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特許6992375通信経路管理システム及び通信経路管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】通信経路管理システム及び通信経路管理装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/34 20090101AFI20220105BHJP
   H04W 4/029 20180101ALI20220105BHJP
   H04W 88/04 20090101ALI20220105BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20220105BHJP
   H04W 40/12 20090101ALI20220105BHJP
   H04W 16/18 20090101ALI20220105BHJP
   H04W 84/22 20090101ALI20220105BHJP
【FI】
H04W40/34
H04W4/029
H04W88/04
H04M11/00 302
H04W40/12
H04W16/18
H04W84/22
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017190936
(22)【出願日】2017-09-29
(65)【公開番号】P2019068217
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】福島 一樹
【審査官】玉木 宏治
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-147298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信装置である親機、及び多段構成の複数の無線通信装置である子機からなる無線通信システムを管理する管理サーバ装置と、通信経路管理装置と、を有する通信経路管理システムであって、
前記通信経路管理装置は、前記無線通信装置の位置及び通信経路を地図とともに表示画面に表示する経路表示手段と、前記表示画面上の通信経路に対する変更指示操作に基づいて、当該通信経路の変更指示を前記管理サーバ装置へ送信する経路変更指示送信手段と、前記管理サーバ装置から、現在の通信経路及び変更予定の通信経路の電界強度を取得する電界強度取得手段と、現在の通信経路及び変更予定の通信経路並びにそれらの電界強度を表示する電界強度表示手段と、を有する、通信経路管理システム。
【請求項2】
無線通信装置である親機、及び多段構成の複数の無線通信装置である子機からなる無線通信システムを管理する管理サーバ装置と、通信経路管理装置と、を有する通信経路管理システムであって、
前記通信経路管理装置は、前記無線通信装置の位置及び通信経路を地図とともに表示画面に表示する経路表示手段と、前記表示画面上の通信経路に対する変更指示操作に基づいて、当該通信経路の変更指示を前記管理サーバ装置へ送信する経路変更指示送信手段と、前記変更指示に係る通信経路の変更が不可能な場合、前記表示画面にエラーメッセージを表示するエラーメッセージ表示手段と、を有する、通信経路管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された通信経路管理システムにおいて、
前記通信経路管理装置は、地図サーバ装置から地図データを取得する地図データ取得手段と、前記無線通信装置の位置及び通信経路を取得する経路取得手段と、を有し、
前記経路表示手段は、当該取得された位置及び通信経路並びに地図データに基づいて、前記無線通信装置の位置及び通信経路を地図とともに表示画面に表示する、通信経路管理システム。
【請求項4】
請求項に記載された通信経路管理システムにおいて、
前記通信経路管理装置は、現在位置を取得する位置取得手段を有し、
前記地図データ取得手段は、当該取得された現在位置周辺の地図データを地図サーバ装置から取得し、前記経路取得手段は、前記取得された現在位置周辺の前記無線通信装置の位置及び通信経路を取得する、通信経路管理システム。
【請求項5】
無線通信装置である親機、及び多段構成の複数の無線通信装置である子機からなる無線通信システムを管理する管理サーバ装置と、通信経路管理装置と、を有する通信経路管理システムに使用される前記通信経路管理装置であって、
前記無線通信装置の位置及び通信経路を地図とともに表示画面に表示する経路表示手段と、前記表示画面上の通信経路に対する変更指示操作に基づいて、当該通信経路の変更指示を前記管理サーバ装置へ送信する経路変更指示送信手段と、前記管理サーバ装置から、現在の通信経路及び変更予定の通信経路の電界強度を取得する電界強度取得手段と、現在の通信経路及び変更予定の通信経路並びにそれらの電界強度を表示する電界強度表示手段と、を有する通信経路管理装置。
【請求項6】
無線通信装置である親機、及び多段構成の複数の無線通信装置である子機からなる無線通信システムを管理する管理サーバ装置と、通信経路管理装置と、を有する通信経路管理システムに使用される前記通信経路管理装置であって、
前記無線通信装置の位置及び通信経路を地図とともに表示画面に表示する経路表示手段と、前記表示画面上の通信経路に対する変更指示操作に基づいて、当該通信経路の変更指示を前記管理サーバ装置へ送信する経路変更指示送信手段と、前記変更指示に係る通信経路の変更が不可能な場合、前記表示画面にエラーメッセージを表示するエラーメッセージ表示手段と、を有する、通信経路管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段中継無線通信システムの通信経路の管理に用いて好適な通信経路管理システム及び通信経路管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
管理サーバ装置と、無線通信装置である親機と、多段構成の複数の無線通信装置である子機とからなり、各子機の検針データを上位の無線通信装置経由で管理サーバ装置へ送信し、管理サーバ装置による検針データの収集を可能とした遠隔検針システムがある(特許文献1)。
【0003】
この遠隔検針システムにおいて、管理サーバ装置-親機間の通信は携帯電話回線などの公衆回線を介して行い、「親機-1段目子機-2段目子機-・・・-N段目子機(Nは3以上の整数)」により構成される多段中継無線通信システム内の通信は特定小電力無線により行う。
【0004】
管理サーバ装置は、この多段中継無線通信システムを管理しており、一般的にはその表示画面に通信経路情報を表示する際、例えば図16に示されているようなツリー表示を採用するなどの見やすくする工夫を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-87761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
通信環境の悪化により、親機及び子機の設置当初は通信できていたものが、通信できなくなることがある。また、通信環境の変化により、より少ない中継数で通信できるようになることも想定される。しかしながら、上述したツリー表示では、通信環境を把握することはできないため、通信環境に応じて適切な通信経路を把握したり、維持したりすることができないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、無線通信装置である親機、及び多段構成の複数の無線通信装置である子機からなる無線通信システムに対して、その通信環境に応じた適切な通信経路の把握及び維持を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、無線通信装置である親機、及び多段構成の複数の無線通信装置である子機からなる無線通信システムを管理する管理サーバ装置と、通信経路管理装置と、を有する通信経路管理システムであって、前記通信経路管理装置は、前記無線通信装置の位置及び通信経路を地図とともに表示画面に表示する経路表示手段と、前記表示画面上の通信経路に対する変更指示操作に基づいて、当該通信経路の変更指示を前記管理サーバ装置へ送信する経路変更指示送信手段と、前記管理サーバ装置から、現在の通信経路及び変更予定の通信経路の電界強度を取得する電界強度取得手段と、現在の通信経路及び変更予定の通信経路並びにそれらの電界強度を表示する電界強度表示手段と、を有する、通信経路管理システムである。
また、本発明は、無線通信装置である親機、及び多段構成の複数の無線通信装置である子機からなる無線通信システムを管理する管理サーバ装置と、通信経路管理装置と、を有する通信経路管理システムであって、前記通信経路管理装置は、前記無線通信装置の位置及び通信経路を地図とともに表示画面に表示する経路表示手段と、前記表示画面上の通信経路に対する変更指示操作に基づいて、当該通信経路の変更指示を前記管理サーバ装置へ送信する経路変更指示送信手段と、前記変更指示に係る通信経路の変更が不可能な場合、前記表示画面にエラーメッセージを表示するエラーメッセージ表示手段と、を有する、通信経路管理システムである。
また、本発明は、無線通信装置である親機、及び多段構成の複数の無線通信装置である子機からなる無線通信システムを管理する管理サーバ装置と、通信経路管理装置と、を有する通信経路管理システムに使用される前記通信経路管理装置であって、前記無線通信装置の位置及び通信経路を地図とともに表示画面に表示する経路表示手段と、前記表示画面上の通信経路に対する変更指示操作に基づいて、当該通信経路の変更指示を前記管理サーバ装置へ送信する経路変更指示送信手段と、前記管理サーバ装置から、現在の通信経路及び変更予定の通信経路の電界強度を取得する電界強度取得手段と、現在の通信経路及び変更予定の通信経路並びにそれらの電界強度を表示する電界強度表示手段と、を有する通信経路管理装置である。
また、本発明は、無線通信装置である親機、及び多段構成の複数の無線通信装置である子機からなる無線通信システムを管理する管理サーバ装置と、通信経路管理装置と、を有する通信経路管理システムに使用される前記通信経路管理装置であって、前記無線通信装置の位置及び通信経路を地図とともに表示画面に表示する経路表示手段と、前記表示画面上の通信経路に対する変更指示操作に基づいて、当該通信経路の変更指示を前記管理サーバ装置へ送信する経路変更指示送信手段と、前記変更指示に係る通信経路の変更が不可能な場合、前記表示画面にエラーメッセージを表示するエラーメッセージ表示手段と、を有する、通信経路管理装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無線通信装置である親機、及び多段構成の複数の無線通信装置である子機からなる無線通信システムに対して、その通信環境に応じた適切な通信経路の把握及び維持が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る通信経路管理システムの動作環境を示す図である。
図2図1における管理サーバ装置の概略構成を示すブロック図である。
図3図1における通信経路管理装置の概略構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る通信経路管理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
図5図1における通信経路管理装置の表示画面に現在位置周辺の地図、及び地図上の通信経路管理装置の現在位置が表示されている状態を示す図である。
図6図1における管理サーバ装置のデータベースに保持されている装置情報の例を示す図である。
図7図1における通信経路管理装置の表示画面に現在位置周辺の地図、無線通信装置の位置及びその現在の通信経路が表示されている状態を示す図である。
図8図1における通信経路管理装置の表示画面に現在位置周辺の地図、無線通信装置の位置、現在の通信経路、及び変更予定の通信経路が表示されている状態を示す図である。
図9図1における通信経路管理装置の表示画面に現在位置周辺の地図、無線通信装置の位置、現在の通信経路、変更予定の通信経路、及び電界強度値が表示されている状態を示す図である。
図10図1における通信経路管理装置の表示画面に現在位置周辺の地図、無線通信装置の位置、現在の通信経路、変更予定の通信経路、電界強度値、及び確認メッセージが表示されている状態を示す図である。
図11図1における管理サーバ装置のデータベースに保持されている経路変更後の装置情報の例を示す図である。
図12図1における管理サーバ装置のデータベースに保持されている経路変更後の装置情報の別の例を示す図である。
図13図1における通信経路管理装置の表示画面に現在位置周辺の地図、無線通信装置の位置、現在の通信経路、変更予定の通信経路、及びエラーメッセージが表示されている状態を示す図である。
図14図1における通信経路管理装置の経路変更手順を示すフローチャートである。
図15図1における通信経路管理装置の表示画面に表示されるエラーメッセージの例を示す図である。
図16】従来の通信経路情報の表示態様の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
〈通信経路管理システムの動作環境〉
図1は、本発明の実施形態に係る通信経路管理システムの動作環境を示す図である。
【0012】
本発明の実施形態に係る通信経路管理システムは、管理サーバ装置1及び通信経路管理装置4により構成されている。この通信経路管理システムは、無線通信装置である親機2、及び3段構成の11台の無線通信装置である子機3からなる無線通信システムの通信経路を管理する。なお、図示した子機の段数、各段の子機数は一例であり、他の段数、他の子機数でもよい。
【0013】
この無線通信システム内(親機-子機間、子機-子機間)の通信は特定小電力無線により行われる。また、親機2は無線や有線の公衆通信回線を含む通信ネットワークNWにより管理サーバ装置1に接続されている。
【0014】
管理サーバ装置1と、無線通信システムとは、例えば各子機3に接続されたガスメータや水道メータの検針データを管理サーバ装置1に通知することにより、管理サーバ装置1による遠隔検針を行う遠隔検針システムに適用することができる。この遠隔検針システムでは、2段目以下の子機は上位の子機経由で、即ち上位の子機を中継子機として親機2を介して管理サーバ装置1へ検針データを送信する。
【0015】
通信経路管理装置4は、タブレット端末やPC(パーソナルコンピュータ)などのモバイル端末であり、通信ネットワークNWを介して、管理サーバ装置1及び地図サーバ装置5と通信可能である。地図サーバ装置5は、通信ネットワークNWを介して、管理サーバ装置1及び地図サーバ装置5に対して地図データを提供することができる。
【0016】
次に、この通信経路管理システムの概略動作について説明する(詳細については後述する。)。
管理サーバ装置1のデータベースには、各子機3が設置されたときに、公知の方法(例えば特開2006-287468号公報、特開2010-87761号公報に記載)で各子機3から通知された、中継段数、通信経路(通信相手装置である直上位の無線通信装置)、通信相手装置からの電波の電界強度などの装置情報が登録されている。
【0017】
通信経路管理装置4は、地図サーバ装置5から、例えば現在位置周辺(現在位置及びその周辺)の地図データを取得して表示し、表示されている地図の中心(例えば現在位置)から所定の半径内に存在する無線通信装置の装置情報を管理サーバ装置1から取得する。
【0018】
そして、取得された装置情報を基に、表示画面に表示されている地図上に無線通信装置のシンボル図形、通信経路としてのシンボル図形間の矢印、及び電界強度値を重ねて表示する。
【0019】
通信経路管理装置4のユーザは、無線通信装置の周辺の建物などの地理的特徴、電界強度などの情報から、ある無線通信装置の通信経路、即ち通信相手装置を変更する場合、矢印の方向を変更先の無線通信装置のシンボル図形の方向に変更する入力操作(変更指示操作)を行う。この入力操作に基づく通信経路変更指示が通信経路管理装置4から管理サーバ装置1に通知され、管理サーバ装置1から無線通信装置に通知される。
【0020】
〈管理サーバ装置の構成〉
図2は、図1における管理サーバ装置の概略構成を示すブロック図である。
管理サーバ装置1は、制御部11と、それぞれが制御部11に接続された記憶部12、通信部13、表示部14、及び操作入力部15を備えている。
【0021】
制御部11は、例えばマイクロプロセッサ及びその周辺回路等で構成され、管理サーバ装置1全体の制御や演算処理等を行う。
【0022】
記憶部12は、ROMなどの不揮発性メモリ、フラッシュメモリやハードディスク等の書換え可能な不揮発性メモリ、RAM等の揮発性メモリからなる。そして、ROMには管理サーバ装置1を動作させるために必要な制御プログラムなどが格納されている。また、RAMには制御部11が実行中の各プログラムや、それらの実行に必要な情報が格納される。また、書換え可能な不揮発性メモリには登録した各子機3の装置情報(装置番号、通信経路、中継段数、電界強度等)及び各子機3に接続された外部機器に関する情報等からなる管理データテーブルや、親機2の装置番号など、通信に必要なシステムに関する情報等が格納される。具体例については後述する。
【0023】
通信部13は、通信ネットワークNWを介して親機2、通信経路管理装置4、及び地図サーバ装置5と通信を行うことができる。表示部14は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)であり、当該無線通信システムに関する情報や子機3に接続された外部機器に関する情報、管理サーバ装置1への入力時の操作画面等を表示する。操作入力部15は、各種データや命令等を管理サーバ装置1に対して外部から入力するキーボードやマウス等の入力手段を有する。
【0024】
〈通信経路管理装置の構成〉
図3は、図1における通信経路管理装置の概略構成を示すブロック図である。
通信経路管理装置4は、制御部41と、それぞれが制御部41に接続された記憶部42、通信部(アンテナを含む)43、表示部44、操作入力部45、及び位置測定部46を備えている。
【0025】
制御部41は、例えばマイクロプロセッサ及びその周辺回路等で構成され、通信経路管理装置4全体の制御や演算処理等を行う。また、制御部41は、記憶部42に格納されたプログラムやデータを用いて各部を制御することにより、請求項に係る経路表示手段、経路変更指示送信手段、地図データ取得手段、経路取得手段、位置取得手段、電界強度取得手段、電界強度表示手段、及びエラーメッセージ表示手段を実現する。
【0026】
記憶部42は、ROMなど不揮発性メモリ、フラッシュメモリ等の書換え可能な不揮発性メモリ、RAM等の揮発性メモリからなる。そして、ROMには通信経路管理装置4を動作させるために必要な制御プログラムが格納されている。また、RAMには制御部41が実行中の各プログラムや、それらの実行に必要な情報が格納される。また、書換え可能な不揮発性メモリには、無線通信装置の通信経路の表示や変更等を実行するためのプログラムや各種設定データなどが格納される。
【0027】
通信部43は通信ネットワークNWを介して管理サーバ装置1及び地図サーバ装置5と通信を行うことができる。表示部44は、LCD等で構成されており、通信経路管理装置4の動作状態等を表示するユーザI/Fである。操作入力部45は、ボタンやスイッチ、タッチパネルからなり、通信経路管理装置4に対する所定の設定を入力するためのユーザI/Fである。位置測定部46はGPS衛星などからの電波を使用して、通信経路管理装置4の現在位置を測定する。
【0028】
〈通信経路管理システムの動作〉
次に本発明の実施形態に係る通信経路管理システムの動作の一例について説明する。
【0029】
図4は、本発明の実施形態に係る通信経路管理システムの動作の一例を示すシーケンス図である。ここでは、子機3のうち、装置番号0003の子機の通信経路を変更する場合について説明する。
【0030】
なお、このシーケンス図に示されている手順を実行する前提として、通信経路管理装置4は、位置測定部46により測定した現在位置周辺の地図データを地図サーバ装置5から取得し、表示部44の表示画面に現在位置周辺の地図と通信経路管理装置4の現在位置を表示しているものとする。図5はこの状態を示す図である。図示のように、表示画面100には道路及び建物を含む地図110が表示され、地図110の中心に通信経路管理装置4の現在位置を表すポインタ120が表示されている。なお、ここで表示する地図110を現在位置周辺に代えて所定の場所とし、通信経路管理装置4の現在位置を表すポインタ120に代えて地図の中心位置のポインタを表示してもよい。
【0031】
この状態において、通信経路管理装置4のユーザは、操作入力部45から所定の入力操作を行うと、通信経路管理装置4は管理サーバ装置1に対して、現在位置又は地図の中心から所定の半径内に存在する無線通信装置の装置情報(装置番号、経路情報、中継段数、電界強度等)を要求するための装置情報要求を送信する(手順S1)。
【0032】
管理サーバ装置1は、通信経路管理装置4からの装置情報要求に基づいて、データベースから該当する装置情報を検索し(手順S2)、装置情報を含む装置情報応答を通信経路管理装置4へ送信する(手順S3)。
【0033】
図6は、図1における管理サーバ装置のデータベースに保持されている装置情報の例を示す図である。図示のように、装置情報は、装置番号、需要家情報(住所)、通信相手装置(装置番号、中継段数、電界強度)、通信可能装置(装置番号、中継段数、電界強度)からなる。ここで、需要家情報(住所)は、無線通信装置の設置時に登録された情報であり、GPS衛星からの電波を用いて測定した位置情報を含む。手順S3により、この装置情報が通信経路管理装置4へ送信される。
【0034】
通信経路管理装置4は、管理サーバ装置1から取得した装置情報を記憶部42に格納するとともに、その装置情報を基に、表示部44の表示画面の地図上に該当する無線通信装置の位置及び現在の通信経路をプロットし、重ねて表示する(手順S4)。
【0035】
図7は、手順S4の実行により表示部44に表示される表示画面を示す図である。
図示のように、表示画面100には地図110が表示され、地図110上には、装置番号0001,0002,0003,0004,1000の各無線通信装置を表すシンボル図形(アイコン)が表示されている。また、地図110の下には「現在の経路情報」との文字が表示されている。以下、装置番号0001,0002,0003,0004,1000の無線通信装置を無線通信装置0001,無線通信装置0002,無線通信装置0003,無線通信装置0004、無線通信装置1000と言う。
【0036】
また、地図110上には無線通信装置0001の通信経路、即ち通信相手先の無線通信装置が無線通信装置0002であることを表す矢印である、基端が無線通信装置0001側に位置し、先端が無線通信装置0002側に位置する矢印131が表示されている。また、無線通信装置0002,0003,0004の通信経路を表す同様な矢印132,133,134も表示されている。
【0037】
図4の説明に戻る。次に通信経路管理装置4のユーザは、地図110上の無線通信装置0003の通信経路を表す矢印133と建物との位置関係から、現在の通信経路では通信が不安定にある可能性があると判断する。これに対して、無線通信装置1000との間には障害物が無いので、電界強度が多少低くても安定な通信ができると判断し、通信経路の変更を検討する。
【0038】
そこで、通信経路管理装置4のユーザは、図8に示されているように、無線通信装置0003の現在の通信経路を表す矢印133を、無線通信装置1000のシンボル図形を向いた矢印135に移動した後、管理サーバ装置1から電界強度を取得するための所定の入力操作を行う。通信経路管理装置4は、この入力操作に基づいて、管理サーバ装置1に対して、無線通信装置0003における無線通信装置0002及び1000からの電波の電界強度を要求するための電界強度要求を送信する(手順S5)。
【0039】
管理サーバ装置1は、電界強度要求に基づいて、無線通信装置0003に対して、無線通信装置0002,1000の現在の電界強度の取得を指示するための電界強度取得指示を送信する(手順S6)。
【0040】
無線通信装置0003は、電界強度取得指示に基づいて、無線通信装置0002,1000からの電波の電界強度を取得し、その電界強度値を含む電界強度取得応答を管理サーバ装置1へ送信する(手順S7)。管理サーバ装置1は、電界強度取得応答を受信し、電界強度値を含む電界強度応答を通信経路管理装置4へ送信する(手順S8)。通信経路管理装置4は、管理サーバ装置1から取得した電界強度値を基に、表示部44の表示画面100の地図110上に無線通信装置0002,1000の現在の電界強度値を表示する(手順S9)。
【0041】
図9は、手順S9の実行により表示部44に表示される表示画面を示す図である。
図示のように、無線通信装置0002,1000の現在の電界強度値(RSSI:6,RSSI:4)が矢印133,135の横に表示されている。
【0042】
次に、通信経路管理装置4のユーザは、無線通信装置0003の通信相手装置を無線通信装置0002から無線通信装置1000に変更するため、図9に示されている表示画面100上の矢印133を矢印135の位置に移動する操作を行う。
【0043】
この操作により、表示画面100は図10に示されている内容に変化する。図示のように、矢印133が点線に変化し、矢印135が実線に変化する。また、「経路を変更しますか?」との確認メッセージ140、実施ボタン141、及びキャンセルボタン142が表示されている。ここで実施ボタン141が押下されたものとする。
【0044】
図4の説明に戻る。通信経路管理装置4は、実施ボタン141の押下に基づいて、管理サーバ装置1に対して、通信相手装置を無線通信装置0002から1000に変更することを指示するための通信先変更指示(経路変更指示)を送信する(手順S10)。
【0045】
管理サーバ装置1は、通信経路管理装置4からの通信先変更指示を受信し、無線通信装置0003に対して、通信相手装置を無線通信装置0002から1000に変更することを指示するための通信先変更指示を送信する(手順S11)。
【0046】
無線通信装置0003は、管理サーバ装置1からの通信先変更指示に基づいて、通信相手装置を無線通信装置0002から1000に変更する通信先変更処理(手順S12)を実行し、管理サーバ装置1に対して、通信相手装置を無線通信装置0002から1000に変更したことを通知する通信先変更応答を送信する(手順S13)。
【0047】
管理サーバ装置1は、無線通信装置0003からの通信先変更応答を受信し、通信経路管理装置4に対して、通信先変更応答を送信する(手順S14)。通信経路管理装置4では、通信先変更応答を受信することで、表示部44に表示されている表示画面100における無線通信装置0003の現在の通信経路が図10における矢印135となる。
【0048】
また、この通信先変更により、管理サーバ装置1の記憶部12内のデータベース上の装置情報、及び通信経路管理装置4の記憶部42に保持されている装置情報が図11及び図12に示されている内容に変更される。
【0049】
即ち、図11に示されているように、装置番号0003の通信相手装置欄の内容が通信可能装置欄の装置番号1000の内容に書き換えられる。また、図12に示されているように、通信可能装置欄の装置番号0003の中継段数が1に書き換えられる。
【0050】
ここで、変更予定先の通信相手装置が変更不可能な場合について説明する。
図13は、図1における通信経路管理装置の表示画面に現在位置周辺の地図、無線通信装置の位置、現在の通信経路、変更予定の通信経路、及びエラーメッセージが表示されている状態を示す図である。
【0051】
ここでは、無線通信装置0003の通信相手装置を無線通信装置0001に変更しようとして、矢印133を矢印136の位置にドラッグ&ドロップしたときに、「中継数オーバーのため経路変更できません」とエラーメッセージ150を表示している。また、矢印136の変更不可能なことを表す色(例えばグレー)で表示する。
【0052】
〈通信経路管理装置の経路変更手順のフロー〉
図14は、図1における通信経路管理装置の経路変更手順を示すフローチャートである。このフローは、通信経路管理装置4の表示部44に例えば図9に示されている表示画面100が表示されているときにスタートする。
【0053】
まず制御部41は、記憶部42で保持されている装置情報を参照して、経路変更の移動先の無線通信装置が中継可能か否かを判断する(ステップST1)。そして、中継可能と判断した場合は(ステップST1:Yes)、経路変更を実施する確認メッセージを表示部44に表示させる(ステップST2)。一方、中継不可能と判断した場合は(ステップST1:No)、経路変更不可能のメッセージ(エラーメッセージ)を表示部44に表示させる(ステップST3)。
【0054】
ここで、確認メッセージ、エラーメッセージは、それぞれ例えば図10図13に示されているものである。エラーメッセージの複数の例を図15に示す。図15において、エラーメッセージ1は、図13に示されているものである。エラーメッセージ1~4は、それぞれ下記の場合に表示される。
1:中継数の最大値(例えば4段)を超える場合
2:接続に必要とされる電界強度値が閾値を下回る場合
3:通信頻度が高まり、電池の消耗が促進される場合
4:接続されている子機数が閾値を上回る場合
【0055】
制御部41は、ステップST2を実行した場合は、次に経路変更を実施するか否かを判断する(ステップST4)。この判断は、例えば図10における実施ボタン141が押下されたかキャンセルボタン142が押下されたかに基づいて行う。そして、実施すると判断した場合は(ステップST4:Yes)、経路変更処理(ステップST5)を実施した後、この図に示されているフローを終了させる。一方、実施しないと判断した場合は(ステップST4:No)、そのままこの図に示されているフローを終了させる。また、ST3を実行した場合も、そのままこの図に示されているフローを終了させる。
【0056】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態に係る通信経路管理システムにより、下記(1)~(4)の効果が得られる。
(1)無線通信装置の周辺の地形的特長や周辺の無線通信装置の場所などを見える化することができる。
(2)見える化することで、現場の状況に応じて柔軟に通信経路を管理することができるようになる。
(3)通信経路が変更できない場合は、エラーメッセージを表示することで、その旨をユーザに知らせることができる。
(4)リアルタイムに電界強度を取得し、表示することで、現状態で最適な通信経路の管理が可能となる。
【0057】
〈変形例〉
(i)通信経路が変更できない場合は、矢印が動かないようにする。
(ii)無線通信装置に接続されているセンサなどの情報を表示する。
(iii)電界強度を周期的に取得し、矢印と共にグラフを表示することで、長期的な電界強度を把握し、より適切な通信経路の管理を可能とする。
(iv)図4における手順S5~S9を省略する、又は実行するかしないかを選択可能にする。
【符号の説明】
【0058】
1…管理サーバ装置、2…親機、3…子機、4…通信経路管理装置、41…制御部、43…通信部、44…表示部、45…操作入力部、46…位置測定部。
図1
図2
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図5
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図9
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図16