(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および、情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20220105BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20220105BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/0969
G09B29/00 F
(21)【出願番号】P 2020051356
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2020-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 駿
(72)【発明者】
【氏名】大河原 勝良
【審査官】久保田 創
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-357557(JP,A)
【文献】特開2019-161829(JP,A)
【文献】特開2020-065330(JP,A)
【文献】特許第6737371(JP,B1)
【文献】特開2007-315799(JP,A)
【文献】特開2013-054545(JP,A)
【文献】特開2017-062172(JP,A)
【文献】国際公開第2021/005954(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/36
G08G 1/0969
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に沿って設置された電柱の位置情報を記憶しておく記憶部と、
前記記憶部から前記電柱の位置情報を読み出して、
前記電柱の位置から前記道路の中心線に直交する方向と前記電柱の位置から太陽の位置する方向との間の角度の大きさをもとに、前記電柱に対する太陽光が前記道路から見て順光か逆光かを判定する第1判定部と、
前記判定した判定結果を判別可能に前記電柱に関連付けて画面内の地図データ上に表示する表示部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記電柱の位置から前記道路の中心線に直交する方向を反時計周りに90度回転した方向を、前記道路を走行する撮影車両で前記電柱及び前記電柱に係る通信設備を撮影可能な撮影可能走行方向として判定する第2判定部を更に備え、
前記表示部は、
前記撮影可能走行方向を判別可能に前記電柱に関連付けて前記画面内の地図データ上に表示する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記電柱の位置と撮影車両の位置とが所定範囲のエリア内に含まれ、かつ、前記電柱に係る撮影車両の撮影可能走行方向と前記撮影車両の走行方向との間の角度が所定範囲内の角度である場合、前記電柱及び前記電柱に係る通信設備の撮影を撮影済みとする処理部を更に備える請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、
更に、前記電柱の位置から前記道路の中心線に直交する方向と前記電柱の位置から前記撮影車両の位置する方向との間の角度が所定範囲内の角度である場合、前記電柱及び前記電柱に係る通信設備の撮影を撮影済みとする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1判定部は、
前記道路の中心線に直交する方向と前記太陽の位置する方向との間の角度が90度未満の場合、前記電柱に対する前記太陽光を順光と判定し、当該角度が90度以上の場合、前記電柱に対する前記太陽光を逆光と判定する請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1判定部は、
前記電柱の位置から前記道路の中心線に直交する方向と前記電柱の位置から太陽の位置する方向との間の角度の大きさに代えて、前記電柱の位置から前記道路上の撮影車両の位置する方向と前記電柱の位置から太陽の位置する方向との間の角度の大きさをもとに、前記電柱に対する太陽光が前記道路から見て順光か逆光かを判定する請求項1乃至5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置で行う情報処理方法において、
道路に沿って設置された電柱の位置情報を記憶部に記憶しておくステップと、
前記記憶部から前記電柱の位置情報を読み出して、
前記電柱の位置から前記道路の中心線に直交する方向又は前記電柱の位置から前記道路上の撮影車両の位置する方向と前記電柱の位置から太陽の位置する方向との間の角度の大きさをもとに、前記電柱に対する太陽光が前記道路から見て順光か逆光かを判定するステップと、
前記判定した判定結果を判別可能に前記電柱に関連付けて画面内の地図データ上に表示するステップと、
を行う情報処理方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、および、情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電柱上の通信設備(例えば、通信ケーブル、吊り線、支線、架空ボックス等)は屋外に設置されており、紫外線や雨等の影響を受けて腐食や断線等が進行する。また、当該通信設備は日本全国に数多く存在する。それ故、上記通信設備の管理会社は、カメラを搭載した撮影車両を走行させながら通信設備の撮影を定期的に行い、管理者は、当該通信設備の撮影画像より腐食等の状態を目視又は画像解析若しくは画像診断を行い判別する(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】“お客さまへの価値提供を通じた持続可能な社会への貢献”、NTT東日本、[2020年3月16日検索]、インターネット<URL : https://www.ntt-east.co.jp/csr/theme/theme02/ubiquitous04/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、撮影車両を走行させながら通信設備を撮影する場合、道路に対する電柱の設置方位によっては、逆光の撮影時間帯になる場合があるため、撮影画像より画像診断を行うことは困難であった。つまり、通信設備に対する太陽光が道路走行中の撮影車両から見て逆光である場合があり、その際の撮影画像を見ても吊り線や支線等の状態(例えば、支線の色、支線の亀裂、複数の支線の重なり具合等)を判別できず、その場合は現地で目視による再点検が必要であった。また、通信設備の数は膨大であり、撮影漏れが発生していた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、電柱上の通信設備を順光で撮影できる走行計画を策定可能な技術を提供することを第1の目的とし、当該通信設備の撮影漏れを防止可能な技術を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の情報処理装置は、道路に沿って設置された電柱の位置情報を記憶しておく記憶部と、前記記憶部から前記電柱の位置情報を読み出して、前記電柱の位置から前記道路の位置する方向と前記電柱の位置から太陽の位置する方向との間の角度の大きさをもとに、前記電柱に対する太陽光が前記道路から見て順光か逆光かを判定する第1判定部と、前記判定した判定結果を判別可能に前記電柱に関連付けて画面内の地図データ上に表示する表示部と、を備える。
【0007】
本発明の情報処理方法は、情報処理装置で行う情報処理方法において、道路に沿って設置された電柱の位置情報を記憶部に記憶しておくステップと、前記記憶部から前記電柱の位置情報を読み出して、前記電柱の位置から前記道路の位置する方向と前記電柱の位置から太陽の位置する方向との間の角度の大きさをもとに、前記電柱に対する太陽光が前記道路から見て順光か逆光かを判定するステップと、前記判定した判定結果を判別可能に前記電柱に関連付けて画面内の地図データ上に表示するステップと、を行う。
【0008】
本発明の情報処理プログラムは、上記情報処理装置としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電柱上の通信設備を順光で撮影できる走行計画を策定可能な技術を提供できる。また、当該通信設備の撮影漏れを防止可能な技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】情報処理装置の機能ブロック構成を示す図である。
【
図5】走行計画策定時の動作フロー例を示す図である。
【
図11】通信設備撮影時の動作フロー例を示す図である。
【
図14】情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施する一実施形態について図面を用いて説明する。
【0012】
[1.概要]
本発明は、道路に対する電柱の位置や日時による太陽高度等のデータをもとに、電柱上の通信設備の順光又は逆光を可視化する(順光・逆光表示機能)。これにより、電柱上の通信設備を順光で撮影できる走行計画を策定可能な技術を提供できる。
【0013】
また、本発明は、電柱上の通信設備を撮影可能な撮影車両の撮影可能走行方向を可視化する(撮影可能走行方向の矢印表示機能)。これにより、電柱上の通信設備を順光で効率よく撮影できる走行計画を策定可能な技術を提供できる。
【0014】
また、本発明は、撮影済みの通信設備に対してリアルタイムで撮影済みのフラグを付与する(撮影済み設備の消し込み機能)。これにより、電柱上の通信設備の撮影漏れを防止可能な技術を提供できる。
【0015】
[2.情報処理装置の構成]
図1は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能ブロック構成を示す図である。当該情報処理装置1は、一次判定部11と、順光逆光判定部12と、データ表示部13と、位置情報取得部14と、データ処理部15と、データ記憶部16と、を備える。
【0016】
上記情報処理装置1は、通信設備の管理会社が備えるサーバ装置内に配置される。その他、上記情報処理装置1は、通信設備を撮影する撮影車両のコンピュータ端末内に配置されてもよいし、インターネット上(クラウド上)のサーバ装置内に配置されてもよい。
【0017】
なお、本実施形態において、電柱は道路に沿って設置されているものとする。また、電柱上の通信設備は、道路に沿って電柱に架設されているものとする。さらに、撮影車両のカメラは、撮影車両の走行方向の左側を撮影するものとする。
【0018】
一次判定部(第2判定部)11は、データ記憶部16から電柱の位置情報及び当該電柱に隣接する道路の中心位置情報を読み出して、電柱の位置から道路の中心線に直交する方向のベクトルV1を生成し、当該ベクトルV1を反時計周りに90度回転した方向のベクトルV2を生成して、当該ベクトルV2を、上記道路を走行する撮影車両で電柱及び電柱に係る通信設備を撮影可能な撮影可能走行方向として判定する機能を備える。
【0019】
順光逆光判定部(第1判定部)12は、データ記憶部16から電柱の位置情報及び当該電柱に隣接する道路の中心位置情報を読み出して、電柱の位置から道路の中心線に直交する方向のベクトルV1を生成するとともに、各日時の太陽の高度情報等をインターネット等から取得して、電柱の位置から太陽の位置する方向のベクトルV3を生成し、ベクトルV1とベクトルV3との間の角度の大きさをもとに、電柱に対する太陽光が道路から見て順光か逆光かを判定する機能を備える。
【0020】
例えば、順光逆光判定部12は、ベクトルV1とベクトルV3との間の角度が0度から90度未満の場合には、電柱に対する太陽光を順光と判定し、当該角度が90度から180度以下の場合には、当該太陽光を逆光と判定する。
【0021】
なお、ベクトルV1とは、電柱の位置から隣接道路の中心線に直交する方向であるが、電柱の位置から隣接道路の位置する方向であればよい。特に、情報処理装置1が撮影車両のコンピュータ端末内に配置されている場合、電柱の位置から道路走行中の撮影車両の位置する方向としてもよい。これにより、電柱及び電柱に係る通信設備の撮影方向を撮影車両から見た実際の方向に合わせることができ、順光又は逆光の判定精度を向上できる。
【0022】
データ表示部(表示部)13は、順光逆光判定部12で判定した順光又は逆光の判定結果を判別可能に電柱に関連付けて画面内の地図データ上に表示する機能を備える。また、データ表示部13は、一次判定部11で判定した撮影可能走行方向を判別可能に電柱に関連付けて画面内の上記地図データ上に表示する機能を備える。
【0023】
位置情報取得部14は、データ記憶部16から電柱の位置情報を取得する機能を備える。また、位置情報取得部14は、全地球測位システム(Global Positioning System)や撮影車両内のナビゲーションシステムから撮影車両の位置情報を取得する機能を備える。
【0024】
データ処理部(処理部)15は、電柱及び電柱に係る通信設備の撮影後において、電柱の位置と撮影車両の位置とが所定範囲のエリア内に含まれ、かつ、当該電柱に係る撮影車両の撮影可能走行方向と撮影車両の実際の走行方向との間の角度が所定範囲内の角度である場合、電柱及び電柱に係る通信設備の撮影を撮影済みとする機能を備える。
【0025】
例えば、データ処理部15は、データ記憶部16から電柱の位置情報を取得するとともに、位置情報取得部14から撮影車両の位置情報を取得して、電柱の位置から撮影車両の位置する方向のベクトルV4を生成するとともに、撮影車両が実際に走行している方向のベクトルV5を生成し、電柱を中心とした予め決められた所定サイズの円内に撮影車両が位置する場合において、上記ベクトルV1(電柱の位置から道路の中心線に直交する方向のベクトル)と上記ベクトルV4との間の角度が所定範囲内の角度であり、かつ、上記ベクトルV2(撮影可能走行方向のベクトル)と上記ベクトルV5との間の角度が所定範囲内の角度である場合、電柱及び電柱に係る通信設備の撮影を撮影済みとする。
【0026】
例えば、データ処理部15は、撮影車両の移動に伴いベクトルV4及びベクトルV5を随時算出し、ベクトルV1とベクトルV4との間の角度が0度から10度未満の間になり、かつ、ベクトルV2とベクトルV5との間の角度が0度から5度未満の間である場合に、通信設備の撮影を撮影済みとする。一方、データ処理部15は、ベクトルV1とベクトルV4との間の角度が10度以上である場合、ベクトルV2とベクトルV5との間の角度が5度以上である場合には、通信設備の撮影を撮影済みとしない。
【0027】
データ記憶部(記憶部)16は、道路に沿って設置された電柱の位置情報を含む電柱位置情報、当該道路の中心位置情報を含む道路位置情報、撮影実施の有無を含む撮影実施情報等を読み出し可能に記憶しておく機能を備える。電柱位置情報とは、電柱の緯度経度及び住所等を電柱ID毎に設定した情報である(
図2参照)。道路位置情報とは、道路中心の緯度経度等を道路ID毎に設定した情報である(
図3参照)。撮影実施情報とは、撮影済み又は未撮影を電柱ID毎に設定した情報である(
図4参照)。その他、データ記憶部16は、情報処理装置1が取得又は算出したデータ(例えば、ベクトルV1~ベクトルV5の値、撮影車両の位置情報等)も読み出し可能に記憶する。
【0028】
[3.情報処理装置の動作]
[3.1.全体動作]
情報処理装置1の動作を概説する。情報処理装置1は、撮影車両をどの方向に向けて走らせたときに電柱上の通信設備を撮影可能か否かについて、当該通信設備を撮影可能な撮影車両の撮影可能走行方向を一次判定する。次に、情報処理装置1は、各日時の太陽高度を計算し、電柱から太陽への方向と電柱から道路への方向との間の角度をもとに、上記通信設備の順光又は逆光を判定して、通信設備の順光又は逆光の判定結果及び撮影可能走行方向を地図データ上に表示する。最後に、情報処理装置1は、上記通信設備を実際に撮影する際、電柱の位置情報及び撮影可能走行方向と撮影車両の走行位置及び走行方向とをもとに、撮影済み通信設備を消し込む処理を行う。これにより、通信設備の点検作業を効率よく行うことができるとともに、通信設備の撮影漏れを防止できる。
【0029】
[3.2.走行計画策定時の動作]
図5は、走行計画策定時おける情報処理装置1の動作フロー例を示す図である。走行計画策定時には、情報処理装置1は、通信設備の管理会社が備えるサーバ装置内に配置されている。
【0030】
ステップS101;
まず、一次判定部11は、データ記憶部16から判定対象電柱の位置情報を読み出し、当該判定対象電柱に隣接する隣接道路の中心位置情報を更に読み出す。そして、一次判定部11は、
図6に示すように、当該隣接道路の中心位置情報を用いて当該隣接道路の中心線を生成し、上記判定対象電柱の位置から当該隣接道路の中心線に直交する方向のベクトルV1を生成し、当該ベクトルV1を、上記判定対象電柱及び当該判定対象電柱に係る通信設備の撮影可能方向として判定する。その後、一次判定部11は、当該ベクトルV1を反時計周りに90度回転した方向のベクトルV2を生成し、当該ベクトルV2を、上記隣接道路を走行する撮影車両で上記判定対象電柱及び当該判定対象電柱に係る通信設備を撮影可能な撮影可能走行方向として判定する。
【0031】
一時判定結果例を
図7に示す。電柱ID毎に撮影可能方向(=ベクトルV1)と撮影可能走行方向(=ベクトルV2)が算出される。撮影可能方向及び撮影可能走行方向は、例えば、真北を0度とした時計回りの角度である。また、隣接道路に対する電柱の位置も併せて判定される。例えば、一次判定部11は、ベクトルV1が0度から180度未満の場合、隣接道路に対する電柱の位置を左側と判定し、ベクトルV1が180度から360度未満の場合、当該電柱の位置を右側と判定する。
【0032】
一次判定部11は、ステップS101を全ての電柱について繰り返し実行する。
【0033】
ステップS102;
次に、順光逆光判定部12は、365日のうち所定の対象日時における太陽の高度情報や位置情報等をインターネット等から取得し、上記判定対象電柱の位置から太陽の位置する方向のベクトルV3を生成する。ベクトルV3も真北を0度とした時計回りの角度とする。そして、順光逆光判定部12は、ステップS101で生成していたベクトルV1と、本ステップS102で生成したベクトルV3との間の角度(3次元空間における角度)を算出する。その後、順光逆光判定部12は、当該角度が0度から90度未満の場合には、上記判定対象電柱に対する太陽光を順光と判定し、当該角度が90度から180度以下の場合には、上記判定対象電柱に対する太陽光を逆光と判定する。
【0034】
順光又は逆光の判定方法を
図8に示す。
図8(a)の場合、太陽は東側に位置しており、ベクトルV1(=120度)とベクトルV3(=95度)との間の角度は25度であり、90度未満であるため、順光と判定される。一方、
図8(b)の場合、太陽は西側に位置しており、ベクトルV1(=120度)とベクトルV3(=230度)との間の角度は110度であり、90度以上であるため、逆光と判定される。
【0035】
なお、ベクトルV3は、公知技術を用いて生成可能である。例えば、「“太陽高度・太陽方位角の計算式・符号・求め方について”、[2020年3月17日検索]、インターネット<URL : https://environmental-engineering.work/archives/219>」等に記載されている。
【0036】
順光逆光判定部12は、ステップS102を1年間の各日、日の出から日の入までの例えば1時間毎について繰り返し実行する。順光逆光判定結果例を
図9に示す。電柱ID毎に各日の1時間毎の順光逆光判定結果が算出される。
【0037】
ステップS103;
最後に、データ表示部13は、ステップS102で判定した順光又は逆光の判定結果とステップS101で判定した撮影可能走行方向を、それぞれ判別可能に上記判定対象電柱に関連付けて画面内の地図データ上に表示する。
【0038】
データ表示例を
図10に示す。ユーザが地図データ上で走行予定エリア及び走行予定日時を指定すると、データ表示部13は、
図2に示した電柱位置情報の「緯度経度」欄の緯度経度値を元に、当該走行予定エリアに含まれる各電柱の表示位置を決定し、当該表示位置に各電柱を表示する。そして、データ表示部13は、
図9に示した順光逆光判定結果の「順光逆光」欄を参照し、上記走行予定日時における各電柱の順光逆光の判定結果より、順光であれば電柱を青色で表示し、逆光であれば電柱を赤色で表示する。さらに、データ表示部13は、
図7に示した一次判定結果の「撮影可能走行方向」欄を参照し、走行方向が一目でわかるように、電柱を走行ベクトル(矢印の形状)で表示する。
【0039】
その他、走行予定エリアの範囲を指定又は指定変更すると、当該範囲内の「順光/逆行/全体」の各数を画面上に表示してもよい。また、走行予定エリアの範囲指定後に撮影時間帯を変化させると、順光数及び逆光数も変化させてもよい。なお、電柱に付す青色や赤色は例であり、順光又は逆光を判別できればよい。例えば、「順光」の文字を入力した吹き出しを電柱に関連付けて表示してもよい。近接する順光の電柱群を楕円等で囲む表示を更に表示してもよい。
【0040】
通信設備の管理者は、
図10に示した地図を参照しながら走行計画を策定する。当該地図には、所定日時における電柱の順光又は逆光が表示されているので、電柱上の通信設備を順光で撮影できる走行計画を策定できる。また、当該地図には、撮影車両で電柱を撮影可能な撮影可能走行方向が表示されているので、電柱上の通信設備を順光で効率よく撮影できる走行計画を策定できる。
【0041】
[3.3.通信設備撮影時の動作]
図11は、通信設備撮影時における情報処理装置1の動作フロー例を示す図である。通信設備撮影時には、情報処理装置1は、通信設備を撮影する撮影車両のコンピュータ端末内に配置されている。通信設備の管理者は、上記策定した走行計画をもとに、撮影車両を走行させながら、電柱上の通信設備を、当該通信設備が撮影車両の左側真横に位置したタイミングで、撮影しているものとする。
【0042】
ステップS201;
順光逆光判定部12は、位置情報取得部14から撮影車両の位置情報を随時取得しており、所定の判定対象電柱に位置に近づいた後、現在日時における太陽の高度情報や位置情報等をインターネット等から取得し、上記判定対象電柱の位置から現在日時での太陽の位置する方向のベクトルV3を生成する。そして、順光逆光判定部12は、既に生成していた当該判定対象電柱のベクトルV1(電柱の位置から道路の中心線に直交する方向のベクトル)と、現在日時でのベクトルV3との間の角度(3次元空間における角度)を算出する。その後、順光逆光判定部12は、当該角度が0度から90度未満の場合には、上記判定対象電柱に対する太陽光を順光と判定し、当該角度が90度から180度以下の場合には、上記判定対象電柱に対する太陽光を逆光と判定する。
【0043】
ここでは、ベクトルV3を現在日時における太陽の高度情報や位置情報等をもとに求めることで、1時間毎のオーダで大まかに求めていた順光又は逆光の判定結果を撮影日時の判定結果に適合するようにしている。これにより、電柱及び通信設備に対する太陽光の方向を撮影時の方向に合わせることができ、順光又は逆光の判定精度を向上できる。
【0044】
このとき、ベクトルV1を、電柱の位置から道路走行中の撮影車両の位置する方向としてもよい。これにより、電柱及び通信設備の撮影方向を撮影車両から見た実際の方向に合わせることができ、順光又は逆光の判定精度を更に向上できる。
【0045】
ステップS202;
ステップS201で実行した判定の結果、上記判定対象電柱に対する太陽光を順光と判定した場合、ステップS203へ進み、上記判定対象電柱に対する太陽光を逆光と判定した場合、本処理を終了する。
【0046】
ステップS203;
上記判定対象電柱に対する太陽光を順光と判定した場合、データ処理部15は、データ記憶部16から当該判定対象電柱の位置情報を取得するとともに、位置情報取得部14から現在日時での撮影車両の位置情報を取得する。
【0047】
ステップS204;
その後、データ処理部15は、走行車両が当該判定対象電柱を中心とした予め決められた所定サイズの円内に位置するか否かを判定する。走行車両が当該判定対象電柱に近接して当該円内に位置する場合、ステップS205へ進み、走行車両が当該円内に位置しない場合、本処理を終了する。
【0048】
ステップS205;
走行車両が当該判定対象電柱に近接して当該円内に位置する場合、データ処理部15は、
図12に示すように、当該判定対象電柱の位置から撮影車両の位置する方向のベクトルV4を生成し、上記ベクトルV1(電柱の位置から道路の中心線に直交する方向のベクトル)と当該ベクトルV4との間の角度θ1が所定範囲内の角度であるか否かを判定する。例えば、データ処理部15は、当該角度θ1が10度未満に低下したか否かを判定する。当該角度θ1が所定範囲内の角度である場合、ステップS206へ進み、当該角度θ1が所定範囲内の角度でない場合、本処理を終了する。
【0049】
ステップS206;
ベクトルV1とベクトルV4との間の角度θ1が所定範囲内の角度である場合、データ処理部15は、
図12に示したように、撮影車両が実際に走行している走行方向のベクトルV5を生成し、既に生成していた当該判定対象電柱に係るベクトルV2(撮影可能走行方向のベクトル)と当該ベクトルV5との間の角度θ2が所定範囲内の角度であるか否かを判定する。例えば、データ処理部15は、当該角度θ2が5度未満であるか否かを判定する。当該角度θ2が所定範囲内の角度である場合、ステップS207へ進み、当該角度θ1が所定範囲内の角度でない場合、本処理を終了する。
【0050】
ステップS207;
ベクトルV2とベクトルV5との間の角度θ2が所定範囲内の角度である場合、データ処理部15は、通信設備の管理者により上記判定対象電柱及び当該判定対象電柱の通信設備の撮影が行われたとみなし、当該判定対象電柱及び当該判定対象電柱に係る通信設備の撮影処理を撮影済みとする。
【0051】
撮影済みとする方法は、例えば、
図13(a)に示すように、地図データ上に表示していた電柱の記号を実線から破線に変更する方法、地図データ上から電柱の記号を削除する方法等がある。また、
図13(b)に示すように、撮影実施情報の「撮影実施状況」欄に設定されていた「未撮影」を「撮影済み」に変更する方法、「未撮影」を削除する方法、撮影済みの欄(
図4において不図示)にチェック記号を入力する方法等がある。
【0052】
[4.効果]
本実施形態によれば、情報処理装置1が、道路に沿って設置された電柱の位置情報を記憶しておくデータ記憶部16と、前記データ記憶部から前記電柱の位置情報を読み出して、前記電柱の位置から前記道路の位置する方向と前記電柱の位置から太陽の位置する方向との間の角度の大きさをもとに、前記電柱に対する太陽光が前記道路から見て順光か逆光かを判定する順光逆光判定部12と、前記判定した判定結果を判別可能に前記電柱に関連付けて画面内の地図データ上に表示するデータ表示部13と、を備えるので、電柱上の通信設備を順光で撮影できる走行計画を策定可能な技術を提供できる。
【0053】
また、本実施形態によれば、情報処理装置1は、前記電柱の位置から前記道路の中心線に直交する方向を反時計周りに90度回転した方向を、前記道路を走行する撮影車両で前記電柱及び前記電柱に係る通信設備を撮影可能な撮影可能走行方向として判定する一次判定部11を更に備え、前記データ表示部13は、前記撮影可能走行方向を判別可能に前記電柱に関連付けて前記画面内の地図データ上に表示するので、電柱上の通信設備を順光で効率よく撮影できる走行計画を策定可能な技術を提供できる。
【0054】
また、本実施形態によれば、情報処理装置1は、前記電柱の位置と撮影車両の位置とが所定の許容範囲内に位置し、かつ、前記電柱に係る撮影車両の撮影可能走行方向と前記撮影車両の走行方向とが所定範囲内の方向である場合、前記電柱及び前記電柱に係る通信設備の撮影を撮影済みとするデータ処理部15を更に備えるので、電柱上の通信設備の撮影漏れを防止可能な技術を提供できる。
【0055】
また、本実施形態によれば、前記データ処理部15は、更に、前記電柱の位置から前記道路の中心線に直交する方向と前記電柱の位置から前記撮影車両の位置する方向との間の角度が所定範囲内の角度である場合、前記電柱及び前記電柱に係る通信設備の撮影を撮影済みとするので、電柱上の通信設備の撮影漏れをより正確に防止可能な技術を提供できる。
【0056】
また、本実施形態によれば、前記順光逆光判定部12は、前記道路の位置する方向と前記太陽の位置する方向との間の角度が90度未満の場合、前記電柱に対する前記太陽光を順光と判定し、当該角度が90度以上の場合、前記電柱に対する前記太陽光を逆光と判定するので、電柱上の通信設備を正確に順光で撮影できる走行計画を策定可能な技術を提供できる。
【0057】
また、本実施形態によれば、前記道路の位置する方向は、前記電柱の位置から撮影車両の位置する方向であるので、電柱及び通信設備の撮影方向を撮影車両から見た実際の方向に合わせることができ、順光又は逆光の判定精度を向上できる。
【0058】
[その他]
本発明は、上記実施形態に限定されない。本発明は、本発明の要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0059】
上記説明した本実施形態の情報処理装置1は、例えば、
図14に示すように、CPU(Central Processing Unit、プロセッサ)901と、メモリ902と、ストレージ903(HDD:Hard Disk Drive、SSD:Solid State Drive)903と、通信装置904と、入力装置905と、出力装置906と、を備えた汎用的なコンピュータシステムを用いて実現できる。メモリ902及びストレージ903は、記憶装置である。当該コンピュータシステムにおいて、CPU901がメモリ902上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、情報処理装置1の各機能が実現される。
【0060】
情報処理装置1は、1つのコンピュータで実装されてもよい。情報処理装置1は、複数のコンピュータで実装されてもよい。情報処理装置1は、コンピュータに実装される仮想マシンであってもよい。
【0061】
情報処理装置1用のプログラムは、HDD、SSD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶できる。情報処理装置1用のプログラムは、通信ネットワークを介して配信することもできる。
【符号の説明】
【0062】
1…情報処理装置
11…一次判定部
12…順光逆光判定部
13…データ表示部
14…位置情報取得部
15…データ処理部
16…データ記憶部
901…CPU
902…メモリ
903…ストレージ
904…通信装置
905…入力装置
906…出力装置