(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成装置の制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20220105BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20220105BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20220105BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220105BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20220105BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
H04N1/00 350
G06F3/12 310
G06F3/12 329
G06F3/16 620
G06F3/16 630
G06F3/16 660
B41J29/38
B41J29/42 F
G03G21/00 388
G03G21/00 386
(21)【出願番号】P 2018078438
(22)【出願日】2018-04-16
【審査請求日】2020-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117673
【氏名又は名称】中島 了
(72)【発明者】
【氏名】下唐湊 理
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-115773(JP,A)
【文献】特開2004-219453(JP,A)
【文献】特開2003-215985(JP,A)
【文献】特開2007-102426(JP,A)
【文献】特開2002-040884(JP,A)
【文献】特開2016-139887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G06F 3/09 - 3/12
G06F 3/16
B41J 29/00 -29/70
G03G 15/00
15/36
21/00
21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
前記画像形成装置にて作業者によって行われるべき作業に係る複数の作業手順を順次に前記作業者に案内するとともに、各作業手順の完了を、前記各作業手順の種類に応じた完了判定手法を用いて判定する案内制御手段と、
前記複数の作業手順のうちの少なくとも1つの作業手順の目標状態を検知することが可能な少なくとも1つのセンサと、
前記作業者による音声入力を受け付けることが可能な音声入力手段と、
を備え、
前記複数の作業手順は、第1の種類の手順と第2の種類の手順とに予め分類されており、
前記案内制御手段は、
前記複数の作業手順のうち現在の作業手順が前記第1の種類の手順である場合、前記現在の作業手順の完了を、前記少なくとも1つのセンサのうち前記現在の作業手順に対応する特定のセンサによる検知結果に基づいて判定し、
前記現在の作業手順が前記第2の種類の手順である場合、前記現在の作業手順の完了を、前記現在の作業手順を遂行した旨の前記音声入力に基づいて判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記案内制御手段は、前記現在の作業手順が前記第1の種類の手順である場合、前記現在の作業手順における作業対象部分が前記現在の作業手順の目標状態を有する旨が前記特定のセンサによって検知されることを条件として、前記現在の作業手順が完了した旨を判定することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像形成装置において、
前記複数の作業手順を前記作業者に案内する情報である複数の作業ガイダンス情報を出力する出力手段、
をさらに備え、
前記案内制御手段は、前記複数の作業ガイダンス情報を順次に前記出力手段にて出力することによって、前記複数の作業手順を順次に前記作業者に案内することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像形成装置において、
前記出力手段は、表示出力手段を含み、
前記案内制御手段は、前記表示出力手段を用いて前記複数の作業ガイダンス情報を表示出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の画像形成装置において、
前記出力手段は、音声出力手段を含み、
前記案内制御手段は、前記音声出力手段を用いて前記複数の作業ガイダンス情報を音声出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記案内制御手段は、
前記現在の作業手順に関するガイダンス情報の出力が開始されてから所定時間が経過しても前記現在の作業手順が完了した旨が判定されないことを条件として、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨を判定し、
前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨が判定される場合、前記現在の作業手順をより詳細に案内する情報である詳細ガイダンス情報を前記表示出力手段を用いて表示出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記案内制御手段は、
前記現在の作業手順に関するガイダンス情報の出力が開始された後に所定の音声入力が受け付けられることを条件として、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨を判定し、
前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨が判定される場合、前記現在の作業手順をより詳細に案内する情報である詳細ガイダンス情報を前記表示出力手段を用いて表示出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記案内制御手段は、
前記現在の作業手順に関するガイダンス情報の出力が開始されてから所定時間が経過しても前記現在の作業手順が完了した旨が判定されないことを条件として、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨を判定し、
前記複数の作業ガイダンス情報のうち前記現在の作業手順に関する一の作業ガイダンス情報が音声出力された後において、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨が判定される場合、前記一の作業ガイダンス情報を前記音声出力手段を用いて再び音声出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記案内制御手段は、
前記現在の作業手順に関するガイダンス情報の出力が開始された後に所定の音声入力が受け付けられることを条件として、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨を判定し、
前記複数の作業ガイダンス情報のうち前記現在の作業手順に関する一の作業ガイダンス情報が音声出力された後において、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨が判定される場合、前記一の作業ガイダンス情報を前記音声出力手段を用いて再び音声出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項3から請求項9のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記案内制御手段は、前記現在の作業手順において、前記現在の作業手順とは別の作業が行われた旨が判定される場合、当該別の作業が行われる前の状態に復帰させるための情報である復帰ガイダンス情報を前記出力手段を用いて出力することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記複数の作業手順は、前記画像形成装置にて発生した異常事象の解消手順を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記複数の作業手順は、前記画像形成装置のメンテナンス手順を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
画像形成装置に内蔵されたコンピュータに、
a)前記画像形成装置にて作業者によって行われるべき作業に係る複数の作業手順のうちの一の作業手順を前記作業者に案内するステップと、
b)前記一の作業手順の完了を、前記一の作業手順の種類に応じた完了判定手法を用いて判定するステップと、
c)前記複数の作業手順のうち、前記一の作業手順以外の作業手順についても、前記ステップa)と前記ステップb)とを実行するステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記複数の作業手順は、第1の種類の手順と第2の種類の手順とに予め分類されており、
前記ステップb)においては、
前記複数の作業手順のうち現在の作業手順が前記第1の種類の手順である場合、前記現在の作業手順の完了は、前記複数の作業手順のうちの少なくとも1つの作業手順の目標状態を検知することが可能な少なくとも1つのセンサのうち前記現在の作業手順に対応する特定のセンサによる検知結果に基づいて判定され、
前記現在の作業手順が前記第2の種類の手順である場合、前記現在の作業手順の完了は、前記現在の作業手順を遂行した旨の前記作業者による音声入力に基づいて判定されることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムにおいて、
前記ステップb)においては、前記現在の作業手順が前記第1の種類の手順である場合、前記現在の作業手順における作業対象部分が前記現在の作業手順の目標状態を有する旨が前記特定のセンサによって検知されることを条件として、前記現在の作業手順が完了した旨が判定されることを特徴とするプログラム。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載のプログラムにおいて、
前記ステップa)においては、前記複数の作業手順を前記作業者に案内する情報である複数の作業ガイダンス情報のうち前記現在の作業手順に関する一の作業ガイダンス情報が前記画像形成装置の出力手段にて出力されることによって、前記現在の作業手順が前記作業者に案内されることを特徴とするプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムにおいて、
前記出力手段は、表示出力手段を含み、
前記ステップa)においては、前記表示出力手段を用いて前記一の作業ガイダンス情報が表示出力されることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
請求項15または請求項16に記載のプログラムにおいて、
前記出力手段は、音声出力手段を含み、
前記ステップa)においては、前記音声出力手段を用いて前記一の作業ガイダンス情報が音声出力されることを特徴とするプログラム。
【請求項18】
請求項16に記載のプログラムにおいて、
d)前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨が判定される場合、前記現在の作業手順をより詳細に案内する情報である詳細ガイダンス情報を前記表示出力手段を用いて表示出力するステップ、
を前記コンピュータにさらに実行させ
、
前記ステップd)は、
d-1)前記現在の作業手順に関するガイダンス情報の出力が開始されてから所定時間が経過しても前記現在の作業手順が完了した旨が未だ判定されないことを条件として、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨を判定するステップ、
を備えることを特徴とするプログラム。
【請求項19】
請求項16に記載のプログラムにおいて、
d)前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨が判定される場合、前記現在の作業手順をより詳細に案内する情報である詳細ガイダンス情報を前記表示出力手段を用いて表示出力するステップ、
を前記コンピュータにさらに実行させ
、
前記ステップd)は、
d-1)前記現在の作業手順に関するガイダンス情報の出力が開始された後に所定の音声入力が受け付けられることを条件として、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨を判定するステップ、
を備えることを特徴とするプログラム。
【請求項20】
請求項17に記載のプログラムにおいて、
d)前記一の作業ガイダンス情報が前記ステップa)にて音声出力された後において、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨が判定される場合、前記一の作業ガイダンス情報を前記音声出力手段を用いて再び音声出力するステップ、
を前記コンピュータにさらに実行させ
、
前記ステップd)は、
d-1)前記現在の作業手順に関するガイダンス情報の出力が開始されてから所定時間が経過しても前記現在の作業手順が完了した旨が未だ判定されないことを条件として、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨を判定するステップ、
を備えることを特徴とするプログラム。
【請求項21】
請求項17に記載のプログラムにおいて、
d)前記一の作業ガイダンス情報が前記ステップa)にて音声出力された後において、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨が判定される場合、前記一の作業ガイダンス情報を前記音声出力手段を用いて再び音声出力するステップ、
を前記コンピュータにさらに実行させ
、
前記ステップd)は、
d-1)前記現在の作業手順に関するガイダンス情報の出力が開始された後に所定の音声入力が受け付けられることを条件として、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨を判定するステップ、
を備えることを特徴とするプログラム。
【請求項22】
請求項15から請求項21のいずれかに記載のプログラムにおいて、
e)前記現在の作業手順において、前記現在の作業手順とは別の作業が行われた旨が判定される場合、当該別の作業が行われる前の状態に復帰させるための情報である復帰ガイダンス情報を前記出力手段を用いて出力するステップ、
を前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項23】
請求項15から請求項22のいずれかに記載のプログラムにおいて、
前記複数の作業手順は、前記画像形成装置にて発生した異常事象の解消手順を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項24】
請求項15から請求項23のいずれかに記載のプログラムにおいて、
前記複数の作業手順は、前記画像形成装置のメンテナンス手順を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項25】
画像形成装置の制御方法であって、
a)前記画像形成装置にて作業者によって行われるべき作業に係る複数の作業手順のうちの一の作業手順を前記作業者に案内するステップと、
b)前記一の作業手順の完了を、前記一の作業手順の種類に応じた完了判定手法を用いて判定するステップと、
c)前記複数の作業手順のうち、前記一の作業手順以外の作業手順についても、前記ステップa)と前記ステップb)とを実行するステップと、
を有し、
前記複数の作業手順は、第1の種類の手順と第2の種類の手順とに予め分類されており、
前記ステップb)においては、
前記複数の作業手順のうち現在の作業手順が前記第1の種類の手順である場合、前記現在の作業手順の完了は、前記複数の作業手順のうちの少なくとも1つの作業手順の目標状態を検知することが可能な少なくとも1つのセンサのうち前記現在の作業手順に対応する特定のセンサによる検知結果に基づいて判定され、
前記現在の作業手順が前記第2の種類の手順である場合、前記現在の作業手順の完了は、前記現在の作業手順を遂行した旨の前記作業者による音声入力に基づいて判定されることを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))などの画像形成装置、およびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置にて異常事象(紙詰まり等)が発生した場合などにおいては、当該画像形成装置にて作業者によって行われるべき作業(紙詰まりの解消作業等)に係る複数の作業手順が順次に当該作業者に案内される。そして、作業者は、画像形成装置による案内に従って各作業手順を順次遂行するとともに、各作業手順の完了後において、たとえば画像形成装置の操作画面に表示された「完了」ボタン(各作業手順の完了を当該画像形成装置に通知するためのボタン)等の押下操作を行う。画像形成装置は、作業者による当該押下操作に基づいて、各作業手順が完了した旨を判定する。
【0003】
ただし、各作業手順の完了後に画像形成装置の操作画面上にて当該「完了」ボタンの押下操作をその都度行うことは、作業者にとって(非常に)煩わしい。
【0004】
この点を考慮した技術として、センサを用いて各作業手順の完了を判定する技術が存在する(特許文献1参照)。これによれば、各作業手順の完了がセンサによる検知結果に基づき自動的に判定されるので、作業者は、各作業手順の完了後において画像形成装置の操作画面上での操作(手動操作)を行うことを要さず、作業者の作業効率を(大幅に)向上させることが可能である。
【0005】
また、各作業手順を遂行した旨の作業者による音声入力に基づいて各作業手順の完了を判定する技術も存在する(特許文献2参照)。これによれば、作業者は、各作業手順の完了後において画像形成装置の操作画面上での操作(「完了」ボタンの押下操作等)を行うことを要さず、作業者の作業効率を向上させることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-230001号公報
【文献】特開2003-215985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1,2に記載の技術では、各作業手順の完了を判定するにあたってセンサと音声入力との一方のみが常に採用されており、作業者の効率性には改善の余地がある。
【0008】
たとえば、特許文献1に記載の技術では、全ての作業手順の完了がセンサを用いて検知されるとは限らず、その完了がセンサを用いて検知されない作業手順が存在する場合は、当該作業手順が作業者によって遂行されたときであっても、当該作業手順が完了した旨は自動的には判定されない。その結果、作業者は、当該作業手順の完了後において画像形成装置の操作画面上での操作(「完了」ボタンの押下操作等)を行うこと(すなわち、煩わしい操作を行うこと)を要する。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術では、作業者は、各作業手順の完了後において画像形成装置の操作画面上で「完了」ボタン等の押下操作を行うことを要しないものの(操作画面上での操作入力よりは簡単に行えるものの)、常に、各作業手順を遂行した旨(各作業手順を完了させた旨)を音声入力しなければならない。
【0010】
そこで、本願発明は、作業者の作業効率をより向上させることが可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、画像形成装置であって、前記画像形成装置にて作業者によって行われるべき作業に係る複数の作業手順を順次に前記作業者に案内するとともに、各作業手順の完了を、前記各作業手順の種類に応じた完了判定手法を用いて判定する案内制御手段と、前記複数の作業手順のうちの少なくとも1つの作業手順の目標状態を検知することが可能な少なくとも1つのセンサと、前記作業者による音声入力を受け付けることが可能な音声入力手段と、を備え、前記複数の作業手順は、第1の種類の手順と第2の種類の手順とに予め分類されており、前記案内制御手段は、前記複数の作業手順のうち現在の作業手順が前記第1の種類の手順である場合、前記現在の作業手順の完了を、前記少なくとも1つのセンサのうち前記現在の作業手順に対応する特定のセンサによる検知結果に基づいて判定し、前記現在の作業手順が前記第2の種類の手順である場合、前記現在の作業手順の完了を、前記現在の作業手順を遂行した旨の前記音声入力に基づいて判定することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る画像形成装置において、前記案内制御手段は、前記現在の作業手順が前記第1の種類の手順である場合、前記現在の作業手順における作業対象部分が前記現在の作業手順の目標状態を有する旨が前記特定のセンサによって検知されることを条件として、前記現在の作業手順が完了した旨を判定することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る画像形成装置において、前記複数の作業手順を前記作業者に案内する情報である複数の作業ガイダンス情報を出力する出力手段、をさらに備え、前記案内制御手段は、前記複数の作業ガイダンス情報を順次に前記出力手段にて出力することによって、前記複数の作業手順を順次に前記作業者に案内することを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3の発明に係る画像形成装置において、前記出力手段は、表示出力手段を含み、前記案内制御手段は、前記表示出力手段を用いて前記複数の作業ガイダンス情報を表示出力することを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項3または請求項4の発明に係る画像形成装置において、前記出力手段は、音声出力手段を含み、前記案内制御手段は、前記音声出力手段を用いて前記複数の作業ガイダンス情報を音声出力することを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項4の発明に係る画像形成装置において、前記案内制御手段は、前記現在の作業手順に関するガイダンス情報の出力が開始されてから所定時間が経過しても前記現在の作業手順が完了した旨が判定されないことを条件として、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨を判定し、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨が判定される場合、前記現在の作業手順をより詳細に案内する情報である詳細ガイダンス情報を前記表示出力手段を用いて表示出力することを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項4の発明に係る画像形成装置において、前記案内制御手段は、前記現在の作業手順に関するガイダンス情報の出力が開始された後に所定の音声入力が受け付けられることを条件として、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨を判定し、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨が判定される場合、前記現在の作業手順をより詳細に案内する情報である詳細ガイダンス情報を前記表示出力手段を用いて表示出力することを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項5の発明に係る画像形成装置において、前記案内制御手段は、前記現在の作業手順に関するガイダンス情報の出力が開始されてから所定時間が経過しても前記現在の作業手順が完了した旨が判定されないことを条件として、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨を判定し、前記複数の作業ガイダンス情報のうち前記現在の作業手順に関する一の作業ガイダンス情報が音声出力された後において、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨が判定される場合、前記一の作業ガイダンス情報を前記音声出力手段を用いて再び音声出力することを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項5の発明に係る画像形成装置において、前記案内制御手段は、前記現在の作業手順に関するガイダンス情報の出力が開始された後に所定の音声入力が受け付けられることを条件として、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨を判定し、前記複数の作業ガイダンス情報のうち前記現在の作業手順に関する一の作業ガイダンス情報が音声出力された後において、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨が判定される場合、前記一の作業ガイダンス情報を前記音声出力手段を用いて再び音声出力することを特徴とする。
【0018】
請求項10の発明は、請求項3から請求項9のいずれかの発明に係る画像形成装置において、前記案内制御手段は、前記現在の作業手順において、前記現在の作業手順とは別の作業が行われた旨が判定される場合、当該別の作業が行われる前の状態に復帰させるための情報である復帰ガイダンス情報を前記出力手段を用いて出力することを特徴とする。
【0019】
請求項11の発明は、請求項1から請求項10のいずれかの発明に係る画像形成装置において、前記複数の作業手順は、前記画像形成装置にて発生した異常事象の解消手順を含むことを特徴とする。
【0020】
請求項12の発明は、請求項1から請求項11のいずれかの発明に係る画像形成装置において、前記複数の作業手順は、前記画像形成装置のメンテナンス手順を含むことを特徴とする。
【0021】
請求項13の発明は、画像形成装置に内蔵されたコンピュータに、a)前記画像形成装置にて作業者によって行われるべき作業に係る複数の作業手順のうちの一の作業手順を前記作業者に案内するステップと、b)前記一の作業手順の完了を、前記一の作業手順の種類に応じた完了判定手法を用いて判定するステップと、c)前記複数の作業手順のうち、前記一の作業手順以外の作業手順についても、前記ステップa)と前記ステップb)とを実行するステップと、を実行させるためのプログラムであって、前記複数の作業手順は、第1の種類の手順と第2の種類の手順とに予め分類されており、前記ステップb)においては、前記複数の作業手順のうち現在の作業手順が前記第1の種類の手順である場合、前記現在の作業手順の完了は、前記複数の作業手順のうちの少なくとも1つの作業手順の目標状態を検知することが可能な少なくとも1つのセンサのうち前記現在の作業手順に対応する特定のセンサによる検知結果に基づいて判定され、前記現在の作業手順が前記第2の種類の手順である場合、前記現在の作業手順の完了は、前記現在の作業手順を遂行した旨の前記作業者による音声入力に基づいて判定されることを特徴とする。
【0022】
請求項14の発明は、請求項13の発明に係るプログラムにおいて、前記ステップb)においては、前記現在の作業手順が前記第1の種類の手順である場合、前記現在の作業手順における作業対象部分が前記現在の作業手順の目標状態を有する旨が前記特定のセンサによって検知されることを条件として、前記現在の作業手順が完了した旨が判定されることを特徴とする。
【0023】
請求項15の発明は、請求項13または請求項14の発明に係るプログラムにおいて、前記ステップa)においては、前記複数の作業手順を前記作業者に案内する情報である複数の作業ガイダンス情報のうち前記現在の作業手順に関する一の作業ガイダンス情報が前記画像形成装置の出力手段にて出力されることによって、前記現在の作業手順が前記作業者に案内されることを特徴とする。
【0024】
請求項16の発明は、請求項15の発明に係るプログラムにおいて、前記出力手段は、表示出力手段を含み、前記ステップa)においては、前記表示出力手段を用いて前記一の作業ガイダンス情報が表示出力されることを特徴とする。
【0025】
請求項17の発明は、請求項15または請求項16の発明に係るプログラムにおいて、前記出力手段は、音声出力手段を含み、前記ステップa)においては、前記音声出力手段を用いて前記一の作業ガイダンス情報が音声出力されることを特徴とする。
【0026】
請求項18の発明は、請求項16の発明に係るプログラムにおいて、d)前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨が判定される場合、前記現在の作業手順をより詳細に案内する情報である詳細ガイダンス情報を前記表示出力手段を用いて表示出力するステップ、を前記コンピュータにさらに実行させ、前記ステップd)は、d-1)前記現在の作業手順に関するガイダンス情報の出力が開始されてから所定時間が経過しても前記現在の作業手順が完了した旨が未だ判定されないことを条件として、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨を判定するステップ、を備えることを特徴とする。
【0027】
請求項19の発明は、請求項16の発明に係るプログラムにおいて、d)前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨が判定される場合、前記現在の作業手順をより詳細に案内する情報である詳細ガイダンス情報を前記表示出力手段を用いて表示出力するステップ、を前記コンピュータにさらに実行させ、前記ステップd)は、d-1)前記現在の作業手順に関するガイダンス情報の出力が開始された後に所定の音声入力が受け付けられることを条件として、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨を判定するステップ、を備えることを特徴とする。
請求項20の発明は、請求項17の発明に係るプログラムにおいて、d)前記一の作業ガイダンス情報が前記ステップa)にて音声出力された後において、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨が判定される場合、前記一の作業ガイダンス情報を前記音声出力手段を用いて再び音声出力するステップ、を前記コンピュータにさらに実行させ、前記ステップd)は、d-1)前記現在の作業手順に関するガイダンス情報の出力が開始されてから所定時間が経過しても前記現在の作業手順が完了した旨が未だ判定されないことを条件として、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨を判定するステップ、を備えることを特徴とする。
請求項21の発明は、請求項17の発明に係るプログラムにおいて、d)前記一の作業ガイダンス情報が前記ステップa)にて音声出力された後において、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨が判定される場合、前記一の作業ガイダンス情報を前記音声出力手段を用いて再び音声出力するステップ、を前記コンピュータにさらに実行させ、前記ステップd)は、d-1)前記現在の作業手順に関するガイダンス情報の出力が開始された後に所定の音声入力が受け付けられることを条件として、前記現在の作業手順にて前記作業者が戸惑っている旨を判定するステップ、を備えることを特徴とする。
【0028】
請求項22の発明は、請求項15から請求項21のいずれかの発明に係るプログラムにおいて、e)前記現在の作業手順において、前記現在の作業手順とは別の作業が行われた旨が判定される場合、当該別の作業が行われる前の状態に復帰させるための情報である復帰ガイダンス情報を前記出力手段を用いて出力するステップ、を前記コンピュータにさらに実行させることを特徴とする。
【0029】
請求項23の発明は、請求項15から請求項22のいずれかの発明に係るプログラムにおいて、前記複数の作業手順は、前記画像形成装置にて発生した異常事象の解消手順を含むことを特徴とする。
【0030】
請求項24の発明は、請求項15から請求項23のいずれかの発明に係るプログラムにおいて、前記複数の作業手順は、前記画像形成装置のメンテナンス手順を含むことを特徴とする。
【0031】
請求項25の発明は、画像形成装置の制御方法であって、a)前記画像形成装置にて作業者によって行われるべき作業に係る複数の作業手順のうちの一の作業手順を前記作業者に案内するステップと、b)前記一の作業手順の完了を、前記一の作業手順の種類に応じた完了判定手法を用いて判定するステップと、c)前記複数の作業手順のうち、前記一の作業手順以外の作業手順についても、前記ステップa)と前記ステップb)とを実行するステップと、を有し、前記複数の作業手順は、第1の種類の手順と第2の種類の手順とに予め分類されており、前記ステップb)においては、前記複数の作業手順のうち現在の作業手順が前記第1の種類の手順である場合、前記現在の作業手順の完了は、前記複数の作業手順のうちの少なくとも1つの作業手順の目標状態を検知することが可能な少なくとも1つのセンサのうち前記現在の作業手順に対応する特定のセンサによる検知結果に基づいて判定され、前記現在の作業手順が前記第2の種類の手順である場合、前記現在の作業手順の完了は、前記現在の作業手順を遂行した旨の前記作業者による音声入力に基づいて判定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
請求項1から請求項25に記載の発明によれば、画像形成装置にて作業者によって行われるべき作業に係る複数の作業手順のうち現在の作業手順が第1の種類の手順である場合、現在の作業手順の完了は、センサによる検知結果に基づいて判定される。一方、現在の作業手順が第2の種類の手順である場合、現在の作業手順の完了は、作業者による音声入力に基づいて判定される。したがって、作業者の作業効率をより向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】画像処理装置(MFP)の外観を示す図である。
【
図3】作業ガイダンス情報の出力制御の概要を示す図である。
【
図4】MFPの動作(作業手順の案内動作)を示すフローチャートである。
【
図5】表示出力された第1手順ガイダンス情報を示す図である。
【
図6】第1手順ガイダンス情報が音声出力される様子を示す図である。
【
図7】表示出力された第2手順ガイダンス情報を示す図である。
【
図8】第2手順ガイダンス情報が音声出力される様子を示す図である。
【
図9】表示出力された第3手順ガイダンス情報を示す図である。
【
図10】第3手順ガイダンス情報が音声出力される様子示す図である。
【
図11】第2実施形態に係るMFPの動作(作業手順の案内動作)を示すフローチャートである。
【
図12】詳細ガイダンス情報の表示処理のサブルーチン処理を示す図である。
【
図13】復帰ガイダンス情報の表示処理のサブルーチン処理を示す図である。
【
図15】変形例に係る第1手順ガイダンス情報を示す図である。
【
図16】変形例に係る第2手順ガイダンス情報を示す図である。
【
図17】変形例に係る第3手順ガイダンス情報を示す図である。
【
図18】変形例に係る第4手順ガイダンス情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
<1.第1実施形態>
<1-1.構成概要>
図1は、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))10の外観を示す図である。
【0036】
【0037】
MFP10は、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能およびボックス格納機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP10は、
図2の機能ブロック図に示すように、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、操作部6、音声入出力部7、状態検知センサ8およびコントローラ(制御部)9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。なお、MFP10は、画像形成装置あるいは画像処理装置などとも称される。
【0038】
画像読取部2は、MFP10の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って(すなわちスキャンして)、当該原稿の画像データ(原稿画像あるいはスキャン画像とも称する)を生成する処理部である。
【0039】
印刷出力部3は、印刷対象に関するデータ(印刷対象データ)に基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
【0040】
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、ネットワークを介したネットワーク通信を行うことも可能である。このネットワーク通信では、たとえば、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP10は、所望の相手先との間で各種のデータを授受することが可能である。通信部4は、各種データを送信する送信部4aと各種データを受信する受信部4bとを有する。
【0041】
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)および半導体メモリ等の記憶装置で構成される。
【0042】
操作部6は、MFP10に対する操作入力(操作パネル部6c等に対する操作入力)を受け付ける操作入力部6aと、各種情報(たとえば作業ガイダンス情報300(後述))の表示出力を行う表示部(表示出力部)6bとを備えている。
【0043】
このMFP10においては、略板状の操作パネル部6c(
図1参照)が設けられている。また、操作パネル部6cは、その正面側にタッチパネル25(
図1参照)を有している。タッチパネル25は、操作入力部6aの一部としても機能するとともに、表示部6bの一部としても機能する。タッチパネル25は、液晶表示パネルに各種センサ等が埋め込まれて構成され、各種情報を表示するとともに操作者からの各種の操作入力を受け付けることが可能である。
【0044】
音声入出力部7(
図1参照)は、音声入力部7a(マイク等)と音声出力部7b(スピーカ等)とを備えている。音声入力部7aは、作業者(ユーザあるいはサービスマン等)によって発せられた音声を認識して当該作業者による音声入力を受け付けることが可能である。音声出力部7bは、作業ガイダンス情報300(後述)の音声出力を行うことが可能である。
【0045】
このMFP10においては、複数の状態検知センサ8が設けられている。当該状態検知センサ8は、MFP10にて作業者によって行われるべき作業に係る複数の作業手順のうちの少なくとも1つの作業手順の目標状態を直接的に検知することが可能なセンサである。
【0046】
たとえば、MFP10にて開閉可能な部材(開閉可能部材)においては、当該開閉可能部材の開閉状態(開状態および閉状態)を直接的に検知することが可能なセンサ(開閉検知センサとも称する)が、状態検知センサ8として設けられている。開閉検知センサは、検知対象の開閉可能部材の開放作業の目標状態(開閉可能部材が開放された状態)を直接的に検知することが可能なセンサ(状態検知センサ8)として用いられるとともに、当該開閉可能部材の閉鎖作業の目標状態(開閉可能部材が閉鎖された状態)を直接的に検知することが可能なセンサ(状態検知センサ8)としても用いられる。なお、開閉可能部材としては、MFP10の右側面に設けられた扉(右扉40(
図3))、MFP10の正面に設けられた扉(前扉60(
図15))および給紙トレイなどが例示される。
【0047】
開閉検知センサは、検知対象部材(検知対象部分)ごとに設けられている。たとえば、右扉40(
図3)には、右扉40の開閉状態を検知するための開閉検知センサ(右扉40用の開閉検知センサ)が状態検知センサ8として設けられており、前扉60(
図15)には、前扉60の開閉状態を検知するための開閉検知センサ(前扉60用の開閉検知センサ)が状態検知センサ8として設けられている。
【0048】
当該開閉検知センサとして、ここでは、フォトセンサが例示される。
【0049】
たとえば、開閉可能部材(たとえば右扉40)が閉状態を有する場合、フォトセンサ(右扉40用のフォトセンサ)においては、発光素子(MFP10の本体側に設けられた発光素子)から発光された光が受光素子(右扉40側に設けられた受光素子)にて受光され、右扉40が閉状態であることが検知される。その後、右扉40が閉状態から開状態へと遷移する(すなわち、右扉40が開けられる)と、右扉40用のフォトセンサにおいては、発光素子から発光された光が受光素子にて受光されなくなり、右扉40が閉状態から開状態に変化したことが検知される。さらにその後、右扉40が開状態から閉状態へと再び遷移する(すなわち、右扉40が閉められる)と、右扉40用のフォトセンサにおいては、発光素子から発光された光が受光素子にて再び受光され、右扉40が開状態から閉状態に変化したことが検知される。
【0050】
なお、ここでは、フォトセンサが開閉検知センサとして用いられているが、これに限定されず、他の種類のセンサ(ジャイロセンサあるいはイメージセンサ等)が開閉検知センサとして用いられてもよい。たとえば、ジャイロセンサが右扉40用の開閉検知センサとして当該右扉40に設けられ、右扉40の開閉時における当該ジャイロセンサによる出力値に基づいて右扉40の開閉状態(開閉角度)が検出されるようにしてもよい。また、イメージセンサ(カメラ等)が右扉40用の開閉検知センサとしてMFP10の上部の天井等に設けられ、右扉40の開閉時における当該イメージセンサによる撮影画像に基づいて右扉40の開閉状態が検出されるようにしてもよい。
【0051】
コントローラ9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPU(Central Processing Unit)(マイクロプロセッサあるいはコンピュータプロセッサなどとも称される)および各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM(登録商標))内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体に記録され、当該記録媒体から読み出されてMFP10にインストールされるようにしてもよい。あるいは、当該プログラムは、ネットワーク等を経由してダウンロードされてMFP10にインストールされるようにしてもよい。
【0052】
具体的には、
図2に示されるように、コントローラ9は、上記のプログラム等の実行により、通信制御部11と入力制御部12と表示制御部13とガイダンス制御部15とを含む各種の処理部を実現する。
【0053】
通信制御部11は、他の装置との間の通信動作を通信部4等と協働して制御する処理部である。
【0054】
入力制御部12は、操作入力部6a(タッチパネル25等)に対する入力動作を制御する制御部である。
【0055】
表示制御部13は、表示部6b(タッチパネル25等)における表示動作を制御する処理部である。
【0056】
ガイダンス制御部(案内制御部とも称される)15は、MFP10にて作業者によって行われるべき作業(一連の作業)に係る複数の作業手順(複数の作業工程)を順次に当該作業者に案内する制御(案内制御)等を実行する処理部である。具体的には、ガイダンス制御部15は、作業ガイダンス情報300(次述)を出力することによって、当該複数の作業手順を順次に作業者に案内する。作業ガイダンス情報300は、当該複数の作業手順を作業者に案内する情報である。当該作業ガイダンス情報300は、作業案内情報などとも称される。また、ガイダンス制御部15は、各作業手順の完了を、各作業手順の種類に応じた完了判定手法を用いて判定する判定動作等をも実行する。
【0057】
なお、ここでは、主にコントローラ9のCPUにてソフトウエアプログラムを実行することによって、上述の各種の動作が実行されているが、これに限定されず、MFP10(詳細には、コントローラ9の内部あるいは外部)にて設けられた専用ハードウエア等を用いて、上述の各種の動作が実行されるようにしてもよい。たとえば、通信制御部11、入力制御部12、表示制御部13およびガイダンス制御部15(
図2)等の全部または一部が、1または複数の専用ハードウエアを用いて実現されてもよい。
【0058】
<1-2.動作>
図3は、作業ガイダンス情報300の出力制御(複数の作業手順の案内制御)の概要を示す図である。ここでは、MFP10において異常事象(詳細には、MFP10の用紙搬送経路上における紙詰まり)が発生したことを想定する。
【0059】
ここにおいて、MFP10にて発生した紙詰まりを解消するために作業者によって行われるべき一連の作業(紙詰まりの解消作業)には、右扉40(
図3)を開ける作業(開放作業)と紙詰まり部分50(
図3)から用紙を取り除く作業(用紙除去作業)と右扉40を閉める作業(閉鎖作業)との3つの要素作業(作業手順)が存在する。
【0060】
このMFP10においては、プログラムの設計者等によって、当該3つの作業手順は、検知対象手順と非検知対象手順との2種類の手順に予め分類されている。検知対象手順は、状態検知センサ8(詳細には、複数の状態検知センサ8のうち現在の作業手順に対応するセンサ)を用いてその完了が検知される作業手順である。非検知対象手順は、状態検知センサ8を用いてその完了が検知されない作業手順である。
【0061】
具体的には、各作業手順が、状態検知センサ8を用いてその完了が検知され得る作業手順であるか否かに応じて、当該3つの作業手順が検知対象手順と非検知対象手順とに分類される。より具体的には、当該3つの作業手順のうち、現在の作業手順に対応するセンサを用いてその完了が検知され得る作業手順(検知可能手順とも称される)は、検知対象手順に分類される。一方、当該3つの作業手順のうち、状態検知センサ8を用いてその完了が検知され得ない作業手順(検知不可手順とも称される)は、非検知対象手順に分類される。なお、これに限定されず、他の基準に基づいて、当該3つの作業手順が検知対象手順と非検知対象手順とに分類されてもよい。
【0062】
ここでは、後述するように、紙詰まりの解消作業に係る複数の作業手順(3つの作業手順)のうち、MFP10の右扉40の開放作業(右扉40を開く作業)および閉鎖作業(右扉40を閉じる作業)は検知対象手順に分類され、用紙除去作業は非検知対象手順に分類される。
【0063】
MFP10は、当該3つの作業手順のうち検知対象手順(ここでは、右扉40の開放作業および閉鎖作業)の完了を、センサによる検知結果に基づいて判定する(
図3参照)。一方、MFP10は、当該3つの作業手順のうち非検知対象手順(ここでは、用紙除去作業)の完了を、作業者による音声入力に基づいて判定する(
図3参照)。
【0064】
このように、各作業手順が検知対象手順と非検知対象手順とのいずれの種類の手順であるかに応じて、各作業手順の完了判定手法が切り換えられる。換言すれば、各作業手順(各要素作業)の完了を判定するにあたって、各作業手順が検知対象手順と非検知対象手順とのいずれであるかに応じてセンサと音声入力とが使い分けられる。
【0065】
このような動作の詳細について、以下に説明する。
【0066】
図4は、MFP10の動作(特に、作業手順の案内動作)を示すフローチャートである。
図4のフローチャートは、MFP10における紙詰まり(異常事象)の発生に応答して開始される。
【0067】
まず、ステップS11においては、MFP10は、MFP10にて作業者によって行われるべき作業に係る複数の作業手順の案内(作業案内)を開始する。
【0068】
具体的には、MFP10は、作業ガイダンス情報300(当該複数の作業手順を当該作業者に案内する情報)の出力を開始する。ここでは、MFP10にて発生した異常事象(紙詰まり)の解消手順を作業者に案内する情報(解消手順情報とも称される)が、作業ガイダンス情報300として出力される。また、ここでは、作業ガイダンス情報300は、タッチパネル25を用いて表示出力(画像出力)されるとともに、音声出力部7bを用いて音声出力される。
【0069】
より具体的には、MFP10は、紙詰まりの解消作業に係る複数の作業手順に関する複数の作業ガイダンス情報301~303(300)(
図3参照)のうち、1番目の作業手順に関する作業ガイダンス情報301(第1手順ガイダンス情報とも称する)の出力(表示出力および音声出力)を開始する。ここでは、1番目の作業手順は、MFP10の右側面に設けられた扉(右扉40(
図3参照))を開ける作業(右扉40の開放作業)である。
【0070】
図5は、表示出力された第1手順ガイダンス情報301を示す図である。
図5に示されるように、MFP10は、1番目の作業手順(右扉40の開放作業)を図(MFPを模した図形)で表現する図形ガイダンスと、当該1番目の作業手順を文字で表現する文字ガイダンス(「右扉を開けてください。」)との双方をタッチパネル25に表示出力する。なお、これに限定されず、当該図形ガイダンスと文字ガイダンスとのうちのいずれか一方のみが表示出力されてもよい。
【0071】
また、
図6は、第1手順ガイダンス情報301が音声出力されている様子を示す図である。
図6に示されるように、MFP10は、1番目の作業手順(右扉40の開放作業)を説明する音声ガイダンス(「右扉を開けてください。」)を音声出力する。
【0072】
これにより、作業者は、1番目の作業手順(右扉40の開放作業)の作業内容を確認する。
【0073】
そして、処理はステップS11からステップS12へと進む。
【0074】
ステップS12においては、MFP10は、現在(現在案内中)の作業手順(ここでは1番目の作業手順)が検知対象手順と非検知対象手順とのいずれであるか、を判定する。そして、MFP10は、現在の作業手順が検知対象手順と非検知対象手順とのいずれであるかに応じて、当該現在の作業手順の完了判定手法を切り換える(決定する)。
【0075】
ここにおいて、このMFP10においては、各作業手順が検知対象手順であるか非検知対象手順であるかが予め登録されている。
【0076】
たとえば、右扉40(右扉40の周辺部分)には、当該右扉40の開放作業の目標状態(右扉40が開放された状態)を検知することが可能な開閉検知センサが状態検知センサ8として設けられており、ここでは、右扉40の開放作業は検知対象手順(検知対象作業)である旨が予め登録されている。このような登録内容に基づいて、1番目の作業手順(右扉40の開放作業)は検知対象手順である(検知対象手順に分類されている)旨がステップS12にて判定される。そして、処理はステップS12からステップS13へと進む。
【0077】
ステップS13においては、MFP10は、状態検知センサ8(ここでは、複数の状態検知センサ8のうち右扉40の開放作業に対応する開閉検知センサ)による検知結果を待機する。換言すれば、検知対象手順(右扉40の開放作業)が完了したか否かが判定される。
【0078】
具体的には、MFP10は、現在の作業手順(検知対象手順)における作業対象部分が当該現在の作業手順の目標状態(現在の作業手順の完了後の状態)へと変化したか否か、を判定する。ここでは、右扉40(1番目の作業手順における作業対象部分)が閉状態から開状態(開放作業の目標状態)へと変化したか否か、が判定される。
【0079】
たとえば、第1手順ガイダンス情報301(
図5,6)に従って作業者が右扉40の開放作業を行う(
図3も参照)と、右扉40用の開閉検知センサ(右扉40の開放作業に対応する開閉検知センサ)は、右扉40が開状態(目標状態)を有する旨を検知する。右扉40が開状態を有する旨の検知結果が取得されると、右扉40が閉状態から開状態(1番目の作業手順の目標状態)へと変化(到達)した旨がステップS13にて判定される。
【0080】
そして、処理はステップS13からステップS16へと進み、MFP10は、現在の作業手順(ここでは1番目の作業手順)が完了した旨を判定する(ステップS16)。
【0081】
このように、現在の作業手順(ここでは右扉40の開放作業)が検知対象手順である場合、現在の作業手順の完了は、状態検知センサ8(詳細には、複数の状態検知センサ8のうち右扉40用の開閉検知センサ)による検知結果に基づいて判定される。
【0082】
そして、処理はステップS16からステップS17へと進み、全ての作業手順が完了したか否かが判定される。ここでは、未完了の作業手順(紙詰まりの解消作業に関する3つの作業手順のうち、1番目の作業手順以外の残余の作業手順(2番目、3番目の作業手順))が存在する旨がステップS17にて判定され、処理はステップS17からステップS18へと進む。
【0083】
ステップS18においては、MFP10は、現在の作業ガイダンス情報300(第1手順ガイダンス情報301)の表示出力を終了するとともに、次の作業手順(残余の作業手順(ここでは2番目の作業手順))の案内を開始する。
【0084】
具体的には、MFP10は、紙詰まりの解消作業に関する複数の作業ガイダンス情報301~303のうち、2番目の作業手順に関する作業ガイダンス情報302(第2手順ガイダンス情報とも称する)の出力(表示出力および音声出力)を開始する。ここでは、2番目の作業手順は、MFP10の用紙搬送経路上における紙詰まり部分50(
図7参照)から用紙を取り除く作業(用紙除去作業)である。
【0085】
図7は、表示出力された第2手順ガイダンス情報302を示す図である。
図7に示されるように、MFP10は、2番目の作業手順(用紙除去作業)を図(MFPを模した図形)で表現する図形ガイダンスと、2番目の作業手順を文字で表現する文字ガイダンス(「紙を取り除いてください。」)とを表示出力する。
【0086】
また、
図8は、第2手順ガイダンス情報302が音声出力されている様子を示す図である。
図8に示されるように、MFP10は、2番目の作業手順を説明する音声ガイダンス(「紙を取り除いてください。」)を音声出力する。
【0087】
そして、2番目の作業手順についても、同様に、当該2番目の作業手順(用紙除去作業)が検知対象手順と非検知対象手順とのいずれであるかがステップS12にて判定される。
【0088】
ここにおいて、MFP10の用紙搬送経路上においては、紙詰まり状態を検知することが可能なセンサ自体は設けられているものの、右扉40の開放作業に伴って、用紙搬送経路上における紙詰まり部分50(すなわち、作業者の手指が接触し得る部分)のセンサは非通電状態に遷移する。その結果、紙詰まりの解消作業中において、当該センサは、用紙除去作業の目標状態(紙詰まり部分50から用紙が取り除かれた状態)を検知することができない(検知動作を行わない)。この点を考慮して、ここでは、用紙除去作業は非検知対象手順(非検知対象作業)である旨が予め登録されている。このような登録内容に基づいて、2番目の作業手順(用紙除去作業)は非検知対象手順である(非検知対象手順に分類されている)旨がステップS12にて判定される。そして、処理はステップS12からステップS14へと進む。
【0089】
ステップS14においては、MFP10は、現在の作業手順を遂行した旨の音声入力を要する旨を作業者に通知する。具体的には、「作業終了後に『オーケー(OK)』と発声してください。」などの音声メッセージが出力される。
【0090】
そして、処理はステップS14からステップS15へと進み、MFP10は、作業者による音声入力(現在の作業手順を遂行した旨の音声入力)を待機する。換言すれば、非検知対象手順(用紙除去作業)が完了したか否かが判定される。具体的には、MFP10は、非検知対象手順(ここでは2番目の作業手順)を遂行した旨の音声入力(作業者による音声入力)が受け付けられたか否か、を判定する。
【0091】
たとえば、第2手順ガイダンス情報302に従って作業者が用紙除去作業を行った後、用紙除去作業を遂行した旨の音声(「OK」)を当該作業者が発する(
図3も参照)と、MFP10の音声入力部7aは、当該音声を認識するとともに作業者による音声入力(現在の作業手順を遂行した旨の音声入力)を受け付ける。
【0092】
作業者による当該音声入力が受け付けられると、処理はステップS15からステップS16へと進み、MFP10は、2番目の作業手順(用紙除去作業)が完了した旨を判定する。
【0093】
このように、現在の作業手順(ここでは用紙除去作業)が非検知対象手順である場合、現在の作業手順の完了は、現在の作業手順を遂行した旨の作業者による音声入力に基づいて判定される。
【0094】
そして、未完了の作業手順(詳細には3番目の作業手順)が存在する旨がステップS17にて判定され、処理はステップS17からステップS18へと進む。
【0095】
その後、ステップS18においては、MFP10は、第2手順ガイダンス情報302の表示出力を終了するとともに、次の作業手順(3番目の作業手順)の案内を開始する。
【0096】
具体的には、MFP10は、紙詰まりの解消作業に関する複数の作業ガイダンス情報301~303(300)のうち、3番目(最後)の作業手順に関する作業ガイダンス情報303(第3手順ガイダンス情報とも称する)の出力(表示出力および音声出力)を開始する。ここでは、3番目の作業手順は、右扉40(
図3参照)を閉める作業(右扉40の閉鎖作業)である。
【0097】
図9は、表示出力された第3手順ガイダンス情報303を示す図である。
図9に示されるように、MFP10は、3番目の作業手順(右扉40の閉鎖作業)を図(MFPを模した図形)で表現する図形ガイダンスと、3番目の作業手順を文字で表現する文字ガイダンス(「右扉を閉めてください。」)とを表示出力する。
【0098】
また、
図10は、第3手順ガイダンス情報303が音声出力されている様子を示す図である。
図10に示されるように、MFP10は、3番目の作業手順を説明する音声ガイダンス(「右扉を閉めてください。」)を音声出力する。
【0099】
そして、3番目の作業手順についても、同様に、当該3番目の作業手順(右扉40の閉鎖作業)が検知対象手順と非検知対象手順とのいずれであるかがステップS12にて判定される。
【0100】
ここでは、右扉40の開放作業と同様に、右扉40の閉鎖作業は検知対象手順である旨が予め登録されており、3番目の作業手順(右扉40の閉鎖作業)は検知対象手順である旨がステップS12にて判定される。そして、処理はステップS12からステップS13へと進む。
【0101】
その後、作業者によって右扉40の閉鎖作業が行われると、MFP10の状態検知センサ8(ここでは、複数の状態検知センサ8のうち右扉40の開放作業に対応する開閉検知センサ(右扉40用の開閉検知センサ))は、右扉40が閉状態(閉鎖作業の目標状態)を有する旨を検知する。右扉40が閉状態を有する旨の検知結果が取得されると、右扉40が開状態から閉状態(閉鎖作業の目標状態)へと変化(到達)した旨がステップS13にて判定される。
【0102】
そして、処理はステップS13からステップS16へと進み、3番目の作業手順が完了した旨が判定される。その後、紙詰まりの解消作業に係る全ての作業手順が完了した旨がステップS17にて判定され、
図4の処理は終了する。
【0103】
以上のように、第1実施形態では、紙詰まりの解消作業における複数の作業手順のうち現在の作業手順(たとえば、右扉40の開放作業)が検知対象手順である場合、現在の作業手順の完了は、現在の作業手順に対応するセンサ(ここでは、右扉40用の開閉検知センサ)による検知結果に基づいて自動的に判定される(
図3も参照)。一方、現在の作業手順(たとえば用紙除去作業)が非検知対象手順である場合、現在の作業手順の完了は、作業者による音声入力(用紙除去作業を遂行した旨の音声入力)に基づいて判定される(
図3も参照)。そのため、作業者は、検知対象手順の完了後においては、作業を遂行した旨を通知するための操作入力(MFP10の操作画面上でのボタン押下操作および音声入力等)を行うことを要さず、非検知対象手順の完了後においては、MFP10の操作画面上でのボタン押下操作よりも簡単な操作入力(音声入力)を行うだけで済む。したがって、作業者の作業効率をより向上させることが可能である。
【0104】
さらに、上記第1実施形態では、作業ガイダンス情報300(作業者によって行われるべき作業に係る複数の作業手順を当該作業者に案内する情報)が音声出力される(
図6,8,10参照)。そのため、作業者は、MFP10の操作画面に表示された作業ガイダンス情報300を見なくとも各作業手順が判る。したがって、作業者の作業効率を更に向上させることが可能である。
【0105】
なお、上記第1実施形態においては、作業ガイダンス情報300(301~303)の出力方法として表示出力(
図5,7,9参照)と音声出力(
図6,8,10参照)との双方が採用されているが、これに限定されず、作業ガイダンス情報300の出力方法として、表示出力と音声出力とのうちの一方のみ(表示出力のみ、あるいは音声出力のみ)が採用されてもよい。
【0106】
<2.第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0107】
この第2実施形態では、上記第1実施形態の動作に加えて、現在の作業手順(現在案内中の作業手順)にて作業者が戸惑っている旨が判定される場合に、当該現在の作業手順をより詳細に案内する情報(詳細ガイダンス情報とも称される)がタッチパネル25に表示出力される。
【0108】
図11は、第2実施形態に係るMFP10の動作(特に、作業手順の案内動作)を示すフローチャートである。
図11においては、状態検知センサ8による検知結果の待機中(ステップS13)においてステップS20Aの処理が実行されるとともに、作業者による音声入力の待機中(ステップS14)においてステップS20Bの処理が実行される。なお、
図11のステップS11~S18の処理内容は、
図4のステップS11~S18の処理内容と同様である。
【0109】
当該ステップS20AおよびステップS20Bにおいては、詳細ガイダンス情報の表示処理が実行される。
【0110】
以下では、ステップS20Aの動作について説明する。ステップS20Aの動作は、現在の作業手順(たとえば1番目の作業手順(右扉40の開放作業))が検知対象手順である旨がステップS12にて判定された後において、状態検知センサ8(ここでは右扉40用の開閉検知センサ)による検知結果の待機中(ステップS13)に実行される。
【0111】
図12は、ステップS20A(詳細ガイダンス情報の表示処理)のサブルーチン処理を示す図である。
【0112】
まず、ステップS21(
図12)においては、MFP10は、現在の作業ガイダンス情報300(ここでは第1手順ガイダンス情報301)の出力(ここでは表示出力(
図5)および音声出力(
図6))が開始されてから所定時間(たとえば30秒)が経過したか否か、を判定する。
【0113】
第1手順ガイダンス情報301の出力が開始されてから所定時間が経過していない場合、
図12の処理(ステップS20A)は終了し、処理は再びステップS13(
図11)へと戻る。そして、右扉40用の開閉検知センサによる検知結果の待機中において、ステップS13,S21の処理が繰り返される。
【0114】
その後、右扉40用の開閉検知センサによる検知結果が取得されることなく、現在の作業ガイダンス情報301の出力(表示出力および音声出力)が開始されてから所定時間が経過すると、処理はステップS21からステップS22へと進む。
【0115】
ステップS22においては、MFP10は、現在の作業手順(ここでは、複数の作業手順のうち1番目の作業手順(右扉40の開放作業))にて作業者が戸惑っている(躊躇している)旨を判定する。詳細には、第1手順ガイダンス情報301の出力が開始されてから所定時間(ここでは30秒)が経過したにもかかわらず、1番目の作業手順(右扉40の開放作業)の目標状態がセンサによって検知されない場合、当該1番目の作業手順にて作業者が戸惑っている旨が判定(推定)される。そして、処理はステップS22からステップS23へと進む。
【0116】
ステップS23においては、MFP10は、現在の作業手順(1番目の作業手順)をより詳細に案内する情報である詳細ガイダンス情報(詳細案内情報とも称される)をタッチパネル25に表示出力する(不図示)。詳細ガイダンス情報としては、たとえば、1番目の作業手順における作業対象部分(右扉40)が作業前の状態(閉状態)から目標状態(開状態)へと徐々に変化していく様子を示す動画像を用いて当該1番目の作業手順を案内する動画ガイダンスなどが例示される。
【0117】
その後、詳細ガイダンス情報を確認した作業者によって1番目の作業手順が行われると、処理はステップS13(
図11)からステップS16へと進む。ステップS16以降の処理は、第1実施形態(
図4)と同様である。
【0118】
なお、ステップS20B(
図11)においても、ステップS20Aと同様にして、
図12のサブルーチン処理が実行される。
【0119】
ステップS20Bの動作は、現在の作業手順(たとえば2番目の作業手順(用紙除去作業))が非検知対象手順である旨がステップS12にて判定された後において、作業者による音声入力の待機中(ステップS15)に実行される。
【0120】
具体的には、ステップS21(
図12)においては、現在の作業ガイダンス情報300(ここでは第2手順ガイダンス情報302)の出力(表示出力(
図7)および音声出力(
図8))が開始されてから所定時間(たとえば30秒)が経過したか否か、が判定される。
【0121】
作業者による音声入力が受け付けられることなく、現在の作業ガイダンス情報302の出力が開始されてから所定時間が経過すると、処理はステップS21からステップS22へと進み、複数の作業手順のうち2番目の作業手順(非検知対象手順)にて作業者が戸惑っている旨が判定される。
【0122】
そして、処理はステップS22からステップS23へと進み、詳細ガイダンス情報がタッチパネル25に表示出力される。
【0123】
その後、詳細ガイダンス情報を確認した作業者によって2番目の作業手順が行われた後において、作業者による音声入力(「OK」)が受け付けられると、処理はステップS15(
図11)からステップS16へと進む。ステップS16以降の処理は、第1実施形態(
図4)と同様である。
【0124】
以上のように、第2実施形態では、現在の作業手順にて作業者が戸惑っている旨が判定される場合、当該現在の作業手順をより詳細に案内する詳細ガイダンス情報が自動的に表示出力される。そのため、作業者は、たとえば当該詳細ガイダンス情報を表示出力させるためのボタン操作(「詳細」ボタン等の押下操作)をMFP10の操作画面上にて行うことを要しない。したがって、詳細ガイダンス情報の表示出力を効率的に実行することが可能である。
【0125】
なお、ここでは、現在の作業ガイダンス情報300の出力が開始されてから所定時間が経過するまでの間に状態検知センサ8による検知結果が取得されない(あるいは、音声入力が受け付けられない)場合に、現在の作業手順にて作業者が戸惑っている旨が判定されている(ステップS21,S22)が、これに限定されない。
【0126】
たとえば、現在の作業手順にて作業者が戸惑っている旨の音声入力が受け付けられた場合に、当該現在の作業手順にて作業者が戸惑っている旨が判定されてもよい。具体的には、現在の作業ガイダンス情報300が出力された後において、「判らない」などの音声入力が受け付けられた場合に、現在の作業手順にて作業者が戸惑っている旨が判定されてもよい。
【0127】
また、上記第2実施形態においては、現在の作業手順にて作業者が戸惑っている旨が判定される場合、詳細ガイダンス情報が表示出力されている(不図示)が、これに限定されない。たとえば、現在の作業手順にて作業者が戸惑っている旨が判定される場合、詳細ガイダンス情報が表示出力される代わりに、現在の作業ガイダンス情報300が再び音声出力されるようにしてもよい。たとえば、複数の作業手順のうちの1番目の作業手順にて作業者が戸惑っている旨が判定される場合、第1手順ガイダンス情報301が再び音声出力される(
図6参照)ようにしてもよい。
【0128】
さらに、現在の作業手順にて作業者が戸惑っている旨が判定される場合、詳細ガイダンス情報が表示出力されるとともに、現在の作業ガイダンス情報300が再び音声出力されるようにしてもよい。
【0129】
<3.第3実施形態>
第3実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0130】
この第3実施形態では、上記第1実施形態の動作に加えて、現在の作業手順において、当該現在の作業手順とは別の作業が行われた旨が判定される場合に、当該別の作業が行われる前の状態(元の状態)に復帰させるための情報(復帰ガイダンス情報500とも称される)が出力される(
図14参照)。
【0131】
図13は、復帰ガイダンス情報500の表示処理のサブルーチン処理を示す図である。当該復帰ガイダンス情報500の出力処理は、第2実施形態における詳細ガイダンス情報の表示処理(ステップS20A,S20B(
図11))と同様に、状態検知センサ8による検知結果の待機中(あるいは、音声入力の待機中)に実行される。
【0132】
まず、ステップS31(
図13)においては、MFP10は、現在の作業手順(たとえば、1番目の作業手順(右扉40の開放作業))において、当該現在の作業手順とは別の作業(すなわち誤作業)が行われたか否かを判定する。
【0133】
具体的には、1番目の作業手順において、1番目の作業手順における作業対象部分とは別の部分の状態変化が状態検知センサ8(詳細には、複数の状態検知センサ8のうち、当該別の部分の状態変化を検知することが可能なセンサ)によって検知された場合、MFP10は、誤作業が行われた旨を判定する。たとえば、1番目の作業手順において、右扉40(1番目の作業手順における作業対象部分)とは別の扉(たとえば前扉60)が開けられたことが状態検知センサ8(当該前扉60用の開閉検知センサ)によって検知された場合、誤作業が行われた旨が判定される。
【0134】
あるいは、1番目の作業手順において、誤作業を行った旨の音声入力(たとえば、「間違えた」との内容の音声入力)が受け付けられた場合、MFP10は、誤作業が行われた旨を判定する。
【0135】
誤作業が行われた旨が判定されると、処理はステップS31からステップS32へと進み、MFP10は、誤作業が行われる前の状態に復帰させるための情報(復帰ガイダンス情報500)を出力(表示出力および音声出力)する。具体的には、MFP10は、誤作業が行われる前(直前)の状態(元の状態)に戻すべき旨のメッセージを、復帰ガイダンス情報500として表示出力する(
図14)とともに音声出力する。
図14は、表示出力された復帰ガイダンス情報500を示す図である。
【0136】
そして、誤作業が行われる前の状態(元の状態)に戻された旨が判定されると、MFP10は、現在の作業手順に関する作業ガイダンス情報300(ここでは第1手順ガイダンス情報301)を再び出力する。具体的には、誤って開けられた前扉60(右扉40とは別の扉)が閉められたことがセンサ(前扉60用の開閉検知センサ)によって検知された場合、あるいは元の状態に戻した旨の音声入力(「戻した」等)が受け付けられた場合、誤作業が行われる前の状態(元の状態)に戻された旨が判定される。そして、現在の作業手順に関する作業ガイダンス情報300が再出力される。
【0137】
以上のように、第3実施形態では、現在の作業手順において、誤作業が行われた旨が判定されると、復帰ガイダンス情報500(
図14参照)が自動的に出力される。
【0138】
特に、現在の作業手順における作業対象部分(たとえば右扉40)とは別の部分(たとえば前扉60)の状態変化が状態検知センサ8(ここでは、前扉60用の開閉検知センサ)によって検知されると、誤作業が行われた旨が判定されるとともに、復帰ガイダンス情報500が自動的に出力される。そのため、作業者は、1番目の作業手順(右扉40の開放作業)において、本来は右扉40を開放すべきであるにもかかわらず、誤って前扉60を開放してしまった場合であっても、誤作業を行ったことを早期に知ることができる。その結果、作業者によって元の状態(前扉60が開放される直前の状態)へと早期に戻される。
【0139】
したがって、現在の作業手順とは別の作業(誤作業)が作業者によって行われた場合において、当該誤作業が行われる前の状態(元の状態)へとより早期に復帰させることが可能である。ひいては、紙詰まりの解消作業(複数の作業手順)全体における作業効率の低下を抑制することが可能である。
【0140】
なお、上記第3実施形態においては、復帰ガイダンス情報500の出力方法として表示出力(
図14)と音声出力との双方が採用されているが、これに限定されず、復帰ガイダンス情報500の出力方法として表示出力と音声出力とのうちの一方のみが採用されてもよい。
【0141】
<4.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記内容のものに限定されるものではない。
【0142】
たとえば、上記各実施形態等においては、MFP10にて発生した異常事象の解消手順を作業者に案内する情報が作業ガイダンス情報300として出力されている(
図5~10)が、これに限定されず、MFP10のメンテナンス手順を作業者に案内する情報(メンテナンス手順情報とも称する)が作業ガイダンス情報300として出力されてもよい。
【0143】
図15~
図18は、トナー(トナーカートリッジ)の交換作業(メンテナンス作業)に関する複数の作業ガイダンス情報300(311~314)を示す図である。このMFP10においては、トナー残量が所定程度を下回った場合、トナーカートリッジの交換作業が要求され、作業者(ユーザあるいはサービスマン等)は、複数の作業ガイダンス情報300(311~314)に従ってトナーカートリッジの交換作業を行う。
【0144】
この改変例においても、第1実施形態と同様に、
図4の各処理が実行される。
【0145】
具体的には、まず、1番目の作業手順に関する作業ガイダンス情報(第1手順ガイダンス情報)311が出力される(ステップS11)。
【0146】
図15は、第1手順ガイダンス情報311を示す図である。第1手順ガイダンス情報311は、トナーカートリッジの交換作業における1番目の作業手順(前扉60の開放作業)を作業者に案内する情報である。ここでは、前扉60には、前扉60の開放作業の目標状態(前扉60の開状態)を検知することが可能な開閉検知センサ(前扉60用の開閉検知センサ)が設けられており、前扉60の開放作業は検知対象手順として予め登録されている。そのため、前扉60の開放作業の完了は、状態検知センサ8(前扉60用の開閉検知センサ)による検知結果に基づいて判定される(ステップS12,S13)。そして、作業者によって前扉60が開けられたことが当該開閉検知センサによって検知されると、前扉60の開放作業が完了した旨がステップS16にて判定され、第2手順ガイダンス情報312(
図16)の出力が開始される(ステップS18)。
【0147】
図16は、第2手順ガイダンス情報(2番目の作業手順に関する作業ガイダンス情報)312を示す図である。第2手順ガイダンス情報312は、トナーカートリッジの交換作業における2番目の作業手順(使用済みのトナーカートリッジ70a(
図16)のロック状態を解除して当該トナーカートリッジ70aを取り出す作業(トナー取出作業とも称する))を作業者に案内する情報である。ここでは、MFP10本体側のトナーカートリッジ取付部分(装着部分)には、トナーカートリッジの装着状態を検知することが可能なセンサ自体は設けられているものの、当該センサは、前扉60の開放作業に伴って非通電状態に遷移する。この点を考慮して、ここでは、トナー取出作業は非検知対象手順として予め登録されており、2番目の作業手順の完了は、作業者による音声入力に基づいて判定される(ステップS12,S14,S15)。そして、トナー取出作業を遂行した旨の音声入力(「OK」)が受け付けられると、トナー取出作業が完了した旨がステップS16にて判定され、第3手順ガイダンス情報313(
図17)の出力が開始される(ステップS18)。
【0148】
図17は、第3手順ガイダンス情報(3番目の作業手順に関する作業ガイダンス情報)313を示す図である。第3手順ガイダンス情報313は、トナーカートリッジの交換作業における3番目の作業手順(新たなトナーカートリッジ70b(
図17)を装着して当該トナーカートリッジ70bをロックする作業(トナー装着作業とも称する))を作業者に案内する情報である。ここでは、トナー取出作業と同様に、トナー装着作業も非検知対象手順として予め登録されており、3番目の作業手順の完了は、作業者による音声入力に基づいて判定される(ステップS12,S14,S15)。そして、トナー装着作業を遂行した旨の音声入力が受け付けられると、トナー装着作業が完了した旨がステップS16にて判定され、第4手順ガイダンス情報314(
図18)の出力が開始される(ステップS18)。
【0149】
図18は、第4手順ガイダンス情報(4番目(最後)の作業手順に関する作業ガイダンス情報)314を示す図である。第4手順ガイダンス情報314は、トナーカートリッジの交換作業における4番目の作業手順(前扉60の閉鎖作業)を作業者に案内する情報である。ここでは、前扉60の開放作業と同様に、前扉60の閉鎖作業は検知対象手順として予め登録されており、前扉60の閉鎖作業の完了は、状態検知センサ8(前扉60用の開閉検知センサ)による検知結果に基づいて判定される(ステップS12,S13)。そして、作業者が前扉60を閉めると、前扉60の閉鎖作業が完了した旨がステップS16にて判定され、トナーカートリッジの交換作業(メンテナンス作業)は終了する。
【符号の説明】
【0150】
10 画像形成装置(MFP)
25 タッチパネル
300 作業ガイダンス情報