(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】ベビーカー及びそのリバーシブル機構
(51)【国際特許分類】
B62B 9/12 20060101AFI20220105BHJP
B62B 9/20 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B62B9/12 Z
B62B9/20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020152018
(22)【出願日】2020-09-10
【審査請求日】2020-11-09
(31)【優先権主張番号】201910862582.7
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517042092
【氏名又は名称】ワンダーランド スイツァーランド アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】孫 明星
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-006553(JP,A)
【文献】米国特許第06508605(US,B1)
【文献】実開平03-084272(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 7/00 - 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベビーカーに配置されるリバーシブル機構であって、該ベビーカーは、ベビーカーフレーム及び該ベビーカーフレームに枢結されるリバーシブル部材を含み、当該リバーシブル機構は、該ベビーカーフレームに対して該リバーシブル部材を異なる位置にロックするとともに、
前記ベビーカーフレームの少なくとも2つの異なる位置に配置される固定部と、
前記リバーシブル部材を可動に覆う摺動スリーブであって、該摺動スリーブは、前記リバーシブル部材を前記ベビーカーフレームに対して異なる位置にロックするために、前記固定部のうちのいずれか1つと選択的に係合する、摺動スリーブと、
前記リバーシブル部材に可動に配置されるとともに、前記摺動スリーブに連結される解除アクチュエータであって、前記摺動スリーブは、該解除アクチュエータの動きによってロック位置及びロック解除位置の間で切り替えられるか又は前記固定部とのロック又はロック解除のために直接操作される、解除アクチュエータと、
を含
み、
前記リバーシブル部材は第1のジョイントと、該第1のジョイントに枢結される第2のジョイントとを含むジョイント構造を含み、該第1のジョイント及び該第2のジョイントのうちの一方は切り欠きを有し、
前記解除アクチュエータは操作部を含み、前記解除アクチュエータは該操作部が前記切り欠きから突出するように配置され、該操作部の操作を介して前記リバーシブル部材の長手方向に沿って摺動可能である、リバーシブル機構。
【請求項2】
前記リバーシブル機構は、前記リバーシブル部材内に配置される連結部材をさらに含み、該連結部材の第1の端部は前記解除アクチュエータに接続され、該連結部材の第2の端部は前記摺動スリーブに接続される、請求項1に記載のリバーシブル機構。
【請求項3】
前記リバーシブル機構は、前記リバーシブル部材内に可動に配置されるとともに、前記摺動スリーブに連結される駆動部材をさらに含み、前記連結部材の第2の端部は該駆動部材に接続され、前記解除アクチュエータが操作された場合、前記解除アクチュエータは、前記摺動スリーブを前記固定部にロックするか又はロック解除するために、前記連結部材を介して前記駆動部材を動かす、請求項2に記載のリバーシブル機構。
【請求項4】
前記駆動部材は前記リバーシブル部材内に摺動可能に配置され、前記摺動スリーブは、前記リバーシブル部材の長手方向に沿って前記リバーシブル部材に摺動可能に配置されている、請求項3に記載のリバーシブル機構。
【請求項5】
前記リバーシブル機構は固定ピンをさらに含み、前記固定ピンは、前記連結部材の前記第
1の端部及び前記解除アクチュエータに固定接続される、請求項2に記載のリバーシブル機構。
【請求項6】
前記リバーシブル部材の長手方向に沿って第1のガイドスロットが形成され、前記固定ピンは該第1のガイドスロットを介して摺動可能に配置される、請求項5に記載のリバーシブル機構。
【請求項7】
前記リバーシブル機構は、前記リバーシブル部材内に配置される弾性部材をさらに含み、該弾性部材は、前記リバーシブル部材と前記駆動部材との間に配置され、該弾性部材は前記駆動部材を付勢して、前記摺動スリーブと前記固定部との係合を維持する、請求項3に記載のリバーシブル機構。
【請求項8】
前記弾性部材は圧縮状態にあり、前記リバーシブル部材と前記駆動部材との間に配置される、請求項7に記載のリバーシブル機構。
【請求項9】
前記連結部材は前記弾性部材を介して配置される、請求項7に記載のリバーシブル機構。
【請求項10】
前記駆動部材は前記摺動スリーブに固定接続される、請求項3に記載のリバーシブル機構。
【請求項11】
前記駆動部材は、前記駆動部材を貫通するピンを介して前記摺動スリーブに固定接続される、請求項10に記載のリバーシブル機構。
【請求項12】
前記ピンの動きをガイド及び制限するために、前記リバーシブル部材に第2のガイドスロットが形成され、前記ピンは該第2のガイドスロットを介して摺動可能に配置される、請求項11に記載のリバーシブル機構。
【請求項13】
前記摺動スリーブ及び前記固定部のうちの一方は突起を有し、前記摺動スリーブ及び前記固定部のうちの他方は凹部構造を有し、該突起は摺動して該凹部構造に入り前記摺動スリーブを前記固定部にロックし、前記突起が前記凹部構造から外れることにより前記摺動スリーブが前記固定部から外される、請求項1に記載のリバーシブル機構。
【請求項14】
前記凹部構造は弧状の溝であり、前記突起は、該弧状の溝と嵌合する凸状の湾曲面を有する、請求項13に記載のリバーシブル機構。
【請求項15】
前記連結部材は剛性リンク又は可撓性のスチールワイヤである、請求項2に記載のリバーシブル機構。
【請求項16】
ベビーカーフレームと、
前記ベビーカーフレームに枢結されるリバーシブル部材と、
前記ベビーカーフレームに対して前記リバーシブル部材を異なる位置にロックするリバーシブル機構であって、
前記ベビーカーフレームの少なくとも2つの異なる位置に配置される固定部と
前記リバーシブル部材を可動に覆う摺動スリーブであって、該摺動スリーブは、前記ベビーカーフレームに対して前記リバーシブル部材を異なる位置にロックするために、前記固定部のうちのいずれか1つと選択的に係合する、摺動スリーブと、
前記リバーシブル部材に可動に配置されるとともに、前記摺動スリーブに連結される解除アクチュエータであって、前記摺動スリーブは、該解除アクチュエータの動きによりロック位置とロック解除位置との間で切り替えられるか又は固定部とのロック又はロック解除のために直接操作される、解除アクチュエータと、
を含む、リバーシブル機構と、
を含むベビーカー
であって、
前記リバーシブル部材は第1のジョイントと、該第1のジョイントに枢結される第2のジョイントとを含むジョイント構造を含み、該第1のジョイント及び該第2のジョイントのうちの一方は切り欠きを有し、
前記解除アクチュエータは操作部を含み、前記解除アクチュエータは該操作部が前記切り欠きから突出するように配置され、該操作部の操作を介して前記リバーシブル部材の長手方向に沿って摺動可能である。
【請求項17】
前記ベビーカーは、前記リバーシブル部材又は前記ベビーカーフレームに配置される枢動シャフトをさらに含み、前記リバーシブル部材は、該枢動シャフトを介して前記ベビーカーフレームに枢結される、請求項16に記載のベビーカー。
【請求項18】
前記リバーシブル部材はハンドルである、請求項16に記載のベビーカー。
【請求項19】
前記
解除アクチュエータに回避孔が形成され、開口を有する、請求項16に記載のベビーカー。
【請求項20】
前記リバーシブル部材に収容空洞が形成され、駆動部材及び連結部材は該収容空
洞内に摺動可能に配置される、請求項16に記載のベビーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベビーカー及びそのリバーシブル機構(reversible mechanism)に関し、より具体的にはベビーカーのハンドルの反転操作を簡便に且つ素早く行うためにリバーシブル機構を有するベビーカー及びそのリバーシブル機構に関する。
【背景技術】
【0002】
急速に発展した経済及び技術は、幼児用キャリア(例えば、ベビーカー又は幼児用バシネット)等の様々な消費者向け製品を人々に提供する。ベビーカーは、幼児を外に連れ出す際に負担を軽減するために大人が片手で操作できるだけでなく、幼児が快適に座ることができる。そのため、幼児の世話をする上でベビーカーの人気がますます高まっている。ベビーカーの改善に対するユーザーの要望伴って、ユーザーのニーズを満たすためにベビーカーのデザインは進化してきた。
【0003】
近年、幼児の世話をする上でリバーシブルベビーカーの人気が以下の利点から高まっている。第1に、リバーシブルベビーカーは、座っている幼児を強い光又は風から守るために前向きの姿勢から後向き姿勢に移すことができる。第2に、世話人がリバーシブルベビーカーを押す際に、幼児は世話人の顔を見て不安を軽減できる。第3に、リバーシブル機能により幼児の視野を広げることができる。
【0004】
リバーシブルベビーカーはハンドルリバーシブル型及びシートリバーシブル型の2種類に大別される。リバーシブルハンドルを有するベビーカーは、リバーシブルシートを有するベビーカーよりも便利に操作できるため人々により人気がある。一般に、リバーシブルハンドルを有する従来のベビーカーは、ユーザーがハンドルの下端に配置された摺動スリーブを操作してハンドルのロックを解除し、次にハンドルの上端を回転させてハンドル反転操作を行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなハンドル反転工程はハンドルのロックを解除し、その後に反転させるのに時間がかかるため、ユーザーは反転操作を素早く完了させることができない。
【0006】
そのため、上記の問題を解決するために、ベビーカーの反転動作を素早く且つ簡便に行うことができるベビーカー及びそのリバーシブル機構を設計する必要がある。
【0007】
本発明の一つの目的は、ベビーカーのハンドル反転操作を簡便に且つ素早く行うためのリバーシブル機構を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、ベビーカーのハンドル反転操作を簡便に且つ素早く行うためのリバーシブル機構を有するベビーカーを提供するである。
【0009】
前述の目的を実現するために、本発明のリバーシブル機構はベビーカーに配置される。該ベビーカーは、ベビーカーフレーム及び該ベビーカーフレームに枢結されるリバーシブル部材を含む。リバーシブル機構は、該ベビーカーフレームに対して該リバーシブル部材を異なる位置にロックするとともに、固定部、摺動スリーブ及び解除アクチュエータ(release actuator)を含む。固定部はベビーカーフレームの少なくとも2つの異なる位置に配置される。摺動スリーブはリバーシブル部材を可動に覆う。摺動スリーブは、リバーシブル部材をベビーカーフレームに対して異なる位置にロックするために、固定部のうちのいずれか1つと選択的に係合する。解除アクチュエータはリバーシブル部材に可動に配置されるとともに、摺動スリーブに連結される。摺動スリーブは、該解除アクチュエータの動きによってロック位置及びロック解除位置の間で切り替えられるか又は固定部とのロック又はロック解除のために直接操作される。
【0010】
リバーシブル機構は、リバーシブル部材内に配置される連結部材をさらに含み、該連結部材の第1の端部は解除アクチュエータに接続され、該連結部材の第2の端部は摺動スリーブに接続されることが好ましい。
【0011】
リバーシブル機構は、リバーシブル部材内に可動に配置されるとともに、摺動スリーブに連結される駆動部材をさらに含み、連結部材の第2の端部は該駆動部材に接続されることが好ましい。解除アクチュエータが操作された場合、解除アクチュエータは、摺動スリーブを固定部にロックするか又はロック解除するために、連結部材を介して駆動部材を動かす。
【0012】
解除アクチュエータは、リバーシブル部材から突出するように配置されるとともに、リバーシブル部材の長手方向に沿って摺動可能であり、駆動部材はリバーシブル部材内に摺動可能に配置され、摺動スリーブは、リバーシブル部材の長手方向に沿ってリバーシブル部材に摺動可能に配置されていることが好ましい。
【0013】
リバーシブル機構は固定ピンをさらに含み、固定ピンは、連結部材の第1の端部及び解除アクチュエータに固定接続されることが好ましい。
【0014】
リバーシブル部材の長手方向に沿って第1のガイドスロットが形成され、固定ピンは該第1のガイドスロットを介して摺動可能に配置されることが好ましい。
【0015】
リバーシブル機構は、リバーシブル部材内に配置される弾性部材をさらに含み、該弾性部材は、リバーシブル部材と駆動部材との間に配置され、該弾性部材は駆動部材を付勢して、摺動スリーブと固定部との係合を維持することが好ましい。
【0016】
弾性部材は圧縮状態にあり、リバーシブル部材と駆動部材との間に配置されることが好ましい。
【0017】
連結部材は弾性部材を介して配置されることが好ましい。
【0018】
駆動部材は摺動スリーブに固定接続されることが好ましい。
【0019】
駆動部材は、駆動部材を貫通するピンを介して摺動スリーブに固定接続されることが好ましい。
【0020】
ピンの動きをガイド及び制限するために、リバーシブル部材に第2のガイドスロットが形成され、ピンは該第2のガイドスロットを介して摺動可能に配置されることが好ましい。
【0021】
摺動スリーブ及び固定部のうちの一方は突起を有し、摺動スリーブ及び固定部のうちの他方は凹部構造を有し、該突起は摺動して該凹部構造に入り摺動スリーブを固定部にロックし、突起が凹部構造から外れることにより摺動スリーブが固定部から外されることが好ましい。
【0022】
凹部構造は弧状の溝であり、突起は、該弧状の溝と嵌合する凸状の湾曲面を有することが好ましい。
【0023】
連結部材は剛性リンク又は可撓性のスチールワイヤであることが好ましい。
【0024】
上記の目的を実現するために、本発明のベビーカーはベビーカーフレームと、リバーシブル部材と、前述のリバーシブル機構を含む。リバーシブル機構はベビーカーフレームに対してリバーシブル部材を異なる位置にロックする。
【0025】
ベビーカーは、リバーシブル部材又はベビーカーフレームに配置される枢動シャフトをさらに含み、リバーシブル部材は、該枢動シャフトを介してベビーカーフレームに枢結されることが好ましい。
【0026】
リバーシブル部材はハンドルであることが好ましい。
【0027】
リバーシブル部材に回避孔が形成され、開口を有することが好ましい。
【0028】
リバーシブル部材に収容空洞が形成され、駆動部材及び連結部材は該収容空洞内内に摺動可能に配置されることが好ましい。
【0029】
従来技術と比較して、本発明のベビーカーは、ベビーカーフレーム、ベビーカーフレームに枢結されるリバーシブル部材及びリバーシブル機構を含む。リバーシブル部材は、ベビーカーのハンドル反転操作を素早く且つ簡便に行うという目的を実現するために、リバーシブル機構を介してベビーカーフレームの異なる位置にロックできる。摺動スリーブと固定部とを係合させるか又は係合を解除させることができ、解除アクチュエータが摺動スリーブに連結され、解除アクチュエータ及び摺動スリーブがリバーシブル部材に可動に配置され、固定部がベビーカーフレームの少なくとも2つの異なる位置に配置されるデザインを介して、リバーシブル部材をベビーカーフレームの異なる位置にロックするために摺動スリーブを固定部のうちのいずれか1つと係合させることができる。このように、ユーザーが解除アクチュエータ1を操作した後、解除アクチュエータの動作により、摺動スリーブを駆動して固定部から外して、リバーシブル部材をベビーカーフレームに対して回転させることができる。続いて、リバーシブル部材を反転位置に回転させた後、リバーシブル部材をベビーカーフレームの反転位置にロックすることができる。以上まとめると、解除アクチュエータは摺動スリーブに連結されているため、解除アクチュエータを操作しやすい位置に配置でき、ベビーカーのハンドル反転操作を簡便に且つ素早く行うことができるという目的を実現できる。さらに、上述の説明から分かるように、本発明のリバーシブル機構は簡素な構造デザインを有する。
【0030】
様々な図面に示す好ましい実施形態の下記の詳細な説明を読んだ後に、本発明のこれら及び他の目的が当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施形態に係るベビーカーの部分分解図である。
【
図2】
図2は、別の角度から見た
図1のベビーカーの部分分解図である。
【
図3】
図3は、ベビーカーフレームを隠した状態の
図1のベビーカーの図である。
【
図4】
図4は、
図1のベビーカーのハンドル及びリバーシブル機構の組立図である。
【
図7】
図7は、ハンドル及びリバーシブル機構の一部を隠した状態の
図1のベビーカーの図である。
【
図8】
図8は、
図4のリバーシブル機構及びハンドルの部分分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の好ましい実施形態の詳細を添付の図面を参照しながら以下で説明する。
【0033】
本発明のベビーカーは、ベビーカーフレーム、リバーシブル部材及びリバーシブル機構を含む。リバーシブル部材は、ベビーカーフレームに対して異なる位置にロックできる。リバーシブル機構は、固定部、解除アクチュエータ及び摺動スリーブを含む。固定部はベビーカーフレームの少なくとも2つの異なる位置に配置されている。摺動スリーブはリバーシブル部材を可動に覆う。摺動スリーブは、リバーシブル部材をベビーカーフレームに対して異なる位置にロックするために、固定部のうちのいずれか1つと選択的に係合する。解除アクチュエータはリバーシブル部材に可動に配置され、摺動スリーブに連結されている。摺動スリーブは、解除アクチュエータの動作によりロック位置とロック解除位置との間で切り替えられるか又は固定部をロック又はロック解除するために直接操作される。
【0034】
なお、本発明は、本発明の好ましい実施形態の下記の説明に限定されない。すなわち、リバーシブル機構がリバーシブル部材、摺動スリーブ及び固定部を含み、ベビーカーがベビーカー上に配置されるリバーシブル機構を有する全てのデザインは本発明の範囲内に含まれ、本発明は下記の実施形態に限定されない。
【0035】
図1~
図4を参照されたい。本発明のベビーカー100は、ベビーカーフレーム20と、ベビーカーフレーム20に枢結されるリバーシブル部材と、リバーシブル機構30とを含む。リバーシブル部材は、ベビーカーフレーム20に対して異なる位置にロックできる。本実施形態では、リバーシブル部材はハンドル10である。具体的には、本実施形態では、本発明のベビーカー100は枢動シャフト40をさらに含む。枢動シャフト40はハンドル10に配置されて、ハンドル10をベビーカーフレーム20に枢結するが、このような構成に限定されない。すなわち、別の実施形態では、枢動シャフト40がベビーカーフレーム20に配置されてもよいし、枢動シャフト40はハンドル10及びベビーカーフレーム20を介して配置されてもよく、いずれの構成も、ハンドル10をベビーカーフレーム20に対して枢動させる目的を実現できる。
【0036】
図1~
図4及び
図8~
図9を参照されたい。ハンドル10は、ジョイント構造101と、ジョイント構造101の第1の端部に接続されるU字管102及びジョイント構造101の第2の端部に接続される直管103を含む。具体的には、直管103はベビーカーフレーム20に枢結される。より具体的には、直管103の下端がベビーカーフレーム20に枢結される。ジョイント構造101は上側ジョイント101a及び下側ジョイント101bを含む。上側ジョイント101aは下側ジョイント101bに枢結されている。上側ジョイント101aが下側ジョイント101bに枢結される位置に微調整ボタン101cが配置されている。微調整ボタン101cは、上側ジョイント101aを下側ジョイント101bに対してわずかに回転させるために操作可能である。より具体的には、本実施形態では、U字管102を上側ジョイント101aに挿入し、直管103を下側ジョイント101bに挿入する。このよう、微調整ボタン101cを介してU字管102及び直管103の微調整を行うことができる。すなわち、ユーザーが微調整ボタン101cを押した後にU字管102を直管103に対して僅かに回転させてベビーカー100の操作の快適性を改善することができる。より具体的には、本実施形態では、上側ジョイント101aは外側ギア1011を有し、下側ジョイント101bは内側ギア1012を有する。内側ギア1012は外側ギア1011と係合して、上側ジョイント101aを下側ジョイント101bに対して枢動させる。別の実施形態では、内側ギア1012を上側ジョイント101aに配置でき、上側ジョイント101aを下側ジョイント101bに枢結するために下側ジョイント101bに配置される外側ギア1011と係合させることができる。例えば、収容空洞103aがハンドル10に形成される。より具体的には、収容空洞103aは直管103に形成されてリバーシブル機構30の一部の構成要素を収容し、省スペース効果を実現するとともに、ベビーカー100がコンパクトな外観を有するものにできる。
【0037】
図3~
図6及び
図8~
図9を参照されたい。リバーシブル機構30は、解除アクチュエータ1、駆動部材2、連結部材3、摺動スリーブ4、固定部5及び弾性部材6を含む。解除アクチュエータ1はハンドル10に可動に配置される。具体的には、解除アクチュエータ1は直管103の上端に配置されて、ベビーカー100の反転操作を簡便に且つ素早く完了させるために解除アクチュエータ1の操作及びハンドル10の回転を同期的に行うことができる。駆動部材2はハンドル10内に可動に配置され、連結部材3はハンドル10内に配置される。具体的には、駆動部材2は収容空洞103a内に可動に配置され、連結部材3は収容空洞103a内に配置される。連結部材3の第1の端部は解除アクチュエータ1に接続され、連結部材3の第2の端部は駆動部材2に接続される。摺動スリーブ4はハンドル10を可動に覆い、駆動部材2に連結されている。具体的には、摺動スリーブ4は直管103の下端を可動に覆う。固定部5はベビーカーフレーム20の2つの異なる位置にそれぞれ配置されている。摺動スリーブ4は、ベビーカーフレーム20の異なる位置でハンドル10をロックするために固定部5のうちのいずれか1つと選択的に係合できるが、このような構成に限定されない。すなわち、本発明は、ハンドル10をベビーカーフレーム20に対して複数のリバーシブル位置に切り替えることができるという目的を実現して多段リバーシブル機能を提供するために、別の実施形態では、固定部5がベビーカーフレーム20の3つ又は4つの異なる位置にそれぞれ配置されるデザインを採用できる。弾性部材6は収容空洞103a内に位置し、収容空洞103aの壁103bと駆動部材2との間に配置される。弾性部材6は駆動部材2を付勢して、摺動スリーブ4が固定部5に係合した状態を維持する。
【0038】
摺動スリーブ4は、解除アクチュエータ1を操作して、連結部材3を介し駆動部材2を動かすことにより駆動できるか又は固定部5のロック又はロック解除するために直接操作できる。このように、本発明のベビーカー100では、摺動スリーブ4と固定部5との係合を解除させてベビーカーフレーム20に対してハンドル10を回転可能にするために、ユーザーは解除アクチュエータ1又は摺動スリーブ4を選択的に操作できるため、ベビーカー100の操作の柔軟性を改善できる。なお、前述したやり方で解除アクチュエータ1を操作することで、ユーザーは、固定部5のロックを解除した後でハンドル10を素早く操作(例えば、ユーザーが直管103を保持)できるため、前述のロック解除操作及び反転操作を行う時間を短縮させて、ハンドル反転操作を簡便に且つ素早く完了させることができる。解除アクチュエータ1、駆動部材2及び摺動スリーブ4はハンドル10に摺動可能に配置されている。具体的には、駆動部材2及び連結部材3は収容空洞103a内に摺動可能に配置されている。そのため、解除アクチュエータ1は、連結部材3をハンドル10に対して摺動させるためにハンドル10に対して摺動でき、連結部材3の摺動により駆動部材2を駆動して、摺動スリーブ4と固定部5とのロック又はロック解除を行うことができる。具体的には、連結部材3は本実施形態では可撓性のスチールワイヤであるがこのような構成に限定されず、別の実施形態では、連結部材3は剛性のリンクであってもよい。以上まとめると、リバーシブル機構30は、摺動スリーブ4と固定部5とをロック又ロック解除を行うために、解除アクチュエータ1と駆動部材2との間の長距離連結を実現するために連結部材3を用いることができる。そのため、ベビーカー100のハンドル反転操作を簡便に且つ素早く行うために操作しやすい位置(例えば、ハンドル10の上側端又は上端)に解除アクチュエータ1を配置できる。
【0039】
図3~
図6及び
図8~
図9を参照されたい。リバーシブル機構30は固定ピン7をさらに含む。固定ピン7は連結部材3の第1の端部及び解除アクチュエータ1に固定接続される(この構成に限定されず、本発明は、別の実施形態では、固定ピン7が解除アクチュエータ1に着脱可能に接続されるデザインを採用し得る)。直管103は、固定ピン7の動きをガイド及び制限するために、直管103の長手方向に沿って形成された第1のガイドスロット1031を有する。固定ピン7は、第1のガイドスロット1031を介して摺動可能に配置される。回避孔(avoiding hole)11が解除アクチュエータ1に形成され、開口111を有する。そのため、解除アクチュエータ1が摺動すると、回避孔11及び開口111は、解除アクチュエータ1が下側ジョイント101bと直管103との間に位置する固定部材(本発明の図には示さず)と衝突するのを防止して、解除アクチュエータ1を滑らかに摺動させるとともに、ハンドル10の構造デザインを合理的なものにすることができる。さらに、回避孔11は、解除アクチュエータ1の動きをガイド及び制限するための長孔である。ユーザーが解除アクチュエータ1を操作した場合、解除アクチュエータ1は固定ピン7を第1のガイドスロット1031に沿って摺動させることができる。したがって、連結部材3を固定ピン7により収容空洞103a内で摺動させて、連結部材3の第2の端部に接続された駆動部材2をハンドル10に対して摺動させて、摺動スリーブ4と固定部5との係合を解除させることができる。
【0040】
図5~
図6を参照されたい。解除アクチュエータ1は操作部12及び摺動ボード13を含む。摺動ボード13の端部は操作部12と一体形成されている。操作部12は摺動ボード13から突出しているため、ユーザーは操作部12を簡便に引っ張ることができる。具体的には、回避孔11が摺動ボード13に形成されている。より具体的には、解除アクチュエータ1は、直管103と下側ジョイント101bとの間で摺動可能に配置されている。取付工程の間、解除アクチュエータ1が固定ピン7と共に直管103に配置された後で直管103が下側ジョイント101bに挿入される。
【0041】
図7~
図9を参照して、弾性部材6は直管103と駆動部材2との間に配置され、圧縮状態にある。具体的には、弾性部材6の一端が収容空洞103aの壁103bに当接し、弾性部材6の他端が駆動部材2に当接する(このような構成に限定されず、本発明は、他の実施形態で、弾性部材6の他端が駆動部材2に固定接続されるデザインを採用し得る)。具体的には、本実施形態では、弾性部材6はコイルバネであり、連結部材3は、駆動部材2に接続されるようにコイルバネを貫通する(このような構成に限定されず、本発明は、別の実施形態で、連結部材3が剛性リンクであり、剛性リンクが駆動部材2に接続されるようにコイルバネを通過するデザインを採用し得る)。そのため、解除アクチュエータ1が解放されると、弾性部材6の弾性力は駆動部材2をハンドル10に対して摺動させ、連結部材3を介して解除アクチュエータ1を元の位置に戻すことができる。それと同時に、駆動部材2の摺動はさらに、摺動スリーブ4を固定部5に係合させることができる。そのため、リバーシブル機構30は、(限定されはないが)自動復帰の目的を実現するために弾性部材6を利用できる。すなわち、別の実施形態では、本発明は、互いに磁気的に反発する2つの磁性構造のうちの一方を収容空洞103aの壁103bに固定し、他方を駆動部材2に固定して、2つの磁性構造間の磁気反発力を介した自動復帰の目的を実現するデザインを採用できる。
【0042】
図1~
図4を参照されたい。駆動部材2は摺動スリーブ4に固定接続され、駆動部材2は、摺動スリーブ4と固定部5との係合を解除するために摺動する。ピン(本発明の図には示していない)が駆動部材2及び摺動スリーブ4を貫通して、駆動部材2を摺動スリーブ4に固定する。具体的には、ピンの動きをガイド及び制限するためにハンドル10に第2のガイドスロット1032が形成される。ピンは、駆動部材2及び摺動スリーブ4がハンドル10に対して所定の範囲を超えて摺動するのを防止するために、第2のガイドスロット1032を介して摺動可能に配置される。他の実施形態では、摺動スリーブ4は駆動部材2に可動に配置でき、駆動部材2の摺動により摺動スリーブ4を駆動して固定部5との係合を解除できることが分かる。例えば、駆動部材2に傾斜スロットが形成され、摺動スリーブ4は、傾斜スロットを介して摺動可能に配置された柱を有する。このように、駆動部材2が摺動すると、傾斜スロットが柱を押して摺動させて、摺動スリーブ4と固定部5との係合を解除するために駆動部材2と共に摺動スリーブ4を動かす目的を実現できる。
【0043】
図7~
図9を参照されたい。固定部5は突起9aを有し、摺動スリーブ4は凹部構造9bを有する。突起9aは、摺動スリーブ4及び固定部5をロックするために凹部構造9b内に摺動し、摺動スリーブ4及び固定部5のロックを解除するために凹部構造9bから外れる。他の実施形態では、摺動スリーブ4が突起9aを有し、固定部5が凹部構造9bを有し得る。凹部構造9bは弧状の溝であり、突起9aは弧状の溝と嵌合する突出曲面を有してもよいが、このような構成に限定されない。そのため、突出曲面と弧状の溝との係合を介して、本発明は、突起9aと凹部構造9bとの間の摩擦を低減して、摺動スリーブ4と固定部5との摩耗を防止し、本発明のリバーシブル機構30の寿命を延ばすことができる。
【0044】
本発明のリバーシブル機構30のためのリバーシブルデザインを、上述の図面を用いて以下で説明する。ユーザーがハンドル10の反転操作を行うことを望む場合、ユーザーは、解除アクチュエータ1を操作してハンドル10に対して摺動させるだけでよい。上記の工程の間、駆動部材2は連結部材3により駆動されてハンドル10に対して摺動し、摺動スリーブ4と固定部5との係合を解除する。摺動スリーブ4が固定部5から外された後、ハンドル10をベビーカーフレーム20に対して回転させることができる。続いて、ユーザーはハンドル10を反転位置に回転させて、解除アクチュエータ1をリリースできる。このとき、弾性部材6は駆動部材2、解除アクチュエータ1及び摺動スリーブ4を駆動してそれらの元の位置に戻し、摺動スリーブ4を反転位置にある固定部5に係合させることができる。
【0045】
従来技術と比較して、本発明のベビーカー100は、ベビーカーフレーム20、ベビーカーフレーム20に枢結されるリバーシブル部材及びリバーシブル機構30を含む。リバーシブル部材は、ベビーカー100のハンドル反転操作を素早く且つ簡便に行うという目的を実現するために、リバーシブル機構30を介してベビーカーフレーム20の異なる位置にロックできる。摺動スリーブ4と固定部5とを係合させるか又は係合を解除させることができ、解除アクチュエータ1が摺動スリーブ4に連結され、解除アクチュエータ1及び摺動スリーブ4がリバーシブル部材に可動に配置され、固定部5がベビーカーフレーム20の少なくとも2つの異なる位置に配置されるデザインを介して、リバーシブル部材をベビーカーフレーム20の異なる位置にロックするために摺動スリーブ4を固定部5のうちのいずれか1つと係合させることができる。このように、ユーザーが解除アクチュエータ1を操作した後、解除アクチュエータ1の動作により、摺動スリーブ4を駆動して固定部5から外して、リバーシブル部材をベビーカーフレーム20に対して回転させることができる。続いて、リバーシブル部材を反転位置に回転させた後、リバーシブル部材をベビーカーフレーム20の反転位置にロックすることができる。以上まとめると、解除アクチュエータ1は摺動スリーブ4に連結されているため、解除アクチュエータ1を操作しやすい位置に配置でき、ベビーカー100のハンドル反転操作を簡便に且つ素早く行うことができるという目的を実現できる。さらに、上述の説明から分かるように、本発明のリバーシブル機構30は簡素な構造デザインを有する。
【0046】
当業者であれば、本発明の教示を保持しつつ、装置及び方法に多くの修正及び変更を行うことができることを容易に理解できる。したがって、上記の開示は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されると解釈すべきである。