧を測定するために複数のセンサが使用されるものとしてよく、これは血液逆流に関する情報を提供することができる。
【0041】
本開示の実施形態によるインプラントデバイスに一体化されているセンサおよび/または送信機は、限定された監視時間期間の間(たとえば、90から120日間)動作すればよいだけであり、したがって、リチウムイオン電池またはマグネシウム系電池などの、電池を使用する給電が可能であり得る。たとえば、電池は、体液(たとえば、血液)と少なくとも部分的に接触するカソードなどのマグネシウム片を使用することができるが、これは電力を発生させるにつれ劣化し得る。いくつかの実施形態において、誘導、無線周波数(RF)、または他のタイプのワイヤレス電力送信を通じて電力を供給するように構成されている外部電源が使用され得る。いくつかの実施形態において、内部充電式電池またはコンデンサ(たとえば、スーパーキャパシタ)が、充電と充電との間の限定された蓄電に使用され得る。そのような電力送信機は、外部データ受信機と一体化され得る。いくつかの実施形態において、インプラント/センサデバイスのフレームの一部は、電力送信用のアンテナとして使用され得る。それに加えて、または代替的に、患者の身体移動は、1つまたは複数の圧電MEMSデバイス(たとえば、歪みゲージ、加速度計)を使用することなどによって、電力を発生させるために使用され得る。
【0042】
埋め込み可能なセンサデバイスのいくつかの実施形態は、センサ動作および/または環境条件からのデータの送信のための電力を発生させるエナジーハーベスティング機能を備える。たとえば、それに関連付けられているセンサを有する人工心臓弁などの、埋め込み可能なセンサデバイスは、圧電センサもしくはデバイス、または他の受動的発電機を備えるか、または関連付けられるものとしてよく、圧電センサ/デバイスは、流体圧力または他の外部刺激に応答して電気信号を発生させるように構成される。圧電センサは、有利には、交連ポストまたは関連付けられている特徴などの、人工弁インプラントの1つまたは複数の構造的特徴と一体化され得る。センサによって発生させる電力は、インプラント一体化生理学的センサの機能に給電するのに十分であり得るか、または内部または外部にあってよい、別の電源を補助する働きをするものとしてよい。
【0043】
いくつかの実施形態において、インプラント一体化センサデバイスは、実質的に連続的に稼動するように構成され得る。代替的に、センサは所定の間隔でのみ稼動し、これにより連続運転に比べて節電し得る。いくつかの実施形態において、測定された条件に基づき動作のタイミングおよび/または持続時間を決定するためのコントローラ論理回路がインプラント/センサと一体化され得る。いくつかの実施形態において、センサは、外部データ/電力通信デバイスとワイヤレスに結合されたときのみ動作し得る。デバイスが外部デバイスに結合されていないときでもセンサがデータを収集する実施形態において、インプラント/センサが中間期間に収集済みのデータを記憶するためフラッシュメモリ、メモリスタ、または他の低電力メモリなどのデータストレージを備えることが必須であるか、または望ましいことであり得る。
【0044】
いくつかの実施形態は、外部電力/データ転送デバイスと接続して動作し、これは胸帯を使用する、または同様のことなどによって、患者が(継続的に)携帯できる十分に小さいものであり得る。いくつかの実施形態において、外部デバイスは、入出力(I/O)および/または電力用の1つまたは複数のアンテナを有するパッチまたはバンドを備え、残りの回路は、別個のボックスまたはデバイス内に収容され得る。いくつかの実施形態において、外部デバイスは、アームストラップ装着デバイス、胸帯装着デバイス、または患者のポケットに収まり得るデバイスを含むことができる。Bluetooth(登録商標)、近距離無線通信(NFC)、または他の低電力技術もしくはプロトコルは、外部デバイスおよび/またはインプラント/センサをスマートフォンもしくは他のコンピューティングデバイスに接続してデータを病院もしくは他のデータ収集会社に送信するために使用され得る。いくつかの実施形態において、外部デバイスは、ベッドのところ、またはその近くに配置されるように設計されているマットを備えることができ、マットは、データを収集し、たとえば患者が眠っている間に送信することができる。
【0045】
本明細書で開示されているいくつかの実施形態は、血流流動誘発振動および支持フレームの移動からエネルギーを収穫して血圧センサ、血糖測定装置、ペースメーカー、および同様のものなどの、電子式埋め込み可能医療用デバイスに給電するために人工心臓弁上に一体化されている積層圧電ポリマー発電機を備える。
【0046】
人工インプラント
本明細書で開示されているインプラント/弁監視デバイスおよびシステムの実施形態は、外科手段または経カテーテル手段を使用して埋め込まれるかどうかに関係なく、任意のタイプのインプラント/弁(たとえば、任意のタイプの心臓弁、生体適合性インプラント、弁輪形成リング、またはグラフトなど)に関して適用可能であり得る。本開示の大半は、人工弁または人工心臓弁の例に主眼を置いているが、原理、コンセプト、および特徴は、様々なタイプの他の人工インプラントに適用可能であり、人工弁または他の人工インプラントを伴う様々な方法において使用され得る。
【0047】
図1は、1つまたは複数の実施形態により心臓1内に埋め込まれている外科人工心臓弁10の概略図である。例示されている弁10は、大動脈弁インプラントであるが、センサおよび/または送信機能を有するインプラントデバイスに関係する本明細書で開示されている様々な特徴および実施形態は、限定はしないが、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁、下もしくは上大静脈もしくは肺動脈幹のインプラント、静脈弁などを含む任意のタイプのインプラントデバイスに適用可能であるものとしてよい。いくつかの実施形態において、心臓弁10は、本明細書で説明されているように、1つまたは複数の生理学的パラメータを測定/感知するための1つまたは複数のセンサ(図示せず)を備えることができる。心臓弁10は、外部受信機デバイスへの応答としてセンサに関連付けられている信号をワイヤレスに送信するための手段をさらに備えることができ、そのような手段は、たとえば、ワイヤレス送信機またはトランシーバを備えることができる。
【0048】
心臓弁10は、反対方向への流体流を抑制しながら、大動脈心臓弁に関して心臓の外へ向かうなどの、一方向への流体流を許すように機能し得る。心臓1は、4つの心腔、すなわち、左心房2、左心室3、右心室4、および右心房5を備えている。心臓1は、右心房5を右心室4から分離する、三尖弁8を含む、中の血液の循環を助けるための4つの弁をさらに備える。三尖弁8は、一般的に、3つの先端または弁尖を有するものとしてよく、一般的に、心室収縮(すなわち、収縮期)に閉鎖し、心室拡張(すなわち、拡張期)に開くものとしてよい。肺動脈弁9は、右心室4を肺動脈から分離し、血液がポンプで肺に送られるように収縮期に開き、血液が肺動脈から心臓内に漏れて逆流するのを防ぐように拡張期に閉鎖するように構成され得る。肺動脈弁9は、各1つは三日月に似ている3つの先端/弁尖を有する。僧帽弁6は、2つの先端/弁尖を有し、左心房2を左心室3から分離する。僧帽弁6は、左心房2内の血液が左心室3内に流れ込み得るように拡張期に開き、血液が漏れて左心房2内に逆流するのを防ぐために拡張期に閉じるように構成される。大動脈弁7は、左心室3を大動脈12から分離する。大動脈弁7は、血液が左心室3を出て大動脈12内に入るのを許すように収縮期に開き、血液が漏れて左心室3内に逆流するのを防ぐために拡張期に閉じるように構成される。
【0049】
心臓弁10は、大動脈弁7に埋め込まれるように図示されている、例示的な外科人工心臓弁を表している。しかしながら、本明細書で開示されているような心臓弁は、任意のタイプの心臓弁(たとえば、大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、および/または肺動脈弁)であってよく、説明は、他のタイプの人工インプラントにも当てはまり得ることが理解されるであろう。図2は、図1に示されている大動脈弁7の拡大図を示している。大動脈弁7は、フローオリフィス内への出っ張り部として内向きに延在する線維輪を備える、大動脈弁輪11を備え、これは上に配設されている(たとえば、縫合されている)人工心臓弁10とともに見られる。弁置換の前に、自然弁尖は、弁輪11から内向きに延在し、フローオリフィス内で一緒になって、流出方向(たとえば、図2の上方方向)の流れを許し、流入方向(たとえば、図2の下方方向)に向かう還流または逆流を防ぎ得る。
【0050】
外科心臓インプラント手技では、大動脈は切開され、弁置換手術において、欠陥弁は取り除かれ、弁輪を含み得る所望の留置部位を残すことができる。縫合糸は、輪の線維組織または所望の留置部位に通されて縫合糸配列を形成し得る。縫合糸の自由端は、人工心臓弁の縫合糸を通せる封止縁に個別に縫い通され得る。経カテーテル心臓インプラント手技は、人工弁を経皮的に送達するステップを伴ってよく、弁は、埋め込まれるときに送達時の折り畳まれた構成から拡張した構成に遷移することができるものとしてよい。たとえば、他の位置にある他の人工インプラントとともに、類似の技術が使用されてもよい。
【0051】
患者監視
埋め込まれた人工心臓弁の有効性は、圧力の測定値、弁を通る流体流量、および/または心拍出量および/または一般に心臓機能の指示を提供することができる他の機構に基づき測定され得る。心臓/弁性能の短時間監視は、圧力勾配、および同様のものなどの、他の計算値を導出するために使用され得る、エコーベースの技術(たとえば、超音波など)を使用して弁を通る流体流の速度を測定するステップなどを通じて様々な仕方で実行され得る。撮像技術(たとえば、CTスキャンまたはX線)は、血液容量などを決定するために使用され得る、心臓弁の開閉に関係する情報を提供することができる。
【0052】
個人が一定期間にわたって心臓機能障害を経験したときに、新しい人工心臓弁への移行は、いくぶん長引く可能性がある。したがって、短時間の心臓/弁監視は、外科手術中およびその直後に実行されてよいが、手術後長期間にわたって心臓/弁機能を継続的に監視することが必要であるか、または望ましいことであり得る。それに加えて、インプラント患者は、多くの場合に、回復過程を補助するために様々な投薬量を処方されている。しかしながら、不適切な投薬量は、できる限り速やかに解決されるべき心臓/弁合併症として現れ得る。
【0053】
したがって、少なくともこれらの理由から、手術後15日、30日、45日、60日、90日、または他の何らかの期間など、一定期間にわたる手術後監視(たとえば、連続監視)が望ましいと思われる。たとえば、継続的監視は、機能不全の兆候が現れる前に、薬剤/投薬量を変更することによって、患者の回復に介入する機会をもたらすことができ、したがって、早期の検出および対処が可能であり得る。心臓弁インプラント外科手術から生じる可能性のある合併症は、駆出分画の減少、圧力の望ましくない変化もしくは圧力調節機能不全、不規則な心臓の鼓動(たとえば、外科的切開によって引き起こされる)、さらには他の病状を含み得る。いくつかの実施形態は、そのような病状に関係するパラメータを監視するための1つまたは複数センサ、さらにはそのような情報を1つまたは複数の外部システムおよび/またはサブシステムに伝達するための機構を備えるように構成されている心臓弁を実現する。
【0054】
ワイヤレス監視システム
上で詳しく説明されているように、心臓弁インプラントを受け入れる患者は、比較的遅い合併症を経験し得る(たとえば、外科手術から30~60日の間、または90日以内)。回復過程のそのような時点において、患者は病院または拡張看護システムを出てしまっている可能性があり、したがって、合併症が生じることで、患者が看護システムに再入院する必要が生じ、潜在的に患者治療全体に対するコストが著しく増加する可能性がある。本明細書で開示されているのは、重大な患者の問題を埋め込まれたデバイスから患者の治療で介護人および/または患者によって利用され得る1つまたは複数の外部デバイス/システムに伝達することを可能にする、一体化されたセンサおよびワイヤレス通信技術を有する人工心臓弁を備えているなど、患者監視デバイスおよびシステムである。たとえば、置換心臓弁デバイスは、1つまたは複数の比較的小さいセンサを組み込むことができ、これは弁もしくは他のインプラントとともに組み込まれるか、またはそれらと他の何らかの形で関連付けられ得る。
【0055】
図3は、1つまたは複数の実施形態による患者315の進行中の健康状態を監視するためのシステム300を示している。患者315は、患者の、たとえば心臓(図示せず)、もしくは関連付けられている生理機能内に埋め込まれている人工インプラント/インプラントデバイス310を有することができる。たとえば、インプラントデバイス310は、本明細書で詳しく説明されているような、大動脈心臓弁などの、人工心臓弁であってよい。インプラントデバイス310は、MEMS圧力センサ、または同様のものなどの、1つまたは複数の微小電気機械システム(MEMS)デバイスなどの、1つまたは複数のセンサデバイス320を備えることができる。
【0056】
いくつかの実施形態において、監視システム300は、1つまたは複数の生理学的パラメータセンサ(たとえば、MEMS圧力センサ)、さらには1つまたは複数のマイクロコントローラ、ディスクリート電子コンポーネント、および電源および/またはデータ送信機(たとえば、アンテナコイル)と一体化された置換心臓弁を備える埋め込み可能な内部サブシステムを含む、少なくとも2つのサブシステムを備えることができる。監視システム300は、患者/医師コントローラまたはモニタデバイスに電気的におよび/または通信可能に結合されているマッチする外部受信機(たとえば、コイル)を備える外部(たとえば、埋め込み不能な)サブシステムをさらに具備することができる。いくつかの実施形態において、内部システムおよび外部システムは両方とも、間に配設されている患者組織を通じてワイヤレス通信および/または電力送達を行うための対応するコイルアンテナを備える。
【0057】
インプラントデバイス310は、任意のタイプのインプラントデバイスであってよい。たとえば、インプラントデバイス310は、Edwards Lifesciences社によって生産されている、Magna Mitral Ease弁などの、人工心臓弁であってよい。いくつかの実施形態において、インプラントデバイス310は、置換心臓弁として機能する受動的インプラントを備え、弁は、特定の局所心臓機能および/または測定基準を監視するための機能と一体化される。
【0058】
インプラントデバイス310のいくつかの細部が、図示されている拡大されたブロック310内に例示されている。インプラントデバイス310は、本明細書で説明されているような弁構造特徴またはコンポーネント307を備えることができる。たとえば、弁構造体307は、本明細書で説明されているような人工大動脈弁デバイスと整合し得るような、1つまたは複数の弁尖、フレーム、バンド、リング、および/または同様のものを含み得る。いくつかの実施形態において、インプラントデバイス310の他のコンポーネントのうちの1つまたは複数は、インプラントデバイス310の物理的構造体307と一体化され得る。たとえば、1つまたは複数のアンテナ、送信路、コイル、電線、または同様のものが、デバイス310の封止リングまたはフレームなどのインプラントデバイスの剛性構造体と一体化され得る。
【0059】
いくつかのコンポーネントが図3にインプラントデバイス310の一部として例示されているが、インプラントデバイス310は、例示されているコンポーネント/モジュールのサブセットのみを含むものとしてよく、さらに、例示されていない追加のコンポーネント/モジュールを含み得る。インプラントデバイス310は、インプラントデバイスおよび患者315の関連する器官/体の一部(たとえば、心臓)の機能/一体化と関連付けられている1つまたは複数のパラメータなどの、患者315の1つまたは複数の生理学的パラメータを示す応答をもたらすように構成され得る、1つまたは複数のセンサ320を備える。センサ320は、インプラントデバイス310に関連付けられている生理学的パラメータまたは病状に関係する信号を提供するための好適なまたは望ましいセンサを備えることができる。一体化されたセンサ320に関して、インプラントデバイス310は、有利には、埋め込むための別の手技を必要とする別個の独立したデバイスを必要とすることなくセンサ機能を実現することができる。
【0060】
いくつかの実施形態において、センサ320は、肺動脈圧(PAP)測定デバイスなどの、圧力センサを含む。センサ320は、それに加えて、または代替的に、1つまたは複数の光学センサ、圧電センサ、電磁センサ、歪みセンサ/ゲージ、加速度計、ジャイロスコープ、および/または他のタイプのセンサを含むことができ、これらはインプラントデバイスの機能に関連する1つまたは複数のパラメータを感知するために患者315の体内に位置決めされ得る。センサ信号は、不整脈、血圧、心拍出量(たとえば、エコーセンサによって測定されるような)、誘導、または心弾動図を追跡するために使用され得る。一実施形態において、センサ320は、容量性またはピエゾ抵抗性のいずれかであり得る、MEMS圧力センサを含み、センサは、特定用途向け集積回路(ASIC)マイクロコントローラに結合される。センサ320は、ポリイミド可撓性回路基板に取り付けられるものとしてよく、同調コンデンサまたは同様のものなどの、1つまたは複数のディスクリート電子コンポーネントをさらに伴い得る。いくつかの実施形態において、センサ320は、心臓に由来する電気的インパルスを検出するための1つまたは複数の電極を備える。
【0061】
いくつかの実施形態において、センサ320は、例示されているローカルモニタデバイス/システム350などの、患者の身体の外側にあるボックス/デバイスにワイヤレスに送信され得る電気信号を発生させるように構成され得る。そのようなワイヤレスデータ送信を実行するために、インプラントデバイス310は、アンテナ395を含む送信機330などの、無線周波数(RF)送信回路を備えることができる。アンテナ395は、患者体内に埋め込まれている内部アンテナコイルを備えることができる。送信機330は、導線、コイル、プレート、または同様のものなどの、電磁信号を放射するか、または送信するように構成されている任意のタイプのトランスデューサを備えることができる。圧力センサを備える実施形態に関して、圧力感知要素(たとえば、静電容量)の変化による電圧変化は、インプラントデバイス310と結合されて外部アンテナ355との間の誘導結合の変動性により少なくともいくぶん減衰され得る。そのような信号減衰があるため、少なくとも部分的にセンサ320の配置を比較的強度の低い、またはあまり頻繁でない生理学的移動に関連付けられている部位に限定することになり得る。
【0062】
インプラントデバイス310によって発生させるワイヤレス信号は、少なくとも部分的に患者315の体内に配設されている、インプラントデバイス310からワイヤレス信号送信を受信するように構成されているトランシーバモジュール353を備えることができる、ローカルの外部モニタデバイスまたはサブシステム350によって受信されるものとしてよい。外部ローカルモニタ350は、ワイヤレス信号送信を受信し、および/またはコイルなどの、外部アンテナ355を使用してワイヤレス電力を供給することができる。トランシーバ353は、センサ320から信号を受信し増幅するように構成されているRFフロントエンド回路を備えることができ、そのような回路は、1つまたは複数のフィルタ(たとえば、バンドパスフィルタ)、増幅器(たとえば、低雑音増幅器)、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)および/またはデジタル制御インターフェース回路、位相ロックループ(PLL)回路、信号ミキサ、または同様のものを含み得る。トランシーバ353は、ネットワーク375上で信号をリモートモニタサブシステムまたはデバイス360に送信するようにさらに構成され得る。トランシーバ353のRF回路は、ネットワーク375上で送信された信号の処置/処理のためおよび/またはインプラントデバイス310から信号を受信するためにデジタル/アナログコンバータ(DAS)回路、電力増幅器、ローパスフィルタ、アンテナスイッチモジュール、アンテナ、または同様のもののうちの1つまたは複数をさらに備えることができる。いくつかの実施形態において、ローカルモニタ350は、インプラントデバイスから受信された信号の処理を実行し、および/またはRF回路動作を制御するためのコントローラ回路を備える。ローカルモニタ350は、Ethernet(登録商標)、Wi-Fi、または同様のものなどの、知られているネットワークプロトコルに従ってネットワーク375と通信するように構成され得る。いくつかの実施形態において、ローカルモニタ350は、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、もしくは他のモバイルコンピューティングデバイス、または他のタイプのコンピューティングデバイスである。
【0063】
インプラントデバイス310は、たとえば、デバイス310を使用して発生させおよび/または送信される信号に対してある量の処理を実行するように構成されている1つまたは複数のチップまたはダイを含むことができる、コントローラ回路313を備えることができる。しかしながら、サイズ、コスト、および/または他の制約条件により、インプラントデバイス310は、いくつかの実施形態では独立した処理機能を備えなくてもよい。
【0064】
いくつかの実施形態において、インプラントデバイスは、揮発性および/または不揮発性のある量のデータストレージを備えることができる、データストレージモジュール314を備える。たとえば、データストレージ314は、フローティングゲートトランジスタを利用するソリッドステートメモリ、または同様のものを含み得る。コントローラ回路313は、一定期間にわたって収集された感知データを記憶するためにデータストレージモジュール314を利用することができ、記憶されたデータは、定期的にローカルモニタ350または他の外部サブシステムに送信され得る。いくつかの実施形態において、インプラントデバイス310は、いかなるデータストレージをも備えない。上で説明されているように、インプラントデバイス310は、センサ320によって生成されるデータ、またはそれに関連付けられている他のデータをワイヤレスに送信することを目的として送信機回路330を備えて構成される。インプラントデバイス310は、ローカルモニタ350から、またはたとえば、ネットワーク375上でリモートモニタ360からなど、1つまたは複数の外部サブシステムから入力を受信するための受信機回路335をさらに備えることができる。たとえば、インプラントデバイス310は、1つまたは複数のコンポーネントもしくはセンサをアクティベート/デアクティベートすることによって、またはインプラントデバイス310の動作もしくは実行に他の何らかの形で影響を及ぼすことによって、などで、インプラントデバイス310の動作を少なくとも部分的に制御する信号を受信することができる。
【0065】
インプラントデバイス310の1つまたは複数のコンポーネントは、1つまたは複数の電源340によって給電され得る。サイズ、コスト、および/または電気系統の複雑さの問題により、電源340は本質的に比較的ミニマリスティックであることが望ましいことがある。たとえば、インプラントデバイス310における大電力駆動電圧および/または電流は、インプラントデバイスおよび/またはインプラントデバイスに関連付けられている心臓もしくは他の身体部分の動作に悪影響を及ぼすか、または干渉する可能性がある。いくつかの実施形態において、電源340は、本質的に少なくとも部分的に受動的であり、したがって電力は短距離、もしくは近距離ワイヤレス電力送信、または他の電磁結合機構を使用することなどによって、インプラントデバイス310の受動回路によってワイヤレスに外部電源から受信され得る。たとえば、ローカルモニタ350は、電力をインプラントデバイス310に供給することができるRF場を能動的に発生させるイニシエータとして働くことができ、それによってインプラントデバイスの電源回路は比較的単純なフォームファクタをとり得る。いくつかの実施形態において、電源340は、流体流、運動、または同様のものなどの、環境的発生源からエネルギーを収穫するように構成され得る。それに加えて、または代替的に、電源340は、監視期間(たとえば、30、60、または90日間、または他の期間)にわたって必要に応じて十分な電力を供給するように有利に構成され得る、電池を備えることができる。
【0066】
ローカルモニタデバイス350は、インプラントデバイス310とリモートモニタ360との間の中間通信デバイスとして働き得る。ローカルモニタデバイス350は、インプラントデバイス310と通信するように設計されている専用外部ユニットであってよい。たとえば、ローカルモニタデバイス350は、ウェアラブル通信デバイス、または患者315およびインプラントデバイス310に近接して容易に配設され得る他のデバイスであってよい。ローカルモニタデバイス350は、インプラントデバイス310に連続的に、定期的に、または散発的にインテロゲートし、それによりセンサベースの情報をインプラントデバイス310から抽出するか、または要求するように構成され得る。いくつかの実施形態において、ローカルモニタ350は、ユーザインターフェースを備え、ユーザは、このインターフェースを利用してセンサデータを表示するか、センサデータを要求するか、またはローカルモニタデバイス350および/またはインプラントデバイス310を他の何らかの形でインタラクティブに操作することができる。
【0067】
システム300は、たとえば、モニタデータを表示し、またはインタラクティブに操作するための監視ステーションもしくはインターフェースを実現するように構成されているデスクトップコンピュータまたは他のコンピューティングデバイスであってよい、二次ローカルモニタ370を得ることができる。一実施形態において、ローカルモニタ350は、ウェアラブルデバイス、または物理的に患者および/またはインプラントデバイス310のすぐ近くに配設されるように構成されている他のデバイスもしくはシステムであってよく、ローカルモニタ350は、信号をインプラントデバイス310から受信し、および/またはインプラントデバイス310に送信し、そのような信号をその表示、処理、および/または操作のために二次ローカルモニタ370に供給するようにもっぱら設計されている。
【0068】
リモートモニタサブシステム360は、ローカルモニタデバイス350、二次ローカルモニタ370、またはインプラントデバイス310からネットワーク375上で受信されるモニタデータを受信し、処理し、および/または提示するように構成されている任意のタイプのコンピューティングデバイスまたはコンピューティングデバイスの集合体であってよい。たとえば、リモートモニタサブシステム360は、病院、医者、または患者315に関連付けられている他の介護事業体などの、ヘルスケア事業体によって有利に運用され、および/または制御され得る。本明細書で開示されているいくつかの実施形態は、間接的にローカルモニタデバイス350を用いたインプラントデバイスからのリモートモニタサブシステム360との通信を説明しているが、いくつかの実施形態では、インプラントデバイス310は、ローカルモニタデバイス350を通じて情報を中継することを必要とせずにリモートモニタサブシステム360とネットワーク375上で通信することができる送信機を備えることができる。
【0069】
埋め込み可能なセンサ
図4は、本明細書で開示されている1つまたは複数の実施形態による埋め込み可能なセンサデバイスのブロック図である。センサデバイス185は、矩形であるか、または他の形状をとり得る、外部ハウジング内に収納される1つまたは複数の電気的デバイスまたはコンポーネントを有するマイクロチップ(たとえば、特定用途向け集積回路(ASIC))の形態をとることができる。いくつかの実施形態において、センサデバイス185は、弁インプラントの近くにある血流に曝され、流速の変化に関連付けられている圧力変動を感知するように構成されているMEMS圧力センサを備えることができる。たとえば、ベルヌーイの定理により、流体の速度の増大は、圧力の減少と同時に生じ得る。したがって、MEMS圧力センサデバイスについては、それと接触する血流の変化する流体圧力が、MEMS圧力センサの圧力室/空洞の膜/ダイアフラム要素をある量だけたわませることができる。いくつかの実施形態によれば、センサモジュール185および/またはその1つまたは複数のコンポーネントは、銀イオンコーティングまたは同様のものなどの生体適合性のある保護コーティングでコーティングされ得る。しかしながら、いくつかのコーティングは、無線周波数送信信号および/または電気回路に干渉することがあり、したがっていくつかの実装形態では望ましくない場合がある。
【0070】
図5A図5Cは、それぞれ、1つまたは複数の実施形態による抵抗センサの回路図、平面図、および断面図である。ピエゾ抵抗型センサについては、圧力によって誘起されるたわみは、ピエゾ抵抗要素の抵抗の変化を誘起し、それによって、電圧変化を引き起こし得る。いくつかの実施形態において、圧電要素は、少なくとも一部は臭素(Br)のイオン打ち込みを通じて作製され得る。いくつかの容量センサに比べて、本明細書で開示されているいくつかの実施形態によるピエゾ抵抗センサは、比較的小さい物理的フットプリントをもたらし、および/または比較的直線性の高い入出力関係を提供することができる。
【0071】
図6A図6Cは、それぞれ、本明細書で開示されている1つまたは複数の実施形態による容量センサの回路図および断面図である。静電容量型センサについては、たわみは、並列の導電性コンデンサプレートの間の誘電体距離の変化を誘起し、それによって、電圧変化を引き起こし得る。静電容量センサ620は、加工および取り扱いのための構造的支持体に基材601(たとえば、シリコンウエハ)を使用して製造され得る。いくつかの実施形態において、生物医学グレードシリコーンエラストマーまたは他の生体適合性を有する媒体602は、デバイス620の電気的能動的要素をカプセル封入するために使用されてよく、スピンコーティングまたは他の塗布プロセスを使用して堆積され得る。1つまたは複数の追加の層(図示せず)は、それに加えて、湿気、破片、または同様のものからさらに保護するために使用/堆積され得る。デバイス620に対するメタライゼーション603は、金(Au)、またはチタン、白金、銅、もしくは同様のものなどの導電性材料を含み得る。メタライゼーションは、第1の導電層604を形成し、その後、圧電材料605の層を追加することができる。第2の導電層606が圧電材料605の上に施され得る。いくつかの実施形態において、単結晶および/または多結晶シリコン、または他の基材材料は、圧電材料605と第2の導電性プレート606との間に形成され得る。金属圧電金属層構造体は、圧力センサ機能を実現することができる。
【0072】
抵抗型または静電容量型のいずれかのセンサについて、センサデバイスの室は、不活性ガス(たとえば、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、など)または圧縮性誘電体材料(たとえば、シリコーンなどの低デュロメータポリマー)を充填され得る。図4をさらに参照すると、いくつかの実施形態において、センサデバイス185および/またはそれに関連付けられているコントローラ113は、少なくとも一部は相補型金属酸膜半導体(CMOS)フォトリソグラフィプロセスを使用して加工され得る。センサに好適な基材材料は、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化ケイ素(たとえば、Si3N4)、サファイア、ガラス、ポリイミド、または同様のものを含むことができる。メタライゼーションおよび/または相互接続ワイヤボンディングに好適な材料は、白金(Pt)、白金イリジウム(Pt/Ir)、金(Au)、または同様のものを含むことができる。
【0073】
デバイス/モジュール185は、内部センサ要素/回路および/またはディスクリートコンポーネントの生体適合性および/または保護強化をもたらす被覆またはハウジングを備えることができる。たとえば、ハウジング/カバーは、コーティングまたは物理的構造コンポーネントとして施され得る、シリコーン、パリレン、フッ化炭素(たとえば、FEP、FTPEなど)、親水性もしくは疎水性コーティング、またはアルミナ、ジルコニア、DLC、ウルトラナノ結晶ダイアモンド、またはこれらの組合せのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0074】
コントローラ113および/またはトランシーバ111は、センサ120からセンサ信号を受信し、予備的信号処理および/または2値化を実行することができる。たとえば、センサ120は、電圧差アナログ信号(たとえば、MEMS圧力センサまたは電極によって発生させる)を供給することができる。センサモジュール185は、同調コンデンサまたは同様のものなどの1つまたは複数の他のディスクリート電気的コンポーネント112、および/または1つもしくは複数の増幅器(たとえば、低雑音増幅器)をさらに備えることができる。モジュール185のセンサ、制御回路、ディスクリートコンポーネント、および/または他のコンポーネントを保持する基材(たとえば、ポリイミド)は、オリフィスの内面、または弁の外面のいずれかに沿って弁インプラントのステント部分などのインプラントデバイスのいくつかの物理的構造コンポーネントにさらに取り付けられ得る。
【0075】
電子センサモジュール185は、たとえば基材に接続され、弁の流入態様の近くの弁の縫い付けリング部分に取り付けられ得る、コイルアンテナなどの、アンテナ(図示せず)に結合され得る。コイルアンテナに好適な材料は、金(Au)、白金(Pt)、白金イリジウム(Pt/Ir)、または同様のものであってよい。そのような材料は、比較的柔らかい/延性を有する配線を実現できる。いくつかの実施形態において、ニッケルコバルト合金(たとえば、MP35N合金、Fort Wayne Metals)、コバルトクロム合金(たとえば、エルジロイ合金、Elgiloy Specialty Metals)、またはニチノールなどの、より剛性の高い材料から作られた芯を有する複合線が使用される。
【0076】
センサ120、コントローラ113、トランシーバ111、ディスクリートコンポーネント112、および/またはデータストレージ114などの、センサモジュール185のコンポーネントは、電源140によって給電されるものとしてよく、これは外部電源(たとえば、図3の外部ローカルモニタ350)から無線周波数(RF)エネルギーを受信するように構成されている誘導給電内部コイルアンテナを備えることができる。いくつかの実施形態において、RF誘導は、生理学的パラメータセンサに結合されているセンサモジュール185のコントローラ113と外部ローカルモニタデバイス/システムの外部コントローラとの間に双方向データ通信の一手段を実現するために使用され得る。たとえば、同調コンデンサまたは同様のものなどの、ディスクリート電気的コンポーネント112は、センサ120とモニタデバイス/システムとの間の伝送路内に配設される共振回路(たとえば、L/C回路)内で共振を達成するのを補助するために利用され得る。たとえば、単純化された表現では、L/C回路の共振周波数は下記の数式で表すことができる。
【0077】
【数1】
【0078】
外部データおよび/または電力通信デバイス/システム
本明細書で開示されている監視システムは、誘導結合送信機および/または受信機を利用して、一体化された生理学的パラメータセンサを有する埋め込まれた弁と通信してデータ、電力、またはその両方を供給し、および/または受信することができる。いくつかの実施形態において、デジタル信号は、無線周波数(RF)誘導を使用して内部センサモジュールから送信されるものとしてよく、これはいくつかのアナログソリューションが提供し得るものと比べて外部干渉を比較的受けにくい信号伝達を行うことができる。
【0079】
図7は、埋め込まれたデバイス/モジュール(図示せず)から誘導的にセンサデータを受信するように構成され得る、外部ローカルモニタシステム700を例示するブロック図である。それに加えて、外部モニタ350は、埋め込まれたモジュールからのデータ結合上でも提供され得る、デバイスIDまたは同様のものなどの、特定のメタデータを受信し、および/または処理するようにさらに構成され得る。
【0080】
外部モニタ350は、アンテナ780を使用して埋め込まれているセンサモジュールに通信可能に結合され得る、コントローラ751および/またはトランシーバ753を備えることができる。いくつかの実施形態において、アンテナ780は、内部インプラントセンサモジュールに関連付けられている対応する内部コイルアンテナと誘導的にペアリングされるように整合され、および/同調される外部コイルアンテナを備えることができる。
【0081】
図8は、1つまたは複数の実施形態による電力および/またはデータ通信システム800を例示している。システム800は、外部送信機モジュール853と受信機モジュール811との間のワイヤレス超音波充電および/またはデータ通信を行うように構成されてよく、これは本開示によりインプラントデバイスに関連付けられ、患者の心臓または関連する血管系内などの、患者の身体の内部に配設され得る。したがって、組織を含む、生体媒質の特定の距離rで、受信機811を送信機853から隔てる。超音波通信では機械的音波を利用するので、いくつかの実装形態では、超音波送信機853は、いくつかの無線周波数(RF)電磁波に比べて効率的に送信機853と受信機811とを隔てる生体媒質を通って伝搬する信号を発生させるように構成され得る。したがって、いくつかの実施形態において、図8のシステムによる超音波送信を使用する充電は、いくつかのRF充電の実装形態よりも効率的であり得る。いくつかの実施形態において、システム800は、超音波データ信号を受信機811に送信するように実装され得る。さらに、いくつかの実施形態において、受信機811は、データ信号(たとえば、センサ読み取りデータ)を送信機853または他の外部モジュールに送信するために超音波送信機能を使用するように構成され得る。超音波電力および/またはデータ通信システム800は、本明細書で開示されている実施形態による圧電センサデバイスを利用する実施形態に対して特に有用であり得る。
【0082】
図9は、1つまたは複数の実施形態による埋め込まれたセンサモジュールと結合するために使用され得る外部コイルデバイスの一実施形態を例示している。コイルデバイス880は、図示されているように、使用者の腋窩の下など、患者815の胸部および/または胴体領域上に、またはその周りに着用されるように構成され得る。そのような構成は、外部コイルデバイス880が電力供給および/またはデータ通信に関して所望の効率をもたらし得る、対応する内部コイルデバイスと比較的同一に近い平面上にあるようにすることができる。
【0083】
図7をさらに参照すると、外部ローカルモニタ350は、電池または他の蓄電デバイスもしくは要素などの、一体化された電源759Aを備えることができる。代替的に、またはそれに加えて、外部ローカルモニタ350は、プラグイン電源などの、外部電源759Bから電力を受けるように構成され得る。外部ローカルモニタ350による電池電力の使用は、有利には、長時間のおよび/またはほぼ連続的な監視、さらには携帯を可能にし得る。たとえば、いくつかの実施形態において、外部ローカルモニタ350は、ベルトまたは他の着用可能な物品などに着けて患者によって携帯されるものとしてよく、患者があまり不便を被らずに毎日の活動を継続することを可能にする。
【0084】
コントローラ751は、内部インプラントセンサモジュールを初期化し、較正し、および/またはプログラムするように構成され得る。たとえば、コントローラ751は、センサ分解能をプログラムし、および/またはデータ収集間隔を調整するように構成され得る。監視期間において、コントローラ751は、インプラントセンサモジュール(たとえば、圧力条件)を固定された間隔で、または実質的に連続的に監視し、データストレージ754など、外部モニタ350上に監視データを記憶し、データを二次ローカルモニタ770に転送し、それにより記憶し、および/または使用するようにプログラムされ得る。たとえば、二次ローカルモニタ770は、外部ローカルモニタによっていったん受信された後にセンサデータがダウンロードされ得るダウンロード先のコンピュータであってよい。二次ローカルモニタ770は、センサデータのより深い分析を、場合によっては他のソースから取得された心肺データと併せて実装するように構成され得る。いくつかの実施形態において、二次ローカルモニタ770は、患者またはヘルスケア事業者とインタラクティブなやり取りを行うための入出力(I/O)機能を備えることができる。たとえば、二次ローカルモニタは、タブレット、ラップトップ、デスクトップ、スマートフォン、またはウェアラブルコンピューティングデバイスを含むものとしてよく、これは画像表示ディスプレイさらにはキーボード、タッチスクリーン、または同様のものなどのユーザ入力手段を含み得る。外部ローカルモニタ350は、有線またはワイヤレス接続上で二次ローカルモニタ770に結合され得る。
【0085】
センサおよびワイヤレス送信対応インプラント
図10は、1つまたは複数の実施形態による手術後患者監視のためのセンサおよび/またはワイヤレス送信機能を備える人工心臓弁410の斜視図である。心臓弁410は、心臓弁410を心臓弁空洞内にネストし、および/または心臓の輪もしくは他の構造体上に載るか、または取り付けられるように支持体を設けるように構成されている末梢封止リング構造体491を備えることができる。弁410は、複数の可撓性弁尖493の支持体を形成し得る、金属フレームなどのフレーム部材492をさらに備え、3つの直立した交連ポスト494を画定し、弁尖493は、交連ポスト494の間に支持される。封止リング491は、弁の流入端のところのフレーム部材494の周囲に付着するものとしてよく、交連ポスト494は流出方向に突出する。
【0086】
弁尖493は、異種移植片組織(たとえば、ウシ心膜)などの組織の別々の弁から形成され得るか、または3つのすべての弁尖が単一の異種移植片弁(たとえば、ブタ弁)に由来するものとしてよい。弁尖493は、交連ポスト494によって、さらには交連ポストの間のフレーム部材の弓形先端495に沿って固定され支持され得る。
【0087】
図11は、図10に示されている人工心臓弁410の上面図である。心臓弁410は、弁の流体流が抑制される閉鎖位置で例示されており、少なくとも部分的に開いた状態にあるときに、流体(たとえば、血液)は、弁尖493が分離したときに形成される弁の内側流路を通って一方向に流れ得る。
【0088】
フレーム部材492は、弁オリフィスの特定の形状(たとえば、図11に示されているように、上面斜視図で見て一般的に丸形)および直径を実質的に維持し、また弁が適切に開閉するように弁尖493を適切な整列状態に維持するために、一般的に剛体であり、および/または膨張に対する抵抗性を有するものとしてよい。実質的に丸形の実施形態が図11に示されているが、特定の用途に応じて、他の形状も本発明の範囲内にある(たとえば、置換されるべき特定の自然弁など)。いくつかの実施形態において、フレーム部材492は、ある程度の可撓性を有する。
【0089】
図12は、1つまたは複数の実施形態による図10の人工心臓弁410の分解斜視図である。弁アセンブリ410は、金属/ワイヤフォームのフレーム構造体を含むことができる、フレーム部材492を備える。いくつかの実施形態において、フレーム部材492は、少なくとも部分的に織物または他の材料で覆われるものとしてよい。フレーム492は、下方に突出している弓形先端495の間に狭い弓形の上方に突出している交連領域494を画定することができる。
【0090】
フレーム492は、弁尖アセンブリ493に少なくとも部分的に固定されるか、または取り付けられ得る。弁尖493は、上で説明されているように弁410を通る流体流を遮断するための可撓性および構造を形成する生物由来組織から少なくとも部分的に作られ得る。弁尖493は、周囲のフレーム492から内向きにそれによって画定される流れオリフィス内に延在する。いくつかの実施形態において、流出方向に向かって湾曲し、弁オリフィスの中間で「接合」し、弁を通る一方向の流れを円滑にする3つの生体人工弁尖がある。
【0091】
弁アセンブリ410は、封止リング491の上に嵌るように設計されているステント部材497をさらに備える。いくつかの実施形態において、ステント部材497は、プラスチックバンド496(たとえば、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、または二軸配向PTE、たとえば、Mylar PET、DuPont Teijin Films)を含み、弁尖493は、プラスチックバンドに縫い付けられるか、または他の何らかの形で取り付けられ得る。ステント部材497は、たとえば、金属または他の剛体材料からなるものとしてよい、剛体補強バンド499をさらに含み得る。プラスチックバンド496は、フレーム部材492の上方に突出している交連領域494内に少なくとも部分的に嵌合し得る、交連支持部分498を備える。いくつかの実施形態において、プラスチックバンド496の交連支持部分498のうちの1つまたは複数は、歪みゲージまたはそれに関連付けられている他のセンサデバイスを有することができる。たとえば、歪みゲージは、支持部分498に取り付けられるか、または中にエッチングされるかもしくは一体化され得る。歪みゲージまたは他のセンサは、本明細書で説明されているような患者/デバイス診断に有用であり得るデータを提供するために使用できる。
【0092】
弁アセンブリ410に関連付けられている1つまたは複数のセンサ(たとえば、歪みゲージ)によって収集されたセンサデータは、送信機アセンブリ480を使用して外部受信機(図示せず)に送信され得る。送信機アセンブリ480は、電子センサまたは回路485に電気的に結合されている導電コイル481を備えることができ、コイルは、電力をセンサ/回路485に供給し、電磁信号を外部受信機に送信し、および/またはそこから電力/データを受信するように構成され得る。たとえば、コイル481は、ワイヤレス電力を受信するための、および/または電磁信号を送信するためのアンテナとして動作し得る。いくつかの実施形態において、送信機アセンブリ480は、弁アセンブリ410内に埋め込まれるか、または一体化され得る。たとえば、送信機アセンブリ480は、封止リング491の陥凹部、流路、もしくは空洞、または弁アセンブリ410の他のコンポーネントもしくは構造体内にネストされ得る。コイル481を心臓弁410の外側部分内に埋め込むことによって、アセンブリ480は、フープ形アンテナに比較的大きい直径を持たせることができ、これはいくつかの電磁信号伝達の利点をもたらし得る。
【0093】
図12をさらに参照すると、いくつかの実施形態において、心臓弁アセンブリ410の封止リング491は、前方流で良好な血行動態を許しながら逆流を防ぐように接合および弁完全性を維持することなどによって、輪を少なくとも部分的に安定化させ、心周期において生じる機能変化をサポートするように構成され得る。封止リング491は、内部の少なくとも部分的に剛性のある基材(たとえば、ステンレスもしくはチタンなどの金属、またはゴムもしくはPET(たとえば、DACRON PET)索類などの可撓性材料)を含み、リングが心臓組織に縫合されることを可能にするように生体適合性を有する織物または布で少なくとも部分的に覆われ得る。封止リング491は、硬質または軟質であってよく、分割されるか、または連続的であってよく、円形、D字形、腎臓形状、またはC字形を含む、様々な形状を有することができる。いくつかの実施形態において、埋め込まれたときに、縫合糸留め具(図示せず)は、封止リング491の周りに分散されるものとしてよく、封止リングを患者の付着組織に結び付ける。心臓弁410は、心臓弁の適切な留置を補助することができる、様々な視覚的マーカー(図示せず、たとえば、放射線不透過性マーカー)を備えることができる。
【0094】
図12に示されている様々な例示的なコンポーネントを組み立てた結果、図10および図11に示され、上で説明されているものに似た組み立て済み心臓弁が得られる。図13は、1つまたは複数の実施形態による図10の人工心臓弁410の別の部分分解図を提示している。図13の図は、組み合わされたフレーム、弁尖、およびステントアセンブリ790を示しており、アセンブリ790は、例示されている電子センサモジュール485などの、1つまたは複数のセンサおよび/または電気回路を備える。図13の図は、たとえば、コイルの電線481を介して1つまたは複数のセンサもしくは電子回路に結合され得る埋め込まれた/ネストされた送信機コイルを備える組み合わされた封止リングおよび送信機アセンブリ795をさらに示している。
【0095】
図14Aおよび図14Bは、1つまたは複数の実施形態によるそれと関連付けられている電子センサデバイスを有するインプラントデバイスを例示している。本明細書で開示されているような、インプラントセンサデバイス(たとえば、マイクロチップ、MEMSセンサ)は、弁インプラントのステント部分に沿ったどこかの場所などの、人工インプラントデバイスの望ましい構造的特徴またはコンポーネントと一体化されるか、または関連付けられ得る。図14Aは、弁1310Aのステント部分の底部領域の方へ、弁1310Aの流出側上に取り付けられているセンサデバイス1385A(たとえば、一体化されたMEMSセンサ)を有するインプラントデバイス1310Aを示している。代替的に、図14Bは、インプラントデバイス1310Bの交連ポスト部分上に取り付けられたセンサデバイス1385Bを有するインプラントデバイス1310Bを示している。センサデバイスが交連ポスト上に取り付けられる実施形態において、センサデバイスは、交連移動を示すデータを提供することができる、MEMS加速度計を組み込むことができる。利用され得る他のタイプのセンサは、圧電センサまたはピエゾ共振センサを含み得る。
【0096】
データ/電力送信機
上で説明されているように、埋め込まれているセンサデバイス/モジュールを動作させるためのセンサデータおよび/または電力は、好適なまたは望ましい方法もしくは機構によるワイヤレス送信を使用して埋め込まれたセンサデバイスと外部モニタとの間で伝達され得る。図15は、それに関連付けられているセンサデバイス1485を有するステント部材(たとえば、ポリマーステント)1497を例示しており、センサデバイス1485は、1つまたは複数の接続部1481を介してコイルアンテナ1480に電気的に結合される。いくつかの実施形態において、センサ1485および/またはアンテナ1480は、少なくとも部分的にステント部材1497に一体化される。たとえば、ステント部材1497の内部部分1499は、ポリマー材料から作られるものとしてよく、一体化されたセンサ、回路、および/またはコイルは、少なくとも部分的に、まとめてもしくは個別に、のいずれかで、ステント部材1497とさらに一体化されるか、またはその中に埋め込まれ得る。
【0097】
人工心臓弁または同様のものと一体化されたものなどの埋め込み可能なセンサデバイスの場合、そのようなセンサを動作させるためのある量の電力が必要になり得る。しかしながら、コスト、快適さ、便利さ、および他の要因により、埋め込まれているセンサに給電し、埋め込まれたセンサからセンサ信号をワイヤレスに非侵襲的な方式により送信することが望ましい場合がある。本明細書で開示されているのは、電源から電力を埋め込まれているセンサデバイスにワイヤレスに供給するための様々なシステム、デバイス、および方法である。いくつかの実施形態において、近距離技術の原理は、埋め込まれているセンサと直列に接続され、たとえば、人工心臓弁のフレームもしくは他の構造要素と一体化され得る、マイクロワイヤコイルを利用することによって実装され得る。外部アンテナは、内部コイル1480と結合するための磁場を導入してセンサ1485および/または対応する回路に受動的に給電しワイヤレスデータ収集を可能にするために、患者によって使用されるか、またはさらには患者に着用させるか、または患者に貼り付けることもできる。したがって、コイル1480をセンサ1485と直列に組み込むことで、デバイス1485に給電する比較的単純な方法をもたらし、非侵襲的測定を行うことを可能にし得る。
【0098】
図16Aは、本明細書で開示されている1つまたは複数の実施形態による心臓弁アセンブリ810を示している。心臓弁アセンブリ810は、本明細書で説明されているように手術後監視のためのセンサおよび/またはワイヤレス送信機能を備えることができる。たとえば、心臓弁アセンブリ810は、1つまたは複数の電気接点/接続部881を介して、心臓弁の構造内に埋め込まれ得る、送信機アセンブリ(図16Aの図には見えていない)に結合されている1つまたは複数のセンサ(図16Aの図には見えていない)を備えることができる。
【0099】
図16Aの心臓弁アセンブリ810の断面図が図16Bに示されている。図16Bの図は、封止リング構造体891の流路内に埋め込まれ/ネストされる送信機アセンブリの導電コイル880を示している。コイル880は、封止リング891などの弁アセンブリ810の一部の、周囲、または他の寸法部分の少なくとも一部の周りに巻き付くものとしてよい。コイルは、電力コイルアンテナとして使用されてよく、ディスクリート導電体(たとえば、電線)でコイル880を電源に結合することなく外部電源から電気エネルギーを受け取るように構成され得る。そのようなワイヤレス電力伝達は、実用的なまたは望ましい電力送信技術を使用して実行されるものとしてよく、一般的に、時間的に変化する電場、磁場、または電磁場を使用して電力伝達を実装することができる。いくつかの実施形態において、外部電源(図示せず)に接続されているワイヤレス送信機は、電源とアンテナコイル880との間の空間内で(たとえば、患者の何らかの生体組織を通して)電場/磁場エネルギーを伝達し、コイルアセンブリ880は(たとえば、いくつかの回路/電子回路と組み合わせて)、場のエネルギーを弁アセンブリ810の1つまたは複数のセンサおよび/または回路によって利用され得る電流に変換して戻すように構成される。
【0100】
いくつかの実施形態において、受信電力は、コンデンサ、電池などの、弁アセンブリ810の蓄電デバイス内に貯蔵され得る。受信電力は、電源デバイス/システムと一体化されてよい、送信サブアセンブリ(コイル880を含む)から外部受信機へのワイヤレスデータ送信の給電のために使用され得る。
【0101】
通信リング891の周囲領域/範囲、または弁アセンブリ810の他のコンポーネントは、有利には、比較的大きいアンテナアパーチャ(すなわち、直径)を持つコイル880に対する比較的長い経路をもたらすものとしてよく、それによって、アンテナの送信範囲を比較的広くとることができ、アンテナ読み取り/送信範囲は、いくつかの実施形態においてアンテナアパーチャと実質的に直線的な関係を有することができる。より広いアンテナ範囲は、弁と患者の身体の外側との間に必ず存在することになる空間、さらには比較的厳格でない距離/範囲要求条件によりもたらされる一般的な利便性を考慮すると、本明細書で開示されている実施形態において有利であり得る。いくつかの実施形態において、コイル880は、直径10mmを超える直径/アパーチャを有することができる。たとえば、コイル880は、15~35mmの範囲の直径を有することができる。いくつかの実施形態において、コイル880は、約19~33mmの範囲の直径を有する。いくつかの実施形態において、コイルは、約40mm以上の直径を有する。いくつかの実施形態において、コイル880は、約35~40mmの範囲の直径を有する。いくつかの実施形態において、コイル880は、約14mm以下の直径を有する。封止リング891は少なくとも部分的に剛性があるので、コイルアンテナ880は、有利には、比較的広いアパーチャを維持する形状に維持され得る。
【0102】
いくつかの実施形態において、送信アセンブリは、結合、共振誘導結合(たとえば、RFID)、静電結合、または同様のものにより電力および/またはデータを伝達するように構成され得る。たとえば、送信アセンブリは、感知された生体またはデバイスパラメータに関係する情報、さらには弁(たとえば、製造型式、モデル、識別番号、シリアル番号)および/または患者(たとえば、氏名、識別番号、患者識別子)のうちの1つまたは複数を識別するデータを送信するように構成され得る。
【0103】
図16Cは、図16Bに示されているコイル880の断面の拡大図を示している。コイル880は、図示されているように、複数巻きの電線または他の導体を含み得るか、または一巻きを有し得る。いくつかの実施形態において、コイル880は、コイルが少なくとも部分的に巻かれ得るコア形態(図示せず、たとえば、磁気コアまたは空気コア)を含むことができる。
【0104】
図17は、1つまたは複数の実施形態による送信機アセンブリ980を示す図である。送信機アセンブリ980は、送信機アセンブリ980が埋め込まれるように構成され得る心臓弁アセンブリの一部の形状に一般的に適合する形状を有することができる。上で詳しく説明されているように、送信機アセンブリ980は、アセンブリ980の円周経路の周りに巻かれた1つまたは複数の導線を備えることができるコイル982を備え得る。いくつかの実施形態において、コイル982は、少なくとも部分的にシースまたは被覆983で覆われ、これはコイル982とアセンブリ980が関連付けられている弁の外部コンポーネントまたは構造体との間の電気的、熱的、および/または物理的絶縁をもたらし得る。
【0105】
コイル982は、1つまたは複数のリード981を介して、センサまたは回路モジュール985などの、1つまたは複数の電気コンポーネントに電気的に結合され得る。送信機アセンブリ980は、関連付けられている弁アセンブリの1つまたは複数の追加のセンサもしくはコンポーネント(図示せず)にさらに結合され得る。上で詳しく説明されているように、送信機980は、コイル982をアンテナとして使用して、電力をワイヤレスに受信し、および/またはセンサおよび/または他のデータをワイヤレスに送信するように組み立てられ得る。
【0106】
いくつかの実施形態において、回路985は、信号フィルタリング、増幅、ミキシング、および/または同様の処理などの、信号送信のためのある量の信号処理を実行するように構成され得る。いくつかの実施形態において、回路985は、1つまたは複数のプロセッサ、データストレージデバイス、データ通信バス、および/または同様のものを含む。
【0107】
センサ一体化インプラントデバイスと外部モニタデバイス/システムとの間のデータおよび/または電力伝達のためのアンテナコイルは、望ましいまたは好適な構成を有することができる。近距離無線通信は、磁気的に結合されている2つの平行に整列されたコイルループを使用することを伴うものとしてよく、一方のコイルループは送信機であり他方は磁場を導入するために電流が流れるアンテナである。センサデバイスが患者体内に埋め込まれたときに患者生体組織内の周囲の組織および流体からの減衰を上回ることができるように、アンテナを通る電流が比較的低い周波数で流れることが望ましく、そのために一般的に比較的大きい直径のコイルを使用することを必要とし得る。いくつかの実施形態において、アンテナコイルは、結合を改善するのを助けるためコア形態または容積(たとえば、磁鉄/フェライトコアまたは空気コア)の周りに少なくとも部分的に巻かれるとよい。インプラントデバイスで使用するために、フェライト巻きコイルは生体適合性を有するケーシング内に気密封止され、それにより周囲の組織に露出するのを防ぐことが望ましいか、または必要であり得る。
【0108】
内部コイルと外部コイルとの間の近距離無線通信を最適化することで、インプラント人工器官(たとえば、心臓弁)内の集積回路センサシステムに受動的に給電することを可能にし、インプラントに組み込まれている内部電池の必要性を減じるか、またはその必要をなくすことができる。図18A図18Fは、それに関連付けられているデータおよび/または電力伝達のためのアンテナコイルを有するインプラントデバイスの実施形態を示している。図19A図19Dは、図18A図18Dのインプラントデバイスのアンテナ構造体の断面図である。図18A図18Fの実施形態は、データ/電力コイルのいくつかの例示的な構成を表しており、特に例示されていない他の変形形態は、本開示の範囲内で実装され得ることが理解されるであろう。
【0109】
図18Aは、コイル構造体1780Aに結合されているセンサモジュール1785を有するインプラントデバイス1710A(たとえば、心臓弁インプラント)の一実施形態を示している。コイル構造体1780Aは、コア形態または容積(図示せず、たとえば、磁気コアまたは空気コア)の周りに巻き付けられた巻線を含み、コイル構造体1780Aは、インプラントデバイス1710Aの円周リングまたはコンポーネント1791と一体化されるか、または関連付けられ、コイル1780Aと外部モニタデバイス(図示せず)との間の近距離無線通信を可能にする。図19Aは、内部コア1789Aの周りの円周上に巻き付けられた外側線1787Aを示す、コイル構造体1780Aの断面図を示している。図17A図17Eおよび図18A図18Dの内部コア特徴部(1789A~1789E)は、各々、空気コアなどの非磁気コア、または磁気コア(たとえば、鉄フェライトコアなどのフェライトコア)、または他のタイプのコアを含むことができる。空気コア実施形態に関して、巻線は、中空チューブまたは何らかの材料の他の形状などの、非磁気形態の周りに少なくとも部分的に巻き付けられ得る。いくつかの実施形態において、心臓または他の器官の機能への磁気的干渉および/またはセンサ/送信回路もしくは信号への干渉を防ぐために非磁気的であるコアを組み込むことが望ましい場合がある。いくつかの実施形態において、コア1789Aは気密封止される。
【0110】
図18Bは、コイル構造体1780Bに結合されているセンサモジュール1785を有するインプラントデバイス1710B(たとえば、心臓弁インプラント)の一実施形態を示している。コイル構造体1780Bは、インプラントデバイス1710Bの1つまたは複数の構造コンポーネントに周りの円周経路に沿って巻かれる巻線を備える。コイル構造体1780Bの電線の長さは、コア形態または容積(図示せず、たとえば、磁気コアまたは空気コア)を囲むことができ、コイル構造体1780Bは、インプラントデバイス1710Bの円周リングまたはコンポーネント1791と一体化されるか、または関連付けられ、コイル1780Bと外部モニタデバイス(図示せず)との間の近距離無線通信を可能にする。図19Bは、内部コア1789B(たとえば、磁気コア、フェライトコア、または空気コア)の長さに沿って縦方向に伸びる外側線1787Bを示す、コイル構造体1780Bの断面図を示している。
【0111】
図18Cは、コイル構造体1780Cに結合されているセンサモジュール1785を有するインプラントデバイス1710C(たとえば、心臓弁インプラント)の一実施形態を示している。コイル構造体1780Cは、コア形態または容積(図示せず、たとえば、磁気コアまたは空気コア)の周りに巻き付けられた巻線を含み、コイル構造体1780Cは、インプラントデバイス1710Cの円周リングまたはコンポーネント1791と一体化されるか、または関連付けられ、コイル1780Cと外部モニタデバイス(図示せず)との間の近距離無線通信を可能にする。コイル構造体1780Cは、インプラントデバイス1710Cの基部の円周の一部分に沿ってのみ延在する。たとえば、コイル構造体1780Cが延在する一部分は、コイル構造体1780Cを患者の胸部の外側から隔てる組織の距離および量を低減してコイル構造体1780Cと外部モニタモジュールとの間の結合を改善するために埋め込まれたときにインプラントデバイス1710Cの外に面する部分に対応することができる。図19Cは、内部コア形態または容積(たとえば磁気コアまたは空気コア)1789Cの周りの円周上に巻き付けられた外側線1787Cを示す、コイル構造体1780Cの断面図を示している。
【0112】
図18Dは、コイル構造体1780Dに結合されているセンサモジュール1785を有するインプラントデバイス1710D(たとえば、心臓弁インプラント)の一実施形態を示している。コイル構造体1780Dは、コア形態または容積(図示せず、たとえば、磁気コアまたは空気コア)の周りに巻き付けられた巻線を含み、コイル構造体1780Dは、インプラントデバイス1710Dのフレームもしくはステント構造体またはコンポーネントと一体化されるか、または関連付けられ、コイル1780Dと外部モニタデバイス(図示せず)との間の近距離無線通信を可能にする。コイル構造体1780Dは、コア形態または容積1780Dの外面の周りに巻き付けられた巻線を有する比較的短い長さのコア形態または容積(たとえば、磁気コアまたは空気コア)を備え得る。図19Dは、内部コア(たとえば磁気コアまたは空気コア)1789Dの周りの円周上に巻き付けられた外側線1787Dを示す、コイル構造体1780Dの断面図を示している。コア1789Dは、横断断面形状を有することができるが、例示することを目的として三角形タイプの形状が示されている。
【0113】
図18Eは、コイル構造体1780Eに結合されているセンサモジュール1785を有するインプラントデバイス1710E(たとえば、心臓弁インプラント)の一実施形態を示している。コイル構造体1780Eは、コア形態または容積1789Eの周りに巻き付けられた巻線1787Eを備え、コイル構造体1780Eは、インプラントデバイス1710Eの基部リング/構造体1791に関して半径方向軸を有する。そのような構成は、誘導結合がインプラントデバイスと外部デバイスとの間の結合を改善することができる、外部モニタデバイス(図示せず)の同軸コイルにより達成可能であるものとしてよいので望ましい場合があり得る。コイル構造体1780は、望ましい断面形状を有することができ、有利には、少なくとも部分的に、図18Eに示されている一般的に三角形の形状などの、インプラントデバイス1710Eの1つまたは複数の物理的構造体/コンポーネントの形状に適合する形状を有することができる。図18A図18Dに示されているコイル構造体のいくつかと比較して、コイル1780は、有利には、比較的大きい直径を有することができ、これはいくつかの実施形態において結合を改善することができる。
【0114】
図18Fは、コイル構造体1780Fに結合されているセンサモジュール1785を有するインプラントデバイス1710F(たとえば、心臓弁インプラント)の一実施形態を示している。コイル構造体1780Fは、図18Fの実施形態がコア形態(たとえば、巻線1787F内に配設される磁気または空気充填形態)を含まず、巻線1787Fが容積または空気または他の物質の周りに単に巻き付けられるだけであることを除き、図18Eに示されているのと類似する巻線1787Fを備える。
【0115】
診断器具、交連のたわみ
本明細書で開示されているいくつかの実施形態は、患者診断のための生理学的/デバイスパラメータデータを収集し、および/または処理するための心臓弁などの、人工デバイスに対する新規性のある器具を実現する。たとえば、以下で開示されている器具および/またはプロセスは、先行する図のうちのいくつかに示され、上で説明されているような心臓弁に関連して使用され得る。本明細書で開示されているデバイス、システム、および方法は、人工心臓弁インプラントまたは他のインプラントデバイスを受け入れた患者における潜在的な心臓またはインプラント故障問題を示す症状もしくは病状を識別するために使用され得る。いくつかの実装形態では、心臓弁デバイスにおける交連のたわみおよび弁機能を測定するために歪みゲージを使用することを規定している。
【0116】
交連のたわみを測定するための歪みゲージは、人工弁のワイヤフォームまたはステントコンポーネントに施され得るか、または弁の交連内のプラスチック挿入物に取り付けられるか、または他のコンポーネントもしくはコンポーネントの歪みを測定するのに適しているインプラントデバイスの位置と一体化され得る。歪みゲージは、本明細書で詳しく説明されているが、加速度計、ジャイロスコープ、光学センサ、または同様のものなどの、他のセンサも交連のたわみを測定するために使用され得る。そのようなセンサは、同様に、交連のたわみを測定するために交連ポスト上に配設され得る。埋め込まれた心臓弁内の交連たわみセンサによって供給されるか、または導出されるデータは、患者の心拍数もしくは血圧の変化を患者またはヘルスケア事業者に警告するために使用されるものとしてよく、心臓機能の変化の早期指示をもたらし得る。上で説明されているように、人工心臓弁インプラントの操作を受ける患者は、時には、埋め込み後心不全関係の疾病率/死亡率を有することがある。本明細書で開示されているような心臓弁交連たわみセンサデバイスおよびワイヤレスデータ送信機能は、心臓機能に関する早期情報を提供し、それにより患者に対する早期介入を可能にすることができる。いくつかの実施形態は、交連のたわみとの関連で本明細書において開示されているが、開示されている原理は、先端/弁尖のたわみ、または同様のものなどの、1つまたは複数の他のコンポーネントの歪みおよび/またはたわみに関して適用可能であるものとしてよいことは理解されるであろう。したがって、以下の実施形態および診断技術/機構は、少なくとも一部は、先端/弁尖のたわみ、またはインプラントデバイス内の他の測定された歪み/たわみに基づき得る。
【0117】
図20は、1つまたは複数の実施形態による心臓弁1010の側面図である。弁1010は、フレーム部材1092、ステント部材1097、および/または封止リング1091のうちの1つまたは複数に取り付けられている複数の弁尖1093を備えることができる。フレーム部材1092は、交連ポスト形態1094、さらに交連ポストの間を接続する弓形先端形態495を備えることができる。
【0118】
いくつかの実施形態において、弁1010は、弁1010の交連ポストに取り付けられるか、またはその中に埋め込まれ得る、歪みゲージ1088などの、1つまたは複数のセンサを備える。たとえば、歪みゲージ1088は、プラスチック(たとえば、PET)バンドを含み得る、ステント部材1097の交連支持部分1098に取り付けられるか、中にエッチングされ得る。歪みゲージ1088は、導体の幾何学的形状に少なくとも一部は依存する電気伝導度特性を有する導体を含むことができ、交連ポスト1098が歪みゲージ1088上に張力を与えるようにたわむ(たとえば、歪みゲージが交連部分1098の外面と関連付けられるときに内向きにたわむ)ときに、歪みゲージ1088の導体は引き伸ばされ、それによって比較的幅が狭くなりおよび/または長くなり、導体の端と端との接する部分の電気抵抗を高くし得る。代替的に、交連ポスト1098が結果として歪みゲージ1088の圧縮を引き起こす(たとえば、歪みゲージが交連部分1098の外面と関連付けられる場合に外向きにたわむ)ときに、歪みゲージ1088の導体は厚さの増大を生じ、導体の端と端との接する部分の電気抵抗を減少させ得る。したがって、歪みゲージの電気抵抗が測定されるものとしてよく、交連ポストにかかるたわみまたは誘発される応力の量は、そのような測定結果に基づき推論され得る。いくつかの実施形態において、歪みゲージは、平行線の配向の方向に応力が生じる結果、導線の有効長にわたって抵抗の測定可能な変化が生じるように平行線のジグザグパターンで構成される導電性流路を備えることができる。
【0119】
単一の歪みゲージのみが図20に示されているか、または見えているが、弁1010は、複数の交連ポストの各々に歪みゲージ特徴部を有することができることが理解されるであろう。さらに、歪みゲージが図20に例示され、本明細書において説明されているが、交連ポストのたわみを測定する原理は、望ましい、または実用的なたわみ測定機構または技術により利用され得る。歪みゲージまたは他のセンサが複数の交連ポストとの関連で利用される実施形態において、様々なセンサの読み取り値が、診断決定を行うために組み合わせて使用され得る。たとえば、複数のセンサからの読み取り値は、実装されている特定の導出/適用に応じて、平均されるか、または足し合わされ得る。
【0120】
弁診断システムの歪みゲージおよび/または他のコンポーネントに給電するためにある量の電力が必要になることがある。たとえば、歪みゲージ網1088の入力リードに印加される励起電圧は、ワイヤレス電力伝達、ローカル電力ハーベスティング、ローカル蓄電、または他の発電および/または供給システムからもたらされ得る。一実施形態において、1つまたは複数の圧電性結晶は、コンデンサまたは同様のものなどの、蓄電デバイスに貯蔵され得る、電力を発生させるために使用される。歪みゲージの電圧読み取り値は、出力リード1081のうちの1つまたは複数から取り出され得る。弁1010は、フィルタリング、信号増幅、または同様の処理などの、歪みゲージ信号に対して前処理を実行するための信号処理回路(図示せず)を備えることができる。
【0121】
弁交連のたわみを測定するステップは、弁機能を決定するために使用されてよく、交連のたわみは、心臓機能の潜在的な変化にさらに関係し得る。本明細書で開示されているいくつかの実施形態は、交連のたわみを測定するように構成されている器具を含む弁交連を実現する。そのような器具が歪みゲージを含む場合、歪みゲージは、上で説明されているように、ステント部材などの、弁ワイヤフォーム上に配設されるか、または関連付けられるものとしてよく、歪みゲージ、または他のセンサデバイスは、ワイヤフォーム/ステント内の歪みを弁周期として測定することができる。いくつかの実施形態において、光学的器具/方法は、様々な脈動条件の下での心臓弁のたわみを測定するために使用され得る。
【0122】
交連ポストのたわみに関係する取り出されたデータは、弁にかかる閉鎖圧力の振幅を示す情報をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、弁の1つまたは複数の交連ポスト上で歪みゲージを使用して取り出され得るような、そのような交連たわみ情報は、心拍数を決定するために使用され得る。たとえば、交連たわみ信号の周期は、心収縮の頻度(たとえば、1分間の拍数(bpm))を示し得る。交連たわみ情報は、収縮期および/または拡張期の持続時間を決定するためにさらに使用されてよく、収縮期の持続時間は、心室が収縮するときの心周期の期間の測定結果をもたらし、拡張期の持続時間は、心臓に血液が満たされるときの心周期の期間の測定結果をもたらす。
【0123】
いくつかの実施形態において、交連たわみ情報は、弁閉鎖圧力を決定するために使用され得る。たとえば、交連のたわみの振幅は、たわみと圧力との間の関係に基づき閉鎖圧力を示すことができる。いくつかの実施形態において、交連たわみ情報は、等容性収縮を決定するために使用され得る。たとえば、交連ポスト上の歪みゲージは、たとえば、僧帽弁の閉音を感知するのに十分な感度を有するものとしてよい。僧帽弁の閉鎖から大動脈弁の開放までの時間は、下大静脈(IVC)相をもたらすことができ、患者の血液容量の指標となり得る。
【0124】
いくつかの実施形態において、交連たわみ情報は、動脈圧を決定するために使用され得る。たとえば、弁内の交連のたわみは、1つまたは複数の心腔内の変化を示すことができ、動脈圧を導出するために使用され得る。いくつかの実施形態において、交連たわみ情報は、弁閉鎖字の圧力変化率を決定するために使用され得る。たとえば、交連のたわみの率は、弁がどれだけ速く閉じるか、したがって弁内の圧力がどれだけ速く変化するかを示すことができる。交連たわみ情報は、心臓機能に関して重要なパラメータであり得る、心臓弁の流入と流出との間の圧力差を決定するためにさらに使用され得る。いくつかの実施形態において、圧力センサは、追加の圧力変化/差情報を提供するために交連たわみセンサと組み合わせて使用され得る。
【0125】
いくつかの実施形態において、交連たわみ情報は、血流を決定するために使用され得る。たとえば、弁交連内の乱流振動は流れを示すことができ、乱流の変化は、流れの変化、または場合によっては弁尖上の血栓のような変化の指示をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、人工弁は、弁の上側/頂部領域内に配設され得る、流量センサ(たとえば、超音波ドップラー流量センサ)を取り付けられるものとしてよく、流量センサのデータは、血流を決定するために交連たわみ情報と組み合わせて使用され得る。
【0126】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の交連たわみセンサを有する心臓弁は、1つまたは複数の追加のセンサデバイスをさらに一体化することができ、それらの読み取り値は、交連たわみセンサによって提供されるデータを補足するか、または解釈するために使用され得る。たとえば、ペースメーカーリードに関連付けられているセンサは、交連たわみ情報に関連して使用され得る追加の情報を提供するためにいくつかの実施形態において使用され得る。交連たわみセンサと組み合わせて利用され得る追加のデバイス/センサは、血圧計カフ、心電センサ(ECG)、温度センサ、パルス酸素濃度センサ、または同様のものを含み得る。
【0127】
交連たわみデータから導出され得る上で参照されている情報、さらには、時間の経過に伴うそのような情報の変化は、心臓機能の変化の指標として使用され、たとえば、心臓/弁機能に問題が生じている早期兆候を示している可能性のある患者に対して早期介入するのを補助するために医師によって使用され得る。上で参照されているタイプの情報は、交連たわみセンサデータから収集され得る潜在的診断情報を表す。しかしながら、交連たわみデータは、本明細書において明示的に参照されていない他のタイプの情報を導出するためにも使用され得ることが理解されるであろう。交連たわみ情報に基づく上で開示されている情報の利用および/または導出は、上で開示されている、図3のシステム300の1つまたは複数のコンポーネントによって実装されるものとしてよい。たとえば、交連たわみ情報処理機能は、インプラントデバイス310(たとえば、コントローラ313による)、ローカルモニタデバイス350(たとえば、コントローラ351による)、および/またはリモートモニタデバイス/システム360のうちの1つまたは複数で実装され得る。さらに、交連たわみ情報処理機能は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組合せを使用して実装され得る。
【0128】
図21は、心臓弁インプラントなどの、デバイスに対するステント部材1997を示しており、ステント部材1997は、それに関連付けられている一体化された歪みゲージ1988を有する。上で参照されているように、本開示のいくつかの実施形態は、歪みゲージがそれに取り付けられているか、または関連付けられている、構造コンポーネントを有するインプラントデバイスを含み得る。たとえば、図20に示されているような歪みゲージは、接着剤または他の取付機構を使用して弁コンポーネントに取り付けられ得る。しかしながら、そのような取付けは、臨床用途に対する理想的な方法を提供し得ない。さらに、いくつかの実現可能性のある方法/システムは、外部歪みゲージ増幅器を利用して歪みゲージから信号を取得することができるが、同様に臨床用途には理想的であり得ない。本明細書で開示されているいくつかの実施形態は、中に組み込まれている1つまたは複数の歪みゲージを有するインプラントデバイスを実現する。そのようなデバイスは、比較的単純な製造プロセスに関連付けられるものとしてよく、いくつかの自己給電式デバイス構成に適合し得る。
【0129】
いくつかの実施形態において、歪みゲージ1988は、レーザエッチング、および導体をステント部材1997のエッチングされた流路内に堆積させることによって、少なくとも部分的にステント部材1997の交連ポスト1998上などの、ステント部材1997の材料(たとえば、PET、Mylar PET)内に直接組み込まれ得る。いくつかの実施形態において、歪みゲージ1988は、エッチングすることなく、少なくとも部分的にステント部材1997の交連ポスト1998などの、ステント部材1997上に印刷され得る。そのようなプロセスは、有利には、いくつかの製造工程を簡素化し、および/または歪みゲージが離ればなれになる可能性を低減することができる。歪みゲージをステント部材1997に組み込むことで、歪みゲージを電子的に封止することを円滑にすることもでき、交連のたわみを測定するための比較的安価な解決手段をさらに実現できる。
【0130】
図22図24は、一体化された歪みゲージとともにインプラントデバイスの実施形態を使用して達成される例示的な実験結果を取りあげている。図22は、僧帽弁インプラントデバイスに関連付けられている例示的な歪みゲージからのデータ読み取り値を示しているが、図23は、大動脈弁インプラントデバイスに関連付けられている例示的な歪みゲージからのデータ読み取り値を示している。図22および図23の例について、歪みゲージは、それぞれのインプラントデバイスの交連ポスト上に配設された。図22および図23のグラフは、時間の経過によるそれぞれの歪みゲージ信号の強度の変化を例示している。図22および図23に示されているように、それぞれの例示的なインプラントからの歪みゲージ信号は、一般的に、予想されたとおり心調律を追跡する信号である。いくつかの実施形態において、心内圧は、歪みゲージ信号から導出され得る。たとえば、図24のグラフは、図23の例示的な歪みゲージに対する歪みゲージデータ(すなわち、大動脈インプラント)と圧力データとの間の相関関係を例示している。図24のグラフでは、波形2211は、図23に表されているように大動脈インプラント歪みゲージのために圧力に変換された歪みゲージ信号を表す。波形2212、2213は、それぞれ、左心室および左大動脈について(たとえば、圧力カテーテル/トランスデューサを使用して)測定されたのと同じ期間にわたる実際の圧力値を表している。図24に示されているように、歪みゲージ信号から導出された圧力は、一般的に、測定された実際の圧力値と相関する。
【0131】
本開示の1つまたは複数の実施形態によるインプラントデバイス内に一体化された歪みゲージ信号から導出される圧力データは、低血圧症、不整脈、および/または他の心イベント/病状を検出し、および/または予測するために使用され得る。さらに、いくつかの実施形態において、歪みゲージデータは、1回拍出量変動、高血圧症、僧帽弁圧力、電流、収縮度(dp/dt)、および/または他の条件を決定するために使用され得る。いくつかの実施形態において、本明細書で開示されているようなインプラントデバイスと一体化されている歪みゲージは、1つまたは複数の圧電性結晶を使用することなどにより、エナジーハーベスティング機能を備えることができる。歪みゲージを使用して発生させる電力の量は、15分おきに、または別の間隔で、外部受信機へのデータ送信を行える量であるものとしてよい。
【0132】
歪みゲージまたは他の機構を使用して検出/監視され得る、交連のたわみは、少なくとも部分的に血管中の血流誘発振動によって引き起こされ得る。図25は、流体流路2203内に配設されている弁インプラント2210の側面図を示しており、流体流路内の流体流は、少なくとも一部はインプラントデバイス2210の交連ポスト構造2292A~Cによって引き起こされる渦の作用を受ける。流体力学では、カルマン渦列は、一般的に、場合によってはインプラントデバイスの他の構造もあるがその中でも、心臓弁ステント上の交連ポストなどの、鈍頭物体の周りの流体流の非定常剥離によって引き起こされる旋回渦の反復パターンを表し得る。たとえば、図25に示されているように、渦2201は、交連ポスト2292Bの近くに形成することができ、1つまたは複数の追加の渦(たとえば、2202)は、1つまたは複数の追加の交連ポスト(たとえば、2292C)の周りに形成することができる。そのような渦は、交連ポスト内の検出可能な振動/たわみを誘発し得る。
【0133】
圧電素子を使用する電力ハーベスティングおよび圧力感知
本明細書で開示されているいくつかの実施形態は、発電に交連のたわみの活動を利用することを規定しており、そのような電力は、関連付けられているインプラントデバイスまたは他の電気コンポーネントのうちの1つまたは複数のコンポーネントに給電するために使用され得る。たとえば、圧電素子は、交連ポスト上の圧力/歪みが圧電素子上に対応する圧力/歪みを引き起こし得るように交連ポストに関連付けられ得る。圧電素子を歪ませる(たとえば、直接圧電効果を通じて)ことによって、交連ポスト振動が圧電ポリマーの表面上に電荷を発生させ得る。その結果生じるポリマー中の静電容量増加は、たとえば、インプラントの一部であるか、または別の場所に配設され得る、電池をトリクル充電するために使用され得る電圧源となり得、これは血圧センサ、血糖測定器、ペースメーカー、および/または他のデバイスなどの、様々なデバイスに給電することができる。図26は、金属化層を含む平行プレート2304A、2304Bを含む圧電デバイスを表す図を示しており、圧電ポリマー2303は、プレート間に配設される。いくつかの実施形態において、圧電性結晶は、たわんで電力を発生させることができる。
【0134】
電力を収穫するために流体および構造振動エネルギーを利用するために心臓弁または他のインプラントデバイス内に一体化された圧電フィルムを使用して心臓弁の歪みゲージ測定および給電を行うための方法は、有利には、インプラントデバイスに給電するための比較的単純な、および/または簡便な手段を実現することができる。交連ポストのたわみから収穫されるエネルギーは、圧電セルに電力を供給するために使用され得る。いくつかの実施形態において、圧電素子を使用して交連ポストのたわみを通じて発生する電力は、インプラントデバイスの電気的機能への連続給電をサポートするのには十分でない場合があるが、コンデンサを充電して、データの間欠的送信のために電力を供給するか、または様々な目的のための補助電源を実現するために使用され得る。
【0135】
本明細書において開示されている実施形態による一体化されたセンサ機能を有する弁インプラントデバイスは、たとえば、心臓血管の不安定の関連する生理学的予測因子を監視するために特定のデータ処理を実行する外部デバイスに生理学的信号を送信するように構成され得る。いくつかの実施形態において、センサ信号は、圧電材料および/または他の非圧電センサから導出されるものとしてよく、圧電材料は、センサデータを送信するためのワイヤレス送信回路にも給電することができる。いくつかの実施形態において、弁インプラントは、ステントポスト構造(たとえば、PET、Mylar PET構造体)上に圧電材料を一体化することができる。いくつかの実施形態において、ステント部材は、PET構造体を含むのではなくむしろ、正常な心臓動作において曲がるように構成され得る、圧電アセンブリ構造体を含むことができ、それによって、圧電センサのリード上に電圧差を生じさせ、この電圧差はインプラントデバイス、または1つもしくは複数の関連付けられているデバイスのためのエネルギー源として収穫され得る。
【0136】
本明細書で開示されている実施形態による身体の自らのエネルギーでインプラントデバイスに給電することは、1つまたは複数の利点をもたらし得る。たとえば、自己給電は、交換を必要とし得る、追加の電池または他の電源、さらにはケーブルもしくは他のアタッチメントを必要とし得る、外部電源の必要性を減らすか、またはなくすことができる。発電機能が一体化されることで、センサデバイス/アセンブリは、有利には、デバイスを小型化することができ、これで埋め込み特性を改善することができる。たとえば、より大きい電池電源の代わりに比較的小型の圧電ポリマー発電機を使用することで、デバイス/アセンブリのサイズを縮小し、それによって診断特徴部および/または、Bluetooth(登録商標)および無線周波数識別(RFID)コントローラ、アンテナ、および同様のものなどのワイヤレスコンポーネントのためのより大きい空間をもたらすことができる。
【0137】
本明細書で開示されているいくつかの実施形態は、信頼できる長期間持続する電気を発生させるために人工心臓弁(または弁輪形成リング)内に一体化された比較的小さい可撓性多層圧電ポリマーデバイスを実現する。そのような圧電エネルギー発生器は、支持フレームの移動誘発振動からだけでなく、上で説明されているような、カルマン渦などの流動誘発振動からもエネルギーを収穫することができる。
【0138】
図27は、1つまたは複数の実施形態による多層圧電ポリマー発電機アセンブリ2494の切欠図である。この発電機2494は、比較的高い圧電性、可撓性、および/または生体適合性がそのような構造体に関連付けられ得るので望ましい場合がある、圧電ポリマーを使用して製造され得る。材料の結晶構造が一般的に電気エネルギーを発生させ得る圧電セラミックと異なり、圧電ポリマーは、絡み合った長鎖分子を利用して、電場が印加されたときに互い引き付け合い、互いに反発し合うようにできる。さらに、圧電セラミックと比較して、圧電ポリマーは水および/または人体組織に近い音響インピーダンスをもたらし、比較的高い電圧定数を有することができる。圧電ポリマーでは、比較的高い感度が共重合体に対する魅力的な特徴となり得るだけでなく、圧電ポリマーは溶融物または極性相の溶液から結晶化することもできる。したがって、そのようなデバイスを異なる形状(たとえば、曲面)に加工し、事前延伸なしで共重合体をポーリング処理することが可能である(たとえば、加工時間を短縮する)。
【0139】
発電機2494は、心臓弁インプラントデバイスのステントポストの一部であってよい。発電機2494は、積層構造を有することができ、圧電ポリマー2404を含む平行プレート構造は、上部電極2404および底部電極(図示せず)を含む、導電(たとえば、金属)層の間に配設される。導電層(たとえば、2404)は、静電容量構造の領域を画定し、発生した電流を伝えるための電極として使用され得る。弁を通る流体流における渦/振動によって引き起こされる圧力差は、圧電ポリマーの表面に振動変形を引き起こし得る。導電層(たとえば、2404)は、ステントポストが可撓性を維持することができるように望ましい可撓性を有する金属を含み得る。
【0140】
図27は、多層圧電ポリマー発電機2494の一実施形態を示しているが、図28は、弁ステントポスト上の発電機および/またはセンサ回路2584の可能な配置を示している。静電容量の増大を引き起こすために圧電表面の変形に頼るので、乱流または振動をもたらす領域内の発電機回路2584の割り振りは効率を改善し得る。図25に示され、上で説明されているように、渦は、心臓弁ステントの交連ポストの周りに発生し得る。したがって、交連ポスト構造体の遠位端部分は、発電機2584に対する望ましい配置をもたらし得る。本明細書では発電機を交連ポスト構造体と一体化するための実施形態が開示されているが、心臓弁、または他のインプラントデバイスの他の配置もしくは構造は、本開示による発電機に適した配置をもたらし得る。
【0141】
発電機回路2584は、患者の心腔の内側の1つまたは複数の血行動態パラメータを測定するように適合されている1つまたは複数のセンサコンポーネント2605を含み得る、本明細書において詳細に説明されているような、ワイヤレス監視システム用の電力を供給することができる。発電機回路2584は、センサコンポーネント2605、データストレージデバイス2507、コンデンサ、またはディスクリート受動コンポーネント2509からセンサデータを受信するコントローラもしくは通信ユニット2505、アナログ/デジタルコンバータ2511もしくは他の信号処理コンポーネント、および1つまたは複数の血行動態パラメータに対応するデータを含む信号を送信するか、または構造支持体を形成するように送信用アンテナ(図示せず)に結合するための電気的接続部および/または構造特徴部2513のうちの1つまたは複数をさらに含み得る。
【0142】
図29は、1つまたは複数の実施形態による弁インプラントデバイス2610の斜視図である。インプラントデバイス2610は、交連ポスト2694を含み、本明細書で開示されている実施形態による発電機システムは、少なくとも部分的にインプラントデバイス2610の交連ポストのうちの1つまたは複数のところ、またはその中に配設され得る。たとえば、エナジーハーベスタが、交連ポストの布層の下に留置され得る。
【0143】
図30は、本明細書において開示されている1つまたは複数の実施形態によるワイヤレス監視機能を備えるように構成されているインプラントデバイス内に一体化され得る、自己給電式センサモジュール2785のブロック図である。センサモジュール2785は、人工心臓弁と一体化され得る血流発電機を備えることができる。モジュール2785は、支持フレームの移動および/または流体流からの振動を使用して比較的少量の信頼のある長時間持続する電力を発生させるように構成され、および/または位置決めされ得る、圧電エネルギー発生器などの、エネルギー発生器2708を備える。いくつかの実施形態において、モジュール2785は比較的小さく、心臓弁ステント部材の交連ポスト構造体の布および/または他の層の下に配設されるように構成され、移動部品も回転運動もデバイスのエネルギー収穫機能を円滑にするには不要である。したがって、モジュール2785は比較的静かに動作し、血流動力学の比較的わずかな途絶をもたらし得る。それに加えて、モジュール2785が低衝撃外形を有している場合、血液の局部的凝固および/または凝固(たとえば、血栓症)は低減され得る。いくつかの実施形態において、エネルギー発生器2708は、有利には生体適合性を有し得る、圧電セラミック材料を含む。それに加えて、モジュール2785は、また、いくつかの実施形態において心臓に直接取り付けられないことにより心臓組織への損傷を回避するのにも役立ち得る。
【0144】
図31は、1つまたは複数の実施形態による心臓弁インプラントデバイスのステント部材2897を例示している。ステント部材2897は、たとえば、金属または他の剛体材料、さらには弁フレーム部材の上方に突出している交連領域(図示せず)内に少なくとも部分的に嵌合し得る、交連支持部分2898を含む可撓性(たとえば、プラスチック/PET)バンド2896、からなるものとしてよい、剛体補強バンド2899を含み得る。いくつかの実施形態において、可撓性バンド2896の交連支持部分2898のうちの1つまたは複数は、図27に示され、上で説明されているような、積層圧電構造体からなるものとしてよい。たとえば、圧電構造体は、ステント部材の部分2898の一部または全部を占有することができる。圧電構造体は、本明細書で開示されているよう実施形態により解釈され得る圧力関係信号の発生、およびデータ送信および/または他の目的のために使用する発電のいずれかまたは両方に利用され得る。たとえば、圧電センサ読み取り値は、血圧または他の生理学的特性を示し得る。さらに、いくつかの実施形態に関連して本明細書で開示されている様々な圧電特徴部および要素は、本開示の範囲内の好適なまたは望ましいタイプの圧電素子を利用することができる。
【0145】
圧電構造体は、本明細書で開示されているようなセンサおよび/または送信機の動作に使用され得る電力を発生させるように構成され得る。上で詳細に説明されているように、患者を遠隔監視するために、弁一体化センサは給電される必要があり得る。電池はいくつかの実施形態において弁内に取り付けられ得るが、これらは、充電を必要とし、および/または弁アセンブリ内の限られた領域を占有し得る。いくつかの実施形態において、本開示による弁は、信号として可撓性交連支持体内に一体化された圧電フィルム構造体の移動によって引き起こされる電圧差を使用し、また場合によっては、エネルギー源として使用されるべきこの電荷を貯蔵する。圧電材料を使用することによって、電池を能動的に充電するか、または電力信号を心臓弁に放射する必要なく送信され得る。
【0146】
圧電フィルムによって生成される電圧/信号は、圧電材料シートを波形成形するか、または積み重ねることによって高めることができる。図32は、1つまたは複数の実施形態による圧電一体化可撓性ステントバンド構造体(たとえば、2898)の側断面図を示している。たとえば、可撓性圧電ステントバンド構造体2998は、弁インプラントのステント部材の交連支持形態の一部であってよい。
【0147】
積み重ねられた圧電構造体2998は、導電性(たとえば、金属)プレート2991によって隔てられた圧電材料2993の層を含み得る。構造体2998は、圧電繊維複合体、圧電フィルム、または圧電セラミックなどの、好適な圧電材料2993を含み得る。いくつかの実施形態において、たとえば、曲げられるか、屈曲させられたときに電荷を発生させるように構成され得る、可撓性圧電繊維複合体要素などの、可撓性圧電素子を使用することが望ましい場合がある。圧電素子2993は、すぐに使用するか、または貯蔵しておいて後で使用するために、電気エネルギーをインプラントデバイスに伝える電極2991と電気的に接触するように配設され得る。
【0148】
いくつかの実施形態において、圧電シートの層は、図11に示され、上で説明されているような、弁インプラントのプラスチック(たとえば、PET、Mylar PET)バンド部材に類似の厚さと可撓性とをもたらすように積層され得る。圧電エネルギー発生器をステントバンド部材と組み合わせることによって、弁設計の構造的完全性を維持しながら別個のプラスチックバンドの必要性をなくすことができる。
【0149】
圧電材料一体化インプラントの実施形態は、図8に示され、上で説明されているように、超音波送信を通じて電力送信を受信するのに適しているものとしてよい。たとえば、圧電素子および/または関連付けられている構造体/コンポーネントの移動によって生じる電圧差は信号として使用されるものとしてよく、および/または電荷はエネルギー源として使用され得る。さらに、圧電材料一体化可撓性ステントバンド2898などの、圧電構造体は、超音波エネルギーを受信するための受信機として働き得る。そのようなデバイスは、無線周波数(RF)信号と比較して、超音波信号がいくつかの実装形態において損失を少なくして生体組織、血液、脂肪などの媒質を通して伝搬することができる機械的な波を含むので、超音波受信に特に適しているものとしてよい。したがって、超音波ワイヤレス充電は、いくつかのRFワイヤレス充電システムと比較してエネルギー伝達の点で効率を比較的高くすることができる。
【0150】
上で参照されているように、本明細書で開示されている1つまたは複数の実施形態によるインプラントデバイスと一体化された圧電センサは、血圧などの、1つまたは複数の生理学的条件を示す信号を発生させることができる。図33および図34は、一体化された圧電素子とともにインプラントデバイスの実施形態を使用して達成される例示的な実験結果を取りあげている。図33および図34は、大動脈弁インプラントデバイスに関連付けられている例示的な圧電素子からのデータ読み取り値を示している。図33のグラフの波形3311は、時間の経過により変化する圧電信号の強度を例示している。図33に示されているように、例示的なインプラントからの歪みゲージ信号は、予想されたとおり心周期に従って循環的である。いくつかの実施形態において、心内圧は、圧電信号から導出され得る。図33のグラフでは、波形3312は、測定されたとおりの実際の圧力を表す(たとえば、圧力カテーテル/トランスデューサを使用して)。
【0151】
図34のグラフは、実際の測定された圧力(mmHG単位のピーク逆圧)に関する圧電信号3311のピークとピークの間の電圧を示し、圧電信号と実際の圧力との間の相関関係を示す。したがって、図34によって示されているように、一体化された圧電素子を有するインプラントデバイスは、いくつかの構成において圧力センサとして使用され得る。いくつかの実装形態において、圧力差センサ信号は、流れ圧力(たとえば、低血圧、高血圧など)を決定するためなど、様々な目的のために圧力読み取り値に変換され得る。図34は、様々な圧力条件(たとえば、低血圧、正常圧、高血圧)と相関し得る圧力信号値の例を示しており、データは、低血圧から高血圧までの範囲にわたる圧電信号と圧力との間の良好な相関関係を示している。
【0152】
圧電信号は、低血圧症、不整脈、1回拍出量変動、高血圧症、僧帽弁圧力、電流、収縮度(dp/dt)、および/または他の条件を識別するために使用され得る。圧電素子を使用して発生させる電力の量は、15分おきに、または別の間隔で、外部受信機へのデータ送信を行える量であるものとしてよい。圧電材料一体化インプラントデバイスによって発生させるエネルギーは、圧電素子によって発生させるエネルギー(たとえば、1.7μW*)から関連するエネルギー伝達損失を引いた値によって表され得る。
【0153】
インプラント/患者監視プロセス
本明細書において開示されるのは、本明細書で開示されているような心臓弁インプラントデバイスなどの、インプラントデバイスを受け入れた患者の監視において利用され得るシステムおよびデバイスである。図35は、それに関連付けられている手術後インプラントデバイスおよび/または患者を監視するためのプロセス1100を示す流れ図である。プロセス1100は、図3に示され、上で説明されているシステム300の事業者またはコンポーネントのうちの1つまたは複数によって少なくとも部分的に実装され得る。いくつかの実施形態において、プロセス1100、またはその一部は、医師もしくはヘルスケア提供者、または他の使用者/事業者によって実装され得る。プロセス1100は、ブロック1102で、外部受信機デバイスを心臓弁インプラントデバイスなどの、患者に埋め込まれているインプラントデバイスにワイヤレスに結合するステップを伴う。ブロック1104において、プロセス1100は、インプラントデバイスのセンサを使用して物理的パラメータを測定するステップを伴う。物理的パラメータは、インプラント患者および/またはインプラントデバイスに関連付けられ得る。ブロック1106において、プロセス1100は、インプラントデバイスの封止リングまたは他の構造体に埋め込まれたアンテナまたは他の送信機アセンブリもしくはコンポーネントを使用して測定された物理的パラメータに基づきパラメータ情報をワイヤレスに送信するステップを伴う。
【0154】
図36は、それに関連付けられている手術後インプラントデバイスおよび/または患者を監視するためのプロセス1200を示す流れ図である。ブロック1202において、プロセス1200は、外部受信機デバイスを患者に埋め込まれている弁インプラントデバイスにワイヤレスに結合するステップを伴う。ブロック1204において、プロセス1200は、弁インプラントの1つまたは複数の交連ポストに取り付けられるか、または中にエッチングされ得る、歪みゲージデバイスを使用して弁インプラントの1つまたは複数の交連ポストのたわみを測定するステップを伴う。ブロック1206において、プロセス1200は、交連たわみ情報を弁インプラントから外部受信機デバイスにワイヤレスに送信するステップを伴う。ブロック1208において、プロセス1200は、埋め込まれた弁デバイスからワイヤレスに受信された交連たわみ情報を使用して診断情報を決定するステップを伴う。診断情報は、たとえば、心拍数情報、収縮期間情報、拡張期間情報、弁閉鎖圧力情報、等容性収縮情報、圧力変化情報、血流情報、血圧情報、または他のタイプの診断情報を含むことができる。
【0155】
経カテーテル心臓弁
本明細書で開示されている原理は、いくつかの心膜心臓弁インプラント、または同様のものなどの、好適なタイプのインプラントデバイスに適用可能であるものとしてよい。たとえば、いくつかの実施形態において、ワイヤレスデータおよび/または電力送信機能は、経カテーテル心臓弁(THV)に関連して実装され得る。
【0156】
図37は、1つまたは複数の環境または生理学的パラメータを感知するためのセンサモジュール3085を有する経カテーテル心臓弁3010、さらにはワイヤレスデータおよび/またはデータ伝達のためのアンテナ構造体3080の例示的な実施形態の斜視図である。センサ3085および/またはアンテナ3080デバイスは、上で説明されている様々な特徴/機能に従って設計され得る。
【0157】
THV3010は、THV3010を心臓の欠陥のある弁輪内、またはそれに隣接して固定するように構成されている、ステントなどの、グレーテッドフレームワーク(grated framework)を備え得る、支持フレーム3090を含み得る。支持ステント構造体3090は、埋め込まれた後に安定性をさらにもたらし、THV3010が移動するのを防ぐことができる。支持ステント構造体3090は、形状記憶金属、ステンレス鋼またはコバルトクロムなどの金属合金、および/またはポリマーなどの、好適なもしくは望ましい材料を含み得る。さらに、支持ステント構造体3090は、図37に示されているもの以外の構成を有することができる。たとえば、支持ステント構造体3090は、異なる形状、より多くのまたはより少ない垂直支持バー、および/または追加の構造体を安定性を加えるために有することができる。いくつかの実施形態において、支持ステント構造体3090は、ストラットメッシュおよび/またはスリーブ構造体を含み得る。
【0158】
支持ステント構造体3090は、弁構造体、たとえば、弁尖アセンブリ3093に固定されるものとしてよい。弁尖アセンブリ3093は、互いに接合することによって一方向弁としてまとまって機能する複数の弁尖を含み得る。たとえば、人工大動脈弁に関して、弁尖アセンブリは、図示されているように3つの弁尖を備え得る。しながら、本発明によるTHVインプラントは、より多くの、またはより少ない数の弁尖を有することができることが理解されるであろう。弁尖アセンブリ3093の様々なコンポーネントは、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、または同様のものなどの、好適な生物由来物質またはポリマーから全部または部分的に形成され得る。
【0159】
弁尖アセンブリ3093は、隣接する弁尖の間の交連に関連付けられている交連部分3094などにおいてステント3090の任意の好適な部分に取り付けられ得る。交連部分3094は、それぞれの交連部分をステント構造体3090に縫合するか、または固定するのを円滑にするように設計されている1つまたは複数の小穴もしくは係合特徴部を備え得る。
【0160】
センサモジュール3085および/またはアンテナ構造体3080は、テザー3089、または他の接続手段などを介して、何らかの方法でTHV3010に物理的に結合され得る。テザー3089または他の接続部は、センサ3085によって生成されるセンサデータがTHV3010の動作/機能に関連することを確実にする助けとなり得る、THV3080に物理的に近接する範囲内にセンサモジュール3085および/またはアンテナ構造体3080を維持する働きをし得る。
【0161】
いくつかの実施形態において、THV3010および支持構造体3090は、図38に示されているように、患者の血管系を通して送達するために圧縮状態に半径方向に圧縮され得る。それに加えて、アンテナ構造体は、同様に、図示されているように半径方向に圧縮されるように構成され、それにより、経カテーテル送達を可能にし得る。図38は、折り畳み構成のアンテナ構造体3080を示している。アンテナ構造体3080および/または支持構造体3090は自己膨張して、患者の血管系内の好ましい配置に位置決めされた後プリセットされた直径を有する自然な、未圧縮の、または機能している状態になるように構成され得る。
【0162】
一体化された心電計を備えるインプラント
患者心調律および/または他のパラメータを監視するステップは、患者の生命を脅かす心イベントを検出するうえで重要であり得る。心調律は、心臓内の、および/または心臓の周りの、電気的インパルスを検出することによって監視され得る(たとえば、心電計)。しかしながら、いくつかの技術によるような、胸部および四肢に留置された外部リードを使用する心臓監視は、望ましくないことであるが侵襲的であり得、したがってもっぱら短時間だけ使用され、継続的な手術後監視に適していない場合がある。代替的心電図記録技術は、ペースメーカーを患者体内に埋め込むステップを伴い得るが、これは望ましくないことであるが侵襲的でありコストが高くつく可能性がある。本明細書で開示されている実施形態は、人工心臓弁などの、インプラントデバイスに心電図記録技術を一体化することを規定しており、インプラントデバイスは、インプラントデバイスを通過する流体中の電気的インパルスに関連付けられている電圧ベクトルを決定することによって心調律を検出することができる。
【0163】
いくつかの実施形態において、センサ一体化インプラントデバイスは、心臓に関連付けられている電気的インパルスを感知するように構成されているセンサを備える。たとえば、図39は、電気心臓信号を監視するために1つまたは複数の電気センサを組み込む、心臓弁または他の心臓インプラントなどの、インプラントデバイス3310を例示している。
【0164】
各心拍において、健康な心臓は、心臓内の細胞の脱分極の秩序だった進行を示すものとしてよく、これは心電図(ECG)表現のためのデータを提供するために検出され得る電荷を発生させ得る。ECGデータは、心臓の構造および電気伝導系の機能に関係する様々な特性を示し得る。たとえば、ECGは、心拍の速度および律、心腔のサイズおよび位置、心臓の細胞または伝導系に対する損傷の存在、心臓病の薬の効果、または他の潜在的に重要な特性を測定するために使用され得る。「心電図」、「心電計」、「心電図記録」、および「ECG」という用語は、本明細書では、その広義の通常の意味に従って使用され、心臓の電気的インパルスを検出し、処理し、および/または分析するためのデバイス、方法、データ、および/またはシステムを指すために本明細書におけるいくつかの文脈において交換可能に使用され得る。
【0165】
インプラント3310は、心臓内の心調律を検出するために1つまたは複数の電極を使用して生成され得る、心臓内ECG送信信号を供給するように構成され得る。インプラント3310は、電気リード(3301、3302、3303、3304)に対する複数の例示的な位置を含む。「電極」および「リード」という用語は、本明細書では、その広義の通常の意味に従って使用され、電気接点および/または参照ノードを指すために本明細書におけるいくつかの文脈において実質的に交換可能に使用され得る。電極(3301、3302、3303、3304)の各々は、交連ポスト3392、輪もしくは封止リング3391、弁尖3393、またはインプラント3310の他のコンポーネントなどの、インプラント3310の1つまたは複数の構造コンポーネントに固定された導電性パッドを備え得る。インプラントデバイス3310は、3つの交連ポスト3392および3つの弁尖3393を備えるが、他の数のポストもしくは弁尖を有する弁またはインプラントが使用され得る。
【0166】
電極(3301、3302、3303、3304)は、インプラント3310が埋め込まれている血管内を流れる流体(たとえば、血液)と電気的に接触するように位置決めされ得る。いくつかの実施形態において、ECG電極のうちの1つまたは複数が血管または心臓壁などの生体組織と物理的に接触するか、または物理的に近接しているインプラント3310の一部に配設されることが望ましい場合がある。電極上に成長し過ぎた組織は、いくつかの構成の電極のところの電気信号強度を改善することができる。
【0167】
複数の電極(3301、3302、3303、3304)が例示されているが、一実施形態におけるコントローラに結合されている単一の電極を含む、任意の数の電極が実装され得ることは理解されるであろう。一実施形態において、インプラント3310は、2つの電極またはリードを備える。様々な実施形態において、インプラント3310は、4、6、8、10、12、またはそれ以上の電極もしくはリードを備える。さらに、例示されている電気的特徴部(3301、3302、3303、3304)の各々は、電極、リード、または1つもしくは複数の電極もしくはリードによって供給される電気信号を受信し、処理するように構成されているコントローラであってよいことが理解されるであろう。たとえば、一実施形態において、インプラント3310の各ECG電極は、コントローラに電気的に結合される(たとえば、電線もしくは経路3303、3305を介して)。図39を参照すると、たとえば、電気的要素3301、3302のうちの1つが電極である場合、他はECGコントローラを表すものとしてよく、電気的要素3303、3304のうちの1つが電極である場合、他はECGコントローラを表すものとしてよい。ECGコントローラは、処理のため電極/リードの間の電圧差を増幅するための差動増幅器(たとえば、計装用増幅器)などの、増幅器回路を備えることができる。いくつかの実施形態において、ECGコントローラは、アナログ電圧差信号をデジタル信号に変換するための回路を備え、インプラントデバイス3310は、上で詳細に説明されているように、デジタル信号をワイヤレスに送信するように構成されている。ECGコントローラは、それぞれ図4および図12に例示され、上で説明されている電子センサモジュール185、485に類似しているものとしてよい。
【0168】
インプラント3310の電極/リードは、ベクトルの測定結果の供給元であるものとしてよく、2つの電極の間の比較(たとえば、一方の電極は共通電圧基準、または接地基準を表す)は、ECG発生/分析に使用され得る電圧読み取り値を提供することができる。電極に適した位置は、フレームポスト構造上の望ましい地点、または他の位置における、輪状周辺部3391上に、またはその周りにあるものとしてよい。
【0169】
インプラントデバイス3310は、上で説明されているように、ワイヤコイル構造体および関連付けられている回路などの、送信機アセンブリ(図示せず)をさらに備えることができる。電極および送信機がインプラント3310(たとえば、弁)と一体化されている場合、心臓にかかる電圧の変化は取得可能であり、外部モニタに伝達可能であり得る。1つまたは複数の電極/リードを使用することで、様々なリード位置に沿って心臓内調律を検出することが可能である。本開示によるECG一体化弁インプラントデバイスは、大動脈弁、僧帽弁、肺動脈弁、または三尖弁などの任意のタイプの弁であり得るか、または経カテーテル心臓弁(THV)または経カテーテル僧帽弁(TMVR)であり得る。ステントコンポーネント(たとえば、ワイヤフレームまたは同様のもの)に関して、ECG電極は、ステント上に配設されるか、または他の何らかの形でそれに関連付けられ得る。しかしながら、ステントが金属または他の導体材料を含む場合、複数の電極が、電極の間で望ましい差読み取り値をもたらすために少なくとも部分的に互いから電気的に絶縁される必要があり得る。たとえば、1つの電極がステント上に配設され、その一方で別の電極がステント電極から少なくとも部分的に電気的に絶縁されているインプラントデバイスの別のコンポーネント上に配設され得る。
【0170】
患者に埋め込まれたECGセンサは、有利には、たとえば、患者の皮膚上に配設されている外部センサに比べて、心臓内の電気的インパルスの発生源のすぐ近くに接近し得る。ECG電極を埋め込まれた弁と一体化することによって、ECG機能は、有利には、医師の活動および/または電気コンポーネントの追加を最小限度に抑えて実装され得る。いくつかの実施形態において、弁インプラントに関連付けられている1つまたは複数の電極は、望ましいベクトルをもたらし得る、インプラントデバイスの外側の1つまたは複数の電極に結合されるか、または連携し得る。
【0171】
ECG一体化インプラント3310は、ペースメーカー手順/機能に勝るいくつかの利点を提供し得る。たとえば、受動的ペースメーカーは、単一リードに基づく心調律情報のみを提供し得るが、本明細書で説明されているような自給式ECGインプラントは、ECGベクトルをもたらし、いくつかの実施形態において心調律情報に加えて振幅情報を提供することができる。そのような情報は、有利には、心イベント(たとえば、心臓発作)、または同様のものを予測するために使用され得る、追加のパラメータを示すことができる。たとえば、血管が詰まり、それによって心臓が弱まると、検出されたベクトルの振幅は、差し迫った心イベントを示すことができる、下方のドリフトを示し得る。振幅情報は、心イベントを予測し、関連する診断を行い、および/または患者に対して処置を実行するためにコントローラまたは使用者によって使用され得る。
【0172】
電線または導電経路3303、3305は、インプラント3310の布被覆材の下に引かれるものとしてよく、および/またはワイヤフォーム、プラスチックステント/形態、補強バンド/構造体、または同様のものなどの、インプラント3310の物理的構造体と一体化され得る。
【0173】
図40は、心電計対応弁輪形成リング3400の一実施形態を示している。弁輪形成リング3400は、自然心臓弁の修復に使用され得る。たとえば、弁輪形成リング3400は、たとえば、僧帽弁などの弁漏れを修復するために使用され得る外科用デバイスを形成することができる。様々な要因により、通常は逆流に対して自然弁を封止する弁尖が適切に接合しないことがある。そのような弁の外科的修復は、自然弁輪を再形成するために弁輪形成リングを埋め込むことを伴うものとしてよく、弁輪形成リングは、接合を円滑にするように弁尖を引き寄せて合わせ、自然弁機能を再確立するのを助ける。
【0174】
弁輪形成リング3400は、図39に関連して上で説明されているECGコンポーネントおよび/または機能のうちのどれかまたはすべてを有することができる。本明細書で説明されているような、インプラントデバイス内に一体化するためのECG電極/リードは、任意の位置にある弁輪形成リング内に実装され得る。弁輪形成リング3400は、弁輪形成リング3400が埋め込まれている患者の心臓に関連付けられている電気ベクトルを検出するための1つまたは複数の電極もしくは電気的要素3401、3402を備えることができる。たとえば、電気的要素3401、3402のうちの一方が電極である場合、他方は、ECGコントローラを表すものとしてよく、これは電気ベクトルをもたらすための共通電圧基準を与えることができる。電気的要素3401、3402は、電線または他の導電経路3403を介して電気的に結合され得る。電気的要素または電極は2つしか例示されていないが、電気的要素または電極は弁輪形成リング3400といくつでも一体化され得ることが理解されるであろう。電極/電気的要素3401、3402は、弁輪形成リング3400の内面上またはその近くに、および/または弁輪形成リング3400の外面上に配設され得る。
【0175】
図41および図42は、上で説明されているように、一体化されたECG電極とともにインプラントデバイスの実施形態を使用して達成される例示的な実験結果を取りあげている。図41および図42は、インプラントデバイスの交連および先端に電極が結合されている例示的なECG一体化僧帽弁インプラントデバイスからのデータ読み取り値を示している。図41のグラフの波形4101は、時間の経過により変化するECG信号の強度を例示している。ECG信号4101は、僧帽弁輪および左心室内の異なる位置の間の電気信号を集めた結果に基づく。インプラントデバイスおよび/または電極は、ECG信号の強度を最大化する位置の心臓の左側に留置され得る。ECG波形4101は、心房脱分極を表す識別可能な反復P波(図41で識別されている比較的小さいたわみ)、さらには心室の大部分の脱分極を反映する、R波を示している。例示されているR-R間隔は、比較的一貫していると考えられ、波形4101は、比較的安定した心拍数状態の下で生成された。波形4101は、ベースラインの心臓状態を表し、一般的に、従来のECGデバイスを使用した場合に予想される波形に類似している。ECG波形4101は、弁インプラントデバイスに関連付けられている電極を使用して心臓内から取得され得ることを示している。
【0176】
図41および図42に表されている実験結果は、本開示によるECG一体化インプラントデバイスがまた心房細動および/または他の心不全状態を検出するために使用され得ることをさらに例示する。図42は、心臓の心房細動状態において生成されるECG信号4201を提示している。上で説明されているように、図41の波形4101は、洞律動を確立するベースラインのECG波形を表す。波形4201は、心房細動の識別を可能にする特性を含む。速く不規則な鼓動によって引き起こされる異常な心調律を特徴とする、心房細動において、血圧は一般的に健常状態のときほど一貫したものではない。波形4201は、健康な心臓信号の識別可能なP波を欠いており、これは心房細動を示すアーチファクトとして解釈できる。図41および図42に例示されている結果を考慮すると、本明細書で開示されているようなECG一体化インプラントデバイスの実施形態は、心拍数、不規則なリズム、心房細動、心房粗動、多源性心房性頻拍(MAT)、および/または他の心臓状態を識別できる潜在的可能性をもたらし得る。さらに、本開示によるECG一体化インプラントデバイスは、1つまたは複数の圧電性結晶を使用することなどによる、エナジーハーベスティングを実現することができる。
【0177】
一体化された流量センサを備えるインプラント
上記の開示では、たとえば、様々な生理学的パラメータおよび/または条件を示すセンサ信号を提供するように構成されている微小電気機械センサ(MEMS)を組み込んだ人工心臓弁の様々な実施形態を説明している。そのようなセンサによって生成されるセンサ情報は、心臓の健康問題などのいくつかの健康問題の診断および/または治療に有用であり得る。血流は、心臓の健康および/または他の健康状態を示し得る生理学的パラメータを表す。本明細書において開示されているいくつかの実施形態は、血流を示す読み取り値、またはそれに関連付けられている1つまたは複数のパラメータを提供するように構成されている1つまたは複数のセンサと一体化され、および/または関連付けられ得る心臓弁および他のインプラントデバイスを実現する。いくつかの実施形態において、それに関連付けられている1つまたは複数の流量センサを有する心臓弁または他のインプラントデバイスは、インプラントデバイスが患者体内に展開されたときにセンサ関係情報を処理し外部受信機に伝達するためのセンサ信号処理回路および/またはワイヤレス送信回路をさらに備えることができる。本明細書で開示されている1つまたは複数の実施形態によれば、「血流」は、血管内の血液の移動を示す測定結果またはパラメータを指すものとしてよく、流体密度および/または流体速度に関して表され得る。心臓状態の診断分析および治療に関して、血流測定は、様々な目的に役立ち得る。
【0178】
図43は、1つまたは複数の実施形態によるそれとともに組み込まれている1つまたは複数の流量センサを有する、人工心臓弁などのインプラントデバイス3510の底面図を示している。上で説明されているように、患者が人工心臓弁インプラントまたは他のインプラントデバイスを受け入れたときに、インプラント手術後の最初の30~90日間などの、インプラント手術後の期間は、患者の生存および/またはインプラントデバイスへの患者の反応性に関して重要であり得る。そのような期間において、患者の心臓状態はいくつかの状況において急速に悪化することがあり、場合によっては重大な心臓合併症および/または死に至り得る。血流読み取り値が注目する心臓健康関係問題に関連性があり得る範囲で、センサ一体化インプラントデバイスを使用する血流の進行中監視は、合併症またはそれを示すパラメータが現れたときに早期の検出および/または介入を可能にし得る。心臓機能の連続的なまたは頻繁な監視は、介入が必要であるか、または望ましいことを示す早期の警告を発することができる。
【0179】
いくつかの実施形態において、心臓弁3510の内部流路のところ、またはその近くに1つまたは複数の流量センサを配設することが望ましい場合がある。たとえば、図43は、流量センサ(3501~3507)が弁インプラント3510上で接続されるか、または配設され得る様々な位置を例示している。大動脈または他の動脈などの、血管内に少なくとも部分的に入っている弁3510の配向/位置により、弁3510によってもたらされる内腔を通る血流は、有利には、封止リング2591の内径のところまたはその近くで測定可能な血流をもたらすことができる。弁3510内に一体化された様々な流量センサは、MEMSホットワイヤまたはホットフィルムセンサを備えることができる。センサの位置3501~3506は、流量センサが弁3510を通る流れの測定を可能にするように内径上の弁3510の流入側に留置され得る可能な位置を表す。図示されているように、1つまたは複数の流量センサは、人工心臓弁3510の封止リングコンポーネント3591の内部部分上に、またはその中に配設され得る。たとえば、人工心臓弁3510が複数の弁尖3593を備える場合、1つまたは複数の流量センサ(たとえば、3501、3503、3505)は、2つの弁尖の集束点もしくは接合点のところ、またはその近くの封止リング3591の一部に配設され得る。それに加えて、または代替的に、1つまたは複数のセンサが、流量センサの位置3502、3504、3506のところに示されているように、弁尖の中間領域のところ、またはその近くの封止リング3591の一部に配設され得る。それに加えて、または代替的に、センサ一体化人工心臓弁の1つまたは複数の流量センサは、流量センサ3507に関して示されているように、弁尖に縫い付けられるなど、弁尖に接続されるか、または関連付けられ得る。そのような流量センサは、有利には、センサ3507によって引き起こされる弁尖機能/性能の望ましくない変化を防ぐために比較的小さく、および/または軽量であるものとしてよい。
【0180】
心臓弁3510の内部部分上のいくつかの位置は、流量センサに関連付けられているように示されているが、本開示による流量センサは、心臓弁3510のコンポーネントまたは一部に配設されるか、または関連付けられるものとしてよく、縫合、接着剤による接続、または他の接続手段などを通じて、望ましい仕方で心臓弁3510に取り付けられるか、または接続され得る。いくつかの実施形態において、流量センサは、血流パラメータを示すのに十分な温度差を与えることができる、洞房結節への物理的に近い位置に配設され得る。いくつかの実施形態において、流量センサは、弁インプラントの縫い付けリングコンポーネント上に配設されるか、または他の何らかの形で関連付けられ得る。図43に破線のボックスが示されているが、本開示による流量センサは、任意の好適なもしくは望ましい形状および/またはフォームファクタを含み得ることが理解されるであろう。人工心臓弁または他のインプラントと一体化された流量センサは、インプラントが患者体内に展開されたときに機能を監視することができるように信号処理および/または送信回路(図示せず)に電気的に結合され得る。
【0181】
人工心臓弁と一体化するための流量センサは、任意のタイプの流量センサであってよい。本開示によるいくつかの流量センサは、本明細書においてアネモメータと称されてよく、流量センサは、好適なもしくは望ましいタイプのアネモメータ、または同様のものを含むことができる。弁一体化流量センサを使用して実装される流量測定は、血液の体積流束または平均流量に関係し得る。
【0182】
人工心臓弁と一体化され得る例示的なタイプの流量センサは、血流の移動する粒子に衝突し、ドップラー効果により流体の流れの速度に比例する波長の変化で部分的に散乱されるように設計されているレーザ光ビームを利用するセンサなどの、光学的アネモメータを備え得る。血液粒子は、ドップラー偏移で光を散乱させることができ、この偏移した波長の分析は、粒子の速度を決定し、それにより血流速度の近似を行うために使用され得る。
【0183】
人工心臓弁と一体化され得る例示的なタイプの流量センサは、上流の位置における一定量の熱の注入、およびたとえば、温度計センサ使用して心臓弁の封止リングのところの下流の温度の変化の測定結果を利用することができる、熱希釈センサをさらに含むことができる。一実施形態において、熱は、封止リング3591において血流中に注入されるものとしてよく、温度の変化は、交連ポストの遠位端、または弁尖縁のところなどの、インプラントデバイス3510内の下流の位置で決定され得る。流れは、時間に経過による温度の変化の分析によって計算され得る。
【0184】
人工心臓弁と一体化され得る例示的なタイプの流量センサは、ホットフィルムおよびホットワイヤアネモメータのうちの1つまたは複数を含み得る。ホットフィルムおよびホットワイヤアネモメータは、本開示による好適なまたは望ましい方式で実装され得る。たとえば、いくつかの実施形態は、センサの近位にある血流に曝されるフィラメントに印加される定電流を利用する。フィラメント上の流れの変化は、それからの熱伝達速度に影響を及ぼし、それによりセンサにかかる電圧を変化させることができる。したがって、電圧の変化は、センサフィラメント上の血流の流量の変化に比例し得る。いくつかの実施形態において、ホットフィルムまたはホットワイヤアネモメータは、センサ上の血流によって引き起こされる対流の結果生じる熱伝達を補償するためにそれを通る電流を変化させることによってフィラメント内の温度を実質的に一定に維持する。したがって、一定温度におけるフィラメントへの電流の変化は、センサフィラメント上の流量の変化に比例し得る。いくつかの実施形態において、人工心臓センサ内に一体化されたホットワイヤおよび/またはホットフィルムアネモメータは、有利には、センサと周囲血流との間で、数℃以下と小さい温度差を有する血液中の動作読み取り値を提供するように構成され得る。比較的小さい温度差が利用される場合、過熱によって引き起こされる血液細胞への損傷の危険性が低減されるか、または最低限度に抑えられ得る。いくつかの実施形態において、本開示によるホットフィルムおよび/またはホットワイヤアネモメータセンサは、タングステンまたは同様のものなどの、生体適合性を有する材料を含むセンサフィラメントを備える。
【0185】
人工心臓弁に一体化されているホットフィルムまたはホットワイヤ流量センサは、ポリイミド基材または同様のものなどの、基材上に形成されるかまたは配設される1つまたは複数の電線もしくはフィルムを含むことができる。基材および/または他のアセンブリコンポーネントは、有利には、フォームファクタを縮小できるように比較的薄くすることができ、それにより、センサが血流を実質的に遮るかまたは変えることはない。様々なホットワイヤ/フィルム、導体、および/または接着パッドは、ニッケル、銅、または同様のものなどの、任意の好適なまたは望ましい材料を含むことができる。
【0186】
いくつかの実施形態において、心臓弁デバイス3510に一体化されている流量センサは、流量波形を生成するために使用され、流量波形の積分は、心拍出量(CO)を算出するために使用され得る。それに加えて、または代替的に、心拍数および/または逆流などの、他のパラメータも決定され得る。たとえば、心拍数は、流量信号の周波数を分析することによって決定され得るが、逆流は、拡張期に流量を測定することによって決定され得る。そのような生理学的パラメータにおける変化または傾向は、患者の健康が減退状態にあるかどうか、および/または医学的配慮が必要であるかどうかを決定するのに役立ち得る。逆流決定に関して、弁尖3593の集束領域の近くの位置に配設されている1つまたは複数のセンサは、弁尖の縁が適切に接合することにならないときに比較的少量の逆流の測定を有利には可能にするために使用され得る。
【0187】
流量センサ(たとえば、MEMS流量センサ)は、上で詳しく説明されているように、1つまたは複数の弁コンポーネント内に一体化され得る、回路基板(図示せず)に電気的に接続され得る。センサ流量センサおよび/または接続されている回路は無線周波数(RF)アンテナ(図示せず)にさらに結合されてよく、これはデバイスをワイヤレスに充電するために使用され得る。センサ一体化弁3510は、スマートフォンまたは他のコンピューティングデバイスなどの、患者の外部にある受信機デバイスと通信することができる。たとえば、センサ一体化弁3510は、WiFi(登録商標)もしくはBluetooth(登録商標)などの知られているワイヤレスプロトコル、または他の何らかの通信プロトコルを使用して通信するように構成され得る。いくつかの実施形態において、インプラントデバイス3510は、電力を流量センサに供給するために1つまたは複数の蓄電デバイスを備える。
【0188】
流量センサは、連続的にまたは定期的に/散発的に読み取りを行うように構成され得る。いくつかの実施形態において、流量センサの読み取り値は、外部デバイスにダウンロードされる前に一定期間にわたって取り出され、記録される。いくつかの実施形態において、流量センサ読み取り値は、外部ホストデバイス/システムによって要求されたとおりにオンデマンドで取り出され得る。
【0189】
上で説明されているように、流量センサは、速度に比例し得る、熱伝達を測定するように構成され得る。流量センサ(たとえば、3501~3507)および/または関連付けられている回路は、弁3510および/またはセンサの予想された、および/または実際の配置/条件に合わせて較正され得る。たとえば、1つまたは複数のセンサが配設され得る弁の入口の近くの特定の速度は、特定の体積流量に対応し得ると決定されてよく、心拍出量は、この体積流量から導出され得る。いくつかの実施形態において、流量波形形状は、詳細レベルで分析され得る。たとえば、波形の積分は、心拍出量を導出するために使用され得る。いくつかの実施形態において、湾曲の形状の特定の特徴が、心仕事量を示すために使用され得る。流量波形の信号処理は、比較的短い期間にわたって患者の健康予測するために使用できる。
【0190】
人工心臓弁と一体化された流量センサの位置決め/留置は、目標血管内の心臓弁に関連付けられている予想される流体力学に少なくとも一部は基づき得る。たとえば、図25に示され、それに関連して上で説明されているように、渦は、心臓弁の交連ポストの付近に形成し得る。封止リング3591の流入内径など、そのような渦の実質的な影響を受けない領域内に流量センサを位置決めすることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態において、交連ポストの近くに形成された渦の影響を受ける流量読み取り値を取り込むことが望ましい場合があり、したがって流量センサはその内側または外側部分のいずれかの、交連ポスト上、またはその近くに留置され得る。
【0191】
関連する心室からの血流は、完全な、または均一な栓流を表し得ず、心臓または動脈のいくつかの領域内の血流は、他に比べて均一であり、したがって、より信頼性の高い流量波形をもたらし得る。比較的均一な血流領域は、患者生体組織に少なくとも部分的に依存し得る。したがって、血流センサの位置は、患者の生体組織とマッチするように、または比較的均一な流れのある領域内に配設されるように患者の特定の物理的生体組織に合わせて手直しされ得る。均一な血流配置の決定は、エコーベースの技術を使用することなどにより、好適な方式で実行され得る。
【0192】
エネルギーが考慮されることから、いくつかの実施形態において、人工心臓弁と一体化されている流量センサは、パルス的に動作するか、または散発的にのみ、または定期的に活性化され得る。代替的に、流量センサは、実質的に連続的に動作し得る。
【0193】
流量センサ一体化心臓弁のいくつかの実施形態が開示されているが、流量センサは心臓弁の構造に物理的に結合されており、心臓弁に関連付けられている流量センサが心臓弁から物理的に隔たり得る他の実施形態も企図される。たとえば、いくつかの実施形態において、1つまたは複数の流量センサは、心臓弁から下流のところに配設されてよく、センサは、心臓弁にテザーでつながれるか、または他の何らかの形で通信可能におよび/または物理的に結合され得る。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の流量センサは、心臓弁3510を有する患者体内または心臓弁3510の近くに埋め込まれ得る弁導管構造体内に一体化され得る。弁導管は、損傷した血管部分を置き換えるのに使用できる。弁導管は、心臓弁を伴う単一ユニットであり得るか、または物理的に分離していてもよい。流量センサ一体化心臓弁は、本明細書において詳しく説明されているが、本開示による流量センサ一体化インプラントは、弁輪形成リング、ステント、コンプライアンス回復デバイス、または他のタイプのインプラントなどの、心臓弁以外の他のタイプのインプラントデバイスを含むことができることが理解されるであろう。
【0194】
図44は、1つまたは複数の実施形態による、患者の上行大動脈などの、血管12内に埋め込まれた流量センサ一体化心臓弁3610の斜視図を示している。図44の図は、本開示による流量センサ(3601~3604)に対する可能な外側位置を例示している。
【0195】
いくつかの実施形態において、二次血流を示す血流に曝されている領域に流量センサを位置決めすることが望ましい場合がある。たとえば、封止リング3691、交連ポスト3692A、弁尖3693A、3693B、または他のコンポーネントの流出径など、心臓弁の1つまたは複数のコンポーネントとも外側部分上に配設されている流量センサは、冠血流量の指示を与えるものとしてよい。たとえば、弁尖(たとえば、3693A)と大動脈壁との間に形成されるポケットは、冠状動脈(たとえば、右冠状動脈122)に還流される血流の渦に曝され得る。ポケット内に存在する血流は、ポケットの近くにあるそれぞれの冠状動脈内の冠血流量などの、冠血流量の指示をもたらし得る。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の流量センサは、心臓弁3610と冠状動脈との間の血流に曝される心臓弁3610の外側の領域上に配設され得る。たとえば、流量センサ3603は、右冠状動脈122の下、またはその近くの封止リング3619の外側部分上に配設され得る。代替的に、またはそれに加えて、流量センサ3601は、左冠状動脈の下、またはその近くの封止リング3691の外側部分上に配設され得る。追加のまたは代替的な流量センサ位置は、位置3604に示されているような、右冠状動脈122に面する交連ポスト3692Aの側部、および/または位置3602に示されているような、左冠状動脈121に面する交連ポスト3692Aの側部を含むことができる。
【0196】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の流量センサは、逆流を示すセンサ読み取り値を提供する位置に配設され得る。たとえば、1つまたは複数の流量センサは、弁尖3693の接合点に近接する位置に配設され得る。逆流情報は、弁インプラント手順後数時間または数日以内に特に注目すべきであり得、埋め込み後血圧が戻った後、初期逆流は一般的に正常レベルに戻り得る。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の流量センサは、逆流読み取り値を提供するように1つまたは複数の弁尖の流出もしくは流入側に配設され得る。それに加えて、心臓弁3610は1つまたは複数の布被覆材および/またはコンポーネントを含み得るので、いくつかの布領域を通る漏れを検出するように1つまたは複数のセンサが配設され得る。そのような漏れは、弁布部分が患者の正常な血液凝固機能により十分に凝固する前に生じ得る。たとえば、1つまたは複数の流量センサは、関連する布部分上に、またはその中に留置され得る。
【0197】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の流量センサは、心臓弁3610の埋め込み時に生じ得る望ましくない縫合糸の輪形成を検出するように設計されている位置に配設され得る。縫合糸の輪形成は、心臓弁3610を壁組織に縫合するときに手術者の視界が遮られることで生じる可能性があり、1つまたは複数の縫合糸の輪は、望ましくないことであるが、2つまたはそれ以上の弁尖にわたって結ばれることがあり、それによって、1つまたは複数の領域内での弁の適切な開放が阻害され、弁を通る流れが損なわれる。縫合糸の輪形成は、結果として、弁の耐久性を損なう可能性がさらにある。僧帽弁インプラントは、いくつかの手順によりそのような弁の埋め込みを反転させたときにそのせいで縫合糸の輪形成の影響を特に受ける可能性がある。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の流量センサは、交連ポストおよび/または弁尖集束領域の近くの弁尖領域のところに、またはその近くに配設され、それにより、そのような集束領域を通る所望の流れが収縮期に存在するかどうかを検出することができる。流れが2つの弁尖の間の集束点を通る場合の方が、別の一組の弁尖の間の別の集束点を通る場合に比べて実質的に低い場合、そのような流れの違いは縫合糸の輪形成を示し得る。すなわち、縫合糸の輪形成の決定、またはいくつかの他の外科的問題に関する決定を行うために、弁を通る非対称流の検出に頼ることができる。
【0198】
図43および図44の図によって表されている様々な実施形態は、人工心臓弁内に一体化され得る流量センサおよびデータ送信デバイスを実現し得る。センサシステムは、データをスマートフォンまたは他の外部デバイスにワイヤレスに送信することも可能である。たとえば、センサシステムは、感知データが患者の病状の好ましくない傾向を示している場合に適切な医療要員にアラート信号を送信するように構成され得る。
【0199】
本明細書で開示されている様々なセンサおよびセンサプロセスは、所望のセンサ一体化インプラント機能を実現するために単一の実施形態に組み合わせることができることが理解されるであろう。たとえば、流量に関係する情報を提供するように構成されている1つまたは複数の流量センサを有する心臓センサは、交連ポストたわみデバイスおよび/または回路と組み合わせて、単一のタイプのセンサもしくは処理機能のみを備えるシステムでは達成可能でない場合がある複雑度および/または精度の算出および/または決定を可能にし得る機能を実現するために使用され得る。そのような組み合わされた流量センサおよびたわみセンサを一体化したインプラントデバイスは、1回拍出量、局所流量、および/または他の心臓健康関係パラメータの導出を可能にし得る。
【0200】
本明細書で開示されているセンサおよび/または弁のうちのどれかは、望ましくない組織過成長を少なくとも部分的に防ぐように設計されている材料および/またはコーティングを含み得る。
【0201】
追加の実施形態
図45は、1つまたは複数の実施形態によるセンサ一体化弁インプラントデバイス4510の一実施形態を例示している。インプラントデバイス4510は、1つまたは複数のセンサ(たとえば、圧力センサ、流量センサなど)および/またはそれと一体化された送信特徴部もしくはコンポーネント(たとえば、コイル)を有するスカート部4518を備える。外側スカート部4518は、下側縁部分4560と上側縁部分4562とを有し、複数の交互突出部164および切欠部4566を画定し得る。スカート部4518の下側縁部分4560は、弁の流入端において内側スカート部4516の下側縁に縫合され得る。各突出部4564は、フレーム4512の筋交いの横木に縫合され得る。突出部4564の隅4562は、横木のそれぞれの筋交い上に折り畳まれ、縫合糸4568で固定され得る。
【0202】
外側スカート部4518は、フレームが膨張状態にあるときに、フレーム4512の外面に対して平坦に置かれない外側スカート部の下側と上側縁4560、4562の間の過剰な材料またはたるみがあるようにフレーム4512に固定され得る。言い換えれば、外側スカート部は、半径方向膨張時にフレームが短縮する(すなわち、長さが短くなる)と外側スカート部を外向きに出っ張らせる過剰な材料により構成され得る。したがって、弁4510が本体部内に展開されるときに、外側スカート部4518の過剰な材料は、フレーム4512と周囲の自然輪との間のギャップを充填して、弁と自然輪との間に流体密封シールを形成するのを補助することができる。したがって、外側スカート部4518は、弁4510を埋め込んだ後の弁周囲逆流を回避するように内側スカート部4516と連携する。いくつかの実施形態において、外側スカート部4518の下側縁と上側縁との間のたるみは、フレーム4512が外側スカート部4518からの抵抗を受けることなくクリンプする際に軸方向に細長くなるようにでき、外側スカート部4518は、クリンプ状態にある人工弁の外形に実質的な影響を及ぼさない。
【0203】
いくつかの実装形態において、1つまたは複数の歪みゲージ、圧電センサ、ECG電極、静電容量および/または抵抗MEMSセンサ、流量センサ、または同様のものなどの、本開示による1つまたは複数のセンサは、スカート部4518に取り付けられるか、または他の何らかの形で一体化され得る。センサは、スカート4518の外側に取り付けられるか、または外側スカート部4518と内側スカート部4516との間に少なくとも部分的にネストされ得る。さらに、いくつかの実施形態において、外部に配置されている受信機/送信機と通信するための電力および/またはデータ送信コイルは、スカート部4518に取り付けられるか、または他の何らかの形で関連付けられ得る。いくつかの実施形態において、データおよび/または電力送信線は、弁4510のスカート部4518または他のコンポーネントを縫合するために使用され得る。
【0204】
実施形態に応じて、本明細書で説明されているプロセスまたはアルゴリズムのうちのどれかの特定の活動、事象、または機能は、異なる順序で実行されてよく、追加されるか、マージされるか、または完全に省略され得る。したがって、いくつかの実施形態において、すべての説明されている活動または事象がプロセスの実施に必要なわけではない。さらに、いくつかの実施形態において、活動または事象は、たとえば、逐次的ではなくマルチスレッド処理、割り込み処理、またはマルチプロセッサもしくはプロセッサコアを介して、同時実行され得る。
【0205】
本明細書で説明されているいくつかの方法および/またはプロセスは、1つまたは複数の汎用および/または専用コンピュータによって実行されるソフトウェアコードモジュールで具現化され、それらを介して部分的にまたは完全に自動化され得る。「モジュール」という語は、ハードウェアおよび/またはファームウェアで具現化された論理を指すか、またはたとえばCまたはC++などのプログラミング言語で書かれた、場合によっては入口点と出口点とを有する、ソフトウェア命令の集合体を指す。ソフトウェアモジュールは、コンパイルされ、ダイナミックリンクライブラリにインストールされた、実行可能プログラムにリンクされ得るか、またはたとえばBASIC、Perl、またはPythonなどのインタプリタ型プログラミング言語で書かれ得る。ソフトウェアモジュールは、他のモジュールから、またはそれ自体から呼び出し可能であるものとしてよく、および/または検出されたイベントもしくは割り込みに応答して呼び出され得る。ソフトウェア命令は、消去可能プログラム可能リードオンリーメモリ(EPROM)などの、ファームウェアで具現化され得る。ハードウェアモジュールは、ゲートおよびフリップフロップなどの、接続された論理ユニットからなるものとしてよく、および/またはプログラム可能ゲートアレイ、特定用途向け集積回路、および/またはプロセッサなどの、プログラム可能ユニットからなるものとしてよい。本明細書で説明されているモジュールは、好ましくは、ソフトウェアモジュールとして実装されるが、ハードウェアおよび/またはファームウェアで表され得る。さらに、いくつかの実施形態において、モジュールは別々にコンパイルされ得るが、他の実施形態では、モジュールは別々にコンパイルされたプログラムの命令のサブセットを表すことができ、他の論理プログラムユニットから利用可能なインターフェースを有し得ない。
【0206】
いくつかの実施形態において、コードモジュールは、任意のタイプの可読媒体もしくは他のコンピュータストレージデバイスで実装され、および/または記憶され得る。いくつかのシステムにおいて、システムに入力されるデータ(および/またはメタデータ)、システムによって生成されるデータ、および/またはシステムによって使用されるデータは、リレーショナルデータベースおよび/または単層ファイルシステムなどの任意のタイプのコンピュータデータリポジトリに記憶され得る。本明細書で説明されているシステム、方法、およびプロセスはどれも、患者、医療従事者、管理者、他のシステム、コンポーネント、プログラムなどとのインタラクティブなやり取りを可能にするように構成されているインターフェースを備え得る。
【0207】
開示されているシステムおよび方法の実施形態は、ローカルおよび/またはリモートデバイス、コンポーネント、および/またはモジュールとともに使用され、および/または実装され得る。「リモート」という用語は、ローカルに記憶されない、たとえば、ローカルバスを介してアクセス可能でない、デバイス、コンポーネント、および/またはモジュールを含み得る。したがって、リモートデバイスは、同じ部屋に物理的に配置され、スイッチもしくはローカルエリアネットワークなどのデバイスを介して接続されるデバイスを含み得る。他の状況では、リモートデバイスは、たとえば、異なる場所、建物、市、国、などにある、別の地理的領域内に配置されてもよい。
【0208】
本明細書で使用されている条件付きの言い回し、とりわけ、「できる」、「できた」、「し得た」、「し得る」、「たとえば」および同様の言い回しは、特に断りのない限り、または使用されている文脈内で他の意味に理解されるべきでない限り、通常の意味で意図されており、一般的に、いくつかの特徴、要素、および/またはステップを、いくつかの実施形態に含むが、他の実施形態には含まない、ことを伝達することを意図されている。したがって、そのような条件付きの言い回しは、特徴、要素、および/またはステップがいかなる形でも1つまたは複数の実施形態に対して必要であること、または1つまたは複数の実施形態が必ず、オーサ入力またはプロンプトあり、またはなしで、これらの特徴、要素、および/またはステップが、特定の実施形態に含まれるか、または特定の実施形態において実行されるべきであるかを決定するための論理を含むことを意味することを意図されていない。「含む」、「備える」、および「有する」という言い回しおよび同様の言い回しは同義語であり、通常の意味で使用され、制約されることなく、包含的に使用され、追加の要素、特徴、活動、動作、などを除外しない。また、「または」という言い回しは、たとえば、要素のリストを連結するために使用されたときに、「または」という言い回しが、そのリスト内の要素の1つ、いくつか、またはすべてを意味するように包含的な意味で(および排他的な意味でなく)使用される。「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」という語句などの連言的な言い回しは、特に断りのない限り、一般に、項目、用語、要素などがX、Y、またはZのいずれかであり得ることを伝えるために使用されるような文脈により理解される。したがって、そのような連言的な言い回しは、いくつかの実施形態がXの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、およびZの少なくとも1つが各々存在していることを必要とすることを意味することを一般的に意図されていることはない。
【0209】
本明細書全体を通して「いくつかの実施形態」または「一実施形態」と記述されている場合、これは、その実施形態に関して説明されている特定の特徴、構造、または特性が少なくともいくつかの実施形態に含まれることを意味する。そのため、「いくつかの実施形態において」または「一実施形態において」という語句が本明細書全体の様々な箇所に記載されていても、必ずしもすべて同じ実施形態を指しているとは限らず、同じもしくは異なる実施形態のうちの1つまたは複数を指すものとしてよい。さらに、特定の特徴、構造物、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、本開示から当業者にとって明らかであるように、好適な様式で組み合わせることができる。
【0210】
実施形態の上記の説明において、様々な特徴は、開示を合理化し、様々な発明の態様のうちの1つまたは複数の理解を助けるために、時には、その単一の実施形態、図、または説明にひとまとめにされていることが理解されるであろう。しかし、この開示方法は、請求項がその請求項において明示的に述べられている以上の特徴を必要とする意図を反映するものとして解釈されるべきでない。さらに、本明細書の特定の実施形態において例示され、および/または説明されているコンポーネント、特徴、またはステップは、他の実施形態に適用されるか、または使用され得る。さらに、いかなるコンポーネント、特徴、ステップ、またはコンポーネント、特徴、もしくはステップのグループも、各実施形態に対して必要または必須であるということはない。したがって、本明細書に開示され以下で請求される発明の範囲は、上記に説明した特定の実施形態によって限定されるべきではなく、以下の請求項を公平に読むことによってのみ決定されるべきであることが意図される。
【符号の説明】
【0211】
1 心臓
2 左心房
3 左心室
4 右心室
5 右心房
7 大動脈弁
8 三尖弁
9 肺動脈弁
10 外科人工心臓弁
12 大動脈
111 トランシーバ
112 ディスクリートコンポーネント
113 コントローラ
114 データストレージ
120 センサ
122 右冠状動脈
140 電源
164 交互突出部
185 センサデバイス
300 システム
307 弁構造特徴またはコンポーネント
310 人工インプラント/インプラントデバイス
313 コントローラ回路
314 データストレージモジュール
315 患者
320 センサ
330 送信機
335 受信機回路
340 電源
350 ローカルモニタデバイス/システム
353 トランシーバ
355 外部アンテナ
360 リモートモニタサブシステムまたはデバイス
370 二次ローカルモニタ
375 ネットワーク
395 アンテナ
410 人工心臓弁
480 送信機アセンブリ
481 導電コイル
485 電子センサまたは回路
491 末梢封止リング構造体
492 フレーム部材
493 可撓性弁尖
494 交連ポスト
495 弓形先端
496 プラスチックバンド
497 ステント部材
498 交連支持部分
499 剛体補強バンド
601 基材
602 生体適合性を有する媒体
603 メタライゼーション
604 第1の導電層
605 圧電材料
606 第2の導電層
620 静電容量センサ
751 コントローラ
753 トランシーバ
754 データストレージ
759A 電源
759B 外部電源
770 二次ローカルモニタ
780 アンテナ
790 ステントアセンブリ
795 送信機アセンブリ
800 電力および/またはデータ通信システム
810 心臓弁アセンブリ
811 受信機モジュール
815 患者
853 外部送信機モジュール
880 コイルデバイス
881 電気接点/接続部
891 封止リング構造体
980 送信機アセンブリ
982 コイル
983 シースまたは被覆
985 回路
1010 心臓弁
1081 出力リード
1088 歪みゲージ
1091 封止リング
1092 フレーム部材
1093 弁尖
1094 交連ポスト形態
1097 ステント部材
1098 交連支持部分
1100 プロセス
1200 プロセス
1310A 弁
1310A インプラントデバイス
1310B インプラントデバイス
1385A センサデバイス
1385B センサデバイス
1480 コイルアンテナ
1481 接続部
1485 センサデバイス
1497 ステント部材(たとえば、ポリマーステント)
1499 内部部分
1710A インプラントデバイス
1710B インプラントデバイス
1710C インプラントデバイス
1710D インプラントデバイス
1710E インプラントデバイス
1710F インプラントデバイス
1780A コイル構造体
1780B コイル構造体
1780C コイル構造体
1780D コイル構造体
1780E コイル構造体
1780F コイル構造体
1785 センサモジュール
1787A 外側線
1787B 外側線
1787C 外側線
1787D 外側線
1787E 巻線
1787F 巻線
1789A 内部コア
1789B 内部コア
1789C 内部コア形態または容積(たとえば磁気コアまたは空気コア)
1789D 内部コア(たとえば磁気コアまたは空気コア)
1789E コア形態または容積
1791 円周リングまたはコンポーネント
1988 一体化された歪みゲージ
1997 ステント部材
1998 交連ポスト
2201 渦
2203 流体流路
2210 弁インプラント
2211 波形
2212、2213 波形
2292A~C 交連ポスト構造
2292B 交連ポスト
2303 圧電ポリマー
2304A、2304B 平行プレート
2404 圧電ポリマー
2494 多層圧電ポリマー発電機アセンブリ
2505 コントローラもしくは通信ユニット
2507 データストレージデバイス
2509 ディスクリート受動コンポーネント
2511 アナログ/デジタルコンバータ
2513 電気的接続部および/または構造特徴部
2584 発電機および/またはセンサ回路
2605 センサコンポーネント
2610 インプラントデバイス
2694 交連ポスト
2708 エネルギー発生器
2785 自己給電式センサモジュール
2896 可撓性(たとえば、プラスチック/PET)バンド
2897 ステント部材
2898 交連支持部分
2899 剛体補強バンド
2991 導電性(たとえば、金属)プレート
2993 圧電材料
2998 可撓性圧電ステントバンド構造体
3010 経カテーテル心臓弁
3080 アンテナ構造体
3085 センサモジュール
3089 テザー
3090 支持フレーム
3093 弁尖アセンブリ
3094 交連部分
3301、3302、3303、3304 電極
3303、3305 電線もしくは経路
3310 インプラントデバイス
3311 波形
3312 波形
3391 輪もしくは封止リング
3392 交連ポスト
3400 心電計対応弁輪形成リング
3401、3402 電極もしくは電気的要素
3403 導電経路
3501~3507 流量センサ
3510 インプラントデバイス
3591 封止リングコンポーネント
3593 弁尖
3601~3604 流量センサ
3610 流量センサ一体化心臓弁
3619 封止リング
3691 封止リング
3692A 交連ポスト
3693A、3693B 弁尖
4101 ECG信号
4201 ECG信号
4510 センサ一体化弁インプラントデバイス
4512 フレーム
4516 内側スカート部
4518 スカート部
4560 下側縁部分
4562 上側縁部分
4564 突出部
4566 切欠部
4568 縫合糸
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A-6B】
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図18F
図19A
図19B
図19C
図19D
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
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図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45