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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】遮断装置及び遮断装置の動作方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/24 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
E06B9/24 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017142987
(22)【出願日】2017-07-24
(65)【公開番号】P2019023403
(43)【公開日】2019-02-14
【審査請求日】2020-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】青木 大輔
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202010003878(DE,U1)
【文献】実開平04-001995(JP,U)
【文献】実公昭44-010599(JP,Y1)
【文献】中国特許出願公開第104832022(CN,A)
【文献】特開2006-337948(JP,A)
【文献】特開2013-011713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24
E06B 9/02-9/18
E06B 9/40-9/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部を覆って遮蔽する遮断装置であって、
前記開口部の周縁部に対応する円周上に配置され、先端から徐々に広がった形状の3枚以上の羽根部材と、
前記羽根部材を前記開口部の中心へと押し出す駆動源と、
隣接する前記羽根部材が、前記羽根部材を厚さ方向で重ならないようにずらす階層調整部材とを備え、
前記羽根部材は、前記駆動源によって前記開口部の中心へと押し出された際に、前記開口部の正面視において、隣接する前記羽根部材と隙間が生じない位置で配置され
前記羽根部材よりも厚い支持部材により、前記羽根部材を支持するように設けたことを特徴とする遮断装置。
【請求項2】
前記羽根部材は、前記階層調整部材を介して前記支持部材に取り付けられていることを特徴とする請求項に記載の遮断装置。
【請求項3】
建物の開口部を覆って遮蔽する遮断装置であって、
前記開口部の周縁部に対応する円周上に配置され、先端から徐々に広がった形状の3枚以上の羽根部材と、
前記羽根部材を前記開口部の中心へと押し出す駆動源と、
隣接する前記羽根部材が、前記羽根部材を厚さ方向で重ならないようにずらす階層調整部材と、
前記駆動源により回動される駆動リングと、
前記駆動リングの回動に応じて移動する前記羽根部材に応じて、前記羽根部材を前記開口部の中心へと押し出すように前記羽根部材の動きをガイドするガイド部材とを備え、
前記羽根部材は、前記駆動源によって前記開口部の中心へと押し出された際に、前記開口部の正面視において、隣接する前記羽根部材と隙間が生じない位置で配置されていることを特徴とする遮断装置。
【請求項4】
建物の円形の開口部の周縁部に配置された3枚以上の羽根部材によって前記開口部を覆って遮断する遮断装置の動作方法であって、
前記遮断装置は、前記開口部の周縁部に対応する円周上に配置され、先端から徐々に広がった形状の前記羽根部材と、前記羽根部材を前記開口部の中心へと押し出す駆動源と、隣接する前記羽根部材が、前記羽根部材を厚さ方向で重ならないようにずらす階層調整部材とを備え、前記羽根部材よりも厚い支持部材により、前記羽根部材を支持するように設け、
前記駆動源が、前記開口部の正面視において、隣接する前記羽根部材と隙間が生じない状態で、前記羽根部材を前記開口部の中心へと押し出すことを特徴とする遮断装置の動作方法。
【請求項5】
建物の円形の開口部の周縁部に配置された3枚以上の羽根部材によって前記開口部を覆って遮断する遮断装置の動作方法であって、
前記遮断装置は、前記開口部の周縁部に対応する円周上に配置され、先端から徐々に広がった形状の前記羽根部材と、前記羽根部材を前記開口部の中心へと押し出す駆動源と、隣接する前記羽根部材が、前記羽根部材を厚さ方向で重ならないようにずらす階層調整部材と、前記駆動源により回動される駆動リングと、前記駆動リングの回動に応じて移動する前記羽根部材に応じて、前記羽根部材を前記開口部の中心へと押し出すように前記羽根部材の動きをガイドするガイド部材とを備え、
前記駆動源が、前記開口部の正面視において、隣接する前記羽根部材と隙間が生じない状態で、前記羽根部材を前記開口部の中心へと押し出すことを特徴とする遮断装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部を覆って遮断する遮断装置及び遮断装置の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
円窓等の円形状の開口部が建物に設けられることがある。この円形状の開口部を閉める機構も検討されている(非特許文献1及び特許文献1参照。)。非特許文献1には、円い窓に対応した円形タイプのブラインドが表示されている。また、特許文献1には、両側端部を円弧の溝状の窓枠に、回転可能な円形障子を配置し、この円形障子をローラ装置等で回転させて、窓の開閉を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-217323号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】総合インテリア 松装株式会社 「タチカワブラインド シルキー変形窓円形タイプ」、[online]、[平成29年6月23日検索]、インターネット、<URL:http://www.matusou.co.jp/blind/silky/s_h_en.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した円形タイプのブラインドや円形障子においては、円形の窓を左右又は上下から徐々に閉鎖する。しかしながら、窓を遮断時に、円形(窓の形状)を活かすことができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
・上記課題を解決するための遮断装置は、建物の開口部を覆って遮蔽する遮断装置であって、前記開口部の周縁部に対応する円周上に配置され、先端から徐々に広がった形状の3枚以上の羽根部材と、前記羽根部材を前記開口部の中心へと押し出す駆動源と、隣接する前記羽根部材が、前記羽根部材を厚さ方向で重ならないようにずらす階層調整部材とを備え、前記羽根部材は、前記駆動源によって前記開口部の中心へと押し出された際に、前記開口部の正面視において、隣接する前記羽根部材と隙間が生じない位置で配置されている。これにより、頑丈で撓み難い羽根部材を開口部内で重ねて、開口部の中心を残しながら開口領域を徐々に小さくして、中心を最後に遮断することができる。従って、開口部の形状を活かしながら、開閉時における意匠性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、開口部の形状を活かしながら開口部を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態における開口部に配置されたシャッターを室内側から見た正面図。
図2】実施形態におけるシャッターの側面図であって、(a)は設置された状態、(b)は(a)における要部の部分拡大図。
図3】実施形態におけるシャッターの羽根側から見た全体斜視図。
図4】実施形態におけるシャッターのベース部材の正面図。
図5】実施形態における羽根ユニットを説明する説明図であり、(a)は羽根ユニットの裏面図、(b)は羽根ユニットの一部分解斜視図、(c)は階層調整部材を説明する要部の断面図。
図6】実施形態における閉鎖状態における羽根ユニットの重なり状態を説明する説明図であり、(a)は表側、(b)は裏側を示す。
図7】実施形態における羽根ユニットの動きを説明する説明図であり、(a)は全開状態、(b)は途中の状態、(c)は全閉状態を示す。
図8】実施形態における羽根ユニットによる開口部の開閉状態を説明する説明図であり、(a)は全開状態、(b)~(e)は途中の状態、(f)は全閉状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図8を用いて、遮断装置及び遮断装置の動作方法を具体化した一実施形態について説明する。
図1は、窓開口部W1からの光を遮断する遮断装置としてのシャッター10を、室内側から見た図(正面視の図)である。図1は、シャッター10の全閉状態を示している。この場合、シャッター10は、複数の羽根部材によって、円形形状の窓開口部を覆う。本実施形態では、8枚の羽根部材によって窓開口部W1が覆われる。ここで、窓開口部W1には、ガラス等の透明部材61が配置されている。この透明部材61は、四角形状のサッシ枠62に嵌め込まれている。また、窓開口部W1の周縁部には、円弧形状の複数の化粧パネル65が、円を形成するように配置されている。本実施形態では、化粧パネル65の内側で、窓開口部W1が形成されている。
【0010】
図2(a)は、シャッター10が設けられた建物の要部の側面断面図であり、図2(b)は、図2(a)の一部拡大図である。図3は、シャッター10を室内側から見た斜視図である。
【0011】
図2(a)に示すように、建物の躯体50に形成された建物開口部51の最外部には、ガラス等で構成される外側透明板52が設けられている。そして、外側透明板52から距離をおいて、建物開口部51の内側には、内室S1が、天井材56、床材57及び側壁部材58によって区画されている。この内室S1は、天井材56が躯体50から吊り下げられ、床材57が躯体50から浮いたフローティング構造によって防音を実現している。内室S1の外側透明板52側の側壁部材58は、建物開口部51側に突出し、この突出部には、上述したサッシ枠62が設けられている。更に、内室S1の側壁部材58には、内室S1側に、上述した化粧パネル65が取り付けられている。
【0012】
躯体50の建物開口部51内において、外側透明板52の内側と、内室S1の側壁部材58よりも外側との間には、空間S2が区画されている。この空間S2に、シャッター10が配置される。具体的には、空間S2に臨む躯体50の天井及び床には、取付部材55が設けられている。これら取付部材55には、シャッター10の上端部及び下端部が設けられている。
【0013】
シャッター10は、モータ15、ベース部材20、駆動リング30、羽根ユニット40を備えている。
図3に示すように、ベース部材20は、略正方形状のベース板を有し、駆動リング30は薄いリング形状を有している。そして、本実施形態のシャッター10は、複数(ここでは8枚)の羽根ユニット40を備える。これらは、建物の外側から、モータ15、ベース部材20、駆動リング30、羽根ユニット40の順番で配置されている。
【0014】
図2に示すように、モータ15は、ベース部材20に設けられた取付板の上に設けられている。このモータ15は、図1に示すように、室内側から見て、シャッター10の左側下端部に配置されている。モータ15は、複数の羽根ユニット40を一度に可動させる駆動源である。モータ15の回転軸の先端には、ピニオンギア16が取り付けられている。
【0015】
図4は、ベース部材20の正面図(室内側から見た表面)である。ベース部材20は、略正方形状のベース板21を備えている。このベース板21の中央には、円形開口部22が形成されている。この円形開口部22は、その中心がベース部材20の中心と一致するように配置されている。
ベース板21の左側下端部には、貫通孔23が形成されている。この貫通孔23には、モータ15の回転軸が挿入される。
【0016】
ベース板21の表面には、複数の羽根ガイド部材25が取り付けられている。本実施形態では、羽根ガイド部材25は、羽根ユニット40の枚数(8枚)に応じた個数(8個)で設けられている。この羽根ガイド部材25は、ベース板21において、同一円上で等間隔に配置されている。各羽根ガイド部材25は、中央にガイド溝25gが形成された略直方体形状のブロックである。ガイド溝25gは、羽根ユニット40の動き(移動と姿勢)をガイドする形状を有している。本実施形態では、このガイド溝25gは、後述するように駆動リング30の回転に応じて羽根ユニット40が回転する際に、羽根ユニット40の先端を徐々に窓開口部W1の中心へと押し出すようにガイドする。
更に、ベース板21の表面には、同一円C1上に離隔して複数のガイドローラ27が形成されている。
【0017】
図3に示すように、ガイドローラ27は、駆動リング30に当接して、駆動リング30を回動可能に支持する。そして、駆動リング30は、ガイドローラ27にガイドされながら、リングの中心を中心として回動する。
【0018】
図1に示すように、駆動リング30の左側下端部には、セグメントギア31が取り付けられている。このセグメントギア31は、ピニオンギア16と噛合する。
図3に示すように、駆動リング30には、各羽根ユニット40が、支点ピン42を介して、回動可能に取り付けられている。
【0019】
図5(a)は羽根ユニット40の裏面図、図5(b)は羽根ユニット40の分解斜視図、図5(c)は階層調整部材44の説明図である。
図5に示すように、羽根ユニット40は、羽根支持板41、支点ピン42、ローラ43及び羽根部材45を備えている。更に、本実施形態では、8枚の羽根ユニット40の内、7枚には、階層調整部材44が設けられている。
【0020】
図5(a)に示すように、羽根ユニット40は、全体として、先端が細くなるように2つの曲線の外形線が形成されているフィン形状が、矩形状の一辺に接合された形状をしている。
【0021】
図5(b)に示すように、羽根支持板41は、変形した略ホームベース形状をしている。この羽根支持板41は、羽根部材45よりも厚い金属板で形成されており、羽根部材45を支持する支持部材として機能している。
【0022】
更に、羽根支持板41には、駆動リング30に固定された支点ピン42が固定されている。また、羽根支持板41には、取付部材を介して、ローラ43が固定されている。このローラ43は、ベース板21の羽根ガイド部材25のガイド溝25gに嵌合されて、回転しながら、ガイド溝25g内を摺動する。
【0023】
階層調整部材44は、羽根支持板41の隣接する2つの端辺に跨った「く」の字形状で形成されており、羽根支持板41と羽根部材45との端部に配置される。各階層調整部材44は、羽根部材45よりも厚い板で構成されている。この階層調整部材44は、隣接する羽根部材45が重ならないように厚さ方向に羽根部材45をずらして羽根部材45の位置を調整する。階層調整部材44は、羽根ユニット40の配置順番に応じた枚数が取り付けられている。本実施形態では、階層調整部材44は、駆動リング30に近いほうから0枚~7枚が設けられている。
【0024】
羽根部材45は、上述した羽根ユニット40のフィン形状を有している。この羽根部材45は、窓開口部W1内において、隣接する羽根部材45と隙間を生じない位置に、羽根ユニット40の取付間隔に応じて取り付けられている。本実施形態では、最も室内側にある羽根部材45以外の羽根部材45の先端(頂点)の外側(外形線)が、隣接する羽根部材45に隠れるように取り付けられる。
【0025】
図6(a)及び図6(b)は、シャッター10が全閉した状態における羽根ユニット40の重なりを室内側から見た図(表面)と、室外側から見た図(裏面)である。最も表面側にあり駆動リング30から最も遠い位置に配置されている羽根ユニット40を「F1」で表示しており、最も裏面側にあり駆動リング30から最も近い位置に配置されている羽根ユニット40を「F8」で示しており、羽根ユニットF1~F8で示した順で、羽根ユニット40が順次重なっている。
【0026】
そして、図6及び図5(c)に示すように、駆動リング30に最も近い羽根ユニットF8(40)には、階層調整部材44が設けられておらず、羽根支持板41と羽根部材45とが当接している。また、駆動リング30に最も遠い羽根ユニットF1(40)には、7枚の階層調整部材44が設けられている。そして、羽根ユニットF7~F2は、階層調整部材44が1枚ずつ増えるように設けられている。この結果、8枚の羽根部材45は、羽根部材45の厚さ方向に、配置の順番で、階層調整部材44の厚さずつ、ずれることになる。
【0027】
<シャッター10の動作>
次に、図7及び図8を用いて、上述した構成のシャッター10の動作について説明する。図7は、モータ15に近い羽根ユニット40を示した図である。図7(a)はシャッター10を全開した状態、図7(b)は開閉途中の状態、図7(c)はシャッター10を閉じた状態を示している。
【0028】
図7(a)に示すように、シャッター10を全開した状態においては、羽根部材45は、窓開口部W1よりも外側に位置している。この場合、羽根ユニット40のローラ43は、羽根ガイド部材25のガイド溝25gの外側の端部に位置している。更に、モータ15の回転軸に嵌合しているピニオンギア16は、セグメントギア31の下端部に位置している。
【0029】
そして、シャッター10を閉じる場合には、モータ15を駆動する。
モータ15の回転軸の回転に応じて、ピニオンギア16が回転する。そして、このピニオンギア16に噛合したセグメントギア31が、室内側から見て反時計回りの回転方向R1に回転する。この場合、セグメントギア31が取り付けられている駆動リング30と、この駆動リング30に取り付けられている羽根ユニット40の支点ピン42とが、回転方向R1に回転する。
【0030】
羽根ユニット40のローラ43は、固定されているガイド溝25gに嵌合しているため、ローラ43がガイド溝25g内を摺動し、羽根ユニット40は、ガイド溝25gの形状に応じて回転方向R2に回転する。これにより、羽根部材45が、円形状の窓開口部W1から突出して、窓開口部W1を周縁部から徐々に覆う。
【0031】
そして、図7(b)に示すように、駆動リング30に取り付けられた支点ピン42、ローラ43、羽根ユニット40の配置が変化する。
その後、最終的に、図7(c)に示すように、羽根部材45が、円形状の窓開口部W1から、更に突出する。ただし、羽根ユニット40の階層調整部材44及び羽根支持板41は、窓開口部W1よりも外側に位置している。更に、この場合、ピニオンギア16は、セグメントギア31の上端部に噛合し、羽根ユニット40のローラ43は、ガイド溝25gの内側の端部に位置する。
【0032】
図8には、羽根ユニット40の8枚の動きを示している。図8(a)は全開した状態、図8(f)は閉じた状態である。図8(b)~図8(e)はシャッターを徐々に閉じた状態を示している。上述した図7における羽根ユニット40の動きによって、8枚の羽根部材45は、窓開口部W1の周縁部から徐々に中心に向かって、八角形状の隙間を小さくしながら、窓開口部W1を周縁部から徐々に覆って、最終的に窓開口部W1を全閉する。
【0033】
シャッター10を、図7(c)及び図8(f)の全閉状態から開く場合には、モータ15を逆回転させる。これにより、セグメントギア31、駆動リング30、支点ピン42が、回転方向R1と反対の時計回りに回転し、ローラ43が羽根ガイド部材25のガイド溝25gにガイドされて、羽根ユニット40が回転方向R2の反対方向に回転する。このため、図7(b)及び図8(e)~図8(b)の途中状態を経過して、結果として、図7(a)及び図8(a)の全開状態になる。
【0034】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態のシャッター10は、窓開口部W1の周縁部に対応する円周上に配置された8枚の羽根ユニット40と、羽根ユニット40を窓開口部W1の中心へと押し出すモータ15を備える。羽根ユニット40は、隣接する羽根部材45が重ならないように厚さ方向に羽根部材45をずらす階層調整部材44を備えている。これにより、薄板で構成されたカメラの絞り羽根と異なり、頑丈で撓み難い羽根部材45を窓開口部W1内で重ねることができる。また、窓開口部W1の中心を残しながら開口領域を徐々に小さくして、中心を最後に遮断することができる。従って、窓開口部W1の形状を活かしながら、開閉時における意匠性を向上させることができる。
【0035】
(2)本実施形態のシャッター10は、8枚の羽根部材45によって八角形状に形成した隙間を、この形を保ったまま徐々に小さくなるようにして遮断する。これにより、羽根部材45の枚数に応じた多角形状に開口領域にすることができる。
【0036】
(3)本実施形態のシャッター10の羽根ユニット40は、羽根部材45より厚く羽根部材45を支持する羽根支持板41を備える。これにより、窓開口部W1を覆う羽根部材45を薄くしても、厚い羽根支持板41によって羽根部材45を強固に支持することができる。
【0037】
(4)本実施形態の羽根ユニット40は、羽根部材45と羽根支持板41との間に、階層調整部材44が設けられている。これにより、羽根部材45の厚さ方向の位置を、階層調整部材44によって、任意に効率的に変更することができる。
【0038】
(5)本実施形態の各羽根ユニット40には、羽根ユニット40の配置順番に応じた枚数の階層調整部材44が取り付けられている。これにより、8枚の羽根部材45の厚さ方向の位置を段々と変更することができる。
【0039】
(6)本実施形態のシャッター10は、羽根ユニット40の支点ピン42が取り付けられモータ15によって回転される駆動リング30と、ベース板21に固定された羽根ガイド部材25とを備えている。羽根ガイド部材25は、駆動リング30の回動に応じて回転方向R1に移動する羽根ユニット40を窓開口部W1の中心へと押し出すようにガイドするガイド溝25gを備えている。これにより、1つのモータ15で、複数の羽根部材45を、窓開口部W1の中心方向に同時に押し出すことができる。
【0040】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、羽根ユニット40の羽根支持板41、階層調整部材44、羽根部材45等の形状は、上述した形状に限定されない。例えば、羽根部材45は、窓開口部W1の正面視において、厚さ方向に重ならないのであれば、隣接する羽根部材45と、更に隣接する羽根部材の両方に重なる形状であってもよい。また、上記実施形態では、羽根ユニット40の先端(頂点)の外側が隠れるように重ねた配置にして、羽根ユニット40の枚数に応じた多角形で構成された隙間を徐々に小さくした。これに代えて、羽根ユニット40の枚数とは異なる多角形状の隙間を形成し、この隙間を徐々に小さくする羽根部材45の形状としてもよい。すなわち、開口部の正面視において、隣接する羽根部材と隙間が生じない状態で、羽根部材が、開口部の中心へと押し出されればよい。この場合、隣接する羽根部材と隙間が生じない状態には、開口部の周縁部側において隙間が生じていなければよく、羽根部材の先端(頂点)において一部隙間が生じている状態を含むものとする。
【0041】
・上記実施形態においては、8枚の羽根ユニット40を用いた。羽根ユニット40の枚数は、上記実施形態に限定されず、開口部の周縁部に対応する円周上に配置される3枚以上であればよい。この場合、枚数を多くすれば、開閉時の残存領域が円に近くなる。
【0042】
・上記実施形態においては、8枚の羽根ユニット40は、各羽根部材45が順番に8枚重なるように、階層調整部材44の枚数を調整した。すべての羽根ユニット40が順番に並ぶ場合に限られない。例えば、隣接する羽根部材45の厚さ方向の位置を交互に配置して、シャッター10を閉める際に、各羽根部材45が厚さ方向に重ならない配置としてもよい。
【0043】
・上記実施形態においては、モータ15によってすべての羽根部材45を窓開口部W1の中心部へと押し出した。各羽根部材45を押し出す駆動源の個数は、1つに限られない。例えば、羽根部材毎や複数の羽根部材毎に駆動源を設けてもよい。
【0044】
・上記実施形態において、シャッター10は、円形状の窓開口部W1を遮断した。シャッター10が遮断する開口部の形状は、円形状限らず、例えば、三角形や四角形等の多角形状や半円形状の曲線形状であってもよい。この場合においても、開口部の中心をシャッター10の中心とすることにより、開口部の形状を活かしながら開口部を遮断することができる。
【符号の説明】
【0045】
C1…円、F1,F2,F3,F4,F5,F6,F7,F8、40…羽根ユニット、F8…羽根ユニット、R1,R2…回転方向、S1…内室、S2…空間、W1…窓開口部、10…シャッター、15…モータ、16…ピニオンギア、20…ベース部材、21…ベース板、22…円形開口部、23…貫通孔、25…羽根ガイド部材、25g…ガイド溝、27…ガイドローラ、30…駆動リング、31…セグメントギア、40…羽根ユニット、41…羽根支持板、42…支点ピン、43…ローラ、44…階層調整部材、45…羽根部材、50…躯体、51…建物開口部、52…外側透明板、55…取付部材、56…天井材、57…床材、58…側壁部材、61…透明部材、62…サッシ枠、63…側壁部材、65…化粧パネル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8