(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】イメージセンサユニット、画像読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20220105BHJP
H04N 1/028 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H04N1/04 101
H04N1/028 Z
(21)【出願番号】P 2017233272
(22)【出願日】2017-12-05
【審査請求日】2020-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇賀 洋志
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-034437(JP,A)
【文献】特開2008-147847(JP,A)
【文献】特開2014-175710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00- 1/64
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿照明用の光源と、
前記光源からの光を反射させる反射面と、前記反射面で反射した光を原稿へ出射する前記反射面と反対側に設けられた出射面と、を備えた棒状の導光体と、
前記導光体の反射面を覆うように設けら
れ、前記反射面全面に貼り付けられて設けられたシート状の熱伝導体と、
前記原稿からの反射光を光電変換素子に結像する結像素子と、
前記光電変換素子が実装されたセンサ基板と、
前記導光体を装着するための位置決め部を有するフレームと、を備えた
イメージセンサユニット。
【請求項2】
前記導光体を支持した状態で前記位置決め部に装着される支持部材を複数備え、
前記複数の支持部材は、少なくとも前記導光体の両端部と中央部を支持する
請求項1に記載のイメージセンサユニット。
【請求項3】
原稿の読み取りを行うイメージセンサユニットを備えた画像読取装置であって、
前記イメージセンサユニットは、
原稿照明用の光源と、
前記光源からの光を反射させる反射面と、前記反射面で反射した光を原稿へ出射する前記反射面と反対側に設けられた出射面と、を備えた棒状の導光体と、
前記導光体の反射面を覆うように設けら
れ、前記反射面全面に貼り付けられて設けられたシート状の熱伝導体と、
前記原稿からの反射光を光電変換素子に結像する結像素子と、
前記光電変換素子が実装されたセンサ基板と、
前記導光体を装着するための位置決め部を有するフレームと、を備えており、
前記イメージセンサユニットで読み取った原稿の画像データに対してシェーディング補正を行う制御部と、を備えた
画像読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、
画像読取装置本体に前記イメージセンサユニットを装着する際に基準部材の表面を読み取って、初期基準値を生成し保存する初期基準値記憶部と、
前記初期基準値を補正して一次シェーディング値を生成する一次シェーディング値生成部と、
前記イメージセンサユニットで原稿の画像を読み取る前に、前記基準部材の表面を読み取って経時基準値を取得し、前記一次シェーディング値を用いて前記取得した経時基準値を補正して二次シェーディング値を生成する二次シェーディング値生成部と、を備え、
前記イメージセンサユニットで読み取った原稿の画像データに対して、前記二次シェーディング値を用いてシェーディング補正を行う
請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記初期基準値を補正するための状態補正係数を算出する状態補正係数算出部と、を備え、
前記一次シェーディング値生成部は、前記状態補正係数算出部で算出された状態補正係数を用いて前記初期基準値を補正することにより一次シェーディング値を生成する
請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
原稿の読み取りを行うイメージセンサユニットを備えた画像読取装置と、
前記画像読取装置で読み取った原稿の画像データに基づいて画像を形成する画像形成部と、を備えた画像形成装置であって、
前記イメージセンサユニットは、
原稿照明用の光源と、
前記光源からの光を反射させる反射面と、前記反射面で反射した光を原稿へ出射する前記反射面と反対側に設けられた出射面と、を備えた棒状の導光体と、
前記導光体の反射面を覆うように設けら
れ、前記反射面全面に貼り付けられて設けられたシート状の熱伝導体と、
前記原稿からの反射光を光電変換素子に結像する結像素子と、
前記光電変換素子が実装されたセンサ基板と、
前記導光体を装着するための位置決め部を有するフレームと、を備え、
前記画像読取装置は、
前記イメージセンサユニットで読み取った原稿の画像データに対してシェーディング補正を行う制御部と、を備えた
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージセンサユニット、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光電変換素子(イメージセンサ)を使用している画像読取装置において、光学系の不均一性及び撮像素子個々の画素の出力不均一性の補正を行うため、主走査の基準となる基準白板を読み取って主走査分布を補正するシェーディング補正が行われている。
【0003】
また、密着型のイメージセンサユニット(以下CISユニットと呼ぶ)を用いた読み取り時には、コンタクトガラスの端部に取り付けられた基準白板を読み取り、読み取った基準白板データから基準白板にゴミや汚れが付着していることが判明した場合には、出力レベルを調整するシェーディング補正が行われている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、CISユニットが有する熱源(例えば、センサ基板)の位置によっては、CISユニットが有する導光体に局所的な熱が加わり、導光体の一部が歪んでしまうという問題がある。
【0006】
CISユニットの導光体が歪むと光量分布の均一性が崩れるため、実際には基準白板にゴミや汚れが付着していない場合であっても、シェーディング補正において、ゴミや汚れが付着しているとして出力レベルが調整されてしまい、その結果として、黒スジ等の画像ムラが生じてしまうおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、導光体の温度分布を一様にすることで、導光体の歪みの発生を防ぎ、イメージセンサユニットの光量分布を均一に保つことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のイメージセンサユニットは、原稿照明用の光源と、光源からの光を反射させる反射面と、反射面で反射した光を原稿へ出射する反射面と反対側に設けられた出射面と、を備えた棒状の導光体と、導光体の反射面を覆うように設けられ、反射面全面に貼り付けられて設けられたシート状の熱伝導体と、原稿からの反射光を光電変換素子に結像する結像素子と、光電変換素子が実装されたセンサ基板と、導光体を装着するための位置決め部を有するフレームと、を備える。
【0009】
また、本発明の画像読取装置は、原稿照明用の光源と、光源からの光を反射させる反射面と、反射面で反射した光を原稿へ出射する反射面と反対側に設けられた出射面と、を備えた棒状の導光体と、導光体の反射面を覆うように設けられ、反射面全面に貼り付けられて設けられたシート状の熱伝導体と、原稿からの反射光を光電変換素子に結像する結像素子と、光電変換素子が実装されたセンサ基板と、導光体を装着するための位置決め部を有するフレームと、を備えたイメージセンサユニットと、イメージセンサユニットで読み取った原稿の画像データに対してシェーディング補正を行う制御部と、を備える。
【0010】
また、本発明の画像形成装置は、画像読取装置で読み取った原稿の画像データに基づいて画像を形成する画像形成部と、を備え、画像読取装置は、原稿照明用の光源と、光源からの光を反射させる反射面と、反射面で反射した光を原稿へ出射する反射面と反対側に設けられた出射面と、を備えた棒状の導光体と、導光体の反射面を覆うように設けられ、前記反射面全面に貼り付けられて設けられたシート状の熱伝導体と、原稿からの反射光を光電変換素子に結像する結像素子と、光電変換素子が実装されたセンサ基板と、導光体を装着するための位置決め部を有するフレームと、を備えたイメージセンサユニットと、イメージセンサユニットで読み取った原稿の画像データに対してシェーディング補正を行う制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、イメージセンサユニットの導光体の歪みの発生を防ぎ、光量分布を均一に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る画像読取装置の構成例を示す図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係るイメージセンサユニットの構成例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係るイメージセンサユニットの一部構成例を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施の形態に係るイメージセンサユニットの一部構成例を示す斜視分解図である。
【
図5】本発明の一実施の形態に係るイメージセンサユニットの一部構成例を示す正面図である。
【
図6】本発明の一実施の形態に係るイメージセンサユニットの導光体の一部断面図である。
【
図7】本発明の一実施の形態に係る画像読取装置の画像読取部の機能構成例を説明するブロック図である。
【
図8】本発明の一実施の形態に係るイメージセンサユニットの光電変換素子の機能構成例を示すブロック図である。
【
図9】本発明の一実施の形態に係る画像読取装置の機能構成例を説明するブロック図である。
【
図10】本発明の一実施の形態に係る画像読取装置のシェーディング補正の処理動作の一例を示すフローチャート図である。
【
図11】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態例(以下、本例という)に係るイメージセンサユニット、画像読取装置、および画像形成装置の一例を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の各実施形態では、密着型のイメージセンサユニット(以下、CISユニットという)を使用している画像読取装置を例にあげて説明する。
【0014】
図1は、画像読取装置の構成例を示す図である。
図1に示すように、画像読取装置1は、画像読取部100と、自動原稿給送装置200とを備える。画像読取部100は、コンタクトガラス101と、基準部材110と、CISユニット4とを備えている。
【0015】
コンタクトガラス101は、スキャン読み取りモードの時に原稿を載置する透明部材である。スキャン読み取りモードとは、コンタクトガラス101上に置かれた原稿に対して、キャリッジ等でCISユニットを、
図1に示す、矢示A方向(副走査方向)へ移動させながら、その原稿の下面の画像を読み取るモードである。
【0016】
コンタクトガラス101の端部に設けられた基準部材110は、読取光学系等による各種の歪みを補正する。基準部材110は、例えば、シェーディング補正用のシェーディングデータを得るために、原稿の画像データを読み取る前に読み取られる白板であり、画像読み取りの主走査方向に沿って設けた下面が白色の細長い板状の部材である。すなわち、シェーディング補正を行うために、予め光電変換素子13で基準部材(白板)110を読み取って画像データの濃淡の基準となる白基準データを取得する。本例では、まず、出荷時のクリーンな状態のデータとして、CISユニット4を画像読取部100に装着した際の白基準データ(初期基準値)を取得する。取得した初期基準値は、データ記憶部24に保存される。
【0017】
自動原稿給送装置200は、原稿を連続的に搬送する自動原稿給送手段である。以下、自動原稿給送装置200を、ADF(Auto Document Feeder)200と表記する。ADF200は、画像読取部100の上部に搭載されており、ADF200をコンタクトガラス101に対して開閉できるように、図示しないヒンジ等を介して連結している。
【0018】
ADF200は、原稿トレイ201と、給送ローラー202とを備えている。原稿トレイ201は、複数枚の原稿からなる原稿束Sを載置可能な原稿載置台である。給送ローラー202は、原稿トレイ201に載置された原稿束から原稿を1枚ずつ分離して自動給送する。なお、自動給送された原稿の画像を読み取るシートスルー読み取りモードの場合は、CISユニット4が図示しないシートスルー読み取り用スリットの下側に移動して、自動給送されてくる原稿の下面の画像を読み取る。
【0019】
つぎに、本例のイメージセンサユニットであるCISユニット4について、図面を用いて詳細に説明する。
図2は、CISユニット4の副操作方向における概略断面図である。
図2に示すように、CISユニット4は、フレーム15に収納された一対の導光体11を備えている。導光体11の間には結像素子12が設けられおり、その下方には光電変換素子13が載置されたセンサ基板14が配置されている。また、結像素子12の上方にはカバーガラス17が設置されている。導光体11の一端部には光源10が設けられ、導光体11の下部には熱伝導体19が設けられている。
【0020】
図3は、CISユニット4の一部の構成例を示す斜視図である。
図3では、図示を簡便にするために光源10と導光体11とからなる照明装置が一組で構成された例を示している。
原稿照明用の光源10は、例えば、少なくとも赤緑青3色の発光波長を持つLEDからなる発光素子を備えており、これらの発光素子を順次点灯駆動することにより光を照射する。光源10は、光源10から照射された光を原稿(不図示)へと導く導光体11の長手方向の一方の端面に配置されている。
【0021】
結像素子としてのロッドレンズアレイ12は、正立等倍結像型レンズ素子が複数配列されたものであり、原稿からの反射光を光電変換素子13に結像するものである。なお、結合素子としてマイクロレンズアレイを用いることができる。
ロッドレンズアレイ12で結像された反射光(原稿画像)を電気信号に変換する光電変換素子13は、読み取る原稿幅に対応出来る数が配列されており、センサ基板14に実装されている。これらの光学的構成部品が、構造的部材であるフレーム15に取り付けられCISユニット4として組立てられる。
【0022】
導光体11は、例えば、有機ガラスと呼ばれるアクリル樹脂やポリカーボネート等の透明プラスチックから成形したものが用いられる。光源10は、その光が効率よく導光体11に入光できるように、導光体11の長手方向(主走査方向)の一方の端面(入光面)に対向して配置されている。
【0023】
光が出射される出射面102は、導光体11の長手方向に沿い、且つ原稿(不図示)に対向するように形成された面であり、本例では曲面で構成されている。出射面102では、出射面102に対向して設けられた反射面103で散乱した光を主に出射して原稿を照明するものである。
【0024】
本例では、反射面103を覆うように熱伝導性部材19が設けられている。導光体11の反射面103を覆うように熱伝導性部材19を設けることにより、導光体11に加えられた熱の分布を一様とすることができ、これにより導光体11の一部が熱で歪むことを帽子できる。熱伝導部材19としては、例えば、シリコンゴム等で形成されたシート状の部材を用い、これを両面テープ等により反射面103に貼り付ける。また、ゲル状物質のように材料自体が粘着性を有する熱伝導部材を用いても良い。なお、熱伝導部材としては、柔軟性や密着性に優れているものを用いるのが好ましい。
【0025】
ここで、本例のCISユニット4について、
図4を用いて詳細に説明する。
図4は、本例のCISユニット4の構造を示す分解斜視図である。
【0026】
図4に示すように、CISユニット4の構成部品を収納するフレーム15内には、光源10、導光体11、支持部材としてのホルダ16等の構成部品が所定の位置関係で夫々取り付け支持されている。また、フレーム15の底部には、導光体11を収納する位置決め部として係止溝18が設けられている。本例では、係止溝18の数は3個であるが、係止溝18の数は特に限定されない。
【0027】
導光体11を支持固定するためのホルダ16は、Y字状に形成されている。ホルダ16は、導光体11とフレーム15に設けられた係止溝18との間に夫々間挿されることで、導光体11を保持しつつ、導光体11をフレーム15に固定収納するものである。
本例のホルダ16は、例えば合成樹脂で形成されており、係止溝18に挿入される部分と導光体11を保持するアーム部16aとで構成されている。また、アーム部16aは、導光体11を保持した際に導光体11の出射面102を開放するような長さで構成されている。
また、アーム部16aは弾力性を有するように構成されており、アーム部16aに導光体11を嵌合させた際に、ある程度の力で導光体11を保持することができる。
【0028】
原稿と対向する側であるCISユニット4の上部に取り付けたカバーガラスは、フレーム15内へのゴミの進入等を防ぐためのである。なお、カバーガラス17の材質はガラスに限らず、同等の強度を有する他の透明部材であっても構わない。
【0029】
図5は、本例のCISユニット4においてホルダ16に支持された状態の導光体11を主走査方向から見た際の正面簡略図である。
本例の導光体11は、ホルダ16によって、少なくとも中央部と両端部の3箇所が支持されている。このように、導光体11の中央部をホルダ16により支持することで、導光体11が上方に弓状に反ることを防ぐことができる。また、導光体11の両端部をホルダ16により支持することで、導光体11が下方に弓状に反ることを防ぐことができる。従って、熱源の場所によらず、導光体11の反りを効果的に抑えることができる。
【0030】
また、
図5に示すように、導光体11がホルダ16によって支持されている状態において、導光体11の出射面102がホルダ16によって妨げられることなく開放されている状態を保つことができるので、導光体11から取り出される光量が落ちてしまうことを防止できる。
【0031】
図6は、本例のCISユニット4の導光体11の主走査方向における一部断面図である。
図6に示すように、光源10から出射された光Lは導光体11の端部(入光面)から入射して、導光体11内を全反射しながら主走査方向に伝搬する。光源10から入射した光Lが導光体11の主走査方向に伝搬する際には、導光体11の反射面103において、レーザーカットで等間隔にV溝状に形成された反射パターン104で散乱反射される。反射パターン104で反射された光は、反射パターン104に対向する位置にある出射面102から原稿に照射される。
【0032】
このとき、センサ基板14に設けられている光電変換素子13のような熱源により、反射パターン104が形成されている部位に局所的な熱が加えられると、反射パターン104の一部が変形して、出射面102から出射する光の光量分布が一様でなくなるという問題が生じる。
【0033】
本例のCISユニット4によれば、導光体11の反射面103を熱伝導部材19で覆っているので、熱源により反射面103に局所的な熱が加えられた場合であっても、加えられた熱の温度分布を一様にすることができる。これにより、導光体11の反射面103の反射パターン104が変形することを防ぐことができ、導光体11の出射面102から出射する光の光量分布を均一な状態に保つことができる。すなわち、本例のイメージセンサユニットによれば、導光体11の温度分布を一様に保つことで、導光体11が局所的な熱によって歪んでしまうことを防ぎ、イメージセンサの光量分布を均一にすることができる。
【0034】
次に、本例の画像読取装置1の画像読取部100の機能構成例について説明する。
図7は、本例に係る画像読取装置1の画像読取部100の機能構成例を説明するブロック図である。
【0035】
図7に示すように、画像読取部100は、CISユニット4が有する光源10と、光電変換素子13と、シェーディング補正部23と、原稿検知センサ34とを含んでいる。
【0036】
画像読取部100は、CISユニット4の光源10からの照射光によって被写体(原稿、白板110)を照明し、その被写体からの反射光を光電変換素子13で電気信号に光電変換を行い、デジタル信号として出力する。また、光電変換素子13から出力されたデジタル信号の中で原稿を読み取った原稿データ及び白板110を読み取った白基準データは、シェーディング補正部23へと伝送され、シェーディング補正部23を形成する回路によって、各々の処理が行われる。最終的にシェーディング補正部23でシェーディング補正を行った原稿データは、その後、図示しない、後段処理部に伝送される。後段処理部では、ドット補正や色補正等の各種補正や、変倍等、その他、画像処理が行われるが、一般的な処理と同様のため詳細説明は省略する。なお、本例の白基準データとしては、CISユニット4を画像読取部100に装着した直後に白板110から読み取られる初期基準値と、CISユニット4で原稿画像を読み取る前に白板110から読み取られる経時基準値とを含む。
【0037】
また、原稿検知センサ34は、
図1では図示していないが、ADF200内部にあり、原稿がセットされたことを検知して、原稿検知信号を出力する。
【0038】
次に、光電変換素子13について説明する。
図8は、光電変換素子13の機能構成例を示すブロック図である。
図8に示すように、光電変換素子13は、主走査方向に並ぶ所定数(複数)の受光素子20と、画素信号出力部22とを含む。なお、所定数は任意である。光電変換素子13は、光源10から被写体(原稿、白板110)に光を照射して被写体からの反射光を光電変換し、被写体の画像データを読み取る。光電変換素子13は、受光素子20が主走査方向に複数個配列された、例えばCMOS(Complementary MOS)等のイメージセンサから構成される。受光素子20は、光検出器として働く半導体のダイオードである。光電変換素子13内には、複数の受光素子20が主走査画素の数分(0画素~n画素)配列されている。各画素に相当する受光素子20で、光源10から被写体に照射された光の反射光を電気信号に変換(光電変換)し、電荷を蓄積する。その後、蓄積電荷は図示していない、増幅器やA/D変換器等での処理を経て、デジタル信号として、画素信号出力部22へ伝送される。
【0039】
上記処理により、1ラインの画像データを原稿ライン分、複数回行うことで、1次元のラインセンサ(例えば、CMOSイメージセンサ等)により2次元の読取データを取得することができる。
【0040】
上記のように構成された画像読取装置1において、原稿の画像面をスキャン(走査)して原稿の画像を読み取るスキャン読み取りモード時には、図示しないキャリッジがステッピングモータによって矢示A方向(副走査方向)に移動する。同時に、コンタクトガラス101上にセットされた原稿の下面である画像面がキャリッジに連結されたCISユニット4の光源10によって照明(露光)される。画像面からの反射光像が、CISユニット4の光電変換素子13へ順次送られて結像される。光電変換素子13の光電変換により信号が出力され、図示しない、後段の信号処理部によりデジタル信号に変換される。これによって、原稿の画像が読み取られ、デジタルの画像データが得られる。
【0041】
次に、本例の画像読取装置1の機能構成例について説明する。
図9は、本例に係る画像読取装置1の機能構成例を説明するブロック図である。
【0042】
図9に示すように、画像読取装置1は、CISユニット4に接続された、シェーディング補正部23と、データ記憶部24と、状態補正係数算出部25と、制御部30とを含む。シェーディング補正部23には、一次シェーディング値生成部26と、二次シェーディング値生成部27が含まれる。また、データ記憶部24には、初期基準値記憶部28と状態補正係数テーブル29が含まれる。
【0043】
シェーディング補正部23は、白基準データ(初期基準値、経時基準値)に基づいて、CISユニット4読み取った原稿の画像データに対してシェーディング補正を行う。
一次シェーディング値生成部26は、初期基準値を補正して一次シェーディング値を生成する。二次シェーディング値生成部27は、経時基準値を補正して二次シェーディング値を生成する。
【0044】
データ記憶部24は、シェーディング補正を行うために必要な各種データ、例えば後述する状態補正係数テーブルを保存する。また、初期基準値記憶部28には、画像読取部100にCISユニット4を装着した際の白基準データが初期基準値として記憶されている。
【0045】
状態補正係数算出部25は、例えば、画像読取装置1の稼働状況に基づいて、一次シェーディング値を補正するための状態補正係数を算出する。状態補正係数算出部25により算出された状態補正係数はデータ記憶部24に保存される。また、表1に示すような状態補正係数を決定するための状態補正係数テーブルを予め作成し、データ記憶部24に保存させでもよい。なお、画像読取装置1を備えた画像形成装置300の稼働状況に基づいて、状態補正係数を決定してもよい。
【0046】
【0047】
表1に示すように、状態補正係数テーブルの状態補正係数は、装置に設けられたタイマーで計測された装置の稼働時間と、装置に設けられたカウンタでカウントされた原稿カウント数とに基づいて決定される。例えば、稼働時間1で原稿カウンタ数0のデータAの場合は、稼働時間10で原稿カウンタ数100のデータDよりも、状態補正係数が小さくなるように設定されている。すなわち、本例では、稼働時間、原稿カウンタ数が大きくなるにつれて、導光体11の反りが大きくなるものとして、状態補正係数が大きくなるように設定されている。
【0048】
制御部30は、データ記憶部24のデータを参照して、シェーディング補正部23に原稿の画像データ(読み込み画像)に対するシェーディング補正を実行させる。また、制御部30は、CISユニット4の移動を含む装置全体の制御を実行する。
【0049】
本例の画像読取装置1によれば、状態補正係数を用いることにより、精度のよいシェーディング補正を行うことができる。また、シェーディング補正に使用するメモリ容量を減らし、シェーディング補正の処理速度を速くすることができる。
【0050】
次に、フローチャートを用いて、本例の画像読取装置1の動作例について説明する。
図10は、本例の画像読取装置1のシェーディング補正の処理動作の一例を示すフローチャート図である。
【0051】
図10に示すように、画像読取装置1の状態補正係数算出部25により状態補正係数を決定する(ステップS1)。なお、状態補正係数を決定する際には、データ記憶部24に保存されている状態補正係数テーブルを用いて決定してもよい。
【0052】
次に、一次シェーディング値生成部26により、データ記憶部24に保存されている白基準データ(初期基準値)を呼び出して、ステップS1で決定した状態補正係数を用いて補正し、一次シェーディング値を生成する(ステップS2)。
【0053】
次に、CISユニット4により白板110を読み取って、原稿の画像を読み取る前の白基準データ(経時基準値)を取得する(ステップS3)。さらに、二次シェーディング値生成部27により、ステップS3で取得した白基準データを、ステップS2で生成した一次シェーディング値で補正して、二次シェーディング値を生成する(ステップS4)。
【0054】
次に、CISユニット4により、原稿の読み取りを行う(ステップS5)。
【0055】
次に、制御部30は、ステップS5で読み取った原稿の画像データに対してステップS4で生成した二次シェーディングを用いて、シェーディング補正部23にシェーディング補正を実行させる。
【0056】
以上の処理を画像読取装置1に実行させることにより、経時によりゴミや埃等が白板110に付着してしまった場合であっても、ゴミ等の影響を除外した状態でシェーディング補正を実行することができる。さらに、本例の画像読取装置1によれば、CISユニット4の導光体11の光量分布を均一に保つので、状態補正係数を用いることができ、より正確なシェーディング補正の処理を実行することができる。これにより、黒スジ等の画像ムラの発生を防ぐことができる。
【0057】
次に、本例の画像読取装置1を搭載した画像形成装置300について説明する。
図11は、本例に係る画像形成装置の機構部の簡略した構成例を示す図である。
図11に示すように、画像形成装置300は、
図1に示した画像読取装置1を搭載した、例えばデジタル複写機を一例として説明する。画像読取装置1には、
図1に示した画像読取部100と、
図2に示したCISユニット4が内蔵されている。画像形成装置300の装置本体301には、画像形成部302と給紙部303が設けられている。画像形成装置300は、画像読取装置1で読み取った原稿の画像データに基づいて、画像形成部302を用いて、給紙部303から給紙される用紙に対して画像を形成する。
【0058】
本例の画像形成装置300によれば、正確なシェーディング補正の処理を行うので、画像形成時において発生する用紙に対する黒スジ等の画像ムラを防ぎ、高品質な画像を形成することができる。
【0059】
なお、上述した実施形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成について他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1・・・画像読取装置、4・・・CISユニット(イメージセンサユニット)、10・・・光源、11・・・導光体、12・・・レンズアレイ、13・・・光電変換素子、14・・・センサ基板、34・・・、15・・・フレーム、16・・・ホルダ、17・・・カバーガラス、18・・・係止溝、19・・・熱伝導体、23・・・シェーディング補正部、24・・・データ記憶部、25・・・状態補正係数算出部、26・・・一次シェーディング値生成部、27・・・二次シェーディング値生成部、28・・・初期基準値記憶部、29・・・状態補正係数テーブル、34・・・原稿検知センサ、100・・・画像読取部、101・・・コンタクトガラス、102・・・出射面、103・・・反射面、110・・・基準部材(白板)、200・・・ADF、201・・・原稿トレイ、202・・・給送ローラー、300・・・画像形成装置