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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】植栽基盤及び緑化装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 20/00 20180101AFI20220105BHJP
   A01G 9/02 20180101ALI20220105BHJP
   A01G 27/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A01G20/00
A01G9/02 B
A01G27/00 502W
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017095704
(22)【出願日】2017-05-12
(65)【公開番号】P2018191531
(43)【公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】小島 倫直
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 護
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-29425(JP,A)
【文献】登録実用新案第3049382(JP,U)
【文献】特開2014-128228(JP,A)
【文献】特開2010-239878(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第2962548(EP,A3)
【文献】米国特許出願公開第2018/0077877(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 20/00
A01G 9/02
A01G 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保水シートと、前記保水シートの両方の面に重ねられた植栽シートと、を有する植栽マットと、
間隔をあけて配置された複数の横材を有し、前記植栽マットを両面から挟んで保持する保持部材と、
前記横材と前記横材との間から前記植栽シートが突出して形成され、植物が植栽される上部が開口した収容部と、
を備える植栽基盤。
【請求項2】
前記植栽マットの両面における前記保持部材との間には、それぞれ防水シートが設けられ、
前記防水シートは、前記植栽シートと共に前記横材と前記横材との間から突出し、上部が開口した前記収容部を形成する、
請求項1に記載の植栽基盤。
【請求項3】
前記保水シートは、シート状に加工された多孔質体で構成されている、
請求項1又は請求項2に記載の植栽基盤。
【請求項4】
前記保水シートは、飽和含水率80%以上且つ飽和透水係数0.05cm/s以上の多孔質体で構成されている、
請求項3に記載の植栽基盤。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の植栽基盤と、
前記植栽基盤を水平面に対して角度を持って支持する支持手段と、
前記植栽基盤の前記保水シートの上端部から潅水する潅水装置と、
を備えた緑化装置。
【請求項6】
前記支持手段の下端部の横に隣接して、樋部材が設けられ、
前記植栽基盤の前記保水シートの下端部には、前記樋部材に延出する延出部が設けられている、
請求項5に記載の緑化装置。
【請求項7】
前記支持手段は、地盤に設けられた支柱と、台部と、を含んで構成されている、
請求項5又は請求項6に記載の緑化装置。
【請求項8】
前記支柱は、二枚の支持板で前記保持部材を挟んで支持し、
前記台部は、二枚を前記支持板の下端部を支持している、
請求項7に記載の緑化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植栽基盤及び緑化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、垂直面等の立ち上がり面用の緑化構造に関する技術が開示されている。この先行技術では、盤状のケースを用いてパネル化されており、該ケースは、二つ合わせ式のケースからなっている。そして、ケース内において、その下部には、貯水部としての樋状水受けが設置されている。また、ケースは、合成樹脂成形品や、表面処理鋼板あるいはアルミニウム合金板などからなっている。
【0003】
特許文献2には、照明付き壁面緑化装置に関する技術が開示されている。この先行技術では、互いに左右または上下左右に連結されて自立した分離壁となる配列体を構成する複数の壁面緑化ユニットと、これら複数の壁面緑化ユニットの配列体の上部に設けられた照明器具とを備えている。なお、壁面緑化ユニットは、薄箱状に枠組みされた壁面フレームに灌水装置を設け、内部空間に植物育成基盤を充填したものである。また、植物育成基盤には、ブレンドした専用土壌や、他の軽量土等が用いられる。
【0004】
特許文献3には、第二網材でシート材と保水部材とを間に挟んでパネル材に取り付けることで、第二網材とシート材と保水部材とパネル材とが一体化された植栽基盤となる技術が開示されている。この先行技術では、シート材と外側保水材とで形成され第二網材の網目から突出する収容部に植物が植栽され、収容部に植栽された植物は保水部材の第一網材に根を絡ませて生育する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-280285号公報
【文献】特開2014-180274号公報
【文献】特開2014-128228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2の緑化技術では、合成樹脂成形品、表面処理鋼板及びアルミニウム合金板等からなるケース及び土が充填された壁面フレームが用いられている。よって、垂直壁面の両面に植栽することができるが、植物が植栽される植栽基盤が厚く、重量が重い。したがって、植栽基盤を軽量化することが望まれている。
【0007】
また、特許文献3の緑化技術では、植栽基盤として柔軟なシートが用いられ、パネル材と一体化されている。よって、植栽基盤の軽量化がなされているが、植栽可能な面が片面に限られる。
【0008】
本発明は、植物が植栽される植栽基盤を軽量化すると共に両面に植栽可能とすることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一態様は、保水シートと、前記保水シートの一方の面又は両方の面に重ねられた植栽シートと、を有する植栽マットと、間隔をあけて配置された複数の横材を有し、前記植栽マットを両面から挟んで保持する保持部材と、前記横材と前記横材との間から前記植栽シートが突出して形成され、植物が植栽される収容部と、を備える植栽基盤である。
【0010】
第一態様の植栽基盤は、保水シートの一方の面又は両方の面に植栽シートが重ねられた植栽マットを、間隔をあけて配置された複数の横材を有する保持部材が挟んで保持する構造である。よって、第一態様の植栽基盤は、硬いパネルに植栽マットを固定する構造と比較し、薄型で軽量化される。
【0011】
また、保水シートの両面に植栽シートを重ねた場合は、植栽基盤の両面に植物を植栽することができる。
【0012】
第二態様は、前記植栽マットと前記保持部材との間には、防水シートが設けられ、前記防水シートは、前記植栽シートと共に前記横材と前記横材との間から突出して前記収容部を形成する、第一態様に記載の植栽基盤である。
【0013】
第二態様の植栽基盤では、防水シートによって、植栽マットが保護されると共に乾燥が抑制される。
【0014】
第三態様は、第一態様又は第二態様に記載の植栽基盤と、前記植栽基盤を水平面に対して角度を持って支持する支持手段と、前記植栽基盤の前記保水シートの上端部から潅水する潅水装置と、を備えた緑化装置である。
【0015】
第三態様の緑化装置では、植栽基盤の植栽マットの保水シートの上端部から潅水された水は、保水シート内を重力によって流下する過程で、毛細管現象によって植栽シートが形成する収容部に取り込まれる。そして、収容部に植栽された植物の根が、植栽マット内を伸長する。一方、植物14の生育に必要とされない余剰水は、保水シートの下端部から排水される。
【0016】
よって、植栽マット内は植栽された植物の生育にとって水分条件や空気条件などが好適に保たれる。
【0017】
第四態様は、前記支持手段の下端部に隣接して、樋部材が設けられ、前記植栽基盤の前記保水シートの下端部には、前記樋部材に延出する延出部が設けられている、第三態様に記載の緑化装置である。
【0018】
第四態様に記載の緑化装置では、保水シートの下端部から延出する延出部から樋部材に余剰水が排水されるので、保水シートの下端部に水が溜まることが効果的に抑制される。よって、保水シートの下端部に水が溜まることによる根腐れ等が抑制される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、植物が植栽される植栽基盤を軽量化すると共に両面に植栽可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】各シートを重ねて一体化する前の植栽基盤の分解斜視図である。
図2】収容部を形成する前の植栽基盤の下部のY方向に沿った縦断面図である。
図3】緑化装置の支持部材の斜視図である。
図4】植栽基盤に収容部を形成する前の緑化装置の下部をX方向から見た側面図である。
図5】植栽基盤に収容部を形成する工程を(A)~(C)へと順番に示す斜視図である。
図6】植栽基盤の収容部に植物を植栽した状態の緑化装置の上部のY方向に沿った縦断面図である。
図7】収容部に植物を植栽した状態の植栽基盤の斜視図である。
図8】潅水装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態>
次に本発明の一実施形態の植栽基盤及び緑化装置について説明する。なお、鉛直方向をZ方向とし、左右方向をX方向とし、Z方向とX方向とに直交する方向をY方向とする。なお、後述する植栽基盤10の厚み方向がY方向である。また、後述する植物14を植栽した状態の図は、図6及び図7であり、これら以外は、植物14を植栽していない状態の図である。
【0022】
[構造]
先ず、植栽基盤10及び緑化装置100の構造について説明する。
【0023】
図1及び図2に示すように、植栽基盤10は、植栽マット50と、植栽マット50の両面を挟んで保持する保持部材60、62と、を有している。また、本実施形態の植栽基盤10は、植栽マット50の両面に防水シート70、72がそれぞれ重ねられている。つまり、植栽マット50と保持部材60、62との間に防水シート70、72が設けられている。
【0024】
また、植栽マット50は、保水シート20と、保水シート20の両面に重ねられた植栽シート30、32と、を有している。
【0025】
植栽マット50を構成する保水シート20及び植栽シート30、32は、保水性及び吸水性の高い材料(フェルト、不織布、ウレタン、スポンジ、ヤシ繊維等)で構成された多孔質体をシート状に加工したものである。本実施形態の保水シート20は、飽和含水率80%以上且つ飽和透水係数0.05cm/s以上の排水性能が高い多孔質体を用いている。また、本実施形態では、植栽シート30、32は、保水シート20と同じ材料の多孔質体を用いている。
【0026】
防水シート70、72は、ゴムやビニール等の水分蒸発防止機能を有する材料で構成されている。なお、本実施形態では、水分蒸発防止機能に加え、遮熱性や不燃性を有すると共に耐候性に優れた加硫ゴム系のシートを使用した。
【0027】
保持部材60、62は、それぞれ金属製の線材で構成された横材64、縦材66及び枠材68で構成されている。横材64及び縦材66は格子状に配置され接合されている。そして、格子状に配置された横材64及び縦材66の端部が、Y方向から見た形状が矩形状の枠材68に接合されている。なお、横材64及び縦材66は、植栽マット50を間に挟んで対向配置されている。
【0028】
図3図4図6に示すように、緑化装置100は、植栽基盤10と、支持部材110(図3及び図4を参照)と、潅水装置200(図6及び図8を参照)と、を備えている。支持部材110(図3及び図4を参照)は、植栽基盤10を水平面に対して角度を持って、本実施形態では鉛直又は略鉛直方向に支持する。潅水装置200(図6及び図8を参照)は、植栽基盤10の保水シート20の上端部22(図6参照)から潅水する。なお、図3では、植栽基盤10の植栽マット50及び後述する樋部材150(図4参照)の図示を省略している。
【0029】
図3及び図4に示すように、支持部材110は、地盤12に設けられた支柱124(図3参照)と台部130と、を含んで構成されている。図3に示すように、支柱124は、Y方向に間隔をあけて配置された対向する支持板120、122を有し、これら支持板120、122で保持部材60、62を挟んで支持している。図3及び図4に示すように、台部130は、X方向に間隔をあけて配置されており、支柱124(支持板120、122)の下端部を保持して支持すると共に、保持部材60、62の下端部を支えている。
【0030】
図8に示すように、潅水装置200は、外周面202Aに複数の孔204が形成された筒状のホース202と、ポンプ210と、ホース202とポンプ210とを繋ぐチューブ212と、ポンプ210に電気的に接続されポンプ210を制御する制御部214と、を有している。
【0031】
図6に示すように、潅水装置200のホース202は、植栽基盤10の保水シート20の上端部22上にX方向に沿って配置されている。
【0032】
図8に示す制御部214は、定期的に予め定めた量の水がホース202に供給されるように、ポンプ210を制御する。そして、ホース202に水が供給されると、各孔204から水が吐出し、図6に示す保水シート20及び植栽シート30、32に浸透する。つまり、保水シート20及び植栽シート30、32に灌水される。なお、本実施形態では、肥料入りの水を吐出(灌水)させている(液肥潅水)。
【0033】
図4に示すように、地盤12には、X方向に沿って樋部材150が設けられている。樋部材150は、台部130に隣接して設けられている。そして、植栽基盤10の保水シート20の下端部から樋部材150に延出する延出部24が引き出されている。
【0034】
図6及び図7に示すように、横材64と横材64との間(格子の目)から防水シート70、72及び植栽シート30、32が突出し、植物14が植栽される上部が開口した収容部180が形成されている。本実施形態では、植栽基盤10の両面に収容部180が形成され、両面に植物14が植栽されている。なお、図7では、植栽基盤10のみを図示している。
【0035】
(収容部の形成方法)
次に、収容部180の形成方法の一例について、図5を用いて説明する。なお、図5では、防水シート70側の一方の面に収容部180を形成する場合を図示しているが、反対側の防水シート72側の他方の面に収容部180を形成する場合も同様である。
【0036】
図5(A)に示すように、植栽基盤10の防水シート70(72)及び植栽シート30(32)に水平方向の切目55を入れる。図5(B)に示すように、横材64と横材64との間から突出するように、防水シート70(72)及び植栽シート30(32)における切目55の下側の部位を引き出し、図5(C)に示すように、上部が開口した収容部180を形成する。
【0037】
[作用及び効果]
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0038】
保水シート20の両面に植栽シート30、32を重ねた植栽マット50を、防水シート70、72を間に挟んで両面から保持部材60、62で挟んで保持することで、これらが一体化された植栽基盤10となる。よって、例えば、硬いパネルに植栽マット50を固定する構造と比較し、薄型で軽量化される。また、低コストであり、施工が容易である。
【0039】
また、防水シート70、72及び植栽シート30、32で形成され、横材64と横材64との間(格子の目)から突出する収容部180に植物14が植栽されている。収容部180に植栽された植物14は、保水シート20及び植栽シート30、32に根16を張って生育する(図6参照)。
【0040】
植物14が植栽された収容部180は、横材64によって支えられる。また、植栽基盤10の植栽マット50が横材64によって両面から挟むことで柔らかい保水シート20及び植栽シート30、32で構成された植栽マット50を保持することができる。このように植栽マット50を挟んで保持することで、植栽マット50が厚み方向(Y方向)に圧縮される(図2図4及び図6を参照)。よって、浸透した水が横方向(X方向)に流れ、植栽マット50に均一に水分が浸透する。また、植物14が下方へずり落ちることが防止され、植物14の生育環境を好適に保つことができる。
【0041】
また、保水シート20の両面に植栽シート30、32が重ねられているので、植栽基盤10の両面に植物14を植栽することができる。
【0042】
そして、植栽基盤10の薄型化、軽量化、及び両面植栽の作用により、省スペース且つ植栽可能面積が増加するので、効率的に緑化できる。また、植栽基盤10の効率的な緑化により、効率的にヒートアイランド現象対策を行うことができる。
【0043】
潅水装置200で自動的に植栽マット50に潅水することで、別途、人が水を補給する場合と比較し、植物14の管理作業が簡略化される。
【0044】
植栽基盤10の植栽マット50の保水シート20の上端部22から潅水された水は、保水シート20内を重力によって流下する過程で、毛細管現象によって植栽シート30、32及びこれらが形成する収容部180に取り込まれる。そして、収容部180に植栽された植物14の根16が、植栽マット50内を伸長する。一方、植物14の生育に必要とされない余剰水は、保水シート20の下端部の延出部24から樋部材150に排水される。
【0045】
よって、植栽マット50内は植栽された植物14の生育にとって水分条件や空気条件などが好適に保たれる。また、防水シート70、72によって、植栽マット50が保護されると共に乾燥が抑制される。
【0046】
また、保水シート20の下端部から延出する延出部24から樋部材150に余剰水が排水されるので、保水シート20の下端部に水が溜まることが効果的に抑制される。よって、保水シート20の下端部に水が溜まることによる根腐れ等が効果的に抑制される。
【0047】
ここで、保水シート20は、前述のように、植物14に給水する機能と余剰水を排水する機能との両方を有している。よって、植物14の生育にとって水分条件や空気条件などがより好適に保たれる。そして、本実施形態では、保水シート20に、飽和含水率80%以上且つ飽和透水係数0.05cm/s以上の排水性能が高い多孔質体を用いることで、水分条件や空気条件などの生育条件を好適に保つことが可能となっている。
【0048】
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0049】
例えば、上記実施形態では、植栽マット50の両面に防水シート70、72が重ねられていたが、これに限定されない。防水シート70及び防水シート72の一方又は両方を備えていない構造であってもよい。
【0050】
また、例えば、上記実施形態では、植栽基盤10の両面に収容部180を形成して、植物14を植栽したが、これに限定されない。植栽基盤10の一方の面のみに収容部180を形成し、植物14を植栽してもよい。
【0051】
また、例えば、上記実施形態では、植栽マット50は、保水シート20の両面に植栽シート30、32が重ねられていたが、これに限定されない。植栽シート30及び植栽シート32のいずれか一方のみが保水シート20に重ねられていてもよい。
【0052】
また、例えば、上記実施形態では、保持部材60、62は、それぞれ金属製の線材で構成された横材64、縦材66及び枠材68で構成されていたが、これに限定されない。縦材66がなく、横材64と枠材68とで構成されていてもよいし、横材64のみを有していてもよい。なお、横材64のみで構成されている場合、例えば、支柱124に横材64が接合された構成とすればよい。
【0053】
つまり、植栽基盤10は、保水シート20の少なくとも一方の面に植栽シート30が重ねられた植栽マット50と、植栽マット50を両面から挟む上下方向(Z方向)に間隔をあけて配置された複数の対向配置された横材64と、を有する構造であればよい。
【0054】
また、例えば、上記実施形態では、樋部材150は、支持部材110の下端部を構成する台部130に隣接して設けられていたが、これに限定されない。例えば、植栽マット50の直下に樋部材150が配置されていてもよい。或いは、樋部材150が設けられておらず、余剰水を地盤12に直接排水してもよい。
【0055】
また、例えば、上記実施形態では、植栽基盤10は、支持部材110で鉛直方向又は略線直方向に支持されていたが、これに限定されない。植栽基盤10を斜めに支持してもよい。或いは、既設の鉛直又は斜めの壁面に植栽基盤10を取り付けてもよい。なお、この場合、植栽基盤10を取り付ける壁面が、植栽基盤10を支持する支持手段の一部を構成する。また、植栽基盤10の角度は、水平面に対して5°~90°が望ましい。
【0056】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0057】
10 植栽基盤
14 植物
20 保水シート
24 延出部
30 植栽シート
32 植栽シート
50 植栽マット
60 保持部材
62 保持部材
64 横材
70 防水シート
72 防水シート
110 支持部材(支持手段の一例)
100 緑化装置
150 樋部材
180 収容部
200 潅水装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8