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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】燃料と水の混合物の燃料消費量計算
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20220105BHJP
   F02D 19/12 20060101ALI20220105BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20220105BHJP
   G01F 1/84 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
F02D45/00 369
F02D19/12 A
F02M37/00 341H
G01F1/84
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018564333
(86)(22)【出願日】2017-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-11
(86)【国際出願番号】 US2017036058
(87)【国際公開番号】W WO2017214082
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2019-01-08
【審判番号】
【審判請求日】2020-06-30
(31)【優先権主張番号】62/347,999
(32)【優先日】2016-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500205770
【氏名又は名称】マイクロ モーション インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒル, クリストファー ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ジマー, パトリック ジョン
(72)【発明者】
【氏名】スコット, テイラー ロバート
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】鈴木 充
【審判官】高島 壮基
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-37121(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2010/112195(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D13/00-28/00
F02D43/00-45/00
F02B47/00-47/06
F02B49/00
F02M25/00-25/14
F02M37/00-37/54
F23K5/00-5/22
F23N1/00,5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンによって消費される燃料と水の混合物の燃料消費率を計算するための燃料制御システム(300)であって、
ミキサー(330)と、
ミキサー(330)に連結され、ミキサー(330)への燃料の流量を測定するように構成された燃料源(310)と、
ミキサー(330)に連結され、ミキサー(330)への水の流量を測定するように構成された水源(315)と、
ミキサー(330)に連結された混合物流量計(5)であって、ミキサー(330)から燃料と水の混合物を受け取って該混合物の特性を測定するように構成され、該混合物の特性は測定された燃料と水の混合物の流量を含む、混合物流量計(5)と、
燃料源(310)と水源(315)と混合物流量計(5)に通信可能に連結されたコントローラ(360)を備え、
コントローラ(360)は、測定された燃料の流量と測定された水の流量と、測定された燃料と水の混合物の流量に基づいて燃料消費率を計算するように構成される、燃料制御システム(300)。
【請求項2】
測定された燃料の流量と測定された水の流量と測定された燃料と水の混合物の流量に基づいて試験中の燃料消費率を計算するように構成されているコントローラ(360)は、以下の式に基づいて燃料消費率を計算するように構成され、
【数9】
ここで、
SFOC =燃料消費率(g/kWh);
QTEST =試験中に消費される燃料油の正味カロリー(発熱)量(MJ/kg);
QCONT =試験ベッドでのエンジンのベースライン特性評価中に消費される燃料油の正味カロリー量(MJ/kg)
α =パワー調整係数
K =示されたパワーの比率;
Be =試験ベッドでのエンジンのベースライン特性評価中に決定される燃料油消費率(g/kWh); 及び
EDP = エンジン駆動ポンプの燃料油消費率(g/kWh)
である、請求項1に記載の燃料制御システム(300)。
【請求項3】
試験中に消費される燃料油の正味カロリー量(QTEST)は以下の式におけるQ NEW 書き換えられ、
【数10】
ここで、
QNEW = 燃料と水の混合物のカロリー量;
QFUEL =燃料油のカロリー量;
QWATER = 水のカロリー量;
mFUEL =燃料の質量流量濃縮係数;及び
mWATER = 水の質量流量濃縮係数
である、請求項2に記載の燃料制御システム(300)。
【請求項4】
測定された燃料と測定された水の流量と測定された燃料と水の混合物の流量に基づいて燃料消費率を計算するように構成されているコントローラ(360)は、測定された燃料の流量、測定された水の流量、及び混合物流量計(5)によって提供された燃料と水の混合物の測定された流量に基いて、燃料の質量流量濃縮係数(mFUEL)及び水の質量流量濃縮係数(mWATER)を計算するように構成される、請求項1に記載の燃料制御システム(300)。
【請求項5】
水源(315)は水源流量計(5W)を含み、燃料源(310)は燃料源流量計(5f)を含む、請求項1乃至4の何れかに記載の燃料制御システム(300)。
【請求項6】
水の流量を測定するように構成されている水源(315)は、水の質量流量(mFLOW WATER)を測定するように構成され、燃料の流量を測定するように構成されている燃料源(310)は、燃料の質量流量(mFLOW FUEL) を測定するように構成されている、請求項1乃至5の何れかに記載の燃料制御システム(300)。
【請求項7】
ミキサー(330)から燃料と水の混合物の特性を受け取って測定するように構成されている混合物流量計(5)は、燃料と水の混合物の質量流量(mFLOW TOTAL) を測定するように構成されている、請求項1乃至6の何れかに記載の燃料制御システム(300)。
【請求項8】
測定された燃料の流量と測定された水の流量は体積流量であり、燃料源(310)は更に、燃料の密度を測定するように構成され、水源(315)は更に、水の密度を測定するように構成され、
測定された燃料と水の混合物の流量を含む前記混合物の特性は、燃料と水の混合物の体積流量及び密度のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の燃料制御システム(300)。
【請求項9】
エンジンによって消費される燃料と水の混合物の燃料消費率を計算する方法であって、
燃料と水の混合物を流すステップと、
燃料と水の混合物の流量を測定するステップと、
燃料と水の混合物となる燃料の流量と水の流量を測定するステップと、
測定された燃料の流量と測定された水の流量と測定された燃料と水の混合物の流量に基づいて燃料消費率を計算するステップを含む、方法。
【請求項10】
測定された燃料の流量と測定された水の流量に基づいて燃料消費率を計算するステップは、以下の式に基づいて試験中の燃料消費率を計算するステップを含み、
【数11】
ここで、
SFOC =燃料消費率(g/kWh);
QTEST =試験中に消費される燃料油の正味カロリー(発熱)量(MJ/kg);
QCONT =試験ベッドでのエンジンのベースライン特性評価中に消費される燃料油の正味カロリー量(MJ/kg)
α =パワー調整係数
K =示されたパワーの比率;
Be =試験ベッドでのエンジンのベースライン特性評価中に決定される燃料油消費率(g/kWh); 及び
EDP = エンジン駆動ポンプの燃料油消費率(g/kWh).
である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
試験中に消費される燃料油の正味カロリー量(QTEST)は以下の式におけるQ NEW 書き換えられ、
【数12】
ここで、
QNEW = 燃料と水の混合物のカロリー量;
QFUEL =燃料油のカロリー量;
QWATER = 水のカロリー量;
mFUEL =燃料の質量流量濃縮係数;及び
mWATER = 水の質量流量濃縮係数
である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
測定された燃料の流量と測定された水の流量と測定された燃料と水の混合物の流量に基づいて燃料消費率を計算するステップは、燃料及び水の測定された流量、及び燃料と水の混合物の測定された流量に基いて、燃料の質量流量濃縮係数(mFUEL)及び水の質量流量濃縮係数(mWATER)を計算するステップを含む、請求項9乃至11の何れかに記載の方法。
【請求項13】
燃料の流量と水の流量を測定するステップは、水の質量流量(mFLOW WATER)及び燃料の質量流量(mFLOW FUEL) を測定するステップを含む、請求項9乃至12の何れかに記載の方法。
【請求項14】
燃料と水の混合物の流量を測定するステップは、燃料と水の混合物の質量流量(mFLOW TOTAL)を測定するステップを含む、請求項9乃至13の何れかに記載の方法。
【請求項15】
測定された燃料の流量と測定された水の流量は体積流量であり、方法は更に燃料の密度及び水の密度の少なくとも1つを測定するステップを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に説明する実施形態は、燃料消費量計算に関し、より詳細には、燃料と水の混合物の燃料消費量計算に関する。
【背景技術】
【0002】
海洋産業は船舶のエンジンに重油を使用している。 エンジンに燃料を供給する燃料ライン内の水の量は、重油の量に対して少ない。この低濃度の水は、高濃度の重油の後に蒸発する。水は重油よりも安価なので、水を燃やすとエンジンの効率が向上する。しかし、多くの基準は水が無い状態での燃料の消費に基づいている。
【0003】
例えば、燃料消費率(SFOC)値は、船舶用エンジンの燃料効率である。エンジンの現在のライフサイクルの使用状況を判断するために、エンジンのSFOCをISO規格(ISO 3046-1)に基づいて計算し、工場受入れ試験SFOCと比較することができる。エンジンの一般的な寿命は10年以上であるため、このISO規格の比較は、エンジン製造業者によって販売されている予防メインテナンス/サービスプログラムの有効性を証明するためにも使用され得る。以下は、エンジンのSFOCをISO規格に修正するのに用いられる測定データの少ない例である。
・大気温度
・大気湿度
・燃料カロリー量
【0004】
水が燃料に混合されると、燃焼混合物のカロリー(発熱)量は、純粋な燃料のカロリー量とは異なる。カロリー量に対するこの影響が考慮されない場合、顧客は誤ったSFOCデータを解釈し、それ故にエンジンメインテナンスサービスの効率の増減を誤って評価する。従って、燃料と水の混合物の燃料消費量計算を求めるニーズがある。
【発明の概要】
【0005】
ミキサーを含み、燃料と水の混合物の燃料消費量計算のための燃料制御システムが提供される。実施形態によれば、燃料制御システムは、ミキサーに流体が行き来可能に連結され、ミキサーへの燃料の流量を測定するように構成された燃料源と、ミキサーに流体が行き来可能に連結され、ミキサーへの水の流量を測定するように構成された水源と、ミキサーに行き来可能に連結された混合物流量計であって、混合物流量計は、ミキサーから燃料/水の混合物の特性を受け取って測定するように構成されている。
【0006】
燃料と水の混合物の燃料消費量を計算する方法が提供される。実施形態によれば、方法は、燃料/水の混合物を流すステップと、燃料/水の混合物中の燃料と水の流量を測定するステップと、測定された燃料と水の流量に基づいて燃料消費量を計算するステップを含む。
【0007】
態様
一態様によれば、燃料と水の混合物の燃料消費量計算のための燃料制御システム(300)は、ミキサー(330)と、ミキサー(330)に流体が行き来可能に連結され、ミキサー(330)への燃料の流量を測定するように構成された燃料源(310)と、ミキサー(330)に流体が行き来可能に連結され、ミキサー(330)への水の流量を測定するように構成された水源(315)と、ミキサー(330)に行き来可能に連結された混合物流量計(5)であって、混合物流量計(5)は、ミキサー(330)から燃料/水の混合物の特性を受け取って測定するように構成されている。
【0008】
好ましくは、燃料制御システム(300)は更に、燃料源(310)と水源(315)と混合物流量計(5)に通信可能に連結されたコントローラ(360)を備え、コントローラ(360)は、測定された燃料の流量と測定された水の流量とに基づいて燃料消費量を計算するように構成される。
【0009】
好ましくは、測定された燃料の流量と測定された水の流量とに基づいて燃料消費量を計算するように構成されているコントローラ(360)は、以下の式に基づいて燃料消費量を計算するように構成されている。
【数1】
ここで、
SFOC =燃料消費率(g/kWh);
QTEST =試験中の燃料油の正味カロリー(発熱)量(MJ/kg);
QCONT = 工場受入れ試験と言及されるエンジンのベースライン特性評価中の燃料油の正味カロリー量(MJ/kg)
α =パワー調整係数
K =示されたパワーの比率;
Be =試験ベッドでの燃料油消費量(g/kWh); 及び
EDP = エンジン駆動ポンプ(g/kWh)
である。
【0010】
好ましくは、試験中の燃料油の正味カロリー量(QTEST)は以下の式を用いて書き換えられる。
【数2】
ここで、
QNEW = 燃料/水の混合物のカロリー量;
QFUEL =燃料油のカロリー量;
QWATER = 水のカロリー量;
mFUEL =燃料の質量流量濃縮係数;及び
mWATER = 水の質量流量濃縮係数
である。
【0011】
好ましくは、測定された燃料及び水の流量に基づいて燃料消費量を計算するように構成されているコントローラ(360)は、測定された燃料の流量、測定された水の流量、及び混合物流量計(5)によって提供された燃料/水の混合物の測定された流量に基いて、燃料の質量流量濃縮係数(mFUEL)及び水の質量流量濃縮係数(mWATER)を計算するように構成される。
【0012】
好ましくは、水源(315)は水源流量計(5W)を含み、燃料源(310)は燃料源流量計(5f)を含む。
好ましくは、水の流量を測定するように構成されている水源(315)は、水の質量流量(mFLOW WATER)を測定するように構成され、燃料の流量を測定するように構成されている燃料源(310)は、燃料の質量流量(mFLOW FUEL) を測定するように構成されている。
【0013】
好ましくは、ミキサー(330)から燃料/水の混合物の特性を受け取って測定するように構成されている混合物流量計(5)は、燃料/水の混合物の質量流量(mFLOW TOTAL) を測定するように構成されている。
好ましくは、測定された燃料の流量と測定された水の流量は体積流量であり、燃料源(310)は更に、燃料の流量の密度を測定するように構成され、水源(315)は更に、水の流量の密度を測定するように構成され、燃料/水の混合物の特性は、燃料/水の混合物の体積流量及び密度のうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
一態様によれば、燃料と水の混合物の燃料消費量を計算する方法は、燃料/水の混合物を流すステップと、燃料/水の混合物中の燃料と水の流量を測定するステップと、測定された燃料と水の流量に基づいて燃料消費量を計算するステップを含む。
【0015】
好ましくは、測定された燃料と水の流量に基づいて燃料消費量を計算するステップは、以下の式に基づいて燃料消費量を計算するステップを含む。
【数3】
ここで、
SFOC =燃料消費率(g/kWh);
QTEST =試験中の燃料油の正味カロリー(発熱)量(MJ/kg);
QCONT = 工場受入れ試験と言及されるエンジンのベースライン特性評価中の燃料油の正味カロリー量(MJ/kg)
α =パワー調整係数
K =示されたパワーの比率;
Be =試験ベッドでの燃料油消費量(g/kWh); 及び
EDP = エンジン駆動ポンプ(g/kWh).
である。
【0016】
好ましくは、試験中の燃料油の正味カロリー量(QTEST)は以下の式を用いて書き換えられる。
【数4】
ここで、
QNEW = 燃料/水の混合物のカロリー量;
QFUEL =燃料油のカロリー量;
QWATER = 水のカロリー量;
mFUEL =燃料の質量流量濃縮係数;及び
mWATER = 水の質量流量濃縮係数
である。
【0017】
好ましくは、測定された燃料と水の流量に基づいて燃料消費量を計算するステップは、燃料及び水の測定された流量、及び燃料/水の混合物の測定された流量に基いて、燃料の質量流量濃縮係数(mFUEL)及び水の質量流量濃縮係数(mWATER)を計算するステップを含む。
好ましくは、燃料と水の流量を測定するステップは、水の質量流量(mFLOW WATER)及び燃料の質量流量(mFLOW FUEL) を測定するステップを含む。
好ましくは、燃料と水の流量を測定するステップは、燃料/水の混合物の質量流量(mFLOW TOTAL)を測定するステップを含む。
好ましくは、測定された燃料の流量と測定された水の流量は体積流量であり、方法は更に燃料の流量及び水の流量の少なくとも1つの密度を測定するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
同じ参照番号は、全ての図面上の同じ要素を表す。図面は必ずしも縮尺通りではないことを理解すべきである。
図1】燃料と水の混合物の燃料消費量を計算するための燃料制御システム100を示す。
図2】燃料と水の混合物の燃料消費量を計算するための他の燃料制御システム200を示す。
図3】燃料と水の混合物の燃料消費量を計算するための他の燃料制御システム300を示す。
図4】燃料と水の混合物の燃料消費量を計算するための方法400を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1-図4及び以下の説明は、当業者に燃料と水の混合物の燃料消費量の計算の最良の形態の実施形態を作成および使用する方法を教示する特定の例を示す。本発明の原理を教示する目的のために、いくつかの従来の態様は簡略化または省略されている。当業者は、本明細書の範囲内に入るこれらの例からの変形を理解するであろう。当業者であれば、以下に説明する構成を多種の方法で組み合わせて、燃料と水の混合物の燃料消費量の計算の複数の変形を形成できることを理解するであろう。その結果、以下に説明する実施形態は、後述する特定の例に限定されるものではない。
【0020】
燃料制御システム
図1は、燃料と水の混合物の燃料消費量を計算するための燃料制御システム100を示す。図1に示すように、燃料制御システム100は、エンジン20に流体が行き来可能に連結された混合物流量計5を含む。また、エンジン20によって供給された未消費燃料を運ぶ燃料ラインからなる再循環器150が示されている。再循環器150は、消費されるべき未消費燃料をエンジン20に再循環する。混合物流量計5は、再循環器150を介してエンジン20に流体的に連結されている。
【0021】
図1に示すように、混合物流量計5は、コリオリ流量計のような振動式流量計であるが、代替の実施形態では、他の適切な流量計が用いられ得る。混合物流量計5は、混合物流量計5を通って流れる燃料の特性及び特質を測定及び/又は決定するように構成され得る。例えば、混合物流量計5は、混合物流量計5を通って流れる燃料/水の混合物の流量を測定することができる。
【0022】
混合物流量計5は単一の一体化ユニットとして示されるが、混合物流量計5は、燃料制御システム100全体に分配された別個の構成要素から構成されてもよい。例えば、混合物流量計5内のメータ電子機器は、例えばエンジン20に通信可能に連結された別個のコントローラの一部とすることができる。更に又はこれに代えて、混合物流量計5は、燃料の密度を測定する第1の構成要素、流量を測定する第2の構成要素など、特定の機能を実行する別個の構成要素から構成することができる。混合物流量計5はまた、燃料制御システム100内の異なる場所に配置されてもよい。例えば、混合物流量計5は、エンジン20のより近くに配置されてもよく、再循環器150の一部などであってもよい。
【0023】
図1に示すように、混合物流量計5は燃料/水の混合物を受け取り、燃料/水の混合物を再循環器150に供給する。混合物流量計5によって供給された燃料/水の混合物は、エンジン20によって供給された未消費の燃料/水の混合物と混合される。理解されるように、混合物流量計5は、エンジン20による消費量と同じ量で燃料/水混合物を再循環器150に供給する。理解されるように、図1はシリアル構成を示す。即ち、燃料/水の混合物をエンジン20に供給するためにただ1つの混合物流量計5が使用される。さらに、エンジン20による消費量は混合物流量計5から決定される。以下の説明が示すように、他の構成が用いられ得る。
【0024】
図2は、燃料と水の混合物の燃料消費量を計算するための他の燃料制御システム200を示す。図2に示すように、燃料制御システム200は、エンジン20に流体が行き来可能に連結された入口側流量計5iを含む。戻り側流量計5rもエンジン20に流体的に結合されている。また、エンジン20によって供給された未消費の燃料/水混合物を再循環させる燃料ラインからなる再循環器250も示されている。再循環器250は、再循環した燃料/水の混合物を消費すべきエンジン20に戻すように搬送する。入口側流量計51はエンジン20に流体が行き来可能に連結され、戻り側流量計5rは再循環器250を介して入口側流量計51に流体が行き来可能に連結されている。入口側流量計5i、戻り側流量計5rは、図1を参照して説明した混合物流量計5と同じである。水源側流量計5w及び燃料源側流量計5fも示されており、これらはミキサー230に流体が行き来可能に連結されている。ミキサー230は入口側流量計5i、戻り側流量計5rに流体が行き来可能に連結されている。
【0025】
水源側流量計5w及び燃料源側流量計5fは夫々、水及び燃料をミキサー230に供給する。水源側流量計5w及び燃料源側流量計5fは、ミキサー230に供給される水及び燃料の流量を測定する。測定された流量は、体積流量又は質量流量などの任意の適切な流量である。ミキサー230は、燃料と水を混合して燃料/水の混合物にし、燃料/水の混合物を入口側流量計5iに供給する。
【0026】
入口側流量計5iは、ミキサー230から燃料/水の混合物を受け取り、燃料/水の混合物をエンジン20に供給する。入口側流量計5iによって提供される燃料/水の混合物は、エンジン20によって提供される未消費の燃料/水の混合物と混合される。理解されるように、入口側流量計5iは、エンジン20による消費量と同様である量の再混合された燃料/水の混合物をエンジン20に提供する。エンジン20による消費量はまた、入口側流量計5i及び戻り側流量計5rによって測定された流量の差と同様である。理解されるように、図2は、入口側流量計5i、エンジン20、および戻り側流量計5rの並列構成を示している。
【0027】
燃料と水の混合物の燃料消費量を計算するための他の燃料制御システム300を示す。図3に示すように、燃料制御システム300は、バルブ320に流体が行き来可能に連結された燃料源310を含む。バルブ320は、バルブ320を介して供給される燃料を受け取るように構成されている第1のミキサー330に流体が行き来可能に連結されている。第1のミキサー330は、水源315に流体が行き来可能に連結されており、水源315によって提供された水を受け取るように構成されている。第1のミキサー330は、図3に示す混合物流量計5に流体が行き来可能に連結され、 燃料/水の混合物を混合物流量計5に供給するように構成されている。混合物流量計5は、供給された燃料/水の混合物を受け取って、その特性を測定するように構成されている。混合物流量計5は、第2のミキサー340に流体が行き来可能に連結されている。第2のミキサー340もエンジン20及び再循環器350に流体が行き来可能に連結されている。第2のミキサー340及び再循環器350はエンジン20に流体が行き来可能に連結されている。第2のミキサー340は、混合物流量計5によって供給された燃料/水の混合物と再循環器350からの再循環された燃料/水の混合物とを受け取り、混合して再混合した燃料/水の混合物にするように構成される。第2のミキサー340は、再混合された燃料/水の混合物をエンジン20に供給する。混合物流量計5、エンジン20、燃料源310、水源315、バルブ320、及び再循環器350は、コントローラ360に通信可能に連結されている。
【0028】
燃料源310及び水源315は、水源側流量計5w及び燃料源側流量計5fから構成されるかまたはそれらを含む。例えば、燃料源310及び水源315は、水源側流量計5w及び燃料源側流量計5fの入口に流体が行き来可能に連結されたタンクを含む。従って、水源側流量計5w及び燃料源側流量計5fは、コントローラ360に通信可能に連結される。水源側流量計5w及び燃料源側流量計5fはまた、燃料と水を第1のミキサー330に供給する。混合物流量計5は、入口側流量計5i、戻り側流量計5rを簡略化して表すことができる。混合物流量計5は、エンジン20による燃料/水の混合物の消費量を測定することができる。
【0029】
第1及び第2のミキサー330、340は、燃料/水の混合物を保持し混合して均質な混合物にするように構成されたタンクであり得る。第1及び第2のミキサー330、340は、燃料を均質化するために様々な機構に依存する(rely on)。例えば、第1および第2のミキサー330、340は、燃料を均質化するために、例えば、環境振動、攪拌機などを使用することができる。しかし、他の実施形態では、任意の適切な構成を採用することができる。均質化されることによって、燃料/水の混合物は、均一に受け取った燃料と水とからなる。理解されるように、均一ではあるが、燃料及び水の濃度は経時的に変化し得る。
【0030】
再循環器350は、エンジン20によって再循環される燃料/水の混合物を調整して、エンジン20によって消費されるように構成されてもよい。再循環器350は、圧力コントローラ、温度コントローラなどから構成することができるが、任意の適切な構成を採用することができる。再循環された燃料/水の混合物がエンジン20による使用に適しているように、圧力、温度などを制御するコントローラ360を含んで、エンジン20によって再循環された燃料/水の混合物を調整する。しかし、代替の実施形態において、コントローラ360によって制御されない構成要素を利用して、燃料/水の混合物を再調整する。
【0031】
コントローラ360は、メモリ及びI/ Oポートに通信可能に結合されたプロセッサを含む回路基板であるが、代替の実施形態では任意の適切なコントローラを使用することができる。コントローラ360は、本明細書に記載の方法などの方法を実行して、図3に示す燃料制御システム300を通る燃料/水の混合物の流量を制御するソフトウェアを含むことができる。ソフトウェアはメモリに格納され、且つコントローラ360内のプロセッサによって実行されてもよい。コントローラ360は単一の回路基板として説明されているが、代替実施形態では、他のコントローラは、サブボード、モジュールなどの2つ以上の基板から構成されてもよい。
【0032】
図3には示されていないが、燃料制御システム300は、温度または圧力センサ、流量制御バルブ、圧力調整器などの更なる構成要素から構成することができる。或いは、他の実施形態では図3に示す全ての要素を用いない。例えば、他の実施形態は、第1及び第2のミキサー330、340、再循環器350などを使用しよい。更に又はこれに代えて、図3の構成は他の構成を有してもよい。例えば、第1及び第2のミキサー330、340は、コントローラ360によって制御されるセンサ及び/又はアクチュエータを含み、第1及び第2のミキサー330、340によって受け取られた燃料/水の混合物を混合する。
【0033】
示されるように、コントローラ360は、I /Oポートを使用して混合物流量計5、エンジン20、燃料源310、水源315、バルブ320、及び再循環器350と通信するように構成されてもよい。I /Oポートは、例えば、シリアル、パラレル、パケットベースなどの任意の適切な通信手段を使用して通信するように構成され得る。コントローラ360は、例えば、I / Oポートを介して燃料源310、水源315、混合物流量計5からの流量測定値、エンジン20からの燃料消費量データ、バルブ320からのバルブ位置情報、及び再循環器350からの燃料/水の混合物の再循環データを受信することができる。コントローラ360はまた、バルブ開閉コマンドなどのコマンドをバルブ320に送信し、燃料調整コマンドを再循環器350に送信する。
【0034】
コントローラ360内のプロセッサは、受信した流量データを使用して、混合物流量計5を通って流れる燃料/水の混合物の流量を計算する。コントローラ360内のプロセッサはまた、混合物流量計5によって提供される燃料/水の混合物の流量を使用して燃料/水の混合物の消費率を決定するように構成されてもよい。コントローラ360内のプロセッサはまた、I / Oポートを介してバルブ320を開閉するためのコマンドを送信する。コントローラ360はまた、コマンドがバルブ320に送信される時間を決定するためにプロセッサによって使用されるタイマを含み得る。以下により詳細に説明されるように、コントローラ360は、燃料/水の混合物の燃料消費量を計算することができる。
【0035】
燃料(水分を含まない)のカロリー量は、ISO-SFOC計算で使用され、下記の式(1)でQTEST として表示される。
【数5】
ここで、
SFOC =燃料消費率(g/kWh);
QTEST =試験中の燃料油の正味カロリー(発熱)量(MJ/kg);
QCONT = 工場受入れ試験と言及されるエンジンのベースライン特性評価中の燃料油の正味カロリー量(MJ/kg)
α =パワー調整係数
K =示されたパワーの比率;
Be =試験ベッドでの燃料油消費量(g/kWh); 及び
EDP = エンジン駆動ポンプ(g/kWh)
である。
用語「SFOC」が用いられるが、例えばBISOのような代替の用語が用いられ、これはまたISO3046-1に従った燃料油消費率とも言及される。
【0036】
燃料/水の混合物が混合物流量計5に供給されると、以下の式(2)に見られるように、書き換えられた燃料/水の混合物のカロリー(発熱)量値が計算される。
【数6】
ここで、
QNEW = 燃料/水の混合物のカロリー量;
QFUEL =燃料油のカロリー量;
QWATER = 水のカロリー量;
mFUEL =燃料の質量流量濃度係数;及び
mWATER = 水の質量流量濃度係数
である。
【0037】
質量流量濃縮係数mFUEL及びmWATERは、夫々以下の式(3)及び式(4)にて計算される。
【数7】
ここで、
mFLOW FUEL =燃料の質量流量,
mFLOW WATER =水の質量流量;及び
mFLOW TOTAL =燃料/水の質量流量
である。
【0038】
燃料、水及び燃料/水の混合物は、図3を参照して記載した水源側流量計及び燃料源側流量計5w、5f及び混合物流量計5によって測定される。水源側流量計及び燃料源側流量計5w、5f及び混合物流量計5は測定された質量流量をコントローラ360に提供し、該コントローラは式(3)及び(4)を用いて質量流量濃度係数を計算し、式(2)を用いて燃料/水の混合物のカロリー量QNEW を計算し、燃料/水の混合物についてSFOC を計算する。
【0039】
燃料/水の混合物についてSFOC を計算するとき、次の式(5)に示されるように、燃料/水の混合物のカロリー量QNEWがQTEST の代わりに使用される。
【数8】
ここで
SFOCCORR=燃料/水の混合物について補正された燃料油消費率(g/kWh)
【0040】
従って、ベースラインまたは工場での受入れ試験SFOCでは燃料油の発熱量QCONTしか使用されていなかったが、修正された燃料油消費率SFOCCORRには水分のカロリー量が含まれている。
【0041】
SFOC を修正するのに他の方法が用いられる。例えば、混合物についてSFOCを修正するための代替方法は、「消費される燃料質量」値を修正し、「燃料カロリー量」値を修正しないままにすることによる。「消費される燃料質量」の値は、全流体の燃焼測定値を使用する代わりに、燃料の混合物に添加された燃料のみを使用することによって修正される。或いは、水源側流量計及び燃料源側流量計5w、5f及び混合物流量計5による流量測定は体積流量測定であり得る。従って、燃料消費量の計算は、質量ではなく体積に基づいている。以下は、燃料/水の混合物の燃料消費量を計算する方法を示す。
【0042】
方法
図4は、燃料と水の混合物の燃料消費量を計算する方法400を示す。方法400は、ステップ410において燃料/水の混合物を流すことによって開始する。燃料/水の混合物は、燃料源310によって供給される燃料油と水源315によって供給される水との混合物であり得るが、任意の適切な燃料/水の混合物を使用することができる。燃料/水の混合物は、第1のミキサー330内で混合され、混合物流量計5に供給されてもよい。燃料及び水の濃度は、例えば、燃料又は水の流量を制御することによって経時的に変化し得る。
【0043】
ステップ420にて、方法400は、燃料/水の混合物中の燃料と水の流量を測定する。燃料及び水の濃度が変化するために、燃料及び/又は水の測定された質量流量は変化する。水及び燃料の流量は、水源側流量計及び燃料源側流量計5w、5fによって測定することができる。水源側流量計及び燃料源側流量計5w、5fは、測定された燃料及び水の流量をコントローラ360に提供することができる。同様に、燃料/水の混合物の流量は、混合物流量計5によって測定され、コントローラ360に供給される。
【0044】
ステップ430にて、方法400は、測定された燃料及び水の流量に基づいて燃料消費量を計算する。計算された燃料消費量は、式(5)を使用して計算され修正された燃料油消費率SFOCCORRであり得るが、任意の適切な燃料消費量計算が使用され得る。式(2)―(5)を参照すると、燃料/水の混合物の正味のカロリー量QNEWは、燃料と水の質量流量mFLOW FUEL、mFLOW WATERに基づいて計算することができる。修正された燃料油消費率SFOCCORRは、燃料/水の混合物の正味のカロリー量に基づいて計算することができる。
【0045】
燃料消費量は連続して計算される。例えば、コントローラ360は水源側流量計及び燃料源側流量計5w、5fからmFLOW FUEL、mFLOW WATERを連続して受信し、混合物流量計5から総質量流量mFLOW TOTAL を連続して受信し、連続して且つ反復して修正された燃料油消費率SFOCCORRを計算する。更に又はこれに代えて、質量流量mFLOW FUEL、mFLOW WATER、mFLOW TOTAL 測定値間の時間遅延及び対応する燃料/水の混合物の消費量が含まれる。例えば、修正された燃料油消費率SFOCCORRは遅延分が相殺された測定データで計算されて、指示された出力Kとエンジン駆動ポンプEDPとの比、ならびに経時的に変化する他の任意の補正係数が、エンジン20によって実際に消費される燃料/水の混合物に対応することを確実にする。遅延は固定値でもよく、又は燃料/水の混合物の質量流量mFLOW TOTALに相関してもよい。
【0046】
上記で説明したように、燃料制御システム300と方法400は、燃料/水の混合物の燃料消費量を計算する。燃料消費量は、燃料の質量流量及び水の質量流量に基づいて計算することができ、それらは水源側流量計及び燃料源側流量計5w、5fによって測定され得る。コントローラ360は、燃料/水の混合物中の燃料と水の両方のカロリー量を使用して燃料消費量を計算することができる。燃料/水の混合物の発熱量は、燃料/水の混合物中の燃料と水の質量濃度に基づく。例えば、修正された燃料油消費率SFOCCORRは、修正された燃料/水の混合物のカロリー量QNEWを用いて計算することができ、それによって燃料/水の混合物中の水のカロリー量を修正する。
【0047】
その結果、エンジン20が燃料/水の混合物を消費しているとしても、エンジン20の燃料油消費率SFOCは、ISO規格(例えば、ISO 3046-1)に基づいて計算され、工場受入れ試験SFOCと比較されて、エンジンの現在のライフサイクル使用量を決定する。このISO規格比較はまた、エンジン製造業者によって販売されている予防メンテナンス/保守プログラムの有効性を証明するためにも使用することができる。修正された燃料油消費率SFOCCORRを使用すると、未修正の燃料油消費率SFOC計算を使用した場合よりも、予防メインテナンス/サービスプログラムの有効性をより正確に評価し得る。
【0048】
上記の実施形態の詳細な説明は、本発明の範囲内であると本発明者らが考えているすべての実施形態の網羅的な説明ではない。実際、当業者であれば、上述の実施形態の特定の要素は、さらなる実施形態を作成するために様々に組み合わせるまたは削除されることができ、このようなさらなる実施形態は本明細書の範囲および教示に含まれることを認識すべきであろう。また、当業者には、上述の実施形態を全体的または部分的に組み合わせて、本明細書の範囲および教示内の追加の実施形態を作成することができることは明らかであろう。
【0049】
従って、特定の実施形態が本明細書において例示目的で記載されているが、当業者が認識するように、本明細書の範囲内で様々な均等な変更が可能である。本明細書で提供される教示は、上述され添付の図面に示される実施形態だけでなく、他の燃料/水の混合物の燃料消費計算にも適用することができる。従って、上記の実施形態の範囲は、以下の特許請求の範囲から決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4