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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】乗物用コンソールボックス
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20220105BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
B60R7/04 C
F16B5/10 K
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018015617
(22)【出願日】2018-01-31
(65)【公開番号】P2019131074
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 巌
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04998770(US,A)
【文献】特開2006-111036(JP,A)
【文献】特開2008-001213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
F16B 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物に搭載される乗物用コンソールボックスにおいて、
物品が収納される収納部が設けられたボックス本体と、
前記収納部の開口部を開閉する蓋体であって、当該開口部が閉じられたときに前記収納部側に位置する下蓋、及び当該開口部が閉じられたときに前記下蓋を挟んで前記収納部と反対側に位置する上蓋を有して構成された蓋体と、
前記上蓋と前記下蓋とを結合する係合機構であって、前記上蓋及び前記下蓋のうちいずれか一方の蓋に設けられた係合部が他方の蓋に設けられた被係合部とが引っ掛かるように係合する係合機構とを備え、
前記係合部は、前記被係合部と係合した第1位置と当該被係合部から離間可能な第2位置との間で変位可能であり、
さらに、前記係合部が前記第1位置から前記第2位置側に変位することを規制する規制部を備え
前記蓋体は、前記ボックス本体に対して揺動可能に連結されており、
さらに、前記規制部は、前記蓋体が前記ボックス本体に対して起立状態となったときに前記蓋体における当該ボックス本体と対向する側の面に、前記下蓋と前記上蓋とを貫通して設けられるネジであり、
前記ネジは、前記ネジの先端部が前記下蓋と前記上蓋との間に挟まるように設けられている乗物用コンソールボックス。
【請求項2】
前記係合部の先端側には、前記被係合部側に向けて突出した突起部が設けられ、
前記被係合部には、前記突起部と反対向きに突出した突起部が設けられている請求項1に記載の乗物用コンソールボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗物に搭載される乗物用コンソールボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用コンソールボックスは、例えば、特許文献1に記載されているように、ボックス本体、及び当該ボックス本体の開口部を開閉するボックスドア等の蓋体を有して構成されている。
【0003】
当該蓋体は、アウタパネル及びインナパネル等を有して構成されている。インナパネルは、アウタパネルに設けられた複数の係合孔に係合可能な複数の係合爪を有しているとともに、それらの係合爪を介してアウタパネルに係合固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5911708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明では、係合爪と係合孔と係合が外れると、インナパネルがアウタパネルから外れてしまう。本願は、当該点が考慮された乗物用コンソールボックスの一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
乗物用コンソールボックスは、物品が収納される収納部(2A)が設けられたボックス本体(2)と、収納部(2A)の開口部を開閉する蓋体(3)であって、当該開口部が閉じられたときに収納部(2A)側に位置する下蓋(6)、及び当該開口部が閉じられたときに下蓋(6)を挟んで収納部(2A)と反対側に位置する上蓋(5)を有して構成された蓋体(3)とを備えている。
【0007】
そして、当該乗物用コンソールボックスは、例えば、上蓋(5)及び下蓋(6)のうちいずれか一方の蓋(6)に設けられた係合部(8)が他方の蓋(5)に設けられた被係合部(9)とが引っ掛かるように係合する係合機構(7)を備え、かつ、係合部(8)は、被係合部(9)と係合した第1位置と当該被係合部(9)から離間可能な第2位置との間で変位可能であり、さらに、係合部(8)が第1位置から第2位置側に変位することを規制する規制部(11)を備えることが望ましい。
【0008】
これにより、当該乗物用コンソールボックスでは、下蓋(6)が上蓋(5)に対して第2位置まで相対変位し、かつ、規制部(11)による規制が解除されたときに、下蓋(6)が上蓋(5)から外れる。つまり、当該乗物用コンソールボックスに係る蓋体(3)では、係合部(8)と被係合部(9)との係合が外れたのみでは、下蓋(6)が上蓋(5)から外れない。
【0009】
なお、当該乗物用コンソールボックスは、以下の構成であってもよい。
蓋体(3)は、ボックス本体(2)に対して揺動可能に連結されており、さらに、規制部(11)は、蓋体(3)がボックス本体(2)に対して起立状態となったときに当該ボックス本体(2)と対向する位置に設けられていることが望ましい。
【0010】
これにより、当該乗物用コンソールボックスでは、蓋体(3)により収納部の開口部が閉塞されているとき、当該乗物用コンソールボックスの利用者から見て、規制部(11)が視認し難い部位に位置する。延いては、当該乗物用コンソールボックスの意匠性が損なわれることが抑制される。
【0011】
さらに、係合部(8)の先端側には、被係合部(9)側に向けて突出した突起部(8A)が設けられ、被係合部(9)には、突起部(8A)と反対向きに突出した突起部(9A)が設けられていることが望ましい。これにより、係合部(8)と被係合部(9)との係合が強固になり得る。
【0012】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるもではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る乗物用コンソールボックスを示す図である。
図2】実施形態に係る乗物用コンソールボックスの蓋体の分解図である。
図3】実施形態に係る乗物用コンソールボックスの蓋体を示す図である。
図4】実施形態に係る蓋体の分解図である。
図5】実施形態に係る係合機構を示す図である。
図6】実施形態に係る係合機構の構造を示す図である。
図7】実施形態に係る被係合部を示す図である。
図8】実施形態に係る係合部を示す図である。
図9】実施形態に係る規制部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に説明する「発明の実施形態」は、本願発明の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。なお、少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「1つの」等の断りをした場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。
【0016】
本実施形態は、車両等の乗物に搭載されるシート(以下、乗物用シートという。)に適用された例である。各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載したものである。
【0017】
したがって、本願に示された発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。各図に示された方向は、本実施形態に係る乗物用シートが車両に組み付けられた状態における方向である。
【0018】
(第1実施形態)
1.乗物用コンソールボックスの概要
図1に示される乗物用コンソールボックス(以下、コンソールボックスという。)1は、乗物用後席シートのシート幅方向中央に装着されるコンソールボックスである。当該コンソールボックス1は、ボックス本体2及び蓋体3等を少なくとも備える。
【0019】
ボックス本体2には収納部2Aが設けられている。収納部2Aは物品が収納される空間を構成する。蓋体3は、収納部2Aの開口部2Bを開閉する部材である。当該蓋体3は、ボックス本体2に対して揺動可能に当該ボックス本体2に連結されている。
【0020】
具体的には、蓋体3は、ボックス本体2に対して起立した起立状態(二点鎖線参照)と倒伏した倒伏状態(実線参照)とので揺動可能である。蓋体3が倒伏状態にあるときには、開口部2Bは閉塞された状態となる。蓋体3が起立状態にあるときには、開口部2Bは開放された状態となる。
【0021】
2.蓋体の構成
<構成の概要>
蓋体3は、図2に示されるように、表皮部4、上蓋5及び下蓋6等を少なくとも有して構成されている。下蓋6は、開口部2Bが閉じられたときに収納部2A側に位置する部材である。
【0022】
上蓋5は、開口部2Bが閉じられたときに下蓋6を挟んで収納部2Aと反対側、つまり下蓋6の上側に位置する部材である。表皮部4は、上蓋5のうち下蓋6と反対側を覆って意匠面を構成する部材である。
【0023】
上蓋5と下蓋6とは、図3に示されるように、少なくとも1つの係合機構7により結合されている。なお、本実施形態では10個の係合機構7が設けられている。各係合機構7は、図4に示されるように、係合部8及び被係合部9等を有している。
【0024】
本実施形態では、各係合部8は下蓋6に設けられ、各被係合部9は上蓋5に設けられている。なお、各係合機構7の同一構造である。以下の説明は、例えば、図3において、前方から2番目の右端側に配置された係合機構7の説明である。
【0025】
<係合機構>
係合機構7は、図5に示されるように、係合部8が被係合部9とが引っ掛かるように係合することにより、上蓋5と下蓋6とを連結する。係合部8は、被係合部9と係合した第1位置(図5参照)と被係合部9から離間可能な第2位置との間で変位可能である。本実施形態に係る第2位置は、第1位置に対してヒンジ部10(図3参照)側にずれた位置である。
【0026】
なお、ヒンジ部10は、蓋体3をボックス本体2に揺動可能に連結するものである。当該ヒンジ部10は、コンソールボックス1が乗物用シートに装着された状態において、蓋体3のシート後方側端部に位置する。
【0027】
図7に示されるように、上蓋5のうち被係合部9のヒンジ部10側、つまり被係合部9の後方側には、係合部8が着脱自在な貫通穴5Aが設けられている。係合部8は、図8に示されるように、上蓋5側に突出した鉤状又はL字状の突起部により構成されている。
【0028】
係合部8の先端側には、図6に示されるように、被係合部9側に(本実施形態では、下蓋6)に向けて突出した突起部8Aが設けられている。被係合部9には、突起部8Aと反対向きに突出した突起部9Aが設けられている。
【0029】
係合部8と被係合部9とが係合した状態では、突起部8Aと突起部9Aとが互いに引っ掛かるように係合する。なお、係合部8の先端とは、第2位置側から第1位置側に向かう向きにおいて、当該向きの先端をいう。本実施形態に係る係合部8の先端は、係合部8の前端となる。
【0030】
なお、係合部8の側端には、図8に示されるように、係合部8の側端を覆うような壁部8Bが設けられている。突起部8A、壁部8B及び係合部8は、下蓋6と共に樹脂にて一体成形された一体成形品である。
【0031】
上蓋5のうち被係合部9に隣接した部位には、図7に示されるように、貫通穴5Bが設けられている。貫通穴5Bは、壁部8Bが貫通可能な穴である。なお、被係合部9及び突起部9Aは、上蓋5と共に樹脂にて一体成形された一体成形品である。
【0032】
<規制部>
図9に示される少なくとも1本のネジ11は規制部の一例である。当該規制部、つまりネジ11は、係合部8が第1位置から第2位置側(後方側)に相対変位することを規制するものである。このため、ネジ11は、蓋体3がボックス本体2に対して起立状態となったときにボックス本体2と対向する部位に位置する。
【0033】
本実施形態に係るネジ11は、Pネジにて構成されている。当該ネジ11は、下蓋6を貫通して上蓋5に設けられた取付部11A(図4参照)に到達している。そして、下蓋6が上蓋5に組み付けられる組付作業時において、作業者又は自動組付機は、各係合部8を各貫通穴5Aに挿入した状態で、下蓋6を上蓋5に対して相対的に前方側に変位させた後、取付部11Aにネジ11を締め込む。
【0034】
3.本実施形態に係るコンソールボックスの特徴
コンソールボックス1の蓋体3は上蓋5及び下蓋6を有している。上蓋5と下蓋6とは、係合部8が被係合部9に係合することにより結合されている。そして、係合部8は、被係合部9と係合した第1位置と当該被係合部9から離間可能な第2位置との間で変位可能である。規制部をなすネジ11は、係合部8が第1位置から第2位置側に相対変位することを規制する。
【0035】
これにより、コンソールボックス1では、下蓋6が上蓋5に対して第2位置まで変位し、かつ、ネジ11による規制が解除されたときに、下蓋6が上蓋5から外れる。つまり、当該コンソールボックス1に係る蓋体3では、係合部8と被係合部9との係合が外れたのみでは、下蓋6が上蓋5から外れない。
【0036】
蓋体3は、ボックス本体2に対して揺動可能に連結されている。ネジ11は、蓋体3がボックス本体2に対して起立状態となったときにボックス本体2と対向する位置に設けられている。
【0037】
これにより、コンソールボックス1では、蓋体3により収納部の開口部2Bが閉塞されているとき、当該コンソールボックス1の利用者から見て、ネジ11が視認し難い部位に位置する。延いては、コンソールボックス1の意匠性が損なわれることが抑制される。
【0038】
さらに、係合部8の先端側には、被係合部9側に向けて突出した突起部8Aが設けられ、被係合部9には、突起部8Aと反対向きに突出した突起部9Aが設けられている。これにより、係合部8と被係合部9との係合が強固になり得る。
【0039】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、係合部8が第2位置側に変位することを規制する規制部としてネジ11が用いられていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、規制部として、例えば、スナップフィット等の係止・係合構造、クリップ等の挟持構造、又は溶着等の接合構造等であってもよい。
【0040】
上述の実施形態では、規制部をなすネジ11が、蓋体3が起立状態となったときにボックス本体2と対向する位置に設けられていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、起立状態時に、利用者から見てネジ11が視認し難い部位であれば、いずれの部位にネジ11が設けられていてもよい。
【0041】
上述の実施形態では、係合部8の先端側に突起部8Aが設けられ、かつ、被係合部9に突起部9Aが設けられていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、突起部8A、9Aのうち少なくとも一方の突起部が廃止された構成であってもよい。
【0042】
上述の実施形態に係るコンソールボックス1は、後席のシート幅方向中央に装着されるコンソールボックスであった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、コンソールボックス1は、運転席と助手席との間に配置されるコンソールボックスであってもよい。
【0043】
上述の実施形態では、車両用のコンソールボックス1であった。しかし、本願明細書に開示された発明の適用はこれに限定されるものではなく、鉄道車両、船舶及び航空機等の乗物に用いられるコンソールボックス、並びに劇場や家庭用等に用いられる据え置き型コンソールボックスにも適用できる。
【0044】
さらに、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1… コンソールボックス 2… ボックス本体 2A… 収納部 2B… 開口部
3… 蓋体 4… 表皮部 5… 上蓋 6… 下蓋 7… 係合機構
8… 係合部 9… 被係合部 10… ヒンジ部 11… ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9