(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】非面皰形成性の毛髪および頭皮ケア製剤ならびにその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20220105BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20220105BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20220105BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20220105BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q5/02
A61Q5/12
A61Q5/06
A61Q5/00
(21)【出願番号】P 2019516919
(86)(22)【出願日】2017-06-09
(86)【国際出願番号】 US2017036745
(87)【国際公開番号】W WO2017214497
(87)【国際公開日】2017-12-14
【審査請求日】2020-06-09
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518436283
【氏名又は名称】クラリティ コスメティックス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】ルービン アイリス
(72)【発明者】
【氏名】メイジド グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ガルート ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マッカーバー ベサニー
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-246361(JP,A)
【文献】特表2014-500853(JP,A)
【文献】特表2013-539796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0256249(US,A1)
【文献】米国特許第05863546(US,A)
【文献】Fulton, Jr., J.E.,"Comedogenicity and irritancy of commonly used ingredients in skin care products",Journal of the Society of Cosmetic Chemists,1989年,Vol. 40, No. 6,pp. 321-333
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンプーとして製剤化された非面皰形成性の毛髪および頭皮処置組成物であって、
10.0-70.0%の量で存在する水、
0.05-5.00%の量で存在するグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、
0.01-1.00%の量で存在するフェノキシエタノール、
0.01-1.00%の量で存在するエチルヘキシルグリセリン、
10.0-70.0%の量で存在するラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム、
1.00-20.0%の量で存在するコカミドプロピルアミンオキシド、
1.00-15.0%の量で存在するアクリレートコポリマー、
0.01-10.0%の量で存在するC13-C15アルカン、
0.01-1.00%の量で存在するビサボロール、及び
0.01-5.00%の量で存在するアミノメチルプロパノールを含有し、
2より大きいFulton鱗屑等級を有する面皰形成性要素を排除する、組成物。
【請求項2】
2より大きいFulton鱗屑等級を有する刺激性要素を排除する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
油、パラベンおよびスルフェートを排除する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
さらに、抗炎症剤、抗刺激剤、抗菌剤、皮脂調整剤、角質分解剤およびそれらの混合物からなる群から選択される要素を含むことを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
EDTA二ナトリウム、
グリセリン、
クエン酸、
ジステアリン酸グリコール、および
香料
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
0.01-1.00%の量で存在するEDTA二ナトリウム、
0.01-10.0%の量で存在するグリセリン、
0.01-2.00%の量で存在するクエン酸、
0.10-10.0%の量で存在するジステアリン酸グリコール、
0.01-3.00%の量で存在する香料
をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
清浄化用シャンプー又はドライシャンプーとして製剤化された、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
男性の毛髪への塗布のために製剤化された、女性の毛髪への塗布のために製剤化された、13歳~19歳の若者(teenager)の毛髪への塗布のために製剤化された、又は9歳~12歳の子供(pre-adolescent children)の毛髪への塗布のために製剤化された、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
包装された請求項1に記載の組成物と使用説明書とを含むキット。
【請求項10】
洗髪のための方法であって、それに請求項1の組成物を塗布することを含む、方法。
【請求項11】
ヘアーコンディショナーとして製剤化された非面皰形成性の毛髪および頭皮処置組成物であって、
50.0-90.0%の量で存在する水、
0.10-5.00%の量で存在するフェノキシエタノール、
0.01-1.00%の量で存在するクエン酸、
1.00-10.0%の量で存在するステアラミドプロピルジメチルアミン、
0.50-10.0%の量で存在するセテアリルアルコール、
0.1-5.00%の量で存在するベヘントリモニウムクロリド、
0.50-5.00%の量で存在するパルミチン酸セチル、
0.50-15.0%の量で存在するC13-C15アルカン、
0.10-8.00%の量で存在するシアバターセチルエステル、
0.01-1.00%の量で存在するビサボロールを含有し、
2より大きいFulton鱗屑等級を有する面皰形成性要素を排除する、組成物。
【請求項12】
EDTA二ナトリウム、
ポリソルベート80、
グリセリン、および
香料
のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
0.01-1.00%の量で存在するEDTA二ナトリウム、
0.10-5.00%の量で存在するポリソルベート80、
0.01-10.0%の量で存在するグリセリン、および
0.01-5.00%の量で存在する香料
をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
浸透性ヘアーコンディショナーとして製剤化される、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
整髪のための方法であって、それに請求項11の組成物を塗布することを含む、方法。
【請求項16】
非面皰形成特性および/または非ざ瘡形成特性を有する整髪用組成物であって、
50-90%の量で存在する水、
0.5-15%の量で存在するC13-C15アルカン、
0.01-1%の量で存在するビサボロール、
0.1-5%の量で存在するフェノキシエタノール、
0.5-10%の量で存在するセテアリルアルコール、
0.1-5.0%の量で存在するベヘントリモニウムクロリド、及び
加水分解イナゴマメ種子抽出物、トウモロコシデンプン、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、及びポリクオタニウム-7の組み合わせを含み、
整髪用クリーム又は整髪用ゲルであり、
パラベンおよびスルフェートを排除する、組成物。
【請求項17】
EDTA二ナトリウム、エチルヘキシルグリセリン、およびクエン酸をさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
EDTA二ナトリウムが1%までの量で存在し、エチルヘキシルグリセリンが2.0%までの量で存在し、クエン酸が1.0%までの量で存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
グリセリンおよびMoringa oleifera種子抽出物をさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項20】
グリセリンおよびMoringa oleifera種子抽出物の組み合わせをさらに含み、前記グリセリンおよび前記Moringa oleifera種子抽出物の組み合わせが8%までの量で存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項21】
前記加水分解イナゴマメ種子抽出物、前記トウモロコシデンプン、前記グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、及び前記ポリクオタニウム-7の組み合わせが10%までの量で存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項22】
グリセリンおよびMoringa oleifera種子抽出物の組み合わせをさらに含み、
前記グリセリンおよび前記Moringa oleifera種子抽出物の組み合わせが8%までの量で存在し、
前記加水分解イナゴマメ種子抽出物、前記トウモロコシデンプン、前記グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、及び前記ポリクオタニウム-7の組み合わせが10%までの量で存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項23】
シアバターセチルエステルをさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項24】
シアバターセチルエステルをさらに含み、前記シアバターセチルエステルが0.1-8.0%の量で存在する、請求項16に記載の組成物。
【請求項25】
香料を5.0%までの量でさらに含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項26】
非面皰形成特性および/または非ざ瘡形成特性を有する整髪用組成物であって、
50-90%の量で存在する水、
0.5-15%の量で存在するC13-C15アルカン、
0.01-1%の量で存在するビサボロール、
1%までの量で存在するEDTA二ナトリウム、
0.1-5%の量で存在するフェノキシエタノール、
2.0%までの量で存在するエチルヘキシルグリセリン、
0.5-10.0%の量で存在するセテアリルアルコール、
0.1-5.0%の量で存在するベヘントリモニウムクロリド、
1.0%までの量で存在するクエン酸、
8%までの量で存在する、グリセリンおよびMoringa oleifera種子抽出物の組み合わせ、および
10%までの量で存在する、加水分解イナゴマメ種子抽出物、トウモロコシデンプン、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、及びポリクオタニウム-7の組み合わせを含む、組成物。
【請求項27】
パラベンおよびスルフェートを排除する、請求項26の組成物。
【請求項28】
さらなるポリマー、シアバターセチルエステル、および香料の1以上をさらに含む、請求項26の組成物。
【請求項29】
毛髪および頭皮用組成物であって、
10.0-70.0%の量で存在する水、
0.01-10.0%の量で存在するC13-C15アルカン、
10%までの量で存在するグリセリン、
0.01-1.00%の量で存在するフェノキシエタノール、さらに
グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリクオタニウム-7、エチルヘキシルグリセリン、コカミドプロピルアミンオキシド、アクリレートコポリマー、およびジステアリン酸グリコールを含み、
2より大きいFulton鱗屑等級を有する面皰形成性要素を排除し、
パラベンおよびスルフェートを排除する、組成物。
【請求項30】
香料を含まず、
毛包の炎症を軽減し、毛髪を強くする、請求項
29に記載の組成物。
【請求項31】
0.01-1.00%の量のエチルヘキシルグリセリンを含む、請求項
29に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2016年6月10日に出願された米国仮特許出願第62/348,510号および2017年6月9日に出願された米国特許出願第15/618,420号の利益を主張するものであり、参照により、それらの内容および開示の全体から明示されるのと暗示されるものとの両方を本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
人が毛髪用品をその人の毛髪に使用するとき、上記毛髪用品が様々な機序によって皮膚に入り込み得る。例えば、毛髪にシャンプーおよび/またはコンディショナーを使用するとき、シャンプーおよびコンディショナーは、直接接触によって、あるいはそれらが洗い流されてシャワーの掛かっている皮膚を流れ落ちる際に、頭皮、顔面、首、胸、肩および背中に不可避的に接触する。
【0003】
シャンプーやコンディショナーなどの洗い流しタイプの製品を含め、多くの毛髪ケア製品は、製品が後に毛髪から洗い落とされた後にさえ残留物を残すようにも設計される。リーブイン毛髪用品は、設計上、洗い落とされずに常に残留物を残す。この残留物は毛髪にとって良いものであり得るが、しばしば皮膚に問題を引き起こし得る。この残留物は、頭皮上の皮膚との直接接触によって、および例えば塗布後に毛髪から顔面へと垂れ落ちることによって、ならびにそれがシャワーの掛かっている人の顔面、首、胸、肩および/または背中を流れ落ちるときに、そのまま皮膚上に堆積し得る。この残留物はさらに、物体が継続的に人の毛髪と接触してその後にその人の皮膚に接触するときに間接的に人の皮膚に堆積し得る。例えば、人がその人の毛髪をタオルで乾かす場合、残留物はタオルを介してその人の体の他の部分へ移され得る。残留物はまた、枕カバーによって人の毛髪からその人の顔面へ移され得る。
【0004】
ほとんどの毛髪ケア製品は、使用毎の皮膚との接触が不可避的であるという事実にもかかわらず、利用者の皮膚に製品が与えるであろう影響について考慮せずに開発される。多くの毛髪ケア製品は、特に毛髪ケア製品が1回に数日間放置されるように意図されている場合、経時的にも皮膚上または頭皮上に蓄積する可能性があり、結果として毛髪ケア製品は利用者の皮膚に劇的に悪影響を与え得る。多くの毛髪ケア製品は、何人かの利用者において皮膚刺激を誘発する可能性がある成分も含有する。いくつかの事例では、毛髪処置と皮膚処置とで処置方式が相容れないこともあり得、例えば、毛髪のカラーリングに起因して髪の毛がパサついている人は、かなりの量の油およびトリートメント剤を必要とし得、そのいくつかは皮膚にとって面皰形成性である場合がある。
【0005】
米国皮膚科学会[AAD]によると、「面皰」は、毛穴内で余分な皮脂に角質(皮膚屑)が組み合わさることによって生み出される、白にきび、黒にきびおよび吹き出物(pimples)につながり得る硬い詰まり、「ざ瘡病巣」である。したがって、「面皰形成性」という用語は、毛穴に詰まって面皰またはざ瘡を促進する傾向のある成分または製品を指す。
【0006】
巻き毛および/または縮毛を有する人は、面皰形成性であり得るかまたは他の成分と組み合わさって面皰形成性になり得る油やトリートメント剤などの成分を慣例的に含有する潤滑剤製品を使用することがある。例えば、いくつかの一般的な毛髪潤滑剤製品、例えばいくつかのシリコーン系毛髪潤滑剤製品は、それ自体では顕著な面皰形成性が見出されていないが、製剤中の他の成分の浸透性を増大させることが見出されており、それは面皰形成性のより高い製品をもたらし得る。これは、多くの事例で毛髪ケア製品が、米国内で最も一般的な皮膚疾患であるざ瘡(または「尋常性ざ瘡」)などの皮膚症状の一因となってそれを増悪させる可能性があるということを意味する。
【0007】
尋常性ざ瘡は、米国内だけで5千万人に及ぶ人々を冒している。ざ瘡は単に13歳~19歳の若者を冒すだけの症状ではない。ざ瘡は成人女性に非常に蔓延しており、ある研究は、21~30歳の女性の45%、31~40歳の26%、および41~50歳の12%が臨床的ざ瘡を有していたことを示している。さらに、女性の成人ざ瘡は増加しつつある。米国皮膚科学会(AAD)によると、ざ瘡は抑鬱、不安、および好ましくない自己像の一因となり得る。それはまた、永久的瘢痕を残すことがある。
【0008】
ざ瘡は、毛包(毛嚢脂腺ユニット)が詰まったときに生じ得る。ざ瘡は、面皰、つまり開放面皰(「黒にきび」)か閉鎖面皰(「白にきび」)かのどちらかであり得る皮膚の詰まった毛穴によって特徴付けられる。ざ瘡は、炎症性の丘疹または膿疱、嚢胞もしくは結節として現れ得る吹き出物(pimples)によっても特徴付けられる。
【0009】
ざ瘡はいくつかの機序によって引き起こされる:炎症、油/皮脂、毛包過角化、propionibacterium acnes(p.acnes)、細菌、およびホルモン。皮脂は、皮膚の皮脂腺によって分泌される油状物質であり、死滅皮膚細胞が貼り付き合うことを招き得、それが毛穴に詰まって毛包を塞ぎ得、ざ瘡を引き起こす。皮脂分泌はざ瘡重症度と相関しており、多い皮脂分泌はより重大なざ瘡に相関する傾向にあり、いくつかの事例では、大きい皮脂分泌速度は炎症性ざ瘡の決定的因子でさえあり得る。
【0010】
p.acnesは、皮膚上に生息する細菌であり、毛包の内部に入り炎症の一因となって丘疹、嚢胞および結節を含めた炎症性ざ瘡病巣をもたらすこともあり得る。従来、全ての炎症性ざ瘡病巣は面皰に起因していると考えられていた。最近になって、ざ瘡は原発性炎症症状であることが同定された。炎症が、ざ瘡発症の全ての段階において一定の役割を果たしており、さらには面皰形成前に亜臨床的に観察され得るということが立証されている。
【0011】
ざ瘡は、特定の化粧品または整髪用品によっても引き起こされ得るかまたは増悪し得る。「化粧品性ざ瘡」は、限定されないがメーキャップおよび日焼け止めを含めた特定の化粧用品の使用によって引き起こされるかまたは増悪する、ざ瘡の一形態である。「化粧品性ざ瘡」は、これらの製品によって化学的に誘導された毛包閉塞によって生じることが典型的である。特定の化粧用品はさらに、ざ瘡に似た外観を有して肌色、桃色または赤色であり得る皮膚上の小さい隆起として見受けられる毛包炎すなわち毛包の炎症をもたらすことがある。
【0012】
例えば、「化粧品性ざ瘡」に似た症状である「ポマードざ瘡」も、化学的に誘導された毛包閉塞によって生じ、油性の毛髪ケア整髪用品によって引き起こされる額上の隆起によって特徴付けられる。この症状は元来、主としてアフリカ系アメリカ人男性においてみられるものであった。「化粧品性ざ瘡」および「ポマードざ瘡」はどちらも一般に「ざ瘡様皮疹」とも呼ばれ得る。より最近になって、ポマードざ瘡は、毛髪を滑らかにし、光沢を与え、縮れを軽減する毛髪用品に起因して男女両方のあらゆるタイプの皮膚の問題となっているという見方がなされた。これらの製品は、毛穴を詰まらせ細菌を捕捉し炎症を引き起こす油および蝋を含有し得る。これらの製品の利用者は、これらの製品が彼らの毛髪に残っている場合に彼らの枕へと移ることを認め得、その結果、これらの製品の利用者は、彼らの顔面が一晩中、油状、蝋状の毛髪用品にまみれていることを認め得る(他の毛髪用品、特に、一日程度のうちに洗い落とされるように設計されていない製品も、同様の問題を引き起こし得る。)。
【0013】
これらの毛髪用品中の、毛穴を詰まらせてざ瘡を引き起こす成分は、整髪およびトリートメントのために使用される油および蝋に限定されない、というのも、他の成分が問題となることがあるからである。面皰形成性または潜在的に面皰形成性である構成成分としては、PVP/DMAPAアクリレート、シクロペンタシロキサン、パンテノール、ジメチコン、いくつかの(典型的には軽度である)シリコーン、クオタニウム-70、油および鉱油が挙げられる。これらの成分は、それら自体が面皰形成性であり得るかまたは、上述したように、他の成分の面皰形成性、刺激性および/またはアレルギー潜在性を増大させ得る。例えば鉱油は、それ自体は非面皰形成性であるが、閉塞性であり、水分およびその他の成分を毛包内に捕捉してより強い反応をこれらの成分に起こさせ得る。
【0014】
成人ざ瘡を有する患者には、以下のラベルのうちの1つを有する毛髪ケア製品を含めた個人医療製品を使用することをAADは推奨している:「非面皰形成性」、「非ざ瘡形成性」、「油不含」または「毛穴に詰まらない」。しかしながら、これらのラベルは毛髪ケア製品には認められない、というのも、毛髪ケア製品は「非面皰形成性」、「非ざ瘡形成性」または「油不含」となるようには製剤化されないのが典型的であるからである。今日、毛髪ケア製品の面皰形成性もしくはざ瘡形成性を試験すること、またはざ瘡傾向のある皮膚のために油不含の毛髪ケア製品を提供することは標準ではない。実際、美容業界では毛髪ケア製品に油を添加する傾向がある。
【0015】
多くの一般的毛髪ケア製品、例えば、シャンプー、コンディショナーおよびその他の毛髪ケア製品は、面皰形成性であるかまたはそうなる潜在性を有する油を含有する。既に述べたように、他の製品、例えばシリコーンも、製剤中の他の製品と組み合わさって面皰形成性となり得る。限定されないが整髪用クリーム、ゲル、ポマード、ヘアースプレー、潤滑剤セラム、熱整髪用スプレー、縮れ防止セラム、熱保護剤および光沢スプレーを含めた多くのリーブイン製品も、面皰形成性であり得るこれらの油およびシリコーンをかなりの量で含有する。毛髪ケア製品中の他の物質も潜在的に面皰形成性である。
【0016】
面皰形成性または潜在的に面皰形成性である物質の一覧には、限定されないが、アセチル化ラノリン、アセチル化ラノリンアルコール、アルギン、アーモンド油、杏仁油、アボカド油、グレープシードオイル、オキシ塩化ビスマス、ステアリン酸ブチル、カラギーナン、セテアレス20、酢酸セチル、ココアバター、ココナッツ油、コールタール、水素添加油、D&C Red#17、D&C Red#21、D&C Red#3、D&C Red#30、D&C Red#36、オレイン酸デシル、スルホコハク酸peg-2オレアミド二ナトリウム、ラノリン、ラノリン誘導体、パルミチン酸エチルヘキシル、ステアリン酸グリセリル(SE)、グリセリル-3-ジイソステアリン酸、ヘキサデシルアルコール、水素添加植物油、イソセチルアルコール、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ネオペンタン酸イソステアリル、ラウレス-23、ラウレス-4、ラウリン酸、ミンクオイル、ミリスチン酸、乳酸ミリスチル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、オレイン酸、オレエート、オレス-3、オレイルアルコール、オリーブ油、ジラウリン酸peg200、ステアリン酸PEG8、モノステアリン酸PG、プロピオン酸PPG2ミリスチル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-3、モノステアリン酸プロピレングリコール、ゴマ油、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ソルビタン、大豆油、ステアレス10、ヘプタン酸ステアリル、硫酸化油、トリエタノールアミン、小麦胚芽性グリセリド、小麦胚芽油、および特定のトリートメント剤が含まれる。上記物質のうちのいくつかを含めた閉塞性薬剤は、しばしば面皰形成性およびざ瘡の一因となり得る。面皰形成性物質に関する記述については、Fulton,J.Soc.Cosmet.Chem.,40,321-333(November/December 1989)「Comedogenicity and irritancy of commonly used ingredients in skin care products」を参照されたい。
【0017】
その上、ほとんどのシャンプーは、潜在的に刺激性である界面活性剤、例えば硫酸系界面活性剤を含有し、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリル硫酸アンモニウムは、刺激を引き起こし得る一般的な界面活性剤である。皮膚への刺激は、ざ瘡に似た外観を有し得る毛包炎および皮膚上の小さい丘疹をもたらすことがある。生じる毛包炎は、大半の毛髪ケア製品利用者にとってはざ瘡と区別が付かない。毛包の刺激はさらに、毛髪ケア製品中の他の物質の皮膚毛包内への浸透性を増大させ得、毛髪ケア製品製剤中の他の物質を含めた皮膚と接触し得る多くの物質の潜在的な面皰形成性およびざ瘡形成性を増大させる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0018】
【文献】Fulton,J.Soc.Cosmet.Chem.,40,321-333(November/December 1989)「Comedogenicity and irritancy of commonly used ingredients in skin care products」
【発明の概要】
【0019】
非面皰形成性および/または非ざ瘡形成性の毛髪ケア製剤が開示され得る。いくつかの実施形態では、毛髪ケア製剤は、例えば、シャンプー、コンディショナー、または整髪用品、例えば、整髪用スプレー、ヘアースプレー、光沢増強剤、ルーツスプレー、ヘアーマスク、ジェルもしくは整髪用クリームまたはそれらの何らかの組み合わせを含めた任意の種類の毛髪ケア製品であり得る。そのような製剤は、利用者の皮膚に刺激またはざ瘡を引き起こすかまたはそれを増大させずに、利用者の洗髪、毛髪の調子を整えること、および/または整髪を可能にし得る。そのような製剤はさらに、皮膚刺激、腫れ物および/またはざ瘡を消散させるのに役立ち得る。
【0020】
例示的実施形態において、製剤は、洗髪のための2ステップ方法の一部として使用され得る。第1ステップでは、非面皰形成性および/または非ざ瘡形成性のシャンプーを塗布して毛髪を清浄化し、第2ステップでは、非面皰形成性および/または非ざ瘡形成性のヘアーコンディショナーが塗布され得る。
【発明の詳細な説明】
【0021】
以下の説明および本発明の具体的実施形態に関する関連図において本発明の態様を開示する。本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく代替実施形態が考案され得る。さらに、本発明の例示的実施形態の周知の要素については、本発明に関して重要な詳細が不明瞭にならないように、詳しく記載しないかまたは割愛することにする。さらに、説明の理解を容易にするために、本明細書中で使用するいくつかの用語について以下に述べる。
【0022】
「例示的」という用語は、「例、事例または例証としての役割を果たす」ということを意味して本明細書中で使用される。本明細書に記載のいかなる「例示的」な実施形態も、他の実施形態より好ましいかまたは有益であると必ずしも解釈されるべきでない。同様に、「本発明の実施形態」という用語は、述べられている特徴、利点または作用様式を本発明の全ての実施形態が含むことを要求するものではない。
【0023】
例示的実施形態によれば、非面皰形成性であるかまたは、非ざ瘡形成性でありかつざ瘡を引き起こす傾向のない(非ざ瘡形成性である)、特定の毛髪ケア製剤が開示され得る。いくつかの実施形態では、そのような毛髪ケア製剤は、ざ瘡、ざ瘡様皮疹、毛包炎、吹き出物(pimples)、傷および/または皮膚の腫れ物を防止、改善および/または緩和し得る。
【0024】
別の例示的実施形態によれば、毛髪ケア製剤を使用する方法が描写され得る。そのような方法は、所望により、単独で、または処置方式の一部として用いられ得る。例えば、例示的実施形態において、毛髪ケア製剤は、多ステップのシャワー方法において使用され得る。この方法は、ステップ1においてシャンプーを塗布することと、ステップ2においてコンディショナーを塗布することとを含み得る。いくつかの例示的実施形態では、所望により毛髪ケア製品を、毛髪ケア製剤を使用する方法の一部として使用してもよいし、または独立して使用してもよい。これらの製品または他の製品(例えば、シャンプー、コンディショナーおよび整髪用製品)は、キットの一部として販売され得、所望により、互いに適合性を有するかまたは互いを補うように設計され得る。
【0025】
既に述べたように、毛包過角化(角化細胞が貼り付き合って毛穴に詰まる)、炎症、皮脂、propionibacterium acnes、ホルモンおよびその他の因子を含めた様々なざ瘡の原因が存在する可能性がある。そのため、非面皰形成性または非ざ瘡形成性の毛髪ケア製品の例示的実施形態は、所望により、角質分解剤、抗炎症剤、皮脂調整剤および/または抗菌剤、ならびに他の成分または添加剤を含み得る。いくつかの例示的製剤では、上記構成成分のうちの1つ以上のみが添加され得る。例えば、例示的実施形態では、抗炎症剤が添加されてもよく、角質分解剤、皮脂調整剤または抗菌剤は添加されなくてもよい。所望により、他の組み合わせも想定され得る。
【0026】
例示的実施形態によれば、角質分解剤は、組成物に添加され得、例えば異常な毛包角化を調整および矯正するために使用され得る。これは、毛包の妨害およびそれに続く細菌の過増殖を防止するのに役立ち得る。製剤に使用され得る例示的な角質分解剤としては、柳樹皮(サリシン)またはバクチオールが挙げられる。他の例示的実施形態では、上に述べたように、角質分解剤が存在していなくてもよい。
【0027】
例示的実施形態によれば、抗炎症剤は、組成物に添加され得、例えば皮膚の炎症を軽減するために使用され得、その結果、面皰、丘疹、嚢胞および結節を含めたざ瘡病巣を防止および/または改善し得る。製剤に使用され得る例示的な抗炎症剤としては、ビサボロール(抗炎症性カモミール誘導体)、グリチルレチン酸ステアリル、またはグレープフルーツ種子抽出物(Citrus Grandis種子抽出物)が挙げられる。製剤に使用され得る例示的な抗刺激剤としては、エンドウ豆タンパク質が挙げられる。
【0028】
例示的実施形態によれば、皮脂調整剤は、組成物に添加され得、例えば皮膚の皮脂腺から分泌される皮脂の量を制御するために使用され得る。臨床的には、皮脂を減少させる手段はざ瘡を改善させることが示された。例えば、全身処置および局所処置は両方とも利用可能であり得る。製剤の例示的実施形態は、所望により、1つ以上の局所用皮脂調整剤を利用し得る。全身用レチノイド、例えばイソトレチノインは、皮脂を減少させるものであり、利用可能な最も強力なざ瘡処置の1つであるが、通常は経口投与されねばならない。それゆえ、製剤の例示的実施形態は、所望により、患者の同時的な全身用レチノイド処置または他の経口的もしくは局所的ざ瘡処置との適合性を有するように製剤化され得る。製剤に使用され得る例示的な皮脂調整剤としては、酢酸ファルネシル、トリ酢酸パンテニル、酢酸トコフェリル、またはグレープフルーツ種子抽出物(Citrus Grandis種子抽出物)が挙げられる。別の例示的実施形態では、上に述べたように、皮脂調整剤が存在していなくてもよい。製剤の例示的実施形態は、所望により、別個の局所的ざ瘡処置方式との適合性を有するように製剤化され得る。
【0029】
例示的実施形態によれば、他の成分または添加剤を製剤に添加してもよい。これらは、様々な目的を果たすもの、または多くの目的を果たすものであり得る。例えば、例示的な添加剤は、所望され得るように、汚染から保護するかもしくは紫外線(UV)から保護する目的、またはその他の目的のために添加され得る。製剤に添加され得る例示的な多機能性添加剤としては、藻類抽出物、クロスグリおよびラズベリーの葉からの圧搾汁、アボカド油脂肪酸ブチル、PCA亜鉛、エピロビウムフレイスケリ抽出物、ラミナリアクロウストニ抽出物、グレープフルーツ種子抽出物(Citrus Grandis種子抽出物)、またはMoringa oleifera種子抽出物(ホースラディッシュツリー)が挙げられる。しかしながら、他の例示的実施形態では、所望され得るように、多機能性添加剤が製剤に添加されていなくてもよい。
【0030】
例示的実施形態によれば、所望により、1つ以上の高分子量成分が製剤に添加され得る。例えば、例示的実施形態によれば、大きい構成要素、例えばポリエチレングリコール(PEG)のポリマーが製剤に添加され得る。これは、製剤全体の面皰形成性を低下させる役割を果たし得る。
【0031】
例示的実施形態によれば、所望により、製剤全体の面皰形成性を低下させるために1つ以上の極性糖または重金属が製剤に添加され得る。例えば、例示的実施形態によれば、亜鉛が製剤に添加され得る。
【0032】
例示的実施形態によれば、製剤に使用される分子のうちの1つ以上のエトキシ化度を向上させてもよく、または1つ以上のエトキシ化物質を添加してもよい。
【0033】
例示的実施形態によれば、面皰形成性であることが知られているかまたは潜在的に面皰形成性である成分は、製剤から排除され得る。例えば、例示的実施形態において、製剤は、油不含であり得、ラウレス-4、ミリスチン酸イソプロピルおよびその誘導体、ラノリン、蝋、ならびに特定のトリートメント剤を含まないものであり得、さらには上または以前の節で列挙されている他の面皰形成性またはざ瘡形成性の化合物または組成物を含まないものでもあり得る。閉塞性薬剤、例えば上記物質のうちのいくつかは、しばしば面皰形成性およびざ瘡の一因となり得る。一実施形態において、刺激性もしくは潜在的に刺激性であることが知られている成分または、一般的なアレルゲンとして機能するか、もしくは低アレルゲンであることが知られていない成分も、製剤から排除され得る。例えば、例示的実施形態によれば、製剤はスルフェート不含であり得る。いくつかの実施形態では、別の成分の面皰形成特性またはざ瘡形成特性を増悪させ得る成分であるがそれ自体に顕著な面皰形成特性またはざ瘡形成特性がない成分、例えばシリコーンも、排除され得る。例えば、いくつかの例示的実施形態では、シリコーン代替物、例えばヘミスクアラン(皮膚にとって有益な非面皰形成性シリコーン代替物)でいくらかの量のシリコーンが置き換えられ得る。他のいくつかの例示的実施形態では、シリコーンまたは、別の成分の面皰形成性もしくはざ瘡形成性作用を増悪させ得る別の成分を含み得、その代わりに製剤の面皰形成特性またはざ瘡形成特性が、製剤の他の成分の制御によって制御され得る。
【0034】
例示的実施形態では、面皰形成性であることが知られているかまたは特定レベルで製剤中に存在する場合に潜在的に面皰形成性であることが知られている成分は、それらが面皰形成性となるレベルよりも低く保たれ得る。例えば、例示的実施形態によれば、非面皰形成性コンディショナーは、製剤中に存在するセテアリルアルコールの量を減らすが排除はしないことによって、提供され得る。セテアリルアルコールは、高濃度では面皰形成性となり得るが、低濃度では反応が最低限に抑えられ得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、製品はパラベン不含、ホルムアルデヒド不含、およびフタレート不含にもされよう。または当該製品は、それらの構成成分のうちのどれについても顕著な量で含んでいないものであり得る。
【0036】
全般的には、Fulton鱗屑等級[Fulton,J.Soc,Cosmet.Chem.,40,321-333(November/December 1989)「Comedogenicity and irritancy of commonly used ingredients in skin care products」]が約2より大きい成分は本発明の組成物から排除され得る。
【0037】
例示的実施形態では、製剤のpHは所望のレベルに制御され得、それは、刺激および炎症を軽減する役割を果たし得る。典型的な人の皮膚が弱酸性であり、典型的にはpHがおよそ5.5~6.5であるのに対し、多くの石鹸、特に固形石鹸はpHが弱塩基性(およそ8~9)となるように製剤化され得る、ということは理解され得る。これは、皮膚刺激および炎症を引き起こし得る。例示的実施形態によれば、所望により製剤のpHが中性または弱酸性となるように1つ以上の酸が製剤に添加され得る。いくつかの例示的実施形態では、異なる非面皰形成性および/または非ざ瘡形成性毛髪ケア製剤において異なる最適範囲が目標とされ得る。例えば、例示的実施形態では、シャンプーの最適pHは5.5~6.5であり得、コンディショナーの最適pHは4.8~5.3であり得る。他の例示的実施形態では、所望によりpHを別のレベルに制御してもよく、他の例示的実施形態では、pHを制御するために、組成物に添加剤を添加しなくてもよい。
【0038】
別の例示的実施形態では、組成物はまた、毛髪ケア製品としての所望の品質を有するように製剤化されてもよい。例えば、例示的実施形態によれば、組成物は、洗い流し可能であり得、洗い流されたときに皮膚に優しい残留物のみが残るように設計され得る。これは、製品による刺激または面皰形成性の潜在性をさらに低く抑え得る。製品が洗い流し可能であることはさらに、所望され得るような、他の利点、例えば皮膚に対する他の利点を提供し得る。別の例示的実施形態では、組成物は、色あせを招かないように製剤化され得るか、あるいはカラーリング処理された毛髪への影響を最小限に抑えるように製剤化され得る。
【0039】
例示的実施形態によれば、特殊化された毛髪ケア製品において使用するために組成物の変形形態が製剤化され得る。例示的実施形態では、上記毛髪ケア製品間での階層化は、髪質、利点または意図される顧客に基づくものであり得る。例えば、例示的実施形態によれば、例示的な組成物の変形形態は、女性、男性、13歳~19歳の若者(teenager)などのために特別に調製および上市され得る。例示的実施形態では、例示的な組成物の変形形態は、巻き毛、傷みのある毛髪、乾燥した毛髪、細い毛髪または扁平な毛髪、およびより典型的または正常な毛髪のために特別に調製され得る。例示的実施形態では、例示的な組成物の変形形態は、縮れ防止のため、光沢を増進するため、毛髪を滑らかにするため、毛髪を強くするため、または所望され得る他の任意の目的のために、調整され得る。
【0040】
非面皰形成特性および/または非ざ瘡形成特性を有するように製剤化された毛髪ケア製品の例示的な配合組成は、表1において開示され得、下記構成成分を以下に明記する割合で混ぜ合わせることによって作られ得る。例示的実施形態では、表1中の毛髪ケア製品は、シャンプーとして使用され得る。
【0041】
【0042】
例示的実施形態では、商標名で提供される化学組成物の構成成分を、商標名で提供される組成物の代わりに使用してもよい。例えば、例示的実施形態によれば、毛髪ケア製品の例示的な製剤は、Euxyl PE 9010を含むのではなく、フェノキシエタノールとエチルヘキシルグリセリンとを別個の構成成分として含んでもよい。これは、構成化学成分(例えば同じくフェノキシエタノールとエチルヘキシルグリセリン)を、商標名で提供される化学組成物での場合とは異なる割合で提供することを可能にし得る。表1に列挙されているアクリレートコポリマーは、Carbopol Aqua SF-1の商標名で販売されているものであり得る。しかしながら、当業者であれば、任意の適切な低架橋度レオロジー調整性アクリレートコポリマーを本発明の実施において採用してもよいことを理解するであろう。
【0043】
例示的実施形態によれば、表1の例示的毛髪ケア製品製剤は、以下のプロセスまたは以下と類似するプロセスに従って調製され得る。第1ステップでは、消毒済み混合容器を準備し得、一定量の脱イオン水を消毒済み混合容器に加え得る。その後、A部の残りの構成成分(表2に示す例示的事例ではEDTA二ナトリウム)を混合容器内に混ぜ入れ得る。
【0044】
次のステップでは、B部の成分を予め混合し得、その後、バッチに添加し得る。バッチが均一になるまで成分をバッチと混合し得る。その後、混ぜ合わせたバッチにC部の成分を添加し得、結果として生じるバッチが完全に滑らかになるまで再び混合し得る。
【0045】
その後、A部、B部およびC部を混ぜ合わせたものを加熱し得る。例えば、例示的実施形態によれば、混ぜ合わせたバッチを60~65℃の範囲の温度に加熱し得る。
【0046】
その後、D部の成分を添加し得る。結果として生じるバッチを、全ての固形分が融解してバッチが均一になるまで混合し得る。バッチを完全に混合した時点で、バッチを40~45℃の範囲の温度に冷却し得る。
【0047】
バッチを40~45℃の範囲の温度に冷却した時点で、E部の部分を添加し得る。E部の構成成分は、添加前に予め混合してもよく、それは例えば、E部の構成成分の添加に先立つ別のステップと同時進行で行ってもよい。E部の部分を添加した時点で、結果として生じるバッチを均一になるまで混合し得る。
【0048】
結果として生じるバッチを均一になるまで混合した時点で、F部の成分を添加し得、同様に均一になるまで混合し得る。その後、バッチを約35℃の温度に冷却し得る。例示的実施形態によれば、バッチのpHをこの時点で6.50~6.75の範囲のpHに調節し得る。
【0049】
結果として生じる組成物は、真珠光沢の半粘稠ゲルの外観を有する毛髪ケア製品であり得る。色は真珠光沢を帯びた白~灰白色であり得、それはいくつかの例示的実施形態では所望により調節され得る。臭いは組成物に添加した香料に特徴的なものであり得る。いくつかの例示的実施形態では、無香性組成物を製造するために香料を減らすかまたは組成物から省いてもよい。例示的実施形態では、組成物は25℃でのpHが6.5~7.0であり得、スピンドル5で20rpmでの粘度(RVT)が25℃で1000~12,000cPsであり得、25℃での比重が0.98~1.03であり得る。例示的実施形態では、組成物は、生きた細菌もしくは真菌細胞のレベルが低く保たれ得、または他のコロニー形成単位(CFU)が約10CFU/g未満に保たれ得る。組成物はさらに、病原体を含まずに保たれ得る。
【0050】
例示的実施形態によれば、製造環境では、大規模生産に先立って1つ以上の小規模バッチ、例えば実験用バッチもしくはパイロットバッチが作られ得る。製造プロセスは、例えば特定製造環境で作ったバッチの結果に基づいて調節され得る。
【0051】
非面皰形成特性および/または非ざ瘡形成特性を有するように製剤化された毛髪ケア製品製剤の別の例示的な配合組成は表2において開示され得、下記構成成分を以下に明記する割合で混ぜ合わせることによって作られ得る。例示的実施形態では、表2の毛髪ケア製品はヘアーコンディショナーとして使用され得る。
【0052】
【0053】
例示的実施形態によれば、表2の例示的な毛髪ケア製品製剤は、以下のプロセスまたは以下と類似するプロセスに従って調製され得る。第1ステップでは、消毒済み混合容器を準備し得、一定量の脱イオン水を消毒済み混合容器に加え得る。その後、このDI水を80~85℃の範囲の温度に加熱し得る。
【0054】
その後、A部の残りの構成成分を混合容器内に混ぜ入れ得る。例示的実施形態によれば、A部の残りの構成成分は、例えば表に示されている順であってもよい順番または順序で添加され得る。例示的実施形態では、成分は、先の成分が完全に溶解した時点で初めて添加され得る。例えば、例示的実施形態では、A部のフェノキシエタノールを添加して完全に溶解するまで混合し得、その後に初めてB部のエチルヘキシルグリセリンを添加することになる。
【0055】
B部の構成成分は、別の混合容器内で混ぜ合わされてもよい。例示的実施形態によれば、B部の構成成分を80~85℃の範囲の温度に加熱し得、その後、均一になるまで混合し得る。
【0056】
その後、例えばB部の構成成分をA部の混合容器に加えることによって、B部の構成成分をA部の構成成分と混ぜ合わせ得る。その後、結果として生じるバッチをそれが滑らかかつ均一になるまで混合し得る。その後、バッチを35~40℃の範囲の温度に冷却し得る。例示的実施形態によれば、この冷却プロセスの間、混合は継続され得る。
【0057】
その後、A部とB部とを混ぜ合わせたバッチにC部の成分を添加し得る。例示的実施形態によれば、成分は所望により単独で、または組み合わせて添加され得る。結果として生じるバッチを均一になるまで混合し得る。これに続いて、それを混合し続け得、バッチの温度が30~35℃に達するまで(例えば周囲温度によって)冷却し得る。
【0058】
結果として生じる組成物は、粘稠なクリームの外観を有する毛髪ケア製品であり得る。色は白~灰白色であり得、それはいくつかの例示的実施形態では所望により調節され得る。臭いは組成物に添加した香料に特徴的なものであり得る。いくつかの例示的実施形態では、無香性組成物を製造するために香料を減らすかまたは組成物から省いてもよい。例示的実施形態では、組成物は25℃でのpHが3.8~5.5であり得、スピンドル5で20rpmでの粘度(RVT)が25℃で2000~30,000cPsであり得、25℃での比重が0.98~1.03であり得る。例示的実施形態では、組成物は、生きた細菌もしくは真菌細胞のレベルが低く保たれ得、または他のコロニー形成単位(CFU)が約10CFU/g未満に保たれ得る。組成物はさらに、病原体を含まずに保たれ得る。
【0059】
非面皰形成特性および/または非ざ瘡形成特性を有するように製剤化された毛髪ケア製品の別の例示的な配合組成は、表3において開示され得、下記構成成分を以下に明記する割合で混ぜ合わせることによって作られ得る。例示的実施形態では、表3の毛髪ケア製品は巻き毛整髪用クリームとして使用され得る。
【0060】
【0061】
例示的実施形態によれば、表3の例示的な毛髪ケア製品製剤は、以下のプロセスまたは以下と類似するプロセスに従って調製され得る。消毒済み混合容器内に、A部からのEDTA二ナトリウムと水とを加える。混合しながら75~80℃までの加熱を開始する。A部の残りの成分を添加する。透明になって全ての固形分が溶解するまで加熱混合する。別の容器内でB部の成分を混ぜ合わせる。B部を75~80℃に加熱し、均一になるまで混合する。A部にB部を添加し、滑らかかつ均一になるまで混合する。C部をバッチに添加し、均一になるまで混合し、35~40℃に冷却する。D部の成分を添加し、均一になるまで混合する。温度が30~35℃に達するまでバッチを撹拌し続ける。製品は、白い粘稠なクリームの外観を有し、25℃でのpHが3.8~4.2であり、スピンドル5で20RPMでの粘度(RVT)が25℃で4,000~8,000cPsであり、25℃での比重が0.98~1.03であり、微生物は10CFU/g未満であり、病原体を含まない。
【0062】
非面皰形成特性および/または非ざ瘡形成特性を有するように製剤化された毛髪ケア製品の別の例示的な配合組成は、表4において開示され得、下記構成成分を以下に明記する割合で混ぜ合わせることによって作られ得る。例示的実施形態では、表4の毛髪ケア製品はブロー乾燥整髪用クリームとして使用され得る。
【0063】
【0064】
例示的実施形態によれば、表4の例示的な毛髪ケア製品製剤は、以下のプロセスまたは以下と類似するプロセスに従って調製され得る。消毒済み混合容器内に、A部からのEDTA二ナトリウムと水とを加える。混合しながら75~80℃までの加熱を開始する。A部の残りの成分を添加する。透明になって全ての固形分が溶解するまで加熱混合する。別の容器内でB部の成分を混ぜ合わせる。B部を75~80℃に加熱し、均一になるまで混合する。A部にB部を添加し、滑らかかつ均一になるまで混合する。撹拌を継続し、35~40℃に冷却する。C部の成分を添加し、均一になるまで混合する。温度が30~35℃に達するまでバッチを撹拌し続ける。製品は、白い粘稠なクリームの外観を有し、25℃でのpHが3.8~4.2であり、スピンドル5で20RPMでの粘度(RVT)が25℃で3,000~8,000cPsであり、25℃での比重が0.98~1.03であり、微生物は10CFU/g未満であり、病原体を含まない。
【0065】
例示的実施形態によれば、製造環境では、大規模生産に先立って1つ以上の小規模バッチ、例えば実験用バッチもしくはパイロットバッチが作られ得る。製造プロセスは、例えば特定製造環境で作ったバッチの結果に基づいて調節され得る。
【0066】
例えば他のシャンプーもしくはコンディショナーの組成物のため、または他の種類の毛髪ケア製品、例えば整髪用ジェル、さらにはシャンプー兼コンディショナーのために代替組成物を考えてもよい。例えば、いくつかの実施形態は、示されているのとは異なる組成物を有し得、例示的な組成物は、1つの構成化学成分をより高い重量パーセントで有し得、もう1つの構成化学成分をより低い重量パーセントで有し得る。組成物中の化学物質を等価または実質的に等価な構成化学成分で置き換えてもよい。適切な置き換えは、当業者であれば理解し得る。
【0067】
上記説明および添付図は、本発明の原理、好ましい実施形態および作用様式を例示するものである。しかしながら、本発明は、上に述べた特定の実施形態に限定されるとみなされるべきではない。当業者であれば、上に述べた実施形態のさらなる変形形態を認識するであろう。
【0068】
それゆえ、上記実施形態は、限定的ではなく例示的であるとみなされるべきである。したがって、以下の特許請求の範囲によって画定される本発明の範囲から逸脱することなくそれらの実施形態の変形形態が当業者によって作り出され得ることは理解されるべきである。