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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】画像形成装置および補正制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/00 20060101AFI20220105BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G15/01 Y
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017161016
(22)【出願日】2017-08-24
(65)【公開番号】P2019040018
(43)【公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155620
【弁理士】
【氏名又は名称】木曽 孝
(72)【発明者】
【氏名】山中 大樹
(72)【発明者】
【氏名】郡谷 尚知
(72)【発明者】
【氏名】木寺 弘成
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-200699(JP,A)
【文献】特開2013-122560(JP,A)
【文献】特開2005-167551(JP,A)
【文献】特開2011-221111(JP,A)
【文献】特開2007-128010(JP,A)
【文献】特開2017-044824(JP,A)
【文献】特開2012-133042(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0336666(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 15/01
G03G 21/00
B41J 29/00-29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1用紙と、前記第1用紙の次の第2用紙と、前記第2用紙の次の第3用紙と、前記第3用紙の次の第4用紙とに連続で画像を形成する画像形成装置であって、
ユーザーが所望する出力画像であって、前記出力画像の補正のために画像形成されるテストパターンとは異なる画像を用紙に形成する画像形成部と、
前記画像形成部により紙に形成された像の出力情報を検出する出力情報検出部と、
前記出力情報検出部による前記第1用紙に形成された第1画像の検出結果と、記第2用紙に形成され第2画像の画像情報とに応じて、記第3用紙に形成される第3画像の画像形成条件の設定値に対する補正量を取得する補正量取得部と、
前記補正量取得部により取得された前記補正量に基づいて前記第3画像を補正するように前記画像形成部を制御する補正量制御部と、
を備え
前記補正量取得部は、前記出力情報検出部による前記第2画像の検出結果と、前記第3画像の前記補正量との少なくとも一方を用いて、前記第4用紙に形成される第4画像の画像形成条件の設定値に対する補正量を取得する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記補正量取得部は、
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックである複数の特定色のうち、2つ以上を混合させた混合色を前記第1画像が含む場合、前記第1画像の出力情報に基づいて決定される、前記第3画像の前記特定色に係る画像形成条件の設定値に対する補正量であって、前記混合色から推定される前記特定色の補正量である前記第3画像の仮補正量を取得し、
前記混合色を前記第2画像が含む場合、前記第2画像の出力情報に基づいて決定される、前記第4画像の前記特定色に係る画像形成条件の設定値に対する補正量であって、前記混合色から推定される前記特定色の補正量である前記第4画像の仮補正量を取得し、
前記第1画像の画像情報及び前記第2画像の画像情報に基づいて、各仮補正量の適用割合をそれぞれ決定し、
各適用割合及び各仮補正量に基づいて、前記第3画像の画像形成条件の設定値に対する補正量及び前記第4画像の画像形成条件の設定値に対する補正量を取得する、
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補正量取得部は、前記第1画像の画像情報及び前記第2画像の画像情報に基づいて、各画像情報のそれぞれに信頼度を設定し、
各信頼度のうち、高い方の信頼度の画像に基づいて取得される仮補正量の適用割合は、低い方の信頼度の画像に基づいて取得される仮補正量の適用割合よりも大きく設定される、
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの何れかである特定色のみの画像情報が含まれる第1画像の画像情報に設定される信頼度は、前記特定色を含む複数色から混合された混合色の画像情報が含まれ、かつ、前記特定色のみの画像情報が含まれない第2画像の画像情報に設定される信頼度よりも高い、
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記信頼度は、前記画像情報に含まれる画素数が少なくなるほど、低くなるように設定される、
請求項または請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記信頼度は、前記画像情報に含まれる複数の画素の分散度合いが少ないほど、低くなるように設定される、
請求項の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第3用紙は、前記第1用紙の所定枚数後に画像形成され、
前記補正量制御部は、印刷処理条件に応じて前記所定枚数を変更する制御を行う、
請求項1~の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
第1用紙と、前記第1用紙の次の第2用紙と、前記第2用紙の次の第3用紙と、前記第3用紙の次の第4用紙とに連続で画像を形成する画像形成装置であって、ユーザーが所望する出力画像であって、前記出力画像の補正のために画像形成されるテストパターンとは異なる画像を用紙に形成する画像形成部を備える画像形成装置の補正制御プログラムであって、
コンピューターに、
前記画像形成部により第1用紙に形成された第1画像の出力情報を検出する第1出力情報検出処理と、
前記第1画像の検出結果と、記第2用紙に前記画像形成部により形成され第2画像の画像情報とに応じて、記第3用紙に形成される第3画像の画像形成条件の設定値に対する補正量を取得する第1補正量取得処理と、
取得した前記補正量に基づいて前記第3画像を補正するように前記画像形成部を制御する補正量制御処理と、
前記画像形成部により前記第2用紙に形成された第2画像の出力情報を検出する第2出力情報検出処理と、
前記第2画像の検出結果と、前記第3画像の補正量との少なくとも一方を用いて、前記第4用紙に形成される第4画像の画像形成条件の設定値に対する補正量を取得する第2補正量取得処理と、
を実行させる、
補正制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および補正制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真プロセス技術を利用した画像形成装置(プリンター、複写機、ファクシミリ等)は、帯電した感光体ドラム(像担持体)に対して、画像データに基づくレーザー光を照射(露光)することにより静電潜像を形成する。そして、静電潜像が形成された感光体ドラムへ現像装置よりトナーを供給することにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。さらに、このトナー像を直接または間接的に用紙に転写させた後、定着ニップで加熱、加圧して定着させることにより用紙にトナー像を形成する。
【0003】
用紙に形成された出力画像は、画像形成装置において入力された入力画像と一致することが好ましいが、周囲の環境、用紙の種類や耐久条件に応じて、出力画像と入力画像とが一致しない場合がある。そのため、画像形成装置においては、例えば所定のタイミングで印刷ジョブを中断し、パッチ画像を形成して当該パッチ画像の濃度を検出することにより、出力画像の補正を行う技術が知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、出力画像の濃度変動に影響を与える因子の変動量に応じて補正を行うためのパッチ画像の数を決定し、当該パッチ画像に基づいて出力画像の補正を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-224845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、出力画像の補正を行うためにパッチ画像を形成する場合、トナーを余計に消費してしまうとともに、印刷ジョブを中断する必要があるため、生産性を低下させてしまうという問題があった。なお、印刷ジョブを中断させないためには、用紙の余白エリアにパッチ画像を形成する必要があるが、用紙の余白エリアがない場合、パッチ画像を形成することができない。
【0007】
一方、上記問題を抑制するために、例えば、用紙に形成された出力画像を利用して、その後の用紙に形成される出力画像の補正を行うことが考えられる。このような補正は、図1に示すように、用紙S1に形成された出力画像(ブルー(Blue)の画像と、シアン(Cyan)の画像)を測色部により測色する。そして、測色部による検出結果を、画像形成部にフィードバックして、当該検出結果に基づいて用紙S1の後の用紙S4の出力画像の補正を行うことが可能となる。
【0008】
しかしながら、用紙S1の出力画像を測色してから、画像形成部に検出結果がフィードバックされるまでの間、ある程度時間がかかる。図1では、用紙S1の後における、用紙S2,S3の次の用紙S4の出力画像の補正に反映される。その理由としては、用紙S1の出力画像が測色されている間に、画像形成部において、用紙S2,S3に係る入力画像が入力されているためである。
【0009】
図1では、用紙S4の出力画像に用紙S1の検出結果に基づく補正が適用されるが、用紙S2,S3における出力画像(図1では、用紙S2におけるマゼンタ(Magenta)の画像)については、用紙S4以降の出力画像の補正に用いられない。そのため、結果的に出力画像の補正に用いる情報が少なくなり、ひいては出力画像の補正の精度が低下するおそれがあった。
【0010】
本発明の目的は、トナーの消費及び生産性の低下を抑制しつつ、出力画像の補正を精度良く行うことが可能な画像形成装置及び補正制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、
第1用紙と、前記第1用紙の次の第2用紙と、前記第2用紙の次の第3用紙と、前記第3用紙の次の第4用紙とに連続で画像を形成する画像形成装置であって、
ユーザーが所望する出力画像であって、前記出力画像の補正のために画像形成されるテストパターンとは異なる画像を用紙に形成する画像形成部と、
前記画像形成部により紙に形成された像の出力情報を検出する出力情報検出部と、
前記出力情報検出部による前記第1用紙に形成された第1画像の検出結果と、記第2用紙に形成され第2画像の画像情報とに応じて、記第3用紙に形成される第3画像の画像形成条件の設定値に対する補正量を取得する補正量取得部と、
前記補正量取得部により取得された前記補正量に基づいて前記第3画像を補正するように前記画像形成部を制御する補正量制御部と、
を備え
前記補正量取得部は、前記出力情報検出部による前記第2画像の検出結果と、前記第3画像の前記補正量との少なくとも一方を用いて、前記第4用紙に形成される第4画像の画像形成条件の設定値に対する補正量を取得する
【0012】
本発明に係る補正制御プログラムは、
第1用紙と、前記第1用紙の次の第2用紙と、前記第2用紙の次の第3用紙と、前記第3用紙の次の第4用紙とに連続で画像を形成する画像形成装置であって、ユーザーが所望する出力画像であって、前記出力画像の補正のために画像形成されるテストパターンとは異なる画像を用紙に形成する画像形成部を備える画像形成装置の補正制御プログラムであって、
コンピューターに、
前記画像形成部により第1用紙に形成された第1画像の出力情報を検出する第1出力情報検出処理と、
前記第1画像の検出結果と、記第2用紙に前記画像形成部により形成され第2画像の画像情報とに応じて、記第3用紙に形成される第3画像の画像形成条件の設定値に対する補正量を取得する第1補正量取得処理と、
取得した前記補正量に基づいて前記第3画像を補正するように前記画像形成部を制御する補正量制御処理と、
前記画像形成部により前記第2用紙に形成された第2画像の出力情報を検出する第2出力情報検出処理と、
前記第2画像の検出結果と、前記第3画像の補正量との少なくとも一方を用いて、前記第4用紙に形成される第4画像の画像形成条件の設定値に対する補正量を取得する第2補正量取得処理と、
を実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、トナーの消費及び生産性の低下を抑制しつつ、出力画像の補正を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】用紙に形成された画像の情報がフィードバックされる様子を説明するための図である。
図2】本実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
図3】本実施の形態に係る画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
図4】用紙に形成された画像の情報がフィードバックされる様子を説明するための図である。
図5】用紙に形成された画像の情報がフィードバックされる様子を説明するための図である。
図6】補正量算出に用いられるパラメーターと、補正量の算出結果とを示す図である。
図7】画像形成装置における補正制御を実行するときの動作例の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図3は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
【0016】
図2に示すように、画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で4色のトナー像を重ね合わせた後、給紙トレイユニット51a~51cから送出された用紙Sに二次転写することにより、画像を形成する。
【0017】
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0018】
図3に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部101を備える。
【0019】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)103、RAM(Random Access Memory)104等を備える。CPU102は、ROM103から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM104に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロック等の動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0020】
制御部101は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部101は、例えば、外部の装置から送信された画像データ(入力画像データ)を受信し、この画像データに基づいて用紙Sに画像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0021】
図2に示すように、画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
【0022】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11により、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることが可能となる。
【0023】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0024】
図3に示すように、操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部101から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部101に出力する。
【0025】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部101の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0026】
図2に示すように、画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。
【0027】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0028】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備える。
【0029】
感光体ドラム413は、例えばドラム状の金属基体の外周面に、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層が形成された有機感光体よりなる。
【0030】
制御部101は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度で回転させる。
【0031】
帯電装置414は、例えば帯電チャージャーであり、コロナ放電を発生させることにより、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
【0032】
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。その結果、感光体ドラム413の表面のうちレーザー光が照射された画像領域には、背景領域との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0033】
現像装置412は、二成分逆転方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分の現像剤を付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0034】
現像装置412には、例えば帯電装置414の帯電極性と同極性の直流現像バイアス、または交流電圧に帯電装置414の帯電極性と同極性の直流電圧が重畳された現像バイアスが印加される。その結果、露光装置411によって形成された静電潜像にトナーを付着させる反転現像が行われる。
【0035】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に当接され、弾性体よりなる平板状のドラムクリーニングブレード等を有し、中間転写ベルト421に転写されずに感光体ドラム413の表面に残留するトナーを除去する。
【0036】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0037】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0038】
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部101からの制御信号によって回転駆動される。
【0039】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0040】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0041】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0042】
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側、つまり二次転写ローラー424と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0043】
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
【0044】
定着部60は、用紙Sの定着面、つまりトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面つまり定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、および加熱源等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを挟持して搬送する定着ニップが形成される。
【0045】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
【0046】
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62および定着ローラー63を有する。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とによって張架されている。
【0047】
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー64を有する。加圧ローラー64は、定着ベルト61との間で用紙Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。
【0048】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aを含む複数の搬送ローラー対を有する。レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部は、用紙Sの傾きおよび片寄りを補正する。
【0049】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。画像形成部40においては、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0050】
また、定着部60の下流側には、測色部73が設けられている。測色部73は、用紙Sに形成された画像を測色し、その測色結果である出力情報を検出する。測色対象となる画像は、画質補正などのために予め用意された所定のパターンではなく、実際にユーザーが出力しようとしている所望の画像である。測色部73は、本発明の「出力情報検出部」に対応する。
【0051】
測色部73は、出力情報の検出結果を制御部101に出力する。用紙Sに形成された出力画像は、画像形成装置1において入力された入力画像と一致することが好ましいが、周囲の環境、用紙の種類や耐久条件に応じて、出力画像と入力画像とが一致しない場合がある。そのため、制御部101は、測色部73による検出結果に基づいて用紙Sの出力画像の補正を行う。
【0052】
図1に示すように、用紙S1に形成された出力画像(ブルー(Blue)の画像と、シアン(Cyan)の画像)を測色部73により測色する。そして、測色部73による検出結果を、制御部101を介して画像形成部40にフィードバックして、当該検出結果に基づいて用紙S1の後の用紙S4の出力画像の補正を行うことが可能となる。
【0053】
用紙S1は、本発明の「第1用紙」に対応し、用紙S1の出力画像は、本発明の「第1画像」に対応する。用紙S4は、本発明の「第3用紙」に対応し、用紙S4の出力画像は、本発明の「第3画像」に対応する。
【0054】
なお、本実施の形態では、測色される用紙(用紙S1)の3枚(所定枚数)後に画像形成される用紙(用紙S4)の出力画像に、測色される用紙の測色結果に基づく補正が反映されるように設定される。また、所定枚数は、画像形成条件や用紙条件等に応じて適宜設定される枚数である。
【0055】
具体的には、用紙S1における出力画像の情報は、シアンとマゼンタの混合色であるブルーの画像から推定される、シアンの推定情報及びマゼンタの推定情報と、シアンの画像から実測された情報であるシアンの実測情報とである。
【0056】
ここで、ユーザーが所望する画像であって、所定のパターンとは異なる画像は、出力画像の補正に必要な色が揃っているとは限らないので、出力画像の補正に用いられる情報としては、できるだけ多い方が好ましい。なお、所定のパターンとは、例えば、パッチ画像等のような出力画像の補正のために画像形成されるテストパターンである。
【0057】
また、実測情報は、Y,M,C,Kの何れかの色である特定色の画像から実測される情報であり、当該特定色に起因する濃度ムラ等が反映された情報となるので、出力画像の補正に用いる場合、精度の良い補正を行うことが可能となる。それに対し、推定情報は、特定色を含む複数色の混合色の画像情報から特定色の画像情報を推定した情報であり、混合される各色の濃度ムラ等が含まれる情報となるので、実測情報と比較すると、出力画像の補正の精度はやや落ちてしまう。
【0058】
例えば、用紙S4の出力画像にシアンの画像が含まれる場合、用紙S1の出力画像からは、シアンの推定情報と、シアンの実測情報とが得られる。この場合、推定情報と実測情報と複数の情報が得られ、かつ、その中に実測情報が含まれることから、シアンの画像については精度の良い補正が可能であると考えられる。
【0059】
一方、用紙S4の出力画像において、マゼンタの画像が含まれる場合、用紙S1の出力画像からは、マゼンタの推定情報のみが得られるので、マゼンタの画像についての補正は、シアンの画像についての補正と比べて、やや精度が落ちるものと考えられる。
【0060】
ところで、用紙S1における出力画像を測色してから、画像形成部40に検出結果がフィードバックされるまでの間、ある程度時間がかかる。図1では、用紙S1の後における、用紙S2,S3の次の用紙S4の出力画像の補正に反映される。その理由としては、用紙S1が測色されている間に、画像形成部40において、用紙S2,S3に係る入力画像の情報が入力されているためである。
【0061】
図1では、用紙S4の出力画像に用紙S1の検出結果に基づく補正を適用する場合、用紙S2,S3における出力画像については、用紙S4の出力画像の補正に用いられない。そして、用紙S2,S3の出力情報は補正前のデータとなってしまうので、用紙S4以降の用紙S5,S6には、用紙S2,S3の出力情報が用いられず、用紙S4の出力画像に適用された補正量が適用されることとなる。そのため、結果的に出力画像の補正に用いる情報が少なくなり、ひいては出力画像の補正の精度が低下するおそれがあった。
【0062】
そこで、本実施の形態では、制御部101は、測色部73による用紙S1の出力画像の検出結果と、用紙S2,S3に形成される出力画像の画像情報とに応じて、用紙S1,S2,S3の後の用紙S4に形成される出力画像の補正量を算出する。
【0063】
制御部101は、測色部73による用紙S2,S3の出力画像の検出結果と、用紙S4の出力画像の補正量との少なくとも一方を用いて、用紙S5,S6に形成される出力画像の補正量を算出する。
【0064】
用紙S2,S3は、本発明の「第2用紙」に対応し、用紙S2,S3の出力画像は、本発明の「第2画像」に対応する。用紙S5,S6は、本発明の「第4用紙」に対応し、用紙S5,S6の出力画像は、本発明の「第4画像」に対応する。
【0065】
そして、制御部101は、当該補正量に基づいて用紙S4,S5,S6の各出力画像を補正するように画像形成部40を制御する。制御部101は、本発明の「補正量取得部」及び「補正量制御部」に対応する。
【0066】
なお、本実施の形態では、画像形成条件における、予め設定された例えば現像バイアスの設定値に補正量を加算(減算)していくことにより出力画像の補正がなされる。
【0067】
図1の場合、用紙S2の出力画像にマゼンタの画像が含まれるので、当該画像の実測情報を用紙S4以降の出力画像の補正に用いることができれば、用紙S1の推定情報のみの補正と比較して、良好な精度の補正を行うことができるものと考えられる。
【0068】
このことを考慮すると、図4に示すように、制御部101は、用紙S4の出力画像については、用紙S1の出力情報に基づいて算出することにより、取得されるシアンの補正量のみを適用し、用紙S1の出力情報に基づいて算出されるマゼンタの補正量については適用しない。
【0069】
つまり、制御部101は、用紙S1の出力情報の検出結果及び用紙S2の画像情報に基づいて、マゼンタの補正量については0と算出する。そして、制御部101は、用紙S5の出力画像について、用紙S2の出力情報に基づいて算出することにより、取得されるマゼンタの補正量を適用する。
【0070】
このようにすることで、用紙S4については、マゼンタの補正は適用されないが、用紙S5以降の用紙については、良好な補正が期待される用紙S2の出力画像に基づく補正量が適用される。これにより、用紙S1における出力情報が検出されてから、その検出結果が画像形成部40にフィードバックされるまでの間における用紙S2の出力情報を有効に活用することができる。
【0071】
また、図5に示すように、用紙S3の出力画像にマゼンタのみの画像が含まれる場合、図4と同様の手法により補正を行うと、用紙S6について用紙S3の出力情報に基づく補正量が適用される。しかし、用紙S4,S5については、マゼンタの補正がなされないこととなる。
【0072】
そのため、用紙S4,S5については、用紙S1の出力情報の検出結果及びS3の画像情報に基づいて、制御部101は、用紙S1の出力情報に基づく補正量を算出する。そして、用紙S6については、用紙S3の出力情報に基づく第1補正量から用紙S1の出力情報に基づく第2補正量を減じた第3補正量となるように、用紙S6の出力画像の補正量を算出する。つまり、第1補正量をT1、第2補正量をT2とすると、第3補正量は、T1-T2となる。
【0073】
すでに用紙S4,S5には、第2補正量が適用された状態であるので、用紙S4の出力画像の第2補正量が適用される前、つまり、補正量が0である時を基準とすると、用紙S6の出力画像の第3補正量は、(T1-T2)+T2=T1となる。すなわち、結果的に用紙S6の出力画像の補正量を、図4の用紙S5における補正量と同様の補正量、つまり、第2補正量を用紙S4,S5の出力画像に適用しない場合と、同様の補正量とすることができる。また、用紙S4,S5についても、不足なく補正を行うことができる。
【0074】
また、推定情報による補正の場合、特定色以外のその他色も含まれるので、例えば、その他色に起因する補正量が大きい場合、特定色の補正量が過剰となってしまう可能性がある。そのため、制御部101は、用紙S1,S2,S3の出力情報、つまり、測色部73の測色結果のみに基づいて算出される仮補正量に適用割合を乗算することで、用紙S4,S5,S6の補正量を算出する。
【0075】
本実施の形態では、用紙S4の仮補正量は、用紙S1の出力情報から算出され、用紙S5の仮補正量は、用紙S2の出力情報から算出され、用紙S6の仮補正量は、用紙S3の出力情報から算出される。
【0076】
適用割合は、各用紙の画像情報により設定される信頼度に応じて変動する。信頼度は、出力情報から得られる補正量が、出力画像の変動量を正確に補正できるか否かの正らしさを示す情報である。各画像情報に設定された信頼度のうち、高い方の信頼度の画像に基づいて算出される仮補正量の適用割合は、低い方の信頼度の画像に基づいて算出される仮補正量の適用割合よりも大きくなるように設定される。
【0077】
信頼度は、例えば、出力情報から得られる情報が推定情報であるか実測情報であるかで決定される。具体的には、特定色のみの画像情報、つまり、実測情報が含まれる第1画像情報に設定される信頼度は、特定色を含む複数色から混合された混合色の画像情報、つまり、推定情報が含まれ、かつ、特定色のみの画像情報が含まれない第2画像情報に設定される信頼度よりも高くなるように設定される。
【0078】
また、用紙上の画素の数によって信頼度が設定されても良い。用紙上に特定色の画素の数が比較的多い場合、補正に用いられる情報が多くなるので、有効な情報が増えるものと考えられる。そのため、用紙上の画素の数が多いほど、信頼度が高くなるように設定される。言い換えると、信頼度は、画像情報に含まれる画素の数が少なくなるほど、低くなるように設定される。
【0079】
また、用紙上の画素の位置によって信頼度が決定されても良い。例えば用紙の特定の部分に画像が集中して配置されているよりも分散して配置されている方が、特定位置に起因した濃度ムラ等の影響を受けない情報となる可能性が高くなる。そのため、用紙上の画素の分散度合いが多いほど、信頼度が高くなるように設定される。信頼度は、画像情報に含まれる複数の画素の分散度合いが少ないほど、低くなるように設定される。
【0080】
なお、ここでいう画素の分散とは、用紙上における画素間の距離であり、複数のデータがある場合、距離の最大値や平均値等を、当該距離としても良い。
【0081】
次に、補正量の算出の例について図6を用いて説明する。図6は、補正量算出に用いられるパラメーターと、補正量の算出結果とを示す図である。
【0082】
図6における「用紙」は、出力情報が検出される用紙を示す。つまり、「用紙」は、図1図4及び図5における用紙S1,S2,S3を示す。図6における「補正適用用紙」は、「用紙」において算出された補正量が適用される用紙を示している。つまり、「補正適用用紙」は、図1図4及び図5における用紙S4,S5,S6を示す。
【0083】
図6に示す例では、図1図4及び図5と同様に、測色部により測色される測色用紙から3枚後の用紙に、当該測色用紙に基づいて算出される補正量が適用される例を示している。つまり、用紙S1に基づいて算出される補正量は、用紙S2,S3の後の用紙S4に適用され、用紙S2に基づいて算出される補正量は、用紙S5に適用され、用紙S3に基づいて算出される補正量は、用紙S6に適用される。
【0084】
図6における「色」は、画像の色を示し、「Y」はイエロー、「M」はマゼンタ、「C」はシアン、「K」はブラックを示す。図6における「色の情報」は、実測情報又は推定情報の何れかの情報であるかを示す。図6における「画素位置」は、用紙上の画像の位置を示す。「画素位置」における「中央」は用紙における中央付近に画像が位置することを示し、「左端」は用紙における左端付近に画像が位置することを示し、「右端」は用紙における右端付近に画像が位置することを示している。また、「仮補正量」、「色の情報」、「画素位置」は、補正量算出に用いられるパラメーターである。
【0085】
また、図6に示す例での補正量は、補正量を算出する補正適用用紙の1枚前の用紙に適用された適用済み補正量を、補正適用用紙の補正に用いられる用紙の仮補正量から減じたものに、当該用紙に設定された適用割合を乗算することにより算出される。また、用紙S4については、その1枚前の用紙S3における適用済み補正量を0として補正量を算出している。
【0086】
まず、用紙S1から得られる色の情報と、用紙S2から得られる色の情報とが異なる場合の例について説明する。なお、図6Aでは、補正に用いる色はイエローの場合であり、画素位置は用紙S1,S2ともに中央である場合を示している。
【0087】
図6Aに示すように、制御部101は、用紙S1の画像情報と用紙S2の画像情報とを比較して、各画像情報に信頼度を設定する。用紙S1の色の情報は推定情報であり、用紙S2の色の情報は実測情報である。そのため、信頼度は、用紙S2の画像情報の方が用紙S1の画像情報よりも高くなるように設定される。具体的には、用紙S1の画像情報に設定される信頼度は50%であり、用紙S2の画像情報に設定される信頼度は80%である。
【0088】
そして、制御部101は、各用紙S1,S2の画像情報に設定された信頼度に基づいて適用割合を決定する。図6Aの例では、用紙S2の方が用紙S1よりも信頼度が高いため、用紙S2については適用割合が100%に設定される。用紙S1については、推定情報であり、イエロー以外の色の影響を受ける可能性があるので、過剰補正となることを考慮して、適用割合が比較的低めの50%に設定される。
【0089】
この場合、用紙S1に対応する補正適用用紙S4の補正量は、用紙S1の出力情報から算出される仮補正量が120Vであると、120Vに適用済み補正量0を減じたものに適用割合50%を乗算することで、60Vとなる。
【0090】
用紙S2に対応する補正適用用紙S5の補正量は、用紙S2の出力情報から算出される仮補正量が100Vであると、100Vに適用済み補正量である用紙S4の補正量60Vを減じたものに適用割合100%を乗算することで、40Vとなる。これにより、用紙S4の補正量と用紙S5の補正量の和が100Vとなり、信頼度の高い用紙S2から得られる仮補正量と同等の補正量とすることができる。
【0091】
次に、用紙S1と用紙S2とで画像の数が異なる場合の例について説明する。なお、図6Bでは、補正に用いる色はマゼンタの場合であり、色の情報は用紙S1,S2ともに実測情報であり、画素位置は用紙S1,S2ともに中央である場合を示している。
【0092】
図6Bに示すように、制御部101は、用紙S1の画像情報と用紙S2の画像情報とを比較して、各画像情報に信頼度を設定する。用紙S1の画像の数は1つであり、用紙S2の画像の数は2つである。そのため、信頼度は、用紙S2の画像情報の方が用紙S1の画像情報よりも高くなるように設定される。具体的には、用紙S1の画像情報に設定される信頼度は80%であり、用紙S2の画像情報に設定される信頼度は90%である。
【0093】
そして、制御部101は、各用紙S1,S2の画像情報に設定された信頼度に基づいて適用割合を決定する。図6Bの例では、用紙S2の方が用紙S1よりも信頼度が高いため、用紙S2については適用割合が100%に設定される。用紙S1については、適用割合が用紙S2の適用割合より低い80%に設定される。用紙S1における適用割合が比較的高いのは、用紙S1から得られる情報が実測情報によるものであり、比較的信頼性の高い情報であるからである。
【0094】
この場合、用紙S1に対応する補正適用用紙S4の補正量は、用紙S1の出力情報から算出される仮補正量が100Vであると、100Vに適用済み補正量0を減じたものに適用割合80%を乗算することで、80Vとなる。
【0095】
用紙S2に対応する補正適用用紙S5の補正量は、用紙S2の出力情報から算出される仮補正量が60V、120Vであると、これらを平均した90Vに適用済み補正量である用紙S4の補正量80Vを減じたものに適用割合100%を乗算することで、10Vとなる。これにより、用紙S4の補正量と用紙S5の補正量の和が90Vとなり、信頼度の高い用紙S2から得られる仮補正量の平均と同等の補正量とすることができる。
【0096】
次に、用紙S1と用紙S2とで画素位置が異なる場合の例について説明する。なお、図6Cでは、補正に用いる色はシアンの場合であり、色の情報は用紙S1,S2ともに実測情報であり、画像の数は用紙S1,S2ともに2つである場合を示している。
【0097】
図6Cに示すように、制御部101は、用紙S1の画像情報と用紙S2の画像情報とを比較して、各画像情報に信頼度を設定する。用紙S1の画素位置は2つとも中央であり、用紙S2の画素位置は左端と右端である。用紙S1については、画素位置が中央に集中しているが、用紙S2については、画素位置が右端と左端とで分散して配置されている。つまり、用紙S2については、用紙S1よりも画像の分散度合いが多いので、画素位置に起因した濃度ムラ等の影響を用紙S1よりも受けにくい。
【0098】
そのため、信頼度は、用紙S2の画像情報の方が用紙S1の画像情報よりも高くなるように設定される。具体的には、用紙S1の画像情報に設定される信頼度は90%であり、用紙S2の画像情報に設定される信頼度は95%である。
【0099】
そして、制御部101は、各用紙S1,S2の画像情報に設定された信頼度に基づいて適用割合を決定する。図6Cの例では、用紙S2の方が用紙S1よりも信頼度が高いため、用紙S2については適用割合が100%に設定される。用紙S1については、適用割合が用紙S2の適用割合より低い90%に設定される。用紙S1における適用割合が比較的高いのは、用紙S1から得られる情報が、実測情報であり、かつ、画像の数が2つによるものであり、比較的信頼性の高い情報であるからである。
【0100】
この場合、用紙S1に対応する補正適用用紙S4の補正量は、用紙S1の出力情報から算出される仮補正量が100V、120Vであると、これらを平均した110Vに適用済み補正量0を減じたものに適用割合90%を乗算することで、99Vとなる。
【0101】
用紙S2に対応する補正適用用紙S5の補正量は、用紙S2の出力情報から算出される仮補正量が120V、80Vであると、これらを平均した100Vに適用済み補正量である用紙S4の補正量99Vを減じたものに適用割合100%を乗算することで、1Vとなる。これにより、用紙S4の補正量と用紙S5の補正量の和が100Vとなり、信頼度の高い用紙S2から得られる仮補正量の平均と同等の補正量とすることができる。
【0102】
次に、用紙S1から得られる色の情報と、用紙S2から得られる色の情報とが異なる場合の例について説明する。なお、図6Dでは、補正に用いる色はブラックの場合であり、画素位置は用紙S1,S2ともに中央である場合を示している。
【0103】
図6Dに示すように、制御部101は、用紙S1の画像情報と用紙S2の画像情報とを比較して、各画像情報に信頼度を設定する。用紙S1の色の情報は実測情報であり、用紙S2の色の情報は推定情報である。そのため、信頼度は、用紙S1の画像情報の方が用紙S2の画像情報よりも高くなるように設定される。具体的には、用紙S1の画像情報に設定される信頼度は100%であり、用紙S2の画像情報に設定される信頼度は50%である。
【0104】
そして、制御部101は、各用紙S1,S2の画像情報に設定された信頼度に基づいて適用割合を決定する。図6Dの例では、用紙S1の方が用紙S2よりも信頼度が高いため、用紙S1については適用割合が100%に設定される。用紙S2については、推定情報であり、信頼度の高い用紙S1から得られる情報により補正を行うことが好ましいことから、適用割合が0%に設定される。
【0105】
この場合、用紙S1に対応する補正適用用紙S4の補正量は、用紙S1の出力情報から算出される仮補正量が50Vであると、50Vに適用済み補正量0を減じたものに適用割合100%を乗算することで、50Vとなる。
【0106】
用紙S2に対応する補正適用用紙S5の補正量は、用紙S2の出力情報から算出される仮補正量が70Vであると、70Vに適用済み補正量である用紙S4の補正量50Vを減じたものに適用割合0%を乗算することで、0Vとなる。これにより、用紙S4の補正量と用紙S5の補正量の和が50Vとなり、信頼度の高い用紙S1から得られる仮補正量と同等の補正量とすることができる。
【0107】
次に、用紙S1~S3の3枚における例について説明する。具体的には、用紙S1から得られる色の情報と、用紙S2から得られる色の情報と、用紙S3から得られる色の情報とが異なる場合の例について説明する。なお、図6Eでは、補正に用いる色はイエローの場合であり、画素位置は用紙S1~S3ともに中央である場合を示している。
【0108】
図6Eに示すように、制御部101は、用紙S1の画像情報と用紙S2の画像情報と用紙S3の画像情報を比較して、各画像情報に信頼度を設定する。用紙S1の色の情報及び用紙S2の色の情報は推定情報であり、用紙S3の色の情報は実測情報である。
【0109】
そのため、信頼度は、用紙S3の画像情報の方が用紙S1の画像情報及び用紙S2の画像情報よりも高くなるように設定される。具体的には、用紙S1の画像情報に設定される信頼度及び用紙S2の画像情報に設定される信頼度は50%であり、用紙S3の画像情報に設定される信頼度は80%である。
【0110】
そして、制御部101は、各用紙S1,S2,S3の画像情報に設定された信頼度に基づいて適用割合を決定する。図6Eの例では、用紙S3の方が用紙S1,S2よりも信頼度が高いため、用紙S3については適用割合が100%に設定される。用紙S1,S2については、推定情報であり、イエロー以外の色の影響を受ける可能性があるので、過剰補正となることを考慮して、適用割合が比較的低めの50%に設定される。
【0111】
この場合、用紙S1に対応する補正適用用紙S4の補正量は、用紙S1の出力情報から算出される仮補正量が100Vであると、100Vに適用済み補正量0を減じたものに適用割合50%を乗算することで、50Vとなる。
【0112】
用紙S2に対応する補正適用用紙S5の補正量は、用紙S2の出力情報から算出される仮補正量が110Vであると、110Vに適用済み補正量50Vを減じたものに適用割合50%を乗算することで、30Vとなる。
【0113】
用紙S3に対応する補正適用用紙S6の補正量は、用紙S3の出力情報から算出される仮補正量が70Vであると、70Vに適用済み補正量である用紙S4の補正量50Vと、用紙S5の補正量30Vとの和である80Vを減じたものに適用割合100%を乗算することで、-10Vとなる。これにより、用紙S4の補正量と用紙S5の補正量と用紙S6の補正量の和が70Vとなり、信頼度の高い用紙S3から得られる仮補正量と同等の補正量とすることができる。
【0114】
また、上記した例では、測色された用紙S1の出力情報に基づく補正が反映されるのが、3枚後の用紙S4であったが、当該補正が反映されるタイミングは、画像形成条件によって変動する。例えば、画像形成部40から測色部73までの距離に応じて当該タイミングが変動する。測色部73において測色している際に、画像形成部40に、次の用紙に形成される画像が入力されているためである。
【0115】
また、用紙条件に応じて当該タイミングが変動する。用紙の坪量、種類及びサイズに応じて画像形成装置1の動作速度や、画像形成部40から測色部73までの距離に対する枚数が変動するためである。また、制御部101における制御によっても当該タイミングが変動する。多様な演算処理の遅延や割り込み処理に起因して制御時間が変動するためである。
【0116】
出力情報に基づく補正が、例えば測色された測色用紙から数十枚後の補正適用用紙に反映されるような場合、補正適用用紙の出力画像の補正量を算出する際に得られるデータ量が多くなる。しかし、信頼度の高いデータが、測色用紙からかなり後にあるような場合、当該信頼度の高いデータに基づく補正がなされるまで、相当な数の用紙が印刷されてしまい、ひいては各用紙の出力画像の色変動が増大してしまう可能性がある。
【0117】
また、推定情報が多い場合、適切な補正とならない可能性があるので、その際、印刷終了した用紙において、印刷不良の発生したものが多くなり、ひいては再印刷が必要となる。また、印刷不良の発生したものについては、ユーザーがそれを取り除く手間が発生する。このことから、再印刷が必要となる枚数を最小限に抑えつつ、ユーザーの手間を低減できることが好ましい。
【0118】
そこで、本実施の形態では、制御部101は、印刷処理条件に応じて、算出した補正量を適用する適用タイミングを制御する。言い換えると、制御部101は、印刷処理条件に応じて、測色用紙(第1用紙)と補正適用用紙(第3用紙)との間に設定されている所定枚数を変更する制御を行う。なお、この制御は、制御部101が自動で判断しても良いし、ユーザーの設定により行われるようにしても良い。
【0119】
所定枚数は、測色用紙と補正適用用紙の間に画像形成される用紙の枚数である。つまり、補正適用用紙は、測色用紙の所定枚数後に画像形成される。印刷処理条件としては、ページ数や部数等が挙げられる。
【0120】
例えば、ページ数が少なく部数が多いような印刷処理の場合、最初の部の1ページ目に基づいて算出された補正量の適用を、異なる部の1ページ目に適用するように適用タイミングを変更する。例えば、一部のページ数が5ページしかないような場合、上記のように測色用紙の3枚後の補正適用用紙に補正量を適用すると、用紙S1,S2の次の用紙S3により算出された補正量については、次の部の1ページ目の用紙に適用される。
【0121】
こうなると用紙S1,S2,S3による一連の補正処理の途中で部が変わってしまうこととなる。すなわち、最初の部において、4ページ目と5ページ目のみが補正処理がされていることとなる。部におけるページ数が少ない場合、当該部の中で、補正処理されていないものと補正処理されたものが混在すると、両者の画像差が目立ってしまう可能性がある。
【0122】
そこで、このような場合に、異なる部の1ページ目から補正処理を適用するようにすることで、補正処理をされていない部と、補正処理をされた部とを明確に切り分けることができる。補正処理をされていない部については、印刷不良と判断されるほどの画像差が全体的にないものについては、再印刷する必要がないと判断することができる。また、印刷不良となるものについては、部毎に処理することができる。その結果、再印刷する際の作業を単純化することができるので、再印刷が必要となる枚数を最小限に抑えつつ、ユーザーの手間を低減できる。
【0123】
また、ページ数が多く部数が少ないような印刷処理の場合、できるだけ早く補正量を適用するように適用タイミングを変更する。このようにすることで、印刷不良となる部分の用紙数を最小限にし、ユーザーコストを低減することができる。
【0124】
また、印刷処理条件としては、同一の画像が複数ページに連続してあるような条件が挙げられる。このような場合、当該複数ページが終了したタイミングになるように、補正量の適用タイミングを変更する。異なる画像になる場合、色の変動を視認しにくいため、結果的に印刷不良と判断されるような画像差となりにくい。そのため、印刷不良と判断されるような用紙が発生する可能性を低減することができる。
【0125】
次に、画像形成装置1における補正制御を実行するときの動作例について説明する。図7は、画像形成装置1における補正制御を実行するときの動作例の一例を示すフローチャートである。図7における処理は、制御部101が印刷処理の実行指示を受け付けたときに実行される。
【0126】
図7に示すように、制御部101は、印刷処理における各用紙の画像情報を取得する(ステップS101)。次に、制御部101は、印刷処理の条件から補正量の適用タイミングを決定する(ステップS102)。
【0127】
次に、制御部101は、各用紙の画像情報における信頼度を決定する(ステップS103)。次に、制御部101は、各用紙に形成される出力画像の仮補正量に乗算される適用割合を決定する(ステップS104)。次に、制御部101は、画像形成処理を実行する(ステップS105)。なお、ステップS105における画像形成条件には、後述するステップS107において補正量が算出されている場合、当該補正量が適用された条件となる。
【0128】
次に、制御部101は、画像形成された用紙の測色処理を実行する(ステップS106)。次に、制御部101は、測色処理された用紙の出力情報及び画像情報に基づいて補正量を算出する(ステップS107)。
【0129】
次に、制御部101は、印刷処理が終了したか否かについて判定する(ステップS108)。判定の結果、印刷処理が終了していない場合(ステップS108、NO)、制御部101は、補正量を画像形成部40にフィードバックして画像形成条件に適用する(ステップS109)。ステップS109の後、処理はステップS105に戻る。一方、印刷処理が終了した場合(ステップS108、YES)、本制御は終了する。
【0130】
以上のように構成された本実施の形態によれば、ユーザーが所望する画像であって、所定のパターンとは異なる画像に基づいて出力画像の補正を行う。そのため、補正用パッチを形成しないため、トナーの消費を抑制することができるとともに、補正用パッチのために印刷処理を中断しないので、生産性の低下を抑制することができる。
【0131】
また、用紙S1の出力情報と、用紙S2,S3の画像情報とに応じて用紙S4の出力画像の補正量を算出するとともに、用紙S2,S3の出力情報と、用紙S4の補正量の少なくとも一方を用いて用紙S5,S6の補正量を算出する。これにより、出力画像の補正に用いる情報を不足なく活用することができ、ひいては出力画像の補正を精度良く行うことができる。
【0132】
また、用紙S1,S2,S3の出力情報に基づいて算出される仮補正量の適用割合を用いて、出力画像の補正量を算出するので、当該補正量を適切な量に合わせやすくすることができる。そのため、出力画像の補正処理の効率を向上させることができる。
【0133】
また、適用割合は、画像情報に応じて設定される信頼度に基づいて決定されるので、信頼度の高い画像情報を優先して出力画像の補正量を算出することができる。
【0134】
なお、上記実施の形態では、出力画像の単色に係る補正について例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、出力画像の混合色に係る補正を同様に行っても良い。
【0135】
また、上記実施の形態では、信頼度の比較的低いものも補正に適用すべく適用割合を補正量の算出に用いたが、本発明はこれに限定されない。例えば、信頼度の最も高いもののみを補正量の算出に用いても良い。
【0136】
また、上記実施の形態では、元々設定されている現像バイアス等の設定値に補正量を加算していく構成であったが、本発明はこれに限定されず、当該設定値を直接変更するように構成しても良い。
【0137】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0138】
1 画像形成装置
40 画像形成部
73 測色部
101 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7