IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッドの特許一覧

特許6992102テトラフルオロプロペンから形成される硬化性フッ素ポリマー
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】テトラフルオロプロペンから形成される硬化性フッ素ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 214/18 20060101AFI20220207BHJP
   C08F 218/04 20060101ALI20220207BHJP
   C08F 216/12 20060101ALI20220207BHJP
   C08L 27/12 20060101ALI20220207BHJP
   C09D 127/12 20060101ALN20220207BHJP
【FI】
C08F214/18
C08F218/04
C08F216/12
C08L27/12
C09D127/12
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020021546
(22)【出願日】2020-02-12
(62)【分割の表示】P 2016526062の分割
【原出願日】2014-09-23
(65)【公開番号】P2020100829
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2020-03-04
(31)【優先権主張番号】61/894,146
(32)【優先日】2013-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/463,747
(32)【優先日】2014-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ワンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】フェン,シジュン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シユアン
(72)【発明者】
【氏名】リン,ユン
(72)【発明者】
【氏名】ポス,アンドリュー
【審査官】渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-255328(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0184653(US,A1)
【文献】特表2010-514856(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0089671(US,A1)
【文献】国際公開第2012/043831(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/125740(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F6/00-246/00
C08L1/00-101/14
C09D127/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)2,3,3,3-テトラフルオロプロペンおよび1,3,3,3-テトラフルオロプロペンからなる群より選択される、重合されたモノマーを含む第1ユニット、
(b)ビニルエステルおよびビニルエーテルからなる群より選択される、重合されたモノマーを含む第2ユニット、ここで、ビニルエステルおよびビニルエーテルはそれぞれCH =CR1-O(C=O)R2およびCH =CR3-OR4の式で表され、ここで、R1およびR3は水素またはメチル基であり、R2およびR4は炭素数1-12の非置換の直鎖、分岐鎖または脂環式アルキル基である、ならびに
(c)水酸基含有ビニルエーテルを含む、重合されたモノマーを含む第3ユニット、ここで、水酸基含有ビニルエーテルはCH =C-R5-OR6の式で表され、ここでR5は水素またはメチル基であり、R6は水酸基を有する非置換の直鎖、分岐鎖、または脂環式アルキル基である、
を含むコポリマー組成物。
【請求項2】
前記第1ユニットを40~60モル%含む、請求項1に記載のコポリマー組成物。
【請求項3】
前記第2ユニットがアルキルビニルエーテル、ビニルエステル、およびこれらの組合せからなる群から選択され、当該第2ユニットを5~45モル%含む、請求項2に記載のコポリマー組成物。
【請求項4】
前記第3ユニットがヒドロキシアルキルビニルエーテルからなり、当該第3ユニットを3~30モル%含む、請求項3に記載のコポリマー組成物。
【請求項5】
溶液中にて前記モノマーを重合することを含む、請求項1に記載のコポリマーの製造方法。
【請求項6】
前記コポリマーが5000~50000の数平均分子量を有する、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記コポリマーが5000~10000の数平均分子量を有する、請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載のコポリマーを70重量%以上含む、組成物。
【請求項9】
請求項1に記載のコポリマーを80重量%以上含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
15~25重量%の溶媒を含む、請求項7に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
[0001]本発明は、2013年10月22日出願の米国仮出願61/894,146の優先権を主張する。当該仮出願の開示内容は参照により本発明に包含される。’146仮出願は、2012年10月4日出願の米国特許出願13/645,444、2012年10月4日出願の米国特許出願13/645,437、2011年10月5日出願の米国仮出願61/543,780、2011年10月5日出願の米国仮出願61/543,714に関連する。これらの開示内容は参照により本発明に包含される。
【技術分野】
【0002】
[0002]本発明は、概して、少なくともその一部がテトラフルオロプロペンから形成される新規な硬化性フッ素ポリマーに関する。より詳しくは、本発明は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CFCF=CH、「HFO-1234yf」)および/または1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CH=CFCF、「HFO-1234ze」)を含むモノマー材料から一部が形成される硬化性コポリマー、組成物、ならびにこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTEF)、およびポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素ポリマーは、耐水性および耐油性等の優れた特性に加えて、卓越した耐熱性、耐化学薬品性、および耐候性を有することがよく知られている。残念ながら、これらのフッ素ポリマーはコーティング分野で汎用される工業的溶媒(キシレンや酢酸ブチル等)への溶解性が乏しいため、コーティングとして使用することは困難である。このため、しばしば特殊な溶媒を使用する必要がある。当該溶媒はコーティングの経済面のみならず、例えば潜在的毒性から環境への問題が存在しうる。
【0004】
[0004]したがって、優れた性質を有し、経済的で工業的な溶媒が利用ができ、環境にやさしい代替コーティングを製造するというニーズが存在する。
【0005】
[0005]さらに、先行出願US13/645,437(米国特許出願公開2013/0090493A1)(参照によりその内容が本願に包含される)に記載されているように、フッ素化ポリマーの製造には多くの困難性が存在する。テトラフルオロプロペンコポリマーを製造するためのいくつかのタイプの重合方法が先願US13/645,437に開示されているが、本出願人はこれらの重合方法には好ましくない側面または限定が存在すること、および/または得られるポリマーは異なるおよび/または改善された特性を伴って形成される可能性があることを見出すに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許出願公開2013/0090493号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0006]したがって出願人は、種々の用途に用いることのできる、異なるおよび/または改善された特性を有するテトラフルオロプロペンコポリマーを製造するための改善された方法が必要であることを見出した。
【課題を開設するための手段】
【0008】
[0007]本発明の第一の側面によれば、(a)、(b)、(c)で表されるモノマーの溶液共重合によって、硬化性フッ素ポリマーを製造できる。
(a)40~60モル%のテトラフルオロプロペン、
(b)5~45モル%の、それぞれ以下の式で表されるビニルエーテル、ビニルエステル、または双方:CH=CR1-O(C=O)R2およびCH=CR3-OR4、ここでR1およびR3は水素またはメチル基であり、R2およびR4は炭素数1~12の非置換の直鎖、分岐鎖、または脂環式アルキル基であり、
(c)3~30モル%のCH=C-R5-OR6で表されるヒドロキシアルキルビニルエーテル、ここでR5は水素またはメチル基であり、R6は水酸基を有する非置換の直鎖、分岐鎖、または脂環式アルキル基である。
【0009】
[0008]本発明の第二の側面によれば、テトラフルオロプロペンはHFO-1234yf、HFO-1234zeのいずれか一方または双方から選択される。本発明によれば、出願人はポリマーコーティングの製造において、環境にやさしいHFO-1234yfおよびHFO-1234zeのいずれかまたはこの組合せがフッ化モノマーとして優位的に用いられることを見出した。
[0009]本発明の第三の側面によれば、硬化性フッ素コポリマーを含有する製品は、溶媒を15~50%、好ましくは15~25%含むので、当該製品のユーザーへの輸送に関して経済的な濃縮された製品を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の詳細な説明
[0010]本発明の好ましい態様によれば、成分(a)として、HFO-1234yfおよび/またはHFO-1234zeの形態のテトラフルオロプロペンを40~60モル%、最も好ましくは45~55モル%使用する。HFO-1234yfとHFO-1234zeの混合物を用いる場合、HFO-1234yfとHFO-1234zeは任意の比率で用いることができるが、好ましくは0.3~0.7:0.7~0.3である。
【0011】
[0011]本発明のコポリマーは、成分(b)としてビニルエーテル単位、ビニルエステル単位、またはこれらの組合せを含むことができる。好ましくは5~45モル%、最も好ましくは25~45モル%が使用される。ビニルエーテルの例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテルが挙げられる。脂環基を有するビニルエーテル、例えばシクロブチルビニルエーテル、シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルも使用できる。ビニルエステルの例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、VEOVA-9(Momentive製、C9カルボン酸から製造されるバーサティック酸ビニルエステル)、VEOVA-10(Momentive製、C10カルボン酸から製造されるバーサティック酸ビニルエステル)、ビニルシクロヘキサンカルボキシレートが挙げられる。
【0012】
[0012]成分(c)のヒドロキしアルキルビニルエーテルの例としてはヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル、およびヒドロキヘキシルビニルエーテルが挙げられる。好ましくは3~30モル%、最も好ましくは5~20モル%が使用される。
【0013】
[0013]フッ素ポリマーは好ましくは溶液重合により製造される。溶液重合のための溶媒の例としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル;アセトン、メチルエチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ナフサ溶媒等の芳香族炭化水素;メタノール、エタノール、t-ブタノール、i-プロパノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のアルコール;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル;HCFC-225、HCFC-141b等のフッ素化溶媒;ジメチルスルホキシド;およびこれらの組合せが挙げられる。
【0014】
[0014]重合開始種および重合媒体にも因るが、重合は、好ましくは-30℃~150℃の範囲で実施される。
【0015】
[0015]本発明のコポリマーは、好ましくは前述のモノマーを共重合することによって製造され、好ましくは数平均分子量が5000~50000、より好ましくは5000~10000である。好ましくはコポリマーの分子量分布は2~10、より好ましくは2.5~8、最も好ましくは3~6である。数平均分子量が5000未満であるとコポリマーの耐候性および耐薬品性が低下し、50000を超えると高い粘性により取り扱いが困難になる。
【0016】
[0016]本発明のコポリマーは水酸基を有し、メラミン樹脂硬化剤、尿素樹脂硬化剤、多塩基酸硬化剤、非ブロックポリイソシアネート硬化剤、またはブロックポリイソシアネート硬化剤等の従来の熱硬化性アクリルコーティングに使用できる硬化剤とともに用いることで硬化が可能である。メラミン樹脂硬化剤の例としては、ブチル化メラミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、エポキシメラミン樹脂等が挙げられる。非ブロックポリイソシアネート硬化剤の例としては2,4-および2,6-ジイソシアネートトルエン(TDI)、ジフェニルメタン-2,4’-および/または-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、1-イソシアネート-3,3,5-トリメチル-5-イソシアネートメチルシクロヘキサン(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、1,4-ジイソシアネートブタン、2-メチル-1,5-ジイソシアネートペンタン、1,5-ジイソシアネート-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-もしくは2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアネートヘキサン、1,10-ジイソシアネート-デカン、1,3-および1,4-ジイソシアネートシクロヘキサン、1,3-および1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、4,4’-ジイソシアネートジシクロヘキシルメタン、1-イソシアネート-1-メチル-4(3)-イソシアネートメチルシクロヘキサン(IMCI)、ビス(イソシアネートメチル)ノルボルネン、1,3-および1,4-ビス(2-イソシアネートプロパ-2-イル)ベンゼン(TMXDI)、1,5-ジイソシアネートナフタレン、2,4’-,4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、およびそれらの二量体、三量体およびポリマーが挙げられる。ブロックポリイソシアネートに関して、好ましいブロック基はメタルビスルファイト、ジエチルマロネート(DEM)、3,5-ジメチルピラゾール(DMP)、メチル-エチルケトオキシム(MEKO)、ε-カプロラクタム(ε-CAP)、ジイソプロピルアミン、ジメチル-ピラゾール、メチル-エチルケトオキシム(ブタノンオキシム)、マロン酸ジエチルエステル、2級アミン、ならびにトリアゾールおよびピラゾールの誘導体が挙げられる。ポリイソシアネートを用いて通常の温度で硬化を行う場合は、ジブチルスズジラウレート等の従来の触媒を用いて硬化を促進することができる。
【0017】
[0017]本発明のコポリマーを用いた溶液タイプの塗料またはコーティングの調製には種々の溶媒を使用できる。好ましい溶媒としては、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素;n-ブタノール等のアルコール;酢酸ブチル等のエステル;メチルイソブチルケトン等のケトン;エチルセロソルブ等のグリコールエーテル;および種々の公知のシンナーが挙げられる。本発明のコポリマーをコーティング用熱硬化性樹脂組成物に用いる際には、メラミンタイプ硬化剤、尿素タイプ硬化剤、多塩基酸タイプ硬化剤、ポリイソシアネートタイプ硬化剤等の硬化剤を、前述の混合工程において同時に混合して一液タイプコーティングを製造できる。
【0018】
[0018]一方、当該組成物がポリイソシアネートを用いた常温硬化タイプのコーティングである場合には、硬化剤成分を別途準備して二液タイプコーティングとする。この場合、コーティングは室温にて数時間~数日で硬化が可能であり、添加するイソシアネートおよび触媒の種類および量、コポリマー濃度、コポリマー中のヒドロキシアルキルビニルエーテル量等を調整することで良好な性能を付与できる。
【0019】
[0019]本発明のコポリマーを塗料またはコーティングの樹脂として用いる際には、優れた仕上げ硬度や艶、柔軟性、耐薬品性、耐汚染性、耐候性を有するフィルムを温和な条件で形成できる。当該フィルムは亜鉛メッキ鋼板、着色アルミニウム板、アルミニウムフレームのプレーコーティングのみならず、現場施工型の非加熱硬化塗料としても使用できる。当該塗料またはコーティングは、金属基材;ガラス、セメント、コンクリート等の無機基材;プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ナイロン、アクリルポリエステル、エチレン-ポリビニルアルコールコポリマー、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、木材等の有機基材を含む多くの基材に使用できる。当該塗料またはコーティングの具体的用途としては、限定されないが、アルミ製プールのコーティング、外層用途の着色ガラスのコーティング、屋根用セメントタイルのコーティングが挙げられる。
【0020】
[0020]以下の非限定的な実施例によって、本発明をより詳しく説明する。
【実施例
【0021】
[実施例1]
[0021]19.0gの酢酸ブチル、9.5gのエチルビニルエーテル、20.8gのVEOVA-9、8.0gのヒドロキシブチルビニルエーテル、0.62gのパーオキシピバル酸t-ブチルを、撹拌機を備えた300mLのステンレス製オートクレーブ内に仕込んだ。液体窒素を用いて混合物を固化し、脱気して溶解した空気を除去した。次いで、50gの1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを混合物に加え、当該混合物を徐々に65℃までオートクレーブ内で加熱した。混合物を18時間撹拌した。オートクレーブを室温まで冷却し、未反応モノマーを除去し、オートクレーブを開放した。過剰な溶媒を蒸発させて除去した。
【0022】
[0022]収率92%、最終ポリマーのTg(ガラス転移温度)=15℃、Mn=7348、Mw=13789、Mw/Mn=1.87、最終ポリマーの濃度74.7%、粘度<500cps
【0023】
[実施例2]
[0023]20.0gの酢酸ブチル、9.1gのエチルビニルエーテル、6.0gの酢酸ビニル、6.7gのヒドロキシブチルビニルエーテル、0.4gのパーオキシピバル酸t-ブチルを、撹拌機を備えた300mLのステンレス製オートクレーブ内に仕込んだ。液体窒素を用いて混合物を固化し、脱気して溶解した空気を除去した。次いで、40gの2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを混合物に加え、当該混合物を徐々に65℃までオートクレーブ内で加熱した。混合物を18時間撹拌した。オートクレーブを室温まで冷却し、未反応モノマーを除去し、オートクレーブを開放した。過剰な溶媒を蒸発させて除去した。
【0024】
[0024]収率91%、最終ポリマーのTg(ガラス転移温度)=11℃、Mn=5314、Mw=12646、Mw/Mn=2.38、最終ポリマーの濃度73.8%、粘度<600cps
【0025】
[実施例3]
[0025]20.0gの酢酸ブチル、8.0gのエチルビニルエーテル、17.4gのVEOVA-9、6.7gのヒドロキシブチルビニルエーテル、0.63gのパーオキシピバル酸t-ブチルを、撹拌機を備えた300mLのステンレス製オートクレーブ内に仕込んだ。液体窒素を用いて混合物を固化し、脱気して溶解した空気を除去した。次いで、60gの1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを混合物に加え、当該混合物を徐々に65℃までオートクレーブ内で加熱した。混合物を18時間撹拌した。オートクレーブを室温まで冷却し、未反応モノマーを除去し、オートクレーブを開放した。過剰な溶媒を蒸発させて除去した。
【0026】
[0026]収率93%、最終ポリマーのTg(ガラス転移温度)=32℃、Mn=7136、Mw=24103、Mw/Mn=3.37、最終ポリマーの濃度81.1%、粘度<700cps
【0027】
[実施例4]
[0027]20.0gの酢酸ブチル、8.2gのエチルビニルエーテル、22.3gのVEOVA-9、3.4gのヒドロキシブチルビニルエーテル、0.66gのパーオキシピバル酸t-ブチルを、撹拌機を備えた300mLのステンレス製オートクレーブ内に仕込んだ。液体窒素を用いて混合物を固化し、脱気して溶解した空気を除去した。次いで、50gの1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを混合物に加え、当該混合物を徐々に65℃までオートクレーブ内で加熱した。混合物を18時間撹拌した。オートクレーブを室温まで冷却し、未反応モノマーを除去し、オートクレーブを開放した。過剰な溶媒を蒸発させて除去した。
【0028】
[0028]収率85%、最終ポリマーのTg(ガラス転移温度)=12℃、Mn=4640、Mw=8079、Mw/Mn=1.74、最終ポリマーの濃度78.1%、粘度<600cps
【0029】
[実施例5]
[0029]30.0gの酢酸ブチル、7.6gのエチルビニルエーテル、18.4gのVEOVA-9、6.7gのヒドロキシブチルビニルエーテル、0.60gのパーオキシピバル酸t-ブチルを、撹拌機を備えた300mLのステンレス製オートクレーブ内に仕込んだ。液体窒素を用いて混合物を固化し、溶解した空気を除去することによって脱気した。次いで、60gの1,3,3,3-テトラフルオロプロペンを混合物に加え、当該混合物を徐々に65℃までオートクレーブ内で加熱した。混合物を18時間撹拌した。オートクレーブを室温まで冷却し、未反応モノマーを除去し、オートクレーブを開放した。過剰な溶媒を蒸発させて除去した。
【0030】
[0030]収率82%、最終ポリマーのTg(ガラス転移温度)=22℃、Mn=7640、Mw=17620、Mw/Mn=2.31、最終ポリマーの濃度71.7%、粘度<600cps
【0031】
[応用実施例]
[0031]26.1gの得られたコポリマーを17.9gの酢酸ブチルに溶解し、22.3gの酸化チタンを混合した。塗料シェーカーを用いて混合物を1時間混合し、次いで14.8gのDESMODUR BL4265、0.3gのジブチルスズジラウレート(1%濃度)と混合した。当該混合物をアルミニウム基材のコーティングとして使用した。約72時間後、表面物性を評価した。
【0032】
[0032]表面光沢(ISO2813)=70(20℃)、硬度(鉛筆テスト、ASTM D3363)=3H、柔軟性(ASTM D4145)=3T、接着性(ASTM D3359)=5B
【0033】
[0033]以上のとおり、説明のために具体的な実施例を挙げたが、本発明の精神および開示範囲を逸脱せずに種々の改良が許容されうる。したがって、前述の詳細な記載は限定ではなく説明を意図している。さらに、以下のクレーム(均等物を含む)は、権利を請求する構成を特に指摘しかつ主張することを意図していることが理解される。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1]
(a)2,3,3,3-テトラフルオロプロペンおよび1,3,3,3-テトラフルオロプロペンからなる群より選択される、重合されたモノマーを含む第1ユニット、
(b)ビニルエステルおよびビニルエーテルからなる群より選択される、重合されたモノマーを含む第2ユニット、ならびに
(c)水酸基含有ビニルエーテルを含む、重合されたモノマーを含む第3ユニット、
を含むコポリマー組成物。
[2]
前記第1ユニットを40~60モル%含む、[1]に記載のコポリマー組成物。
[3]
前記第2ユニットがアルキルビニルエーテル、ビニルエステル、およびこれらの組合せからなる群から選択され、当該第2ユニットを5~45モル%含む、[2]に記載のコポリマー組成物。
[4]
前記第3ユニットがヒドロキシアルキルビニルエーテルからなり、当該第3ユニットを3~30モル%含む、[3]に記載のコポリマー組成物。
[5]
溶液中にて前記モノマーを重合することを含む、[1]に記載のコポリマーの製造方法。
[6]
前記コポリマーが5000~50000の数平均分子量を有する、[5]に記載の製造方法。
[7]
前記コポリマーが5000~10000の数平均分子量を有する、[6]に記載の製造方法。
[8]
[1]に記載のコポリマーを70重量%以上含む、組成物。
[9]
[1]に記載のコポリマーを80重量%以上含む、[7]に記載の組成物。
[10]
15~25重量%の溶媒を含む、[7]に記載の組成物。