(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】画像形成装置、用紙情報算出プログラム及び用紙情報算出方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20220105BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20220105BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20220105BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220105BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220105BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H04N1/00 567Z
G03G15/00 303
B41J29/393 101
B41J29/38 206
G03G21/00 386
G03G15/01 Y
(21)【出願番号】P 2017177234
(22)【出願日】2017-09-15
【審査請求日】2020-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】坂谷 一臣
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-226128(JP,A)
【文献】特開2012-151827(JP,A)
【文献】特開2004-341375(JP,A)
【文献】特開2017-030288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04- 1/207
B41J 29/38-29/393
G03G 15/00-15/01
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙上に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により画像形成される用紙が搬送される用紙搬送路と、
前記用紙搬送路に搬送される前記用紙を読み取る反射型センサと、
前記用紙搬送路を挟んで前記反射型センサに対向して配置される、
異なる濃度を有する背景板と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記
異なる濃度の背景板ごとに前記反射型センサに用紙を読み取らせ、前記反射型センサの読み取り結果に基づいて前記用紙の坪量
に対応する値を出力する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記背景板は、背景色を切り替え可能に構成され、
前記反射型センサは、前記背景板を異なる背景色にして読み取りを行うモードで動作可能であり、
前記制御部は、前記反射型センサを前記モードで動作させて、前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記用紙が収容される給紙トレイと、
前記給紙トレイの開閉を検知するトレイ開閉検知部と、を備え、
前記制御部は、前記トレイ開閉検知部によって前記給紙トレイの開閉が検知された場合に、前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記トレイ開閉検知部によって開閉が検知された前記給紙トレイに収容される用紙に対して坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記給紙トレイに収容される用紙に対して坪量を算出した後、次に前記給紙トレイの開閉が検知されるまでの期間は、前記給紙トレイに同じ用紙が収容されているものとして、前記給紙トレイから出力される用紙を前記算出した坪量の用紙としてカウントする、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、算出した用紙の坪量と前記用紙が収容される前記給紙トレイに設定された用紙の坪量とが一致しない場合、警告情報を出力する、
ことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記反射型センサは、前記用紙搬送路の用紙表面側又は用紙裏面側に配置されるラインセンサを含み、
前記背景板は、
第1の濃度と
前記第1の濃度よりも濃度の低い第2の濃度の2色の背景色に切り替え可能に構成され、
前記制御部は、前記ラインセンサが前記
第1の濃度又は前記
第2の濃度の一方の背景色で前記用紙を読み取った第1読取値と、前記用紙をスイッチバックさせ、前記ラインセンサが前記
第1の濃度又は前記
第2の濃度の他方の背景色で前記用紙を読み取った第2読取値と、を取得し、前記第1読取値と前記第2読取値との差分を算出し、予め作成した関係式に基づいて、前記算出した差分に対応する前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記反射型センサは、前記用紙搬送路の用紙表面側及び用紙裏面側に配置される2つのラインセンサを含み、
前記背景板は、
第1の濃度と
前記第1の濃度よりも濃度の低い第2の濃度の2色の背景色に切り替え可能に構成され、
前記制御部は、一方の前記ラインセンサが前記
第2の濃度の背景色で前記用紙を読み取った第1読取値と、他方の前記ラインセンサが前記
第1の濃度の背景色で前記用紙を読み取った第2読取値と、を取得し、前記第1読取値と前記第2読取値との差分を算出し、予め作成した関係式に基づいて、前記算出した差分に対応する前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、用紙表面側に配置されるラインセンサに前記
第1の濃度の背景色で前記用紙を読み取らせ、用紙裏面側に配置されるラインセンサに前記
第2の濃度の背景色で前記用紙を読み取らせる、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成部は、用紙の表面に位置調整のための位置調整マークを含む
画質補正用チャートを印刷し、
前記制御部は、用紙表面側に配置されるラインセンサが
前記第1の濃度の背景色で前記画質補正用チャートを読み取った読取値に基づいて画質補正を行う際に、用紙表面側に配置されるラインセンサが前記画質補正時に
前記第1の濃度の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値と、用紙裏面側に配置されるラインセンサが
前記第2の濃度の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値と、に基づいて前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記
画質補正用チャートは、画質補正のためのコントロールストリップをも含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記反射型センサは、前記用紙搬送路の用紙表面側又は用紙裏面側に配置されるラインセンサと、前記用紙搬送路の用紙表面側に配置される分光測色計と、を含み、
前記背景板は、
第1の濃度と
前記第1の濃度よりも濃度の低い第2の濃度の2色の背景色に切り替え可能に構成され、
前記制御部は、前記ラインセンサが前記
第1の濃度の背景色で前記用紙を読み取った第1読取値と、前記分光測色計が前記
第2の濃度の背景色で前記用紙を読み取った第2読取値と、を取得し、予め作成した変換式に基づいて、前記第2読取値を、前記ラインセンサが前記
第2の濃度の背景色で前記用紙を読み取った場合に得られる読取相当値に変換し、前記読取相当値と前記第1読取値との差分を算出し、予め作成した関係式に基づいて、前記算出した差分に対応する前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記
第2の濃度の背景色における、前記ラインセンサの読取値と前記分光測色計の読取値とを対応付ける情報を予め取得し、前記情報を処理することによって得られる前記変換式に基づいて、前記分光測色計の読取値を前記ラインセンサの前記読取相当値に変換する、
ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記
第2の濃度の背景色における前記分光測色計の分光反射率と、前記ラインセンサの光源及び受光素子それぞれの分光分布及び分光感度と、に基づいて、前記分光測色計の読取値を前記ラインセンサの前記読取相当値に変換する、
ことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記画像形成部は、用紙の両面に位置調整のための位置調整マークを含む表裏調整用チャートを印刷し、
前記制御部は、用紙表面側に配置されるラインセンサ及び用紙裏面側に配置されるラインセンサが黒の背景色で前記位置調整マークを読み取った読取値に基づいて表裏調整を行う際に、一方の前記ラインセンサが前記表裏調整時に黒の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値と、前記用紙をスイッチバックさせた後に、一方の前記ラインセンサが白の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値と、に基づいて前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記反射型センサは、前記用紙搬送路の用紙表面側に配置される分光測色計を更に含み、
前記画像形成部は、用紙の両面に位置調整のための位置調整マークを含む表裏調整用チャートを印刷し、
前記制御部は、用紙表面側に配置されるラインセンサ及び用紙裏面側に配置されるラインセンサが黒の背景色で前記位置調整マークを読み取った読取値に基づいて表裏調整を行う際に、一方の前記ラインセンサが前記表裏調整時に黒の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値と、前記分光測色計が白の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値を変換し
た読取相当値と、に基づいて前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記表裏調整用チャートには、前記分光測色計が読み取りを開始するためのトリガーパターンが印字されている、
ことを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記制御部は複数の異なる濃度の背景板を切り替えることにより、前記異なる濃度の背景板ごとに前記反射型センサに用紙を読み取らせる、ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一に記載の画像形成装置。
【請求項19】
用紙上に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により画像形成される用紙が搬送される用紙搬送路と、
前記用紙搬送路に搬送される前記用紙を読み取る反射型センサと、
前記用紙搬送路を挟んで前記反射型センサに対向して配置される、
異なる濃度を有する背景板と、
制御部と、を備える画像形成装置を含むシステムで動作する用紙情報算出プログラムであって、
前記制御部又は前記画像形成装置を制御する制御装置に
、
前記異なる濃度の背景板ごとに前記反射型センサに用紙を読み取らせる
読み取り処理、
前記反射型センサの読み取り結果に基づいて前記用紙の坪量
に対応する値を出力する出力処理、を実行させる、
ことを特徴とする用紙情報算出プログラム。
【請求項20】
前記画像形成装置は、
前記用紙が収容される給紙トレイと、
前記給紙トレイの開閉を検知するトレイ開閉検知部と、を備え、
前記制御部又は前記制御装置に、
前記トレイ開閉検知部による前記給紙トレイの開閉の検知を監視する処理を実行させ、
前記給紙トレイの開閉が検知された場合に、前記
読み取り処理および出力処理を実行させる、
ことを特徴とする請求項
19に記載の用紙情報算出プログラム。
【請求項21】
前記反射型センサは、前記用紙搬送路の用紙表面側又は用紙裏面側に配置されるラインセンサを含み、
前記背景板は、
第1の濃度と
前記第1の濃度よりも濃度の低い第2の濃度の2色の背景色に切り替え可能に構成され、
前記
出力処理では、前記ラインセンサが前記
第1の濃度又は前記
第2の濃度の一方の背景色で前記用紙を読み取った第1読取値と、前記用紙をスイッチバックさせ、前記ラインセンサが前記
第1の濃度又は前記
第2の濃度の他方の背景色で前記用紙を読み取った第2読取値と、を取得し、前記第1読取値と前記第2読取値との差分を算出し、予め作成した関係式に基づいて、前記算出した差分に対応する前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項
19又は
20に記載の用紙情報算出プログラム。
【請求項22】
前記反射型センサは、前記用紙搬送路の用紙表面側及び用紙裏面側に配置される2つのラインセンサを含み、
前記背景板は、
第1の濃度と
前記第1の濃度よりも濃度の低い第2の濃度の2色の背景色に切り替え可能に構成され、
前記
出力処理では、一方の前記ラインセンサが前記
第2の濃度の背景色で前記用紙を読み取った第1読取値と、他方の前記ラインセンサが前記
第1の濃度の背景色で前記用紙を読み取った第2読取値と、を取得し、前記第1読取値と前記第2読取値との差分を算出し、予め作成した関係式に基づいて、前記算出した差分に対応する前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項
19又は
20に記載の用紙情報算出プログラム。
【請求項23】
前記
読み取り処理では、用紙表面側に配置されるラインセンサに前記
第1の濃度の背景色で前記用紙を読み取らせ、用紙裏面側に配置されるラインセンサに前記
第2の濃度の背景色で前記用紙を読み取らせる、
ことを特徴とする請求項
22に記載の用紙情報算出プログラム。
【請求項24】
前記画像形成部は、用紙の表面に位置調整のための位置調整マークを含む
画質補正用チャートを印刷し、
前記
出力処理では、用紙表面側に配置されるラインセンサが
前記第1の濃度の背景色で前記画質補正用チャートを読み取った読取値に基づいて画質補正を行う際に、用紙表面側に配置されるラインセンサが前記画質補正時に
前記第1の濃度の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値と、用紙裏面側に配置されるラインセンサが
前記第2の濃度の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値と、に基づいて前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項
23に記載の用紙情報算出プログラム。
【請求項25】
前記
画質補正用チャートは、画質補正のためのコントロールストリップをも含む、
ことを特徴とする請求項
24に記載の用紙情報算出プログラム。
【請求項26】
前記反射型センサは、前記用紙搬送路の用紙表面側又は用紙裏面側に配置されるラインセンサと、前記用紙搬送路の用紙表面側に配置される分光測色計と、を含み、
前記背景板は、
第1の濃度と
前記第1の濃度よりも濃度の低い第2の濃度の2色の背景色に切り替え可能に構成され、
前記
出力処理では、前記ラインセンサが前記
第1の濃度の背景色で前記用紙を読み取った第1読取値と、前記分光測色計が前記
第2の濃度の背景色で前記用紙を読み取った第2読取値と、を取得し、予め作成した変換式に基づいて、前記第2読取値を、前記ラインセンサが前記
第2の濃度の背景色で前記用紙を読み取った場合に得られる読取相当値に変換し、前記読取相当値と前記第1読取値との差分を算出し、予め作成した関係式に基づいて、前記算出した差分に対応する前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項
19又は
20に記載の用紙情報算出プログラム。
【請求項27】
前記画像形成部は、用紙の両面に位置調整のための位置調整マークを含む表裏調整用チャートを印刷し、
前記
出力処理では、用紙表面側に配置されるラインセンサ及び用紙裏面側に配置されるラインセンサが黒の背景色で前記位置調整マークを読み取った読取値に基づいて表裏調整を行う際に、一方の前記ラインセンサが前記表裏調整時に黒の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値と、前記用紙をスイッチバックさせた後に、一方の前記ラインセンサが白の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値と、に基づいて前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項
22に記載の用紙情報算出プログラム。
【請求項28】
前記反射型センサは、前記用紙搬送路の用紙表面側に配置される分光測色計を更に含み、
前記画像形成部は、用紙の両面に位置調整マークを含む表裏調整用チャートを印刷し、
前記
出力処理では、用紙表面側に配置されるラインセンサ及び用紙裏面側に配置されるラインセンサが黒の背景色で前記位置調整マークを読み取った読取値に基づいて表裏調整を行う際に、一方の前記ラインセンサが前記表裏調整時に黒の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値と、前記分光測色計が白の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値を変換し
た読取相当値と、に基づいて前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項
22に記載の用紙情報算出プログラム。
【請求項29】
前記制御部は複数の異なる濃度の背景板を切り替えることにより、前記異なる濃度の背景板ごとに前記反射型センサに用紙を読み取らせる、ことを特徴とする請求項19乃至28のいずれか一に記載の用紙情報算出プログラム。
【請求項30】
用紙上に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部により画像形成される用紙が搬送される用紙搬送路と、
前記用紙搬送路に搬送される前記用紙を読み取る反射型センサと、
前記用紙搬送路を挟んで前記反射型センサに対向して配置される、
異なる濃度を有する背景板と、を備える画像形成装置を含むシステムにおける用紙情報算出方法であって
、
前記異なる濃度の背景板ごとに前記反射型センサに用紙を読み取らせる
読み取り処理と、
前記反射型センサの読み取り結果に基づいて前記用紙の坪量
に対応する値を出力する出力処理と、を実行する、
ことを特徴とする用紙情報算出方法。
【請求項31】
前記画像形成装置は、
前記用紙が収容される給紙トレイと、
前記給紙トレイの開閉を検知するトレイ開閉検知部と、を備え、
前記トレイ開閉検知部による前記給紙トレイの開閉の検知を監視する処理を実行し、
前記給紙トレイの開閉が検知された場合に、前記
読み取り処理および出力処理を実行する、
ことを特徴とする請求項
30に記載の用紙情報算出方法。
【請求項32】
前記反射型センサは、前記用紙搬送路の用紙表面側又は用紙裏面側に配置されるラインセンサを含み、
前記背景板は、
第1の濃度と
前記第1の濃度よりも濃度の低い第2の濃度の2色の背景色に切り替え可能に構成され、
前記
出力処理では、前記ラインセンサが前記
第1の濃度又は前記
第2の濃度の一方の背景色で前記用紙を読み取った第1読取値と、前記用紙をスイッチバックさせ、前記ラインセンサが前記
第1の濃度又は前記
第2の濃度の他方の背景色で前記用紙を読み取った第2読取値と、を取得し、前記第1読取値と前記第2読取値との差分を算出し、予め作成した関係式に基づいて、前記算出した差分に対応する前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項
30又は
31に記載の用紙情報算出方法。
【請求項33】
前記反射型センサは、前記用紙搬送路の用紙表面側及び用紙裏面側に配置される2つのラインセンサを含み、
前記背景板は、
第1の濃度と
前記第1の濃度よりも濃度の低い第2の濃度の2色の背景色に切り替え可能に構成され、
前記
出力処理では、一方の前記ラインセンサが前記
第2の濃度の背景色で前記用紙を読み取った第1読取値と、他方の前記ラインセンサが前記
第1の濃度の背景色で前記用紙を読み取った第2読取値と、を取得し、前記第1読取値と前記第2読取値との差分を算出し、予め作成した関係式に基づいて、前記算出した差分に対応する前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項
30又は
31に記載の用紙情報算出方法。
【請求項34】
前記
読み取り処理では、用紙表面側に配置されるラインセンサに前記
第1の濃度の背景色で前記用紙を読み取らせ、用紙裏面側に配置されるラインセンサに前記
第2の濃度の背景色で前記用紙を読み取らせる、
ことを特徴とする請求項
33に記載の用紙情報算出方法。
【請求項35】
前記画像形成部は、用紙の表面に位置調整のための位置調整マークを含む
画像補正用チャートを印刷し、
前記
出力処理では、用紙表面側に配置されるラインセンサが
前記第1の濃度の背景色で前記画像補正用チャートを読み取った読取値に基づいて画質補正を行う際に、用紙表面側に配置されるラインセンサが前記画質補正時に
前記第1の濃度の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値と、用紙裏面側に配置されるラインセンサが
前記第2の濃度の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値と、に基づいて前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項
34に記載の用紙情報算出方法。
【請求項36】
前記
画像補正用チャートは、画質補正のためのコントロールストリップをも含む、
ことを特徴とする請求項
35に記載の用紙情報算出方法。
【請求項37】
前記反射型センサは、前記用紙搬送路の用紙表面側又は用紙裏面側に配置されるラインセンサと、前記用紙搬送路の用紙表面側に配置される分光測色計と、を含み、
前記背景板は、
第1の濃度と
前記第1の濃度よりも濃度の低い第2の濃度の2色の背景色に切り替え可能に構成され、
前記
出力処理では、前記ラインセンサが前記
第1の濃度の背景色で前記用紙を読み取った第1読取値と、前記分光測色計が前記
第2の濃度の背景色で前記用紙を読み取った第2読取値と、を取得し、予め作成した変換式に基づいて、前記第2読取値を、前記ラインセンサが前記
第2の濃度の背景色で前記用紙を読み取った場合に得られる読取相当値に変換し、前記読取相当値と前記第1読取値との差分を算出し、予め作成した関係式に基づいて、前記算出した差分に対応する前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項
30又は
31に記載の用紙情報算出方法。
【請求項38】
前記画像形成部は、用紙の両面に位置調整のための位置調整マークを含む表裏調整用チャートを印刷し、
前記
出力処理では、用紙表面側に配置されるラインセンサ及び用紙裏面側に配置されるラインセンサが黒の背景色で前記位置調整マークを読み取った読取値に基づいて表裏調整を行う際に、一方の前記ラインセンサが前記表裏調整時に黒の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値と、前記用紙をスイッチバックさせた後に、一方の前記ラインセンサが白の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値と、に基づいて前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項
33に記載の用紙情報算出方法。
【請求項39】
前記反射型センサは、前記用紙搬送路の用紙表面側に配置される分光測色計を更に含み、
前記画像形成部は、用紙の両面に位置調整のための位置調整マークを含む表裏調整用チャートを印刷し、
前記
出力処理では、用紙表面側に配置されるラインセンサ及び用紙裏面側に配置されるラインセンサが黒の背景色で前記位置調整マークを読み取った読取値に基づいて表裏調整を行う際に、一方の前記ラインセンサが前記表裏調整時に黒の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値と、前記分光測色計が白の背景色で前記用紙の非画像部を読み取った読取値を変換し
た読取相当値と、に基づいて前記用紙の坪量を算出する、
ことを特徴とする請求項
33に記載の用紙情報算出方法。
【請求項40】
複数の異なる濃度の背景板を切り替えることにより、前記異なる濃度の背景板ごとに前記反射型センサに用紙を読み取らせる、ことを特徴とする請求項30乃至39のいずれか一に記載の用紙情報算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び用紙情報算出プログラム並びに用紙情報算出方法に関し、特に、インラインの画像読取センサを備える画像形成装置、用紙情報を簡便に算出する用紙情報算出プログラム及び用紙情報算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタなどのデバイスでは、色変換テーブル(プロファイル)を用いて色変換が行われる。このプロファイルは用紙の厚みに応じて変化することから、プロファイルを用いて色変換する場合、用紙の厚みに応じてプロファイルを選択したり、印刷条件を変えたりする必要がある。そのため、用紙の厚み(坪量)を明確にする必要があり、従来はユーザが坪量などの用紙情報を設定するようにしていた。しかしながら、ユーザが設定する用紙情報は正しいとは限らず、間違った用紙情報を設定してしまう恐れがある。そこで、画像読取センサを用いて用紙情報を取得する様々な方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、画像読取部を用いて読み取った用紙の画像データに画像処理を施すことによって、用紙の表面性を検出する用紙表面性検出手段と、画像読取部を用いて、所定の黒濃度を有するリファレンスチャートを重ねた用紙の画像データを読み取り、前記リファレンスチャートの黒濃度と、用紙を介して画像データに現れた黒濃度との濃度差に基づいて、用紙の厚みを検出する用紙厚み検出手段と、前記検出された用紙の表面性及び用紙の厚みに対応する用紙の紙種を設定する紙種設定手段とを備える紙種検出装置が記載されている。
【0004】
また、用紙情報を取得する方法ではないが、画像読取装置に関する技術として、下記特許文献2には、原稿を搬送する原稿搬送手段と、前記原稿搬送手段で搬送中の原稿を所定の読み取り領域で押圧するとともに、その押圧部分に濃度の異なる複数の背景色部を有する原稿押圧部材と、前記原稿搬送手段で搬送中の原稿の画像を読み取るとともに、その読み取り位置を前記所定の読み取り領域で可変とした読取手段とを備える画像読取装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-189549号公報
【文献】特開2002-271576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、2の方法を利用して用紙の厚みを検出することができるが、これらの方法では、用紙の厚みを検出する際に、その都度、用紙をプラテンにセットしたりADF(Auto Document Feeder)にセットしたりしてユーザが用紙を読み取らせる必要があり、手間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その主たる目的は、ユーザの手間をかけずに用紙情報を簡便に取得することができる画像形成装置、用紙情報算出プログラム及び用紙情報算出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面は、用紙上に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により画像形成される用紙が搬送される用紙搬送路と、前記用紙搬送路に搬送される前記用紙を読み取る反射型センサと、前記用紙搬送路を挟んで前記反射型センサに対向して配置される、異なる濃度を有する背景板と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記異なる濃度の背景板ごとに前記反射型センサに用紙を読み取らせ、前記反射型センサの読み取り結果に基づいて前記用紙の坪量に対応する値を出力することを特徴とする。
【0009】
本発明の一側面は、用紙上に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により画像形成される用紙が搬送される用紙搬送路と、前記用紙搬送路に搬送される前記用紙を読み取る反射型センサと、前記用紙搬送路を挟んで前記反射型センサに対向して配置される、異なる濃度を有する背景板と、制御部と、を備える画像形成装置を含むシステムで動作する用紙情報算出プログラムであって、前記制御部又は前記画像形成装置を制御する制御装置に、前記異なる濃度の背景板ごとに前記反射型センサに用紙を読み取らせる読み取り処理、前記反射型センサの読み取り結果に基づいて前記用紙の坪量に対応する値を出力する出力処理、を実行させることを特徴とする。
【0010】
本発明の一側面は、用紙上に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により画像形成される用紙が搬送される用紙搬送路と、前記用紙搬送路に搬送される前記用紙を読み取る反射型センサと、前記用紙搬送路を挟んで前記反射型センサに対向して配置される、異なる濃度を有する背景板と、を備える画像形成装置を含むシステムにおける用紙情報算出方法であって、前記異なる濃度の背景板ごとに前記反射型センサに用紙を読み取らせる読み取り処理と、前記反射型センサの読み取り結果に基づいて前記用紙の坪量に対応する値を出力する出力処理と、を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成装置、用紙情報算出プログラム及び用紙情報算出方法によれば、ユーザの手間をかけずに用紙情報を簡便に取得することができる。
【0012】
その理由は、用紙上に画像を形成する画像形成部と、画像形成部により画像形成される用紙が搬送される用紙搬送路と、用紙搬送路に搬送される用紙を読み取る反射型センサと、用紙搬送路を挟んで反射型センサに対向して配置される、濃度が変更可能な背景板と、制御部と、を備える画像形成装置において、制御部は、背景板の濃度が異なる状態で反射型センサに用紙を読み取らせ、反射型センサの読み取り結果に基づいて用紙の坪量を算出するからである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の構成例を示す模式図である。
【
図2】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の読取部の構成を示す模式図である。
【
図4】白背景と黒背景のスキャナ読取値の差分と用紙の坪量との相関を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施例に係る画像形成装置の動作(用紙情報算出処理)を示すフローチャート図である。
【
図6】本発明の第1の実施例に係る画像読取センサの種類と背景色との組み合わせを示すテーブルである。
【
図7】画質補正時に使用する用紙の構成例を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施例に係る画像形成装置の動作(画質補正時の用紙情報算出処理)を示すフローチャート図である。
【
図9】表裏調整時に使用する用紙の構成例を示す図である。
【
図10】本発明の第3の実施例に係る画像形成装置の動作(表裏調整時の用紙情報算出処理)を示すフローチャート図である。
【
図11】白背景における測色計の反射率とスキャナの読取値との相関を示す図である。
【
図12】表裏調整時に使用する用紙の構成例を示す図である。
【
図13】本発明の第4の実施例に係る画像形成装置の動作(表裏調整時の用紙情報算出処理)を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
背景技術で示したように、プリンタなどのデバイスではプロファイルを用いて色変換が行われるが、プロファイルは用紙の厚みに応じて変化するため、プロファイルを用いて色変換する場合、用紙の厚みに応じてプロファイルを選択したり、印刷条件を変えたりする必要がある。そのため、従来は、ユーザが用紙の坪量などの用紙情報を設定するようにしていたが、ユーザが設定する用紙情報は正しいとは限らないことから、画像読取センサを用いて用紙情報を取得する方法が提案されている。
【0015】
しかしながら、従来の方法では、用紙の厚みを検出する際に、その都度、用紙をプラテンにセットしたりADFにセットしたりするなどの操作をユーザが行う必要があり、手間がかかる。一方、画像形成装置では、適切に印刷物が出力できるように、画質補正、表裏調整、ヤレ検知などの処理が適宜行われており、これらの処理ではインラインスキャナやインライン測色計などのセンサによる読み取りが行われる。
【0016】
そこで、本発明の一実施の形態では、スキャナや測色計などのセンサがインラインに設けられていることを活かして、画像形成装置が行う様々な処理に合わせて用紙情報を取得するようにする。具体的には、用紙搬送路に搬送される用紙を読み取るスキャナや測色計などの反射型センサと、用紙搬送路を挟んで各々の反射型センサに対向配置される、濃度が変更可能な背景板と、を用いて、用紙搬送路を通過する用紙の非画像部(画像が形成されない下地部)を、異なる濃度(例えば、白と黒)の背景板を背景にして読み取り、読み取り結果に基づいて用紙の坪量を算出する。好ましくは、用紙の坪量の算出を、印刷画質を調整する画質補正時や、用紙の表裏間の印刷位置ずれを補正する表裏調整時などに実施する。
【0017】
このように、インラインスキャナやインライン測色計のようなインラインのセンサを用いることにより、ユーザの手間をかけずに簡便に用紙情報を取得することができる。また、既存のセンサを用いることにより、自動用紙タイプ認識センサ(いわゆるメディアセンサ)等の専用の部材を設ける必要がなくなるため、コストの増加を抑制して用紙情報を取得することができる。
【実施例1】
【0018】
上記した本発明の一実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の第1の実施例に係る画像形成装置、用紙情報算出プログラム及び用紙情報算出方法について、
図1乃至
図6を参照して説明する。
図1は、本実施例の画像形成装置の構成を示す模式図であり、
図2は、本実施例の画像形成装置の構成を示すブロック図である。また、
図3は、本実施例の画像形成装置の読取部の構成を示す模式図であり、
図4は、白背景と黒背景のスキャナ読取値の差分と用紙の坪量との相関を示す図である。また、
図5は、本実施例の画像形成装置の動作(用紙情報算出処理)を示すフローチャート図であり、
図6は、画像読取センサの種類と背景色との組み合わせを示すテーブルである。
【0019】
本実施例の画像形成装置は、MFP(Multi-Functional Peripherals)などであり、
図1に示すように、給紙部19から供給される用紙が、上流側の画像形成部20を通って、下流側の読取部21に搬送される構造である。以下、本実施例の画像形成装置10の基本的な構成及び制御について説明する。
【0020】
図2は、上記画像形成装置10の構成を示すブロック図であり、
図2(a)に示すように、画像形成装置10は、制御部11、記憶部15、ネットワークI/F部16、表示操作部17、画像処理部18、給紙部19、画像形成部20、読取部21などで構成される。
【0021】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)12とROM(Read Only Memory)13やRAM(Random Access Memory)14などのメモリとで構成され、CPU12は、ROM13や記憶部15に記憶した制御プログラムをRAM14に展開して実行することにより、画像形成装置10全体の動作を制御する。
【0022】
記憶部15は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成され、CPU12が各部を制御するためのプログラム、自装置の処理機能に関する情報、プロファイル、給紙部19に格納された用紙の坪量などの用紙情報、後述する白背景と黒背景のスキャナ読取値の差分と用紙の坪量との関係式などを記憶する。
【0023】
ネットワークI/F部16は、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成され、必要に応じて、通信ネットワークを介して、他の装置(クライアント装置や制御装置など)とのデータ通信を可能にする。
【0024】
表示操作部17は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの表示部上に透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部(タッチセンサ)を設けたタッチパネルなどであり、印刷処理に関する各種画面を表示し、印刷に関する各種操作を可能にする。本実施例では、特に、算出した用紙の坪量と当該用紙を格納する給紙トレイに設定された用紙の坪量とが一致しない場合に、その旨を警告する警告画面を表示し、坪量の設定操作などを受け付ける。
【0025】
画像処理部18は、プロファイルを用いた色変換、スクリーニング、ラスタライズ等の画像処理を行い、画像処理後の画像データを画像形成部20に転送する。
【0026】
給紙部19は、1又は複数の給紙トレイ19aと、各々の給紙トレイ19aの開閉を検知するトレイ開閉検知部19b(例えば、スイッチ)などを備え、制御部11の指示に従って、給紙トレイ19aに格納された用紙を画像形成部20に供給する。
【0027】
画像形成部(印刷エンジン)20は、画像処理後の画像データに基づいて用紙上に画像を形成する。この画像形成部20は、例えば、帯電装置により帯電された感光体ドラムに露光装置から画像に応じた光を照射して静電潜像を形成し、現像装置で帯電したトナーを付着させて現像し、そのトナー像を転写ベルトに1次転写し、転写ベルトから用紙に2次転写し、更に定着装置で用紙上のトナー像を定着させる処理を行い、画像定着後の用紙を読取部21に搬送する。
【0028】
読取部21は、画像形成部20の下流に配置され、画質補正時や表裏調整時、ヤレ検知時、用紙の坪量算出時に、用紙を測定して色や濃度を読み取る部分であり、後述する背景板を異なる背景色にして読み取りを行う第1のモードと、背景板を同じ背景色にして読み取りを行う第2のモードとで動作可能である。
図3は、この読取部21の構造を示す模式図であり、
図3(a)に示すように、読取部21には、画像形成部20から出力される用紙を搬送する用紙搬送路22と、インラインの画像読取センサ(第1スキャナ23a、第2スキャナ23b及び測色計23cなどの反射型センサ)と、用紙搬送路22を挟んでこれらの画像読取センサに対向配置される校正ユニット24と、を備える。
【0029】
第1スキャナ23a及び第2スキャナ23bは、例えば、RGBの3種類のセンサが主走査方向に配列されたラインセンサなどであり、RGBの各センサが測定して得たRGB値を出力する。なお、第1スキャナ23aは、用紙搬送路22上の用紙の裏面側(
図3(a)の下側)に配置され、用紙の裏面で反射又は用紙を透過して校正ユニット24aの背景面で反射された光を検出する。また、第2スキャナ23bは、用紙搬送路22上の用紙の表面側(
図3(a)の上側)に配置され、用紙の表面で反射又は用紙を透過して校正ユニット24bの背景面で反射された光を検出する。
【0030】
測色計23cは、例えば、光の波長ごとに計測可能なスペクトル方式の測色計(分光測色計)であり、測色値(L*a*b*値、XYZ値など)を出力する。なお、測色計23cは、用紙搬送路22上の用紙の表面側(
図3(a)の上側)に配置され、用紙の表面で反射又は用紙を透過して校正ユニット24cの背景面で反射された光を検出する。
【0031】
校正ユニット24(本実施例では校正ユニット24a~24c)は、第1スキャナ23a、第2スキャナ23b及び測色計23cの各々が読み取りを行う際の背景となる背景面を備える。具体的には、第1スキャナ23a及び第2スキャナ23bに対向配置される校正ユニット24a、24bは、
図3(b)に示すように、校正面(シェーディング面)25a、白背景面25b、黒背景面25cを備え、後述する背景面切替制御部11bによって回転駆動して背景面が切り替えられる。また、測色計23cに対向配置される校正ユニット24cは、校正面(シェーディング面)25a、白背景面25bを備え、背景面切替制御部11bの制御によって回転駆動して背景面が切り替えられる。背景面の切り替えは以下のように行われる。例えば、色を測定する時は、校正ユニット24a、24b、24c共に白背景面25bに切り替えられ、用紙のエッジ情報を検出する時(表裏調整時)や裏写りさせたくない時は、校正ユニット24a、24b共に黒背景面25cに切り替えられる。また、用紙情報を取得する時は、校正ユニット24a、24b、24cの少なくとも1つは白背景面25bに切り替えられ、校正ユニット24a、24bの一方は黒背景面25cに切り替えられる。なお、測色計23cに対向配置される校正ユニット24cに黒背景面25cが設けられていないのは、測色計23cは色を測定するのが主であり、色の測定に際して背景色は白の方が良いからであるが、第1スキャナ23a及び第2スキャナ23bに対向配置される校正ユニット24a、24bと同様に黒背景面25cを備えていてもよい。また、本実施例では、回転駆動によって背景面が切り替えられる構造としているが、背景面が切り替え可能であれば、その構造は特に限定されない。
【0032】
また、
図2(b)に示すように、上記制御部11は、用紙搬送制御部11a、背景面切替制御部11b、読取制御部11c、用紙情報算出部11dとして機能する。
【0033】
用紙搬送制御部11aは、用紙搬送路22上で用紙を搬送する。
【0034】
背景面切替制御部11bは、用紙情報を取得する際に、用紙搬送路22を通過する用紙の非画像部を、背景板の濃度が異なる状態で読み取ることができるように、読取部21の校正ユニット24を回転駆動させて背景面を切り替える。例えば、第1スキャナ23a(又は第2スキャナ23b)に対向する校正ユニット24a(又は校正ユニット24b)の背景面を白背景面25b及び黒背景面25cの一方に設定して非画像部を読み取った後、用紙をスイッチバックさせて、校正ユニット24a(又は校正ユニット24b)の背景面を白背景面25b及び黒背景面25cの他方に設定して非画像部を読み取る。また、第1スキャナ23aに対向する校正ユニット24aの背景面を白背景面25bとし、第2スキャナ23bに対向する校正ユニット24bの背景面を黒背景面25cとしたり、第1スキャナ23aに対向する校正ユニット24aの背景面を黒背景面25cとし、第2スキャナ23bに対向する校正ユニット24bの背景面を白背景面25bとしたりする。また、第1スキャナ23a又は第2スキャナ23bに対向する校正ユニット24a、24bの背景面を黒背景面25cとし、測色計23cに対向する校正ユニット24cの背景面を白背景面25bとする。
【0035】
読取制御部11cは、用紙情報を取得する際に、第1スキャナ23a、第2スキャナ23b及び測色計23cの内の少なくとも2つの画像読取センサの読取値(又は、1つの画像読取センサに対して背景面を切り替えたときの2つの読取値)を取得する。例えば、第1スキャナ23a又は第2スキャナ23bの読取値として、8ビット(0~255)の値を取得し、測色計23cの読取値として、反射率(0~1)の値を取得する。
【0036】
用紙情報算出部11dは、読取制御部11cが第1スキャナ23a、第2スキャナ23b及び測色計23cの内の少なくとも2つの画像読取センサから取得した読取値(又は、1つの画像読取センサから取得した2つの読取値)の差分を算出し、予め作成した白背景時と黒背景時の読取値の差分と用紙の坪量との関係式に従って、算出した差分に対応する用紙の坪量を算出する。上記関係式は、例えば、第1スキャナ23aを白背景、第2スキャナ23bを黒背景とし、様々な坪量の用紙の非画像部を読み取り、
図4に示すように、白背景のスキャナ読取値と黒背景のスキャナ読取値との差分と用紙の坪量とを対応付け、対応付けた各点を最初二乗法などの公知の手法を利用して処理することによって作成することができる。なお、
図4の関係は、透明シートを除いて、用紙の種類にかかわらず成立する。また、用紙情報算出部11dは、必要に応じて、算出した用紙の坪量と当該用紙が収容される給紙トレイ19aに設定された用紙の坪量とが一致しない場合、表示操作部17に警告画面を表示するなどして警告情報を出力する。
【0037】
上記用紙搬送制御部11a、背景面切替制御部11b、読取制御部11c、用紙情報算出部11dはハードウェアとして構成してもよいし、制御部11を、用紙搬送制御部11a、背景面切替制御部11b、読取制御部11c、用紙情報算出部11d(本実施例では、特に、背景面切替制御部11b、読取制御部11c、用紙情報算出部11d)として機能させる用紙情報算出プログラムとして構成し、当該用紙情報算出プログラムをCPU12に実行させるようにしてもよい。
【0038】
なお、
図1乃至
図3は本実施例の画像形成装置10の一例であり、その構成や制御は適宜変更可能である。例えば、上記では、読取部21に第1スキャナ23a、第2スキャナ23b及び測色計23cの3つの反射型センサを備える場合を示したが、第1スキャナ23a、第2スキャナ23b及び測色計23cの内の1つ(好ましくは、第1スキャナ23a又は第2スキャナ23bの内の1つ)の反射型センサを備える構成や、第1スキャナ23aと第2スキャナ23b、第1スキャナ23a又は第2スキャナ23bと測色計23cなどの2つの反射型センサを備える構成としてもよい。また、上記では、画像形成装置10に内蔵される制御部11が上記制御を行う構成としたが、画像形成装置10の外部に設けられた制御装置が上記制御を行う構成としてもよい。
【0039】
以下、上記構成の画像形成装置10の動作について説明する。CPU12は、ROM13又は記憶部15に記憶した用紙情報算出プログラムをRAM14に展開して実行することにより、
図5のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。なお、ここでは、第1スキャナ23a及び第2スキャナ23bを利用して1パス(1回の用紙搬送)で用紙の両面の読取を行うものとするが、第1スキャナ23a、第2スキャナ23b及び測色計23cの内の1つを利用し、スイッチバックして2回の用紙搬送で用紙の片面の読取を行うようにしてもよい。また、白背景と黒背景のスキャナ読取値の差分と用紙の坪量との関係式は予め作成され、記憶部15などに記憶されているものとする。
【0040】
ユーザが表示操作部17を操作し、給紙トレイ19aを指定して用紙情報の取得を指示すると、制御部11は、給紙部19の給紙トレイ19aに給紙を指示し、給紙された用紙は、画像形成部20を通過して読取部21に搬送される。
【0041】
次に、制御部11(背景面切替制御部11b)は、第1スキャナ23aに対向配置される校正ユニット24aを制御して白背景面25bが用紙表面側になるように背景面を切り替え、制御部11(読取制御部11c)は、第1スキャナ23aに用紙の裏面の読み取りを指示して、白背景での非画素部(下地部)の読取値を取得する(S101)。
【0042】
次に、制御部11(背景面切替制御部11b)は、第2スキャナ23bに対向配置される校正ユニット24bを制御して黒背景面が用紙裏面側になるように背景面を切り替え、制御部11(読取制御部11c)は、第2スキャナ23bに用紙の表面の読み取りを指示して、黒背景での非画素部(下地部)の読取値を取得する(S102)。
【0043】
次に、制御部11(用紙情報算出部11d)は、第1スキャナ23aの白背景での非画素部の読取値から、第2スキャナ23bの黒背景での非画素部の読取値を減算して差分を算出し(S103)、予め作成した関係式を用いて、算出した差分に対応する用紙の坪量を算出する(S104)。
【0044】
なお、上記フローでは、第1スキャナ23aを白背景、第2スキャナ23bを黒背景としたが、坪量を算出するためには、白背景と黒背景の組み合わせであればよく、例えば、
図6に示すように、第1スキャナ23aを黒背景、第2スキャナ23bを白背景としてもよいし、第1スキャナ23a又は第2スキャナ23bを黒背景とし、測色計23cを白背景としてもよい。
【0045】
このように、用紙搬送路22上に設けられたインラインの画像読取センサを用いることにより、ユーザの手間をかけずに用紙情報を取得することができる。また、既存のセンサを用いることにより、コストの増加を抑制して用紙情報を取得することができる。
【実施例2】
【0046】
次に、本発明の第2の実施例に係る画像形成装置、用紙情報算出プログラム及び用紙情報算出方法について、
図7及び
図8を参照して説明する。
図7は、画質補正時に使用する用紙の構成例を示す図であり、
図8は、本実施例の画像形成装置の動作(画質補正時の坪量算出処理)を示すフローチャート図である。
【0047】
前記した第1の実施例では、画像形成装置10の基本的な構成及び制御について説明したが、本実施例では、第1スキャナ23a及び第2スキャナ23bを用いたリアルタイムの画質補正時に、用紙の坪量の算出を合わせて行う場合について説明する。なお、本実施例では、片面のみに印字する場合において、少なくとも位置調整マークを読み取ることにより、画質補正を行う。
【0048】
図7は、リアルタイム画質補正に使用する用紙(画質補正用チャート30a)の構成を示している。
図7に示すように、画質補正用チャート30aには、断裁領域に、トンボなどの位置調整マーク31や濃度を変化させたパッチを配列したコントロールストリップ32などが印字されており、それらを読取部21で読み取って画像形成装置10本体にフィードバックすることによって画質補正を行う。
【0049】
その際、リアルタイム画質補正では用紙エッジを検出する必要があり、用紙エッジを検出するためには印字面(用紙表面)を黒背景で読み取る必要があるため、制御部11(背景面切替制御部11b)は、印字面を検出する第2スキャナ23bに対向する校正ユニット24bの背景面を黒背景面25cに切り替える。また、制御部11(背景面切替制御部11b)は、非印字面(用紙裏面)を検出する第1スキャナ23aに対向する校正ユニット24aの背景面を白背景面25bに切り替えるか、第2スキャナ23bによる読み取り後に、第2スキャナ23bに対向する校正ユニット24bの背景面を白背景面25bに切り替える。これによって、画質補正を行いながら、第1の実施例と同様に、用紙の坪量を算出することができる。
【0050】
以下、画質補正時に坪量を算出する場合の画像形成装置10の動作について説明する。CPU12は、ROM13又は記憶部15に記憶した用紙情報算出プログラムをRAM14に展開して実行することにより、
図8のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。なお、本実施例では、第1スキャナ23a及び第2スキャナ23bを用いて1パス(1回の用紙搬送)で両面の読取を行うものとするが、第1スキャナ23a又は第2スキャナ23b(好ましくは第2スキャナ23b)を利用し、スイッチバックして2回の用紙搬送で用紙の片面の読取を行うようにしてもよい。また、白背景と黒背景のスキャナ読取値の差分と坪量との関係式は予め作成され、記憶部15などに記憶されているものとする。
【0051】
ユーザが表示操作部17を操作して画質補正を指示(又は予め定めた時間が経過して画質補正のタイミングに到達)すると、制御部11は、給紙部19の給紙トレイ19aを制御して画像形成部20に用紙を搬送し、画像形成部20を制御して
図7に示すような画質補正用チャート30aを印刷させる(S201)。
【0052】
次に、制御部11(背景面切替制御部11b)は、第1スキャナ23aに対向配置される校正ユニット24aを制御して白背景面25bが用紙表面側になるように背景面を切り替え、制御部11(読取制御部11c)は、第1スキャナ23aに用紙の裏面の読み取りを指示して、白背景での非画素部(下地部)の読取値を取得する(S202)。
【0053】
次に、制御部11(背景面切替制御部11b)は、第2スキャナ23bに対向配置される校正ユニット24bを制御して黒背景面25cが用紙裏面側になるように背景面を切り替え、制御部11(読取制御部11c)は、第2スキャナ23bに用紙の表面の読み取りを指示して、黒背景での位置調整マーク31、コントロールストリップ32及び非画素部(下地部)の読取値を取得する(S203)。
【0054】
次に、制御部11は、位置調整マーク31の読取値を用いてコントロールストリップ32の位置を特定し、コントロールストリップ32の読取値を用いて画質補正を行う(S204)。
【0055】
次に、制御部11(用紙情報算出部11d)は、第1スキャナ23aの白背景での非画素部の読取値から、第2スキャナ23bの黒背景での非画素部の読取値を減算して差分を算出し(S205)、予め作成した関係式を用いて、算出した差分に対応する用紙の坪量を算出する(S206)。
【0056】
このように、用紙搬送路22上に設けられたインラインの画像読取センサを用い、画質補正時に合わせて用紙の坪量を算出することにより、ユーザの手間をかけずに用紙情報を取得することができる。また、既存のセンサを用いることにより、コストの増加を抑制して用紙情報を取得することができる。
【実施例3】
【0057】
次に、本発明の第3の実施例に係る画像形成装置、用紙情報算出プログラム及び用紙情報算出方法について、
図9及び
図10を参照して説明する。
図9は、表裏調整時に使用する用紙の構成例を示す図であり、
図10は、本実施例の画像形成装置の動作(表裏調整時の坪量算出処理)を示すフローチャート図である。
【0058】
前記した第2の実施例では、画質補正時に合わせて坪量の算出を行ったが、本実施例では、表裏面の印字位置を調整する表裏調整時に、用紙の坪量の算出を合わせて行う場合について説明する。なお、本実施例では、両面に印字する場合において、両面の位置調整マークを読み取って表裏調整を行い、両面の位置調整マークの読み取りのために、2つのスキャナを使用する。
【0059】
ここで、給紙トレイ19aの開閉タイミングは給紙トレイに新しい用紙がセットされるタイミングであり、また、用紙の種類は次に給紙トレイ19aが開閉されるまでは変わらないと考えられるため、給紙トレイ19aの開閉タイミングは用紙の坪量を算出するタイミングとして適している。そこで、本実施例では、トレイ開閉検知部19bが給紙トレイ19aの開閉を検知した時に用紙の坪量を算出するように制御する。
【0060】
この場合、画像形成装置10の構成は前記した第1の実施例と同様であるが、制御部11は、トレイ開閉検知部19bの出力を監視し、トレイ開閉検知部19bから信号が出力されたら、表裏調整を実施すると共に、用紙の坪量の算出を合わせて実施する。
【0061】
図9は、表裏調整時に使用する用紙(表裏調整用チャート30b)の構成を示している。表裏調整では用紙の四隅付近に印字したトンボや井形などの位置調整マーク31を読み取るが、正確に読み取るために、表裏両方の位置調整マーク31を黒背景で読み取る。位置調整マーク31以外の部分は基本的に非画像部(下地部)であるため坪量を算出する際に読み取ることができる。ただし、表裏調整では第1スキャナ23a、第2スキャナ23bの双方とも、黒背景にする必要があるため、制御部11(用紙搬送制御部11a)は、表裏調整用チャート30bを用紙搬送路22上でスイッチバックさせて第1スキャナ23a又は第2スキャナ23bのいずれかで白背景で再度、非画像部(下地部)を読み取ることができるようにする。
【0062】
以下、上記構成の画像形成装置10の動作について説明する。CPU12は、ROM13又は記憶部15に記憶した用紙情報算出プログラムをRAM14に展開して実行することにより、
図10のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。なお、ここでは、第1スキャナ23a及び第2スキャナ23bを利用し、スイッチバックして2回の用紙搬送で用紙の両面の読取を行う。また、本実施例でも、白背景と黒背景のスキャナ読取値の差分と坪量との関係式は予め作成され、記憶部15などに記憶されているものとする。
【0063】
制御部11は、トレイ開閉検知部19bからの信号を監視し(S301)、トレイ開閉検知部19bから給紙トレイ19aの開閉検知信号を受信したら(S301のYes)、開閉検知した給紙トレイ19aに設定されている坪量をリセットする(S302)。次に、制御部11は、給紙トレイ19aを制御して画像形成部20に用紙を搬送し、画像形成部20を制御して
図9に示すような表裏調整用チャート30bを両面印刷する(S303)。
【0064】
次に、制御部11(背景面切替制御部11b)は、第1スキャナ23aに対向配置される校正ユニット24aを制御して黒背景面が用紙表面側になるように背景面を切り替え、制御部11(読取制御部11c)は、第1スキャナ23aに用紙の裏面の読み取りを指示して、黒背景での位置調整マーク31及び非画素部(下地部)の読取値を取得する(S304)。
【0065】
次に、制御部11(背景面切替制御部11b)は、第2スキャナ23bに対向配置される校正ユニット24bを制御して黒背景面が用紙裏面側になるように背景面を切り替え、制御部11(読取制御部11c)は、第2スキャナ23bに用紙の表面の読み取りを指示して、黒背景での位置調整マーク31の読取値を取得する(S305)。なお、本フローでは、S304で非画素部(下地部)の読取値を取得しているが、S305において取得しても良い。すなわち、下地部の読取値については、第1スキャナ23a又は第2スキャナ23bのいずれか一方で読み取りを行えばよい。
【0066】
次に、制御部11(用紙搬送制御部11a)は、用紙搬送路22に沿って用紙を第1スキャナ23a又は第2スキャナ23bの読み取り位置までスイッチバックさせ(S306)、制御部11(背景面切替制御部11b)は、第1スキャナ23a(又は第2スキャナ23b)に対向配置される校正ユニット24a(又は校正ユニット24b)を制御して白背景面が用紙表面側(又は用紙裏面側)になるように背景面を切り替え、制御部11(読取制御部11c)は、第1スキャナ23a(又は第2スキャナ23b)に用紙の裏面(又は表面)の読み取りを指示して、白背景での非画素部(下地部)の読取値を取得する(S307)。
【0067】
次に、制御部11は、第1スキャナ23aの黒背景での位置調整マーク31の読取値と第2スキャナ23bの黒背景での位置調整マーク31の読取値とを用いて表裏調整を行う(S308)。
【0068】
次に、制御部11(用紙情報算出部11d)は、S307で取得した白背景での非画素部(下地部)の読取値から、S304又はS305で取得した黒背景での非画素部(下地部)の読取値を減算して差分を算出し(S309)、予め作成した関係式を用いて、算出した差分に対応する用紙の坪量を算出する(S310)。そして、制御部11は、トレイ開閉検知部19bが開閉検知した給紙トレイ19aの用紙カウントを算出した坪量の用紙としてカウントする(S311)。
【0069】
なお、上記フローでは、第1スキャナ23aを用いて黒背景で読み取り、第2スキャナ23bを用いて黒背景で読み取った後、スイッチバックして、第1スキャナ23a又は第2スキャナ23bを用いて白背景で読み取ったが、読み取り及びスイッチバックの順番は任意であり、例えば、第1スキャナ23aを用いて黒背景で読み取り、スイッチバックして、第1スキャナ23aを用いて白背景で読み取り、その後、第2スキャナ23bを用いて黒背景で読み取ることもできる。
【0070】
このように、用紙搬送路22上に設けられたインラインの画像読取センサを用い、表裏調整時に合わせて用紙の坪量を算出することにより、ユーザの手間をかけずに用紙情報を取得することができる。また、既存のセンサを用いることにより、コストの増加を抑制して用紙情報を取得することができる。
【実施例4】
【0071】
次に、本発明の第4の実施例に係る画像形成装置、用紙情報算出プログラム及び用紙情報算出方法について、
図11乃至
図13を参照して説明する。
図11は、白背景における測色計の反射率とスキャナの読取値との相関を示す図であり、
図12は、表裏調整時に使用する用紙の構成例を示す図である。また、
図13は、本実施例の画像形成装置の動作(表裏調整時の坪量算出処理)を示すフローチャート図である。
【0072】
前記した第3の実施例では、白背景での非画像部の読み取りのためにスイッチバックを行ったが、本実施例では、表裏調整時には通常使用しない測色計23cを用いて白背景での非画像部の読み取りを行う。なお、本実施例では、両面に印字する場合において、両面の位置調整マークを読み取って表裏調整を行い、両面の位置調整マークの読み取りのために、2つのスキャナと測色計とを使用する。この場合、測色計23cの白背景での読取値をスキャナ(第1スキャナ23a又は第2スキャナ23b)の白背景での読取相当値に変換する必要がある。変換の方法は以下の2つがある。
【0073】
第1の方法は、第1スキャナ23a又は第2スキャナ23bを白背景、測色計23cを白背景として、様々な坪量の用紙の非画像部を読み取り、
図11に示すように、測色計23cの白背景での読取値(反射率)と第1スキャナ23a又は第2スキャナ23bの白背景での読取値とを対応付け、対応付けた各点を最初二乗法などの公知の手法を利用して処理することによって変換式を作成する方法である。また、第2の方法は、スキャナの照明(光源)及びCCD(Charge Coupled Devices)のそれぞれの分光特性(分光分布及び分光感度)と、測色計で得られる分光反射率と、に基づいて変換する方法である。
【0074】
図12は、表裏調整時に使用する用紙(表裏調整用チャート30c)の構成を示している。表裏調整用チャート30cにはトンボや井形などの位置調整マーク31に加えて、測色計23cの読取トリガーとして使用する測色計用トリガーパターン33を印字する。
【0075】
以下、上記構成の画像形成装置10の動作について説明する。CPU12は、ROM13又は記憶部15に記憶した用紙情報算出プログラムをRAM14に展開して実行することにより、
図13のフローチャート図に示す各ステップの処理を実行する。なお、本実施例では、第1スキャナ23a、第2スキャナ23b及び測色計23cを用いて1パス(1回の用紙搬送)で両面の読取を行うものとする。また、白背景と黒背景のスキャナ読取値の差分と坪量との関係式、及び、白背景の測色計の読取値(反射率)を白背景のスキャナ読取値に変換する変換式は予め作成され、記憶部15などに記憶されているものとする。
【0076】
制御部11は、トレイ開閉検知部19bからの信号を監視し(S401)、トレイ開閉検知部19bから給紙トレイ19aの開閉検知信号を受信したら(S401のYes)、開閉検知した給紙トレイに設定されている坪量をリセットする(S402)。次に、制御部11は、給紙トレイ19aを制御して画像形成部20に用紙を搬送し、画像形成部20を制御して
図12に示すような表裏調整用チャート30cを両面印刷する(S403)。
【0077】
次に、制御部11(背景面切替制御部11b)は、第1スキャナ23aに対向配置される校正ユニット24aを制御して黒背景面が用紙表面側になるように背景面を切り替え、制御部11(読取制御部11c)は、第1スキャナ23aに用紙の裏面の読み取りを指示して、黒背景での位置調整マーク31及び非画素部(下地部)の読取値を取得する(S404)。
【0078】
次に、制御部11(背景面切替制御部11b)は、第2スキャナ23bに対向配置される校正ユニット24bを制御して黒背景面が用紙裏面側になるように背景面を切り替え、制御部11(読取制御部11c)は、第2スキャナ23bに用紙の表面の読み取りを指示して、黒背景での位置調整マーク31の読取値を取得する(S405)。なお、本フローでも、S404で非画素部(下地部)の読取値を取得しているが、S405において取得しても良い。すなわち、下地部の読取値については、第1スキャナ23a又は第2スキャナ23bのいずれか一方で読み取りを行えばよい。
【0079】
次に、制御部11(背景面切替制御部11b)は、測色計23cに対向配置される校正ユニット24cを制御して白背景面が用紙裏面側になるように背景面を切り替え、制御部11(読取制御部11c)は、測色計23cに用紙の表面の読み取りを指示して、白背景での非画素部(下地部)の読取値を取得する(S406)。
【0080】
次に、制御部11は、第1スキャナ23aの黒背景での位置調整マーク31の読取値と第2スキャナ23bの黒背景での位置調整マーク31の読取値とを用いて表裏調整を行う(S407)。
【0081】
次に、制御部11(用紙情報算出部11d)は、記憶部15に予め記憶した変換式を用いて、S406で取得した測色計23cの読取値(反射率)を第1スキャナ23a又は第2スキャナ23bの読取相当値に変換する(S408)。
【0082】
次に、制御部11(用紙情報算出部11d)は、S408で変換した白背景での非画素部(下地部)の読取相当値から、S404又はS405で取得した黒背景での非画素部(下地部)の読取値を減算して差分を算出し(S409)、予め作成した関係式を用いて、算出した差分に対応する用紙の坪量を算出する(S410)。そして、制御部11は、トレイ開閉検知部19bが開閉検知した給紙トレイ19aの用紙カウントを算出した坪量の用紙としてカウントする(S411)。
【0083】
このように、用紙搬送路22上に設けられたインラインの画像読取センサを用い、表裏調整時に合わせて用紙の坪量を算出することにより、ユーザの手間をかけずに用紙情報を取得することができる。また、既存のセンサを用いることにより、コストの増加を抑制して用紙情報を取得することができる。更に、既存の測色計を3つ目の読取センサとして活用することにより、スイッチバックを行う必要がなくなるため、第3の実施例に比べて、より簡便に用紙情報を取得することができる。
【0084】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、画像形成装置の構成や制御は適宜変更可能である。
【0085】
例えば、上記実施例では、画像読取センサとして、上流側から、用紙の裏面を読み取る第1スキャナ23a、用紙の表面を読み取る第2スキャナ23b、用紙の表面を読み取る測色計23cを配置したが、例えば、上流側から、用紙の表面を読み取る第2スキャナ23b、用紙の裏面を読み取る第1スキャナ23a、用紙の表面を読み取る測色計23cを配置するなど、スキャナ及び測色計の数や配置は実施例の記載に限定されない。
【0086】
また、上記実施例では、インラインの画像読取センサが用紙の非画像部(下地部)を読み取って用紙の坪量を算出したが、例えば、所定範囲の色や濃度が一定の画像(ベタ画像)を読み取って用紙の坪量を算出することもできる。
【0087】
また、上記実施例では、測色計23cを使用する場合について記載したが、画像形成部20から排出される用紙を受け取り、その後の処理のために送り出すリレーユニットに内蔵されるRGBの各色の単色センサなどを利用することもできる。
【0088】
また、上記実施例では、用紙情報として坪量を算出する場合について記載したが、画像読取センサの読取値に基づいて算出可能な任意の用紙情報を算出する場合に対して、本発明の用紙情報算出方法を同様に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、インラインの画像読取センサを備える画像形成装置、用紙情報を簡便に取得する用紙情報算出プログラム、当該用紙情報算出プログラムを記録した記録媒体及び用紙情報算出方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0090】
10 画像形成装置
11 制御部
11a 用紙搬送制御部
11b 背景面切替制御部
11c 読取制御部
11d 用紙情報算出部
12 CPU
13 ROM
14 RAM
15 記憶部
16 ネットワークI/F部
17 表示操作部
18 画像処理部
19 給紙部
19a 給紙トレイ
19b トレイ開閉検知部
20 画像形成部
21 読取部
22 用紙搬送路
23a 第1スキャナ
23b 第2スキャナ
23c 測色計
24、24a~24c 校正ユニット
25a 校正面(シェーディング面)
25b 白背景面
25c 黒背景面
30a 画質補正用チャート
30b、30c 表裏調整用チャート
31 位置調整マーク
32 コントロールストリップ
33 測色計用トリガーパターン