IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コニカミノルタ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図1
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図2
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図3
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図4
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図5
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図6
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図7
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図8
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図9
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図10
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図11
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図12
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図13
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図14
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図15
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図16
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図17
  • 特許-情報機器およびディスクドライブ 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】情報機器およびディスクドライブ
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/12 20060101AFI20220105BHJP
   G11B 33/14 20060101ALI20220105BHJP
   G11B 19/04 20060101ALI20220105BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220105BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220105BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G11B21/12 R
G11B33/14 503Z
G11B19/04 100Q
B41J29/38 301
G03G21/00 500
G03G21/00 388
H04N1/00 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2017239251
(22)【出願日】2017-12-14
(65)【公開番号】P2019106229
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086933
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125117
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】神谷 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】伊郷 翔太
(72)【発明者】
【氏名】生田 克行
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-196047(JP,A)
【文献】特開2016-219072(JP,A)
【文献】特開2010-258571(JP,A)
【文献】特開2007-087473(JP,A)
【文献】特開2016-132249(JP,A)
【文献】特開2007-122015(JP,A)
【文献】特開2011-233197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 21/12
G11B 33/14
G11B 19/04
B41J 29/38
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクおよび読み書き用のヘッドを有するディスクドライブをデータ記憶手段として備える情報機器であって、
手動による往復移動が可能に設けられて振動の発生源となる複数の可動部と、
前記複数の可動部のそれぞれの移動状態を検知する移動状態検知部と、
前記ディスクドライブの動作に影響を及ぼす振動を検知する振動検知部と、
前記振動検知部によって振動が検知されたときに前記ヘッドの退避動作を前記ディスクドライブに実行させる退避制御部と、
前記複数の可動部の前記移動状態に基づいて、前記ヘッドの退避を継続する復帰保留が必要か不要かを判定する判定部と、
前記振動検知部によって振動が収まったことが検知されたときに、前記判定部が前記復帰保留は不要と判定した場合には、前記ヘッドの復帰動作を前記ディスクドライブに直ちに実行させ、前記判定部が前記復帰保留が必要と判定した場合には、復帰保留期間が終了するのを待ってから前記ヘッドの復帰動作を前記ディスクドライブに実行させる、復帰制御部と、を有する、
ことを特徴とする情報機器。
【請求項2】
前記判定部は、前記複数の可動部のうち、それぞれのホーム側の移動端にない開状態の可動部が1以上である場合に、前記復帰保留が必要である判定し、前記開状態の可動部がない場合に、前記復帰保留は不要であると判定する、
請求項1記載の情報機器。
【請求項3】
前記復帰保留期間は、予め設定された長さの復帰保留時間が経過するまでの期間、または新たに発生した振動が収まるまでの期間である、
請求項1または2記載の情報機器。
【請求項4】
シートに画像を印刷する画像形成装置を備え、
前記複数の可動部は、前記画像形成装置に設けられており、
前記判定部は、前記画像形成装置においてエラーが発生している場合に、前記複数の可動部のうち、予め当該エラーに対応づけられている可動部である対象可動部の移動状態に基づいて、前記復帰保留が必要か不要かを判定する、
請求項1ないし3のいずれかに記載の情報機器。
【請求項5】
前記判定部は、前記対象可動部のうち、それぞれのホーム側の移動端にない開状態の対象可動部が1以上である場合に、前記復帰保留が必要である判定し、前記開状態の対象可動部がない場合に、前記復帰保留は不要であると判定する、
請求項4記載の情報機器。
【請求項6】
前記ディスクドライブにおける前記退避動作は、ロード/アンロード方式におけるアンロードであり、前記復帰動作はロードである、
請求項1ないし5のいずれかに記載の情報機器。
【請求項7】
周囲に存在する人体を検出する人感センサを有し、
復帰制御部は、前記復帰保留期間が終了する以前に前記人体が検出されなくなった場合には、前記復帰保留期間が終了するのを待たずに前記ヘッドを復帰させる、
請求項1ないし6のいずれかに記載の情報機器。
【請求項8】
前記ヘッドの退避回数を積算する積算部を有し、
前記判定部は、前記退避回数の積算値を参酌する判定モードにおいては、前記積算値がしきい値以下の場合には、前記複数の可動部の移動状態にかからず、前記復帰保留は不要であると判定し、前記積算値が前記しきい値を超える場合には、前記複数の可動部の移動状態に基づいて、復帰保留が必要か不要かを判定する、
請求項1ないし7のいずれかに記載の情報機器。
【請求項9】
前記エラーは、前記シートのジャムであり、
前記複数の可動部は、前記シートを除去する際に開閉される扉である、
請求項4記載の情報機器。
【請求項10】
前記画像形成装置と一体化されかつサーバ機として使用可能な情報処理装置を備え、
前記ディスクドライブは、情報処理装置が前記サーバ機として外部の機器とやり取りするデータの記憶手段として前記情報処理装置内に配置されており、
前記判定部は、前記情報処理装置が予め定められた優先度の低い処理を実行中に前記画像形成装置において前記エラーが発生した場合には、前記対象可動部の前記移動状態に基づいて、復帰保留が必要か不要かを判定し、予め定められた優先度の高い処理を実行中に前記エラーが発生した場合には、前記対象可動部の前記移動状態にかかわらず、前記復帰保留は不要であると判定する、
請求項4記載の情報機器。
【請求項11】
前記復帰制御部は、前記情報処理装置が前記優先度の低い処理を実行中に前記エラーが発生しかつ前記優先度の高い処理の実行要求がない場合には、当該エラーが解消するのを待って前記ヘッドを復帰させる、
請求項10記載の情報機器。
【請求項12】
手動による往復移動が可能であって振動の発生源となる複数の可動部を備える情報機器においてデータ記憶手段として用いられるディスクドライブであって、
ディスクと、
読み書き用のヘッドと、
前記複数の可動部のそれぞれの移動状態を示す移動情報を取得する情報取得部と、
当該ディスクドライブの動作に影響を及ぼす振動を検知する振動検知部と、
前記振動検知部によって前記振動が検知されたときに前記ヘッドの退避動作を当該ディスクドライブに実行させる退避制御部と、
前記複数の可動部の前記移動情報に基づいて、前記ヘッドの退避を継続する復帰保留が必要か不要かを判定する判定部と、
前記振動検知部によって振動が収まったことが検知されたときに、前記判定部が前記復帰保留は不要と判定した場合には、前記ヘッドの復帰動作を当該ディスクドライブに直ちに実行させ、前記判定部が前記復帰保留が必要と判定した場合には、復帰保留期間が終了するのを待ってから前記ヘッドの復帰動作を当該ディスクドライブに実行させる、復帰制御部と、を有する、
ことを特徴とするディスクドライブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報機器およびディスクドライブに関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機およびMFP(Multi-functional Peripheral :多機能機または複合機)などの業務用の画像形成装置において、各種のデータの記憶手段としてハードディスクドライブ(hard disk drive: HDD)が用いられている。ハードディスクドライブは、SSD(Solid State Drive )その他の記憶デバイスよりも容量単価に優れる。
【0003】
一般に、ハードディスクドライブは、ディスク(プラッタ)と磁気ヘッドとの接触によるデータの消失および部品の破損を防ぐ機能を有している。この機構の方式として、ディスクの外側に磁気ヘッドを退避させるロード/アンロード方式(ランプ方式ともいう)と、ディスク内のデータを書き込まないCSSゾーン(Contact Start Stop Zone )に磁気ヘッドを退避させるCSS方式とがある。
【0004】
画像形成装置は、メンテナンス用の扉、引出し式の給紙カセット、および開閉式の原稿カバーなど、ユーザが手動で開け閉めしたり出し入れしたりする幾つかの可動部を有している。
【0005】
これらの可動部をユーザが動かしたときに、例えば、扉を開けたときまたは閉めたときに、ハードディスクドライブの読み書き動作に影響を及ぼす振動が発生することがある。つまり、可動部は振動源となり得る。特に勢いよく動かしたときに、ハードディスクドライブに衝撃が加わることがある。
【0006】
ハードディスクドライブの磁気ヘッドの退避/復帰動作に関わる先行技術として、特許文献1~3に記載された技術がある。
【0007】
特許文献1には、アクセス動作が行われなくなってからヘッドを退避させて節電モードに移行するまでの時間を、最近の衝撃の発生頻度が高い場合に通常よりも短く設定することが開示されている。
【0008】
特許文献2には、画像形成装置において扉が閉じたときに発生する振動による損傷を防ぐために、扉が開いたときまたは閉じ始めたときにヘッドを退避させ、扉が閉じて振動が収まってからヘッドを復帰させることが開示されている。また、特許文献2には、退避するときにデータアクセス中であれば、CSS方式の退避とし、データアクセス中でなければ、ロード/アンロード方式の退避とすることが開示されている。
【0009】
特許文献3には、画像形成装置において引出し式の給紙トレイが当たり止めに当たることで発生する振動による損傷を防ぐために、給紙トレイが変位し始めてから当たり止めに当たる直前までの間にハードディスクドライブを停止させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2001-307413号公報
【文献】特開2006-196047号公報
【文献】特開2016-219072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ディスクドライブのヘッドを移動させる機構には機械的な寿命がある。すなわち、ヘッドを退避させる動作の累積回数が増えるにつれて、機構部品の劣化が進んで読み書き動作の信頼性が低下するとともに故障率が上昇するという問題がある。
【0012】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、手動による移動が可能で振動源となり得る複数の可動部を有する機器に実装されるディスクドライブの信頼性の低下を抑えることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実施形態に係る情報機器は、ディスクおよび読み書き用のヘッドを有するディスクドライブをデータ記憶手段として備える情報機器であって、手動による往復移動が可能に設けられて振動の発生源となる複数の可動部と、前記複数の可動部のそれぞれの移動状態を検知する移動状態検知部と、前記ディスクドライブの動作に影響を及ぼす振動を検知する振動検知部と、前記振動検知部によって振動が検知されたときに前記ヘッドの退避動作を前記ディスクドライブに実行させる退避制御部と、前記複数の可動部の前記移動状態に基づいて、前記ヘッドの退避を継続する復帰保留が必要か不要かを判定する判定部と、前記振動検知部によって振動が収まったことが検知されたときに、前記判定部が前記復帰保留は不要と判定した場合には、前記ヘッドの復帰動作を前記ディスクドライブに直ちに実行させ、前記判定部が前記復帰保留が必要と判定した場合には、復帰保留期間が終了するのを待ってから前記ヘッドの復帰動作を前記ディスクドライブに実行させる、復帰制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、ディスクドライブのヘッドの退避動作の累積回数を減らすことができ、それによりディスクドライブの信頼性の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る情報機器の外観の例を示す図である。
図2】情報機器のハードウェア構成の概略を示す図である。
図3】ハードディスクドライブのハードウェア構成を示す図である。
図4】情報機器の要部の機能的構成を示す図である。
図5】対象可動部テーブルの例を示す図である。
図6】ヘッドの退避/復帰のタイミングの第1例を示す図である。
図7】ヘッドの退避/復帰のタイミングの第2例を示す図である。
図8】情報機器におけるヘッドの退避/復帰制御の処理の流れを示す図である。
図9】Aモードの制御の流れを示す図である。
図10】Aモード復帰制御の流れを示す図である。
図11】Bモードの制御の流れを示す図である。
図12】Cモードの制御の流れを示す図である。
図13】Cモード復帰制御の流れを示す図である。
図14】Dモードの制御の流れを示す図である。
図15】Eモードの制御の流れを示す図である。
図16】Eモード復帰制御の流れを示す図である。
図17】Fモードの制御の流れを示す図である。
図18】ハードディスクドライブの機能的構成の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1には本発明の一実施形態に係る情報機器1の外観の例が、図2には情報機器1のハードウェア構成の概略が、それぞれ示されている。
【0017】
図1において、情報機器1は、画像形成装置2と情報処理装置3とを、情報処理装置3の上に画像形成装置2を載せる形で一体化したOA機器である。
【0018】
画像形成装置2は、コピー機、プリンタ、イメージリーダ、ファクシミリ機などの機能を集約したMFP(Multi-functional Peripheral :多機能機または複合機)である。情報処理装置3は、例えばローカルエリアネットワーク規模のネットワークにおいてサーバ機として使用可能な据置き型のコンピュータである。
【0019】
画像形成装置2は、フラットベッド型のスキャナ4、自動原稿送り装置(ADF:Auto Document Feeder)5、プリンタ6、および操作パネル7から構成される。
【0020】
スキャナ4は、自動原稿送り装置5により搬送されるシート状の原稿またはプラテンガラス42の上にユーザによりセットされたシートまたは書籍などの原稿から画像を読み取って画像データを生成する。モノクロ(グレースケール)およびフルカラーの読取りが可能である。
【0021】
自動原稿送り装置5は、上面側の原稿トレイにセットされた原稿を1枚ずつ次々に取り出してスキャナ4の流し読取り位置へ搬送する。自動原稿送り装置5は、スキャナ4のプラテンガラス42を覆うカバーとして開閉可能に設けられている。
【0022】
プリンタ6は、コピージョブにおいてスキャナ4によって読み取られた画像をシート(記録用紙)の片面または両面に印刷する。情報処理装置3または外部のホストから入力されたドキュメントおよびファクシミリ通信で受信した画像などの印刷にも用いられる。プリンタ6は、2段の引出し式の給紙カセット22A,22Bを備えている。印刷の方式は、例えば電子写真式であり、モノクロおよびフルカラーの印刷が可能である。インクジェット式または他の方式でもよい。
【0023】
操作パネル7は、ユーザによる操作のための画面を表示するタッチパネルディスプレイを主体として構成されており、入力操作に応じた信号を出力する。この信号に応じて、画像形成装置2の動作が制御される。操作パネル7には、情報機器1の周囲に存在する人体を検出する人感センサ66が配置されている。
【0024】
ところで、画像形成装置2は、手動による往復移動が可能な複数の可動部8を有している。自動原稿送り装置5および給紙カセット22A,22Bは、可動部8である。プリンタ6に設けられたメンテナンス用の前扉6Aおよび右扉6Bも可動部8である。図示を省略したが、プリンタ6における排紙口部材も可動部8である。さらに、着脱式のフィニッシャ(FNS)を装着した場合には、フィニッシャも可動部8となる。
【0025】
自動原稿送り装置5は、プラテンガラス42を覆う閉状態から前面部が持ち上がるよう背面側の軸を中心に回転して開く。最大で約60度回転して開き切る。自動原稿送り装置5の通常の位置、すなわちホーム側の移動端は、閉状態であるときの位置である。自動原稿送り装置5は、プラテンガラス42に原稿を載置する場合に開けられる。図1では、開状態が描かれている。開状態とは、閉状態ではない状態、すなわちホーム側の移動端にない状態であり、開き切った状態および開き切る前の途中の状態を含む。
【0026】
給紙カセット22A,22Bは、個別に情報機器1の前後方向に移動することができる。図1に示されるように押し込まれた閉状態から情報機器1の前方へ引き出されて開状態となり、後方へ押し込まれて閉状態に戻る。給紙カセット22A,22Bは、シートを補給する際に開閉される。
【0027】
前扉6Aは、垂直姿勢の閉状態から下端部の軸により前方へ倒れるように回転して開状態となる。ほぼ90度回転すると開き切り、水平姿勢になる。前扉6Aは、例えばトナーを補給する際に開閉される。
【0028】
右扉6Bは、閉状態から垂直姿勢のまま背面側の軸を中心に回転して開状態となる。ほぼ90度回転して開き切る。右扉6Bは、例えばジャムが発生した場合に内部の搬送路に残留しているシートを取り除く際に開閉される。
【0029】
これらの可動部8(5,22A,22B,6A,6B)には、それぞれの開閉状態(移動状態)を検出するセンサが設けられている。
【0030】
なお、プリンタ6は、給紙カセット22A,22Bと前扉6Aと右扉6Bが全て閉状態でなければ、印刷ジョブを実行しない。印刷ジョブの実行中にこれらのいずれかが開状態になると、実行を停止する。基本的には、自動原稿送り装置5の開閉状態にかかわらず印刷ジョブを実行する。
【0031】
図2において、プリンタ6は、4個のイメージングユニット11y,11m,11c,11kを有するタンデム型のプリンタエンジン10によって画像を印刷する。イメージングユニット11y~11kのそれぞれは、筒状の感光体12、帯電器13、プリントヘッド14、および現像器15などを有している。現像器15には、対応するトナーボトル17から、必要に応じてトナーが補給される。
【0032】
カラー印刷モードにおいて、イメージングユニット11y~11kは、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(ブラック)の4色のトナー像を並行して形成する。4色のトナー像は感光体12から中間転写ベルト16に一次転写される。そして、二次転写ローラ26とのニップ部で、給紙カセット22A(または22B)から引き出されてレジストローラ対25を経て搬送されてきたシート9に二次転写される。
【0033】
トナー像が二次転写されたシート9は、定着器18の内部を通過する。定着器18は、シート9を搬送しながら熱と圧力とを加えてシート9にトナー像を定着させる。
【0034】
片面印刷の場合には、シート9は、定着器18を通過した後、排紙ローラ27により排紙トレイ28に排出される。なお、排紙トレイ19に代えてフィニッシャが装着される場合には、シート9は、フィニッシャへ搬入される。
【0035】
両面印刷の場合には、まず、片面印刷の場合と同様にシート9の第1面にトナー像が二次転写されて定着が行われる。定着器18を通過したシート9は、排紙ローラ27によるスイッチバック搬送37により反転搬送路29に入る。そして、反転搬送路29において表裏が反転されたシート9が、レジストローラ対25へ戻される。その後、第2面にトナー像が二次転写され、定着器18を通過したシート9が排紙ローラ27により排出される。
【0036】
プリンタ6には、制御部20および電源回路21が設けられている。
【0037】
制御部20は、画像形成装置2の全体の動作を制御するMFPコントローラである。制御部20は、制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit) およびその周辺デバイスを備えている。
【0038】
電源回路21は、画像形成装置2において電力供給を必要とする供給先へ電力を供給する。供給先には、制御部20が含まれる。電源回路21は、商用交流電力に基づいて、各供給先に応じた直流または交流の電力を生成して出力する。
【0039】
他方、情報処理装置3は、メイン回路部30、電源回路31、および無停電電源装置(Uninterruptible Power Supply: USP) 32を有する。
【0040】
電源回路31は、商用交流電力に基づいて、メイン回路部30にその動作に必要な電力を供給する。電源回路31は、画像形成装置2の電源回路21とは実質的に独立に商用電源に接続されている。つまり、画像形成装置2の電源スイッチがオフであるときにも、情報処理装置3を稼働させることができるようになっている。
【0041】
無停電電源装置32は、停電したりユーザが不用意に電源コードを抜いてしまったりしたときに、安全に情報処理装置3をシャットダウンするためのバッテリー装置である。
【0042】
メイン回路部30は、マザーボードを中心に構成されており、CPU33、メモリ34、RAIDカード35、ネットワークカード36、外部接続用のインタフェース37、およびハードディスクドライブ(Hard Disk Drive: HDD)38を備えている。
【0043】
メモリ34は、プログラムの記憶および実行に関わるROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。RAIDカード35は、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks) のシステムを実装するためのハードウェアである。ネットワークカード36は、LANカードとも呼ばれる通信用のハードウェアである。
【0044】
ハードディスクドライブ38は、磁気ディスクドライブまたは光磁気ディスクドライブなどであり、情報処理装置3がサーバ機として外部の機器とやり取りするデータを主とする各種データの記憶手段として用いられる。複数台のハードディスクドライブ38を実装することができる。
【0045】
情報処理装置3には、プリントサーバ、メールサーバ、ファイルサーバ、ウェブサーバ、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol) サーバ、DNS(Domain Name System)サーバなどの種々のサーバを設けることができる。情報処理装置3に設けるサーバの種類および個数は任意である。
【0046】
また、ウィルスチェック、システムアップデート、データバックアップ、シミュレーション、各種の計算など、必要に応じて種々の処理を情報処理装置3に行わせることができる。
【0047】
図3にはハードディスクドライブ38のハードウェア構成が示されている。ハードディスクドライブ38の基本的な構成は公知のものと同様であるので、図3では構成要素の説明を簡略化する。
【0048】
図3(A)に示すように、ハードディスクドライブ38は、1枚または複数枚のプラッタ(磁気ディスク)81、スピンドルモータ82、ヘッド(磁気ヘッド)83、アクチュエータ84、ランプ部材85、加速度センサ86、および制御基板80を有する。
【0049】
プラッタ81は、スピンドルモータ82により一方向に回転する。ヘッド83は、プラッタ81の表面に対して僅かに浮上した状態でデータを読み書きする。アクチュエータ84は、シーク動作のための要素であり、ボイスコイルモータ(VCM)841およびアーム842を有する。アーム842の先端に浮上のためのスライダが取り付けられている。ヘッド83は、このスライダに形成されている。
【0050】
ランプ部材85は、ロード/アンロード方式の退避/復帰動作における退避時のヘッド支持部材である。図中に一点鎖線で示すようにアーム842が移動してヘッド83がプラッタ81の外側にアンロードされたとき、つまりプラッタ81の表面から退避したとき、ランプ部材85にスライダが乗り上げてヘッド83が支持される。
【0051】
すなわち、ヘッド83は、ハードディスクドライブ38が動作状態でないときはアンロード状態(退避状態)であるが、動作状態となってロード指令を受けたときに、プラッタ81への読み書きを行うためにプラッタ81の表面に対向した位置に移動してロード状態(復帰状態)となる。また、ヘッド83は、アンロード指令を受けたときに、プラッタ81の表面から退避した位置などに移動して、アンロード状態(退避状態)となる。なお、CSS方式の場合には、ヘッド83はプラッタ81の表面のデータの読み書きが行われない位置に退避される。
【0052】
加速度センサ86は、ハードディスクドライブ38のハウジングの変位の加速度に応じた検出信号S1を出力する。この検出信号S1に基づいて、ハードディスクドライブ38の振動が検知される。
【0053】
制御基板80には、駆動制御およびデータの読み書きに関わる回路が集約されている。すなわち、図3(B)に示すように、モータドライバ93,94、HDDコントローラ90、信号処理回路91、およびインタフェース92が制御基板80に実装されている。
【0054】
モータドライバ93は、HDDコントローラ90からの指令に従ってスピンドルモータ82を駆動し、モータドライバ94は、HDDコントローラ90からの指令に従ってボイスコイルモータ841を駆動する。
【0055】
信号処理回路91は、ヘッド83との間で信号をやりとりする。すなわち、記録すべきデータに応じた書込み信号をヘッド83に与え、ヘッド83からの読取り信号をデータに変換する。
【0056】
HDDコントローラ90は、上位のコントローラであるCPU33からの要求または指令に応じて、ハードディスクドライブ38の動作を制御する。HDDコントローラ90は、インタフェース92を介してCPU33と通信し、例えばCPU33からの起動指令によってハードディスクドライブ38を動作状態とし、CPU33と信号処理回路91との間のデータのやりとりを中継するとともに、読み書きのアドレスに応じてモータドライバ93,93を制御する。
【0057】
HDDコントローラ90は、制御プログラムを実行するマイクロプロセッサユニット(MPU)およびその周辺デバイスなどを備えている。HDDコントローラ90には、加速度センサ86による検出信号が入力される。
【0058】
さて、情報機器1は、ハードディスクドライブ38におけるヘッド83の復帰動作を画像形成装置2の可動部8の開閉状態(移動状態)に応じて制御する機能を有している。以下、この機能を中心に情報機器1の構成および動作を説明する。
【0059】
図4には情報機器1の要部の機能的構成が、図5には対象可動部テーブル50の例が、それぞれ示されている。
【0060】
図4において、情報機器1は、マシン状態検知部201、情報取得部301、判定部302、モード記憶部303、積算部304、振動検知部101、退避制御部102、および復帰制御部103などを有している。
【0061】
マシン状態検知部201は、画像形成装置2の制御部20のハードウェア構成により、および制御部20において制御プログラムが実行されることにより実現される。
【0062】
マシン状態検知部201は、画像形成装置2の動作状態を検知する。そして、検知した動作状態を示すマシン状態情報D2を情報処理装置3に通知する。画像形成装置2の動作状態には、実行するジョブの種類、ジョブの進行段階、ジャムまたはシートエンプティといった各種のエラーまたはトラブルの発生状況、および上に述べた複数の可動部8の開閉状態などが含まれる。マシン状態情報D2は、複数の可動部8のそれぞれの開閉状態を示す開閉情報(移動情報)D8を含んでいる。
【0063】
なお、エラーの発生は、操作パネル7により表示される。ユーザは、表示されるメッセージに従って対処作業を行う。例えばシートエンプティが発生した場合には、給紙カセット22A,22Bを開いてシート9を補充する。
【0064】
情報取得部301、判定部302、モード記憶部303、および積算部304は、情報処理装置3のハードウェア構成により、およびCPU33が制御プログラムを実行することにより実現される。
【0065】
情報取得部301は、マシン状態検知部201からマシン状態情報D2を取得して開閉情報D8を判定部302に提供する。
【0066】
判定部302は、複数の可動部8の開閉状態に基づいて、設定時間(復帰保留時間Td)が経過するまでヘッド83の退避を継続する復帰保留が必要か不要かを判定する。可動部8の開閉状態は、開閉情報D8により示される。
【0067】
判定部302において復帰保留が不要と判定したときには、判定部302は復帰信号S4を復帰制御部103に直ちに出力する。復帰保留が必要と判定したときには、判定部302は復帰信号S4を直ちに出力するのではなく、次に述べる判定モードに応じた条件が整った後で復帰信号S4を出力する。
【0068】
なお、本実施形態において、判定部302は、ハードディスクドライブ38の読み書き動作に影響を及ぼす振動が収まったとき、つまり振動検知部101が後述する振動収束信号S3を出力したときに、復帰保留が必要か不要かの判定を行う。
【0069】
さて、判定部302による判定には、複数の判定モードがあり、ユーザまたはサービスパーソンにより設定された判定モードに応じた態様の判定が行われる。モード記憶部303は、設定された判定モードを不揮発性メモリにより記憶する。
【0070】
基本的には、判定部302は、複数の可動部8のうち、開状態の可動部が1以上である場合に、復帰保留が必要である判定し、開状態である可動部がない場合に、復帰保留は不要であると判定する。
【0071】
また、判定部302は、画像形成装置2におけるエラーの発生状況に応じて復帰保留が必要か不要かを判定する判定モード(後に述べるAモードなど)においては、対象可動部テーブル50により示される対象可動部8Tの開閉状態に基づいて判定を行う。
【0072】
積算部304は、ヘッド83の退避回数を積算して積算値Nsを記憶する。この積算値Nsは、後に述べるEモードにおいて判定部302により参照される。積算部304には、ハードディスクドライブ38が退避動作を行うごとにその旨がHDDコントローラ90が通知される。なお、退避と復帰とは対をなすので、積算値Nsは、復帰回数の積算値でもある。
【0073】
振動検知部101、退避制御部102、および復帰制御部103は、HDDコントローラ90のハードウェア構成により、およびHDDコントローラ90において制御プログラムが実行されることにより実現される。
【0074】
振動検知部101は、加速度センサ86からの検出信号S1に基づいて、ハードディスクドライブ38の動作に影響を及ぼす振動を検知し、振動発生信号S2を出力する。
【0075】
なお、「動作に影響を及ぼす振動」には、「動作に影響を及ぼす可能性のある振動」を含む。つまり、「振動」がハードディスクドライブ38の動作に直接に影響を及ぼす場合のみならず、その「振動」自体はハードディスクドライブ38の動作に直接に影響を及ぼさない場合であっても、その「振動」に関連して後発的に発生する振動が影響を及ぼす場合には、その「振動」は「動作に影響を及ぼす振動」に該当する。
【0076】
したがって、例えば、大きな振動、大きな振動の前触れとなる小さな振動、加速度の大きな振動などが、「動作に影響を及ぼす振動」として検知される。なお、このような検知のために、大きな振動、小さな振動、または大きな加速度などに対応する適当なしきい値をそれぞれ設定すればよい。また、加速度センサ86からの検出信号S1に対して、微分、積分、その他の適当な種々の演算を行えばよい。
【0077】
ところで、このような振動は、画像形成装置2の可動部8が移動したときに発生しやすい。例えば、可動部8の移動中には小さな振動が発生する。そして特に、可動部8が開き切ったとき、または閉じ切ったときに、すなわち当たり止めに当接したときに、そのときの速度などに応じて衝撃が発生し、これによって大きな振動が発生しやすい。この他、ユーザが情報機器1を揺すったり、情報機器1にぶつかったときにも発生する。振動検知部101は、これら可動部8の移動を含む何らかの原因で生じる振動を検知する。そして、振動が発生したことを振動発生信号S2によって退避制御部102に通知する。
【0078】
また、振動検知部101は、発生した振動が収束したことをも検知する。本実施形態において、例えば、振動の振幅が所定値以下となり、かつ所定値以下である状態が所定の収束待ち時間(Tc)にわたって続いたときに、その状態を振動が収束したとして検知し、振動収束信号S3を出力する。そして、振動が収束したことを振動収束信号S3によって判定部302に通知する。本実施形態では、この通知が判定部302において判定を行う契機となる。
【0079】
退避制御部102は、振動検知部101により振動の発生が検知されたとき、すなわち振動発生信号S2が通知されたときに、モータドライバ94にアンロード指令を出力する。アンロード指令によって、ヘッド83が退避動作を行う。つまり、ハードディスクドライブ38におけるヘッド83の退避動作が実行される。
【0080】
復帰制御部103は、判定部302から復帰信号S4が出力されたときに、モータドライバ94にロード指令を出力する。
【0081】
例えば、振動収束信号S3が出力され、これに基づいて判定部302が復帰保留が不要であると判定したときは、直ちに復帰信号S4が出力され、これに呼応して復帰制御部103はロード指令を出力する。これにより、モータドライバ94は、ヘッド83の復帰動作を直ちに行わせる。つまりこの場合には、ハードディスクドライブ38におけるヘッド83の復帰動作が、振動の収束後直ちに実行される。
【0082】
また例えば、振動収束信号S3が出力されたが、判定部302が復帰保留が必要であると判定したときは、復帰信号S4は、直ちに出力されず、復帰保留期間が終了してから出力される。したがって、ハードディスクドライブ38におけるヘッド83の復帰動作は、振動が収束した後、復帰保留期間の終了を待ってから実行される。
【0083】
なお、この場合の復帰保留期間は、予め設定された時間、例えば数秒~10秒程度の復帰保留時間Tdが経過するまでの期間、または新たに発生した振動が収まるまでの期間である。
【0084】
図5に示すように、対象可動部テーブル50において、画像形成装置における複数のエラーのそれぞれに対象可動部8Tが対応づけられている。対象可動部8Tとは、複数の可動部8のうち、あるエラーが発生した場合に、そのエラーを解消するためにユーザが開閉するべき可動部8である。
【0085】
例えば、プリンタエンジン10へシート9を供給する段階のジャムである給紙ジャムにおける対象可動部8Tは、給紙元として選択された給紙カセット22A(または22B)、および右扉6Bである。排出まで進んだ段階のジャムである排紙ジャムにおける対象可動部8Tは、給紙カセット22A(または22B)、右扉6B、および排紙口部材である。
【0086】
また、トナーエンプティにおける対象可動部8Tは、前扉6Aのみである。給紙カセット22Aが空になったシートエンプティAの対象可動部8Tは、給紙カセット22Aのみであり、給紙カセット22Bが空になったシートエンプティBの対象可動部8Tは、給紙カセット22Bのみである。自動原稿送り装置5におけるジャムであるADFジャムの対象可動部8Tは、自動原稿送り装置5のみである。
【0087】
上に述べた判定部302は、マシン状態情報D2に基づいて画像形成装置2においてエラーが発生しているか否かをチェックする。エラーが発生している場合には、当該エラーに対応づけられている対象可動部8Tの個数および開閉状態に基づいて、次のように復帰保留が必要か不要かを判定する。
【0088】
トナーエンプティなどのように対象可動部8Tが1つのみである場合には、対象可動部8Tの開閉状態にかかわらず、復帰保留は不要と判定する。これは、対象可動部8Tが開くときおよび閉じるときの計2回の振動が発生するという想定において、数秒程度の短時間内に連続して振動が発生する場合は少ないとの考えに基づいている。つまり、開けるときの1回目の振動から閉めるときの2回目の振動までに通常は30秒以上の間隔があり、数秒程度の復帰保留を行っても、保留解除後に2回目の退避を行うことになり、結果的に退避の回数を減らすことができないと考えられるからである。
【0089】
これに対して、給紙ジャムのように対象可動部8Tが複数である場合には、対象可動部8Tの開閉状態に応じて、復帰保留が必要か不要かを判定する。
【0090】
すなわち、判定部302は、対象可動部8Tのうち、それぞれのホーム側の移動端にない開状態の対象可動部8Tが1以上である場合に、その対象可動部8Tが閉じられることが確実であるので、復帰保留が必要であると判定する。開状態の対象可動部8Tがない場合に、復帰保留は不要であると判定する。
【0091】
図6にはヘッド83の退避/復帰のタイミングの第1例が、図7には同じく第2例が、それぞれ示されている。図7(A)は復帰保留ありの場合であり、図7(B)は図7(A)との比較のための復帰保留なしの場合である。「復帰保留ありの場合」とは、図4などで示すように復帰保留が必要か不要かを判定する判定部302が設けられて機能している場合であり、「復帰保留なしの場合」とは、判定部302が設けられておらずまたは機能しておらず、復帰保留が必要との判定のなされることがない場合である。
【0092】
図6および図7においては、給紙カセット22Aのシート9の給紙ジャムが発生した場合が想定されている。この場合の対象可動部8Tは、右扉6Bおよび給紙カセット22Aである。
【0093】
なお、図6では、給紙カセット22Aが開き切ったタイミングt2および閉じ切ったタイミングt7での衝撃によって振動が発生した場合の例が示されている。図7では、右扉6Bおよび給紙カセット22Aの移動による衝撃により、タイミングt12、t15、t19、t23でそれぞれ振動が発生した場合の例が示されている。
【0094】
図6において、タイミングt1に給紙カセット22Aが開き始める。このとき、右扉6Bは閉状態である。タイミングt1から例えば1.5~2秒程度が経過したタイミングt2において給紙カセット22Aが開き切る。この間において振動が発生すると、振動の検知によりアンロード指令が出力されてヘッド83の退避動作が行われ、ハードディスクドライブ38は読み書き休止状態となる。
【0095】
振動が減衰して収束待ち時間Tcが経過すると、すなわち振動が収まったタイミングt3において、復帰保留が必要か不要かが判定される。図示の例では、開状態の給紙カセット22Aが存在するので、つまり閉じて振動を起こす可能性のある対象可動部8が存在するので、復帰保留が必要と判定される。したがって、ヘッド83の復帰動作が行われることなく、退避状態が継続される。
【0096】
タイミングt3から数秒程度に設定されている復帰保留時間Tdが経過したタイミングt4において、ロード指令が出力されてヘッド83の復帰動作が行われ、ハードディスクドライブ38は読み書き可能な状態に戻る。
【0097】
タイミングt4より後のタイミングt5において、給紙カセット22Aの近傍に残留していたシート9がユーザによって取り除かれ、給紙ジャムは解消する。ただし、タイミングt5では給紙カセット22Aが開状態であるので、操作パネル7におけるエラー表示は解除されず、印刷ジョブは実行されない。エラー表示の解除は、給紙カセット22Aが閉状態になった後に行われる。
【0098】
タイミングt6で給紙カセット22Aが閉じ始める。このときも、右扉6Bは閉状態である。タイミングt7において、給紙カセット22Aが閉じ切って振動が発生する。このため、アンロード指令が出力されてヘッド83の退避動作が行われる。振動が収まったタイミングt8において、開状態の対象可動部8Tが存在しないことから、復帰保留は不要と判定され、直ちにロード指令が出力されてヘッド83の復帰動作が行われる。
【0099】
なお、図6において、振動が発生したタイミングt2で振動発生信号S2が出力され、これによりアンロード指令が出力され、ヘッド83の退避動作が行われ、退避状態となる。また、振動が収まったタイミングt3で振動収束信号S3が出力されるが、復帰保留が必要と判定されたため直ちにはロード指令が出力されず、復帰保留時間Tdが経過したタイミングt4で復帰信号S4が出力され、これによりロード指令が出力され、ヘッド83の復帰動作が行われる。
【0100】
また、振動が収まったタイミングt8で振動収束信号S3が出力され、このとき復帰保留が不要と判定されて復帰信号S4が出力され、直ちにロード指令が出力されヘッド83の復帰動作が行われる。
【0101】
図7(A)において、タイミングt11で右扉6Bが開き始める。このとき、給紙カセット22Aは閉状態である。タイミングt12において右扉6Bが開き切り、振動が発生する。このため、アンロード指令が出力され、ヘッド83の退避が行われる。
【0102】
タイミングt12から間もないタイミングt14で給紙カセット22Aが開き始め、復帰保留時間Tdが経過する以前のタイミングt15において開き切る。このため、タイミングt15において2回目の振動が発生する。しかし、このとき、ヘッド83は既に退避しているので、改めて退避動作が行われることなく、退避状態が継続される。
【0103】
タイミングt16において、2回目の振動が収まる。このタイミングt16は、タイミングt15から復帰保留時間Tdが経過する以前のタイミングである。しかし、2回目の振動が収まったので、復帰保留が必要か不要かが再び判定される。
【0104】
タイミングt16では、開状態の対象可動部8Tが存在するので、復帰保留が必要であると判定される。そして、改めて復帰保留時間Tdの計時が開始される。
【0105】
タイミングt16から復帰保留時間Tdが経過したタイミングt17において、ロード指令が出力され、ヘッド83の復帰動作が行われる。
【0106】
タイミングt18で右扉6Bが閉じ始める。タイミングt19において、右扉6Bが閉じ切り、3回目の振動が発生する。このためアンロード指令が出力され、ヘッド83の退避動作が行われる。3回目の振動が収まったタイミングt20において、給紙カセット22Aが開状態であるので、復帰保留が必要であると判定され、退避状態が継続される。しかし、タイミングt20から復帰保留時間Tdが経過したタイミングt21において、ロード指令が出力され、ヘッド83の復帰動作が行われる。
【0107】
その後、タイミングt22で給紙カセット22Aが閉じ始める。タイミングt23において、給紙カセット22Aが閉じ切って4回目の振動が発生する。
【0108】
4回目の振動が収まったタイミングt24においては、開状態の対象可動部8Tが存在しないので、復帰保留は不要であると判定される。したがって、直ちにロード指令が出力され、復帰動作が行われる。
【0109】
図7(B)において、右扉6Bおよび給紙カセット22Aの移動状態は図7(A)と同じであり、したがって振動の発生の状態は図7(A)に示すとおりである。しかし、図7(B)においては、復帰保留を行わないので、振動が収まったタイミングt13、t16、t20、t24で常にロード指令が出力され、復帰動作が行われる。したがって、振動が発生するごとに、アンロード指令が出力され、退避動作を行うこととなる。
【0110】
このように、復帰保留なしとした図7(B)の例では、4回の振動に対してヘッド83の退避動作が4回行われる。これに対して、復帰保留ありとした図7(A)の例では、4回の振動に対してヘッド83の退避動作は3回だけ行われる。
【0111】
したがって、図7(A)の例では、図7(B)の例と比べて、退避回数を25%削減することができる。また、例えば3回目の振動と4回目の振動との間隔が復帰保留時間Tdよりも短い場合には、図7(A)の例では退避回数が2となり、図7(B)の例に対して退避回数を50%削減することができる。さらに、4回の振動が復帰保留時間Tdよりも短い間隔で次々に発生する場合には、図7(A)の例では退避回数は1となり、図7(B)の例に対して退避回数を75%削減することができる。
【0112】
図7の例は、ユーザが対象可動部8Tである右扉6Bおよび給紙カセット22Aを1回ずつ開け閉めするものであった。しかし、実際には、上に述べた通り可動部8が全て閉じた後にエラー表示が解除されることから、エラー表示が解除されるまで何回も開け閉めを繰り返すことがしばしばある。すなわち、エラーが解消していないのにユーザが可動部8を閉じ、エラー表示が消えないことからエラーが解消していないことに気づき、再び開ける場合がある。特に、このように開け閉めが頻繁に行われる場合に、退避回数を低減する上で復帰保留を行うことがより有効となる。
【0113】
図8には情報機器1におけるヘッドの退避/復帰制御の処理の流れが示されている。情報機器1は、判定モードの選択肢であるA~Fのモードのうち、いずれのモードが設定されているかを確認し(#701)、設定されているモードに応じた処理を行う(#702~#707)。所定の電力供給が行われて制御プログラムの実行が可能な期間中は、図8の処理を一定の周期で繰り返し実行する。
【0114】
Aモードは、復帰保留時間Tdの経過後に復帰動作を行う基本的な制御を行うモードである。Aモードが設定されている場合は、Aモードの制御を実行する(#702)。
【0115】
Bモードは、発生が想定される最終の振動が収まったときに復帰動作を行うモードである。Bモードが設定されている場合は、Bモードの制御を実行する(#703)。
【0116】
Cモードは、周辺の人体の有無に応じて復帰動作のタイミングを切り替えるモードである。Cモードが設定されている場合は、Cモードの制御を実行する(#704)。
【0117】
Dモードは、情報処理装置3におけるデータ処理を優先させるモードである。Dモードが設定されている場合は、Dモードの制御を実行する(#705)。
【0118】
Eモードは、ヘッド83の退避回数の積算値に応じて復帰保留が必要か不要かを判定するモードである。Eモードが設定されている場合は、Eモードの制御を実行する(#706)。
【0119】
Fモードは、エラーの発生状況に応じて復帰動作のタイミングを切り替えるモードである。Fモードが設定されている場合は、Fモードの制御を実行する(#707)。
【0120】
図9にはAモードの制御の流れが、図10にはAモード復帰制御の流れが、それぞれ示されている。
【0121】
図9において、まず、退避制御を行う(#101)。退避制御では、マシン状態情報D2を取得し(#111)、エラーが発生している場合に(#112でYES)、対象可動部テーブル50を参照して対象可動部8Tの個数を把握しておく(#113)。その後、振動を検知した場合に(#114でYES)、ヘッド83を退避させる(#115)。振動が発生していない場合は(#114でNO)、処理を終える。すなわち、図8のメインルーチンに戻る。
【0122】
退避制御(#101)によりヘッド83を退避させると、振動が収束するのを待つ(#102)。振動が収束すると(#102でYES)、対象可動部8Tの個数に基づいて、復帰保留が必要か不要かを判定する(#103)。
【0123】
対象可動部8Tの個数が1の場合は、復帰保留は不要と判定し(#103でNO)、直ちにヘッド83を復帰させる(#104)。
【0124】
対象可動部8Tの個数が複数の場合およびエラーが発生していない場合は、復帰保留が必要と判定し(#103でYES)、Aモード復帰制御を実行する(#105)。
【0125】
図10に示すように、Aモード復帰制御においては、復帰保留時間Tdを計時する復帰保留タイマをセットする(#121)。復帰保留タイマが終了すると、すなわち復帰保留時間Tdが経過すると(#122でYES)、ヘッド83を復帰させる(#123)。
【0126】
復帰保留タイマが終了するまでの間において(#122でNO)、新たな振動の発生の有無をチェックする(#124)。振動の発生がなければ(#124でNO)、ステップ#122へ戻る。振動が発生した場合は(#124でYES)、その振動が収まるのを待つ(#125)。そして、振動が収まると(#125でYES)、ステップ#121へ戻って復帰保留タイマをセットし直す。
【0127】
図11にはBモードの制御の流れが示されている。
【0128】
まず、図8のステップ#101と同様の退避制御を行う(#201)。つまり、ステップ#201の内容はステップ#101の内容と同じである。ステップ#301、401、501についても同様である。
【0129】
次に、振動が収まるのを待って(#202)、図9のステップ#103と同様に復帰保留が必要か不要かを判定する(#203)。復帰保留は不要と判定した場合は(#203でNO)、直ちにヘッド83を復帰させる(#204)。
【0130】
復帰保留が必要と判定した場合は(#203でYES)、新たに振動が発生するのを待つ(#205)。そして、発生した振動が収まるのを待って(#206)、ヘッド83を復帰させる(#207)。つまり、Bモードの制御では、新たに発生した振動が収まったときが、復帰保留期間の終了タイミングとされる。
【0131】
図12にはCモードの制御の流れが、図13にはCモード復帰制御の流れが、それぞれ示されている。
【0132】
図12において、まず、図8のステップ#101と同様の退避制御を行う(#301)。次に、振動が収まるのを待って(#302)、図9のステップ#103と同様に復帰保留が必要か不要かを判定する(#303)。復帰保留は不要と判定した場合は(#303でNO)、直ちにヘッド83を復帰させる(#304)。復帰保留が必要と判定した場合は(#303でYES)、Cモード復帰制御を実行する(#305)。
【0133】
図13に示すように、Cモード復帰制御においては、復帰保留タイマをセットする(#311)。復帰保留タイマが終了すると(#312でYES)、直ちにヘッド83を復帰させる(#313)。
【0134】
復帰保留タイマが終了するまでの間において(#312でNO)、人感センサ66からの検出信号を取り込み(#314)、人体が無い場合に(#315でNO)、ステップ#313へ進んでヘッド83を復帰させる。図13のルーチンは上に述べた通り周期的に実行されるので、ステップ#315において人体の無いことを確認したときは、人感センサ66の検出結果が人体有りから人体無しに切り替わったタイミングであり、これは人感センサ66により人体が検出されなくなったときの例である。
【0135】
人体が検出されており(#315でYES)、かつ新たに振動が発生していない場合は(#316でNO)、ステップ#312へ戻る。
【0136】
人体が検出されており(#315でYES)、かつ新たに振動が発生した場合は(#316でYES)、その振動が収まるのを待って(#317)、ステップ#311へ戻って復帰保留タイマをセットし直す。
【0137】
図14にはDモードの制御の流れが示されている。
【0138】
まず、図8のステップ#101と同様の退避制御を行う(#401)。次に、振動が収まるのを待って(#402)、開状態の可動部8があるか否かを判定する(#403)。
【0139】
開状態の可動部8がないと判定した場合は(#403でNO)、直ちにヘッド83を復帰させる(#404)。
【0140】
開状態の可動部8があると判定した場合は(#403でYES)、直ちにヘッド83を復帰させて(#405)、新たに振動が発生するのを待つ(#406)。振動が発生すると(#406でYES)、ヘッド83を退避させる(#407)。その後、振動が収束するのを待って(#408)、ヘッド83を復帰させる(#409)。
【0141】
図15にはEモードの制御の流れが、図16にはEモード復帰制御の流れが、それぞれ示されている。
【0142】
図15において、まず、図8のステップ#101と同様の退避制御を行う(#501)。次に、退避回数を積算するカウンタを1つインクリメントして(#502)、振動が収束するのを待つ(#503)。振動が収束すると(#503でYES)、開状態の可動部8があるか否かを判定する(#504)。
【0143】
開状態の可動部8がないと判定した場合は(#504でNO)、直ちにヘッド83を復帰させる(#505)。開状態の可動部8があると判定した場合は(#504でYES)、Eモード復帰制御を実行する(#506)。
【0144】
図16に示すように、Eモード復帰制御においては、退避回数の積算値を読み込み(#511)、積算値に基づいて、ハードディスクドライブ38の現状が耐用期間(寿命)の後期か否かを判定する(#512)。詳しくは、後期か否かの指標として予め決められたしきい値(例えば3万回)と現在の積算値との大小を判定する。しきい値は、耐久性の仕様における退避回数の上限(例えば5万回)に所定の比率(例えば60%)を乗じた値とすることができる。
【0145】
積算値がしきい値以上であれば、後期であると判定し、積算値がしきい値未満であれば、後期ではないと判定する。このステップ#512の判定は、次に述べる通り、復帰保留が必要か不要かの判定に相当する。
【0146】
現状が寿命の後期であると判定した場合は(#512でYES)、ハードディスクドライブ38の余命を延ばすために、ヘッド83の復帰を保留する。つまり、退避を継続して新たな振動の発生を待つ(#513A、#513B)。そして、振動が発生すると(#513BでYES)、振動が収束するのを待って(#514でYES)、ヘッド83を復帰させる(#515)。
【0147】
現状が寿命の後期ではないと判定した場合は(#512でNO)、つまり余命が比較的に長い現段階では復帰保留は不要と判定して、直ちにヘッド83を復帰させる(#516)。その後、新たに振動が発生するのを待ち(#517)、振動が発生すると(#517でYES)、ヘッド83を退避させる(#518)。そして、振動が収束するのを待って(#519)、ヘッド83を復帰させる(#520)。つまり、従来と同様に振動が発生するごとに退避および復帰を行う。
【0148】
図17にはFモードの制御の流れが示されている。
【0149】
まず、マシン状態情報D2を取得する(#601)。マシン状態情報D2にはエラーの発生情報が含まれる。
【0150】
振動が発生すると(#602でYES)、ヘッド83を退避させて(#603)、振動が収束するのを待つ(#604)。振動が収束すると(#604でYES)、エラーが発生しているか否かをチェックする(#605)。エラーが発生していない場合は(#605でNO)、直ちにヘッド83を復帰させる(#606)。
【0151】
エラーが発生している場合は(#605でYES)、ヘッド83を退避させた状態で、新たに振動が発生するのを待つ(#607)。振動が発生すると(#607でYES)、その振動が収束するのを待つ(#608)。
【0152】
振動が収まると(#608でYES)、改めてマシン状態情報D2を取得し(#609)、エラーが発生しているか否かをチェックする(#610)。
【0153】
エラーが発生していない場合は(#610でNO)、直ちにヘッド83を復帰させる(#611)。エラーが発生している場合は(#610でYES)、ステップ#607へ戻って新たな振動の発生を待つ。つまり、Fモードの制御では、エラーが解消するまで、ヘッド83の復帰を保留する。
【0154】
図18にはハードディスクドライブ38の機能的構成の変形例が示されている。
【0155】
図18に示すハードディスクドライブ38bは、HDDコントローラ90bの機能的構成を除いて、図3で述べたハードディスクドライブ38と同様に構成されかつ同様にデータ記憶手段としての機能を有する。
【0156】
ハードディスクドライブ38bにおいて、HDDコントローラ90bは、情報取得部301、判定部302、モード記憶部303、積算部304、振動検知部101、退避制御部102、および復帰制御部103を有する。これらの構成要素のそれぞれの機能は、図4の例と同様である。
【0157】
つまり、図18の例では、図4の例においてCPU33とHDDコントローラ90とに振り分けられている退避/復帰制御に関わる機能的構成要素が、ハードディスクドライブ38b内のHDDコントローラ90bに集約されている。
【0158】
なお、HDDコントローラ90bにおける情報取得部301は、例えばCPU33を介して画像読取り装置2からマシン状態情報D2を取得する。画像読取り装置2からCPU33を介することなく取得するようにしてもよい。
【0159】
以上の実施形態によると、ハードディスクドライブ38のヘッド83の退避動作の累積回数を減らすことができ、それによりハードディスクドライブ38の信頼性の低下を抑えることができる。退避動作に伴う異音の発生を低減することができる。
【0160】
ハードディスクドライブ38,38bに設けた加速度センサ86の出力に基づいて振動およびその収束を検知するので、可動部8の移動以外の要因により振動が発生した場合にも、ヘッド83を退避させてデータおよびドライブの破損を防ぐことができる。
【0161】
上に述べた実施形態において、ヘッド86の退避動作の方式はCSS方式であってもよい。また、ハードディスクドライブ38に対するホストからのアクセスの有無などに応じて、ロード/アンロード方式とCSS方式とを切り替えることができる。
【0162】
上に述べた情報処理装置3およびハードディスクドライブ38bの例では、振動検知部101が振動の収束を検知して出力する振動収束信号S3に基づいて、判定部302が復帰保留が必要か不要かを判定した。しかし、このような構成に限る必要はなく、構成を種々変更することができる。
【0163】
例えば、振動検知部101が振動収束信号S3を復帰制御部103に直接に出力するようにしておく。他方、判定部302は、可動部8の開閉状態に基づいて、復帰保留が必要か不要かを常に判定しておき、その判定結果を判定結果信号として復帰制御部103に出力する。復帰制御部103では、振動収束信号S3および判定結果信号の両方に基づいて判断し、所定のタイミングでモータドライバ94にロード指令を出力する。つまり、例えば、振動が収まったことが検知されかつ復帰保留は不要と判定された場合に、ロード指令を出力する。また、復帰保留が必要と判定された場合には、振動が収まったことが検知されてから所定の時間(例えば復帰保留時間Td)が経過したときに、ロード指令を出力する。
【0164】
また、例えば、判定部302において、復帰保留が必要か不要かを常に判定しておき、その判定結果を判定結果信号として振動検知部101に出力する。振動検知部101では、振動の収束の有無と判定結果信号の両方に基づいて判断し、所定のタイミングで復帰制御部103に復帰信号を出力する。
【0165】
上に述べた実施形態において、情報処理装置3がサーバ機として行う処理の種類に応じて、復帰保留を行って退避/復帰動作による機械的消耗を低減するモードと、復帰保留を行わずにハードディスクドライブ38,38bの稼働率を高めるモードとを切り替えることができる。例えばバッチ処理などの緊急を要しない処理に限って復帰保留を行うようにしてもよい。
【0166】
詳しくは、判定部302は、情報処理装置3が予め定められた優先度の低い処理を実行中に画像形成装置3においてエラーが発生した場合には、対象可動部8Tの移動状態に基づいて、復帰保留が必要か不要かを判定する。予め定められた優先度の高い処理を実行中にエラーが発生した場合には、対象可動部8Tの移動状態にかかわらず、復帰保留は不要であると判定する。
【0167】
そして、復帰制御部103は、情報処理装置3が優先度の低い処理を実行中にエラーが発生しかつ優先度の高い処理の実行要求がない場合には、当該エラーが解消するのを待ってヘッド83を復帰させる。
【0168】
上に述べた実施形態において、収束待ち時間Tcおよび復帰保留時間Tdなどの設定時間の長さは、例示の値に限定されず、想定される振動の大きさおよび減衰特性に応じて決めるとよい。複数の可動部8のそれぞれまたは互いの間に顕著な開閉パターン(開閉の間隔、開閉の順序など)がある場合には、その開閉パターンに基づいて2回目以降の振動の発生時期を予測し、きめ細かく復帰保留の要否を判定するようにしてもよい。そのために可動部8ごとに振動センサを設けてもよい。
【0169】
その他、情報機器1、画像形成装置2、および情報処理装置3のそれぞれの全体または各部の構成、処理の内容、順序、またはタイミング、センサの配置および個数、対象可動部テーブル50の内容などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0170】
1 情報機器
2 画像形成装置
3 情報処理装置
5 自動原稿送り装置(可動部)
6A 前扉(可動部)
6B 右扉(可動部)
8 可動部
8T 対象可動部
9 シート
22A,22B 給紙カセット(可動部)
38,38b ハードディスクドライブ(ディスクドライブ)
66 人感センサ
81 プラッタ(ディスク)
83 ヘッド
101 振動検知部
102 退避制御部
103 復帰制御部
201 マシン状態検知部(移動状態検知部)
302 判定部
304 積算部
Td 復帰保留時間(復帰保留期間)
S1 検出信号
S2 振動発生信号
S3 振動収束信号
S4 復帰信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18