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特許6991989可溶化物質の送達のための飲料調製カプセル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】可溶化物質の送達のための飲料調製カプセル
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/00 20160101AFI20220105BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20220105BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20220105BHJP
   A61K 47/69 20170101ALI20220105BHJP
【FI】
A23L33/00
A23L5/00 C
A23L2/00 F
A61K9/48
A61K9/107
A61K9/10
A61K9/127
A61K47/69
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018548028
(86)(22)【出願日】2017-03-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2017000312
(87)【国際公開番号】W WO2017153047
(87)【国際公開日】2017-09-14
【審査請求日】2020-03-03
(31)【優先権主張番号】16000586.4
(32)【優先日】2016-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518318587
【氏名又は名称】アテニオン アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ATHENION AG
【住所又は居所原語表記】Gotthardstrasse 20 6304 Zug (CH)
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ブライス エケハード
(72)【発明者】
【氏名】ブライス ウォルフガング
(72)【発明者】
【氏名】フォン ウェゲラー ヨーグ
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0201790(US,A1)
【文献】特開平09-323759(JP,A)
【文献】国際公開第2015/148027(WO,A1)
【文献】特表2011-509677(JP,A)
【文献】特表2013-514158(JP,A)
【文献】特表2008-534591(JP,A)
【文献】特開昭60-233010(JP,A)
【文献】特開平06-014746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/00-33/29
A23L 2/00-2/84
A61K 9/00-9/72
FSTA/CAplus/AGRICOLA/BIOSIS/
MEDLINE/EMBASE(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの薬剤活性剤および/または栄養補助食品の可溶化物質を含有する飲料調製カプセルであって、
前記飲料調製カプセルは、底部及び切頭円錐形の側壁を有し、単室のカップと、前記カップの底部と反対側にあって前記底部より直径が大きい円形唇片と、前記円形唇片の周縁に溶接されたカバーとを含み、
前記飲料調製カプセルは、飲料注出システムに適した形状を有し、
前記カバーは単層であり、
前記少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤および/または栄養補助食品の可溶化物質は、少なくとも1つの難水溶性物質または抽出物から調製され、希釈剤を含まず、
前記難水溶性は、1~7.5のpH範囲にわたって最高用量を溶解するために250mlを超える水性媒体を必要とする薬学的に活性な薬剤および/または栄養補助食品を意味し、
前記可溶化物質は、前記少なくとも1つの薬剤活性剤および/または栄養補助食品と、可溶化剤とを含む組成物であり、
前記可溶化物質は、前記少なくとも1つの薬学的に活性な薬剤および/または栄養補助食品の濃縮物ではない、
飲料調製カプセル。
【請求項2】
前記可溶化物質が、ミセル、リポソーム、自己乳化またはシクロデキストリン錯化技術を用いて調製される、
請求項1に記載の飲料調製カプセル。
【請求項3】
前記少なくとも1つの栄養補助食品および/または薬剤活性剤の前記可溶化物質が、前記栄養補助食品または薬剤活性剤の少なくとも1つの吸収および/またはバイオアベイラビリティを増強する、
請求項1又は2に記載の飲料調製カプセル。
【請求項4】
前記可溶化物質が、前記物質が栄養補助食品である場合にはβ-カロテン、メラトニン、葉酸およびケルセチンを含む群から、前記物質が薬剤活性剤である場にはフロセミド、アセトアミノフェン、グリピジドおよびクラリスロマイシン含む群から選択される物質から調製される、
請求項2または3に記載の飲料調製カプセル。
【請求項5】
前記可溶化物質が、少なくとも1つの薬剤活性剤を含む、医薬剤形として使用するための
請求項2または3に記載の飲料調製カプセル。
【請求項6】
前記少なくとも1つの医薬または栄養補助食品の苦いかまたは不快な味が、ミセル、リポソーム、自己乳化またはシクロデキストリン錯化技術によって調製された前記可溶化物質によってマスクされる、
請求項2に記載の飲料調製カプセル。
【請求項7】
前記カプセルが、5mm~25mmの直径および5mm~12mmの高さを有するミニカプセルである、
請求項1~6のいずれか一項に記載の飲料調製カプセル。
【請求項8】
飲料注出システムであって、
a)飲料調製カプセルから飲料を調製し注出するための飲料ディスペンサ、
b)請求項1~7のいずれか一項に記載の飲料調製カプセル、および
c)飲料容器を含む、
飲料注出システム。
【請求項9】
前記飲料ディスペンサおよび/または前記飲料調製カプセルが、前記飲料の前記飲料容器への注出のためのチューブまたはノズルを含み、前記チューブまたはノズルが流れ制限装置を含むことを特徴とする、
請求項8に記載の飲料注出システム。
【請求項10】
前記流れ制限装置が、スレッド、オリフィスプレートまたは遠位で先細になっているノズルである、
請求項9に記載の飲料注出システム。
【請求項11】
前記飲料ディスペンサが、請求項8に記載の少なくとも1つのミニカプセルを受け取るように構成された飲料調製カプセルホルダーまたは飲料調製カプセル回転台を装備しているか、またはそれを受け取るように構成されている、
請求項8~10のいずれか一項に記載の飲料注出システム。
【請求項12】
請求項8~11のいずれか一項に記載の飲料注出システムを用いて飲料を調製するための方法であって、
a)請求項1~7のいずれか一項に記載の飲料調製カプセルを準備するステップと、
b)前記カプセルを前記飲料ディスペンサに入れるステップと、
c)便宜な大きさの飲料容器を前記飲料ディスペンサの前記ノズルの下に置くステップと、
d)前記飲料注出システムの前記機構を操作するステップとを含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可溶化物質の送達のための飲料調製カプセル、そのような飲料調製カプセルを使用するために構成された飲料注出システム、およびそのような飲料注出システムを用いて飲料を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの健康に有益な効果がある可能性のあることがインビトロでの実験で見出されている多種多様な物質が公知である。しかし、それらの多くは、最先端技術で公知の適用形態で達成できるバイオアベイラビリティが不十分であることによって利用が著しく制限されてきた。薬理学において、バイオアベイラビリティは、体循環で最終的に利用可能となり、従って望ましい薬理効果を提供する可能性のある未変化体の投与量の割合を示すパラメータである。この不十分なバイオアベイラビリティは、しばしば難水溶性、すなわち投与される活性薬剤の親油性の性質に起因する。従って、そのような物質を栄養補助食品として、または薬剤活性剤として使用する場合、標準的な剤形を使用すると十分な機能を果たさない。
【0003】
可溶化技術を用いることによって、そのような薬剤の溶解性、そして多くの例ではそのバイオアベイラビリティも改善するための、多様な手法が存在する。ここで、媒体中の薬剤の溶解性は、第3の物質を添加することによって増強される。これらの第3の物質は、溶解剤(可溶化剤)、例えば可溶化させる物質と錯体を構築することのできる物質と呼ばれる。そのようなキレート剤の例は、安息香酸ナトリウムおよびサリチル酸ナトリウムである。溶解剤のもう1つの作用機序は、例えば水のクラスター構造を破壊することによる、溶媒の溶解能の増強である。そのような構造破壊剤の例は、グリセロール(グリセリン)およびマクロゴール(ポリエチレングリコール、PEG)である。
【0004】
第3の可溶化機構は、ミセルおよびリポソームの応用技術である。ミセルおよびリポソームはこの数十年間幅広く注目を集めた。ここで、送達される物質は、界面活性剤分子の球形の凝集体に封入される。これらの分子は、極性頭基および長い無極性鎖(「尾部」)を特徴とする。水性媒体に入れられると、これらの分子は極性頭基を周囲の媒体の方に向け、無極性鎖を球の内部の方に向けることにより、凝集して球状構造となることによって会合する傾向がある。これらの球がそのような両親媒性分子の1層だけからなる場合、それらはミセルと呼ばれる。両親媒性分子の性質および反応条件に応じて、2以上の層をもつ球を形成することも可能である。ここで、第2の層は球の外層の内部に形成され、この第2の層の無極性基は外層の無極性基の方を向き、極性頭基は球の内部の方を向いている。そのような凝集体をリポソームと呼ぶ。その構造において、それらは細胞膜の脂質二重層に似ている。多くの場合、細胞膜で公知の成分と同じかまたは構造的に関連のある成分がリポソームに使用され、そのために同様の物理化学的特性を示す。少なくとも2つのリポソーム球が互いの上に形成され、従って多数の球状凝集体を構築する多層リポソームもある。親油性媒体に入れられると、これらの物質は親油性鎖が溶液媒体の方に向かい、その他の層がそれに応じて配置される、逆転した球構造を構築する傾向がある。
【0005】
物質をそのような球構造の内部に封入することが可能であることは長い間知られている。そのような充填された球の様々な利用法が当技術分野で記載されており、その中には、親油性物質の適用のための、かつ/または封入した物質のバイオアベイラビリティを増加させるための剤形としての利用が記載されている。ミセルでは、封入された無極性物質は、両親媒性分子の無極性鎖が向かう、球の内部空間に集まる。しかし、リポソームでは、球の内部空間は水性、すなわち親水性媒体である。それは親水性分子をパッケージングするのに役立つことができる。しかし、難水溶性、すなわち親油性の分子は、主にリポソーム層の親油性構造間に集まる。
【0006】
実験による薬物動態測定から、ミセルならびにリポソームは、比較的高い程度に生物から胃腸管中に、特に腸絨毛から吸収されることが公知である。従ってそのような球凝集体に充填された物質は、はるかに高い程度に全身の血流に吸収され、血流には特定の割合の封入物質が様々な生理的および非生理的機構を通して放出される。従ってこの物質は生体利用可能となり、生物においてその作用を発揮することができる。必要であればそれは細胞膜を通して細胞の内部へ輸送されることができる。輸送、すなわち細胞膜を越える吸収速度は、分子サイズ、親油性の程度および細胞膜内部の適した輸送体分子の存在などの多様な要因による、各物質に固有の特徴である。一般に、親油性物質は、細胞膜の脂質二重層の親油性の性質のために、より容易に細胞膜を輸送される。また、リポソームから、それらが陥入によって細胞膜と融合することができ、従って封入された物質を相当程度サイトゾルに送達することができることも公知である。特定の細胞種、特にマクロファージ、単球および好中球などの食細胞は、好ましくはリポソームを摂取する。その後それは代謝による消化を受け、従って封入された物質をこれらの細胞に送達することができる。
【0007】
リポソームの応用は、医学および薬理学で広く考察されていて、その生成のために多くの高度な技術が開発された。しかし、その使用はあまり一般的ではない。1つの理由は、比較的高い製造コストであり、もう1つの理由は、有害な副作用が起こる可能性があることである。特に、非経口的に投与された場合、リポソームは肝臓、脾臓および/または骨髄に集積する危険を有する。この問題は経口投与剤形ではむしろめったに起こらない。
【0008】
自己乳化薬物送達システム(SEDDS)は、親油性化合物を可溶化させるもう1つのアプローチである。それらは、油、界面活性剤、溶媒および所望により共溶媒の等方性混合物であることを利用する。使用する成分に応じて、それらは水性希釈と所望により穏やかな撹拌によって、可溶化物質かまたは安定な水中油(o/w)型エマルションを形成することができる。
【0009】
別の可溶化技法は、α-、β-またはγ-シクロデキストリンなどのシクロデキストリンあるいは2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、メチル-β-シクロデキストリンまたはトリメチル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン誘導体による、可溶化させる物質の包接錯体の形成である。一般に、シクロデキストリンは、大環状分子を形成する6~8個の1,4-結合α-D-グルコピラノシドからなる。従って、その内部に疎水性物質を有することの可能な、水溶性のトロイド(すなわち、円錐形またはバケツ形の)構造が生成される。内部空間は、水性環境と接触している外部よりも親水性がかなり低い。シクロデキストリンは、デンプンから酵素処理によって生成される。シクロデキストリンは分散によって可溶化させる化合物を搭載する。次に、これらの錯体と水を接触させることにより、特定の組成物に応じてpHまたは温度変化によって、可溶化させる化合物を放出させることができる。シクロデキストリンは、栄養補助食品(例えばドイツ、Wacker Chemie社のCavamax(登録商標))に、または医薬送達(例えば、ジクロフェナク(欧州特許第0658347A2号)またはクラリスロマイシン(Allsopp、(2013)、Development of a soluble macrolide formulation and identification of potential benefits in chronic rhinosinusitis,MPhil Thesis,University of Queensland)用にa.o.使用される。可溶化させる化合物の再結晶化が特定の最終濃度を上回って起こる場合、ポリソルベートなどの乳化剤(例えば、Tween(登録商標)20;欧州特許第1609481A1号)を添加することが助けになることがある。
【0010】
可溶化された栄養補助食品および/または薬剤活性剤の例は、米国特許出願公開第2013/150396A1号、欧州特許第2468111A1号および米国特許出願公開第2003/091627A1号に開示されている。
【0011】
そのような可溶化物質を希釈液と混合することはあまり快適でない場合が多い。混合は、特に混合に時間がかかるか、あるいは最終的な飲料の撹拌またはかき混ぜが必要とされる場合に、多くの場合扱いにくく疲れるとみなされる。主な問題は、可溶化物質がしばしば容器の壁に固着し、従ってさらなる手段を用いないとそれぞれの容器(例えば、サシェ、アンプルなど)から、部分的にしか希釈液に放出されないことである。もう1つの主な問題は、特に飲料が医療スタッフでなく消費者または患者自身によって調製される場合のそのような手順の魅力である。消費者は、素早い調製方法と取り扱いが容易なことを強く好む。例えば、自分でアンプルを開けることは、現在では比較的安全ではあるが、多くの消費者および患者にとって強い感情的障害である。薬物療法の場合には、これは、結果として生じる問題の余波を引き起こす不十分な患者コンプライアンスをもたらす場合が多い。さらに、混合手順は不十分である場合が多く、可溶化の不十分な飲料および/または不均質な飲料となることがある。もう1つの態様は、可溶化プロセスがしばしば可溶化物質(またはその他の濃縮液)の不完全な溶解に起因するゼブラ効果またはストライピングと呼ばれる現象をもたらすことである。そのような飲料は摂取にとって特に魅力的ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】欧州特許第0658347A2号
【文献】欧州特許第1609481A1号
【文献】米国特許出願公開第2013/150396A1号
【文献】欧州特許第2468111A1号
【文献】米国特許出願公開第2003/091627A1号
【非特許文献】
【0013】
【文献】Allsopp、(2013)、Development of a soluble macrolide formulation and identification of potential benefits in chronic rhinosinusitis,MPhil Thesis,University of Queensland
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そのため、上述の問題を克服する栄養補助食品または薬剤活性剤として使用するための、そのような可溶化される物質の新しい、すなわち代わりとなる剤形が必要とされている。
【0015】
従って、本特許出願の課題は、可溶化させる必要のある栄養補助食品または薬剤活性剤のための、消費者に便利で取り扱いが容易で安全な液体経口投与剤形を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
驚いたことに、そのような可溶化物質を含有する飲料調製カプセルが、これらの問題を解決することができることが見出された。
【0017】
従って本発明は少なくとも1つの薬剤活性剤(pharmaceutically active agent)および/または栄養補助食品の可溶化物質(solubilisate)を含有する飲料調製カプセルに言及する。
【0018】
特に、本発明は、可溶化物質が少なくとも1つの難水溶性物質または抽出物から調製される、少なくとも1つの薬剤活性剤および/または栄養補助食品の可溶化物質を含有する飲料調製カプセルに言及する。
【0019】
本発明による可溶化物質は、ミセル、リポソーム、自己乳化またはシクロデキストリン錯化技術を用いて調製されることが好ましい。
【0020】
自己乳化の場合には、欧州特許第16001941.0号に開示される技術が好ましい。
【0021】
用語「可溶化物質(solubilisate)」の混乱しやすく矛盾さえする定義は、当技術分野において見出すことができる。曖昧さを避けるために、本発明による可溶化物質は次の通り定義される:
可溶化物質は、可溶化させる物質および本発明によって定義される可溶化剤の組成物である。溶媒または希釈液のさらなる添加は、この用語に包含されない。本発明による可溶化物質は最初に例えば上述の可溶化技法の1つによって製造され、その後本発明による飲料調製カプセルに充填される。
【0022】
ミセル、リポソームまたはシクロデキストリン技法の場合には、本発明による可溶化物質は、それぞれの分子錯体を特徴とする。このそれぞれの分子錯体は、それぞれの可溶化剤、およびこれらのそれぞれの分子錯体中で可溶化された少なくとも1つの栄養補助食品および/または薬剤活性剤によって形成されている。
【0023】
自己乳化技法の場合には、本発明による可溶化物質は、物質の実質的に完全な可溶化を特徴とし、従って完全に可溶化された後に分子が溶液中で独立した実体として振る舞い、ブラウン運動の分布および熱力学の法則を実質的に受ける、ほぼ完璧な溶液である。この溶液は、希釈液(例えば水)との混合物とは異なる。前記溶液(可溶化物質)は、第2のステップで希釈液に溶解されるのに適している。従ってそのような可溶化物質は、それぞれの薬剤活性剤および/または栄養補助食品を高い濃度で含有する透明な溶液である。そのような可溶化物質を希釈液に希釈させると、それぞれの薬剤活性剤および/または栄養補助食品のそれぞれの濃度は、希釈液の添加量に応じて減少する。
【0024】
一般に、可溶化物質は、希釈をせずに摂取されるものではない。大部分の例では、本発明による分割された可溶化物質の体積は数ミリリットルとなる。
【0025】
本特許出願の範囲において、用語「可溶化凝集体」または「可溶化エキス」は、「可溶化物質」と同義に使用される。
【0026】
本発明による可溶化物質は、懸濁液(コロイド懸濁液)と区別されなければならない。懸濁液という用語は、遅かれ早かれ沈殿を経験する固体粒子を含有する不均一な混合物を定義する。また、通常非混和性である2つの液体の混合物として定義されるエマルションとも異なる。
【0027】
物質のバイオアベイラビリティを増加させるために、完全な可溶化が非常に好ましい。
【0028】
本発明による可溶化物質は、濃縮物とも区別されなければならない。濃縮物は、化合物、つまり希釈液を含まない化合物の組成物である。濃縮物が希釈液中に放出されると、濃縮物は自ら完全に希釈液に溶解するか、または希釈液と懸濁液もしくはエマルションを形成する。濃縮物は、本質的に水または水溶液に溶けるので、可溶化剤および/または溶媒との相互作用を必要としない。本発明は、飲料調製カプセル中の濃縮物の使用に言及しない。
【0029】
本発明に従って使用される可溶化物質という用語は、完成した溶液、つまり摂取される飲料用の液体と区別されなければならない。飲料、つまり消費者、つまり患者によって摂取される状態の流体剤形を製造するために、本発明によるこの完成した溶液は、本発明による可溶化物質を希釈液、好ましくは水溶液中で希釈することによって生成される。
【0030】
本願の範囲内の希釈液は、希釈剤(ディルタント(dilutant)、シンナー)である。それは本発明による可溶化物質の一部ではない。ここで、希釈液とは、本発明による可溶化物質が希釈されて消費者または患者が摂取できる状態の飲料になっている完成した溶液を調製するために、本発明による飲料調製カプセルによって飲料ディスペンサを使ってもたらされる流体をさす。大部分の例では、前記希釈液は飲料ディスペンサに供給された水または水溶液である。一般に、本発明による1つの飲料調製カプセルの調製プロセス中に添加される希釈液の体積は、本発明による可溶化物質の多様な体積である(例えば、可溶化物質5mlは水500mlに希釈される)。
【0031】
本特許出願の範囲において、用語「可溶化物質」とは、本発明による飲料調製カプセルに充填されることが意図されるかまたは既に充填された可溶化物質だけをさす。それは、飲料ディスペンサの給水からの水が飲料調製カプセルに入ってから、飲料容器の内部で「完成した溶液」に希釈されるまでの期間に一次的に生成される流体に言及しない。この一時的な流体は、本特許出願の範囲において「中間流体」と呼ばれるものである。中間流体は、可溶化物質とは異なる。
【0032】
本願の範囲において、用語「可溶化剤」とは、栄養補助食品および/または薬剤活性剤にそれを可溶化するために添加されるあらゆる化学物質をさし、その結果この栄養補助食品および/または薬剤活性剤はそこで直ちに水溶液に溶解されることができる。用語「溶解剤」は、同義的に使用すべきである。
【0033】
本願の範囲の代替用語において、「第1の液体」は「可溶化物質」をさし、「第2の液体」は「中間流体」をさし、「第3の液体」は「完成した溶液」をさす。
【0034】
本願の範囲において、用語「医学」はヒトの医学および獣医学を含む。
【0035】
そのような可溶化物質の大きな利点は、その小さい体積にある。従ってそれは容易に患者もしくは消費者に便利な単位に分割することができる、あるいは比較的大量の可溶化された物質を低費用で出荷することができる。完成した溶液を製造するために、可溶化物質を水性媒体(例えば、水道水またはミネラルウォーター)で希釈することは、医療スタッフ、患者または消費者によって容易に実行することができる。
【0036】
本発明による飲料調製カプセルのもう1つの大きな利点は、それが酸化感受性、光(紫外線照射を含む)感受性、熱感受性かつ/または湿度感受性の栄養補助食品および/または薬剤活性剤のパッケージングを可能にすることである。
【0037】
薬剤活性剤または栄養補助食品は酸化プロセスに感受性である可能性があるので、本発明によるもう1つの実施形態では、可溶化プロセスおよび/またはこのように製造した可溶化物質の本発明による飲料調製カプセルへの充填は、シールドガス下で実行される。適したシールドガスは、例えば二酸化炭素、窒素、ヘリウムおよびアルゴンである。好ましいのは、二酸化炭素および窒素である。
【0038】
さらなる実施形態では、少なくとも1つの薬剤活性剤および/または栄養補助食品の可溶化物質は、真空下で本発明による飲料調製カプセルに充填される。それにより、酸化プロセスを回避するために、注出キャップの少なくとも1つの充填可能なチャンバから酸素が除去される。
【0039】
そのような可溶化技法によって調製された、栄養補助食品または薬剤活性剤の可溶化物質および完成溶液は、それらが適切な貯蔵寿命を提供するように、長期安定性を示すべきである。そうでなければ、それらは製造業者、ベンダーおよび最終的に消費者または患者にもあまり魅力的でない。そのような長期安定性を多くの可溶化物質、特に経口投与用の液体剤形で達成することは容易ではない。実施例に見られるように、本発明による可溶化物質は、本発明による調製容器または飲料調製カプセル、ならびに本発明による完成溶液中で、非常に良好な長期安定性を示す。
【0040】
飲料調製カプセルは、主に使い捨てのコーヒー調製品で公知である。基本形態は、ネスレの独創性に富む特許である欧州特許第0512468B1号に開示された。ここで、コーヒー、紅茶またはチョコレート粉末あるいは任意のその他の脱水された食用物質を含むカプセル(カートリッジ)が開示され、それはカプセルの内部に準備され、次に圧力下で抽出され、飲用容器に入れてユーザーに送達される。そのようなカプセルは、底部および円錐台状の(切頭円錐形の)側壁、底部と反対側のカップの側の底部よりも直径の大きい円形唇片(フランジ)および前記唇片の周縁に溶接されたカバーを有するカップを含む。このカバーは、可撓性材料、例えばアルミニウム、その他の薄い金属箔、単層または多層プラスチック、厚紙、紙およびそれらの複合材料から成る。同じ材料を前記カップに使用することができる。好ましくは、カップおよびカバー材料は酸素および水分に不透過性である。このカバーはユーザーによって裂開されるのではなく、飲料の抽出を開始した時に前記カバーに加わる抽出流体の圧力下でのみ裂開することが意図される。
【0041】
好ましくは、カップの厚さは20~100μmである。カバーの厚さは好ましくは15~60μmである。複合材料または多層材料を使用する場合、それぞれの層の厚さの合計は、これらの境界内にとどまる。好ましくは、カプセル自体の直径は25~60mmであり、好ましくは高さ(底部とカバーの間の距離)は10~25mmである。好ましいプラスチック物質は、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PA(ポリアミド)またはPET(ポリ(エチレンテレフタラート))、あるいは、例えば金属化PETまたはSiOからの高性能バリア層を備えたPETなどの官能化プラスチック物質である。
【0042】
Nestecはまた、飲み物の調製を冷水でおこなうことのできる飲料調製カプセルも開示した。その飲料調製カプセルは、それらによればコーヒー、紅茶またはチョコレートなど、所望によりビタミンまたはミネラルを含んでよく(国際公開第2011/042356A1号)、あるいは飲料調製カプセルは泡状またはクリーミーなインスタント飲み物を調製するための牛乳を多く含む成分を有する(欧州特許第1985213A1号)。本発明による可溶化物質の使用は言及されていない。難水溶性の栄養補助食品および/または薬剤活性剤を飲料調製カプセルに入れて提供することができることも開示されていない。
【0043】
それ以来、飲料調製カプセルはさらに開発された。コーヒーカプセルを優先的に使用する(しかしこれに限定されない)、一杯ずつ提供する(single-serve)温かい飲料システム、例えばネスレ製(Dolce Gusto、Nespresso、Nespresso VertuoLine、Special T)、Lavazza製(Espresso Point Espresso Point MAXI、Blue、A Modio Mio、Brita Yource)、Bialetti製(Bialetti Diva)、Tchibo製、Kenco Singles製、Krafft製(Tassimo、T-Discs)、Coffea製、Bodecker Brewed製、Caffita製(Caffitaly)、Delta Cafes製(Delta Q)、Italian ESE製(Easy Serving Espresso Pod)、Mars製(Flavia飲料Systems)、Tuttoespresso製、Hausbrandt Trieste製、Folgers製、Illy製(iperEspresso)、Keurig製(Green Mountain Coffee Roasters)、Aldo Espressi製(K-Fee)、Sara Lee製(Senseo)、Starbucks製(Verismo);Esio、PHSI(Interpure)、Waterlogic(Innowave)、Vertex(Charm)、Mars(Flavia)などの商業目的で特に設計されたカプセルベースのシステムが存在する;冷たい飲料用のカプセルベースのシステムは、例えばOmnifrio、Promo Water、Bevyz、Esio、Brita(Yource)、Keurigから市場に導入されている。
【0044】
これらの全てのカプセル(カートリッジ、ポッド)の基本構造および動作方法(modus operandi)は似ているが、細かい点で違いがある。例えば、カップの底部は、可撓性の箔で構成されてもよい。当技術分野において、カバーおよび/または底部の箔は、膜、ダイヤフラム、フィルムまたはシール箔とも呼ばれる。
【0045】
カップのカバーおよび/または底部は、圧力によるだけでなく、切断工具、つまり飲料注出機に連結されたパンチャーによっても穿孔されてよい。このように、開口部は、少なくとも1つの栄養補助食品の時間的かつ/または空間的な制御放出を可能にするか、または全部の放出を一度に可能にする膜、ダイヤフラム、フィルムまたはシール箔を通じて生成される。そのような切断工具(穿孔器)は、国際公開第92/07775A1号に開示されている。そこではこの穿孔器は、鋭い先端を備える中空シリンダーであり、その内腔を通して飲料を作る水がカプセルの中に加えられる。
【0046】
当技術分野から、挿入部のあるカプセルが公知である。この挿入部は、例えば主にプラスチック製の余分の部分として、またはカップとの1つの単位として下方底面(カップの底部)に配置され、この挿入部のスパイクは、カプセルの内部に圧力が加わるとカップの底部に穴を開けるために下方の箔、つまりカップの底部に押し付けられ、結果としてこれらの穿孔穴を通して、好ましくは注出管を通してコーヒーをカップ、つまり容器の中に放出させる(国際公開第92/07775A1号参照)。一部のカプセル実施形態では、下方の箔、つまりカップの底部または密封部材は、好ましくはやはりスパイクまたは同類のものを備えている飲料注出機の整合押圧面に押圧される。この動作モードに関して、前記密封部材は、レジリエント、つまり弾性であるべきである。ここで、穿孔は外部からおこなわれる(国際公開第2006/045536号参照)。
【0047】
このカプセル形態の変形が、国際公開第2004/087529A1号に開示されている。ここで、挿入部はオリフィスを備えた端壁として理解され、この挿入部はプラスチックのケーシングの一部であり、コーヒー粉末を含むカプセル内部と下にある容器を分離している。調製された飲料はパーコレーターによるようにこれらのオリフィスを通じて押出される。
【0048】
国際公開第2005/018395A1号では、コーヒー粉末を含むチャンバと下にある注出チャンバを同様に分離する、挿入部を備えるカプセルが記載される。可変的に加わる圧力(合計で1.2~8bars)、上方の箔(カバー)の厚さと特定の鋸歯状の構造、つまりパーコレーター挿入部の突起の相互作用によって、製造される泡の量は、選択されたカプセルに応じて調節することができる。例えば、異なる動作パラメータおよび/または挿入部を、コーヒーを含有するカプセルとカプチーノ用のミルク粉末を含有するカプセルについて選択する。下方の容器からの出口は、開口部を備えていてカップの底部に位置するバッフルによって制御することができ、このように下方の容器からの調製飲料の流出を遅くすることができる。
【0049】
当技術分野の別のカプセルには、カバー(箔)の下面に繋がれた分配装置があり、入ってくる加圧水とカプセル内部のコーヒー粉末との良好な混合をもたらす。この装置はカプセルの底面(底部)に繋がれたスクリーニング装置と組み合わせることができる。加圧水のカプセルへの入口および/またはこのように調製された飲料の出口は、これらの分配および/またはスクリーニング装置によって生じる。それらは液体が流れ出るいくつかの開口部(穴)を備えている。これらの開口部は、フィルタの働きをする布地を備えていてもよい(米国特許出願公開第2006/0236871号を参照)。
【0050】
国際公開第2005/080223A1号では、調製した飲料のカプセルからの出口の面積を変える手段を含むカプセルが開示される。好ましい手段はヒンジである。ヒンジは注出ステップの間にこの下壁に揺動運動を与える働きをする。
【0051】
国際公開第2005/092160A1号および欧州特許第2343247A1号は、中空シリンダーの形のディスペンサ手段がカプセルのカバーを穿孔し、コーヒー粉末を充填したカップ内部に加圧水を進入させる型鋳造カプセルを開示する。しかし、調製した飲料は、それがカップの底部に成形される中空の隆起部分を介して通り抜けることができるようになるまでカップ内部をせき止める必要がある。前記隆起部分の内腔を通って流れた後、それは流体の圧力によってカップの底部の下方の箔に穿孔する。このように加圧水と飲料粉末の混合の改善、つまり調製した飲料均質性の増加がもたらされる。
【0052】
切断工具は、パンチャー、スタンプ、ブレード、ナイフ、カッティングディスク、ハサミ、フライス盤、ドリル、のみの形状を有し得る。それは切断する材料に垂直にまたは斜めの角度で動かすことができる。それは金属、医用ステンレス鋼、合金、硬質プラスチック、ガラス、セラミック、ダイアモンド、窒化ホウ素で作製され得る。少なくとも1つの膜、ダイヤフラム、フィルムまたはシール箔は、全体としてまたは区画、つまりセクターずつ打ち抜くか、穴を開けるか、または切断されることができる。あるいは、前記切断工具は、カプセルの予め定められた弱い箇所を切断するかまたは打ち抜くことができる。そのような弱い箇所は鋳造成形中にデフォルトで生成することができる。
【0053】
もう1つの好ましい実施形態では、少なくとも1つの膜、ダイヤフラム、フィルムまたはシール箔に予め穴を開け、従って前記切断工具を操作する際の切断線の制御を可能にする、つまり促進する。
【0054】
この少なくとも1つの膜、ダイヤフラム、フィルムまたはシール箔は、金属(例えばアルミニウム箔、錫箔、銀箔、金箔、銅箔など)、ポリマー(例えばポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、セロファン、酢酸セルロースおよびニトロセルロースなどのセルロースエステル、ポリ乳酸、ポリエステル、特にポリ-3-ヒドロキシブチラートなどのポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシバレラートおよびポリヒドロキシヘキサノエート、ポリアミド11、ポリ(エチレンテレフタラート)、デンプンブレンド、パラフィルムなど)、紙(例えば筆記用紙、ローリングペーパー、バナナ紙、防水紙、パーチメント紙、耐油紙、ろう紙、厚紙、包装用ティッシュ)、ゴム栓材料(例えば現在の薬局方で認められているもの)または上述の材料から製造した複合材料で作製することができる。これらの改良された箔の利点は、飲料調製カプセルの内容物を、酸素、水分、光、紫外線照射および/または熱から良好に分離することである。
【0055】
好ましい実施形態では、金属箔の厚さは20μm未満、より好ましくは18μm未満、最も好ましくは15μm未満である。
【0056】
好ましい実施形態では、金属箔の極限引張強さは、20~220N/mmの範囲内、より好ましくは30~160N/mmの間、さらにより好ましくは40~125N/mmの間、最も好ましくは45~95N/mmの間である。
【0057】
好ましい実施形態では、ポリマー系箔の厚さは100μm未満、より好ましくは80μm未満、最も好ましくは50μm未満である。
【0058】
好ましい実施形態では、ポリマー系箔の極限引張強さは、20~300N/mmの範囲内、より好ましくは40~250N/mmの間、さらにより好ましくは60~200N/mmの間、最も好ましくは80~180N/mmの間である。
【0059】
好ましい実施形態では、前記紙の厚さは200μm未満、より好ましくは160μm未満、最も好ましくは120μm未満である。
【0060】
好ましい実施形態では、前記紙の破裂強さは、100~700KPaの範囲内、より好ましくは150~500KPaの間、さらにより好ましくは200~400KPaの間、最も好ましくは250~300KPaの間である。
【0061】
特に密封箔を必要とする実施形態には(例えばビタミンCなどの酸化感受性栄養補助食品への酸素の侵入を排除するためには)、金属箔が好ましい。
【0062】
上述の材料の使用の1つの問題は、使用後の、特に環境での分解である。これらの材料の多くは自然環境下であまり分解性ではなく、長年にわたって環境への負荷となることがある。さらに、プラスチック系材料の多くは石油に由来する。資源不足とその製造に必要な電力消費を考えると、これは必ずしも望ましくない。
【0063】
そのため、好ましい実施形態では、無毒の生分解性材料が使用される。さらに、それらのエネルギーバランスはより好ましい。そのような好ましい箔材料は、例えば酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリ乳酸、ポリ-3-ヒドロキシブチラート、ポリヒドロキシバレラート、ポリヒドロキシヘキサノエート、ポリアミド11、デンプンブレンドである。
【0064】
もう1つの問題は、箔を切断または打ち抜く際に、しばしば、箔の小さい破片が容器中の液体に入り、従って消費者が飲む可能性があることを完全に避けることができないことである。そのような箔(カバー)の破片の健康被害についての長期的な研究はないが、a)使用時に最小限の量しか破片を生じない圧力機構または切断工具を使用すること、b)
【0065】
生物によって(胃酸によるかまたは腸管の好気性もしくは嫌気性菌によって(上記参照))比較的急速に分解されることのできる生分解性材料を使用すること、あるいはc)腸管を不変のまま通過し、生物に蓄積しない生体適合性材料によって、そのような危険性を回避するかまたは最小限に抑えることが確実に好ましい。
【0066】
そのような生体適合性箔材料の好ましい例はポリプロピレンである。
【0067】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの膜、ダイヤフラム、フィルムまたはシール箔と加圧様式、つまり切断工具の組合せは、確実に実質的に破片が飲料調製カプセル、つまり調製した飲料に入らないように選択される。
【0068】
これらの飲料調製カプセルは全て、飲料注出システムに適合するように構成されている。多くの例では、製造者はこの特定の組合せだけがともに働くような方法でカプセルおよび注出機を調整した。この独占的な互換性は、飲料調製カプセルの特定のサイズおよび形状によって、一方、飲料調製カプセルを適合させなければならない受け部の点で飲料注出機、ならびに/あるいは、注出または調製機構を操作する準備のできている正しい位置に飲料調製カプセルを挿入し、かつ/または設置する挿入機構の対応する特定の構成によって達成される。
【0069】
しかし、いくつかの主要国における特許保護の終了および対応する独占禁止判決のために、ブランドの機械またはカプセルに適合する飲料調製カプセルかまたは飲料注出機を単独で製造する競争者の数は市場で増加している。
【0070】
国際公開第2016/046621A2号は、栄養補助食品を飲料調製カプセル中でコーヒー、紅茶またはチョコレートなどの担体粉末と混合することのできる飲料調製カプセルおよびそれぞれの飲料注出システムを開示する。この目的のためには、水溶性栄養補助食品だけが使用され得る。本発明による可溶化物質を難水溶性栄養補助食品および/または薬剤活性剤に使用することは開示されていない。可溶化剤はその中に開示される組成物の一部ではない。
【0071】
飲料調製カプセルを受け取るのに適した飲料注出機も幅広く存在し、しばしば洗練された特別な特徴を備えるものもある。そのような飲料注出機の一般的な特徴は次の通りである:
前記カプセルからの成分で飲料を調製するために必要な液体を準備するための容器。大部分の例では、この液体は、水道水、炭酸を含む水道水、ミネラルウォーター、炭酸を含むミネラルウォーターおよび脱イオン水から選択される。そのような容器の代わりとなるものは、必要に応じた常置式給液装置、例えばホースまたは固定継手によって飲料注出機に接続された標準的な送水管;
所望により、液体貯蔵容器中で飲料を調製するための液体に炭酸ガスを入れる手段、またはこの目的のための特別な区画(容器またはチューブ)である。そのような手段は、例えば、ホースまたはチューブを介して前記容器または区画に接続され、デフォルトで、または所望により飲料注出システムを使用する時に操作される加圧COカートリッジであり得る;
所望により、この容器の内部、あるいは特別な区画の液体を加熱するための手段。これは、ボイラー、加熱コイル、加熱管、温水器、投込み電熱器、熱交換器、サーモブロック、カートリッジヒーター、マイクロ波装置または任意のその他の適した加熱装置であり得る。所望により、加熱のための手段は、オペレーターによって、または対話型制御プログラムによって切り替えることができる;
加圧液体を飲料調製カプセルに注入するための手段。これは多くの場合、通常、液体を飲料調製カプセルに集中させるための、注入割り込み部分を備えた注入ヘッドとして理解される。一部の実施形態では、これは注入針;
前記容器または常置式給液装置からの液体を加圧するための手段であり得る。これには、水を容器から注入手段へ循環させるための水回路が含まれる。水回路では、水は水ポンプを用いて圧力下で輸送される。このポンプは、蠕動ポンプ、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプまたは当技術分野で公知の任意のその他の適したポンプシステム;
所望により、加熱手段が提供される場合に、蒸気供給回路であり得る。それは、水を容器から蒸気発生器まで輸送するための第2の水ポンプを含む。水回路と蒸気供給回路は、通常、注入手段の上流に位置する交点で合流する。方向づけをする弁が備え付けられる。この弁は水または蒸気を注入手段との接続部に選択的に方向づける働きをする。弁の下流のこの接続部で、1つの流体が水と蒸気から生成される。この弁(例えば、三方弁)は、電磁弁、セラミック弁、絶縁もしくは膜弁または当技術分野で公知の任意のその他の適した弁;
空洞、つまり飲料調製カプセルを受け取るための三次元のくぼみ;
空洞の内部の注入ヘッドの下に飲料調製カプセルが挿入され、設置されるホルダーであってよい。このホルダーは、前記空洞の背壁に堅く固定されることもできるし、飲料調製カプセルを洗浄するためかまたは受け取るために取り外し、その後再び挿入することができる。このホルダーは、飲料調製カプセルを受け取るための大きさをもつ簡単なくぼみを有する部品であってもよいし、あるいは、内容が同じまたは異なる飲料調製カプセルの対応する数までを受け取るための複数のくぼみを有する回転式のディスク状の部品であってもよく、その各々のカプセルは、オペレーターによるかまたは制御機構によって機械的に、注入ヘッドの下に配置されることができる;
所望により、調製した飲料を飲料調製カプセルからガラス、カップなどの飲用もしくは貯蔵容器に流すための排出手段。これは、調製した飲料が重力によってその中を流れるチューブまたはホースなどの排出口と組み合わせた、飲料調製カプセルの下位面の下の漏斗状の部品などの収集手段であってよい;
第2の空洞、つまり調製した飲料が排出手段を経由して飲用もしくは貯蔵容器に流れることができるような方法で飲用もしくは貯蔵容器を配置することのできる排出手段の下の第2の三次元のくぼみ。この第2の空洞はしばしば第1の空洞の延長部分である。
【0072】
これらの部品間の適したチューブおよび/またはホースならびに必要な動力および制御装置も、本発明の使用に適した飲料注出機に含まれることは当然理解される。
【0073】
本発明によれば、飲料調製カプセルおよび/または飲料注出機の全ての列挙した実施形態は、限定されないが、部品が機能的に適合する限り、相互に組み合わせることができる。
【0074】
本発明が、特定の飲料調製カプセルシステムおよび/または特定の飲料注出機に言及するかまたは制限されるものではなく、当技術分野で公知の全てのこれらのシステムと適合すると理解されるべきであることは明らかにするべきである。
【0075】
国際的に認められているBCS(Biopharmaceutical Classification System:生物製剤分類系)は、原薬を4つのクラス:クラス1(高溶解性-高透過性)、クラス2(低溶解性-高透過性)、クラス3(高溶解性-低透過性およびクラス4(低溶解性-低透過性)に分類する。
【0076】
ここで、溶解性という用語は、FDAのバイオウェイバー要求に供される最大用量強度をさす(https://www.fda.gov/OHRMS/DOCKETS/98fr/3657gd3.pdf、2017年3月7日現在)。薬物は、最大用量強度が250ml以下の水性媒体に1~7.5のpH範囲で可溶性である場合、高溶解性に分類される。それに応じて、そのように可溶化することができない原薬は難溶性(=非高溶解性)に分類される。
【0077】
ここで透過性という用語は、ヒトにおいて腸膜(粘膜)を通過する薬物の吸収の程度をさす。確立された定義によれば、薬物は、経口投与された用量の90%以上が胃腸管で吸収される場合に高透過性に分類される。それに応じて、吸収速度が90%未満の薬物は、低透過性に分類される。
【0078】
このように溶解性および透過性は固有の物質特性である。しかし、吸収およびバイオアベイラビリティは、適した手段によって改善されうる薬物動態パラメータを説明する。吸収とは、胃腸管から吸収された、経口適用された物質量からの割合をさすが、物質のバイオアベイラビリティは、吸収だけでなく、血液中のタンパク質結合および初回通過代謝などの薬物動態パラメータに依存する。
【0079】
本発明によれば、好ましい実施形態では、上に定義されるように溶解性の低い医薬が可溶化物質の製造に使用される。
【0080】
本発明によれば、上に定義されるように透過性の低い医薬が可溶化物質の製造に使用されることが好ましい。
【0081】
本発明によれば、上に定義されるように低溶解性ならびに低透過性を有する医薬が可溶化物質(クラス4化合物)の製造に使用されることが特に好ましい。
【0082】
クラス4医薬の例は、限定されるものではないが:アセトアミノフェン(パラセタモール)、アシクロビル、アザチオプリン、アジスロマイシン、カルシトリオール、カリソプロドール、セフジニル、セフィキシム、セフロキシムアキセチル、セファレキシン、クロロチアジド、クロルタリドン、クラリスロマイシン、シクロスポリン、ダプソン、デキサメタゾン、ドロナビノール、デュタステリド、フロセミド、グリピジド、グリセオフルビン、ヒドロクロロチアジド、硫酸インジナビル、イスラジピン、リネゾリド、ロペラミド、メベンダゾール、メルカプトプリン、メサラミン、メチルプレドニゾロン、モダフィニル、ナブメトン、メシル酸ネルフィナビル、ノルエルゲストロミン、ナイスタチン、オキシカルバゼピン、オキシコドンHCl、プロゲステロン、ピリメタミン、リトナビル、スピロノラクトン、スルファメトキサゾール、トリメトプリム、タダラフィル(taladafil)である。
【0083】
栄養補助食品に関して、バイオアベイラビリティという用語はわずかに異なって使用される。大部分の例では、それらは経口的に消費される。従ってこの用語は吸収される経口摂取用量の量または割合を定義する。
【0084】
本発明によれば、バイオアベイラビリティの低い栄養補助食品が可溶化物質の製造に使用されることが好ましい。そのバイオアベイラビリティは、50%未満、より好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満、さらにより好ましくは20%未満、特に好ましくは15%未満、最も好ましくは10%未満であることが好ましい。
【0085】
バイオアベイラビリティが低いことが公知の栄養補助食品として使用される化合物または植物抽出物の例は、限定されるものではないが:フラボン、フラボノール、フラバン-3-オール(flavon-3-ols)、フラバノン(flavonone)、フラボノイド、レスベラトロール、ターメリック、クルクミン、クルクミノイド、デメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、ビス-o-デメチルクルクミン、ケルセチン、エラグ酸、ナリンゲニン、ベツリン、ベツリン酸、葉酸、ユビキノン(Q10、補酵素Q)、グルタチオン、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ウリジン、二塩化クロム、L-カルニチン、ウルソール酸、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン(EGC)、没食子酸エピガロカテキン(EGCG)、没食子酸エピカテキン(ECG)、ポリフェノール、ベルベリン、メラトニン、ポリダチン、イソフラボン、脂溶性ビタミンA(レチノール、レチナール)、D、E(トコフェロール)、F、K、α-およびβ-ケト-ボスウェリン酸、L-トリプトファン、5-ヒドロキシトリプトファン、L-グリシン、イノシトール、β-カロテン、トコトリエノール、パルミチン酸アスコルビル、レシチン、ルテイン、ルテオリン、リコピン、ゼアキサンチン、β-クリプトキサンチン、アカツメクサ、ノコギリヤシ脂質抽出物、ω-3脂肪酸、ステロイドテルペン、非ステロイドテルペン、テルペノイド;サポニン、サポゲニン、ジオスゲニン、ヤマノイモ属種(Dioscorea spec)抽出物、ディオスコレア・ヴィローサ(Dioscorea villosa)抽出物、プロトディオシン、ハマビシ(Tribulus terrestris)抽出物、精油、ヒペリシン、キサントリゾール(xanthorhizol)、ピロガロール、ゲニステイン、オウゴニン、モリン、ケンフェロール、オトメアゼナ(Bacopa monneri)抽出物、バコピン、バコシドA、バコシドA3、バコシドB、キサントリゾール(xanthorhizol)、人参抽出物、イチョウ(Gingko biloba)抽出物、ピクノジェノール、カプサイシン、インドアカネ(Rubia cordifolia)抽出物、ヘンナ(Lawsennia iermis)抽出物、アロエベラ(Aloe vera)抽出物、ピペリン、α-リポ酸、ブロメライン、フロリジン、クロシン、クロセチン、バイオペリン、アセロラ、プロアントシアニジン、アントシアニジン、アントシアニンのアグリコン、シリビニン、シリマリン、ギンゲロール、セラミド、イソプレン、プレノール、イソ吉草酸、ゲラニルピロリン酸、ユーカリプトール、リモネン、ピネン、ファルネシルピロリン酸、アルテミシニン、ビサボロール、ゲラニルゲラニルピロリン酸、フィトール、タキソール、フォルスコリン、アフィディコリン、スクアレン、ラノステロール、油、例えばサメまたはその他の軟骨魚油、植物油、あるいはアマランス種子、コメ、小麦胚芽またはオリーブ由来の油;スクアレン、レチノイド、タンニン、桂皮酸、リグニン、ならびにフィトステロール、例えばβ-シトステロールラウリン酸エステル、α-シトステロールラウリン酸エステル、γ-シトステロールラウリン酸エステル、カンペステロールミリステアリン酸エステル、スチグマステロールオレイン酸エステル、カンペステロールステアリン酸エステル、β-シトステロールオレイン酸エステル、β-シトステロールパルミチン酸エステル、β-シトステロールリノール酸エステル、α-シトステロールオレイン酸エステル、γ-シトステロールオレイン酸エステル、β-シトステロールミリステアリン酸エステル、β-シトステロールリシンオレイン酸エステル、カンペステロールラウリン酸エステル、カンペステロールリシンオレイン酸エステル、カンペステロールオレイン酸エステル、カンペステロールリノール酸エステル、スチグマステロールリノール酸エステル、スチグマステロールラウリン酸エステル、スチグマステロールカプリン酸エステル、α-シトステロールステアリン酸エステル、γ-シトステロールステアリン酸エステル、α-シトステロールミリステアリン酸エステル、γ-シトステロールパルミチン酸エステル、カンペステロールリシンオレイン酸エステル、スチグマステロールリシンオレイン酸エステル、カンペステロールリシンオレイン酸エステル、β-シトステロール、α-シトステロール、γ-シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、およびスチグマステロールステアリン酸エステル;アダプトゲン植物からの抽出物、例えばエゾウコギ(Eleutherococcus senticosus)(シベリア人参、エレウテロ、刺五加)、イワベンケイ(Rhodiola rosea)(ローズルート)、チョウセンゴミシ(Schisandra chinensis)(五味子)、オタネニンジン(Panax ginseng)(人参)、アマテャヅル(Gynostemma pentaphyllum)(ジャオグラン(Jiao Gu Lan))、ヤエヤマアオキ(Morinda citrifolia)(ノニ、インディアンマルベリー)、レンティヌラ・エドデス(Lentinula edodes)(シイタケ)、ガノデルマ属種(Ganoderma spec)(レイシ、霊芝キノコ)、例えばマンネンタケ(Ganoderma lucidum)、ガノデルマ・ツガエ(Ganoderma tsugae)およびガノデルマ・シクアネンス(Ganoderma sichuanense)、グリフォラ・フロンドーサ(Grifola frondosa)(マイタケキノコ、ヘン・オブ・ザ・ウッズ)、アガリクス属種(アーモンドキノコ)例えばアガリクス・スブルフェセンス(Agaricus subrufescens)およびアガリクス・ブラゼイ・ムリル(Agaricus blazei Murill)、ウィタニア・ソムフニフェラ(Withania somnifera)(アシュワガンダ、ホオズキ)、カミメボウキ(Ocimum tenuiflorum)(トゥルシー、ホーリーバジル)、レピドゥム・メイエニイ(Lepidum meyenii)(マカ)、センシレン(Andrographis paniculata)(カルメグ)、大麻(Cannabis sativa)(マリファナ)、タベブイア・インペティギノーサ(Tabebuia impetiginosa)(ラパチョ)、アストラガルス・メンブラナセウス(Astragalus membranaceus)(アストラガルス、トラガカント)である。
【0086】
難水溶性の薬剤活性剤または栄養補助食品が適した方法を用いて可溶化されると吸収および/またはバイオアベイラビリティの改善を実現することは経験的に公知である。そのため、本願は、少なくとも1つの栄養補助食品および/または薬剤活性剤の可溶化物質が、前記栄養補助食品または薬剤活性剤の少なくとも1つの吸収および/またはバイオアベイラビリティを増強する飲料調製カプセルにも言及する。
【0087】
選択された栄養補助食品および/または薬剤活性剤は、上述の可溶化技法によって可溶化され、これらの物質の可溶化物質を与えた(実施例1~10参照)。従って、本願は、可溶化物質が、該物質が栄養補助食品である場合にはβ-カロテン、メラトニン、葉酸およびケルセチンを含む群から、該物質が薬剤活性剤である場にはフロセミド、アセトアミノフェン、グリピジドおよびクラリスロマイシン含む群から選択される物質から調製される、飲料調製カプセルにも言及する。
【0088】
本発明のさらなる態様は、一部の医薬(医薬品)または栄養補助食品が本質的に苦いかまたは不快な味を有することである。医薬の場合には、これは患者のコンプライアンスを著しく損なうことがあり、栄養補助食品の場合には、そのような味は商業化の深刻な障害となりうる。本発明による可溶化物質は、物質をかごに入れることによってこの苦いかまたは不快な味をマスクすることを大幅に助けることができる。ミセル、リポソームまたは自己乳化可溶化物質は、ニュートラルな味にするために使用され、シクロデキストリン系可溶化物質はある程度甘い味にするために使用される。
【0089】
従って、本発明は、少なくとも1つの医薬または栄養補助食品の苦いかまたは不快な味が、ミセル、リポソーム、自己乳化またはシクロデキストリン錯化技術によって調製された可溶化物質によってマスクされる、少なくとも1つの医薬または栄養補助食品の可溶化物質を含有する飲料調製カプセルにも関する。
【0090】
これは特に獣医学において、薬を必要とする動物に与える苦いかまたは不快な味の動物薬を経口投与剤形で投与する場合に有用である。
【0091】
苦いかまたは不快な味をもつ医薬の例は、限定されるものではないが、アセトアミノフェン、アルブテロール、塩酸アミノグアニジン、アミノフィリン、アミトリプチリン、アモキシシリン三水和物、アンピシリン、ベシル酸アムロジピン、アスピリン、アジスロマイシン、バルビツール酸、塩化ベルベリン、カフェイン、炭酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、セファロスポリン、セチリジン、クロラムフェニコール、クロルジアゼポキシド、クロロキン、クロロフェニラミン、クロルプロマジン、シメチジン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、コデイン、デメロール、デキストロメトルファン、ジギトキシン、ジゴキシン、塩酸ジルチアゼム、ジフェンヒドラミン、ジフェニルヒダントイン、メシル酸ドキサゾシン、コハク酸ドキシラミン、エレトリプタン、エノキサシン、エピネフリン、エリスロマイシン、塩酸エチレフリン(ethylefrine hydrochloride)、エチニジン(etinidine)、ファモチジン、フルコナゾール、グリピジド、グアイフェネシン、イブプロフェン、塩酸インデロキサジン、リドカイン、ロモティル、ロラタジン、ルピチジン、酸化マグネシウム、メクリジン、メタコリン、モルヒネ、ネオスチグミン、ミフェチジン(nifentidine)、ニペロチジン、ニザチジン、オフロキサシン、パラセタモール、ペフロキサシン、ペニシリン、フェノバルビタール、フェノチアジン、フェニールブタゾン、フェニルプロパノールアミン、ピペミド酸、塩酸ピルブテロール、ピロキシカム、プレドニゾロン、塩酸プロプラノロール、プソイドエフェドリン、ピリドンカルボン酸、抗菌薬、ラニチジン、ロキサチジン、サリチル酸、塩酸セルトラリン、シルデナフィル、スピロノラクトン、スルバクタムナトリウム、スルホンアミド、スルホチジン(sulfotidine)、スルピリン、トシル酸スルタミシリン、テニダップ、テルフェナジン、テオフィリン、トリメトプリム、ツバチジン(tuvatidine)、バルデコキシブ、ザルチジン、およびゾニサミドを含む。
【0092】
好ましい実施形態では、飲料調製カプセル中の可溶化物質には、苦いかまたは不快な味があり、前記味が本発明による可溶化物質でマスクされ得るBCSクラス4医薬を含む。適した例は、アセトアミノフェン(パラセタモール)、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、グリピジドおよびトリメトプリムを含む。
【0093】
多くの栄養補助食品、特に多くの植物性化学物質、例えばアルカロイド、タンニン、フェノールもしくはポリフェノール化合物、フラボノイド、イソフラボン、イソフラボングルコシド、グルコシノレート、イソチオシアネート、ククルビタシン、酸素化四環式トリテルペンなども苦いかまたは不快な味を有する。
【0094】
さらなる態様は、一部の可溶化物質が飲料調製カプセルの内壁にある程度まで固着することがあり、本発明による調製カプセルの1つから飲料を調製しても100%放出されないことである。これは、主に、飲料調製カプセルの材料とその特定の形状だけでなく、可溶化させる薬物と使用した可溶化技法との組合せによる。この問題は、飲料調製カプセルの内壁に固着しないコーティング膜を適用することによって克服するかまたは少なくとも広く軽減することができる。この固着しないコーティング膜は、不活性、生体適合性であるべきであり、熱い飲料に一般的な調製温度で崩壊または分離してはならない(耐熱性)。そのような固着しないコーティング膜に有用な例は、テフロン、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(フッ素化エチレンプロピレン共重合体)、PFA(パーフルオロアルコキシ)およびETFE(エチレンテトラフルオロエチレン共重合体);陽極酸化アルミニウム/アルマイトおよびシリコーンである。
【0095】
そのような固着しないコーティング膜を飲料調製カプセルの内壁に適用するために適した技法としては、陽極酸化、ディップスピニング(dip spinning)、陰極浸漬塗装、ナノコーティング、湿式塗装、粉末コーティング、亜鉛熱拡散、ポリマーコーティング、溶射、ドラム吹き付け、真空コーティング、クロム置換およびプラズマ蒸着が挙げられる。正確なプロセスパラメータを最適化することは当業者の知識の範囲内である。
【0096】
従って、本願は、前記カプセルの内面が固着しないコーティング膜で部分的にまたは完全に覆われている飲料調製カプセルにも言及する。
【0097】
上述の医薬または栄養補助食品の可溶化物質は、単独でまたは組み合わせて、本発明による飲料調製カプセルにおいて、以下に挙げるような多様な賦形剤および/または添加剤と組み合わせることができる:
適したビタミンは、例えばビタミンC(L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸カルシウム、L-アスコルビン酸カリウム、L-アスコルビル6-パルミチン酸)、ビタミンA(レチノール、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル、β-カロテン)、ビタミンD(コレカルシフェロール(cholealciferol)、エルゴカルシフェロール(ergoalciferol))、ビタミンE(D-α-トコフェロール、DL-α-トコフェロール、D-α-トコフェリルアセテート、DL-α-トコフェリルアセテート、D-α-トコフェリルスクシネート)、ビタミンK(フィロキノン)、ビタミンB1(塩酸チアミン、一硝酸チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン、リボフラビン5’-リン酸ナトリウム)、ナイアシン(ニコチン酸、ニコチンアミド)、パントテン酸(D-パントテン酸カルシウム、D-パントテン酸ナトリウム、D-パンテノール)、ビタミンB6(塩酸ピリドキシン、5’-リン酸ピリドキシン)、葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)、ビタミンB12(シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミン)、ビオチン(D-ビオチン)である。
【0098】
含められる好適なミネラルは、例えばカルシウム(炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム塩、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、オルト-リン酸カルシウム塩、水酸化カルシウム、酸化カルシウム)、マグネシウム(酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、クエン酸マグネシウム塩、グルコン酸マグネシウム、グリセロリン酸マグネシウム、オルト-リン酸マグネシウム塩、乳酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム)、鉄(炭酸鉄、クエン酸鉄、クエン酸鉄アンモニウム、グルコン酸鉄、フマル酸鉄、二リン酸鉄ナトリウム、乳酸鉄、硫酸鉄、二リン酸鉄、サッカリン酸鉄、元素鉄)、銅(炭酸銅、クエン酸銅、グルコン酸銅、硫酸銅、銅リジン錯体)、ヨウ素(ヨウ化ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ素酸カリウム)、亜鉛(酢酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫酸亜鉛)、マンガン(炭酸マンガン、塩化マンガン、クエン酸マンガン、グルコン酸マンガン、グリセロリン酸マンガン、硫酸マンガン)、ナトリウム(重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、オルト-リン酸ナトリウム塩)、カリウム(重炭酸カリウム、炭酸カリウム、塩化カリウム、クエン酸カリウム、グルコン酸カリウム、グリセロリン酸カリウム、乳酸カリウム、水酸化カリウム、オルト-リン酸カリウム塩)、セレン(亜セレン酸ナトリウム、亜セレン酸水素ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム)、クロム(クロム-(III)-クロリド、クロム-(III)-サルフェート)、モリブデン(モリブデン酸アンモニウム(モリブデン(VI)、モリブデン酸ナトリウム(モリブデン(VI))、フッ素(フッ化ナトリウム、フッ化カリウム)、塩素、リン光体である。
【0099】
微量元素は、例えば補酵素のように、成長、発達および生理学のために非常に少量で生物に必要とされる食事性のミネラルである。それらには事実上常に生物に十分な量で存在するものもあれば、微量元素を必要とする人において置き換えられなければならないものもある。それらはクロム、コバルト、鉄、ヨウ素、銅、マンガン、モリブデン、セレン、亜鉛、フッ化物、ケイ素、ヒ素、ニッケル、ルビジウム、錫、バナジウムを含む群から選択することができる。微量元素は純粋な元素として、または上記のいずれかのミネラルの形で置き換えることができる。
【0100】
刺激物質は、しばしば、そして世界中で飲み物に使用されている。世界保健機関(WHO)によれば、この用語は、神経の活性を増加させる、加速させる、または改善するあらゆる種類の物質をさす。これらの物質は多くの場合、向精神作用を有する。最も一般的な刺激物質には、キサンチン、例えばカフェイン、テオフィリンおよびテオブロミンなどが挙げられる。
【0101】
例えばガラナは、上述のキサンチンを含有する。さらに一般的な刺激物質は、ニコチン、つまりニコチン酸である。しかし、多くの国で法律によって禁止されているか、近い将来に禁止される見込みであるか、または保健当局の厳しい規制下にあり、医師の処方を必要とする、広範な群の刺激物質がある。これはそれらの依存可能性、および消費者の健康、交通等での注意欠陥、または社会生活への負の影響に対するその他の危険に起因する。従って群にはa.o.アンフェタミンおよびその誘導体、ピペラジン誘導体の群、コカインならびにナルコレプシーおよび注意欠陥多動性障害(ADHD)の治療のための薬物が含まれる。従って本発明によるこの群の物質の使用も可能である場合がある。好ましいのはカフェインの使用である。
【0102】
適した酸化防止剤は、乳酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸の脂肪酸エステル、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、トコフェロール、α-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル、没食子酸エチル、グアヤク樹脂、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸(erythorbin acid)、エリソルビンナトリウム(sodium erythorbin)、tert-ブチルヒドロキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、リン酸一-、二-、三ナトリウム、リン酸一-、二-、三カリウム、アノキソマー、エトキシキン、乳酸カリウム、塩化第一スズ、チオ硫酸ナトリウム、4-ヘキシルレゾルシノール、グルコースオキシダーゼを含む群から選択することができる。
【0103】
適した酸度調節剤は、酢酸、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、二酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、二酸化炭素、リンゴ酸、フマル酸、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム、乳酸アンモニウム、乳酸マグネシウム、クエン酸、クエン酸一-、二-、三ナトリウム、クエン酸一-、二-、三カリウム、クエン酸一-、二-、三カルシウム、酒石酸、酒石酸一-、二ナトリウム、酒石酸一-、二カリウム、酒石酸カリウムナトリウム、オルト-リン酸、レシチンシトラート、クエン酸マグネシウム、リンゴ酸アンモニウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸水素ナトリウム、リンゴ酸カルシウム、リンゴ酸水素カルシウム、アジピン酸、アジピン酸ナトリウム、アジピン酸カリウム、アジピン酸アンモニウム、コハク酸、フマル酸ナトリウム、フマル酸カリウム、フマル酸カルシウム、フマル酸アンモニウム、1,4-ヘプトノラクトン(heptonolactone)、クエン酸三アンモニウム、クエン酸鉄アンモニウム、グリセロリン酸カルシウム、クエン酸イソプロピル、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸鉄、硫酸アンモニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、グルコン酸を含む群から選択することができる。
【0104】
酸味料は、酸を製造するかまたは酸となる無機化学薬品であるために使用する。適した例は、塩化アンモニウム、塩化カルシウムである。
【0105】
しばしば、薬剤活性物質または栄養補助食品は塩として提供される。薬剤活性物質には、製薬上許容される塩は、それぞれの薬局方に記載されている。従ってそれらは、カチオン性塩としてそれぞれのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、アニオン性塩としてそれぞれの塩化物塩、臭化物塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、p-アミノサリチル酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、アスコルビン酸塩、マレイン酸塩、スルホン酸塩、ホスホン酸塩、過塩素酸塩、硝酸塩、蟻酸塩、プロピオン酸塩、グルコン酸塩、ジグルコン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、ピルビン酸塩、フェニル酢酸塩、安息香酸塩、p-アミノ安息香酸塩、p-ヒドロキシ安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、クロロ安息香酸塩(chlorbenzoate)、メシル酸塩、エタンスルホン酸塩、亜硝酸塩、イセチオン酸塩、エチレンスルホン酸塩、トシル酸塩、ナフチルスルホン酸塩、4-アミノ-ベシル酸塩、カンファスルホン酸塩、アルギン酸塩、カプリン酸塩、馬尿酸塩、ペクチン酸塩、フタル酸塩、キナ酸塩、マンデル酸塩、o-メチルマンデル酸塩、水素ベシル酸塩、ピクリン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、D-o-トルイル(toluyl)酒石酸塩、タルトロナート、ベシル酸塩、α-安息香酸メチル、(o、m、p-)安息香酸メチル、ナフチルアミンスルホン酸塩、桂皮酸塩、アクリル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、イソ酪酸塩、フェニル酪酸塩、ヘプタン酸塩、キシリルスルホン酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ドデシル硫酸塩、ラウリン酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、ニコチン酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピバル酸塩、ステアリン酸塩、チオシアン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩を含む群から選択することができる。これらの塩が、本発明で使用される栄養補助食品の調製にも使用され得ることは当然理解される。
【0106】
用語「医薬賦形剤」とは、医薬活性薬剤とともに医薬製剤に添加される天然または合成化合物をさす。それらは、製造プロセスにおいて有益であるのと同様に、製剤の望ましい薬物動態特性または安定性を高めるために製剤の嵩を大きくするために役立ちうる。
本発明による賦形剤の有利なクラスとしては、粘着防止剤、増量剤、香料、着色剤、滑沢剤、防腐剤、甘味料、担体、可溶化剤、緩衝剤、防腐剤、乳白剤が挙げられる。
1以上の製薬上許容される担体を薬剤活性剤に添加することが有利、つまり必須であり得る。適格なのは、当技術分野で公知の全ての担体およびその組合せである。固形剤形では、それらは例えば植物および動物性脂肪、ろう、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、滑石、酸化亜鉛であり得る。液体剤形およびエマルションには、適した担体は例えば溶媒(例えば飲料ディスペンサによって供給される水など)、可溶化剤、乳化剤、例えば水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコール、綿実油、ピーナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ油、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチルグリコール、ソルビタンの脂肪酸エステルなどである。本発明による懸濁液は当技術分野で公知の担体を使用することがある。
【0107】
結合剤という用語は、粉末を結合するかまたはそれらをともに接着し、顆粒形成によってそれらを凝集性にする物質をさす。それらは製剤の「接着剤」役割を果たす。結合剤は、提供された増量剤の粘着力を増加させる。
【0108】
適した結合剤は、小麦、トウモロコシ、コメまたはジャガイモ由来のデンプン、ゼラチン、天然に存在する糖、例えばグルコース、スクロースまたはβ-ラクトースなど、トウモロコシ由来の甘味料、天然および合成ゴム、例えばアラビアガム、トラガカントガムまたはアルギン酸カルシウムアンモニウム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ろうなどである。組成物中の結合剤の百分率は、1~30重量%、好ましくは2~20重量%、より好ましくは3~10重量%および最も好ましくは3~6重量%に及び得る。
【0109】
一部の実施形態では、調製した飲料が溶解される際にいくらかの泡を生成することが望ましいであろう。そのような作用は、液体の表面張力を低下させ、従って気泡の形成を促進するか、または気泡の合一を阻害することによってそのコロイド安定性を増加させる、発泡剤の添加によって支えることができる。あるいは、発泡剤は泡を安定化させることができる。適した例としては、鉱油、キラヤ抽出物、クエン酸トリエチル、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムが挙げられる。
【0110】
あるいは、本発明による一部の可溶化物質は、調製時にわずかに泡状に見える可能性がある。望ましい用途を邪魔するものではないが、これは薬物療法の場合には患者のコンプライアンスに、または栄養補助食品の場合には商業的成功に影響を及ぼすことがある。そのため、製薬上または栄養上許容される消泡剤(脱泡剤)を可溶化物質に添加することが望ましいであろう。例は、栄養補助食品ではポリジメチルシロキサンまたはシリコーン油、または医薬品ではシメチコンである。
【0111】
従って、本願は、栄養上および/または製薬上許容される消泡剤が少なくとも1つの栄養補助食品および/または薬剤活性剤に添加されている飲料調製カプセルにも言及する。
【0112】
滑沢剤は、それぞれの栄養補助食品のベーキングを防ぎ、流れが滑らかで一定になるように造粒の流れ特性を改善する材料である。
【0113】
適した滑沢剤は、二酸化ケイ素および滑石を含む。組成物中の滑沢剤の量は、0.01および10重量%、好ましくは0.1~7重量%の間、より好ましくは0.2~5重量%の間、最も好ましくは0.5~2重量%の間で変動してよい。
【0114】
着色剤は、飲料の組成物、つまり剤形に着色をおこなう賦形剤である。これらの賦形剤は、食品着色剤であり得る。それらはクレイまたは酸化アルミニウムなどの適した吸着手段で吸着させることができる。組成物中の着色剤の量は、組成物の0.01~10重量%の間、好ましくは0.05~6重量%の間、より好ましくは0.1~4重量%の間、最も好ましくは0.1~1重量%の間で変動してよい。
【0115】
適した食品着色剤は、クルクミン、リボフラビン、リボフラビン-5’-リン酸塩、タートラジン、アルカンニン、キノリンイエロー(quinolione yellow)WS、ファストイエローAB、リボフラビン-5’-リン酸ナトリウム、イエロー2G、サンセットイエローFCF、オレンジGGN、コチニール、カルミン酸、シトラスレッド2、カルモイシン、アマランス、ポンソー4R、ポンソーSX、ポンソー6R、エリスロシン、レッド2G、アルラレッドAC、インダンスレンブルー(Indathrene blue)RS、パテントブルーV、インジゴカルミン、ブリリアントブルーFCF、クロロフィルおよびクロロフィリン、クロロフィルおよびクロロフィリンの銅錯体、グリーンS、ファストグリーンFCF、無味カラメル、苛性亜硫酸カラメル、アンモニアカラメル、亜硫酸アンモニアカラメル、ブラックPN、カーボンブラック、植物性炭素、ブラウンFK、ブラウンHT、α-カロテン、β-カロテン、γ-カロテン、アナトー、ビキシン、ノルビキシン、パプリカオレオレジン、カプサンチン、カプソルビン、リコピン、β-アポ-8’-カロテナール、β-アポ-8’-カロテン酸のエチルエステル、フラボキサンチン、ルテイン、クリプトキサンチン、ルビキサンチン、ビオラキサンチン、ロドキサンチン、カンタキサンチン、ゼアキサンチン、シトラナキサンチン、アスタキサンチン、ベタニン、アントシアニン、サフラン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化鉄、水酸化鉄、アルミニウム、銀、金、色素ルビン、タンニン、オルセイン、グルコン酸第一鉄、乳酸第一鉄である。
【0116】
風味増強剤は、食品および飲料に広く使用されている。適した例は、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グルタミン酸一カリウム、二グルタミン酸カルシウム、グルタミン酸一アンモニウム、二グルタミン酸マグネシウム、グアニル酸、グアニル酸ナトリウム、グアニル酸二ナトリウム、グアニル酸二カリウム、グアニル酸カルシウム、イノシン酸、イノシン酸二ナトリウム、イノシン酸二カリウム、イノシン酸カルシウム、5’-リボヌクレオチドカルシウム、5’-リボヌクレオチド二ナトリウム、グリシン、グリシン酸ナトリウム、酢酸亜鉛、ガム・ベンゾイック(gum benzoic)、タウマチン、グリチルリチン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、一酢酸グリセリル、二酢酸グリセリルである。
【0117】
さらに、緩衝液が液体製剤、特に医薬液体製剤に好ましい。緩衝剤、緩衝系および緩衝液(特に水溶液のもの)という用語は、酸または塩基の添加による、あるいは溶媒での希釈によるpH変化に耐える系の能力をさす。好ましい緩衝系は、蟻酸塩、乳酸塩、安息香酸、シュウ酸塩、フマル酸塩、アニリン、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、グルタミン酸緩衝液、リン酸緩衝液、コハク酸塩、ピリジン、フタル酸塩、ヒスチジン、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸、マレイン酸、カコジル酸塩(ヒ酸ジメチル)、炭酸、ADA(N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸、PIPES(4-ピペラジン-ビス-エタンスルホン酸)、BIS-TRISプロパン(1,3-ビス[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノール]プロパン)、エチレンジアミン、ACES(2-[(アミノ-2-オキソエチル)アミノ]エタンスルホン酸)、イミダゾール、MOPS(3-(N-モルフィノ(morphino))-プロパンスルホン酸、ジエチルマロン酸、TES(2-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノエタンスルホン酸、HEPES(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸)、ならびにその他のpKが3.8~7.7の間の緩衝液を含む群から選択されてよい。
【0118】
好ましいのは、酢酸塩緩衝剤などの炭酸緩衝剤およびフマル酸塩、酒石酸塩およびフタル酸塩などのジカルボン酸緩衝剤ならびにクエン酸塩などのトリカルボン酸緩衝剤である。
【0119】
好ましい緩衝剤のさらなる群は、無機緩衝剤、例えば硫酸塩水酸化物、ホウ酸塩水酸化物、炭酸塩水酸化物、シュウ酸塩水酸化物、水酸化カルシウムおよびリン酸緩衝液である。好ましい緩衝剤のもう1つの群は、窒素含有緩衝剤(puffers)例えばイミダゾール、ジエチレンジアミンおよびピペラジンなどである。さらに好ましいのは、スルホン酸緩衝剤、例えばTES、HEPES、ACES、PIPES、[(2-ヒドロキシ-1,1-ビス-(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(TAPS)、4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-プロパンスルホン酸(EEPS)、4-モルホリノ-プロパンスルホン酸(MOPS)およびN,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)などである。好ましい緩衝剤のもう1つの群は、グリシン、グリシル-グリシン、グリシル-グリシル-グリシン、N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)グリシンおよびN-[2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]グリシン(トリシン)である。アミノ酸緩衝剤、例えばグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、システイン、メチオニン、プロリン、4-ヒドロキシプロリン、Ν,Ν,Ν-トリメチルリジン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシ-リジン、o-ホスホセリン、γ-カルボキシグルタミン酸、ε-N-アセチルリジン、ω-N-メチルアルギニン、シトルリン、オルニチンおよびそれらの誘導体も好ましい。
【0120】
液体剤形または栄養補助食品の防腐剤は必要に応じて使用されることができる。それらは、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カルシウム、メチルパラベン、エチルパラベン、メチルエチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、p-ヒドロキシ安息香酸ヘプチル、p-ヒドロキシ安息香酸メチルナトリウム、p-ヒドロキシ安息香酸エチルナトリウム、p-ヒドロキシ安息香酸プロピルナトリウム、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、フェニルエチルアルコール、クレゾール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、チオメルサール(2-(エチル水銀チオ)安息香酸ナトリウム)、二酸化硫黄、亜硫酸ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸水素カルシウム、亜硫酸水素カリウム、ビフェニル、オルトフェニルフェノール、ナトリウムオルトフェニルフェノール、チアベンダゾール、ナイシン、ナタマイシン、ギ酸、ギ酸ナトリウム、ギ酸カルシウム、ヘキサミン、ホルムアルデヒド、二炭酸ジメチル、亜硝酸カリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、酢酸、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、二酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、酢酸アンモニウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、乳酸、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸カリウム、ホウ酸、四ホウ酸ナトリウム、二酸化炭素、リンゴ酸、フマル酸、リゾチーム、硫酸銅(II)、塩素、二酸化塩素および当業者に公知のその他の適した物質または組成物を含む群から選択されてよい。
【0121】
さらなる乳化剤は、例えば以下のアニオン性および非イオン性乳化剤から選択することができる:アニオン性乳化剤ワックス、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール、ステアリン酸、オレイン酸、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ヒマシ油および/または硬化ヒマシ油への2~60molエチレンオキシドの付加生成物、羊毛脂(ラノリン)、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエテン(polyoxyethene)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエテン(polyoxyethene)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエテン(polyoxyethene)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエテン(polyoxyethene)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエテン(polyoxyethene)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエテン(polyoxyethene)ステアレート、ポリビニルアルコール、メタ酒石酸、酒石酸カルシウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸プロパン-1,2-ジオール、カラゲナン、キリンサイ属(eucheuma)の海藻加工物、ローカストビーンガム、トラガカント、アカシアガム、カラヤガム、ゲランガム、ガティガム、グルコマンナン、ペクチン、アミド化ペクチン、アンモニウムホスファチド、臭素化植物油、イソ酪酸酢酸スクロース、ウッドロジンのグリセロールエステル、リン酸二ナトリウム、二リン酸三ナトリウム、二リン酸四ナトリウム、二リン酸二カルシウム、二リン酸二水素カルシウム、三リン酸ナトリウム、三リン酸五カリウム、ポリリン酸ナトリウム、ポリリン酸カルシウムナトリウム、ポリリン酸カルシウム、ポリリン酸アンモニウム、β-シクロデキストリン、粉末セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルヒドロキシエチルセルロース、クロスカルメロース、酵素分解カルボキシメチルセルロース、脂肪酸のモノ-およびジグリセリド、モノステアリン酸グリセリル、グリセリルジステアレート、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドの酢酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドの乳酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドのクエン酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドの酒石酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドのモノ-およびジアセチル酒石酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドの混合酢酸および酒石酸エステル、サクシニル化モノグリセリド、脂肪酸のスクロースエステル、スクログリセリド、脂肪酸のポリグリセロールエステル、ポリグリセロールポリリシンオレイン酸、脂肪酸のプロパン-1,2-ジオールエステル、脂肪酸のプロピレングリコールエステル、グリセロールおよびプロパン-1のラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のモノ-およびジグリセリドと相互作用した熱酸化大豆油、スルホコハク酸ナトリウムジオクチル、ナトリウムステアロイル-2-ラクチレート、カルシウムステアロイル-2-ラクチレート、酒石酸ステアリル、クエン酸ステアリル、フマル酸ステアロイルナトリウム、フマル酸ステアロイルカルシウム、酒石酸ステアリル、クエン酸ステアリル、フマル酸ステアロイルナトリウム、フマル酸ステアロイルカルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、エトキシル化モノ-およびジグリセリド、メチルグルコシド-ココナッツ油エステル、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレエート、ポリリン酸ナトリウムカルシウム、ポリリン酸カルシウム、ポリリン酸アンモニウム、コール酸、コリン塩、ジスターチグリセロール、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、アセチル化酸化デンプン。
【0122】
好ましいのは、グリセリンモノオレエートおよびステアリン酸である。
【0123】
安定剤は、望ましくない変化を防ぐために添加することのできる物質である。安定剤は本物の乳化剤ではないが、それらもエマルション、つまり可溶化物質の安定性に貢献しうる。安定剤の適した例は、オキシステアリン、キサンタンガム、寒天、オーツガム、グアーガム、タラガム、ポリオキシエテン(polyoxyethene)ステアレート、アスパルテーム-アセスルファム塩、アミラーゼ、プロテアーゼ、パパイン、ブロメライン、フィシン、インベルターゼ、ポリデキストロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルポリピロリドン、クエン酸トリエチル、マルチトール、マルチトールシロップである。
さらなる表面活性可溶化剤(溶解剤)として適しているものは、例えばジエチレングリコールモノエチルエステル、ポリエチルプロピレングリコールコ-ポリマー、α-およびβ-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン、Solutol HS 15(BASF製マクロゴール-15-ヒドロキシステアレート、PEG 660-15ヒドロキシステアレート)などのモノステアリン酸グリセリル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン酸(sorbitanic acid)エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンオキシステアリン酸トリグリセリド、ポリビニルアルコール、ドデシル硫酸ナトリウム、(アニオン性)グリセリルモノオレエートなどである。
【0124】
適した芳香物質および香味剤物質は、この目的に使用されることのできるとりわけ重要な精油を含む。一般に、この用語は、それぞれの特徴的な匂いをもつ植物または植物の部分からの揮発性抽出物をさす。それらは植物または植物の部分から水蒸気蒸留によって抽出することができる。
【0125】
例は:精油、つまりセージ、クローブ、カモミール、アニス、スターアニス、タイム、ティーツリー、ペパーミント、ミント油、メントール、シネオール、ユーカリ油、マンゴー、イチジク、ラベンダー油、カモミールブロッサム、松葉、イトスギ、オレンジ、ローズウッド、プラム、フサスグリ、サクランボ、バーチリーフ、シナモン、ライム、グレープフルーツ、タンジェリン、ジュニパー、バレリアン、レモンバーム、レモングラス、パルマローザ、クランベリー、ザクロ、ローズマリー、ショウガ、パイナップル、グアバ、エキナシア、ツタの葉抽出物、ブルーベリー、カキ、メロンなど、またはそれらの混合物、ならびにメントール、ペパーミントおよびスターアニス油またはメントールおよびサクランボ香料の混合物由来の芳香物質である。
【0126】
これらの芳香物質および香味剤物質は、全組成に関して(特に組成物中)0.0001~10重量%、好ましくは0.001~6重量%、より好ましくは0.001~4重量%、最も好ましくは0.01~1重量%の範囲で含めることができる。適用または単一ケースに関連して、異なる量を使用することが有利であり得る。
適した甘味料は、マンニトール、グリセロール、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サイクラミン酸、イソマルト、イソマルチトール、サッカリンおよびそのナトリウム、カリウムおよびカルシウム塩、スクラロース、アリターム、タウマチン、グリチルリチン、ネオヘスペリジン、ジヒドロカルコン、ステビオール配糖体、ネオテーム、アスパルテーム-アセスルファム塩、マルチトール、マルチトールシロップ、ラクチトール、キシリトール、エリトリトールを含む群から選択することができる。
【0127】
適した等張化剤は、例えば製薬上許容される塩、特に塩化ナトリウムおよび塩化カリウム、グルコースまたはラクトースなどの糖、マンニトールおよびソルビトールなどの糖アルコール、クエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩およびそれらの混合物である。
適した増粘剤は、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、ポリデキストロース、加工デンプン、アルカリ加工デンプン、漂白デンプン、酸化デンプン、酵素処理デンプン、リン酸化デンプン、トリメタリン酸ナトリウムまたはオキシ塩化リンでエステル化したリン酸架橋デンプン、リン酸モノエステル化リン酸架橋デンプン、アセチル化リン酸架橋デンプン、無水酢酸でエステル化した酢酸デンプン、酢酸ビニルでエステル化した酢酸デンプン、アセチル化アジピン酸架橋デンプン、アセチル化グリセロール架橋デンプン、グリセリン架橋デンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルグリセリン架橋デンプン、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン、ヒドロキシプロピルグリセロール架橋デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、アセチル化酸化デンプン、ヒドロキシエチルセルロースを含む群から選択することができる。
【0128】
増量剤は、必要最少量の活性薬剤を取り扱うために薬物に添加される不活性物質である。それらは可溶化プロセスにおいて有用であり得る。適した増量剤の例は、マンニトール、α化デンプン、デンプン、微結晶性セルロース、粉末セルロース、ケイ化微結晶セルロース、第二リン酸カルシウム二水和物、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、キサンタンガム(xanthum gum)、アラビアガムまたはその任意の組合せである。
【0129】
乳白剤は、必要に応じて飲料用の液体を不透明にする物質である。それらは溶液(本明細書中の大部分の例では水)と実質的に異なる屈折率を有していなければならない。同時に、それらは組成物のその他の成分に対して不活性であるべきである。適した例としては、二酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、ベヘン酸、セチルアルコール、またはそれらの混合物が挙げられる。
【0130】
本発明によれば、全ての上述の賦形剤および賦形剤のクラスは、限定されないが、本発明の可溶化物質の使用が妨害されず、望ましくない薬理作用が起こることがあり、それぞれの国内法令が犯される限り、単独でまたはその任意の考えられる組合せで使用することができる。
【0131】
従って本願は、可溶化物質が少なくとも1つの薬剤活性剤を含む、医薬剤形として使用するための飲料調製カプセルにも言及する。
【0132】
実施例1~10の調製指示から分かるように、標準的な大きさの飲料調製カプセルは、本発明の目的に必ずしも必要であるとは限らない。しばしば、かなり小さい量のカプセルが必要な量の本発明による栄養補助食品または薬剤活性剤の可溶化物質を収容するために十分であることがある。主に使用される飲料調製カプセルの寸法は、高さが17mm(Tassimoの標準的なサイズ、Lavazzo Amodo Mio)~35.3mm(Hyperespresso System)の間、直径(嵌合)が30mm(Nespresso)~63.3mm(Tassimo large size)の間、さらにフランジの2mm~8.5mmおよびフランジ厚さの1mm~3.9mmで変動する。
従って、少容量の飲料調製カプセルを提供することが本願のさらなる課題である。それらはあまり場所をとらず、商業規模での輸送および貯蔵に大いに有利であり、必要とする材料が少ない。そのため、そのようなカプセルは、低コストで製造し、良好な価格で提供することができる。消費者も、非常に容易に輸送されることのできるそのようなカプセルから利益を得る。そのようなカプセルは、本願を通してミニカプセルと呼ばれる。
【0133】
これらのミニカプセルに有用な寸法は:
高さ:5mm~12mm、好ましくは6mm~10mm、最も好ましくは8mm~10mm;
直径:5mm~25mm、好ましくは10mm~20mm、最も好ましくは15mm~20mm
である。
【0134】
実行可能性、プロセス安全性および材料安全性の理由で、フランジおよびフランジ厚さの寸法は、技術分野で公知の述べられた飲料調製物の寸法と同じである。
【0135】
従って、本願は、カプセルが5mm~25mmの直径および5~12mmの高さを有するミニカプセルである飲料調製カプセルにも言及する。
【0136】
特に、本願は、カプセルが直径5mm~25mm、高さ5~12mmであり、少なくとも1つの栄養補助食品および/または薬剤活性剤の可溶化物質を充填したミニカプセルである飲料調製カプセルにも言及する。
【0137】
本願はまた、直径が5mm~25mm、高さが5~12mmであるミニカプセルの飲料の調製のための使用、特に少なくとも1つの栄養補助食品および/または薬剤活性剤の可溶化物質を充填した、直径が5mm~25mm、高さが5~12mmであるミニカプセルの飲料の調製のための使用にも言及する。
【0138】
そのようなミニカプセルは、1個のカプセルとして提供されてもよいし、穿孔部によって分離される、例えば2、3、4、5、6、8、9、10または12個のカプセル群に連結されてもよい(ブリスター)。
【0139】
標準的な飲料調製カプセルについて本願で言及した全ての仕様および変更がこれらのミニカプセルにも言及されることは理解される。
【0140】
飲料ディスペンサ自体の変更がこれらのミニカプセルの使用に必要となる場合に備えて、特に飲料調製カプセルホルダー、管類、ノズル直径および処理ソフトウェアにおける、これらの変更は、そのような飲料ディスペンサの構造をよく知る当業者の知識の領域にある。
【0141】
本願はまた、
a)飲料調製カプセルから飲料を調製し注出するための飲料ディスペンサ、
b)本発明による飲料調製カプセル、および
c)飲料容器
を含む飲料注出システムを開示する。
【0142】
本発明のもう1つの実施形態では、本発明による飲料注出システムは、調製した飲料を飲料調製カプセルから飲料容器の中に放出する場合に、泡立ちを回避するかまたは少なくとも大幅に低減する手段を含む。前記のように、それによって望ましくない泡が生じることがある。これは薬物療法の場合には患者のコンプライアンスに、または栄養補助食品の場合には商業的成功に影響を及ぼすことがある。国際公開第2004/087529A1号または国際公開第2005/018395A1号(上記参照)から公知のパーコレーター様挿入物のような消泡要素は、主に水系飲料と比較して、特に可溶化物質が低粘性である場合に、本発明による飲料調製カプセルからの可溶化物質に対して完全に満足できるものでないことを示した。
【0143】
そのような泡立ちは、飲料をカプセルから容器に入るまでの途中で流れ制限要素に通すことにより、確実に避けることができることが見出された。そのような流れ制限要素は、放出チューブまたは漏斗(そのような放出チューブまたは漏斗を有する飲料調製機の場合)の中または上に、あるいは飲料調製カプセルの底面の中または上に取り付けることができる。有用な流れ制限要素は、チューブ内腔のねじ山(左または右ねじ山)、飲料の流れ方向に対して垂直な、チューブ内部またはチューブ下端のオリフィスプレートまたはディスク(中央にくぼみのあるプレートまたはディスク)、あるいは単にチューブの内部またはチューブの下端のノズル(遠位で先細になっているノズル)を含む。これらの制限要素は全て、適した熱可塑性プラスチックまたは鋼などの任意の適した不活性かつ耐熱材料(100℃まで)から作製することができる。理想的には、選択された材料はチューブまたは漏斗の材料、あるいは飲料調製カプセルの材料と一致するべきである。好ましいのはポリプロピレンまたは医用ステンレス鋼の実施形態である。そのような流れ制限要素の必要な寸法、およびそれを確実にチューブまたは漏斗または飲料調製カプセルの底面の中または上に備え付ける方法を見出すことは当業者の知識の範囲内である(実施例4および6参照)。
【0144】
従って、本願は、前記飲料ディスペンサおよび/または前記飲料調製カプセルが、前記飲料の前記飲料容器への出口のためのチューブまたはノズルを含み、該チューブまたはノズルが流れ制限装置を含むことを特徴とする、飲料注出システムにも言及する。好ましい実施形態では、この流れ制限要素は、ねじ山、オリフィスプレートまたは遠位で先細になっているノズルである。
【0145】
当技術分野から、一度に数個の飲料調製カプセルを収容することが可能な回転台(リボルバー・ディスク)を装備する飲料注出機が公知である。この台を単純に回転させることによって、新しい飲料調製カプセルを飲料の調製のための正しい位置に持ってくることができる。そのような回転台は、特にカフェまたは会社でのように飲料調製の処理量が多い場合に、あるいは調製する飲料を内容の異なる飲料調製カプセルから選択することができる場合に、戴置プロセスを容易にするのに役立つ。
【0146】
本発明のさらなる実施形態では、そのような回転台は、単にくぼみの直径を選択されたミニカプセルの直径に変更することによって、いくつかのミニカプセルを収容するように構成することができる。
【0147】
従って、本願は、本発明による飲料ディスペンサが、本発明による少なくとも1つのミニカプセルを受け取るように構成された飲料調製カプセルホルダーまたは飲料調製カプセル回転台を装備しているかまたはそれを受け取るように構成されている飲料注出システムにも言及する。
【0148】
従って、本願は、飲料調製カプセルを受け取るための複数のくぼみを有し、前記くぼみが1以上の大きさの飲料調製カプセルを受け取るように構成され、これらのくぼみの大きさの少なくとも1つが本発明によるミニカプセルを受け取るように構成されている、本発明による飲料注出システムの飲料ディスペンサで受け取られる回転台またはリボルバー・ディスクにも言及する。
【0149】
当技術分野で公知の最新式の飲料ディスペンサは、次にどの飲料調製カプセルが準備されなければならないかを識別することができる。これは、調製される飲料がいくつかの異なる大きさおよび/または味の飲料調製カプセルから選択されることができる場合に特に有用である。ユーザーは当技術分野で公知のコンピュータ制御表示装置によって好みの飲料を選択することができる。選択された飲料調製カプセルの種類は、適した位置に設置された飲料注出システムの適したバーコード読取ユニットによって読み出されることのできる、それぞれの飲料調製カプセルの上側または下側に印刷された機械可読バーコードを通して飲料ディスペンサに識別される。コンピュータプログラムは1または複数のバーコードを翻訳してユーザー面に表示するか、または事前に選択したリストの可能性のある種類の正しい面のランプを点灯する。ユーザーは、好みの味または大きさを見つけるまで回転台を次の位置に回転させることを要求することもできる。あるいは、RFIDチップ技術を用いて同じ目的を達成することができる。ここで、RFIDチップはそれぞれの飲料調製カプセルの中または上に取り付けられ、飲料ディスペンサのRFID読取ユニットによって、提供される飲料調製カプセルのそれぞれの種類を読み出し、前記のようにユーザーに表示することができる。そのような飲料調製カプセル識別システムは、可溶化物質を含有する本発明の飲料調製カプセル、特にミニカプセルにも使用することができる。
【0150】
従って、本願は、飲料調製カプセルが少なくとも1つのカプセル外面に機械可読バーコードを備えるかあるいはカプセル外面の中または上にRFIDチップを備え、飲料ディスペンサがマッチングバーコードまたはRFIDチップリーダーを備え、前記バーコードまたは前記RFIDチップがこの飲料調製カプセルに含まれる可溶化物質および前記飲料調製カプセルのサイズに特異的である、飲料注出システムにも言及する。本発明による可溶化物質中の医薬活性薬剤の場合には、マッチングバーコードまたはRFIDチップリーダーは、本発明による飲料調製カプセルが病院のような大量処理施設で使用される場合にさらなる安全性を患者に提供する。
【0151】
好ましい実施形態では、飲料ディスペンサは、前記バーコードまたはRFIDチップから読み出した情報に従う初期値にその可変操作パラメータを設定するように構成されている。
【0152】
本願は、以下のステップ:
a)本発明による飲料調製カプセルを準備するステップ;
b)前記カプセルを前記飲料ディスペンサに入れるステップ、
c)便宜な大きさの飲料容器を飲料ディスペンサのノズルの下に配置するステップ;および
d)前記飲料注出システムの機構を操作するステップ
を含む、本発明による飲料注出システムによって飲料を調製するための方法にも言及する。
【0153】
本願は、本発明による飲料注出システムによって製造された飲料にも言及する。
【0154】
前記飲料の特に好ましい実施形態では、可溶化物質は、医薬で用いるための薬剤活性剤を含む。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0155】
ループ利尿薬フロセミド(BCSクラスIV医薬)の可溶化物質を生成するために、4.5gのポロクサマー188および1.25gのα-トコフェロールを、それらが溶融するまで60℃に加熱した。4.76mlのアクア・ビデスト(aqua bidest)(25%)を60℃に加熱し、溶融した混合物を覆うために使用した。ゲルが形成されるまで待った。第2の溶液に、14.29mlのアクア・ビデスト(75%)を準備し、0.2gのフロセミドを撹拌しながら添加した。次に、この第2の溶液をゲルに添加した(方法に関して、国際公開第2007/104173A2号を参照)。このように、可溶化させる化合物を封入する安定なミセルを形成しやすい可溶化物質が得られる。示された量のアクア・ビデストが必要とされるので、それは可溶化物質とみなす必要があり、濃縮物とみなしてはならない。この可溶化物質(25ml)は凡そ以下の組成を有する:
ポロクサマー188 18重量%
α-トコフェロール 5重量%
フロセミド 0.8重量%
アクア・ビデスト 76.2重量%
【0156】
この可溶化物質を市販の飲料調製カプセルを詰め替えるために使用した。使用済みのTassimo T Diskコーヒーカプセル(標準サイズ;直径63.3mm、高さ17.0mm)をアクア・ビデストで完全に洗浄した。当技術分野で公知のコーヒーカプセルを詰め替えるための標準的な技法を用いることによってカプセルを詰め替えた。5mlの可溶化物質を、注入に使用される標準的な10mlシリンジに吸い上げ、カプセルの開口部を通して注入した。充填されたカプセルをBosch製のTassimoマシンに挿入し、カップを注出管の下に置き、抽出を開始した。これにより、40mgのフロセミド(この薬物の標準的な投与量)を含有する飲料が生じた。この実験を2回繰り返した(n=3)。毎回、曇りのない透明な溶液が生成された。2時間の観察期間の間に飲料を室温まで冷めた際に、沈殿するか、凝結するか、または再結晶化する化合物はなかった。
【実施例2】
【0157】
非常に親油性の栄養補助食品β-カロテン(ニンジン、カボチャなどの多様な植物に含まれるテルペノイドである、ビタミンAの前駆体)の可溶化物質を生成するために、実施例1のように、4.5gのポロクサマー188および1.25gのα-トコフェロールを、それらが溶融するまで60℃に加熱した。4.81mlのアクア・ビデスト(25%)を60℃に加熱し、溶融した混合物を覆うために使用した。ゲルが形成されるまで待った。第2の溶液に、14.41mlのアクア・ビデスト(75%)を準備し、30mgのβ-カロテンを撹拌しながら添加した。次に、この第2の溶液をゲルに添加した。このように、任意量の水を添加すると、可溶化させる化合物を封入する安定なミセルを形成しやすい可溶化物質が得られる。この可溶化物質(25ml)は凡そ以下の組成を有する:
ポロクサマー188 18重量%
α-トコフェロール 5重量%
β-カロテン 0.12重量%
アクア・ビデスト 76.88重量%
【0158】
この可溶化物質を、市販の飲料調製カプセルを詰め替えるために使用した。同じ種類のTassimo T Diskコーヒーカプセルを、各々5mlの可溶化物質で詰め替え、実施例1に記載されるように飲料を調製した(n=3)。これにより、6mgのβ-カロテン(この栄養補助食品に推奨される1日投与量)を含有する飲料が生じた。毎回、曇りのない少しオレンジ色の溶液が生成された。2時間の観察期間の間に飲料を室温まで冷めた際に、沈殿するか、凝結するか、または再結晶化する化合物はなかった。
【実施例3】
【0159】
鎮痛薬アセトアミノフェン(パラセタモール;BCSクラスIV医薬)の可溶化物質を生成するために、25mlの自己乳化組成物を米国特許出願公開第2006/0051642A1号に従って生成した。5gのアセトアミノフェンを密封容器に準備した。その後、15.7mlのオレイン酸エチルを添加し、容器を密封した。この容器を50℃の温度を有する水浴中に入れ、全ての固形物質が溶解するまで穏やかに振盪した。容器を室温まで冷却した後、1mlのオクタン酸、3.23mlのポリソルベート80、50mgの、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)とブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)の1:1混合物、ならびに25mgの没食子酸プロピルを順次添加し、撹拌した。次に、容器を再び密封し、透明な溶液が形成されるまで穏やかに振盪した。この可溶化物質は凡そ以下の組成を有する:
アセトアミノフェン 20重量%
オレイン酸エチル 62.8重量%
オクタン酸 4重量%
ポリソルベート80 12.9重量%
BHT/BHA 0.2重量%
没食子酸プロピル 0.1重量%
【0160】
この可溶化物質を、市販の飲料調製カプセルを詰め替えるために使用した。使用済みのNescafe Dolce Gustoコーヒーカプセル(標準サイズ;直径48.0mm、高さ34.5mm)をアクア・ビデストで完全に洗浄した。当技術分野で公知のコーヒーカプセルを詰め替えるための標準的な技法を用いることによってカプセルを詰め替えた。5mlの可溶化物質を、注入に使用される標準的な10mlシリンジに吸い上げ、カプセルの開口部を通して注入した。充填されたカプセルを、Krups製のNescafe Dolce Gustoの互換機(Melody 3 Manual Coffee Machine)に挿入し、レバーを冷水の方に動かし、カップを注出管の下に置き、抽出を開始した。これにより、1gのアセトアミノフェン(この薬物の強い標準的な投与量)を含有する飲料が生じた。この実験を2回繰り返した(n=3)。毎回、目に見える粒子を含まない溶液が生成された。しかし、少しの曇りが生じた(ゼブラ効果)。2時間の観察期間の間に、沈殿するか、凝結するか、または再結晶化する化合物はなかった。
【実施例4】
【0161】
実験3を、流れ制限要素を前記コーヒーカプセルの出口に置くという変更を加えて3回繰り返した。そのため、左ねじ山を含むポリプロピレンチューブ(長さ1cm、内径4mm)を、はんだごてを用いてカプセルの出口に溶接した。その結果、実施例3のような曇りはもう起こらなかった。
【実施例5】
【0162】
難水溶性栄養補助食品メラトニンの可溶化物質を生成するために、実施例3に従って25mlの自己乳化組成物を生成した。25mgのメラトニンを、密封容器に準備した。その後、19.63mlのオレイン酸エチルを添加し、容器を密封した。この容器を50℃の温度を有する水浴中に入れ、全ての固形物質が溶解するまで穏やかに振盪した。容器を室温まで冷却した後、1.25mlのオクタン酸、4.03mlのポリソルベート80、50mgのBHT/BHAの1:1混合物、ならびに25mgの没食子酸プロピルを順次添加し、撹拌した。次に、容器を再び密封し、透明な溶液が形成されるまで穏やかに振盪した。この可溶化物質は凡そ以下の組成を有する:
メラトニン 0.1重量%
オレイン酸エチル 78.5重量%
オクタン酸 5重量%
ポリソルベート80 16.1重量%
BHT/BHA 0.2重量%
没食子酸プロピル 0.1重量%
【0163】
この可溶化物質を、市販の飲料調製カプセルを詰め替えるために使用した。同じ種類のNescafe Dolce Gustoコーヒーカプセルを、各々5mlの可溶化物質で詰め替え、実施例3に記載されるように冷飲料を調製した(n=3)。これにより、5mgのメラトニン(この栄養補助食品に推奨される1日投与量範囲の最大量)を含有する飲料が生じた。毎回、目に見える粒子を含まない溶液が生成された。しかし、メラトニンによっても少しの曇りが生じた(ゼブラ効果)。2時間の観察期間の間に、沈殿するか、凝結するか、または再結晶化する化合物はなかった。
【実施例6】
【0164】
実験5を、流れ制限要素を前記コーヒーカプセルの出口に置くという変更を加えて3回繰り返した。そのため、ポリプロピレンチューブ(長さ1cm、内径4mm)を、はんだごてを用いてカプセルの出口に溶接した。さらに、流れを制限するために、穴のあいたポリプロピレンディスク(中央のくぼみの直径:2mm)をチューブの下端に溶接した。その結果、実施例5のような曇りはもう起こらなかった。
【実施例7】
【0165】
25mlのリポソーム系可溶化物質のスルホニル尿素抗糖尿病薬グリピジド(BCSクラスIV医薬)を生成した。リポソームをリン脂質1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPMC)から製造した。50mgのDPMCを2.5mlのt-ブタノールに溶解し、混合物を37℃水浴中で5分間加熱することによってリン脂質を可溶化した。次に、溶液を、光曝露から保護される気密容器中で-20℃で貯蔵した。50mgのグリピジドを500μlのDMSOに溶解し、これもまた光曝露から保護される気密容器中で-20℃で貯蔵した。翌日、溶液を解凍し、2.5mlのDPMC溶液、500μlのグリピジド溶液および22mlのt-ブタノールを完全に混合した(リポソーム技術に関して、米国特許出願公開2008/0103213A1号を参照)。この可溶化物質は凡そ以下の組成を有する:
グリピジド 0.2重量%
DPMC 0.2重量%
DMSO 2.0重量%
t-ブタノール 97.6重量%
【0166】
この可溶化物質を市販の飲料調製カプセルを詰め替えるために使用した。使用済みのNespressoコーヒーカプセル(標準サイズ;直径30.0mm、高さ37.0mm)をアクア・ビデストで完全に洗浄した。当技術分野で公知のコーヒーカプセルを詰め替えるための標準的な技法を用いることによってカプセルを詰め替えた。5mlの可溶化物質を、注入に使用される標準的な10mlシリンジに吸い上げ、カプセルの開口部を通して注入した。充填されたカプセルをNespresso Inissiaマシンに挿入し、カップを正しく置き、抽出を開始した。これにより、10mgのグリピジド(この薬物の標準的な投与量)を含有する飲料が生じた。この実験を2回繰り返した(n=3)。溶液は透明で、わずかに黄色であり、ニュートラルな許容される味であった。
【実施例8】
【0167】
25mlのリポソーム系可溶化物質の葉酸(ビタミンB)を、実施例7と同様に生成した。リポソームをリン脂質1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPMC)から製造した。50mgのDPMCを2.5mlのt-ブタノールに溶解し、混合物を37℃水浴中で5分間加熱することによってリン脂質を可溶化した。次に、溶液を、光曝露から保護される気密容器中で-20℃で貯蔵した。2mgの葉酸を500μlのDMSOに溶解し、これもまた光曝露から保護される気密容器中で-20℃で貯蔵した。翌日、溶液を解凍し、2.5mlのDPMC溶液、500μlの葉酸溶液および22mlのt-ブタノールを完全に混合した。この可溶化物質は凡そ以下の組成を有する:
葉酸 0.008重量%
DPMC 0.2重量%
DMSO 2.0重量%
t-ブタノール 97.8重量%
【0168】
5mlのこの溶液を使用済みのNespressoコーヒーカプセルに前記のように充填し、Nespresso Inissiaマシンを用いて飲料を調製した。これにより、400gの葉酸(この栄養補助食品に推奨される一日量)を含有する飲料が生じた。この実験を2回繰り返した(n=3)。溶液は透明で、わずかに黄色であり、ニュートラルな許容される味であった。
【実施例9】
【0169】
抗生物質クラリスロマイシン(BCSクラスIV医薬)の可溶化物質を生成するために、10mlの組成物を生成した。最初に、クラリスロマイシン(2.5g)、β-シクロデキストリン(70mg)およびフマル酸(500mg)を微粒子化し、次にHPCの水(ware)分散液(7%w/w)に一緒に分散させた。少量のシメチコンエマルションを添加して分散液から泡を取り除いた。非イオン性ポリマーヒドロキシプロピルセルロース(630mg)と微粒子化していないβ-シクロデキストリン(100mg)のブレンドを遊星形ミキサーで調製した。クラリスロマイシン分散液をそれに添加した後、混合物全体を押出機に通す。得られる材料を45℃で乾燥させた。乾燥した浸出液を再び粉砕した。その後、それを6.2mlのアクア・ビデストに分散させた。(方法に関して米国特許出願公開第2003/0091627A1号を参照)。
【0170】
この可溶化物質は凡そ以下の組成を有する:
クラリスロマイシン 25重量%
β-シクロデキストリン 1.7重量%
フマル酸 5重量%
ヒドロキシプロピルセルロース 6.3重量%
アクア・ビデスト 62重量%
【0171】
この可溶化物質を市販の飲料調製カプセルを詰め替えるために使用した。Lavazza Blueコーヒーカプセル(標準サイズ;直径41mm、高さ26.6mm)を、各々2ml可溶化物質で詰め替え、前記のように飲料を調製した(n=3)。飲料注出機として、Lavazza LB951を使用した。これにより、500mgのクラリスロマイシン(抗生物質療法の標準的な投与量)を含有する飲料が生じた。毎回、目に見える粒子を含まない溶液が生成された。マクロライド系抗生物質が多くなるほど、クラリスロマイシンの味は苦くなる。本製剤中では、この味をマスクし、飲料はわずかにやや甘い味がする。
【実施例10】
【0172】
栄養補助食品として摂取するためのバイオフラボノイドケルセチンの可溶化物質を生成するために、20ml組成物を生成した。実施例9と同様に、ケルセチン(5g)、β-シクロデキストリン(140mg)およびフマル酸(1g)を最初に微粒子化し、次にHPCの水(ware)分散液(7%w/w)に一緒に分散させた。少量のシメチコンエマルションを添加して分散液から泡を取り除いた。非イオン性ポリマーヒドロキシプロピルセルロース(1.26g)と微粒子化していないβ-シクロデキストリン(200mg)のブレンドを遊星形ミキサーで調製した。ケルセチン分散液をそれに添加した後、混合物全体を押出機に通す。得られる材料を45℃で乾燥させた。乾燥した浸出液を再び粉砕した。その後、それを12.4mlのアクア・ビデストに分散させた。
【0173】
この可溶化物質は凡そ以下の組成を有する:
ケルセチン 25重量%
β-シクロデキストリン 1.7重量%
フマル酸 5重量%
ヒドロキシプロピルセルロース 6.3重量%
アクア・ビデスト 62重量%
【0174】
この可溶化物質を、市販の飲料調製カプセルを詰め替えるために使用した。Lavazza Blueコーヒーカプセルを、各々4mlの可溶化物質で詰め替え、前記のように飲料を調製した(n=3)。ここでもまた、Lavazza LB951を使用した。これにより、1gのケルセチン(推奨される1日投与量)を含有する飲料が生じた。毎回、目に見える粒子を含まない溶液が生成された。ケルセチンなどのポリフェノール系フラボノイドに典型的な苦い味を隠した。飲料はわずかにやや甘い味がする。