(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】異常診断用装置、携帯端末装置、異常診断用システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20220105BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220105BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20220105BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H04N1/00 002A
G03G21/00 510
G03G21/00 388
G01H17/00 Z
B41J29/38 301
(21)【出願番号】P 2017240744
(22)【出願日】2017-12-15
【審査請求日】2020-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】東 敏和
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】浅野 斉
(72)【発明者】
【氏名】田村 友伸
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
G03G 21/00
G01H 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段と、
異常診断用装置が前記計測対象を計測可能な待機状態であることを確認した前記被診断装置から、動作開始に際して出力された動作開始情報である同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御手段と、
前記同期情報を受け取る受取手段と、
を備え
、
前記受取手段による前記同期情報の受け取りを契機として、前記計測手段は計測を開始し、前記制御手段は、計測の開始を前記被診断装置の動作開始として取り扱うことを特徴とする異常診断用装置。
【請求項2】
異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段と、
前記被診断装置からの動作開始の要求に応答して異常診断用装置で作成され被診断装置へ送信された、動作開始を指示する動作開始指示情報である同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御手段と、
を備え、
前記被診断装置は前記同期情報により動作を開始し、
前記計測手段は前記同期情報の送信を契機として計測を開始し、前記制御手段は、計測の開始を前記被診断装置の動作開始として取り扱うことを特徴とする異常診断用装置。
【請求項3】
異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段と、
前記被診断装置の動作開始から予め設定された時間毎に被診断装置から送られる予め設定された動作部品の動作状態を示す同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御手段と、
前記同期情報を受け取る受取手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記受取手段により同期情報が受け取られる毎に、前記動作部品の動作と計測データを関連付けることを特徴とする異常診断用装置。
【請求項4】
異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段と、
前記被診断装置の予め設定された動作部品の動作の変化を一義的に把握できる動作状態を示す同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御手段と、
前記同期情報を受け取る受取手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記受取手段により同期情報が受け取られたときに、前記動作部品の動作と計測データを関連付けることを特徴とする異常診断用装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記同期情報で示される被診断装置の動作状態を前記計測データに関連付けて記憶し、かつ記憶した計測データと動作状態を出力可能である請求項1~4の何れかに記載の異常診断用装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記同期情報で示される被診断装置の動作部品の所定時間毎の動作状態を前記計測データに関連付けて記憶し、かつ記憶した計測データと動作状態を出力可能である請求項3または4に記載の異常診断用装置。
【請求項7】
表示手段を備え、
前記制御手段は、操作者が異常箇所を特定可能な態様で、前記計測データと被診断装置の動作状態とを同期させて前記表示手段に表示する請求項1~6の何れかに記載の異常診断用装置。
【請求項8】
異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段と、
前記被診断装置の所定の動作状態を示す同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御手段と、
タッチ操作可能な表示手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記計測データを前記表示手段に表示すると共に、表示された前記計測データの異常箇所を操作者がタッチした時に、計測データのタッチされた部位に対応する被診断装置の動作状態を前記表示手段に表示することを特徴とする異常診断用装置。
【請求項9】
異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段と、
前記被診断装置の所定の動作状態を示す同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御手段と、
時間経過と共に変化する被診断装置の動作進行状態を算出するための算出式に用いられる設定値を、前記被診断装置から受け取る受取手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記部品の動作状態と計測データとともに、前記受取手段で受け取られた設定値を用いて前記算出式で算出される被診断装置の動作進行状態をも関連付けて取り扱うことを特徴とする異常診断用装置。
【請求項10】
表示手段を備え、
前記制御手段は、前記計測データと動作状態と動作進行状態を同期させて前記表示手段に表示する請求項9に記載の異常診断用装置。
【請求項11】
異常データを蓄積するデータベースに前記計測データと被診断装置の動作状態とを送信する送信手段と、
前記計測データと被診断装置の動作状態に基づいて異常要因候補を抽出した前記データベースから送信される、前記異常要因候補を受信する受信手段を備え、
前記制御手段は、前記受信手段により受信した異常要因候補を前記計測データ及び動作状態と関連付けて取り扱う請求項1~10の何れかに記載の異常診断用装置。
【請求項12】
表示手段を備え、
前記制御手段は、前記計測データと動作状態と異常要因候補を同期させて前記表示手段に表示する請求項11に記載の異常診断用装置。
【請求項13】
前記異常診断用装置は携帯端末装置であり、前記被診断装置は画像形成装置であり、前記動作は前記画像形成装置の画像形成動作であり、前記計測対象は音又は振動の少なくともいずれかである請求項1~12の何れかに記載の異常診断用装置。
【請求項14】
請求項1~13の異常診断用装置として使用される携帯端末装置。
【請求項15】
異常の有無を診断される被診断装置と、この被診断装置と通信可能な請求項1~13の何れかに記載の異常診断用装置とを備え、
前記被診断装置と異常診断用装置との間で同期情報を送受信し、
前記携帯端末装置は、
前記被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段と、
前記被診断装置からの前記同期情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御手段と、
を備えたことを特徴とする異常診断用システム。
【請求項16】
異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段を備えた異常診断用装置のコンピュータに、
異常診断用装置が前記計測対象を計測可能な待機状態であることを確認した前記被診断装置から、動作開始に際して出力された動作開始情報である同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御ステップと、
前記同期情報を受け取る受取ステップと、
を実行させ、
前記受取ステップによる前記同期情報の受け取りを契機として、前記計測手段に計測を開始させ、前記制御ステップでは、計測の開始を前記被診断装置の動作開始として取り扱う処理を実行させるためのプログラム。
【請求項17】
異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段を備えた異常診断用装置のコンピュータに、
前記被診断装置からの動作開始の要求に応答して異常診断用装置で作成され被診断装置へ送信された、動作開始を指示する動作開始指示情報である同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御ステップを実行させ、
前記被診断装置は前記同期情報により動作を開始し、
前記計測手段に前記同期情報の送信を契機として計測を開始させ、前記制御ステップでは、計測の開始を前記被診断装置の動作開始として取り扱う処理を実行させるためのプログラム。
【請求項18】
異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段を備えた異常診断用装置のコンピュータに、
前記被診断装置の動作開始から予め設定された時間毎に被診断装置から送られる予め設定された動作部品の動作状態を示す同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御ステップと、
前記同期情報を受け取る受取ステップと、
を実行させ、
前記制御ステップでは、前記受取ステップにより同期情報が受け取られる毎に、前記動作部品の動作と計測データを関連付ける処理を実行させるためのプログラム。
【請求項19】
異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段を備えた異常診断用装置のコンピュータに、
前記被診断装置の予め設定された動作部品の動作の変化を一義的に把握できる動作状態を示す同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御ステップと、
前記同期情報を受け取る受取ステップと、
を実行させ、
前記制御ステップでは、前記受取ステップにより同期情報が受け取られたときに、前記動作部品の動作と計測データを関連付ける処理を実行させるためのプログラム。
【請求項20】
異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段と、タッチ操作可能な表示手段と、を備えた異常診断用装置のコンピュータに、
前記被診断装置の所定の動作状態を示す同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御ステップを実行させ、
前記制御ステップでは、前記計測データを前記表示手段に表示すると共に、表示された前記計測データの異常箇所を操作者がタッチした時に、計測データのタッチされた部位に対応する被診断装置の動作状態を前記表示手段に表示する処理を実行させるためのプログラム。
【請求項21】
異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段を備えた異常診断用装置のコンピュータに、
前記被診断装置の所定の動作状態を示す同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御ステップと、
時間経過と共に変化する被診断装置の動作進行状態を算出するための算出式に用いられる設定値を、前記被診断装置から受け取る受取ステップと、
を実行させ、
前記制御ステップでは、前記部品の動作状態と計測データとともに、前記受取ステップで受け取られた設定値を用いて前記算出式で算出される被診断装置の動作進行状態をも関連付けて取り扱う処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置等の被診断装置の故障等の動作異常を診断するのに用いられる異常診断用装置、携帯端末装置、異常診断用システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多機能デジタル画像形成装置であるMFP(Multi Function Peripheral)等の画像形成装置やその他の装置では、故障等の異常が発生していると動作時に異常音が発生する。
【0003】
このような異常音は、動作中のある特定のタイミングで周期的に発生したり、動作状態の微妙な条件の違いで発生したりしなかったりすることも多く、異常個所の特定を計測した音のみで行うことが困難な場合も多い。例えば、駆動部などの摺動性の劣化時に、用紙が曲率の高い通紙経路搬送時や排出時の押し出し時など、摺動部の負荷が増加するタイミングなどで摺動音が突然発生することがある。同じ負荷のタイミングで発生しやすいが、摺動部の状態がかわると再現しなくなる場合も多い。また、用紙が特定の通紙経路上の異常部(例えば、用紙搬送ガイドのめくれ、紙残り、サバキローラの摩耗)を通過する状態で摩擦音が異音となる場合もあり、特に用紙の先端/後端タイミングなどで発生することも多い。さらには、後処理装置など、動作中に各動作部が短時間で動作する場合などの摺動音は、そのタイミング時のみ発生するものとなる。
【0004】
従来、画像形成装置の動作時の音を、サービスマンやユーザーの携帯端末装置を使用して計測し、その計測データから異音の発生している異常箇所を特定する方法が提案されている。(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された技術では、次のような問題があった。
【0007】
即ち、特許文献1に記載された技術は、携帯端末装置により画像形成装置の異常音を計測し、その周波数解析結果の類似波形との比較で異常個所を判断するものであるが、異常音の箇所はわかっても、動作している動作部分の動作状態や用紙の位置がわかるセンサなどのタイミング情報がわからないと、実際上特定することが容易でない。特許文献1に記載された技術では、要因毎の異常な状態の波形との比較で、異常個所を特定しているが、画像形成装置の条件により異常発生のタイミングが異なったり、発生したりしなかったりする場合もあることを考慮すると、波形比較だけでは異常箇所を十分に特定することが困難である、という問題がある。
【0008】
この発明はこのような技術的背景に鑑みてなされたものであって、被診断装置の動作時の音や振動等の計測対象を計測して故障等の異常を特定する際に、容易にその特定を行うことができる異常診断用装置、携帯端末装置、異常診断用システム及びプログラムの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段と、異常診断用装置が前記計測対象を計測可能な待機状態であることを確認した前記被診断装置から、動作開始に際して出力された動作開始情報である同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御手段と、前記同期情報を受け取る受取手段と、を備え、前記受取手段による前記同期情報の受け取りを契機として、前記計測手段は計測を開始し、前記制御手段は、計測の開始を前記被診断装置の動作開始として取り扱うことを特徴とする異常診断用装置。
(2)異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段と、前記被診断装置からの動作開始の要求に応答して異常診断用装置で作成され被診断装置へ送信された、動作開始を指示する動作開始指示情報である同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御手段と、を備え、前記被診断装置は前記同期情報により動作を開始し、前記計測手段は前記同期情報の送信を契機として計測を開始し、前記制御手段は、計測の開始を前記被診断装置の動作開始として取り扱うことを特徴とする異常診断用装置。
(3)異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段と、前記被診断装置の動作開始から予め設定された時間毎に被診断装置から送られる予め設定された動作部品の動作状態を示す同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御手段と、前記同期情報を受け取る受取手段と、を備え、前記制御手段は、前記受取手段により同期情報が受け取られる毎に、前記動作部品の動作と計測データを関連付けることを特徴とする異常診断用装置。
(4)異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段と、前記被診断装置の予め設定された動作部品の動作の変化を一義的に把握できる動作状態を示す同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御手段と、前記同期情報を受け取る受取手段と、を備え、前記制御手段は、前記受取手段により同期情報が受け取られたときに、前記動作部品の動作と計測データを関連付けることを特徴とする異常診断用装置。
(5)前記制御手段は、前記同期情報で示される被診断装置の動作状態を前記計測データに関連付けて記憶し、かつ記憶した計測データと動作状態を出力可能である前項1~4の何れかに記載の異常診断用装置。
(6)前記制御手段は、前記同期情報で示される被診断装置の動作部品の所定時間毎の動作状態を前記計測データに関連付けて記憶し、かつ記憶した計測データと動作状態を出力可能である前項3または4に記載の異常診断用装置。
(7)表示手段を備え、前記制御手段は、操作者が異常箇所を特定可能な態様で、前記計測データと被診断装置の動作状態とを同期させて前記表示手段に表示する前項1~6の何れかに記載の異常診断用装置。
(8)異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段と、前記被診断装置の所定の動作状態を示す同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御手段と、タッチ操作可能な表示手段と、を備え、前記制御手段は、前記計測データを前記表示手段に表示すると共に、表示された前記計測データの異常箇所を操作者がタッチした時に、計測データのタッチされた部位に対応する被診断装置の動作状態を前記表示手段に表示することを特徴とする異常診断用装置。
(9)異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段と、前記被診断装置の所定の動作状態を示す同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御手段と、時間経過と共に変化する被診断装置の動作進行状態を算出するための算出式に用いられる設定値を、前記被診断装置から受け取る受取手段と、を備え、前記制御手段は、前記部品の動作状態と計測データとともに、前記受取手段で受け取られた設定値を用いて前記算出式で算出される被診断装置の動作進行状態をも関連付けて取り扱うことを特徴とする異常診断用装置。
(10)表示手段を備え、前記制御手段は、前記計測データと動作状態と動作進行状態を同期させて前記表示手段に表示する前項9に記載の異常診断用装置。
(11)異常データを蓄積するデータベースに前記計測データと被診断装置の動作状態とを送信する送信手段と、前記計測データと被診断装置の動作状態に基づいて異常要因候補を抽出した前記データベースから送信される、前記異常要因候補を受信する受信手段を備え、前記制御手段は、前記受信手段により受信した異常要因候補を前記計測データ及び動作状態と関連付けて取り扱う前項1~10の何れかに記載の異常診断用装置。
(12)表示手段を備え、前記制御手段は、前記計測データと動作状態と異常要因候補を同期させて前記表示手段に表示する前項11に記載の異常診断用装置。
(13)前記異常診断用装置は携帯端末装置であり、前記被診断装置は画像形成装置であり、前記動作は前記画像形成装置の画像形成動作であり、前記計測対象は音又は振動の少なくともいずれかである前項1~12の何れかに記載の異常診断用装置。
(14)前項1~13の異常診断用装置として使用される携帯端末装置。
(15)異常の有無を診断される被診断装置と、この被診断装置と通信可能な請求項1~13の何れかに記載の異常診断用装置とを備え、前記被診断装置と異常診断用装置との間で同期情報を送受信し、前記携帯端末装置は、前記被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段と、前記被診断装置からの前記同期情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御手段と、を備えたことを特徴とする異常診断用システム。
(16)異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段を備えた異常診断用装置のコンピュータに、異常診断用装置が前記計測対象を計測可能な待機状態であることを確認した前記被診断装置から、動作開始に際して出力された動作開始情報である同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御ステップと、前記同期情報を受け取る受取ステップと、を実行させ、前記受取ステップによる前記同期情報の受け取りを契機として、前記計測手段に計測を開始させ、前記制御ステップでは、計測の開始を前記被診断装置の動作開始として取り扱う処理を実行させるためのプログラム。
(17)異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段を備えた異常診断用装置のコンピュータに、前記被診断装置からの動作開始の要求に応答して異常診断用装置で作成され被診断装置へ送信された、動作開始を指示する動作開始指示情報である同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御ステップを実行させ、前記被診断装置は前記同期情報により動作を開始し、前記計測手段に前記同期情報の送信を契機として計測を開始させ、前記制御ステップでは、計測の開始を前記被診断装置の動作開始として取り扱う処理を実行させるためのプログラム。
(18)異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段を備えた異常診断用装置のコンピュータに、前記被診断装置の動作開始から予め設定された時間毎に被診断装置から送られる予め設定された動作部品の動作状態を示す同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御ステップと、前記同期情報を受け取る受取ステップと、を実行させ、前記制御ステップでは、前記受取ステップにより同期情報が受け取られる毎に、前記動作部品の動作と計測データを関連付ける処理を実行させるためのプログラム。
(19)異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段を備えた異常診断用装置のコンピュータに、前記被診断装置の予め設定された動作部品の動作の変化を一義的に把握できる動作状態を示す同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御ステップと、前記同期情報を受け取る受取ステップと、を実行させ、前記制御ステップでは、前記受取ステップにより同期情報が受け取られたときに、前記動作部品の動作と計測データを関連付ける処理を実行させるためのプログラム。
(20)異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段と、タッチ操作可能な表示手段と、を備えた異常診断用装置のコンピュータに、前記被診断装置の所定の動作状態を示す同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御ステップを実行させ、前記制御ステップでは、前記計測データを前記表示手段に表示すると共に、表示された前記計測データの異常箇所を操作者がタッチした時に、計測データのタッチされた部位に対応する被診断装置の動作状態を前記表示手段に表示する処理を実行させるためのプログラム。
(21)異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段を備えた異常診断用装置のコンピュータに、前記被診断装置の所定の動作状態を示す同期情報に基づいて、前記計測手段により得られた計測データを前記被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御ステップと、時間経過と共に変化する被診断装置の動作進行状態を算出するための算出式に用いられる設定値を、前記被診断装置から受け取る受取ステップと、を実行させ、前記制御ステップでは、前記部品の動作状態と計測データとともに、前記受取ステップで受け取られた設定値を用いて前記算出式で算出される被診断装置の動作進行状態をも関連付けて取り扱う処理を実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0010】
前項(1)に記載の発明によれば、同期情報に基づいて、計測手段により得られた計測データが被診断装置の動作と時間的に同期した状態で取り扱われるから、操作者は、故障による異常音や異常振動等がどの動作状態の時に発生しているかを容易に特定し把握することができる。
【0012】
また、同期情報は、異常診断用装置が計測対象を計測可能な待機状態であることを確認した被診断装置から、動作開始に際して出力された動作開始情報であり、この動作開始情報の受け取りを契機として、計測手段は計測を開始し、計測の開始が被診断装置の動作開始として取り扱われるから、異常診断用装置及び被診断装置ともに準備が整った状態で、異常診断用装置による計測及び被診断装置の動作を開始することができる。
【0013】
前項(2)に記載の発明によれば、同期情報は、被診断装置からの動作開始指示の要求に応答して異常診断用装置で作成され被診断装置へ送信された、動作開始を指示する動作開始指示情報であり、この動作開始指示情報に基づいて被診断装置は動作を開始し、異常診断用装置は計測を開始し、計測の開始が被診断装置の動作開始として取り扱われるから、計測対象の計測の開始と被診断装置の動作開始を的確かつ容易に同期させることができる。
【0015】
前項(3)に記載の発明によれば、同期情報は、被診断装置の動作開始から予め設定された時間毎に被診断装置から送られる予め設定された動作部品の動作状態を示す情報であり、同期情報が受け取られる毎に、部品の動作と計測データとが関連付けられるから、計測データを被診断装置の動作と時間的に同期させることができる。
【0016】
前項(4)に記載の発明によれば、同期情報は、被診断装置の予め設定された動作部品の動作の変化を一義的に把握できる動作状態を示す情報であり、同期情報が受け取られたときに、動作部品の動作と計測データが関連付けられるから、計測データを被診断装置の動作と時間的に同期させることができる。
【0017】
前項(5)に記載の発明によれば、同期情報で示される被診断装置の動作状態が計測データに関連付けて記憶され、かつ記憶された計測データと動作状態を出力可能であるから、例えば計測データと動作状態を表示手段に表示したり、他の管理装置で管理したりすることができ、操作者は故障による異常音や異常振動等がどの動作状態の時に発生しているかを容易に把握することができる。
【0018】
前項(6)に記載の発明によれば、同期情報で示される被診断装置の動作部品の所定時間毎の動作状態が計測データに関連付けて記憶されるから、例えば計測データと動作状態を表示手段に表示したり、他の管理装置で管理したりすることができ、操作者は故障による異常音や異常振動等がどの動作状態の時に発生しているかを容易に把握することができる。
【0019】
前項(7)に記載の発明によれば、操作者が異常箇所を特定可能な態様で、計測データと被診断装置の動作状態とが同期して表示手段に表示されるから、操作者は故障による異常音や異常振動等がどの動作状態の時に発生しているかを容易に把握することができる。
【0020】
前項(8)に記載の発明によれば、表示手段に表示された計測データの異常箇所を操作者がタッチした時に、計測データのタッチされた部位に対応する被診断装置の動作状態が表示手段に表示されるから、操作者は故障による異常音や異常振動等がどの動作状態の時に発生しているかを容易に把握することができる。
【0021】
前項(9)に記載の発明によれば、時間経過と共に変化する被診断装置の動作進行状態を算出するための算出式で算出される被診断装置の動作進行状態が、部品の動作状態と計測データとともに関連付けられるから、操作者は、被診断装置の動作進行状態も把握することができる。
【0022】
前項(10)に記載の発明によれば、計測データと動作状態と動作進行状態が同期して表示手段に表示されるから、操作者は画面上で被診断装置の動作進行状態を把握することができる。
【0023】
前項(11)に記載の発明によれば、データベースから送信された異常要因候補が計測データ及び動作状態と関連付けられるから、操作者は異常要因候補を認識することができる。
【0024】
前項(12)に記載の発明によれば、計測データと動作状態と異常要因候補が同期して表示手段に表示されるから、操作者は画面上で異常要員候補を把握することができる。
【0025】
前項(13)に記載の発明によれば、操作者は、故障等による異常音や異常振動等が画像形成装置のどの動作状態の時に発生しているかを、携帯端末装置により容易に把握することができる。
【0026】
前項(14)に記載の発明によれば、操作者は、故障等による異常音や異常振動等が被診断装置のどの動作状態の時に発生しているかを容易に把握することができる携帯端末装置を提供できる。
【0027】
前項(15)に記載の発明によれば、故障等による異常音や異常振動等が被診断装置のどの動作状態の時に発生しているかを容易に把握することができる異常診断用システムを提供できる。
【0028】
前項(16)に記載の発明によれば、異常の有無を診断される被診断装置の動作時における計測対象を時間経過と共に計測する計測手段を備えた異常診断用装置のコンピュータに、被診断装置の所定の動作状態を示す同期情報に基づいて、計測手段により得られた計測データを被診断装置の動作と時間的に同期させた状態で取り扱う制御ステップを実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】この発明の一実施形態に係る異常診断用装置が用いられた異常診断用システムの構成図である。
【
図2】画像形成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】携帯端末装置の制御構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】従来の携帯端末装置での計測データの表示画面の一例を示す。
【
図5】携帯端末装置による計測データと画像形成装置の動作とを同期させる方法の一例を説明するための図である。
【
図6】
図5で説明したような画像形成装置から携帯端末装置に送信される、同期情報としての画像形成動作の開始情報に基づいて、携帯端末装置による計測データと画像形成装置の画像形成動作を同期させる場合の、画像形成装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図5で説明したようなMFP100から携帯端末120に送信される、同期情報としての画像形成動作の開始情報に基づいて、計測データとMFP100の動作を同期させる処理を行う場合の、携帯端末120の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図8】携帯端末120による計測データとMFP100の動作とを同期させる方法の他の例を説明するための図である。
【
図9】
図8で説明したような携帯端末120からMFP100に送信される、同期情報としての画像形成動作の開始指示情報に基づいて、携帯端末120による計測データとMFP100の画像形成動作を同期させる場合の、MFP100の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図10】
図8で説明したような携帯端末120からMFP100に送信される、同期情報としての画像形成動作の開始指示情報に基づいて、計測データとMFP100の動作を同期させる処理を行う場合の、携帯端末120の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図11】携帯端末120による計測データとMFP100の動作とを同期させる方法のさらに他の例を説明するための図である。
【
図12】MFP100が動作部品の動作状態を示す情報を携帯端末120に送信する場合のデータ構成を示す図である。
【
図13】
図11で説明したようなMFP100から携帯端末120に送信される、同期情報としての複数の動作部品の動作状態を示す情報に基づいて、携帯端末120による計測データとMFP100の画像形成動作を同期させる場合の、MFP100の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図14】
図11で説明したようなMFP100から携帯端末120に送信される、同期情報としての複数の動作部品の動作状態を示す情報に基づいて、携帯端末120による計測データとMFP100の画像形成動作を同期させる場合の、携帯端末120の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図15】
図11で説明した例において、動作状態についての情報を携帯端末120に送信する対象となる動作部品の選定方法を説明するための表である。
【
図16】携帯端末120による計測データとMFP100の動作とを同期させる方法のさらに他の例を説明するための図である。
【
図17】携帯端末120により得られる計測データと、MFP120の動作部品の動作状態との関連付方法の一例を示す図である。
【
図18】(A)~(B)は、関連付けた計測データとMFP120の動作部品の動作状態の取り扱いの一例を示す図である。
【
図19】携帯端末120により得られる計測データと、MFP120の動作部品の動作状態との関連付方法の他の例を示す図である。
【
図20】携帯端末120により得られる計測データと、MFP120の動作部品の動作状態を、時間変化に応じて表示する方法の一例を示す図である。
【
図21】携帯端末120により得られる計測データと、MFP120の動作部品の動作状態を、時間変化に応じて表示する方法の他の例を示す図である。
【
図22】MFP100の動作部品の動作状態に追加して、画像形成動作の信号状態、例えば用紙の位置情報や機構部の動作を算出するための算出式をも関連付けて取り扱う場合の一例を示す図である。
【
図23】計測データとMFP100の動作部品の動作状態に追加して、用紙位置情報や機構部の動作状態を表示する方法の一例を示す図である。
【
図24】(A)(B)は、計測データと動作部品の動作状態との関連付に基づいて、故障要因を判定し表示する方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
図1は、この発明の一実施形態に係る異常診断用装置が用いられた異常診断用システムの構成図である。この実施形態では、異常診断用システムは、異常の有無の診断を受ける被診断装置としての画像形成装置100と携帯端末装置120とを備え、これらは相互にネットワークを介して、あるいは無線通信により直接に通信可能となっている。
【0032】
画像形成装置100として、この実施形態ではスキャナー機能、コピー機能、ファクシミリ機能、ネットワーク機能、BOX機能といった複数の機能が搭載された多機能デジタル複合機(MFP:Multi Function Peripheral)が用いられている。なお、被診断装置は画像形成装置に限定されるものではない。また、以下の説明では画像形成装置をMFPともいう。
【0033】
MFP100は、
図1に示すように、原稿を光学的に読取って画像データを得るスキャナー部2と、画像データに基づいて用紙上に画像を印刷するプリントエンジン部6とを含む。MFP100の本体上面には、スキャナー部2に読取る原稿を送るフィーダ4が配置され、プリントエンジン部6の上面には画像を形成された用紙が排出されるトレー8を有する。MFP100の本体上部の前面側(ユーザが対向する側)には、表示面を有する操作パネル装置1が装着されている。操作パネル装置1は、MFP100を操作するための装置である。操作パネル装置1は、ユーザーからの各種指示、数字、文字、記号といった入力などの操作を受け付けるための複数のキーと、表示装置とを含む。表示装置は、入力機能にタッチパネルを使用し、ユーザー操作に応答した各種情報及び各種操作を受付るためのメニュー画面などをユーザーに対して表示するとともに、ユーザーのタッチ操作した位置を取得し、取得位置に応じた入力情報を取得する。
【0034】
これらMFP100の内部には、図示しない駆動モーターやクラッチやセンサなどの動作手段が構成されており、それぞれを各動作のタイミングに従って、動作制御したり、モニタすることで一連の画像形成動作を行っている。このような動作の中で、各部において、故障による動作不良や寿命、環境などによる劣化での動作不良や用紙など稼働状態の不具合で、異音や振動が発生することがあり、それらを外部から音や振動を計測し、異常個所を特定することが必要となる。
【0035】
図2はMFP100の構成の一例を示すブロック図である。MFP100は、システムコントローラ101、メモリ102、通信部103、プリンターエンジン104、出力画像処理部105、記憶装置106、撮像部107、入力画像処理部108、操作パネル111を含んでいる。
【0036】
システムコントローラ101には、メモリ102、通信部103、プリンターエンジン104、出力画像処理部105、記憶装置106、撮像部107、および入力画像処理部108、操作パネル111が接続されている。
【0037】
システムコントローラ101は、スキャナジョブ、コピージョブ、メール送信ジョブ、およびプリントジョブなどの各種ジョブについて、MFP100全体の制御を行う。システムコントローラ101は、CPU(Central Processing Unit)110と、ROM(Read Only Memory)109などからなっている。CPU110は、ROM109に記憶された制御プログラムを実行する。ROM109は、MFP100の動作を行うための各種プログラムと、各種固定データとを格納している。システムコントローラ101は、所定の処理を行うことにより、メモリ102からのデータの読み込みや、メモリ102へのデータの書き込みを行う。
【0038】
メモリ102はRAM(Random Access Memory)であり、CPU110が制御プログラムを実行するときに必要なデータや画像データを一時的に記憶するためなどに用いられる。
【0039】
通信部103は、システムコントローラ101からの指示に従って、ネットワークを介して外部機器との通信を行ったり、無線通信で携帯端末などと通信を行う。本発明の携帯端末との各種情報のやりとりやタイミング情報のやりとりは、この部分で行う。プリンターエンジン104は、出力画像処理部105にて処理された印刷データに基づいて用紙などへのプリント処理を行う。特にMFP100がプリンターとして動作する場合、プリンターエンジン104は画像を印刷し、MFP100が複写機として動作する場合、プリンターエンジン104は、撮像部107で読み取った画像を印刷する。
【0040】
出力画像処理部105は、画像の印刷を行う場合などに、その画像データの形式を印刷データに変換する変換処理を行う。
【0041】
記憶装置106はたとえばHDD(Hard Disc Drive)であり、MFP100の動作に関わる各種データを記憶する。さらに記憶装置106は、MFP100の操作パネル111に表示する画面の画像データを記憶している。撮像部107は、原稿の画像を読み取る。入力画像処理部108は、撮像部で画像を読み取った場合などに、その画像データの形式を変換する変換処理を行う。
【0042】
図3は携帯端末装置120の制御構成の一例を示すブロック図である。以下、携帯端末装置を単に携帯端末ともいう。
【0043】
携帯端末120は、例えばスマートフォンやタブレット端末等であっても良く、システム制御部121を有し、このシステムCPU121に記憶部122、通信部123、表示部124、入力部125、計測部126が接続されており、これらの制御をシステムCPU121が行う。記憶部122はメモリ等各種の処理でのデータの一時的な保存等を行い、さらにこの実施形態では計測データの保管などを行う。
【0044】
通信部123は、wifiやBlueTooth(登録商標)などの無線通信を行う部分であり、MFP100との情報のやりとりやタイミング情報のやりとりを行ったり、故障管理等行うセンターの管理装置との通信も行う。表示部124は、LCD等画像表示を行う部分であり、計測データや動作部タイミングを表示し、操作者に認知させる。
【0045】
入力部125は、画面上のタッチパネルやキーSWなどであり、本実施形態では計測データ画面の異音データ部分をタッチして指示するなど、操作者の指示を入力する。
【0046】
計測部126は、音を計測するマイクや音源制御素子など、または振動を計測する加速度センサなどで構成されている。
【0047】
図4に、従来の携帯端末120での計測データの表示画面の一例を示す。なお、以下の説明では計測対象が音である場合について説明する。
【0048】
計測データの時間変化を画面上にグラフで表示し、操作者に見やすくしている。表示方法については、携帯端末120の画面やアプリケーションなどで、各種の異なる表示方法があるが、本実施形態では、計測対象である音の時間変化がわかる表示であれば、どのような表示であっても良い。また、
図5では、総音量のデータとなっているが、FFT処理による周波数毎の時間変化であったり、振動などの振動量や振動周波数などの時間変化でも同様である。
図5では、時間変化のみ表示しているため、MFP100の画像形成動作のどの動作状態の時にどの音量となっているのかまで表示されておらず、このため、操作者がMFP100の動きとその時の計測データを見比べて動作を判断するしかなく、異音要因の特定には不十分な点がある。
【0049】
そこで、この問題を解決するためこの実施形態では、携帯端末120は、MFP100の所定の動作状態を示す同期情報を用い、計測データとMFP100の動作とを時間的に同期させる。
【0050】
図5は、携帯端末120による計測データとMFP100の動作とを同期させる方法の一例を説明するための図である。この例では、MFP100から携帯端末120に画像形成動作の開始を示す同期情報を送信し、携帯端末120は同期情報の受信を契機として計測を開始し、計測データとMFP100の動作とを同期させるように構成されている。
【0051】
サービスマンやユーザー等の操作者が、計測のための画像形成動作の条件を設定したのち(ステップN01)、MFP100から計測を行う携帯端末120を呼び出し、計測動作を要求する(ステップN02)。携帯端末120から計測動作可能である旨の応答がなされると(ステップN03)、計測の同期をとる処理を進める。ここで、携帯端末120の呼び出しは、MFP100やセンターの管理装置にサービスマン用として予め登録された携帯端末120の識別情報を呼び出す場合や、計測動作を行うことを呼び出し近傍にいる操作者の携帯端末120が対応可能な応答で処理を進める場合や、MFP100の操作者が携帯端末120の識別情報を入力する場合などがある。携帯端末120から応答があれば、MFP100は携帯端末120に機種情報を要求し(ステップN04)、その回答により(ステップN05)、機種情報を把握する。機種情報は、携帯端末120の機種情報や搭載機能の有無や搭載機能の特性や計測アプリケーションの特性などを含んでおり、事前に必要な情報を予め登録しており、それらを携帯端末120に要求することで、MFP100が入手し、計測動作に対応する。
【0052】
次にMFP100は、実際に計測が可能なことが判断できれば、携帯端末120に計測アプリケーションを計測待機状態にするよう要求する(ステップN06)。ここで、要求には、計測アプリケーションの起動指示や未インストールの場合のWEBサイトからの指定アプリケーションのダウンロード指示とインストール指示なども含んでおり、計測が可能な状態までのセットアップの要求をしている。
【0053】
携帯端末120から計測アプリケーションの計測待機の通知があれば(ステップN07)、MFP100は、画像形成動作条件を携帯端末120に通知する(ステップN08)。具体的には、計測の対象となる動作を行う動作部品についての情報や、動作中や動作後に逐次動作状態を送信する動作部品についての情報を送信する。ここでの動作部品の情報は、予め計測時の画像形成動作やある程度概略の要因の絞り込みなどの情報に基づき、予め設定されており、最低限これらの動作部品の情報を送信する。これは、送信データ量を減らし、通信の負荷を減らしたり、携帯端末120側の処理負担を減らしたり、記憶領域を減らす等のためである。なお、これ以外にも、動作部品は操作者が指定することも可能である。
【0054】
画像形成動作条件を受信した携帯端末120は、それらの条件を記憶したりセンターの管理装置へ送信したり、あるいは表示等を行うために必要な初期設定を実施した後、待機中であることを応答する(ステップN09)。
【0055】
これら一連のやり取りにより、MFP100は携帯端末120が計測可能であると判断すると、例えば操作パネル部1にスタートボタンを押すようにメッセージを表示する。操作者がスタートボタンを押すと(ステップN10)、MFP100は画像形成動作を開始するとともに、携帯端末120に動作開始(計測開始指示)を示す同期情報を送信し(ステップN11)、携帯端末120は同期情報の受信を契機として計測を開始するとともに、計測の開始とMFP100の動作開始とを関連付けて同期させる。携帯端末120からは計測が開始されていることがMFP100へ通知される(ステップN12)。
【0056】
このような処理により、携帯端末120において、
図5の下側の図に示すように、計測の開始とMFP100の画像形成動作の開始が同期する結果、MFP100の各部が時間の経過に応じて
図5の上側の図に示すように動作しても、計測データとMFP100の動作とを同期した状態で把握でき、同期した状態では取り扱うことができる。従って、操作者は、故障による異常音や異常振動等がどの動作状態の時に発生しているかを容易に特定し把握することができる。
【0057】
なお、詳細な説明は省略するが、何らかの要因で計測が同期して実施されない場合もあり、その場合は画像形成動作を停止したり、画像形成動作のみ継続し計測未実施を表示するといった各種の対応が行われる。
【0058】
図6は、
図5で説明したようなMFP100から携帯端末120に送信される、同期情報としての画像形成動作の開始情報に基づいて、携帯端末120による計測データとMFP100の画像形成動作を同期させる場合の、MFP100の処理を説明するためのフローチャートである。
【0059】
同期処理を行うサブルーチンが呼び出されると、ステップS130で計測のための画像形成動作の要求の有無を確認する。要求が無ければ(ステップS130でNO)、リターンする。要求があれば(ステップS130でYES)、ステップS131で、携帯端末120が計測待機状態になるまでスタート待機状態であることを操作者に知らせるメッセージを操作パネル111に表示する。
【0060】
ステップS132で計測開始指示待ちかどうか確認し、計測開始指示待ちでなければ(ステップS132でNO)、リターンする。計測開始指示待ちであれば(ステップS132でYES)、ステップS133で画像形成動作の待機解除と動作可能を表示し、スタート待ちとなる。ステップS134では画像形成動作のスタートボタンが押されたか(スタート入力がオンか)を判断し、押されなければ(ステップS134でNO)、リターンする。押されると(ステップS134でYES)、ステップS135で、画像形成動作を開始し携帯端末120に計測開始を指示する。
【0061】
次いでステップS136で、携帯端末120が同期して計測が実施されたかどうかを調べ、実施されていれば(ステップS136でYES)、ステップS137で画像形成動作状態のフラグをセットする。実施されていなければ(ステップS136でNO)、ステップS138で、計測同期不良状態のフラグをセットする。
【0062】
図7は、
図5で説明したようなMFP100から携帯端末120に送信される、同期情報としての画像形成動作の開始情報に基づいて、計測データとMFP100の動作を同期させる処理を行う場合の、携帯端末120の処理を説明するためのフローチャートである。この処理は携帯端末120のシステムCPU121が記憶部122等に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0063】
ステップS101で、MFP100から待機指示があるかどうかを調べ、なければ(ステップS101でNO)、処理を終了する。あれば(ステップS101でYES)、ステップS102で、MFP100に待機通知を行ったのち、ステップS103で、MFPから同期情報を受信したかどうかを判断する。受信していなければ(ステップS103でNO)、受信するまで待つ。受信すると(ステップS103でYES)、ステップS104で計測を開始した後、ステップS105で計測開始とMFP100の動作開始を関連付けて記憶部122に記憶し、ステップS106で、計測を開始していることをMFP100に通知する。
【0064】
次いで、ステップS107で計測の終了かどうかを判断し、終了で無ければ(ステップS107でNO)、ステップS108で計測を継続して時間経過毎の計測値を記憶部122に記憶したのち、ステップS107に戻る。計測が終了すると(ステップS107でYES)、処理を終了する。
【0065】
図8は、携帯端末120による計測データとMFP100の動作とを同期させる方法の他の例を説明するための図である。この例では、携帯端末120からMFP100へ同期情報としての動作開始指示情報を送信し、この動作開始指示情報を基にMFP100は動作を開始し、携帯端末120は動作開始指示情報の送信を契機として計測を開始し、計測データとMFP100の動作とを同期させるように構成されている。
【0066】
画像形成動作の条件設定(ステップN01)、計測動作の要求(ステップN02)。携帯端末120からの応答(ステップN03)、MFP100から携帯端末120への機種情報の要求(ステップN04)、その回答(ステップN05)、計測アプリケーションの計測待機状態の要求(ステップN06)。計測アプリケーションの計測待機の通知(ステップN07)までは、
図6に示した実施形態と同一の手順であるため、同一のステップ番号を付し、説明は省略する。
【0067】
その後、MFP100は、画像形成動作条件を携帯端末120に通知するとともに、自身が待機状態であることを通知する(ステップN28)。画像形成動作条件等を受信した携帯端末120は、受信したことをMFP100に応答すると共に、それらの条件を記憶したりセンターの管理装置へ送信したり、あるいは表示等を行うために必要な初期設定を実施する(ステップN29)。MFP100は、自身の画像形成動作と携帯端末120による計測とを連動して開始することを操作パネル111に表示して操作者に知らせる(ステップN30)。
【0068】
これら一連のやり取りにより、携帯端末120はMFP100が動作可能であると判断すると、画像形成動作の開始指示情報をMFP100に送信する(ステップN31)。この開始指示情報を受信したMFP100は画像形成動作を開始する一方、携帯端末120は開始指示情報の送信を契機として計測を開始する。MFP100からは動作が開始されていることが携帯端末120へ通知される(ステップN32)。
【0069】
このような処理により、携帯端末120において、
図8の下側の図に示すように、計測の開始とMFP100の画像形成動作の開始が同期する結果、MFP100の各部が時間の経過に応じて
図8の上側の図に示すように動作しても、計測データとMFP100の動作とを同期した状態で把握することができる。
【0070】
図9は、
図8で説明したような携帯端末120からMFP100に送信される、同期情報としての画像形成動作の開始指示情報に基づいて、携帯端末120による計測データとMFP100の画像形成動作を同期させる場合の、MFP100の処理を説明するためのフローチャートである。
【0071】
同期処理を行うサブルーチンが呼び出されると、ステップS140で計測のための画像形成動作の要求の有無を確認する。要求が無ければ(ステップS140でNO)、リターンする。要求があれば(ステップS140でYES)、ステップS141で、画像形成動作が待機状態であることを操作者に知らせるメッセージを操作パネル111に表示する。
【0072】
ステップS142で、携帯端末120からの画像形成動作の開始指示情報を受信したかどうか確認する。受信していなければ(ステップS142でNO)、リターンする。受信していると(ステップS142でYES)、ステップS143で画像形成動作を開始し、動作中であることを携帯端末120に通知する。次いでステップS144で、携帯端末120が画像形成動作と同期して計測を実施していることを示すフラグをセットする。
【0073】
図10は、
図8で説明したような携帯端末120からMFP100に送信される、同期情報としての画像形成動作の開始指示情報に基づいて、計測データとMFP100の動作を同期させる処理を行う場合の、携帯端末120の処理を説明するためのフローチャートである。この処理は携帯端末120のシステムCPU121が記憶部122等に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0074】
ステップS111で、MFP100から待機通知があるかどうかを調べ、なければ(ステップS111でNO)、処理を終了する。あれば(ステップS111でYES)、ステップS112で、MFP100に動作開始指示情報を送信したのち、ステップS113で、計測を開始し、次いでステップS114で、計測開始とMFP100の動作開始を関連付けて記憶部122に記憶する。
【0075】
次に、ステップS115で計測の終了かどうかを判断し、終了で無ければ(ステップS115でNO)、ステップS116で計測を継続したのち、ステップS115に戻る。計測が終了すると(ステップS115でYES)、処理を終了する。
【0076】
図11は、携帯端末120による計測データとMFP100の動作とを同期させる方法のさらに他の例を説明するための図である。この例では、MFP100の動作開始と同期させるのではなく、MFP100の動作開始から予め設定された時間毎にMFP100から送られる予め設定された動作部品の動作状態を示す情報を同期情報とし、携帯端末120は同期情報を受け取る毎に、動作部品の動作と計測データを関連付けて同期させるようになっている。
【0077】
図11の例では、予め設定された動作部品として、駆動モーター、給紙クラッチ、給紙センサ、タイミングクラッチ、タイミングセンサ等が例示されている。
【0078】
図5及び
図8で示した例と同様に、画像形成動作前に、携帯端末120との計測動作要求/機種情報/アプリケーション待機指示/動作条件通知等のやり取りの処理を行った後に、画像形成動作開始時には携帯端末120との同期は行わず、画像形成動作開始後、予め設定した所定時間間隔△t毎に、MFP100から携帯端末120へ、各動作部品のON/OFF状態など動作状態を示す情報を同期情報として送信する(
図11のステップN41~N47)。
【0079】
携帯端末120側では、受診した動作状態の情報をその時点の計測データと関連付ける。このような同期処理を△t毎に行うことで、一連の計測データが画像形成動作の動作状態と関連付できるため、同期がとれた状態になる。なお、関連付けは、△t毎の同期情報を受信するたびに行っても良いし、一部のみを実施しておき、その同期状態を基に、それ以前の計測データあるいはそれ以降の計測データと動作状態との関連付を△tを基準に携帯端末120側で爾後的に実施しても良い。なお、少なくとも異音部分の画像形成動作を含む所定の期間は計測を行っていることを前提とする。
【0080】
図11で説明したように、MFP100が動作部品の動作状態を示す情報を携帯端末120に送信する場合のデータ構成を
図12に示す。
【0081】
前述したように、計測対象の画像形成モードに応じて予め選択された対象の動作部品に対して、各時刻t0/t1/t2・・・毎に、ON/OFF状態をデータ化するとともに、MFP100のシステムコントローラ101が順次通信プロトコルで規定したデータ化を行い、携帯端末120へ送信する。なお、動作部品によっては、ON/OFFでなくアナログ値などの場合もあるが、その場合は複数ビットのデジタル変換値で規定し、送信するものとする。ここでのデータ化方法は、
図11で示した逐次同期方法のみでなく、画像形成動作の開始時に同期し、画像形成動作のある時点で動作部品の動作状態を示す情報を時系列的に一括して送信する場合も同様である。
【0082】
図13は、
図11で説明したようなMFP100から携帯端末120に送信される、同期情報としての複数の動作部品の動作状態を示す情報に基づいて、携帯端末120による計測データとMFP100の画像形成動作を同期させる場合の、MFP100の処理を説明するためのフローチャートである。
【0083】
ステップS150で携帯端末120による計測動作中か否かを調べ、計測動作中でなければ(ステップS150でNO)、リターンする。計測動作中であれば(ステップS150でYES)、ステップS151で、前回送信から所定時間△tが経過したかどうか判断する。経過していなければ(ステップS151でNO)、リターンする。経過していれば(ステップS151でYES)、ステップS152で、計測モード(画像形成動作モード)に応じて予め選定した動作部品の動作状態を読み込み、ステップS153で携帯端末120へ送信するためのデータセットを行う。セットされたデータはその後に携帯端末120に送信される。
【0084】
図14は、
図11で説明したようなMFP100から携帯端末120に送信される、同期情報としての複数の動作部品の動作状態を示す情報に基づいて、携帯端末120による計測データとMFP100の画像形成動作を同期させる場合の、携帯端末120の処理を説明するためのフローチャートである。この処理は携帯端末120のシステムCPU121が記憶部122等に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0085】
ステップS121で計測を開始した後、ステップS122で、MFP100から動作部品の動作状態を示す情報を受信したかどうかを判断する。受信していなければ(ステップS122でNO)、ステップS125で予め設定された所定時間が経過したかどうかを調べ、所定時間が経過していなければ(ステップS125でNO)、ステップS122に戻る。所定時間が経過していれば(ステップS125でYES)、処理を終了する。
【0086】
ステップS122で、動作部品の動作状態を示す情報を受信していれば(ステップS122でYES)、ステップS123で、受信した情報を計測データと関連付けて記憶したのち、ステップS124で計測終了かどうかを判断する。終了で無ければ(ステップS124でNO)、ステップS125で計測を継続したのち、ステップS122に戻る。計測が終了すると(ステップS124でYES)、処理を終了する。
【0087】
図15は、
図11で説明した例において、動作状態についての情報を携帯端末120に送信する対象となる動作部品の選定方法を説明するための表である。
【0088】
画像形成動作モード毎に、対象となる動作部品のグループが予め設定されており、異音の発生状況に応じ、何等かの方法でその画像形成動作モードが選択されると、画像形成動作モードに応じた対象動作部品のグループを
図15の表の中から抽出し、それらの動作部品について情報を送信することになる。対象となる動作部品のリストは、MFP100の記憶装置106に予め保存されている場合もあれば、計測を行う画像形成動作前にセンターの管理装置における故障診断用のデータベースから検索する場合もある。
【0089】
図16は、携帯端末120による計測データとMFP100の動作とを同期させる方法のさらに他の例を説明するための図である。この例では、
図11で説明した動作部品の動作状態を一定時間毎に逐次送信する方法と異なり、画像形成動作の開始情報のように、同期基準として判定できる動作部品の少なくとも1つまたは複数が、画像形成モード毎に予め設定されており、それらの動作部品の動作の変化を一義的に把握できる動作状態を携帯端末120に送信することで、同期の基準となる同期情報として取り扱うものである。ここでは、メインモーターの動作開始タイミングと最初の給紙クラッチの動作タイミングを携帯端末120の計測データと同期させることで、以降の時間変化においても同期を可能としている。
【0090】
画像形成動作の条件設定(ステップN01)、計測動作の要求(ステップN02)。携帯端末120からの応答(ステップN03)、MFP100から携帯端末120への機種情報の要求(ステップN04)、その回答(ステップN05)、計測アプリケーションの計測待機状態の要求(ステップN06)。計測アプリケーションの計測待機の通知(ステップN07)までは、
図5に示した実施形態と同一の手順であるため、同一のステップ番号を付し、説明は省略する。
【0091】
その後、MFP100は、画像形成動作条件を携帯端末120に通知するとともに、自身が待機状態であることを通知する(ステップN58)。画像形成動作条件等を受信した携帯端末120は、受信したことをMFP100に応答すると共に、それらの条件を記憶したりセンターの管理装置140へ送信したり、あるいは表示等を行うために必要な初期設定を実施したのち(ステップN59)、計測を開始する。
【0092】
計測後、MFP100は
図16の上側の図に示すように、メインモータが起動するとメインモーターの動作開始タイミングを同期情報として携帯端末120に送信し(ステップN60)、最初の給紙クラッチの動作タイミングを同期情報として携帯端末120に送信する(ステップN61)。
【0093】
携帯端末120は、受信したメインモータの動作開始タイミングや最初の給紙クラッチの動作タイミング等を、計測データの時間変化の中で関連付けて、同期させる。
【0094】
このような処理により、
図16の下側の図に示すように、計測データの以降の時間変化の同期が可能となる。メインモーターは画像形成中は常時回転しているため、回転開始タイミングや最初の給紙クラッチなどは、その画像形成動作の時間基準とできるものであり、以降の計測動作と画像形成動作の時間変化を関連付けることが可能になる。
【0095】
図17に、携帯端末120により得られる計測データと、MFP120の動作部品の動作状態との関連付方法の一例を示す。
【0096】
計測データの音量データ数値やFFT処理等による周波数毎の計測レベル等と、MFP100より送信された各動作部品の時間毎の動作状態とを、時間(t1、t2、・・・t2)をパラメータにして関連付ける。このように関連付けて取り扱うことにより、計測データと動作部品の動作状態を例えば表示したとき等に、計測データの時間変化とMFP100の動作状態とを容易に判断できることになる。
【0097】
図18に、関連付けた計測データとMFP120の動作部品の動作状態の取り扱いの一例を示す。
【0098】
同図(A)では、
図17で説明したように、携帯端末120の記憶部122に、計測データとMFP120側の動作状態とを関連付けて記憶することで、計測後も計測データが画像形成動作のどのような状態での結果であるかが容易に判断できることになる。
【0099】
同図(B)では、携帯端末120で関連付けた計測データと画像形成動作モード情報と対象の動作部品の状態の情報をセンターの管理装置140に送信し、センターの管理装置140側で故障解析やデータベースとして保管管理し、あるいは表示する。管理装置140はパーソナルコンピュータによって構成されている。
【0100】
同図(C)では、携帯端末120の表示部124の画面上に、計測データと動作部品の動作状態を関連付けて表示している。
【0101】
図19に、携帯端末120により得られる計測データと、MFP120の動作部品の動作状態との関連付方法の他の例を示す。
【0102】
計測データの音量データ数値やFFT処理等による周波数毎の計測レベル等と、MFP100より送信された各動作部品の時間毎の動作状態とを、「計測結果DATA_S1」と「計測結果DATA_Tm1」という別々のデータ群としてそれぞれ所定の時間単位(t1、t2、・・・t2)で取扱い、これらのデータ群の関連付と同期基準となる基準時刻(t0)の関連付を別途行うことにより、一連の計測データと動作部品の動作状態を関連付ける。この場合、前述の同期基準の時刻(t0)に基づき、その後の取り扱い時に、再度時刻毎の関連付の処理を実施して、センターの管理装置140での取り扱いや表示の処理を行うものとしても良い。
【0103】
なお、センターの管理装置140への送信時などは、画像形成動作モードや対象のMFP100の識別情報など、計測データや動作部品情報以外に必要な一連の関連情報も同時に送信することを前提としている。
【0104】
図20に、携帯端末120により得られる計測データと、MFP120の動作部品の動作状態を、時間変化に応じて表示する方法の一例を示す。
【0105】
図20では、画面内の上部に計測データである音の時間変化をグラフで表示し、その同一の時間軸に、MFP100の動作部品の動作状態を予め決められたON/OFF表示方法により、表示している。このように表示することによって、破線丸印で示す異音と判断される異常箇所において、動作部品の状態から判断し、例えば用紙がガイド位置に突入しているタイミングであることが判断でき、その時の異音であることが容易に判断できる。なお、表示方法は一例であり、携帯端末120の画面条件やアプリケーションの工夫等により、見やすい画面構成で表示したり操作性の良い状態で表示することも可能となる。
【0106】
図21に、携帯端末120により得られる計測データと、MFP120の動作部品の動作状態を、時間変化に応じて表示する方法の他の例を示す。
【0107】
図21では、計測データの時間変化のみ表示し、破線丸印で示す異音と判断される異常箇所において画面部をタッチ等で指示する。携帯端末120は画面上のタッチ入力の座標から、計測データのどの時点を指示しているかを判定可能であるため、その時点の計測データに関連付けられた動作部品の動作状態の情報をポップアップ画面等で表示している。これにより、操作者は見やすい画面構成で動作部品の動作状態を判断できるから、例えば用紙がガイド位置に突入しているタイミングであること等を判断でき、その時の異音であることを容易に判断できる。
【0108】
図22に、MFP100の動作部品の動作状態に追加して、画像形成動作の信号状態、例えば用紙の位置情報や機構部の動作を算出するための算出式をも関連付けて取り扱う場合の一例を示す。
【0109】
図22では、用紙位置の算出式が関連付けられている場合を示す。算出式に用いられる、MFP100の用紙搬送経路長、用紙搬送速度等のパラメータは、事前に設定されている設定値である。計測が行われる画像形成モードでの用紙サイズ長や、各動作部品の動作状態(ON/OFFの変化状態の時刻など)から、用紙位置は予め決められた算出式で算出可能であり、MFP100はそれらを画像形成モード毎に関連付けて記憶しておく。
【0110】
そして、携帯端末120による計測時に、MFP100は算出式に用いる設定値と算出式を携帯端末120に送信し、MFP100から各動作部品の動作状態についての情報が送信されてくる度に、携帯端末120は算出式を用いて用紙先端位置を算出し、計測データ、各動作部品の動作状態と関連付けて記憶する。
【0111】
なお、携帯端末120から、動作部品の動作状態を示す情報や用紙算出式等の情報を、センターの管理装置140に送信し、センターの管理装置140で用紙位置などの動作進行状態を算出し、動作部品の動作状態等と関連付けて、携帯端末120に返送する方法なども可能であり、この場合は携帯端末120の処理負担を減らすこともできる。
【0112】
なお、
図22の例では、用紙位置について記載したが、MFP100においては例えば、画像読み取り部の読み取り位置や後処理装置のステープル位置など特定の機構部の動作の時間変化を算出し、異音箇所の特定を容易にするなど、同様な方法で可能である。
【0113】
図23に、計測データとMFP100の動作部品の動作状態に追加して、用紙位置情報や機構部の動作状態を表示する方法の一例を示す。
【0114】
計測データの時間軸でのグラフに対して、動作部品の動作状態をグラフで示すとともに、用紙の先端位置や後端位置の時間変化をグラフにて示している。なお、図示していないが、用紙位置を判断できるMFP100のローラー位置等のレイアウトの情報も表示しても良く、用紙位置のグラフから用紙位置を判断できる。これにより、破線丸印で示す異音と判断される異常箇所で、用紙先端および後端がMFP100上のどの位置にあるか容易に判断でき、用紙が例えばガイドに突入している要因であることが容易に判断できる。なお、用紙位置の表示方法は、携帯端末120の画面条件やアプリケーションの工夫等により、見やすい画面構成で表示したり動画等で表示することも可能である。
【0115】
図24は、計測データと動作部品の動作状態との関連付に基づいて、故障要因を判定し表示する方法の一例を示す図である。
【0116】
同図(A)に示すように、携帯端末120は、関連付けた計測データと動作手段の動作状態を、センターの管理装置140に送信する。センターの管理装置140側では、各種の故障要因を特定するための判断基準となる音データのデータベースと接続されており、それらのデータベースから故障要因毎の音データを検索等により抽出可能となっている。センターの管理装置140側では、携帯端末120から送信された計測データ、画像形成動作モード、MFP100の情報、動作部品等の各種の情報から、候補となる故障要因のデータをデータベースより抽出するとともに、動作部品の動作状態の時間変化を基に、計測データである音データと、抽出した候補データを同期をとって比較することで、計測データとデータベースの音データとの差異により、異音箇所の時間軸での絞り込みとデータベースからの故障要因を判定し、携帯端末120から送信された計測データに、さらに異音判定時刻とその故障要因を関連付けて、携帯端末120へ返信する。これにより、携帯端末120側で、計測データに対する異音データとその要因特定とが関連付けができることになる。
図24(B)の例では、t4における異音データと故障要因1とが関連付けられている。
【0117】
このような関連付けにより、計測データと動作部品の動作状態とを携帯端末120の表示部124に表示させたときに、
図25に示すように、計測データにおける破線丸印で示す異常箇所における異音の要因が故障要因1であることが、計測データの表示と同時に画面上に表示され、故障箇所の特定を容易にしている。
【0118】
このように、この実施形態によれば、被診断装置であるMFP100の所定の動作状態を示す同期情報に基づいて、携帯端末120の計測部126により得られた計測データがMFP100の動作と時間的に同期した状態で取り扱われるから、操作者は、故障による異常音や異常振動等がどの動作状態の時に発生しているかを容易に特定し把握することができる。
【0119】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されることはない。例えば、携帯端末120による計測対象がMFP100の動作時の音である場合について説明したが、振動やその他の計測対象を計測する構成であっても良い。
【0120】
また、異常診断用装置が携帯端末120である場合を説明したが、MFP等の被診断装置が異常診断用装置の構成を備えていても良い。
【符号の説明】
【0121】
100 被診断装置(画像形成装置)
101 システムコントローラ
103 通信部
111 操作パネル
120 異常診断用装置(携帯端末装置)
121 CPU
122 記憶部
123 通信部
124 表示部
126 計測部