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特許6992058侵食防止装置を有するバルブ、その使用、及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】侵食防止装置を有するバルブ、その使用、及びその方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 3/32 20060101AFI20220105BHJP
   C10B 27/06 20060101ALI20220105BHJP
   F16K 3/02 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
F16K3/32 B
C10B27/06 Z
F16K3/02 E
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019518368
(86)(22)【出願日】2017-06-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 SG2017050307
(87)【国際公開番号】W WO2017217938
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2020-01-20
(31)【優先権主張番号】102016111169.4
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518447522
【氏名又は名称】ツェットエムカー テクノロギーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クライン,リュディガー
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05116022(US,A)
【文献】米国特許第04354663(US,A)
【文献】実開昭59-141265(JP,U)
【文献】米国特許第03780982(US,A)
【文献】米国特許第04304393(US,A)
【文献】中国特許出願公開第102943886(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 3/00 - 3/36
C10B 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁(18)を有する第1ハウジング部(14)と内壁(20)を有する第2ハウジング部(16)とを備えるハウジング(12)と、前記第1ハウジング部(14)と前記第2ハウジング部(16)との間に移動可能に配置されて内壁(46、48)とを備える閉鎖部(30)と、を含む単一ゲート又は二重ゲートバルブ(10、110、210、310、410)であって、
前記バルブ(10、110、210、310、410)の開位置において、前記第1ハウジング部(14)の出口開口部(26)は、前記閉鎖部(30)の入口開口部(38)に割り当てられており、前記閉鎖部(30)の出口開口部(39)は前記第2ハウジング部(16)の入口開口部(24)に割り当てられており、
前記バルブ(10、110、210、310、410)は、浸食防止装置(70)を含み、
前記浸食防止装置(70)は、前記閉鎖部(30)の前記内壁(46、48)の輪郭を超えて突出する少なくとも1つのバッフル(72、172、272、372)を含み、
前記少なくとも1つのバッフル(72、172、272、372)が、前記閉鎖部(30)の前記内壁(46、48)に配置され
前記少なくとも1つのバッフル(172、272、372)が、前記閉鎖部(30)の入口開口部(38)の周辺領域に配置されることを特徴とする単一ゲート又は二重ゲートバルブ(10、110、210、310、410)。
【請求項2】
前記浸食防止装置(70)が、前記第1ハウジング部(14)の前記内壁(18)の、および/または前記第2ハウジング部(16)の前記内壁(20)の輪郭を越えて突出する少なくとも1つのさらなるバッフル(472)を含むことを特徴とする請求項1に記載の単一ゲート又は二重ゲートバルブ(10、110、210、310、410)。
【請求項3】
前記閉鎖部(30)は、パイプブリッジ(34)を含み、前記バルブ(10、110、210、310、410)の開位置において、前記パイプブリッジ(34)は前記第1ハウジング部(14)と前記第2ハウジング部(16)とを接続するように配置することができ、前記閉鎖部(30)の前記内壁(46、48)は、前記パイプブリッジ(34)の内壁を形成することを特徴とする請求項1に記載の単一ゲート又は二重ゲートバルブ(10、110、210、310、410)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのバッフル(72)が、前記閉鎖部(30)の出口開口部(39)の周辺領域に配置されることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の単一ゲート又は二重ゲートバルブ(10、110、210、310、410)。
【請求項5】
少なくとも1つのさらなるバッフル(472)が、前記第1ハウジング部(14)の前記内壁(18)に配置され、および/または少なくとも1つの前記さらなるバッフル(472)が前記第2ハウジング部(16)の前記内壁(20)に配置されることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の単一ゲート又は二重ゲートバルブ(10、110、210、310、410)。
【請求項6】
少なくとも1つのさらなるバッフル(472)が前記第1ハウジング部(14)の前記出口開口部(26)の周辺領域に配置されることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の単一ゲート又は二重ゲートバルブ(10、110、210、310、410)。
【請求項7】
少なくとも1つのバッフル(72、172、272、372、472)が、少なくとも1つの板状部を含むことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の単一ゲート又は二重ゲートバルブ(10、110、210、310、410)。
【請求項8】
少なくとも1つのバッフル(72、172、272、372、472)が、前記閉鎖部(30)の前記内壁(46、48)の、および/または前記第1ハウジング部(14)の前記内壁(18)の、および/または前記第2ハウジング部(16)の前記内壁(20)の、輪郭に対して直交して形成される少なくとも1つの表面(78、178、278、378、478)を含むことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の単一ゲート又は二重ゲートバルブ(10、110、210、310、410)。
【請求項9】
少なくとも1つのバッフル(72、172、272、372、472)が、前記閉鎖部(30)の前記内壁(46、48)の、および/または前記第1ハウジング部(14)の前記内壁(18)の、および/または前記第2ハウジング部(16)の前記内壁(20)の、輪郭に対して傾斜した少なくとも1つの面を含むことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の単一ゲート又は二重ゲートバルブ(10、110、210、310、410)。
【請求項10】
少なくとも1つの前記バッフル(372)が、少なくとも1つの湾曲した面(373、379)を含むことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の単一ゲート又は二重ゲートバルブ(10、110、210、310、410)。
【請求項11】
少なくとも1つのバッフル(72、172、272、372、472)が、耐侵食性コーティングを含むことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の単一ゲート又は二重ゲートバルブ(10、110、210、310、410)。
【請求項12】
少なくとも1つのバッフル(72、172、272、372、472)が、前記第1ハウジング部(14)と、および/または前記第2ハウジング部(16)と、および/または前記閉鎖部(30)と、一体的に形成されることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の単一ゲート又は二重ゲートバルブ(10、110、210、310、410)。
【請求項13】
少なくとも1つのバッフル(72、172、272、372、472)が、機械的固定手段によって、前記第1ハウジング部(14)に、および/または前記第2ハウジング部(16)に、および/または前記閉鎖部(30)に、固定されることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の単一ゲート又は二重ゲートバルブ(10、110、210、310、410)。
【請求項14】
クラッキング過程またはコークス化過程で使用されることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載の単一ゲート又は二重ゲートバルブ(10、110、210、310、410)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の単一ゲート又は二重ゲートバルブ(10、110、210、310、410)のクラッキング過程またはコークス化過程における使用。
【請求項16】
内壁(18)を有する第1ハウジング部(14)と、内壁(20)を有する第2ハウジング部(16)と、前記第1ハウジング部(14)と前記第2ハウジング部(16)との間に移動可能に配置されて内壁(46、48)を有する閉鎖部(30)と、を備えるバルブにおける腐食を防止する方法であって、
前記バルブ(10、110、210、310、410)の開位置において、前記第1ハウジング部(14)の出口開口部(26)は、前記閉鎖部(30)の入口開口部(38)に割り当てられており、前記閉鎖部(30)の出口開口部(39)は前記第2ハウジング部(16)の入口開口部(24)に割り当てられており、
前記バルブ(10、110、210、310、410)は、単一ゲートバルブ又は二重ゲートバルブの形態で設計されているものにおいて、通過流が前記バルブ(10、110、210、310、410)に配置された浸食防止装置(70)によって少なくとも部分的にブレーキをかけられ、および/または屈折させられ、前記浸食防止装置(70)は、前記閉鎖部(30)の前記内壁(46、48)の輪郭を超えて突出する少なくとも1つのバッフル(72、172、272、372)を含み、
前記少なくとも1つのバッフル(72、172、272、372)が、前記閉鎖部(30)の前記内壁(46、48)に配置され
前記少なくとも1つのバッフル(172、272、372)が、前記閉鎖部(30)の入口開口部(38)の周辺領域に配置されることを特徴とする方法。
【請求項17】
前記浸食防止装置(70)が、前記第1ハウジング部(14)の前記内壁(18)の、および/または前記第2ハウジング部(16)の前記内壁(20)の、輪郭を越えて突出する少なくとも1つのさらなるバッフル(472)を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記閉鎖部(30)はパイプブリッジ(34)を含み、
前記バルブ(10、110、210、310、410)の開位置において、前記パイプブリッジ(34)は前記第1ハウジング部(14)と前記第2ハウジング部(16)とを接続するように配置することができ、
前記閉鎖部(30)の前記内壁(46、48)は、前記パイプブリッジ(34)の内壁を形成することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのバッフル(72)が、前記閉鎖部(30)の出口開口部(39)の周辺領域に配置されることを特徴とする請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブに関し、特に二重ゲートバルブに関する。本発明は、また、コークス化過程またはクラッキング過程におけるバルブの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
「関連出願への相互参照」
本出願は、その内容が参照により本明細書に組み込まれるドイツ特許出願第102016111169.4号からの優先権を主張する。
【0003】
本発明の背景に関する以下の議論は、単に本発明の理解を容易にすることを目的としている。この議論は、本発明の優先日において、いかなる管轄区域においても、参照された資料のいずれかが、既知であるかまたは当業者における技術常識の一部であると、承認も許容もするものではないことを理解されたい。
【0004】
コークス化過程および/またはクラッキング過程において使用するためのバルブは、密封性および耐久性に関する厳しい要件を満たす必要がある。液体および/または気体に加えて、そのようなバルブを通して加圧下で供給される材料は、固形物、例えば、不純物、ダスト、すす、およびコークス化過程またはクラッキング過程から生じる残渣などの非常に細かい粒子をも含み得る。
米国特許出願公開第2006/0042691号明細書(US2006/0042691A1)は、二重ディスクスライドバルブを開示している。フランス特許出願公開第2521249号明細書(FR2521249A1)は、粉末用のスライド制御バルブを開示している。ドイツ特許出願公開第3010492号明細書(DE3010492A1)は、チェックバルブを開示している。ヨーロッパ特許出願公開第0185204号明細書(EP0185204A2)は、ゲートプレートを開示している。米国特許出願公開第2006/131534号明細書(US2006/131534A1)は、制御バルブを開示している。米国特許第3743238号(US3743238A)は、制御バルブを開示している。米国特許出願公開第2011/303297号明細書(US2011/303297A1)は、ポンプ駆動モジュールを開示している。
【0005】
このようなバルブは、少なくとも1つの開口部と閉鎖部とを備え、特に閉鎖部はスライドゲートの形をしており、開口部に対して移動可能である。バルブを開くために、スライドゲートは、開口手順が完全に終了するまで、開口部に対して横方向に動かされる。開口動作の開始時に、わずかの時間の間、ギャップが開けられ、最終的にバルブが全開されると、開口動作が完了する。
【0006】
加圧下でバルブを通じて供給される材料は、ノズルを通じて供給される場合のようにバルブのギャップを通過するとき加速される。加速された固形物によってバルブは磨耗による材料の侵食を受け、これによってバルブの密閉性が損なわれる可能性がある。バルブまたはバルブの部品、例えばシール座またはパイプブリッジのような可動部品を交換する仕事は、特にバルブがコークス化プラントやクラッキングプラントに設置されている場合に、多くの時間を必要とし、コストのかかる作業となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって、本発明の目的は、特に耐久性がありかつ侵食に対する耐性のある、新規なバルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載のバルブによって、請求項15に記載のバルブの使用によって、そして請求項16に記載の方法によって、部分的にまたは全体として達成される。
【0009】
本発明によるバルブは、好ましくは材料の供給通過に好適である。バルブは、好ましくは金属から形成される。バルブは、第1のハウジング部を有するハウジングを備える。第1のハウジング部は、例えば、パイプソケットの形態で設計される。第1のハウジング部は、入口開口部を有してもよい。材料は、前記入口開口部を通って第1のハウジング部に流れ込むことができる。第1のハウジング部は、出口開口部を有してもよい。材料は、前記出口開口部を通って第1のハウジング部から流れ出ることができる。第1のハウジング部は、内壁を有してもよい。内壁は、第1のハウジング部の入口開口部から第1のハウジング部の出口開口部への通路を形成することができる。
【0010】
内壁は、例えば管状である。第1のハウジング部は、特に好ましくは、円筒状の内壁を有する。したがって、内壁は円形の断面を有することができる。他の断面、例えば楕円形および正方形、または多角形の断面も考えられる。内壁は一定の断面を有することができる。内壁は貫通孔を構成することができる。内壁はまた、例えば漏斗形部分または円錐台形部分のような異なる断面の複数の部分を有することもできる。
【0011】
本発明によるバルブは、第2のハウジング部を有する。第2のハウジング部は、第1のハウジング部と同様に設計してもよい。第2のハウジング部は、入口開口部を有してもよい。材料は、前記入口開口部を通って第2のハウジング部に流れ込むことができる。第2のハウジング部は、出口開口部を有してもよい。材料は、前記出口開口部を通って第2のハウジング部から流れ出ることができる。第2のハウジング部は、内壁を有してもよい。内壁は、第2のハウジング部の入口開口部から第2のハウジング部の出口開口部への通路を形成することができる。内壁は、好ましくは管状である。特に好ましくは、第2のハウジング部は同様に、円筒状の内壁を有する。乱流を防止するために、第1のハウジング部の出口開口部は、第2のハウジング部の入口開口部に対抗して位置するのが好ましい。さらに、第1のハウジング部の内壁は、第2のハウジング部の内壁と整列していることが好ましい。
【0012】
バルブを高いレベルで密閉するために、第1のハウジング部はシール座を備えることが好ましい。シール座は、硬化表面部分または硬化部分などの形態で、第1のハウジング部と一体に形成されてもよい。硬化表面部分または硬化部分は、溶接工程および/または変態硬化などの硬化工程により形成することができる。
【0013】
シール座は、別個の構成要素であってもよい。シール座は、第1のハウジング部に弾性的に取り付けられてもよい。例えば、シール座は、特に金属製または弾性材料製のシールリングとしてもよい。シール座は、好ましくはバルブの第1のハウジング部の円筒状の内壁と整列する、円筒状の内壁を有してもよい。シール座は、例えば、第1ハウジング部の出口開口部に配置される。シール座は、好ましくは、第1のハウジング部の出口開口部に向けられた、環状の第1のシール面を有する。シール座はまた、好ましくは、ハウジング部の出口開口部から離れる方向に向けられた、環状の第2のシール面を有する。シール座は、硬化部分、特にシール座の第2のシール面に形成された環状硬化部を有してもよい。
【0014】
代替として、またはさらに、第1のハウジング部がシール面を有することも可能である。そのシール面は環状に設計されてもよい。前記シール面は、第1のハウジング部の出口開口部を囲むように配置されてもよい。
【0015】
便宜的に、第2のハウジング部は同様に、シール座を備えてもよい。そのシール座は、第1のハウジング部のシール座に対応するように配置または設計されてもよく、例えばそのシール座は、硬化部分の形態で、第2のハウジング部と一体的に形成されてもよく、または硬化部分を有するシールリングの形態で独立して、形成されてもよい。
【0016】
好ましくは、第1のハウジング部は弾性的に取り付けられた別個のシール座を有し、第2のハウジング部は弾性的に取り付けられずに第2のハウジング部に配置されるシール座、例えば第2のハウジング部と一体に形成されたシール座を有する。シール座は、好ましくは第2のハウジング部の内壁と整列する、円筒状の内壁を有してもよい。第2のハウジング部のシール座は、好ましくは、出口開口部から離れる方向に向けられた、環状の第1のシール面を有する。第2のハウジング部のシール座は、好ましくは、出口開口部の方に向けられた環状の第2のシール面を有する。第2のハウジング部のシール座は硬化部分、特に第2のハウジング部のシール座の第1のシール面に形成された環状硬化部分を有してもよい。
【0017】
代替として、またはさらに、第2のハウジング部がシール面を有することも可能である。そのシール面は環状に設計されてもよい。前記シール面は、第2のハウジング部の入口開口部を囲むように配置されてもよい。
【0018】
シール座を含む、第1のハウジング部および第2のハウジング部の前述のシール面上に、コーティング、および/または硬化表面部分または硬化部分、および/またはシールを配置または形成してもよい。硬化表面部分または硬化部分は、環状に設計されるか、および/またはそれぞれのシール面に配置されることが望ましい。
【0019】
本発明によるバルブは、第1のハウジング部と第2のハウジング部との間に移動可能に配置された閉鎖部を有する。閉鎖部はスライドゲートの形態で設計されてもよく、閉鎖部は特にパイプブリッジと、ゲートまたは二重ゲート、言い換えれば2つのゲートとを、備える。スライドゲートは、二重スライドゲートの形態で設計される。本発明によるバルブは、二重ゲートバルブの形態で設計される。閉鎖部二重ゲートは、バルブを閉じる目的のために、第1のハウジング部の出口開口部と、第2のハウジング部の入口開口部との間に配置され得る。
【0020】
つのゲートは円形状に設計されてもよい。二重ゲートの2つのゲートは互いに並行に、かつ互いに上下に配置され得る。2つのゲートは、接触圧力を発生させる目的のために、いわゆるくさび装置によって相互に広げることができように、離間させておくことができる。
【0021】
閉鎖部の二重ゲートは、第1および第2のシール面を備えてもよい。二重スライドゲートの形態で設計された閉鎖部の二重ゲートの場合、上部ゲートの上面および下部ゲートの下面はそれぞれシール面の形態で設計されてもよい。
【0022】
閉鎖部は、入口開口部と出口開口部と内壁とを有してもよい。内壁は、閉鎖部の入口開口部から出口開口部への通路を形成することができる。閉鎖部の内壁はパイプブリッジ内に配置されてもよく、すなわち閉鎖部の入口開口部および出口開口部はパイプブリッジの入口開口部および出口開口部である。バルブを開ける目的のために、パイプブリッジは好ましくは、第1のハウジング部の出口開口部と、第2のハウジング部の入口開口部との間に配置され得る。これは、バルブの開位置において、パイプブリッジは好ましくは第1のハウジング部と第2のハウジング部とを接続するように配置することができ、閉鎖部の内壁は、パイプブリッジの内壁を形成することを意味する。閉鎖部の入口開口部は、好ましくは第1のハウジング部の出口開口部に対応し、第2のハウジング部の入口開口部は、好ましくは閉鎖部の出口開口部に対応する。閉鎖部の内壁は、少なくとも部分的には、管状に設計されることが好ましい。閉鎖部は、特に好ましくは、円筒状の内壁を有する。閉鎖部の内壁は、第1のハウジング部の内壁のように設計されてもよい。
【0023】
パイプブリッジは、1つまたは複数の部分にあってもよい。パイプブリッジは、少なくとも第1のパイプブリッジ部と第2のパイプブリッジ部とを有してもよく、それぞれのパイプブリッジ部は、管状の内壁、特に円筒状の内壁などの内壁を備えてもよい。閉鎖部は、複数部分の内壁を有してもよい。パイプブリッジは、例えば、パイプブリッジの入口開口部を有する上部の第1のパイプブリッジ部と、パイプブリッジの出口開口部を有する下部の第2のパイプブリッジ部とを備える。パイプブリッジ部は、例えば少なくとも1つの補償器によって接続されてもよい。補償器は、可撓性を有するように設計されてもよく、例えば弾性的に変形可能であってもよい。
【0024】
第1のパイプブリッジ部は、入口開口部の周囲に配置された外側環状シール面を有することが好ましい。第2のパイプブリッジ部は、出口開口部の周囲に配置された外側環状シール面を有することが好ましい。シール座は、シール面の一方または両方に配置されてもよい。シール座は、第1および第2のハウジング部のシール座と同様に設計してもよい。
【0025】
閉鎖部のシール面上に、コーティング、および/または硬化表面部分または硬化部分、および/またはシールを、配置または形成してもよい。前記コーティング、および/または硬化表面部分または硬化部分、および/またはシールは、シール面に適合させてもよく、特に第1と第2のハウジング部の、コーティング、および/または硬化表面部分または硬化部分、および/またはシールに適合させてもよい。例えば、単一スライドゲートの形態で設計された閉鎖部のゲートの第1および/または第2のシール面は、ゲートの上面および下面に、環状の硬化表面部分または硬化部分を有するそれぞれのシール面を有してもよい。
【0026】
二重スライドゲートの形態で設計された閉鎖部の上部の第1のゲートは、第1のゲートの上側に、硬化部分を有するシール面を有してもよい。二重スライドゲートの形態で設計された閉鎖部の下部の第2のゲートは、第2のゲートの下側に、硬化部分を有するシール面を有してもよい。
【0027】
単一スライドゲートの形態で設計された閉鎖部のパイプブリッジとゲートとは、閉鎖部において互いに横に配置されてもよい。パイプブリッジとゲートは、移動可能なキャリアプレート内に配置されてもよい。キャリアプレートは2つの開口部、特に円形状の開口部を有してもよく、2つの開口部はパイプブリッジとゲートをその中に配置するために、互いに横に配置される。
【0028】
二重スライドゲートの形態で設計された閉鎖部のパイプブリッジと二重ゲートは、閉鎖部において互いに横に配置されてもよい。パイプブリッジと二重ゲートは、間隔を開けて互いに並行かつ上下に配置された2つのキャリアプレート内に配置されてもよい。キャリアプレートはそれぞれのケースに2つの開口部、特に円形状の開口部を有してもよく、2つの開口部はパイプブリッジと二重ゲートのうちの1つのゲートをその中に配置するために、互いに横に配置してもよい。
【0029】
本発明によれば、バルブの開位置において、第1のハウジング部の出口開口部は、閉鎖部の入口開口部に割り当てられるかまたは整列され、閉鎖部の出口開口部は第2のハウジング部の入口開口部に割り当てられるかまたは整列される。バルブを通過する流れの方向は対応する。閉鎖部の内壁は、バルブの開位置において、前記内壁が、少なくとも部分的に、第1および第2のハウジング部の内壁と整列するように設計されるのが好ましい。
【0030】
バルブの開位置において、気体、および/または液体、および/または固形物のような、バルブに供給される材料は、第1のハウジング部を介し、閉鎖部を通って、第2のハウジング部へ供給することができる。第2のハウジング部は、バルブに供給される材料の流れ方向で見て、第1のハウジング部の下流側に配置されるハウジング部であると理解される。
【0031】
バルブの閉位置において、気体、および/または液体、および/または固形物のような、バルブに供給される材料は、第1のハウジング部から、閉鎖部を通って、第2のハウジング部へ供給されることは起こりえない。閉鎖部およびパイプブリッジの開口部は、第1および第2のハウジング部のそれぞれの開口部に対し、割り当て、整列されることはない。むしろ、第1のハウジング部の出口開口部と第2のハウジング部の入口開口部とは、1つのゲートまたは二重ゲートなどの、閉鎖部によって閉じられていてもよい。そして第1のハウジング部から第2のハウジング部への貫通流がブロックされる。バルブの開位置はハウジングに対して移動可能に配置された閉鎖部の位置の観点から、バルブの閉位置とは異なる。
【0032】
作動装置を使用して、閉鎖部またはスライドゲートを、作動装置の方向に、閉位置(バルブが例えば二重ゲートによって閉じられている位置)から開位置へ移動させることができ、バルブは例えばパイプブリッジを介して開く。閉鎖部、またはスライドゲートは、作動スピンドルを介して作動装置に動作可能に接続されてもよい。パイプブリッジと、ゲートまたは二重ゲートとは、閉鎖部またはスライドゲート内に互いに横に配置されていることが好ましく、作動装置に関して見て、パイプブリッジは二重ゲートの後ろ側に配置されており、すなわちパイプブリッジは、ゲートまたは二重ゲートよりも作動装置からさらに離れて位置する。
【0033】
本発明によるバルブは浸食防止装置を備える。浸食防止装置は、閉鎖部の前記内壁の輪郭を超えて突出する少なくとも1つのバッフルを備える。浸食防止装置は、第1のハウジング部の内壁、および/または第2のハウジング部の内壁の輪郭を超えて突出する少なくとも1つの付加的なバッフルを備えてもよい
【0034】
浸食防止装置は、バルブに供給される固形物により引き起こされる、バルブに対する、例えば内壁、シール面、シール座、また閉鎖部のゲートまたは二重ゲートのシール面に対する、直接的な衝撃や顕著な摩擦を最小限に抑える。これは特に、浸食防止装置がバルブに供給される材料の通過流に影響をあたえるためである。浸食防止装置は、特にバルブが開かれているとき、前記流れの一部を、バルブの内壁、シール座、シール面から離れるように屈折させる。
【0035】
バッフルは好ましくは金属から形成される。バッフルは、例えば、最大15mm、好ましくは最大10mm、特に好ましくは最大5mmの厚さを有する。バッフルは、閉鎖部の内壁の輪郭を超えて、例えば最大50mm、好ましくは最大40mm、特に好ましくは最大30mm突出する。少なくとも1つの付加的なバッフルが、第2のハウジング部の内壁の、および/または第1のハウジング部の内壁の、輪郭を超えて突出する。
【0036】
バッフルは、閉鎖部の内壁に配置される。既存のバルブは、例えば、閉鎖部を浸食防止装置と交換することによって、簡単に改装可能である。バッフルは好ましくは閉鎖部の内壁の領域に配置され、この領域は内壁の他の領域よりも作動装置に近く位置しており、そのためバルブのバッフルは、閉鎖部の出口開口部と第2のハウジング部の入口開口部との間の、開口へと導くギャップの上流に配置される。
【0037】
バッフルは、閉鎖部の入口開口部の周辺領域に配置されてもよい。入口開口部の周辺領域は、入口開口部の周縁部付近の、閉鎖部の内壁に位置している。周縁部は、それぞれの開口部の環状縁部であると理解される。バッフルは、例えば、閉鎖部の入口開口部の周縁部に直接的に配置されてもよい。しかしながら、バッフルを入口開口部から間隔をおいて閉鎖部の内壁に配置することも可能である。例えば、バッフルは、入口開口部または入口開口部の周縁部から最大25mm、好ましくは最大20mm、特に好ましくは最大15mmの間隔を置いて、閉鎖部の内壁に配置されてもよい。
【0038】
代替として、バッフルは、閉鎖部の出口開口部の周辺領域に配置されてもよい。出口開口部の周辺領域は、出口開口部の周縁部または出口開口部の環状縁部の付近の閉鎖部の内壁の領域である。バッフルは、出口開口部に、または出口開口部の周縁部に、直接的に配置されてもよい。さらに、バッフルは、例えば出口開口部から最大25mm、好ましくは最大20mm、特に好ましくは最大15mmの間隔を置いて、閉鎖部の内壁に配置されてもよい。
【0039】
少なくとも1つの付加的なバッフルが、第1のハウジング部の内壁に配置されてもよい。好ましくは、付加的なバッフルは第1のハウジング部の内壁の領域に配置され、この領域は内壁の他の領域よりも作動装置からさらに離れて位置しており、そのためバッフルは、バルブが開かれているときに確立される、第1のハウジング部の出口開口部と閉鎖部の入口開口部との間の、ギャップの上流側に配置される。
【0040】
少なくとも1つの付加的なバッフルは、好ましくは、第1のハウジング部の出口開口部の周辺領域に配置される。付加的なバッフルは、出口開口部に、または出口開口部の周縁部に、直接的に配置されてもよい。さらに、付加的なバッフルは、出口開口部から、例えば最大25mm、好ましくは最大20mm、特に好ましくは最大15mmの間隔を置いて、第1のハウジング部の内壁に配置されてもよい。
【0041】
少なくとも1つの付加的なバッフルは、第2のハウジング部の内壁に配置されてもよい。付加的なバッフルは、流れに対する障害物となり、その結果として、流れはバッフルの上流側に堆積する。これは、付加的なバッフルの結果として、流れ方向で見ると、バッフルの上流側で、通過流も既に減速され屈折されていることを意味する。したがって、付加的なバッフルを第2のハウジング部の内壁に配置することによって、特に第2のハウジング部の入口開口部のシール座またはシール面を、摩耗および浸食から防護することも可能である。
【0042】
好ましくは、付加的なバッフルは第2のハウジング部の内壁の領域に配置され、この領域は内壁の他の領域よりも作動装置からさらに離れて位置しており、そのためバッフルは、バルブが開かれているときに確立される、閉鎖部の出口開口部と第2のハウジング部の入口開口部との間の、ギャップのすぐ下流に配置される。
【0043】
付加的なバッフルは、好ましくは、第の2ハウジング部の入口開口部の周辺領域に配置されてもよい。バッフルは、例えば、第2のハウジング部の入口開口部の周縁部に、直接に配置されてもよい。しかしながら、付加的なバッフルを入口開口部から間隔をおいて、第2のハウジング部の内壁に配置することも可能である。付加的なバッフルは、入口開口部または入口開口部の周縁部から、最大25mm、好ましくは最大20mm、特に好ましくは最大15mmの間隔を置いて、第2のハウジング部の内壁に配置することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、付加的なバッフルは、第1のハウジング部の、および/または第2のハウジング部の、好適な領域(内壁または周辺領域)に配置することができる。バッフルは、好ましくは公称パイプサイズの約10%であり得るし、20から25ミリメートル(mm)の間であり得るし、好ましくは閉鎖部の長さの最大3分の1までであってもよい。付加的なバッフルはまた、公称パイプサイズの約10%でもあり得るし、20から25ミリメートル(mm)の間でもあり得るし、好ましくはハウジング部の長さの最大3分の1までであってもよい。
【0045】
閉鎖部の少なくとも1つのバッフルは少なくとも1つの板状部を含むことが特に好ましい。バッフルは平坦な板状部を含んでもよい。例えば、バッフルは薄い金属シートを含んでもよい。従ってバッフルは、特に簡単な方法で作成または製造することができる。これはまた、少なくとも1つの付加的なバッフルにも当てはまる。
【0046】
鎖部の円筒状の内壁に適合させるために、バッフルは、部分円またはリングセグメントの形状に切り出された金属シートの形態で設計されてもよい。これはまた、第1のハウジング部の円筒状の内壁、および/または第2のハウジング部の円筒状の内壁に適合される付加的なバッフルにも当てはまる。バッフルは、例えば、少なくとも1つの円弧状縁部と直線状縁部とを含む。円弧状縁部は、第1のハウジング部の円筒状の内壁、および/または第2のハウジング部の円筒状の内壁、および/または閉鎖部の円筒状の内壁に従った輪郭に適合させることができる。バッフルは、好ましくは、閉鎖部の内壁に、配置されかつ固定された円弧状縁部を有する。これはまた、第1のハウジング部の円筒状の内壁、および/または第2のハウジング部の円筒状の内壁に配置されかつ固定された付加的なバッフルにも当てはまる。バッフルの最大4分の1の部分、好ましくは最大6分の1の部分、特に好ましくは最大8分の1の部分が、例えば、閉鎖部の管状または円筒状の内壁を超えて半径方向に延びる。付加的なバッフルの最大4分の1の部分、好ましくは最大6分の1の部分、特に好ましくは最大8分の1の部分が、第1のハウジング部の管状または円筒状の内壁、および/または第2のハウジング部の管状または円筒状の内壁を超えて半径方向に延びる。
【0047】
特に良好な防護作用を提供するために、浸食防止装置は、閉鎖部の内壁の輪郭、および/または第1のハウジング部の内壁の輪郭に対して直交してまたはほぼ直交して形成される少なくとも1つの表面を備えてもよい。
【0048】
侵食防止装置に固形物が堆積するのを防止するために、そして侵食防止装置への圧力負荷を最小にするために、浸食防止装置は、好ましくは閉鎖部の内壁の輪郭、および/または第1のハウジング部の内壁の輪郭に対して傾斜した少なくとも1つの表面を備える。ここでの表面は、閉鎖部の入口開口部、および/または第1のハウジング部の入口開口部、および/または第2のハウジング部の入口開口部から離れるように鈍角で傾斜しているのが好ましい。
【0049】
代替として、またはさらに、バッフルは、開口部および/または貫通開口部を有してもよい。バッフルは、好ましくは貫通孔を有してもよい。これはまた、少なくとも1つの付加的なバッフルにも当てはまる。これらの穴は、閉鎖部の内壁の輪郭、および/または第1のハウジング部の内壁の輪郭、および/または第2のハウジング部の内壁の輪郭に対して、斜めに形成してもよい。貫通孔は、閉鎖部の入口開口部、および/または第1のハウジング部の入口開口部、および/または第2のハウジング部の入口開口部から離れるように鈍角で傾斜しているのが好ましい。
【0050】
バルブにおける流れが乱れるのを防止するために、および/または流れの効果的な経路の変更を実現し、あるいは乱流を目標に沿ったものとするために、侵食防止装置は、少なくとも1つの湾曲した面、特に外向きに湾曲した面、すなわち凸面を備えることが好ましい。バッフルの少なくとも1つの縁部は丸みを帯びていてもよい。代替として、またはさらに、バッフルは、内側に湾曲した、すなわち凹状の面を有することができる。バッフルは、複数の湾曲した面を有してもよい。少なくとも1つの湾曲した面が、例えば、それが第1のハウジング部の入口開口部に向けられるように、バルブ内に配置されてもよい。これは、少なくとも1つの湾曲した面が、流れの方向に向かい合うようにバルブ内に配置され得ることを意味する。少なくとも1つの湾曲した面が、それが第2のハウジング部の出口開口部に向けられるように、バルブ内に配置されてもよい。これは少なくとも1つの湾曲した面が、流れの方向を向かないように配置されることを意味する。これはまた、少なくとも1つの付加的なバッフルにも当てはまる。
【0051】
侵食防止装置の磨耗を防止するために、侵食防止装置は、耐侵食性および耐摩耗性の、コーティングおよび/または硬化部分を備えることが好ましい。前記コーティングは、例えば、プラスチック材料、または好ましくは、金属の耐腐食性または耐摩耗性の材料を含む。
【0052】
侵食防止装置は、好ましくは、閉鎖部と一体に形成されている。侵食防止装置またはバッフルは、例えば、閉鎖部の内壁と、一体に形成されてもよい。付加的なバッフルが、第1のハウジング部の内壁と、および/または第2のハウジング部の内壁と、一体に形成されてもよい。しかしながら、付加的なバッフルを、第1のハウジング部の構成部品と、および/または第2のハウジング部の構成部品と、一体に形成することも可能である。例えば付加的なバッフルは、第1のハウジング部のシール座と一体に形成されてもよい。例えば侵食防止装置は、閉鎖部のパイプブリッジ部と、一体に形成されてもよい。
【0053】
バルブにバッフルを後付け可能とするために、バッフルは機械的固定手段によって、閉鎖部に、着脱可能に固定できる。付加的なバッフルは機械的固定手段によって、第1のハウジング部、および/または第2のハウジング部に、着脱可能に固定できる。使用される機械的固定手段は、例えば、ねじ、溝などであってもよい。
【0054】
代替として、またはさらに、バッフルは、溶接によって、閉鎖部に、固定されてもよい。付加的なバッフルは、溶接によって、第1のハウジング部に、および/または第2のハウジング部に、固定されてもよい。
【0055】
本発明の一態様によれば、バルブはクラッキング過程またはコークス化過程において使用することができる。そのため、バルブは、コークス化工場またはクラッキングプラントに設置して使用することができる。コークス化工場またはクラッキングプラントにおいては、通常、複数のコークス化室が1つコークス炉に接続されて、コークスの製造に用いられている。本発明によるバルブは、例えばコークス化室またはコーク化ドラムの開閉のため、コークス化室やコーク化ドラムに配置されてもよい。本発明のバルブを使用することにより、プラント(工場)の点検、修理の頻度が低下し、その結果、特に、費用効率の高いコークス化またはクラッキングが可能となることを意味する。
【0056】
本発明によるバルブは、特にプラント(工場)において、なかんずくコークス化工場またはクラッキングプラントにおいて、流れに影響を及ぼす方法のために使用され得る。
【0057】
本発明によるバルブにおける侵食を防止する方法は、内壁を有する第1のハウジング部と、内壁を有する第2のハウジング部と、第1のハウジング部と第2のハウジング部との間に移動可能に配置され、内壁を有する閉鎖部とを備えるバルブに関し、バルブの開位置において、第1のハウジング部の出口開口部は、閉鎖部の入口開口部に割り当てられまたは整列されており、閉鎖部の出口開口部は、第2ハウジング部の入口開口部に割り当てられまたは整列されている。バルブは二重ゲートバルブである。
【0058】
本発明による方法において、通過流が少なくとも前記バルブに配置された侵食防止装置によって部分的にブレーキをかけられ、および/または屈折され、浸食防止装置は、閉鎖部の内壁の輪郭を超えて突出する少なくとも1つのバッフルを備え、その少なくとも1つのバッフルは、閉鎖部の内壁に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
本発明の実施形態を以下の図面に示す。図面において、同様の部分および同様の機能を有する部分は、同じ参照符号を有する。
【0060】
図1】本発明によるバルブの第1の実施形態の側面図を示す。
図2】閉位置における、図1に記載のバルブの縦断面図を示す。
図3】開位置への移行過程にある、すなわち閉位置と開位置との間の、図2に記載のバルブを示す。
図4】開位置における、図2に記載のバルブを示す。
図5図3に記載のバルブの斜視断面図を示す。
図6】本発明によるバルブの第2の実施形態の斜視断面図を示す。
図7図6に記載のバルブの拡大斜視断面図を示す。
図8】本発明によるバルブの第3の実施形態の詳細の斜視図を示す。
図9】本発明によるバルブの第4の実施形態の詳細の斜視図を示す。
図10】本発明によるバルブの第5の実施形態の詳細の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、本発明の第1の実施形態による、バルブ10がハウジング12を有することを示す。バルブ10は、二重スライドゲートの形態で設計された二重ゲートバルブであってもよい。ハウジング12は第1ハウジング部14と第2ハウジング部16とを備える。
【0062】
図2は、第1ハウジング部14と第2ハウジング部16がそれぞれ円筒状の内壁18、20を有することを示す。第1ハウジング部14と第2ハウジング部16はまたそれぞれ、入口開口部22、26および出口開口部26、28を有する。第1ハウジング部14と第2ハウジング部16との間には、移動可能に配置された閉鎖部30が配置されている。閉鎖部30はスライドゲートの形態で設計され、パイプブリッジ34と一対のゲート36とを備える。パイプブリッジ34は入口開口部38と出口開口部39とを有する。この場合、パイプブリッジ34は、入口開口部38を有する上部の第1パイプブリッジ部40と、出口開口部39を有する下部の第2パイプブリッジ部42とを備え、パイプブリッジ部40、42は可撓性補償器44によって接続されている。第1パイプブリッジ部40は、入口開口部38の周囲に配置された、第1の円筒状内壁46と環状シール面47とを有する。シール面47は、第1ハウジング部14の出口開口部26に向けられており、および/または出口開口部26と整列されている。第2パイプブリッジ部42は、出口開口部39の周囲に配置された、第2の円筒状内壁48と環状シール面49とを有する。シール面49は、第2ハウジング部16の入口開口部24に向けられており、および/または入口開口部24と整列されている。
【0063】
第1ハウジング部14は、シールリングの形で設計され円筒状の内壁52を有するシール座50を備え、シール座50が設置位置にあるとき、円筒状の内壁52は第1ハウジング部の円筒状の内壁18と整列される。シール座50は、第1ハウジング部14の出口開口部26に配置されている。第1ハウジング部14のシール座50は、出口開口部26から離れる方向に向けられた環状シール面53を有する。第2ハウジング部16は同様に、シールリングの形で設計され円筒状の内壁56を有するシール座54を備え、円筒状の内壁56は第2ハウジング部16の円筒状の内壁20と整列される。第2ハウジング部16のシール座54は、出口開口部24から離れる方向に向けられた環状シール面57を有する。第1ハウジング部14の出口開口部26は、第2ハウジング部16の入口開口部24とは反対側に位置している。第1ハウジング部14の円筒状の内壁42は、第2ハウジング部16の円筒状の内壁46と整列されている。
【0064】
図2に示すバルブ10の閉位置では、一対のゲート36が、第1ハウジング部14の出口開口部26の上流側かつ第2のハウジング部16の入口開口部24の上流側に、密閉作用をともなって配置されている。第1ハウジング部14のシール座50の環状シール面53は、上部ゲート36.1に当接し、第2ハウジング部16のシール座54の環状シール面57は、下部ゲート36.2に当接する。作動スピンドル62を備える作動装置60によって、スライドゲートまたは閉鎖部30を作動装置60の方向に移動させることができる。バルブ10は、閉鎖部30の出口開口部39の周辺領域に配置されたバッフル72を備える浸食防止装置70を有する。バッフル72は、パイプブリッジ34の第2パイプブリッジ部42の内壁48の領域に配置され、その領域は、閉鎖部30のパイプブリッジ34の他の領域よりも作動装置60に近いほうに位置する。
【0065】
図3は、作動装置60が作動されると、閉鎖部30が作動装置60の方向に移動することを示し、この場合、一対のゲート36が第1ハウジング部14の出口開口部26および第2ハウジング部16の入口開口部24から離れるように移動し、スライドゲート内の横側に配置されたパイプブリッジ34は、第1ハウジング部14の出口開口部26の方向および第2ハウジング部16の入口開口部24の方向に移動する。バルブ10が開かれるとき、第一に、第1ハウジング部14から、閉鎖部30のパイプブリッジ34を介し、第2ハウジング部16へと向かう貫通通路として、第1ハウジング部14の出口開口部26と閉鎖部30の入口開口部38との間に、ごく小さいギャップが開かれる。
【0066】
図4はバルブ10の全開位置を示す。この位置は、パイプブリッジ34の入口開口部38が第1ハウジング部14の出口開口部26に対して配置されて材料の流れが可能となり、パイプブリッジ34の出口開口部39が第2ハウジング部16の入口開口部24対して配置されて材料の流れが可能となるとき実現される。この位置は、パイプブリッジ34が第1ハウジング部14の出口開口部26に割り当てられるか又は整列され、パイプブリッジ34の出口開口部39が第2ハウジング部16の入口開口部24に割り当てられるか又は整列される位置に対応してもよい。ここで、第1ハウジング部14の環状シール面53は、パイプブリッジ34の第1パイプブリッジ部40の環状シール面47と、密閉作用をともなって当接し、第2ハウジング部16の環状シール面57は、パイプブリッジ34の第2パイプブリッジ部42の環状シール面49と、密閉作用をともなって当接する。
【0067】
図5は、バッフル72が部分円の形状で設計され、円弧状縁部74と直線状縁部76とを有することを示す。円弧状縁部74は第2パイプブリッジ部42の円筒状の内壁48と当接し、内壁48に固定されている。バッフル72は、第2パイプブリッジ部42の内壁48の輪郭に対して直交してまたはほぼ直交して形成された2つの平行な表面78を有する。表面78の一方は、閉鎖部30の、またはパイプブリッジ34の入口開口部38に向けられている。表面78の他方は、入口開口部38から離れる方向に向けられている。それぞれの環状硬化部80、82が、閉鎖部30のシール面47およびシール面49に形成されている。それぞれの環状硬化部86が、上部ゲート36.1の上面84と下部ゲート36.2の下面に形成されている。パイプブリッジ34および2つのゲート36.1、36.2は、上下に間隔を開けて配置された2つのキャリアプレート88.1、88.2内に配置されている。くさび装置90がゲート36.1と36.2の間に配置されている。
【0068】
図6および図7は、本発明によるバルブ110の第2の実施形態を示している。前記バルブ110は、バッフル172が、閉鎖部の、またはパイプブリッジ34の入口開口部38の周辺領域に配置されている点で、図1図5に示されたバルブ10とは異なる。バッフル172は、円弧状縁部174と直線状縁部176とを有する。円弧状縁部174は第1パイプブリッジ部40の円筒状の内壁46と当接し、内壁46に固定されている。バッフル172は、第1パイプブリッジ部40の内壁46の輪郭に対して直交してまたはほぼ直交して形成された2つの平行な表面178を備える。表面178の一方は、閉鎖部30の入口開口部38に向けられている。
【0069】
図8は、本発明によるバルブ210の第3の実施形態を示している。前記バルブ210は、バッフル272がリングセグメントの形状で設計されているという点で図7に示されるバルブとは異なる。バッフル272は円弧状縁部274を有し、円弧状縁部274は第1パイプブリッジ部40の内壁と当接し、その内壁に固定されている。直線状縁部の代わりに、前記バッフル272は、内側向きに湾曲した円弧状縁部276を有する。バッフル272は同様に、第1パイプブリッジ部40の内壁46の輪郭に対して直交してまたはほぼ直交して形成された2つの平行な表面278を備える。表面278の一方は、閉鎖部30の入口開口部38に向けられている。
【0070】
図9は、本発明によるバルブ310の第4の実施形態を示している。前記バルブ310は、バッフル372が材料の厚さを増して設計され、閉鎖部30の入口開口部38から離れる方向に向けられた外側に向いて湾曲した面373を有する点で、図8に示されるバルブ210とは異なる。バッフル372は、2つの円弧状縁部374、376を有する。円弧状縁部374は第1パイプブリッジ部40の円筒状の内壁46と当接し、内壁46に固定されている。バッフル372は、第1パイプブリッジ部40の内壁46の輪郭に対して直交してまたはほぼ直交して形成された表面378を有する。前記表面378は、閉鎖部30の入口開口部38の方に向けられている。凹曲面379が前記表面378と内壁16との間に配置されている。
【0071】
バッフル72、172、272、372は、閉鎖部30の内壁 46、48の領域にそれぞれ配置され、その領域は他の領域よりも作動装置60に近いほうに位置している。そのため、図1から図9に示されるそれぞれのバルブ10、110、210、310が開かれるとき、当該バッフルは、閉鎖部30の出口開口部39と第2ハウジング部16の出口開口部24との間に確立されるギャップの上流側に配置される。バルブ10、110、210、310が開かれるとき、それぞれのバッフル72、172、272、372によって、バルブ10に供給される材料の通過流量が、ブレーキをかけられるか減少されて、閉鎖部30の内壁46、48から離れるように部分的に屈折させられる。これによって、第2ハウジング部16のシール座54のシール面57を含む第2ハウジング部16の入口開口部24の領域において、直接的な衝撃を与える材料中に含まれる固形物を減少させることができ、衝撃の大きさを弱めることができる。このように、通過流に影響を及ぼすことによって侵食が防げられる。
【0072】
図10は、バルブ410の第5の実施形態を示している。前記バルブ410は、バッフル472が、出口開口部26の周辺領域の第1ハウジング部14の内壁18に配置されている点で、図1図5に示されたバルブ10とは異なる。バッフル 472は部分円の形をしており、円弧状縁部474と湾曲状縁部476を有し、バッフル472の円弧状縁部474は、円筒状の内壁18と当接し、内壁18に固定されている。バッフル472は、第1ハウジング部の内壁の輪郭に対して直交してまたはほぼ直交して形成された2つの平行な表面478を備える。表面478の一方は、第1ハウジング部14の入口開口部22に向けられている。
【0073】
バッフル472は第1ハウジング部14の内壁18の領域に配置され、この領域は内壁の他の領域よりも作動装置60からさらに離れて位置しており、そのため、バルブ410が開かれるとき、バッフル462は、第1ハウジング部14の出口開口部26と閉鎖部30の出口開口部38との間に確立されるギャップの上流側に配置される(図2参照)。バルブ410が開かれるとき、バッフル472によって、材料の通過流にブレーキがかけられ、第1ハウジング部20の内壁18から離れるように部分的に屈折させられる。これにより、環状シール面47および硬化部82を含む閉鎖部30の入口開口部38の領域において、直接的な衝撃を与える材料中に含まれる固形物を減少させることができ、衝撃の大きさを弱めることができる。さらに、第2ハウジング部16のシール座54のシール面57を含む、第2ハウジング部16の入口開口部24の領域では、直接的な衝撃をもたらす固形物をさらに減らすことができ、衝撃の大きさをさらに弱めることができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、ハウジング12または閉鎖部30は1つまたは複数の膨張ベローズを含む。図に示されているバルブのこれらの実施形態は、コークス工場またはクラッキングプラントに設置して使用することができ、特にコーク化ドラムに配置することができる。本発明は個々の実施形態を網羅しているが、議論された実施形態の組み合わせも含まれることをさらに理解されたい。特に、一実施形態に記載された特徴は、他の実施形態に記載された特徴と両立しないものではなく、本発明のさらに他の実施形態を形成するために、他の実施形態に記載された特徴と組み合わされてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10