(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】冷凍庫の他の内壁に積極的な冷却を安価に延伸するための独立した補助サーモサイフォン(Independentauxiliary thermosiphonfor inexpensivelyextending activecooling toadditional freezerinterior walls)
(51)【国際特許分類】
F25D 11/04 20060101AFI20220105BHJP
F25D 17/00 20060101ALI20220105BHJP
F28D 15/02 20060101ALI20220105BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
F25D11/04
F25D17/00 301
F28D15/02 101B
F25B1/00 399Y
(21)【出願番号】P 2020550587
(86)(22)【出願日】2018-10-16
(86)【国際出願番号】 US2018056092
(87)【国際公開番号】W WO2019118063
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-07-08
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512005829
【氏名又は名称】グローバル・クーリング・インク
【氏名又は名称原語表記】GlobalCooling, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100129469
【氏名又は名称】池山 和生
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・エム・バーコウィッツ
(72)【発明者】
【氏名】トッド・リチャーズ
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02613509(US,A)
【文献】実開昭53-150567(JP,U)
【文献】特開2006-111341(JP,A)
【文献】実開平03-078479(JP,U)
【文献】特開2017-089991(JP,A)
【文献】実開昭63-162280(JP,U)
【文献】実開昭52-052773(JP,U)
【文献】米国特許第02401460(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/04
F25D 17/00
F28D 15/02
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却空間を囲む内壁を備える冷凍保管庫、並びに一次冷却器及び一次冷媒を収容する一次冷媒導
管を含む一次冷却装置を有し、
上記一次冷媒導管は、上記一次冷却器に
接続された一次凝縮部分と一次蒸発部分とを有し、
上記一次蒸発部分の一部は、上記内壁の少なくとも一部に熱伝導的に接続されて、
上記内壁から上記一次冷却器に熱を運ぶ冷凍庫において、
さらに補助サーモサイフォンと熱ブリッジとを備え、
(a)上記補助サーモサイフォンは、上記冷凍保管庫
において上記一次冷媒導管に熱的に接続されていない内壁に熱伝導的に接続した補助蒸発部分を有する補助冷媒導管を含み、
上記補助サーモサイフォンは、上記一次冷媒から分離した補助冷媒を収容し、
上記補助冷媒導管は、上記補助蒸発部分の上方に位置する補助凝縮部分に向かって上方に延伸し、
(b)上記熱ブリッジは、上記補助凝縮部分と熱的かつ物理的に接触すると共に、上記一次蒸発部分の一部と物理的に接触して、上記補助サーモサイフォンから上記一次冷媒導管に、この熱ブリッジを介して熱を運ぶ
ことを特徴とする冷凍庫。
【請求項2】
請求項1に記載の冷凍庫において、上記熱ブリッジは、さらに中央熱伝導体と少なくとも1つのストラップとを備え、
(a)上記中央熱伝導体は、少なくとも1つの受熱溝を有し、
それぞれの上記受熱溝は、上記補助冷媒導管の補助凝縮部分の断面外側形状の少なくとも一部と合致する断面形状を有し、また、この中央熱伝導体は、少なくとも1つの排熱溝を有し、それぞれの上記排熱溝は、上記一次冷媒導管の一次蒸発部分の断面外側形状の少なくとも一部と合致する断面形状を有しており、
(b)上記中央熱伝導体と上記冷媒導管とは、上記受熱溝に沿って横たわっている上記補助凝縮部分の少なくとも一部と、上記排熱溝に沿って横たわっている上記一次蒸発部分の少なくとも一部とにおいて組み合わせられ、
(c)少なくとも1つの上記ストラップは、上記組み合わせられた冷媒導管と上記中央熱伝導体とを張力を掛けて取り巻いて固定する
ことを特徴とする冷凍庫。
【請求項3】
請求項2に記載の冷凍庫において、上記補助サーモサイフォンの導管は、上記補助凝縮部分を形成する閉じた両端部を有しており、
上記中央熱伝導体は、2番目の上記受熱溝を有し、上記閉じた両端部は、上記受熱溝内に組み付けられ、
上記中央熱伝導体は、2番目の上記排熱溝を有し、それぞれの上記排熱溝は、上記一次冷媒導管の上記一次蒸発部分の一部を収容し、
組み合わせられた上記冷媒導管は、複数の上記ストラップによって一緒に取り巻かれて固定される
ことを特徴とする冷凍庫。
【請求項4】
請求項2に記載の冷凍庫において、上記補助サーモサイフォンの補助蒸発部分は、
上記冷凍保管庫の最上部内壁に熱伝導的に接続してある
ことを特徴とする冷凍庫。
【請求項5】
請求項2に記載の冷凍庫において、上記補助サーモサイフォンの補助蒸発部分は、
上記冷凍保管庫の底部内壁に熱伝導的に接続してある
ことを特徴とする冷凍庫。
【請求項6】
請求項2に記載の冷凍庫において、上記補助サーモサイフォンの補助蒸発部分は、
上記冷凍保管庫のドアの内壁に熱伝導的に接続してある
ことを特徴とする冷凍庫。
【請求項7】
請求項2に記載の冷凍庫において、上記補助サーモサイフォンの上記補助蒸発部分は、熱伝導性の
複数の取付ブラケットによって、熱伝導的な接続で
上記内壁に取り付けられ、この取付ブラケットは、上記補助蒸発部分と上記内壁とに取り付けられ、
上記
複数の取付ブラケットは、
上記内壁からの高さが
それぞれ相違して、上記補助蒸発部分が水平面に対して傾斜して、最も低い位置から上記熱ブリッジに向かって徐々に上昇するように、この補助蒸発部分を支持する構成で上記内壁上に配置され分布される
ことを特徴とする冷凍庫。
【請求項8】
請求項2に記載の冷凍庫において、
上記一次冷媒の気液平衡温度とは異なる温度において上記補助冷媒が気液平衡温度になる圧力に、この補助冷媒を上記補助サーモサイフォンに充填する
ことを特徴とする冷凍庫。
【請求項9】
比較的温かい物体から比較的冷たい物体に熱を運ぶ熱ブリッジにおいて、排熱管と受熱管と中央熱伝導体とストラップとを備え、
(a)1つ以上の上記排熱管は、比較的温かい物体と熱的に接続し、
1つ以上の上記受熱管は、比較的冷たい物体に熱的に接続し、
(b)上記中央熱伝導体は、外側に開口する1つ以上の受熱溝を有し、それぞれの上記受熱溝は、それぞれの上記排熱管の断面外側形状に合致する断面形状を有し、
上記中央熱伝導体は、1つ以上の排熱溝を有し、それぞれの上記排熱溝は、それぞれの上記受熱管の断面外側形状に合致する断面形状を有し、
上記中央熱伝導体および上記排熱管と上記受熱管とは、上記受熱溝に沿って横たわるそれぞれの上記排熱管と、上記排熱溝に沿って横たわるそれぞれの上記受熱管とにおいて組み合わせられ、
(c)少なくとも1つの上記ストラップは、上記組み合わせられた上記排熱管および上記受熱管と上記中央熱伝導体とを、張力を掛けて取り巻いて固定する
ことを特徴とする熱ブリッジ。
【請求項10】
請求項9に記載の冷凍庫において、上記中央熱伝導体は、複数の上記受熱溝および上記排熱溝、並びに複数の上記排熱管および上記受熱管を有しており、
上記受熱溝と上記排熱溝とは、上記熱ブリッジの周囲を交互に囲む
ことを特徴とする熱ブリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に冷凍保管庫の内壁(interior freezer cabinet wall)から熱を取り去って冷却区域を冷やす形式の、冷凍機用の冷凍または冷却装置に関し、特に冷却壁を有する冷凍機とりわけ極低温冷凍機の、温度分布の安価な改良に関する。温度分布の改良は、積極的に冷却する内壁の表面を、一次冷却装置では直接冷却しない領域にまで、安価に拡張することによって達成する。温度分布を改良することで、内容物の冷却の信頼性と均一性とが高まり、運用コストも削減される。本発明は、従来の圧縮式ランキンサイクル冷凍システムと、スターリングサイクル冷却ないし極低温冷却システムとの双方に適用できる。
【背景技術】
【0002】
図1~
図6は、従来技術において公知の構造と、本発明の構造とを組み合わせた極低温(ULT)冷凍庫を示している。従来技術で知られているように、極低温冷凍庫は、典型的には真空絶縁ドア12によって閉め切られる、真空絶縁保管庫(vacuum insulated cabinet)10を有する。ドア12に取り付けられた二重または三重のガスケット14は、周囲の環境からの熱および湿気の侵入を封鎖する。
【0003】
通常、冷凍庫は、冷却装置の組み合わせ、すなわち冷媒回路に接続された冷却器(cooler)によって冷却される。冷却器は、冷媒から熱を取り去って凝縮させる機械的な冷凍機器である。冷却器は、冷媒回路に接続され、この冷媒回路は、内部冷却空間内あるいはその周辺から、熱を冷却器に運ぶ冷媒導管を備える。この説明では、内部通路を通して冷媒を運ぶ冷媒回路の一部である冷媒導管を指すために、「導管」という用語を用いる。冷媒回路の導管は、通常、主として冷媒が高圧であるため、金属製の管を使用する。しかしながら冷媒導管には、管継手やマニホール内と同様に冷却器内に形成される通路や、あるいは、例えば従来の家庭用冷蔵庫の冷凍区画を囲むシート内の通路のように、金属板内を通して形成される通路を含む他の冷媒通路を含めることができる。蒸発式冷凍装置は、冷媒が蒸発して受熱する蒸発部分と、冷媒が冷却および凝縮して排熱する凝縮部分の両方を含む冷媒導管を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明で使用される冷却器22は、保管庫10の最上区画16に取り付けられるが、ある種の冷却器は、冷凍庫の底部に配置することもできる。本発明は、従来技術で公知の冷却器22と関連して作動するので、冷却器22は、単なる記号として表す。例えば冷却器22は、好ましくはスターリングサイクル冷却器または極低温冷凍機であるが、圧縮機と熱交換器または凝縮器とを用いた従来の圧縮式ランキンサイクル冷凍システムもあり得る。
【0005】
本発明は、従来技術において公知の型式の一次冷媒回路と組み合わせて使用される。一次冷媒回路は、冷凍保管庫10の内部垂直側壁20に、組み込まれたあるいは熱的に連結された連続する冷媒導管18を有し、これらの壁20を直接冷却する。内部壁20は、冷凍庫の内部空気にさらされ、冷凍庫の外側からの熱を遮断するので、壁20に隣接する内部空間は、壁20の温度になる。冷媒導管18の相対する端部は、
図2~
図5に図示されている冷却器22に接続されている。
【0006】
以下明らかになる理由から、上述した従来技術で公知の冷却装置は、以降一次冷却装置と呼び、その主成分を、一次冷却器22及び一次冷媒導管18と呼ぶ。
【0007】
上述した型式の従来技術による冷凍庫は、たとえ正常に作動しても、除去することが望ましい問題を有している。保管庫の内壁に熱的に取り付ける冷媒導管に対する、実用的な製造上の配慮事項は、一次冷却装置によって積極的に冷却する内壁の区域を制限してしまう。往々に、保管庫の最上壁24および保管庫の底部壁(図示せず。)は、ドア12の内壁と同様に冷却されない。なぜなら一次冷媒導管が、保管庫の最上壁24や保管庫の底部壁あるいはドア12の内壁を横切ることもなく、熱的に接触してもいないからである。その理由は、管状の導管を、必要な形状に曲げることの困難性にある。通常、一次冷凍導管全体は、保管庫の内壁の外面に取り付ける前に、曲げ形成する。一次冷媒導管18は、ベーパーロックを引き起こす可能性のある低い個所ないしトラップを回避するために、最上部から下に向かう連続的な傾斜が必要となる。このようなトラップは、周辺の両端部よりもわずかに低い導管部分であり、液体冷媒をトラップに蓄積させる。蓄積した液体冷媒は、蒸気冷媒がトラップを通過するのを妨げ、一次冷却装置の性能を台無しにする。もちろん、冷媒導管を最上壁または底部壁に延伸させるために、側壁と最上壁あるいは底部壁との間の角部周りに沿って、管状の一次冷媒導管を曲げることは、技術的には可能であろう。また低い個所やトラップを回避するために、そのような一次冷媒導管を必要な傾斜面で形成することも、技術的には可能であろう。しかし流れを妨げる低い個所やトラップを形成しない方法で、管状導管を曲げることが難しいため、そのような製造方法は、極めてコストが嵩む。
【0008】
保管庫の壁のある範囲が、一次冷却装置によって積極的に冷却されないことの結果の一つは、冷房空間内における劣った温度分布である。冷却装置によって内壁を冷却する冷凍庫では、通常、強制対流が生じないため、この劣った温度分布は、冷凍庫内の冷却空気に温度の階層化を生じさせる。冷却した保管庫の内部空間に、これらの冷却していない表面を通して入り込む熱は、積極的に冷却した壁によって除去されなければならない。これによって冷凍庫内に温度勾配や温度階層が発生し、冷凍庫内に保管してある試料や製品を危うくするかもしれない暖かい領域が発生する。冷凍庫の保管庫内の暖かい領域は、保管庫の冷却した内部空間内の対流と、保管庫の最上部内壁の積極的な冷却の欠如との累積効果によって、通常、最上部近くになる。しかるに、ぎっしり詰め込まれて対流が生じ難く、かつ保管庫の底部内壁における積極的な冷却が欠如している保管庫の内部空間においては、これらの累積効果によって、内部空間の底部近くに暖かい領域を生じさせる可能性がある。理想的な冷凍庫は、内部空間内に温度勾配または温度階層が無く、計器に表示される望ましい内部温度が、冷凍庫の内容物全体の温度と正確に一致するものであることが望ましい。
【0009】
もう一つの問題は、冷凍保管庫内の冷却された空間内における、温度の空間的変化の結果として生じる。冷却装置は、冷却する空間内を少なくとも最低温度にまで冷却しなければならない。もし、冷凍庫の操作員が、上述した望ましくない温度分布の存在を認識して、冷凍庫の制御システムの設定点温度を下げることによって、その問題を取り除こうとすると、冷凍庫の作動によって消費されるエネルギーと、作動コストとが増加するであろう。もし発明によって冷凍庫の空間的温度分布を減少させることができるならば、冷凍庫を作動させるコストを減すことができる。問題である空間温度分布を補う必要が少なくなる、あるいは補う必要が無くなるという理由だけでなく、冷凍庫内の最低温度が上昇し最高温度が下がることによって、コストを削減できる。最低温度の上昇は、一次冷却装置の作動に必要なエネルギーが、より少なくなることを意味する。
【0010】
したがって本発明の目的は、一次冷媒導管を、冷凍保管庫の最上部及び/または底部の内壁との双方に取り付ける形状に曲げることを必要とせずに、積極的な冷却を最上部及び/または底部の内壁に延伸することによって、冷却壁を備える冷凍庫の製造コストを削減する方法で、冷凍庫の製造を簡素化することにある。
【0011】
本発明のさらなる目的は、冷凍庫での温度分布の空間的変化を実質的に低減または排除することにより、冷凍庫を操作するためのエネルギーコストを削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、一次冷却装置によって直接冷却されない冷凍庫の内部部分を積極的に冷却するために、独立した補助サーモサイフォンを追加するものであって、この補助サーモサイフォンは、熱ブリッジを介して一次冷却装置に熱的に接続する。これにより一次冷媒導管を追加する内壁に延伸することなく、一次冷却装置の冷却機能を、補助サーモサイフォンによって、冷凍保管庫の追加する内壁まで拡張する。補助サーモサイフォンの冷媒と一次冷却装置の冷媒とは、全く別の独立した流体回路内を循環する。補助サーモサイフォンは、ポンプや圧縮機に接続されない。一次冷媒導管の蒸発部分は、補助サーモサイフォンからなる補助冷媒導管に、これらの冷媒導管の間に設けた熱ブリッジを介して接続される。熱ブリッジは、一次冷媒導管を内張り(liner)の壁に取り付けた後に、単なる機械的な接続によって取り付けることができる。熱ブリッジは、補助サーモサイフォンの高い部分に位置し、補助冷媒導管は、熱ブリッジから下方に延伸して保管庫の内壁へ熱的に接続される。したがって熱は、熱ブリッジを通って、補助サーモサイフォンから一次冷却装置に運ばれる。
【0013】
より具体的にいえば、本発明による補助サーモサイフォンは、補助冷媒導管を有し、この補助冷媒導管は、冷凍庫の内壁に熱伝導的に接続された補助蒸発部分を有する。補助サーモサイフォンは、一次冷媒からは分離した補助冷媒を含む。また補助冷媒導管は、補助蒸発部分の上方に位置する補助冷媒導管の補助凝縮部分に向かって上向きに延伸する。熱ブリッジは、補助凝縮部分と物理的かつ熱的に接すると共に、一次蒸発部分の一部と物理的かつ熱的に接して、補助サーモサイフォンから一次冷媒導管に、この熱ブリッジを介して熱を運ぶ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明を実施した典型的な極低温冷凍庫の外観を示す斜視図である。
【0015】
【
図2】
図1に示す極低温冷凍庫の斜視図であるが、外装に隣接する断熱材を取り外して内壁を明示しており、この内壁は、保管庫の内張りを形成し、また本発明による一次冷却装置および補助サーモサイフォンも明示している。
【0016】
【
図3】
図2に示す構造の一部の拡大図であり、本発明による補助サーモサイフォンに一次冷却装置を接続する熱ブリッジの詳細を示す。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【
図7】
図5の切断面A-Aで示す断面の拡大図であって、
図2~
図6に示す実施の形態の一部分を示しており、補助サーモサイフォンを、正確な傾斜方向に保持するようにして、冷凍保管庫の水平内壁に接続するために用いる、取付ブラケットの詳細を示す。
【0021】
【
図8】本発明による熱ブリッジの中央熱伝導体の平面図である。
【0022】
【
図9】本発明による熱ブリッジの中央熱伝導体の斜視図である。
【0023】
【
図10】
図5の切断面10-10に示す断面の拡大図であって、本発明による熱ブリッジ組み立てを示す。
【0024】
【
図11】本発明による熱ブリッジの中央熱伝導体の側面図である。
【0025】
図面に示した本発明の望ましい実施の形態を説明する際には、説明を明確にするために特定の専門用語が用いられる。しかし本発明を、そのように選択された特定の用語に限定することを意図するものではなく、それぞれの特定の用語は、同様の目的を達成するために同様の態様で動作する全ての技術的に等価なものを含むものと理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
主として
図2~
図6に示すように、本発明は、補助冷媒を含む補助冷媒導管26によって形成される補助サーモサイフォンを有する。補助冷媒導管26は、補助蒸発部分28を有し、この補助蒸発部分は、一次冷媒導管18に熱的に接続されていない、冷凍保管庫の内壁24に、分散して(distributed)熱伝導的に接続するようにして取り付けられる。図示するように、補助蒸発部分28は、保管庫の最上部内壁24に熱的に接続されている。典型的な極低温冷凍庫の場合、サーモサイフォンを熱的に接続する内壁には、一次冷媒導管が接続されていない底部内壁および/またはドアの内壁や他の壁が含まれ得る。好ましくは、本発明のサーモサイフォンを熱的に接続するそれぞれの異なる壁は、それ自体の熱ブリッジを備えた別個の補助サーモサイフォンを有する。
【0027】
補助冷媒導管26は、この補助冷媒導管の補助蒸発部分28から補助凝縮部分30まで上方に延伸する。補助凝縮部分30は、補助蒸発部分28よりも高い位置に置かれる。補助冷媒導管26の両端部32は、閉ループ状のサーモサイフォンを形成するように連結してもよいが、好ましくは、より簡単な方法として、補助冷媒導管26内を空にした上で冷媒を充填した後に、両端部32を封印する。
【0028】
補助冷媒導管26は、熱ブリッジ34を介して一次冷媒導管18に接続される。熱ブリッジ34は、補助凝縮部分30と一次冷媒導管18の一次蒸発部分36の一部との双方の外表面に、密接かつ物理的に接触するようにして挿入される。熱ブリッジ34は、熱伝導的な接続を形成し、補助サーモサイフォンから一次冷却装置の一次冷媒導管18に熱を運ぶ。より具体的には、熱ブリッジ34は、補助凝縮部分30から一次蒸発部分36に、この熱ブリッジを介して、熱伝導によって熱を運ぶ。つまり、一次冷媒導管18内の蒸発によって補助冷媒導管26内の冷媒を冷却して凝縮させ、補助冷媒から受けた熱を一次冷却器22の一次凝縮部分に運ぶ。
【0029】
熱ブリッジを介する物理的な接続を除いて、補助冷媒導管26およびそれが含む補助冷媒によって形成される補助サーモサイフォンは、一次冷媒導管18およびそれが含む一次冷媒と、完全に独立している。補助冷媒導管26を通る通路と、一次冷媒導管18を通る通路との間には、流体の接続はない。一次冷媒は、補助サーモサイフォンを流れる補助冷媒から分離している。実際のところ、例えば平衡温度が異なる冷媒など、異なる冷媒をそれぞれ使用することができる。
【0030】
同じようなサーモサイフォンを、冷凍保管庫10の底部内壁など他の内壁にも、同じように熱的に接続することができる。好ましくは、それぞれの補助サーモサイフォンは、独自の熱ブリッジを有し、これらの熱ブリッジは、一次冷媒導管18の蒸発部分に沿って、どこでもこの一次冷媒導管に接続することができる。しかし、補助導管がサーモサイフォンとして機能するためには、補助冷媒の凝縮は、補助冷媒の蒸発よりも高い位置において生じなければならず、したがって凝縮した冷媒は、補助蒸発部分に向かって下り坂を流れ、蒸発した冷媒は、補助凝縮部分に向かって上り坂を流れることができる。よって、それぞれの補助サーモサイフォンの凝縮部分は、熱ブリッジを介してこの補助凝縮部分が接続される、一次蒸発部分のその接続部分よりも、高い位置に置かなければならない。そのため、補助凝縮部分30は、補助冷媒導管18の最上端であることが好ましい。もっとも、補助冷媒導管18を、さらに高く延伸することもできるが、そのような延伸は、望ましくない非機能的な過剰部分である。
【0031】
好ましい熱ブリッジ34の構造は、
図3~
図11に最もよく表されている。熱ブリッジ34は、アルミニウムを押出成形した中央熱伝導体38を備えるのが好ましい。少なくとも1つ、好ましくは2つの受熱溝40が、中央熱伝導体38に沿って縦方向に形成されている。それぞれの受熱溝40は、補助冷媒導管26の補助凝縮部分30の断面の外部形状の少なくとも一部に合致する断面形状を有する。また、少なくとも1つ、好ましくは2つの排熱溝42が、中央熱伝導体38に沿って縦方向に形成されている。それぞれの排熱溝42は、一次冷媒導管18の一次蒸発部分36の断面の外部形状の少なくとも一部に合致する断面形状を有する。互いの表面を合致させると、物理的な接触が改善し、それゆえ、それぞれの冷媒導管18および26と、中央熱伝導体38との間の熱伝導が改善する。好ましくは、縦溝40と42とは、並行しており、それぞれ中央熱伝導体38において対向する位置にあり、受熱溝と排熱溝とが円周方向に交互に入れ替わる。
【0032】
中央熱伝導体38と冷媒導管18、26とは、受熱溝40に沿って横たわる補助凝縮部分30、および排熱溝42に沿って横たわる一次蒸発部分36の一部と共に組み立てられる。少なくとも1つ、好ましくは複数のストラップ44によって、組み立てた冷媒導管18、26と中央熱伝導体38との周りを囲んで引っ張り、しっかり締め付ける。ストラップ44は、熱伝導性である必要はないが、熱伝導性であることが望ましい。ストラップは、高い熱伝導性が得られるように、冷媒導管18、26を中央熱伝導体38に強制的に接触させる。例えばパレット包装ストラップとして知られるタイプの高張力金属製ストラップは、組み立てた部品の周囲を縛って、引張工具で締め付け、その後、在来のシーラーを用いて締め付け状態に保持することができる。また、ストラップは、機械的安定性を与えるために最上部内壁24に取り付けてもよい。
【0033】
本発明による補助サーモサイフォンの使用によって得られるコストの削減は、一次冷媒導管および一次冷却器の製造や取付けとは別々に、かつ離れて、補助サーモサイフォンを折り畳んだり曲げたり製造したりすることができることによる。一次冷媒導管を取り付けた後に、簡単な手動機械を用いて取付ブラケットと熱ブリッジとを設置し、前もって製造した補助サーモサイフォンを取り付ける。
【0034】
サーモサイフォンでは、熱は、低い場所から高い場所に流れる。熱ブリッジに設ける補助凝縮部分30は、補助蒸発部分28よりも高くなければならないだけでなく、補助蒸発部分28も、低い個所やトラップを回避するようにして、熱ブリッジから徐々に下に向かって傾斜しなければならない。したがって、取付ブラケット46は、補助蒸発部分28と最上部内壁24との間の熱的な接続において、補助蒸発部分28に沿って間隔をあけて配置する。取付ブラケット46は、徐々に、かつ空間的に変化する高さを有し、常にサーモサイフォンが、熱ブリッジ34で凝縮した液体冷媒を、熱ブリッジ34から徐々に下方に流す軌道となるように配置する。取付ブラケット46は、補助蒸発部分が水平面に対して傾斜して、最も低い高さ位置から熱ブリッジに向けて連続的に上昇する方向に、この補助蒸発部分を支持する構成になるように配置する。この配置は、穏やかな斜面を設けるため、蒸気が熱ブリッジに向かって上り坂を昇ることを妨げるトラップが生じることなく、凝縮した液体冷媒は、下り坂を下がることができる。補助蒸発部分28及びこれに接続した取付ブラケット46は、アルミニウムや他の熱伝導性粘着テープ、熱ペースト、熱接着剤またはそれらの組合せを用いて、保管庫の内壁24に組み付けて保持することができる。
【0035】
上記熱ブリッジは、本発明において機能する熱ブリッジが取り得る、多くの構成のうちの1つに過ぎない。その利点は、高い熱伝導性を組み合わせつつ、容易に、簡単に、かつ相対的な安全性をもって設置できることである。ただし、他の熱ブリッジである場合もある。熱ブリッジは、それぞれの冷媒導管を一緒に、はんだ付け、ロー付け、または溶接して、小さな束に形成することもできる。しかし、そのような構成は、不便であることが判明した。なぜなら接着作業を行う位置に冷媒導管を支えることが困難であり、トーチなどの必要な熱源によって近接構造が損傷する危険があるからである。十分な熱伝導性を持つ接着剤を使用すれば、その接着剤によって一緒に接合することができる。もちろん、使用可能な他の機械的な構造も存在する。
【0036】
好ましくは、補助冷媒導管は、冷凍庫の選択された作動温度において所定の冷媒が気液平衡温度になる圧力に充填する。補助サーモサイフォンおよび含有する冷媒からなる補助冷媒導管は、一次冷媒導管およびその冷媒とは完全に分離独立しているため、補助冷媒を一次冷媒と異なる冷媒にすることができる。さらに一次冷媒の気液平衡温度とは異なる温度において、補助冷媒が気液平衡温度になる圧力になるように、補助冷媒を補助サーモサイフォンに充填することができる。
【0037】
運転中、一次冷却装置は、補助サーモサイフォンの補助凝縮部分30に、熱ブリッジ34を介して冷温溜まり(cold sink)を供給する。インナーライナーの最上壁に取り付けた補助サーモサイフォンの補助蒸発部分28は、熱ブリッジ34に接続された補助サーモサイフォンの補助凝縮部分30で凝縮した液体冷媒の、下向きの流れを受け取る。補助サーモサイフォンの下向きの傾斜は、補助蒸発区域の全ての部分への液体の流れを促進するため、わずか数度だけで足りる。冷媒は、2相平衡状態またはその状態に近いので、補助サーモサイフォンは、本質的に等温であって、インナーライナーの最上部から熱を除去する手段(積極的な冷却)を提供する。
【0038】
このようにして、冷凍庫内の温度分布が良好に減少する。実際の試験において、補助サーモサイフォンは、温度の空間分布を約30%減少させた。
【符号の説明】
【0039】
10 極低温(ULT)冷凍保管庫
【0040】
12 保管庫のドア
【0041】
14 保管庫のドアのガスケット
【0042】
16 保管庫の最上区画
【0043】
18 一次冷媒導管
【0044】
20 保管庫の垂直側壁
【0045】
22 一次冷却器
【0046】
24 保管庫の最上部内壁
【0047】
26 補助冷媒導管
【0048】
28 補助蒸発部分(segment)
【0049】
30 補助凝縮部分
【0050】
32 補助冷媒導管の端部
【0051】
34 熱ブリッジ
【0052】
36 一次蒸発部分
【0053】
38 熱ブリッジの中央熱伝導体
【0054】
40 熱ブリッジの受熱溝
【0055】
42 熱ブリッジの排熱溝
【0056】
44 熱ブリッジを囲むストラップ
【0057】
46 補助冷媒導管の取り付ブラケット
【0058】
図面と関連する上記詳細な説明は、主に本発明の現時点における望ましい実施例についての説明として意図されており、本発明を構成したり、あるいは利用したりすることができる唯一の構成を表すことを意図するものではない。この説明は、図示の実施形態と関連して、本発明を実施する設計、機能、手段および方法を記述している。しかしながら、本発明の思想および範囲内に包含するように意図された異なる実施形態によって、同一または同等な機能および特徴を達成でき、また本発明あるいは次の請求の範囲から逸脱することなく、様々な変更を採用することができると理解すべきである。