(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】車両のインストルメントパネルの構造
(51)【国際特許分類】
B60K 37/00 20060101AFI20220105BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B60K37/00 C
B60K37/00 Z
B60R11/02 C
(21)【出願番号】P 2017250527
(22)【出願日】2017-12-27
【審査請求日】2020-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100090103
【氏名又は名称】本多 章悟
(72)【発明者】
【氏名】高島 寿夫
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 洋二
【審査官】二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-335150(JP,A)
【文献】特開2008-221972(JP,A)
【文献】特開2014-177149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者に情報を表示するための表示部を有する表示装置と、
前記表示部の周りを装飾する化粧パネルと、を備える車両インストルメントパネルの構造であって、
前記化粧パネルは、前記表示部の周囲を囲んで当該表示部に固定される枠状の第1パネルと、前記第1パネルの下方側に隣接して配置される第2パネルと、を含み、
前記第2パネルは、前記表示部の下端部を保持することで前記表示部に対する前記第2パネルの上下方向での相対位置を規制する保持部を有
し、
前記表示部の前記下端部には、車両前方側へ突出するフランジ部が幅方向に延設され、
前記第2パネルの上端部は、車両前方側へ延設するとともに当該車両前方側の端部に前記保持部が設けられ、
前記保持部は、前記フランジ部を上下で挟持する
ことを特徴とする車両のインストルメントパネルの構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両のインストルメントパネルの構造であって、
前記フランジ部の車幅方向の両端は、上方に延びる延長部を備え、
前記保持部は、前記フランジ部の車幅方向の両端部の位置に設けられることを特徴とする車両のインストルメントパネルの構造
。
【請求項3】
請求項
1または2に記載の車両のインストルメントパネルの構造において、
前記第1パネルは、車両前方に突出する突出部を備え、
前記第2パネルの上端部は、前記突出部が嵌合する嵌合部が設けられることを特徴とする車両のインストルメントパネルの構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のインストルメントパネルの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に、運転者に地図などの情報を表示するカーナビゲーションシステム等の表示装置を搭載した構成が知られている。
かかる構成の車両においては、内装のデザイン性に合わせて表示装置の周囲を覆うパネル状部材を用いることが多い(特許文献1、2等参照)。
しかしながら、このような構成においては、それぞれの部品の公差を調整するために、表示装置とパネル部分との間に隙間を設ける必要があり、デザイン上の制約になるとともに、隙間部分の見栄えの問題が生じてしまっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-215747号公報
【文献】特開2009-269505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような課題に基づきなされたものであり、パネルと表示装置との間の空隙を抑制するとともに、デザインの自由度が向上する車両のインストルメントパネルの構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明にかかる車両のインストルメントパネルの構造は、運転者に情報を表示するための表示部を有する表示装置と、前記表示部の周りを装飾する化粧パネルと、を備える車両インストルメントパネルの構造であって、前記化粧パネルは、前記表示部の周囲を囲んで当該表示部に固定される枠状の第1パネルと、前記第1パネルの下方側に隣接して配置される第2パネルと、を含み、前記第2パネルは、前記表示部の下端部を保持することで前記表示部に対する前記第2パネルの上下方向での相対位置を規制する保持部を有し、前記表示部の前記下端部には、車両前方側へ突出するフランジ部が幅方向に延設され、前記第2パネルの上端部は、車両前方側へ延設するとともに当該車両前方側の端部に前記保持部が設けられ、前記保持部は、前記フランジ部を上下で挟持する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の締結構造によれば、パネルと表示装置との間の空隙を抑制するとともに、デザインの自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態としての車両の内装の一部を示す図である。
【
図2】
図1に示したカーナビの取り付け部分の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図1に示したカーナビの表示部を含む構成の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態にかかる固定構造の構成の例を示す図である。
【
図5】
図1に示したシフトパネルの構成の一例を示した図である。
【
図6】
図4に示した保持部の構成の一例を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態として、表示装置としての機能を有するカーナビ50を備えた車両100について説明する。
車両100は、
図1に示すように、車両100の車幅方向の中央部に取り付けられ、車両100の現在位置などを表示するカーナビゲーションシステムたるカーナビ50と、カーナビ50の周囲を取り囲むように配置された第1パネルたるナビパネル20と、を有している。
車両100はまた、ナビパネル20の下方に配置され、ナビパネル20と嵌り合うように形成された第2パネルたるシフトパネル10を有している。ナビパネル20と、シフトパネル10とは、組み合わされた状態で車両100のインストルメントパネルの一部を構成する。かかるインストルメントパネルは、車両100に設けられた表示装置としてのカーナビ50の周りを装飾するための化粧パネルを構成する。
車両100はまた、
図2に示すように、カーナビ50を取り付けるため車両外装方向すなわちA方向へ挿入する際のガイドとして機能する支持部材60を有している。
支持部材60は、後述する固定状態において、カーナビ50と車両100の車体とのズレを調整するため、カーナビ50の本体部51を固定する。
【0009】
カーナビ50は、
図3に示すように、運転者に車両100の現在位置や進路などを表示するための表示装置であり、現在位置や進路の算出を行うための本体部51と、運転者に各種情報を表示するための表示部52と、を有している。
カーナビ50はまた、表示部52の裏面側であって、フランジ部53と本体部51との間に形成された梁部54を有している。
【0010】
表示部52は、本実施形態では本体部51の端部に取り付けられて、周囲にフランジ部53が形成された板状のディスプレイである。フランジ部53は、少なくとも表示部52の裏側の面の下端に、車両100の前方に突出するように幅方向に沿って設けられ、表示部52の車幅方向の端部から上方に延びる延長部53aを備えている。
本体部51は、左右を支持部材60に両側から挟まれる態様で
図2に示すA方向に挿入され、車両100の内装と外装の間に嵌り込むように配置される。
すなわち、表示部52は運転者に向けられるように車両100後方に向かって、本体部51は車両100前方に向かって配置されている。
本体部51は、支持部材60によって支持される。さらに支持部材60は、第1固定座面61aと、第2固定座面61bとを有しており、第1固定座面61aと、第2固定座面61bは、図示しないデッキクロス等の車両100の車体の剛性の高い部分に固定される。
【0011】
梁部54は、表示部52の裏面側すなわち外装側に形成され、表示部52の剛性を向上させるために形成された幾何学形状の梁である。
なお、本実施形態では、表示部52と本体部51とをカーナビ50として一体に形成された態様で記載するが、かかる構成に限定されるものではなく、例えば表示部52と本体部51とが別々に保持されても良い。
また、特に剛性の向上が不要な場合には、梁部54を省略しても良い。
【0012】
ナビパネル20は、
図4に左右方向から見た断面図を示すように、表示部52を囲繞して形成された枠体部21と、枠体部21から車両100の外装側に向かって、すなわち本実施形態では車両前方に突出して形成された突出部22と、を有している。
【0013】
突出部22は、本実施形態では、枠体部21の下方側に設けられており、ナビパネル20とカーナビ50とがシフトパネル10に組み付けられた固定状態において、突出部22の上側面22aが表示部52と当接して支持する。
【0014】
シフトパネル10は、ナビパネル20の取り付け位置を決定するための基準となる基準部材である。
シフトパネル10は、車両100の内装部分となる表面部11と、固定状態においてナビパネル20と当接して支持する基準面12と、突出部22が嵌り合うための嵌合部13と、フランジ部53を保持する保持部14と、を有している。
【0015】
表面部11には、例えば車両100の操作を行うためのシフトレバーが挿通される。
基準面12は、ナビパネル20の下方を支持するように、車両100の外装側すなわち前方に向かって形成されている。
嵌合部13は、
図4に示した固定状態においてナビパネル20の突出部22が嵌り込むように穴状に形成されている。本実施形態では、かかる嵌り込む被挿入側を穴状に形成したため、嵌合部は穴状であるが、かかる形状に限定されるものではなく、嵌合部13は、ナビパネル20の突出部22の少なくとも一部が嵌り込むように形成されていればよい。
【0016】
保持部14は、固定状態において、フランジ部53の下方を支持するように形成された基部14aと、基部14aから屈曲してフランジ部53を保持するように鉤状に形成された屈曲部14bと、屈曲部14bから基部14aと対向して延びた折り返し部14cと、を有する。すなわち保持部14は、第2パネルたるシフトパネル10の上端部にあって、表示部52よりも車両100の前方に延設された位置に形成される。
保持部14は、
図5、
図6に示すように、本実施形態では、カーナビ50の左右方向の両端部分に設けられている。なお、
図4に破線部で示した部分の拡大図が
図5である。
【0017】
かかる構成により、保持部14は、固定状態において、フランジ部53の下方向への移動を基部14aによって支持するとともに、折り返し部14cによってフランジ部53の上部を抑えることでフランジ部53を挟持する。かかる構成により保持部14は表示部52の上下方向への移動を規制する。同様に、保持部14は屈曲部14bによってフランジ部53を抑えて、後退方向たる車両100の外装方向すなわち車両前方側への移動を制限する。
このとき、基部14aは、突出部22の上面側とともに表示部52の下側を支持するため、基部14aと突出部22の上面とは同一の延長線上にあることがより望ましい。
【0018】
さて、このようなカーナビ50を位置決めして保持する際には、従来、本体部51の位置を基準として、周囲を取り囲むようにナビパネル20を形成することが一般的であった。
しかしながら、当然のことながら、カーナビ50やナビパネル20には公差が生じる。そのため、かかる取り付け方法では、ナビパネル20と、車両100のその他の内装との間で微小な位置のずれが生じるおそれがある。
一方、位置ずれを調整するために、ナビパネル20とカーナビ50とを互いに微調整可能なようにする構成も考えられるが、かかる構成ではナビパネル20とカーナビ50との間に、調整のための間隙を設けざるを得ないため、デザイン性の制約が大きい。
【0019】
本実施形態では、かかる問題点を解決するべく、ナビパネル20は、基準部材たるシフトパネル10と固定され、シフトパネル10の位置を基準として取り付け位置を決定する。
具体的には、固定状態において、表示部52が前後方向を保持部14と、ナビパネル20の枠体部21とによって位置決めされ、下部を突出部22と基部14aとによって支持されることによって、カーナビ50の設置位置が決められて支持される。
すなわち、本実施形態においては、シフトパネル10を基準部材として、カーナビ50と、ナビパネル20の位置が決定され、シフトパネル10とカーナビ50とナビパネル20とが一組の固定構造として機能する。
かかる構成により、表示部52とナビパネル20との間の空隙を抑制するとともに、デザインの自由度が向上する。
【0020】
本実施形態では、車両100の化粧パネルは、表示部52の周囲を囲んで当該表示部52に固定される枠状のナビパネル20と、ナビパネル20の下方側に隣接して配置されるシフトパネル10とを含んで構成されている。
【0021】
また本実施形態では、シフトパネル10は、表示部52の下端部を保持することで表示部52に対するシフトパネル10の上下方向での相対位置を規制する保持部14を有している。
かかる構成により、上下方向に表示部52とナビパネル20との間の空隙を抑制するとともに、デザインの自由度が向上する。
また、本実施形態では、表示部52の下端部には車両前方側に向かって突出するように形成されたフランジ部53が幅方向に延設され、シフトパネル10の上端部には、車両前方側へ延設するとともに当該車両前方側の端部に保持部14が設けられている。
保持部14は、フランジ部53を上下で狭持する。
かかる構成により、上下方向に表示部52とナビパネル20との間の空隙を抑制するとともに、デザインの自由度が向上する。
また、本実施形態では、フランジ部53の車幅方向の両端は、上方に延びる延長部53aを備え、保持部14は、フランジ部53の車幅方向の両端部の位置に形成されている。
かかる構成により、車幅方向に延びるフランジ部53と、上方に延びる延長部53aとの交点付近の最も剛性が確保できる両端において、フランジ部53が保持部14に挟持されるから、カーナビ50側のフランジ部53の中央部に発生する反りや返りによる干渉を低減できる。
すなわち、かかる構成により、表示部52とナビパネル20との間の空隙を抑制するとともに、デザインの自由度が向上する。
【0022】
また、本実施形態では、シフトパネル10は、ナビパネル20の突出部22が嵌り合う嵌合部13を有している。
かかる構成により、ナビパネル20とシフトパネル10とを組み付ける部分に必要なスペースを抑制して、よりナビパネル20の枠体部21の幅を狭小化することができるようになるから、表示部52とナビパネル20との間の空隙を抑制するとともに、デザインの自由度が向上する。
【0023】
また、本実施形態では、シフトパネル10は、嵌合部13と嵌り合う突出部22を有している。
突出部22は、表示部52と当接して、表示部52をナビパネル20とともに保持する。
かかる構成により、表示部52の下方向から支持して位置決めを行うため、上側方向がフリーとなり、表示部52とナビパネル20との間の空隙を抑制するとともに、デザインの自由度がさらに向上する。
【0024】
また、本実施形態では、突出部22の上面と、基部14aとが延長線上になるように設定される。
かかる構成により、表示部52が下方向において突出部22の上面と基部14aとによって位置決めされる。
【0025】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0026】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0027】
10…第2パネル(シフトパネル)、11…表面部、12…基準面、13…嵌合部、14…保持部、20…第1パネル(ナビパネル)、21…枠体部、22…突出部、
50…カーナビ、51…本体部、52…表示部、53フランジ部