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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】断熱性熱源を備えたエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24F 42/60 20200101AFI20220105BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20220105BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20220105BHJP
【FI】
A24F42/60
A24F47/00
A24D1/20
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018560033
(86)(22)【出願日】2017-05-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2017063232
(87)【国際公開番号】W WO2017207672
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】16172326.7
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】デュック ファビアン
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-510399(JP,A)
【文献】国際公開第2015/101595(WO,A1)
【文献】特表2014-524313(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104223359(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
A24D 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生物品であって、
エアロゾル形成基体と、
可燃性熱源と、
前記可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲む、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層と、
空気がそれに沿ってユーザーによる吸入のために前記エアロゾル発生物品を通して引き出されうる、1つ以上の気流経路と、
前記可燃性熱源と前記エアロゾル形成基体との間にある、1つ以上の不燃性の実質的に不通気性のバリアと、を備える、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
使用時に、前記1つ以上の気流経路に沿って前記エアロゾル発生物品を通じて引き出される空気が、前記少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層に直接接触しないように、前記少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層が、前記1つ以上の気流経路から分離される、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記可燃性熱源、前記エアロゾル形成基体および前記少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層が、前記可燃性熱源の燃焼の間に、前記エアロゾル形成基体の温度が375°Cを超えないように配置される、請求項1または2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記繊維強化エアロゲルが、約80重量パーセント未満のエアロゲルを含む、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記繊維強化エアロゲルが、約20重量パーセント以上の繊維性材料を含む、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記繊維強化エアロゲルが、約20重量パーセント~約70重量パーセントの繊維性材料を含む、請求項5に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記繊維強化エアロゲルが、セラミック繊維性材料およびガラス繊維性材料のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層が、約0.5ミリメートル~約5ミリメートルの厚さを有する、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
前記可燃性熱源と前記エアロゾル形成基体との間の前記不燃性の実質的に不通気性のバリアが、前記可燃性熱源の近位端と前記エアロゾル形成基体の遠位端のうち一方または両方に当接する、第一のバリアを備える、請求項1~8のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
空気が、前記可燃性熱源を通り抜けることなく、1つ以上の空気吸込み口を通って、前記エアロゾル発生物品の前記1つ以上の気流経路内に引き出されうるように、前記1つ以上の気流経路が、前記可燃性熱源の近位端と前記エアロゾル発生物品の近位端との間に配置される1つ以上の空気吸込み口を備える、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
前記1つ以上の気流経路が、前記可燃性熱源に沿って1つ以上の気流チャネルを含み、前記可燃性熱源と前記1つ以上の気流チャネルとの間の前記不燃性の実質的に不通気性のバリアが、前記可燃性熱源と前記可燃性熱源の前記1つ以上の気流チャネルとの間に、第二のバリアをさらに備える、請求項1~10のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
前記エアロゾル発生物品が、少なくとも前記可燃性熱源の近位部分および前記エアロゾル形成基体の遠位部分を囲む、1つ以上の追加的な層をさらに含み、前記1つ以上の追加的な層が、
前記可燃性熱源から前記エアロゾル形成基体に熱を伝達する、熱伝導性要素と、
紙巻たばこ用紙の層と、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
前記少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層が、前記1つ以上の追加的な層の少なくとも一部分を覆う半径方向の外側層である、請求項12に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
可燃性熱源を配置して、エアロゾル形成基体を加熱することと、
空気が、それに沿ってユーザーによる吸入のために前記エアロゾル発生物品を通して引き出されうる、1つ以上の気流経路を提供することと、
前記1つ以上の気流経路から前記可燃性熱源を分離することであって、そのため、使用時に、前記エアロゾル発生物品を通して前記1つ以上の気流経路に沿って引き出された空気が、前記可燃性熱源と直接接触しない、分離することと、
少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層を用いて、前記可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲むことと、を含む、請求項1~13に記載のエアロゾル発生物品を形成する方法。
【請求項15】
少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層を用いて、前記可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲むことが、
対向する端を有する繊維強化エアロゲルの細片を提供することと、
前記可燃性熱源が少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層によって囲まれるように、前記可燃性熱源に前記細片を巻くことと、
前記細片の前記対向する端を重ね合わせることと、
前記重なり合う端を一緒に固定して、前記少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層を前記可燃性熱源に固定することと、を含む、請求項14に記載のエアロゾル発生物品を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体および可燃性熱源を備えるエアロゾル発生物品と、こうしたエアロゾル発生物品を形成するための方法と、に関連する。
【背景技術】
【0002】
たばこが燃焼するよりはむしろ加熱される多くのエアロゾル発生物品も、当技術分野において提唱されてきた。このような「加熱式」エアロゾル発生物品の1つの目的は、可燃性紙巻たばこにおけるたばこの燃焼および熱分解によって生成されるタイプの公知の有害な煙成分を低減させることである。加熱式エアロゾル発生物品の1つの公知の種類では、可燃性熱源から可燃性熱源に隣接して位置されるエアロゾル形成基体への熱の移動によりエアロゾルが生成される。エアロゾル発生の間、揮発性化合物は、可燃性熱源からの熱伝達によりエアロゾル形成基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物が冷えるにつれて、これらは凝縮してユーザーによって吸入されるエアロゾルを形成する。
【0003】
加熱式エアロゾル発生物品で使用するための可燃性熱源の燃焼温度は、加熱式エアロゾル発生物品の使用中のエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解をもたらすほど高くなるべきでない。ところが、可燃性熱源の燃焼温度は、エアロゾル形成基体から十分な揮発性化合物を放出して、特に吸い始めに容認可能なエアロゾルを生成するために十分な熱を生成するのに十分に高いものであるべきである。
【0004】
加熱式エアロゾル発生物品で使用するための各種の可燃性熱源が、当技術分野において提案されてきた。加熱式エアロゾル発生物品で使用するための可燃性熱源の燃焼温度は、一般的には、約600°C~800°Cである。
【0005】
加熱式エアロゾル発生物品の表面温度を低減するために、加熱式エアロゾル発生物品の可燃性熱源の周辺を断熱部材で包むことは公知である。しかし、こうした断熱部材は、可燃性熱源の燃焼中に可燃性熱源の温度を低減し、エアロゾルを発生するためのエアロゾル形成基体の加熱における熱源の有効性を潜在的に低減しうることが分かっている。この影響は、特に、断熱部材が可燃性熱源の長さを実質的に延在する場合に顕著である。こうした断熱部材はまた、可燃性熱源の持続的な燃焼を阻害し、そのため可燃性熱源の燃焼の持続時間が減少されうる。
【0006】
熱源の近傍で表面温度が低く、容認できる外観をもち、単純で信頼できる方法で組み立てられうるエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。また、吸い始めおよび吸い終わりの両方で容認可能なエアロゾルを発生するエアロゾル発生物品を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第一の態様によると、エアロゾル形成基体と、可燃性熱源と、可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲む少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層と、を含むエアロゾル発生物品が提供される。エアロゾル発生物品はまた、ユーザーによる吸入のために空気がそれに沿って物品を通して引き出されうる、1つ以上の気流経路と、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の1つ以上の不燃性の実質的に不通気性のバリアと、を備える。可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の1つ以上の不燃性の実質的に不通気性のバリアは、使用時に、エアロゾル発生物品を通して1つ以上の気流経路に沿って引き出された空気が可燃性熱源と直接接触しないように、1つ以上の気流経路から可燃性熱源を分離する。
【0008】
使用時に、可燃性熱源は、ライターなどの外部熱源によって点火されてもよく、燃焼が開始されうる。可燃性熱源は、エアロゾル形成基体の揮発性化合物が気化するように、エアロゾル形成基体を加熱しうる。ユーザーがエアロゾル発生物品で吸い込んだ時、空気は、1つ以上の気流経路に沿ってエアロゾル発生物品内に引き出され、加熱式エアロゾル形成基体からの蒸気と混合してエアロゾルを形成しうる。エアロゾルは、エアロゾル発生物品の外へ引き出され、ユーザーによる吸入のためにユーザーに送達されうる。
【0009】
可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲む少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源を断熱しうる。このことは、可燃性熱源におけるエアロゾル発生物品の表面温度を低減しうる。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層はまた、可燃性熱源の燃焼が実質的に妨げられないように、十分な空気が層を通ることを可能にしうる。
【0010】
本明細書で使用される場合、「エアロゲル」および「非強化エアロゲル」という用語は、連続気泡発泡体を説明するために互換的に使用される。エアロゲルは、メソポーラスであってもよい。「メソポーラス」という用語は、直径が約2ナノメートル~約50ナノメートルの範囲の空孔を含む材料を意味する。エアロゲルは、相互連結構造のネットワークを含んでもよく、相互連結構造のネットワークは、ナノ構造であってもよい。エアロゲルは、約50パーセント以上の多孔度を示しうる。エアロゲルは、約90パーセント以上の多孔度を示しうる。エアロゲルは、従来型のゲルから液状成分を取り除くことによって形成されうる。従来型のゲルは、液体中に分散される半固体コロイド懸濁液の固体を意味することが理解されよう。
【0011】
エアロゲルは、一般的には、きわめて低い熱伝導率を有する。理論に束縛されることは望まないが、伝導性熱伝達は、それらの高い多孔度によりエアロゲルにおいて阻害される一方で、伝導性熱伝達が、小径の空孔によりエアロゲルにおいて阻害される。小径の空孔は、エアロゲルを通じる空気の移動を制限する。
【0012】
本明細書で使用される場合、「繊維強化エアロゲル」という用語は、繊維性材料を用いて強化されるエアロゲルマトリクスを含む複合材料を意味する。繊維性材料は、繊維を含む材料であると理解される。
【0013】
非強化エアロゲルは、相互連結の多孔性構造を有しうるが、非強化エアロゲルによって示される空孔の平均的な幅は、室温での空気分子の平均自由行程と同様である。結果として、非強化エアロゲルは、空気に対して低い浸透性を有する。これはクヌーセン効果によるものと理解される。
【0014】
繊維強化エアロゲルによって示される空孔の平均的な幅は、室温での空気分子の平均自由行程より大きい。非強化エアロゲルを通り抜ける空気と比較して繊維強化エアロゲルを通り抜ける空気の空孔幅が大きいことは、クヌーセン効果の影響を低減する。結果として、繊維強化エアロゲルは、非強化エアロゲルよりも空気に対して高い浸透性を有することが分かる。
【0015】
繊維強化エアロゲルは、非強化エアロゲルと比較して優れた機械的属性を示すことがまた観察された。例えば、繊維強化エアロゲルは、非強化エアロゲルよりも可撓性であり、機械加工に適しうる。
【0016】
少なくとも1つの繊維強化層は、可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲む。本発明の少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の実質的な全長を囲んでもよい。これは、エアロゾル発生物品が繊維強化エアロゲルの断熱属性の利益を得ることを可能にし、それにより、可燃性熱源におけるエアロゾル発生物品の熱源に近位の表面温度が低減され、また繊維強化エアロゲルの空気に対する浸透性の利益を得て、それにより、十分な周囲空気が可燃性熱源の点火および燃焼を実質的に妨げずに可燃性熱源に到達することを可能にしうる。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層によって実質的に囲まれた可燃性熱源は、いくつかの材料の層により囲まれない可燃性熱源と比較して、可燃性熱源が高温で長時間燃焼することを容易にしうることがさらに観察された。
【0017】
本発明の繊維強化エアロゲルはまた、熱源の長さの少なくとも一部分を囲む繊維強化エアロゲルの層の形成を容易にする機械加工性を有しうる。本明細書で使用される場合、「層」という用語は、可燃性熱源の形状に全体的に適合する材料の本体を描写するために使用される。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、熱源を囲むように配置される任意の適切なタイプの層でありうる。適切なタイプの層は、とりわけ、ラッパーおよび被覆を含む。本明細書で使用される場合、「塗布」という用語は、熱源を覆いそれに接着する材料の層を描写するために使用される。
【0018】
少なくとも1つの繊維強化エアロゲル層は、可燃性熱源と直接接触しうる。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源から間隔をおいて配置されうる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「長さ」という用語は、エアロゾル発生物品の長手方向におけるエアロゾル発生物品の構成要素または一部分の寸法を記述するために使用される。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲む。例えば、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の長さのおおよそ半分の部分を囲んでもよい。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の長さの半分より多い部分を囲んでもよい。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の長さの約60パーセント~約100パーセントを囲んでもよい。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の長さの少なくとも約70パーセントを囲んでもよい。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の長さの少なくとも約80パーセントを囲んでもよい。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の長さの少なくとも約90パーセントを囲んでもよい。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の全長を囲んでもよい。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の長さを実質的に囲んでもよい。
【0020】
少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、十分に浸透性であり、それにより、空気が可燃性熱源の燃焼を実質的に妨げないことを可能にしうる。
【0021】
少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、エアロゾル形成基体の長さのおおよそ半分の部分を囲んでもよい。有利には、エアロゾル形成基体を囲む繊維強化エアロゲルは、エアロゾル形成基体におけるエアロゾル発生物品の表面温度より低くありうる。
【0022】
少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の下流端における可燃性熱源を囲みうる。これは、有利には、エアロゾル発生物品の通常の動作中にユーザーに近い、可燃性熱源の一部分におけるエアロゾル発生物品の表面温度を低減しうる。
【0023】
少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の上流端における可燃性熱源を囲みうる。
【0024】
少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、上流端および下流端において可燃性熱源を囲んでもよい。
【0025】
可燃性熱源の被覆されていない部分は、「露出した」部分として本明細書で言及され得る。本発明の少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の「露出した」または被覆されていない部分を覆う、または囲むように提供されてもよい。
【0026】
一部の実施形態では、可燃性熱源の一部分は、上流端で少なくとも1つの追加的な層によって囲まれうる。少なくとも1つの追加的な層は、紙巻たばこ用紙の層でありうる。それらの実施形態では、可燃性熱源の上流部分は、露出した部分である。言い換えると、可燃性熱源の上流部分は、少なくとも1つの追加的な層によって覆われていない。それらの実施形態では、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の上流部分を囲みうる。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の上流部分を囲む少なくとも1つの追加的な層の上流端から、可燃性熱源の下流端まで、またはその下流端の周りまで、可燃性熱源を囲みうる。そのため、それらの実施形態では、可燃性熱源は、下流端における少なくとも1つの追加的な層と上流端における少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層の組み合わせによって、実質的にその長さに沿って囲まれうる。一部の実施形態では、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層および少なくとも1つの追加的な層は、可燃性熱源の長さに沿って部分的に重なりうる。
【0027】
使用時に、1つ以上の気流経路に沿ってエアロゾル発生物品を通じて引き出される空気が少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層に直接接触しないように、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、1つ以上の気流経路から分離されてもよい。
【0028】
一部の実施形態では、1つ以上の気流経路に沿ってエアロゾル発生物品を通じて引き出される空気が少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層に直接接触しないように、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、1つ以上の気流経路から間隔をおいて配置されてもよい。
【0029】
一部の実施形態では、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層の1つ以上の部分は、繊維および粒子に対して実質的に不浸透性である材料内に覆われ、被覆され、または閉じ込められてもよい。繊維および粒子に対して実質的に不浸透性である材料内に覆われ、被覆され、または閉じ込められる少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層の1つ以上の部分は、1つ以上の気流経路に沿ってエアロゾル発生物品を通じて引き出される空気の近位に位置されうる。覆うこと、被覆または閉じ込めは、1つ以上の気流経路に沿ってエアロゾル発生物品を通じて引き出された空気を少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層の繊維および粒子から分離しうる。
【0030】
一部の実施形態では、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層の1つ以上の部分は、紙の層で覆われ、それにより、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層を1つ以上の気流経路から分離しうる。紙の層は、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層の内側表面および少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層の外側表面のうちの少なくとも1つに提供されうる。紙の層は、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層の内側表面と外側表面の両方に提供されてもよい。紙の層は、積層紙を含みうる。紙の層は、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層で共積層されてもよい。紙の層は、気流経路に隣接する少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層の一部分にのみ提供されてもよい。
【0031】
少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、実質的に耐燃焼性であってもよい。本明細書で使用される場合、「耐燃焼性」という用語は、可燃性熱源の点火および燃焼中に実質的に無傷のままである材料を意味する。可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲む耐燃焼性の繊維強化エアロゲルの少なくとも1つの層の提供は、有利には、層から放出される炎または煙を防ぎうる。これは、可燃性熱源の燃焼の間に層から放出される望ましくない放出または匂いを実質的に防ぎ、または阻害しうる。
【0032】
可燃性熱源、エアロゾル形成基体および少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の燃焼の間に、エアロゾル形成基体の温度が約375°Cを超えることを実質的に防ぐ、または阻害するように構成されうる。例えば、可燃性熱源、エアロゾル形成基体および少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の燃焼の間に、エアロゾル形成基体の温度が約375°Cを超えることを実質的に防ぐ、または阻害するように、形成され、寸法され、また配置されうる。これは、エアロゾル形成基体の完全性を保存しうる。例えば、エアロゾル形成基体が1つ以上のエアロゾル形成体を含む場合、エアロゾル形成体は、約375°Cの温度より高い熱分解を受けうる。さらに高い温度で、例えば、エアロゾル形成基体がたばこを含む場合、たばこは燃焼しうる。
【0033】
可燃性熱源、エアロゾル形成基体および少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の燃焼の間に、エアロゾル形成基体の近位面から2mmにおけるエアロゾル形成基体の温度が、少なくとも約6分間少なくとも約100°Cであるように構成されうる。
【0034】
繊維強化エアロゲルは、約80重量パーセント未満のエアロゲルを含みうる。繊維強化エアロゲルは、約70重量パーセント未満のエアロゲルを含みうる。繊維強化エアロゲルは、約20重量パーセントより多いエアロゲルを含みうる。繊維強化エアロゲルは、約30重量パーセントより多いエアロゲルを含みうる。繊維強化エアロゲルは、約20重量パーセント~約80重量パーセントのエアロゲル、あるいは約40重量パーセント~約60重量パーセントのエアロゾルを含みうる。繊維強化エアロゲルがシリカエアロゲルを含む場合、繊維強化エアロゲルは、約30重量パーセント~約40重量パーセントの合成非晶質シリカを含みうる。繊維強化エアロゲルがシリカエアロゲルを含む場合、繊維強化エアロゲルは、約10重量パーセント~約20重量パーセントのメチルシリル化されたシリカを含みうる。
【0035】
繊維強化エアロゲルは、少なくとも約20重量パーセントの繊維性材料を含みうる。繊維強化エアロゲルは、少なくとも約30重量パーセントの繊維性材料を含みうる。繊維強化エアロゲルは、約70重量パーセント未満の繊維性材料を含みうる。繊維強化エアロゲルは、約60重量パーセント未満の繊維性材料を含みうる。繊維強化エアロゲルは、約20重量パーセント~約70重量パーセントの繊維性材料、あるいは約40重量パーセント~約50重量パーセントの繊維性材料を含みうる。
【0036】
繊維強化エアロゲルは、約30重量パーセント~約40重量パーセントの合成非晶質シリカ、約10重量パーセント~約80重量パーセントのメチルシリル化されたシリカ、および約40重量パーセント~約50重量パーセントの繊維性材料を含みうる。
【0037】
本発明の繊維強化エアロゲルは、任意の適切なエアロゲルを含みうる。適切なエアロゲルの実施例は、とりわけ、シリカエアロゲル、金属酸化物エアロゲル、有機およびカーボンエアロゲル、ナノチューブエアロゲル、金属エアロゲル、またはそれらの組み合わせを含む。エアロゲルがシリカエアロゲルである場合、エアロゲルは、合成非晶質シリカおよびメチルシリル化されたシリカのうち1つ以上を含みうる。
【0038】
本発明の繊維強化エアロゲルは、任意の適切な繊維性材料を含みうる。繊維性材料は、1つ以上の任意の適切な繊維を含みうる。例えば、適切な繊維は、とりわけ、ガラス繊維、シリカ系繊維、炭素繊維、ポリマー繊維、金属繊維およびセラミック繊維を含みうる。繊維は、有機材料および無機材料のうちの少なくとも1つを含みうる。繊維は、有機材料と無機材料の組み合わせを含みうる。繊維質材料は織布であってもよい。繊維質材料は不織布であってもよい。繊維性材料は、繊維原綿または繊維詰め綿を含みうる。
【0039】
繊維強化エアロゲルは、結合剤を含みうる。
【0040】
繊維性材料は、結合剤を含みうる。結合剤は、繊維性材料をまとめて保持するためにいくつかの繊維性材料において使用される。結合剤の提供はまた、繊維性材料の機械的属性を向上しうる。例えば、結合剤は、繊維性材料を壊れやすくせず、かつより可撓性にしうる。
【0041】
結合剤は、セルロース誘導体の結合剤であってもよい。本明細書で使用される場合、「セルロース誘導体の結合剤」という用語は、セルロース誘導体を含む結合剤を記述するために使用される。特に、セルロース誘導体の結合剤は、セルロースに対する特定の側の群の添加によって形成される、セルロース誘導体を含みうる。
【0042】
適切なセルロース誘導体は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEC)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースエステル、およびセルロースエーテルを含むが、これらに限定されない。セルロース誘導体の結合剤は、カルボキシメチルセルロースを含むことが好ましい。
【0043】
結合剤は、瀝青、動物性および植物性の接着剤およびポリマーなどの1つ以上の有機結合剤を含みうる。結合剤は、石灰、セメント、石膏および液状ガラスなどの1つ以上の無機の結合剤材料を含みうる。結合剤が1つ以上のポリマーを含む場合、ポリマーは、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、エポキシ、ポリエーテル、PVOH、スチレン系、ポリカルボンエーテルおよびポリウレタンを含みうる。結合剤は、CMCおよびベントナイトのうち1つ以上を含みうる。結合剤は、アクリル結合剤であってもよい。
【0044】
繊維強化エアロゲルは、セラミック繊維性材料を含みうる。セラミック繊維性材料は、セラミック繊維を含みうる。
【0045】
繊維強化エアロゲルがセラミック繊維性材料を含む場合、セラミック繊維性材料は、結晶質のセラミック材料を含みうる。セラミック繊維性材料は、非晶質のセラミック材料を含みうる。セラミック繊維性材料は、無定形であってもよい。セラミック繊維性材料は、半晶質であってもよい。セラミック繊維性材料は、結晶質であってもよい。
【0046】
本明細書に使用される場合、「セラミック繊維性材料」という用語は、ガラスを包含する。本明細書で使用される場合、「ガラス」という用語は、ガラス転移温度におけるガラス転移を示す材料を記述するために用いられる。一般的には、「ガラス」という用語は、非晶質または無定形の固体材料を記述するために本明細書で用いられる。しかし、「ガラス」という用語はまた、結晶質成分および非晶質成分を含む材料を包含する。結晶質成分と非晶質成分の両方を含むガラス材料は、「ガラスセラミック」材料として言及されうる。
【0047】
本発明のガラス材料の属性は、ガラスの形成方法によって定められうる。本明細書で使用される場合、「ガラス」という用語は、任意の適切な方法によって形成されたガラスを包含する。ガラスを形成する適切な方法には、溶解焼入れ、物理的蒸着、熱化学および機械化学反応を含む固体状態反応、ゾルゲル方法などの液体状態反応、放射アモルファス化などの結晶性固体の放射、ならびに圧力アモルファス化(すなわち、高圧の作用に基づく形成)が含まれる。
【0048】
一部の実施形態では、セラミック繊維性材料はガラスを含んでもよい。セラミック繊維性材料は、ガラス繊維を含みうる。ガラス繊維は、ガラスセラミック材料を含みうる。セラミック繊維性材料は、連続的なフィラメントガラス繊維を含みうる。
【0049】
一部の実施形態では、セラミック繊維性材料はガラスを含まなくてもよい。言い換えると、セラミック繊維性材料は、ガラス以外の任意のセラミック材料を含みうる。セラミック繊維性材料は、ガラス材料でなくてもよい。セラミック繊維性材料は、ガラス繊維を含まなくてもよい。それらの実施形態では、セラミック繊維性材料は、一般的には、結晶質のセラミック材料を含む。
【0050】
一部の実施形態では、繊維性材料は、生体溶解性繊維を含んでもよい。本明細書で使用される場合、「生体溶解性」という用語は、人体の生物システムなどの生物システムにおいて可溶である材料を記述するために用いられる。特定の生物システムにおける材料の生体溶解性は、水における材料の可溶性と著しく異なりうる。本明細書で使用される場合、物質は、少なくとも0.1gのその物質が100mlの生物システムの溶剤内で溶解される場合、生体溶解性であると考えられうる。同様に、物質は、0.1g未満の材料が100mlの生物システムの溶剤内で溶解される場合、生体非溶解性であると考えられうる。一般的には、本発明の生体溶解性繊維は、繊維の吸入に基づいて、ユーザーの呼吸器システムにおいて可溶である。言い換えると、本発明の生体溶解性繊維は、一般的に、繊維の吸入に基づいて、ユーザーの呼吸器システムにおいて溶解される。本発明の生体溶解性繊維は、人の肺胞環境において可溶でありうる。
【0051】
生体溶解性材料は、任意の適切な生体溶解性材料でありうる。適切な生体溶解性材料は、アルカリ土類ケイ酸塩ウールおよび高アルミナ低シリカウールを含む。
【0052】
本発明の一部の実施形態では、繊維強化エアロゲルは、約100重量パーセントのアルカリ土類ケイ酸塩ウールを含みうる。
【0053】
繊維強化エアロゲルは、任意のその他の適切な補強材料を含みうる。例えば、繊維強化エアロゲルは、ポリアミドおよびポリイミドなどのポリマー繊維を含みうる。繊維強化エアロゲルは、粒子状の補強材などの追加的な手段によって、さらに補強されてもよい。例えば、繊維強化エアロゲルは、カーボンブラックの粒子を用いて補強されてもよい。繊維強化エアロゲルは、鉄およびマンガンを含みうる二酸化チタン、三水和アルミニウム、および顔料を含むがそれらに限定されない、任意のその他の適切な成分をさらに含みうる。
【0054】
適切な繊維強化エアロゲルは、Aspen Aerogels(登録商標)により両方とも製造される、Pyrogel(登録商標)XT-EおよびPyrogel(登録商標)XT-Fを含む。
【0055】
少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、任意の適切な厚さを有しうる。一般的に、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は薄層である。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層の厚さは、少なくとも約0.25ミリメートルまたは少なくとも約0.5ミリメートルでありうる。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層の厚さは、約10ミリメートル未満または約5ミリメートル未満でありうる。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、約0.25ミリメートル~約10ミリメートル、または約0.5ミリメートル~約5ミリメートルの厚さを有しうる。
【0056】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を含む。本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成しうる加熱に基づく揮発性化合物の放出の能力を備えた基体を描写するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体から生成されるエアロゾルは、見えても、または見えなくてもよく、蒸気(例えば、気状である物質の微粉は室温にて通常、液体または固体である)、ならびに気体および凝縮された蒸気の液体の小滴を含んでもよい。
【0057】
エアロゾル形成基体は固体であってもよい。エアロゾル形成基体は室温で固体であってもよい。
【0058】
エアロゾル形成基体は、少なくとも1つのエアロゾル形成体および加熱に応答して揮発性化合物を発する能力のある少なくとも1つの材料を含みうる。
【0059】
少なくとも一つのエアロゾル形成体は、使用時に、密度が高く安定したエアロゾルの形成を促進し、エアロゾル発生物品の使用温度で実質的に熱劣化耐性のある任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物としうる。適切なエアロゾル形成剤は当技術分野で周知であり、例えば多価アルコール、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセタート、ジアセタート、またはトリアセタートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)を含む。本発明によるエアロゾル発生物品における使用のための例示的なエアロゾル形成体は、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなどの、多価アルコールまたはこれらの混合物である。
【0060】
加熱に反応して揮発性化合物を発する能力を有する材料は、植物由来材料の装填(例えば、均質化した植物由来材料の装填)であってもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、たばこ、茶(例えば緑茶)、ハッカ、月桂樹、ユーカリ、バジル、セージ、ビジョザクラ、およびタラゴンが挙げられるがこれらに限定されない、植物由来の一つ以上の材料を含んでもよい。植物ベース材料は、湿潤剤、風味剤、結合剤およびそれらの混合物を含むがこれらに限定されない添加剤を含んでもよい。植物由来材料は、本質的にたばこ材料、随意的に均質化したたばこ材料から成りうる。
【0061】
本発明によるエアロゾル発生物品は、ニコチンを含むエアロゾル形成基体を含みうる。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、たばこを含むエアロゾル形成基体を備える。
【0062】
エアロゾル形成基体は、フィルタープラグラップによって囲まれうる。
【0063】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を加熱するように配置され、1つ以上の気流経路から分離される、可燃性熱源を備える。
【0064】
可燃性熱源は、可燃性材料の本体を含みうる。可燃性材料の本体は、実質的に一定の直径を有しうる。可燃性材料の本体は、その長さに沿って一定の直径を有しうる。これは、有利には、可燃性熱源およびエアロゾル発生物品を製造することに関与する処理を簡単にしうる。一部の実施形態では、可燃性材料の本体は、その長さに沿って実質的に一定の直径を有する、実質的に環状の円筒形の本体を形成しうる。
【0065】
可燃性熱源は、炭素質熱源であってもよい。本明細書に使用される場合、「炭素質」という用語は、炭素を含む可燃性熱源を記述するために使用される。本発明によるエアロゾル発生物品で使用するための可燃性炭素質熱源の炭素含有量は、30の可燃性熱源の乾燥質量で少なくとも約35パーセントであることが好ましく、少なくとも約40パーセントがより好ましく、少なくとも約45パーセントが最も好ましい。
【0066】
本発明による可燃性熱源は可燃性炭素ベース熱源でありうる。本明細書に使用される場合、「炭素ベース熱源」という用語は、主に炭素から成る熱源を記述するために使用される。
【0067】
本発明によるエアロゾル発生物品での使用のための可燃性炭素ベース熱源の炭素含有量は、可燃性炭素ベース熱源の乾燥質量で、少なくとも約50パーセントであり、少なくとも約60パーセントであることが好ましく、少なくとも約70パーセントであることがより好ましく、少なくとも約80パーセントであることが最も好ましい。
【0068】
本発明の可燃性熱源は、エアロゾル発生物品を通じて1つ以上の気流経路から分離される。本明細書に使用される場合、「気流経路」という用語は、ユーザーによる吸入のためにそれに沿ってエアロゾル発生物品を通して引き出されうる空気の経路を記述するために使用される。用語「上流」および「下流」は本明細書で使用される時、ユーザーがエアロゾル発生物品で吸い込んだ時に、空気が1つ以上の気流経路を通じて流れる方向に関してエアロゾル発生物品の構成要素の相対的な方向および位置を記述するために使用される。
【0069】
エアロゾル発生物品の1つ以上の気流経路からの可燃性熱源の分離は、ユーザーがたばこを吸う間、可燃性熱源の燃焼の活性化を実質的に防止または阻害しうる。これは、ユーザーがエアロゾル発生物品で吸煙する間、エアロゾル形成基体の温度におけるスパイクを実質的に防止または阻害しうる。これは、激しい吸煙の状況の下でのエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解を実質的に防止または阻害しうる。このことは、ユーザーの吸煙の状況によりエアロゾル発生物品によって発生したエアロゾルの組成の変化を実質的に防止または阻害しうる。
【0070】
1つ以上の気流経路からの可燃性熱源の分離はまた、可燃性熱源の点火中および燃焼中に形成される燃焼および分解生成物ならびにその他の材料が、1つ以上の気流経路に沿ってエアロゾル発生物品を通して吸い込まれる空気に入るのを実質的に防止または阻害しうる。
【0071】
本発明の分離された可燃性熱源は、ブラインド熱源を含みうる。本明細書で使用される場合、「ブラインド」という用語は、ユーザーによる吸入のためのエアロゾル発生物品を通して引き出された空気が、可燃性熱源に沿ったいかなる気流チャネルも通過しない可燃性熱源を記述するために使用される。そのため、ブラインド可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の熱伝達は、伝導性熱伝達によって主に起こる。
【0072】
可燃性熱源を通る気流チャネルが提供されないので、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の伝導性熱伝達が低減される、または最小限にされる。可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の伝導性熱伝達を低減することは、ユーザーがたばこを吸う間、エアロゾル形成基体の温度におけるスパイクを実質的に防止または阻害しうる。これは、激しい吸煙の状況の下でのエアロゾル形成基体の燃焼または熱分解を実質的に防止または阻害しうる。このことは、ユーザーの吸煙の状況によりエアロゾル発生物品によって発生したエアロゾルの組成の変化を実質的に防止または阻害しうる。これはまた、可燃性熱源の点火中および燃焼中に形成される燃焼および分解生成物ならびにその他の材料が、1つ以上の気流経路に沿ってエアロゾル発生物品を通して吸い込まれる空気に入るのを実質的に防止または阻害しうる。
【0073】
本発明の分離された可燃性熱源は、非ブラインド熱源を含みうる。本明細書で使用される場合、「非ブラインド」という用語は、エアロゾル発生物品を通して引き出されたユーザーによる吸入のための空気が、その中で熱源に沿った1つ以上の気流チャネルを通過する熱源を記述するために使用される。そのため、非ブラインド可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の熱伝達は、1つ以上の気流チャネルに沿った伝導性熱伝達と対流性熱伝達の両方によって起こりうる。
【0074】
本明細書に使用される場合、「気流チャネル」という用語は、ユーザーによる吸入のために下流に引き出されうる空気が通る可燃性熱源の長さに沿って延在する流路を記述するために使用される。そのため、本発明のエアロゾル発生物品は、1つ以上の気流チャネルを含まなくてもよい。
【0075】
可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の1つ以上の不燃性の実質的に不通気性のバリアは、可燃性熱源の近位端とエアロゾル形成基体の遠位端のうち一方または両方に当接する、第一のバリアを含みうる。第一のバリアは、エアロゾル発生物品の1つ以上の気流経路からの可燃性熱源の分離を容易にしうる。第一のバリアは、可燃性熱源の点火および燃焼の間にエアロゾル形成基体が曝露される最大温度を低減でき、エアロゾル発生物品の使用中にエアロゾル形成基体の熱分解または燃焼を実質的に防止または阻害しうる。
【0076】
本明細書で使用される「不燃性」という用語は、その燃焼中または点火時に可燃性熱源が到達する温度で実質的に不燃性である材料を記述するために使用される。
【0077】
本明細書に使用される場合、「不通気性」という用語は、それを通じる空気の通路を実質的に防ぐまたは阻止する材料を記述するために使用される。
【0078】
第一のバリアは、可燃性熱源の近位端とエアロゾル形成基体の遠位端のうち一方または両方に接着され、または別途貼り付けられてもよい。
【0079】
第一のバリアは、可燃性熱源の近位面に提供される第一のバリア被覆を含みうる。このような実施形態において、第一のバリアは、少なくとも実質的に可燃性熱源の近位面全体に提供される第一のバリア被覆を含みうる。第一のバリアは、可燃性熱源の近位面全体に提供される第一のバリア被覆を含みうる。第一のバリア被覆は、WO-A1-2013120855に記載の方法などの任意の適切な方法によって、可燃性熱源の近位面に形成され、塗布されうる。
【0080】
エアロゾル発生物品の所望の特徴および性能に応じて、第一のバリアは、低熱伝導率または高熱伝導率を有してもよい。一定の実施形態において、第一のバリアは、約0.1W/m.K~約200W/m.Kの熱伝導率を有してもよい。
【0081】
第一のバリアの厚さは、良好なエアロゾル発生性能を達成するように適切に調整されてもよい。一定の実施形態において、第一のバリアは、約10ミクロン~約500ミクロンの厚さを有しうる。
【0082】
第一のバリアは、点火および燃焼中、可燃性熱源によって達成される温度にて実質的に熱安定しており不燃性である1つ以上の適切な材料から形成されてもよい。適切な材料は当技術分野で公知であり、粘土(例えば、ベントナイトおよびカオリナイトなど)、ガラス、ミネラル、セラミック材料、樹脂、金属、およびこれらの組み合わせが挙げられるがこれに限定されない。
【0083】
第一のバリアが形成されうる材料は、粘土およびガラスを含む。第一のバリアが形成されうるその他の材料は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、合金、アルミナ(Al2O3)、樹脂およびミネラル接着剤を含む。
【0084】
第一のバリアが、銅、アルミニウム、ステンレス鋼などの金属または合金を含む場合、第一のバリア被覆は、有利には、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の熱リンクとしての役目を果たしうる。このことは、可燃性熱源からエアロゾル形成基体への伝導性熱伝達を改善しうる。
【0085】
エアロゾル発生物品は、可燃性熱源の近位端から下流の1つ以上の空気吸込み口をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、1つ以上の空気吸込み口は、可燃性熱源の近位端とエアロゾル発生物品の近位端との間にある。1つ以上の空気吸込み口は、空気が、可燃性熱源を通じて引き出されることなく、1つ以上の空気吸込み口を通じてエアロゾル発生物品の1つ以上の気流経路内に引き出されうるように配置されうる。これは、ユーザーがたばこを吸う間、エアロゾル形成基体の温度におけるスパイクを実質的に防止または阻害しうる。
【0086】
1つ以上の空気吸込み口は、空気がそれを通じてエアロゾル発生物品内に引き出されうる、任意の適切な空気吸込み口を含んでもよい。例えば、適切な空気吸込み口は、穴、スリット、溝穴またはその他の開口部を含む。空気吸込み口の数、形状、サイズおよび配置は、優れたエアロゾル発生性能を達成するように適切に調整されてもよい。
【0087】
1つ以上の空気吸込み口は、可燃性熱源の近位端とエアロゾル発生物品の近位端との間の任意の位置に配置されうる。1つ以上の空気吸込み口は、エアロゾル形成基体に配置されうる。1つ以上の空気吸込み口は、エアロゾル形成基体の遠位端とエアロゾル形成基体の近位端との間に配置されうる。1つ以上の空気吸込み口がエアロゾル形成基体に配置され、エアロゾル形成基体がフィルタープラグラップを含む場合、フィルタープラグラップには、エアロゾル形成基体内への空気を許容する1つ以上の開口部が提供されうる。1つ以上の開口部は、空気がそれを通じてエアロゾル形成基体内に引き出されうる、スリット、溝穴またはその他の適切な開口部でありうる。開口部の数、形状、サイズおよび配置は、優れたエアロゾル発生性能を達成するように適切に調整されてもよい。
【0088】
可燃性熱源は、1つ以上の気流チャネルを含みうる。言い換えると、可燃性熱源は、非ブラインド熱源であってもよい。1つ以上の気流チャネルは、可燃性熱源の長さに沿って延在しうる。1つ以上の気流チャネルは、エアロゾル発生物品の1つ以上の気流経路の一部分を形成しうる。
【0089】
可燃性熱源がエアロゾル発生物品に1つ以上の気流チャネルを含む場合、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の1つ以上の不燃性の実質的に不通気性のバリアは、可燃性熱源と可燃性熱源の1つ以上の気流チャネルとの間に第二のバリアをさらに含んでもよい。
【0090】
第二のバリアは、エアロゾル発生物品の1つ以上の気流経路からの可燃性熱源の分離を容易にしうる。第二のバリアは、可燃性熱源の点火および燃焼の間にエアロゾル形成基体が曝露される最大温度を減少でき、そのためエアロゾル発生物品の使用中にエアロゾル形成基体の熱分解または燃焼を回避または低減するのに役立つ。
【0091】
第二のバリアは、可燃性熱源に接着され、または別途貼り付けられてもよい。
【0092】
第二のバリアは1つ以上の気流チャネルの内側表面上に提供された第二のバリア被覆を含みうる。第二のバリアは、1つ以上の気流チャネルの少なくとも実質的に内側表面全体に提供される第二のバリア被覆を含みうる。第二のバリアは、1つ以上の気流チャネルの内側表面全体に提供される第二のバリア被覆を含みうる。
【0093】
第二のバリア被覆は、1つ以上の気流チャネルへのライナーの挿入によって提供されてもよい。例えば、1つ以上の気流経路が可燃性熱源の内部を通って延在する1つ以上の気流チャネルを含む場合、不燃性で実質的に不通気性の中空管は、1つ以上の気流チャネルのそれぞれに挿入されてもよい。
【0094】
第二のバリアは、本発明に従ったエアロゾル発生物品の可燃性熱源の点火中および燃焼中に形成される燃焼または分解生成物が1つ以上の気流チャネルに沿って下流に吸い込まれる空気に入ることを有利に実質的に防止または阻害しうる。
【0095】
エアロゾル発生物品の所望の特徴および性能に応じて、第二のバリアは、低熱伝導率または高熱伝導率を有してもよい。第二のバリアは、低熱伝導率を有しうる。
【0096】
第二のバリアアの厚さは、良好なエアロゾル発生性能を達成するように適切に調整されてもよい。一定の実施形態において、第二のバリアは、約30ミクロン~約200ミクロンの厚さを有してもよい。一実施形態において、第二のバリアは、約30ミクロン~約100ミクロンの厚さを有する。
【0097】
第二のバリアは、点火および燃焼中、可燃性熱源によって達成される温度にて実質的に熱安定しており不燃性である1つ以上の適切な材料から形成されてもよい。適切な材料は当技術分野で公知であり、例えば粘土、金属酸化物(酸化鉄、アルミナ、チタニア、シリカ、シリカ-アルミナ、ジルコニアおよびセリアなど)、ゼオライト、リン酸ジルコニウム、およびその他のセラミック材料またはこれらの組み合わせを含むが限定されない。
【0098】
第二のバリアが形成されうる材料は、粘土、ガラス、アルミニウム、酸化鉄およびこれらの組み合わせを含む。必要に応じて、二酸化炭素への一酸化炭素の酸化を促進する原料成分などの触媒原料成分は、第二のバリアに組み込まれてもよい。適切な触媒原料成分は、例えば、白金、パラジウム、遷移金属およびこれらの酸化物を含むが限定されない。
【0099】
本発明に従ったエアロゾル発生物品が、可燃性熱源の下流端とエアロゾル形成基体の上流端との間にある第一のバリア、および可燃性熱源と可燃性熱源に沿った1つ以上の気流チャネルとの間にある第二のバリアを含む場合、第二のバリアは、第一のバリアと同じまたは異なる材料から形成されてもよい。
【0100】
第二のバリアが1つ以上の気流チャネルの内側表面に提供される第二のバリア被覆を含む場合、US-A-5,040,551およびWO-A1-2013120855に記述される方法などの任意の適切な方法によって、第二のバリア被覆は、1つ以上の気流チャネルの内部表面に塗布されてもよい。
【0101】
エアロゾル発生物品は、少なくとも可燃性熱源の近位部分およびエアロゾル形成基体の遠位部分を囲む、1つ以上の追加的な層をさらに含んでもよい。1つ以上の追加的な層は、可燃性熱源からエアロゾル形成基体に熱を伝達する熱伝導性要素、および紙巻たばこ用紙の層のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0102】
熱伝導性要素は、エアロゾル形成基体の遠位部分のみを囲んでいてもよい。エアロゾル形成基体の長さは、熱伝導性要素によって実質的に囲まれてもよい。熱伝導性要素は、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体のうちの少なくとも1つと直接接触してもよい。熱伝導性要素は、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体の両方と直接接触していなくてもよい。
【0103】
熱伝導性要素は、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の熱リンクを提供しうる。熱伝導性要素は、実質的に耐燃焼性でありうる。
【0104】
適切な熱伝導性要素には、金属箔ラッパーまたは合金箔ラッパーが含まれうる。金属箔ラッパーは、アルミ箔ラッパー、スチール箔ラッパー、鉄箔ラッパーおよび銅箔ラッパーを含みうる。熱伝導性要素は、アルミニウムの管を含みうる。
【0105】
熱伝導性要素によって囲まれる可燃性熱源の近位部分は、長さ約2ミリメートル~約8ミリメートル、または長さ約3ミリメートル~約5ミリメートルでありうる。
【0106】
熱伝導性要素によって囲まれていない可燃性熱源の遠位部分は、長さ約4ミリメートル~約15ミリメートル、または長さ約4ミリメートル~約8ミリメートルでありうる。
【0107】
紙巻たばこ用紙の層は、少なくとも可燃性熱源の近位部分、エアロゾル形成基体の長さ、およびエアロゾル形成基体の近位に配置されるエアロゾル発生物品のいくつかのその他の構成要素を囲みうる。紙巻たばこ用紙の層は、可燃性熱源の長さを実質的に囲みうる。紙巻たばこ用紙の層が可燃性熱源の長さを実質的に囲む場合、紙巻たばこ用紙の層には、可燃性熱源において穿孔、穴またはスリットなどの換気が提供されてもよく、それにより、空気が紙巻たばこ用紙の層を通じて可燃性熱源に通ることが可能になる。開口部の数、形状、サイズおよび位置は、優れたエアロゾル発生性能を達成するように適切に調整されてもよい。紙巻たばこ用紙の層が、エアロゾル発生物品が組み立てられた時に可燃性熱源およびエアロゾル形成基体を握持して固定するように、紙巻たばこ用紙の層は、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体に隙間なく巻き付けられうる。
【0108】
少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、半径方向の外側層でありうる。エアロゾル発生物品が1つ以上の追加的な層を含む場合、繊維強化エアロゲルの半径方向の外側層は、1つ以上の追加的な層の少なくとも一部分を覆いうる。言い換えると、1つ以上の追加的な層は、可燃性熱源と少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層との間に配置されうる。例えば、エアロゾル発生物品が熱伝導性要素を含む追加的な層を備える場合、熱伝導性要素は、半径方向の内側層であってもよく、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、熱伝導性要素の少なくとも一部分を囲む半径方向の外側層であってもよい。
【0109】
本明細書で使用される場合、「半径方向の外側」および「半径方向の内側」という用語は、エアロゾル発生物品の長手方向軸からのエアロゾル発生物品の構成要素の相対距離を示すために使用される。本明細書で使用される場合、「半径方向」という用語は、エアロゾル発生物品の近位端と遠位端との間の方向に延在する、エアロゾル発生物品の長手方向軸に対して垂直な方向を記述するために使用される。
【0110】
1つ以上の追加的な層は、半径方向の外側層でありうる。1つ以上の追加的な層は、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層の少なくとも一部分を覆いうる。
【0111】
少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、エアロゾル発生物品の1つ以上の他の構成要素または部品に固定されうる、または取り付けられうる。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、エアロゾル発生物品の任意の適切な構成要素に固定されうる。例えば、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源、エアロゾル形成基体および1つ以上の追加的な層のうちの少なくとも1つに固定されうる。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、任意の適切な手段によって、エアロゾル発生物品の1つ以上の構成要素に固定されうる。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、接着剤を用いて固定されうる。適切な接着剤は、ケイ酸塩接着剤などの耐高温性を示しうる。1つ以上の追加的な層が半径方向の外側層である場合、1つ以上の追加的な層は、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層の少なくとも一部分に隙間なく巻かれうる。
【0112】
一部の実施形態では、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、可燃性熱源の一部を形成しうる。本明細書で使用される場合、「一体型」という用語は、可燃性熱源と直に接触した状態にあり、かつ外因性接着材またはその他の中間結合材料の補助なしに可燃性熱源に付着した層を描写するために使用される。
【0113】
一部の実施形態では、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、対向する端を有する繊維強化エアロゲルの細片から形成されうる。繊維強化エアロゲルの細片は、細片の対向する端が部分的に重なるように可燃性熱源に巻かれうる。細片の重なり合う対向する端は、接着剤または任意の他の適切な手段を用いて一緒に固定されうる。これは、可燃性熱源上に少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層を固定しうる。
【0114】
一部の実施形態では、中間層が、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層と、可燃性熱源、エアロゾル形成基体および1つ以上の追加的な層のうちの少なくとも1つとの間に提供されうる。中間層は、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層に隣接していてもよい。中間層は、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層に接触していてもよい。中間層は、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層の半径方向内方に配置されうる。
【0115】
中間層は接着層であってもよい。接着層は、任意の適切な接着剤を含みうる。適切な接着剤は、ケイ酸塩接着剤などの耐高温性を示しうる。接着層は、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層と可燃性熱源との間に配置されてもよく、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層を可燃性熱源に取り付けうる。接着層は、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層と1つ以上の追加的な層との間に配置されてもよく、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層を1つ以上の追加的な層に取り付けうる。接着層は、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層とエアロゾル形成基体との間に配置されてもよく、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層をエアロゾル形成基体に取り付けうる。
【0116】
一部の実施形態では、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、対向する端を有する繊維強化エアロゲルの細片から形成されうる。繊維強化エアロゲルの細片は、細片の対向する端が当接し、部分的に重ならないように、可燃性熱源に巻かれうる。接着層は、少なくとも細片の対向する端において、可燃性熱源に面する細片の側面上に提供されうる。接着層は、少なくとも細片の対向する端において、繊維強化エアロゲルの細片を可燃性熱源に固定しうる。
【0117】
エアロゾル発生物品は、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間に配置される熱伝導性部材を備えうる。熱伝導性部材は、上述の第一のバリアであってもよい。エアロゾル発生物品は、熱伝導性部材および第一のバリアを備えうる。熱伝導性部材は、熱伝導性要素と同様の材料を含んでもよい。エアロゾル発生物品は、熱伝導性部材および熱伝導性要素を備えうる。熱伝導性要素および熱伝導性部材のうちの少なくとも1つの提供は、可燃性熱源とエアロゾル形成基体との間の伝導性熱伝達を容易にしうる。
【0118】
エアロゾル発生物品は、任意の他の適切な構成要素をさらに含んでもよい。例えば、エアロゾル発生物品は、移動要素、エアロゾル冷却要素、スペーサー要素およびマウスピースのうちの少なくとも1つを備えてもよい。1つ以上のさらなる構成要素は、可燃性熱源およびエアロゾル形成基体と同軸配列であってもよい。1つ以上のさらなる構成要素は、エアロゾル形成基体の近位に配置されうる。1つ以上のさらなる構成要素は、任意の適切な順序に配置されうる。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体の近位端に隣接する移動要素と、移動要素の近位端に隣接するエアロゾル冷却要素と、エアロゾル冷却要素の近位端に隣接するスペーサー要素と、スペーサー要素の近位端に隣接するマウスピースと、をさらに備えてもよい。
【0119】
本明細書で使用される場合、「近位」および「遠位」という用語は、本発明によるエアロゾル発生物品の構成要素または構成要素の部分の相対的位置を描写するために使用される。エアロゾル発生物品の構成要素の近位端は、エアロゾル発生物品の口側の端の近くにあるその構成要素の端であり、エアロゾル発生物品の構成要素の遠位端は、エアロゾル発生物品の口側の端から遠くにあるその構成要素の端である。一般的には、可燃性熱源は、エアロゾル発生物品の遠位端に配置される。
【0120】
本発明の第二の態様によれば、本発明の第一の態様によるエアロゾル発生物品を形成する方法が提供されている。方法は、可燃性熱源を配置して、エアロゾル形成基体を加熱することと、ユーザーによる吸入のために空気がそれに沿ってエアロゾル発生物品を通して引き出されうる、1つ以上の気流経路を提供することと、使用時に、空気が可燃性熱源と直接接触しない1つ以上の気流経路に沿ってエアロゾル発生物品を通して引き出されるように、1つ以上の気流経路から可燃性熱源を分離することと、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層を用いて可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲むことと、を含む。
【0121】
一部の実施形態では、繊維強化エアロゲルの少なくとも1つの層を用いて可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲む工程は、対向する端を有する繊維強化エアロゲルの細片を提供することと、可燃性熱源が少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層によって囲まれるように、可燃性熱源に細片を巻くことと、細片の対向する端を重ね合わすことと、重なり合う端を一緒に固定して、繊維強化エアロゲルの少なくとも1つの層を可燃性熱源に固定することと、を含みうる。
【0122】
繊維強化エアロゲルの細片の重なり合う端は、任意の適切な手段を用いて一緒に固定されうる。例えば、繊維強化エアロゲルの細片の重なり合う端は、接着剤を用いて一緒に固定されうる。適切な接着剤は、耐高温性を有し、シリカ接着剤を含むべきである。
【0123】
一部の実施形態では、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層を用いて可燃性熱源の長さの少なくとも一部分を囲む工程は、対向する端を有する細片の繊維強化エアロゲルを提供することと、少なくとも対向する端のそれぞれにおいて細片の一方の側面に接着層を取り付けることと、接着層が可燃性熱源と面するように細片を配置することと、可燃性熱源の長さの少なくとも一部分が繊維強化エアロゲルの少なくとも1つの層によって囲まれるように、可燃性熱源に細片を巻くことと、対向する端を重ね合わせることなく、細片の対向する端を当接させることと、接着層を用いて可燃性熱源に細片を固定することと、を含みうる。
【0124】
一部の実施形態では、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、紙巻たばこ用紙の層などの追加的な層と積層されうる。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層が可燃性熱源に取り付けられる前に、追加的な層と積層されうる。少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層および追加的な層を含む共積層された紙の細片は、繊維強化エアロゲルの細片と同様の様式において、可燃性熱源に巻かれうる。一部の実施形態では、共積層された紙は、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層が可燃性熱源に面するように、配置されうる。言い換えると、少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層は、追加的な層の半径方向内方に配置されうる。一部の実施形態では、共積層された紙は、追加的な層が可燃性熱源に面するように、配置されうる。
本発明を、添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0125】
図1図1は、ブラインド可燃性熱源を備える、本発明によるエアロゾル発生物品の第一の実施形態の略図を示す。
図2図2は、第一の位置における、図1のエアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。
図3図3は、第二の位置における、図1のエアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。
図4図4は、第三の位置における、図1のエアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。
図5図5は、非ブラインド可燃性熱源を備える、本発明によるエアロゾル発生物品の第二の実施形態の略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0126】
図1はエアロゾル発生物品2の略図を示す。エアロゾル発生物品2は、可燃性熱源3を備える。可燃性熱源3は、約10ミリメートルの長さをもつ炭素質の材料の実質的に環状の円柱状の本体を含む。可燃性熱源3は、ブラインド熱源である。言い換えると、可燃性熱源3は、それを通じて延在する任意の空気チャネルを含まない。
【0127】
エアロゾル発生物品2は、エアロゾル形成基体4をさらに含む。エアロゾル形成基体4は、可燃性熱源3の近位端に配置される。エアロゾル形成基体4は、フィルタープラグラップ19によって囲まれるたばこ材料の実質的に環状の円筒形のプラグ18を備える。
【0128】
不燃性で、実質的に不通気性の第一のバリア6は、可燃性熱源3の近位端とエアロゾル形成基体4の遠位端との間に配置される。第一のバリア6は、アルミ箔のディスクを備える。第一のバリア6はまた、可燃性熱源3の近位面からエアロゾル形成基体4の遠位面に熱を伝導するために、可燃性熱源3とエアロゾル形成基体4との間に熱伝導性部材を形成する。
【0129】
熱伝導性要素9は、可燃性熱源3の近位部分およびエアロゾル形成基体4の遠位部分を囲む。熱伝導性要素9は、アルミ箔の管を含む。熱伝導性要素9は、可燃性熱源3の近位部分およびエアロゾル形成基体4のフィルタープラグラップ19と直接接触する。
【0130】
エアロゾル発生物品2は、エアロゾル形成基体4の近位端に配置される移動要素11、移動要素11の近位端に配置されるエアロゾル冷却要素12、エアロゾル冷却要素11の近位端に配置されるスペーサー要素13、スペーサー要素13の近位端に配置されるマウスピース10、を含む、エアロゾル形成基体4の近位に配置される種々のその他の構成要素をさらに備える。
【0131】
エアロゾル発生物品2の構成要素は、紙巻たばこ用紙の層7内に包装される。紙巻たばこ用紙の層7は、熱伝導性要素9を囲むが、熱伝導性要素9の遠位端を越えて、また可燃性熱源3の遠位部分にわたって延在していない。
【0132】
本発明に従って、エアロゾル発生物品2は、繊維強化エアロゲルの層5をさらに備える。繊維強化エアロゲルの層5は、可燃性熱源3の実質的な長さ、ならびに紙巻たばこ用紙の層7、熱伝導性要素9およびエアロゾル形成基体4の遠位部分を囲む。言い換えると、繊維強化エアロゲルの層5は、エアロゾル発生物品2の遠位端における半径方向の外側層である。
【0133】
繊維強化エアロゲルの層5は、連続的なフィラメントガラス繊維を含む、シリカエアロゲルおよび繊維性材料を含む。繊維強化エアロゲルは、約35重量パーセントの合成非晶質シリカ、約15重量パーセントのメチルシリル化されたシリカ、および約45重量パーセントの連続的なフィラメントガラス繊維を含む。
【0134】
複数の空気吸込み口8が、エアロゾル形成基体4に配置され、それは、周囲空気がエアロゾル発生物品2内へ引き出されることを可能にする。空気吸込み口8は、エアロゾル形成基体4を囲む、紙巻たばこ用紙の層7およびプラグラップ19の下位層を通る複数の穿孔を備える。空気吸込み口8は、エアロゾル形成基体4の遠位面と近位面との間に配置される。
【0135】
ユーザーがエアロゾル発生物品2のマウスピース10で吸い込むと、周囲空気が空気吸込み口8を通じてエアロゾル発生物品2内に引き出されうる。エアロゾル発生物品2内に引き出された空気は、エアロゾル発生物品2の気流経路に沿って、空気吸込み口8から、エアロゾル形成基体4、移動要素11、冷却要素12およびスペーサー要素13を通って、マウスピース10へと流れ、さらに吸入のためにマウスピース10の外へ出てユーザーへと流れうる。エアロゾル発生物品2を通じる気流の全体的な方向を矢印で示す。
【0136】
使用時に、ユーザーは、可燃性熱源3をライターなどの外部熱源に露出することによって、可燃性熱源3を点火しうる。可燃性熱源3は、点火および燃焼されてもよく、熱は、熱伝導性部材6および熱伝導性要素9を通じる伝導を介して、可燃性熱源3からエアロゾル形成基体4に運ばれうる。加熱式エアロゾル形成基体4の揮発性成分は、蒸発されてもよい。ユーザーがエアロゾル発生物品2のマウスピース10で吸い込むと、周囲空気が空気吸込み口8を通じてエアロゾル発生物品2の気流経路内に引き出されうる。加熱式エアロゾル形成基体4からの蒸気は、エアロゾル形成基体4を通して引き出された空気に混入されてもよく、マウスピース10の方へ空気とともに引き出されうる。蒸気がマウスピース10の方へ引き出されるのにつれて、蒸気は、冷却されてエアロゾルを形成しうる。エアロゾルは、マウスピース10の外へ引き出され、吸入のためにユーザーに送達されうる。
【0137】
当然のことながら、実質的に不通気性の第一のバリア6は、空気が可燃性熱源3を通じて、エアロゾル形成基体4内に引き出されることを阻止する。そのため、第一のバリア6は、エアロゾル発生物品2の気流経路を可燃性熱源3から実質的に分離する。
【0138】
この実施形態では、繊維強化エアロゲルの層5は、エアロゾル形成基体4の遠位端のわずかな部分を覆って延在する。そのため、繊維強化エアロゲルの層5は、空気吸込み口8から間隔をおいて配置される。この間隔は、繊維強化エアロゲルの層5を空気吸込み口8から実質的に分離し、そのためエアロゾル発生物品2の気流経路を通して引き出された空気は、繊維強化エアロゲルの層5と接触しない。
【0139】
当然のことながら、一部の実施形態では、繊維強化エアロゲルの層は、空気吸込み口に近接しうる。それらの実施形態では、空気吸込み口に近接する繊維強化エアロゲルの層の部分は、繊維および粒子に対して実質的に不浸透性の材料で被覆されうる。このことは、空気吸込み口に近接する繊維強化エアロゲルの層の部分を実質的に分離することができ、そのためエアロゾル発生物品の気流経路を通して引き出された空気は、繊維強化エアロゲルの層と接触しない。
【0140】
実験に基づくデータが、可燃性熱源の燃焼時間を通じて、図1に示したエアロゾル発生物品2と同様の種々のエアロゾル発生物品の可燃性熱源およびエアロゾル形成基体の温度を定めるために集められた。測定されたそれぞれのエアロゾル発生物品は、可燃性熱源の長さを実質的に囲む材料の異なる層を含んでいた。特に、実験に基づくデータは、可燃性熱源の長さを実質的に囲む非強化エアロゲル(Blueshift International Materials,Inc.により製造されたAeroZero(登録商標))の層、可燃性熱源の長さを実質的に囲む繊維強化エアロゲル(Aspen Aerogels,Inc.により製造されたPyrogel(登録商標)XT-F)の層を含むが、可燃性熱源の長さを実質的に囲む材料の層を含まない、エアロゾル発生物品のために集められた。図2図4は、種々のエアロゾル発生物品の3つの異なる位置における、経時的な温度の実験に基づく測定値のグラフを示す。
【0141】
図2は、図1に示される位置T1に対応する、可燃性熱源の遠位端から2ミリメートルの位置で測定した温度を示す。言い換えると、図2は、可燃性熱源の遠位端における温度を示す。
【0142】
図3は、図1に示される位置T2に対応する、可燃性熱源の遠位端から5ミリメートルの位置で測定した温度を示す。言い換えると、図3は、可燃性熱源の長さに沿ったおよそ中間部分における温度を示す。
【0143】
図4は、図1に示される位置T3に対応する、可燃性熱源の遠位端から11ミリメートルの位置で測定した温度を示す。言い換えると、図4は、エアロゾル形成基体の遠位端における温度を示す。
【0144】
すべての温度プロファイルは、エアロゾル発生物品の関連する構成要素内におよそ2ミリメートルの深さまで挿入された、電子温度プローブを用いて測定された。
【0145】
図2図3および図4において、20として標識された「AeroZero」線は、可燃性熱源の長さを実質的に囲む非強化エアロゲルの層を有する、エアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。
【0146】
図2図3および図4において、21として標識された「Pyrogel XTF」線は、本発明に従う可燃性熱源の長さを実質的に囲む繊維強化エアロゲルの層を有する、エアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。
【0147】
図2図3および図4において、22として標識された「SMAR」線は、可燃性熱源の長さを実質的に囲む材料の層を有さない、エアロゾル発生物品の温度プロファイルを示す。
【0148】
エアロゾル発生物品は、22として標識された可燃性熱源の長さを実質的に囲む材料の層を有さないエアロゾル発生物品の温度プロファイルと実質的に同様の、またはそれを超える温度プロファイルを示すために、エアロゾル発生物品の長さを実質的に囲む材料の層を有することが望ましい。このことは、材料の層が可燃性熱源の燃焼を実質的に阻害していないことを示す。
【0149】
図2図3および図4に示すように、可燃性熱源の長さを実質的に囲む非強化エアロゲルの層を有するエアロゾル発生物品の温度20は、可燃性熱源の全燃焼時間の間のエアロゾル発生物品のすべての3つの位置における、可燃性熱源の長さを実質的に囲む材料の層を有さないエアロゾル発生物品の温度22より低い。
【0150】
意外にも、図2図3および図4に示すように、可燃性熱源の長さを実質的に囲む繊維強化エアロゲルの層を有するエアロゾル発生物品の温度21は、可燃性熱源の燃焼時間の大部分の間のエアロゾル発生物品のすべての3つの位置における、可燃性熱源の長さを実質的に囲む材料の層を有さないエアロゾル発生物品の温度22と実質的に同様である。さらに、可燃性熱源の長さを実質的に囲む繊維強化エアロゲルの層を有するエアロゾル発生物品の温度21は、エアロゾル発生状態の終了時におけるエアロゾル発生物品のすべての3つの位置での、可燃性熱源の長さを実質的に囲む材料の層を有さないエアロゾル発生物品の温度22より事実上高い。
【0151】
この驚くべき結果は、可燃性熱源の長さを実質的に囲む少なくとも1つの繊維強化エアロゲルの層を提供することが、有利には、可燃性熱源の燃焼を実質的に妨げていないことを示す。事実上、繊維強化エアロゲルの層を提供することは、可燃性熱源の燃焼時間の終わりに向かって、可燃性熱源の温度を増加することができ、またエアロゾルがエアロゾル発生物品によって生成される時間の長さを延ばし、それにより、ユーザーのエアロゾル発生体験の時間を延ばすことができる。
【0152】
本発明によるエアロゾル発生物品は、熱源の点火後にワットマン紙にそれらを置くことによるそれらの影響を観察することによって測定された。例えば、約23°C±3°Cおよび相対湿度55%±5%で24時間、エアロゾル発生物品を検査した。検査されるエアロゾル発生物品を、電気式ライターを用いて点火し3分間燃焼した。3分後、エアロゾル発生物品を8分間、積み重ねたワットマン紙に置いた。8分後、ワットマン紙を検査した。可燃性熱源の長さを実質的に囲む繊維強化エアロゲルの層を有するエアロゾル発生物品は、いずれのワットマン紙においても穴を生成せず、一番上の紙に褐色したわずかな領域を生成したことを観察した。この結果は、可燃性熱源の長さを実質的に囲む繊維強化エアロゲルの層を有することが、熱源の近傍の表面温度を低減することを示す。
【0153】
本発明によるエアロゾル発生物品の第二の実施形態の略図を図5に示す。エアロゾル発生物品102は、図1に示すエアロゾル発生物品2と実質的に同様である。エアロゾル発生物品102は、図1に示すエアロゾル発生物品102の対応する構成要素と同様に配置された、可燃性熱源103、エアロゾル形成基体104、繊維強化エアロゲルの層105、および紙巻たばこ用紙の層107を備える。しかし、可燃性熱源103は、非ブラインド熱源である。非ブラインド熱源103は、遠位端面と近位端面との間に延在する通路116を有する炭素質材料の環状の本体115を備える。通路116は、エアロゾル発生物品102を通じる気流経路の一部分を形成し、また空気がエアロゾル発生物品102の近位端から、可燃性熱源103を通じて、エアロゾル形成基体104へと引き出されることを可能にする。繊維強化エアロゲルの層105は、エアロゾル発生物品102を通じる気流経路から間隔をおいて配置され、そのため気流経路を通じて引き出された空気は、繊維強化エアロゲルの層105と接触しない。
【0154】
不燃性で、実質的に不通気性の第一のバリア6は、図1に関連して上述した第一のバリア106と同様に、可燃性熱源103の近位端とエアロゾル形成基体104の遠位端との間に配置される。しかし、上述の第一のバリア6と異なり、第一のバリア106は、通路116と整列される開口部120を含み、それは空気が通路116からエアロゾル形成基体104へと通ることを可能にする。
【0155】
不燃性で、実質的に不通気性の第2のバリア117は、通路116の内側表面に被覆される。第二のバリア117は、通路116を通り抜ける空気を、可燃性熱源103および可燃性熱源の燃焼の生成物から分離する。
【0156】
可燃性熱源103が非ブラインド熱源であるので、エアロゾル発生物品102は、エアロゾル形成基体104に配置される空気吸込み口を含まない。ユーザーがエアロゾル発生物品102のマウスピースで吸い込むと、周囲空気が熱源103を通じる通路116を通ってエアロゾル発生物品102内に引き出されうる。エアロゾル発生物品102内に引き出された空気は、エアロゾル発生物品102の気流経路に沿って、通路116を通って、エアロゾル形成基体104、移動要素、冷却要素およびスペーサー要素を通って、マウスピースへと流れ、さらに吸入のためにマウスピースの外へ出てユーザーへと流れうる。エアロゾル発生物品102を通じる気流の全体的な方向を矢印で示す。
【0157】
当然のことながら、一部の実施形態では、その他の空気吸込み口がまた、可燃性熱源を通じる空気通路の他にエアロゾル発生物品内に提供されてもよい。
【0158】
上記の特定の実施形態は本発明を例証するように意図される。しかし、その他の実施形態は、特許請求の範囲に定義されるように本発明の範囲から逸脱することなく作製されてもよく、また当然のことながら上記の特定の実施形態が制限的であるように意図されていない。
図1
図2
図3
図4
図5