(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】コンテンツ編集装置、コンテンツ編集方法およびコンテンツ編集プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/854 20110101AFI20220105BHJP
H04N 5/91 20060101ALI20220105BHJP
H04N 5/765 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H04N21/854
H04N5/91
H04N5/765
(21)【出願番号】P 2020030476
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2020-02-26
(73)【特許権者】
【識別番号】500016198
【氏名又は名称】株式会社Jストリーム
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】大川 高志
(72)【発明者】
【氏名】早坂 真有美
【審査官】鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-158974(JP,A)
【文献】特表2002-519917(JP,A)
【文献】特開2004-336488(JP,A)
【文献】特表2006-509319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/854
H04N 5/91
H04N 5/765
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時系列順に再生される複数の断片ファイルと、前記複数の断片ファイルの再生順を定義するプレイリストファイルとからなるコンテンツを編集するコンテンツ編集装置であって、
前記複数の断片ファイルの一部を所定の差替ファイルに差し替える差替編集を行うとき、前記コンテンツの再生時間軸において、前記差替ファイルの差替開始位置および差替終了位置を決定し、
このとき、前記差替編集後の前記コンテンツの全再生時間を変更することなく、前記差替ファイルの再生時間に基づいて前記差替開始位置および前記差替終了位置を決定し、
前記差替開始位置が第1の前記断片ファイルの再生途中位置に対応する場合、第1の前記断片ファイルを前記差替開始位置が再生終了位置となるように編集すると共に、第1の前記断片ファイルを前記差替ファイルに対する前方ファイルとし、
前記差替終了位置が第2の前記断片ファイルの再生途中位置に対応する場合、第2の前記断片ファイルを前記差替終了位置が再生開始位置となるように編集すると共に、第2の前記断片ファイルを前記差替ファイルに対する後方ファイルとし、
前記前方ファイルと前記後方ファイルとの間に前記差替ファイルを挿入することで前記コンテンツの編集を行い、
前記プレイリストファイルを編集して、第1の前記断片ファイルから第2の前記断片ファイルまでの再生順を、前記前方ファイル、前記差替ファイル、前記後方ファイルの再生順に差し替え
、前記プレイリストファイルの差替ファイル部分については、前記差替開始位置を前記差替ファイルの再生開始時間に設定すると共に、前記差替ファイルの再生時間を設定して編集することを特徴とするコンテンツ編集装置。
【請求項2】
時系列順に再生される複数の断片ファイルと、前記複数の断片ファイルの再生順を定義するプレイリストファイルとからなるコンテンツを編集するコンテンツ編集方法であって、
前記複数の断片ファイルの一部を所定の差替ファイルに差し替える差替編集を行うとき、前記コンテンツの再生時間軸において、前記差替ファイルの差替開始位置および差替終了位置を決定し、
このとき、前記差替編集後の前記コンテンツの全再生時間を変更することなく、前記差替ファイルの再生時間に基づいて前記差替開始位置および前記差替終了位置を決定し、
前記差替開始位置が第1の前記断片ファイルの再生途中位置に対応する場合、第1の前記断片ファイルを前記差替開始位置が再生終了位置となるように編集すると共に、第1の前記断片ファイルを前記差替ファイルに対する前方ファイルとし、
前記差替終了位置が第2の前記断片ファイルの再生途中位置に対応する場合、第2の前記断片ファイルを前記差替終了位置が再生開始位置となるように編集すると共に、第2の前記断片ファイルを前記差替ファイルに対する後方ファイルとし、
前記前方ファイルと前記後方ファイルとの間に前記差替ファイルを挿入することで前記コンテンツの編集を行い、
前記プレイリストファイルを編集して、第1の前記断片ファイルから第2の前記断片ファイルまでの再生順を、前記前方ファイル、前記差替ファイル、前記後方ファイルの再生順に差し替え
、前記プレイリストファイルの差替ファイル部分については、前記差替開始位置を前記差替ファイルの再生開始時間に設定すると共に、前記差替ファイルの全再生時間を設定して編集することを特徴とするコンテンツ編集方法。
【請求項3】
時系列順に再生される複数の断片ファイルと、前記複数の断片ファイルの再生順を定義するプレイリストファイルとからなるコンテンツを編集するコンテンツ編集プログラムであって、
前記複数の断片ファイルの一部を所定の差替ファイルに差し替える差替編集を行うとき、前記コンテンツの再生時間軸において、前記差替ファイルの差替開始位置および差替終了位置を決定
し、このとき、前記差替編集後の前記コンテンツの全再生時間を変更することなく、前記差替ファイルの再生時間に基づいて前記差替開始位置および前記差替終了位置を決定するステップと、
前記差替開始位置が第1の前記断片ファイルの再生途中位置に対応する場合、第1の前記断片ファイルを前記差替開始位置が再生終了位置となるように編集すると共に、第1の前記断片ファイルを前記差替ファイルに対する前方ファイルとするステップと、
前記差替終了位置が第2の前記断片ファイルの再生途中位置に対応する場合、第2の前記断片ファイルを前記差替終了位置が再生開始位置となるように編集すると共に、第2の前記断片ファイルを前記差替ファイルに対する後方ファイルとするステップと、
前記前方ファイルと前記後方ファイルとの間に前記差替ファイルを挿入することで前記コンテンツの編集を行うステップと、
前記プレイリストファイルを編集して、第1の前記断片ファイルから第2の前記断片ファイルまでの再生順を、前記前方ファイル、前記差替ファイル、前記後方ファイルの再生順に差し替え
、前記プレイリストファイルの差替ファイル部分については、前記差替開始位置を前記差替ファイルの再生開始時間に設定すると共に、前記差替ファイルの全再生時間を設定して編集するステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンテンツ編集プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツを編集するコンテンツ編集装置、コンテンツ編集方法およびコンテンツ編集プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンテンツ配信サーバは、動画や音楽などのコンテンツを、ネットワークを介してクライアント端末へと配信するように構成されている。例えば、HLS(HTTP Live Streaming)やMPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)などのコンテンツ配信プロトコルに基づいて、コンテンツを複数の断片ファイル(セグメントファイル)に分割し、複数の断片ファイルの再生順を定義したプレイリストファイルを定義して、プレイリストファイルおよび複数の断片ファイルをコンテンツ配信サーバに記憶しておく。クライアント端末は、配信を所望するコンテンツのプレイリストファイルをコンテンツ配信サーバから取得し、プレイリストファイルに基づいて断片ファイルを順次取得することで、コンテンツを再生可能となる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の動画再生システムでは、サーバ装置のデータベース部は、リニア型、およびノンリニア型のサービスに対応する動画セグメントを同一の時間軸上に記録し、クライアント装置は、データベース部から取得した動画セグメントを再生するためのプレイリストを記憶する。サーバ装置の再生プログラム送信部は、クライアント装置から、再生位置を指定した再生プログラムの送信リクエストが受信されると、時間軸上の当該再生位置を含む所定の期間内に配置された動画セグメントを再生するための再生プログラムを送信する。クライアント装置は、再生プログラムに基づいてプレイリストを更新して、当該プレイリストに従って動画セグメントを再生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の断片ファイルからなる一連のコンテンツでは、
図4に示すように、広告やCMで構成される一部の断片ファイルを差し替えて編集する場合がある。しかしながら、従来、コンテンツ生成後には、複数の断片ファイルの時間間隔(尺)および個数を変更することができない。そのため、異なる尺や異なる個数の断片ファイルを差し替えることができないので、差し替え後の断片ファイルは、差し替え前の断片ファイルと尺および個数が同じになるように準備する必要があり、差し替え後の断片ファイルの生成が制限されるなど、実運用上制限が発生する。
【0006】
また、差し替え後の断片ファイルに切り替えるタイミングを、元のコンテンツの何れかの断片ファイルの先頭位置にする必要があり、元のコンテンツの何れかの断片ファイルの任意の位置を切り替えタイミングにすることが困難であり、元のコンテンツの編集が断片ファイル単位に制限される。また、上記のように、差し替え後の断片ファイルの生成が制限されたり、元のコンテンツの編集が制限されたりすると、元のコンテンツと差し替え後の断片ファイルとをスムーズに切り替えることが困難になるので、シームレス(スムーズ)な再生をできないおそれがある。
【0007】
なお、複数の断片ファイルからなる一連のコンテンツでは、一部を削除して編集する場合、断片ファイル単位で削除する必要があるので、編集後のコンテンツにおいて、所望の場面が削除されたり、不要な場面が残されたりする可能性もある。
【0008】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、差し替え後の断片ファイルの生成や元のコンテンツの編集を制限することなく、シームレス再生を実現しながら断片ファイルを差し替えることができるコンテンツ編集装置、コンテンツ編集方法およびコンテンツ編集プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のコンテンツ編集装置は、時系列順に再生される複数の断片ファイルと、前記複数の断片ファイルの再生順を定義するプレイリストファイルとからなるコンテンツを編集するコンテンツ編集装置であって、前記複数の断片ファイルの一部を所定の差替ファイルに差し替える差替編集を行うとき、前記コンテンツの再生時間軸において、前記差替ファイルの差替開始位置および差替終了位置を決定し、前記差替開始位置が第1の前記断片ファイルの再生途中位置に対応する場合、第1の前記断片ファイルを前記差替開始位置が再生終了位置となるように編集すると共に、第1の前記断片ファイルを前記差替ファイルに対する前方ファイルとし、前記差替終了位置が第2の前記断片ファイルの再生途中位置に対応する場合、第2の前記断片ファイルを前記差替終了位置が再生開始位置となるように編集すると共に、第2の前記断片ファイルを前記差替ファイルに対する後方ファイルとし、前記前方ファイルと前記後方ファイルとの間に前記差替ファイルを挿入することで前記コンテンツの編集を行い、前記プレイリストファイルを編集して、第1の前記断片ファイルから第2の前記断片ファイルまでの再生順を、前記前方ファイル、前記差替ファイル、前記後方ファイルの再生順に差し替えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のコンテンツ編集方法は、時系列順に再生される複数の断片ファイルと、前記複数の断片ファイルの再生順を定義するプレイリストファイルとからなるコンテンツを編集するコンテンツ編集方法であって、前記複数の断片ファイルの一部を所定の差替ファイルに差し替える差替編集を行うとき、前記コンテンツの再生時間軸において、前記差替ファイルの差替開始位置および差替終了位置を決定し、前記差替開始位置が第1の前記断片ファイルの再生途中位置に対応する場合、第1の前記断片ファイルを前記差替開始位置が再生終了位置となるように編集すると共に、第1の前記断片ファイルを前記差替ファイルに対する前方ファイルとし、前記差替終了位置が第2の前記断片ファイルの再生途中位置に対応する場合、第2の前記断片ファイルを前記差替終了位置が再生開始位置となるように編集すると共に、第2の前記断片ファイルを前記差替ファイルに対する後方ファイルとし、前記前方ファイルと前記後方ファイルとの間に前記差替ファイルを挿入することで前記コンテンツの編集を行い、前記プレイリストファイルを編集して、第1の前記断片ファイルから第2の前記断片ファイルまでの再生順を、前記前方ファイル、前記差替ファイル、前記後方ファイルの再生順に差し替えることを特徴とする。
【0011】
更に、本発明のコンテンツ編集プログラムは、時系列順に再生される複数の断片ファイルと、前記複数の断片ファイルの再生順を定義するプレイリストファイルとからなるコンテンツを編集するコンテンツ編集プログラムであって、前記複数の断片ファイルの一部を所定の差替ファイルに差し替える差替編集を行うとき、前記コンテンツの再生時間軸において、前記差替ファイルの差替開始位置および差替終了位置を決定するステップと、前記差替開始位置が第1の前記断片ファイルの再生途中位置に対応する場合、第1の前記断片ファイルを前記差替開始位置が再生終了位置となるように編集すると共に、第1の前記断片ファイルを前記差替ファイルに対する前方ファイルとするステップと、前記差替終了位置が第2の前記断片ファイルの再生途中位置に対応する場合、第2の前記断片ファイルを前記差替終了位置が再生開始位置となるように編集すると共に、第2の前記断片ファイルを前記差替ファイルに対する後方ファイルとするステップと、前記前方ファイルと前記後方ファイルとの間に前記差替ファイルを挿入することで前記コンテンツの編集を行うステップと、前記プレイリストファイルを編集して、第1の前記断片ファイルから第2の前記断片ファイルまでの再生順を、前記前方ファイル、前記差替ファイル、前記後方ファイルの再生順に差し替えるステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、差し替え後の断片ファイルの生成や元のコンテンツの編集を制限することなく、シームレス再生を実現しながら断片ファイルを差し替えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンテンツ編集装置としてのコンテンツ配信サーバを備えたコンテンツ配信システムの概要を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るコンテンツ編集装置における差替編集動作を示す概要図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るコンテンツ編集装置における差替編集動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係るコンテンツ配信サーバ2(以下、配信サーバと称する)を備えるコンテンツ配信システム1(以下、配信システムと称する)の構成について図を参照して説明する。配信システム1は、
図1に示すように、配信サーバ2およびクライアント端末3を備え、インターネットなどの所定のネットワーク4を介して配信サーバ2からクライアント端末3へコンテンツを配信するように構成されている。以下、ユーザーとは、配信サーバ2を用いてコンテンツの配信や編集を行う操作者や管理者を示し、クライアントとは、クライアント端末3を用いてコンテンツを視聴する操作者を示す。なお、
図1では、配信システム1が1つの配信サーバ2と1つのクライアント端末3とを備える例を示しているが、配信システム1は、2つ以上の配信サーバ2や2つ以上のクライアント端末3を備えてよい。
【0015】
配信システム1は、例えば、HLS(HTTP Live Streaming)やMPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)などのコンテンツ配信プロトコルを採用し、配信元の配信サーバ2および配信先のクライアント端末3は、このプロトコルに基づいてコンテンツ配信のために動作する。
【0016】
このコンテンツ配信プロトコルでは、配信元の配信サーバ2において、配信すべきコンテンツを時系列順に所定の時間間隔(例えば、2~10秒)で分割(細分化)してMPEG2-TS(Transport Stream)などからなる複数の断片ファイル(セグメントファイル)を生成し(
図2参照)、複数の断片ファイルの再生順を定義したプレイリストファイルを生成して(
図2参照)、コンテンツをライブまたはオンデマンドにより配信可能にする。例えば、時間的に連続する映像データおよび音声データであってH.264コーデックの映像データおよびAACコーデックの音声データからなる動画のコンテンツを、所定の時間間隔で分割してMPEG2-TSに収容したTSファイルを断片ファイルとして生成する。また、これらのTSファイルの再生順や各TSファイルの再生開始時間および全再生時間などを定義したm3u8ファイルをプレイリストファイルとして生成する。
【0017】
そして、配信先では、配信を所望するコンテンツのプレイリストファイルをコンテンツ配信サーバから取得し、プレイリストファイルに基づいて断片ファイルをストリーミングによって順次取得することで、コンテンツを再生可能となる。
【0018】
次に、配信サーバ2について説明する。配信サーバ2は、1つ以上のコンテンツを格納していて、クライアント端末3からのアクセスに応じてコンテンツを配信するサーバである。また、配信サーバ2は、ユーザーの操作に応じてコンテンツを編集可能なコンテンツ編集装置として機能する。
【0019】
配信サーバ2は、例えば、制御部10と、記憶部11と、通信部12と、表示部13と、操作部14と、断片ファイル格納部15と、プレイリストファイル格納部16と、差替ファイル格納部17とを備える。
【0020】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)などを有して、配信サーバ2の全体の動作を統括して制御するように構成される。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリや、ハードディスクなどの記録媒体を有して、制御部10で制御される情報やデータ、プログラムなどを記憶するように構成される。
【0021】
制御部10は、例えば、クライアント端末3からのアクセスに応じてコンテンツを配信する機能を有し、記憶部11に記憶されるプログラムを実行することにより、コンテンツ配信部18として機能する。また、制御部10は、例えば、ユーザーの操作に応じてコンテンツを編集する機能を有し、記憶部11に記憶されるプログラムを実行することにより、コンテンツ編集部19として機能する。換言すれば、コンテンツ配信部18およびコンテンツ編集部19は、配信サーバ2にインストールさせることで、配信サーバ2として制御部10などのコンピュータを機能させるためのアプリケーション(プログラム)である。
【0022】
通信部12は、配信サーバ2がインターネットやLANなどのネットワーク4に接続するためのインタフェースであり、即ち、配信サーバ2をクライアント端末3とネットワーク4を介して接続する。例えば、通信部12は、クライアント端末3から送信されたコンテンツの配信要求を受信して制御部10(コンテンツ配信部18)に送信し、配信中のコンテンツについて断片ファイルの送信要求を受信して制御部10(コンテンツ配信部18)に送信する。また、通信部12は、制御部10(コンテンツ配信部18)が配信要求に応答したコンテンツのプレイリストをクライアント端末3へ送信し、制御部10(コンテンツ配信部18)が送信要求に応答した断片ファイルをクライアント端末3へ送信する。
【0023】
表示部13は、コンテンツ配信やコンテンツ編集の際に、各種画面を表示するディスプレイであって、液晶や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)、発光ダイオード(LED)などの何れの表示デバイスで構成されてもよく、更にタッチパネル機能を有してもよい。操作部14は、ユーザーからの入力操作を受け付けるキーボード、マウス、その他のキーなどの入力デバイスであり、表示部13がタッチパネルで構成される場合、表示部13と一体的に構成されてよい。
【0024】
断片ファイル格納部15およびプレイリストファイル格納部16は、コンテンツ配信部18によって配信されるコンテンツをライブ配信かオンデマンド配信かに拘わらず予め格納するデータベースなどで構成される。断片ファイル格納部15は、コンテンツ毎に時系列順に細分化された複数の断片ファイル(
図2参照)を格納し、プレイリストファイル格納部16は、コンテンツ毎に生成されたプレイリストファイル(
図2参照)を格納する。断片ファイル格納部15およびプレイリストファイル格納部16は、配信サーバ2が生成した複数の断片ファイルおよびプレイリストファイルを格納してよく、また、外部機器が生成した複数の断片ファイルおよびプレイリストファイルを配信サーバ2が入力または受信して格納してもよい。
【0025】
差替ファイル格納部17は、コンテンツの複数の断片ファイルの一部と差し替えられる差替ファイルを予め格納するデータベースなどで構成される。例えば、差替ファイルは、広告やCMまたは他の動画で構成される。差替ファイルは、時系列順に細分化された1つ以上の断片ファイルで構成され(
図2参照)、元のコンテンツを構成する複数の断片ファイルとは異なる時間間隔で細分化されてよい。差替ファイル格納部17は、配信サーバ2が生成した差替ファイルを格納してよく、また、外部機器が生成した差替ファイルを配信サーバ2が入力または受信して格納してもよい。
【0026】
なお、本実施形態では、配信サーバ2が断片ファイル格納部15およびプレイリストファイル格納部16を備える例を説明するが、断片ファイル格納部15またはプレイリストファイル格納部16は、配信サーバ2と通信可能に接続された外部機器として設けられてもよい。
【0027】
コンテンツ配信部18は、配信すべきコンテンツを指定した配信要求をクライアント端末3から受信し、配信要求に応じて、配信すべきコンテンツに対応するプレイリストファイルをプレイリストファイル格納部16から検索し、検索結果のプレイリストファイルをクライアント端末3へ送信する。なお、配信要求では、配信すべきコンテンツを識別可能なコンテンツ名やプレイリストファイルのファイル名、その他の識別情報(例えば、識別番号)などによってコンテンツが指定されてよい。
【0028】
コンテンツ配信部18は、クライアント端末3に配信中のコンテンツについて、送信すべき断片ファイルを指定した送信要求をクライアント端末3から受信し、送信要求に応じて、送信すべき断片ファイルを断片ファイル格納部15から検索し、検索結果の断片ファイルをクライアント端末3へ送信する。なお、配信要求では、送信すべき断片ファイルを識別可能な断片ファイルの格納場所(URLなど)やファイル名、その他の識別情報(例えば、識別番号)などによって断片ファイルが指定されてよく、あるいは、コンテンツの再生開始からの再生時間が指定されてもよく、その場合、再生時間に対応する断片ファイルを検索する。
【0029】
コンテンツ編集部19は、断片ファイル格納部15およびプレイリストファイル格納部16に格納されたコンテンツを、ユーザーによる操作部14の操作に応じて編集する。コンテンツ編集部19は、コンテンツを編集可能な編集画面を表示部13に表示してもよい。コンテンツ編集の一例として、コンテンツ編集部19は、コンテンツの複数の断片ファイルの一部を他の差替ファイルに差し替える差替編集を行う。
【0030】
コンテンツ編集を行うとき、コンテンツ編集部19は、編集対象となるコンテンツを決定し、例えば、断片ファイル格納部15およびプレイリストファイル格納部16に格納されたコンテンツのうち、カテゴリーなどの所定条件に応じたコンテンツを順次取り出して編集対象としてもよく、ユーザーによる操作部14を介した操作に応じて選択されたコンテンツを編集対象としてもよい。また、差替編集において、差替ファイルを差し替える時期やタイミングは、所定の時間経過に応じて決定してもよく、ユーザーによる操作部14を介した操作に応じて決定してもよい。
【0031】
また、コンテンツ編集部19は、
図2に示すように、コンテンツの再生時間軸において、差替ファイルの再生を開始する時間として差替開始位置を決定し、また、差替ファイルの再生を終了する時間として差替終了位置を決定する。差替開始位置および差替終了位置は、ユーザーによる操作部14を介した操作に応じて決定してもよく、または、コンテンツ毎に若しくは差替ファイル毎に予め決定しておいてもよい。
【0032】
また、差替編集において、コンテンツ編集部19は、コンテンツの全再生時間を変更することなく、差替開始位置および差替終了位置を決定するとよい。即ち、コンテンツの再生時間軸において、差替開始位置および差替終了位置は、差替編集の前後で変化しない。コンテンツの再生時間軸において、コンテンツの(差替前の)再生終了位置から遡って差替ファイルの再生時間未満の位置に差替開始位置を設定すると、差替ファイルを差し替えることで、コンテンツの(差替後の)再生終了位置が延ばされ、コンテンツの全再生時間が長くなってしまう。そこで、差替開始位置は、コンテンツの(差替前の)再生終了位置から遡って少なくとも差替ファイルの再生時間以上の位置に決定するとよい。また、差替終了位置は、差替開始位置および差替ファイルの再生時間に基づいて、差替開始位置に差替ファイルの再生時間を加算することで決定してもよい。
【0033】
更に、コンテンツ編集部19は、コンテンツの複数の断片ファイルの一部を差替ファイルに差し替えるにあたって、
図2に示すように、差替ファイルの直前に位置する断片ファイルを前方ファイルとし、差替ファイルの直後に位置する断片ファイルを後方ファイルとして決定する。換言すれば、差替開始位置の直前に位置する断片ファイルまたは差替開始位置を含む断片ファイルを前方ファイルとし、差替終了位置の直後に位置する断片ファイルまたは差替終了位置を含む断片ファイルを後方ファイルとする。
【0034】
コンテンツの再生時間軸において、差替開始位置が、連続する断片ファイルの境界に対応する場合、即ち、所定の断片ファイル(第1の断片ファイル)の再生終了位置に対応する場合、コンテンツ編集部19は、第1の断片ファイルを差替ファイルの前方ファイルとして決定する。
【0035】
一方、差替開始位置が、所定の断片ファイル(第1の断片ファイル)の再生途中位置に対応する場合、コンテンツ編集部19は、FFmpegなどの動画編集ソフトウェアを用いて、第1の断片ファイルの差替開始位置よりも後方をカットして、差替開始位置を再生終了位置とするように第1の断片ファイルを編集して再エンコードする。このとき、第1の断片ファイルのカット編集は、第1の断片ファイルを構成するフレーム単位で行い、差替開始位置は、最も近いフレームの境界に合わせて調整されてよい。そして、コンテンツ編集部19は、編集後の第1の断片ファイルを前方ファイルとして決定する。
【0036】
また、コンテンツの再生時間軸において、差替終了位置が、連続する断片ファイルの境界に対応する場合、即ち、所定の断片ファイル(第2の断片ファイル)の再生開始位置に対応する場合、コンテンツ編集部19は、第2の断片ファイルを差替ファイルの後方ファイルとして決定する。
【0037】
一方、差替終了位置が、所定の断片ファイル(第2の断片ファイル)の再生途中位置に対応する場合、コンテンツ編集部19は、FFmpegなどの動画編集ソフトウェアを用いて、第2の断片ファイルの差替終了位置よりも前方をカットして、差替終了位置を再生開始位置とするように第2の断片ファイルを編集して再エンコードする。このとき、第2の断片ファイルのカット編集は、第2の断片ファイルを構成するフレーム単位で行い、差替終了位置は、最も近いフレームの境界に合わせて調整されてよい。そして、コンテンツ編集部19は、編集後の第2の断片ファイルを後方ファイルとして決定する。
【0038】
そして、コンテンツ編集部19は、差替編集において、前方ファイルおよび後方ファイルを決定すると、コンテンツを構成する複数の断片ファイルの再生順として前方ファイルおよび後方ファイルの間に差替ファイルを挿入することで、元のコンテンツの第1の断片ファイルから第2の断片ファイルまでの時系列が、前方ファイル、差替ファイル、後方ファイルの時系列となるようにコンテンツを編集する。
【0039】
更に、コンテンツ編集部19は、コンテンツのプレイリストファイルを編集して、第1の断片ファイルから第2の断片ファイルまでの再生順を、前方ファイル、差替ファイル、後方ファイルの再生順に差し替えて、複数の断片ファイルの再生順を定義し直す。このとき、プレイリストファイルの差替ファイル部分については、差替開始位置を再生開始時間に設定すると共に、予め定められた全再生時間を設定して編集する。なお、前方ファイルに対してカット編集を行っていた場合、プレイリストファイルの前方ファイル部分については、第1の断片ファイルの再生開始時間をそのまま設定すると共に、第1の断片ファイルの全再生時間から、カットされた時間を減算して全再生時間を設定して編集する。また、後方ファイルに対してカット編集を行っていた場合、プレイリストファイルの後方ファイル部分については、差替終了位置(第2の断片ファイルの再生開始時間から、カットされた時間だけ早めた時間)を再生開始時間に設定すると共に、第2の断片ファイルの全再生時間から、カットされた時間を減算して全再生時間を設定して編集する。
【0040】
次に、コンテンツ編集部19による差替編集動作の具体例を、
図2のコンテンツの構成例と、
図3のフローチャートとを参照しながら説明する。この具体例では、
図2に示すように、元のコンテンツが10秒間隔で細分化された複数の断片ファイル「001.TS」~「006.TS」を含む場合を想定する。この例において、差替開始位置として「10:00:15」を指定し(ステップS1)、8秒間隔で細分化された断片ファイル「102.TS」~「105.TS」を含んだ差替ファイルを差し替える。このとき、差替ファイルの全再生時間は32秒であるので、差替終了位置は、差替開始位置から32秒経過後の「10:00:47」と算出できる(ステップS2)。
【0041】
この具体例では、元のコンテンツにおいて、差替開始位置に対して第1の断片ファイル「002.TS」が対応することが検出できる(ステップS3)。差替開始位置「10:00:15」は、第1の断片ファイル「002.TS」の再生途中位置にあるので(ステップS4:YES)、第1の断片ファイル「002.TS」の差替開始位置よりも後方をカットして、差替ファイルに対する前方ファイルとして再エンコードする(ステップS5)。なお、差替開始位置が第1の断片ファイルの再生終了位置にあれば(ステップS4:NO)、第1の断片ファイルを前方ファイルとする(ステップS6)。
【0042】
また、この具体例では、元のコンテンツにおいて、差替終了位置に対して第2の断片ファイル「005.TS」が対応することが検出できる(ステップS7)。差替終了位置「10:00:47」は、第2の断片ファイル「005.TS」の再生途中位置にあるので(ステップS8:YES)、第2の断片ファイル「005.TS」の差替終了位置よりも前方をカットして、差替ファイルに対する後方ファイルとして再エンコードする(ステップS9)。なお、差替終了位置が第2の断片ファイルの再生開始位置にあれば(ステップS8:NO)、第2の断片ファイルを後方ファイルとする(ステップS10)。
【0043】
そして、前方ファイルおよび後方ファイルの間に差替ファイルを挿入し(ステップS11)、前方ファイル「002.TS」、差替ファイル「102.TS」~「105.TS」、後方ファイル「005.TS」の時系列でプレイリストファイルを編集する(ステップS12)。
【0044】
なお、差替ファイルを差し替えたコンテンツの元の第1の断片ファイルから元の第2の断片ファイルまでは、断片ファイル格納部15から削除してもよいが、次回のコンテンツの編集の際に復元できるように、各差替編集または各差替ファイルの差し替えに関連付けて、元の位置が分かるように断片ファイル格納部15に記憶していてもよい。コンテンツ編集部19は、コンテンツの復元操作によって、元の第1の断片ファイルから元の第2の断片ファイルを含む元のコンテンツを復元することで、元のコンテンツを維持しつつ、新たなコンテンツ編集を行うことができ、例えば、新たな差替ファイルを新たな差替開始位置や新たな差替終了位置に対して差し替える新たな差替編集を行うことが可能となる。
【0045】
次に、クライアント端末3について説明する。クライアント端末3は、配信サーバ2からコンテンツを受信して、そのコンテンツの映像や音声を再生するコンテンツ再生装置である。クライアント端末3は、ネットワーク4を介して配信サーバ2に接続可能で、且つ、コンテンツを再生可能な装置であればよく、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末、パーソナルコンピュータ(ノート型パソコンを含む)またはその他のコンピュータでよい。
【0046】
クライアント端末3は、例えば、制御部20と、記憶部21と、通信部22と、表示部23と、音声出力部24と、操作部25とを備える。また、クライアント端末3は、コンテンツを再生するプレイヤー26を備え、プレイヤー26は、記憶部21に記憶されていて制御部20によって制御されて動作するアプリケーション(プログラム)で構成される。
【0047】
制御部20は、CPUなどを有して、クライアント端末3の全体の動作を統括して制御するように構成される。記憶部21は、ROMやRAMなどのメモリや、ハードディスクなどの記録媒体を有して、制御部20で制御される情報やデータ、プログラムなどを記憶するように構成される。通信部22は、クライアント端末3がインターネットやLANなどのネットワーク4に接続するためのインタフェースであり、即ち、クライアント端末3を配信サーバ2とネットワーク4を介して接続する。
【0048】
表示部23は、動画や静止画などの映像を表示可能なディスプレイであって、液晶や有機EL、LEDなどの何れの表示デバイスで構成されてもよく、更にタッチパネル機能を有してもよい。音声出力部24は、音声を出力可能なスピーカやヘッドホン端子で構成される。操作部25は、クライアントからの入力操作を受け付けるキーボード、マウス、その他のキーなどの入力デバイスであり、表示部23がタッチパネルで構成される場合、表示部23と一体的に構成されてよい。
【0049】
プレイヤー26は、再生可能なコンテンツを表示部23を介してクライアントに提示し、クライアントが再生を所望するコンテンツを選択すると、そのコンテンツのプレイリストファイルを配信サーバ2から受信する。また、プレイヤー26は、操作部25を操作するクライアントにコンテンツのリンク情報を直接入力されることで、再生するコンテンツを選択されてもよい。プレイヤー26は、受信したプレイリストファイルを解析して、プレイリストファイルに再生順に定義された複数の断片ファイルを順次、配信サーバ2から受信し、断片ファイルの映像や音声を表示部23や音声出力部24によって再生する。プレイヤー26は、複数の断片ファイルを先頭から順に受信して再生してもよく、あるいは、途中の断片ファイルから順に受信して再生してもよい。なお、プレイヤー26は、動画プレイヤー等のコンテンツプレイヤーであり、クライアント端末3において独立して動作するアプリケーションでもよく、あるいは、ブラウザに組み込まれて動作するアプリケーションでもよい。
【0050】
本実施形態では、上述のように、配信サーバ2は、時系列順に再生される複数の断片ファイルと、複数の断片ファイルの再生順を定義するプレイリストファイルとからなるコンテンツを編集するコンテンツ編集装置であって、そのコンテンツ編集部19は、複数の断片ファイルの一部を所定の差替ファイルに差し替えるために、コンテンツの再生時間軸において、差替ファイルの差替開始位置および差替終了位置を決定し、差替開始位置が第1の断片ファイルの再生途中位置に対応する場合、第1の断片ファイルを差替開始位置が再生終了位置となるように編集すると共に、第1の断片ファイルを差替ファイルに対する前方ファイルとし、差替終了位置が第2の断片ファイルの再生途中位置に対応する場合、第2の断片ファイルを差替終了位置が再生開始位置となるように編集すると共に、第2の断片ファイルを差替ファイルに対する後方ファイルとし、前方ファイルと後方ファイルとの間に差替ファイルを挿入し、プレイリストファイルを編集して、第1の断片ファイルから第2の断片ファイルまでの再生順を、前方ファイル、差替ファイル、後方ファイルの再生順に差し替える。
【0051】
上記したような構成により、本実施形態によれば、コンテンツ編集装置としての配信サーバ2は、コンテンツを構成する断片ファイルの再生途中位置でも、差替ファイルの再生開始位置や再生終了位置を設定することができる。そのため、コンテンツ内でユーザーの意図に沿った位置で、差替ファイルを挿入することができる。また、差替ファイルを構成する断片ファイルの時間間隔(尺)や個数を、ユーザーが適宜変更することができ、ユーザーの意図に沿った差替ファイルを挿入することができる。これにより、元のコンテンツの編集を制限することがなく、また、差替ファイルの生成を制限することがないので、シームレス(スムーズ)に再生されるコンテンツに編集することが可能となる。例えば、差替ファイルとして、広告やCMを適用する場合には、広告やCMの自由度が向上させることができる。
【0052】
なお、本発明のコンテンツ編集方法は、上記した配信サーバ2のコンテンツ編集装置と同様の機能を工程として含むように構成される。また、本発明のコンテンツ編集プログラムは、上記した配信サーバ2のコンテンツ編集装置と同様の機能をステップとしてコンピュータ(制御部10)に実行させるように構成される。
【0053】
本実施形態では、コンテンツの複数の断片ファイルの一箇所に、一種類の差替ファイルを挿入する例を説明したが、本発明によれば、コンテンツの複数の断片ファイルの一箇所に、同じ種類の差替ファイルを挿入してもよく、異なる種類の差替ファイルを挿入してもよい。
【0054】
また、本実施形態では、コンテンツ編集装置としての配信サーバ2が、コンテンツ編集として、複数の断片ファイルの一部を所定の差替ファイルに差し替える差替編集を行う例を説明したが、本発明のコンテンツ編集は、差替編集に限定されない。例えば、他の実施形態では、コンテンツ編集装置としての配信サーバ2は、コンテンツ編集として、複数の断片ファイルの一部を削除する削除編集を行うように構成されてもよい。
【0055】
削除編集では、コンテンツ編集部19は、差替編集の差替開始位置および差替終了位置と同様にして、コンテンツの削除を開始する時間を示す削除開始位置と、コンテンツの削除を終了する時間を示す削除終了位置とを決定する。なお、削除編集では、コンテンツの再生時間軸において、削除開始位置および削除終了位置は、削除編集前に所定の時間間隔を空けて位置しているが、削除編集後に同じ時間(削除位置と称する)になる。また、削除編集後では、コンテンツの再生時間軸において、削除位置よりも後方に位置する各断片ファイルの再生開始位置および再生終了位置は、削除した時間だけ早められ、コンテンツの全再生時間も、削除した時間だけ減算されることになる。
【0056】
また、削除編集では、コンテンツ編集部19は、差替編集と同様にして、削除開始位置の直前に位置する断片ファイルまたは削除開始位置を含む断片ファイルを前方ファイルとして決定し、削除終了位置の直後に位置する断片ファイルまたは削除終了位置を含む断片ファイルを後方ファイルとして決定する。例えば、削除開始位置が第1の断片ファイルの再生途中位置に対応する場合、コンテンツ編集部19は、第1の断片ファイルを削除開始位置が再生終了位置となるように編集すると共に、第1の断片ファイルを前方ファイルとして決定する。また、削除終了位置が第2の断片ファイルの再生途中位置に対応する場合、コンテンツ編集部19は、第2の断片ファイルを削除終了位置が再生開始位置となるように編集すると共に、第2の断片ファイルを後方ファイルとして決定する。
【0057】
更に、削除編集では、コンテンツ編集部19は、コンテンツを構成する複数の断片ファイルの再生順として前方ファイルおよび後方ファイルをこの順で連続させて、元のコンテンツの第1の断片ファイルから第2の断片ファイルまでの時系列が、前方ファイル、後方ファイルの時系列となるようにコンテンツを編集する。
【0058】
そして、削除編集では、コンテンツ編集部19は、コンテンツのプレイリストファイルを編集して、第1の断片ファイルから第2の断片ファイルまでの再生順を、前方ファイル、後方ファイルの再生順に差し替えて、複数の断片ファイルの再生順を定義し直す。このとき、コンテンツの再生時間軸において、後方ファイルよりも後方に位置する各断片ファイルについては、プレイリストファイルのそれぞれの再生開始時間を、削除した時間だけ早めて設定すると共に、それぞれの全再生時間を、削除した時間だけ減算して設定して編集する。なお、前方ファイルに対してカット編集を行っていた場合、プレイリストファイルの前方ファイル部分については、第1の断片ファイルの再生開始時間をそのまま設定すると共に、第1の断片ファイルの全再生時間から、カットされた時間を減算して全再生時間を設定して編集する。また、後方ファイルに対してカット編集を行っていた場合、プレイリストファイルの後方ファイル部分については、削除位置を再生開始時間に設定すると共に、第2の断片ファイルの全再生時間から、カットされた時間を減算して全再生時間を設定して編集する。
【0059】
上記したような構成により、コンテンツ編集装置としての配信サーバ2は、コンテンツを構成する断片ファイルの再生途中位置でも、削除開始位置や削除終了位置を設定することができる。そのため、コンテンツ内でユーザーの意図に沿った位置で、コンテンツの場面を削除することができる。また、削除する場面の時間間隔(尺)を、ユーザーが適宜変更することができ、ユーザーの意図に沿って場面の切り替えを実現することができる。これにより、元のコンテンツの編集を制限することがないので、ユーザーの意図に沿ったシームレス(スムーズ)に再生されるコンテンツに編集することが可能となる。
【0060】
また、削除編集を行ったコンテンツの元の第1の断片ファイルから元の第2の断片ファイルまでは、断片ファイル格納部15から削除してもよいが、次回のコンテンツの編集の際に復元できるように、各削除編集または各削除位置に関連付けて、断片ファイル格納部15に記憶していてもよい。
【0061】
なお、本発明のコンテンツ編集装置としての配信サーバ2は、1つのコンテンツの編集において、差替編集および削除編集の何れか一方を行ってもよく、あるいは、差替編集および削除編集の両方を行ってもよい。
【0062】
また、上記した実施形態では、本発明のコンテンツ編集装置を、コンテンツを配信する配信サーバ2に備える例を説明したが、他の実施形態によれば、本発明のコンテンツ編集装置は、クライアント・サーバシステムにおいて、サーバ側の様々な機器に備えられてよく、例えば、配信サーバ2と通信可能に接続されていて、コンテンツを収集する収集サーバや、コンテンツの編集を行う編集サーバ、コンテンツを配信サーバ2や収集サーバにアップロードするユーザー端末などに備えられていてもよい。
【0063】
本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うコンテンツ編集装置、コンテンツ編集方法およびコンテンツ編集プログラムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 コンテンツ配信システム
2 コンテンツ配信サーバ
3 クライアント端末
10 制御部
11 記憶部
15 断片ファイル格納部
16 プレイリストファイル格納部
17 差替ファイル格納部
18 コンテンツ配信部
19 コンテンツ編集部
20 制御部
21 記憶部
26 プレイヤー