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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】力検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/14 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
G01L1/14 J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2017194122
(22)【出願日】2017-10-04
(65)【公開番号】P2019066409
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】緒方 健治
(72)【発明者】
【氏名】秋葉 一人
(72)【発明者】
【氏名】九郎丸 彰宏
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-528791(JP,A)
【文献】登録実用新案第3172413(JP,U)
【文献】特開平6-323933(JP,A)
【文献】国際公開第2002/044649(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00- 1/26
G01L 5/00- 5/28
G01B 7/00- 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定して配置される固定体と、
検出対象となる一方向からの力を受ける受力体と、
前記受力体が受ける力の方向に交差する方向に配列され前記受力体と前記固定体との相対変位に応じて静電容量が変動する複数の静電容量素子を有し、前記複数の静電容量素子の静電容量の変化量の違いに基づいて、前記受力体が力を受ける位置を検出する検出手段と、
を備え
前記受力体の中心を原点とし、前記受力体が受ける力の方向に沿った軸を縦軸とし、前記受力体が力を受ける位置座標を示す軸を横軸とする2次元直交座標系を規定した場合に、
前記受力体及び前記固定体の対向関係が、前記縦軸及び前記横軸に関して線対称であり、
前記検出手段では、
前記複数の静電容量素子が、前記2次元直交座標系の第1象限、第2象限、第3象限及び第4象限の各象限に配設されている、
検出装置。
【請求項2】
前記受力体と前記固定体との間を接続し、前記受力体で受けた力に応じて変形する変形体を備え、
前記検出手段では、
前記静電容量素子の一方の電極が、前記変形体に設けられ、
前記静電容量素子の他方の電極が、前記受力体又は前記固定体に設けられている、
請求項1に記載の力検出装置。
【請求項3】
前記変形体は、
前記受力体との接続点と前記固定体との接続点との間隔が、前記受力体が受ける力に応じて変化するように、前記受力体及び前記固定体に接続され、
前記接続点の間隔の変化に応じて前記一方の電極の位置が変化するように湾曲している、
請求項2に記載の力検出装置。
【請求項4】
前記静電容量素子の一方の電極が、前記受力体に設けられ、
前記静電容量素子の他方の電極が、前記固定体に設けられている、
請求項1に記載の力検出装置。
【請求項5】
前記検出手段では、
前記静電容量素子が、前記受力体が受ける力の方向に沿って複数配列されている、
請求項1から4のいずれか一項に記載の力検出装置。
【請求項6】
前記受力体は、前記第3象限から前記第2象限に向かう力、または、前記第4象限から前記第1象限に向かう力を受け、
前記検出手段は、
前記第1象限と前記第2象限における静電容量素子の静電容量の変化量の違いと、前記第3象限と前記第4象限における静電容量素子の静電容量の変化量の違いと、に基づいて、前記受力体が受ける力の位置を算出する演算部を有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の力検出装置。
【請求項7】
前記演算部は、
前記第1、第2、第3、第4象限の静電容量素子の静電容量の変化量の総和に基づいて、力の大きさを算出する、
請求項に記載の力検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、力を受けることで、電極同士において対向する面積が変わり、それに伴って変化した電極間の静電容量に基づいて、その力の大きさを検出する力検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-128096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された力検出装置では、複数の電極を用いて、複数の方向の力やモーメントが検出される。しかしながら、この力検出装置では、力が加えられた位置を検出するのは困難である。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、力が加えられた位置を検出することができる力検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る力検出装置は、
固定して配置される固定体と、
検出対象となる一方向からの力を受ける受力体と、
前記受力体が受ける力の方向に交差する方向に配列され前記受力体と前記固定体との相対変位に応じて静電容量が変動する複数の静電容量素子を有し、前記複数の静電容量素子の静電容量の変化量の違いに基づいて、前記受力体が力を受ける位置を検出する検出手段と、
を備え
前記受力体の中心を原点とし、前記受力体が受ける力の方向に沿った軸を縦軸とし、前記受力体が力を受ける位置座標を示す軸を横軸とする2次元直交座標系を規定した場合に、
前記受力体及び前記固定体の対向関係が、前記縦軸及び前記横軸に関して線対称であり、
前記検出手段では、
前記複数の静電容量素子が、前記2次元直交座標系の第1象限、第2象限、第3象限及び第4象限の各象限に配設されている
【0007】
この場合、前記受力体と前記固定体との間を接続し、前記受力体で受けた力に応じて変形する変形体を備え、
前記検出手段では、
前記静電容量素子の一方の電極が、前記変形体に設けられ、
前記静電容量素子の他方の電極が、前記受力体又は前記固定体に設けられている、
こととしてもよい。
【0008】
前記変形体は、
前記受力体との接続点と前記固定体との接続点との間隔が、前記受力体が受ける力に応じて変化するように、前記受力体及び前記固定体に接続され、
前記接続点の間隔の変化に応じて前記一方の電極の位置が変化するように湾曲している、
こととしてもよい。
【0009】
前記静電容量素子の一方の電極が、前記受力体に設けられ、
前記静電容量素子の他方の電極が、前記固定体に設けられている、
こととしてもよい。
【0010】
前記検出手段では、
前記静電容量素子が、前記受力体が受ける力の方向に沿って複数配列されている、
こととしてもよい。
【0012】
前記受力体は、前記第3象限から前記第2象限に向かう力、または、前記第4象限から前記第1象限に向かう力を受け、
前記検出手段は、
前記第1象限と前記第2象限における静電容量素子の静電容量の変化量の違いと、前記第3象限と前記第4象限における静電容量素子の静電容量の変化量の違いと、に基づいて、前記受力体が受ける力の位置を算出する演算部を有する、
こととしてもよい。
【0013】
前記演算部は、
前記第1、第2、第3、第4象限の静電容量素子の静電容量の変化量の総和に基づいて、力の大きさを算出する、
こととしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、受力体が受ける力の方向に交差する方向に配列され受力体と固定体との相対変位に応じて静電容量が変動する複数の静電容量素子を有しているので、その静電容量の変化量の違いに基づいて、力が加えられる位置を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1(A)は、本発明の実施の形態1に係る力検出装置の上面図である。図1(B)は、図1(A)の力検出装置の底面図である。図1(C)は、図1(A)のA-A断面図である。
図2】受力体が力を受ける位置がX=0であるときの図1(C)のB-B断面図である。
図3】受力体が力を受けたときの変形体の変形の様子を示す模式図である。
図4】受力体が力を受ける位置がX=0であるときの静電容量の変化量を示す図である。
図5】受力体が力を受ける位置がX=Δxであるときの図1(C)のB-B断面図である。
図6】受力体が力を受ける位置がX=Δxであるときの静電容量の変化量を示す図である。
図7】原点まわりのトルクに対する変形体の変形の様子を示す模式図である。
図8】原点まわりのトルクに対する静電容量の変化量を示す図である。
図9図9(A)は、本発明の実施の形態2に係る力検出装置の上面図である。図9(B)は、図9(A)の力検出装置の底面図である。図9(C)は、図9(A)のC-C断面図である。
図10図9(C)のD-D断面図である。
図11】受力体が力を受ける位置がX=0であるときの受力体が力を受けたときの静電容量の変化量を示す図である。
図12】受力体が力を受ける位置がX=Δxであるときの静電容量の変化量を示す図である。
図13】本発明の実施の形態3に係る力検出装置の上面図である。
図14】受力体が力を受ける位置がX=0であるときの受力体が力を受けたときの変位電極の移動方向を示す図である。
図15】受力体が力を受ける位置がX=Δxであるときの受力体が力を受けたときの変位電極の移動方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1
まず、本発明の実施の形態1について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
図1(A)、図1(B)及び図1(C)に示すように、本実施の形態に係る力検出装置1Aは、全体が矩形平板状である。力検出装置1Aは、固定体2Aと受力体3Aとを主たる構成要素とし、固定体2Aと受力体3Aと第1のカバーKAと第2のカバーKBとで力検出装置1Aの全体の外形が形成される。
【0018】
図1(A)に示すように、+z側では第1のカバーKAが面しており、図1(B)に示すように、-z側では固定体2Aと第2のカバーKBとが面している。第1のカバーKAと第2のカバーKBとで形成された内部空間に、固定体2Aと受力体3Aとが配置される。また、図1(A)のA-A断面を示す図1(C)に示すように、固定体2Aと受力体3Aとは、xy平面内に配列されている。ここで、受力体3Aは、第1のカバーKA及び第2のカバーKBに固定される。一方で、固定体2Aは、第1のカバーKA及び第2のカバーKBに固定されない。このため、固定体2Aと受力体3Aとを、それぞれ別々の外部の部材に保持させることで、受力体3Aは、固定体2Aに対し、予め定められた範囲においてxy平面上を移動可能になる。
【0019】
図1(C)のB-B断面を示す図2に示すように、本実施の形態では、この力検出装置1Aの中心位置に原点Oを有するXY2次元直交座標系を定義する。図2では、図の左右方向にX軸(紙面右側が+X方向)、図の上下方向にY軸(紙面上側が+Y方向)が定義されている。X軸はx軸に平行であり、Y軸はy軸に平行である。本実施の形態では、一方向からの力として受力体3Aが受ける+Y方向の力Fが検出対象となる。
【0020】
図2に示すように、力検出装置1Aにおいて、固定体2Aは、原点Oに中心が位置する円柱状の部分を有する。また、受力体3Aは、その外側を取り囲むように配置された矩形枠状の部分を有する。固定体2Aは、受力体3Aと空間を隔てて配置されている。受力体3Aは、検出対象となる+Y方向の力Fを受ける。力Fを受けていない状態では、固定体2A(円柱状の部分)の中心と受力体3Aの中心とが一致している。
【0021】
さらに、力検出装置1Aは、4つの変形体4を備える。各変形体4は、固定体2Aと受力体3Aとの間に配置され、固定体2Aと受力体3Aとを接続する。より具体的には、変形体4は、固定体2Aの外側面と受力体3Aの内側面とを接続する。この力検出装置1Aでは、変形体4として、XY2次元座標系の第1象限に配置された第1の変形体4Aと、第2象限に配置された第2の変形体4Bと、第3象限に配置された第3の変形体4Cと、第4象限に配置された第4の変形体4Dと、が設けられている。以下、適宜、単に変形体4A,4B,4C,4Dとも呼ぶ。
【0022】
第1の変形体4Aは、第1の突出体4Aaと、第2の突出体4Abと、延設体4Acと、を備える。同様に、第2の変形体4Bは、第1の突出体4Baと、第2の突出体4Bbと、延設体4Bcと、を備え、第3の変形体4Cは、第1の突出体4Caと、第2の突出体4Cbと、延設体4Ccと、を備え、第4の変形体4Dは、第1の突出体4Daと、第2の突出体4Dbと、延設体4Dcと、を備える。
【0023】
第1の突出体4Aa~4Daは、固定体2Aにおける受力体3Aを向いた面から受力体3Aに向けて突出した板状の部材である。第2の突出体4Ab~4Dbは、受力体3Aにおける固定体2Aを向いた面から固定体2Aに向けて突出した板状の部材である。延設体4Ac~4Dcは、第1の突出体4Aa~4Daの先端と、第2の突出体4Ab~4Dbの先端とに接続されて延設された板状の部材である。延設体4Ac~4Dcは、原点Oを中心とする円の円周に沿って延びている。
【0024】
このように、4つの変形体4A~4Dは、受力体3A及び固定体2Aに接続され、受力体3Aとの接続点と固定体2Aとの接続点との間隔が、受力体3Aが受ける力Fに応じて変化するように、受力体3A及び固定体2Aに接続されている。
【0025】
ここで、第1の変形体4A、第2の変形体4Bは、X軸を対称軸として、第4の変形体4D、第3の変形体4Cと線対称であり、第1の変形体4A、第4の変形体4Dは、Y軸を対称軸として、第2の変形体4B,第3の変形体4Cと線対称である。すなわち、本実施の形態では、受力体3Aの中心を原点Oとし、受力体3Aが受ける力Fの方向に沿った軸をY軸とし、受力体3Aが力を受ける位置に関する軸をX軸とする2次元直交座標系を規定した場合に、受力体3A及び固定体2Aの対向関係が、Y軸及びX軸に関して線対称である。
【0026】
ここで、4つの延設体4Ac,4Bc,4Cc,4Dcは、原点Oを中心とする半径方向の厚みが受力体3Aと比較して薄い板状の部材であるため、受力体3Aが受ける+Y方向の力Fにより、大きく弾性変形する。延設体4Ac,4Bc,4Cc,4Dcの中央部分には、原点Oを基準として若干外側へ向かって凸状に隆起した隆起部が形成されている。これらの各隆起部は、後述するように、変位電極を形成する便宜を図るためのものであり、本発明の検出原理上は、必要なものではない。
【0027】
もちろん、力検出装置1Aは、同一の材質からなる一体構造体であり、これを、例えば鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属によって構成すれば、力Fの作用により、すべての部分に弾性変形が生じることになる。しかしながら、固定体2A、受力体3Aに生じる弾性変形は、変形体4A~4Dに生じる弾性変形に比べてわずかである。
【0028】
力検出装置1Aは、検出手段5として、4組の検出体5A~5Dを備える。これら4組の検出体5A~5Dは、変形体4A~4Dに生じる弾性変形を電気的に検出する機能を有しており、いずれも静電容量素子である。すなわち、検出体5A~5Dは、変形体4A~4Dの外側面に形成された変位電極と、受力体3Aの内側面に形成された固定電極と、を対向させた静電容量素子を備えている。すなわち、検出体5A~5Dは、変形体4A~4Dと受力体3Aとに対向して設けられた電極同士で構成される静電容量素子を有している。+Y方向の力Fにより、変形体4A~4Dが弾性変形し、静電容量素子の特性値(静電容量)が変化する。
【0029】
続いて、図1に示す力検出装置1Aの動作について、図3を参照しながら説明する。なお、実際には、受力体3Aは矩形枠状であるが、図3においては、発明の理解を容易にするために、受力体3Aを、円形枠状で示している。
【0030】
延設体4Ac,4Bc,4Cc,4Dcの外側面の4箇所には、それぞれ変位電極E11,E12,E13,E14が設けられており、変位電極E11,E12,E13,E14に対向する受力体3Aの内側面の4箇所には、それぞれ固定電極F11,F12,F13,F14が設けられている。
【0031】
より具体的には、延設体4Acの外側面の隆起部には変位電極E11が設けられ、受力体3Aの対向面には、変位電極E11に対向する固定電極F11が設けられている。これら一対の電極(変位電極E11,固定電極F11)は、静電容量素子を構成する。第1の検出体5Aは、この静電容量素子に他ならない。
【0032】
また、延設体4Bcの外側面の隆起部に変位電極E12が設けられ、受力体3Aの対向面に固定電極F12が設けられて、第2の検出体5Bとなる静電容量素子が構成される。同様に、延設体4Ccの外側面の隆起部に変位電極E13が設けられ、受力体3Aの対向面に固定電極F13が設けられ、第3の検出体5Cとなる静電容量素子が構成される。また、延設体4Dcの外側面の隆起部に変位電極E14が設けられ、受力体3Aの対向面に固定電極F14が設けられて、第4の検出体5Dとなる静電容量素子が構成される。
【0033】
なお、延設体4Ac,4Bc,4Cc,4Dcの外側面の隆起部と各変位電極E11~E14との間には絶縁基板が挿入され、受力体3Aと各固定電極F11~F14との間にも絶縁基板が挿入されている。本実施の形態では、力検出装置1Aが金属からなる一体構造体によって構成されており、個々の電極を電気的に独立させる必要があるためである。したがって、力検出装置1Aを樹脂などの絶縁材料によって構成した場合は、絶縁基板を設ける必要はない。
【0034】
ここで、力検出装置1Aの検出動作を説明するうえで、便宜上、図3に示すように、固定体2Aと変形体4A,4B,4C,4Dとの接続点である内側支持点P1,P2,P3,P4、及び、受力体3Aと変形体4A,4B,4C,4Dとの接続点である外側支持点Q1,Q2,Q3,Q4、を定義する。
【0035】
固定体2Aを固定した状態において、受力体3Aに対して、図3に矢印で示すように、+Y方向の力FがX=0の位置で作用した場合に、変形体4A,4B,4C,4Dにどのような変形が生じるかを考えてみる。この場合、内側支持点P1,P2,P3,P4は、固定体2Aに接続されているため固定点になる。一方、外側支持点Q1,Q2,Q3,Q4は、受力体3Aに接続されているため、受力体3Aに対して+Y方向の力FがX=0の位置で作用した場合、その力Fの作用を受ける。
【0036】
そうすると、例えば、点Q1は点P1から遠ざかるように移動するので、第1の変形体4A(延設体4Ac)は半径方向内側にへこむように変形する。その結果、変位電極E11は、固定電極F11から遠ざかり、両電極によって構成される静電容量素子(第1の検出体5A)の静電容量は減少する。この静電容量の変化量をC1とする。同様に、点Q2は点P2から遠ざかるように移動するので、第2の変形体4B(延設体4Bc)も半径方向内側にへこむように変形する。その結果、変位電極E12は、固定電極F12から遠ざかり、両電極によって構成される静電容量素子(第2の検出体5B)の静電容量は減少する。この静電容量の変化量をC2とする。
【0037】
一方、点Q3は点P3に近づくように移動するので、第3の変形体4C(延設体4Cc)は半径方向外側に膨らむように変形する。その結果、変位電極E13は、固定電極F13へ近づき、両電極によって構成される静電容量素子(第3の検出体5C)の静電容量は増加する。この静電容量の変化量をC3とする。また、点Q4は点P4に近づくように移動するので、第4の変形体4D(延設体4Dc)は半径方向外側に膨らむように変形する。その結果、変位電極E14は、固定電極F14に近づき、両電極によって構成される静電容量素子(第4の検出体5D)の静電容量は増加する。この静電容量の変化量をC4とする。静電容量の変化量C1~C4を求めると、図4に示すようになる。
【0038】
なお、固定体2Aを固定した状態において、-Y方向の力が受力体3Aに対して作用した場合、上述とは逆となる動きが生じ、静電容量の変化量C1~C4は、上述とは逆となる変化を示す。
【0039】
このように、検出手段5では、複数の検出体(静電容量素子)5A~5Dが、XY2次元直交座標系の第1象限から第4象限までの各象限に配設されている。変形体4A~4Dは、固定体2A及び受力体3Aとの接続点の間隔の変化に応じて一方の電極の位置が変化するように湾曲しており、その湾曲により静電容量が変化する。その静電容量の変化量C1~C4に基づいて、力Fの大きさや力Fを受ける位置を検出することができる。
【0040】
図1に示すように、力検出装置1Aには、駆動制御部10が接続されている。駆動制御部10は、力検出装置1Aへ電力を供給するとともに、静電容量素子5A~5Dの静電容量の変化量C1~C4を入力し、静電容量素子5A~5Dの静電容量の変化量C1~C4に基づいて、力Fの大きさや力Fを受ける位置を演算により検出する検出手段5の一部としての演算部6を備える。
【0041】
演算部6は、静電容量の変化量C1~C4を入力し、以下の式の計算結果L1に基づいて、力Fの大きさを算出する。
L1=(C4-C1)+(C3-C2)…(1)
計算結果L1と力Fとの間には相関関係がある。計算結果L1を求めれば、そのときの力Fを求めることができる。
【0042】
例えば、図4に示すように、受力体3Aが+Y方向の力FをX=0の位置で受けると、静電容量素子5A~5Dにおける静電容量の変化量C1~C4については、C1,C2が-ΔCだけ減少し、C3,C4が+ΔCだけ増加し、力Fの大きさが大きくなればなるほど、C1,C2が減少し、C3,C4が増加して、計算結果L1も大きくなる。逆に言えば、計算結果L1を求めれば、相関関係から、力Fの大きさを求めることができる。
【0043】
なお、上記式(1)では、C4とC1との差分となっているが、静電容量素子5Aと静電容量素子5Dとは、固定体2Aと受力体3Aとの向きが逆となっているため、実際には、この項は、第1、第4象限の静電容量素子5A,5Dの静電容量の変化量の和に対応する。また、上記式(1)では、C3とC2との差分となっているが、静電容量素子5Bと静電容量素子5Cとは、固定体2Aと受力体3Aとの向きが逆となっているため、実際には、この項は、第3、第2象限の静電容量素子5C,5Bの静電容量の変化量の和に対応する。したがって、上記式(1)は、第1、第2、第3、第4象限の静電容量素子5A~5Dの静電容量の変化量の総和に対応する。
【0044】
さらに、演算部6は、静電容量素子5A~5Dの静電容量の変化量C1~C4を用いて、以下の式の計算結果L2に基づいて、受力体3Aが力Fを受けるX軸上の位置Δx(図5参照)を検出する。
L2=(C2-C1)+(C4-C3)…(2)
計算結果L2と力Fを受けるX軸上の位置との間には相関関係があり、計算結果L2を用いれば、受力体3Aが力Fを受けるX軸上の位置Δxを検出することができる。
【0045】
ここで、受力体3Aが+Y方向の力Fを受ける位置と、計算結果L2との関係について考える。図4に示すように、+Y方向の力Fを受ける位置がX=0である場合には、C1=C2=-ΔC,C3=C4=+ΔCとなるため、計算結果L2は0となり、受力体3Aが+Y方向の力Fを受ける位置はX=0であると検出される。一方、図5に示すように、+Y方向の力Fを受ける位置がX=0からX=Δxへ変化した場合には、静電容量素子5A~5Dにおける静電容量の変化量C1~C4は、図4に示す状態から、図6に示す状態に変化する。
【0046】
図6に示すように、静電容量の変化量C1は-ΔCから減少し、静電容量の変化量C2は-ΔCから増加し、静電容量の変化量C3はΔCから減少し、静電容量の変化量C4はΔCから増加する。この場合、計算結果L2の各項であるC2-C1及びC4-C3は正の値となる。Δxが大きくなればなるほど、計算結果L2の値は大きくなり単調増加となる。したがって、予め計算結果L2とΔxとの相関関係が既知であれば、計算結果L2に基づいて、+Y方向の力Fを受ける位置Δxを求めることができる。
【0047】
なお、上記式(2)では(C2-C1)と(C4-C3)との和を算出している。これは、静電容量素子5A,5Bと静電容量素子5D,5Cとは、固定体2Aと受力体3Aとの向きが逆となっているためである。この式は、第1象限と第2象限における静電容量素子5A,5Bの静電容量の変化量C1,C2の違いと、第3象限と第4象限における静電容量素子5C,5Dの静電容量の変化量C3,C4の違いとの和に対応する。
【0048】
ここで、図7に示すように、受力体3Aが原点Oまわり(左まわり)のトルクを受けた場合について考える。この場合、Q1-P1間、Q3-P3間は広くなり、Q2-P2間、Q4-P4間は狭くなる。このため、図8に示すように、静電容量素子5A,5Cの静電容量の変化量C1,C3は減少して-ΔCとなり、静電容量素子5B,5Dの静電容量の変化量C2,C4は増加してΔCとなるが、上記式(1)の計算結果L1は0となる。したがって、上記式(1)を用いれば、原点Oまわりのトルクの成分を除去した状態で力Fを検出することができる。
【0049】
このように複数の静電容量素子5A~5Dを用いた検出は、検出誤差を低減する上で効果的である。例えば、温度環境の変化により、力検出装置1Aの各部に膨張や収縮が生じ、各静電容量素子5A~5Dの電極間隔が変化した場合にも、上記差分検出を行えば、そのような電極間隔の変化に基づいて生じる誤差を相殺することができる。
【0050】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、受力体3Aが受ける力Fの方向(Y軸方向)に交差するX軸方向に配列され、受力体3Aと固定体2Aとの相対変位に応じて静電容量が変動する複数の静電容量素子5A~5Dを有しているので、その静電容量の変化量C1~C4の違いに基づいて、力Fが加えられる位置を検出することができる。
【0051】
また、本実施の形態によれば、静電容量素子5A~5Dの変位電極E11~E14は、変形体4A~4Dに設けられている。変形体4A~4Dは、受力体3Aとの接続点と固定体2Aとの接続点との間隔が、受力体3Aが受ける力に応じて変化するように、受力体3A及び固定体2Aに接続され、接続点の間隔の変化に応じて一方の電極(変位電極E11~E14)の位置が変化するように湾曲している。このような構成にすれば、変形体4A~4Dの湾曲により変位電極E11~E14の変位を大きくすることができる。この結果、静電容量素子5A~5Dの静電容量の変化量C1~C4を大きくすることができるので、力検出装置1Aの感度を大きくして、力Fが加えられる位置の検出精度を高くすることができる。
【0052】
なお、検出手段5では、静電容量素子5A~5Dの一方の変位電極E11~E14が、変形体4A~4Dに設けられ、静電容量素子5A~5Dの他方の固定電極F11~F14が、受力体3Aに設けられているが、他方の固定電極F11~F14は、固定体2Aに設けられていてもよい。
【0053】
検出手段5では、静電容量素子5A~5Dが、受力体3Aが受ける力の方向に沿って複数配列されている。これにより、力Fの位置を検出するための情報の数を増やすことができるので、力Fの位置を精度良く検出することができる。
【0054】
実施の形態2
次に、本発明の実施の形態2について図面を参照して詳細に説明する。
【0055】
図9に示すように、本実施の形態に係る力検出装置1Bは、全体が矩形平板状である。力検出装置1Bは、固定体2Bと受力体3Bとを主たる構成要素とし、固定体2Bと受力体3BとカバーKCとで力検出装置1Aの全体の外形が形成される。図9(A)、図9(B)及び図9(C)に示すように、固定体2Bと受力体3Bとがz軸方向に組み合わされて、力検出装置1Bが構成されている。
【0056】
固定体2Bは、受力体3Bと空間を隔てて配置されており、受力体3Bは、固定体2Bに固定される外部の部材とは別の部材に保持されている。カバーKCは、固定体2Bの一部及び受力体3Bを覆う。受力体3Bは、カバーKCに固定されており、検出対象となる+Y軸方向の力Fを、カバーKCを介して受ける。一方で、固定体2BはカバーKCに固定されていない。このため、固定体2BとカバーKC(受力体3B)とを、それぞれ別々の外部の部材に保持させることで、受力体3Bは、固定体2Bに対し、予め定められた範囲においてxy平面上を移動可能になる。なお、力Fを受けていない状態では、固定体2Bの中心と受力体3Bの中心とが原点Oで一致している。
【0057】
力検出装置1Bにおいては、変形体4(4A~4D)は設けられていない。一方、力検出装置1Bにおいて、固定体2Bには、受力体3B(+z方向に)に向けて突出する突出部2Ba~2Bdが設けられている。また、受力体3Bには、固定体2B(-z方向に)に向けて突出する突出部3Baが設けられている。図10に示すように、突出部2Ba~2Bdと突出部3Baとは、Y軸方向に対向するように配置される。力検出装置1Bでは、検出手段5としての検出体5A~5Dは、突出部2Ba~2Bdと、突出部3Baとの間に設けられている。
【0058】
突出部2Ba~2Bdの側面には、それぞれ固定電極(第2の電極)F11,F12,F13,F14が設けられている。突出部3Baには、固定電極(第2の電極)F11,F12,F13,F14に対向して、それぞれ変位電極(第1の電極)E11,E12,E13,E14が設けられている。すなわち、力検出装置1Bでは、静電容量素子5A~5Dの一方の変位電極E11,E12,E13,E14が、受力体3Bに設けられ、静電容量素子5A~5Dの他方の固定電極F11,F12,F13,F14が、固定体2Bに設けられている。したがって、変位電極E11,固定電極F11によって静電容量素子5Aが構成され、変位電極E12,固定電極F12によって静電容量素子5Bが構成され、変位電極E13,固定電極F13によって静電容量素子5Cが構成され、変位電極E14,固定電極F14によって静電容量素子5Dが構成される。
【0059】
固定体2Bを固定した状態において、受力体3Bに対して+Y方向の力が作用した場合に、変位電極E11は固定電極F11に近づくように移動し、両電極によって構成される静電容量素子(第1の検出体5A)の静電容量の変化量C1は増加する。同様に、変位電極E12は固定電極F12に近づくように移動し、両電極によって構成される静電容量素子(第2の検出体5B)の静電容量の変化量C2は増加する。
【0060】
一方、変位電極E13は固定電極F13から遠ざかるように移動し、両電極によって構成される静電容量素子(第3の検出体5C)の静電容量の変化量C3は減少する。同様に、変位電極E14は固定電極F14から遠ざかるように移動し、両電極によって構成される静電容量素子(第4の検出体5D)の静電容量値の変化量C4は減少する。
【0061】
なお、固定体2Bを固定した状態において、-Y方向の力が受力体3Bに対して作用した場合、上述とは逆となる動きが生じ、静電容量の変化量C1~C4は、上述とは逆となる変化を示す。
【0062】
本実施の形態でも、検出手段5では、複数の静電容量素子5A~5Dが、XY2次元直交座標系の第1象限から第4象限までの各象限にそれぞれ配設されている。演算部6は、これらの静電容量素子5A~5Dの静電容量の変化量C1~C4に基づいて、力Fの大きさや位置を検出する。
【0063】
演算部6は、静電容量の変化量C1~C4を入力し、以下の式の計算結果L3に基づいて、力Fの大きさを算出する。
L3=(C1-C4)+(C2-C3)…(3)
計算結果L3と力Fとの間には相関関係があり、計算結果L3を求めれば、そのときの力Fを求めることができる。
【0064】
例えば、受力体3Bが+Y方向の力FをX=0で受けると、静電容量素子5A~5Dにおける静電容量の変化量C1~C4については、図11に示すように、C1,C2がΔCだけ増加し、C3,C4が-ΔC減少する。力Fの大きさが大きくなればなるほど、C1,C2は増加し、C3,C4が減少して、計算結果L3も大きくなる。したがって、計算結果L3を用いれば、相関関係から、力Fの大きさを求めることができる。
【0065】
なお、上記式(3)は、C1とC4との差分の項を含んでいるが、静電容量素子5Aと静電容量素子5Dとは、固定体2Bと受力体3Bとの向きが逆となっているため、実際には、この項は、第1、第4象限の静電容量素子5A,5Dの静電容量の変化量の和に対応する。また、上記式(3)は、C2とC3との差分の項を含んでいるが、静電容量素子5Bと静電容量素子5Cとは、固定体2Bと受力体3Bとの向きが逆となっているため、実際には、この項は、第3、第2象限の静電容量素子5C,5Bの静電容量の変化量の和に対応する。したがって、上記式(3)は、第1、第2、第3、第4象限の静電容量素子5A~5Dの静電容量の変化量の総和に対応する。
【0066】
さらに、演算部6は、静電容量素子5A~5Dの静電容量の変化量C1~C4を用いて、以下の式の計算結果L4に基づいて、受力体3Bが力Fを受けるX軸上の位置Δx(図12参照)を検出する。
L4=(C1-C2)+(C3-C4)…(4)
計算結果L4と力Fを受けるX軸上の位置との間には相関関係があるので、計算結果L4を用いれば、受力体3Bが力Fを受けるX軸上の位置Δxを検出することができる。
【0067】
ここで、受力体3Bが+Y方向の力Fを受ける位置と、計算結果L4との関係について考える。図11に示すように、+Y方向の力Fを受ける位置がX=0である場合には、C1=C2=ΔC,C3=C4=-ΔCとなるため、計算結果L4は0となり、受力体3Bが+Y方向の力Fを受ける位置はX=0であると検出される。一方、+Y方向の力Fを受ける位置がX=0からX=Δxへ変化した場合には、静電容量素子5A~5Dにおける静電容量の変化量C1~C4は、図11に示す状態から、図12に示す状態に変化する。
【0068】
すなわち、静電容量の変化量C1はΔCから増加し、静電容量の変化量C2はΔCから減少し、静電容量の変化量C3は-ΔCから増加し、静電容量の変化量C4は-ΔCから減少する。これにより、C1-C2及びC3-C4は正の値となる。Δxが大きくなればなるほど、計算結果L4の値は大きくなる。したがって、計算結果L4に基づいて、+Y方向の力Fを受ける位置Δxを求めることができる。
【0069】
なお、上記式(4)では(C1-C2)と(C3-C4)との和を算出している。これは、静電容量素子5A,5Bと静電容量素子5D,5Cについて、固定体2Bと受力体3Bとの向きが逆となっているためである。この式は、第1象限と第2象限における静電容量素子5A,5Bの静電容量の変化量C1,C2の違いと、第3象限と第4象限における静電容量素子5C,5Dの静電容量の変化量C3,C4の違いとの和に対応する。
【0070】
以上述べたように、本実施の形態によれば、静電容量素子5A~5Dの一方の変位電極E11~E14が、受力体3Bに設けられ、静電容量素子5A~5Dの他方の固定電極F11~F14が、固定体2Bに設けられている。このようにすれば、変形体4A~4Dを備える必要がなくなるので、部品点数を減らし、装置構成を簡単なものとして、故障の発生を低減したり、装置の寿命を延ばしたりすることができる。
【0071】
実施の形態3
次に、本発明の実施の形態3について図面を参照して詳細に説明する。
【0072】
図13に示すように、本実施の形態では、固定体2Cと受力体3Cとの間を接続する接続体7が設けられている点が上記実施の形態と異なる。また、本実施の形態に係る力検出装置1Cでは、第1象限に第1の変形体4A’及び第1の検出体5Aが設けられ、第2象限に第2の変形体4B’及び第2の検出体5Bが設けられ、第3象限に第3の変形体4C’及び第3の検出体5Cが設けられ、第4象限に第4の変形体4D’及び第4の検出体5Dが設けられている。本実施の形態では、第1の変形体4A’~第4の変形体4D’の形状と、第1の検出体5A~第4の検出体5Dの向きが、上記実施の形態1と異なっている。
【0073】
第1の変形体4A’~第4の変形体4D’では、固定体2Cと接続する第1の突出体4Aa’~4Da’と、受力体3Cと接続する第2の突出体4Ab’~4Db’とがX軸方向に延びており、延設体4Ac’~4Dc’は、Y軸方向に延びている。
【0074】
図14に示すように、受力体3Cが+Y軸方向の力FをX=0の位置で受けると、第1の変形体4A’、第2の変形体4B’は変形し、固定体2Cの接続点と受力体3Cの接続点とのY軸方向の距離が広がる。これにより、矢印で示すように、変位電極E11,E12は固定電極F11,F12から遠ざかるとともに-Y方向にずれる。このため、両電極によって構成される静電容量素子5A,5Bの静電容量の変化量C1,C2は減少する。
【0075】
また、第3の変形体4C’、第4の変形体4D’は変形し、固定体2Cの接続点と受力体3Cの接続点とのY軸方向の距離が短くなる。これにより、矢印で示すように、変位電極E13,E14は固定電極F13,F14に近づくとともに+Y方向にずれる。このため、両電極によって構成される静電容量素子5C,5Dの静電容量の変化量C3,C4は増加する。
【0076】
また、図15に示すように、受力体3Cが+Y軸方向の力FをX=Δxで受けた場合について考える。この場合、第1の変形体4A’,第4の変形体4D’については、変位電極E11,E14の移動量を示すベクトルはさらに大きくなる。一方で、第2の変形体4B’,第3の変形体4C’については変位電極E12,E13の移動量を示すベクトルは図14に比べて小さくなる。
【0077】
上述のように、力Fの大きさ及び位置Δxに対する静電容量素子5A~5Dの静電容量の変化量C1~C4の変化は、上記実施の形態1と同様である。したがって、上記実施の形態1と同様に、上記式(1)、式(2)を用いて、静電容量の変化量C1~C4から力Fの大きさや位置Δxを検出することができる。
【0078】
なお、本実施の形態では、力Fが加えられると、変位電極E11~E14は、固定電極F11~F14に対して近づいたり遠ざかったりするとともに、Y軸方向にずれて、固定電極F11~F14と重複する面積も変化する。この面積変化により、静電容量の変化の傾きを大きくして、検出感度を向上することも可能となる。
【0079】
以上述べたように、上記各実施の形態に係る力検出装置1A,1B,1Cでは、受力体3A,3B,3Cの中心を原点Oとし、受力体3A,3B,3Cが受ける力の方向に沿った軸をY軸とし、受力体3A,3B,3Cが力Fを受ける位置に関する軸をX軸とする2次元直交座標系を規定した場合に、受力体3A,3B,3C及び固定体2A,2B,2Cの対向関係が、Y軸及びX軸に関して線対称であり、検出手段5では、複数の静電容量素子5A~5Dが、XY2次元直交座標系の第1象限から第4象限までの各象限に配設されている。そして、受力体3A,3B,3Cが、第3象限から第2象限に向かう力、または、第4象限から第1象限に向かう力を受けた場合に、検出手段5の演算部6は、第1象限と第2象限における静電容量素子5A~5Dの静電容量の変化量の違いと、第3象限と第4象限における静電容量素子5A~5Dの静電容量の変化量の違いと、に基づいて、受力体3A,3B,3Cが受ける力の位置Δxを算出する。また、演算部6は、第1、第2、第3、第4象限の静電容量素子5A~5Dの静電容量の変化量の総和に基づいて、力Fの大きさを算出する。
【0080】
なお、静電容量素子5A~5Dの静電容量の変化量C1~C4の極性は、その象限における固定体2A~2Cと受力体3A~3Cとの向きに応じて適宜変化する。固定体と受力体との向きが全ての象限で同じである場合には、以下の演算結果L5を用いて力Fの大きさが検出され、以下の演算結果L6を用いて力Fが加えられた位置Δxが検出される。
L5=(C4+C1)+(C3+C2)…(5)
L6=(C1-C2)+(C4-C3)…(6)
【0081】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、一方向の力が加えられる位置を検出するのに適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1A,1B,1C 力検出装置、2A,2B,2C 固定体、2Ba,2Bb,2Bc,2Bd 突出部、3A,3B,3C 受力体、3Ba 突出部、4 変形体、4A,4A’ 第1の変形体、4Aa,4Aa’ 第1の突出体、4Ab,4Ab’ 第2の突出体、4Ac,4Ac’ 延設体、4B,4B’ 第2の変形体、4Ba,4Ba’ 第1の突出体、4Bb,4Bb’ 第2の突出体、4Bc,4Bc’ 延設体、4C,4C’ 第3の変形体、4Ca,4Ca’ 第1の突出体、4Cb,4Cb’ 第2の突出体、4Cc,4Cc’ 延設体、4D,4D’ 第4の変形体、4Da,4Da’ 第1の突出体、4Db,4Db’ 第2の突出体、4Dc,4Dc’ 延設体、5 検出手段、5A 第1の検出体(静電容量素子)、5B 第2の検出体(静電容量素子)、5C 第3の検出体(静電容量素子)、5D 第4の検出体(静電容量素子)、6 演算部、7 接続体、10 駆動制御部、E11,E12,E13,E14 変位電極、F11,F12,F13,F14 固定電極、F 力、KA,KB,KC カバー、P1,P2,P3,P4 内側支持点、Q1,Q2,Q3,Q4 外側支持点
図1
図2
図3
図4
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図7
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図10
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