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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】キメラ抗原受容体
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20220127BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220127BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20220127BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20220127BHJP
   C07K 14/705 20060101ALN20220127BHJP
【FI】
A61K35/17 Z
A61P35/00
C07K19/00 ZNA
C07K16/00
C07K14/705
【請求項の数】 48
(21)【出願番号】P 2020076729
(22)【出願日】2020-04-23
(62)【分割の表示】P 2018100931の分割
【原出願日】2013-12-19
(65)【公開番号】P2020125334
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】61/779,925
(32)【優先日】2013-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/740,113
(32)【優先日】2012-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509307635
【氏名又は名称】セルジーン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート アボット
(72)【発明者】
【氏名】ビタオ リアング
(72)【発明者】
【氏名】ティアンジアン リ
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第96/023814(WO,A1)
【文献】特表2003-500021(JP,A)
【文献】Proc. Natl. Acad. Sci., (2008), 105, [30], p.10483-10488
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/44
A61K 35/17
C07K 1/00-19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体における癌を治療するための医薬組成物であって、該医薬組成物が、キメラ抗原受容体(CAR)を含む改変型Tリンパ球を含み、該CARが、(i)PD-1由来の膜貫通ドメイン、(ii)CD3ζの細胞内シグナルドメイン、(iii)共刺激性CD28ポリペプチド配列、及び(iv)腫瘍細胞上の抗原に結合する細胞外ドメインを含み、該CARの該細胞外ドメインがPD-1由来ではない、前記医薬組成物。
【請求項2】
前記CARが前記抗原と結合したときに、該CARを含む前記改変型Tリンパ球が、活性化され又は刺激されて、増殖する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記CARが、前記改変型Tリンパ球の表面に発現したときに、該改変型Tリンパ球に前記抗原を発現する細胞を殺すよう方向づける、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記細胞外ドメインが、抗体又はその抗原結合部位である、請求項1~のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記腫瘍細胞上の抗原が、腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原である、請求項1~のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原が、Her2、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、癌抗原-125(CA-125)、CA19-9、カルレチニン、MUC-1、上皮性膜タンパク質(EMA)、上皮性腫瘍抗原(ETA)、チロシナーゼ、メラノーマ関連抗原(MAGE)、CD34、CD45、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、タンパク質メラン-A(Tリンパ球に認識されるメラノーマ抗原;MART-1)、myo-D1、筋特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、神経特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトファイシス、チログロブリン、甲状腺転写因子-1、ピルビン酸キナーゼイソ酵素タイプM2の二量体形(腫瘍M2-PK)、CD19、CD22、CD27、CD30、CD70、GD2(ガングリオシドG2)、EGFRvIII(表皮性成長因子バリアントIII)、精子タンパク質17(Sp17)、メソセリン、PAP(前立腺酸性ホスファターゼ)、プロステイン、TARP(T細胞受容体ガンマオルターネイトリーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、STEAP1(プロステイト1の6回膜貫通型上皮性抗原)、異常rasタンパク質、異常p53タンパク質、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、K-Ras(V-Ki-ras2キルステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、又はRal-Bである、請求項記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原が、Her2である、請求項記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメイン;(ii)CD28又はCTLA4ヒンジポリペプチド配列;(iii)前記PD-1由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性CD28ポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項1~のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメインであって、該細胞外ドメインが、可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメインを含、該VL及びVHが前記抗原に結合する抗体に由来する、該細胞外ドメイン;(ii)CD28のヒンジポリペプチド配列;(iii)前記PD-1由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性CD28ポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメインであって、該細胞外ドメインが、可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメインを含、該VL及びVHが前記抗原に結合する抗体に由来する、該細胞外ドメイン;(ii)CTLA4のヒンジポリペプチド配列;(iii)前記PD-1由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性CD28ポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメインであって、該細胞外ドメインが、可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメインを含、該VL及びVHが前記抗原に結合する抗体に由来する、該細胞外ドメイン;(ii)PD-1のヒンジポリペプチド配列;(iii)前記PD-1由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性CD28ポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項1~7のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記改変型Tリンパ球が、静脈内投与、動脈内投与、非経口的投与、筋肉内投与、皮下投与、髄膜内投与、眼球内投与、又は特定の器官若しくは組織内への投与のために製剤化される、請求項1~11のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記改変型Tリンパ球が、個別の用量へと製剤化され、該個別の用量が、少なくとも1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、又は1×1011個の改変型Tリンパ球を含む、請求項1~12のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項14】
個体における癌を治療するための医薬品の製造における医薬組成物の使用であって、該医薬組成物が、(i)PD-1由来の膜貫通ドメイン、(ii)CD3ζの細胞内シグナルドメイン、(iii)共刺激性CD28ポリペプチド配列、及び(iv)腫瘍細胞上の抗原に結合する細胞外ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含むTリンパ球を含み、該CARの該細胞外ドメインがPD-1由来ではない、前記使用。
【請求項15】
前記CARが前記抗原と結合したときに、該CARを含む前記Tリンパ球が、活性化され又は刺激されて、増殖する、請求項14記載の使用。
【請求項16】
前記CARが、前記Tリンパ球の表面に発現したときに、該Tリンパ球に前記抗原を発現する細胞を殺すよう方向づける、請求項14又は15記載の使用。
【請求項17】
前記細胞外ドメインが、抗体又はその抗原結合部位である、請求項1416のいずれか一項記載の使用。
【請求項18】
前記腫瘍細胞上の抗原が、腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原である、請求項1417のいずれか一項記載の使用。
【請求項19】
前記腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原が、Her2、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、癌抗原-125(CA-125)、CA19-9、カルレチニン、MUC-1、上皮性膜タンパク質(EMA)、上皮性腫瘍抗原(ETA)、チロシナーゼ、メラノーマ関連抗原(MAGE)、CD34、CD45、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、タンパク質メラン-A(Tリンパ球に認識されるメラノーマ抗原;MART-1)、myo-D1、筋特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、神経特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトファイシス、チログロブリン、甲状腺転写因子-1、ピルビン酸キナーゼイソ酵素タイプM2の二量体形(腫瘍M2-PK)、CD19、CD22、CD27、CD30、CD70、GD2(ガングリオシドG2)、EGFRvIII(表皮性成長因子バリアントIII)、精子タンパク質17(Sp17)、メソセリン、PAP(前立腺酸性ホスファターゼ)、プロステイン、TARP(T細胞受容体ガンマオルターネイトリーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、STEAP1(プロステイト1の6回膜貫通型上皮性抗原)、異常rasタンパク質、異常p53タンパク質、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、K-Ras(V-Ki-ras2キルステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、又はRal-Bである、請求項18記載の使用。
【請求項20】
前記腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原が、Her2である、請求項19記載の使用。
【請求項21】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメイン;(ii)CD28又はCTLA4ヒンジポリペプチド配列;(iii)前記PD-1由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性CD28ポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項1420のいずれか一項記載の使用。
【請求項22】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメインであって、該細胞外ドメインが、可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメインを含、該VL及びVHが前記抗原に結合する抗体に由来する、該細胞外ドメイン;(ii)CD28のヒンジポリペプチド配列;(iii)前記PD-1由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性CD28ポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項21記載の使用。
【請求項23】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメインであって、該細胞外ドメインが、可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメインを含、該VL及びVHが前記抗原に結合する抗体に由来する、該細胞外ドメイン;(ii)CTLA4のヒンジポリペプチド配列;(iii)前記PD-1由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性CD28ポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項21記載の使用。
【請求項24】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメインであって、該細胞外ドメインが、可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメインを含、該VL及びVHが前記抗原に結合する抗体に由来する、該細胞外ドメイン;(ii)PD-1のヒンジポリペプチド配列;(iii)前記PD-1由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性CD28ポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項14~20のいずれか一項記載の使用。
【請求項25】
前記改変型Tリンパ球が、静脈内投与、動脈内投与、非経口的投与、筋肉内投与、皮下投与、髄膜内投与、眼球内投与、又は特定の器官若しくは組織内への投与のために製剤化される、請求項1424のいずれか一項記載の使用。
【請求項26】
前記改変型Tリンパ球が、個別の用量へと製剤化され、該個別の用量が、少なくとも1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、又は1×1011個の改変型Tリンパ球を含む、請求項1425のいずれか一項記載の使用。
【請求項27】
個体における癌を治療するための医薬組成物であって、該医薬組成物が、キメラ抗原受容体(CAR)を含む改変型Tリンパ球を含み、該CARが、(i) 腫瘍細胞上の抗原に結合する細胞外ドメインであって、該CARの該細胞外ドメインが抗体又はその抗原結合部位である、該細胞外ドメイン、(ii) CTLA4由来の膜貫通ドメイン、(iii) 共刺激性CD28ポリペプチド配列、又は共刺激性4-1BBポリペプチド配列、及び(iv)CD3ζの細胞内シグナルドメインを含み、ここで、(a) 該CARが該抗原と結合したときに、該CARを発現している場合に該改変型Tリンパ球が、活性化され又は刺激されて、増殖し、又は(b)該CARが、該改変型Tリンパ球の表面に発現したときに、該Tリンパ球に該抗原を発現する細胞を殺すよう方向づける、前記医薬組成物。
【請求項28】
前記抗原が、腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原である、請求項27記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原が、Her2、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、癌抗原-125(CA-125)、CA19-9、カルレチニン、MUC-1、上皮性膜タンパク質(EMA)、上皮性腫瘍抗原(ETA)、チロシナーゼ、メラノーマ関連抗原(MAGE)、CD34、CD45、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、タンパク質メラン-A(Tリンパ球に認識されるメラノーマ抗原;MART-1)、myo-D1、筋特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、神経特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトファイシス、チログロブリン、甲状腺転写因子-1、ピルビン酸キナーゼイソ酵素タイプM2の二量体形(腫瘍M2-PK)、CD19、CD22、CD27、CD30、CD70、GD2(ガングリオシドG2)、EGFRvIII(表皮性成長因子バリアントIII)、精子タンパク質17(Sp17)、メソセリン、PAP(前立腺酸性ホスファターゼ)、プロステイン、TARP(T細胞受容体ガンマオルターネイトリーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、STEAP1(プロステイト1の6回膜貫通型上皮性抗原)、異常rasタンパク質、異常p53タンパク質、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、K-Ras(V-Ki-ras2キルステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、又はRal-Bである、請求項28記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原が、Her2である、請求項29記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメインであって、該抗原がHER2である、該細胞外ドメイン;(ii)CD28、又はCH2CH3ヒンジポリペプチド配列;(iii)前記CTLA4由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性CD28ポリペプチド配列、又は共刺激性4-1BBポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項2730のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメインであって、該細胞外ドメインが、可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメインを含、該VL及びVHがHER2に結合する抗体に由来するものである、該細胞外ドメイン;(ii)CD28ヒンジポリペプチド配列;(iii)前記CTLA4由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性CD28ポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項31記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメインであって、該細胞外ドメインが、可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメインを含、該VL及びVHがHER2に結合する抗体に由来するものである、該細胞外ドメイン;(ii)CD28ヒンジポリペプチド配列;(iii)前記CTLA4由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性4-1BBポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項31記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメインであって、該細胞外ドメインが、可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメインを含、該VL及びVHがHER2に結合する抗体に由来するものである、該細胞外ドメイン;(ii)CH2CH3ヒンジポリペプチド配列;(iii)前記CTLA4由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性4-1BBポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項31記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメインであって、該細胞外ドメインが、可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメインを含、該VL及びVHがHER2に結合する抗体に由来するものである、該細胞外ドメイン;(ii)CH2CH3ヒンジポリペプチド配列;(iii)前記CTLA4由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性CD28ポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項31記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記改変型Tリンパ球が、静脈内投与、動脈内投与、非経口的投与、筋肉内投与、皮下投与、髄膜内投与、眼球内投与、又は特定の器官若しくは組織内への投与のために製剤化される、請求項2735のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記改変型Tリンパ球が、個別の用量へと製剤化され、該個別の用量が、少なくとも1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、又は1×1011個の改変型Tリンパ球を含む、請求項2736のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項38】
個体における癌を治療するための医薬品の製造における医薬組成物の使用であって、該医薬組成物が、キメラ抗原受容体(CAR)を含む改変型Tリンパ球を含み、該CARが、(i) 腫瘍細胞上の抗原に結合する細胞外ドメインであって、該CARの該細胞外ドメインが抗体又はその抗原結合部位である、該細胞外ドメイン、(ii) CTLA4由来の膜貫通ドメイン、(iii) 共刺激性CD28ポリペプチド配列、又は共刺激性4-1BBポリペプチド配列、及び(iv)CD3ζの細胞内シグナルドメインを含み、ここで、(a) 該CARが該抗原と結合したときに、該CARを発現している場合に該改変型Tリンパ球が、活性化され又は刺激されて、増殖し、又は(b)該CARが、該改変型Tリンパ球の表面に発現したときに、該改変型Tリンパ球に該抗原を発現する細胞を殺すよう方向づける、前記使用。
【請求項39】
前記抗原が、腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原である、請求項38記載の使用。
【請求項40】
前記腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原が、Her2、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、癌抗原-125(CA-125)、CA19-9、カルレチニン、MUC-1、上皮性膜タンパク質(EMA)、上皮性腫瘍抗原(ETA)、チロシナーゼ、メラノーマ関連抗原(MAGE)、CD34、CD45、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、タンパク質メラン-A(Tリンパ球に認識されるメラノーマ抗原;MART-1)、myo-D1、筋特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、神経特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトファイシス、チログロブリン、甲状腺転写因子-1、ピルビン酸キナーゼイソ酵素タイプM2の二量体形(腫瘍M2-PK)、CD19、CD22、CD27、CD30、CD70、GD2(ガングリオシドG2)、EGFRvIII(表皮性成長因子バリアントIII)、精子タンパク質17(Sp17)、メソセリン、PAP(前立腺酸性ホスファターゼ)、プロステイン、TARP(T細胞受容体ガンマオルターネイトリーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、STEAP1(プロステイト1の6回膜貫通型上皮性抗原)、異常rasタンパク質、異常p53タンパク質、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、K-Ras(V-Ki-ras2キルステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、又はRal-Bである、請求項39記載の使用。
【請求項41】
前記腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原が、Her2である、請求項40記載の使用。
【請求項42】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメインであって、該抗原がHER2である、該細胞外ドメイン;(ii)CD28、又はCH2CH3ヒンジポリペプチド配列;(iii)前記CTLA4由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性CD28ポリペプチド配列、又は共刺激性4-1BBポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項3841のいずれか一項記載の使用。
【請求項43】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメインであって、該細胞外ドメインが、可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメインを含、該VL及びVHがHER2に結合する抗体に由来するものである、該細胞外ドメイン;(ii)CD28ヒンジポリペプチド配列;(iii)前記CTLA4由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性CD28ポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項42記載の使用。
【請求項44】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメインであって、該細胞外ドメインが、可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメインを含、該VL及びVHがHER2に結合する抗体に由来するものである、該細胞外ドメイン;(ii)CD28ヒンジポリペプチド配列;(iii)前記CTLA4由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性4-1BBポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項42記載の使用。
【請求項45】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメインであって、該細胞外ドメインが、可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメインを含、該VL及びVHがHER2に結合する抗体に由来するものである、該細胞外ドメイン;(ii)CH2CH3ヒンジポリペプチド配列;(iii)前記CTLA4由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性4-1BBポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項42記載の使用。
【請求項46】
前記CARが、N末端からC末端に向けて、順に:(i)腫瘍細胞上の抗原に結合する前記細胞外ドメインであって、該細胞外ドメインが、可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメインを含、該VL及びVHがHER2に結合する抗体に由来するものである、該細胞外ドメイン;(ii)CH2CH3ヒンジポリペプチド配列;(iii)前記CTLA4由来の膜貫通ドメイン;(iv)前記共刺激性CD28ポリペプチド配列;及び(v)前記CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、請求項42記載の使用。
【請求項47】
前記改変型Tリンパ球が、静脈内投与、動脈内投与、非経口的投与、筋肉内投与、皮下投与、髄膜内投与、眼球内投与、又は特定の器官若しくは組織内への投与のために製剤化される、請求項3846のいずれか一項記載の使用。
【請求項48】
前記改変型Tリンパ球が、個別の用量へと製剤化され、該個別の用量が、少なくとも1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1×1010、5×1010、又は1×1011個の改変型Tリンパ球を含む、請求項3847のいずれか一項記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2012年12月20日に提出された米国仮特許出願番号第61/740,113号、及び2013年3
月13日に提出された米国仮特許出願番号第61/779,925号に基づく優先権を主張する。これ
らのそれぞれはその全体が引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
(1.分野)
本明細書における開示は、免疫学分野、さらに具体的には、Tリンパ球又は他の免疫細
胞の改変に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.背景)
Tリンパ球(T細胞とも呼ばれる)のような免疫系の細胞は、抗原の認識又はそれらとの
相互作用の際に、細胞の活性化を引き起こす受容体又は受容体複合体を介して、特定の抗
原を認識し、かつ相互作用する。そのような受容体の一例は、8つのタンパク質の複合体
である抗原特異的Tリンパ球受容体複合体(TCR/CD3)である。T細胞受容体(TCR)はTリ
ンパ球の表面に発現する。一構成要素であるCD3は不変的構造を有し、リガンドによりTCR
が占有された後に続く細胞内シグナルにおいて役割を果たす。抗原-CD3複合体(TCR/CD3
)に対するTリンパ球受容体は、主要組織適合複合体(MHC)タンパク質によりこの受容体
に対し提示される抗原ペプチドを認識する。MHCとペプチドの複合体は抗原提示細胞及び
他のTリンパ球標的の表面に発現する。TCR/CD3複合体の刺激は、Tリンパ球の活性化及び
その結果起こる抗原特異的な免疫応答に帰結する。TCR/CD3複合体はエフェクター機能及
び免疫系の調節に中心的な役割を果たす。
【0004】
Tリンパ球は最大限活性化するために第2の共刺激性シグナルを必要とする。そのような
シグナルなしでは、Tリンパ球はTCRへの抗原の結合に対し応答しないか、又はアネルギー
に陥る。そのような共刺激性シグナルは、例えば、抗原産生細胞上のCD80及びCD86と相互
作用するTリンパ球タンパク質であるCD28により提供される。もう一つのTリンパ球タンパ
ク質であるICOS(誘導性共刺激性分子)は、ICOSリガンドと結合したときに共刺激性シグ
ナルを提供する。CTLA4(細胞毒性T-リンパ球抗原4)は、CD152としても知られ、ヘルパ
ーT細胞及びCD4+ T細胞の表面に発現する受容体であり、T細胞の活動を下方調節する。CT
LA4がその認識リガンドであるCD80及びCD86と結合すると、T細胞の活性化及び増殖が減少
する。PD-1(プログラム細胞死-1)はCD279としても知られ、現在では、T細胞受容体(TC
R)シグナルを負に調節し、広く免疫応答を負に調節すると理解されている。
【0005】
TCR複合体の不可欠な抗原結合、シグナル、及び刺激機能は、一般にキメラ抗原受容体
(CAR)と呼ばれる単一ポリペプチド鎖への遺伝子組み換え法により減少してきた。例え
ば、Eshharの米国特許番号第7,741,465号;Eshharの米国特許出願公開番号第2012/009384
2号を参照されたい。そのようなCARを備えるTリンパ球は、一般にCAR-Tリンパ球と呼ばれ
る。CARは特異的に構築され、CARが結合する特異的抗原に応答してT細胞の活性化及び増
殖を刺激する。
【発明の概要】
【0006】
(3.概要)
一態様では、本明細書で提供されるのは、免疫系細胞、例えばTリンパ球(T細胞)によ
って発現することができ、そのような免疫系細胞において膜結合型であり、かつ通常その
ような免疫系細胞に抑制シグナルを伝達する免疫系タンパク質由来の膜貫通ドメイン、例
えばCTLA4(細胞毒性T-リンパ球抗原4又は細胞毒性T-リンパ球関連タンパク質4)又はPD-
1(プログラム細胞死-1)由来の膜貫通ドメインを含む、例えばキメラ抗原受容体(例え
ば、Eshharの米国特許番号第7,741,465号を参照されたい)のようなポリペプチドである
【0007】
一実施態様では、本明細書で提供されるのは、(i) CTLA4(例えば、GenBank Accession
No. NM_005214.4(CTLA4 細胞毒性T-リンパ球関連タンパク質4(Homo sapiens);Gene
ID: 1493))又はPD-1(例えば、GenBank Accession No. NM_005018.2(プログラム細胞
死1(Homo sapiens); Gene ID: 5133))、又はそれらの一部に由来する膜貫通ドメイン
を含む膜貫通ドメイン、(ii)リンパ球の活性化及び/又は増殖を引き起こすリンパ球表面
に発現する内在性タンパク質の細胞内ドメイン(例えば、細胞質ドメイン)、及び(iii)
関心のある抗原に結合する細胞外ドメインを含むポリペプチドであり、ここで、該膜貫通
ドメインがCTLA4由来である場合は、該ポリペプチドの該細胞内ドメイン及び細胞外ドメ
インはCTLA4由来ではなく;かつ該膜貫通ドメインがPD-1由来である場合は、該ポリペプ
チドの該細胞内ドメイン及び細胞外ドメインはPD-1由来ではない。具体的な実施態様では
、該ポリペプチドはキメラ抗原受容体(CAR)である。具体的な実施態様では、該ポリペ
プチドを発現するTリンパ球、又は本明細書に記載されるようないずれかのポリペプチド
は、該ポリペプチドが該抗原と結合したときに活性化又は刺激され、増殖する。具体的な
実施態様では、該ポリペプチドは、Tリンパ球表面に発現された時に、該Tリンパ球を該抗
原を発現する細胞を殺すよう方向づける。
【0008】
具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、CTLA4由来の膜貫通ドメインを含
むポリペプチドであり、ここで、該CTLA4膜貫通ドメインは、ヒトctla4遺伝子のエキソン
3にコードされる該ポリペプチド配列である(例えば、GenBank Accession No. NM_005214
.4(CTLA4 細胞毒性T-リンパ球関連タンパク質4(Homo sapiens);Gene ID: 1493))。
【0009】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、以下のアミノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化1】
【0010】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、GenBank Accession No. NM_005214.4(CTLA4 細胞毒性T-リンパ球関連タンパク
質4(Homo sapiens); Gene ID: 1493)のヌクレオチド610~722にコードされるポリペプ
チド配列であるか、又はこれを含む。
【0011】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、以下のアミノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化2】
【0012】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、GenBank Accession No. NM_005214.4(CTLA4 細胞毒性T-リンパ球関連タンパク
質4(Homo sapiens); Gene ID: 1493)のヌクレオチド636~699にコードされるポリペプ
チド配列であるか、又はこれを含む。
【0013】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、以下のアミノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化3】
【0014】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、以下のポリペプチド配列であるか、又はこれを含む。
【化4】
【0015】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、以下のポリペプチド配列であるか、又はこれを含む。
【化5】
【0016】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、以下のポリペプチド配列であるか、又はこれを含む。
【化6】
【0017】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、以下のポリペプチド配列であるか、又はこれを含む。
【化7】
【0018】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該PD-1膜貫通ドメイ
ンは、以下のアミノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化8】
【0019】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該PD-1膜貫通ドメイ
ンは、以下のアミノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化9】
【0020】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該PD-1膜貫通ドメイ
ンは、以下のアミノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化10】
【0021】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該PD-1膜貫通ドメイ
ンは、以下のアミノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化11】
【0022】
本明細書に記載されるCTLA-4及びPD-1の膜貫通ドメイン配列(すなわち、配列番号:1、
配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号
:8、配列番号:9、配列番号:10、及び配列番号:11)に例示されるように、特定の実施態様
では、本明細書に記載される膜貫通ドメインは、それらが由来するタンパク質(すなわち
、CTLA-4又はPD-1)の細胞外ドメイン由来の1以上のアミノ酸及び/又は細胞内ドメイン由
来の1以上のアミノ酸を含む。特定の実施態様では、本明細書に記載される該膜貫通ドメ
インは、それらが由来するタンパク質(すなわち、CTLA-4又はPD-1)の細胞外ドメイン由
来の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、2
2、23、24、又は25アミノ酸を含む。特定の実施態様では、本明細書に記載される該膜貫
通ドメインは、それらが由来するタンパク質(すなわち、CTLA-4又はPD-1)の細胞内ドメ
イン由来の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20
、21、22、23、24、又は25アミノ酸を含む。特定の実施態様では、本明細書に記載される
該膜貫通ドメインは、(i) それらが由来するタンパク質(すなわち、CTLA-4又はPD-1)の
細胞外ドメイン由来の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、1
8、19、20、21、22、23、24、又は25アミノ酸、及び(ii) それらが由来するタンパク質(
すなわち、CTLA-4又はPD-1)の細胞内ドメイン由来の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、1
1、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25アミノ酸を含む。
【0023】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは膜貫通ドメインを含むポリペプ
チドであり、ここで、該膜貫通ドメインは配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番
号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、
又は配列番号:11に開示される少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20
、又は21の連続したアミノ酸であるか、又はこれらを含む。他の具体的な実施態様では、
本明細書で提供されるのは膜貫通ドメインを含むポリペプチドであり、ここで、該膜貫通
ドメインは、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号
:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、又は配列番号:11と少なくとも
75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%一致する。他
の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、該ポリペプチドの膜貫
通ドメインに1、2、3、4、又は5個のアミノ変異、例えば保存されたアミノ酸変異(例え
ば、異なる疎水性アミノ酸に変異した疎水性アミノ酸)を含む。
【0024】
特定の実施態様では、本明細書で提供されるのは本明細書に開示されるポリペプチドの
1つをコードするヌクレオチド配列である。具体的な実施態様では、本明細書で提供され
るのは、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、
配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、又は配列番号:11に開示されるいず
れかのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列である。他の
具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されるポリペプチド
をコードする核酸であり、該核酸は配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、
配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、又は配
列番号:11に開示される少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、又は2
1の連続したアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を含む。他の具体的な実施態様では
、本明細書で提供されるのは配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番
号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、又は配列番号:
11と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95
%一致するポリペプチドをコードする核酸配列である。
【0025】
特定の実施態様では、本明細書に記載されるいずれかのポリペプチドの細胞外ドメイン
は抗原と結合する受容体又は受容体の一部を含む。該細胞外ドメインは、例えば、該抗原
と結合する受容体又は受容体の一部であり得る。特定の実施態様では、該細胞外ドメイン
は抗体又はその抗原結合部位を含むか、又はそのものである。具体的な実施態様では、該
細胞外ドメインは、単鎖Fvドメインを含むか、又はそのものである。単鎖Fvドメインは例
えば、可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含むことができ、ここで、該VL及びVH
該抗原が結合する抗体に由来する。
【0026】
該ポリペプチドの該細胞外ドメインが結合する該抗原は、関心のある任意の抗原、例え
ば、腫瘍細胞上の抗原であり得る。該腫瘍細胞は、例えば固形腫瘍中の細胞、又は非固形
腫瘍の細胞、例えば血液癌の細胞であり得る。特定の実施態様では、該抗原は、腫瘍関連
抗原又は腫瘍特異的抗原である。具体的な実施態様では、該腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的
抗原は、限定はされないが、Her2、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、アルファ-フェトプロテ
イン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、癌抗原-125(CA-125)、CA19-9、カルレチニン、MU
C-1、上皮性膜タンパク質(EMA)、上皮性腫瘍抗原(ETA)、チロシナーゼ、メラノーマ
関連抗原(MAGE)、CD34、CD45、CD99、CD117、クロモグラニン、サイトケラチン、デス
ミン、グリア線維酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(gross cy
stic disease fluid protein)(GCDFP-15)、HMB-45抗原、タンパク質メラン-A(Tリン
パ球に認識されるメラノーマ抗原;MART-1)、myo-D1、筋特異的アクチン(MSA)、ニュ
ーロフィラメント、神経特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナ
プトファイシス、チログロブリン、甲状腺転写因子-1、ピルビン酸キナーゼイソ酵素タイ
プM2の二量体形(腫瘍M2-PK)、CD19、CD22、CD27、CD30、CD70、GD2(ガングリオシドG2
)、EGFRvIII(表皮性成長因子バリアントIII)、精子タンパク質17(Sp17)、メソセリ
ン、PAP(前立腺酸性ホスファターゼ)、プロステイン、TARP(T細胞受容体ガンマオルタ
ーネイトリーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、STEAP1(プロステイト1の6回膜貫
通型上皮性抗原)、異常rasタンパク質、又は異常p53タンパク質である。他の具体的な実
施態様では、該腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原は、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラ
クチン、K-Ras(V-Ki-ras2キルステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、又はRal-Bである
【0027】
特定の実施態様では、本明細書に記載されるポリペプチドの細胞外ドメインは、リンカ
ー、スペーサー又はヒンジポリペプチド/ペプチド配列、例えばCH2CH3ヒンジ配列又はCD8
、CD28、CTLA4、若しくはPD-1由来の配列により該ポリペプチドの膜貫通ドメインに結合
される。
【0028】
特定の実施態様では、本明細書に記載されるポリペプチドの該細胞内ドメインは、T細
胞表面に発現し、該T細胞の活性化及び/又は増殖を引き起こすタンパク質の細胞内ドメイ
ンであるか、又はこれを含む。具体的な実施態様では、該細胞内ドメインはCD3ζの細胞
内シグナルドメインである。他の具体的な実施態様では、該細胞内ドメインはリンパ球受
容体鎖、TCR/CD3複合体タンパク質、Fc受容体サブユニット、又はIL-2受容体サブユニッ
トを由来とする。
【0029】
特定の実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドはさらに、1以上の共刺激性
ドメインを、例えば、該ポリペプチドの細胞内ドメインの一部として含む。該1以上の共
刺激性ドメインは、限定されることなく、1以上の共刺激性CD27ポリペプチド配列、共刺
激性CD28ポリペプチド配列、共刺激性OX40(CD134)ポリペプチド配列、共刺激性4-1BB(
CD137)ポリペプチド配列、又は共刺激性誘導性T細胞共刺激性(ICOS)ポリペプチド配列
であることができ、又はこれらを含むことができる。
【0030】
具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に向け
て、順に:(i) 抗原結合ドメイン(例えば、腫瘍細胞上の抗原に結合する抗原結合ドメイ
ン、例えば、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) CD28又はCTLA4ヒンジポリペプチド配列;(i
ii) CTLA4又はPD-1の膜貫通ドメイン;(iv) 共刺激性ドメイン;及び(v) 細胞内シグナル
ドメインを含む。具体的な実施態様では、該ポリペプチドの該抗原結合ドメインはCD19に
結合する。
【0031】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) 抗原結合ドメイン(例えば、腫瘍細胞上の抗原に結合する抗原結合ド
メイン、例えば、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) CH2CH3ヒンジポリペプチド配列;(iii)
CTLA4又はPD-1膜貫通ドメイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグ
ナルドメインを含む。
【0032】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端
に向けて、順に:(i) 抗原結合ドメイン(例えば、腫瘍細胞上の抗原に結合する抗原結合
ドメイン、例えば、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) CD28ヒンジポリペプチド配列;(iii)
CTLA4又はPD-1膜貫通ドメイン;(iv) 4-1BB共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シ
グナルドメインを含む。
【0033】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i)リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメイン、ここで、該V
L及びVHは関心のある抗原(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細胞上の抗原
)と結合する抗体に由来する;(ii) CD28ヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4膜貫通ド
メイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む。
【0034】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメイン、ここで、該
VL及びVHは関心のある抗原(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細胞上の抗原
)と結合する抗体に由来する;(ii) CTLA4ヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4膜貫通
ドメイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む。
【0035】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメイン、ここで、該
VL及びVHは関心のある抗原(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細胞上の抗原
)と結合する抗体に由来する;(ii) CD28ヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1膜貫通ド
メイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む。
【0036】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメイン、ここで、該
VL及びVHは関心のある抗原(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細胞上の抗原
)と結合する抗体に由来する;(ii) CTLA4ヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1膜貫通ド
メイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む。
【0037】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) 抗原結合ドメイン(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細
胞上の抗原に結合する抗原結合ドメイン);(ii) PD-1ヒンジポリペプチド配列;(iii) C
TLA4又はPD-1膜貫通ドメイン;(iv) 共刺激性ドメイン;及び(v) 細胞内シグナルドメイ
ンを含む。
【0038】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメイン、ここで、該
VL及びVHは関心のある抗原(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細胞上の抗原
)と結合する抗体に由来する;(ii) PD-1ヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4膜貫通ド
メイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む。
【0039】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメイン、ここで、該
VL及びVHは関心のある抗原(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細胞上の抗原
)と結合する抗体に由来する;(ii) PD-1ヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1膜貫通ド
メイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む。
【0040】
他の態様では、本明細書で提供されるのは、例えば細胞表面に発現される膜結合ポリペ
プチドを含むTリンパ球、例えばT細胞であり、ここで、該ポリペプチドは、(i) CTLA4若
しくはPD-1、又はそれらの一部に由来する膜貫通ドメインを含む膜貫通ドメイン、(ii)
リンパ球表面に発現され、該リンパ球の活性化及び/又は増殖を引き起こす内在性タンパ
ク質の細胞内ドメイン、及び(iii) 関心のある抗原に結合する細胞外ドメインを含み、こ
こで、該膜貫通ドメインがCTLA4由来である場合、該ポリペプチドの該細胞内ドメイン及
び細胞外ドメイン(任意にCTLA4リンカーを除く)がCTLA4由来ではなく;かつ該膜貫通ド
メインがPD-1由来である場合、該ポリペプチドの該細胞内ドメイン及び細胞外ドメインは
PD-1由来ではない。具体的な実施態様では、該ポリペプチドはキメラ抗原受容体(CAR)
である。
【0041】
具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのはCTLA4由来の膜貫通ドメインを含む
ポリペプチドを含むTリンパ球であり、ここで、該CTLA4の膜貫通ドメインはヒトCTLA4遺
伝子(例えば、GenBank Accession No. NM_005214.4(CTLA4 細胞毒性T-リンパ球関連タ
ンパク質4(Homo sapiens);Gene ID: 1493))のエキソン3にコードされるポリペプチ
ド配列である。
【0042】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、CTLA4由来の膜貫通ドメイン
を含むポリペプチドを含むTリンパ球であり、ここで、該CTLA4膜貫通ドメインは以下のア
ミノ酸配列であり、又はこれを含む。
【化12】
【0043】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、CTLA4由来の膜貫通ドメイン
を含むポリペプチドを含むTリンパ球であり、ここで、該CTLA4膜貫通ドメインは、GenBan
k Accession No. NM_005214.4(CTLA4 細胞毒性T-リンパ球関連タンパク質4(Homo sapie
ns); Gene ID: 1493)のヌクレオチド610~722にコードされるポリペプチド配列である
か、又はこれを含む。
【0044】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、CTLA4由来の膜貫通ドメイン
を含むポリペプチドを含むTリンパ球であり、ここで、該CTLA4膜貫通ドメインは以下のア
ミノ酸配列であり、又はこれを含む。
【化13】
【0045】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、CTLA4由来の膜貫通ドメイン
を含むポリペプチドを含むTリンパ球であり、ここで、該CTLA4膜貫通ドメインは、GenBan
k Accession No. NM_005214.4(CTLA4 細胞毒性T-リンパ球関連タンパク質4(Homo sapie
ns); Gene ID: 1493)のヌクレオチド636~699にコードされるポリペプチド配列である
か、又はこれを含む。
【0046】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、CTLA4由来の膜貫通ドメイン
を含むポリペプチドを含むTリンパ球であり、ここで、該CTLA4膜貫通ドメインは以下のア
ミノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化14】
【0047】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、CTLA4由来の膜貫通ドメイン
を含むポリペプチドを含むTリンパ球であり、ここで、該CTLA4膜貫通ドメインは以下のポ
リペプチド配列であるか、又はこれを含む。
【化15】
【0048】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、CTLA4由来の膜貫通ドメイン
を含むポリペプチドを含むTリンパ球であり、ここで、該CTLA4膜貫通ドメインは以下のポ
リペプチド配列であるか、又はこれを含む。
【化16】
【0049】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、CTLA4由来の膜貫通ドメイン
を含むポリペプチドを含むTリンパ球であり、ここで、該CTLA4膜貫通ドメインは以下のポ
リペプチド配列であるか、又はこれを含む。
【化17】
【0050】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、CTLA4由来の膜貫通ドメイン
を含むポリペプチドを含むTリンパ球であり、ここで、該CTLA4膜貫通ドメインは以下のポ
リペプチド配列であるか、又はこれを含む。
【化18】
【0051】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、PD-1由来の膜貫通ドメインを
含むポリペプチドを含むTリンパ球であり、ここで、該PD-1膜貫通ドメインは以下のアミ
ノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化19】
【0052】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、PD-1由来の膜貫通ドメインを
含むポリペプチドを含むTリンパ球であり、ここで、該PD-1膜貫通ドメインは以下のアミ
ノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化20】
【0053】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、PD-1由来の膜貫通ドメインを
含むポリペプチドを含むTリンパ球であり、ここで、該PD-1膜貫通ドメインは以下のアミ
ノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化21】
【0054】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、PD-1由来の膜貫通ドメインを
含むポリペプチドを含むTリンパ球であり、ここで、該PD-1膜貫通ドメインは以下のアミ
ノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化22】
【0055】
特定の実施態様では、本明細書で提供されるTリンパ球(すなわち、本明細書に記載さ
れるポリペプチドを含むTリンパ球)に発現し、又はコードされるヌクレオチド配列は、
配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号
:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、又は配列番号:11に開示されるいずれかのア
ミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0056】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、膜貫通ドメインを含むポリペ
プチドを含むTリンパ球であり、ここで、該膜貫通ドメインは、配列番号:1、配列番号:2
、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番
号:9、配列番号:10、又は配列番号:11に開示される少なくとも10、11、12、13、14、15、
16、17、18、19、20、又は21の連続したアミノ酸であるか、又はこれを含む。特定の実施
態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されるポリペプチドをコードする
核酸を含むTリンパ球であり、ここで、該核酸は配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、
配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号
:10、又は配列番号:11に開示される少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19
、20、又は21の連続したアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0057】
特定の実施態様では、本明細書で提供されるTリンパ球に発現されるポリペプチドの細
胞外ドメインは、関心のある抗原と結合する受容体、又は受容体の一部を含む。該細胞外
ドメインは、例えば、該抗原と結合する受容体、又は受容体の一部であり得る。特定の実
施態様では、該細胞外ドメインは抗体またはその抗原結合部位を含むか、又はそのもので
ある。具体的な実施態様では、該細胞外ドメインは、単鎖Fvドメインを含むか、又はその
ものである。該単鎖Fvドメインは、例えば、可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含
むことができ、ここで、該VL及びVHは該抗原と結合する抗体に由来する。
【0058】
本明細書で提供されるTリンパ球に発現されるポリペプチドの細胞外ドメインが結合し
、そのためにT細胞が該ポリペプチドによって方向づけられる抗原は、例えば腫瘍細胞上
の抗原のような関心のある任意の抗原であり得る。該腫瘍細胞は、例えば、固形腫瘍中の
細胞、又は非固形腫瘍の細胞、例えば血液癌の細胞であり得る。特定の実施態様では、該
抗原は腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原である。特定の実施態様では、該抗原は、1以上
のカッパ、ラムダ、CD19、CD22、CD27、CD30、CD70、GD2、HER2、CEA、EGFRvIII、精子タ
ンパク質17、PSCA、メソセリン、PAP(前立腺酸性ホスファターゼ)、プロステイン、TAR
P(T細胞受容体ガンマオルターネイトリーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、STEA
P1(プロステイト1の6回膜貫通型上皮性抗原)及び/又はMUC-1である。様々な具体的態様
では、限定はされず、腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原は、Her2、前立腺幹細胞抗原(PS
CA)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、癌抗原-125(CA-125
)、CA19-9、カルレチニン、MUC-1、上皮性膜タンパク質(EMA)、上皮性腫瘍抗原(ETA
)、チロシナーゼ、メラノーマ関連抗原(MAGE)、CD34、CD45、CD99、CD117、クロモグ
ラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性
疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、タンパク質メラン-A(Tリンパ球に認識
されるメラノーマ抗原;MART-1)、myo-D1、筋特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラ
メント、神経特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトファイ
シス、チログロブリン、甲状腺転写因子-1、ピルビン酸キナーゼイソ酵素タイプM2の二量
体形(腫瘍M2-PK)、異常rasタンパク質、又は異常p53タンパク質である。他の具体的な
実施態様では、該腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原は、インテグリンαvβ3(CD61)、ガ
ラクチン、K-Ras(V-Ki-ras2キルステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、又はRal-Bであ
る。
【0059】
特定の実施態様では、本明細書に記載されるTリンパ球に発現されるポリペプチドの該
細胞外ドメインは、リンカー、スペーサー、又はヒンジポリペプチド配列、例えば、CD8
、CD28、CTLA4、又はPD-1に由来する配列により該ポリペプチドの該膜貫通ドメインに結
合される。
【0060】
特定の実施態様では、本明細書に記載されるTリンパ球に発現するポリペプチドの該細
胞内ドメインは、通常T細胞表面に発現し、該T細胞の活性化及び/又は増殖を引き起こす
タンパク質の細胞内ドメインである、又はこれを含む。具体的な実施態様では、該細胞内
ドメインは、CD3ζの細胞内シグナルドメインである。他の実施態様では、該細胞内ドメ
インは、リンパ球受容体鎖、TCR/CD3複合体タンパク質、Fc受容体サブユニット、又はIL-
2サブユニットに由来する。
【0061】
特定の実施態様では、本明細書に記載されるTリンパ球により発現されるポリペプチド
は、1以上の共刺激性ドメインを、例えば該ポリペプチドの細胞内ドメインの一部として
さらに含む。該1以上の共刺激性ドメインは、1以上の共刺激性CD27ポリペプチド配列、共
刺激性CD28ポリペプチド配列、共刺激性OX40(CD134)ポリペプチド配列、共刺激性4-1BB
(CD137)ポリペプチド配列、又は共刺激性誘導性T細胞共刺激性(ICOS)ポリペプチド配
列であり得、又はこれらを含み得る。
【0062】
具体的な実施態様では、本明細書で提供されるTリンパ球は、N末端からC末端に向けて
、順に:(i) 抗原結合ドメイン(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細胞上の
抗原に結合する抗原結合ドメイン);(ii) CD28又はCTLA4ヒンジポリペプチド配列;(iii
) CTLA4又はPD-1膜貫通ドメイン;(iv) 共刺激性ドメイン;及び(v) 細胞内シグナルドメ
インを含むポリペプチドを発現する、又は含む。具体的な実施態様では、該ポリペプチド
の抗原結合ドメインは、CD19に結合する。
【0063】
具体的な実施態様では、本明細書で提供されるTリンパ球は、N末端からC末端に向けて
、順に:(i) 抗原結合ドメイン(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細胞上の
抗原に結合する抗原結合ドメイン);(ii) CH2CH3ヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4
又はPD-1膜貫通ドメイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルド
メインを含むポリペプチドを発現する、又は含む。具体的な実施態様では、該ポリペプチ
ドの該抗原結合ドメインは、HER2に結合する。
【0064】
具体的な実施態様では、本明細書で提供されるTリンパ球は、N末端からC末端に向けて
、順に:(i) 抗原結合ドメイン(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細胞上の
抗原に結合する抗原結合ドメイン);(ii) CH2CH3ヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4
又はPD-1膜貫通ドメイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルド
メインを含むポリペプチドを発現する、又は含む。具体的な実施態様では、該ポリぺプチ
ドの該抗原結合ドメインは、HER2に結合する。
【0065】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるTリンパ球は、N末端からC末端に向
けて、順に:(i)リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメイン、ここで、該VL
及びVHは関心のある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば
、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) CD28ヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4膜貫通ドメ
イン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含むポリペ
プチドを発現する、又は含む。
【0066】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるTリンパ球は、N末端からC末端に向
けて、順に:(i)リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメイン、ここで、該VL
及びVHは関心のある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば
、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) CTLA4ヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4膜貫通ド
メイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含むポリ
ペプチドを発現する、又は含む。
【0067】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるTリンパ球は、N末端からC末端に向
けて、順に:(i)リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメイン、ここで、該VL
及びVHは関心のある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば
、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) CD28ヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1膜貫通ドメ
イン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含むポリペ
プチドを発現する、又は含む。
【0068】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるTリンパ球は、N末端からC末端に向
けて、順に:(i)リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメイン、ここで、該VL
及びVHは関心のある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば
、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) CTLA4ヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1膜貫通ドメ
イン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含むポリペ
プチドを発現する、又は含む。
【0069】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるTリンパ球は、N末端からC末端に向
けて、順に:(i)抗原結合ドメイン(例えば、腫瘍上の抗原、例えば、上記腫瘍細胞上の
抗原に結合する抗原結合ドメイン);(ii) PD-1ヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4又
はPD-1膜貫通ドメイン;(iv)共刺激性ドメイン;及び(v)細胞内シグナルドメインを含む
ポリペプチドを発現する、又は含む。
【0070】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるTリンパ球は、N末端からC末端に向
けて、順に:(i)リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメイン、ここで、該VL
及びVHは関心のある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば
、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) PD-1ヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4膜貫通ドメ
イン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含むポリペ
プチドを発現する、又は含む。
【0071】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるTリンパ球は、N末端からC末端に向
けて、順に:(i)リンカーによりVHに連結されるVLを含む単鎖Fvドメイン、ここで、該VL
及びVHは関心のある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば
、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) PD-1ヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1膜貫通ドメ
イン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含むポリペ
プチドを発現する、又は含む。
【0072】
具体的な実施態様では、本明細書で提供されるTリンパ球は、本明細書で提供する1以上
のポリペプチドを発現し、又は含み、該ポリぺププチドが、該ポリペプチドの該抗原結合
ドメイン又は単鎖Fvドメインが特異性を示す抗原に結合したときに、活性化状態、又は刺
激状態となり、増殖する。他の具体的な実施態様では、本明細書に記載されるTリンパ球
は本明細書で提供される1以上のポリペプチドを発現し、又は含み、Tリンパ球が該抗原を
発現する細胞と接触したときに、該ポリペプチドの該抗原結合ドメイン又は単鎖Fvドメイ
ンが特異性を示す抗原を発現する、又は含む細胞を殺す。
【0073】
他の態様では、本明細書で提供されるのは、疾病又は障害を有する個体の治療方法であ
って、ここで、該疾病又は障害は、抗原を発現する細胞により特徴づけられる、又は特徴
づけることができ、かつ本明細書で提供される1以上のTリンパ球、すなわち本明細書に記
載されるポリペプチドを含む、又は発現するTリンパ球を該個体に投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0074】
(4.図面の簡単な説明)
図1】CARを発現するレンチウイルスベクターによる該T細胞への伝達から3日後のT細胞によるCARの発現を示している。
【0075】
図2】(i) 休止期にある(第1のバー)、(ii) 抗CD28に曝露した後の(第2のバー);(iii) 0.25 μg/ml HER2-Fcに曝露した後の;(iv) 0.5 μg/ml HER2-Fcに曝露した後の;及び(v) 1.0 μg/ml HER2-Fcに曝露した後の、CAR T細胞によるインターロイキン-2(IL-2)の産生を示している。
【0076】
図3】(i) 休止期にある(第1のバー)、(ii) CD28に曝露した後の(第2のバー);(iii) 0.25 μg/ml HER2-Fcに曝露した後の;(iv) 0.5 μg/ml HER2-Fcに曝露した後の;及び(v) 1.0 μg/ml HER2-Fcに曝露した後のCAR T細胞によるGM-CSF産生を示している。
【0077】
図4】(i) 休止期にある(第1のバー)、(ii) CD28に曝露した後の(第2のバー)、(iii) 0.25 μg/ml HER2-Fcに曝露した後の;(iv) 0.5 μg/ml HER2-Fcに曝露した後の;及び(v) 1.0 μg/ml HER2-Fcに曝露した後のCAR T細胞によるインターフェロン-ガンマ(IFN-γ)の産生を示している。
【0078】
図5】1.0 μg/ml HER2-Fcに複数回曝露した後のCAR T細胞による細胞内腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)の産生を示している。
【0079】
図6】特定の抗HER2 CARを発現する、又は偽発現対照のCAR T細胞の、HER2-Fcによる刺激の不存在時(上のパネル)及び存在時(下のパネル)のパーセンテージを示している。A) 偽発現、HER2-28TMζ、又はHER2-28TM28ζを発現する抗HER2 CAR T細胞のパーセンテージ。B) HER2-CTLA4TM28ζ又はHER2-4-1BBTM28ζを発現する抗HER2 CAR T細胞のパーセンテージ。
【0080】
図7】CARを発現するレンチウイルスベクターによるT細胞への伝達から11日後のT細胞によるCARの発現を示している。
【0081】
図8】(i) 休止期にある、(ii) 0.25、0.5、又は1.0 μg/ml HER2-Fcに曝露した後の;又は(iii) CD3/CD28の結合の後のCAR T細胞によるIL-2、TNF-α、及びIFN-γの産生を示している。各群の第1の(最も左の)バー:偽伝達細胞(CARを発現していない);各群の第2のバー:HER-PD1TM-CD28-CD3と名付けられたCARを伝達された細胞;各群の第3のバー:HER-CTLA4(189)TM-41BB-CD3と名付けられたCARを伝達された細胞;各群の第4のバー:HER-PD1TM-41BB-CD3と名付けられたCARを伝達された細胞;各群の第5の(最も右の)バー:HER2-CD28TM-CD28-CD3と名付けられたCARを伝達された細胞。
【0082】
図9】(i) 休止期にある、(ii) 0.25、0.5、又は1.0 μg/ml HER2-Fcに曝露した後の;又は(iii) CD3/CD28の結合の後のCAR T細胞によるGM-CSF、グランザイムB、及びIL-13産生を示している。各群の第1の(最も左の)バー:偽伝達細胞(CARを発現していない);各群の第2のバー:HER-PD1TM-CD28-CD3と名付けられたCARを伝達された細胞;各群の第3のバー:HER-CTLA4(189)TM-41BB-CD3と名付けられたCARを伝達された細胞;各群の第4のバー:HER-PD1TM-41BB-CD3と名付けられたCARを伝達された細胞;各群の第5の(最も右の)バー:HER2-CD28TM-CD28-CD3と名付けられたCARを伝達された細胞。
【0083】
図10】HER2-Fcによる刺激後の生存T細胞数が示されている。第1の(最も左の)バー:HER2-CD28TM-CD28-CD3と名付けられたCARを伝達された細胞;第2のバー:HER-PD1TM-CD28-CD3と名付けられたCARを伝達された細胞;第3のバー:HER-CTLA4(189)TM-41BB-CD3と名付けられたCARを伝達された細胞;第4のバー:HER-PD1TM-41BB-CD3と名付けられたCARを伝達された細胞;第5の(最も右の)バー:偽伝達細胞(CARを発現していない)。
【発明を実施するための形態】
【0084】
(5.詳細な記述)
一態様では、本明細書で提供されるのは、免疫系細胞、例えばTリンパ球(T細胞)によ
って発現することができ、そのような免疫系細胞において膜結合型であり、かつ通常その
ような免疫系細胞に抑制シグナルを伝達する免疫系タンパク質由来の膜貫通ドメイン、例
えばCTLA4(細胞毒性T-リンパ球抗原4又は細胞毒性T-リンパ球関連タンパク質4)又はPD-
1(プログラム細胞死-1)由来の膜貫通ドメインを含む、例えばキメラ抗原受容体(例え
ば、Eshharの米国特許番号第7,741,465号を参照されたい)のようなポリペプチドである
。さらに本明細書で提供されるのは、本明細書に記載される該ポリペプチドをコードする
核酸配列である。同様に本明細書で提供されるのは、そのようなポリペプチドを発現する
免疫系細胞、例えばTリンパ球(例えば、T細胞)である。
【0085】
本明細書で提供される該ポリペプチドは、抗原、例えば、細胞上の抗原に結合する細胞
外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び免疫細胞に第1の活性化シグナルを伝達する細胞内(
細胞質)シグナルドメインを含む。本明細書で提供される該ポリペプチドは例えばT細胞
の表面に発現されたとき、及び該CARの該細胞外ドメインが抗原と結合したときに、該細
胞内シグナルドメインが、活性化し、及び/又は増殖するための、及び該抗原が細胞表面
にある場合に該抗原を発現する細胞を殺すためのシグナルを、Tリンパ球に伝達する。Tリ
ンパ球は完全に活性化するために2つのシグナル、第1の活性化シグナル及び共刺激性シグ
ナルを要求するため、特定の実施態様では、本明細書に記載される該ポリペプチドは、該
細胞外ドメインへの該抗原の結合が、第1の活性化シグナル及び共刺激性シグナルの双方
の伝達をもたらすように共刺激性ドメインを含み得る。
【0086】
本明細書で提供される該ポリペプチド、例えばCARは、T細胞共刺激性タンパク質、例え
ばCTLA4又はPD-1に由来する膜貫通ドメインを含む、機能的な免疫刺激ポリペプチドであ
る。一態様では、本明細書で提供されるのは、(i) CTLA4又はPD-1に由来する膜貫通ドメ
イン、(ii) リンパ球表面に発現し、該リンパ球の活性化及び/又は増殖を引き起こす内在
性タンパク質の細胞内ドメイン(例えば、細胞質ドメイン)、及び(iii) 抗原に結合する
細胞外ドメインを含むポリペプチドであり、ここで、該膜貫通ドメインがCTLA4由来であ
る場合は、該ポリペプチドの該細胞内ドメイン及び細胞外ドメインは、CTLA4由来ではな
く;かつ該膜貫通ドメインがPD-1由来である場合は、該ポリペプチドの該細胞内ドメイン
及び細胞外ドメインは、PD-1由来ではない。具体的な実施態様では、本明細書に記載され
るポリペプチドを発現するTリンパ球は、該ポリペプチドが、該ポリペプチドが特異性を
示す抗原(すなわち、該ポリペプチドの細胞外ドメインにより結合される抗原)に結合す
る時に、活性化され、又は刺激されて増殖する。具体的な実施態様では、該ポリペプチド
は、Tリンパ球表面に発現された場合、該Tリンパ球を該抗原を発現する細胞を殺すよう方
向づける。
【0087】
特定の実施態様では、本明細書で提供される該ポリペプチドは、CTLA4又はPD-1、又は
それらの一部に由来する膜貫通ドメインを含み、ここで、該CTLA4又はPD-1膜貫通ドメイ
ンは、哺乳類CTLA4又はPD-1、例えばヒト、霊長類、齧歯類、例えばマウスのCTLA4又はPD
-1に由来する。具体的な実施態様では、該膜貫通ドメインは、CTLA4又はPD-1の細胞内ド
メイン、細胞外ドメイン、又は該細胞内若しくは細胞外ドメインのいずれかに由来するア
ミノ酸配列を含まない。CTLA4又はPD-1の膜貫通ドメイン配列の具体的な、限定されない
例は、以下に提供される。
【0088】
具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、CTLA4に由来する膜貫通ドメイン
を含むポリペプチドであり、ここで、該CTLA4膜貫通ドメインはヒトctla4遺伝子(例えば
、GenBank Accession No. NM_005214.4 (CTLA4 細胞毒性T-リンパ球関連タンパク質4(Ho
mo sapiens);Gene ID: 1493))のエキソン3にコードされるポリペプチド配列である。
【0089】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、以下のアミノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化23】
【0090】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、GenBank Accession No. NM_005214.4 (CTLA4 細胞毒性T-リンパ球関連タンパク
質4(Homo sapiens);Gene ID: 1493)のヌクレオチド610~722にコードされるポリペプ
チド配列であるか、又はこれを含む。
【0091】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、以下のアミノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化24】
【0092】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、GenBank Accession No. NM_005214.4 (CTLA4 細胞毒性T-リンパ球関連タンパク
質4(Homo sapiens);Gene ID: 1493)のヌクレオチド636~699にコードされるポリペプ
チド配列であるか、又はこれを含む。
【0093】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、以下のアミノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化25】
【0094】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、以下のポリペプチド配列であるか、又はこれを含む。
【化26】
【0095】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、以下のポリペプチド配列であるか、又はこれを含む。
【化27】
【0096】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、以下のポリペプチド配列であるか、又はこれを含む。
【化28】
【0097】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該CTLA4膜貫通ドメ
インは、以下のポリペプチド配列であるか、又はこれを含む。
【化29】
【0098】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該PD-1膜貫通ドメイ
ンは、以下のアミノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化30】
【0099】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該PD-1膜貫通ドメイ
ンは、以下のアミノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化31】
【0100】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該PD-1膜貫通ドメイ
ンは、以下のアミノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化32】
【0101】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの該PD-1膜貫通ドメイ
ンは、以下のアミノ酸配列であるか、又はこれを含む。
【化33】
【0102】
本明細書に記載される該CTLA-4及びPD-1の膜貫通ドメイン配列(すなわち、配列番号:1
、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番
号:8、配列番号:9、配列番号:10、及び配列番号:11)に例示されるように、本明細書に記
載される該膜貫通ドメインは、特定の実施態様では、それらが由来するタンパク質(すな
わち、CTLA-4又はPD-1)の該細胞外ドメインに由来する1以上のアミノ酸及び/又は該細胞
内ドメインに由来する1以上のアミノ酸を含む。特定の実施態様では、本明細書に記載さ
れる該膜貫通ドメインは、それが由来するタンパク質(すなわち、CTLA-4又はPD-1)の細
胞外ドメインに由来する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17
、18、19、20、21、22、23、24、又は25アミノ酸を含む。特定の実施態様では、本明細書
に記載される膜貫通ドメインは、それらが由来するタンパク質(すなわち、CTLA-4又はPD
-1)の細胞内ドメインに由来する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15
、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25アミノ酸を含む。特定の実施態様では、
本明細書に記載される該膜貫通ドメインは、(i) それらが由来するタンパク質(すなわち
、CTLA-4又はPD-1)の該細胞外ドメインに由来する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11
、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25アミノ酸及び(ii) そ
れらが由来するタンパク質(すなわち、CTLA-4又はPD-1)の該細胞内ドメインに由来する
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、2
3、24、又は25アミノ酸を含む。
【0103】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、膜貫通ドメインを含むポリペ
プチドであり、ここで、該膜貫通ドメインは、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配
列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:1
0、又は配列番号:11に開示される少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、
20、又は21の連続アミノ酸であり、又はこれを含む。他の具体的な実施態様では、本明細
書で提供されるのは、膜貫通ドメインを含むポリペプチドであり、ここで、該膜貫通ドメ
インが配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配
列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、又は配列番号:11と少なくとも75%、
少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%一致する。
【0104】
特定の実施態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に開示されるポリペプチド
の1つをコードするヌクレオチド配列である。具体的な実施態様では、本明細書で提供さ
れるのは、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6
、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、又は配列番号:11に開示されるい
ずれかのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むヌクレオチド配列である。他
の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されるポリペプチ
ドをコードする核酸であり、ここで、該核酸は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、
配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号
:10、又は配列番号:11に開示される少なくとも10、11、12、13、14、15、16、17、18、19
、20、又は21の連続アミノ酸をコードするヌクレオチド配列を含む。他の具体的な実施態
様では、本明細書で提供されるのは、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4
、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、又は
配列番号:11と少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少
なくとも95%一致するポリペプチドをコードする核酸配列である。
【0105】
本明細書で提供される該ポリペプチドを構築する際に、特定の実施態様では、ヒト配列
は、非ヒト配列と組み合され得る。例えば、ヒト細胞外及び細胞内ドメインのアミノ酸配
列を含むポリペプチドは、ヒトでない種に由来する膜貫通ドメインを含み得る;例えば、
マウスCTLA4の膜貫通ドメインまたはマウスPD-1の膜貫通ドメインを含み得る。より具体
的な実施態様では、該ポリペプチドは、該細胞外及び細胞内ドメインについてはヒトのア
ミノ酸配列を含み、かつ配列番号:5のアミノ酸配列を有し、又はそれからなる膜貫通ドメ
インを含む。
【0106】
本明細書で提供される該ポリペプチドの細胞外ドメインは、関心のある抗原と結合する
。特定の実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドの細胞外ドメインは、該抗原
と結合する受容体、又は受容体の一部を含む。該細胞外ドメインは、例えば、該抗原と結
合する受容体、又は受容体の一部であり得る。特定の実施態様では、該細胞外ドメインは
、抗体又はその抗原結合部位を含む、又はそのものである。具体的な実施態様では、該細
胞外ドメインは、単鎖Fvドメインを含む、又はそのものである。該単鎖Fvドメインは、例
えば、可動性リンカーによりVHに連結されたVLを含むことができ、ここで、該VL及びVH
該抗原に結合する抗体に由来する。
【0107】
本明細書で提供される該ポリペプチドの該細胞外ドメインが結合する/認識する該抗原
は、関心のある任意の抗原であり得、例えば、腫瘍細胞上の抗原であり得る。該腫瘍細胞
は、例えば、固形腫瘍中の細胞、又は非固形腫瘍の細胞、例えば、血液癌の細胞であり得
る。該抗原は、任意の腫瘍又は癌種の細胞に発現される任意の抗原であり得る。これは例
えば、リンパ種、肺癌、乳癌、前立腺癌、副腎皮質癌、甲状腺癌、上咽頭癌、メラノーマ
、例えば悪性メラノーマ、皮膚癌、結腸癌、類腱腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、内分泌
腫瘍、ユーイング肉腫、末梢性原始神経外胚葉腫瘍、固形胚細胞腫瘍、肝芽細胞腫、神経
芽細胞腫、非横紋筋肉腫性軟部組織肉腫(non-rhabdomyosarcoma soft tissue sarcoma)
、骨肉腫、網膜芽腫、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、神経膠芽細胞腫、粘液腫、線維腫、
脂肪腫等の細胞である。より具体的な実施態様では、該リンパ腫は、慢性リンパ性白血病
(小型リンパ性リンパ腫)、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワ
ルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾臓周辺帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形
質細胞腫、節外周辺帯B細胞リンパ腫、MALTリンパ腫、節周辺帯B細胞リンパ腫、濾胞性リ
ンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞
型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出液リンパ腫、バーキットリ
ンパ腫、Tリンパ球前リンパ球性白血病、Tリンパ球大型顆粒リンパ球性白血病、侵攻性NK
細胞白血病、成人Tリンパ球白血病/リンパ腫、節外性NK/Tリンパ球リンパ腫、鼻型、腸疾
患型Tリンパ球リンパ腫、肝脾Tリンパ球リンパ腫、芽球性NK細胞リンパ腫、菌状息肉腫、
セザリー症候群、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫、リンパ腫様丘疹症、血管免疫芽球性
Tリンパ球リンパ腫、末梢性Tリンパ球リンパ腫(不特定)、未分化大細胞リンパ腫、ホジ
キンリンパ腫、又は非ホジキンリンパ腫である。特定の癌に特異的な抗原並びにそのよう
な抗原を同定する方法は、当該技術分野で公知である。
【0108】
癌が慢性リンパ球性白血病(CLL)である具体的な実施態様では、CLLのB細胞は正常核
型を有する。癌が慢性リンパ球性白血病(CLL)である他の具体的な実施態様では、CLLの
B細胞は17pの欠失、11qの欠失、12qのトリソミー、13qの欠失、又はp53の欠失を保有する
【0109】
特定の実施態様では、本明細書に記載されるポリペプチドの該細胞外ドメインに認識さ
れる抗原は、腫瘍関連抗原(TAA)又は腫瘍特異的抗原(TSA)である。様々な具体的な実
施態様では、該腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原は、限定されることなく、Her2、前立腺
幹細胞抗原(PSCA)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、癌抗
原-125(CA-125)、CA19-9、カルレチニン、MUC-1、上皮性膜タンパク質(EMA)、上皮性
腫瘍抗原(ETA)、チロシナーゼ、メラノーマ関連抗原(MAGE)、CD19、CD22、CD27、CD3
0、CD34、CD45、CD70、CD99、CD117、EGFRvIII(表皮性成長因子バリアントIII)、メソ
セリン、PAP(前立腺酸性ホスファターゼ)、プロステイン、TARP(T細胞受容体ガンマオ
ルターネイトリーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、STEAP1(プロステイト1の6回
膜貫通型上皮性抗原)、クロモグラニン、サイトケラチン、デスミン、グリア線維酸性タ
ンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、タンパ
ク質メラン-A(Tリンパ球に認識されるメラノーマ抗原;MART-1)、myo-D1、筋特異的ア
クチン(MSA)、ニューロフィラメント、神経特異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホ
スファターゼ、シナプトファイシス、チログロブリン、甲状腺転写因子-1、ピルビン酸キ
ナーゼイソ酵素タイプM2の二量体形(腫瘍M2-PK)、異常rasタンパク質、又は異常p53タ
ンパク質である。
【0110】
特定の実施態様では、本明細書に記載されるポリペプチドの該細胞外ドメインに認識さ
れる該TAA又はTSAは、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、又はRal-Bである。
【0111】
特定の実施態様では、本明細書に記載されたポリペプチドの該細胞外ドメインに認識さ
れる該TAA又はTSAは、癌/精巣(CT)抗原、例えば、BAGE、CAGE、CTAGE、FATE、GAGE、HC
A661、HOM-TES-85、MAGEA、MAGEB、MAGEC、NA88、NY-ESO-1、NY-SAR-35、OY-TES-1、SPAN
XB1、SPA17、SSX、SYCP1、又はTPTEである。
【0112】
特定の他の実施態様では、本明細書に記載されるポリペプチドの該細胞外ドメインに認
識される該TAA又はTSAは、糖又はガングリオシド、例えば、fuc-GM1、GM2(癌胎児性抗原
免疫性-1;OFA-I-1);GD2(OFA-I-2)、GM3、GD3などである。
【0113】
特定の他の実施態様では、本明細書に記載されるポリペプチドの該細胞外ドメインに認
識される該TAA又はTSAは、アルファ-アクチニン-4、Bage-1、BCR-ABL、Bcr-Abl融合タン
パク質、ベータ-カテニン、CA 125、CA 15-3(CA 27.29\BCAA)、CA 195、CA 242、CA-5
0、CAM43、Casp-8、cdc27、cdk4、cdkn2a、CEA、coa-1、dek-can融合タンパク質、EBNA、
EF2、エプスタイン-バールウイルス抗原、ETV6-AML1融合タンパク質、HLA-A2、HLA-A11、
hsp70-2、KIAAO205、Mart2、Mum-1、2、及び3、neo-PAP、ミオシンクラスI、OS-9、pml-R
ARα融合タンパク質、PTPRK、K-ras、N-ras、トリオースリン酸イソメラーゼ、Gage 3、4
、5、6、7、GnTV、Herv-K-mel、Lage-1、NA-88、NY-Eso-1/Lage-2、SP17、SSX-2、TRP2-I
nt2、gp100(Pmel 17)、チロシナーゼ、TRP-1、TRP-2、MAGE-1、MAGE-3、RAGE、GAGE-1
、GAGE-2、p15(58)、RAGE、SCP-1、Hom/Mel-40、PRAME、p53、H-Ras、HER-2/neu、E2A-PR
L、H4-RET、IGH-IGK、MYL-RAR、ヒトパピローマウイルス(HPV)抗原E6及びE7、TSP-180
、MAGE-4、MAGE-5、MAGE-6、p185erbB2、p180erbB-3、c-met、nm-23H1、PSA、TAG-72-4、
CA 19-9、CA 72-4、CAM 17.1、NuMa、K-ras、13-カテニン、Mum-1、p16、TAGE、PSMA、CT
7、テロメラーゼ、43-9F、5T4、791Tgp72、13HCG、BCA225、BTAA、CD68\KP1、CO-029、F
GF-5、G250、Ga733(EpCAM)、HTgp-175、M344、MA-50、MG7-Ag、MOV18、NB\70K、NY-CO
-1、RCAS1、SDCCAG16、TA-90、TAAL6、TAG72、TLP、又はTPSである。他の腫瘍関連及び腫
瘍特異的抗原は、当業者に公知である。
【0114】
TSA及びTAAに結合する抗体、scFvは、それらをコードするヌクレオチド配列同様、当該
分野で公知である。
【0115】
特定の具体的な実施態様では、本明細書に記載されるポリペプチドの該細胞外ドメイン
に認識される該抗原は、TSA又はTAAであるとは考えられないが、にもかかわらず腫瘍細胞
又は腫瘍によりもたらされる傷害に関連する抗原である。特定の実施態様では、例えば、
該抗原は、例えば、成長因子、サイトカイン、又はインターロイキン、例えば、血管形成
又は脈管形成に関連する成長因子、サイトカイン、又はインターロイキンである。そのよ
うな成長因子、サイトカイン、又はインターロイキンは、例えば、血管内皮増殖因子(VE
GF)、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、肝細胞増殖因
子(HGF)、インスリン様成長因子(IGF)、又はインターロイキン-8(IL-8)を含み得る
。腫瘍は該腫瘍の局所の低酸素環境を生み出すこともできる。従って、他の具体的な実施
態様では、該抗原は低酸素関連因子、例えば、HIF-1α、HIF-1β、HIF-2α、HIF-2β、HI
F-3α、又はHIF-3βである。腫瘍は正常組織に局所的な傷害をもまたもたらし、損傷関連
分子パターン分子(DAMP;アラーミンとしても知られる)として公知の分子の放出をもた
らし得る。特定の他の具体的な実施態様では、そのため、該抗原はDAMP、例えば熱ショッ
クタンパク質、染色体関連タンパク質高運動性群ボックス1(HMGB1)、S100A8(MRP8、カ
ルグラニュリンA)、S100A9(MRP14、カルグラニュリンB)、血清アミロイドA(SAA)で
あり、又はデオキシリボ核酸、アデノシントリリン酸、尿酸、又はヘパリン硫酸であり得
る。
【0116】
特定の実施態様では、本明細書に記載される該ポリペプチドの該細胞外ドメインは、リ
ンカー、スペーサー、又はヒンジポリペプチド配列、例えば、CD28由来の配列又はCTLA4
由来の配列により該ポリぺプチドの膜貫通ドメインに結合される。
【0117】
特定の実施態様では、本明細書に記載されるポリペプチドの該細胞内ドメインは、T細
胞の表面に発現し、かつ該T細胞の活性化及び/又は増殖を引き起こすタンパク質の細胞内
ドメイン又はモチーフであるか、又はこれを含む。そのようなドメイン又はモチーフは、
CARの細胞外部分への抗原の結合に応答するTリンパ球の活性化に必要な第1抗原結合シグ
ナルを伝達することができる。一般に、このドメイン又はモチーフは、ITAM(免疫受容活
性化チロシンモチーフ)を含む、又はそのものである。CARにとって好適なITAM含有ポリ
ペプチドは、例えば、ジータCD3鎖(CD3ζ)又はそのITAM含有部分を含む。具体的な実施
態様では、該細胞内ドメインは、CD3ζの細胞内シグナルドメインである。他の具体的な
実施態様では、該細胞内ドメインは、リンパ球受容体鎖、TCR/CD3複合体タンパク質、Fc
受容体サブユニット、又はIL-2受容体サブユニットに由来する。
【0118】
特定の実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、1以上の共刺激性ドメイ
ン又はモチーフを、例えば該ポリペプチドの該細胞内ドメインの一部として、さらに含む
。該1以上の共刺激性ドメイン又はモチーフは、1以上の共刺激性CD27ポリペプチド配列、
共刺激性CD28ポリペプチド配列、共刺激性OX40(CD134)ポリペプチド配列、共刺激性4-1
BB(CD137)ポリペプチド配列、又は共刺激性誘導性T細胞共刺激性(ICOS)ポリペプチド
配列、又は他の共刺激性ドメイン又はモチーフであり得、又はこれらを含み得る。
【0119】
具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に向け
て、順に:(i) 抗原結合ドメイン(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細胞上
の抗原に結合する抗原結合ドメイン);(ii) CD28又はCTLA4ヒンジポリペプチド配列;(i
ii) CTLA4又はPD-1膜貫通ドメイン;(iv) 共刺激性ドメイン;及び(v) 細胞内シグナルド
メインを含む。
【0120】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) 抗原結合ドメイン(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細
胞上の抗原に結合する抗原結合ドメイン);(ii) CH2CH3ヒンジポリペプチド配列;(iii)
CTLA4又はPD-1膜貫通ドメイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグ
ナルドメインを含む。
【0121】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) 抗原結合ドメイン(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細
胞上の抗原に結合する抗原結合ドメイン);(ii) CD28ヒンジポリペプチド配列;(iii) C
TLA4又はPD-1膜貫通ドメイン;(iv) 4-1BB共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナ
ルドメインを含む。
【0122】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) 抗原結合ドメイン(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細
胞上の抗原に結合する抗原結合ドメイン);(ii) PD-1ヒンジポリペプチド配列;(iii) C
TLA4又はPD-1膜貫通ドメイン;(iv) 共刺激性ドメイン;及び(v) 細胞内シグナルドメイン
を含む。
【0123】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i)リンカーによりVHに連結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、
該VL及びVHは関心のある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例
えば、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) CD28ヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4膜貫通
ドメイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む。
【0124】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) リンカーによりVHに連結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、
該VL及びVHは関心のある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例
えば、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) CTLA4ヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4膜貫
通ドメイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む
【0125】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) リンカーによりVHに連結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、
該VL及びVHは関心のある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例
えば、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) CD28ヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1膜貫通
ドメイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む。
【0126】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) リンカーによりVHに連結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、
該VL及びVHは関心のある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例
えば、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) CTLA4ヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1膜貫通
ドメイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む。
【0127】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) リンカーによりVHに連結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、
該VL及びVHは関心のある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例
えば、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) CTLA4ヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1膜貫通
ドメイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む。
【0128】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) 抗原結合ドメイン(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細
胞上の抗原に結合する抗原結合ドメイン);(ii) PD-1ヒンジポリペプチド配列;(iii) C
TLA4又はPD-1膜貫通ドメイン;(iv) 共刺激性ドメイン;及び(v) 細胞内シグナルドメイン
を含む。
【0129】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) リンカーによりVHに連結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、
該VL及びVHは関心のある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例
えば、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) PD-1ヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4膜貫通
ドメイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む。
【0130】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) リンカーによりVHに連結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、
該VL及びVHは関心のある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例
えば、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) PD-1ヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1膜貫通
ドメイン;(iv) CD28共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む。
【0131】
他の具体的な実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドは、N末端からC末端に
向けて、順に:(i) リンカーによりVHに連結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、
該VL及びVHは関心のある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例
えば、上記腫瘍細胞上の抗原);(ii) CTLA4ヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4膜貫
通ドメイン;(iv) 4-1BB共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む
【0132】
他の具体的な実施態様では、該ポリペプチドは、N末端からC末端に向けて、順に:(i)
リンカーによりVHに連結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、該VL及びVHは関心の
ある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細胞
上の抗原);(ii) CD28ヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1膜貫通ドメイン;(iv) 4-1BB
共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む。
【0133】
他の具体的な実施態様では、該ポリペプチドは、N末端からC末端に向けて、順に:(i)
リンカーによりVHに連結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、該VL及びVHは関心の
ある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細胞
上の抗原);(ii) CTLA4ヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1膜貫通ドメイン;(iv) 4-1B
B共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む。
【0134】
他の具体的な実施態様では、該ポリペプチドは、N末端からC末端に向けて、順に:(i)
リンカーによりVHに連結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、該VL及びVHは関心の
ある抗原に結合する抗体に由来する(例えば、腫瘍細胞上の抗原、例えば、上記腫瘍細胞
上の抗原);(ii) PD-1ヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4膜貫通ドメイン;(iv) 4-1B
B共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζ細胞内シグナルドメインを含む。
【0135】
(5.1.単離ポリペプチド(キメラ抗原受容体))
CTLA4又はPD-1膜貫通ドメインを含む本明細書で提供されるTリンパ球刺激性ポリペプチ
ドは、例えば、アシル化、アミド化、グリコシル化、メチル化、リン酸化、硫酸化、SUMO
化、ユビキチン化等により修飾され得る。該ポリペプチドは、検出可能なシグナルを提供
することのできる標識、例えば、放射性同位体及び蛍光化合物により標識され得る。該第
1又は第2ポリペプチドの1以上の側鎖は、例えば、リシン及びアミノ末端残基のコハク酸
又は他の無水カルボン酸による誘導体化、又はメチルピコリンイミダート;ピリドキサー
ルリン酸;ピリドキサール;クロロボロヒドリド;トリニトロベンゼンスルホン酸;O-メ
チルイソ尿素;2,4ペンタンジオン;及びグリオキシル酸を用いたトランスアミナーゼ触
媒反応による誘導体化など、誘導体化され得る。カルボキシル側鎖、アスパルチル、又は
グルタミルは、1-シクロヘキシル-3-(2-モルフォリニル-(4-エチル)カルボジイミド又は1
-エチル-3-(4-アゾニア-4,4-ジメチルペンチル)カルボジイミドのようなカルボジイミド
(R―N=C=N―R')による反応により選択的に修飾され得る。
【0136】
(5.2.単離核酸)
本明細書で提供されるのは、本明細書で提供される1以上の該ポリペプチドをコードす
る核酸配列(ポリヌクレオチド)である。該ポリヌクレオチドは免疫細胞、例えばTリン
パ球の形質転換に好適な任意のポリヌクレオチドベクターを含み得る。例えば、Tリンパ
球は、該第1及び第2ポリペプチド(例えば、キメラ受容体)をコードするポリヌクレオチ
ドを含む合成ベクター、レンチウイルス又はレトロウイルスベクター、自律複製プラスミ
ド、ウイルス(例えば、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、又はヘルペ
スウイルス)等を用いて形質転換することができる。Tリンパ球の形質転換に好適なレン
チウイルスベクターは、限定はされないが、例えば、米国特許番号第5,994,136号;第6,1
65,782号;第6,428,953号;第7,083,981号;及び7,250,299号に記載される該レンチウイ
ルスベクターを含み、これらの開示は、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。
Tリンパ球の形質転換に好適なHIVベクターは、限定はされないが、例えば、米国特許番号
第5,665,577号に記載する該ベクターを含み、これらの開示は、その全体が引用により本
明細書に組み込まれる。
【0137】
該第1及び第2ポリペプチドの産生に有用な核酸、例えば改変Tリンパ球内におけるもの
には、DNA、RNA、又は核酸アナログが含まれる。核酸アナログは塩基部分、糖部分、又は
リン酸骨格を修飾することができ、デオキシチミジンに対するデオキシウリジンによる置
換、デオキシシチジンに対する5-メチル-2'-デオキシシチジン又は5-ブロモ-2'-デオキシ
シチジンによる置換を含み得る。糖部分の修飾は、リボース糖の2'ヒドロキシル基に2'-O
-メチル又は2'O-アリル糖を形成させる修飾を含み得る。デオキシリボースリン酸骨格は
修飾され、各々の塩基部分が6員のモルフォリノ環で連結されているモルフォリノ核酸、
又はデオキシリン酸骨格が偽ペプチド骨格に置換され、かつ4種の塩基が保持されるペプ
チド核酸を生じ得る。例えば、Summerton及びWellerの文献(1997)Antisense Nucleic A
cid Drug Dev. 7: 187-195; 及びHyrupらの文献(1996)Bioorgan. Med. Chain. 4: 5-23
を参照されたい。さらに、デオキシリン酸骨格は、例えば、ホスホロチオエート又はホス
ホロジチオエート骨格、ホスホロアミダイト、又はアルキルホスホトリエステル骨格で置
換され得る。
【0138】
(5.3.Tリンパ球)
本明細書で提供されるのは、本明細書で提供される該ポリペプチドを含む免疫細胞、例
えばTリンパ球である。本明細書で提供される該Tリンパ球は、ナイーブT細胞又はMHCに拘
束されるTリンパ球であり得る。特定の実施態様では、本明細書で提供される該Tリンパ球
は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)である。特定の実施態様では、本明細書で提供される該Tリン
パ球は腫瘍生検から単離され、又は腫瘍生検から単離されたTリンパ球から拡張された。
特定の他の実施態様では、本明細書で提供されるTリンパ球は末梢血、臍帯血、又はリン
パから拡張されたTリンパ球から単離され、又は拡張された。
【0139】
特定の実施態様では、本明細書で提供されるポリペプチドを含む本明細書で提供される
該免疫細胞、例えば改変型Tリンパ球は、該改変型Tリンパ球が投与されるべき個体にとっ
て自己由来である。特定の実施態様では、本明細書で提供される該改変型Tリンパ球は、
改変型Tリンパ球が投与されるべき個体にとって同種異系である。改変型Tリンパ球の調製
に同種異系のTリンパ球が使用される場合、Tリンパ球は個体における移植片対宿主病(GV
HD)の可能性を減らすよう選択され得る。例えば、特定の実施態様では、ウイルス特異的
Tリンパ球が改変型Tリンパ球の調製用に選択され得る。そのようなリンパ球は、任意の受
容者の抗原に対して結合し、それにより活性化される固有の能力が大きく低下しているこ
とが期待されるだろう。特定の実施態様では、受容者を介した同種異系Tリンパ球の拒絶
反応は、1以上の免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、シ
クロホスファミド等を宿主に共投与することにより低減することができる。
【0140】
一実施態様では、Tリンパ球は個体から取得され、任意に拡張され、かつ続いて本明細
書に記載されるCTLA4またはPD-1の膜貫通ドメインを含むポリペプチドをコードするポリ
ヌクレオチドで形質転換され、かつ任意に拡張される。他の実施態様では、Tリンパ球は
個体から取得され、続いて任意に拡張され、かつ続いて本明細書に記載されるCTLA4又はP
D-1の膜貫通ドメインを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドで形質転換され
、かつ続いて任意に少なくとももう一度、拡張される。ポリヌクレオチドを含む細胞は選
択マーカーを用いて選択され得る。
【0141】
特定の実施態様では、本明細書に記載される該改変型Tリンパ球は、該CTLA4又はPD-1の
膜貫通ドメインを含むポリペプチドに加え、固有のTCRタンパク質、例えば、固有のTCR複
合体を形成することのできるTCR-α及びTCR-βを発現し、又は含む。特定の他の実施態様
では、該改変型Tリンパ球におけるTCR-α及びTCR-βをコードする固有の遺伝子のいずれ
か又は両方が、機能しなくなるように、例えば、一部またはすべてが欠失する、変異が挿
入される等して改変される。
【0142】
特定の実施態様では、本明細書に記載される該Tリンパ球は腫瘍巣、例えば、腫瘍浸潤
リンパ球から単離される;そのようなTリンパ球はTSA又はTAAに特異的であることが期待
される。
【0143】
特定の実施態様では、該CTLA4又はPD-1の膜貫通ドメインを含むポリペプチド、例えば
、CARのシグナルモチーフは、本明細書に記載される該改変型Tリンパ球の増殖及び拡張を
促進するために使用することができる。例えば、非改変型Tリンパ球、及びCD3ζシグナル
ドメイン及びCD28共刺激性ドメインを含むポリペプチドを含むTリンパ球は、CD3及びCD28
に対する抗体、例えばビーズ、又は細胞培養プレートの表面に付着させた抗体を用いるこ
とで拡張することができる;例えば、米国特許番号第5,948,893号;第6,534,055号;第6,
352,694号;第6,692,964号;第6,887,466号;及び第6,905,681号を参照されたい。特定の
実施態様では、該CTLA4又はPD-1の膜貫通ドメインを含むポリペプチドの該細胞外ドメイ
ンが結合する抗原は、該ポリペプチドを発現するTリンパ球の選択的拡張を促進するため
に使用することができる。例えば、該抗原がTSAである一実施態様では、該TSA、例えば、
該TSAの可溶形態の存在時に培養される該ポリペプチドを含むTリンパ球は、該TSAの不存
在時の培養と比較して、より高い増殖性につながる。
【0144】
特定の実施態様では、本明細書に記載されるCTLA4又はPD-1の膜貫通ドメインを含むポ
リペプチドを含むTリンパ球は、該ポリペプチドの該細胞外抗原結合ドメインにより結合
することのできる該抗原と結合した該ポリペプチド上のシグナルドメインに結合する抗体
を用いて刺激され、増殖する。例えば、該ポリペプチドのシグナルドメインがCD3ζであ
り、かつ該ポリペプチドに結合する該抗原がTSAである実施態様では、該ポリペプチドを
含むTリンパ球は該TSA(例えば、該TSAの可溶形態)の存在時にCD3ζに結合する抗体と組
み合わせて細胞を培養することにより、刺激され、増殖する。
【0145】
上記実施態様のいずれにおいても、該抗原及び/又は抗体は培養されているものがTリン
パ球である培地中に遊離して存在することができ、又はいずれか一方、若しくは両方とも
、固体支持体、例えば、組織培養用プラスチック表面、ビーズ等に付着することができる
【0146】
本明細書に記載されるCTLA4又はPD-1の膜貫通ドメインを含むポリぺプチドを含むTリン
パ球は、望む時に全ての、又は実質的に全てのTリンパ球を殺すことを可能とする「自殺
遺伝子」又は「安全スイッチ」を任意に含むことができる。例えば、本明細書に記載され
る改変型Tリンパ球は、特定の実施態様では、ガンシクロビルとの接触により該改変型Tリ
ンパ球の死をもたらすHSVチミジンキナーゼ遺伝子(HSV-TK)を含むことができる。他の
実施態様では、該改変型Tリンパ球は誘導性カスパーゼ、例えば、誘導性カスパーゼ9(ic
aspase9)、例えば、特定の小分子医薬を用いて二量体化させることのできるカスパーゼ9
及びヒトFK506結合タンパク質間の融合タンパク質を発現する、又は含む。Straathofらの
文献、Blood 105(11):4247-4254 (2005)を参照されたい。
【0147】
(5.4.改変型Tリンパ球の使用方法)
CTLA4又はPD-1の膜貫通ドメインを含むポリペプチド、例えば、CARを含む本明細書で提
供される該改変型免疫細胞、例えば、該改変型Tリンパ球は、Tリンパ球の標的となること
が望まれる1以上の細胞種、例えば、1以上の殺すべき細胞種を有する個体を治療するため
に使用することができる。特定の実施態様では、殺すべき細胞は癌細胞、例えば、腫瘍細
胞である。特定の実施態様では、該癌細胞は固形腫瘍の細胞である。特定の実施態様では
、該細胞はリンパ腫、肺癌、乳癌、前立腺癌、副腎皮質癌、甲状腺癌、鼻咽頭癌、メラノ
ーマ、例えば悪性メラノーマ、皮膚癌、結腸癌、類腱腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、内
分泌腫瘍、ユーイング肉腫、末梢性原始神経外胚葉腫瘍、固形胚細胞腫瘍、肝芽細胞腫、
神経芽細胞腫、非横紋筋肉腫性軟部組織肉腫、骨肉腫、網膜芽腫、横紋筋肉腫、ウィルム
ス腫瘍、神経膠芽細胞腫、粘液腫、線維腫、脂肪腫等である。より具体的な実施態様では
、該リンパ腫は、慢性リンパ性白血病(小型リンパ性リンパ腫)、B細胞前リンパ球性白
血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、脾臓周
辺帯リンパ腫、形質細胞性骨髄腫、形質細胞腫、節外周辺帯B細胞リンパ腫、MALTリンパ
腫、節周辺帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞
型B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫
、原発性滲出液リンパ腫、バーキットリンパ腫、Tリンパ球前リンパ球性白血病、Tリンパ
球大型顆粒リンパ球性白血病、侵攻性NK細胞白血病、成人Tリンパ球白血病/リンパ腫、節
外性NK/Tリンパ球リンパ腫、鼻型、腸疾患型Tリンパ球リンパ腫、肝脾Tリンパ球リンパ腫
、芽球性NK細胞リンパ腫、菌状息肉腫、セザリー症候群、原発性皮膚未分化大細胞リンパ
腫、リンパ腫様丘疹症、血管免疫芽球性Tリンパ球リンパ腫、末梢性Tリンパ球リンパ腫(
不特定)、未分化大細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、又は非ホジキンリンパ腫の細胞で
あり得る。
【0148】
本明細書に記載された該改変型Tリンパ球の効力は、Tリンパ球により治療できる疾病又
は疾患を有する個体、例えば、癌を有する個体への投与後、特定の疾病又は疾患に特異的
な1以上の基準であって、当業者に公知であり、疾病又は疾患の進行を示すものにより評
価することができる。一般に、本明細書に記載された該改変型Tリンパ球のそのような固
体への投与は、1以上の該基準が、検出可能な程度に、例えば、有意に、病的状態の値又
は範囲から、正常な値又は範囲へと、又はそれに向かって動くときに、有効である。
【0149】
本明細書に記載される該改変型Tリンパ球は、任意の医薬として許容し得る溶液中に、好
ましくは、生細胞の送達に好適な溶液、例えば、生理食塩溶液(リンガー溶液等)、ゼラ
チン、糖(例えば、乳糖、アミロース、デンプン等)、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチ
ルセルロース、ポリビニルピロリドン等の中に、製剤化することができる。そのような調
製物は、好ましくは該改変型Tリンパ球の追加に先立って滅菌され、滑剤、保存料、安定
剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝液、及び着色料のような補助物質と混合され得る
。該改変型Tリンパ球の製剤化に使用するのに好適な医薬担体は、当該分野で公知であり
、例えば、WO 96/05309に記載されている。
【0150】
特定の実施態様では、本明細書に記載される該改変型Tリンパ球は、個別の用量へと製
剤化され、ここで、該個別の用量は、少なくとも、最大でも、又は約1×104、5×104、1
×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、5×109、1
×1010、5×1010、又は1×1011個の改変型Tリンパ球を含む。特定の実施態様では、該改
変型Tリンパ球は、静脈内、動脈内、非経口的、筋肉内、皮下、髄膜内、若しくは眼球内
投与、又は特定の器官若しくは組織内への投与のために製剤化される。
【実施例
【0151】
(6.実施例)
(6.1.実施例1:B細胞リンパ腫の治療)
個体はB細胞慢性リンパ球性白血病、B細胞リンパ腫を提示する。該個体由来のB細胞の
試験から、該B細胞が17pの欠失を保有することが決定される。Tリンパ球は該個体から取
得され、キメラ抗原受容体(CAR)をコードするヌクレオチド配列を含むレンチウイルス
ベクターを用いて遺伝子導入され、かつ投与に十分な数までCD3+CD28-コートしたビーズ
を用いて拡張される。該キメラ受容体はCD19に結合する細胞外抗原結合領域;CTLA4由来
の膜貫通ドメイン;CD28由来の細胞内共刺激性ドメイン;及びCD3ζの細胞内ドメインを
含む。該個体は200 mlの生理食塩溶液中の109から1010個の該Tリンパ球を、30分にわたっ
て静脈内注入により投与される。該個体は、その後2週間モニターされ、該個体血液中のC
D19+ B細胞の少なくとも90%減少が成立する。
【0152】
(6.2.実施例2:B細胞リンパ腫の治療)
個体はB細胞慢性リンパ球性白血病、B細胞リンパ腫を提示する。該個体由来のB細胞の
試験から、該B細胞が17pの欠失を保有することが決定される。約106個のTリンパ球が該個
体から取得され、CARをコードするヌクレオチド配列を含むレンチウイルスベクターを遺
伝子導入される。該CARは、CD19に結合する細胞外抗原結合領域;PD-1に由来する膜貫通
ドメイン;CD28に由来する細胞内共刺激性ドメイン;及び細胞内CD3ζドメインを含む。C
ARを発現するT細胞は、事前に該T細胞を拡張させることなく該個体に投与する。該個体は
200 mlの生理食塩溶液中の105から106個の該Tリンパ球を、30分にわたって静脈内注入に
より投与される。該個体はその後2週間モニターされ、該個体血液中のCD19+ B細胞の少な
くとも90%減少が成立する。
【0153】
(6.3.実施例3:B細胞リンパ腫の治療)
個体はB細胞慢性リンパ球性白血病、B細胞リンパ腫を提示する。該個体由来のB細胞の
試験から、該B細胞がp53の欠失を保有することが決定される。Tリンパ球は該個体から取
得され、CARをコードするヌクレオチド配列を含むレンチウイルスベクターを遺伝子導入
され、かつ投与に十分な数までCD3+CD28-コートしたビーズを用いて拡張される。該CARは
CD19に結合する細胞外抗原結合領域;CTLA4由来の膜貫通ドメイン;CD28、4-1BB、及びOX
40のそれぞれに由来する細胞内共刺激性ドメイン;及び細胞内CD3ζドメインを含む。該
個体は200 mlの生理食塩溶液中の109から1010個の該Tリンパ球を、30分にわたって静脈内
注入により投与される。該個体はその後2週間モニターされ、該個体血液中のCD19+ B細胞
の少なくとも90%減少が成立する。
(6.4.実施例4:B細胞リンパ腫の治療)
個体はB細胞慢性リンパ球性白血病、B細胞リンパ腫を提示する。該個体由来のB細胞の
試験から、該B細胞がp53の欠失を保有することが決定される。約106個のTリンパ球は該個
体から取得され、CARをコードするヌクレオチド配列を含むレンチウイルスベクターを遺
伝子導入される。該CARはCD19に結合する細胞外抗原結合領域;PD-1由来の膜貫通ドメイ
ン;CD28、4-1BB、及びOX40のそれぞれに由来する細胞内共刺激性ドメイン;及び細胞内C
D3ζドメインを含む。CARを発現するT細胞は、事前に該T細胞を拡張させることなく該個
体に投与した。該個体は200 mlの生理食塩溶液中の105から106個の該Tリンパ球を、30分
にわたって静脈内注入により投与される。該個体はその後2週間モニターされ、該個体血
液中のCD19+ B細胞の少なくとも90%減少が成立する。
【0154】
(6.5.実施例5:前立腺癌の治療)
個体は、領域に又は他のリンパ節に拡がっていない(N0、M0)、ステージT2の前立腺癌
を提示する。組織学的な等級はG2であると決定される。全体的に、該個体はステージI1の
前立腺癌を有すると決定される。該個体は200 mlの生理食塩溶液中の109から1010個のCAR
を含む改変型Tリンパ球を、30分にわたって静脈内注入により投与される。該CARはPSCAに
結合する細胞外抗原結合領域、CTLA4由来の膜貫通ドメイン、CD28由来の細胞内共刺激性
ドメイン、及び細胞内CD3ζドメインを含む。該個体は投与から30日、60日、及び90日後
に、前立腺癌ステージ及びリンパ節への転移を再評価され、かつ生検とされた前立腺組織
の組織学分析が行われる。
【0155】
(6.6. 実施例6:前立腺癌の治療)
個体は、領域に又は他のリンパ節に拡がっていない(N0、M0)、ステージT2の前立腺癌
を提示する。組織学的な等級はG2であると決定される。全体的に、該個体はステージI1の
前立腺癌を有すると決定される。該個体は200 mlの生理食塩溶液中の109から1010個のCAR
を含む改変型Tリンパ球を、30分にわたって静脈内注入により投与される。該CARはPSCAに
結合する細胞外抗原結合領域、PD-1由来の膜貫通ドメイン、CD28由来の細胞内共刺激性ド
メイン、及び細胞内CD3ζドメインを含む。該個体は投与から30日、60日、及び90日後に
、前立腺癌ステージ及びリンパ節への転移を再評価され、かつ生検とされた前立腺組織の
組織学分析が行われる。
【0156】
(6.7.実施例7:前立腺癌の治療)
個体は、領域に又は他のリンパ節に拡がっていない(N0、M0)、ステージT2の前立腺癌
を提示する。組織学的な等級はG2であると決定される。全体的に、該個体はステージI1の
前立腺癌を有すると決定される。該個体は200 mlの生理食塩溶液中の109から1010個のCAR
を含む改変型Tリンパ球を、30分にわたって静脈内注入により投与される。該CARはPSCAに
結合する細胞外抗原結合領域、CTLA-4由来の膜貫通ドメイン、CD28、4-1BB、及びOX40の
それぞれに由来する細胞内共刺激性ドメイン、及び細胞内CD3ζドメインを含む。該個体
は投与から30日、60日、及び90日後に、前立腺癌ステージ及びリンパ節への転移を再評価
され、かつ生検とされた前立腺組織の組織学分析が行われる。
【0157】
(6.8.実施例8:前立腺癌の治療)
個体は、領域に又は他のリンパ節に拡がっていない(N0、M0)、ステージT2の前立腺癌
を提示する。組織学的な等級はG2であると決定される。全体的に、該個体はステージI1の
前立腺癌を有すると決定される。該個体は200 mlの生理食塩溶液中の109から1010個のCAR
を含む改変型Tリンパ球を、30分にわたって静脈内注入により投与される。該CARはPSCAに
結合する細胞外抗原結合領域、PD-1由来の膜貫通ドメイン、CD28、4-1BB、及びOX40のそ
れぞれに由来する細胞内共刺激性ドメイン、及び細胞内CD3ζドメインを含む。該個体は
投与から30日、60日、及び90日後に、前立腺癌ステージ及びリンパ節への転移を再評価さ
れ、かつ生検とされた前立腺組織の組織学分析が行われる。
【0158】
(6.9.実施例9:CTLA-4又はPD-1の膜貫通ドメインを含むCAR)
本実施例は、CTLA-4又はPD-1の膜貫通ドメインを含むキメラ抗原受容体がT細胞中で機
能的で、活性があることを示す。
【0159】
(6.9.1 CTLA-4の膜貫通ドメインを含むCAR)
抗原HER2と結合する細胞外ドメイン(抗HER2 scFV)を含むCARを作製した。具体的に、
以下のCARが作製された:(i) 抗HER2 scFV、CD28膜貫通ドメイン、及びCD3ζ細胞内ドメ
インを含むHER-28TMζ;(ii) 抗HER2 scFV、CD28膜貫通ドメイン、及びCD28-CD3ζ細胞内
ドメインを含むHER-28TM28ζ;(iii) 抗HER2 scFV、CH2CH3ヒンジ、CTLA-4膜貫通ドメイ
ン(配列番号:10)、及びCD28-CD3ζ細胞内ドメインを含むHER2-CTLA4TM28ζ;及び(iv)
抗HER2 scFV、CD8ヒンジ、4-1BB膜貫通ドメイン、及びCD28-CD3ζ細胞内ドメインを含むH
ER2-41BBTM28ζ。
【0160】
ヒトT細胞の上記CARを発現する能力を評価した。汎T細胞及びナイーブ汎T細胞をそれぞ
れhuman Pan T isolation Kit II及びhuman naive Pan T isolation kit(Miltenyi、Cam
bridge、MA)を用いた負の選択によりドナーサンプル血液のバフィーコートから単離され
た。単離されたT細胞は10 ng/ml IL-7の存在下RPMI完全培地中で11日間培養し、続いてMO
I 5でCARコンストラクトを発現するレンチウイルスにより伝達された。
【0161】
伝達から3日後、CAR T細胞の表現型は、該細胞をHER2-Fc融合タンパク質(R&D Systems
、Minneapolis、MN)で染色し、続いてFITC又はAPCと結合したポリクローナルヤギ抗ヒト
IgG-Fc抗体(Jackson ImmunoResearch、West Grove、PA)で染色することにより、特徴づ
けた。同日に、T細胞は、0.25 μg/mlから1 μg/mlの範囲の勾配のついた濃度のHER2-Fc
融合タンパク質で刺激された。上清をサイトメトリックビーズアレイ(CBA)分析のため
に刺激後48時間に回収し、特製のCBA flex set(BD Biosciences、San Jose、CA)を使用
して該T細胞によるサイトカイン産生を評価した。上清除去の後の培養物由来の細胞を、
蛍光色素結合抗ヒトモノクローナル抗体(BD Biosciences)を使用して、T細胞活性化の
表面マーカーCD69、4-1BB、CD71、HLA-DR、及びCD25の測定のために染色した。CBA及び表
面マーカーの両方に対するフローサイトメトリー分析は、FACS Canto II装置上で行い、
データはFACSDivaソフトウェア(BD Biosciences)を用いて取得した。該CBAデータをFCA
Pアッセイソフトウェア(Soft Flow Ltd.、Pecs、Hungary)によって解析した。表面マー
カーのフローデータはFlowJoフローサイトメトリーソフトウェア(Tree Star、Ashland、
OR)を使用して解析した。
【0162】
図1に示すように、作製されたCARの内、CTLA-4の膜貫通ドメインを有するCARを含む3つ
が、該T細胞に高発現していた。T細胞活性化の表面マーカーであるCD69、4-1BB、及びHLA
-DRはそれぞれCARの結合により、すなわち、CAR T細胞がHER2-Fc融合タンパク質により刺
激されたときに上方調節された。各々のケースのうち、最も高い水準は、HER2-CTLA4TM28
ζのコンストラクトを発現するCAR T細胞において観察された。
【0163】
図2~4に示すように、4セットのCAR T細胞のうち、2つはHER2刺激に応答してサイトカ
イン産生を示した。具体的には、HER2-28TM28ζと名付けられたCARを発現するT細胞及びH
ER2-CTLA4TM28ζと名付けられたCARを発現するT細胞は、サイトカインのインターロイキ
ン-2(IL-2)(図2)、GM-CSF(図3)、及びインターフェロン-ガンマ(IFN-γ)(図4
を、HER2刺激への応答において、用量依存的な様式で産生した。驚くべきことに、通常は
抑制性シグナルを免疫系細胞に伝達するタンパク質に由来する膜貫通ドメイン(すなわち
、CTLA-4の膜貫通ドメイン)を含むCARを発現するT細胞は、HER2-28TM28ζと名付けられ
たCARを発現するT細胞を含む、他のCARのそれぞれを発現するT細胞と比較して、それぞれ
のサイトカインをずっと高水準に産生した。図2~4を参照されたい。
【0164】
上記CARを発現するT細胞をHER2で刺激することにより、T細胞による細胞内腫瘍壊死因
子-アルファ(TNF-α)の産生が誘導されるか否かをさらに調べた。CAR T細胞はIL-2(50
IU/ml)を含む培地中で2日間HER2-Fc(1 μg/ml)により刺激された。HER2刺激は、各回
ごとに7日間の間隔を入れてさらに2回行われた。3回目の刺激の後、細胞内TNF-αをフロ
ーサイトメトリーで調べた。図5に示すように、HER2-28TM28ζと名付けられたCARを発現
するT細胞、HER2-CTLA4TM28ζと名付けられたCARを発現するT細胞、及びHER2-28TMζと名
付けられたCARを発現するT細胞はTNF-αを産生し、通常は抑制性シグナルを免疫系細胞に
伝達するタンパク質に由来する膜貫通ドメイン(すなわち、CTLA-4の膜貫通ドメイン)を
含むCARを発現するT細胞が最も多量のTNF-αを産生した。
【0165】
最後に、上記CARを発現するT細胞のHER2による刺激が、CAR T細胞群の濃縮に帰結する
かどうかを決定した。上記CARを発現するCAR T細胞をHER2-Fc融合タンパク質で刺激した
。HER2による刺激から13日後、CAR T細胞を上記のようにフローサイトメトリーで分析し
た。驚くべきことに、図6に示すように、HER2-CTLA4TM28ζと名付けられたCARを発現する
CAR T細胞のみがHER2刺激後に濃縮された。
【0166】
(6.9.2 PD-1又はCTLA-4の膜貫通ドメインを含むCAR)
本実施例はCTLA-4の膜貫通ドメイン又はPD-1の膜貫通ドメインを含むキメラ抗原受容体
がT細胞中で機能的で、活性を示すことを示す。
【0167】
抗原HER2に結合する細胞外ドメイン(抗HER2 scFV)を含むCARを作製した。具体的には
、以下のCARが作製された:(i) 抗HER2 scFV、CH2CH3ヒンジ、PD-1膜貫通ドメイン(配列
番号:11)、及びCD28-CD3細胞内ドメインを含む、HER-PD1TM-CD28-CD3;(ii) 抗HER2 scF
V、CD28ヒンジ、CTLA-4膜貫通ドメイン(配列番号:10)、及び4-1BB-CD3細胞内ドメイン
を含むHER-CTLA4(189)TM-41BB-CD3;(iii) 抗HER2 scFV、CD28ヒンジ、PD-1膜貫通ドメイ
ン(配列番号:11)、及び4-1BB-CD3細胞内ドメインを含むHER-PD1TM-41BB-CD3;及び(iv)
抗HER2 scFV、CD28ヒンジ、CD28膜貫通ドメイン、及びCD28-CD3細胞内ドメインを含むHE
R2-CD28TM-CD28-CD3。
【0168】
汎T細胞及びナイーブ汎T細胞は、それぞれhuman Pan T isolation Kit II及びhuman na
ive Pan T isolation kit(Miltenyi、Cambridge、MA)を使用した負の選択により、ドナ
ーサンプル血液のバフィーコートから単離された。単離T細胞を10 ng/ml IL-7の存在下RP
MI完全培地中で11日間培養し、続いてMOI 7のCARコンストラクトを発現するレンチウイル
スで伝達した。
【0169】
伝達から3日後、CAR T細胞の表現型は該細胞をHER2-Fc融合タンパク質(R&D Systems、
Minneapolis、MN)で染色し、続いてFITC又はAPCと結合したポリクローナルヤギ抗ヒトIg
G-Fc抗体(Jackson ImmunoResearch、West Grove、PA)で染色することにより、特徴づけ
た。同日に、T細胞は、0.25 μg/mlから1 μg/mlの範囲の勾配のついた濃度のHER2-Fc融
合タンパク質で刺激された。上清をサイトメトリックビーズアレイ(CBA)分析のために
刺激後48時間に回収し、特製のCBA flex set(BD Biosciences、San Jose、CA)を使用し
て該T細胞によるサイトカイン産生を評価した。上清除去の後の培養物由来の細胞を、蛍
光色素結合抗ヒトモノクローナル抗体(BD Biosciences)を使用して、T細胞活性化の表
面マーカーCD69、4-1BB、CD71、HLA-DR、及びCD25の測定のために染色した。CBA及び表面
マーカーの両方に対するフローサイトメトリー分析は、FACS Canto II装置上で行い、デ
ータはFACSDivaソフトウェア(BD Biosciences)を用いて取得した。該CBAデータをFCAP
アッセイソフトウェア(Soft Flow Ltd.、Pecs、Hungary)によって解析した。表面マー
カーのフローデータはFlowJoフローサイトメトリーソフトウェア(Tree Star、Ashland、
OR)を使用して解析した。
【0170】
図7に示すように、作製されたCARのそれぞれは、T細胞に高発現していた。T細胞活性化
の表面マーカーであるCD69、CD71、及びHLA-DRのそれぞれは、上記CAR T細胞のHER2によ
る刺激により上方調節された。それぞれのケースで、上方調節の観察される水準は、PD-1
又はCTLA-4のいずれかの膜貫通ドメインを有するCARを発現するCAR T細胞で、最高であっ
た。
【0171】
図8~9に示すように、CAR T細胞はHER2刺激に応答してサイトカイン産生を示した。具
体的には、上記CARを発現するT細胞はサイトカインのIL-2(図8)、TNF-α(図8)、及び
IFN-γ(図8)、GM-CSF(図9)グランザイムB(図9)、及びIL-13(図9)を、HER2刺激に
応答して用量依存的な様式で産生した。それぞれのケースで、PD-1又はCTLA-4の膜貫通ド
メインを含むCARを発現するT細胞が、最も高い水準のサイトカイン産生を示し、HER-PD1T
M-CD28-CD3と名付けられたCARを発現するT細胞が一貫してそれぞれのサイトカインを最も
高い水準で産生した(図8及び9を参照されたい)。
【0172】
最後に、上記CARを発現するT細胞のHER2による刺激がCAR T細胞群の濃縮に帰結するか
どうかを決定した。上記CARを発現するCAR T細胞をHER2-Fc融合タンパク質で刺激した。H
ER2による刺激から11日後、CAR T細胞を上記のようにフローサイトメトリーで分析した。
図10に示すように、HER-PD1TM-CD28-CD3と名付けられたCARを発現するCAR T細胞はHER2刺
激後に濃縮され、記載された他のCARを発現するT細胞は、初めの細胞数に対して緩い水準
の生細胞の増加を示した。
【0173】
(6.9.3 結論)
結論として、通常は抑制性シグナルを免疫系細胞に伝達する、タンパク質に由来する膜
貫通ドメインを含むCARを発現するT細胞の作製を示した。さらに、そのようなCAR T細胞
は驚くべき特性を有することが示された。特に、そのようなT細胞は、(i) それらが発現
するCARの細胞外ドメインが方向づけられる抗原による刺激に応答して、通常は刺激性シ
グナルを免疫系細胞に伝達するタンパク質に由来する膜貫通ドメインを含むCARを発現す
るT細胞よりも、高水準のサイトカイン産生を示し;かつ(ii) それらが発現するCARの、
細胞外ドメインが方向づけられる抗原の存在下、培養されたときに濃縮される。一方で、
通常は刺激性シグナルを免疫系細胞に伝達するタンパク質に由来する、膜貫通ドメインを
含むCARを発現するT細胞は、抗原に刺激されたときには同程度には濃縮されない。
【0174】
(等価物)
本開示は本明細書に記載される具体的な実施態様により範囲を限定されない。実に、本
明細書で提供される主題事項の様々な改変は、記載されているものに加え、先行の記述か
ら当業者には明らかとなるであろう。そのような改変は添付された特許請求の範囲内に位
置付けられるよう意図されている。
【0175】
様々な刊行物、特許、及び特許出願が本明細書中に引用され、それらの開示は、その全
てが引用により組み込まれている。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
(i) CTLA4又はPD-1由来の膜貫通ドメイン、(ii) リンパ球の活性化及び/又は増殖を引
き起こす、該リンパ球の表面に発現する内在性のタンパク質の細胞内ドメイン、及び(iii
) 抗原に結合する細胞外ドメインを含むポリペプチドであって:
該膜貫通ドメインがCTLA4由来である場合は、該ポリペプチドの該細胞内ドメイン及び
細胞外ドメインがCTLA4由来ではなく;かつ
該膜貫通ドメインがPD-1由来である場合は、該ポリペプチドの該細胞内ドメイン及び細
胞外ドメインがPD-1由来ではない、前記ポリぺプチド。
(構成2)
キメラ抗原受容体(CAR)である、構成1記載のポリペプチド。
(構成3)
前記ポリペプチドが前記抗原と結合する時に、該ポリペプチドを発現するTリンパ球が
、活性化又は刺激され、増殖する、構成1又は2記載のポリペプチド。
(構成4)
Tリンパ球表面に発現された時に、Tリンパ球に前記抗原を発現する細胞を殺すよう方向
づける、構成1~3のいずれか1項記載のポリペプチド。
(構成5)
前記CTLA4の膜貫通ドメインがヒトCTLA4遺伝子のエキソン3にコードされるポリペプチ
ド配列である、構成1~4のいずれか一項記載のポリペプチド。
(構成6)
前記CTLA4の膜貫通ドメインが配列番号:1のアミノ酸配列であるか、又はそれを含む、
構成1~4のいずれか一項記載のポリペプチド。
(構成7)
前記CTLA4の膜貫通ドメインが配列番号:2のアミノ酸配列であるか、又はそれを含む、
構成1~4のいずれか一項記載のポリペプチド。
(構成8)
前記CTLA4の膜貫通ドメインが配列番号:3のアミノ酸配列であるか、又はそれを含む、
構成1~4のいずれか一項記載のポリペプチド。
(構成9)
前記CTLA4の膜貫通ドメインが配列番号:4のアミノ酸配列であるか、又はそれを含む、
構成1~4のいずれか一項記載のポリペプチド。
(構成10)
前記CTLA4の膜貫通ドメインが配列番号:5のアミノ酸配列であるか、又はそれを含む、
構成1~4のいずれか一項記載のポリペプチド。
(構成11)
前記PD-1の膜貫通ドメインが配列番号:6のポリペプチド配列であるか、又はそれを含む
、構成1~4のいずれか一項記載のポリペプチド。
(構成12)
前記PD-1の膜貫通ドメインが配列番号:7のポリペプチド配列であるか、又はそれを含む
、構成1~4のいずれか一項記載のポリペプチド。
(構成13)
前記PD-1の膜貫通ドメインが配列番号:8のポリペプチド配列であるか、又はそれを含む
、構成1~4のいずれか一項記載のポリペプチド。
(構成14)
前記細胞外ドメインが、前記抗原と結合する受容体又は受容体の一部を含む、構成1~1
3のいずれか一項記載のポリペプチド。
(構成15)
前記細胞外ドメインが、前記抗原と結合する受容体又は受容体の一部である、構成1~1
3のいずれか一項記載のポリペプチド。
(構成16)
前記細胞外ドメインが、抗体又はその抗原結合部位を含む、構成1~13のいずれか一項
記載のポリペプチド。
(構成17)
前記細胞外ドメインが、抗体又はその抗原結合部位である、構成1~13のいずれか一項
記載のポリペプチド。
(構成18)
前記細胞外ドメインが単鎖Fvドメインを含む、構成1~13のいずれか一項記載のポリペ
プチド。
(構成19)
前記単鎖Fvドメインが可動リンカーによりVHに連結されるVLを含み、かつ該VL及びVH
前記抗原と結合する抗体由来である、構成18記載のポリペプチド。
(構成20)
前記抗原が腫瘍細胞上の抗原である、構成1~19のいずれか一項記載のポリペプチド。
(構成21)
前記腫瘍細胞が固形腫瘍中の細胞である、構成20記載のポリペプチド。
(構成22)
前記腫瘍細胞が血液癌の細胞である、構成20記載のポリペプチド。
(構成23)
前記抗原が腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原である、構成1~22のいずれか一項記載の
ポリペプチド。
(構成24)
前記腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原が、Her2、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、アルファ
-フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、癌抗原-125(CA-125)、CA19-9、カ
ルレチニン、MUC-1、上皮性膜タンパク質(EMA)、上皮性腫瘍抗原(ETA)、チロシナー
ゼ、メラノーマ関連抗原(MAGE)、CD34、CD45、CD99、CD117、クロモグラニン、サイト
ケラチン、デスミン、グリア線維酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパ
ク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、タンパク質メラン-A(Tリンパ球に認識されるメラノー
マ抗原;MART-1)、myo-D1、筋特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、神経特
異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトファイシス、チログロ
ブリン、甲状腺転写因子-1、ピルビン酸キナーゼイソ酵素タイプM2の二量体形(腫瘍M2-P
K)、CD19、CD22、CD27、CD30、CD70、GD2(ガングリオシドG2)、EGFRvIII(表皮性成長
因子バリアントIII)、精子タンパク質17(Sp17)、メソセリン、PAP(前立腺酸性ホスフ
ァターゼ)、プロステイン、TARP(T細胞受容体ガンマオルターネイトリーディングフレ
ームタンパク質)、Trp-p8、STEAP1(プロステイト1の6回膜貫通型上皮性抗原)、異常ra
sタンパク質、異常p53タンパク質、インテグリンαvβ3(CD61)、ガラクチン、K-Ras(V
-Ki-ras2キルステンラット肉腫ウイルス癌遺伝子)、又はRal-Bである、構成23記載のポ
リペプチド。
(構成25)
前記細胞外ドメインがリンカー、スペーサー、又はヒンジポリペプチド配列により前記
膜貫通ドメインに結合されている、構成1~24のいずれか一項記載のポリペプチド。
(構成26)
前記リンカー、スペーサー、又はヒンジポリペプチド配列がCD28由来である、構成25記
載のポリペプチド。
(構成27)
前記リンカー、スペーサー、又はヒンジポリペプチド配列がCTLA4由来である、構成25
記載のポリペプチド。
(構成28)
前記リンカー、スペーサー、又はヒンジポリペプチドがPD-1由来である、構成25記載の
ポリペプチド。
(構成29)
前記細胞内ドメインが、T細胞表面に発現し、かつ前記T細胞の活性化及び/又は増殖を
引き起こすタンパク質の細胞内ドメインである、構成1~28のいずれか一項記載のポリペ
プチド。
(構成30)
前記細胞内ドメインがCD3ζの細胞内シグナルドメインである、構成29記載のポリペプ
チド。
(構成31)
前記細胞内ドメインがリンパ球受容体鎖、TCR/CD3複合体タンパク質、Fc受容体サブユ
ニット、又はIL-2受容体サブユニットに由来する、構成29記載のポリペプチド。
(構成32)
前記ポリペプチドがさらに1以上の共刺激性ドメインを含む、構成1~31のいずれか一項
記載のポリペプチド。
(構成33)
前記1以上の共刺激性ドメインが、1以上の共刺激性CD27ポリペプチド配列、共刺激性CD
28ポリペプチド配列、共刺激性OX40(CD134)ポリペプチド配列、共刺激性4-1BB(CD137
)ポリペプチド配列、又は共刺激性誘導性T細胞共刺激性(ICOS)ポリペプチド配列を含
む、構成32記載のポリペプチド。
(構成34)
N末端からC末端に向けて、順に:(i) 抗原結合ドメイン;(ii) CD28又はCTLA4のヒンジ
ポリペプチド配列;(iii) CTLA4又はPD-1の膜貫通ドメイン;(iv) 共刺激性ドメイン;及
び(v) 細胞内シグナルドメインを含む、構成1~33のいずれか一項記載のポリペプチド。
(構成35)
N末端からC末端に向けて、順に:(i) 可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む、
単鎖Fvドメイン、ここで、該VL及びVHは前記抗原に結合する抗体に由来する;(ii) CD28
のヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4の膜貫通ドメイン;(iv) CD28の共刺激性ドメイ
ン;及び(v) CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、構成34記載のポリペプチド。
(構成36)
N末端からC末端に向けて、順に:(i) 可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む、
単鎖Fvドメイン、ここで、該VL及びVHは前記抗原に結合する抗体に由来する;(ii) CTLA4
のヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4の膜貫通ドメイン;(iv) CD28の共刺激性ドメイ
ン;及び(v) CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、構成34記載のポリペプチド。
(構成37)
N末端からC末端に向けて、順に:(i) 可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む、
単鎖Fvドメイン、ここで、該VL及びVHは前記抗原に結合する抗体に由来する;(ii) CD28
のヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1の膜貫通ドメイン;(iv) CD28の共刺激性ドメイ
ン;及び(v) CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、構成34記載のポリペプチド。
(構成38)
N末端からC末端に向けて、順に:(i) 可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む、
単鎖Fvドメイン、ここで、該VL及びVHは前記抗原に結合する抗体に由来する;(ii) CTLA4
のヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1の膜貫通ドメイン;(iv) CD28の共刺激性ドメイ
ン;及び(v) CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、構成34記載のポリペプチド。
(構成39)
N末端からC末端に向けて、順に:(i) 可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む、
単鎖Fvドメイン、ここで、該VL及びVHは前記抗原に結合する抗体に由来する;(ii)PD-1の
ヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4の膜貫通ドメイン;(iv) CD28の共刺激性ドメイン
;及び(v) CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、構成34記載のポリペプチド。
(構成40)
N末端からC末端に向けて、順に:(i) 可動性リンカーによりVHに連結されるVLを含む、
単鎖Fvドメイン、ここで、該VL及びVHは前記抗原に結合する抗体に由来する;(ii)PD-1の
ヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1の膜貫通ドメイン;(iv) CD28の共刺激性ドメイン
;及び(v) CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、構成34記載のポリペプチド。
(構成41)
膜結合ポリペプチドを含むTリンパ球であって、前記ポリペプチドが、(i) CTLA4又はPD
-1(プログラム細胞死1)由来の膜貫通ドメイン、(ii) 前記リンパ球の活性化及び/又は
増殖を引き起こす、リンパ球の表面に発現する内在性タンパク質の細胞内ドメイン、及び
(iii) 抗原に結合する細胞外ドメインを含み、かつ
該膜貫通ドメインがCTLA4由来である場合は、該ポリペプチドの該細胞内ドメイン及び
細胞外ドメインがCTLA4由来ではなく;かつ
該膜貫通ドメインがPD-1由来である場合は、該ポリペプチドの該細胞内ドメイン及び細
胞外ドメインがPD-1由来ではない、前記Tリンパ球。
(構成42)
前記ポリペプチドがキメラ抗原受容体(CAR)である、構成41記載のTリンパ球。
(構成43)
該ポリペプチドが前記抗原と結合する時に、前記ポリペプチドを発現するTリンパ球が
、活性化又は刺激されて増殖する、構成41又は構成42記載のTリンパ球。
(構成44)
前記ポリペプチドが、前記Tリンパ球表面に発現された時に、該Tリンパ球に前記抗原を
発現する細胞を殺すよう方向づける、構成41~43のいずれか一項記載のTリンパ球。
(構成45)
前記CTLA4の膜貫通ドメインがヒトCTLA4遺伝子のエキソン3にコードされるポリペプチ
ド配列である、構成41~44のいずれか一項記載のTリンパ球。
(構成46)
前記CTLA4の膜貫通ドメインが配列番号:1のアミノ酸配列であるか、又はそれを含む、
構成41~44のいずれか一項記載のTリンパ球。
(構成47)
前記CTLA4の膜貫通ドメインが配列番号:2のアミノ酸配列であるか、又はそれを含む、
構成41~44のいずれか一項記載のTリンパ球。
(構成48)
前記CTLA4の膜貫通ドメインが配列番号:3のアミノ酸配列であるか、又はそれを含む、
構成41~44のいずれか一項記載のTリンパ球。
(構成49)
前記CTLA4の膜貫通ドメインが配列番号:4のアミノ酸配列であるか、又はそれを含む、
構成41~44のいずれか一項記載のTリンパ球。
(構成50)
前記CTLA4の膜貫通ドメインが配列番号:1のアミノ酸配列であるか、又はそれを含む、
構成41~44のいずれか一項記載のTリンパ球。
(構成51)
前記PD-1の膜貫通ドメインが配列番号:6のポリペプチド配列であるか、又はそれを含む
、構成41~44のいずれか一項記載のTリンパ球。
(構成52)
前記PD-1の膜貫通ドメインが配列番号:7のポリペプチド配列であるか、又はそれを含む
、構成41~44のいずれか一項記載のTリンパ球。
(構成53)
前記PD-1の膜貫通ドメインが配列番号:8のポリペプチド配列であるか、又はそれを含む
、構成41~44のいずれか一項記載のTリンパ球。
(構成54)
前記細胞外ドメインが、前記抗原と結合する受容体又は受容体の一部を含む、構成41~
53のいずれか一項記載のTリンパ球。
(構成55)
前記細胞外ドメインが、前記抗原と結合する受容体又は受容体の一部である、構成41~
53のいずれか一項記載のTリンパ球。
(構成56)
前記細胞外ドメインが、抗体又はその抗原結合部位を含む、構成41~53のいずれか一項
記載のTリンパ球。
(構成57)
前記細胞外ドメインが、抗体又はその抗原結合部位である、構成41~53のいずれか一項
記載のTリンパ球。
(構成58)
前記細胞外ドメインが単鎖Fvドメインを含む、構成41~53のいずれか一項記載のTリン
パ球。
(構成59)
前記単鎖Fvドメインが可動リンカーによりVHに連結されるVLを含み、前記VL及びVHが前
記抗原と結合する抗体由来である、構成58記載のTリンパ球。
(構成60)
前記抗原が腫瘍細胞上の抗原である、構成41~59のいずれか一項記載のTリンパ球。
(構成61)
前記腫瘍細胞が固形腫瘍中の細胞である、構成60記載のTリンパ球。
(構成62)
前記腫瘍細胞が血液癌の細胞である、構成60記載のTリンパ球。
(構成63)
前記抗原が腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原である、構成41~62のいずれか一項記載の
Tリンパ球。
(構成64)
前記腫瘍関連抗原又は腫瘍特異的抗原が、Her2、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、アルファ
-フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、癌抗原-125(CA-125)、CA19-9、カ
ルレチニン、MUC-1、上皮性膜タンパク質(EMA)、上皮性腫瘍抗原(ETA)、チロシナー
ゼ、メラノーマ関連抗原(MAGE)、CD34、CD45、CD99、CD117、クロモグラニン、サイト
ケラチン、デスミン、グリア線維酸性タンパク質(GFAP)、肉眼的嚢胞性疾患液体タンパ
ク質(GCDFP-15)、HMB-45抗原、タンパク質メラン-A(Tリンパ球に認識されるメラノー
マ抗原;MART-1)、myo-D1、筋特異的アクチン(MSA)、ニューロフィラメント、神経特
異的エノラーゼ(NSE)、胎盤アルカリホスファターゼ、シナプトファイシス、チログロ
ブリン、甲状腺転写因子-1、ピルビン酸キナーゼイソ酵素タイプM2の二量体形(腫瘍M2-P
K)、異常rasタンパク質、異常p53タンパク質、CD19、CD22、CD27、CD30、CD70、GD2(ガ
ングリオシドG2)、EGFRvIII(表皮性成長因子バリアントIII)、精子タンパク質17(Sp1
7)、メソセリン、PAP(前立腺酸性ホスファターゼ)、プロステイン、TARP(T細胞受容
体ガンマオルターネイトリーディングフレームタンパク質)、Trp-p8、STEAP1(プロステ
イト1の6回膜貫通型上皮性抗原)、異常rasタンパク質、異常p53タンパク質、インテグリ
ンαvβ3(CD61)、ガラクチン、K-Ras(V-Ki-ras2キルステンラット肉腫ウイルス癌遺伝
子)、又はRal-Bである、構成63記載のTリンパ球。
(構成65)
前記細胞外ドメインがリンカー、スペーサー、又はヒンジポリペプチド配列により前記
膜貫通ドメインに結合された、構成41~64のいずれか一項記載のTリンパ球。
(構成66)
前記リンカー、スペーサー、又はヒンジポリペプチド配列がCD28由来である、構成65記
載のTリンパ球。
(構成67)
前記リンカー、スペーサー、又はヒンジポリペプチド配列がCTLA4由来である、構成65
記載のTリンパ球。
(構成68)
前記リンカー、スペーサー、又はヒンジポリペプチド配列がPD-1由来である、構成65記
載のTリンパ球。
(構成69)
前記細胞内ドメインがT細胞表面に発現し、かつ前記T細胞の活性化及び/又は増殖を引
き起こすタンパク質の細胞内ドメインである、構成41~68のいずれか一項記載のTリンパ
球。
(構成70)
前記細胞内ドメインがCD3ζの細胞内シグナルドメインである、構成69記載のTリンパ球

(構成71)
前記細胞内ドメインがリンパ球受容体鎖、TCR/CD3複合体タンパク質、Fc受容体サブユ
ニット、又はIL-2受容体サブユニットに由来する、構成69記載のTリンパ球。
(構成72)
前記ポリペプチドがさらに1以上の共刺激性ドメインを含む、構成41~71のいずれか一
項記載のTリンパ球。
(構成73)
前記1以上の共刺激性ドメインが、1以上の共刺激性CD27ポリペプチド配列、共刺激性CD
28ポリペプチド配列、共刺激性OX40(CD134)ポリペプチド配列、共刺激性4-1BB(CD137
)ポリペプチド配列、又は共刺激性誘導性T細胞共刺激性(ICOS)ポリペプチド配列を含
む、構成72記載のTリンパ球。
(構成74)
前記ポリペプチドがN末端からC末端に向けて、順に:(i) 抗原結合ドメイン;(ii) CD2
8又はCTLA4のヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4又はPD-1の膜貫通ドメイン;(iv) 共
刺激性ドメイン;及び(v) 細胞内シグナルドメインを含む、構成41~73のいずれか一項記
載のTリンパ球。
(構成75)
前記ポリペプチドがN末端からC末端に向けて、順に:(i) 可動性リンカーによりVHに連
結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、前記VL及びVHは前記抗原に結合する抗体に
由来する;(ii) CD28のヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4の膜貫通ドメイン;(iv) C
D28の共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、構成74記載の
Tリンパ球。
(構成76)
前記ポリペプチドがN末端からC末端に向けて、順に:(i) 可動性リンカーによりVHに連
結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、前記VL及びVHは前記抗原に結合する抗体に
由来する;(ii) CTLA4のヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4の膜貫通ドメイン;(iv)
CD28の共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、構成74記載
のTリンパ球。
(構成77)
前記ポリペプチドがN末端からC末端に向けて、順に:(i) 可動性リンカーによりVHに連
結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、前記VL及びVHは前記抗原に結合する抗体に
由来する;(ii) CD28のヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1の膜貫通ドメイン;(iv) CD
28の共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、構成74記載のT
リンパ球。
(構成78)
前記ポリペプチドがN末端からC末端に向けて、順に:(i) 可動性リンカーによりVHに連
結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、前記VL及びVHは前記抗原に結合する抗体に
由来する;(ii) CTLA4のヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1の膜貫通ドメイン;(iv) C
D28の共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、構成74記載の
Tリンパ球。
(構成79)
前記ポリペプチドがN末端からC末端に向けて、順に:(i) 可動性リンカーによりVHに連
結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、前記VL及びVHは前記抗原に結合する抗体に
由来する;(ii)PD-1のヒンジポリペプチド配列;(iii) CTLA4の膜貫通ドメイン;(iv) CD
28の共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、構成74記載のT
リンパ球。
(構成80)
前記ポリペプチドがN末端からC末端に向けて、順に:(i) 可動性リンカーによりVHに連
結されるVLを含む、単鎖Fvドメイン、ここで、前記VL及びVHは前記抗原に結合する抗体に
由来する;(ii)PD-1のヒンジポリペプチド配列;(iii) PD-1の膜貫通ドメイン;(iv) CD2
8の共刺激性ドメイン;及び(v) CD3ζの細胞内シグナルドメインを含む、構成74記載のT
リンパ球。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
【配列表】
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