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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】渦輪空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/06 20060101AFI20220105BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
F24F13/06 C
F24F13/02 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018041188
(22)【出願日】2018-03-07
(65)【公開番号】P2019158164
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲町 康高
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-273800(JP,A)
【文献】特開平07-332750(JP,A)
【文献】特開平05-332600(JP,A)
【文献】特開2005-127532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/06
F24F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調機に接続された主ダクトとその天板上で連通されたハウジングと、前記ハウジングの側壁部に接続された複数の分岐ダクトとを備え、前記分岐ダクトの吹出口から冷房又は暖房等の調和空気を渦輪状にして送風する渦輪空調装置であって、
前記ハウジング内には、前記主ダクトから送給される前記調和空気を前記分岐ダクトへ案内する案内壁を有し、前記調和空気が前記案内壁に当たる風圧によって前記ハウジングに対して周方向に回転可能に形成された回転内筒を備え、
前記案内壁は、経路長の長さが異なる2つの案内壁からなり、一定の間隔で周方向へ湾曲しながら前記回転内筒の外周縁近傍まで延設され、前記案内壁と前記外周縁近傍との交差部に前記調和空気の出口部が1つ形成されること、
前記主ダクトから前記回転内筒内に送給される前記調和空気が前記案内壁に沿って湾曲状に流れる際、前記調和空気の風圧が経路長の大きい前記案内壁に対して面直外方へ作用することのみによって、前記回転内筒を無動力で周方向に回転させること、
前記案内壁の先端部に形成される前記調和空気の出口部が、1つの前記分岐ダクトのハウジング側開口部とラップするときに限って、前記回転内筒から当該1つの分岐ダクト内へ断続的に前記調和空気が送風されることを特徴とする渦輪空調装置。
【請求項2】
請求項1に記載された渦輪空調装置において、
前記ハウジングの側壁部には、複数の前記分岐ダクトが略放射状に配置されていることを特徴とする渦輪空調装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された渦輪空調装置において、
前記分岐ダクトの先端部には、分岐ダクト内径より大きい内径で形成された筒状圧力室が装着され、前記筒状圧力室の先端部に前記吹出口が形成されていることを特徴とする渦輪空調装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された渦輪空調装置において、
前記回転内筒は、前記案内壁と、前記案内壁の上端に接続され前記主ダクトの軸心上で前記主ダクトと略同一内径の通孔が形成された円環状上蓋と、前記案内壁の下端に接続され前記円環状上蓋と略同一外径の円盤状下蓋と、前記円環状上蓋から前記円盤状下蓋まで前記通孔に沿って鉛直状に起立された円弧状側壁とを備え、
前記案内壁は、経路長が異なる2つの案内壁からなり、前記円弧状側壁の周方向端部から前記円環状上蓋及び前記円盤状下蓋の外周縁近傍まで所定の間隔で周方向へ湾曲しながら延設されていることを特徴とする渦輪空調装置。
【請求項5】
請求項4に記載された渦輪空調装置において、
前記回転内筒には、前記円弧状側壁の内壁面から前記円弧状側壁の周方向端部と前記円盤状下蓋との交差部まで所定の傾斜角で延設された傾斜案内板を備えていることを特徴とする渦輪空調装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載された渦輪空調装置において、
前記円盤状下蓋は、前記回転内筒の軸心上で前記ハウジングの底板に装着された軸受けを介して前記ハウジングと連結され、外周部で前記ハウジングの底板に周方向に配置された複数の戸車を介して水平状に支持されていることを特徴とする渦輪空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渦輪空調装置に関し、詳しくは、主ダクトに接続された分岐ダクトの吹出口から冷房又は暖房等の調和空気を渦輪状にして送風する渦輪空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷房又は暖房等の調和空気を渦輪状にして送風する渦輪空調装置が、知られており、例えば、特許文献1、2に開示されている。特許文献1には、図8に示すように、吹出口102を形成した気室103に対し供給手段Sとしての気体供給路104から被搬送気体Gを供給し、そして、適当な操作手段により気室103の室圧を陽圧側へパルス的に変化させることで、気室103内の被搬送気体Gを吹出口102から空間中へ突発的に吐出させて渦輪Rを形成し、これを所定の時間間隔で繰り返すことにより渦輪Rを繰り返し送出する気体搬送装置100が記載されている。そして、上記気体搬送装置100における、気室103の室圧を陽圧側へパルス的に変化させる前述の操作手段としては、気室103を構成する箱体105において、吹出口102の形成壁とは対向する室壁の全部又は一部をゴム膜等の弾性膜体106で形成し、そして、その弾性膜体106を気室103の外側から打撃する打撃装置107を設けた構成が記載されている。また、特許文献1には、他の気体搬送装置100Bとして、図9に示すように、気室103に対し被搬送気体Gを加圧供給する気体供給路104に弁装置108を介装し、この弁装置108を電子回路利用の制御装置109等により繰り返し開閉操作することで、気室103への気体加圧供給を繰り返し断続して、気室103の室圧を陽圧側へ繰り返しパルス的に変化させる構成が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、図10に示すように、吹出口202が形成された圧力室203と、一端が圧力室203に接続された流体供給路204と、流体供給路204を切断するように設けられた回転円盤205と、回転円盤205上に設けられたスリット205aと、回転円盤205を回転駆動させるモータ206と、流体供給路204の他端に接続されたブロワ207と、モータ206とブロワ207の回転数を制御するコントローラ208と、を備えた渦輪発生装置200が記載されている。そして、上記渦輪発生装置200によれば、回転円盤205が回転することによって、ブロワ207から送風される流体は、スリット205aと流体供給路204の開口断面が一致している時間のみ、圧力室203に供給され、スリット205aにより分断されて圧力室203に送風された流体は、吹出口202から吹き出され、複数の並進する渦輪を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-332750号公報
【文献】特開平11-184420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記気体搬送装置100では、気室103を構成する箱体105において、吹出口102の形成壁とは対向する室壁の全部又は一部をゴム膜等の弾性膜体106で形成し、そして、その弾性膜体106を気室103の外側から打撃する打撃装置107を設けた構成であるので、渦輪を発生させるために専用の弾性膜体106と打撃装置107が必要となる。
【0006】
また、上記他の気体搬送装置100Bでは、気室103に対し被搬送気体Gを加圧供給する気体供給路104に弁装置108を介装し、この弁装置108を電子回路利用の制御装置109等により繰り返し開閉操作することで、気室103への気体加圧供給を繰り返し断続して、気室103の室圧を陽圧側へ繰り返しパルス的に変化させる構成であるので、渦輪を発生させるために専用の弁装置108及び制御装置109が必要となる。
【0007】
また、上記渦輪発生装置200では、圧力室203に接続された流体供給路204を切断するように設けられた回転円盤205と、回転円盤205上に設けられたスリット205aと、回転円盤205を回転駆動させるモータ206と、流体供給路204の他端に接続されたブロワ207と、モータ206とブロワ207の回転数を制御するコントローラ208とを備えた構成であるので、渦輪を発生させるために専用のスリット205aを設けた回転円盤205と、モータ206と、ブロワ207と、コントローラ208とが必要となる。
【0008】
したがって、特許文献1、2に開示されている渦輪空調装置に関する技術では、渦輪を発生させるための専用の部材・装置(弾性膜体106、弁装置108、回転円盤205など)と専用の動力源(打撃装置107、モータ206、ブロワ207など)及びその制御装置(制御装置109、コントローラ208など)等が必要であり、装置全体の構造及び制御機構が複雑となるという問題があった。また、専用の動力源が消費するエネルギー上の無駄が避けられないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、専用の動力源を必要とせず、簡単な構造で渦輪を発生させることができる渦輪空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る渦輪空調装置は、次のような構成を有している。
(1)空調機に接続された主ダクトとその天板上で連通されたハウジングと、前記ハウジングの側壁部に接続された分岐ダクトとを備え、前記分岐ダクトの吹出口から冷房又は暖房等の調和空気を渦輪状にして送風する渦輪空調装置であって、
前記ハウジング内には、前記主ダクトから送給される前記調和空気を前記分岐ダクトへ案内する案内壁を有し、前記調和空気が前記案内壁に当たる風圧によって前記ハウジングに対して周方向に回転可能に形成された回転内筒を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、ハウジング内には、主ダクトから送給される調和空気を分岐ダクトへ案内する案内壁を有し、調和空気の案内壁に当たる風圧によってハウジングに対して周方向に回転可能に形成された回転内筒を備えているので、主ダクトから回転内筒内に送給される調和空気が案内壁に当たる風圧によって、回転内筒を無動力で周方向に回転させることができる。また、案内壁の先端部に形成される調和空気の出口部が、分岐ダクトのハウジング側開口部とラップするときに限って、回転内筒から分岐ダクト内へ断続的に調和空気が送風される。そして、分岐ダクト内へ断続的に送風される調和空気は、回転内筒が一回転する度に、分岐ダクトの吹出口から断続的に外部空間へ向けて噴出され、渦輪を形成することになる。その結果、主ダクトから回転内筒内に送給される調和空気の風圧によって、専用の動力源を要することなく無動力で回転内筒を周方向に回転させながら、分岐ダクトの吹出口から送風される調和空気を渦輪の状態で、略等間隔に送風することができる。
【0012】
よって、本発明によれば、専用の動力源を必要とせず、簡単な構造で渦輪を発生させることができる渦輪空調装置を提供することができる。
【0013】
(2)(1)に記載された渦輪空調装置において、
前記ハウジングの側壁部には、複数の前記分岐ダクトが略放射状に配置されていることを特徴とする。
【0014】
本発明においては、ハウジングの側壁部には、複数の分岐ダクトが略放射状に配置されているので、調和空気を渦輪の状態で略放射状に複数の箇所へ送風することができる。そのため、一つの渦輪空調装置によって、複数の作業域で作業している複数の作業者に対して、又は複数の作業域に移動する作業者に対して調和空気を渦輪の状態で送風し、各作業域における温熱環境の改善を簡単に行うことができる。この場合、渦輪空調装置と各作業域との離間距離が異なるときでも、分岐ダクトの長さをその離間距離に合わせて一々変更しなくても、渦輪の直進性に基づいて略同一風量の調和空気を各作業域の作業者に送風することができる。
【0015】
(3)(1)又は(2)に記載された渦輪空調装置において、
前記分岐ダクトの先端部には、分岐ダクト内径より大きい内径で形成された筒状圧力室が装着され、前記筒状圧力室の先端部に前記吹出口が形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、分岐ダクトの先端部には、分岐ダクト内径より大きい内径で形成された筒状圧力室が装着され、筒状圧力室の先端部に吹出口が形成されているので、主ダクトから回転内筒へ供給される調和空気の風量が多少変化しても、筒状圧力室の吹出口から渦輪の状態で送風される調和空気の風量を略一定に維持することができる。すなわち、主ダクトから回転内筒へ供給される調和空気の風量が増減すると、回転内筒の回転速度が変化する。また、回転内筒の回転速度の変化に伴って、回転内筒から分岐ダクト内へ断続的に送風される調和空気の風量が変化しやすい。しかし、分岐ダクトの先端部には、分岐ダクト内径より大きい内径で形成された筒状圧力室が装着されているので、筒状圧力室内に貯留される調和空気によって、調和空気の風量の変化を緩和させることができる。その結果、筒状圧力室の吹出口から渦輪の状態で送風される調和空気の風量を略一定に維持することができる。
【0017】
なお、筒状圧力室の先端部に形成する吹出口の内径を、分岐ダクト内径より大きく形成することによって、渦輪の外径を大きく形成することができ、渦輪の断続性を高めることができる。その結果、先行する渦輪を後行の渦輪が破壊しにくくなり、渦輪の飛距離を向上させることもできる。
【0018】
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載された渦輪空調装置において、
前記回転内筒は、前記案内壁と、前記案内壁の上端に接続され前記主ダクトの軸心上で前記主ダクトと略同一内径の通孔が形成された円環状上蓋と、前記案内壁の下端に接続され前記円環状上蓋と略同一外径の円盤状下蓋と、前記円環状上蓋から前記円盤状下蓋まで前記通孔に沿って鉛直状に起立された円弧状側壁とを備え、
前記案内壁は、経路方向の長さ(以下、「経路長」という)が異なる2つの案内壁からなり、前記円弧状側壁の周方向端部から前記円環状上蓋及び前記円盤状下蓋の外周縁近傍まで所定の間隔で周方向へ湾曲しながら延設されていることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、回転内筒は、案内壁と、案内壁の上端に接続され主ダクトの軸心上で主ダクトと略同一内径の通孔が形成された円環状上蓋と、案内壁の下端に接続され円環状上蓋と略同一外径の円盤状下蓋と、円環状上蓋から円盤状下蓋まで通孔に沿って鉛直状に起立された円弧状側壁とを備え、案内壁は、経路長が異なる2つの案内壁からなり、円弧状側壁の周方向端部から円環状上蓋及び円盤状下蓋の外周縁近傍まで所定の間隔で周方向へ湾曲しながら延設されているので、主ダクトから回転内筒内に送給される調和空気が案内壁に沿って湾曲状に流れる際、その調和空気の風圧は、経路長が大きい案内壁に対して面直外方へ作用する。そのため、回転内筒が調和空気の風圧のみに基づいて回転しながら、主ダクトから送給される調和空気を案内壁の先端部に形成される出口部から分岐ダクトに断続的に供給することができる。その結果、回転内筒が無動力で回転しながら、主ダクトから送給される調和空気を断続的な渦輪の状態に変換して、渦輪の状態に変換した調和空気を回転内筒の回転周期で等間隔に送風することができる。
【0020】
(5)(4)に記載された渦輪空調装置において、
前記回転内筒には、前記円弧状側壁の内壁面から前記円弧状側壁の周方向端部と前記円盤状下蓋との交差部まで所定の傾斜角で延設された傾斜案内板を備えていることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、回転内筒には、円弧状側壁の内壁面から円弧状側壁の周方向端部と円盤状下蓋との交差部まで所定の傾斜角で延設された傾斜案内板を備えているので、主ダクトから回転内筒内に送給される調和空気が案内壁に向けて流れやすくなり、当該調和空気の風圧を回転内筒の回転力により一層効率的に変換できる。その結果、調和空気の風量が少ない場合でも、回転内筒が無動力で回転しながら、主ダクトから送給される調和空気を断続的な渦輪の状態に変換できる。
【0022】
(6)(4)又は(5)に記載された渦輪空調装置において、
前記円盤状下蓋は、前記回転内筒の軸心上で前記ハウジングの底板に装着された軸受けを介して前記ハウジングと連結され、外周部で前記ハウジングの底板に周方向に配置された複数の戸車を介して水平状に支持されていることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、円盤状下蓋は、回転内筒の軸心上でハウジングの底板に装着された軸受けを介してハウジングと連結され、外周部でハウジングの底板に周方向に配置された複数の戸車を介して水平状に支持されているので、回転内筒を軽量化しつつ、回転内筒に対するハウジングの支持構造をより一層簡素化することができる。また、回転内筒を軽量化することによって、調和空気の風量が少ない場合でも、回転内筒が無動力で回転しながら、主ダクトから送給される調和空気を断続的な渦輪の状態に変換できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、専用の動力源を必要とせず、簡単な構造で渦輪を発生させることができる渦輪空調装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る渦輪空調装置の側方から見た概略斜視図である。
図2図1に示す渦輪空調装置の概略平面図である。
図3図2に示すA-A断面図である。
図4図3に示すハウジング及び回転内筒の平面図である。
図5図4に示すハウジング及び回転内筒の側面図である。
図6図1に示す渦輪空調装置の動作説明図である。(A)は、回転内筒における調和空気の出口部が第1分岐ダクトのハウジング側開口部とラップしている状態を示し、(B)は、回転内筒における調和空気の出口部が第2分岐ダクトのハウジング側開口部とラップしている状態を示す。
図7図1に示す渦輪空調装置の変形例における概略平面図である。
図8】特許文献1に記載された気体搬送装置を表す概略図である。
図9】特許文献1に記載された他の気体搬送装置を表す概略図である。
図10】特許文献2に記載された渦輪発生装置を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、本発明に係る実施形態である渦輪空調装置について、図面を参照して詳細に説明する。はじめに、本渦輪空調装置の構造について詳細に説明し、その後、その動作方法について説明する。
【0027】
<本渦輪空調装置の構造>
まず、本実施形態に係る空調装置の構造を、図1図5を用いて説明する。図1に、本実施形態に係る渦輪空調装置の側方から見た概略斜視図を示す。図2に、図1に示す渦輪空調装置の概略平面図を示す。図3に、図2に示すA-A断面図を示す。図4に、図3に示すハウジング及び回転内筒の平面図を示す。図5に、図4に示すハウジング及び回転内筒の側面図を示す。
【0028】
図1図5に示すように、本実施形態に係る渦輪空調装置10は、空調機5に接続された主ダクト1とその天板21上で連通されたハウジング2と、ハウジング2の側壁部22に接続された分岐ダクト3とを備え、分岐ダクト3の吹出口31から冷房又は暖房等の調和空気TKを渦輪R状にして送風する渦輪空調装置である。
【0029】
ここで、空調機5は、冷房又は暖房等の調和空気TKを調整して所定量の風量を送風する送風機であり、既設の空調機を利用することができる。また、主ダクト1は、空調機5から送風される調和空気TKが流れる略円筒状のダクトである。また、ハウジング2は、平面視で略星形に形成された天板21と、天板21と同形状の底板23と、天板21及び底板23の外縁を鉛直状に連結する側壁部22等で構成する箱体である。
【0030】
また、ハウジング2内には、主ダクト1から送給される調和空気TKを分岐ダクト3へ案内する案内壁41を有し、調和空気TKが案内壁41に当たる風圧Fによってハウジング2に対して周方向(矢印Qの方向)に回転可能に形成された回転内筒4を備えている。
【0031】
具体的には、回転内筒4は、案内壁41、42と、案内壁41、42の上端に接続され主ダクト1の軸心CL上で主ダクト1と略同一内径の通孔431が形成された円環状上蓋43と、案内壁41、42の下端に接続され円環状上蓋43と略同一外径の円盤状下蓋44と、円環状上蓋43から円盤状下蓋44まで通孔431に沿って鉛直状に起立された円弧状側壁45とを備えている。なお、回転内筒4の軸心CL(回転中心)は、主ダクト1の軸心上に形成されている。
【0032】
また、案内壁41、42は、経路長が異なる2つの案内壁41、42からなり、円弧状側壁45の周方向端部451、452から円環状上蓋43及び円盤状下蓋44の外周縁432、442近傍まで所定の間隔で周方向へ湾曲しながら延設されている。案内壁41、42と外周縁432、442近傍との交差部には、調和空気TKの出口部47が略矩形状に形成されている。また、主ダクト1から送給される調和空気TKが案内壁41、42に沿って湾曲状に流れる際、調和空気TKの風圧Fは、経路長が大きい案内壁41に対して面直外方へ作用するので、回転内筒4は、当該案内壁41の湾曲凸方向である図2に示す矢印Qの方向(反時計回り)へ回転する。
【0033】
また、回転内筒4には、円弧状側壁45の内壁面453から円弧状側壁45の周方向端部451、452と円盤状下蓋44との交差部441(その連結線上を含む)まで所定の傾斜角θで延設された傾斜案内板46を備えている。円盤状下蓋44に対する傾斜案内板46の傾斜角θは、45度±10度程度が好ましい。なお、傾斜案内板46は、下方にむけて湾曲していても良い。また、案内壁41、42同士の間隔を最大化して、より多くの調和空気TKを分岐ダクト3に送給するためには、円弧状側壁45を半円弧状断面に形成することが好ましい。
【0034】
また、円盤状下蓋44は、回転内筒4の軸心CL上でハウジング2の底板23に装着された軸受け231を介してハウジング2と連結され、外周部443でハウジング2の底板23に周方向に配置された複数の戸車232を介して水平状に支持されている。また、ハウジング2の天板21の外縁側には、回転内筒4の円環状上蓋43の外周部433との隙間を詰めて、調和空気TKの漏れを防ぐシール部材212が装着されている。シール部材212は、平面視で略直角三角形状に形成されている。
【0035】
また、ハウジング2の側壁部22には、複数(例えば、6個)の分岐ダクト3が略放射状に配置されている。また、側壁部22には、経路長が大きい案内壁41の経路方向に沿って形成されたガイド側壁22aと、該経路方向と直交する方向に形成されたノズル取付け側壁22bとが、各分岐ダクト3に対応して形成されている。また、ノズル取付け側壁22bには、分岐ダクト3を接続する接続フランジ221が外方へ突設されている。接続フランジ221は、案内壁41、42同士の離間距離と略同一寸法の直径で円環状に形成されている。案内壁41、42の先端部に形成される調和空気TKの出口部47が、分岐ダクト3のハウジング側開口部32とラップするときに限って、回転内筒4から分岐ダクト3内へ断続的に調和空気TKが送風される。
【0036】
ここでは、図2において、回転内筒4から調和空気TKが送風されている分岐ダクト3を第1分岐ダクト3aと呼び、第1分岐ダクト3aに対して矢印Qの方向(反時計回り)へ隣接する分岐ダクト3を第2分岐ダクト3bと呼ぶ。また、反時計回りで、順に第3分岐ダクト3c、第4分岐ダクト3d、第5分岐ダクト3e、及び第6分岐ダクト3fと呼ぶ。各分岐ダクト3は、流路を自在に湾曲させることができるフレキシブルダクトで形成されている。また、分岐ダクト3は、フレキシブルダクトで形成することによって、吹出口31の方向を簡単に調整することができる。
【0037】
また、各分岐ダクト3は、ハウジング2の側壁部22に略放射状に配置されている。分岐ダクト3をハウジング2の側壁部22に略放射状に配置することによって、一つの渦輪空調装置10によって、複数の作業域で作業している複数の作業者M、又は複数の作業域に移動する作業者Mに調和空気TKを渦輪Rの状態で送風することができる。この場合、渦輪空調装置10と各作業域との離間距離が異なるときでも、渦輪Rの直進性に基づいて、分岐ダクト3の長さをその離間距離に合わせて一々変更しなくてもよい。ここでは、各分岐ダクト3の吹出口31は、すべて開かれているが、必要に応じて一部の吹出口31のみ閉じることもできる。
【0038】
また、分岐ダクト3の先端部には、分岐ダクト内径d1より大きい内径d2で形成された筒状圧力室33が装着され、筒状圧力室33の先端部331に吹出口31が形成されている。筒状圧力室33は、分岐ダクト3と同軸上に形成されている。筒状圧力室33の先端部331に形成する吹出口31の内径d3を、分岐ダクト内径d1に近づくように形成することによって、渦輪Rの外径を大きく形成することができ、渦輪Rの断続性を高めることができる。
【0039】
例えば、吹出口31の内径d3を0.2(m)とし、主ダクト1から回転内筒4内へ供給する調和空気TKの風量を0.28(m/s)とし、分岐ダクト3の吹出時間を0.1(s)とすると、吹出口31から断続的に送風される調和空気TKの気流塊長さLが約0.9(m)となる。その場合、気流塊長さLと吹出口31の内径d3との比(L/d3)は、約4.5となり、一般的に渦輪の断続性が確保される目安(L/d3:1.5~10)の範囲内となる。
【0040】
<本空調装置の動作方法>
次に、本渦輪空調装置の動作方法について、図6を用いて説明する。図6に、図1に示す渦輪空調装置の動作説明図を示す。(A)は、回転内筒における調和空気の出口部が第1分岐ダクトのハウジング側開口部とラップしている状態を示し、(B)は、回転内筒における調和空気の出口部が第2分岐ダクトのハウジング側開口部とラップしている状態を示す。
【0041】
図6に示すように、本渦輪空調装置10のハウジング2内には、主ダクトから送給される調和空気TKを複数の分岐ダクト3(3a、3b、3c、3d、3e、3f)へ案内する経路長の長さが異なる2つ案内壁41、42を有し、調和空気TKが経路長の大きい案内壁41に当たる風圧Fによって、ハウジング2に対して周方向(矢印Qの方向:反時計回り)に回転可能に形成された回転内筒4を備えている。また、分岐ダクト3は、ハウジング2の側壁部に略放射状に配置されている。
【0042】
本渦輪空調装置10において、図示しない空調機を作動させると、主ダクトからハウジング2内の回転内筒4に調和空気TKが送給される。図6(A)に示すように、回転内筒4における調和空気の出口部47が第1分岐ダクト3aのハウジング側開口部32aとラップしているときに、回転内筒4に送給された調和空気TKは、第1分岐ダクト3aへ送風される。
【0043】
しかし、回転内筒4内の調和空気TKが案内壁41、42に沿って湾曲状に流れる際、調和空気TKの風圧Fは、経路長が大きい案内壁41に対して面直外方へ作用するので、図6(B)に示すように、回転内筒4は、軸心CL周りに矢印Qの方向(反時計回り)へ回転して、回転内筒4の出口部47が隣接する第2分岐ダクト3bのハウジング側開口部32bとラップする位置へ移動する。
【0044】
そのため、第1分岐ダクト3aへ送風された調和空気TKは、第1分岐ダクト3aの吹出口31aから瞬間的に外部空間へ向けて高速で噴出される。そのとき、吹出口31aから短時間に噴出される調和空気TKが、噴流を起こしてリング状の渦輪Raを形成する。渦輪Raは、リング状の各断面で断面中心に対して同一方向へ回転(自転)するので、自己誘導速度によって吹出口31aから調和空気TKが噴出される方向に進行する。
【0045】
また、回転内筒4の出口部47が、第2分岐ダクト3bのハウジング側開口部32bとラップしているときに、回転内筒4に送給された調和空気TKは、第2分岐ダクト3bへ送風される。第2分岐ダクト3bへ送風された調和空気TKは、第2分岐ダクト3bの吹出口31bから瞬間的に外部空間へ向けて高速で噴出される。そのとき、吹出口31bから噴出される調和空気TKが、噴流を起こしてリング状の渦輪Rbを形成する。渦輪Rbは、リング状の各断面で断面中心に対して同一方向へ回転するので、自己誘導速度によって吹出口31bから調和空気TKが噴出される方向に進行する。
【0046】
このように、回転内筒4が軸心CL周りに矢印Qの方向(反時計回り)へ回転しながら、回転内筒4の出口部47が各分岐ダクト3のハウジング側開口部32とラップする位置へ移動したときに、調和空気TKがその分岐ダクト3の吹出口31から瞬間的に外部空間へ向けて高速で噴出され、渦輪Rを形成する。渦輪Rは、回転内筒4が一回転する度に形成され、それぞれの吹出口31から調和空気TKが噴出される方向へ略等間隔で進行する。その結果、主ダクト1から供給される調和空気TKは、各分岐ダクト3の吹出口31から断続的に渦輪Rの状態で送風され、各作業域の作業者Mに当接したときに渦輪Rが破壊されることによって、作業者Mに対する温熱環境を改善する。
【0047】
なお、渦輪Rは、回転内筒4が一回転する度に形成され、それぞれの吹出口31から調和空気TKが噴出される方向へ略等間隔で進行するので、連続して送風する場合より調和空気TKの風量は減少する。しかし、渦輪Rは、リング状の各断面で断面中心に対して同一方向へ回転(自転)するので、調和空気の温度を維持しやすく、また、渦輪が作業者に当接したときの作業者の体表面に対する熱交換が促進される。そのため、作業者の快適性が向上し、省エネの目的にも沿うことができる。
【0048】
また、渦輪Rは、回転内筒4が一回転する度に形成され、それぞれの吹出口31から調和空気TKが噴出される方向へ略等間隔で進行するので、移動する作業者Mに当たらない場合もある。しかし、通常、作業域には設備又は部品等が置かれているので、作業者Mに当接しない渦輪Rは、設備又は部品等に当接して破壊され、作業域周辺の温熱環境を向上させることができる。そのため、複数の作業域を一人の作業者Mが移動する場合において、作業者Mの移動を追跡する装置を不要とし、各作業域の温熱環境を整えた状態で作業者Mを待つことができる。
【0049】
<作用効果>
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る渦輪空調装置10によれば、ハウジング2内には、主ダクト1から送給される調和空気TKを分岐ダクト3へ案内する案内壁41を有し、調和空気TKの案内壁41に当たる風圧Fによってハウジング2に対して周方向(矢印Qの方向)に回転可能に形成された回転内筒4を備えているので、主ダクト1から回転内筒4内に送給される調和空気TKが案内壁41に当たる風圧Fによって、回転内筒4を無動力で周方向に回転させることができる。また、案内壁41の先端部に形成される調和空気TKの出口部47が、分岐ダクト3のハウジング側開口部32とラップするときに限って、回転内筒4から分岐ダクト3内へ断続的に調和空気TKが送風される。そして、分岐ダクト3内へ断続的に送風される調和空気TKは、回転内筒4が一回転する度に、分岐ダクト3の吹出口31から断続的に外部空間へ向けて噴出され、渦輪Rを形成することになる。その結果、主ダクト1から回転内筒4内に送給される調和空気TKの風圧Fによって、専用の動力源を要することなく無動力で回転内筒4を周方向(矢印Qの方向)に回転させながら、分岐ダクト3の吹出口31から送風される調和空気TKを渦輪Rの状態で、略等間隔に送風することができる。
【0050】
よって、本実施形態によれば、専用の動力源を必要とせず、簡単な構造で渦輪Rを発生させることができる渦輪空調装置10を提供することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、ハウジング2の側壁部22には、複数の分岐ダクト3(3a、3b、3c、3d、3e、3f)が略放射状に配置されているので、調和空気TKを渦輪Rの状態で略放射状に複数の箇所へ送風することができる。そのため、一つの渦輪空調装置10によって、複数の作業域で作業している複数の作業者Mに対して、又は複数の作業域に移動する作業者Mに対して調和空気TKを渦輪Rの状態で送風し、各作業域における温熱環境の改善を簡単に行うことができる。この場合、渦輪空調装置10と各作業域との離間距離が異なるときでも、分岐ダクト3の長さをその離間距離に合わせて一々変更しなくても、渦輪Rの直進性に基づいて略同一風量の調和空気TKを各作業域の作業者Mに送風することができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、分岐ダクト3の先端部には、分岐ダクト内径d1より大きい内径d2で形成された筒状圧力室33が装着され、筒状圧力室33の先端部331に吹出口31が形成されているので、主ダクト1から回転内筒4へ供給される調和空気TKの風量が多少変化しても、筒状圧力室33の吹出口31から渦輪Rの状態で送風される調和空気TKの風量を略一定に維持することができる。すなわち、主ダクト1から回転内筒4へ供給される調和空気TKの風量が増減すると、回転内筒4の回転速度が変化する。また、回転内筒4の回転速度の変化に伴って、回転内筒4から分岐ダクト3内へ断続的に送風される調和空気TKの風量が変化しやすい。しかし、分岐ダクト3の先端部には、分岐ダクト内径d1より大きい内径d2で形成された筒状圧力室33が装着されているので、筒状圧力室33内に貯留される調和空気TKによって、調和空気TKの風量の変化を緩和させることができる。その結果、筒状圧力室33の吹出口31から渦輪Rの状態で送風される調和空気TKの風量を略一定に維持することができる。
【0053】
なお、本実施形態によれば、筒状圧力室33の先端部に形成する吹出口31の内径d3を、分岐ダクト内径d1に近づくように形成することによって、渦輪Rの外径を大きく形成することができ、渦輪Rの断続性を高めることができる。その結果、先行する渦輪Rを後行の渦輪Rが破壊しにくくなり、渦輪Rの飛距離を向上させることもできる。
【0054】
また、本実施形態によれば、回転内筒4は、案内壁41、42と、案内壁41、42の上端に接続され主ダクト1の軸心CL上で主ダクト1と略同一内径の通孔431が形成された円環状上蓋43と、案内壁41、42の下端に接続され円環状上蓋43と略同一外径の円盤状下蓋44と、円環状上蓋43から円盤状下蓋44まで通孔431に沿って鉛直状に起立された円弧状側壁45とを備え、案内壁41、42は、経路長が異なる2つの案内壁からなり、円弧状側壁45の周方向端部451、452から円環状上蓋43及び円盤状下蓋44の外周縁432、442近傍まで所定の間隔で周方向(矢印Qの方向)へ湾曲しながら延設されているので、主ダクト1から回転内筒4内に送給される調和空気TKが案内壁41、42に沿って湾曲状に流れる際、その調和空気TKの風圧Fは、経路長が大きい案内壁41に対して面直外方へ作用する。そのため、回転内筒4が調和空気TKの風圧Fのみに基づいて回転し、主ダクト1から送給される調和空気TKを案内壁41、42の先端部に形成される出口部47から分岐ダクト3に断続的に供給することができる。その結果、回転内筒4が無動力で回転しながら、主ダクト1から送給される調和空気TKを断続的な渦輪Rの状態に変換して、渦輪Rの状態に変換した調和空気TKを回転内筒4の回転周期で等間隔に送風することができる。
【0055】
また、本実施形態によれば、回転内筒4には、円弧状側壁45の内壁面453から円弧状側壁45の周方向端部451、452と円盤状下蓋44との交差部441まで所定の傾斜角θで延設された傾斜案内板46を備えているので、主ダクト1から回転内筒4内に送給される調和空気TKが案内壁41、42に向けて流れやすくなり、当該調和空気TKの風圧Fを回転内筒4の回転力により一層効率的に変換できる。その結果、調和空気TKの風量が少ない場合でも、回転内筒4が無動力で回転しながら、主ダクト1から送給される調和空気TKを断続的な渦輪Rの状態に変換できる。
【0056】
また、本実施形態によれば、円盤状下蓋44は、回転内筒4の軸心CL上でハウジング2の底板23に装着された軸受け231を介してハウジング2と連結され、外周部443でハウジング2の底板23に周方向に配置された複数の戸車232を介して水平状に支持されているので、回転内筒4を軽量化しつつ、回転内筒4に対するハウジング2の支持構造をより一層簡素化することができる。また、回転内筒4を軽量化することによって、調和空気TKの風量が少ない場合でも、回転内筒4が無動力で回転しながら、主ダクト1から送給される調和空気TKを断続的な渦輪Rの状態に変換できる。
【0057】
<変形例>
上述した実施形態は、本発明の要旨を変更しない範囲で変更することができる。例えば、本実施形態によれば、回転内筒4の案内壁41、42は、経路長が異なる2つの案内壁41、42からなり、円弧状側壁45の周方向端部451、452から円環状上蓋43及び円盤状下蓋44の外周縁432、442近傍まで所定の間隔で周方向へ湾曲しながら延設されているが、必ずしもこれに限ることはない。
【0058】
<参考例>
なお、本発明の範囲には含まれないが、 例えば、図7に示すように、回転内筒4Bの案内壁41B、42Bは、回転内筒4Bの円弧状側壁45Bに対して円弧接線方向に延設する経路長が異なる2つの案内壁41B、42Bからなり、円弧状側壁45Bの円筒状に形成したハウジング2Bの側壁部近傍まで所定の間隔で直線的に延設しても良い。この場合、主ダクト1から送給される調和空気TKが案内壁41B、42Bに沿って流れる際、調和空気TKの風圧FFは、経路長が大きい案内壁41Bに対して面直外方へ作用するので、回転内筒4Bは、図7に示す矢印QQの方向(時計回り)へ回転する。
【0059】
また、回転内筒4Bの出口部47Bが、各分岐ダクト3Bのハウジング側開口部32Bとラップしているときに、回転内筒4Bに送給された調和空気TKは、当該分岐ダクト3Bへ送風される。第2分岐ダクト3Bへ送風された調和空気TKは、その分岐ダクト3Bの吹出口31Bから瞬間的に外部空間へ向けて高速で噴出される。そのとき、吹出口31Bから噴出される調和空気TKが、噴流を起こしてリング状の渦輪Rを形成する。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、主ダクトに接続された分岐ダクトの吹出口から冷房又は暖房等の調和空気を渦輪状にして送風する渦輪空調装置として利用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 主ダクト
2、2B ハウジング
3、3B、3a、3b 分岐ダクト
3c、3d、3e、3f 分岐ダクト
4、4B 回転内筒
5 空調機
10、10B 渦輪空調装置
21 天板
22 側壁部
23 底板
31、31B 吹出口
33 筒状圧力室
41、42 案内壁
43 円環状上蓋
44 円盤状下蓋
45、45B 円弧状側壁
46 傾斜案内板
231 軸受け
232 戸車
431 通孔
432、442 外周縁
441 交差部
443 外周部
453 内壁面
451、452 周方向端部
θ 傾斜角
CL 軸心
d1 分岐ダクト内径
d2 内径
F 風圧
M 作業者
Q 周方向
R 渦輪
TK 調和空気
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10