IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジクラの特許一覧

特許6992212フェルール用ピンクランプ、ガイドピン付きピンクランプ、及び光コネクタ
<>
  • 特許-フェルール用ピンクランプ、ガイドピン付きピンクランプ、及び光コネクタ 図1
  • 特許-フェルール用ピンクランプ、ガイドピン付きピンクランプ、及び光コネクタ 図2
  • 特許-フェルール用ピンクランプ、ガイドピン付きピンクランプ、及び光コネクタ 図3
  • 特許-フェルール用ピンクランプ、ガイドピン付きピンクランプ、及び光コネクタ 図4
  • 特許-フェルール用ピンクランプ、ガイドピン付きピンクランプ、及び光コネクタ 図5
  • 特許-フェルール用ピンクランプ、ガイドピン付きピンクランプ、及び光コネクタ 図6
  • 特許-フェルール用ピンクランプ、ガイドピン付きピンクランプ、及び光コネクタ 図7
  • 特許-フェルール用ピンクランプ、ガイドピン付きピンクランプ、及び光コネクタ 図8
  • 特許-フェルール用ピンクランプ、ガイドピン付きピンクランプ、及び光コネクタ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-10
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】フェルール用ピンクランプ、ガイドピン付きピンクランプ、及び光コネクタ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/40 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
G02B6/40
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021515665
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(86)【国際出願番号】 JP2020041065
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】P 2020052242
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】篠田 智之
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 真幸
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-068976(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0085045(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0267255(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0003961(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0306979(US,A1)
【文献】特開2016-139092(JP,A)
【文献】国際公開第2019/036297(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0355419(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/36-6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドピンが挿入されるフェルールに用いられるフェルール用ピンクランプであって、
前記ガイドピンが有する溝部を保持するピン保持部を有し、弾性材料で構成される本体部を備え、
前記ピン保持部は、一対の弧を有し、
前記ピン保持部の前記一対の弧は、前記ガイドピンの最大軸径よりも小さく、かつ、前記ガイドピンの前記溝部の軸径よりも大きく、
前記一対の弧の端部同士の間の距離が、前記ガイドピンの前記溝部の軸径よりも小さい、
フェルール用ピンクランプ。
【請求項2】
前記ピン保持部は、前記ガイドピンの前記溝部の軸径とのクリアランスが0.13mm以下である前記一対の弧を有する、請求項1に記載のフェルール用ピンクランプ。
【請求項3】
前記ピン保持部は、前記ガイドピンの前記溝部の軸径とのクリアランスが0.01mm以上である前記一対の弧を有する、請求項1又は2に記載のフェルール用ピンクランプ。
【請求項4】
前記ピン保持部は、前記ガイドピンの前記溝部の軸径とのクリアランスが0.05mm以上である前記一対の弧を有する、請求項1又は2に記載のフェルール用ピンクランプ。
【請求項5】
前記フェルール用ピンクランプは、2本のガイドピンが挿入されるフェルールに用いられるフェルール用ピンクランプであって、
前記本体部が、2つの片に分離されており、
前記本体部は、第1のガイドピンを支持する第1の片と、第2のガイドピンを支持する第2の片と、を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のフェルール用ピンクランプ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のフェルール用ピンクランプと、
前記ピン保持部に保持される前記溝部が形成された前記ガイドピンと、を備える、ガイドピン付きピンクランプ。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載のフェルール用ピンクランプと、
前記ピン保持部に保持される前記溝部が形成された前記ガイドピンと、
前記ガイドピンが挿入されたフェルールと、を備える、光コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェルール用ピンクランプ、ガイドピン付きピンクランプ、及び光コネクタに関する。
本願は、2020年3月24日に日本に出願された特願2020-052242号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
多心光コネクタに使用されるガイドピンは、ピンクランプ等の固定部材によって光コネクタに保持されている。例えば、特許文献1には、多心コネクタ中子(フェルール)の後方にガイドピン把持部品を配設した光コネクが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開平4-347806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
12心、24心(12心×2列)の多心光コネクタに使用されるガイドピンの軸径は約0.7mm程度であるのに対し、16心の多心光コネクタに使用されるガイドピンの軸径は約0.5mm程度である。これは、ガイドピンの間で一列に並ぶ光ファイバの心数が増加することにより、ガイドピンの直径に制約が生じるからである。ガイドピンの軸径が細いと、ガイドピン自身にフランジを設計することが困難なため、ガイドピンをクランプするピンクランプに取り付けたガイドピン付きピンクランプとして製造することが一般的である。
【0005】
ガイドピン付きピンクランプは、ガイドピンをフェルールのガイドピン穴に挿入することで、フェルールに保持される。その際、例えば、一対のガイドピンを有するガイドピン付きピンクランプにおいて、フェルールのガイドピン穴のピッチ幅と、ピンクランプに保持されたガイドピンのピッチ幅とが異なっていると、ガイドピン同士が平行にならない場合がある。この場合、フェルールの前方に突出するガイドピンの先端部のピッチ幅が、フェルールの後方でピンクランプに保持されるガイドピンの後端部のピッチ幅より狭いか又は広い形で、ガイドピンが斜めに変形する。
【0006】
ガイドピンが変形された状態の多心光コネクタを嵌合すると、フェルール同士が統一面で嵌合されないため、各フェルールに保持された光ファイバの先端面同士が物理的接触(PC、Physical Contact)で接続されず、挿入損失等の光学特性が低下する。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光学特性の低下を抑制することが可能なフェルール用ピンクランプ、ガイドピン付きピンクランプ、及び光コネクタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係るフェルール用ピンクランプは、ガイドピンが挿入されるフェルールに用いられるフェルール用ピンクランプであって、前記ガイドピンが有する溝部を保持するピン保持部を有する本体部を備え、前記ピン保持部は、一対の弧を有し、前記ピン保持部の前記一対の弧は、前記ガイドピンの最大軸径よりも小さく、かつ、前記ガイドピンの前記溝部の軸径よりも大きい。
【0009】
また、本発明の第2の態様に係るフェルール用ピンクランプは、2本のガイドピンが挿入されるフェルールに用いられるフェルール用ピンクランプであって、前記ガイドピンが有する溝部を保持するピン保持部を有する本体部を備え、前記本体部が、2つの片に分離されており、前記本体部は、前記2本のガイドピンのうちの第1のガイドピンを支持する第1の片と、前記2本のガイドピンのうちの第2のガイドピンを支持する第2の片と、を有する。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係るガイドピン付きピンクランプは、前記フェルール用ピンクランプと、前記ピン保持部に保持される前記溝部が形成された前記ガイドピンと、を備える。
【0011】
また、本発明の第4の態様に係る光コネクタは、前記フェルール用ピンクランプと、前記ピン保持部に保持される前記溝部が形成された前記ガイドピンと、前記ガイドピンが挿入されたフェルールと、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明の上記態様によれば、光学特性の低下を抑制することが可能なフェルール用ピンクランプ、ガイドピン付きピンクランプ、及び光コネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態のピンクランプを装着したガイドピンを示す斜視図である。
図2】ガイドピンの一例を示す斜視図である。
図3】ピンクランプの本体部を示す部分拡大図である。
図4】第1実施形態のピンクランプを備えたフェルールを示す斜視図である。
図5】第1実施形態のピンクランプを備えた光コネクタを示す分解斜視図である。
図6】光コネクタの外観を示す斜視図である。
図7】第2実施形態のピンクランプを装着したガイドピンを示す斜視図である。
図8】第2実施形態のピンクランプを備えたフェルールを示す斜視図である。
図9】挿入損失の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
【0015】
(第1実施形態のピンクランプ)
図1に、第1実施形態のピンクランプ11と、ガイドピン15と、を有するガイドピン付きピンクランプ10を示す。第1実施形態のピンクランプ11は、ガイドピン15を装着できるよう構成されている。図2に、ガイドピン15の一例を示す。図3に、ピンクランプ11の本体部12の部分拡大を示す。図4に、ピンクランプ11を備えたフェルール20を示す。図5に、ピンクランプ11を備えた光コネクタ30を示す。
【0016】
ピンクランプ11は、ガイドピン15が挿入されるフェルール20に用いられるフェルール用ピンクランプである。ガイドピン付きピンクランプ10は、ピンクランプ11をガイドピン15に装着した構成である。
【0017】
フェルール20は、ガイドピン穴26(図5参照)を有する。ガイドピン穴26にガイドピン15を挿入すると、ガイドピン15の先端部15aは、フェルール20の接合端面21から前方に突出し、ガイドピン15の後端部15bは、フェルール20の後端面22から後方に突出する(図4参照)。
フェルール20の後端面22には、光ファイバが挿入される挿入穴23が開口している。
【0018】
(方向定義)
なお、以下の説明において、前方とは、フェルール20の後端面22から接合端面21に向かう方向を指し、後方とは、フェルール20の接合端面21から後端面22に向かう方向を指す。また、同様に、ガイドピン15の説明においても、前方とは後端部15bから先端部15aに向かう方向を指し、後方とは、先端部15aから後端部15bに向かう方向を指す。
また、ガイドピン付きピンクランプ10およびピンクランプ11において、2本のガイドピン15が並列する方向を幅方向と言う。
【0019】
ピンクランプ11は、ガイドピン15を支持する本体部12を備える。本体部12は板状であり、本体部12の前面12c(図1参照)をフェルール20の後端面22に接触させることで、ガイドピン15の前後方向の位置を決めることができる。また、ガイドピン15がフェルール20の前方に抜けることを抑制することができる。
【0020】
ピンクランプ11は、2つの本体部12と、2つの本体部12を連結する連結部13と、を有する。各本体部12は、フェルール20に挿入される2本のガイドピン15のそれぞれを保持する。ここで、図1等の例では、フェルール20に挿入されるガイドピン15の本数が2本であるため、本体部12は2つであるが、本体部12の数は、2つに限定されず、使用するガイドピン15の本数に合わせて、1または3以上あってもよい。
ピンクランプ11の形状は、フェルール20の後端面22に開口する挿入穴23の位置を避けて、その周縁部に配置されることが好ましい。
【0021】
図2に示すように、ガイドピン15は、略円柱状の軸部15cと、本体部12に保持される溝部15dとを有する。ガイドピン15の先端部15aは、テーパ状に先細り形状となっていてもよい。ガイドピン15の溝部15dより後方における後端部15bは、軸部15cと同程度の径を有してもよい。
【0022】
図3に示すように、ピンクランプ11の本体部12には、ガイドピン15が収容される切欠12eが形成されている。また、本体部12は、連結部13と連なる第1腕部12aと、切欠12eの底部12dと、底部12dを介して第1腕部12aに連結された第2腕部12bとを有する。
ピンクランプ11及び本体部12は、板金等の弾性材料から構成することができる。例えば、金属板の打ち抜き加工等によってピンクランプ11を形成してもよい。本体部12と連結部13とは、同一の金属板から形成されていてもよい。本体部12及び連結部13の肉厚が均等となるように構成することも可能である。
ガイドピン付きピンクランプ10を前後方向から見て、切欠12eは2本のガイドピン15の並ぶ幅方向と直交する上下方向に延びるように形成されている。また、切欠12eは、連結部13側に開口している。図3の例において、切欠12eでは、開口端から底部12d側に向かって幅が漸次狭くなっている開口部、ピン保持部14、および切欠底部がこの順で形成されている。切欠底部では、切り欠きの幅が一定になっていてもよい。切欠12eの形状は、図3に示す例に限定されず、少なくともピン保持部14が形成されていればよい。
【0023】
本体部12は、ガイドピン15を保持するピン保持部14を有する。本実施形態のピン保持部14は、ガイドピン15の溝部15dに係合し、ガイドピン15を保持する。ピン保持部14は、切欠12eの幅方向において対向する一対の凹部であり、切欠12eから弧状に窪んでいる。
ピン保持部14は、第1腕部12a側に配置された第1弧14aと、第2腕部12b側に配置された第2弧14bと、を有する。第1弧14a及び第2弧14bは、同一円周上の円弧であることが好ましい。第1弧14a及び第2弧14bのそれぞれに含まれる円弧の中心角は特に限定されないが、例えば、30°以上180°未満が挙げられる。第1弧14aの中心角と第2弧14bの中心角との合計が360°を超えなければ、いずれかの中心角が180°を超えてもよい。切欠12eの幅方向において、第1弧14aと第2弧14bとの弧の端部同士の間の距離が、ガイドピン15の溝部15dの軸径D2と同等または軸径D2よりも小さくなるように、2つの弧の中心角が設定されていてもよい。
【0024】
ガイドピン15の最大軸径D1は、例えば、軸部15c及び後端部15bの軸径である。最大軸径D1は、ガイドピン15の溝部15dの軸径D2よりも大きい。ピン保持部14の第1弧14a及び第2弧14bの直径D3は、ガイドピン15の最大軸径D1よりも小さく、かつ、溝部15dの軸径D2よりも大きい。
【0025】
ピン保持部14の弧の直径D3がガイドピン15の最大軸径D1よりも小さい。すなわち、溝部15dより前方に位置する軸部15cの軸径と、溝部15dより後方に位置する後端部15bの軸径とは、いずれも、ピン保持部14の弧の直径D3より大きくなる。溝部15dをピン保持部14に保持させると、ガイドピン15の軸部15c及び後端部15bは、ピン保持部14を通り抜けることができない。つまり、ガイドピン15は、前方及び後方に抜け止めされるように保持される。ピン保持部14によるガイドピン15の保持力は、19.6N以上であることが好ましい。
【0026】
ピン保持部14の弧の直径D3が溝部15dの軸径D2よりも大きいことにより、ピン保持部14の内部では、溝部15dがピン保持部14内で径方向に変位可能な自由度が確保される。これにより、フェルール20のガイドピン穴26のピッチ幅が、ピンクランプ11に保持されたガイドピン15のピッチ幅と異なっていても、ガイドピン15の変形を抑制し、コネクタ接続時の光学特性の低下を抑制することができる。
【0027】
ピン保持部14は、ガイドピン15の溝部15dの軸径D2とのクリアランスが0.13mm以下であることが好ましい。すなわち、ピン保持部14の弧の直径D3と、溝部15dの軸径D2との差であるD3-D2が、0.13mm以下であることが好ましい。これにより、溝部15dの変位の自由度が大きくなりすぎることを回避することができる。
【0028】
ピン保持部14は、ガイドピン15の溝部15dの軸径D2とのクリアランスが0.01mm以上であることが好ましい。すなわち、ピン保持部14の弧の直径D3と、溝部15dの軸径D2との差であるD3-D2が、0.01mm以上であることが好ましい。これにより、溝部15dの自由度をより良好に確保することができる。
【0029】
ピン保持部14は、ガイドピン15の溝部15dの軸径D2とのクリアランスが0.05mm以上であってもよい。すなわち、ピン保持部14の弧の直径D3と、溝部15dの軸径D2との差であるD3-D2が、0.05mm以上であってもよい。これにより、溝部15dの自由度をより良好に確保することができる。
【0030】
図5に示すように、光コネクタ30は、ガイドピン付きピンクランプ10及びフェルール20に加えて、キャップ31と、ハウジング32と、フェルール用ブーツ33と、スプリング34と、スプリング押し35と、クリンプリング36と、ケーブル用ブーツ37とを備えている。図6に、光コネクタ30を組み立てた状態の外観を示す。
【0031】
キャップ31は、ハウジング32の前方側に装着されて、開口32cの内部を塵埃等から保護する。ハウジング32は、フェルール20を収容するプラグフレーム32aと、プラグフレーム32aの外周に装着されたカップリング32bとを備える。
フェルール用ブーツ33は、フェルール20の挿入穴23(図4参照)に挿入される光ファイバ(図示せず)を保護する。フェルール20のフランジ24は、プラグフレーム32aの内部に設けられた凸部(図示せず)に係合して、フェルール20がプラグフレーム32aの開口32cから抜け出ないようにしている。
【0032】
スプリング34は、フェルール20を前方に付勢する。スプリング押し35は、前方側の係合部35a,35bをプラグフレーム32aに係合させ、後方側の受け部35cでスプリング34の反力を受けるようにしている。
クリンプリング36は、スプリング押し35の後端部35dとの間で、光ファイバケーブル(図示せず)の抗張力繊維を固定する。ケーブル用ブーツ37は、光ファイバケーブルの外周を保護する。
【0033】
光ファイバケーブルに内蔵された光ファイバは、フェルール20内に挿入され、フェルール20の窓25から注入される接着剤により固定される。光ファイバの先端部は、フェルール20の接合端面21に開口した光ファイバ穴27に挿入される。光ファイバ穴27に光ファイバの先端部を挿入し、固定した後で、接合端面21から突出する光ファイバの先端部と共に、接合端面21を研磨してもよい。
【0034】
(光コネクタ30同士の接続)
2つのフェルール20を対向させて光コネクタ30同士を接続する。このとき、第1のフェルール20は、ガイドピン穴26にガイドピン15が挿入されている。第1のフェルール20の接合端面21には、ガイドピン15の先端部15aが突出している。第2のフェルール20には、ガイドピン15が挿入されておらず、接合端面21にガイドピン穴26が開口している。
【0035】
第1のフェルール20のガイドピン15の先端部15aを、第2のフェルール20のガイドピン穴26に挿入することにより、フェルール20同士が機械的に結合される。ガイドピン15を有するフェルール20と、ガイドピン15を有しないフェルール20とを嵌合する場合、ピンクランプ11は、ガイドピン15を有するフェルール20に設ければよく、ガイドピン15を有しないフェルール20のピンクランプ11を省略してもよい。
【0036】
各フェルール20のガイドピン穴26のピッチ幅は、略同等である。このため、一方のフェルール20の前方に突出するガイドピン15の先端部15aのピッチ幅は、ガイドピン穴26のピッチ幅と略同等であることが望まれている。しかし、上述したように、ガイドピン15が変形して、先端部15aのピッチ幅がガイドピン穴26のピッチ幅より狭いか又は広いようになっていると、フェルール20同士の嵌合が不良になり、光ファイバの先端面同士がPCで接続されず、挿入損失等の光学特性が低下する。
【0037】
第1実施形態のピンクランプ11は、ガイドピン15の軸部15cを保持するピン保持部14が溝部15dの軸径よりも大きい弧14a、14bを有する。この構成によれば、ピン保持部14とガイドピン15の溝部15dとの間に生じる隙間により、ピン保持部14におけるガイドピン15の自由度を高めることができる。これにより、フェルール20のガイドピン穴26のピッチ幅が、ピンクランプ11に保持されたガイドピン15のピッチ幅と異なっていても、ガイドピン15の変形を抑制し、コネクタ接続時の光学特性の低下を抑制することができる。
【0038】
(第2実施形態のピンクランプ)
本発明の第二実施形態について、図7から図8を参照して説明する。
図7に、第2実施形態のピンクランプ11Cを装着したガイドピン15を示す。図8に、ピンクランプ11Cを備えたフェルール20を示す。ピンクランプ11Cは、ガイドピン15が挿入されるフェルール20に用いられるフェルール用ピンクランプである。ガイドピン付きピンクランプ10Cは、ピンクランプ11Cをガイドピン15に装着した構成である。
【0039】
第2実施形態は、ピンクランプ11C以外の構成、例えば、ガイドピン15、フェルール20、光コネクタ30については、第1実施形態と同様の構成を採用し得ることから、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。
【0040】
ピンクランプ11Cは、2本のガイドピン15が挿入されるフェルール20に用いられる。ピンクランプ11Cの本体部12は、ガイドピン15ごと2つの片に分離されている。すなわち、第1のピンクランプ(第1の片)11Aと、第2のピンクランプ(第2の片)11Bと、が、別々の片になっている。第1のピンクランプ11Aが、第1のガイドピン15を支持するための第1の本体部12を有し、第2のピンクランプ11Bが、第2のガイドピン15を支持するための第2の本体部12を有する。
【0041】
第1のピンクランプ11Aと第2のピンクランプ11Bとは、同一形状でもよく、左右対称な形状でもよい。図示例のピンクランプ11A,11Bは、ピッチ幅の方向を左右方向として、互いに対称な形状にされている。第1のガイドピン付きピンクランプ10Aは、第1のピンクランプ11Aを第1のガイドピン15に装着した構成である。第2のガイドピン付きピンクランプ10Bは、第2のピンクランプ11Bを第2のガイドピン15に装着した構成である。
【0042】
第2実施形態の光コネクタは、本体部12が別々の片に分離されたピンクランプ11Cと、各本体部12のピン保持部14に保持されたガイドピン15と、ガイドピン15が挿入されたフェルール20と、を少なくとも備えている。第1のガイドピン付きピンクランプ10Aと第2のガイドピン付きピンクランプ10Bとの間は互いに連結されていない。このため、これらのガイドピン付きピンクランプ10A,10Bをフェルール20のガイドピン穴26(図5参照)に挿入すると、ガイドピン15のピッチ幅は、ガイドピン穴26のピッチ幅に合わせられる。
【0043】
第2実施形態のピンクランプ11Cを用いると、フェルール20にガイドピン15を挿入したとき、ガイドピン15の間の自由度を高めることができる。これにより、フェルール20のガイドピン穴26のピッチ幅が、ピンクランプ11に保持されたガイドピン15のピッチ幅と異ならないように自由度を高めることができ、ガイドピン15の変形を抑制し、コネクタ接続時の光学特性の低下を抑制することができる。
【0044】
第2実施形態のピンクランプ11Cにおいて、ピン保持部14の第1弧14a及び第2弧14bの直径D3は、第1実施形態のピンクランプ11と同様に、ガイドピン15の最大軸径D1よりも小さい構成とすることができる。これにより、溝部15dをピン保持部14に保持すると、ガイドピン15の軸部15c及び後端部15bは、ピン保持部14を通り抜けることができないため、ガイドピン15は、前方及び後方に抜け止めされるように保持される。
【0045】
また、第2実施形態のピンクランプ11Cにおいて、ピン保持部14の第1弧14a及び第2弧14bの直径D3は、第1実施形態のピンクランプ11と同様に、溝部15dの軸径D2よりも大きい構成とすることができる。これにより、ピン保持部14の内部には、溝部15dが第1弧14aと第2弧14bとの間で径方向に変位可能な自由度を有するので、ガイドピン15の変形を抑制し、光学特性の低下を抑制することができる。
【0046】
また、第2実施形態のピンクランプ11Cにおいて、ピン保持部14の第1弧14a及び第2弧14bの直径D3は、溝部15dの軸径D2以下の構成とすることもできる。この場合、ピン保持部14が、弾性的にガイドピン15を保持する構成とすることができる。これにより、ピン保持部14にガイドピン15をより確実に保持することができる。さらに、ピン保持部14が、弾性的にガイドピン15を保持する構成のみならず、接着剤等を用いてガイドピン15を固定する構成とすることも可能である。
このように、第2実施形態のピンクランプ11Cの場合は、ガイドピン15に溝部15dを設けないで、ピン保持部14にガイドピン15の軸部15cを固定する構成としてもよい。
【0047】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0048】
上述の実施形態のピンクランプが適用可能な光コネクタとしては、JIS C 5981(F12形多心光ファイバコネクタ)によるMTコネクタ、JIS C 5982(F13形多心光ファイバコネクタ)によるMPOコネクタ、JIS C 5984(F15形光ファイバコネクタ)によるMini-MPOコネクタ、JIS C 5987(F18形光ファイバコネクタ)によるMiniMTコネクタ、JIS C 5988(F19形光ファイバコネクタ)によるMT-RJコネクタ等が挙げられる。
【0049】
また、上述の実施形態のピンクランプは、JIS C 5964-5(光ファイバコネクタかん合標準-第5部:MTコネクタ類(F12形))、JIS C 5964-7-1(光ファイバコネクタかん合標準-第7-1部:MPOコネクタ類(F13形)-1列)、JIS C 5964-7-2(光ファイバコネクタかん合標準-第7-2部:MPOコネクタ類(F13形)-2列)、JIS C 5964-18(光ファイバコネクタかん合標準-第18部:MT-RJコネクタ類(F19形))に適合するフェルールを有する、その他の光コネクタにも適用することができる。
【0050】
光コネクタの構造としては、規格品に限らず、他の応用形状、新規形状についても適用することが可能である。1個のフェルールが有するガイドピンの本数は、2本に限らず、3本以上であってもよい。
【実施例
【0051】
以下、実施例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0052】
(実施例1)
ピン保持部の一対の弧の直径を、0.45mm(+0.03mm/-0mm)としたピンクランプを板金から作製した。ピン保持部の一対の弧の直径は、ガイドピンの最大軸径よりも小さく、かつ、ガイドピンの溝部の軸径よりも大きい。なお、ガイドピンの溝部の軸径は、0.35mm(+0mm/-0.05mm)である。
【0053】
(比較例1)
ピン保持部の一対の弧の直径を、0.37mm(+0.03mm/-0mm)としたピンクランプを板金から作製した。なお、ガイドピンの溝部の軸径は、0.35mm(+0mm/-0.05mm)である。
【0054】
実施例1及び比較例1のピンクランプにガイドピンを保持し、このガイドピンをフェルールに挿入して、光コネクタを構成した。光コネクタの挿入損失(dB)を測定して、ヒストグラムを作成した。その結果のグラフを図9に示す。実施例1のピンクランプを用いた光コネクタによれば、比較例1のピンクランプを用いた光コネクタよりも光コネクタの挿入損失が低下した。また、実施例1のピンクランプを用いた光コネクタによれば、光コネクタの挿入損失を0.2dB未満に抑えることが可能であった。すなわち、実施例1のピンクランプによれば、規格値(0.2dB以上)の損失値を示す光コネクタをなくすことができた。
【符号の説明】
【0055】
D1…ガイドピンの最大軸径、D2…ガイドピンの溝部の軸径、D3…ピン保持部の弧の直径、10,10A,10B,10C…ガイドピン付きピンクランプ、11,11A,11B,11C…ピンクランプ、12…本体部、13…連結部、14…ピン保持部、14a…第1弧、14b…第2弧、15…ガイドピン、15a…先端部、15b…後端部、15c…軸部、15d…溝部、20…フェルール、30…光コネクタ。
【要約】
ガイドピンが挿入されるフェルールに用いられるフェルール用ピンクランプであって、前記ガイドピンが有する溝部を保持するピン保持部を有する本体部を備え、前記ピン保持部は、一対の弧を有し、前記ピン保持部の前記一対の弧は、前記ガイドピンの最大軸径よりも小さく、かつ、前記ガイドピンに形成された溝部の軸径よりも大きい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9