(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】鉱物繊維ベースの音響天井タイル
(51)【国際特許分類】
E04F 13/16 20060101AFI20220105BHJP
C04B 38/00 20060101ALI20220105BHJP
G10K 11/16 20060101ALI20220105BHJP
G10K 11/162 20060101ALI20220105BHJP
E04B 1/86 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
E04F13/16 A
C04B38/00 301C
G10K11/16 120
G10K11/162
E04B1/86 A
(21)【出願番号】P 2020088759
(22)【出願日】2020-05-21
(62)【分割の表示】P 2018532565の分割
【原出願日】2016-04-28
【審査請求日】2020-05-21
(32)【優先日】2016-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512127109
【氏名又は名称】ユーエスジー・インテリアズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・エイ・フランク
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ティー・ラングドン
(72)【発明者】
【氏名】ウェンチー・ルアン
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・ダブリュ・ブラウン
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0134556(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/16
E04B 1/82-1/86
G10K 11/16-11/178
C04B 38/00
B32B 19/02
D04H 1/58
E04B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラグ及び天然岩より形成された繊維からなる鉱物ウールならびにデンプン及び/またはラテックスのバインダーから作製される音響タイル用の湿式敷設ベースマットであって、鉱物繊維中の前記天然岩の含有量が、6重量%を超えており、前記天然岩が玄武岩又は花崗岩であり、
前記鉱物繊維が
、4.5~8.3ミクロンの
平均直径を有し、前記ベースマットが、11.4~14.2lbs/立方フィートの密度を有することを特徴とする湿式敷設ベースマット。
【請求項2】
前記鉱物繊維に含まれる前記天然岩が花崗岩であることを特徴とする請求項1に記載の湿式敷設ベースマット。
【請求項3】
前記鉱物繊維中の前記花崗岩の含有量が17重量%であることを特徴とする請求項2に記載の湿式敷設ベースマット。
【請求項4】
前記鉱物繊維に含まれる前記天然岩が玄武岩であることを特徴とする請求項1に記載の湿式敷設ベースマット。
【請求項5】
前記鉱物繊維中の前記玄武岩の含有量が20重量%~40重量%であることを特徴とする請求項4に記載の湿式敷設ベースマット。
【請求項6】
スラグ及び天然岩より形成された繊維からなる鉱物ウールならびにデンプン及び/またはラテックスのバインダーから作製される音響タイル用の湿式敷設ベースマットから形成された音響タイル用
で、比較的薄い完成タイルである低キャリパー音響タイルであって、
前記タイルの厚さの全てを前記湿式敷設ベースマットが形成し、
不織多孔質繊維ガラスベールが、その一方の面を前記ベースマットの一方の面に接着されており、かつ前記ガラスベールの他方の面は光反射性空気透過性コーティングで被覆されており、
前記ベースマットの重量の少なくとも90%が鉱物繊維及び前記バインダーを含み、前記バインダーの重量が前記鉱物繊維の重量の1/11未満であり、前記ベースマットが、11.4~14.2lbs/立方フィートの密度を有し、前記鉱物繊維が
、4.5~8.3ミクロンの平均直径を有し、前記ベースマットの厚さが、11/16インチ未満であり、前記ベースマット、前記ガラスベール、及び前記コーティングの複合体が、前記複合体の前記
低キャリパー音響タイルの厚さが名目上
厚さ1/2インチ
と表記される厚さである場合に0.60のNRC及び23のCACを示し、前記複合体の前記
低キャリパー音響タイルの厚さが名目上
厚さ5/8インチ
と表記される厚さである場合に0.75以上のNRC及び24以上のCACを示すことを特徴とする低キャリパー音響タイル。
【請求項7】
前記鉱物繊維が、鉄高炉スラグと花崗岩との混合物から作製され、前記花崗岩の重量パーセントが6%を超えることを特徴とする請求項6に記載の低キャリパー音響タイル。
【請求項8】
前記鉱物繊維が、鉄高炉スラグと玄武岩との混合物から作製されることを特徴とする請求項6に記載の低キャリパー音響タイル。
【請求項9】
前記玄武岩が前記鉱物繊維の重量の20~40重量%の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の低キャリパー音響タイル。
【請求項10】
スラグ及び天然岩より形成された鉱物繊維からなる鉱物ウールならびにデンプン及び/またはラテックスのバインダーから作製される音響タイル用の湿式敷設ベースマットから形成された高性能音響タイルであって、
前記タイルの厚さの全てを前記湿式敷設ベースマットが形成し、
不織多孔質繊維ガラスベールが、その一方の面を前記ベースマットの一方の面に接着されており、かつ前記ガラスベールの他方の面は光反射性空気透過性コーティングで被覆されており、
前記ベースマットの重量の少なくとも90%が前記鉱物繊維及び前記バインダーを含み、前記バインダーの重量が前記鉱物繊維の重量の1/11未満であり、前記ベースマットが、11.4~14.2lbs/立方フィートの密度を有し、前記鉱物繊維が
、4.5~8.3ミクロンの平均直径を有し、前記ベースマットの厚さが5/8インチを超え、前記ベースマットの後面が音響反射性材料で被覆されており、前記タイルが少なくとも0.85のNRCを示すことを特徴とする高性能音響タイル。
【請求項11】
前記鉱物繊維がスラグと花崗岩との混合物からなり、前記花崗岩が前記鉱物繊維の6重量%を超えることを特徴とする請求項10に記載の高性能音響タイル。
【請求項12】
前記鉱物繊維がスラグと玄武岩との混合物からなり、前記玄武岩が前記鉱物繊維の20重量%~40重量%であることを特徴とする請求項10に記載の高性能音響タイル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年1月14日に出願された米国特許出願第14/995,213号の一部継続である。
【0002】
本発明は、鉱物繊維ベースの音響天井タイルに関する。
【背景技術】
【0003】
鉱物繊維及び鉱物ウールという用語は、本明細書で交換可能に使用される。吊り天井に広く使用されている音響タイルは、それらの吸音及び音伝達特性で評価されている。業界では、吸音は騒音低減係数NRCによって測定され、これは、許容可能な音響特性を有すると認定するためには0.55を超えるべきである。高性能タイルは、典型的には、0.85以上のオーダーのNRC評点を有する。音伝達は、天井減衰クラスCACとして測定され、許容可能値は少なくとも23である。
【0004】
一般的なタイプの天井タイルは、よく知られている水縮充(water felted)または湿式敷設(wet laid)プロセスで主に鉱物ウールから作製されたベースマットまたはコアを有する。鉱物ウール、バインダー、及びより少量の他の固体が希釈水スラリー中で混合され、動いている有孔スクリーン上に堆積される。混合プロセスの間、鉱物ウール繊維は、丸まり、マット形成スクリーン上に堆積されたときにそれらの性質を概ね保持する小塊を形成する傾向がある。水はスクリーン上で固体から重力及び真空分離され、その後、固体は熱及び空気乾燥されて硬質のベースマットを形成する。
【0005】
不織繊維ガラスのスクリムまたはベールの接着付着を促進にするために、乾燥した水縮充ベースマットの一方の面を磨くことが実施されてきた。ベールは、典型的には、その光反射率を改善するために塗装またはコーティングされる。
【0006】
従来の鉱物ウールベースの湿式敷設ベースマットは、密度が約14~約16.5lbs/立方フィートの範囲である。この密度範囲の下側は、少なくとも部分的に、特にベースマットが適度に低いキャリパー生成物用である場合に、生成プロセスを通して移動しながらその全体性を維持するために十分に低い密度及び湿潤強度を有するマットを確立する際の困難性に制限される。本出願で典型的に使用される鉱物繊維は、3.5~4.1ミクロンの平均繊維直径を有していた。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、騒音吸収及び騒音伝達の両方において比較的高い音響特性を達成する鉱物繊維天井タイルを含む。本発明の構造は、この用途で従来から使用されている鉱物繊維の直径と比較して、比較的大きな平均直径の鉱物ウール繊維から作製される低密度湿式敷設ベースマットを特徴とする。比較的大きな繊維直径は、水縮充または湿式敷設プロセスのワイヤスクリーン上に堆積及び形成されるときに、ベースマットのロフトまたは自由体積の増加を生じさせることが判明した。ロフトの増加により、比較的低い密度及び空気流抵抗を有するベースマットの開発が可能になる。その結果、低いキャリパー、すなわち、比較的薄い完成タイルであっても、高い騒音低減係数(NRC)潜在性となる。
【0008】
開示されたベースマットを用いて及びバックコートなしで作製された天井タイルは、天井減衰クラス(CAC)の有用な尺度を示す。その上、開示された天井タイル構造は、粘土ベースのバックコートの適用によるNRCの限定された損失だけで、増加されるCAC性能のために容易かつ安価に調節され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明を具現化する音響天井タイルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明に従って構成された高性能音響天井タイル10を図示している。図示したタイルは正方形であり、名目上その主要面で2フィート×2フィートの大きさがある。2フィート×4フィートなどの他の従来の面サイズが企図される。当業者は、本明細書で参照される寸法が、業界のメートル基準下で同等のものに変更され得ることを理解する。
【0011】
タイル10は、タイルが設置されたときに部屋に向かってベースマットの面上に不織ベールまたはスクリム12によって被覆されたベースマットまたはコア11を含む。ベール12は部屋側に塗装され得、ベースマットの裏側には任意のバックコーティングが設けられ得る。
【0012】
ベースマット11は、主に鉱物繊維及びバインダーから構成される水ベースの希釈スラリーから形成される。例として、ベースマット固体成分(重量パーセント基準)は、およそ:
85~95%、好ましくは約91.8%の通常のショット含有量を含む鉱物繊維、
0~3%、好ましくは約1.5%の石膏、
5~10%、好ましくは6.7%のバインダー(複数可)、例えば3.8%のラテックス、2.9%のデンプン、であり得る。
【0013】
殺生物剤または難燃剤などの少量の他の材料が含まれ得る。合計で、固体は、スラリーの重量の4.2~4.5%を占め得、残りの重量は水を含む。
【0014】
ベースマットは主に鉱物繊維であり、組み合わされた鉱物繊維及びバインダーは好ましくは固体の90%を超え、バインダーは好ましくは鉱物繊維の重量の約1/11~1/15であることが理解される。
【0015】
マットは、業界でよく知られている従来の湿式敷設または水縮充プロセスで形成される。ベースマットの構成成分は、希釈水スラリー中で完全に混合され、次いで、制御された高さの層で、動いている有孔スクリーン上に堆積される。水は重力及び真空によってスクリーンを通して固体から排出される。依然として湿っているベースマットは、別の上に載っているスクリーン及び/またはローラーを用いてスクリーン上でわずかに押圧されて所望の厚さにされ、その後オーブン内で乾燥される。バインダーは、硬質多孔質塊において鉱物繊維を一緒に固定する働きをする。
【0016】
ベースマットの一方の面は、不織繊維ガラスベールのベースマットへの接着結合を容易にするために、従来のように平坦に研磨される。好適なベールの一例は、Owens Corning Veil Netherlands B.V.で製造された製品CH52であり、以下のように記載されている。
面積重量-125g/m2
空気多孔度-100Paで1900L/m2
【0017】
ベールまたはベースマットの空気流動特性を著しく変えることなくベールをベースマットに接着させるために好適な接着剤が使用される。接着剤は、3.6~3.9グラム/ft2の速度で適用される、Henkle(商標)によって市販されているAquence(商標)PL114Aなどの商業的に利用可能な水ベースの製品であり得る。ベールの外側表面は、例えば、11.2グラム/ft2の固体コーティング(主にTiO2)を使用して、例えば、0.87の所望の光反射率(LR)、または約15グラム/ft2の固体コーティングを使用して90のLRを達成するために、典型的には多孔質または非ブロッキング光反射コーティングまたは塗装で被覆される。光反射コーティングのための比較的均一な平坦な表面を提供するため、ベールの主な機能は審美性である。LRコーティング及びベールは、ベースマットの音響特性に重大な影響を与えない。また、ベールは、タイルが天井グリッドに設置され、その周囲で支持される場合、タイルの下垂に抵抗する働きをする。
【0018】
本発明の1つの態様によれば、名目上の1/2インチ及び5/8インチのキャリパータイルなどの低キャリパー音響天井タイル構造は、好ましくは約10.0~約14.5lbs/立方フィート、より好ましくは約11.4~約14.2lbs/立方フィートの密度を有する湿潤縮充鉱物繊維ベースのベースマットから生成される。
【0019】
低キャリパー生成物においてこれらの比較的低い密度を得るために、従来の鉱物繊維配合物を変更し、見掛け上反直観的には、従来使用されていたものから繊維直径を増加させることが望ましいことが判明した。上記のように、典型的な従来の鉱物繊維の平均直径は、典型的には3.5~4.1ミクロンであった。本発明は、6ミクロンを目標とし、ランダムな長さで生成される4.5~8.3ミクロンの平均鉱物繊維の繊維直径を企図している。
【0020】
典型的な先行技術の鉱物繊維配合物は、重量パーセントで94%のスラグ及び6%の花崗岩石である。本発明で使用される重量パーセントを基準とする新規なスラグ/天然岩鉱物繊維配合物は、83%のスラグ、17%の花崗岩石で「高花崗岩」鉱物繊維及び80%のスラグ、20%の玄武岩石で玄武岩鉱物繊維を含む。潜在的な他の配合物は、60%のスラグ、40%の玄武岩石の玄武岩鉱物繊維を含む。前述の重量パーセント比は、例えば、花崗岩または玄武岩を10%増加または減少させ、スラグを同じパーセントで減少または増加させることによって変更され得る。玄武岩を含む鉱物繊維組成物は、花崗岩/スラグ組成物よりも高い弾力性または復元力を有し、より好ましい。
【0021】
本明細書で使用される「スラグ」という用語は、the National Slag Association(U.S.A.)によって典型的に報告されているような主な化学構成成分を有する鉄高炉スラグであり、すなわち、
【0022】
【0023】
より最近では、鉄高炉スラグは、鉱物の組み合わせであることを特徴とする。
メリライト(オケルマナイト及びゲーレナイト)[Ca2MgSi2O7-Ca2Al2SiO7]
メルウィナイト、カルシウム-マグネシウム-シリケート[Ca3MgSi2O8]
カルシウム-シリケート[CaSiO3]
モンティセライト[CaMgSiO4]
【0024】
割合の大まかな近似は、
メリライト~70%、残りの相(メルウィナイト、カルシウム-シリケート、及びモンティセライト)が他の30%を構成する。
【0025】
組み合わせると、これらの構成成分は通常、以下の一般式を有する同形混合物として存在する。
Ca2(MgFeAl)(SiAl)2O7
【0026】
上記で説明したベースマット配合を使用する4.5~8.3ミクロンの平均直径の鉱物繊維は、ベースマット生成プロセスの移動ワイヤ上に堆積されたときにスラリー固形物のより大きなロフトを発生させることが判明した。この高いロフトは、ベースマットのより低い最終密度をもたらす。
【0027】
11/16インチ以下の名目上厚さの低キャリパー音響天井タイルにおいて、約11.4~14.2lbs/立方フィートの湿潤形成された鉱物繊維ベースのベースマット密度は、優れたNRC値及び有用なCAC値の両方をもたらす。タイルの性能は、NRC性能のわずかな損失だけでCAC値を改善するためにバックコート(典型的には粘土固体及び水)の適用によって変更され得る。記載されたベール及びLR塗装を有するタイルにおけるこれらの関係は、鉱物繊維が80%のスラグ及び20%の玄武岩である列E、F、及びGの生成物説明表に記載されている。
【0028】
【0029】
6ミクロンのオーダー、すなわち、4.5~8.3ミクロンの鉱物繊維の平均直径は、2つの理由で鉱物繊維ベースマットを有する低キャリパー高性能音響タイルを探求する際の解決策を提供する働きをする。第1に、上述したように、通常より大きい繊維直径は、湿式縮充プロセスの移動ワイヤ上に形成されているときに、繊維マットのロフトを増加させることが判明している。第2に、より大きな直径は、コンベヤーローラー及び/またはベルトの間で移送され、磨かれ、エッジが切り取られる生成ラインに沿って処理されるときに、構造的に一緒にベースマットを保持する働きをする個々の鉱物繊維の引張強度の増加をもたらす。
【0030】
ベースマットにおける高いロフトは、従来の紡糸プロセスで製造されているときに、適切な化学ミストコーティング(時に塵埃除去液体と称される)を使用して空気ストリームから鉱物繊維を定着させることによって促進されることが判明した。鉱物繊維の重量の例えば0.5%~1.0%の割合で鉱物繊維にミストとして噴霧されるポリエチレングリコール(PEG)水溶液(13.5%PEG、86.5水)は、湿式縮充プロセスにおける鉱物繊維のロフト性能を改善させる働きをする。水及びPEG塵埃除去ミストの代わりに、好適な鉱油が塵埃除去機能のために使用され得る。その油は、VOC放出量が少なく、高温乾燥機が使用されてベースマットを乾燥させる高い引火点及び燃焼点を有するべきである。そのような油の例は次の特徴を有する:ISO等級100、AGMA No.3、SAE ギア油No.80、SAE No.30、粘度cSc@40℃/100℃-95/11、粘度指数101、引火点500°F/260℃ 燃焼点555°F/291℃。鉱物繊維の重量に対して0.5~1.0重量%の割合の鉱油が使用され得る。本明細書に記載の最終的なベースマット生成物には塵埃除去液体の残留物が存在すると考えられる。
【0031】
低キャリパータイル構造における開示されたベースマットは、驚くべきことに、NRCとCACの両方の独自で望ましい音響特性を示す。この性能は、例えば、本発明のベースマットと比較して同じキャリパーの繊維ガラスベースのベースマットでは通常入手できない。
【0032】
本発明の別の態様によれば、上記の開示されたスラグ/玄武岩鉱物繊維及びベースマット配合物を使用して、高NRC(騒音低減係数)及びCAC(天井減衰クラス)値の両方を有する高性能音響パネルを生成し得る。これは、ベースマットの厚さまたはキャリパーを増大させ、音響反射性の材料でベースマットをバックコートすることによって達成され得る。記載されているように、接着によって付着された塗装ベールが維持され得る。
【0033】
生成物説明表の列A及びBは、より大きなキャリパーサイズの記載されたスラグ/玄武岩ベースマット組成物(80%スラグ、20%玄武岩)の特性を示している。従来の先行技術のスラグ/花崗岩生成物は、列C及びDであることを特徴とする。列A及びBにおけるNRC値と列C及びDにおける値との比較は、本発明のスラグ/玄武岩配合物のNRCが先行技術の配合物よりも著しく増加することを示している。列Bにおける生成物は、所望のより高いCACに調節するために、他のスラグ/玄武岩生成物(列A、E、F、及びG)よりも比較的高いベースマット密度で意図的に生成される。
【0034】
生成物説明表に登録された音響反射バックコートのレベルは、2回連続のコートで適用され得る。乾燥前のバックコート(複数可)は、第2のコート中に、少量のラテックス(約5重量%)と共にカオリン粘土及び水を含む。列Fの生成物は、外観のために単一のバックコートコーティングで被覆されている。フェイスコートは、主に二酸化チタンである音響非ブロッキング塗装であり、2つのコートで適用され得る。
【0035】
本明細書に記載のスラグ/玄武岩鉱物繊維ベースマット配合物は、湿式敷設または縮充プロセスで改良されたロフトを示すので、より少ない繊維及び他のスラリー材料を用いることでより低い密度で、初期目標の予備圧縮厚さに敷設することが可能である。より少ない材料で最小目標厚さに合致するスラグ/玄武岩繊維ベースマットは、材料含有量の同じ減少を伴って最終的な予備研磨設計厚さにプレスされる。スラグ/玄武岩鉱物繊維の使用は、改善された水はけ及びより低い密度による生成ライン速度の改善(主に乾燥機能力による)をもたらし得る。スラグ/玄武岩鉱物繊維を用いると、所定の体積のベースマットの場合、乾燥する質量がより少なく、ベースマットを通る空気の流れがより良好であり、それ故、乾燥機負荷がより少ない。
【0036】
この開示は例示であり、本開示に含有される教示の公正な範囲から逸脱することなく、詳細を追加、修正、または削除することによって様々な変更がなされ得ることは明らかなはずである。そのため、本発明は、以下の特許請求の範囲が必然的にそのように限定される程度を除き、本開示の特定の詳細に限定されない。