(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G02B 26/12 20060101AFI20220105BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20220105BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20220105BHJP
B41J 2/47 20060101ALI20220105BHJP
H02P 29/00 20160101ALI20220105BHJP
【FI】
G02B26/12
G03G15/04 111
G03G21/14
B41J2/47 101M
H02P29/00
(21)【出願番号】P 2017213812
(22)【出願日】2017-11-06
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 達也
(72)【発明者】
【氏名】木村 拓
(72)【発明者】
【氏名】山本 豊
(72)【発明者】
【氏名】加藤 重孝
(72)【発明者】
【氏名】切久保 誠一
(72)【発明者】
【氏名】笠松 徹
【審査官】本田 博幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-083514(JP,A)
【文献】特開2014-149537(JP,A)
【文献】特開平08-095461(JP,A)
【文献】特開2013-174791(JP,A)
【文献】特開2005-062311(JP,A)
【文献】特開2001-128475(JP,A)
【文献】特開平11-084300(JP,A)
【文献】特開2005-165000(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0198005(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/12
G03G 15/04
G03G 21/14
B41J 2/47
H02P 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
感光体と、
前記感光体を露光するためのプリントヘッド部材とを備え、
前記プリントヘッド部材は、
前記感光体を露光するためのレーザー光を照射するための光源と、
前記光源からのレーザー光を反射するためのポリゴンミラーと、
前記ポリゴンミラーを回転させるためのポリゴンモーターとを含み、
前記画像形成装置は、さらに、前記露光の開始後にポリゴンモーターを第1回転数で回転させるための制御装置を備え、
前記制御装置は前記露光を開始する前に、
前記ポリゴンモーターを当該第1回転数で回転させた場合における前記プリントヘッド部材の共振
強度が所定の閾値以下となる複数の候補回転数の内から第2回転数を決定し、
前記ポリゴンモーターを当該第2回転数で回転させる、画像形成装置。
【請求項2】
画像形成装置であって、
感光体と、
前記感光体を露光するためのプリントヘッド部材とを備え、
前記プリントヘッド部材は、
前記感光体を露光するためのレーザー光を照射するための光源と、
前記光源からのレーザー光を反射するためのポリゴンミラーと、
前記ポリゴンミラーを回転させるためのポリゴンモーターとを含み、
前記画像形成装置は、さらに、前記露光の開始後にポリゴンモーターを第1回転数で回転させるための制御装置を備え、
前記制御装置は前記露光を開始する前に、
前記ポリゴンモーターを当該第1回転数で回転させた場合における前記プリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値以下となる複数の候補回転数の内から、前記第1回転数への遷移時間に基づいて、
第2回転数を決定し、
前記ポリゴンモーターを当該第2回転数で回転させる、画像形成装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記プリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値以下となる前記第2回転数の候補の中から、前記第1回転数への遷移時間が一番短い回転数を、前記第2回転数として決定する、請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記プリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値以下となる前記第2回転数の候補の中から、前記第1回転数よりも低い回転数の中で、
前記第1回転数への遷移時間が一番短い回転数を
前記第2回転数として決定する、請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記プリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値以下となる前記第2回転数の候補の中から、第1回転数よりも回転数が低く、かつ、前記第1回転数への遷移時間が2番目に短い第1の候補と、第1回転数よりも回転数が高く、かつ、前記第1回転数への遷移時間が最も短い第2の候補とが存在する場合、前記遷移時間の差が所定の閾値以下の場合に、前記第1の候補を前記第2回転数として決定する、請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御装置が、前記プリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値以下となる前記第2回転数の候補の中から、前記第1回転数への遷移時間が一番短い回転数を前記第2回転数として決定するか、前記第1回転数よりも回転数が低く、かつ、前記第1回転数への遷移時間が一番短いものを前記第2回転数として決定するかを、ユーザーが選択可能に構成されている、請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置であって、
感光体と、
前記感光体を露光するためのプリントヘッド部材とを備え、
前記プリントヘッド部材は、
前記感光体を露光するためのレーザー光を照射するための光源と、
前記光源からのレーザー光を反射するためのポリゴンミラーと、
前記ポリゴンミラーを回転させるためのポリゴンモーターとを含み、
前記画像形成装置は、さらに、前記露光の開始後にポリゴンモーターを第1回転数で回転させるための制御装置を備え、
前記制御装置は前記露光を開始する前に、
前記ポリゴンモーターを当該第1回転数で回転させた場合における前記プリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値以下となる複数の候補回転数の内から、第2回転数を決定し、
前記ポリゴンモーターを当該第2回転数で回転させ、
前記制御装置は、前記第1回転数の設定値に応じて前記ポリゴンモーターの回転数を変化させて回転させた場合に、当該回転数の変化に伴う前記プリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値を超えない場合、前記第1回転数を前記第2回転数として決定する
、画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置であって、
感光体と、
前記感光体を露光するためのプリントヘッド部材とを備え、
前記プリントヘッド部材は、
前記感光体を露光するためのレーザー光を照射するための光源と、
前記光源からのレーザー光を反射するためのポリゴンミラーと、
前記ポリゴンミラーを回転させるためのポリゴンモーターとを含み、
前記画像形成装置は、さらに、前記露光の開始後にポリゴンモーターを第1回転数で回転させるための制御装置を備え、
前記制御装置は前記露光を開始する前に、
前記ポリゴンモーターを当該第1回転数で回転させた場合における前記プリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値以下となる複数の候補回転数の内から、第2回転数を決定し、
前記ポリゴンモーターを当該第2回転数で回転させ、
前記制御装置は、前記画像形成装置の内部における環境条件が変化すると、当該変化後の環境条件下において、第1回転数の設定値に応じて前記ポリゴンモーターの回転数を変化させて回転させた場合に、当該回転数の変化に伴う前記プリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値以下となる回転数を、前記第2回転数として決定し、
前記環境条件は、温度および湿度の少なくとも一方である
、画像形成装置。
【請求項9】
前記制御装置は、前記ポリゴンモーターの周囲の温度または湿度に応じて、前記第2回転数を補正する、請求項1~
8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置は、前記第1回転数に対応する前記第2回転数が規定された回転数対応データを記憶する記憶装置をさらに備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成装置は、前記制御装置が、前記第1回転数の設定値に応じて前記ポリゴンモーターの回転数を変化させて回転させた場合に、当該回転数の変化に伴う前記プリントヘッド部材の共振強度を測定するための振動センサをさらに備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成装置は、電源投入後のタイミングであって、前記ポリゴンモーターを前記第
2回転数で回転させるタイミングを検出するための検出手段をさらに備える、請求項1~
11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記検出手段は、ユーザーのパネル操作を検知するパネル操作センサ、用紙のセットを検知する用紙センサ、またはユーザーの接近を検知する接近センサの中のすくなくとも1つである、請求項
12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記所定の閾値は、0.3m/s
2
・rmsである、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関し、より特定的には画像形成装置のポリゴンモーターの回転制御に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、感光体を露光するためにレーザー光を反射するポリゴンミラーが高速で回転されている。ポリゴンミラーを回転させるためのポリゴンモーターの立ち上げを迅速化することは、ユーザーの利便性の観点で重要である。そこで従来、印刷工程が開始される事前にポリゴンモーターを一定回転数まで立ち上げておく「事前回転」制御が行われている。これにより、コピースタートと同時に、他の部品の動作に遅れることなくポリゴンモーターの回転数を印刷時の規定回転数まで起動することができる。
【0003】
このような事前回転制御に関する技術としては、たとえば、特開2006-65109号公報(特許文献1)は、「時刻による画像形成装置の稼働率を記憶し、稼働率に基づいて、モータの回転速度を可変制御する」画像形成装置を開示している([要約]の[解決手段]参照)。また、特開2001-128475号公報(特許文献2)には、「共振の発生を極力防ぎ、また、万一、共振領域で回転する場合には、共振領域での回転を速やかに解消する」回転数制御方法が開示されている([要約]の[課題]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-65109号公報
【文献】特開2001-128475号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の技術では、他の駆動モータ等が動作する前にポリゴンモーターのみが回転するため、ポリゴンモーターが取り付けられたプリントヘッドユニットの共振等により、音圧レベル(dB値)的には低い状態であるにもかかわらず、耳障りな共振音が発生する不具合が生じていた。あるいは、特許文献2の技術では、共振点からのずらし方によっては、コピーボタンの押し下げ後のポリゴンの立ち上がりが他のエレメントより遅れてしまい、一枚目のコピーが遅れてしまうことが発生していた。したがって、共振の発生をおさえつつ、ポリゴンモーターの立ちあがりを高速化する技術が必要とされている。
【0006】
本開示は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ある局面における目的は、プリントヘッドユニットなどによる共振の発生をおさえつつ、ポリゴンモーターの立ちあがりを高速化を実現する画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある局面に従うと、画像形成装置は、感光体と、感光体を露光するためのプリントヘッド部材とを備える。プリントヘッド部材は、感光体を露光するためのレーザー光を照射するための光源と、光源からのレーザー光を反射するためのポリゴンミラーと、ポリゴンミラーを回転させるためのポリゴンモーターとを含む。画像形成装置は、さらに、露光の開始後にポリゴンモーターを第1回転数で回転させるための制御装置を備える。制御装置は露光を開始する前に、ポリゴンモーターを当該第1回転数で回転させた場合におけるプリントヘッド部材の共振が少ない予め定められた複数の候補回転数の内から第2回転数を決定し、ポリゴンモーターを当該第2回転数で回転させる。
【0008】
好ましくは、制御装置は、第1回転数の設定値に応じてポリゴンモーターの回転数を変化させて回転させた場合に、当該回転数の変化に伴うプリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値以下となる回転数を、第2回転数として決定する。
【0009】
好ましくは、制御装置は、プリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値以下となる第2回転数の候補の中から、第1回転数への遷移時間に基づいて、第2回転数を決定する。
【0010】
好ましくは、制御装置は、プリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値以下となる第2回転数の候補の中から、第1回転数への遷移時間が一番短い回転数を、第2回転数として決定する。
【0011】
好ましくは、制御装置は、プリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値以下となる第2回転数の候補の中から、第1回転数よりも低い回転数の中で、第1回転数への遷移時間が一番短い回転数を第2回転数として決定する。
【0012】
好ましくは、制御装置は、プリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値以下となる第2回転数の候補の中から、第1回転数よりも回転数が低く、かつ、第1回転数への遷移時間が2番目に短い第1の候補と、第1回転数よりも回転数が高く、かつ、第1回転数への遷移時間が最も短い第2の候補とが存在する場合、遷移時間の差が所定の閾値以下の場合に、第1の候補を第2回転数として決定する。
【0013】
好ましくは、制御装置が、プリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値以下となる第2回転数の候補の中から、第1回転数への遷移時間が一番短い回転数を第2回転数として決定するか、第1回転数よりも回転数が低く、かつ、第1回転数への遷移時間が一番短いものを第2回転数として決定するかを、ユーザーが選択可能に構成されている。
【0014】
好ましくは、制御装置は、ポリゴンモーターの周囲の温度または湿度に応じて、第2回転数を補正する。
【0015】
好ましくは、制御装置は、第1回転数の設定値に応じてポリゴンモーターの回転数を変化させて回転させた場合に、当該回転数の変化に伴うプリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値を超えない場合、第1回転数を第2回転数として決定する。
【0016】
好ましくは、画像形成装置は、第1回転数に対応する第2回転数が規定された回転数対応データを記憶する記憶装置をさらに備える。
【0017】
好ましくは、画像形成装置は、制御装置が、第1回転数の設定値に応じてポリゴンモーターの回転数を変化させて回転させた場合に、当該回転数の変化に伴うプリントヘッド部材の共振強度を測定するための振動センサをさらに備える。
【0018】
好ましくは、制御装置は、画像形成装置の内部における環境条件が変化すると、当該変化後の環境条件下において、第1回転数の設定値に応じてポリゴンモーターの回転数を変化させて回転させた場合に、当該回転数の変化に伴うプリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値以下となる回転数を、第2回転数として決定し、環境条件は、温度および湿度の少なくとも一方である。
【0019】
好ましくは、画像形成装置は、電源投入後のタイミングであって、ポリゴンモーターを第1回転数で回転させるタイミングを検出するための検出手段をさらに備える。
【0020】
好ましくは、検出手段は、ユーザーのパネル操作を検知するパネル操作センサ、用紙のセットを検知する用紙センサ、またはユーザーの接近を検知する接近センサの中のすくなくとも1つである。
【0021】
ある局面において、画像形成装置は、プリントヘッドユニットなどによる共振の発生をおさえつつ、ポリゴンモーターの立ちあがりを高速化を実現することができる。
【0022】
上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】画像形成装置の装置構成の一例を示す図である。
【
図2】プリントヘッドの内部構造を表わす平面図である。
【
図3】プリントヘッドと感光体との関係を示す模式図である。
【
図4】画像形成装置の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】第1の実施の形態に係るポリゴンモーターの回転制御における機能ブロック図である。
【
図6】第2回転数を決定する際の共振点検知を説明する図である。
【
図7】第1回転数と第2回転数の候補とを示す回転数対応テーブルを示す図である。
【
図8】第2回転数の候補となる回転数から第1回転数への遷移時間を示す図である。
【
図9】画像形成処理全体の手順を示すフローチャートである。
【
図10】ポリゴンモーターの回転制御の手順を示すフローチャートである。
【
図11】印字処理の手順を示すフローチャートである。
【
図12】第2の実施の形態に係るポリゴンモーターの回転制御における機能ブロック図である。
【
図13】第2の実施の形態に係る第1回転数補正テーブルを示す図である。
【
図15】第2の実施の形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
【
図16】第3の実施の形態に係るポリゴンモーターの回転数設定処理における機能ブロック図である。
【
図17】ポリゴンモーターの回転数設定処理における操作パネルを示す図である。
【
図18】ポリゴンモーター回転数の設定が行われる一例としての、画像形成装置の設定時のセットアップ処理のフローチャート図である。
【
図19】ポリゴンモーター回転数設定のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0025】
<第1の実施の形態>
[1.画像形成装置150]
図1を参照して、第1の実施の形態に従う画像形成装置150について説明する。
図1は、画像形成装置150の装置構成の一例を示す図である。
【0026】
図1には、カラープリンタとしての画像形成装置150が示されている。以下では、カラープリンタとしての画像形成装置150について説明するが、画像形成装置150は、カラープリンタに限定されない。たとえば、画像形成装置150は、モノクロプリンタであってもよいし、モノクロプリンタ、カラープリンタおよびFAXの複合機(所謂MFP)であってもよい。
【0027】
画像形成装置150は、スキャナー20と、プリンター50とで構成されている。スキャナー20は、カバー21と、用紙台22と、トレー23と、ADF(Auto Document Feeder)24とで構成されている。カバー21の一端は、用紙台22に固定されており、カバー21は、当該一端を支点として開閉可能に構成されている。画像形成装置150のユーザーは、カバー21を開くことで、用紙Sを用紙台22にセットすることができる。画像形成装置150は、用紙Sが用紙台22にセットされた状態でスキャン指示を受け付けると、用紙台22にセットされた用紙Sのスキャンを開始する。また、画像形成装置150は、用紙Sがトレー23にセットされた状態でスキャン指示を受け付けると、用紙Sは、ADF24によって1枚ずつ自動的に読み取られる。
【0028】
プリンター50は、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kと、中間転写ベルト30と、一次転写ローラー31と、二次転写ローラー33と、カセット37A~37Cと、従動ローラー38と、駆動ローラー39と、タイミングローラー40と、定着装置47と、制御装置101とを備える。
【0029】
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト30に沿って順に並べられている。画像形成ユニット1Yは、トナーボトル15Yからトナーの供給を受けてイエロー(Y)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Mは、トナーボトル15Mからトナーの供給を受けてマゼンタ(M)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Cは、トナーボトル15Cからトナーの供給を受けてシアン(C)のトナー像を形成する。画像形成ユニット1Kは、トナーボトル15Kからトナーの供給を受けてブラック(BK)のトナー像を形成する。
【0030】
画像形成ユニット1Yは、感光体10Yと、帯電装置11Yと、光源322Yと、現像装置13Yと、クリーニング装置17Yとを含む。画像形成ユニット1Mは、感光体10Mと、帯電装置11Mと、光源322Mと、現像装置13Mと、クリーニング装置17Mとを含む。画像形成ユニット1Cは、感光体10Cと、帯電装置11Cと、光源322Cと、現像装置13Cと、クリーニング装置17Cとを含む。画像形成ユニット1Kは、感光体10Kと、帯電装置11Kと、光源322Kと、現像装置13Kと、クリーニング装置17Kとを含む。
【0031】
以下では、感光体10Y,10M,10C,10Kを総称して感光体10ともいう。帯電装置11Y,11M,11C,11Kを総称して帯電装置11ともいう。光源322Y,322M,322C,322Kを総称して光源322ともいう。現像装置13Y,13M,13C,13Kを総称して現像装置13ともいう。クリーニング装置17Y,17M,17C,17Kを総称してクリーニング装置17ともいう。
【0032】
帯電装置11は、感光体10の表面を一様に帯電する。光源322は、制御装置101からの制御信号に応じて感光体10にレーザー光を照射し、入力された画像パターンに従って感光体10の表面を露光する。これにより、入力画像に応じた静電潜像が感光体10上に形成される。光源322は、プリントヘッド300に設けられている。プリントヘッド300の詳細については後述する。
【0033】
現像装置13は、現像ローラー14を回転させながら、現像ローラー14に現像バイアスを印加し、現像ローラー14の表面にトナーを付着させる。これにより、トナーが現像ローラー14から感光体10に転写され、感光体10上に形成された静電潜像に応じたトナー像が、感光体10の表面に現像される。
【0034】
感光体10と中間転写ベルト30とは、一次転写ローラー31を設けている部分で互いに接触している。トナー像と反対極性の転写電圧が一次転写ローラー31に印加されることによって、トナー像が感光体10から中間転写ベルト30に転写される。イエロー(Y)のトナー像、マゼンタ(M)のトナー像、シアン(C)のトナー像、およびブラック(BK)のトナー像が順に重ねられて感光体10から中間転写ベルト30に転写される。これにより、カラーのトナー像が中間転写ベルト30上に形成される。
【0035】
中間転写ベルト30は、従動ローラー38および駆動ローラー39に張架されている。駆動ローラー39は、モーター(図示しない)によって回転駆動される。中間転写ベルト30および従動ローラー38は、駆動ローラー39に連動して回転する。これにより、中間転写ベルト30上のトナー像が二次転写ローラー33に搬送される。
【0036】
クリーニング装置17は、感光体10に圧接されている。クリーニング装置17は、トナー像の転写後に感光体10の表面に残留するトナーを回収する。
【0037】
カセット37A~37Cには、それぞれ、異なるサイズの用紙Sがセットされる。以下では、カセット37A~37Cを総称してカセット37ともいう。用紙Sは、タイミングローラー40によってカセット37Cから1枚ずつ搬送経路41に沿って二次転写ローラー33に送られる。二次転写ローラー33は、トナー像と反対極性の転写電圧を搬送中の用紙Sに印加する。これにより、トナー像は、中間転写ベルト30から二次転写ローラー33に引き付けられ、中間転写ベルト30上のトナー像が転写される。二次転写ローラー33への用紙Sの搬送タイミングは、中間転写ベルト30上のトナー像の位置に合わせてタイミングローラー40によって調整される。タイミングローラー40により、中間転写ベルト30上のトナー像は、用紙Sの適切な位置に転写される。
【0038】
定着装置47は、自身を通過する用紙Sを加圧および加熱する。これにより、トナー像は用紙Sに定着する。その後、用紙Sは、トレー48に排紙される。
【0039】
[2.プリントヘッド300]
図2および
図3を参照して、プリントヘッド300の内部構造について説明する。
図2は、プリントヘッド300の内部構造を表わす平面図である。
図3は、プリントヘッド300と感光体10との関係を示す模式図である。
【0040】
図2に示されるように、プリントヘッド300は、光源322Y,322M,322C,322Kと、コリメータレンズ310Y,310M,310C,310Kと、ミラー311Y,311M,311C,311Kと、ミラー312と、ポリゴンミラー313と、ポリゴンモーター314と、fθレンズ316と、ミラー318Y,318M,318C,318Kと、ミラー319Y,319M,319Cと、ミラー315と、光センサ321とを含む。
【0041】
以下では、光源322Kから照射されるレーザー光に注目して、レーザー光の経路について説明する。光源322Kから照射されたレーザー光は、コリメータレンズ310Kによって集光され、ミラー311Kに照射される。ミラー311Kは、コリメータレンズ310Kを通過したレーザー光をミラー312に反射する。ミラー312は、当該レーザー光をポリゴンミラー313に反射する。
【0042】
回転多面鏡としてのポリゴンミラー313は、角柱形状(たとえば、六角柱)を有する。ポリゴンミラー313の側面は、ミラーで構成されている。ポリゴンミラー313は、ポリゴンモーター314によって回転駆動される。ポリゴンミラー313は、回転しながらレーザー光を反射することで、レーザー光の反射方向を規則的に変える。ポリゴンミラー313は、回転しながら、レーザー光をfθレンズ316に反射する。fθレンズ316を通過したレーザー光は、ミラー318によって感光体10K(
図1参照)に反射される。
【0043】
画像形成装置150は、ポリゴンミラー313を回転しつつ、感光体10Kを回転させすることで、ポリゴンミラー313によって反射されたレーザー光を感光体10K上で走査させる。このとき、ポリゴンミラー313の1面分のミラーで感光体10Kの主走査方向の1ラインが走査される。主走査方向とは、感光体10の回転軸の方向を示す。ポリゴンミラー313が6面のミラーで構成される場合には、ポリゴンミラー313が1回転することで、感光体10Kの主走査方向の6ラインが走査される。画像形成装置150は、入力された画像パターンに従って、光源322Kのオン/オフを切り替えることで、感光体10K上の任意の位置を露光する。これにより、入力画像を表わす静電潜像が感光体10K上に形成される。
【0044】
同様に、光源322Yから照射されるレーザー光は、ポリゴンミラー313によって感光体10Y上に反射される。光源322Mから照射されるレーザー光は、ポリゴンミラー313によって感光体10M上に反射される。光源322Cから照射されるレーザー光は、ポリゴンミラー313によって感光体10C上に反射される。ミラー311Y,311M,311C,311Kが段差を設けて設置されることにより、光源322Y,322M,322C,322Kから照射されるレーザー光は、それぞれ、感光体10Y,10M,10C,10Kに反射される。
【0045】
感光体10Y,10M,10C,10Kは、円柱形状をしており、円周方向に回転可能に構成されている。ここで、
図2に示すように、円柱形状の長さ方向を主走査方向、円周方向を副走査方向とする。副走査方向は、用紙Sの搬送方向に対応する。画像形成装置150は、用紙Sに形成する画像の倍率を拡大または縮小する場合に、副走査方向の倍率を設定する。
【0046】
[3.ハードウェア構成]
図4を参照して、画像形成装置150のハードウェア構成の一例について説明する。
図4は、画像形成装置150の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。
【0047】
図4に示すように、画像形成装置150は、制御装置101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、操作パネル105と、スキャナー20と、画像形成部90と、記憶装置120と、プリントヘッド300とを備える。
【0048】
制御装置101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0049】
制御装置101は、画像形成装置150の制御パラメータを調整するための制御プログラム122などの各種プログラムを実行することで画像形成装置150の動作を制御する。制御装置101は、制御プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置120からRAM103に制御プログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0050】
通信インターフェイス104には、アンテナ(図示しない)などが接続される。画像形成装置150は、アンテナを介して、外部の通信機器との間でデータをやり取りする。外部の通信機器は、たとえば、スマートフォンなどの携帯通信端末、サーバーなどを含む。画像形成装置150は、制御プログラム122をアンテナを介してサーバーからダウンロードできるように構成されてもよい。
【0051】
操作パネル105は、ディスプレイとタッチパネルとで構成されている。ディスプレイおよびタッチパネルは互いに重ねられており、画像形成装置150に対する操作をタッチ操作で受け付ける。一例として、操作パネル105は、制御パラメータの調整処理を実行するための操作などを受け付ける。操作パネル105は、ユーザーのパネル操作を検知するパネル操作センサを備える。パネル操作センサは、ポリゴンモーターを第2回転数で回転させる事前回転の開始タイミングを検出する。
【0052】
記憶装置120は、たとえば、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)その他の記憶装置である。記憶装置120は、内蔵式、外付け式のいずれであってもよい。記憶装置120は、本実施の形態に従う制御プログラム122などを格納する。ただし、制御プログラム122の格納場所は記憶装置120に限定されず、制御装置101の記憶領域(たとえば、キャッシュなど)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0053】
制御プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う制御処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で画像形成装置150が構成されてもよい。
【0054】
プリントヘッド300は、制御装置301と、記憶装置320と、光源322とを含む。制御装置301は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
【0055】
[4.ポリゴンモーターの回転制御]
図5を参照して、ポリゴンモーターの回転制御について説明する。
図5は、第1の実施の形態に係るポリゴンモーターの回転制御における機能ブロック図である。
【0056】
図5に示すように、画像形成装置150は、制御装置101と、プリントヘッド300と、感光体10とを備える。プリントヘッド300は、制御装置330と、光源322と、記憶装置320と、ポリゴンミラー313と、レンズ316とを含む。
【0057】
図5(A)に示すように、画像形成装置150の電源投入後であって、露光開始前の所定のタイミングにおいて、制御装置101は、ポリゴンモーター314を事前回転させる。制御装置101は、所定のタイミングとして、たとえば、ユーザーによる操作パネル105の操作をパネル操作センサによって検知したタイミングに、ポリゴンモーター314を事前回転させる。
【0058】
ポリゴンモーター314の事前回転の回転数(以下、第2回転数ともいう)は、露光開始後の本回転の回転数の設定値(以下、第1回転数ともいう)に対応するように決定される。より詳細には、第2回転数は、ポリゴンモーター314を当該第1回転数で回転させた場合におけるプリントヘッド300の共振が少ない振動数として事前に決定される。制御装置330は、記憶装置320に格納されている回転数対応テーブルD1を参照し、本回転の回転数の設定値に対応づけられている事前回転の回転数(第2回転数)で、ポリゴンモーター314を回転させる。回転数対応テーブルD1は、たとえば、画像形成装100およびプリントヘッド300の製造時において、以下において説明する方法により作成され、記憶装置320に格納される。
【0059】
図5(B)に示すように、制御装置101は、露光開始のタイミングが到来すると、プリントヘッド300の制御装置330にタイミングを指示する。制御装置330は、光源322を制御し、ポリゴンミラー313へのレーザー光の照射を開始させる。制御装置101は、予め設定されている本回転の回転数(第1回転数)でポリゴンモーター314を回転させ、感光体10への露光が行われる。
【0060】
[5.第2回転数の決定方法]
図6~
図8を参照し、第2回転数の決定方法を説明する。
図6は、第2回転数を決定する際の共振点検知を説明する図である。
図7は、第1回転数と第2回転数の候補とを示す回転数対応テーブルD1を示す図である。
図8は、第2回転数の候補となる回転数から第1回転数への遷移時間を示す図である。
【0061】
図6(A)に、第2回転数の決定に用いられるテーブルを示す。
図6(A)では、第1回転数が26000回転/分の場合に、当該第1回転数から±2500回転の回転数について、それぞれの高調波における回転数が示されている。すなわち、下端値の23500回転/分から、上端値の28500回転/分までの範囲について、それぞれの高調波における回転数と、当該高調波における回転数から第1回転数までの遷移時間が記載されている。
【0062】
ここで、高調波における回転数とは、基準となる回転数に対して、整数倍となる回転数を意味する。
図6(A)に示す例では、基準となる回転数26000回転/分に対して、2倍~8倍の回転数が記載されている。本実施形態では、ポリゴンモーター314の回転に対するプリントヘッド300の共振として、6倍回転の周波数による共振が発生しやすいことを考慮して、6倍回転の周波数について共振点を検知した例を用いて説明する。
【0063】
図6(B)に、ポリゴンモーター314の回転数に応じたプリントヘッド300の共振強度を示す。
図6(B)では、ポリゴンモーター314を、下限値である23500回転/分に対する6倍回転数である2350Hzから、上限値である28500回転/分に対する6倍回転数である2850Hzまで回転数を変化させた場合におけるプリントヘッド300の共振強度が示されている。
図6(B)に示す例では、2350Hzから2850Hzまでの間に25か所のポイントをとって、各ポイントにおける共振強度を測定しており、共振強度が、共振強度閾値としての0.3m/s
2・rms以上のポイントを共振が発生している範囲と判断している。
【0064】
制御装置101は、第1回転数の設定値に応じてポリゴンモーター314の回転数を変化させて回転させた場合に、回転数の変化に伴うプリントヘッド300の共振強度が所定の閾値以下となる回転数を、第2回転数として決定する。以下において、第2回転数の候補となる回転数の決定方法を説明する。
【0065】
図6(B)を参照すると、2460Hz~2700Hzまでの範囲において、共振強度が共振強度閾値としての0.3m/s2・rmsを上回っている。そのため、当該範囲において共振が発生していることとなるため、2460Hz~2700Hzの範囲を外して、第2回転数の候補が選定される。ここで、第1回転数よりも低い回転数であって、第1回転数に最も近い回転数が第2回転数の第1候補として選定される。そして、第1回転数よりも高い回転数であって、第1回転数に最も近い回転数が第2回転数の第2候補として選定される。
【0066】
図6(A)に示すように、第2回転数の第1候補として、2450Hzに対応する24500回転/minが選定される。さらに、第2回転数の第2候補として、2750Hzに対応する27500回転/minが選定される。
【0067】
図7に、回転数対応テーブルD1の一例を示す。
図7に示す回転数対応テーブルD1では、第1回転数として、26000回転/分,33000回転/分,44000回転/分のそれぞれについて、第2回転数の第1候補の回転数と、第2候補の回転数とが規定されている。さらに、回転数対応テーブルD1には、第1候補の回転数および第2候補の回転数から、第1回転数までの遷移時間が規定されている。
【0068】
図8を参照して、第2回転数の候補回転数から、第1回転数までの遷移時間について説明する。
図8(A)に示す例では、第1候補(すなわち、第1回転数より低い回転数)から第1回転数まで遷移するのに時間T1を必要としている。それに対して、
図8(B)に示す例では、第2候補(すなわち、第1回転数より高い回転数)から第1回転数まで遷移するのに時間T2を必要としている。制御装置101は、これら遷移時間に基づいて、第1候補を第2回転数とするか、第2候補を第2回転数とするかを決定する。
【0069】
制御装置101は、動作モードの1つである印字速度優先モードが設定されている場合は、プリントヘッド300の共振強度が所定の閾値以下となる第2回転数の候補の中から、第1回転数への遷移時間が一番短い回転数を、第2回転数として決定する。
【0070】
制御装置101は、動作モードの1つである寿命優先モードが設定されている場合は、プリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値以下となる第2回転数の候補の中から、第1回転数よりも低い回転数の中で、第1回転数への遷移時間が一番短い回転数(すなわち、第1候補の回転数)を第2回転数として決定する。
【0071】
または、制御装置101は、第2候補の回転数から第1回転数への遷移時間が最も短い場合であっても、第1候補の回転数から第1回転数への遷移時間との差が所定の閾値以下の場合には、寿命優先モードとして第1の候補を第2回転数として決定してもよい。
【0072】
ここで、動作モードを印字速度優先モードとするか、寿命優先モードとするかは、ユーザーが適宜選択可能に構成されている。
【0073】
なお、制御装置101は、
図6で示すように、第1回転数の設定値に応じて前記ポリゴンモーターの回転数を変化させて回転させた場合に、いずれの回転数においてもプリントヘッド部材の共振強度が所定の閾値を超えない場合には、第1回転数を第2回転数として決定する。この場合、本回転の回転数(第1回転数)により、事前回転を行うこととなる。
【0074】
[5.処理手順]
図9~
図11を参照して、第1の実施の形態に係るポリゴンモーターの回転制御の手順を説明する。
図9は、画像形成処理全体の手順を示すフローチャートである。
図10は、ポリゴンモーターの回転制御の手順を示すフローチャートである。
図11は、印字処理の手順を示すフローチャートである。これら処理は、たとえば制御装置101として機能するCPUが所与のプログラムを実行することによって実現される。
【0075】
図9に示すように、ステップS901において、制御装置101は、用紙センサの検出値に基づいて、用紙のセットを検出したか否かを判定する。用紙のセットを検出した場合(ステップS901においてYES)、制御装置101は、制御をステップS902に切り替える。そうでない場合(ステップS901においてNO)、制御装置101は、ステップS901を繰り返す。
【0076】
ステップS902において、制御装置101は、ポリゴンモーター回転制御を実施する。ポリゴン回転制御の内容については後述する。
【0077】
ステップS903について、制御装置101は、印字処理を実施する。印字処理の内容については後述する。制御装置101は、処理を終了する。
【0078】
図10を参照して、ポリゴンモーター回転制御の手順について説明する。ステップS1010において、制御装置101は、印刷ジョブごとに設定されている印刷条件に基づいて、第1回転数を設定する。
【0079】
ステップS1020において、制御装置101は、ユーザーの選択条件に基づいて、動作モードが寿命優先モードであるか否かを判定する。寿命判定モードである場合(ステップS1020においてYES)、制御装置101は、制御をステップS1030に切り替える。そうでない場合(ステップS1020においてNO)、制御装置101は、制御をステップS1035に切り替える。
【0080】
ステップS1030において、制御装置101は、回転数対応テーブルD1を参照し、第1回転数よりも低く、かつ、遷移時間が最も短い候補回転数を、第2回転数に設定する。
【0081】
一方、ステップS1035において、制御装置101は、回転数対応テーブルD1を参照し、第1候補の回転数と第2候補の回転数の内、遷移時間が最も短い回転数を第2回転数に設定する。
【0082】
ステップS1040において、制御装置101は、第2回転数でポリゴンモーターを回転させる。制御装置101は、ポリゴンモーター回転制御を終了する。
【0083】
図11を参照して、印字処理の手順について説明する。ステップS1110において、制御装置101は、SOS(Start Of Scan)信号の有無に基づいて、露光開始か否かを判定する。露光開始の場合(ステップS1110においてYES)、制御装置101は制御をステップS1120に切り替える。そうでない場合(ステップS1110においてNO)、制御装置101は、ステップS1110を繰り返す。
【0084】
ステップS1120において、制御装置101は、ポリゴンモーターの回転数を第1回転数に設定し、プリントヘッド300の制御装置330に対して、露光開始のタイミングを指示する。
【0085】
ステップS1130において、制御装置101は、画像形成処理を実施する。
ステップS1140において、制御装置101は、ユーザーからの印刷ジョブの有無に基づいて、画像形成処理を終了するか否かを判定する。画像形成処理を終了する場合(ステップS1140においてYES)、制御装置101は、制御をステップS1150に切り替える。そうでない場合(ステップS1140においてNO)、制御装置101は、再度ステップS1130を行う。
【0086】
ステップS1150において、制御装置101は、ポリゴンモーター314の回転数を第2回転数に変更する。
【0087】
ステップS1160において、制御装置101は、所定の時間経過後にポリゴンモーター314を停止する。
【0088】
[6.小括]
以上のようにして、第1の実施の形態では、制御装置101は露光を開始する前に、印刷ジョブごとに設定されている印刷条件に基づいて、露光開始後のポリゴンモーターの回転数である第1回転数を設定する。制御装置101は、ポリゴンモーターを当該第1回転数で回転させた場合におけるプリントヘッド部材の共振が少ない予め定められた複数の候補回転数の内から第2回転数を決定し、ポリゴンモーターを当該第2回転数で回転させる。
【0089】
上記構成とすることにより、ポリゴンモーターの事前回転を、共振を抑えた回転数で実施しつつ、すみやかに本回転に遷移することが可能となり、ユーザーの利便性が向上する。
【0090】
<第2の実施の形態>
[1.概要]
以下、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、画像形成装置250は、温湿度センサ230を備える。制御装置201は、ポリゴンモーター314の周囲の温度または湿度に応じて、回転数対応テーブルD1に規定されている第2回転数を補正する点で、第1の実施の形態と異なる。なお、本実施形態においては、前述の実施の形態に係る画像形成装置150が備える構成と同様の構成には、画像形成装置150の符号と同一の符号を付してある。したがって、それらの説明は繰り返さない。
【0091】
[2.詳細]
図12~
図14を参照して、第2の実施の形態に係るポリゴン回転数制御を説明する。
図12は、第2の実施の形態に係るポリゴンモーターの回転制御における機能ブロック図である。
図13は、第2の実施の形態に係る第2回転数補正テーブルD2を示す図である。
図14は、共振点の温度変化を示す図である。
【0092】
図12に示すように、第2の実施の形態に係る画像形成装置250は、温湿度センサ230を備える。温湿度センサ230は、プリントヘッド300の周囲の温度および湿度を計測する。制御装置201は、記憶装置320に格納されている回転数対応テーブルD1に加えて、温湿度センサ230からの出力値、および第2回転数補正テーブルD2を参照して、ポリゴンモーター314の第2回転数を補正する。
【0093】
図13に第2回転数補正テーブルD2を例示する。
図13(A)は、回転数補正テーブルの一例として、温度による補正テーブルD2を示す。
図13(B)は、回転数補正テーブルの一例として、湿度による補正テーブルD2′を示す。
【0094】
図13(A)に示す第2回転数補正テーブルD2では、第1回転数の設定値に対して、温度に応じた第2回転数の補正値が規定されている。すなわち、たとえば第1回転数が26000回転/分の場合に、温度が10℃以下の場合には、回転数対応テーブルD1(
図7参照)で規定されている第1候補2450回転および第2候補2750回転に対して、それぞれ500回転ずつプラスされることを示している。
【0095】
同様に、温度が30℃~50℃の場合には、回転数対応テーブルD1で規定されている第1候補2450回転および第2候補2750回転に対して、それぞれ500回転ずつマイナスされることとなる。
【0096】
図14に、温度変化とプリントヘッド300の共振点との関係を示す。
図14に示すように、温度が下がるにつれて、プリントヘッド300の共振が発生するポリゴンモーター314の回転数は高くなる。逆に温度が上がるにつれて、プリントヘッド300の共振が発生するポリゴンモーター314の回転数は低くなる。そのため、第2回転数補正テーブルD2では、基準となる温度(
図13(A)に示す例では10℃~30℃)に対する補正回転数を規定することにより、温度変化に応じた適切な回転数で、ポリゴンモーター314を回転させることが可能となる。
【0097】
[3.処理手順]
図15を参照して、第2の実施の形態に係る処理手順を説明する。
図15は、第2の実施の形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
図15において、第1の実施の形態と同じステップについては、同一のステップ番号を付してある。よって、説明は繰り返さない。
【0098】
ステップS1010の後のステップS1515において、制御装置201は、温湿度センサ230から温度情報を取得する。
【0099】
ステップS1020~ステップS1035については、第1の実施の形態と同様の処理のため、説明は繰り返さない。ステップS1030またはステップS1035の後、制御装置201は、制御をステップS1538に切り替える。
【0100】
ステップS1538において、制御装置201は、第2回転数補正テーブルD2を参照し、第2回転数の補正処理を行う。制御装置は、制御をステップS1040に切り替える。
【0101】
ステップS1040において、制御装置201は、ポリゴンモーター314を第2回転数で回転させる。制御装置201は、処理を終了する。
【0102】
[4.小括]
以上のようにして、第2の実施の形態では、制御装置201は、ポリゴンモーター314の周囲の温度または湿度に応じて、第2回転数を補正する。
【0103】
上記構成とすることにより、プリントヘッド300の周囲の外部環境に応じて、プリントヘッド300の共振が発生しない適切な事前回転数を設定することが可能となる。
【0104】
<第3の実施の形態>
[1.概要]
以下、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、ユーザーは操作パネル105を操作して、回転数対応テーブルD1を更新できる点で、第1の実施の形態と異なる。なお、本実施形態に係る画像形成装置は、前述の実施の形態に係る画像形成装置150が備えるハードウェア構成と同様の構成によって実現される。したがって、それらの説明は繰り返さない。
【0105】
[2.詳細]
図16および
図17を参照し、第3の実施の形態に係るポリゴンモーターの回転数設定処理について説明する。
図16は、第3の実施の形態に係るポリゴンモーターの回転数設定処理における機能ブロック図である。
図17は、ポリゴンモーターの回転数設定処理における操作パネルを示す図である。
【0106】
図16に示すように、第3の実施の形態に係る画像形成装置350では、ユーザーは操作パネル105を操作することにより、記憶装置320に格納されている回転数対応テーブルD1を更新することができる。
【0107】
図17に、回転数対応テーブルD1の更新における操作パネル105の表示を示す。
図17(A)において、ユーザーがモード選択ボタン107を押下すると、
図17(B)に示す表示となる。
【0108】
図17(B)において、ユーザーはテンキー109を操作してパスワードを入力する。当該モードは、一般のユーザーではなく、画像形成装置350のメンテナンスを行うサービスマンが使用するモードであるため、パスワード入力を必要としている。パスワードが認証されると、
図17(C)に示すように、ポリゴンモーター回転数設定モードとなる。
【0109】
[3.処理手順]
図18および
図19を参照し、ポリゴンモーター回転数設定の処理手順について説明する。
図18は、ポリゴンモーター回転数の設定が行われる一例である画像形成装置350の設定時のセットアップ処理のフローチャート図である。
図19は、ポリゴンモーター回転数設定のフローチャート図である。
【0110】
ステップS1810において、制御装置301は、初期マシン設定を行う。ここで、初期マシン設定としては、たとえば、現像剤投入後の初期動作、スキャナー読取位置のずれ調整、または用紙位置のずれ調整などを含む。
【0111】
ステップS1820において、制御装置301は、ユーザーからの入力操作に基づいて、ポリゴンモーター回転数設定を行うためのパスワード認証が行われたか否かを判定する。パスワード認証が行われた場合(ステップS1820においてYES)、制御装置301は、制御をステップS1830に切り替える。そうでない場合(ステップS1820においてNO)、制御装置301は処理を終了する。
【0112】
ステップS1830において、制御装置301は、ポリゴンモーター回転数設定処理を行う。その後、制御装置301は、処理を終了する。
【0113】
図19を参照して、ステップS1910において、制御装置301は、ポリゴンモーター314の回転数を、第1の回転数の上限値にセットする。
【0114】
ステップS1920において、制御装置301は、ポリゴンモーター314を回転させる。
【0115】
ステップS1930において、制御装置301は、プリントヘッド300の振動を検知する。プリントヘッド300の振動は、画像形成装置350内に設けられた振動センサにより検知される。
【0116】
ステップS1940において、制御装置301は、ポリゴンモーター314の回転数を-500回転/分に設定する。
【0117】
ステップS1950において、制御装置301は、ポリゴンモーター314の回転数が下限値を下回ったか否かを判定する。ポリゴンモーター314の回転数が下限値を下回った場合(ステップS1950においてYES)、制御装置301は、制御をステップS1960に切り替える。そうでない場合(ステップS1950においてNO)、制御装置301は、制御をステップS1920に戻し、上述の処理を繰り返す。
【0118】
ステップS1970において、制御装置301は、第1の実施の形態で説明した方法により、回転数対応テーブルD1を更新する。制御装置301は、処理を終了する。
【0119】
[4.小括]
以上のようにして、第3の実施の形態では、ユーザーは操作パネル105を操作して、回転数対応テーブルD1を更新できる。
【0120】
上記構成とすることにより、プリントヘッド300の共振回転数の変化に応じて回転数対応テーブルD1を更新することが可能となり、より適切にプリントヘッド300の共振を抑制することが可能となる。
【0121】
<他の実施形態>
なお、本開示に係る技術的思想の適用範囲は、上記実施形態に限定されない。例えば、ポリゴンモーター314の事前回転を開始する所定のタイミングとして、たとえば、制御装置301は、用紙センサが用紙のセットを検知したタイミングに、ポリゴンモーター314の事前回転を開始してもよい。または、制御装置301は、接近センサがユーザーの接近を検知したタイミングに、ポリゴンモーター314を事前回転させてもよい。
【0122】
または、画像形成装置の内部における環境条件(例えば、温度または湿度)が変化すると、制御装置は、変化後の環境条件下に合わせて自動で回転数対応テーブルD1を更新するような構成としてもよい。これらのようにしても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0123】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0124】
1 画像形成ユニット、10 感光体、11 帯電装置、13 現像装置、14 現像ローラー、15 トナーボトル、17 クリーニング装置、20 スキャナー、21 カバー、22 用紙台、23,48 トレー、30 中間転写ベルト、31 一次転写ローラー、33 二次転写ローラー、37 カセット、38 従動ローラー、39 駆動ローラー、40 タイミングローラー、41 搬送経路、47 定着装置、50 プリンター、90 画像形成部、100 画像形成装、101,201,301,330 制御装置、102 ROM、103 RAM、104 通信インターフェイス、105 操作パネル、107 モード選択ボタン、109 テンキー、120,320 記憶装置、122 制御プログラム、150,250,350 画像形成装置、230 温湿度センサ、300 プリントヘッド、310 コリメータレンズ、311,312,315,318,319 ミラー、313 ポリゴンミラー、314 ポリゴンモーター、316 レンズ、321 光センサ、322 光源。