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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】基板収納容器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20220105BHJP
   B65D 85/30 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D85/30 500
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017221126
(22)【出願日】2017-11-16
(65)【公開番号】P2019091856
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100204881
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 伸次
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】大貫 和正
(72)【発明者】
【氏名】三村 博
(72)【発明者】
【氏名】戸田 順也
(72)【発明者】
【氏名】須田 貴志
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-253960(JP,A)
【文献】国際公開第2014/080454(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/052998(WO,A2)
【文献】特表2017-527997(JP,A)
【文献】特開2011-060994(JP,A)
【文献】国際公開第2011/132257(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/148450(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
B65D 85/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面に開口を有し、内側に直径が300mmである基板を支持する支持部と、支持部よりも背面壁側に位置する基板受け部とが形成された容器本体と、
前記基板を押さえる基板押さえ部が形成された押さえ部材を有する蓋体と、を備える基板収納容器であって、
前記基板収納容器は、前記蓋体を前記容器本体に取り付けたときには、前記基板押さえ部と、前記基板受け部とによって前記基板を前記支持部から持ち上げて支持し、前記蓋体を前記容器本体から取り外したときには、前記基板を前記支持部によって支持するものであり、
前記基板受け部及び前記基板押さえ部は、前記蓋体を正面に見て、前記容器本体の中心を通る上下方向の中心線から左右方向に0mm以上80mm以下の範囲に存在し、
さらに、前記基板押さえ部は、前記蓋体を正面に見て、前記容器本体の中心から左右方向に0°以上30°以下の範囲に存在する
ことを特徴とする基板収納容器。
ただし、基板が基板収納容器に収納された状態での基板の中心に相当する位置を容器本体の中心とする。
【請求項2】
前記基板受け部は、前記背面壁を正面に見て、前記容器本体の中心から左右方向に20°以上30°以下の範囲に存在する
ことを特徴とする請求項に記載の基板収納容器。
【請求項3】
正面に開口を有し、内側に直径が300mmである基板を支持する支持部と、支持部よりも背面壁側に位置する基板受け部とが形成された容器本体と、
前記基板を押さえる基板押さえ部が形成された押さえ部材を有する蓋体と、を備える基板収納容器であって、
前記基板収納容器は、前記蓋体を前記容器本体に取り付けたときには、前記基板押さえ部と、前記基板受け部とによって前記基板を前記支持部から持ち上げて支持し、前記蓋体を前記容器本体から取り外したときには、前記基板を前記支持部によって支持するものであり、
前記基板受け部及び前記基板押さえ部は、前記基板との接触部に作用する前後方向の押圧力に対して、前記接触部における法線方向の反力成分が、前記接触部における接線方向の反力成分よりも大きくなる位置に存在し、
さらに、前記基板押さえ部は、前記蓋体を正面に見て、前記容器本体の中心から左右方向に0°以上30°以下の範囲に存在し、
前記基板受け部は、前記背面壁を正面に見て、前記容器本体の中心から左右方向に20°以上30°以下の範囲に存在する
ことを特徴とする基板収納容器。
ただし、蓋体と容器本体の背面壁とを結ぶ方向を前後方向とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の基板を収納する基板収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
基板収納容器は、半導体ウエハなどの基板を内部空間に収納し、倉庫での保管、半導体加工装置間での搬送、工場間での輸送などに使用されている。このため、基板収納容器は、輸送時の振動、衝撃などから収納した基板を保護するようになっている。
【0003】
このような基板収納容器として、容器本体の正面に開口を有し、開口を閉鎖する蓋体を備え、容器本体の両側面に設けられた基板を支持する支持部及び基板受け部と、蓋体に設けられた基板押さえ部とを有し、蓋体を容器本体に取り付けたときに、基板を基板押さえ部と基板受け部との間に挟んで、基板を支持部から持ち上げて支持するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-304122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの基板収納容器では、基板を上下方向に案内する基板受け部が容器本体の両側面に設けられており、蓋体に設けられた基板押さえ部からの押圧力は、斜めに分散し、基板受け部に効率よく伝わらないため、大きな押付力が必要であった。
【0006】
そこで、本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、蓋体を容器本体に取り付けて、基板を支持部から持ち上げて支持する際に、基板押さえ部からの押圧力を基板受け部に効率的に伝達できる基板収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る一つの態様は、正面に開口を有し、内側に基板を支持する支持部と、支持部よりも背面壁側に位置する基板受け部とが形成された容器本体と、前記基板を押さえる基板押さえ部が形成された押さえ部材を有する蓋体と、を備える基板収納容器であって、前記基板収納容器は、前記蓋体を前記容器本体に取り付けたときには、前記基板押さえ部と、前記基板受け部とによって前記基板を前記支持部から持ち上げて支持し、前記蓋体を前記容器本体から取り外したときには、前記基板を前記支持部によって支持するものであり、前記基板受け部及び前記基板押さえ部は、前記蓋体を正面に見て、前記容器本体の中心を通る上下方向の中心線から左右方向に0mm以上80mm以下の範囲に存在するものである。ただし、基板が基板収納容器に収納された状態での基板の中心に相当する位置を容器本体の中心とする。
(2)本発明に係る別の一つの態様は、正面に開口を有し、内側に基板を支持する支持部と、支持部よりも背面壁側に位置する基板受け部とが形成された容器本体と、前記基板を押さえる基板押さえ部が形成された押さえ部材を有する蓋体と、を備える基板収納容器であって、前記基板収納容器は、前記蓋体を前記容器本体に取り付けたときには、前記基板押さえ部と、前記基板受け部とによって前記基板を前記支持部から持ち上げて支持し、前記蓋体を前記容器本体から取り外したときには、前記基板を前記支持部によって支持するものであり、前記基板受け部及び前記基板押さえ部は、前記基板との接触部に作用する前後方向の押圧力に対して、前記接触部における法線方向の反力成分が、前記接触部における接線方向の反力成分よりも大きくなる位置に存在するものである。ただし、蓋体と容器本体の背面壁とを結ぶ方向を前後方向とする。
(3)上記(1)又は(2)の態様において、前記基板押さえ部は、前記蓋体を正面に見て、前記容器本体の中心から左右方向に0°以上30°以下の範囲に存在してもよい。
(4)上記(1)から(3)までのいずれか一つの態様において、前記基板受け部は、前記背面壁を正面に見て、前記容器本体の中心から左右方向に20°以上30°以下の範囲に存在してもよい。
(5)上記(1)から(4)までのいずれか一つの態様において、前記基板は、直径が300mmであってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓋体を容器本体に取り付けて、基板を支持部から持ち上げて支持する際に、基板押さえ部からの押圧力を基板受け部に効率的に伝達できる基板収納容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の基板収納容器を示す分解概略斜視図である。
図2A】蓋体を取り付けたときの基板収納容器を示す(a)正面図、(b)平面図、(c)A-A断面図である。
図2B】蓋体を取り付けたときの基板収納容器を示す(d)B-B断面図、(e)G部の拡大断面図、(f)H部の拡大断面図、(g)I部の拡大断面図である。
図3A】蓋体を取り外したときの容器本体を示す(a)正面図、(b)平面図、(c)E-E断面図である。
図3B】蓋体を取り外したときの容器本体を示す(d)F-F断面図、(e)J部の拡大断面図、(f)K部の拡大断面図である。
図4】基板収納容器における基板の支持状態を示す水平断面図である。
図5】第2実施形態の基板収納容器における基板の支持状態を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書の実施形態においては、全体を通じて、同一の部材には同一の符号を付している。
【0011】
(第1実施形態)
まず、基板収納容器1について説明する。図1は、基板収納容器1を示す分解概略斜視図である。図2Aは、蓋体20を取り付けたときの基板収納容器1を示す(a)正面図、(b)平面図、(c)A-A断面図であり、図2Bは、蓋体20を取り付けたときの基板収納容器1を示す(d)B-B断面図、(e)G部の拡大断面図、(f)H部の拡大断面図、(g)I部の拡大断面図である。なお、図1において、基板Wの面を水平方向に収納した基板収納容器1を蓋体20側から見たときの、左右方向をX軸方向、上下方向をZ軸方向、蓋体20と背面壁10bとを結ぶ前後方向をY軸方向とする。以降の図においても、必要に応じてX軸、Y軸、Z軸を示す。
【0012】
図1に示される基板収納容器1は、複数枚の基板Wを収納するものであり、容器本体10及び蓋体20を備えている。基板収納容器1に収納される基板Wは、例えば、直径が300mmの半導体ウエハやマスクガラスなどであるが、これに限定されない。
【0013】
容器本体10は、正面の開口11を形成する開口枠10aと、背面壁10bと、右側壁10cと、左側壁10dと、天面壁10eと、底面壁10fとを含む箱状のものであり、いわゆるフロントオープン型のものである。
【0014】
容器本体10には、基板Wを支持する一対の支持部12と、一対の基板受け部13と、が形成されている。なお、図1には図示されていないが、一対のうち他方の支持部12及び基板受け部13は、対称な位置に形成されている。
【0015】
支持部12は、右側壁10c及び左側壁10dの内側の2か所に対向して形成されている(図2A(c)参照)。また、この支持部12は、いわゆる溝ティースで構成されるもので、高さ方向に形成された複数の溝で構成されている(図2B(d)参照)。そして、基板Wは、それぞれの溝に挿入されて収納される。
【0016】
基板受け部13は、背面壁10bの2か所に並んで形成されており(図2A(c)参照)、支持部12よりも背面壁10b側に位置している(図2B(d)参照)。この基板受け部13にも、支持部12に形成された溝に応じた個数で複数の溝が形成されている。
【0017】
一方、蓋体20は、容器本体10の開口11を閉鎖し、基板収納容器1の内部空間を形成するようになっている。また、容器本体10と蓋体20との間には、図示しないパッキンが配置されている。パッキンは、蓋体20を容器本体10に取り付けたときに、基板収納容器1の気密性を確保し、基板収納容器1への外部からの埃、湿気などの侵入を低減させることができる。
【0018】
蓋体20は、押さえ部材21を有しており、この押さえ部材21に、基板Wを押さえる基板押さえ部210が形成されている(図2A(c)参照)。押さえ部材21は、蓋体20の内側のX軸方向における中央部に設けられている。
【0019】
基板押さえ部210は、X軸方向に沿って2か所に形成され、この2か所で基板Wを押さえて支持する。基板押さえ部210は、例えば、押さえ部材21の弾性を有するアーム220に形成されており、アーム220の弾性によって基板Wに接触して基板Wを押さえるようになっている。なお、基板押さえ部210は、収納可能な基板Wの枚数に応じて上下方向に複数形成されている。
【0020】
容器本体10及び蓋体20の材料としては、例えば、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、液晶ポリマーといった熱可塑性樹脂やこれらのアロイなどが挙げられる。
【0021】
支持部12の材料としては、容器本体10と同様のものを用いることができるが、基板Wの滑り性を良くするために、環状オレフィンポリマーなどの非結晶性樹脂を用いてもよい。
【0022】
基板受け部13の材料としては、容器本体10と同様のものを用いることができるが、基板Wの滑り性を良くするために、環状オレフィンポリマーなどの非結晶性樹脂を用いてもよい。
【0023】
押さえ部材21の材料としては、蓋体20と同様のものを用いることができるが、基板Wとの摩耗性を良くするために、ポリカーボネート、ポリカーボネートとポリブチレンテレフタレートのアロイといった熱可塑性樹脂を用いたり、滑り性を良くするために添加物を含有させたりしてもよい。
【0024】
ここで、蓋体20を容器本体10から取り外したときの容器本体10への基板Wの収納状態、及び、蓋体20を容器本体10に取り付けたときの容器本体10への基板Wの収納状態について説明する。図3Aは、蓋体20を取り外したときの容器本体10を示す(a)正面図、(b)平面図、(c)E-E断面図であり、図3Bは、蓋体20を取り外したときの容器本体10を示す(d)F-F断面図、(e)J部の拡大断面図、(f)K部の拡大断面図である。
【0025】
基板Wを容器本体10に収納する場合、基板Wは、容器本体10の正面の開口11から、向き合う一対の支持部12の同じ高さの溝に挿入され、左右一対の支持部12のみによって、基板Wの面が水平方向になるように支持された状態で収納される(図3B(f)参照)。そして、基板Wが支持部12のみによって支持された状態では、基板Wの背面壁10b側が基板受け部13(に形成されたV字溝130の下方)に接触しないように、支持部12には図示しない傾斜段部が形成されている。
【0026】
そして、基板Wを支持部12のみによって支持した状態から、蓋体20を容器本体10に取り付けたときには、基板Wが、基板押さえ部210と基板受け部13とで挟まれることによって、基板Wは支持部12から持ち上げられ、基板押さえ部210と基板受け部13とで支持される(図2B参照)。
【0027】
詳細に説明すると、基板押さえ部210には、V字溝211が形成されており(図2B(g)参照)、蓋体20を容器本体10に取り付けたときに、基板Wの正面側が基板押さえ部210のV字溝211に嵌り込むようになっている。その後、基板Wが基板押さえ部210によって奥側に押されると、基板受け部13では、図3B(e)に示した状態から、図2B(e)に示した状態へ、基板WがV字溝130を滑って持ち上がり、V字溝130の奥側の底に到達する。
【0028】
このようにして、基板収納容器1に収納された基板Wは、支持部12から持ち上がった状態で、基板受け部13と基板押さえ部210とで支持されることになる。そして、蓋体20を容器本体10から取り外したときには、基板Wは支持部12のみによって支持されることになる。
【0029】
つぎに、基板受け部13と基板押さえ部210との位置関係について説明する。図4は、基板収納容器1における基板Wの支持状態を示す水平断面図である。
図4において、基板受け部13と基板押さえ部210とが、相対向する位置に配設されている。
【0030】
具体的には、基板受け部13は、蓋体20を正面に見て、容器本体10の中心Cを通る上下方向(Z軸方向)の中心線Zから左右方向に0mm以上80mm以下の範囲に少なくとも存在している。ただし、容器本体10の中心Cは、基板Wが基板収納容器1に収納された状態での基板Wの中心に相当する位置である。また、中心線X、中心線Y及び中心線Zは、容器本体10の中心Cを通るものとする。
【0031】
言い換えると、基板受け部13は、容器本体10の中心Cを通る前後方向(Y軸方向)の中心線Yから左右方向に0mm以上80mm以下の範囲に少なくとも存在している。なお、図4に、中心線Yから80mm離れた位置を線分Y1で示す。
【0032】
さらに、基板受け部13は、背面壁10bを正面に見て、容器本体10の中心Cから左右方向に20°以上30°以下の範囲に存在する。つまり、基板受け部13(の中央)と容器本体10の中心Cとを結ぶ線分と、容器本体10の中心Cを通る前後方向(Y軸方向)の中心線Yと、がなす角度γが、中心線Yに対して±20°以上±30°以下の範囲に存在している。
【0033】
一方、基板押さえ部210も、基板受け部13と同様に、蓋体20を正面に見て、容器本体10の中心Cを通る上下方向(Z軸方向)の中心線Zから左右方向に0mm以上80mm以下の範囲に少なくとも存在している。
【0034】
さらに、基板押さえ部210は、蓋体20を正面に見て、容器本体10の中心Cから左右方向に0°以上30°以下、好ましくは0°以上21°以下の範囲に存在する。言い換えると、基板押さえ部210(の中央)と容器本体10の中心Cとを結ぶ線分と、容器本体10の中心Cを通る前後方向(Y軸方向)の中心線Yと、がなす角度θが、中心線Yに対して±30°以下、好ましくは±21°以下の範囲に存在している。なお、角度θが30°を超えると、基板押さえ部210の成形性が悪化するため、基板Wを均一に押圧することができなくなる。
【0035】
第1実施形態の基板収納容器1によれば、蓋体20を容器本体10に取り付けて、基板Wを支持部12から持ち上げて支持する際に、基板押さえ部210からの押圧力が、基板受け部13で基板Wの中心方向に主として作用するため、基板押さえ部210からの押圧力を基板受け部13に効率的に伝達できる基板収納容器1を提供することができる。また、基板Wを支持部12から持ち上げて離すことで、輸送時の振動、衝撃などが支持部12から基板Wに伝わるのを抑えることができる。
【0036】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の基板収納容器1Aにおける基板Wの支持状態を示す水平断面図である。
第2実施形態の基板収納容器1Aでは、蓋体20A、押さえ部材21A、基板押さえ部210A及びアーム220Aの形状が第1実施形態とは異なっており、その他の部分は、第1実施形態と同様である。
【0037】
具体的には、2か所の基板押さえ部210A間の距離が、第1実施形態のものよりも長く、基板押さえ部210Aがアーチ型のアーム220Aの両端に形成されている。また、基板押さえ部210Aは、蓋体20Aの表面よりも容器本体10側に突出している。
【0038】
この場合も、基板押さえ部210Aは、基板押さえ部210と同様に、蓋体20を正面に見て、容器本体10の中心Cを通る上下方向(Z軸方向)の中心線Zから左右方向に0mm以上80mm以下の範囲に少なくとも存在している。さらに、基板押さえ部210は、蓋体20を正面に見て、容器本体10の中心Cから左右方向に0°以上30°以下の範囲に存在する。
【0039】
なお、この基板収納容器1Aは、蓋体20Aの取付け又は取外しや基板Wの挿入又は取出しを、ロボットなどの搬送装置で行うものでなく、作業者などがマニュアルで行う場合に使用される。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0041】
(変形例)
上記各実施形態では、基板受け部13及び基板押さえ部210,210Aの位置を、具体的な寸法及び角度で定義したが、基板Wに作用する押圧力(又は反力)で定義することもできる。例えば、蓋体20を容器本体10に取り付けたときに発生する、基板Wを押す押圧力がY軸方向に沿う方向に作用すると仮定したときに、基板受け部13(の基板Wとの接触部)における基板Wを押し返す法線方向の反力成分CDが、接触部の接線方向の反力成分よりも大きく、より好ましくは押圧力の0.43倍以上(左右2か所で受ける場合)となる位置に基板受け部13が存在するとよい。また、基板押さえ部210,210Aについても、基板受け部13と同様である。このように、基板受け部13における基板Wを押し返す法線方向の反力成分CDが、接線方向の反力成分よりも大きいと、基板Wのお押圧力が加わったとしても、基板Wが回転するようなことが起こらない。
【0042】
上記各実施形態において、支持部12及び基板受け部13は、容器本体10と一体成形してもよいし、容器本体10に別部品で取り付けてもよい。
【0043】
上記各実施形態において、基板受け部13に形成されたV字溝130の傾斜や基板押さえ部210,210Aに形成されたV字溝211の傾斜は、図示したものに限らず、基板受け部13及び基板押さえ部210,210Aに使用する材料に対する基板Wの滑り性や基板押さえ部210,210Aの基板Wを押す押圧力によって変更してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1,1A 基板収納容器
10 容器本体、10a 開口枠、10b 背面壁、右側壁 10c、左側壁 10d、天面壁 10e、底面壁10f、11 開口、12 支持部、13 基板受け部
20,20A 蓋体、21,21A 押さえ部材、210,210A 基板押さえ部
W 基板
CD 基板を押し返す法線方向の反力成分
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5