(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
B66C 13/12 20060101AFI20220105BHJP
F16L 37/30 20060101ALI20220105BHJP
B66C 23/42 20060101ALI20220105BHJP
F15B 20/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B66C13/12 A
F16L37/30
B66C23/42 A
F15B20/00 F
(21)【出願番号】P 2017144707
(22)【出願日】2017-07-26
【審査請求日】2020-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻原 一朗
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-050627(JP,U)
【文献】実開平02-021391(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0033089(US,A1)
【文献】国際公開第2003/093161(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/12
F16L 37/30
B66C 23/42
F15B 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部を駆動させるアクチュエータに供給される流体の流路が、複数の管を接続することによって形成される作業機械であって、
互いに接続される管の一方の管の端部に設けられた第1部材と他方の管の端部に設けられた第2部材とを有する継手と、
第1部材と第2部材との接続状態を検出する接続状態検出手段と、
接続状態検出手段によって検出された第1部材と第2部材との不完全な接続状態を報知する報知手段と、を備え
、
接続状態検出手段は、継手収容部と、継手収容部に収容された継手を検出する継手検出部と、を有し、
継手収容部は、第1部材と第2部材とが良好な接続状態で接続した継手の軸方向寸法であれば収容可能な内部寸法を有している
作業機械。
【請求項2】
継手検出部は、接続状態検出スイッチ
である
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
継手は、第1部材及び第2部材の一方に設けられた雄ねじ部に、他方に設けられた雌ねじ部を螺合することで、第1部材及び第2部材が互いに接続されるものである
請求項1
または2に記載の作業機械。
【請求項4】
接続状態検出手段によって第1部材と第2部材との良好な接続状態が検出されない場合に、アクチュエータに対する流体の供給を規制する流体供給規制手段を備えた
請求項1乃至
3のいずれかに記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ブームが着脱可能に設けられた移動式クレーン等の作業機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、作業装置としてのブームを有する移動式クレーン等、大型の作業機械は、本体部分と作業装置とを分割してそれぞれを保管場所から作業場所へ搬送し、作業場所において本体部分に対して作業装置を組み付けている。
【0003】
このため、大型の作業機械は、油圧源及び作動油タンクとアクチュエータとの間の作動油の流路を構成する複数の管を、継手を介して着脱自在に接続するものが知られている(例えば、特許文献1 参照) 。
【0004】
この継手は、互いに接続される管の一方の管の端部に設けられた第1部材と、他方の管の端部に設けられた第2部材と、を有し、第1部材と第2部材とを接続することにより一方の管の端部と他方の管の端部とを互いに接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記作業機械では、作業場所において、本体部分に対して作業装置を組み付ける作業の後、継手の第1部材と第2部材とを接続する作業が行われる。
【0007】
継手は、例えば第1部材と第2部材とを螺合させることで互いに接続するねじ式の継手等、良好な接続状態を目視で確認することが困難なものがある。
【0008】
前記作業機械では、継手の第1部材と第2部材との接続状態が不完全なまま、作動油の流路に作動油を流通させると、継手の第1部材と第2部材との間から作動油が漏洩するおそれがある。
【0009】
本発明の目的とするところは、継手の第1部材と第2部材とを確実に良好な接続状態とし、作動油の漏洩を防止することのできる作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記目的を達成するために、駆動部を駆動させるアクチュエータに供給される流体の流路が、複数の管を接続することによって形成される作業機械であって、互いに接続される管の一方の管の端部に設けられた第1部材と他方の管の端部に設けられた第2部材とを有する継手と、第1部材と第2部材との接続状態を検出する接続状態検出手段と、接続状態検出手段によって検出された第1部材と第2部材との不完全な接続状態を報知する報知手段と、を備え、接続状態検出手段は、継手収容部と、継手収容部に収容された継手を検出する継手検出部と、を有し、継手収容部は、第1部材と第2部材とが良好な接続状態で接続した継手の軸方向寸法であれば収容可能な内部寸法を有している。
【0011】
これにより、第1部材と第2部材との不完全な接続状態が報知されることから、第1部材と第2部材との接続状態が不完全なまま、流路に流体を流通させる状態が防止可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1部材と第2部材との接続状態が不完全なまま、流路に流体を流通させる状態を防止することが可能となるので、流路からの流体の漏洩を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態を示す移動式クレーンの側面図である。
【
図2】アクチュエータ駆動用の油圧システム及び制御システムを示す概略図である。
【
図9】接続状態確認処理を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の他の実施形態を示す接続状態検出装置の説明図である。
【
図11】本発明の他の実施形態を示す接続状態検出装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1乃至
図9は、本発明の一実施形態を示すものである。
【0015】
本発明の作業機械としての移動式クレーン1は、
図1に示すように、道路や作業エリア内を走行するための車体10と、クレーン作業を行うためのクレーン装置20と
を、備えている。
【0016】
車体10は、前後方向に延びるキャリアフレーム11と、互いにキャリアフレーム11の前後方向に配置された複数の車軸の両端部に設けられた車輪12と、キャリアフレーム11の前側及び後側の左右両側に設けられたアウトリガ13と、運転者が搭乗して走行に関する操作を行うための運転用キャビン14と、を有している。
【0017】
クレーン装置20は、車体10の上面において水平方向に旋回可能に設けられた旋回台21と、旋回台21の幅方向一方に設けられ、旋回台21に対して起伏自在であるとともに、伸縮自在に構成されたブーム22と、旋回台21の幅方向他方に設けられ、オペレータが搭乗してクレーン装置20に関する操作を行うためのクレーン作業用キャビン23と、を有している。
【0018】
また、移動式クレーン1は、アウトリガ13の張出動作及び格納動作、旋回台21の旋回動作、ブーム22の伸縮及び起伏動作、図示しないウインチの回転動作等の駆動部を駆動させるための複数のアクチュエータ30と、アクチュエータ30に対して流体としての作動油を供給するための油圧供給装置40と、油圧供給装置40の動作を制御するためのコントローラ50と、を備えている。
図2では、アクチュエータ30の例として、ブーム22の起伏動作を行うための起伏シリンダ31のみに対して作動油を供給する油圧供給装置40を示している。
【0019】
油圧供給装置40は、PTO(パワーテイクオフ)機構によって取り出された車両走行に用いられるエンジンの動力によって駆動する油圧ポンプ41と、油圧ポンプ41から吐出された作動油の起伏シリンダ31(アクチュエータ30)に対する供給や排出等の流れを制御するためのコントロールバルブ42と、コントロールバルブ42の動作にかかわらず起伏シリンダ31(アクチュエータ30)に対する作動油の供給を規制するための流体供給規制手段としてのアンロード/オンロード切替バルブ43と、を備えている。起伏シリンダ31(アクチュエータ30)、油圧ポンプ41、コントロールバルブ42及びアンロード/オンロード切替バルブ43は、作動油回路44に接続されている。
【0020】
コントロールバルブ42は、複数のアクチュエータ30のそれぞれに対して設けられている。コントロールバルブ42は、4ポート3位置電磁切替弁であり、非励磁状態おいてスプールが中立位置に位置するものである。
【0021】
アンロード/オンロード切替バルブ43は、4ポート2位置単動電磁弁であり、非励磁状態においてPポートとTポートとを連通し、励磁状態においてPポートとAポート、TポートとBポート、を連通するものである。
【0022】
作動油回路44において、油圧ポンプ41の吸入側は、作動油タンク44aに接続されている。油圧ポンプ41の吐出側は、アンロード/オンロード切替バルブ43のPポートに連結されている。アンロード/オンロード切替バルブ43のTポートは、作動油タンク44aに接続されている。アンロード/オンロード切替バルブ43のAポートは、コントロールバルブ42のPポートに接続されている。アンロード/オンロード切替バルブ43のBポートは、コントロールバルブ42のTポートに接続されている。コントロールバルブ42のAポートは、起伏シリンダ31の縮小側油室に連通する縮小側ポート31aに接続されている。コントロールバルブ42のBポートは、起伏シリンダ31の伸長側油室に連通する伸長側ポート31bに接続されている。
【0023】
また、作動油回路44におけるコントロールバルブ42のAポートと起伏シリンダ31の縮小側ポート31aとの間の作動油の流路の一部は、可撓性を有する油圧ホース44bによって形成されている。また、作動油回路44におけるコントロールバルブ42のBポートと起伏シリンダ31の伸長側ポート31bとの間の流路の一部は、可撓性を有する油圧ホース44cによって形成されている。油圧ホース44b,44cの一端部は、起伏シリンダ31を作動油回路44から分離可能なように、継手45を介して作動油回路44に接続されている。
【0024】
継手45は、
図3乃至
図5に示すように、凸状の第1部材としてのプラグ46と、プラグ46が収容される凹状の第2部材としてのソケット47と、からなる所謂セルフシールカップリングである。
【0025】
プラグ46は、筒状に形成されたプラグ本体46aと、プラグ本体46a内において作動油の流路を閉鎖するための流路閉鎖弁46bと、を有している。プラグ本体46aは、外径寸法が作動油回路44を構成する管の外径寸法よりも大きく形成され、先端部の外周部に雄ねじ部46a1が設けられ、基端部の内周面に雌ねじ部46a2が設けられている。雄ねじ部46a1には、ソケット47の後述するスリーブ47cの雌ねじ部47c1が螺合する。雌ねじ部46a2には、作動油回路44を構成する管に設けられた雄ねじが螺合する。流路閉鎖弁46bは、プラグ本体46aの先端部に向かって付勢されており、プラグ46とソケット47との連結が解除されている状態において、作動油の流路を閉鎖する。
【0026】
ソケット47は、筒状に形成されたソケット本体47aと、ソケット本体47a内において作動油の流路を閉鎖するための流路閉鎖弁47bと、ソケット本体47aの外周部を回転自在に設けられたスリーブ47cと、を有している。ソケット本体47aは、外径寸法が作動油回路44を構成する管の外径寸法よりも大きく形成され、基端部の内周面に雌ねじ部47a1が設けられている。雌ねじ部47a1には、作動油回路44を構成する管に設けられた雄ねじ部が螺合する。また、流路閉鎖弁47bは、ソケット本体47aの先端部に向かって付勢されており、プラグ46とソケット47との連結が解除されている状態において、作動油の流路を閉鎖する。スリーブ47cは、内周面に雌ねじ部47c1が設けられた筒状の部材からなり、ソケット本体47aに対して回転自在である。
【0027】
プラグ46とソケット47は、プラグ本体46aの先端部とソケット本体47aの先端部とを向い合せて、スリーブ47cを回転させてスリーブ47cの内面の雌ねじ部47c1をプラグ本体46aの雄ねじ部46a1に螺合させることにより、互いに接続される。このとき、プラグ46及びソケット47のそれぞれの作動油の流路は、
図4に示すように、プラグ本体46aの先端部とソケット本体47aの先端部とが互いに当接することで、それぞれの流路閉鎖弁46b,47bが付勢力に抗して移動して開放されるとともに、互いに連通する。
【0028】
継手45は、
図4に示すように、スリーブ47cの雌ねじ部47c1をプラグ本体46aの雄ねじ部46a1の基端部まで螺合させると、軸方向寸法が所定の長さL1となり、完全な接続状態となる。
【0029】
一方、継手45は、
図6に示すように、完全な接続状態から雄ねじ部46a1に対して雌ねじ部47c1を、継手45の軸方向に所定距離より大きく緩めると(
図6における寸法α)、不完全な接続状態となる。不完全な接続状態の継手45は、作動油の漏洩の可能性がある。また、不完全な接続状態の継手45は、完全な接続状態と比較して、プラグ本体46aと流路開閉弁46bとの隙間、及び、ソケット本体47aと流路開閉弁47bとの隙間が小さく、作動油の流路の開口面積が小さい。このため、不完全な接続状態の継手45では、作動油の流通抵抗が大きく、作動油が流れ難くなる。また、不完全な接続状態の継手45の作動油の流路において、流路開閉弁46b,47bに対する作動油の流通方向上流側と下流側とで圧力差が著しく大きくなる場合には、流路開閉弁46b,47bの外周部に設けられたシール部材が位置ずれを起こす可能性がある。シール部材が位置ずれを起こした場合には、プラグ本体46aと流路開閉弁46bとの隙間、または、ソケット本体47aと流路開閉弁47bとの隙間がシール部材によって閉塞され、作動油の流路が閉鎖される可能性がある。
【0030】
コントローラ50は、CPU、ROM、RAMを有している。コントローラ50は、入力側に接続された装置からの入力信号を受信すると、CPUが、入力信号に基づいてROMに記憶されたプログラムを読み出すとともに、入力信号によって検出された状態をRAMに記憶したり、出力側に接続された装置に出力信号を送信したりする。
【0031】
コントローラ50の入力側には、
図2に示すように、後述する接続状態検出装置を構成する継手検出スイッチ51a,51bが接続されている。コントローラ50の出力側には、コントロールバルブ42及びアンロード/オンロード切替バルブ43と、継手45の接続状態に関する情報を表示可能な液晶ディスプレイ等の報知手段としての表示部52と、が接続されている。
【0032】
また、移動式クレーン1は、
図7及び
図8に示すように、継手45の接続状態を検出するための接続状態検出手段としての接続状態検出装置60を備えている。
【0033】
接続状態検出装置60は、プラグ46とソケット47との良好な接続状態の継手45のみが収容可能な継手収容部としての継手ケース61と、継手ケース61内に設けられた継手検出部としての継手検出スイッチ51a,51bと、を有している。
【0034】
継手ケース61は、良好な接続状態の継手45のみが収容可能なケース本体61aと、ケース本体61aの開口を開閉する蓋61bと、を有している。
【0035】
ケース本体61aは、完全な接続状態である軸方向寸法L1の継手45、及び、完全な接続状態から所定距離以内で緩んだ軸方向寸法の継手45であれば収容が可能な内部寸法L2を有している。ケース本体61aの側壁部には、継手45に接続された管が通る切り欠き61a1が開口に向かって延びるように形成されている。ケース本体61aは、例えば、旋回台21に固定されている。
【0036】
継手検出スイッチ51a,51bは、例えばレバー式のリミットスイッチであり、ケース本体61a内の底部に取り付けられている。継手検出スイッチ51a,51bは、継手ケース61内に収容される継手45によって操作され、コントローラ50に向けて出力信号を送信する。
【0037】
以上のように構成された移動式クレーン1は、前後方向寸法、総重量、軸重等が、法律や規則によって定められた最大値を超える場合に、公道上の走行が制限される。このため、移動式クレーン1では、旋回台21からブーム22を取り外し、ブーム22を除くクレーン装置20及び車体10で保管場所と作業場所との間を走行し、ブーム22を他の運搬車両の荷台に載置して保管場所と作業場所との間を搬送することになる。移動式クレーン1は、作業場所においてクレーン作業を開始する前に、旋回台21にブーム22を組み付ける作業、継手45を介して作動油回路44の管を接続する作業が発生する。
【0038】
ブーム22は、他の移動式クレーンによって吊上げられた状態で、旋回台21に取り付けられる。また、ブーム22を伸縮させる動作を行うための伸縮シリンダや、ブームを起伏させる動作を行うための起伏シリンダ31等のアクチュエータ30は、継手45を介して作動油回路44に接続される。
【0039】
継手45は、プラグ46とソケット47のそれぞれの先端部を対向させ、スリーブ47cを回転させてスリーブ47cの内面の雌ねじ部47c1をプラグ本体46aの雄ねじ部46a1に螺合させることにより、互いに連結する。このとき、継手45は、作動油の漏洩や、流通する作動油によって流路閉鎖弁46b,47bが移動して流路が閉鎖される状態を防止するため、スリーブ47cの雌ねじ部47c1をプラグ本体46aの雄ねじ部46a1の基端部まで螺合させた良好な接続状態とする必要がある。
【0040】
そこで、この移動式クレーン1では、プラグ46及びソケット47を互いに連結した継手45を継手ケース61に収容することで、継手45が良好な接続状態か否かを確認する。即ち、継手ケース61のケース本体61aには、良好な接続状態である継手45のみを収容することが可能である。継手45は、完全な接続状態から1mmを超えて緩んだ接続状態の場合、ケース本体61aに収容することができない。継手検出スイッチ51a,51bは、継手ケース61内に継手45が収容されることで操作される。
【0041】
また、コントローラ50は、複数の継手検出スイッチ51a,51bから入力される信号に基づいて、継手45の接続状態を確認する接続状態確認処理を行う。このときのコントローラ50の動作を
図9のフローチャートを用いて説明する。
【0042】
(ステップS1)
ステップS1においてCPUは、全ての継手検出スイッチ51a,51bがオンの状態であるか否かを判定する。全ての継手検出スイッチ51a,51bがオンの状態であると判定した場合にはステップS2に処理を移し、全ての継手検出スイッチ51a,51bがオンの状態であると判定しなかった場合にはステップS3に処理を移す。
【0043】
(ステップS2)
ステップS1において全ての継手検出スイッチ51a,51bがオンの状態であると判定した場合に、ステップS2においてCPUは、アンロード/オンロード切替バルブ43のソレノイドを励磁させ、作動油回路44をオンロードの状態とし、接続状態確認処理を終了する。
【0044】
(ステップS3)
ステップS2において全ての継手検出スイッチ51a,51bがオンの状態であると判定しなかった場合に、ステップS3においてCPUは、アンロード/オンロード切替バルブ43のソレノイドを非励磁の状態とし、作動油回路44をアンロードの状態とし、ステップS4に処理を移す。
【0045】
(ステップS4)
ステップS4においてCPUは、接続状態が不完全な継手45に関する情報を表示部52に表示して接続状態確認処理を終了する。
【0046】
このように、本実施形態の作業機械によれば、プラグ46とソケット47との接続状態を検出し、検出されたプラグ46とソケット47との不完全な接続状態を報知している。
【0047】
これにより、プラグ46とソケット47との接続状態が不完全なまま、作動油回路44に作動油を流通させる状態を防止することが可能となるので、作動油回路44からの作動油の漏洩を防止することが可能となる。
【0048】
また、接続状態検出装置60は、プラグ46とソケット47とが良好な接続状態の継手45のみが収容される継手ケース61と、継手ケース61に収容された継手45を検出する継手検出スイッチ51a,51bと、を有している。
【0049】
これにより、良好な接続状態の継手45のみを確実に継手検出スイッチ51a,51bによって検出することが可能となる。また、良好な接続状態の継手45が継手ケース61内に収容することで、雄ねじ部46a1に対する雌ねじ部47c1の緩みを防止し、継手45の接続状態の悪化を防ぐことが可能となる。また、継手ケース61の蓋61bの開閉を錠前によって規制することで、継手45に対する悪戯を防止することが可能となる。
【0050】
また、継手45は、プラグ46に設けられた雄ねじ部46a1に、ソケット47に設けられた雌ねじ部47c1を螺合することで、プラグ46及びソケット47が互いに接続されるものである。
【0051】
これにより、良好な接続状態を目視で確認し難い継手45の接続状態を、継手ケース61及び継手検出スイッチ51a,51bによって確実に検出することが可能となる。
【0052】
また、プラグ46とソケット47との良好な接続状態が検出されない場合に、アンロード/オンロード切替バルブ43によってアクチュエータ30に対する作動油の供給を規制している。
【0053】
これにより、継手45の接続状態が良好でない状態で作動油回路44に作動油を流通させた場合に、流通する作動油によって流路閉鎖弁46b,47bが移動して流路が閉鎖され、作動油回路44に接続されたアクチュエータ30等の機器の損傷を防止することが可能となる。
【0054】
【0055】
本実施形態の接続状態検出装置60aは、複数の継手45のそれぞれに、プラグ46と一体に設けられた接続状態検出スイッチ53a,53bを有している。
【0056】
接続状態検出スイッチ53a,53bは、プラグ46を旋回台21に固定するためのブラケット48に固定されている。接続状態検出スイッチ53a,53bは、プラグ46とソケット47とが良好な接続状態となるまで、スリーブ47cの内面の雌ねじ部47c1がプラグ本体46aの雄ねじ部46a1に螺合すると、スリーブ47cによって操作される。
【0057】
以上のように構成された接続状態検出装置60aでは、前記実施形態と同様に、継手45が良好な接続状態となった場合にのみ接続状態検出スイッチ53a,53bが操作され、検出信号がコントローラ50に送信される。
【0058】
このように、本実施形態の作業機械によれば、前記実施形態と同様に、プラグ46とソケット47との接続状態が不完全なまま、作動油回路44に作動油を流通させる状態を防止することが可能となるので、作動油回路44からの作動油の漏洩を防止することが可能となる。
【0059】
また、接続状態検出装置60aは、プラグ46とソケット47とが良好な連結状態となった場合に操作される接続状態検出スイッチ53a,53bを、有している。
【0060】
これにより、良好な接続状態の継手45の検出を、簡単な部材の構成によって実行することができるので、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0061】
尚、前記実施形態では、移動式クレーン1に本発明を適用するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、走行体に対してアームが着脱自在に構成された掘削機等、本体部分に対してアクチュエータで駆動する駆動部が着脱自在に取り付けられる作業機械に対して、本発明を適用することが可能となる。
【0062】
また、前記実施形態では、良好な接続状態の継手45のみが収容可能な継手ケース61を示したが、これに限られるものではない。
図11に示す接続状態検出装置60bのように、プラグ46及びソケット47と作動油回路44を構成する管とが、管側に設けられたニップル等の締結部材44dを介して接続される場合に、良好な接続状態の継手45及び締結部材44dとを収容可能な内側の寸法を有する継手ケース61cを構成してもよい。
【0063】
また、前記実施形態では、良好な接続状態の継手45のみが収容可能な継手ケース61を備え、継手ケース61に収容された継手45を継手検出スイッチ51a,51bによって検出するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。継手45を収容可能な継手ケース61に限られず、例えば、良好な接続状態の継手45のみが係合可能な枠部材を備え、枠部材に係合した継手45のみを検出可能なように継手検出スイッチを配置するようにしても本発明と同様の効果を得ることが可能となる。
【0064】
また、前記実施形態では、流路閉鎖弁46b,47bを備えたプラグ46及びソケット47からなる継手45を示したが、これに限られるものではない。流路閉鎖弁を有しないプラグ及びソケットからなる継手に対しても本発明を適用することが可能である。
【0065】
また、前記実施形態では、不完全な接続状態の継手45を検出している場合に、作動油回路44をアンロードの状態とするようにしたものを示したが、これに限られるものではない。不完全な接続状態の継手45を検出している場合に、例えば、油圧ポンプ41の駆動源であるエンジンの始動を制限することで、作動油回路44における作動油の流通を規制してもよい。
【0066】
また、前記実施形態では、継手検出スイッチ51a,51bからの信号に基づいて、コントローラ50がアンロード/オンロード切替バルブ43の動作を制御するようにしたものを示したが、これに限られるものではない。コントローラ50を用いることなく、例えば、リレー等を有する電気回路を構成してアンロード/オンロード切替バルブ43の動作を切り替えるようにしてもよい。
【0067】
また、前記実施形態では、継手ケース61に収容された継手45を、リミットスイッチからなる継手検出スイッチ51a,51bによって検出するものを示したが、近接スイッチ等の非接触式のスイッチを継手検出スイッチとして用いることも可能である。
【符号の説明】
【0068】
1…移動式クレーン、22…ブーム、30…アクチュエータ、31…起伏シリンダ、43…アンロード/オンロード切替バルブ、44…作動油回路、44d…締結部材、45…継手、46…プラグ、46a1…雄ねじ部、47…ソケット、47c1…雌ねじ部、50…コントローラ、51a,51b…継手検出スイッチ、52…表示部、53a,53b…接続状態検出スイッチ、60,60a…接続状態検出装置、61、61c…継手ケース。