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特許6992167負荷切替可能な2速変速機を備えた軸駆動ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】負荷切替可能な2速変速機を備えた軸駆動ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/08 20060101AFI20220105BHJP
   F16H 3/54 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
F16H61/08
F16H3/54
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020513629
(86)(22)【出願日】2017-09-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2017072272
(87)【国際公開番号】W WO2019048031
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】517175611
【氏名又は名称】ジーケーエヌ オートモーティブ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100211236
【弁理士】
【氏名又は名称】道下 浩治
(72)【発明者】
【氏名】ガスマン,テオドール
(72)【発明者】
【氏名】ギュテ,ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ハウプト,ヤン
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-514104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/08
F16H 3/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの変速段を実現するための複数の変速機部材を有する2速変速機(2)と、ギアチェンジを実行するための切替システムとを備えた車両用の変速機ユニットであって、
前記切替システムは、
- クラッチ操作部(20)を介して切り替え可能で、閉位置では1つのギア部材を回転不動に保持するか、複数のギア部材を互いに回転不動に連結状態にし、開位置では前記1つのギア部材または前記複数のギア部材を解放し、それにより前記1つのギア部材が回転可能であるか、または前記複数のギア部材が互いに回転可能である、摩擦クラッチ(10)と、
- ギア部材と協働し、このギア部材をロック回転方向に回転させず、フリーホイール回転方向に回転させるロック装置(11)であって、前記ロック装置と協働する前記ギア部材は、或る変速段において前記ロック回転方向への回転トルクを前記ロック装置(11)に印加し、別の変速段においてフリーホイール回転方向に回転する、ロック装置と、
- 遮断操作部を介して切り替えることができ、前記ロック装置(11)と協働するギア部材の前記フリーホイール回転方向への回転を遮断位置にて遮断することができ、前記フリーホイール回転方向に回転するために解除位置にて解除することができる遮断装置(19)と、
を含む変速機ユニットにおいて、
前記切替システムが、前記摩擦クラッチ(10)が前記開位置から前記閉位置への移行を開始するか、前記閉位置から前記開位置への移行が完了するクラッチ切替しきい値を提供し、前記切替システムは、前記遮断装置が前記遮断位置から前記解除位置へ、または前記解除位置から前記遮断位置へ移行する遮断切替しきい値を提供し、
前記遮断切替しきい値は、
- 前記ロック装置と協働する前記ギア部材が前記フリーホイール方向に回転し始める前に、前記遮断装置が前記解除位置にあり、
および/または
- 前記ロック装置と協働する前記ギア部材が前記ロック回転方向への回転トルクを前記ロック装置に印加し始めてから、前記遮断装置が遮断位置に移行するように、前記クラッチ切替しきい値に調整されてい
前記遮断操作部(22)と前記クラッチ操作部(20)との両方は、作動状態に関係なく、同じレベルの同じ操作量で駆動制御され、
前記クラッチ操作部(20)と、前記遮断操作部(22)との両方は、外部制御介入又はセンサー系を必要とせずに受動的に動作する機械的な操作システムである、
ことを特徴とする変速機ユニット。
【請求項2】
前記クラッチ操作部(20)及び前記遮断操作部(22)の操作量が印加されないときに、前記切替システムは、前記2速変速機(2)の前記変速段を1速又は2速とするように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の変速機ユニット。
【請求項3】
前記操作量は油圧であり、前記遮断切替しきい値と前記クラッチ切替しきい値との間には、少なくとも0.5barの切替しきい値差があることを特徴とする、請求項1または2に記載の変速機ユニット。
【請求項4】
前記操作量は油圧であり、前記遮断操作部(22)の油圧による駆動制御と、前記クラッチ操作部(20)の油圧による駆動制御とは、単一の操作量ユニットによって調整される共通のパイプ圧によって行われることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の変速機ユニット。
【請求項5】
前記遮断操作部(22)は付勢要素(23)を有し、前記付勢要素(23)は、操作量が増加するにつれて所望の遮断切替しきい値を、外部制御介入又はセンサー系を必要とせずに械的に表すように寸法設定されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の変速機ユニット。
【請求項6】
前記クラッチ操作部(20)は付勢要素(23)を有し、前記付勢要素(23)は、操作量が増加するにつれて所望のクラッチ切替しきい値を、外部制御介入又はセンサー系を必要とせずに械的に表すように寸法設定されていることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の変速機ユニット。
【請求項7】
付勢要素(23)は復帰要素として機能し、前記復帰要素は、操作量が減少すると、前記遮断装置および前記摩擦クラッチを、前記2速変速機(2)の前記変速段が1速又は2速となるフェイルセーフ位置へ押し戻すことを特徴とする、請求項5又は6に記載の変速機ユニット。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の変速機ユニットを備えた、車両ドライブトレインのための軸駆動ユニット。
【請求項9】
前記軸駆動ユニット(1)は、ホイールシャフトを駆動するための差動ユニット(14)を有し、前記2速変速機(2)および前記差動ユニット(14)は、共通の軸駆動ハウジング(16)に配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の軸駆動ユニット。
【請求項10】
前記遮断操作部(22)と前記クラッチ操作部(20)との両方が、作動状態に関係なく、同じレベルの同じ操作量で駆動制御されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の変速機ユニット、または請求項8もしくは9に記載の軸駆動ユニットの作動方法。
【請求項11】
切替システム圧は、単一の操作量ユニット、特に単一の電子制御される油圧ポンプ、または単一の電子制御される制御弁を介して調整されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記変速機ユニットに導入された入力トルクは、1速から2速へのギアチェンジの際に増加し、一方で、前記クラッチ(10)によるトルクの受け渡しが増加する結果、前記ロック装置(11)の負荷は次第に減少することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
2速から1速へのギアチェンジの際に、前記ロック装置(11)がロック回転方向の回転トルクを支持し始める前に、前記2速変速機(2)の入力部材を駆動するための電動モータ回転数は、1速の変速比によって指定された回転数に増加することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルによる2速変速機ユニット、および請求項12のプリアンブルによる、そのような2速変速機ユニットにおける切替動作の制御方法に関する。さらに、本発明は、そのような2速変速機ユニットを備えた軸駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
そのような2速変速機ユニットを備えた軸駆動装置は、文書DE102015104203A1(独国特許出願公開第102015104203号)にも示されている。遊星歯車機構として構成された2速変速機ユニットでは、1速を実現するために、太陽歯車がブレーキまたはフリーホイールを介して遮断される。2速を実現するために、変速機の構成群ユニットをクラッチで連結状態にし、これにより構成群ユニットは、直接駆動を実現した状態において、かつ太陽歯車の回転方向を変更することによって太陽歯車が2速でフリーホイールによって解除される結果、連結体として回転する。さらに、この刊行物は、1速でも回生動作を可能にするために、1速に太陽歯車を固定するための追加の爪クラッチを設ける手段を開示している。さらに、負荷切り替えがアクチュエータの補助によって行われることも開示されている。この刊行物には、実際の切替動作の実行方法についての情報は含まれていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この背景から、本発明の課題は、ギアチェンジの特に簡単で有利な制御を可能にするように構成された、冒頭で述べた種類の変速機ユニットを提供することである。この目的のために使用される切替システムは、できるだけ少ない数の構成部材で済み、できるだけ少ない制御ロジックおよび制御センサを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために以下のことが企図される:切替システムが、摩擦クラッチが開位置から閉位置への移行を開始するか、閉位置から開位置への移行が完了するクラッチ切替しきい値を提供し、該切替システムは、遮断装置がギアチェンジの際に、遮断位置から解除位置へ、または解除位置から遮断位置へ移行する遮断切替しきい値を提供し、切替動作時に、
- ロック装置と協働するギア部材がフリーホイール方向に回転し始める前に、遮断装置が解除位置に移動しており、
および/または
- ロック装置と協働するギア部材がロック方向に押圧し始める前は、遮断装置は遮断位置に移動しない
ように、遮断切替しきい値は、クラッチ切替しきい値に調整されている。
【0005】
そのような2速変速機ユニット、またはそのような変速機ユニットを搭載した軸駆動ユニットの作動方法に関して、遮断操作部とクラッチ操作部との両方が、作動状態に関係なく、同じレベルの同じ操作量で駆動制御される。
【0006】
切替しきい値の間隔をより明確にするために、クラッチが閉位置へ移行する際にトルクを伝達し始める前に、すなわち、クラッチのキスポイントに到達する前に、遮断装置が解除位置に移行するように、遮断切替しきい値とクラッチ切替しきい値とを互いに調整することができる。同様に、代替的または追加的に、クラッチが開放位置に到達する前に遮断装置が遮断位置に移行しないように、遮断切替しきい値とクラッチ切替しきい値とを互いに調整することもできる。
【0007】
切替システムの切替安全性をさらに高めるために、遮断装置が切り替わる遮断切替しきい値と、切替クラッチが切り替わるクラッチ切替しきい値とは、クラッチが開位置から閉位置に移行し始める前に遮断装置の解除位置への移行が完了するように、互いに調整することができる。
【0008】
切替システムは、好ましくは1速でフェイルセーフ(fail-safe)になるように構成されている。これは、操作量の供給が失敗した場合、非加圧状態のシステムにおいて、変速機ユニットが1速にあるため、1速でも遮断位置にある遮断装置で作動できることを意味する。このために、システムは、通常遮断された遮断装置(非加圧切替システムにおいて遮断位置にある遮断装置)と、常開の摩擦クラッチ(非加圧切替システムにおいて開放位置にある摩擦クラッチ)とを有する。
【0009】
しかしながら、切替システムは、2速に対してもフェイルセーフ(fail-safe)に構成することもでき、すなわち、通常解除された遮断装置(非加圧切替システムにおいて解除位置にある遮断装置)と、常閉の摩擦クラッチ(非加圧切替システムにおいて閉鎖位置にある摩擦クラッチ)とを有する。
【0010】
ここで、クラッチ切替しきい値は、クラッチ操作に作用する操作量、好ましくは油圧のレベルによって指定され、そこから、クラッチは開位置から閉鎖し始めるか、または閉位置から出発して完全に開く。操作量が油圧である場合、これに適した値は約2bar~3bar、好ましくは2.3bar~2.7barである。
【0011】
遮断装置に作用する操作量のレベルによって指定され、同様に好ましくは油圧である遮断切替しきい値は、遮断装置が遮断位置から解除位置に、または解除位置から遮断位置に移行し始める切替しきい値である。操作量が油圧である場合、特に切替システムが、1速ギアでフェイルセーフになるように構成されている場合、遮断切替しきい値は、クラッチ切替しきい値よりも小さく、好ましくはクラッチ切替しきい値よりも約1.5barまたは約0.5bar~約1bar小さい。2速でフェイルセーフになるように構成されている切替システムでは、遮断切替しきい値は、好ましくはクラッチ切替しきい値よりも0.5bar~1bar大きい。
【0012】
遮断切替しきい値とクラッチ切替しきい値との間の切替しきい値差は、切替セキュリティとして提供され、操作量が増加すると、クラッチ切替しきい値に到達する前に、遮断装置が解除位置にシステム固有に確実に到達し、および/または、クラッチ切替しきい値が既に超えられてから、遮断位置をシステム固有にとるように作用する。ギアを別の方向に変更する場合、遮断装置が解除位置から離れ始める前に、クラッチが完全に開いていることが保証される。
【0013】
上述の説明から、それぞれの切替しきい値は、1つの同一の切替システム内および型式内でも、性質、摩擦特性におけるずれ、または個々の構成部材の公差のずれの結果として、一定の分散が生じる可能性があり、また、ヒステリシスの結果、操作量が増加または減少したときに、切替しきい値を超えているかどうかによって異なる可能性がある。したがって、切替しきい値に非常に具体的で明確な操作量値(油圧)を割り当てることはできず、小さな分散範囲に及ぶ値のみを割り当てることができる。
【0014】
上述の切替システムの構成により、作動状態に関係なく、同じレベルの同じ操作量で、遮断操作部およびクラッチ操作部の両方を常に駆動制御することができる。これは、例えば油圧を供給する、好ましくは電子的にポンプ電流または回転数を介してトルクおよび/または回転数制御される油圧ポンプなどの操作量ユニットのみが、または油圧制御弁のみが、クラッチ操作部および遮断操作部の上流に配置される必要があることを意味する。同じ同一の操作量、特に、単一の油圧ポンプまたは単一の油圧制御弁によって調整される共通油圧ライン圧力は、クラッチ操作部および遮断操作部に常に同じレベルで作用することができる。遮断操作部およびクラッチ操作部は、同じ油圧ラインを介して駆動制御できる。
【0015】
これにより、クラッチ操作部と遮断操作部の両方を、機械受動的操作システムとして構成できる。機械受動的とは、外部(電子)制御介入やセンサ系を必要とせずに、純粋に機械的特性に基づいて、所望の切替順序を保証する操作であると理解されている。このために、遮断操作部およびクラッチ操作部は両方とも、好ましくは油圧を介して操作されるアクチュエータを含み、所望の切替順序または切替シーケンスを保証する付勢要素を有する。したがって、遮断操作部の付勢要素は、操作量が増加するにつれて所望の遮断切替しきい値を機械受動的に表すように寸法設定され、クラッチ操作部の付勢要素は、操作量が増加するにつれて所望のクラッチ切替しきい値を機械受動的に表すように寸法設定されている。同時に、付勢要素は復帰要素として機能し、復帰要素は、操作量が減少し、それぞれの切替しきい値を下回ると、遮断装置をフェイルセーフ位置、すなわち、切替システムが非加圧状態で意図通りにとる位置へ押し戻す。
【0016】
2速ギアのフェイルセーフ切替システムでは、操作量の減少(切替システムの圧力の減少)とともに、復帰要素が遮断装置を解除位置に、摩擦クラッチを閉位置に押し込む。1速ギアのフェイルセーフな切替システムでは、復帰要素は、操作量の減少(切替システムの圧力の減少)とともに、遮断装置を遮断位置に、摩擦クラッチを開位置に押し込む。
【0017】
遮断装置は、好ましくは、形状結合式に作用する遮断装置であり、これにより、遮断装置と協働するギア部材が、変速機ユニットまたは軸駆動ユニットのねじり剛性構成部材に対して、特に変速機または軸駆動ハウジングまたはその上に回転不動に固定された構成部材に対して、トルク支持する形状結合を形成して支持される。遮断装置は、ロック装置に組み込むことができ、遮断装置およびロック装置は、有利な実施形態では、変速機ユニットまたは軸駆動ユニットのハウジング外側に取り付けられる共通のハウジングを有することができる。ロック装置は、特に、自動的に切り替わる機械受動的フリーホイールとして構成できる。
【0018】
遮断装置は、1速のロック装置またはフリーホイールを両方の回転方向で遮断することにより、1速において、通常の直進走行に対して変速機のトルク反転を伴う動作状態(回生動作または後進)で、トルクが効果的に支持されることを保証する。したがって、車両は1速でも回生し、後進することができる。
【0019】
なお、1つまたは複数のギア部材と遮断装置との協働、または摩擦クラッチを用いた1つまたは複数のギア部材の回転不動の保持もしくは連結状態化は、単に機能的な観点での協働または回転不動の保持もしくは連結状態化を意味し、必ずしも、遮断装置とそれと協働するギア部材とが互いに直接係合しているか、または摩擦クラッチとそれにより保持または連結状態化されているギア部材が直接接触しているわけではない。機能的な協働は、介在接続された中間要素を介して間接的にも行われる。
【0020】
遮断装置と機能的に協働するギア部材、および/またはロック装置と機能的に協働するギア部材は、それぞれ太陽ユニットの太陽歯車、特に、支持太陽歯車を備えた支持太陽歯車ユニットと、従動太陽歯車を備えた従動太陽歯車ユニットとを備えた二重太陽ユニットの支持太陽歯車であることが好ましい。摩擦クラッチによって連結状態にされるギア部材は、好ましくは、外歯車ユニットと、二重太陽ユニットに属する駆動太陽歯車、または二重太陽ユニットに属する支持太陽歯車とである。当然ながら、他の減速比や他の負荷経路を実現するために、または内歯の中空歯車を備えた古典的な遊星歯車機構を使用する場合など、特定の用途に適切である場合、摩擦クラッチおよび遮断装置のこの機能的な配置構成から逸脱してもよい。したがって、特に摩擦クラッチは、遊星ユニットおよび外歯車ユニット、または太陽ユニットおよび遊星ユニットを連結状態にするように配置してもよい。
【0021】
遊星ユニットは、特に、異なる有効直径を備えた複数の遊星歯車対を備えた、二重遊星ユニットとして構成することができる。遊星歯車は、回転するウェブシャフトに支承されており、ウェブシャフトは、電気モータによって駆動されるシャフト(ギア駆動シャフト)と噛み合う駆動輪ユニットに固定的に接続されているか、または少なくともこれに関連して位置固定され、回転可能に支承されている。好ましくは外歯車ユニットとして構成されているこの駆動輪ユニットは、ウェブシャフトとともに、電気モータによって駆動される変速機の入力部材を形成する。駆動輪ユニットは、好ましい実施形態において、外歯車ユニットとして遊星歯車を少なくとも部分的に径方向内側で収容できるが、遊星歯車と内歯が噛合している古典的な遊星歯車装置の内歯の中空歯車とは違い、好ましくは、電動モータによって駆動されるシャフト(変速機駆動シャフト)と外側で噛合する、内歯ではなく外歯のみの駆動輪として構成されている。
【0022】
乗用車の電動またはハイブリッド駆動される車両ドライブトレイン内で電動推進力を伝達するための、負荷切替可能な2速変速機を備えた2速変速機ユニットは、車両の電動またはハイブリッド駆動軸の2つの車輪に電動駆動力を分配するために機能する、軸駆動ユニットの一部として設けられている。このために、2速変速機ユニットまたは軸駆動ユニットは、好ましくは、軸駆動ユニットによって駆動される軸の左右の駆動輪の差動回転数を補償する差動ユニットを有する。このような2速変速機ユニットは2つの変速比を有し、好ましくはそのうちの1つは直接駆動(i=1、好ましくは2速)として実現され、1つの変速比は直接駆動と異なる変速比(i 1、好ましくはi>1、より好ましくは1.7<i<2、それぞれ好ましくは1速)で実現されている。したがって、2速変速機ユニットは、それぞれが1つまたは複数のギア部材を有することができる3つのギア構成群ユニットである駆動輪ユニット(好ましくは外歯車ユニットとして構成されている)と、遊星ユニットまたは二重遊星ユニットと、太陽ユニットまたは二重太陽ユニットとをさらに有することが好ましい。軸駆動ユニットは、有利には軸駆動ハウジングを有することができ、その中に2速変速機ユニットと差動ユニットの両方、および好ましくは電気駆動機械(電動モータ)が共に組み込まれている。ここで、電気駆動機械は、駆動輪を駆動するハーフシャフトの回転軸と同軸に配置することができる。
【0023】
前段落で概説した軸駆動ユニットと、そのような軸駆動ユニットに適した2速変速機とは、国際特許出願PCT/EP2016/079169の書類に開示されており、これは全範囲が本出願の主題である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】共通の軸駆動ハウジングに組み込まれた2速変速機ユニットと、非差動クラッチ制御式の差動装置とを備えた軸駆動装置を示す。
図2図1に示される軸駆動ユニットの概略図を示す。
図3】ギアチェンジの際の切替順序の図を示す(負荷がかかっている場合の1速から2速へのアップシフト)。
図4】ギアチェンジの際の切替順序の図を示す(2速から1速へのダウンシフト)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1および図2は、統合された2速変速機2を備えた軸駆動ユニット1をそれぞれ示す。軸駆動ユニットは、車両の電動および/または内燃機関(ハイブリッド)ドライブトレインで使用されるように構想されている。
【0026】
電気モータEMによって駆動される変速機駆動シャフト3は、外歯車ユニット4を介して2速変速機2に電動駆動力を導入するために、外歯を介して2速変速機2の外歯車ユニット4と直接係合する。このために、外歯車ユニット4は外歯車5を有し、その外側を向いた被覆面には、駆動される変速機駆動シャフト3と係合する外歯車歯列が直接形成されている。
【0027】
図1に示す実施例では、外歯車ユニット4は遊星ユニット6に回転不動に接続されているため、クラッチ10の切替位置に関係なく、遊星ユニット6と外歯車ユニット4との互いに対する回転は不可能である。したがって、外歯車ユニット4と遊星ユニット6とは、共に2速変速機の入力部材として機能する機能ユニットを形成する。
【0028】
遊星ユニット6は、二重遊星ユニットとして構成され、複数の遊星歯車対を有し、遊星歯車対は、それぞれ第1の遊星歯車7および第2の遊星歯車7を含む。第1の遊星歯車7および第2の遊星歯車7は、互いに回転不動に接続されており、異なる有効直径を有する。このために、一対の遊星歯車は、互いに回転不動に配置された第1の遊星歯車7および第2の遊星歯車7により、一体部品としてまたは複数の部品として構成できる。
【0029】
外歯車ユニット4または外歯車5が変速機駆動シャフト3を介して回転駆動される場合、外歯車5は、遊星歯車対が回転可能に支承された遊星歯車シャフト17を伴う。第1の遊星歯車7は支持太陽歯車9と噛み合い、第2の遊星歯車7は従動太陽歯車9と噛み合う。第1の遊星歯車と第2の遊星歯車、ならびに支持太陽歯車9と従動太陽歯車9とは、それぞれ異なる有効直径を有する。
【0030】
軸駆動ユニット1は、形状結合式に作用する差動歯車装置を備えていないが、電動駆動力が駆動輪に伝達される個別駆動制御可能な2つの差動クラッチ18を備えた、非差動歯車装置・クラッチ制御型差動ユニット14を有する。当然ながら、このような差動ユニットに代えて、古典的な差動ギアを使用することもできる。図1および図2から分かるように、変速機駆動シャフト3は中空シャフトとして実施され、その回転軸は、ホイールシャフトの回転軸および電動モータEMの回転軸と合同である。
【0031】
外歯車5に放射状に組み込まれているのは、それぞれが第1の遊星歯車7と、第2の遊星歯車7とを含む複数の遊星歯車対を備えた二重遊星ユニット6であり、遊星歯車対はまた、遊星ユニット6に軸方向に組み込まれた、支持太陽歯車9と駆動太陽歯車9とを有する太陽歯車ユニット8に噛合する。
【0032】
遊星ユニット6の側面には油圧作動式クラッチ10が配置され、クラッチ10を閉じることにより、従動太陽歯車9と外歯車ユニット4とを互いに連結状態にすることができるため、外歯車ユニット4と、遊星ユニット6と、太陽ユニット8とを含む2速変速機2が、直接駆動(i=1、好ましくは2速)の実現のために連結体として回転する。ここで、支持太陽歯車9は、フリーホイール回転方向に軸駆動ハウジング16に対しても回転し、この回転方向に、フリーホイールが支持太陽歯車9をフリーホイール回転方向に回転できるようにする解除位置に遮断装置19がある限り、図示の実施例で軸駆動ハウジング16の外側に回転不動に配置されているフリーホイール11が許容される。支持太陽歯車9とフリーホイール11との協働を可能にするために、支持太陽歯車9に回転不動に接続された内側シャフトが、中空シャフトとして構成された変速機従動シャフト13内で外側に案内されて、そこで、外側から軸駆動ハウジング16に配置され、ひいては外部から良好にアクセス可能なロック装置(フリーホイール11)と協働する。
【0033】
所望の変速比i>1(好ましくは1速)を実現するために、第1の遊星歯車7の有効直径は第2の遊星歯車7の有効直径よりも大きく、したがって、支持太陽歯車9の有効直径は従動太陽歯車9の有効直径よりも小さくなる。
【0034】
クラッチ10が開いている場合、回転方向の反転の結果としてロック回転方向に負荷がかかる支持太陽歯車9は、フリーホイール11を介して軸駆動ハウジング16に対して支持される。第1の遊星歯車7は停止している支持太陽歯車9上を転がり、一方で、これが遊星歯車シャフト17の周りを回転し、第2の遊星歯車7を直接駆動し、これは、第2の遊星歯車7と従動太陽歯車9の間に作用する歯列を介して従動太陽歯車9を駆動し、ひいては、これにより回転不動に接続された変速機従動シャフト13を駆動する。従動太陽歯車9と変速機従動シャフト13とは、図1に示すように一体に構成されていれば、共に変速機出力要素を形成することができる。当然ながら、従動太陽歯車9を変速機従動シャフト13とは別個の部品として回転不動に変速機従動シャフト13と接続させることにより、変速機従動シャフト13と従動太陽歯車9とは、複数の部材としても実施することができる。
【0035】
なお、支持太陽歯車9と噛合する第1の遊星歯車7は、図1に示すように、原則として、クラッチ10とは反対側、すなわち遊星歯車対の図1の右側と、クラッチ10に面する、すなわち遊星歯車対の図1の左側との両方に配置できることに留意されたい。図1および図2に示される実施形態とは反対に、変速機従動シャフト13は、内側シャフトとして構成でき、一方で、ロック装置(フリーホイール11)と協働し、支持太陽歯車9と回転不動に接続されるシャフトは、内側シャフトを囲む中空シャフトとして構成できる。
【0036】
しかしながら、図1および図2に示す実施形態が好ましい、なぜなら、ここでは、クラッチ10が変速機入力部材として機能する機能ユニット(外歯車ユニット4およびこれとユニットを形成する遊星ユニット6)を、変速機従動シャフト13と直接連結状態にするため、間にある他の構成部材(遊星歯車対、支持太陽歯車、ベアリングなど)が効果的にまたぎ越され、ひいては駆動チェーンから広範囲にわたって取り外されており、車両が直接駆動で作動している際に大きな負荷を受けない。
【0037】
また、図1および図2に示す実施形態の利点は、クラッチ10のクラッチプレートを、外側被覆面が第1の遊星歯車7よりも小さい直径を占める第2の遊星歯車7の周りに配置できることである。これにより、クラッチ10は、遊星歯車対の少なくとも一部を半径方向外側で取り囲んでいるにもかかわらず、クラッチ10が第1の遊星歯車7の周りに配置される実施形態よりも小さい直径を有することができる。
【0038】
なお、外歯だけの外歯車、二重遊星ユニットおよび二重太陽ユニットを備えた図1に示す実施形態とは異なり、当然ながら、以下のような古典的な遊星歯車機構が使用される実施形態、すなわち、特に国際特許出願PCT/EP2016/079169の書類に記載されているように、外歯車ユニットとして、内歯付き中空歯車と、簡単な遊星ユニット(有効径の異なる2つの遊星ギアを有する遊星歯車対のない遊星ユニット)と、簡単な太陽ユニット(太陽歯車が1つのみの太陽ユニット)とが使用され得る実施形態も考えられることに留意されたい。
【0039】
図2から、遮断装置のクラッチ操作部20および遮断操作部22の両方が、同じ油圧パイプラインを介した油圧によって常に同じレベルで駆動制御されることが分かる。遮断操作部22およびクラッチ操作部20は両方とも、ばねによって形成される付勢手段23を有し、これは同時に復帰手段としても機能する。付勢手段23の寸法によって、図2に示す切替システムにおいて、摩擦クラッチ10が閉じ始める前に遮断装置19が圧力切替しきい値で既に遮断位置に入り、システム圧力がクラッチ切替しきい値を超えている限りそこに確実に留まることが保証される。単に機械的な手段を使用した遮断切替しきい値とクラッチ切替しきい値とのこの調整により、1速のフェイルセーフシステムである図2に示す切替システムの所望の切替シーケンスは、システム内で機械的に固有である。この構成により、単純な制御が可能になるだけでなく、1つのポンプまたは1つの弁のみを介して遮断操作部およびクラッチ操作部の両方を油圧で駆動制御でき、かつ、所望の切替順序において両方の操作部がそれぞれの切替しきい値を下回ると、フェイルセーフ位置に戻る。アップシフトにおいても、ダウンシフトにおいても、例えばダブルクラッチ変速機で要求される制御困難なハンドオーバーは不要である。
【0040】
図3および図4は、7つの個別のセクションAからH(アップシフト)またはセクションHからN(ダウンシフト)での切替動作のシーケンシャル順序を、曲線推移図を使用して示すものであり、切替システムにおける回転数、トルク、および油圧が示されている。図3は、1速から2速へのシフトアップ時の経過を示し、図4は、2速から1速へのダウンシフト時の経過をシーケンシャル順序で時間軸上に示している。各セクションA~Gの幅は、時間に比例して示されていない。曲線推移図は、切替動作を図画によって明示するイラストとして使用され、定量的かつ絶対的に解釈されるのではなく、実際の経過の大まかな近似としてのみ解釈される。以下で説明する個々のセクションは、実際には境界がはっきりせず互いに重なっている。
【0041】
負荷がかかっている場合のアップシフト動作は次のとおりである。
【0042】
セクションAでは、1速に入っている。電気モータの回転数は、現在の車両速度と車両の加速度で1速が指定する(直線状の1速)回転数に従う。電気モータの回転数の増加によって、車両が加速していることがわかる。油圧システムの圧力はゼロである。フリーホイールには、ロック方向に押す支持太陽歯車を支持するため、一定のトルクが印加される。変速機に入り、電気モータによって供給される変速機入力トルクは一定である。セクションAの最後に、ギアを1速から2速に変更する切替要求がある。
【0043】
セクションBおよびCは、希望のギアチェンジに備えた切替システムの事前調整を示す。切替要求の結果として、セクションB(ロック解除セクション)では、遮断切替しきい値を超えると、油圧切替システムの圧力が上昇する。したがって、遮断装置は解除位置に移行し、セクションBの終わりにフリーホイールのロックが解除される。セクションBの後にセクションC(ブリッジングセクション)が続き、ここでは、切替システムの圧力が遮断切替しきい値BSを短時間の間一定して上回り、好ましくはクラッチ切替しきい値KSの領域で保持されるため、フリーホイールは確実にロック解除でき、または解除されたと見なすことができる。セクションCの時間は非常に短くすることも、省略することもできる。セクションBとCの終わりで、システムは切替動作のために事前調整される。
【0044】
セクションD(キスポイントセクション)では、クラッチ切替しきい値KSを超えると、クラッチのキスポイントに接近する。この段階では、実際のキスポイントに到達する前のシステム摩擦の増加と、接近するクラッチプレート間の影響とにより、実際のキスポイントに到達する前にクラッチ配置構成がトルクをわずかに伝達するため、クラッチトルクがわずかに増加する。
【0045】
セクションE(トルクセクション)では、フリーホイールの下降トルク曲線とクラッチのトルク増加曲線とが示すように、負荷またはトルクがフリーホイールからクラッチに次第に移動している。フリーホイールが次第に解除され、一方で、同時に切替システムの圧力の増加によりクラッチの負荷が次第に増加し、伝達される動力の割合が増加する。滑らかな負荷伝達、特に運転者が気づく推進力の低下をなくすために、変速機入力部材での入力トルクは、クラッチによって次第に伝達されるクラッチトルクと調整して、電動モータによって増化される。このセクションEで実行される2つのクラッチ側の回転数調整により摩擦クラッチで発生する損失力は、この方法で効果的に補償されるため、駆動輪に到達する駆動力は可能な限り一定に保たれ、したがって、運転者は牽引力の中断を感じない。セクションEの終わりで、フリーホイールは完全に解除される。フリーホイールと協働するギア部材、図1および図2の支持太陽歯車9は(ちょうど)静止しており、フリーホイール方向に(ちょうど)回転を開始しようとしているが、これは、遅くとも今完了している必要がある事前に行われた解除位置への遮断装置の移行により、自在に可能である。ただし、変速機の入力側と変速機の出力側の間の有効な変速比は、略1速の変速比のままである。ただし、変速比は、2つのクラッチ側の間の回転数差によって表される。
【0046】
ここでセクションF(電動モータの回転数調整)の実際の切替動作が続き、電動モータの回転数は2速で指定された回転数に調整される。回転数に関する図から、現在の速度では、電気モータの回転数は2速で指定された回転数に近づいていることがわかる。この段階では、エンジン回転数は低下するが、慣性によるシステム内のエネルギー、特に電気モータにある運動エネルギーを最初に低下させる必要があるため、エンジントルクは低下制御される。クラッチをさらに閉じ、クラッチを介して伝達されるトルクをさらに増加させ、クラッチ入力側とクラッチ出力側との間の差動回転数をゼロに減少させるために、この段階で切替システム圧力はさらに増加する。支持太陽歯車がフリーホイールをフリーホイール回転方向に回転させ始め、これは、フリーホイールの負の低下する回転数曲線で示されている。
【0047】
セクションFからセクションGへの移行時に、電気モータが現在の速度において2速で指定された回転数に達すると、トルクは推進力の知覚される均一性のために指定された速度で必要なレベルに上昇され、完了したエンジン回転数の低下によって生じる駆動力の損失を補償する。すでにセクションG(クラッチ閉鎖セクション)の開始時に閉位置にあり、スリップなく駆動力全体を伝達する摩擦クラッチは、最大圧力レベルまでさらに増加する切替システム圧力によって、より強固に閉鎖される。セクションGの後、アップシフトが完了する。
【0048】
ダウンシフト時(図4)には、まずセクションHの最後に対応するシフト要求が行われる。セクションI(保持トルクの接近)では、スリップする(スリップ圧)前に現在の運転状態で必要なクラッチの摩擦係合位置に達するまで、切替システムの圧力を低下させる。
【0049】
セクションJでは、セクションJの終わりまで一定の(負の)回転数でフリーホイール方向に回転する(直線経過 フリーホイール)、フリーホイールと協働するギア部材が、駆動力の増加分が1速を介して伝達されるため、セクションK(回転数調整 電気モータ)の始めに比較的低速で回転し始めるまで、切替システムの圧力が低速でさらに低下する。電気モータを2速の変速比で指定された回転数から1速の変速比で指定された回転数まで上げると同時に、摩擦クラッチで発生した摩擦損失を補償し、運転者が切り替えの折り目をできるだけ感じないようにするために、電動モータの回転数は変速機入力トルクとともに増加する。
【0050】
セクションKの終わりで、フリーホイールは、フリーホイール内のロック部材が荷重伝達システムに入るまで、フリーホイール方向と反対方向に短時間回転する。フリーホイールの回転数、またはフリーホイール(ロック装置)と協働するギア部材の回転数はゼロになる。
【0051】
セクションL(トルク段階)から、フリーホイールによって支持されるトルクが、入力トルクがフリーホイールによって次第に支持され、クラッチが解除される程度に増加することがわかる。この段階では、入力トルクは、クラッチを介して生じる損失力が減少する程度に減少する。セクションLの終わりとセクションMでは、システムは1速にある。ただし、遮断切替のしきい値はまだ下回っていないため、セクションMの遮断装置はまだ解除位置にある。セクションNにある切替システムの圧力がさらに低下すると、機械的復帰手段によって駆動され、遮断装置が遮断位置に移行し、したがってセクションNの終わりに、切替システムの圧力が完全に低下した時に、回生動作または後進も可能となる。
【0052】
最後の図3および図4に示された曲線推移図から、摩擦クラッチおよび遮断装置の両方が、各切替システム状態において同じ切替システム圧力で駆動制御されていることが分かる。
【符号の説明】
【0053】
1 軸駆動ユニット
2 2速変速機
3 変速機駆動シャフト
4 外歯車ユニット
5 外歯車
6 遊星ユニット
7、7 遊星歯車
8 太陽ユニット
9/9 支持太陽歯車/従動太陽歯車
10 クラッチ
11 受動フリーホイール(ロック装置)
13 変速機従動シャフト
14 差動ユニット
15 差動ハウジング
16 軸駆動ハウジング
17 遊星歯車シャフト
18 差動クラッチ
19 遮断装置
20 クラッチ操作部
22 遮断操作部
23 付勢手段/復帰手段
24 油圧ポンプ
25 油圧パイプライン
EM 電動モータ
図1
図2
図3
図4