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  • 特許-貼付装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】貼付装置
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/26 20060101AFI20220105BHJP
   B65C 9/18 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B65C9/26
B65C9/18
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017197891
(22)【出願日】2017-10-11
(65)【公開番号】P2019069809
(43)【公開日】2019-05-09
【審査請求日】2020-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(72)【発明者】
【氏名】砂塚 大
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】実開昭49-051197(JP,U)
【文献】特開2008-273570(JP,A)
【文献】特開2017-065685(JP,A)
【文献】特開2010-208683(JP,A)
【文献】特開平10-319843(JP,A)
【文献】米国特許第06368446(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0168024(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 9/26
B65C 9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙上に配されたラベルを、前記台紙から剥がして対象物の表面に貼り付けるための貼付装置であって、
前記ラベルを吸着するヘッドを含み、
前記ヘッドは、前記ラベルに接する網目状の吸着面を有し、
前記ヘッドは、前記吸着面の周囲で前記ラベルに接する平面状の支持面を有する、
貼付装置。
【請求項2】
前記吸着面と前記支持面とは、同一平面である、請求項に記載の貼付装置。
【請求項3】
台紙上に配されたラベルを、前記台紙から剥がして対象物の表面に貼り付けるための貼付装置であって、
前記ラベルを吸着するヘッドを含み、
前記ヘッドは、前記ラベルに接する網目状の吸着面を有し、
前記吸着面の面積は、前記ラベルの面積よりも小さい、
付装置。
【請求項4】
前記吸着面は、前記ラベルの中央部分に接する、請求項1~3のいずれか1項に記載の貼付装置。
【請求項5】
前記吸着面と前記ラベルとは、略相似形状である、請求項1~4のいずれか1項に記載の貼付装置。
【請求項6】
前記ヘッドは、前記吸着面の吸着方向の内側に形成される1つの凹部を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の貼付装置。
【請求項7】
さらに、前記ヘッドを回動自在に支持するアームを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の貼付装置。
【請求項8】
さらに、前記台紙を前記ラベルが配されていない側から支持するテーブルを含み、
前記テーブルは、前記ヘッドが前記台紙上の前記ラベルを吸着する際、前記ラベルを部分的に支持する、請求項1~7のいずれか1項に記載の貼付装置。
【請求項9】
前記対象物は、未加硫のタイヤである、請求項1~8のいずれか1項に記載の貼付装置。
【請求項10】
前記ラベルは、ゴム製のバーコードラベルである、請求項1~9のいずれか1項に記載の貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台紙上に配されたラベルを、対象物の表面に貼り付けるための貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、台紙上に配されたラベルを、台紙から剥がして対象物の表面に自動で貼り付けるための貼付装置が種々提案されている。例えば、下記特許文献1には、吸着パッドを用い、台紙上のラベルを吸着して剥がす貼付装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-273570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の貼付装置では、ラベルがゴムのように柔らかい場合、ラベルの吸着された部分が変形し、対象物の表面に貼り付けた後も、その変形跡が残るという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、ラベルの変形を抑制して貼り付けることができる貼付装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、台紙上に配されたラベルを、前記台紙から剥がして対象物の表面に貼り付けるための貼付装置であって、前記ラベルを吸着するヘッドを含み、前記ヘッドは、前記ラベルに接する網目状の吸着面を有することを特徴とする。
【0007】
本発明の貼付装置において、前記吸着面は、前記ラベルの中央部分に接するのが望ましい。
【0008】
本発明の貼付装置において、前記ヘッドは、前記吸着面の周囲で前記ラベルに接する平面状の支持面を有するのが望ましい。
【0009】
本発明の貼付装置において、前記吸着面と前記支持面とは、同一平面であるのが望ましい。
【0010】
本発明の貼付装置において、前記吸着面の面積は、前記ラベルの面積よりも小さいのが望ましい。
【0011】
本発明の貼付装置において、前記吸着面と前記ラベルとは、略相似形状であるのが望ましい。
【0012】
本発明の貼付装置において、前記ヘッドは、前記吸着面の吸着方向の内側に形成される1つの凹部を有するのが望ましい。
【0013】
本発明の貼付装置において、さらに、前記ヘッドを回動自在に支持するアームを含むのが望ましい。
【0014】
本発明の貼付装置において、さらに、前記台紙を前記ラベルが配されていない側から支持するテーブルを含み、前記テーブルは、前記ヘッドが前記台紙上の前記ラベルを吸着する際、前記ラベルを部分的に支持するのが望ましい。
【0015】
本発明の貼付装置において、前記対象物は、未加硫のタイヤであるのが望ましい。
【0016】
本発明の貼付装置において、前記ラベルは、ゴム製のバーコードラベルであるのが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の貼付装置は、ラベルを吸着するヘッドを含み、前記ヘッドは、前記ラベルに接する網目状の吸着面を有している。このようなヘッドは、ラベルを網目状の吸着面で吸着するため、ラベルを部分的に変形させるおそれがない。このため、本発明の貼付装置は、台紙上に配されたラベルの変形を抑制しつつ、ラベルを台紙から剥がして対象物の表面に貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の貼付装置の一実施形態を示す正面図である。
図2図1のヘッドを下側から視た底面図である。
図3図2のA-A線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき詳細に説明される。
図1は、本実施形態の貼付装置1を示す正面図である。図1に示されるように、本実施形態の貼付装置1は、台紙2上に配されたラベル3を、吸着位置P0で台紙2から剥がして保持し、その後、ラベル3を対象物4の表面に貼付位置P1で貼り付けるためのものである。
【0020】
貼付装置1は、ラベル3が配された長尺帯状の台紙2を供給する供給手段5と、供給手段5により吸着位置P0に供給されたラベル3を吸着する吸着手段6と、吸着位置P0の台紙2をラベル3が配されていない側から支持する支持手段7とを含むのが望ましい。本実施形態の吸着手段6は、ラベル3に接し、かつ、ラベル3を吸着するヘッド8を含んでいる。
【0021】
図2は、図1のヘッド8を下側から視た底面図であり、図3は、図2のA-A線の断面図である。図2及び図3に示されるように、本実施形態のヘッド8は、ラベル3に接する網目状の吸着面9を有している。このようなヘッド8は、ラベル3を網目状の吸着面9で吸着するため、ラベル3を部分的に変形させるおそれがない。このため、本実施形態の貼付装置1は、台紙2上に配されたラベル3の変形を抑制しつつ、ラベル3を台紙2から剥がして対象物4の表面に変形させることなく貼り付けることができる。
【0022】
このような貼付装置1のより好ましい態様が説明される。
図1に示されるように、ラベル3は、例えば、ゴム製のバーコードラベルである。対象物4は、例えば、未加硫のタイヤである。この実施形態の貼付装置1は、台紙2上に配されたゴム製のバーコードラベルを、台紙2から剥がして未加硫のタイヤの表面に貼り付けることができる。このようなバーコードラベルは、加硫後のタイヤの個体を識別することができる。なお、ラベル3と対象物4とは、この態様に特定されるものではなく、種々の組み合わせが採用され得る。
【0023】
ラベル3が配された長尺帯状の台紙2は、例えば、ロール状に巻かれて貼付装置1に支持される。また、ラベル3が剥がされた台紙2は、例えば、ロール状に巻き取られて回収される。このような台紙2は、多くのラベル3を効率よく供給することに役立つ。
【0024】
貼付装置1は、例えば、対象物4に合わせて移動可能な移動台10をさらに含んでいる。本実施形態の移動台10には、供給手段5と吸着手段6と支持手段7とが配されている。
【0025】
移動台10は、例えば、駆動手段11により、上下方向に移動する。駆動手段11は、例えば、ボールネジ軸を回転させる電動モータである。このような移動台10は、対象物4の形状及び大きさに応じて、適切な位置に移動し得る。
【0026】
本実施形態の供給手段5は、ラベル3が配された台紙2を支持する支持ローラ12と、台紙2を供給するための駆動力を加える駆動ローラ13と、ラベル3が剥がされた台紙2を回収する回収ローラ14とを含んでいる。
【0027】
支持ローラ12は、例えば、駆動ローラ13により巻き戻されるロール状の台紙2の中心を支持している。駆動ローラ13は、例えば、電動モータにより間欠的に駆動されることで、長尺帯状の台紙2に配されたラベル3を、吸着位置P0に間欠的に供給している。回収ローラ14は、例えば、エアモータにより駆動されることで、台紙2を弛ませることなくロール状に巻き取っている。このような供給手段5は、多くのラベル3を効率よく吸着位置P0に供給することができる。
【0028】
本実施形態の吸着手段6は、ヘッド8を吸着位置P0から貼付位置P1まで、移動自在に支持している。吸着手段6は、ヘッド8を回動自在に支持するアーム15を含むのが望ましい。本実施形態の吸着手段6は、さらに、アーム15を移動可能に支持するベース16を含んでいる。
【0029】
ベース16は、例えば、移動台10に揺動自在に支持されている。ベース16は、移動台10の支点Qを中心に揺動するのが望ましい。ベース16は、例えば、第1シリンダー17により、揺動角度が制御されている。本実施形態のベース16は、アーム15を移動させる第2シリンダー18を含んでいる。このようなベース16は、アーム15を任意の位置に移動させることができる。
【0030】
アーム15は、例えば、第2シリンダー18により、ベース16に対する位置が制御されている。本実施形態のアーム15は、ラベル3を吸着するための負圧を発生させる吸引装置19を含んでいる。吸引装置19は、例えば、真空ポンプ、吸引ファン等から適宜選択される。なお、吸引装置19は、アーム15以外の場所に配されていてもよい。
【0031】
本実施形態のヘッド8は、アーム15に回動自在に支持されている。このため、ヘッド8は、対象物4の貼付位置P1が傾斜している場合であっても、対象物4の表面に沿って回動することができる。このようなヘッド8は、ラベル3を対象物4に貼り付ける際、ラベル3と対象物4の表面とが平行となり、ラベル3の貼り付けミスが抑制され得る。
【0032】
図2及び図3に示されるように、吸着面9は、好ましくは、10~36メッシュの金網が採用される。金網の材質は、例えば、ステンレスである。このような吸着面9は、ラベル3を部分的に変形させることなく、対象物4に貼り付け可能である。また、吸着面9は、ラベル3に密着することなく吸着できるので、ラベル3を対象物4に貼り付けた後に離れ易く、ラベル3が対象物4から持ち上がるおそれが少ない。
【0033】
吸着面9は、少なくともラベル3の中央部分に接するのが望ましい。また、吸着面9の面積は、ラベル3の面積よりも小さいのが望ましい。このような吸着面9は、ラベル3を確実に吸着することができる。
【0034】
本実施形態のヘッド8は、さらに、吸着面9の周囲でラベル3に接する平面状の支持面20と、吸着面9の吸着方向の内側に形成される凹部21とを有している。このようなヘッド8は、ラベル3を効率よく吸着することができる。
【0035】
吸着面9と支持面20とは、同一平面であるのが望ましい。このようなヘッド8は、吸着面9がラベル3を吸着するときに、支持面20とラベル3とが密着するため、ラベル3の吸着効率を向上させることができる。
【0036】
吸着面9とラベル3とは、例えば、略相似形状である。このようなヘッド8は、吸着面9とラベル3との接触面積を大きくすることができ、ラベル3の吸着効率をより向上させることができる。
【0037】
本実施形態の凹部21は、ヘッド8の内部に1つ形成されている。凹部21は、例えば、アーム15の吸引装置19(図1に示す)にホース(図示省略)を介して接続されている。このような凹部21は、その内部を負圧にすることで、ラベル3を確実に吸着することができる。本実施形態では、凹部21が1つであるため、吸着ムラがなく、ラベル3の部分的な変形を抑止することができる。
【0038】
図1に示されるように、本実施形態の支持手段7は、テーブル22を含んでいる。テーブル22は、吸着位置P0の台紙2をラベル3が配されていない側から支持するものである。テーブル22は、ヘッド8が台紙2上のラベル3を吸着する際、ラベル3を部分的に支持するのが望ましい。このようなテーブル22は、ラベル3を台紙2から剥がすことを補助し、吸着手段6による吸着ミスを抑止することに役立つ。
【0039】
テーブル22による部分的な支持は、例えば、テーブル22の支持部の一部を欠落させることで実現できる。テーブル22の支持部の欠落は、例えば、台紙2の幅方向の少なくとも一方を欠落させてもよいし、中央を欠落させてもよい。このようなテーブル22は、簡単な構成で、吸着手段6による吸着ミスを抑止することに役立つ。
【0040】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施され得る。
【実施例
【0041】
図1図3に示される貼付装置を用いて、ゴム製のバーコードラベルを未加硫のタイヤに貼り付ける実施例がテストされた。実施例では、吸着面として18メッシュの金網が採用された。比較例として、従来のヘッドとアームとが回動せず一体であり、かつ、複数の吸着孔を有するヘッドでバーコードラベルを吸着する貼付装置を用いて、実施例と同様の貼り付けテストが行われた。実施例と比較例とにおいて、それぞれ、50回貼り付け作業を行い、吸着ミスの回数及びバーコードラベルの変形枚数が測定された。
【0042】
吸着ミスをした場合は、再度貼り付け作業を行い、貼り付けられたバーコードラベルが50枚となるようにテストされた。また、バーコードラベルの変形枚数は、バーコードラベルが貼り付けられたタイヤを加硫成形した後、バーコード部分に変形が確認された枚数を測定した。結果は以下のとおりである。
【0043】
比較例 : 吸着ミス 14回 / 変形枚数 12枚
実施例 : 吸着ミス 0回 / 変形枚数 0枚
【0044】
テストの結果から、実施例は、比較例に対して、吸着ミス及び変形枚数が少なく、バーコードラベルの変形を抑制しつつ、効率よく貼り付け可能であることが確認できた。
【符号の説明】
【0045】
1 貼付装置
2 台紙
3 ラベル
4 対象物
8 ヘッド
9 吸着面
図1
図2
図3