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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】参照信号伝送方法、送信機および受信機
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/0456 20170101AFI20220105BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20220105BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H04B7/0456 300
H04B7/06 984
H04L27/26 114
H04L27/26 410
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019524978
(86)(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 CN2017119381
(87)【国際公開番号】W WO2018121671
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2019-05-27
(31)【優先権主張番号】201611236137.2
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510065207
【氏名又は名称】大唐移▲動▼通信▲設▼▲備▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】DATANG MOBILE COMMUNICATIONS EQUIPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1/F, Building 1, No.5 Shangdi East Road, Haidian District,Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】李 輝
(72)【発明者】
【氏名】高 秋彬
(72)【発明者】
【氏名】タムラカール ラケシュ
(72)【発明者】
【氏名】スー シン
(72)【発明者】
【氏名】陳 潤華
(72)【発明者】
【氏名】黄 秋萍
(72)【発明者】
【氏名】李 伝軍
(72)【発明者】
【氏名】王 蒙軍
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-524405(JP,A)
【文献】特開2007-089114(JP,A)
【文献】Nokia, Alcatel-Lucent Shanghai Bell,On RS Design for Phase Tracking in NR[online],3GPP TSG RAN WG1 #87 R1-1612860,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_87/Docs/R1-1612860.zip>,2016年11月04日
【文献】LG Electronics,Discussion on Phase Tracking RS for Multi-Antenna[online],3GPP TSG RAN WG1 #87 R1-1611811,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_87/Docs/R1-1611811.zip>,2016年11月05日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/0456
H04B 7/06
H04L 27/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機が、第2プリコーディング行列でユーザデータのテータストリームにプリコーディングを行ってD(1以上の整数)個の仮想テータストリームを得ることと、
前記送信機が、第1プリコーディング行列で前記D個の仮想テータストリームにプリコーディングを行い、各々が同一の位相雑音を有する1つまたは複数のアンテナユニットを含むT(1以上の整数)個のアンテナセットによって、プリコーディング後のD個の仮想テータストリームを受信機に伝送することと、
各々が、1つの仮想テータストリームに対応し、対応する仮想テータストリームとは同一のアンテナセットで伝送されるD個の復調参照信号であって、各々に用いられるプリコーディングベクトルと、当該復調参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一であるD個の復調参照信号を、前記送信機から前記受信機に伝送することと、
前記T個のアンテナセットで1つまたは複数の位相雑音ソースから引き起こされる位相変化を追跡するためのM(1以上の整数)個の位相追跡参照信号を前記送信機から前記受信機に伝送することとを含み、
ここで、1つの位相追跡参照信号に少なくとも1つの復調参照信号が対応付けられ、対応関係を有する位相追跡参照信号と復調参照信号とは、同一のアンテナセットで伝送される、参照信号伝送方法。
【請求項2】
各仮想テータストリームは、プリコーディングされて1つまたは複数のアンテナセットで伝送され、かつ同一の仮想テータストリームに用いられる1つまたは複数のアンテナセットは、同一の位相雑音を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルのうち、当該仮想テータストリームに用いられる1つまたは複数のアンテナセットに対応する重み値を除き、他のアンテナセットのアンテナユニットに対応する重み値は、すべて0である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
各位相追跡参照信号は、プリコーディングされて1つまたは複数のアンテナセットで伝送され、かつ同一の位相追跡参照信号に用いられる1つまたは複数のアンテナセットは、同一の位相雑音を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルのうち、当該位相追跡参照信号に用いられる1つまたは複数のアンテナセットに対応する重み値を除き、他のアンテナセットのアンテナユニットに対応する重み値は、すべて0である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2プリコーディング行列の情報は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、
または、さらに、
前記第2プリコーディング行列の情報を前記送信機から前記受信機に伝送すること、または、データ帯域幅での前記第2プリコーディング行列の使用ルールを前記送信機から前記受信機に伝送することを含む請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、
または、さらに、
復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係を前記送信機から前記受信機に伝送することを含む請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係として、
位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルは、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルに関連し、ここで、位相追跡参照信号に対応する仮想テータストリームは、当該位相追跡参照信号に対応する復調参照信号に対応する仮想テータストリームである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
位相追跡参照信号が1つの復調参照信号に対応するのであれば、当該位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルと、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一であり、
位相追跡参照信号が複数の復調参照信号に対応するのであれば、当該位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルは、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、前記複数の復調参照信号に対応する複数の仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルから演算して得られる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
受信機が、送信機から伝送されたデータ信号を受信することと、
前記受信機が、前記送信機から伝送された復調参照信号を受信し、受信した各復調参照信号のチャネルを推定し、ここで、前記受信機の受信アンテナユニットの各々がD(1以上の整数)個の復調参照信号を受信することと、
前記受信機が、前記送信機から伝送された位相追跡参照信号を受信し、受信した各位相追跡参照信号のチャネルを推定し、ここで、前記受信機の受信アンテナユニットの各々がM(1以上の整数)個の位相追跡参照信号を受信することと、
受信アンテナユニット毎に、前記受信機が、当該アンテナユニットを介してM個の位相追跡参照信号を受信し、受信したD個の復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行い、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ることと、
前記受信機が、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの、各受信アンテナユニットで受信された各復調参照信号の補償チャネル推定が含まれる補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列とに基づいてチャネル情報を取得することと、
前記受信機が、前記チャネル情報を用いて前記データ信号を復調してユーザデータを得ることとを含み、
ここで、1つの位相追跡参照信号に少なくとも1つの復調参照信号が対応付けられ、対応関係を有する位相追跡参照信号と復調参照信号とは、同一のアンテナセットで前記受信機に伝送される、参照信号伝送方法。
【請求項11】
前記受信アンテナユニット毎に、前記受信機が、当該アンテナユニットを介してM個の位相追跡参照信号を受信し、受信したD個の復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行い、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ることは、
受信アンテナユニット毎に、前記受信機が、取得済みの復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係に基づいて、当該アンテナユニットで受信された各位相追跡参照信号に対応する復調参照信号を特定することと、
前記受信機が、各位相追跡参照信号から推定されたチャネルと、各々の位相追跡参照信号に対応する復調参照信号から推定されたチャネルを比較して、各位相追跡参照信号に対応する位相変化情報を得ることと、
前記受信機が、各位相追跡参照信号に対応する位相変化情報を用いて、各々の位相追跡参照信号に対応する復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相雑音補償を行って、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ることとを含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記マッピング関係は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、
または、さらに、
前記受信機が、前記送信機から伝送された前記マッピング関係を受信することを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記受信機が補償チャネル推定行列と取得済みの第2プリコーディング行列とに基づいてチャネル情報を取得することは、
前記受信機が、前記補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列を乗算してチャネル情報を得ることを含み、
前記第2プリコーディング行列の情報は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、
または、さらに、
前記受信機が、前記送信機から伝送された前記第2プリコーディング行列の情報を受信すること、または、前記受信機が、データ帯域幅での前記第2プリコーディング行列の使用ルールを前記送信機から受信し、前記ルールに基づいて前記第2プリコーディング行列を取得することを含む請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
第2プリコーディング行列でユーザデータのテータストリームにプリコーディングを行ってD(1以上の整数)個の仮想テータストリームを得ることに用いられる符号化モジュールと、
第1プリコーディング行列で前記D個の仮想テータストリームにプリコーディングを行い、各々が同一の位相雑音を有する1つまたは複数のアンテナユニットを含むT(1以上の整数)個のアンテナセットによって、プリコーディング後のD個の仮想テータストリームを受信機に伝送することに用いられる第1伝送モジュールと、
各々が、1つの仮想テータストリームに対応し、対応する仮想テータストリームとは同一のアンテナセットで伝送されるD個の復調参照信号であって、各々に用いられるプリコーディングベクトルと、当該復調参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一であるD個の復調参照信号を、前記受信機に伝送することに用いられる第2伝送モジュールと、
前記T個のアンテナセットで1つまたは複数の位相雑音ソースから引き起こされる位相変化を追跡するためのM(1以上の整数)個の位相追跡参照信号を前記受信機に伝送することに用いられる第3伝送モジュールとを含み、
ここで、1つの位相追跡参照信号に少なくとも1つの復調参照信号が対応付けられ、対応関係を有する位相追跡参照信号と復調参照信号とは、同一のアンテナセットで伝送される、送信機。
【請求項15】
受信機であって、
送信機から伝送されたデータ信号を受信することに用いられる第1受信モジュールと、
前記送信機から伝送された復調参照信号を受信し、受信した各復調参照信号のチャネルを推定し、ここで、前記受信機の受信アンテナユニットの各々がD(1以上の整数)個の復調参照信号を受信することに用いられる第2受信モジュールと、
前記送信機から伝送された位相追跡参照信号を受信し、受信した各位相追跡参照信号のチャネルを推定し、ここで、前記受信機の受信アンテナユニットの各々がM(1以上の整数)個の位相追跡参照信号を受信することに用いられる第3受信モジュールと、
受信アンテナユニット毎に、当該アンテナユニットを介してM個の位相追跡参照信号を受信し、受信したD個の復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行い、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ることに用いられるチャネル推定モジュールと、
位相追跡参照信号の位置するシンボルでの、各受信アンテナユニットで受信された各復調参照信号の補償チャネル推定が含まれる補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列とに基づいてチャネル情報を取得することに用いられる取得モジュールと、
前記チャネル情報を用いて前記データ信号を復調してユーザデータを得ることに用いられる復調モジュールとを含み、
ここで、1つの位相追跡参照信号に少なくとも1つの復調参照信号が対応付けられ、対応関係を有する位相追跡参照信号と復調参照信号とは、同一のアンテナセットで前記受信機に伝送される、受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2016年12月28日に中国特許庁に提出された中国特許出願201611236137.2の優先権を主張し、その全ての内容が援用によりここに取り込まれる。
本開示は、通信技術分野に係り、特に参照信号伝送方法、送信機および受信機に係る。
【背景技術】
【0002】
通常、通信システムの信号伝送中に位相雑音が存在するが、送信機および受信機の局部発振器からの位相雑音は、マルチキャリア信号の伝送に影響を与える。高周波帯域(たとえば6GHz以上)では、位相雑音の影響がより深刻になる。しかし、将来の通信システムでは、より多くの高周波帯域のリソースがデータ伝送に用いられる。たとえば、将来の5Gでは、高周波帯域(たとえば6GHz~100GHz)のリソースがデータ通信に用いられ、将来の6Gでは、同様に高周波帯域のリソースがデータ通信に用いられうる。高周波帯域では位相雑音がより深刻に影響を及ぼすため、位相雑音の影響を低下させることは、現在の解決が急がれる技術問題であることが分かる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、位相雑音の影響を低下させることのできる参照信号伝送方法、送信機および受信機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施例は、参照信号伝送方法を提供する。当該方法は、送信機が、第2プリコーディング行列でユーザデータのテータストリームにプリコーディングを行ってD(1以上の整数)個の仮想テータストリームを得ることと、前記送信機が、第1プリコーディング行列で前記D個の仮想テータストリームにプリコーディングを行い、各々が同一の位相雑音を有する1つまたは複数のアンテナユニットまたはアンテナポートを含むT(1以上の整数)個のアンテナセットによって、プリコーディング後のD個の仮想テータストリームを受信機に伝送することと、各々が、1つの仮想テータストリームに対応し、対応する仮想テータストリームとは同一のアンテナセットで伝送されるD個の復調参照信号であって、各々に用いられるプリコーディングベクトルと、当該復調参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一であるD個の復調参照信号を、前記送信機から前記受信機に伝送することと、前記T個のアンテナセットで1つまたは複数の位相雑音ソースから引き起こされる位相変化を追跡するためのM(1以上の整数)個の位相追跡参照信号を前記送信機から前記受信機に伝送することとを含む。
【0005】
選択可能に、各仮想テータストリームは、プリコーディングされて1つまたは複数のアンテナセットで伝送され、かつ同一の仮想テータストリームに用いられる1つまたは複数のアンテナセットは、同一の位相雑音を有する。
【0006】
選択可能に、各仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルのうち、当該仮想テータストリームに用いられる1つまたは複数のアンテナセットに対応する重み値を除き、他のアンテナセットのアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値は、すべて0である。
【0007】
選択可能に、各位相追跡参照信号は、プリコーディングされて1つまたは複数のアンテナセットで伝送され、かつ同一の位相追跡参照信号に用いられる1つまたは複数のアンテナセットは、同一の位相雑音を有する。
【0008】
選択可能に、各位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルのうち、当該位相追跡参照信号に用いられる1つまたは複数のアンテナセットに対応する重み値を除き、他のアンテナセットのアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値は、すべて0である。
【0009】
選択可能に、前記第2プリコーディング行列の情報は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、前記方法は、前記第2プリコーディング行列の情報を前記送信機から前記受信機に伝送すること、または、データ帯域幅での前記第2プリコーディング行列の使用ルールを前記送信機から前記受信機に伝送することをさらに含む。
【0010】
選択可能に、復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、前記方法は、復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係を前記送信機から前記受信機に伝送することをさらに含む。
【0011】
選択可能に、前記復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係として、1つの位相追跡参照信号に少なくとも1つの復調参照信号が対応付けられ、対応関係を有する位相追跡参照信号と復調参照信号とは、同一のアンテナセットで伝送され、位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルは、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルに関連し、ここで、位相追跡参照信号に対応する仮想テータストリームは、当該位相参照信号に対応する復調参照信号に対応する仮想テータストリームである。
【0012】
選択可能に、位相追跡参照信号が1つの復調参照信号に対応するのであれば、当該位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルと、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一であり、位相追跡参照信号が複数の復調参照信号に対応するのであれば、当該位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルは、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、前記複数の復調参照信号に対応する複数の仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルから演算して得られる。
【0013】
本開示の実施例は、さらに参照信号伝送方法を提供する。当該方法は、受信機が、送信機から伝送されたデータ信号を受信することと、前記受信機が、前記送信機から伝送された復調参照信号を受信し、受信した各復調参照信号のチャネルを推定し、ここで、前記受信機の受信アンテナユニットまたはアンテナポートの各々がD(1以上の整数)個の復調参照信号を受信することと、前記受信機が、前記送信機から伝送された位相追跡参照信号を受信し、受信した各位相追跡参照信号のチャネルを推定し、ここで、前記受信機の受信アンテナユニットまたはアンテナポートの各々がM(1以上の整数)個の位相追跡参照信号を受信することと、受信アンテナユニットまたはアンテナポート毎に、前記受信機が、当該アンテナユニットまたはアンテナポートを介してM個の位相追跡参照信号を受信し、受信したD個の復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行い、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ることと、前記受信機が、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの、各受信アンテナユニットまたはアンテナポートで受信された各復調参照信号の補償チャネル推定が含まれる補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列とに基づいてチャネル情報を取得することと、前記受信機が、前記チャネル情報を用いて前記データ信号を復調してユーザデータを得ることとを含む。
【0014】
選択可能に、前記受信アンテナユニットまたはアンテナポート毎に、前記受信機が、当該アンテナユニットまたはアンテナポートを介してM個の位相追跡参照信号を受信し、受信したD個の復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行い、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ることは、受信アンテナユニットまたはアンテナポート毎に、前記受信機が、取得済みの復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係に基づいて、当該アンテナユニットまたはアンテナポートで受信された各位相追跡参照信号に対応する復調参照信号を特定することと、前記受信機が、各位相追跡参照信号から推定されたチャネルと、各々の位相追跡参照信号に対応する復調参照信号から推定されたチャネルを比較して、各位相追跡参照信号に対応する位相変化情報を得ることと、前記受信機が、各位相追跡参照信号に対応する位相変化情報を用いて、各々の位相追跡参照信号に対応する復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相雑音補償を行って、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ることとを含む。
【0015】
選択可能に、前記マッピング関係は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、前記方法は、前記受信機が、前記送信機から伝送された前記マッピング関係を受信することをさらに含む。
【0016】
選択可能に、前記受信機が補償チャネル推定行列と取得済みの第2プリコーディング行列とに基づいてチャネル情報を取得することは、前記受信機が、前記補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列を乗算してチャネル情報を得ることを含む。
【0017】
選択可能に、前記第2プリコーディング行列の情報は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、前記方法は、前記受信機が、前記送信機から伝送された前記第2プリコーディング行列の情報を受信すること、または、前記受信機が、データ帯域幅での前記第2プリコーディング行列の使用ルールを前記送信機から受信し、前記ルールに基づいて前記第2プリコーディング行列を取得することをさらに含む。
【0018】
本開示の実施例において、さらに送信機を提供する。当該送信機は、第2プリコーディング行列でユーザデータのテータストリームにプリコーディングを行ってD(1以上の整数)個の仮想テータストリームを得ることに用いられる符号化モジュールと、第1プリコーディング行列で前記D個の仮想テータストリームにプリコーディングを行い、各々が同一の位相雑音を有する1つまたは複数のアンテナユニットまたはアンテナポートを含むT(1以上の整数)個のアンテナセットによって、プリコーディング後のD個の仮想テータストリームを受信機に伝送することに用いられる第1伝送モジュールと、各々が、1つの仮想テータストリームに対応し、対応する仮想テータストリームとは同一のアンテナセットで伝送されるD個の復調参照信号であって、各々に用いられるプリコーディングベクトルと、当該復調参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一であるD個の復調参照信号を、前記受信機に伝送することに用いられる第2伝送モジュールと、前記T個のアンテナセットで1つまたは複数の位相雑音ソースから引き起こされる位相変化を追跡するためのM(1以上の整数)個の位相追跡参照信号を前記受信機に伝送することに用いられる第3伝送モジュールとを含む。
【0019】
選択可能に、各仮想テータストリームは、プリコーディングされて1つまたは複数のアンテナセットで伝送され、かつ同一の仮想テータストリームに用いられる1つまたは複数のアンテナセットは、同一の位相雑音を有する。
【0020】
選択可能に、各仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルのうち、当該仮想テータストリームに用いられる1つまたは複数のアンテナセットに対応する重み値を除き、他のアンテナセットのアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値は、すべて0である。
【0021】
選択可能に、各位相追跡参照信号は、プリコーディングされて1つまたは複数のアンテナセットで伝送され、かつ同一の位相追跡参照信号に用いられる1つまたは複数のアンテナセットは、同一の位相雑音を有する。
【0022】
選択可能に、各位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルのうち、当該位相追跡参照信号に用いられる1つまたは複数のアンテナセットに対応する重み値を除き、他のアンテナセットのアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値は、すべて0である。
【0023】
選択可能に、前記第2プリコーディング行列の情報は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、前記送信機は、前記第2プリコーディング行列の情報を前記受信機に伝送することに用いられる第4伝送モジュール、または、データ帯域幅での前記第2プリコーディング行列の使用ルールを前記受信機に伝送することに用いられる第5伝送モジュールをさらに含む。
【0024】
選択可能に、復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、前記送信機は、復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係を前記受信機に伝送することに用いられる第6伝送モジュールをさらに含む。
【0025】
選択可能に、前記復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係として、1つの位相追跡参照信号に少なくとも1つの復調参照信号が対応付けられ、対応関係を有する位相追跡参照信号と復調参照信号とは、同一のアンテナセットで伝送され、位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルは、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルに関連し、ここで、位相追跡参照信号に対応する仮想テータストリームは、当該位相参照信号に対応する復調参照信号に対応する仮想テータストリームである。
【0026】
選択可能に、位相追跡参照信号が1つの復調参照信号に対応するのであれば、当該位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルと、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一であり、位相追跡参照信号が複数の復調参照信号に対応するのであれば、当該位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルは、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、前記複数の復調参照信号に対応する複数の仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルから演算して得られる。
【0027】
本開示の実施例は、さらに受信機を提供する。当該受信機は、送信機から伝送されたデータ信号を受信することに用いられる第1受信モジュールと、前記送信機から伝送された復調参照信号を受信し、受信した各復調参照信号のチャネルを推定し、ここで、前記受信機の受信アンテナユニットまたはアンテナポートの各々がD(1以上の整数)個の復調参照信号を受信することに用いられる第2受信モジュールと、前記送信機から伝送された位相追跡参照信号を受信し、受信した各位相追跡参照信号のチャネルを推定し、ここで、前記受信機の受信アンテナユニットまたはアンテナポートの各々がM(1以上の整数)個の位相追跡参照信号を受信することに用いられる第3受信モジュールと、受信アンテナユニットまたはアンテナポート毎に、当該アンテナユニットまたはアンテナポートを介してM個の位相追跡参照信号を受信し、受信したD個の復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行い、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ることに用いられるチャネル推定モジュールと、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの、各受信アンテナユニットまたはアンテナポートで受信された各復調参照信号の補償チャネル推定が含まれる補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列とに基づいてチャネル情報を取得することに用いられる取得モジュールと、前記チャネル情報を用いて前記データ信号を復調してユーザデータを得ることに用いられる復調モジュールとを含む。
【0028】
選択可能に、前記チャネル推定モジュールは、受信アンテナユニットまたはアンテナポート毎に、前記受信機が、取得済みの復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係に基づいて、当該アンテナユニットまたはアンテナポートで受信された各位相追跡参照信号に対応する復調参照信号を特定することに用いられる特定ユニットと、各位相追跡参照信号から推定されたチャネルと、各々の位相追跡参照信号に対応する復調参照信号から推定されたチャネルを比較して、各位相追跡参照信号に対応する位相変化情報を得ることに用いられるチャネル推定ユニットと、各位相追跡参照信号に対応する位相変化情報に基づいて、各々の位相追跡参照信号に対応する復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相雑音補償を行って、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ることに用いられる補償ユニットとを含む。
【0029】
選択可能に、前記マッピング関係は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、前記受信機は、前記送信機から伝送された前記マッピング関係を受信することに用いられる第4受信モジュールをさらに含む。
【0030】
選択可能に、前記取得モジュールは、前記補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列を乗算してチャネル情報を得ることに用いられる。
【0031】
選択可能に、前記第2プリコーディング行列の情報は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、前記受信機は、前記送信機から伝送された前記第2プリコーディング行列の情報を受信することに用いられる第5受信モジュール、または、データ帯域幅での前記第2プリコーディング行列の使用ルールを前記送信機から受信し、前記ルールに基づいて前記第2プリコーディング行列を取得することに用いられる第6受信モジュールをさらに含む。
【発明の効果】
【0032】
本開示の実施例において、送信機は、第2プリコーディング行列でユーザデータのテータストリームにプリコーディングを行ってD個の仮想テータストリームを得る。送信機は、第1プリコーディング行列で前記D個の仮想テータストリームにプリコーディングを行い、各々が同一の位相雑音を有する1つまたは複数のアンテナユニットまたはアンテナポートを含むT個のアンテナセットによって、プリコーディング後のD個の仮想テータストリームを受信機に伝送する。前記送信機は、D個の復調参照信号を前記受信機に伝送する。ここで、各復調参照信号は、1つの仮想テータストリームに対応し、対応する仮想テータストリームとは同一のアンテナセットで伝送される。各復調参照信号に用いられるプリコーディングベクトルと、当該復調参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一である。前記送信機は、前記T個のアンテナセットで1つまたは複数の位相雑音ソースから引き起こされる位相変化を追跡するためのM個の位相追跡参照信号を前記受信機に伝送する。送信機から位相追跡参照信号が送信されるため、受信機は、受信した位相追跡参照信号で位相補償を行うことによって、位相雑音の影響を低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、本開示の実施例におけるネットワーク構造図である。
図2図2は、本開示の実施例における参照信号伝送方法のフローチャートである。
図3図3は、本開示の実施例における参照信号サブキャリア分布図である。
図4図4は、本開示の実施例における信号伝送図である。
図5図5は、本開示の実施例における別の参照信号サブキャリア分布図である。
図6図6は、本開示の実施例における別の信号伝送図である。
図7図7は、本開示の実施例における送信機の構造図である。
図8図8は、本開示の実施例における別の送信機の構造図である。
図9図9は、本開示の実施例における別の送信機の構造図である。
図10図10は、本開示の実施例における別の送信機の構造図である。
図11図11は、本開示の実施例における受信機の構造図である。
図12図12は、本開示の実施例における別の受信機の構造図である。
図13図13は、本開示の実施例における別の受信機の構造図である。
図14図14は、本開示の実施例における別の受信機の構造図である。
図15図15は、本開示の実施例における別の送信機の構造図である。
図16図16は、本開示の実施例における別の受信機の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本開示の技術手段と利点をより明確にするために、以下、図面および具体的な実施例を通じて詳細に記載する。
【0035】
図1を参照する。図1は、本開示の実施例の応用可能なネットワーク構造図である。図1に示すように、データを伝送(または送信)する機器として理解される送信機11と、データを受信する機器として理解される受信機12が含まれる。ここの図面には、送信機11がネットワーク側機器であり、受信機12がユーザ機器であることを例としているが、本開示の実施例において、送信機11がユーザ機器であってもよく、かつ送信機11がユーザ機器である場合に受信機12がネットワーク側機器またはユーザ機器であり、または、送信機11がネットワーク側機器である場合に受信機12がユーザ機器またはネットワーク側機器である。また、本開示の実施例において、ユーザ機器は、携帯電話、タブレットパソコン(Tablet Personal Computer)、ラップトップ型パソコン(Laptop Computer)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)(personal digital assistant)、モバイルインターネットデバイス(MID)(Mobile Internet Device)またはウェアラブルデバイス(Wearable Device)などの端末側機器である。なお、本開示の実施例では、送信機11の具体的な種類を限定しない。ネットワーク側機器は、TRP(Transmission Reception Point)または基地局である。基地局は、たとえばLTE eNB、5G NR NBなどのマクロ基地局である。または、ネットワーク側機器は、AP(access point)である。なお、本開示の実施例では、ネットワーク側機器の具体的な種類を限定しない。
【0036】
図2は、本開示の実施例における参照信号伝送方法を示す。図2に示すように、下記ステップ201~204を含む。
ステップ201において、送信機は、第2プリコーディング行列でユーザデータのテータストリームにプリコーディングを行ってD(1以上の整数)個の仮想テータストリームを得る。
ステップ202において、送信機は、第1プリコーディング行列で前記D個の仮想テータストリームにプリコーディングを行い、各々が同一の位相雑音を有する1つまたは複数のアンテナユニットまたはアンテナポートを含むT(1以上の整数)個のアンテナセットによって、プリコーディング後のD個の仮想テータストリームを受信機に伝送する。
ステップ203において、送信機は、D個の復調参照信号DMRS(De Modulation Reference Signal)を前記受信機に伝送する。ここで、各復調参照信号に用いられるプリコーディングベクトルと、当該復調参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一であり、各復調参照信号は、対応する仮想テータストリームとは同一のアンテナセットで伝送される。
ステップ204において、送信機は、前記T個のアンテナセットで1つまたは複数の位相雑音ソースから引き起こされる位相変化を追跡するためのM(1以上の整数)個の位相追跡参照信号PTRS(Phase tracking Reference Signal)を前記送信機から前記受信機に伝送する。
【0037】
本開示の実施例において、上記ユーザデータは、アップリンクデータやダウンリンクデータなど、送信機と受信端末との間で伝送されるあらゆるデータである。
【0038】
本開示の実施例において、テータストリームの伝送前に、第2プリコーディング行列に対応する符号化をユーザデータのテータストリームに行うことによって上記D個の仮想テータストリームを得ることが実現される。たとえば、ユーザ機器のR個のテータストリームに対し第2プリコーディング行列に対応する符号化を行うことによって、上記D個の仮想テータストリームを得る。このように、ユーザデータの第2プリコーディング行列によるポーリングが実現され、高速の環境でデータ伝送を行うことによって、伝送性能を向上させる。
【0039】
上記D個の仮想テータストリームは、上記ユーザ機器にプリコーディングを行って得たD個のテータストリームである。また、上記Dは、上記T以上であり、もちろん、Tより小さくてもよいが、限定されない。
【0040】
本開示の実施例において、予め送信機のアンテナをT個のアンテナセットに区分し、かつ各アンテナセットの各アンテナユニットまたはアンテナポートの位相雑音が同一であるが、異なるアンテナセットのアンテナユニットまたはアンテナポートの位相雑音が異なってもよい。もちろん、一部のアンテナセットの位相雑音が同一であってもよいが、これについて、本開示の実施例において限定しない。たとえば、2セットを例とすると、アンテナセット1の各アンテナユニットまたはアンテナポートの位相雑音が同一であり、アンテナセット2のアンテナユニットまたはアンテナポートの位相雑音が同一であるが、アンテナセット1のアンテナユニットの位相雑音とアンテナセット2のアンテナユニットの位相雑音とは異なる。または、3セットの場合、たとえばアンテナセット1のアンテナユニットの位相雑音とアンテナセット3のアンテナユニットの位相雑音とは異なる。
【0041】
上記のプリコーディング後の前記D個の仮想テータストリームをT個のアンテナセットによって受信機に伝送することは、上記の第1プリコーディング行列によりプリコーディングされたD個の仮想テータストリームをT個のアンテナセットによって伝送することである。各仮想テータストリームは、1つまたは複数のアンテナセットで伝送される。かつ同一の仮想テータストリームに用いられる1つまたは複数のアンテナセットは、同一の位相雑音を有する。また、異なるアンテナセットで伝送される仮想テータストリームに用いられる第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルが異なり、すなわち、各仮想テータストリームに用いられる第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルと、当該仮想テータストリームに用いられるアンテナセットとは対応する。
【0042】
上記の送信機がD個の復調参照信号を前記受信機に伝送することは、送信機から仮想テータストリーム毎に、対応する復調参照信号を伝送し、かつ各復調参照信号に用いられるプリコーディングベクトルと、当該復調参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一であり、各復調参照信号と、対応する仮想テータストリームとは、同一のアンテナセットで伝送される。すなわち、第i(1~Dの任意の整数)個の復調参照信号に用いられるプリコーディングと、第i個の復調参照信号の位置するサブキャリアで、第i個の仮想テータストリームに用いられる第1プリコーディングとは同一であり、第i個の復調参照信号と第i個の仮想テータストリームとは同一のアンテナセットで伝送される。たとえば、復調参照信号1と仮想テータストリーム1とは対応するが、復調参照信号1に用いられるアンテナセットと、第1プリコーディングおよび仮想テータストリーム1に用いられるアンテナセットとは同一であり、かつ復調参照信号1に用いられるプリコーディングと、復調参照信号1の位置するサブキャリアで、仮想テータストリーム1に用いられる第1プリコーディングとは同一である。
【0043】
本開示の実施例において、前記T個のアンテナセットで1つまたは複数の位相雑音ソースから引き起こされる位相変化を追跡するための上記M個の位相追跡参照信号について、各位相追跡参照信号は、1つまたは複数のアンテナセットに対応し、対応するアンテナセットで、1つまたは複数の位相雑音ソースから引き起こされる位相変化を追跡することに用いられる。すなわち、受信機は、M個の位相追跡参照信号を受信すると、各アンテナセットの位相雑音を推定する。ここで、アンテナセットの位相雑音は、アンテナセットで信号を伝送する際に異なるシンボルでの位相の変化と理解できる。なお、本開示の実施例において、位相追跡参照信号について限定せず、当該参照信号は、アンテナユニットまたはアンテナポートによる伝送の各シンボルでの位相変化を追跡可能なあらゆる参照信号であり、復調参照信号のように、ユーザデータの伝送時に用いられ、プリコーディングされて伝送されてもよい。
【0044】
上記の送信機から前記受信機にM個の位相追跡参照信号を伝送することは、各位相追跡参照信号が1つまたは複数のアンテナセットで伝送され、かつ同一の位相追跡参照信号に用いられる1つまたは複数のアンテナセットに同一の位相雑音を有する。このように、受信機は、受信した位相追跡参照信号に基づいて、各アンテナセットで送信された復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行い、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得、補償チャネル推定に基づいてチャネル情報を取得し、当該チャネル情報を用いて、受信したデータ信号を復調して上記ユーザデータを得ることができる。このように、位相雑音によるユーザデータへの影響を低下させ、場合によって位相雑音によるユーザデータへの影響をなくすことができ、データの正しい伝送を保証することができる。
【0045】
なお、本開示の実施例において、ステップ201~ステップ204の実行順序を限定しない。ここで、図面では、ステップ201、202、203、204の順番を例として説明したが、本開示の実施例ではこれについて限定しない。たとえば、本開示の実施例において、ステップ203を実行してからステップ201とステップ202を実行し、ステップ204をステップ202と同時に実行してもよい。または、ステップ203とステップ204を同時に実行してからステップ201とステップ202を実行してもよい。ここで、上記仮想テータストリーム、復調参照信号および位相追跡参照信号は、同一のサブフレームまたは同一のスロット(slot)で伝送されるが、本開示の実施例ではこれについて限定しない。
【0046】
ここで、受信機の実現過程は、以下である。
受信機は、送信機から伝送されたデータ信号を受信する。
前記受信機は、前記送信機から伝送された復調参照信号を受信し、受信した各復調参照信号のチャネルを推定する。ここで、前記受信機の受信アンテナユニットまたはアンテナポートの各々がD(1以上の整数)個の復調参照信号を受信する。
前記受信機は、前記送信機から伝送された位相追跡参照信号を受信し、受信した各位相追跡参照信号のチャネルを推定する。ここで、前記受信機の受信アンテナユニットまたはアンテナポートの各々がM(1以上の整数)個の位相追跡参照信号を受信する。
受信アンテナユニットまたはアンテナポート毎に、前記受信機は、当該アンテナユニットまたはアンテナポートを介してM個の位相追跡参照信号を受信し、受信したD個の復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行い、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得る。
前記受信機は、補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列とに基づいてチャネル情報を取得する。ここで、前期補償チャネル推定行列は、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの、各受信アンテナユニットまたはアンテナポートで受信された各復調参照信号の補償チャネル推定を含む。
前記受信機は、前記チャネル情報を用いて前記データ信号を復調してユーザデータを得る。
【0047】
ここで、上記データ信号は、受信機の受信信号と称されてもよく、すなわち送信機がステップ201を実行した後に、受信機が受信した受信信号である。
【0048】
なお、受信機に複数の受信アンテナユニットまたはアンテナポートが存在してもよいが、受信機ではそれのグループ分けをせず、受信アンテナユニットまたはアンテナポートの各々は、D個の復調参照信号とM個の位相追跡参照信号を受信する。よって、受信した各復調参照信号のチャネルを推定すること、および、受信した各位相追跡参照信号のチャネルを推定することができる。
【0049】
このように、受信アンテナユニットまたはアンテナポート毎に、当該受信アンテナユニットまたはアンテナポートを介してM個の位相追跡参照信号を受信し、受信したD個の復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行い、当該位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得る。ここで、受信したD個の復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行い、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ることは、位相追跡参照信号から推定されたチャネルによって、それに対応する復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相雑音推定を行い、推定された位相雑音に基づいて、復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行うことによって、対応する位相追跡参照信号の位置するシンボルでの復調参照信号の補償チャネル推定を得る。M個の位相追跡参照信号が、前記T個のアンテナセットで1つまたは複数の位相雑音ソースから引き起こされる位相変化を追跡するためのものであり、各アンテナセットから復調参照信号が送信されるため、各位相追跡参照信号に対し、対応する復調参照信号が存在し、さらに、各位相追跡参照信号によって、それに対応する復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行い、対応する位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得る。
【0050】
位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ると、補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列とに基づいてチャネル情報を取得することができる。たとえば、前記補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列に対し、所定の演算をしてチャネル情報を得る。当該所定の演算は、前記補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列を乗算することを含むが、それに限られない。このように、当該チャネル情報でデータ信号を復調し、位相雑音によるユーザデータへの影響をなくすことができる。また、当該チャネル情報は、ユーザデータが経る完全なチャネル情報と理解されてもよく、1つの行列として表現されてもよい。このように、受信機が当該チャネル情報を用いて前記データ信号を復調してユーザデータを得ることによって、位相雑音によるユーザデータへの影響を低下させ、場合によって位相雑音によるユーザデータへの影響をなくすことができ、データの正しい伝送を保証することができる。
【0051】
なお、本開示の実施例において、受信アンテナユニットまたはアンテナポートは、受信しかできないことに限定されず、送信してもよい。受信機に対し本開示の実施例において記載されたのは受信に関する動作であるため、受信アンテナユニットまたは無線ポートとして記載したが、限定しない。
【0052】
選択可能に、本開示の実施例において、各仮想テータストリームは、プリコーディングされて1つまたは複数のアンテナセットで伝送され、かつ同一の仮想テータストリームに用いられる1つまたは複数のアンテナセットは、同一の位相雑音を有する。
【0053】
当該実施形態において、同一の仮想テータストリームが1つまたは複数のアンテナセットで伝送され、かつ当該1つまたは複数のアンテナセットに同一の位相雑音を有することが実現され、受信機による位相補償に有利であり、さらに位相雑音の影響をなくす。
【0054】
また、当該実施形態において、各仮想テータストリームに用いられる第1プリコーディングは、それを伝送するアンテナセットに対応する。たとえば、仮想テータストリーム1がアンテナセット1で伝送されるが、仮想テータストリーム1に用いられる第1プリコーディングは、アンテナセット1に対応する。仮想テータストリーム2がアンテナセット2で伝送されるが、仮想テータストリーム2に用いられる第1プリコーディングは、アンテナセット2に対応する。各仮想テータストリームに用いられる第1プリコーディングが各自の伝送のアンテナセットに対応することによって、各仮想テータストリームの位相雑音の影響は、対応するアンテナセットの位相雑音の影響に限られ、ほかのアンテナセットの影響を受けない。
【0055】
選択可能に、当該実施形態において、各仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルのうち、当該仮想テータストリームに用いられる1つまたは複数のアンテナセットに対応する重み値を除き、他のアンテナセットのアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値は、すべて0である。
【0056】
当該実施形態において、各仮想テータストリームに用いられる第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルのうち、当該仮想テータストリームに用いられる1つまたは複数のアンテナセットに対応する重み値を除き、他のアンテナセットのアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値がすべて0であることが実現される。すなわち、ステップ202で各仮想テータストリームのプリコーディングの際に、用いられる第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルのうち、自身の伝送のアンテナセットに対応する重み値を除き、残りのアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値は、すべて0である。第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルのうち、自身の伝送のアンテナセットに対応する重み値は、当該アンテナセットの各アンテナユニットまたはアンテナポートの重み値である。当該重み値は、受信機からフィードバックされ、または、アップリンク/ダウンリンク互換性に基づいて送信機によって特定される。このように、各仮想テータストリームが、自身の伝送に用いられるアンテナセットの位相雑音の影響のみを受けることが実現され、アンテナセット毎に、対応する位相追跡参照信号が伝送されるため、受信機は、各復調信号の位相雑音を推定して、位相雑音によるユーザデータへの影響をなくすことができる。
【0057】
選択可能に、各位相追跡参照信号は、プリコーディングされて1つまたは複数のアンテナセットで伝送され、かつ同一の位相追跡参照信号に用いられる1つまたは複数のアンテナセットは、同一の位相雑音を有する。
【0058】
当該実施形態において、各位相追跡参照信号が1つまたは複数のアンテナセットで伝送され、かつ当該1つまたは複数のアンテナセットに同一の位相雑音を有することが実現されることによって、1つの位相雑音ソースから引き起こされる位相雑音を1つの位相追跡参照信号で追跡することが実現され、受信機が各アンテナセットの位相変化を推定し、さらに位相雑音の影響をなくすことに有利である。
【0059】
選択可能に、当該実施形態において、各位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルのうち、当該位相追跡参照信号に用いられる1つまたは複数のアンテナセットに対応する重み値を除き、他のアンテナセットのアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値は、すべて0である。
【0060】
当該実施形態において、各位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルのうち、当該位相追跡参照信号の伝送に用いられる1つまたは複数のアンテナセットに対応する重み値を除き、他のアンテナセットのアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値がすべて0であることが実現される。すなわち、各位相追跡参照信号のプリコーディングの際に用いられるプリコーディングベクトルのうち、自身の伝送のアンテナセットを除いた残りのアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値は、すべて0である。プリコーディングで自身の伝送のアンテナセットに対応する重み値は、当該アンテナセットの各アンテナユニットまたはアンテナポートの重み値である。当該重み値は、受信機からフィードバックされ、または、アップリンク/ダウンリンク互換性に基づいて送信機によって特定される。このように、各位相追跡参照信号が、自身の伝送に用いられるアンテナセットの位相雑音の影響のみを受けることが実現され、自身の伝送に用いられるアンテナセットの位相の変化を効果的に追跡し、位相雑音によるユーザデータへの影響をなくすことに有利である。
【0061】
選択可能に、本開示の実施例において、前記第2プリコーディング行列の情報は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、前記方法は、前記第2プリコーディング行列の情報を前記送信機から前記受信機に伝送すること、または、データ帯域幅での前記第2プリコーディング行列の使用ルールを前記送信機から前記受信機に伝送することをさらに含む。
【0062】
当該実施形態において、送信機は、上記第2プリコーディング行列を、ハイレイヤシグナリングまたは動的制御シグナリングなどの方式で受信機に知らせる。さらに、データ帯域幅での第2プリコーディング行列の使用ルールを知らせることによって、受信機は、当該ルールに基づいて上記第2プリコーディング行列を取得することもできる。または、上記第2プリコーディング行列は、予め指定される。また、本開示の実施例において、上記第2プリコーディング行列は、送信機がすべてのデータ帯域幅で使用する第2プリコーディング行列である。よって、送信機から受信機に知らせる第2プリコーディング行列も、すべてのデータ帯域幅で使用される第2プリコーディング行列である。
【0063】
また、当該実施形態において、事前指定方式の場合、送信機は、第2プリコーディング行列の情報およびデータ帯域幅での上記第2プリコーディング行列の使用ルールを受信機に送信せず、伝送コストを減少できる。事前指定方式ではない場合、送信機は、第2プリコーディング行列の情報およびデータ帯域幅での上記第2プリコーディング行列の使用ルールを受信機に送信する。このように、第2プリコーディング行列およびデータ帯域幅での上記第2プリコーディング行列の使用ルールが送信機によって決定されることが実現され、第2プリコーディング行列の柔軟性を向上させ、サービスのニーズにより好適に適応し、サービス性能を向上させることができる。
【0064】
選択可能に、復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、前記方法は、復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係を前記送信機から前記受信機に伝送することをさらに含む。
【0065】
ここで、送信機は、位相追跡参照信号(PTRS)とDMRSとのマッピング関係を、ハイレイヤシグナリングまたは動的制御シグナリングなどの方式で受信機に知らせる。ここで、当該マッピング関係は、具体的に、PTRSポートとDMRSポートとのマッピング関係である。PTRSとDMRSがいずれもポートによって伝送されるため、PTRSポートとDMRSポートにマッピング関係が存在すれば、PTRSとDMRSにマッピング関係が存在する。また、本開示の実施例において、1つのPTRSは、1つのPTRSポートとして理解されてもよく、1つのDMRSは、1つのDMRSポートとして理解されてもよい。
【0066】
また、当該実施形態において、事前指定方式の場合、送信機は、上記マッピング関係を受信機に送信せず、伝送コストを減少することができる。事前指定方式ではない場合、送信機から上記マッピング関係を受信機に送信する。このように、上記マッピング関係が送信機によって決定されることが実現され、上記マッピング関係の柔軟性を向上させ、サービスのニーズにより好適に適応し、サービス性能を向上させることができる。
【0067】
また、当該実施形態において、受信機は、上記マッピング関係を受信することによって、各位相追跡参照信号に対応する復調参照信号を正しく特定することができ、さらに位相追跡参照信号から推定されたチャネルで、各々に対応する復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行うことによって、各復調参照信号の位相雑音の影響をなくす。
【0068】
たとえば、アンテナユニットまたはアンテナポート毎に、受信機は、取得済みの復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係に基づいて、当該アンテナユニットまたはアンテナポートで受信された各位相追跡参照信号に対応する復調参照信号を特定する。受信機は、各位相追跡参照信号から推定されたチャネルと、各々の位相追跡参照信号に対応する復調参照信号から推定されたチャネルを比較して、各位相追跡参照信号に対応する位相変化情報を得る。受信機は、各位相追跡参照信号に対応する位相変化情報を用いて、各々の位相追跡参照信号に対応する復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相雑音補償を行って、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得る。
【0069】
たとえば、1つのアンテナポートで1つの位相追跡参照信号を受信したことを例とする。受信機は、上記マッピング関係に基づいて、受信した当該各位相追跡参照信号に対応する復調参照信号を特定することができる。よって、受信機は、当該位相追跡参照信号から推定されたチャネルと、当該位相追跡参照信号に対応する復調参照信号から推定されたチャネルを比較して、当該位相追跡参照信号に対応する位相変化情報を得ることができる。当該位相変化情報は、位相雑音推定と理解される。受信機は、当該位相追跡参照信号に対応する位相変化情報を得ると、当該位相変化情報によって、当該位相追跡参照信号に対応する復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相雑音補償を行って、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得る。たとえば、当該位相変化情報と復調参照信号から推定されたチャネルを乗算して、当該位相追跡参照信号の位置するシンボルでの補償チャネル推定を得る。
【0070】
選択可能に、復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係として、1つの位相追跡参照信号に少なくとも1つの復調参照信号が対応付けられ、対応関係を有する位相追跡参照信号と復調参照信号とは、同一のアンテナセットで伝送され、位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルは、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルに関連し、ここで、位相追跡参照信号に対応する仮想テータストリームは、当該位相参照信号に対応する復調参照信号に対応する仮想テータストリームである。
【0071】
当該実施形態において、1つの位相追跡参照信号に少なくとも1つの復調参照信号が対応付けられ、対応関係を有する位相追跡参照信号と復調参照信号とは、同一のアンテナセットで伝送されることが実現される。このように、受信機は、位相追跡参照信号から推定されたチャネルを用いて、それに対応する復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行うことによって、より正しく位相補償を行う。対応関係を有する位相追跡参照信号と復調参照信号とは、同一のアンテナセットで伝送されるからである。
【0072】
また、位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルが、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルに関連するため、受信機が、位相追跡参照信号から推定されたチャネルに基づいて、受信機が受信したデータ信号を復調することによって、位相雑音によるユーザデータへの影響をなくすことに有利である。
【0073】
選択可能に、位相追跡参照信号が1つの復調参照信号に対応するのであれば、当該位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルと、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一であり、位相追跡参照信号が複数の復調参照信号に対応するのであれば、当該位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルは、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、複数の仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルから演算して得られ、前記複数の仮想テータストリームは、前記複数の復調参照信号に対応する仮想テータストリームである。
【0074】
当該実施形態において、位相追跡参照信号が1つの復調参照信号に対応する場合、位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルと、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一であるため、位相追跡参照信号と対応する仮想テータストリームが経るチャネル特性が同一であり、受信機が、位相追跡参照信号から推定されたチャネルに基づいて、受信機が受信したデータ信号を復調することによって、位相雑音によるユーザデータへの影響をなくすことに有利である。また、上記の演算は、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、複数の仮想テータストリームに用いられる第1プリコーディングに対し、加算などの所定の演算をするが、これについて、本開示の実施例において限定しない。
【0075】
なお、本開示の実施例において紹介した多種類の実施形態は、互いに組み合わせて実現されてもよく、単独で実現されてもよいが、本開示の実施例でこれについて限定しない。たとえば以下の例を挙げる。
例1:
【0076】
伝送されるユーザテータストリームR=2と仮定し、送信機のアンテナアレイのうち、前からN1個のアンテナユニットまたはアンテナポートは、同一の位相雑音を有するため、1つの組に分けられ、末尾からN-N1個のアンテナユニットまたはアンテナポートは、同一の位相雑音を有するため、1つの組に分けられる。すなわち、T=2である。2組の間では位相雑音が異なるため、M=2個のPTRSポートが必要となる。受信機は、2アンテナまたはアンテナポートで受信する。D=2個のDMRSポートが必要であるとし、参照信号のサブフレーム構成は、図3に示される。DMRSは、3つめのOFDMシンボルに位置し、2つのポートを含み、シンボルで周波数分割多重化される。各PTRS参照信号は、1つのサブキャリア(PTRSポート1が5つめのサブキャリアに設定され、PTRSポート2が4つめのサブキャリアに設定される)を占め、第4~14個のシンボルで連続的に伝送される。第1~2個のOFDMは、制御チャネルであり、残りの部分は、ユーザデータである。
【0077】
送信機側(たとえば基地局側):
システムの第2プリコーディング行列集合がS個の第2プリコーディング行列を有するとし、当該第2プリコーディング行列集合は、基地局側と受信機によって共有される。基地局側は、第2プリコーディング行列集合のうちインデックスmod(k,S)のインデックス値に対応する第2プリコーディング行列を、ユーザデータ帯域幅内の第k個のサブキャリアで使用すると設定する。modは、モジュロ演算である。
ユーザデータのR=2のテータストリームは、以下のD×R次元の第2プリコーディング行列W2によりプリコーディングされて2個の仮想テータストリームを得ると仮定し、それを、第1仮想テータストリームと第2仮想テータストリームと定義する。当該第2プリコーディング行列は、事前に定義された1つのプリコーディング行列集合から基地局によって選択される。
【数1】
第1仮想テータストリームを、送信機の前からN1個のアンテナユニットまたはアンテナポートで伝送し、第2仮想テータストリームを、送信機の末尾からN-N1個のアンテナユニットまたはアンテナポートで伝送する。この場合、当該2つの仮想テータストリームに用いられる第1プリコーディング行列は、
【数2】
と示される。
ここで、W 1,1は、N×1の列ベクトルであり、第1仮想テータストリームに用いられるプリコーディングのうち、前からN1個のアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値に対応する。W 2,2は、(N-N)×1の列ベクトルであり、第2仮想テータストリームに用いられるプリコーディングのうち、末尾からN-N1個のアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値に対応する。
DMRSポート1は、送信機の前からN1個のアンテナユニットまたはアンテナポートで伝送され、図3に示すように、サブキャリアd1=2、4、6、8、10、12に分布する。サブキャリアd1上のDMRS1は、当該サブキャリアで第1仮想テータストリームとは同一のプリコーディング
【数3】
を使用する。DMRSポート2は、送信機の末尾からN-N1個のアンテナユニットまたはアンテナポートで伝送され、図3に示すように、サブキャリアd2=1、3、5、7、9、11に分布する。サブキャリアd2上のDMRS2は、当該サブキャリアで第2仮想テータストリームとは同一のプリコーディング
【数4】
を使用する。
2つのPTRSポートは、2つの部分の位相雑音の推定に用いられる。ここでPTRSポート1は、
【数5】
を用いてプリコーディングを行い、PTRSポート2は、
【数6】
を用いてプリコーディングを行う。ここで、図4は、前記伝送の模式図を示している。
基地局側は、PTRS1をDMRS1へ、PTRS2をDMRS2へマッピングする情報を、ハイレイヤシグナリングまたは動的制御シグナリングによって端末に知らせる。同時に、基地局側は、第1テータストリームがDMRSポート1へ、第2テータストリームがDMRSポート2へマッピングすることを、ハイレイヤシグナリングまたは動的制御シグナリングによって端末に知らせる。
基地局側は、設定済みの各サブキャリアで使用される第2プリコーディング行列の、第2プリコーディング行列集合におけるインデックスを、ハイレイヤシグナリングによって端末に知らせる。
【0078】
当該例において、受信側(たとえば端末側):
受信機の2アンテナまたはアンテナポートが異なる位相雑音を有するとすると、第l個のシンボルの第k個のサブキャリアで受信したデータ信号は、
【数7】
と示され、さらに、
【数8】
と示される。
ここで、チャネルHk,lとプリコーディングWk,lは、1つの時間単位(サブフレーム)で一定に保持されるとする。送信機位相雑音行列の対角線において、
【数9】
の元素がN1個であり、
【数10】
の元素がN-N1個である。
受信機は、3つめのOFDMシンボルでDMRS参照信号を受信する。1つめの受信アンテナユニットまたはアンテナポートを例とすると、DMRSポート1から合成チャネル
【数11】
が推定され、かつDMRSポート2から合成チャネル
【数12】
が推定される。DMRSが位置するシンボルにおいて、チャネル補間によって、すべてのサブキャリアのチャネルを推定することができ、図2の仮定に基づき、ここでk=1、2、…、12である。
受信機は、4つめのOFDMシンボルから2ポートPTRSを受信し、PTRSポート1で
【数13】
を推定し、PTRSポート2で
【数14】
を推定する。
受信機は、送信機からシグナリングによって知らされ、PTRS1-2がそれぞれDMRS1~2に一対一にマッピングする情報を受信する。この情報に基づき、PTRS1のチャネル推定結果をDMRS1のチャネル推定結果で除算することによって、1つめの受信アンテナまたはアンテナポート上の第l個のシンボルが第3個のシンボルに対する、送信機の第1組のアンテナユニットまたはアンテナポートが経る位相の変化
【数15】
を得、1つめの受信アンテナまたはアンテナポート上の第l個のシンボルが第3個のシンボルに対する、送信機の第2組のアンテナユニットまたはアンテナポートが経る位相の変化
【数16】
を得る。
よって、1つめの受信アンテナまたはアンテナポートで、第l個のシンボルの第k個のサブキャリア上のチャネル推定
【数17】
を得ることができる。
類似的に、2つめの受信アンテナまたはアンテナポートで、第l個のシンボルの第k個のサブキャリア上のチャネル推定
【数18】
を得ることができる。
送信機からシグナリングによって知らされた第2プリコーディング行列インデックスに基づき、第2プリコーディング行列集合から、第k個のサブキャリアに用いられる第2プリコーディング行列を特定する。上記すべてのアンテナで推定されたチャネル行列と特定済みの第2プリコーディング行列を乗算して、ユーザデータが経る完全なチャネル情報
【数19】
を取得することができる。
以上推定された完全なチャネル情報に基づいて各テータストリームのユーザデータを復調することができる。ほかのサブキャリアについても同様であり、繰り返して記載しない。
例2:
【0079】
伝送されるユーザテータストリームR=3と仮定し、送信機のアンテナアレイのうち、前からN1個のアンテナユニットまたはアンテナポートは、同一の位相雑音を有するため、1つの組に分けられ、末尾からN-N1個のアンテナユニットまたはアンテナポートは、同一の位相雑音を有するため、1つの組に分けられる。すなわち、T=2である。2組の間では位相雑音が異なるため、M=2個のPTRSポートが必要となる。D=4個のDMRSポートを使用すると仮定し、受信機は、4つのアンテナユニットまたはアンテナポートを使用し、参照信号のサブフレーム構成は、図5に示される。DMRSは、3つめのOFDMシンボルに位置し、4つのポートを含み、シンボルで周波数分割多重化される。各PTRS参照信号は、1つのサブキャリア(PTRSポート1が5つめのサブキャリアに設定され、PTRSポート2が4つめのサブキャリアに設定される)を占め、第4~14個のシンボルで連続的に伝送される。第1~2個のOFDMは、制御チャネルであり、残りの部分は、ユーザデータである。
【0080】
送信機側(たとえば基地局側):
システムの第2プリコーディング行列集合がS個の第2プリコーディング行列を有するとし、当該第2プリコーディング行列集合は、基地局側と受信側によって共有される。ユーザデータ帯域幅内の第k個のサブキャリアで用いられる第2プリコーディング行列集合のインデックスmod(k,S)のインデックス値に対応する第2プリコーディング行列は、基地局側と端末側によって予め指定される。modは、モジュロ演算である。
第k個のサブキャリアを例とし、ユーザのR=3のテータストリームは、以下のD×R次元の第2プリコーディング行列W2によりプリコーディングされて4個の仮想テータストリームを得ると仮定し、それを、第1~第4仮想テータストリームと定義する。
【数20】
第1、第2仮想テータストリームを送信機の前からN1個のアンテナユニットまたはアンテナポートで伝送し、第3、第4仮想テータストリームを送信機の末尾からN-N1個のアンテナユニットまたはアンテナポートで伝送する。この場合、当該4個の仮想テータストリームに用いられる第1プリコーディング行列は、
【数21】
と示される。
ここで、W 1,1、W 2,1は、N×1の列ベクトルであり、第1、第2仮想テータストリームに用いられるプリコーディングのうち、前からN1個のアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値に対応する。W 3,2、W 4,2は、(N-N)×1の列ベクトルであり、第3、第4仮想テータストリームに用いられるプリコーディングのうち、末尾からN-N1個のアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値に対応する。
DMRSポート1は、送信機の前からN1個のアンテナユニットまたはアンテナポートで伝送され、図5に示すように、サブキャリアd1=4、8、12に分布する。サブキャリアd1上のDMRS1は、当該サブキャリアで第1仮想テータストリームとは同一のプリコーディング
【数22】
を使用する。DMRSポート2も、送信機の前からN1個のアンテナユニットまたはアンテナポートで伝送され、サブキャリアd2=3、7、11に分布する。サブキャリアd2上のDMRS2は、当該サブキャリアで第2仮想テータストリームとは同一のプリコーディング
【数23】
を使用する。DMRSポート3とDMRSポート4は、ともに送信機の末尾からN-N1個のアンテナユニットまたはアンテナポートで伝送される。DMRS3は、サブキャリアd3=2、6、10に分布し、DMRS4は、サブキャリアd4=1、5、9に分布し、それぞれ、サブキャリアd3で第3仮想テータストリームとは同一のプリコーディング
【数24】
、サブキャリアd4で第4仮想テータストリームとは同一のプリコーディング
【数25】
を使用する。
2つのPTRSポートは、2つの部分の位相雑音の推定に用いられる。ここでPTRSポート1は、
【数26】
を用いてプリコーディングを行い、PTRSポート2は、
【数27】
を用いてプリコーディングを行う。ここで、図6は、前記伝送の模式図を示している。
基地局側は、PTRS1をDMRS1、DMRS2へ、PTRS2をDMRS3、DMRS4へマッピングする情報を、ハイレイヤシグナリングまたは動的制御シグナリングによって端末に知らせる。
【0081】
当該例において、受信側(たとえば端末側):
第l個のシンボルの第k個のサブキャリアで受信したデータ信号は、
【数28】
と示され、さらに、
【数29】
と示される。
ここで、チャネルHk,lとプリコーディングWk,lは、1つの時間単位(サブフレーム)で一定に保持されるとする。送信機位相雑音行列の対角線において、
【数30】
の元素がN1個であり、
【数31】
の元素がN-N1個である。
受信機は、3つめのOFDMシンボルでDMRS参照信号を受信する。2つめの受信アンテナまたはアンテナポートを例とすると、DMRSポート1から合成チャネル
【数32】
が推定され、DMRSポート2から
【数33】
が推定され、DMRSポート3から
【数34】
が推定され、DMRSポート4から
【数35】
が推定される。DMRSが位置するシンボルにおいて、チャネル補間によって、すべてのサブキャリアのチャネルを推定することができ、図4の仮定に基づき、ここでk=1、2、…、12である。
受信機は、4つめのOFDMシンボルから2ポートPTRSを受信し、PTRSポート1で
【数36】
を推定し、PTRSポート2で
【数37】
を推定する。
受信機は、4つめのOFDMシンボルから2ポートPTRSを受信し、PTRS1から
【数38】
を推定し、PTRSポート2から
【数39】
を推定する。
受信機は、送信機からシグナリングによって知らされ、PTRS1がDMRS1、DMRS2にマッピングされる情報を受信する。この情報に基づき、PTRS1のチャネル推定結果を、DMRS1とDMRS2のチャネル推定結果の和で除算することによって、2つめの受信アンテナまたはアンテナポート上の第l個のシンボルが第3個のシンボルに対する、送信機の第1組のアンテナユニットまたはアンテナポートが経る位相の変化
【数40】
を得る。
送信機からシグナリングによって知らされる、PTRS2がDMRS3、DMRS4にマッピングされる情報に基づいて、2つめの受信アンテナまたはアンテナポート上の第l個のシンボルが第3個のシンボルに対する、送信機の第2組のアンテナユニットまたはアンテナポートが経る位相の変化
【数41】
を得る。
当該位相変化を3つめのシンボルから推定されたチャネルに乗じることによって、2つめの受信アンテナまたはアンテナポートで、第l個のシンボルの第k個のサブキャリア上のチャネル推定
【数42】
を得ることができる。
類似的に、1つめ、3つめ、4つめの受信アンテナまたはアンテナポートで、第l個のシンボルの第k個のサブキャリア上のチャネル推定を得ることができる。
送信機と受信機によって予め指定された第2プリコーディング行列使用ルールに基づき、サブキャリアkで用いられる第2プリコーディング行列が、インデックスmod(k,S)に対応するプリコーディングであると特定することができる。実施例1と同様に、上記すべてのアンテナで推定されたチャネル行列と特定済みの第2プリコーディング行列を乗算して、サブキャリアkでユーザデータが経る完全なチャネル情報を取得することができる。
以上推定された完全なチャネル情報に基づいて各テータストリームのユーザデータを復調することができる。ほかのサブキャリアについても同様であり、繰り返して記載しない。
【0082】
本開示の実施例において、送信機は、第2プリコーディング行列でユーザデータのテータストリームにプリコーディングを行ってD個の仮想テータストリームを得る。送信機は、第1プリコーディング行列で前記D個の仮想テータストリームにプリコーディングを行い、各々が同一の位相雑音を有する1つまたは複数のアンテナユニットまたはアンテナポートを含むT個のアンテナセットによって、プリコーディング後のD個の仮想テータストリームを受信機に伝送する。前記送信機は、D個の復調参照信号を前記受信機に伝送する。ここで、各復調参照信号は、1つの仮想テータストリームに対応し、対応する仮想テータストリームとは同一のアンテナセットで伝送される。各復調参照信号に用いられるプリコーディングベクトルと、当該復調参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一である。前記送信機は、前記T個のアンテナセットで1つまたは複数の位相雑音ソースから引き起こされる位相変化を追跡するためのM個の位相追跡参照信号を前記受信機に伝送する。送信機から位相追跡参照信号が送信されるため、受信機は、受信した位相追跡参照信号で位相補償を行うことによって、位相雑音の影響を低下させる。
【0083】
図7は、本開示の実施例における参照信号伝送方法を示す。図7に示すように、下記ステップ701~706を含む。
ステップ701において、受信機は、送信機から伝送されたデータ信号を受信する。
ステップ702において、受信機は、前記送信機から伝送された復調参照信号を受信し、受信した各復調参照信号のチャネルを推定する。ここで、前記受信機の受信アンテナユニットまたはアンテナポートの各々がD(1以上の整数)個の復調参照信号を受信する。
ステップ703において、受信機は、前記送信機から伝送された位相追跡参照信号を受信し、受信した各位相追跡参照信号のチャネルを推定する。ここで、前記受信機の受信アンテナユニットまたはアンテナポートの各々がM(1以上の整数)個の位相追跡参照信号を受信する。
ステップ704において、受信アンテナユニットまたはアンテナポート毎に、前記受信機は、当該アンテナユニットまたはアンテナポートを介してM個の位相追跡参照信号を受信し、受信したD個の復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行い、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得る。
ステップ705において、受信機は、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの、各受信アンテナユニットまたはアンテナポートで受信された各復調参照信号の補償チャネル推定が含まれる補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列とに基づいてチャネル情報を取得する。
ステップ706において、受信機は、前記チャネル情報を用いて前記データ信号を復調してユーザデータを得る。
【0084】
なお、ステップ704は、各アンテナユニットまたはアンテナポートに対し対応する操作を行うが、ここで各アンテナユニットまたはアンテナポートについて、具体的に図2に示す実施例の説明を参照されたく、ここでは繰り返して記載せず、同一の効果を奏することができる。また、本開示の実施例において、ステップ701~ステップ703の実行順序を限定しない。
【0085】
選択可能に、前記受信アンテナユニットまたはアンテナポート毎に、前記受信機が、当該アンテナユニットまたはアンテナポートを介してM個の位相追跡参照信号を受信し、受信したD個の復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行い、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ることは、受信アンテナユニットまたはアンテナポート毎に、前記受信機が、取得済みの復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係に基づいて、当該アンテナユニットまたはアンテナポートで受信された各位相追跡参照信号に対応する復調参照信号を特定することと、前記受信機が、各位相追跡参照信号から推定されたチャネルと、各々の位相追跡参照信号に対応する復調参照信号から推定されたチャネルを比較して、各位相追跡参照信号に対応する位相変化情報を得ることと、前記受信機が、各位相追跡参照信号に対応する位相変化情報を用いて、各々の位相追跡参照信号に対応する復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相雑音補償を行って、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ることとを含む。
【0086】
選択可能に、前記マッピング関係は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、前記方法は、前記受信機が、前記送信機から伝送された前記マッピング関係を受信することをさらに含む。
【0087】
選択可能に、前記受信機が補償チャネル推定行列と取得済みの第2プリコーディング行列とに基づいてチャネル情報を取得することは、前記受信機が、前記補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列を乗算してチャネル情報を得ることを含む。
【0088】
選択可能に、前記第2プリコーディング行列の情報は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、前記方法は、前記受信機が、前記送信機から伝送された前記第2プリコーディング行列の情報を受信すること、または、前記受信機が、データ帯域幅での前記第2プリコーディング行列の使用ルールを前記送信機から受信し、前記ルールに基づいて前記第2プリコーディング行列を取得することをさらに含む。
【0089】
なお、本実施例は、図2に示す実施例に対応する受信機の実施形態として、その具体的な実施形態について、重複な説明を避けるために、図2に示す実施例の関連説明を参照されたく、本実施例において繰り返して記載しない。本実施例において、同様に、位相雑音の影響を低下させることが実現される。
【0090】
図8は、本開示の実施例における送信機を示す。図8に示すように、送信機800は、第2プリコーディング行列でユーザデータのテータストリームにプリコーディングを行ってD(1以上の整数)個の仮想テータストリームを得ることに用いられる符号化モジュール801と、第1プリコーディング行列で前記D個の仮想テータストリームにプリコーディングを行い、各々が同一の位相雑音を有する1つまたは複数のアンテナユニットまたはアンテナポートを含むT(1以上の整数)個のアンテナセットによって、プリコーディング後のD個の仮想テータストリームを受信機に伝送することに用いられる第1伝送モジュール802と、各々が、1つの仮想テータストリームに対応し、対応する仮想テータストリームとは同一のアンテナセットで伝送されるD個の復調参照信号であって、各々に用いられるプリコーディングベクトルと、当該復調参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一であるD個の復調参照信号を、前記受信機に伝送することに用いられる第2伝送モジュール803と、前記T個のアンテナセットで1つまたは複数の位相雑音ソースから引き起こされる位相変化を追跡するためのM(1以上の整数)個の位相追跡参照信号を前記受信機に伝送することに用いられる第3伝送モジュール804とを含む。
【0091】
選択可能に、各仮想テータストリームは、プリコーディングされて1つまたは複数のアンテナセットで伝送され、かつ同一の仮想テータストリームに用いられる1つまたは複数のアンテナセットは、同一の位相雑音を有する。
【0092】
選択可能に、各仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルのうち、当該仮想テータストリームに用いられる1つまたは複数のアンテナセットに対応する重み値を除き、他のアンテナセットのアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値は、すべて0である。
【0093】
選択可能に、各位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルのうち、当該位相追跡参照信号に用いられる1つまたは複数のアンテナセットに対応する重み値を除き、他のアンテナセットのアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値は、すべて0である。
【0094】
選択可能に、各位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングのうち、当該位相追跡参照信号に用いられる1つまたは複数のアンテナセットに対応する重み値を除き、他のアンテナセットのアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値は、すべて0である。
【0095】
選択可能に、復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、図9に示すように、送信機800は、前記第2プリコーディング行列の情報を前記受信機に伝送することに用いられる第4伝送モジュール805、または、データ帯域幅での前記第2プリコーディング行列の使用ルールを前記受信機に伝送することに用いられる第5伝送モジュール806をさらに含む。
【0096】
選択可能に、図10に示すように、送信機800は、復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係を前記受信機に伝送することに用いられる第6伝送モジュール807をさらに含み、または、復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係は、前記送信機と前記受信機によって予め指定される。
【0097】
選択可能に、前記復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係として、1つの位相追跡参照信号に少なくとも1つの復調参照信号が対応付けられ、対応関係を有する位相追跡参照信号と復調参照信号とは、同一のアンテナセットで伝送され、位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルは、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルに関連し、ここで、位相追跡参照信号に対応する仮想テータストリームは、当該位相参照信号に対応する復調参照信号に対応する仮想テータストリームである。
【0098】
選択可能に、位相追跡参照信号が1つの復調参照信号に対応するのであれば、当該位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルと、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一であり、位相追跡参照信号が複数の復調参照信号に対応するのであれば、当該位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルは、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、前記複数の復調参照信号に対応する複数の仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルから演算して得られる。
【0099】
なお、本実施例における上記送信機800は、本開示の実施例における方法実施例の任意の実施形態の送信機であってもよい。本開示の実施例における方法実施例の送信機の任意の実施形態は、いずれも本実施例における上記送信機800によって実現することができ、同一の技術を奏することもできるため、ここでは、繰り返して記載しない。
【0100】
図11は、本開示の実施例における受信機を示す。図11に示すように、受信機1100は、送信機から伝送されたデータ信号を受信することに用いられる第1受信モジュール1101と、前記送信機から伝送された復調参照信号を受信し、受信した各復調参照信号のチャネルを推定し、ここで、前記受信機の受信アンテナユニットまたはアンテナポートの各々がD(1以上の整数)個の復調参照信号を受信することに用いられる第2受信モジュール1102と、前記送信機から伝送された位相追跡参照信号を受信し、受信した各位相追跡参照信号のチャネルを推定し、ここで、前記受信機の受信アンテナユニットまたはアンテナポートの各々がM(1以上の整数)個の位相追跡参照信号を受信することに用いられる第3受信モジュール1103と、受信アンテナユニットまたはアンテナポート毎に、当該アンテナユニットまたはアンテナポートを介してM個の位相追跡参照信号を受信し、受信したD個の復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行い、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ることに用いられるチャネル推定モジュール1104と、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの、各受信アンテナユニットまたはアンテナポートで受信された各復調参照信号の補償チャネル推定が含まれる補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列とに基づいてチャネル情報を取得することに用いられる取得モジュール1105と、前記チャネル情報を用いて前記データ信号を復調してユーザデータを得ることに用いられる復調モジュール1106とを含む。
【0101】
選択可能に、図12に示すように、チャネル推定モジュール1104は、受信アンテナユニットまたはアンテナポート毎に、取得済みの復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係に基づいて、当該アンテナユニットまたはアンテナポートで受信された各位相追跡参照信号に対応する復調参照信号を特定することに用いられる特定ユニット11041と、各位相追跡参照信号から推定されたチャネルと、各々の位相追跡参照信号に対応する復調参照信号から推定されたチャネルを比較して、各位相追跡参照信号に対応する位相変化情報を得ることに用いられるチャネル推定ユニット11042と、各位相追跡参照信号に対応する位相変化情報に基づいて、各々の位相追跡参照信号に対応する復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相雑音補償を行って、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ることに用いられる補償ユニット11043とを含む。
【0102】
選択可能に、前記マッピング関係は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、図13に示すように、前記受信機1100は、前記送信機から伝送された前記マッピング関係を受信することに用いられる第4受信モジュール1107をさらに含む。
【0103】
選択可能に、取得モジュール1105は、前記補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列を乗算してチャネル情報を得ることに用いられる。
【0104】
選択可能に、前記第2プリコーディング行列の情報は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、図14に示すように、前記受信機1100は、前記送信機から伝送された前記第2プリコーディング行列の情報を受信することに用いられる第5受信モジュール1108、または、データ帯域幅での前記第2プリコーディング行列の使用ルールを前記送信機から受信し、前記ルールに基づいて前記第2プリコーディング行列を取得することに用いられる第6受信モジュール1109をさらに含む。
【0105】
なお、本実施例における上記受信機1100は、本開示の実施例における方法実施例の任意の実施形態の受信機であってもよい。本開示の実施例における方法実施例の受信機の任意の実施形態は、いずれも本実施例における上記受信機1100によって実現することができ、同一の技術を奏することもできるため、ここでは、繰り返して記載しない。
【0106】
図15は、本開示の実施例における別の送信機の構造を示す。当該送信機は、プロセッサ1500と、トランシーバ1510と、メモリ1520と、ユーザインタフェース1530と、バスインタフェースを含む。プロセッサ1500は、メモリ1520からプログラムを読み取ることによって、第2プリコーディング行列でユーザデータのテータストリームにプリコーディングを行ってD(1以上の整数)個の仮想テータストリームを得るプロセスと、第1プリコーディング行列で前記D個の仮想テータストリームにプリコーディングを行い、各々が同一の位相雑音を有する1つまたは複数のアンテナユニットまたはアンテナポートを含むT(1以上の整数)個のアンテナセットによって、プリコーディング後のD個の仮想テータストリームを受信機に伝送するプロセスと、各々が、1つの仮想テータストリームに対応し、対応する仮想テータストリームとは同一のアンテナセットで伝送されるD個の復調参照信号であって、各々に用いられるプリコーディングベクトルと、当該復調参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一であるD個の復調参照信号を、前記受信機に伝送するプロセスと、前記T個のアンテナセットで1つまたは複数の位相雑音ソースから引き起こされる位相変化を追跡するためのM(1以上の整数)個の位相追跡参照信号を前記受信機に伝送するプロセスとを実行することに用いられる。
【0107】
トランシーバ1510は、プロセッサ1500の制御下でデータの送受信に用いられ、上記T個のアンテナセットを含む。
【0108】
図15において、バスアーキテクチャは、任意数の相互接続するバスとブリッジを含み、具体的に、プロセッサ1500をはじめとする1つ又は複数のプロセッサとメモリ1520をはじめとするメモリの各種類の回路が接続したものである。バスアーキテクチャは、周辺イクイップメント、レギュレーター、電力管理回路などの各種類のほかの回路を接続したものであってもよい。これらは、いずれも本分野の公知事項であり、本文においてさらなる記載をしない。バスインタフェースにより、インタフェースが提供される。トランシーバ1510は、複数の部品であってもよく、即ち送信機と受信機を含み、伝送媒体でほかの各種類の装置と通信するユニットとして提供される。ユーザ端末によっては、ユーザインタフェース1530は、内部接続や外部接続する機器のインタフェースであってもよい。接続する機器は、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイクロフォン、ジョイスティックなどを含むが、それらに限られない。
【0109】
プロセッサ1500は、バスアーキテクチャと通常の処理を管理する。メモリ1520は、プロセッサ1500による作業時に使用されるデータを記憶できる。
【0110】
選択可能に、各仮想テータストリームは、プリコーディングされて1つまたは複数のアンテナセットで伝送され、かつ同一の仮想テータストリームに用いられる1つまたは複数のアンテナセットは、同一の位相雑音を有する。
【0111】
選択可能に、各仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルのうち、当該仮想テータストリームに用いられる1つまたは複数のアンテナセットに対応する重み値を除き、他のアンテナセットのアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値は、すべて0である。
【0112】
選択可能に、各位相追跡参照信号は、プリコーディングされて1つまたは複数のアンテナセットで伝送され、かつ同一の位相追跡参照信号に用いられる1つまたは複数のアンテナセットは、同一の位相雑音を有する。
【0113】
選択可能に、各位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルのうち、当該位相追跡参照信号に用いられる1つまたは複数のアンテナセットに対応する重み値を除き、他のアンテナセットのアンテナユニットまたはアンテナポートに対応する重み値は、すべて0である。
【0114】
選択可能に、前記第2プリコーディング行列の情報は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、プロセッサ1500は、さらに、前記第2プリコーディング行列の情報をトランシーバ1510で前記受信機に伝送すること、または、データ帯域幅での前記第2プリコーディング行列の使用ルールをトランシーバ1510で前記受信機に伝送することに用いられる。
【0115】
選択可能に、復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、プロセッサ1500は、さらに、復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係をトランシーバ1510で前記受信機に伝送することに用いられる。
【0116】
選択可能に、前記復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係として、1つの位相追跡参照信号に少なくとも1つの復調参照信号が対応付けられ、対応関係を有する位相追跡参照信号と復調参照信号とは、同一のアンテナセットで伝送され、位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルは、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルに関連し、ここで、位相追跡参照信号に対応する仮想テータストリームは、当該位相参照信号に対応する復調参照信号に対応する仮想テータストリームである。
【0117】
選択可能に、位相追跡参照信号が1つの復調参照信号に対応するのであれば、当該位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルと、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、対応する仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルとは同一であり、位相追跡参照信号が複数の復調参照信号に対応するのであれば、当該位相追跡参照信号に用いられるプリコーディングベクトルは、当該位相追跡参照信号の位置するサブキャリアで、前記複数の復調参照信号に対応する複数の仮想テータストリームに用いられる前記第1プリコーディング行列でのプリコーディングベクトルから演算して得られる。
【0118】
なお、本実施例における上記送信機は、本開示の実施例における方法実施例の任意の実施形態の送信機であってもよい。本開示の実施例における方法実施例の送信機の任意の実施形態は、いずれも本実施例における上記送信機によって実現することができ、同一の技術を奏することもできるため、ここでは、繰り返して記載しない。
【0119】
図16は、受信機の構造が示されている。当該受信機は、プロセッサ1600と、トランシーバ1610と、メモリ1620と、ユーザインタフェース2160と、バスインタフェースを含む。プロセッサ1600は、メモリ1620からプログラムを読み取ることによって、送信機から伝送されたデータ信号を受信するプロセスと、前記送信機から伝送された復調参照信号を受信し、受信した各復調参照信号のチャネルを推定し、ここで、前記受信機の受信アンテナユニットまたはアンテナポートの各々がD(1以上の整数)個の復調参照信号を受信するプロセスと、前記送信機から伝送された位相追跡参照信号を受信し、受信した各位相追跡参照信号のチャネルを推定し、ここで、前記受信機の受信アンテナユニットまたはアンテナポートの各々がM(1以上の整数)個の位相追跡参照信号を受信するプロセスと、受信アンテナユニットまたはアンテナポート毎に、当該アンテナユニットまたはアンテナポートを介してM個の位相追跡参照信号を受信し、受信したD個の復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行い、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得るプロセスと、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの、各受信アンテナユニットまたはアンテナポートで受信された各復調参照信号の補償チャネル推定が含まれる補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列とに基づいてチャネル情報を取得するプロセスと、前記チャネル情報を用いて前記データ信号を復調してユーザデータを得るプロセスとを実行することに用いられる。
【0120】
ここで、トランシーバ1610は、プロセッサ160の制御下でデータの送受信に用いられ、上記アンテナユニットまたはアンテナポートを含む。
【0121】
図16において、バスアーキテクチャは、任意数の相互接続するバスとブリッジを含み、具体的に、プロセッサ1600をはじめとする1つ又は複数のプロセッサとメモリ1620をはじめとするメモリの各種類の回路が接続したものである。バスアーキテクチャは、周辺イクイップメント、レギュレーター、電力管理回路などの各種類のほかの回路を接続したものであってもよい。これらは、いずれも本分野の公知事項であり、本文においてさらなる記載をしない。バスインタフェースにより、インタフェースが提供される。トランシーバ1610は、複数の部品であってもよく、即ち送信機と受信機を含み、伝送媒体でほかの各種類の装置と通信するユニットとして提供される。ユーザ端末によっては、ユーザインタフェース2160は、内部接続や外部接続する機器のインタフェースであってもよい。接続する機器は、キーパッド、ディスプレイ、スピーカ、マイクロフォン、ジョイスティックなどを含むが、それらに限られない。
【0122】
プロセッサ1600は、バスアーキテクチャと通常の処理を管理する。メモリ1620は、プロセッサ1600による作業時に使用されるデータを記憶できる。
【0123】
選択可能に、前記受信アンテナユニットまたはアンテナポート毎に、前記受信機が、当該アンテナユニットまたはアンテナポートを介してM個の位相追跡参照信号を受信し、受信したD個の復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相補償を行い、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ることは、受信アンテナユニットまたはアンテナポート毎に、取得済みの復調参照信号と位相追跡参照信号とのマッピング関係に基づいて、当該アンテナユニットまたはアンテナポートで受信された各位相追跡参照信号に対応する復調参照信号を特定することと、各位相追跡参照信号から推定されたチャネルと、各々の位相追跡参照信号に対応する復調参照信号から推定されたチャネルを比較して、各位相追跡参照信号に対応する位相変化情報を得ることと、各位相追跡参照信号に対応する位相変化情報を用いて、各々の位相追跡参照信号に対応する復調参照信号から推定されたチャネルに対し位相雑音補償を行って、位相追跡参照信号の位置するシンボルでの各復調参照信号の補償チャネル推定を得ることとを含む。
【0124】
選択可能に、前記マッピング関係は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、プロセッサ1600は、さらに、前記送信機から伝送された前記マッピング関係をトランシーバ1610で受信することに用いられる。
【0125】
選択可能に、前記補償チャネル推定行列と取得済みの第2プリコーディング行列とに基づいてチャネル情報を取得することは、前記補償チャネル推定行列と、取得済みの第2プリコーディング行列を乗算してチャネル情報を得ることを含む。
【0126】
選択可能に、前記第2プリコーディング行列の情報は、前記送信機と前記受信機によって予め指定され、または、プロセッサ1600は、さらに、前記送信機から伝送された前記第2プリコーディング行列の情報をトランシーバ1610で受信すること、または、データ帯域幅での前記第2プリコーディング行列の使用ルールを前記送信機からトランシーバ1610で受信し、前記ルールに基づいて前記第2プリコーディング行列を取得することに用いられる。
【0127】
なお、本実施例における上記受信機は、本開示の実施例における方法実施例の任意の実施形態の受信機であってもよい。本開示の実施例における方法実施例の受信機の任意の実施形態は、いずれも本実施例における上記受信機によって実現することができ、同一の技術を奏することもできるため、ここでは、繰り返して記載しない。
【0128】
本願で提供される実施例において、開示された方法および装置は、他の方式で実施され得ることを理解されたい。以上記載した装置実施例は、単に例示的なものである。例えば、記載したユニットの区分は、単に論理機能の区分であり、実際に実現する際に別の区分方式がある。例えば、複数のユニットまたはコンポーネントは、組み合わせてもよく、別のシステムに一体化されてもよく、または、一部の特徴は、無視されてもよく、または実行されなくてもよい。また、示されておりまたは議論されている各構成部分の相互間の結合や直接結合や通信接続は、インタフェース、装置またはユニットを介した間接結合や通信接続であってもよく、電気的、機械的、または他の形式であってもよい。
【0129】
また、本開示の各実施例における各機能的ユニットは、全て1つの処理ユニットに一体化されていてもよいし、別々に1つのユニットとしてもよいし、2つ以上のユニットが1つのユニットに一体化されてもよい。上述した一体化ユニットは、ハードウェアの形態、またはハードウェアとソフトウェア機能ユニットの組み合わせの形態で実施することができる。
【0130】
上述したソフトウェア機能ユニットの形態で実施される一体化ユニットは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されてもよい。上記ソフトウェア機能ユニットは、記憶媒体に記憶され、本開示の各実施例の送受信方法のステップの一部をコンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク装置であってもよい)に実行させるいくつかの指令を含む。前記記憶媒体は、Uディスク、モバイルハードディスク、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、磁気ディスクまたは光ディスクなど、プログラムコードを格納することができる様々な媒体を含む。
【0131】
以上の記載は、本開示の好適な実施形態である。当業者は、本開示に記載されている原理を逸脱せずに様々な改良や修飾をすることもできる。これらの改良や修飾も、本開示の保護範囲として見なされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16