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特許6992060ねじ込み管状接続部の接続品質を判定する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】ねじ込み管状接続部の接続品質を判定する装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20220127BHJP
   G01K 1/16 20060101ALI20220127BHJP
   F16L 15/04 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G01K1/16
F16L15/04 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2019520816
(86)(22)【出願日】2017-10-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2017076393
(87)【国際公開番号】W WO2018073197
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-08-11
(31)【優先権主張番号】1660122
(32)【優先日】2016-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】504255249
【氏名又は名称】ヴァルレック オイル アンド ガス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルーシー,ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ボーデ,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ピーターセン,デヴィッド,クリスチャン
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-225045(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0354297(US,A1)
【文献】特開平02-017422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00-99/00
G01K 1/143
G01K 1/16
F16L 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ねじ込み管状部材の接続品質を判定する装置であって、
軸(21)を有する円筒形の内部空間(20)を含み、前記ねじ込み管状部材の外面の一部に取り付けられるように構成されたケース(2)と、
前記ケース(2)と前記内部空間(20)との間に配置された少なくとも1つの測定手段(3)であって、前記測定手段(3)は、複数の測定片(31)を備え、各測定片(31)は、フレキシブル基板(44)上に配置された複数の温度センサ(5)を備えるコンタクト層(4)を含み、前記複数の温度センサ(5)は、前記管状部材の端部の外面上の複数の位置E(i,j)における温度の変化を測定するように配置されている、前記少なくとも1つの測定手段(3)と、
前記複数のセンサ(5)に接続され、前記センサ(5)によって生成された信号の少なくとも一部を処理することができる取得用の第1電子機器(33)と、
を備え、
前記少なくとも1つの測定手段(3)は、前記軸(21)の周りに広がるように配置された前記複数の測定片(31)を備え、
前記温度センサ(5)は、前記フレキシブル基板(44)上に配列配置される、装置。
【請求項2】
油井作動用の管状部材のためのスタビングガイドであることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記温度センサ(5)は、熱電対、サーミスタおよびマイクロボロメータから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記温度センサ(5)はサーミスタであり、前記フレキシブル基板(44)はポリイミド製であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記コンタクト層(4)は、前記温度センサ(5)と前記内部空間(20)との間に少なくとも部分的に配置された熱伝導性絶縁層を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コンタクト層(4)は、前記温度センサ(5)を保護するように配置された保護層(41)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記保護層(41)は、丸みを帯びた輪郭を有するように形成された鋼板である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ケース(2)と前記コンタクト層(4)との間にクッション層(9)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記クッション層(9)は、ガーターばね、クローバドーム型ばねワッシャ、波形ワッシャ、ドーム型ばね、弾性材、およびネオプレンまたはシリコーンからなる発泡体の群から選択される弾性手段を含むことを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記クッション層(9)は、剛性に形成された要素(92)を有することを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ケース(2)は、位置決め当接部(7)を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記取得用の第1電子機器(33)は、FPGAプログラマブル電子回路タイプの収集用電子機器(35)に接続された複数の取得用電子ユニット(34)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
時間に基づいた少なくとも1つの検出関数に従って、2つの前記ねじ込み管状部材を互いに組み込む間に、かじりの発生または管状接続部の要素の少なくとも一部の劣化を判定することができる処理用の第2電子機器(36)を備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記取得用の第1電子機器(33)および前記処理用の第2電子機器(36)は、無線wifiまたはBluetoothリンクまたは有線イーサネットタイプのリンクを介して接続されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記処理用の第2電子機器は、前記測定値を処理して記憶するためのソフトウェアを含む、請求項13または14に記載の装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の装置を使用した方法であって、
対応する別の管状部材への組込み開始時に、管状部材の一端(11)の外面の複数の位置E(i,j)における温度を表す値セットT(i,j)を決定するステップと、
組込み中に、前記一端(11)の外面の前記複数の位置E(i,j)における温度を表す別の値セットT(i,j)を決定するステップと、
各位置E(i,j)について、組込み中の温度T(i,j)と組込み開始時の温度T(i,j)との差を計算するステップと、
差T(i,j)-T(i,j)が、少なくとも1つの位置E(i,j)について所定の閾値ΔTthreshold(i,j)を超えたときに、かじりの発生を判定するステップと、
を備える、方法。
【請求項17】
少なくとも1つの位置のセットΣE(i,j)に対する温度V(i,j)の変化速度を計算するステップと、
温度V(i,j)の変化が、変化の所定の閾値ΔV(i,j)を超えたときに、かじりの発生を判定するステップと、
をさらに備える、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ込み管状接続部の分野に関し、より詳細には、ねじ込み管状接続部の接続品質を判定する付属品に関する。
【背景技術】
【0002】
「ねじ込み管状接続部」という用語は、ねじによって互いに接続された2つの管状部材を意味する。「管状部材」は、油井および/またはガス井を掘削または作動するために使用される任意の部材または付属品であり得る。管状部材は、少なくとも1つの接続部または結合部、あるいはねじ端部を備える。
【0003】
この管状部材は、チューブのような比較的長い(特に、約10メートルの長さを有する)管状要素であってもよく、あるいは、数十センチメートルの長さを有する管状継手であってもよく、あるいは、これらの管状要素の付属品(ストリングハンガー、クロスオーバー部材、安全弁、工具継手、サブなど)であってもよい。通常、これらの管状部材は鋼製である。当該装置は、13Cr鋼またはCRA鋼のようなクロム含有量が高いステンレス鋼製の要素に特に適している。しかしながら、このような鋼には「かじり」が特に発生しやすい。
【0004】
一般に、上述した管状部材は、互いに接続されて炭化水素の井戸または同様の井戸に下げられ、ドリルストリング、ケーシングストリングまたはライナーストリング、あるいはチューブストリング(作動ストリング)を構成する。
【0005】
国際標準化機構(ISO)によるISO規格11960:2004に相当する、アメリカ石油協会(API)によるAPI Spec 5CTには、ケーシングまたは配管材料として使用されるチューブが定義され、API Spec 5Bには、これらのチューブのための標準ねじが定義されている。
【0006】
API Spec 7には、回転ドリルロッド要素の肩部とのねじ込み接続手段が定義されている。
【0007】
ねじ込み管状接続部の部材の製造業者によって、上位接続部として知られるねじ接続部が開発されてきた。これらの接続部は、ねじ部のための特定の幾何学的形状と、機械的強度、気密性、および特に硫化物に対する耐食性に関して、より良好な性能を使用時に提供するための特定の手段と、を有する。
【0008】
上述した管状部材は、他の掘削用部材または作動用部材の雌ねじ端部に組み込まれる雄ねじ端部を備えていてもよい。これは、高い機械的一体性および非常に高い機械的負荷の環境下での気密性ならびに耐食性を有する接続された接続部を形成する。したがって、出荷から使用されるまでの間だけでなく、連続使用される間でも、雄端部と雌端部の損傷、汚染または劣化が可能な限り防止されることが重要である。プロテクタを使用することで、ねじ部と、特定の且つ補完的な機能をそれぞれ有する任意のシール面および当接部とを、腐食、埃および衝撃(または打撃)から保護することができ、使用段階における気密性を特に確保することができる。しかしながら、接続前に、一方の端部の劣化を検出することができない場合がある。さらに、接続時に、互いに接続される要素が誤った位置に配置されることもあり得る。また、接続中に、かじりが発生する可能性もあり、その結果、望ましくない塑性変形や、ねじの一部または当接部やシール面のような他の機能面における材料の局所的剥離が生じる。このようなかじりの発生は、接続部の機械的品質およびシール品質の劣化をもたらすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、管状部材のそれぞれの端部同士の接続中に、機能面間のかじりの発生を検出する必要がある。
【0010】
特開平6-221475号公報を含む従来技術には、ねじ込み管状接続部の組込み状態を分析する方法が既に開示されている。この方法では、組込み中に、トルクの振幅が組込み回転数の関数として分析される。トルクの変動値を用いることで、かじりの発生を検出することができる。しかしながら、機械加工における公差の範囲内にあるねじの実寸法によって組込みトルクの変動が特に起きるため、この方法では、誤った結果が導き出される場合がある。加えて、この方法は、一般に、組み込みの進行の度合いとして、トルクの閾値を達成することに基づいている。その閾値を固定することで、結合中に発生したあらゆるかじりを検出することができるが、「誤判定」の結果を検出する頻度が高まる。「誤判定」という用語は、実際には結合中にかじりが発生していないのに、この方法を用いた結果としてかじりが発生していると誤判定することを意味する。また、接続中にかじりが発生すると、当接面やシール面のような機能面が生成されたトルクの原点とならずに、所望の結果と同様に、組込みトルクの変化を生じさせる。このかじりは、特開平6-221475号公報の方法では検出されず、ここでは、形成された接続部は封止されない。
【0011】
本発明は、「誤判定」検出を最小限に抑えながら、かじり現象の検出を改善する。
【0012】
本発明の出願人は、かじりの間に発生する材料の塑性変形および剥離が熱を生じさせることを見出した。さらに、組込み作業において、表面同士が擦れ合うことによっても熱が生じる。例えば、ねじの根元、シール面、またはねじ端部の他の機能面において局所的に熱が生じる。しかしながら、この熱は、ねじ端部の材料の熱伝導性によって、端部内から端部の外面にかけて温度を変化させる。
【0013】
したがって、2つのねじ端部を互いに組み込む間に温度の変化を測定して、その測定値から、かじりの発生が温度の変化を引き起こしているか否かを判定することができる方法および装置を用いて、かじりを検出する必要がある。
【0014】
本出願人は、ねじ端部の外面上の複数の点における温度の変化を測定することができる装置を開発した。このような装置は、油井プラットフォーム上で作業者によって使用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、ねじ込み管状部材の接続品質を判定する装置を提供することであり、当該装置は、以下を備える。
・ 軸(21)を有する円筒形の内部空間(20)を含み、ねじ込み管状部材の外面の一部に取り付けられるように構成されたケース(2)。
・ ケース(2)と内部空間(20)との間に配置され、管状部材の端部の外面上の複数の位置E(i,j)における温度の変化を測定するように配置された複数の温度センサ(5)を備えるコンタクト層(4)を含む少なくとも1つの測定手段(3)。
・ 複数のセンサ(5)に接続され、センサ(5)によって生成された信号の少なくとも一部を処理することができる取得用の第1電子機器(33)。
【0016】
一実施形態において、少なくとも1つの測定手段(3)は、装置の軸(21)周りに広がるように配置された複数の測定片(31)を備える。
【0017】
本発明による一実施形態において、装置は、油井作動用の管状部材のためのスタビングガイドである。
【0018】
温度センサ(5)は、熱電対、サーミスタおよびマイクロボロメータから選択されてもよい。
【0019】
温度センサ(5)は、フレキシブル基板上の温度センサ(5)の配列(51)に配置されてもよい。
【0020】
一実施形態において、温度センサはサーミスタであり、フレキシブル基板はポリイミド製である。
【0021】
コンタクト層(4)は、温度センサ(5)と内部空間(20)との間に少なくとも部分的に配置された熱伝導性絶縁層を備えていてもよい。
【0022】
コンタクト層(4)は、温度センサ(5)を保護するように配置された保護層(41)を備えていてもよい。
【0023】
保護層(41)は、丸みを帯びた輪郭を有するように形成された鋼板であってもよい。
【0024】
一実施形態において、当該装置は、ケース(2)とコンタクト層(4)との間にクッション層(9)を備えていてもよい。
【0025】
クッション層(9)は、ガーターばね、クローバドーム型ばねワッシャ、波形ワッシャ、ドーム型ばね、弾性材、およびネオプレンまたはシリコーンからなる発泡体の群から選択される弾性手段を備えていてもよい。
【0026】
クッション層(9)は、剛性に形成された要素(92)を有していてもよい。
【0027】
ケース(2)は、位置決め当接部(7)を有していてもよい。
【0028】
一実施形態において、取得用の第1電子機器(33)は、FPGAプログラマブル電子回路タイプの収集用電子機器(35)に接続された複数の取得用電子ユニット(34)を備えていてもよい。
【0029】
一実施形態において、当該装置は、時間に基づいた少なくとも1つの検出関数に従って、2つのねじ込み管状部材を互いに組み込む間に、かじりの発生または管状接続部の要素の少なくとも一部の劣化を判定することができる処理用の第2電子機器(36)を備えていてもよい。
【0030】
取得用の第1電子機器(33)および処理用の第2電子機器(36)は、無線wifiまたはBluetoothリンクまたは有線イーサネットタイプのリンクを介して接続されてもよい。
【0031】
処理用の第2電子機器は、測定値を処理して記憶するためのソフトウェアを備えていてもよい。
【0032】
また、本発明は、本発明による装置を使用する方法であって、当該方法は、以下のステップを備える。
・ 対応する別の管状部材への組込み開始時に、管状部材の一端(11)の外面の複数の位置E(i,j)における温度を表す値セットT(i,j)を決定するステップ。
・ 組込み中に、一端(11)の外面の複数の位置E(i,j)における温度を表す別の値セットT(i,j)を決定するステップ。
・ 各位置E(i,j)について、組込み中の温度T(i,j)と組込み開始時の温度T(i,j)との差を計算するステップ。
・ 差T(i,j)-T(i,j)が、少なくとも1つの位置E(i,j)の所定の閾値ΔTthreshold(i,j)を超えたときに、かじりの発生を判定するステップ。
【0033】
変形例において、本発明の方法は、以下のステップをさらに備えていてもよい。
・ 少なくとも1つの位置のセットΣE(i,j)に対する温度V(i,j)の変化速度を計算するステップ。
・ 温度V(i,j)の変化が、変化の所定の閾値ΔV(i,j)を超えたときに、かじりの発生を判定するステップ。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明から、より明らかになるであろう。
図1】ねじ込み管状部材の一部およびその端部の一方を概略的に示す図である。
図2】開位置にあるねじ込み管状部材の雌端部の周りに配置された、本発明による装置の一実施形態を概略的に示す部分斜視図である。
図3】閉位置にある本発明の一実施形態を示す斜視図である。
図4】本発明の一実施形態による複数の測定手段を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態による測定片の一部切欠き斜視図である。
図6a】本発明の一実施形態による測定片を示す断面図である。
図6b】本発明の一実施形態による測定片を示す断面図である。
図7】本発明の一実施形態による、ケースに取り付けられていない測定片および取得用電子機器を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
添付の図面は、本発明を構成するのに役立つだけでなく、本発明の定義にも適宜使用することができる。これらの図面は、本発明の範囲を限定するものではない。
【0036】
本発明の目的は、2つの管状部材のねじ端部を互いに接続してねじ込み接続部を形成する間に、ねじ部および/またはシール面および/または当接部の一部で生じた損傷を検出して、2つのねじ込み管状部材の接続品質を判定することである。
【0037】
「雌端部」という用語は、対応する雄型部分との接続部を形成するために機械加工されたおよび/または精密な研削面が設けられた管状部材の一部を意味する。「本体」という用語は、それを越えて位置する部材の一部を意味し、一般に、圧延によって形成される表面を備える。雌端部は、一般に、内部側壁に配置された1つまたは複数のねじ部を有し、部材の外部側壁上の1つまたは複数の対応するねじ部を有する「雄端部」に接続されるよう構成される。
【0038】
図1は、管状部材(10)および雌端部または接続部(11)を示す。端部には、ねじ部(12)が設けられる。また、シール面(17)と当接部(18)とを備えていてもよい。いくつの接続部が、複数のねじ部またはシール面または当接部を備えていてもよい。図示された管状部材は、「ねじ込み結合式」のものである。実際、接続部は、雄型の第1ねじ部(14a)を有する管(10)と、管(10)の雄型の第1ねじ部(14a)に組み込まれるようになされた雌型の第2ねじ部(14b)を有する継手(15)と、を備える。
【0039】
継手(15)は、別の管状部材の一端に組み込まれるように意図されたねじ部(12)を備える。図1に示すように、継手は、管状部材(10)の雌端部を備え、別の管状部材の雄端部に組み込まれるように意図されている。ねじ部(12)は、雌型の第2ねじ部(14b)とは別に形成されてもよい。すなわち、継手の形状は必ずしも対称ではない。継手(15)は、終端(16)をさらに備える。
【0040】
あるいは、継手を備えずに、雄端部および/または雌端部が直接形成されるいわゆる「一体型」の管状部材がある。
【0041】
ねじ部(12)の少なくとも一部には、いわゆる完全ねじ部が設けられてもよく、また、ねじ部の一部または複数の部分には、いわゆる不完全ねじ部が設けられてもよい。不完全ねじ部は、ねじ接続部の大きさを低減するために、および/または接続前に接続部に供給されたグリースのより良好な循環を可能にするために、使用され得る。
【0042】
かじり現象には、いくつかの側面がある。まず、接続部の様々な機能的部分、すなわち完全または不完全ねじ部におけるねじ部、シール面、または当接部に影響を及ぼす可能性がある。また、かじりは、その度合いによって特徴付けられる。例えば、ねじ部の一部の表面に関連して、単一の完全ねじ部のスタビングフランクにおいて材料が数センチメートルにわたって剥離する場合がある。また、より深刻な場合には、ねじ部の角度区域にわたっていくつかの連続したねじ部への損傷に関連して、例えば、かじりが、15°の角度区域にわたって5つの連続したねじ部の劣化によって引き起こされる場合がある。
【0043】
かじりは、その強度によっても特徴付けられる。非常にわずかなかじりでは、管状部材同士の接続が直接再試行され得る。わずかなかじりでは、損傷した表面は手作業で修理され、部材同士の接続が再試行され得る。材料の剥離に関連する中程度のかじりでは、対応する管状部材は拒絶され得る。機能面の幾何学的形状の劣化に伴う材料の剥離に関連する深刻なかじりでも、対応する管状部材は拒絶され得る。
【0044】
井戸内に配置される部材は、過酷な環境下において輸送、取り扱いおよび保管される。すなわち、部材同士の接続は、工場のような理想的且つ管理された環境下では行われないことを意味する。そのため、これらの部材は、接続される直前に、互いに対して不正確に配置され得る。これらの外的要因は、接続部に欠陥を生じさせる可能性がある。その確率は低いが、ドリルストリングおよび作動されるガス井または油井の保全性に関して、非常に深刻な結果をもたらす場合がある。
【0045】
掘削または作動される油井では、部材は、ストリングにおける最後の部材に順次接続される。ストリングは、井戸内に徐々に降ろされる。部材は、接続のために通常垂直位置に配置されるので、上端と、ストリングに導入された最後の部材の上端に接続されるように意図された下端と、を有する。一般に、部材は、作業中、上端によって保持および懸架される。これは、下端を操作する作業者によって誘導される。
【0046】
特に、互いに接続される端部の機能的部分に対して部材の揺動を制限して衝撃を回避するために、組込みガイドが一般的に使用される。
【0047】
対応する雌端部に接続するために、(ガス井および油井用の管状部材の技術分野では「スタビングガイド」として知られる)組込みガイドは、一般に、雄端部を位置決めするように意図された円錐形ガイド部を備える。また、この装置は、アプローチ中の雄端部のねじ部を衝撃から守るように意図されている。米国特許第4599778号には、そのようなスタビングガイドが記載されている。
【0048】
本出願人は、本発明の装置をスタビングガイドと一体化すると、管状部材を接続する際に使用する機器の数と作業の工数を減らすことができるため、また、本発明による装置を誤って配置する可能性を低減することができるため、特に有用であることを見出した。
【0049】
図2に示す本発明の接続装置(1)は、管状部材(11)の一端に配置して取り付けることができるケース(2)を備える。ケース(2)は、軸(21)と、円筒形の管状要素の一部を受容することができる、実質的に円筒形の内部空間(20)と、を有する。ケース(2)は、一般に、2つの部分に分かれて作製される。これにより、管状部材の周りでの作業が容易になる。この2つの部分は、互いに対して旋回するように取り付けられてもよい。
【0050】
ケース(2)は、ケース(2)の適切な位置決め、特に軸方向の位置決めのための位置決め当接部(7)を備えていてもよい。装置がねじ込み結合式の接続部に使用されるように意図されている場合、位置決め当接部(7)は、終端面(16)に当接できるように配置される。位置決め当接部(7)は、装置を軸方向に反復可能に位置決めするために使用されてもよい。これにより、接続部の機能面に対する温度センサ(5)(図2では図示せず)の軸方向位置を、高い精度で把握することができる。
【0051】
また、接続装置(1)は、測定手段(3)を備える。測定手段(3)は、管状部材(11)の端部の外面の形状と同様の、また、管状部材(11)の端部の外面の形状に適合する、実質的に円筒形の内面形状を有する。このようにして、測定手段(3)は、ケース(2)と内部空間(20)との間に配置される。
【0052】
測定手段(3)は、少なくとも1つの測定片(31)を備える。図2にいくつかの測定片(31)を示す。測定片(31)は、一端の外面の大部分を覆うように配置される。各測定片(31)は、管状部材(11)の端部の外面上の複数の点における温度の変化を測定するように意図された複数の温度センサ(5)を含むコンタクト層(4)を備える。ケース(2)内に組み込まれたコンタクト層(4)は、プラットフォーム上の空間をサーマルカメラシステムほど占めないコンパクトさを提供するという利点を有する。例えば、サーマルカメラを使用するシステムは、管状部材の周りで360°の測定を実行するために3つのサーマルカメラを必要とするが、これは、現場での使用は困難であり、カメラが道具や作業者によって隠れてしまう可能性がある。さらに、ケース(2)によって、作業者、太陽光、または井戸を取り囲む機器による外部熱放射からコンタクト層(4)が保護されるなど、多くの利点がある。
【0053】
図2に示す実施形態の測定片(31)は、それぞれ垂直方向に配置され、半径方向に広がっている。あるいは、測定片は、それぞれ水平に配置され、軸方向に広がっていてもよい。垂直配置は、異なる外径を有する複数の管状部材または端部に適合する装置に対して、互いに同一の測定片を作製することができるという利点を有する。
【0054】
図5は、測定片(31)の断面斜視図である。測定片(31)は、基板(44)上に配置された複数の温度センサ(5)を備える。基板(44)は、コンタクト層(4)の組み立てを容易にし、センサ(5)の位置決め精度を向上させる。有利には、基板(44)は、フレキシブル基板である。この支持体すなわちフレキシブル基板(44)の可撓性は、管状部材の端部(11)の外面上におけるセンサの位置決めを容易にする。組み立ては、接着または溶接によって行われてもよい。フレキシブル基板(44)としては、例えば、デュポン(DuPont)社より市販されているカプトン(Kapton)のようなポリイミドシートを使用してもよい。
【0055】
第1の変形例では、コンタクト層(4)は、サーミスタ型温度センサ(5)を備える。
【0056】
第2の変形例では、コンタクト層(4)は、熱電対型温度センサ(5)を備える。このセンサとしては、例えば、Minco Products Inc.より市販されているTC2741型の熱電対を使用してもよい。この変形例では、コンタクト層(4)は、熱電対フィルムを備えていてもよい。
【0057】
第3の変形例では、コンタクト層(4)は、マイクロボロメータ型温度センサ(5)を備える。このセンサとしては、例えば、INO社より市販されているモデルを使用してもよい。ボロメータは、放射エネルギーから温度を測定することを可能にする。ボロメータの原理は、一般に、サーミスタに接続された吸着材料に到達する放射エネルギーを、放射を表す電気的特性に変換することである。この変形例では、コンタクト層(4)は、管状部材の端部の外面と接触することなく、許容可能な測定性能を保持することができる。これは、赤外線放射の測定をボロメータが実行するので、ボロメータと被測定面とを接触させる必要がないためである。したがって、ボロメータを使用することにより、管状部材(11)の端部の外面の幾何学的欠陥に関連する測定品質の問題を克服することができる。ボロメータを使用する場合、マイクロボロメータの測定面上に保護層を形成することはできない。保護層を使用する場合、マイクロボロメータが覆われないように孔を形成する必要がある。しかしながら、マイクロボロメータ型センサは、汚れに非常に敏感であるという点で、熱電対やサーミスタに比べて不利である。
【0058】
別の変形例では、コンタクト層(4)は、熱電対、サーミスタおよびボロメータから選択される複数種類のセンサの組合せを備えていていもよい。
【0059】
図5に示すコンタクト層(4)は、センサを摩耗から保護する保護層(41)をさらに備える。保護層(41)は、金属シートの形態で作製することができ、衝撃、摩擦および摩耗に対して良好な保護を提供する。その材料として、管状部材の材料と同じ材料であり、熱伝導率の観点から同様に挙動するので、金属材料が好ましい。金属シートは、ある程度の可撓性を有するように薄くてもよい。金属シート(41b)は、管状部材の表面の丸みを帯びた輪郭により良く適合するように、実質的に丸みを帯びた輪郭を有するように形成されてもよい。
【0060】
また、コンタクト層(4)は、センサと部材(11)の端部の外面との間に配置される熱伝導性電気絶縁層(42)を備えていてもよい。熱伝導性電気絶縁層(42)は、センサに熱がより良好に伝導するように、センサ(5)の受容面を覆う。熱伝導性電気絶縁層(42)は、可撓性であってもよい。これにより、管状部材の外面に適合するように測定手段(3)の能力が改善され、また、センサ(5)と被測定面との間の最適な結合が提供される。適切な材料の一例として、t-Global Technology社による製品PC94およびPC93、またはLaird Technology社によるTPCM FSF-52がある。
【0061】
保護層(41)が存在する場合、熱伝導性電気絶縁層(42)は、保護層(41)と基板(44)との間に配置される。
【0062】
図6bに示すように、コンタクト層(4)は、温度センサ(5)を熱的に絶縁するための熱絶縁層(44)をさらに備えていてもよい。この絶縁層は、測定される機能面を除いてセンサを熱的に絶縁し、測定方向を画定するように配置される。測定方向とは、一般に、温度が測定される面に向けられる方向である。絶縁層は、測定の標準化を改善するために使用することができる。
【0063】
図5に示すように、一実施形態における本発明による装置は、ケース(2)とコンタクト層(4)との間にクッション層(9)をさらに備えていてもよい。この層は、伸張性を有し、ある程度の弾性を有する。実際には、クッション層(9)は、例えば直径の公差に関連した変動や円筒性の不完全性のような端部の寸法の変動を補填することによって、コンタクト層(4)と管状部材(11)の端部の外面との間の接触を維持するように作用する。
【0064】
一変形例において、クッション層(9)は、シリコーンまたはネオプレンからなる発泡体などの弾性材料を備える。
【0065】
別の変形例では、クッション層(9)は、グローバードーム型ばねワッシャ、波形ワッシャ、ドーム型ばね、およびガーターばねから選択されるばねを備えていてもよい。
【0066】
クッション層(9)は、上述した変形例のうちの1つと組み合わせて、上述した弾性構造を有する弾性支持体とコンタクト層(4)との間に剛性支持体(92)をさらに備えていてもよい。その場合、剛性支持体(92)は、クッション層(9)の弾性支持体(91)とコンタクト層(4)との間に配置される。この剛性支持体は、コンタクト層(4)に対して配置された凹状内面(93)を有していてもよい。これにより、コンタクト層(4)が管状表面の凸状外面によりよく適合することができるように、凹状形状をコンタクト層(4)に設けることができる。
【0067】
図4および図5に示す測定片を有する装置の一実施形態において、本発明による装置は、内部空間(20)を取り囲む円周の周りに広がるように、測定片(31)の形状を有する複数の測定手段を備える。
【0068】
図7に示すように、測定手段(3)の各測定片(31)は、支持層(44)上に取り付けられた複数のセンサ(5)を有するコンタクト層(4)を備える。支持層(44)は、管状部材(11)の端部の外面上の複数の点における温度の変化を測定ように意図されている。これらのセンサは、測定手段(3)の各測定片(31)内の配列に配置される。例えば、各配列に、合計32個のセンサが8列に配置されてもよい。各測定片(31)において、温度センサ(5)の配列(51)は、可撓性接続片(52)を介して取得用電子ユニット(34)に接続される。可撓性接続片は、測定装置への電子機器の組み込みを容易にする。
【0069】
装置の各取得用電子ユニット(34)は、取得用の第1電子機器(33)の一部を構成する。各取得用電子ユニット(34)は、収集用電子機器に接続される。したがって、図3に示すように、取得用の第1電子機器は、1つまたは複数の取得用電子ユニットと、収集用電子機器(35)とを備える。
【0070】
各測定片(31)は、コンタクト層(4)を備える。これは、センサ(5)の配列と、管状部材の外面との結合を改善することができることを意味する。また、センサの配列を互いから熱的に分離することができることも意味する。これは、分解能が低い場合に好都合である場合がある。
【0071】
各測定片(31)は、クッション層(9)を備える。これは、部分的にセンサ(5)の配列を機械的に分離することができることを意味する。これにより、管状部材の幾何学的不完全さにかかわらず、各センサの配列と、部材の被測定面とのより良好な結合を得ることができる。
【0072】
図5に示す実施形態では、クッション層(9)は、ネオプレンからなる発泡体を備える。また、クッション層(9)は、成形された金属シートの形態を有する剛性支持体(92)も備える。
【0073】
図4および図5に示す実施形態では、測定片(31)は、円周方向に広がるように配置される。あるいは、測定片(31)は、軸方向に広がるように配置され得る。示された実施形態は、標準化された測定手段を作製するために使用することができるので、工業的に有利である。また、本発明による装置は、測定される管状部材の直径に応じて、取り付けられる片(31)の数が調整される。直径が大きいほど、より一体的に同一の測定片(31)を取り付けることができる。
【0074】
有利には、本装置は、スタビングガイドであり、雄型部材の一端を案内するための手段を含む最上部(6)を備える。例えば、この最上部は、円錐形の内部空間を画定する円錐形内面(6b)を含む。スタビングガイドを現場で通常使用する場合、この箇所はスタビングガイドの上方に位置するため、「最上部」とする。一般に、部材は、この上方を経由してドリルストリングの管状部材に組み込まれる。
【0075】
ケース(2)と、少なくとも1つの測定手段(3)とが、スタビングガイドの下部に設けられ、最上部の円錐形の内部空間(6b)が円筒形の内部空間(20)の延長線上に開口するように配置される。したがって、本発明による装置は、作業者が頻繁に使用する工具に組み込まれる。これにより、本発明による装置の現場での使用を簡略化することができる。
【0076】
有利には、本発明による接続装置は、装置を位置決めするための手段を備える。これにより、部材の雌端部の外面上に且つねじ部の少なくとも一部と同じ高さに、測定部を正確に配置することができる。「高さ」という用語は、軸からこの機能的部分を通過する径が機能的部分の「高さ」における測定部分をも通過するような、管状部材に対する軸方向位置を意味する。正確且つ反復可能な位置決めにより、実行温度を表す測定値に対する影響を最小限に抑えることができる。位置決め手段は、位置決め当接部(7)であってもよい。装置をねじ込み結合式の接続部に使用するために、この位置決め当接部(7)は、継手の終端に当接するように構成されてもよい。当接部は、接続部の幾何学的形状に従って異なる構成を有していてもよい。肉厚部を含む一体型の接続部である場合、当接部は、肉厚部の外面または接続部の外径の変化と合致する形状を有していてもよい。代替的に、当接部を視覚的マークに置き換えてもよい。視覚的マークは、例えばマークを雌型接続部の端部の高さに合わせて装置を軸方向に整列させることができるように、作業者によって使用され得る。
【0077】
本発明による装置は、管状部材の周りでスタビングガイドを閉じてその状態を保持するための、または使用後に装置が管状部材から外れるように開くことができる閉止手段を備えていてもよい。閉止手段は、外部からの補助なしに装置が管状部材上に保持されるように、また、特にクッション層の圧迫によって充分なクランプ力を装置に提供してコンタクト層(4)と管状部材との接触を確実にするように構成されてもよい。装置の閉止手段は、現場で従来使用されているスタビングガイドの閉止手段である。閉止手段は、図3に示すトグルファスナ(22)であってもよく、あるいは、米国特許第4599778号に記載されているタイプのファスナであってもよい。
【0078】
図7に示す態様によれば、本発明による接続装置は、コンタクト層(4)上に配置された複数のセンサ(5)が接続された各測定片(31)上に、取得用の第1電子機器(33)を備える。好ましくは、センサ(5)は、センサ()の配列に配置される。
【0079】
測定片(31)のセンサ(5)に接続された取得用の第1電子機器(33)は、センサ()からの信号を収集する。取得用の第1電子機器(33)は、各測定片(31)上に、取得用電子ユニット(34)を備えていてもよい。取得用電子ユニット(34)は、ユニット(34)が配置された測定片(31)のセンサ(5)の温度を表す信号を収集する。また、取得用の第1電子機器(33)は、収集用電子機器(35)を備えていてもよい。収集用電子機器(35)は、様々な取得用電子ユニット(34)から得られたデータセットを収集する。したがって、各取得用電子ユニット(34)は、センサ()から得られた温度を表す信号をデータストリームに変換することができる。データストリームは、非同期リンクを介して収集用電子機器(35)に送信される。例えば、非同期リンクはRS232タイプのものであり、収集用電子機器(35)はFPGAタイプの電子基板である。取得用の第1電子機器(33)は、センサのための電力供給手段と、アナログ/デジタル信号変換モジュールと、処理手段と、通信手段とを備える。
【0080】
取得用の第1電子機器(33)は、各信号と、対応するセンサ位置とを関連付けることができる。これにより、位置/温度マトリクスを確立することができる。ここで、値T(i,j)は測定された温度を表し、iおよびjはコンタクト層(4)の様々なセンサの位置指数を表す。また、位置は、位置E(i,j)よって示される。
【0081】
取得用の第1電子機器(33)は、通信手段を介して処理用の第2電子機器(35)に接続される。この手段は、イーサネットリンクのように有線であってもよい。この場合、PoEの原則に従って、イーサネットリンクを介してセンサへの電力供給を行うことができる。あるいは、通信手段は、無線であってもよく、例えば、wifiまたはBluetoothプロトコルを使用してもよい。また、接続装置は、センサ(5)および取得用の第1電子機器(33)への電力供給のために、バッテリを備えていてもよい。
【0082】
実際には、取得処理は、装置のすべての測定片(31)にわたって特定の速度で同時に実行される。速度は、例えば毎秒3~5フレームであってもよい。各取得用電子機器(33)は、単一のフレームを構成する。各単一のフレームは、全体フレームを再構築する収集用電子機器(35)によって収集される。各フレームは、各片の各センサによって提供されるすべての値T(i,j)をグループ化した大域行列によって構成される。各全体フレームには、タイムスタンプが付けられ、エラー通知(取得エラー、センサや片の不具合等)も含む。また、全体フレームを使用して、管状部材の接続の品質を判定することができる。
【0083】
取得用の第1電子機器は、様々な位置E(i,j)における温度を示す画像を表示するためのシステムに接続されてもよい。これにより、作業者は、例えば接続中の発熱を目視で確認することができる。
【0084】
代替的にまたは相補的に、取得用の第1電子機器は、処理用の第2電子機器に接続されてもよい。
【0085】
処理用の第2電子機器の主な機能は、かじりの発生を判定する機能を実行することである。第2電子機器は、ケース(2)上の独立型の電子機器よりも強力な計算手段を使用できるように、取り外されてもよい。別の関連する利点は、様々なモデルのそれぞれの位置およびねじ接続部の直径に関する臨界値を含むデータベースを保持可能な、より大きなメモリを使用することができることである。これらの臨界値は、主に、異なるモデルまたは接続部の直径に対する一連の組込み作業に対して実験的に決定される。この一連の組込み作業では、かじりが異なる度合いを有するように、組込み異常が意図的に発生される。上記臨界値は、異なる位置E(i,j)または位置のセットΣE(i,j)の温度変化の時間的関数に関連する閾値であってもよい。
【0086】
これらの臨界値は、使用される材料および摩擦係数、表面状態、接触圧力等の摩擦に関する条件を必要とする各接続部の幾何学的形状によって異なる。これは、発生する熱に影響を与える。接続部の不具合検出の信頼性を向上させるために、接続モデルに応じた様々な温度閾値のデータベースを構築する必要がある。
【0087】
本発明の一態様によれば、処理用の第2電子機器(36)は、温度T(i,j)の変化を測定するための時間関数を有していてもよい。時間関数は、かじりの警告を温度T(i,j)の変化の関数として提供するかどうかを判定する。いくつかの時間関数を以下に詳述する。
【0088】
各位置E(i,j)のみならず、隣接する位置のセットΣE(i,j)に対しても、検出関数が使用されてもよい。これにより、特定の位置ではなく、接続部の領域に関数を適用することができる。また、閾値関数によって、組立て中のかじりを検出することができ、異常な温度が生じている領域の大きさを決定してかじりの程度を判定することもできる。
【0089】
これに関して、実際には、被測定面は複数の区域Sに分割される。各区域Sは、グループΣE(i,j)の位置E(i,j)に対応するセンサのセットC(i,j)を含む。各区域上の平均温度Tは、T(i,j)ISの値に基づいて算出される。
【0090】
また、被測定面を複数回に分けて区域Sに分割して、異なる大きさの区域を形成することもできる。
【0091】
例えば、1回目の分割では、ねじ部の幅に対応する幅と、測定片の幅に対応する長さとを有する長方形の区域Sが形成されてもよい。2回目の分割では、5つのねじ部の幅に対応する幅と、測定片の幅に対応する長さとを有する長方形の区域S’が形成されてもよい。これらは例示的なものであり、測定される接続モデルに適した任意の形状によって、区域がそれぞれ画定されてもよい。
【0092】
第1の変形例では、処理用の第2電子機器(36)は、閾値関数を有する。測定手段(3)によって被測定面の位置E(i,j)で測定される温度は、接続開始時の初期温度T(i,j)[t]と、組込み中の時刻[t]における温度T(i,j)[t]との間で変化する。温度T(i,j)[t]がT(i,j)[t]+ΔTthreshold(i,j)に達するかそれを超えると、装置は、かじりが発生しているという情報をユーザに送信する。
【0093】
簡潔に言うと、ねじ部の閾値ΔTthresholdを10℃に固定することで良好な結果を得ることができた。また、シール面での閾値を3℃または6℃に固定することでも良好な結果を得ることができた。
【0094】
例えば、ねじ部に面する部材の外面部との組込み前の初期温度が位置E(i,j)において30℃である接続部の場合、同じ位置E(i,j)における温度が40℃以上のときには、ねじ部でかじりが発生していると解釈することができる。
【0095】
また、閾値は、完全ねじ部、不完全ねじ部、シール面、または当接部を面する表面に対応するという点で、その位置E(i,j)に依存する。
【0096】
別の変形例では、温度の変化速度V(i,j)が計算される。変化速度が領域ΣE(i,j)の最小値V(i,j)に対する所定の閾値ΔV(i,j)を超えると、かじり発生の警告が通知される。閾値ΔV(i,j)は、接続の関数として、または任意の組込み速度の関数として、定義される。例えば、小さな直径のチューブは、大きな直径のチューブよりも早く組み込まれ得る。
【0097】
別の変形例では、かじりの発生を検出するために、上述したような温度の変化および温度の変化速度に対する閾値関数を、並行してまたは組み合わせて使用することができる。
【0098】
別の実施形態では、検出アルゴリズムを回転当たりのトルク検出と組み合わせることで、検出の精度をさらに向上することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7