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特許6992085非鉄合金のホットチャンバーダイカスト装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】非鉄合金のホットチャンバーダイカスト装置
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/02 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
B22D17/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019553950
(86)(22)【出願日】2018-03-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 IB2018051894
(87)【国際公開番号】W WO2018178815
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】102017000033183
(32)【優先日】2017-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519345896
【氏名又は名称】マンシーニ、フラビオ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンシーニ、フラビオ
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-063658(JP,A)
【文献】特開平03-151152(JP,A)
【文献】実開平04-022165(JP,U)
【文献】特開平03-110056(JP,A)
【文献】特開2000-301309(JP,A)
【文献】特開平11-156522(JP,A)
【文献】実開昭60-005759(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0189085(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1373758(KR,B1)
【文献】特開2007-136484(JP,A)
【文献】特開平03-005056(JP,A)
【文献】実開平06-000555(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非鉄合金のホットチャンバーダイカストのための装置であって
a) 2つの半金型(110、111)から構成される金型と、
b) 前記金型(110、111)を開閉するためのプレス(115)と、
c) 前記プレス(115)を担持するベース(130)と、
d) 射出グループ(112)であって、
i) ポット(124)に含まれる溶融合金に部分的にまたは完全に浸漬されるポンプ本体(102)、
ii) 前記ポンプ本体(102)内で摺動するインジェクタピストン(116)、
iii) 前記ポット(124)の上のクロスバー(113)に取り付けられ且つ前記インジェクタピストン(116)に可逆的に接続されるアクチュエータ(108)であって、前記インジェクタピストン(116)を往復運動するように駆動するアクチュエータ(108)、
iv) ポンプ本体(102)内に形成されたグースネック、および
v) 前記グースネックの外端に配置され、且つ金型(110、111)への接続のためのノズル(104)を備えた加熱延長部(103)であって、前記ノズル(104)は前記延長部(103)の反対側の端部よりも高い位置に配置され、それにより前記延長部(103)は前記グースネックに向かって傾斜を有している、延長部(103)
を有する射出グループ(112)と、
e) 前記延長部(103)に対して対称に配置された少なくとも2つの複動油圧ジャッキ(114)であって、前記射出グループ(112)の前記ポンプ本体(102)と、前記射出グループ(112)に最も近い前記プレス(115)の部分との間に前記延長部(103)の前記傾斜と同じ傾斜で取り付けられる油圧ジャッキ(114)と
からなる装置において、
前記プレス(115)が固定され、また前記射出グループ(112)が、前記ベース(130)上に配置された傾斜ガイド(109)に沿って移動可能であり、前記傾斜ガイド(109)が、前記延長部(103)および前記油圧ジャッキ(114)の長手方向軸線と平行であり、且つ同一平面上にあること、および
前記射出グループ(112)が、前記アクチュエータ(108)および前記クロスバー(113)を含む上部と、前記ポンプ本体(102)、前記インジェクタピストン(116)および前記ポット(124)を含む下部とに分割され、前記ポット(124)は水平レール(120)上に取り付けられること
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記ポンプ本体(102)は、弾性支持体(122)を介して前記ポット(124)に拘束されており、またそれは、前記クロスバー(113)と一体の上部水平ガイド(118)にブラケット(119)を介して吊り下げられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
通常の動作フェーズの間の前記インジェクタピストン(116)と前記アクチュエータ(108)との間の同心性を保証するボルト(123)であって、開放された時に、前記ブラケット(119)が前記上部水平ガイド(118)に沿って摺動することを可能にするボルト(123)をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ブラケット(119)が前記上部水平ガイド(118)に沿って摺動されて、前記インジェクタピストン(116)が前記アクチュエータ(108)から軸線外に係合解除されたときに前記インジェクタピストン(116)の迅速な交換をするための自動または半自動直交座標型ローダをさらに有することを特徴とする請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記インジェクタピストン(116)が前記アクチュエータ(108)から係合解除され、また前記油圧ジャッキ(114)がその一端で係合解除されたとき、前記ポット(124)が前記射出グループ(112)の上部から係合解除されるまで、前記ポット(124)を前記水平レール(120)に沿って移動させるデバイスをさらに有することを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
同じ金型に接続された2以上の射出グループを有し、それにより同じまたは異なる合金を同時にまたは連続して金型内に射出することを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記プレス(115)は、水平軸線または垂直軸線を備えるように配置されることを特徴とする請求項1から6までのいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非鉄合金のホットチャンバーダイカストのための装置に関し、特に大きな構造部片の製造のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融合金の射出ポンプが大気中にあるコールドチャンバーシステムと、射出ポンプが溶融合金中に浸漬されるホットチャンバーシステムとの両方において、溶融合金の温度よりも数百度低い温度である金属鋳型内への合金の射出のために、鋳物の凝固時間、およびそれゆえ金型の充填時間は、構造鋳物の厚さが減少するにつれてより短く、20ミリ秒にまで短くなることさえあり、それゆえ高い充填速度および高い射出圧力が必要とされることが知られている。
【0003】
ホットチャンバープロセスの速度および圧力は、コールドチャンバープロセスの速度および圧力よりもはるかに低く、これは、金型内の合金の経路がより短く、また鋳物供給システムが加熱されるためである。このためホットチャンバーダイカストプロセスには、類似のコールドチャンバープロセスに対して以下のような多くの利点がもたらされる。
- 温度の閉鎖系(クローズドシステム)
- 気泡、スラグ、酸化物、一次結晶化、潤滑剤からの多孔性、低温降下などの、鋳物中の無視できる量
- 金型における熱衝撃の減少、したがって金型のより長い寿命
- 鋳物の総質量と正味質量との間の比の低下
- 合金に対するより低い圧力
- 金型の閉鎖力の低下、したがって金型および関連する閉鎖グループのコストの低下
- 生産性の向上、および廃棄の減少
- エネルギーの削減
【0004】
しかし、従来技術のホットチャンバー装置は、図1および図2に概略的に示す従来技術を参照して以下に説明するように、大きな構造部片のような部品に適したサイズの装置を管理するコストおよび困難さのために、大きな構造部片のダイカストには適していない。
【0005】
図1(縮尺通りではない)には、既知のホットチャンバー装置の金型閉鎖グループ(すなわちプレス)15および射出グループ12が示されている。射出グループアクチュエータ8は、通常、油圧式であり、溶融合金のるつぼ17の外部になければならず、垂直に近い運動をしなければならず、ポンプは、単一のシリンダを有する往復ポンプでなければならない(例えば欧州特許第0400274号明細書、欧州特許第1044743号明細書、米国特許第4566522号明細書、米国特許第4505317号明細書を参照)。
【0006】
金型の固定部分との接続は、ダクト1と、ポンプ本体2に形成されたいわゆる「グースネック(S字形管)」(サイホン構造)と、本体2に接続され且つ合金の凝固および接続の妨害を回避するために高温に加熱されたダクト1の延長部3とを介して行われる。延長部3は、水平姿勢に対してポンプに向かって必然的に傾けられなければならず、それにより凝固した鋳物に使用されない溶融合金のポンプに向かう下降流を可能にし、また後続の鋳物の品質を損なう酸化または半固体合金の停滞を助長しないようにしている。
【0007】
合金の耐圧性は、2つの油圧ジャッキ14によって、延長部3のノズル4に対して金型の2つの部分10、11を十分な力で押圧することによって得られ、2つの油圧ジャッキ14は、延長部3に対して対称的に配置され、且つプレス15のヘッドと射出グループ12との間に固定され、射出グループ12は、地面に固定された装置のベース13と一体化され、それにより地面に対して摺動可能なプレス15を引っ張る。
【0008】
製造プロセス中、いわゆる「キャロット(ニンジン)」5を介して延長部3のノズル4に接続された鋳物6の凝固がキャロット5を越えて延長部3に向かって続き、鋳物6がポンプサブグループから分離するのが妨げられることが時々起こる。金型10/11の閉鎖-開放を担当する部分、すなわちプレス15は、延長部3と同じ傾斜で水平方向に傾斜しており、したがって、プレス15(および閉鎖された金型)を射出グループ12から強制的に取り外すことを可能にし、その結果、適切に成形されたノズル4からのキャロット5の取り外し7がもたらされる。この状況は、取り外し7の最大行路を表す図2に示されており、ノズル4および延長部3のメンテナンス作業のためのノズル4へのアクセスがもたらされる(ノズルは、延長部上に堅固にクランプされ、または延長部内に形成されなければならない)。
【0009】
取り外し7は、金型を延長部3に密着するために使用される同じ対の油圧ジャッキ14の作動によって可能にされ、こらは、傾斜ガイド9、閉鎖グループ15および金型10/11に沿って、ベース13と一体化された射出グループ12から離れるように移動する複動ジャッキであり、摺動部分の質量は、数十kgから数百kgまで変化する。
【0010】
摩耗しやすい部品であるインジェクタピストン16は、数千個の鋳物毎に交換しなければならず、前記要素が操作者によって取り扱い可能であり、重量が持続可能である限り、操作は可能であるが、予熱しなければならないので、操作は危険になることがある。
【0011】
より古い従来技術では、水平閉鎖および垂直射出を有する小型機械の構成もあり、ここでは延長部は傾斜しており、接触およびシールの一方または両方の球形端部を有する。しかし、そのような構造は、閉塞した場合、延長部の複雑な分解を、またはオキシアセチレン火炎などによるまたはその過熱を必要とし、これは球状接続部の不安定なシールを考慮せず、延長部の整合性のために構造的に危険である(例えば米国特許第6481489号明細書参照)。
【0012】
図1および図2に示す構造は、摺動部、プレスおよびモールドの質量が数万kgに達し、ステムおよびインジェクタピストンの質量が100kgを十分に超えて高温に予熱されるので、現在の装置と比較してより大きな装置の発展にとって重大な障害である。
【0013】
射出ポンプ上の金型を閉じるための摺動および傾斜結合は、結合の容積と質量との間の比が、現在使用されているホットチャンバーシステムにおけるもののように合理的である限り、小型または中小型機械に対して正当化される。このシステムは、大きな構造部片を受け入れるために過度に高価に、また困難になり、大きな構造部片では、表面と厚さとの間の比がますます大きくなり、したがって金型の質量の体積の比すなわち閉鎖プレスの体積の比が射出グループと比較してますます大きくなる。
【0014】
大きな構造部片のためのホットチャンバープロセスの開発もまた、インジェクタピストン16の頻繁な交換の必要性によって妨げられており、インジェクタピストン16のシールは、取扱いが重く高温であるために、この要素を取り扱うことが困難であるため、数千サイクルの寿命を有する。加えて、ノズル、加熱バンド等のような他の寿命が限られた器官を含む溶融合金ポンプサブグループを維持することには困難がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】欧州特許第0400274号明細書
【文献】欧州特許第1044743号明細書
【文献】米国特許第4566522号明細書
【文献】米国特許第4505317号明細書
【文献】米国特許第6481489号明細書
【発明の概要】
【0016】
したがって本発明の目的は、ホットチャンバープロセスの前述の欠点および現在の寸法限界を克服し、それを大型構造鋳物に拡張するホットチャンバーダイカスト装置を提供することである。この目的は、固定プレスと射出グループとを有する装置であって、射出グループは、定置部分と、延長部に平行な傾斜ガイド上および水平レール上で移動可能な部分とに分割され、そのような動きを互いに両立する装置によって達成される。他の有利な構成(feature)は従属請求項に記載される。
【0017】
本発明の装置の第1の重要な利点は、ホットチャンバープロセスによって大きな構造部片も実現することが明確に可能であることにあり、したがってコールドチャンバープロセスに関して前述したすべての利点が得られる。
【0018】
第2の重要な利点は、インジェクタピストンを自動または半自動装置に交換することができる可能性、およびるつぼの洗浄および/または溶融合金ポンプサブグループの保守または交換の間でさえ安全に動作することができる可能性のおかげで、保守段階の管理も簡略化されるという事実に由来する。
【0019】
提案された構成のさらに別の利点は、既存の装置のコールドチャンバー噴射グループを新しいホットチャンバー噴射グループと容易に交換できる可能性にあり、すべての中型および大型の装置において、噴射グループが装置の残りの部分から分離され、したがって数作業日で古いグループを切り離して新しいグループを接続することが容易である。
【0020】
さらに、提案された構成は、2つ以上の射出グループを、水平または垂直に、同じ金型閉鎖システムに関連付けることを可能にすることを可能にし、前記実施形態では、同じキャビティ内に異なる合金さえも射出することを可能にする。
【0021】
本発明によるダイカスト装置のこれらおよび他の利点および特徴は、添付の図面を参照して以下の2つの実施形態の詳細な説明から当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】(満たされたキャビティを有する)閉じた金型の位置における従来技術の装置の縦断面概略図である。
図2】キャロットの分離位置における従来技術の装置の縦断面概略図である。
図3】(満たされたキャビティを有する)閉じた金型の位置における、本発明によるホットチャンバーダイカスト装置の第1の実施形態の縦断面概略図である。
図4】キャロットの分離位置における、本発明によるホットチャンバーダイカスト装置の第1の実施形態の縦断面概略図である。
図5】前記装置の断面概略図である。
図6】インジェクタピストンを交換するための位置にある前記装置の縦断面部分概略図である。
図7】るつぼの洗浄および/または溶融合金ポンプサブグループの保守/交換のための位置における前記装置の縦断面部分概略図である。
図8】金型の垂直閉鎖および2つの射出グループを有する、装置の第2の実施形態の縦断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図3図5を参照すると、本発明の好ましい実施形態によるホットチャンバーダイカスト装置は、2つの半金型110および111の閉鎖グループ115を担持するベース130を有し、2つの半金型110および111は、金型のキャビティ106を取り囲み、閉鎖グループ115は水平姿勢であり、一般的なコールドチャンバー装置のように案内することが分かる。延長部103の軸線がその代わりに、現在のホットチャンバー装置と同様に水平に対して傾斜しており、溶融合金ポンプおよびそのアクチュエータ108の軸線は垂直である。
【0024】
ポンプの本体102は、それが浸漬されるポット124の構造によって、既知のタイプの支持体122により拘束され且つ弾性的に支持され、また注入フェーズにおいて、注入ピストン116のアクチュエータ108に同心に接続される。必要であれば、本体102は、アクチュエータ108を担持するクロスバー113と一体である上部水平ガイド118上で自由にスライドすることができ、アクチュエータ108の軸線に対して対称である2つのブラケット119によってクロスバー113に吊り下げられる。注入の間、ブラケット119は、ポンプとそのアクチュエータとの間に力の閉ループを生成するように働く。
【0025】
射出グループ112は、射出グループ112の側面に位置するベース130の部分の頂部に配置された(好ましくは転動タイプの)2つの傾斜ガイド109上で自由に摺動する。ガイド109は、延長部103の傾斜軸線および密接ジャッキ114の軸線に平行であり、また好ましくはノズル104の軸線とキャロット105の軸線との間の交点および延長部103に対するモーメントを伝達しないように、延長部103の前記軸線およびジャッキの軸線と同一平面(図5の軌跡b-bを有する平面)上にさえある。
【0026】
ガイド109上の移動は、図示されていない調節可能且つ弾性的な機械的ストッパによって、キャロット105の分解時の最大伸張分に制限することができる。ガイド109に沿った移動がノズル104の金型110/111への密着を保証しなければならないという事実にもかかわらず、前述の弾性ストッパは、前記移動の仮想中心を確立するように働いてもよく、これはいずれにしても、ジャッキ114に接続された位置トランスデューサなど、当技術分野で知られている方法のいずれかによって決定することができる。
【0027】
製造サイクルの操作は、中小鋳物のための最新の技術と、すなわち金型の閉鎖、鋳物の射出および圧縮、鋳物の凝固、鋳物の冷却およびインジェクタピストンの戻り、インジェクタシリンダの開放および充填、鋳物の抽出、金型の洗浄および潤滑および冷却、金型の閉鎖などと同様である。
【0028】
従来技術は各サイクルでのキャロット分離に備えていたが、現在の製造技術は、温度制御の進歩のおかげで、金型への延長部の密着が、金型の開放中に低減されたままであること、および鋳物の凝固がノズルに伝播する場合にのみそれが中断されることを必要とする。この不測の事態は、温度制御の異常の場合には避けることができず、この場合、延長部と金型との間の接合部は製造サイクルの継続を妨げ、したがって装置は、いずれにしてもキャロット分離に備えなければならない。
【0029】
図4は分離を実行する際の装置を表し、これは、ポンプ本体102をプレス115から離れるように移動させ、注入グループ112を傾斜ガイド109に沿って摺動させ、したがってポット124を水平レール120に沿って引っ張ることによって十分な力およびストロークで介在する密接ジャッキ114のおかげであり、そのような運動は、弾性的な支持体122のおかげで互換性がある。ジャッキ、ポンプ本体、延長部、ノズルおよびキャロットは、力の閉ループを形成する。
【0030】
このようにして、プレス115と金型110/111からなる装置の最も重い部分は静止したままであり、一方、容易に摺動可能で、はるかに軽く、かさばる射出グループ112のみが移動される。
【0031】
さらに、注入グループ112は、ガイド118を備えたクロスバー113に取り付けられたアクチュエータ108を有する上部と、注入ピストン116を収容し且つポット124に収容されるポンプ本体102を有する底部とに分割される。
【0032】
図6は、インジェクタピストン116を交換するための位置にある装置を示しており、この位置には、ジャッキ114の作用のおかげであるが、通常の動作ステップの間のピストン116とアクチュエータ108との間の同心性およびキャロットの生じ得る分離を保証するように働くボルト123(図5)を開いて侵入運動に同意を与えた後にのみ到達する。ボルト123が開き、アクチュエータ108と連結されると、ジャッキ114はポンプ本体102を押し、ポンプ本体102はブラケット119によってガイド118上で摺動し、それと共にポット124を引っ張り、したがってピストン116をアクチュエータ108に対して軸線から動かす。
【0033】
図4に示すキャロット取り外しフェーズで起こることとは異なり、この場合、アクチュエータ108がピストン116から係合解除され、したがってポンプ本体102上のジャッキ114の作用が、支持体122およびそのカバー117を介してポット124にのみ伝達されるので、注入グループ112の上部は静止したままである。ポンプは、弾性的支持システム122を介してポット124のカバー117によって主に支持され、それにより、システムがレール120上に乗っているが、ポンプの位置を決定するようにガイド118によって方向付けられると仮定すると、ガイド118に沿った摺動は、これらのガイドが実質的に無負荷であるので、滑らかであることに留意されたい。これにより、自動または半自動ローダ、好ましくは直交座標(Cartesian)且つ専用の(図示せず)ローダによって、インジェクタピストン116を完全な安全性で迅速に交換することが可能になる。
【0034】
同様に、図7は、ポット124の清掃および/または、重量が数千kgでさえある溶融合金ポンプサブグループの安全な保守または交換のための位置にある装置を示しており、この操作は、ポット124のケーシングへのポンプサブグループの弾性サスペンション122によって容易且つ安全に行われる。この場合にも、アクチュエータ108がピストン116から係合解除されるので、注入グループ112の上部は静止したままであり、しかし、ポット124は図示されない任意の従来技術のシステムによって移動される。これはなぜなら、必要な変位はジャッキ114のストロークよりも大きいからであり、それらの2つの端部(例えば図7のポンプ端部)の1つでジャッキは係合解除され、それによりポンプサブグループが、ガイド118から係合解除されたブラケット119とともにレール120に沿って戻ることができる。
【0035】
図8は、2つの同一または異なる合金を金型内に同時にまたは連続して射出することができる2つの射出グループを備えた、金型の垂直閉鎖部を有する装置を表す。これにより、2つ以上の可能性がある専用の注入基を介して、バイメタルまたはポリメタリックでさえも、現在の技術では想像できない寸法の鋳物を製造することが可能になる。
【0036】
上述し、図示した本発明による装置の実施形態は、多くの変形が可能な例に過ぎないことは明らかである。特に、要素は、それらを他の技術的に同等のもので置き換えることが当業者の通常の能力の範囲内であるので、概略的な方法で説明されており、例えば複動油圧ジャッキ114は、ノズル104への金型110/111の密接、キャロット105の分離107、およびその置き換えのためのピストン116の後退という同じ機能を実行することができる同様のアクチュエータによって置き換えることができる。
図1-2】
図3-4】
図5
図6-7】
図8