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特許6992401画像形成装置、検査装置及び検査プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】画像形成装置、検査装置及び検査プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20220105BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220105BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220105BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220105BHJP
   H04N 1/34 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B41J29/393 105
G03G21/00 500
B41J29/38 202
H04N1/00 Z
H04N1/34
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017203718
(22)【出願日】2017-10-20
(65)【公開番号】P2019077052
(43)【公開日】2019-05-23
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 恭正
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-202438(JP,A)
【文献】特開2005-205746(JP,A)
【文献】特開2015-049189(JP,A)
【文献】特開2013-046092(JP,A)
【文献】登録実用新案第3139537(JP,U)
【文献】特開2014-188958(JP,A)
【文献】特開2010-036440(JP,A)
【文献】特開2015-059744(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0185204(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 15/00
G03G 21/00
B41J 29/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、
前記制御部の指示により、面付けされた複数の画像を用紙に形成した印刷用紙を出力する画像形成部と、
前記制御部の指示により、前記印刷用紙を読取り、読取画像を出力する画像読取部と、
前記印刷用紙に対して断裁が指示され、かつ断裁による前記印刷用紙の分割数が指示されている場合に、前記制御部の指示により、前記分割数から求められる前記印刷用紙を断裁する単位を検査単位として、前記検査単位に含まれる基準画像と、前記読取画像から前記検査単位に基づいて選択された前記画像とを比較する検査を行い、前記基準画像と一致する前記読取画像から選択された前記画像を正常画像と判定し、前記基準画像と一致しない前記読取画像から選択された前記画像を異常画像と判定して、前記印刷用紙に面付けされた複数の前記画像の中に含まれる前記正常画像及び前記異常画像を前記検査単位ごとに判断した検査結果を得る画像検査部と、を備え
前記制御部は、複数面付された同一の画像が前記用紙に形成されるリピートモードにおいて、前記画像検査部により判定された前記印刷用紙に含まれる前記異常画像の面数を前記印刷用紙を断裁する単位毎に積算し、積算した前記異常画像の面数に応じたリカバリ印刷に必要な前記用紙の枚数を算出し、算出した枚数の前記用紙に形成可能な最大面数の前記リカバリ印刷を前記画像形成部に指示する
画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部の指示により、前記異常画像及び前記正常画像が混在した前記用紙を、正常に印刷された前記用紙と同じ排紙先に排紙する場合に、前記異常画像及び前記正常画像が混在した前記用紙が何枚目に排紙されたかを通知する通知部を備える
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
さらに、前記制御部の指示により、前記用紙の排紙先を切替える排紙先切替部を備え、
前記画像検査部は、面付けされた全ての画像に異常を検出した前記用紙をヤレ紙と判断し、
前記制御部は、前記排紙先切替部に、正常に印刷された前記用紙と、前記ヤレ紙と、前記異常画像及び前記正常画像が混在した前記用紙との排紙先を切替えて排紙する指示を行う
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
さらに、前記排紙先切替部により排紙先を切替えて排紙された前記ヤレ紙と、前記異常画像及び前記正常画像が混在した前記用紙との排紙先を通知する通知部を備える
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
さらに、前記制御部の指示により、前記用紙に関する付加情報を形成する付加情報形成部を備え、
前記制御部は、前記画像形成部に対して前記用紙の余白部に前記付加情報を付した画像を形成させ、前記画像検査部により前記印刷用紙に一つ以上の前記異常画像が含まれると判定された場合に、前記印刷用紙に形成された前記付加情報と、前記印刷用紙における前記異常画像の位置とを前記通知部に通知させる
請求項又はに記載の画像形成装置。
【請求項6】
さらに、前記読取画像を記憶する記憶部を備え、
前記付加情報形成部は、前記画像検査部により前記印刷用紙に一つ以上の前記異常画像が含まれると判定された場合に、前記記憶部から読み出した前記読取画像の前記異常画像が含まれると判定された箇所に、前記異常画像の内容を示す異常付加情報を合成し、
前記制御部は、前記異常付加情報が合成された前記読取画像を前記通知部に通知させる
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記正常画像であると判定された前記印刷用紙を断裁する単位の数に応じて前記印刷用紙に対する課金額を決定する
請求項1~のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
制御部と、
前記制御部の指示により、面付けされた複数の画像が用紙に形成された印刷用紙を読取り、読取画像を出力する画像読取部と、
前記印刷用紙に対して断裁が指示され、かつ断裁による前記印刷用紙の分割数が指示されている場合に、前記制御部の指示により、前記分割数から求められる前記印刷用紙を断裁する単位を検査単位として、前記検査単位に含まれる基準画像と、前記読取画像から前記検査単位に基づいて選択された前記画像とを比較する検査を行い、前記基準画像と一致する前記読取画像から選択された前記画像を正常画像と判定し、前記基準画像と一致しない前記読取画像から選択された前記画像を異常画像と判定して、前記印刷用紙に面付けされた複数の前記画像の中に含まれる前記正常画像及び前記異常画像を前記検査単位ごとに判断した検査結果を得る画像検査部と、を備え
前記制御部は、複数面付された同一の画像が前記用紙に形成されるリピートモードにおいて、前記画像検査部により判定された前記印刷用紙に含まれる前記異常画像の面数を前記印刷用紙を断裁する単位毎に積算し、積算した前記異常画像の面数に応じたリカバリ印刷に必要な前記用紙の枚数を算出し、算出した枚数の前記用紙に形成可能な最大面数の前記リカバリ印刷を、面付けされた複数の画像を前記用紙に形成する画像形成部に指示する
検査装置。
【請求項9】
面付けされた複数の画像が用紙に形成された印刷用紙を読取り、読取画像を出力する手順と、
前記印刷用紙に対して断裁が指示され、かつ断裁による前記印刷用紙の分割数が指示されている場合に、前記分割数から求められる前記印刷用紙を断裁する単位を検査単位として、前記検査単位に含まれる基準画像と、前記読取画像から前記検査単位に基づいて選択された前記画像とを比較する検査を行い、前記基準画像と一致する前記読取画像から選択された前記画像を正常画像と判定し、前記基準画像と一致しない前記読取画像から選択された前記画像を異常画像と判定して、前記印刷用紙に面付けされた複数の前記画像の中に含まれる前記正常画像及び前記異常画像を前記検査単位ごとに判断した検査結果を得る手順と
複数面付された同一の画像が前記用紙に形成されるリピートモードにおいて、判定された前記印刷用紙に含まれる前記異常画像の面数を前記印刷用紙を断裁する単位毎に積算し、積算した前記異常画像の面数に応じたリカバリ印刷に必要な前記用紙の枚数を算出し、算出した枚数の前記用紙に形成可能な最大面数の前記リカバリ印刷を、面付けされた複数の画像を前記用紙に形成する画像形成部に指示する手順と
コンピューターに実行させるための検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、検査装置及び検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷設定に基づいて画像形成装置が画像を形成(印刷)した用紙(印刷用紙)に対して、適正な画像が形成されているか、汚れがないか、画像の位置ずれがないか等の画像の形成不良(以下、「異常」と呼ぶ)が判定されていた。印刷用紙に対する画像の異常判定は、検査装置により自動的に、又はユーザーの目視により行われていた。そして、一部でも異常と判定された用紙(以下、「ヤレ紙」と呼ぶ)は取り除かれていた。このようなヤレ紙を判定するための技術として、特許文献1が知られている。
【0003】
特許文献1には、両面の読取りデータ及び画像データを用いることにより、画像形成の良否判定を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-25374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷設定には、リピートモードと集約モードがある。リピートモードは、1枚の用紙に同一の画像を複数面付けして印刷するモードであり、集約モードは、1枚の用紙に異なる画像を複数面付けして印刷するモードである。リピートモード、集約モードのいずれの場合にも、面付けされた画像が形成される印刷用紙が所定の単位(一つの面毎、又は複数の面毎)で断裁される。以下、図1を参照してリピートモードについて説明し、図2を参照して集約モードを説明する。
【0006】
図1は、リピートモードで印刷された用紙に生じた異常と、リカバリ印刷された用紙の例を示す説明図である。
図1の左側には、リピートモードで8面の画像が割付けて印刷された用紙の例が示される。画像検査により、この用紙の左下から2番目の面に汚れ等の異常X1が検出されたとする。従来は、用紙全体に対して異常X1があるか否かが判定されていた。このため、印刷用紙全体の中で1面でも異常X1が検出された場合は、この用紙がヤレ紙として処理され、リカバリ印刷が行われていた。
【0007】
図1の右側には、リピートモードでリカバリ印刷された用紙の例が示される。元々図1の左側の用紙にて異常X1が検出されたのは1面だけであるため、図1の右側の用紙の左上から1番目に示す1面分の印刷用紙があればリカバリ印刷としては十分である。しかし、リカバリ印刷は、用紙毎に行われるので、一点鎖線で囲った枠内に示すように7面分の印刷が余分に行われる。このため、画像形成装置で使用されるトナー等の消耗品が余分に消費されてしまう。また、原稿枚数が多い場合は、リカバリ印刷する用紙の枚数が増えてしまい、用紙の無駄が生じていた。
【0008】
例えば、8面印刷された用紙を含む印刷用紙を10部印刷する場合、各用紙の同じ箇所に1箇所の異常X1があるとする。この場合、正常に印刷できた面は、各用紙に7面ある。このため、7×10=70面が正常に印刷されている。そして、検査装置又はユーザーによりヤレ紙と判定される枚数は10枚となる。このため、画像形成装置は、10枚の用紙のリカバリ印刷を実行する。
【0009】
しかし、ヤレ紙と判断された枚数は10枚であるものの、異常X1があった面の数は10面である。つまり、不足分の面数は、印刷された面数から異常X1があった面の数を減じて、8×10-70=10面と算出される。このため、リピートモードでのリカバリ印刷は、10面分の同じ画像を印刷する場合に必要となる2枚の用紙に対して行えば十分である。しかし、従来のリカバリ印刷では、10枚印刷されるため、8枚も無駄に用紙や消耗品を消費していた。
【0010】
図2は、集約モードで印刷された用紙に生じた異常と、リカバリ印刷された用紙の例を示す説明図である。
図2の左側には、集約モードで8面の画像が割付けて印刷された用紙の例が示される。画像検査により、この用紙の左下から2番目の面に汚れ等の異常X1が検出されたとする。従来は、用紙全体に対して異常X1があるか否かが判定されていたため、印刷用紙全体の中で1面でも異常X1が検出された場合は、この用紙がヤレ紙として処理され、リカバリ印刷が行われていた。
【0011】
図2の右側には、集約モードでリカバリ印刷された用紙の例が示される。リカバリ印刷された用紙で必要なのは「はひふへほ」が印刷された1面の印刷用紙だけである。しかし、リカバリ印刷は、用紙毎に行われるので、一点鎖線で囲った枠内に示すように「はひふへほ」以外の7面分の印刷が余分に行われる。このため、画像形成装置で使用されるトナー等の消耗品が余分に消費されてしまう。また、原稿枚数が多い場合は、リカバリ印刷する用紙の枚数が増えてしまい、用紙の無駄が生じていた。
【0012】
このように図1に示したリピートモードのリカバリ印刷と同様の考えにより、集約モードでのリカバリ印刷は、10面分の画像を印刷する場合に必要となる2枚の用紙に対して行えば十分であるのに対し、従来のリカバリ印刷では、10枚印刷されるため、8枚も無駄に用紙や消耗品を消費していた。
【0013】
ここで、リピートモードや集約モードの場合、印刷用紙が断裁され、複数の印刷用紙として利用されるため、汚れ等の異常がない面は使用したいという要望があった。しかし、従来は、用紙に汚れが付着した面が存在すると、この用紙の他の面が正常に印刷されていても、用紙全体としてヤレ紙として処理され、自動的にリカバリ印刷が行われていた。この結果、正常な面が必要以上に印刷されてしまい無駄を生じていた。
【0014】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、異常が生じた面を含む用紙を有効に活用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、面付けされた複数の画像を用紙に形成する画像形成部から出力される印刷用紙を読取り、読取画像を出力する。そして、印刷用紙に対して断裁が指示され、かつ断裁による印刷用紙の分割数が指示されている場合に、分割数から求められる印刷用紙を断裁する単位を検査単位として、検査単位に含まれる基準画像と、読取画像から検査単位に基づいて選択された画像とを比較する検査を行い、基準画像と一致する読取画像から選択された画像を正常画像と判定し、基準画像と一致しない読取画像から選択された画像を異常画像と判定して、印刷用紙に面付けされた複数の画像の中に含まれる正常画像及び異常画像を検査単位ごとに判断した検査結果を得る。そして、複数面付された同一の画像が用紙に形成されるリピートモードにおいて、判定された印刷用紙に含まれる異常画像の面数を印刷用紙を断裁する単位毎に積算し、積算した異常画像の面数に応じたリカバリ印刷に必要な用紙の枚数を算出し、算出した枚数の用紙に形成可能な最大面数のリカバリ印刷を、面付けされた複数の画像を用紙に形成する画像形成部に指示する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、印刷用紙に面付けされた複数の画像の中から所定の検査単位で正常画像と異常画像とを判定した検査結果を得られるのでヤレ紙の発生を減らすことができる。また、異常画像と判定された面数に合わせてリカバリ印刷を行うことで、必要以上のリカバリ印刷の実行、及び消耗品の消費を抑制することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】リピートモードで印刷された用紙に生じた異常と、リカバリ印刷された用紙の例を示す説明図である。
図2】集約モードで印刷された用紙に生じた異常と、リカバリ印刷された用紙の例を示す説明図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図4】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の要部の制御ブロック図である。
図5】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の内部構成例を示す機能ブロック図である。
図6】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の各部の動作例を示す機能ブロック図である。
図7】本発明の一実施の形態に係るリピートモードで印刷された用紙に異常が生じた例を示す説明図である。
図8】本発明の一実施の形態に係る集約モードで印刷された用紙に異常が生じた例を示す説明図である。
図9】本発明の一実施の形態に係るジョブ情報の構成例を示す説明図である。
図10】本発明の一実施の形態に係る基準画像の一例を示す説明図である。
図11】本発明の一実施の形態に係るジョブ情報の構成例を示す説明図である。
図12】本発明の一実施の形態に係る1枚の用紙が4分割して断裁される場合の検査単位を示す説明図である。
図13】本発明の一実施の形態に係るリピートモードで印刷した用紙に異常が検出された場合にリカバリ印刷の必要枚数を求めるための説明図である。
図14】本発明の一実施の形態に係るリピートモードで印刷した用紙に異常が検出された場合にリカバリ印刷の必要枚数を求めるための説明図である。
図15】本発明の一実施の形態に係る集約モードで印刷した用紙に異常が検出された場合にリカバリ印刷の必要枚数を求めるための説明図である。
図16】本発明の一実施の形態に係る集約モードで印刷した用紙に異常が検出された場合にリカバリ印刷の必要枚数を求めるための説明図である。
図17】本発明の一実施の形態に係るリピートモードでリカバリ印刷するときの面付けの例を示す説明図である。
図18】本発明の一実施の形態に係るリピートモードでリカバリ印刷するときの面付けの例を示す説明図である。
図19】本発明の一実施の形態に係る集約モードでリカバリ印刷するときの面付けの例を示す説明図である。
図20】本発明の一実施の形態に係る集約モードでリカバリ印刷するときの面付けの例を示す説明図である。
図21】本発明の一実施の形態に係るリピートモードでリカバリ印刷するときの面付けの例を示す説明図である。
図22】本発明の一実施の形態に係る後処理装置の内部構成例を示す概要図である。
図23】本発明の一実施の形態に係る印刷用紙に印刷された付加情報の例を示す説明図である。
図24】本発明の一実施の形態に係る読取画像に合成された付加情報の例を示す説明図である。
図25】本発明の一実施の形態に係るコントローラー部が画像の面付けを行う場合に、画像形成装置により行われる処理の例を示すメインフローチャートである。
図26】本発明の一実施の形態に係る画像の検査処理の例を示すフローチャートである。
図27】本発明の一実施の形態に係る異常の通知処理の例を示すフローチャートである。
図28】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置が画像の面付けを行う場合に、画像形成装置により行われる処理の例を示すメインフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0019】
図3は、本実施の形態の画像形成装置の概略構成図である。図3に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置1は、本体部10と、大容量給紙部20と、読取部30と、後処理部40と、を備えて構成される。そして、画像形成装置1は、LAN等のネットワークNを介して情報端末50に接続されている。
【0020】
図3に示すように、本体部10は、スキャナー部200と、ADF部(ADF:Auto Document Feeder)300と、操作表示部400と、プリンター部500と、を備える。すなわち、本実施の形態に係る画像形成装置1は、スキャナー機能、コピー機能、プリンター機能を備えた、いわゆるディジタル複合機である。
【0021】
また、本体部10には、給紙機構を有する複数の給紙トレイが設けられており、各給紙トレイの近傍には給紙された用紙を検出する給紙センサー(図示略)が設けられている。これらの給紙トレイには、それぞれ普通紙、裏紙、再生紙、上質紙、タブ紙等の種類及びサイズが異なる用紙が収容可能となっている。
【0022】
読取部30は、本体部10から搬送された印刷用紙を読取って、この用紙が正常であるか否かを検査する検査装置の一例として設けられる。以下の説明で、汚れ等の異常を含む画像を「異常画像」と呼ぶ。また、汚れ等の異常を含まない画像を「正常画像」と呼ぶ。
【0023】
本実施の形態におけるヤレ紙は、従来のヤレ紙とは異なる。つまり、本実施の形態では、複数の画像が面付けされた用紙の一部の画像に異常が検出されても、この用紙をヤレ紙とは判断しない。つまり、用紙がヤレ紙と判断されるのは、用紙に印刷された全ての面の画像に異常が検出された場合となる。そして、通紙される用紙の表面及び裏面に対してそれぞれ配置されたCCD(Charge Coupled Device)31(後述する図4)が読取った画像に基づいて、用紙の検査が行われる。
【0024】
後処理部40は、読取部30により検査された用紙に各種の後処理を行う、いわゆるフィニッシャーである。例えば、後処理部40は、本体部10から搬送された用紙のソート処理を行うソートユニット、パンチ処理を行うパンチユニット、折り処理を行う折りユニット、断裁処理を行う断裁ユニット、カッティング処理を行うカッティングユニット等を備える。これらのユニットについては図示を省略する。
【0025】
また、後処理部40には、後述する図22に示す排紙トレイが設けられている。排紙トレイには、読取部30を経て搬送された用紙が排紙される。後処理部40は、読取部30により印刷用紙に異常が検出された場合に、印刷用紙を正常な用紙とは区別して排紙する制御を行う。
【0026】
画像形成装置1において、例えば、ADF部300(自動原稿給紙部の一例)の原稿トレイに載置された原稿は、スキャナー部200の読取箇所であるコンタクトガラスに搬送され、スキャナー部200の光学系により原稿の画像が読取られる。ここで、画像とは、図形や写真等のイメージデータに限らず、文字や記号等のテキストデータ等も含む。
【0027】
スキャナー部200により読取られた画像(アナログ画像信号)は、後述する図4に示す状態管理部100に出力され、状態管理部100においてA/D変換され、各種画像処理が施された後、本体部10内に設けられるプリンター部500に出力される。そして、プリンター部500により、給紙トレイ又は大容量給紙部20から給紙された用紙に対してディジタル画像データに基づく画像が形成される。画像が形成された用紙は、排紙機構により読取部30を経てた後、後処理部40に搬送され、後処理部40にて所定の後処理が施された後、排紙トレイに排紙される。
【0028】
また、画像形成装置1は、ネットワークNを介して外部の情報端末50に接続される。情報端末50から画像形成装置1に対して、印刷指示等の様々なデータが送信される。そして、画像形成装置1は、情報端末50の指示に従って用紙に画像を形成する印刷処理を行う。
【0029】
また、操作表示部400には、読取部30が読取った用紙の検査結果に基づく、印刷用紙に異常が発生したことを示すメッセージや、異常画像等が表示される。これにより、ユーザーは、ヤレ紙を排紙トレイから取り除く対応を行うことが可能となる。なお、これらのメッセージや画像は、ネットワークNを通じて情報端末50に伝送され、情報端末50に表示されてもよい。
【0030】
図4は、画像形成装置1の要部の制御ブロック図である。
本体部10は、状態管理部100と、スキャナー部200と、ADF部300と、操作表示部400と、プリンター部500と、コントローラー部600と、を備えて構成される。
【0031】
状態管理部100は、画像制御CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、読込処理部105、書込処理部106、DRAM(Dynamic Random Access Memory)制御IC107、圧縮IC108、伸張IC109、及び画像メモリ110を備えて構成される。そして、状態管理部100には、記憶部104が接続される。
【0032】
画像制御CPU101は、ROM102に記憶されているシステムプログラムや画像形成処理プログラム、排紙処理プログラム等の各種処理プログラムを読出してRAM103に展開し、展開したプログラムに従って画像形成装置1の各部の動作を集中制御する。
【0033】
例えば、画像制御CPU101は、状態管理部100に接続されたスキャナー部200又はコントローラー部600から入力された画像情報と、状態管理部100に接続された操作表示部400を介して入力された設定情報とに基づいてジョブを生成する。そして、このジョブを実行することで用紙に画像を形成する。ここで、ジョブとは、画像形成に関する一連の動作を指し、例えば、所定枚数の原稿からなる複写物を作成する場合には、所定枚数の原稿の画像形成に関する一連の動作が1ジョブである。
【0034】
ROM102は、半導体メモリ等の不揮発性メモリ等により構成され、画像形成装置1に対応するシステムプログラム及び該システムプログラム上で実行可能な画像形成処理プログラム、排紙処理プログラム等の各種処理プログラム等を記憶する。これらのプログラムは、コンピュータが読取り可能なプログラムコードの形態で格納され、画像制御CPU101は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
【0035】
RAM103は、画像制御CPU101により実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成し、ジョブキュー、各種動作設定等を記憶する。
記憶部104は、不揮発性メモリ等により構成され、画像形成装置1に係る各種の設定データ等を記憶する。また、記憶部104は、ジョブの実行に関する画像情報を記憶する。
【0036】
読込処理部105は、スキャナー部200から入力されたアナログ画像信号に、アナログ信号処理、A/D変換処理、シェーディング処理等の各種処理を施し、ディジタル画像データを生成し、圧縮IC108に出力する。
書込処理部106は、伸張IC109から入力される画像データに基づいてPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、プリンター部500へ出力する。
【0037】
DRAM制御IC107は、画像制御CPU101からの制御に基づいて、圧縮IC108による画像データの圧縮処理、及び伸張IC109による圧縮データの伸張処理を制御するとともに、画像メモリ110における画像データの入出力制御を行う。例えば、スキャナー部200により読取られた画像データの保存が指示されると、DRAM制御IC107は、読込処理部105から入力された画像データの圧縮処理を圧縮IC108に実行させて、圧縮画像データを画像メモリ110の圧縮メモリ111に記憶させる。
【0038】
また、圧縮メモリ111に記憶された圧縮画像データの画像形成が指示されると、DRAM制御IC107は、圧縮メモリ111から圧縮画像データを読出し、伸張IC109で伸張処理を実行させてページメモリ112に記憶させる。さらに、DRAM制御IC107は、ページメモリ112に記憶された画像データを読出して書込処理部106に出力する。
【0039】
圧縮IC108は、DRAM制御IC107の制御により、入力された画像データに圧縮処理を施す。
伸張IC109は、DRAM制御IC107の制御により、入力される圧縮画像データに伸張処理を施す。
【0040】
画像メモリ110は、例えば、揮発性メモリであるDRAMで構成され、圧縮メモリ111、ページメモリ112を有する。圧縮メモリ111は、圧縮画像データを記憶するためのメモリであり、ページメモリ112は画像形成前に画像形成に係る被圧縮画像データを一時的に格納するためのメモリである。
【0041】
スキャナー部200は、CCD201等のイメージセンサーと、スキャナー制御部202と、を備えて構成される。スキャナー制御部202は、画像制御CPU101からの制御信号に基づいて、スキャナー部200の各部を駆動制御する。具体的には、コンタクトガラスに載置された原稿面の露光走査を実行させ、反射光をCCD201において結像させて画像を読取る。そして、この結像された光信号を光電変換してアナログ画像信号を生成させ、読込処理部105へ出力する。
【0042】
ADF部300は、画像制御CPU101からの制御信号に基づいて、ADF部300の制御を行うADF制御部301を備え、原稿トレイ(図示略)に載置された原稿をスキャナー部200のコンタクトガラス上に1枚ずつ自動給送する。
【0043】
操作表示部400は、LCD(Liquid Crystal Display)401と、操作表示制御部402と、その他図示しない操作キー群、タッチパネルとを備えて構成される。
LCD401は、操作表示制御部402からの表示制御信号に従って、画面上に各種設定画面や画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。また、LCD401の画面上には、透明電極を格子状に配置した感圧式(抵抗膜圧式)のタッチパネルが構成されており、手指やタッチペン等で操作された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号として操作表示制御部402に出力する。
【0044】
操作表示制御部402は、画像制御CPU101からの制御信号に基づいて、LCD401における表示制御を行う。例えば、画像形成処理に用いる用紙についての各種設定画面や、各種処理結果等をLCD401に表示させる。また、操作表示制御部402は、LCD401上のタッチパネル又は操作キー群から入力された操作信号を画像制御CPU101に出力する。
【0045】
ユーザーは、操作表示部400のLCD401により、画像形成処理のプリント条件を入力するための基本画面や、画像形成装置1に予約されたジョブの一覧表などの閲覧が可能である。そして、ユーザーは、LCD401上のタッチパネル等を操作することにより、画像形成処理にかかる各種の設定を、所望の設定に変更することができる。
【0046】
プリンター部500は、LD部(Laser Diode)501と、プリンター制御部502とを備えて構成され、書込処理部106から入力された画像データに基づいて用紙に画像を形成する。
【0047】
LD部501は、LD、感光体ドラム、帯電部、露光部、現像部、転写部、クリーニング部、及び定着部等を備える。また、LD部501は、LD部501内の搬送経路に従って用紙を搬送するための給紙ローラー、レジストローラー、排紙ローラー等の各種ローラー、搬送路切替板、及び反転部等を備える。LD部501の搬送部は、プリンター制御部502からの制御に基づいて、当該ジョブで指定された用紙を給紙トレイから給紙して、給紙された用紙を搬送経路上に搬送する。
【0048】
また、LD部501の搬送経路上には、複数のセンサーが設けられている。これらのセンサーは、用紙が通過する際に検出信号を発生し、これをプリンター制御部502に出力する。
【0049】
プリンター制御部502は、画像制御CPU101からの制御信号を受信して、LD部501の各部の動作を制御する。また、プリンター制御部502は、搬送経路上に設けられたセンサーからの検出信号に基づいて、ジョブ毎に給紙した用紙の枚数をカウントし、画像制御CPU101に出力する。
【0050】
プリンター部500では、プリンター制御部502からの指示に基づいて、感光体ドラム表面を帯電部により帯電させ、書込処理部106から入力されたPWM信号に基づいてLDにより感光体ドラム表面にレーザ光を照射することにより静電潜像を形成する。そして、現像部において感光体ドラム表面の静電潜像を含む領域にトナーを付着させ、転写部により用紙にトナーを転写して画像を形成する。そして、転写された画像を定着部で定着させた後、画像形成済みの用紙を排紙ローラーにより後処理部40へ搬送する。
【0051】
コントローラー部600は、コントローラー制御部601、DRAM制御IC602、画像メモリ603、通信制御部604、NIC(Network Interface Card)605等を備えて構成される。
コントローラー制御部601は、各部の動作を統括的に制御し、通信制御部604及びNIC605を介して、外部の情報端末50から入力されるデータをジョブとして、状態管理部100に配信する。
【0052】
DRAM制御IC602は、NIC605及び通信制御部604により受信されたデータの画像メモリ603への格納や、画像メモリ603からのデータの読出しを制御する。また、DRAM制御IC602は、状態管理部100のDRAM制御IC107とPCI(Peripheral Components Interconnect)バスで接続されており、コントローラー制御部601からの指示に従って、画像形成対象のデータを画像メモリ603から読出してDRAM制御IC107に出力する。
【0053】
画像メモリ603は、DRAMから構成され、入力されたデータを一時的に格納する。
通信制御部604は、NIC605の通信を制御する。NIC605は、ネットワークNに接続するための通信インタフェースであり、情報端末50からネットワークNを介して画像情報、ジョブ等を受信し、DRAM制御IC602に出力する。
【0054】
読取部30は、CCD31等のイメージセンサーと、スキャナー制御部32と、を備えて構成される。スキャナー制御部32は、プリンター制御部502を介して受信する画像制御CPU101からの制御信号に基づいて、読取部30の各部を駆動制御する。具体的には、本体部10から搬送された用紙の表面及び裏面に対する走査を行って、用紙からの反射光をCCD31において結像させて用紙に形成された画像を読取る。そして、スキャナー制御部32は、CCD31から出力される光信号に基づいて、画像データを生成し、プリンター制御部502を介して画像制御CPU101に画像データを送信する。
【0055】
後処理部40は、排紙制御部41を備えて構成される。後処理部40は、各種の後処理を行った後、読取部30による検査済みの用紙を排紙トレイに排紙する処理を行う。このため、排紙制御部41は、読取部30のスキャナー制御部32による検査結果に基づいて用紙を排紙する制御を行う。そして、ユーザーは、排紙トレイに溜まった用紙を取得することができる。
【0056】
次に、画像形成装置1の機能部分に着目して内部構成を説明する。
図5は、画像形成装置1の内部構成例を示す機能ブロック図である。
画像形成装置1は、画像入力部121、制御部122、通知部123、付加情報形成部124、記憶部125、画像検査部126、排紙先切替部127、画像形成部128、画像読取部129を備える。図5では、各部が有する機能の概要を説明する。
【0057】
画像入力部121は、図4に示したコントローラー部600から入力した画像を制御部122に受け渡す。また、画像入力部121は、画像検査の指示、断裁時における分割数の指示等を情報端末50から受け付ける。
【0058】
制御部122は、画像入力、出力、画像検査、リカバリ印刷、課金等の制御を行う。例えば、制御部122は、画像検査部126により判定された印刷用紙に含まれる異常画像の面数を印刷用紙を断裁する単位毎に積算し、積算した異常画像の面数に応じたリカバリ印刷を画像形成部128に指示する。また、制御部122は、画像検査部126により判定された印刷用紙に含まれる異常画像の面数に基づいて、リカバリ印刷に必要な用紙の枚数を算出し、算出した枚数の用紙に異常画像の面数だけのリカバリ印刷を画像形成部128に指示する。さらに、制御部122は、画像検査部126により判定された印刷用紙に含まれる異常画像の面数に基づいて、リカバリ印刷に必要な用紙の枚数を算出し、算出した枚数の用紙に形成可能な最大面数のリカバリ印刷を画像形成部128に指示する。また、制御部122は、印刷用紙を断裁する単位に含まれる全ての画像が正常画像である場合に、印刷用紙を断裁する単位毎に印刷用紙に対する課金額を決定する。
【0059】
通知部123は、制御部122の指示により、異常画像及び正常画像が混在した用紙を、正常に印刷された用紙と同じ排紙先に排紙する場合に、異常画像及び正常画像が混在した用紙が何枚目に排紙されたかを通知する。また、通知部123は、排紙先切替部127により排紙先を切替えて排紙されたヤレ紙と、異常画像及び正常画像が混在した用紙との排紙先を通知する。また、通知部123は、画像検査部126により印刷用紙に一つ以上の異常画像が含まれると判定された場合に、印刷用紙に形成された付加情報と、印刷用紙における異常画像の位置とを通知する。また、通知部123は、付加情報形成部124により異常付加情報が合成され、記憶部125に保存される読取画像を通知する。通知部123の通知先は、例えば、操作表示部400又は情報端末50である。
【0060】
付加情報形成部124は、制御部122の指示により、用紙に関する付加情報を形成する。この付加情報は、例えば、スタンプ、印刷日時、ページ番号であり、付加情報形成部124により入力画像に合成される。このため、プリンター部500により印刷された用紙の余白部には、付加情報も印刷される。また、付加情報形成部124は、画像検査部126により印刷用紙に一つ以上の異常画像が含まれると判定された場合に、記憶部125から読み出した読取画像の異常画像が含まれると判定された箇所に、異常画像の内容を示す異常付加情報を合成する。
【0061】
記憶部125は、読取部30により読取られた印刷用紙の読取画像を記憶する。
【0062】
画像検査部126は、制御部122の指示により、所定の検査単位に含まれる基準画像と、読取画像から検査単位に基づいて選択された画像とを比較する検査を行う。そして、画像検査部126は、基準画像と一致する読取画像から選択された画像を正常画像と判定し、基準画像と一致しない読取画像から選択された画像を異常画像と判定した検査結果を得る。この画像検査部126は、印刷用紙に対して断裁が指示され、かつ断裁による印刷用紙の分割数が指示されている場合に、分割数から求められる印刷用紙を断裁する単位を検査単位として、印刷用紙に面付けされた複数の画像の中に含まれる正常画像及び異常画像を判断する。そして、画像検査部126は、面付けされた全ての画像に異常を検出した用紙をヤレ紙と判断する。
【0063】
排紙先切替部127は、印刷された用紙の排紙先を切替える。例えば、複数の排紙トレイがある場合、排紙先切替部127は、制御部122により行われる、ヤレ紙と、異常画像及び正常画像が混在した用紙との排紙先を切替えて排紙する指示に従って、ヤレ紙と、異常画像及び正常画像が混在した用紙との排紙先を切替えて用紙を排紙する。
【0064】
画像形成部128は、制御部122の指示により、面付けされた複数の画像を用紙に形成した印刷用紙を出力する。また、画像形成部128は、制御部122の指示により、用紙の余白部に付加情報を付した画像を形成する。
【0065】
画像読取部129は、画像形成部128により画像が印刷された用紙を読取り、読取画像を出力する。この読取画像は、例えば、記憶部125に記憶される。
【0066】
なお、画像入力部121の機能は、例えば、図4に示す状態管理部100に設けられたDRAM制御IC107により実現される。また、制御部122、付加情報形成部124、記憶部125、画像検査部126の機能は、例えば、状態管理部100に設けられた画像制御CPU101により実現される。また、排紙先切替部127の機能は、例えば、後処理部40の排紙制御部41により実現される。また、画像形成部128の機能は、例えば、プリンター部500により実現される。また、画像読取部129の機能は、例えば、読取部30により実現される。
【0067】
図6は、画像形成装置1の各部の動作例を示す機能ブロック図である。図6に示す各機能ブロックは、図5に示した各機能ブロックと同じである。図6では、図中に付した(1)~(15)の処理に即して各機能ブロックが他の機能ブロックとどのように連携して処理を行っているかを説明する。
【0068】
(1)まず、画像入力部121から制御部122に画像が入力される。この画像は、コントローラー部600から画像入力部121が受信したものである。そして、制御部122は、ジョブを開始する。ジョブが開始されると、制御部122は、画像入力部121から入力された画像を、圧縮IC108を用いて圧縮し、圧縮メモリ111に格納する。
【0069】
その後、制御部122は、圧縮メモリ111に格納されている圧縮画像を、伸張IC109を用いて伸張し、伸張した画像を第1ページメモリ112aに格納する。制御部122が画像の面付けを行う場合は、制御部122は、複数の画像の面付けを行い、第1ページメモリ112aに格納する。一方、コントローラー部600が画像の面付けを行う場合、画像入力部121が受信した画像が既に面付けされた状態となる。
【0070】
(2)次に、制御部122は、付加情報形成部124に対し、個々の用紙を識別するための付加情報の形成を指示する。
(3)付加情報形成部124は、用紙毎に異なる識別子となる付加情報を生成し、第1ページメモリ112aに格納された入力画像に付加情報を合成する。
【0071】
(4)次に、制御部122は、画像形成部128に対して画像の形成を指示する。制御部122から指示を受けた画像形成部128は、後述する図9に示すジョブ情報T2により指示された面付け数で用紙に画像を形成する印刷処理を行う。付加情報形成部124により入力画像に付加情報が合成されている場合、印刷処理された用紙には付加情報も印刷される。そして、画像が形成された用紙は、本体部10から読取部30に搬送される。
(5)用紙の搬送を完了した後、画像形成部128は、制御部122に対して画像を形成した用紙の搬送完了を通知する。
【0072】
(6)次に、制御部122は、後述する図9に示すジョブ情報T1により、画像検査指示の有無を判断する。ジョブ情報T1に画像検査指示が有れば、制御部122は、画像読取部129に対して、画像の読取りを指示する。
(7)画像読取部129は、本体部10から搬送された印刷用紙に形成された画像を読取り、第2ページメモリ112bに読取画像を格納する。そして、画像読取部129は、読取り完了を制御部122に通知する。
【0073】
(8)次に、制御部122は、画像検査部126に対して画像の検査を指示する。
(9)画像検査部126は、第2ページメモリ112bに格納された読取画像を読出し、この読取画像に汚れ等の異常が含まれているかを印刷用紙の検査単位毎に検査する。検査単位とは、通常、印刷用紙が断裁される単位と同じため、ジョブ情報T1に含まれる主走査方向分割数及び副走査方向分割数により求められる。そして、画像検査部126は、読取画像に異常が含まれていると検出した場合、異常の検出箇所(面)を制御部122に通知する。この通知を受けた制御部122は、画像検査部126により通知された異常の面数に基づいて課金額を算出する。また、制御部122は、異常の面数に基づいてリカバリ印刷で必要となるリカバリ面数を算出する。課金額及びリカバリ面数の算出については詳細を後述する。
【0074】
(10)次に、制御部122は、画像検査部126による画像検査の結果に基づいて、排紙先切替部127に対し、排紙先の切替えを指示する。後処理部40に設けられる排紙先として、後述する図22に示す通常用排紙トレイ45、全面異常紙用排紙トレイ46、及び部分異常紙用排紙トレイ47がある。排紙先の変更を指示する処理の詳細は、後述する図22にて説明する。そして、画像読取部129により画像が読取られた用紙は、排紙先切替部127により切替えられた排紙先に排紙される。
【0075】
(11)次に、制御部122は、画像検査部126により異常が検出された用紙の読取画像を記憶部125に保存する。
(12)そして、制御部122は、記憶部125から読出した、異常が検出された用紙の読取画像を第2ページメモリ112bに書込む。
【0076】
(13)次に、制御部122は、付加情報形成部124に対し、ユーザーに異常箇所を通知するための異常付加情報の形成を指示する。異常付加情報は、例えば、後述する図24に示すように、用紙に生じた汚れ等の異常を強調して表示するマークX3等である。
(14)付加情報形成部124は、制御部122の指示により異常付加情報を生成すると、第2ページメモリ112bに格納される読取画像に異常付加情報を合成する。
【0077】
(15)次に、制御部122は、通知部123に対して、異常の通知を指示する。通知部123は、例えば、異常画像と正常画像の混在した用紙が何枚目に排紙されたかを示す情報をユーザーに通知する。また、通知部123は、異常付加情報が合成された読取画像をユーザーに通知する。
【0078】
そして、制御部122は、コントローラー部600が入力画像の面付けを行っている場合は、コントローラー部600に対してリカバリ面数、リカバリすべき画像の情報を通知し、リカバリ印刷を指示する。また、制御部122が入力画像の面付けを行っている場合は、算出したリカバリ面数、リカバリすべき画像の情報に基づいてリカバリ印刷を行う。リカバリ印刷においても、上述した(1)から(15)の処理が繰り返し行われる。
【0079】
次に、具体的な処理の内容について順に説明する。
上述したようにリピートモード、集約モードのいずれにおいても、従来は、用紙の一部に異常を検出した場合は、用紙全体をヤレ紙としていた。しかし、1枚の用紙に複数の画像を面付して印刷し、印刷後に断裁して使用する場合、汚れがない面を使用したいという要望があった。
【0080】
図7は、リピートモードで印刷された用紙に異常が生じた例を示す説明図である。図7には、1枚の用紙に同一画像が8面印刷された例が示される。以下の説明で、図中にハサミのマークが付加された破線を、用紙を断裁する線として表す。このマーク及び破線は、説明のために設けたものであり、実際の用紙に印刷されるわけではない。そして、図7では、破線で示される1面毎の画像を断裁単位とするが、複数面の画像を一つの断裁単位とする場合もある。このため、1面毎の画像が断裁単位とされた場合、用紙に割付けられる面数と、断裁単位で表される面数とは同じであるが、複数面の画像が一つの断裁単位とされた場合、用紙に割付けられる面数と、断裁単位で表される面数とが異なる。
【0081】
図7に示す用紙では、用紙に割付けられた面を識別するために、用紙の左上から右に順に(1)~(4)と面番号を表し、用紙の左下から右に順に(5)~(8)と面番号を表す。図7に示す用紙には、(3)の面に汚れの異常X1があり、(8)の面にスジの異常X2があることが示される。しかし、(3)、(8)以外の(1)、(2)、(4)~(7)の面は、正常に印刷された面である。このため、用紙を断裁した後には、(1)、(2)、(4)~(7)の面を使用することが可能である。そこで、本実施の形態に係る画像検査部126は、リピートモードにより1枚の用紙に印刷された複数画像の中に正常に印刷された面があるか否かを判定する。
【0082】
図8は、集約モードで印刷された用紙に異常が生じた例を示す説明図である。図8には、1枚の用紙に異なる画像が8面印刷された例が示される。集約モードは、単に用紙を節約するために1枚に複数面印刷する場合もあるが、複数の面単位で断裁し、断裁した用紙を折り曲げて冊子にすることもある。図8においても、図7と同様のマーク及び破線が表示されている。
【0083】
図7に示した用紙と同様に、図8に示す用紙には、(3)の面に異常X1があり、(8)の面に異常X2がある。しかし、用紙を断裁した後には、正常に印刷された(1)、(2)、(4)~(7)の面を使用することが可能である。そこで、本実施の形態に係る画像検査部126は、集約モードにより1枚の用紙に印刷された複数画像の中に正常に印刷された面があるか否かを判定する。
【0084】
制御部122は、画像検査部126により用紙内に異常画像が検出されても、正常画像の面が少なくとも一つでも存在すれば、この用紙をヤレ紙とは区別する。そして、制御部122は、正常画像の面を再利用可能とするために、ヤレ紙と、1枚の用紙に正常画像及び異常画像が混在する用紙とで排紙先を変える制御を行う。また、制御部122は、正常画像及び異常画像が混在する用紙を再利用することを前提としてリカバリ面数を算出し、正常画像の不足分だけリカバリ印刷する制御を行う。
【0085】
ここで、ジョブに含まれるジョブ情報について説明する。
図9は、ジョブ情報T1,T2の構成例を示す説明図である。
ジョブ情報T1は、コントローラー部600がジョブの動作を指定する情報が含まれる。この情報として、例えば、画像検査有無、断裁有無、主走査方向分割数、副走査方向分割数がある。ジョブ情報T1による指定は、ジョブ全体(全ページ)に対して行われてもよいし、ページ毎に行われてもよい。
【0086】
画像検査有無とは、印刷用紙に対する画像検査の有無を指定する情報である。
断裁有無とは、印刷用紙に対する断裁有無を指定する情報である。
主走査方向分割数とは、断裁時の主走査方向の分割数を指定する情報である。主走査方向とは、用紙の搬送方向に対して直交する方向である。
副走査方向分割数とは、断裁時の副走査方向の分割数を指定する情報である。副走査方向とは、用紙の搬送方向に対して平行な方向である。
【0087】
ジョブ情報T2は、画像形成装置1により画像の面付けを行う場合に参照される情報である。本実施の形態では、画像の面付けが、コントローラー部600、又は画像形成装置1(本体部10)により行われる。ジョブ情報T2に含まれる情報として、例えば、主走査方向面付け数、副走査方向面付け数がある。
主走査方向面付け数とは、主走査方向に面付けする画像の数を指定する情報である。
副走査方向面付け数とは、副走査方向に面付けする画像の数を指定する情報である。
【0088】
次に、基準画像について説明する。
用紙に面付けされる画像は、コントローラー部600にて面付けされてもよいし、画像形成装置1内の制御部122にて面付けされてもよい。そして、コントローラー部600にて画像が面付けされた場合、画像検査部126により行われる印刷用紙の検査では、コントローラー部600から制御部122を介して画像検査部126に送られた基準画像と、画像読取部129が読取った画像とが比較される。制御部122にて画像が面付けされた場合、制御部122から画像検査部126に送られた基準画像と、画像読取部129が読取った画像とが比較される。
【0089】
図10は、基準画像の一例を示す説明図である。
例えば、図7に示したリピートモードでは、用紙に面付けされる同一の複数の画像のうちの一つの画像が基準画像として用いられる。図10には、リピートモードで印刷される用紙に面付けされるうちの一つの画像が基準画像の例として示されている。そして、図8に示した集約モードでは、図示しないものの、用紙に面付けされる異なる複数の画像のそれぞれが基準画像として用いられる。
【0090】
なお、画像検査部126による基準画像を用いた検査方法は、必ずしもコントローラー部600から取得した基準画像を用いる方法に限らない。例えば、画像検査部126は、1部目として印刷した用紙を画像読取部129が読取った画像を基準画像として、2部目以降に印刷した用紙から画像読取部129が読取った画像と比較してもよい。
【0091】
また、ジョブ情報T1にて断裁する単位が指定された場合は、断裁される単位、すなわち複数の面を含む画像がまとめて基準画像となる。この場合でも、コントローラー部600から送られてきた画像を基準画像としてよく、また、印刷用紙をスキャンして読取った画像を基準画像としてもよい。そして、基準画像に基づいて画像検査部126による画像の検査が行われる。このため、画像検査部126が画像の検査を行う際の検査単位は、断裁される単位と同じである。
【0092】
また、コントローラー部600が面付けする場合であって、ジョブ情報T1がない場合には、コントローラー部600が断裁する単位を指示可能な断裁指示部(不図示)を持ってもよい。そして、制御部122は、コントローラー部600から受信した画像から、断裁指示部により指示された単位で複数面で構成される画像を切り出して基準画像とする。
【0093】
一方、本体部10の画像制御CPU101が面付けする場合は、制御部122は、コントローラー部600の断裁指示部により指示された単位でコントローラー部600から受信した画像を合成し、この合成した画像を基準画像とする。また、印刷用紙をスキャンして読取った画像を基準画像とする場合も、制御部122は、断裁指示部により指示された単位でスキャンして読取った画像から複数面で構成される画像を切り出して基準画像とする。
【0094】
次に、再びジョブ情報について説明する。
図11は、ジョブ情報T3の構成例を示す説明図である。
ジョブ情報T3は、コントローラー部600がジョブの動作を指定する情報が含まれる。例えば、ジョブ情報T3の行に画像検査する、画像検査しないの項目があり、ジョブ情報T3の列に断裁する、断裁しないの項目がある。そして、ジョブ情報T3の行と列を組み合わせることで画像検査の要否と、断裁の要否とが指定される。
【0095】
例えば、ジョブに画像検査をする指定がされ、かつ断裁する指定がされている場合、画像検査部126は、断裁が指定された単位で画像を検査する。また、ジョブに画像検査する指定がされていても、断裁しない指定であれば、画像検査部126は、用紙の全面を単位として画像を検査する。また、ジョブに画像検査しない指定と、断裁する指定があれば、画像検査部126は、断裁された用紙の画像を検査しない。また、ジョブに画像検査しない指定と、断裁しない指定があれば、用紙は断裁されず、画像検査も行われない。このように画像検査部126が、用紙の全面を単位として異常を検出するのか、断裁する単位で異常を検出するのかは、ジョブ情報T3に指定される画像検査有無と断裁有無により切替えられる。
【0096】
引き続き、画像検査の検査単位と、リカバリ印刷が行われる用紙の枚数について説明する。
図12は、1枚の用紙が4分割して断裁される場合の検査単位を示す説明図である。ここでは、ジョブ情報T1により主走査方向分割数「2」、副走査方向分割数「2」が指定されたとする。図12では、断裁単位毎に(1)~(4)の番号を付す。このため、一つの断裁単位に2面の画像が含まれる。そして、断裁単位が、画像検査部126により行われる画像検査の検査単位となる。図12の例では、副走査方向を用紙の右から左への方向とした場合に、副走査方向に組み合わせた2つの画像が検査単位となる。そして、画像検査部126は、この検査単位で示される基準画像(2面の画像)を用いて画像を検査する。
【0097】
図13は、リピートモードで印刷した用紙に異常が検出された場合にリカバリ印刷の必要枚数を求めるための説明図である。図13Aには、画像検査部126が断裁単位で異常を検出した面数(異常面数)を格納した表が示される。図13Bには、異常(黒丸で表す)が検出された面を斜線で塗りつぶして強調表示した例が示される。
【0098】
例えば、リピートモードで印刷する用紙に対して、ジョブ情報T1により主走査方向分割数「2」、副走査方向分割数「4」が指定されているとする。そして、画像形成部128は、8面分の同一画像が面付けされた用紙を9部(9枚)印刷する。用紙の断裁単位は、主走査方向に印刷される1面ごと、かつ副走査方向に印刷される1面毎である。画像検査部126による検査の結果、図13Aに示すように、1部目~9部目に含まれる断裁単位で表される全ての異常面数は、異常面数の合計数=1+2+0+0+1+2+2+0+1=9面と算出される。
【0099】
1枚の用紙には8面の画像が面付けされる。そこで、正常に印刷された9面の画像を得るために必要な用紙の枚数は、断裁単位で表される異常面数の合計数「9」を用紙1枚当たりの断裁単位の合計面数「8」で割った、9/8=1.125枚と算出される。そして、1.125枚のように生じた端数を切り上げて、リカバリ印刷に必要な枚数を2枚と求める。画像形成部128は、リカバリ印刷を行うことで、2枚の用紙に合計16面の画像を印刷する。このため、異常が生じたことで除かれた9面の画像の代わりに、リカバリ印刷により得た2枚の用紙から正常に印刷された9面の画像を得ることができる。
【0100】
図14は、リピートモードで印刷した用紙に異常が検出された場合にリカバリ印刷の必要枚数を求めるための説明図である。図14Aには、画像検査部126が断裁単位で異常を検出した面数を格納した表が示される。図14Bには、異常が検出された面を斜線で塗りつぶして強調表示した例が示される。
【0101】
例えば、リピートモードで印刷する用紙に対して、ジョブ情報T1により主走査方向分割数「2」、副走査方向分割数「2」が指定されているとする。この場合、画像形成部128は、8面分の同一画像が面付けされた用紙を9部(9枚)印刷する。そして、用紙の断裁単位は、主走査方向に印刷される1面ごと、かつ副走査方向に印刷される隣り合った2面毎である。このため、断裁単位の合計面数が「4」と表される。なお、1部目の左下と、7部目の左上には、それぞれ2箇所の異常が検出されているが、いずれも同一の断裁単位内で生じた異常であるため、1部目と7部目の断裁単位で表される異常の数はそれぞれ「1」と表される。このため、画像検査部126による検査の結果、図14Aに示すように、1部目~9部目に含まれる断裁単位で表される全ての異常面数は、異常面数の合計数=1+2+0+0+1+2+3+0+1=10面と算出される。
【0102】
そこで、正常に印刷された断裁単位で表される9面の画像を得るために必要な用紙の枚数は、断裁単位で表される異常面数の合計数「10」を用紙1枚当たりの断裁単位の合計面数「4」で割った、10/4=2.5枚と算出される。そして、2.5枚のように生じた端数を切り上げて、リカバリ印刷に必要な枚数を3枚と求める。そして、画像形成部128は、リカバリ印刷を行うことで、3枚の用紙に合計12面の断裁単位で表される画像を印刷する。このため、異常が生じたことで除かれた断裁単位で表される10面の画像の代わりに、リカバリ印刷により得た3枚の用紙から正常に印刷された断裁単位で表される10面の画像を得ることができる。
【0103】
図15は、集約モードで印刷した用紙に異常が検出された場合にリカバリ印刷の必要枚数を求めるための説明図である。図15Aには、画像検査部126が断裁単位で異常を検出した面数を格納した表が示される。図15Bには、異常が検出された面を斜線で塗りつぶして強調表示した例が示される。
【0104】
例えば、集約モードで印刷する用紙に対して、ジョブ情報T1により主走査方向分割数「2」、副走査方向分割数「4」が指定されているとする。そして、画像形成部128は、8面分の異なる画像が面付けされた用紙を5ページ分印刷する。ただし、6ページ目には、6面の画像が印刷される。用紙の断裁単位は、主走査方向に印刷される1面ごと、かつ副走査方向に連続して印刷される1面毎である。このため、断裁単位の合計面数が「8」と表される。画像検査部126による検査の結果、図15Aに示すように、1ページ目~6ページ目に含まれる断裁単位で表される全ての異常面数は、異常面数の合計数=1+2+0+0+1+1=5面と算出される。
【0105】
1枚の用紙には8面の画像が面付けされる。そこで、正常に印刷された5面の画像を得るために必要な用紙の枚数は、断裁単位で表される異常面数の合計数「5」を用紙1枚当たりの断裁単位の合計面数「8」で割った、5/8=0.625枚と算出される。そして、0.625枚のように生じた端数を切り上げて、リカバリ印刷に必要な枚数を1枚と求める。画像形成部128は、異常が検出された面のリカバリ印刷を行うことで、1枚の用紙に合計5面の画像を印刷する。このため、異常が生じたことで除かれた断裁単位で表される5面の画像の代わりに、リカバリ印刷により得た1枚の用紙から正常に印刷された断裁単位で表される5面の画像を得ることができる。
【0106】
図16は、集約モードで印刷した用紙に異常が検出された場合にリカバリ印刷の必要枚数を求めるための説明図である。図16Aには、画像検査部126が断裁単位で異常を検出した面数を格納した表が示される。図16Bには、異常が検出された面を斜線で塗りつぶして強調表示した例が示される。
【0107】
例えば、集約モードで印刷する用紙に対して、ジョブ情報T1により主走査方向分割数「2」、副走査方向分割数「2」が指定されているとする。そして、画像形成部128は、8面分の異なる画像が面付けされた用紙を6ページ印刷する。ただし、6ページ目には、6面の画像が印刷される。そして、用紙の断裁単位は、主走査方向に印刷される1面ごと、かつ副走査方向に連続して印刷される2面毎である。このため、断裁単位の合計面数が「4」と表される。画像検査部126による検査の結果、図16Aに示すように、1ページ目~6ページ目に含まれる断裁単位で表される全ての異常面数は、異常面数の合計数=2+2+0+0+1+1=6面と算出される。
【0108】
1枚の用紙には断裁単位で表される4面の画像が面付けされる。そこで、正常に印刷された断裁単位で表される6面の画像を得るために必要な用紙の枚数は、断裁単位で表される異常面数の合計数「6」を用紙1枚当たりの断裁単位の合計面数「4」で割った、6/4=1.5枚と算出される。そして、1.5枚のように生じた端数を切り上げて、リカバリ印刷に必要な枚数を2枚と求める。そして、制御部122は、異常が検出された面のリカバリ印刷を指示することで、画像形成部128が2枚の用紙に断裁単位で表される合計6面の画像を印刷する。このため、異常が生じたことで除かれた断裁単位で表される6面の画像の代わりに、リカバリ印刷により得た1枚の用紙から正常に印刷された断裁単位で表される6面の画像を得ることができる。
【0109】
<リカバリ印刷の第1例>
次に、必要な面数だけをリカバリ印刷するときの方法について説明する。
リカバリ印刷により用紙一面に画像が印刷されたとしても、実際に使う面は一部であることが多い。そこで、リカバリ印刷の第1例では、異常面数と同じ数の面数を印刷する。
【0110】
図17は、リピートモードでリカバリ印刷するときの面付けの例を示す説明図である。
例えば、図13Bに示したように、リピートモードで印刷する用紙に対して、ジョブ情報T1により主走査方向分割数「2」、副走査方向分割数「4」が指定される。そして、図13Aに示したように1部目~9部目に含まれる断裁単位で表される全ての異常面数が9面と算出されると、リカバリ印刷は2枚の用紙に画像を印刷することで行われる。
【0111】
ここで、1枚目のリカバリ印刷は用紙に8面の画像を印刷し、2枚目のリカバリ印刷は用紙に1面の画像だけを印刷する。このように2枚目のリカバリ印刷にて不要な面(2~8面)の印刷をやめることで、プリンター部500で使用されるトナーの消費量を抑える効果が得られる。
【0112】
図18は、リピートモードでリカバリ印刷するときの面付けの例を示す説明図である。
例えば、図14Bに示したように、リピートモードで印刷する用紙に対して、ジョブ情報T1により主走査方向分割数「2」、副走査方向分割数「2」が指定される。このため、断裁単位の合計面数が「4」と表される。そして、図14Aに示したように1部目~9部目に含まれる断裁単位で表される全ての異常面数が10面と算出されると、リカバリ印刷は3枚の用紙に画像を印刷することで行われる。
【0113】
ここで、1枚目と2枚目のリカバリ印刷は用紙にそれぞれ断裁単位で表される4面の画像を印刷し、3枚目のリカバリ印刷は用紙に断裁単位で表される2面の画像だけを印刷する。このように3枚目のリカバリ印刷にて不要な面(断裁単位で表される3,4面)の印刷をやめることで、プリンター部500で使用されるトナーの消費量を抑える効果が得られる。
【0114】
図19は、集約モードでリカバリ印刷するときの面付けの例を示す説明図である。
例えば、図15Bに示したように、集約モードで印刷する用紙に対して、ジョブ情報T1により主走査方向分割数「2」、副走査方向分割数「4」が指定される。このため、断裁単位の合計面数が「8」と表される。そして、図15Aに示したように1ページ目~6ページ目に含まれる断裁単位で表される全ての異常面数が5面と算出されると、リカバリ印刷は1ページの用紙に画像を印刷することで行われる。
【0115】
ここで、1ページ目のリカバリ印刷は用紙に異常が検出された面の画像だけを印刷する。このように1ページ目のリカバリ印刷にて不要な面の印刷をやめることで、プリンター部500で使用されるトナーの消費量を抑える効果が得られる。
【0116】
図20は、集約モードでリカバリ印刷するときの面付けの例を示す説明図である。
例えば、図16Bに示したように、集約モードで印刷する用紙に対して、ジョブ情報T1により主走査方向分割数「2」、副走査方向分割数「2」が指定される。このため、断裁単位の合計面数が「4」と表される。そして、図16Aに示したように1ページ目~6ページ目に含まれる断裁単位で表される全ての異常面数が6面と算出されると、リカバリ印刷は2ページの用紙に画像を印刷することで行われる。
【0117】
ここで、1ページ目と2ページ目のリカバリ印刷では用紙に異常が検出された面の画像だけが印刷される。このように2ページ目のリカバリ印刷にて不要な面の印刷をやめることで、プリンター部500で使用されるトナーの消費量を抑える効果が得られる。
【0118】
<リカバリ印刷の第2例>
次に、余分の面数も含めてリカバリ印刷するときの方法について説明する。
リカバリ印刷により用紙に印刷された画像が必ずしも正常画像でない場合がある。この場合、再びリカバリ印刷を行って正常画像を得なければならず、煩雑である。そこで、リカバリ印刷の第2例では、異常面数よりも多い余分の面数を印刷する。
【0119】
図21は、リピートモードでリカバリ印刷するときの面付けの例を示す説明図である。
例えば、図13Bに示したように、リピートモードで印刷する用紙に対して、ジョブ情報T1により主走査方向分割数「2」、副走査方向分割数「4」が指定される。このため、断裁単位の合計面数が「8」と表される。そして、図13Aに示したように1部目~9部目に含まれる断裁単位で表される全ての異常面数は、9面と算出される。このため、リカバリ印刷は2枚の用紙に画像を印刷することで行われる。
【0120】
ここで、1枚目のリカバリ印刷は用紙に8面印刷し、2枚目のリカバリ印刷にも用紙に8面印刷する。リカバリ印刷された用紙において、異常面数と同じ数の画像は、1枚目の8面分と、2枚目の左上の1面だけである。しかし、画像形成部128は、2枚目の用紙に最大面数である8面の画像をリカバリ印刷する。このため、例えば、2枚目の用紙には、余分に7面の画像が印刷されている。図21では、余分に印刷された7面分の画像に対して、左上の1面とは異なる向きの斜線で塗りつぶして強調表示する。
【0121】
リカバリ印刷された用紙に異常が検出された場合、異常が生じた面数が「1」であれば、正常に印刷された7面の画像数「7」よりも、リカバリ印刷により異常が生じた面数「1」の方が小さい。このため、再度のリカバリ印刷を行わなくても、異常画像を、リカバリ印刷された用紙の正常画像に差替えることができる。このように余分の面数で画像をリカバリ印刷しておくことにより、リカバリ印刷した画像の一部が異常画像と判定された場合であっても、再度のリカバリ印刷を行うことなく、正常画像を取得できるという効果が得られる。
【0122】
<排紙先の切替え方法>
次に、異常が検出された用紙の排紙先を切替える方法について説明する。
図22は、後処理部40の内部構成例を示す概要図である。
後処理部40は、不図示の後処理機構の他に、通常用排紙トレイ45、全面異常紙用排紙トレイ46、部分異常紙用排紙トレイ47を備えて構成される。後処理部40に搬送された用紙の排紙先は、上述した図6に示した制御部122の指示による排紙先切替部127によって切替えられる。
【0123】
画像検査部126により、1枚の用紙における全ての面が正常に印刷されたと判定された用紙は、図中の経路P1にて通常用排紙トレイ45に排紙される。このため、用紙の全ての面が正常であった場合、制御部122は、排紙先切替部127に対し、用紙の排紙先を通常用排紙トレイ45に変更する指示を行う。
【0124】
一方、1枚の用紙における全ての面に異常が検出された全面異常紙(ヤレ紙)は使用できない。このように画像検査部126により、用紙の全ての面が異常であったと判定された場合、制御部122は、排紙先切替部127に対し、排紙先を全面異常紙用排紙トレイ46に変更する指示を行う。このため、全面異常紙(ヤレ紙)は、正常に印刷された用紙とは区別して、図中の経路P2にて全面異常紙用排紙トレイ46に排紙される。
【0125】
また、1枚の用紙における複数の面の内、1面でも正常な画像が印刷された面を含む部分異常紙は、部分異常紙を断裁した後、正常に印刷された面のみ使用される。そして、画像検査部126により、画像検査の結果、一部分の面が異常であった場合、制御部122は、排紙先切替部127に対し、排紙先を部分異常紙用排紙トレイ47に変更する指示を行う。このため、全面異常紙とは区別して、部分異常紙だけが経路P3にて部分異常紙用排紙トレイ47に排紙される。
このように全面が正常に印刷された用紙、全面に異常が検出された全面異常紙、一部に異常が検出された部分異常紙とで、それぞれの排紙先を分けることで、ユーザーによる煩雑な選別作業を軽減する効果が得られる。
【0126】
なお、図22に示すような排紙先を3つ以上持つ後処理部40以外にも、画像形成装置1に複数の排紙装置を連結し、排紙装置毎に排紙先を分けてもよい。
【0127】
また、後処理部40に複数の排紙先が設けられないことがある。この場合には、正常に印刷された用紙と、全面異常紙又は部分異常紙とが同一の排紙トレイに排紙される。しかし、正常に印刷された用紙の何枚目に全面異常紙又は部分異常紙が排紙されたかを示す情報を、操作表示部400又は情報端末50に通知する。この通知は、例えば、ジョブで指定される印刷枚数の印刷終了後に、排紙トレイに溜まった用紙束の一番上に情報が印刷された用紙を排紙することで行ってもよい。これにより、ユーザーは、正常に印刷された用紙から、全面異常紙又は部分異常紙を速やかに取出し、排除することができる。
【0128】
<課金方法>
また、画像形成装置1を使用して印刷し、排紙した用紙に課金を行う場合がある。通常、正常に画像が形成され、排紙された用紙には予め定められた金額が課金されるが、異常が検出された用紙には課金されない。そこで、部分異常紙のように、正常画像と異常画像とが1枚の用紙に混在する場合、制御部122は、印刷した面数に対する正常に印刷された面数の割合で金額を決定する。例えば、用紙1枚の金額がAであり、8面印刷する場合に、4面を正常に印刷できたのであれば、制御部122は、課金額=(4/8)×Aと算出する。そして、制御部122は、排紙する全ての用紙において課金額を算出する。これにより、制御部122は、正常に印刷された面だけを考慮して用紙全体の課金額を求めることができる。
【0129】
<印刷される付加情報の例>
次に、用紙に印刷される付加情報について説明する。
図23は、印刷用紙に印刷された付加情報の例を示す説明図である。図23Aは、リピートモードで印刷された用紙に印刷された付加情報の例を示し、図23Bは、付加情報が付された部位を拡大した例を示す。
【0130】
画像形成部128は、印刷された用紙の余白部に付加情報を印刷する。用紙の余白部とは、用紙の印刷後に断裁される部分である。余白部に付加情報を印刷することで、用紙に印刷された画像に影響が及ばないようにする。付加情報として、例えば部番号、ページ番号、又は連続した番号等がある。この付加情報は、上述した図6に示したように付加情報形成部124により形成される。
【0131】
そして、画像検査部126が読取画像から用紙の異常を検出した場合、通知部123は、異常の位置を示す付加情報を、操作表示部400又は情報端末50に通知する。例えば、図23Bには、用紙の左上隅に表示された「24」が、この用紙が24部目であることを表す。このため、通知部123により、24部目の(6)、(8)の面に異常箇所があったことが操作表示部400又は情報端末50に通知される。ユーザーは、通知された内容に基づいて、異常が検出された用紙を、排紙された用紙から探しやすくなる。また、ユーザーは、探し当てた用紙のどの面が使用可能であるかを判別しやすくなる。
【0132】
<表示される付加情報の例>
図24は、読取画像に合成された付加情報の例を示す説明図である。
画像読取部129により読取られた読取画像は、画像検査において異常が検出された場合には、記憶部125に保存され、制御部122により読み出される。そして、付加情報形成部124により形成された付加情報を、記憶部125から読み出された画像に合成する。このとき合成される付加情報は、例えば、図24に示す用紙の(6)の面にある異常X1を囲ったマークX3、(8)の面にある異常X2を囲ったマークX4で表される。そして、付加情報が合成された画像が、操作表示部400又は情報端末50に送信される。これにより、付加情報を用紙に印刷しなくてもユーザーは、操作表示部400又は情報端末50に表示された画像に基づいて、どの用紙のどの箇所に異常が検出されたかを把握することができる。
【0133】
<コントローラー部が面付けする場合の処理例>
次に、コントローラー部600が画像の面付けを行う場合における画像入力から用紙の排紙までの処理の流れについて、図25図27を参照して説明する。
図25は、コントローラー部600が画像の面付けを行う場合に、画像形成装置1により行われる処理の例を示すメインフローチャートである。この処理は、概ね図6に示した各部の動作例に従って行われる。
【0134】
始めに、画像入力部121から制御部122に画像が入力される(S1)。この画像は、コントローラー部600から画像入力部121が受信したものである。そして、制御部122は、ジョブを開始する。ジョブが開始されると、制御部122は、画像入力部121から入力した画像を、圧縮IC108を用いて圧縮し、圧縮メモリ111に格納する。その後、制御部122は、圧縮メモリ111に格納されている圧縮画像を、伸張IC109を用いて伸張し、伸張した画像を第1ページメモリ112aに格納する。
【0135】
次に、排紙先切替部127は、制御部122の指示に基づいて、排紙先を通常用排紙トレイ45に設定する(S2)。次に、制御部122は、付加情報形成部124に対し、付加情報の形成を指示する。付加情報形成部124は、用紙毎に異なる識別子となる付加情報を生成し、第1ページメモリ112aに格納される入力画像に付加情報を合成する(S3)。
【0136】
次に、給紙トレイから画像形成部128に用紙を給紙する給紙処理が行われる(S4)。次に、制御部122は、画像形成部128へ画像の出力を指示し、画像形成部128は、用紙への画像形成処理を行う(S5)。そして、画像形成部128は、用紙の排紙完了後、制御部122に対して用紙の排紙完了を通知する(S6)。
【0137】
次に、画像検査部126による画像の検査処理が行われる(S7)。ここで、画像の検査処理について説明する。
図26は、画像の検査処理の例を示すフローチャートである。
【0138】
始めに、制御部122は、画像検査指示の有無を判断する(S21)。画像検査指示の有無は、例えば、ジョブ情報T1等により判断される。画像検査指示がない場合(S21のNO)、ステップS29の課金額の算出に移る。
【0139】
一方、画像検査指示がある場合(S21のYES)、制御部122は、画像読取部129へ、画像の読取りを指示する。画像読取部129は、印刷用紙を読取り、第2ページメモリ112bに格納し、読取り完了を制御部122に通知する。制御部122は、画像検査部126へ、画像の検査を指示する(S22)。
【0140】
画像検査部126は、印刷用紙の読取画像に、異常があるか否かを検査単位毎に検査する(S23)。読取画像に異常がない場合(S23のNO)、ステップS29の課金額の算出に移る。一方、読取画像に異常がある場合(S23のYES)、画像検査部126は、異常の検出箇所(面)を制御部122に通知する。
【0141】
次に、制御部122により、用紙の全面に異常があるか否かが判断される(S24)。用紙の全面に異常がある場合(S24のYES)、制御部122は、排紙先切替部127に対し、用紙の排紙先を全面異常紙用排紙トレイ46に変更する指示を行う(S25)。一方、用紙の全面に異常がない、すなわち一部の面だけに異常が検出された場合(S24のNO)、制御部122は、排紙先切替部127に対し、用紙の排紙先を部分異常紙用排紙トレイ47に変更する指示を行う(S26)。
【0142】
ステップS25又はS26の後、制御部122は、断裁単位毎に求めた異常の面数からリカバリ面数を算出する(S27)。次に、制御部122は、異常を検出した用紙の異常画像を記憶部125に保存する(S28)。
【0143】
ステップS21のNO、S23のNO、又はS28の後、制御部122は、断裁単位毎に求めた異常の面数に基づいて課金額を算出し(S29)、図25のステップS8に戻る。
【0144】
再び図25の説明を続ける。
ステップS7の検査処理の後、制御部122は、ジョブに指定された全ページの印刷を完了したか否かを判断する(S8)。制御部122は、全ページの印刷を完了していないと判断した場合(S8のNO)、ステップS1に戻って処理を続ける。
【0145】
一方、制御部122は、全ページの印刷を完了したと判断した場合(S8のYES)、画像検査の結果からリカバリ印刷が必要か否かを判断する(S9)。制御部122は、リカバリ印刷が不要であると判断した場合(S9のNO)、本処理を終了する。
【0146】
一方、制御部122は、リカバリ印刷が必要であると判断した場合(S9のYES)、コントローラー部600へリカバリ面数、リカバリすべき画像の情報を通知し、リカバリ印刷を指示する(S10)。そして、制御部122は、図23又は図24に示した異常の通知処理を行い(S11)、本処理を終了する。その後、リカバリ印刷が行われるときには、再びステップS1から処理が開始される。
【0147】
ここで、ステップS11にて行われる異常の通知処理について説明する。
図27は、異常の通知処理の例を示すフローチャートである。
【0148】
始めに、制御部122は、画像検査部126により異常が検出された用紙の異常画像を第2ページメモリ112bから読出す(S31)。次に、制御部122は、付加情報形成部124に対し、異常箇所を示すための付加情報の形成を指示する。付加情報形成部124は、付加情報を生成し、第2ページメモリ112bに格納されている、異常が検出された用紙の読取画像に付加情報を合成する(S32)。
【0149】
次に、制御部122は、通知部123へ、異常の通知を指示する。通知部123は、異常画像と正常画像の混在した用紙が何枚目に排紙されたか、及び異常画像に異常検出個所を示すマークを合成した合成画像を、操作表示部400又は情報端末50に通知する(S33)。
【0150】
<画像形成装置が面付けする場合の処理例>
次に、画像形成装置1が画像の面付けを行う場合における画像入力から用紙の排紙までの処理の流れについて、図28を参照して説明する。
図28は、画像形成装置1が画像の面付けを行う場合に、画像形成装置1により行われる処理の例を示すメインフローチャートである。この処理についても、概ね図6に示した各部の動作例に従って行われる。そして、図28の処理は、上述した図25の処理と同様であるため、異なる処理について説明する。
【0151】
始めに、画像入力部121から制御部122に画像が入力されると(S41)、排紙先切替部127は、制御部122の指示に基づいて、排紙先を通常用排紙トレイ45に設定する(S42)。ステップS41,S42の処理は、図25に示したステップS1,S2と同様の処理である。
【0152】
次に、制御部122は、受信したジョブに含まれるジョブ情報T2の指定に従って、主走査方向面付け数、副走査方向面付け数に基づき、画像入力部121から入力した画像を用紙に面付けする(S43)。そして、制御部122は、以降の処理を行う。ここで、ステップS44~S49までの処理は、図25に示したステップS3~S8までの処理と同じため、詳細な説明を省略する。
【0153】
ステップS49にて、全ページの印刷を完了したと判断された場合(S49のYES)、制御部122は、画像検査の結果からリカバリ印刷が必要か否かを判断する(S50)。制御部122は、リカバリ印刷が不要であると判断した場合(S50のNO)、本処理を終了する。
【0154】
一方、制御部122は、リカバリ印刷が必要であると判断した場合(S50のYES)、図23又は図24に示した異常の通知処理を行い(S51)、再びステップS42に戻る。そして、制御部122は、排紙先を通常用排紙トレイ45に設定した後(S42)、リカバリ面数、リカバリすべき画像の情報に基づいて、画像を用紙に面付けする(S43)。その後、制御部122は、以降の処理にてリカバリ印刷の実行を制御する。
【0155】
以上説明した一実施の形態に係る画像形成装置1では、印刷用紙に面付けされた複数の画像の中から所定の検査単位で正常画像と異常画像とを判定した検査結果を得られる。ここで、従来は、用紙の一部でも異常と判定された場合、用紙全体がヤレ紙として除かれていた。しかし、本実施の形態では、用紙の一部に異常を含んでも、検査単位毎に正常画像と異常画像とが判定されるため、正常画像と判定された検査単位では用紙を断裁して再利用することができる。これによりヤレ紙の発生を減らすことができる。また、異常画像と判定された面数に合わせてリカバリ印刷を行うことで、必要以上のリカバリ印刷の実行、及び、トナー等の消耗品の消費を抑制することができる。
【0156】
また、リカバリ印刷は、印刷用紙に含まれる異常画像の面数を印刷用紙を断裁する単位毎に積算した異常画像の面数に応じて行われる。このため、不要なリカバリ印刷を減らすことができる。
【0157】
また、一つの排紙先しかなければ、正常に印刷された用紙と同じ排紙先に、異常画像及び正常画像が混在した用紙が排紙される。この場合、通知部123により、異常画像及び正常画像が混在した用紙が何枚目に排紙されたかが通知されるため、ユーザーは、異常画像及び正常画像が混在した用紙を速やかに取得することができる。
【0158】
また、ヤレ紙と、異常画像及び正常画像が混在した用紙とで排紙先を切替えて排紙することができる。そして、ユーザーは、通知された排紙先から異常画像及び正常画像が混在した用紙を取得し、この用紙に印刷された正常画像を再利用することができる。
【0159】
また、印刷用紙には付加情報が形成され、印刷用紙に一つ以上の異常画像が含まれると判定された場合、この付加情報と、異常画像の位置とが通知される。このため、ユーザーは、異常画像及び正常画像が混在した用紙から、直ちに異常画像の位置を把握することができる。また、印刷用紙に一つ以上の異常画像が含まれる場合、異常付加情報が合成された読取画像が通知されるため、ユーザーは、どの印刷用紙に異常が生じたかを把握しやすくなる。
【0160】
また、異常画像及び正常画像が混在した用紙から正常画像を再利用することができるため、正常画像を含む断裁する単位毎に課金額を決定することができる。このため、従来のように印刷用紙の一部に異常が生じたことにより、この印刷用紙に正常画像があったとしても課金できなかった場合と比べて、効率的に課金額を決定できる。
【0161】
なお、上述した実施の形態では、画像形成装置1の本体部10に読取部30がインライン接続された例を説明したが、読取部30に相当する検査装置を本体部10とは別途設けてもよい。この検査装置には、画像形成装置1に組み込まれていた画像読取部129、画像検査部26を備える検査装置を構成する。そして、検査装置には、制御部122の一部の機能を実行可能な制御部を備え、この制御部により、検査装置内の各部の動作が制御可能とする。また、この検査装置に通知部123、付加情報形成部124が構成されてもよい。そして、検査装置の制御部は、画像形成装置又は情報端末50に対して、付加情報を合成した検査結果の画像を送信することで、ユーザーに異常を通知してもよい。
【0162】
なお、本発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、本実施の形態の構成の一部について、他の構成を追加、削除、置換することも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0163】
1…画像形成装置、10…本体部、20…大容量給紙部、30…読取部、40…後処理部、41…排紙制御部、50…情報端末、100…状態管理部、121…画像入力部、122…制御部、123…通知部、124…付加情報形成部、125…記憶部、126…画像検査部、127…排紙先切替部、128…画像形成部、129…画像読取部、400…操作表示部、500…プリンター部、600…コントローラー部
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