(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】サイロ、サイロシステム及びサイロの固体燃料排出方法
(51)【国際特許分類】
E04H 7/22 20060101AFI20220105BHJP
F23K 1/00 20060101ALI20220105BHJP
B65D 90/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
E04H7/22
F23K1/00 Z
B65D90/00 J
(21)【出願番号】P 2018107728
(22)【出願日】2018-06-05
【審査請求日】2020-09-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大池 真人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 貴司
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-151352(JP,A)
【文献】特開平06-239464(JP,A)
【文献】特開平06-107339(JP,A)
【文献】特開平11-035160(JP,A)
【文献】特開昭60-240688(JP,A)
【文献】特開平08-135247(JP,A)
【文献】特開平08-091586(JP,A)
【文献】特開昭62-264131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 7/22
F23K 1/00
B65D 90/00
B65G 69/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体燃料を貯留可能であって、貯留される固体燃料を排出する第1排出口及び第2排出口を有する貯留部と、
前記貯留部に貯留された固体燃料を前記第2排出口に強制的に導くことが可能な強制払い出し手段と、
を有し、
前記第1排出口は貯留された固体燃料を自然流下により前記貯留部外に排出可能な位置に配置され、前記第2排出口は貯留された固体燃料を前記強制払い出し手段の作動により前記貯留部外に排出可能な位置に配置され
ており、
前記貯留部に貯留された固体燃料を自然流下により前記第1排出口に導く斜面部を有し、一部が自然流下による貯留された固体燃料の前記第2排出口からの排出を防ぐよう構成されたホッパー部と、前記第1排出口を開閉する開閉部材とを有することを特徴とするサイロ。
【請求項2】
前記第1排出口から排出された固体燃料及び/または前記第2排出口から排出された固体燃料を、所定の搬送先へ搬送する搬送手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のサイロ。
【請求項3】
前記強制払い出し手段は、前記貯留部内に配置された軸中心に回転可能なブレードと、該ブレードの軸中心を所定方向に移動可能な移動部とを有し、前記ブレードの回転と移動により、貯留された固体燃料を前記第2排出口に導くことを特徴とする請求項1または2に記載のサイロ。
【請求項4】
前記第1排出口から排出された固体燃料を移送するための移送手段を備えることを特徴とする請求項
1~3のいずれか1項に記載のサイロ。
【請求項5】
前記移送手段は、前記固体燃料を一定量毎に分けて移送することが可能な構成を備えることを特徴とする請求項
4に記載のサイロ。
【請求項6】
前記貯留部は、異なる種類の前記固体燃料を分割して貯留することが可能に区分けされていることを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載のサイロ。
【請求項7】
固体燃料を貯留可能であって、貯留される固体燃料を排出する第1排出口及び第2排出口を有する貯留部と、
前記貯留部に貯留された固体燃料を前記第2排出口に強制的に導くことが可能な強制払い出し手段と、
前記第1排出口を開閉する開閉部材と、
を有し、
前記第1排出口は貯留された固体燃料を自然流下により前記貯留部外に排出可能な位置に配置され、前記第2排出口は貯留された固体燃料を前記強制払い出し手段の作動により前記貯留部外に排出可能な位置に配置されたサイロと、
前記貯留部に貯留される固体燃料の物性に基づいて、前記貯留部に貯留された固体燃料の前記貯留部外への排出方法を決定し、決定された排出方法に応じて前記開閉部材と前記強制払い出し手段の作動を制御する制御部と、
を有することを特徴とするサイロシステム。
【請求項8】
前記制御部は、前記貯留部に貯留される固体燃料の物性に基づいて、前記貯留部に貯留された固体燃料の自然流下による前記貯留部外への排出と、前記強制払い出し手段の作動による前記貯留部外への排出を前記第1排出口及び前記第2排出口から行う第1の排出方法と、前記第1排出口を前記開閉部材で閉塞し、前記強制払い出し手段の作動による前記第2排出口からの排出を行う第2の排出方法のいずれかを決定し、
決定された排出方法に応じて前記開閉部材と前記強制払い出し手段との作動を制御することを特徴とする請求項
7に記載のサイロシステム。
【請求項9】
前記貯留部の下部には、前記第1排出口及び前記第2排出口と連通したホッパー部が設けられており、
前記制御部は、前記物性に基づいて算出された固体燃料のマスフロー限界角が、前記ホッパー部のホッパー角以下の場合には前記第1の排出方法を、前記ホッパー部のホッパー角より大きい場合には前記第2の排出方法を決定することを特徴とする請求項
8に記載のサイロシステム。
【請求項10】
前記貯留部の下部には、前記第1排出口及び前記第2排出口と連通したホッパー部が設けられており、
前記制御部は、前記物性に基づいて算出された固体燃料のマスフロー限界角が、前記ホッパー部のホッパー角より大きい場合であるか、もしくは前記固体燃料の閉塞限界径が、前記第1排出口の直径よりも大きい場合には前記第2の排出方法に決定することを特徴とする請求項
8に記載のサイロシステム。
【請求項11】
前記貯留部の下部には、前記第1排出口及び前記第2排出口と連通したホッパー部が設けられており、
前記制御部は、前記物性に基づいて算出された固体燃料のマスフロー限界角が、前記ホッパー部のホッパー角以下であり、且つ前記固体燃料の閉塞限界径が、前記第1排出口の直径以下だった場合には前記第1の排出方法に決定することを特徴とする請求項
8に記載のサイロシステム。
【請求項12】
前記制御部は、前記物性に基づいて算出された固体燃料の前記強制払い出し手段による粉化率が所定値以下の場合、前記第2の排出方法に決定することを特徴とする請求項
11に記載のサイロシステム。
【請求項13】
前記貯留部に貯留される固体燃料の物性情報を前記制御部に入力する入力手段を有し、
前記制御部は、前記入力手段により入力される固体燃料の物性情報に基づいて、前記貯留部に貯留される固体燃料の前記貯留部外への排出方法を決定することを特徴とする請求項
7~
12のいずれか1項に記載のサイロシステム。
【請求項14】
前記物性情報と前記貯留部に貯留される固体燃料を識別する識別情報とを対応付けて記憶した記憶部を有し、
前記制御部は、前記入力手段により特定される固体燃料の識別情報と、前記記憶部で対応付けられた前記物性情報とに基づいて、固体燃料の前記貯留部外への排出方法を決定することを特徴とする請求項
13に記載のサイロシステム。
【請求項15】
固体燃料を貯留可能であって、貯留される固体燃料を排出する第1排出口及び第2排出口を有する貯留部と、
前記貯留部に貯留された固体燃料を前記第2排出口に強制的に導くことが可能な強制払い出し手段と、
前記第1排出口を開閉する開閉部材と、
を有し、
前記第1排出口は貯留された固体燃料を自然流下により前記貯留部外に排出可能な位置に配置され、前記第2排出口は貯留された固体燃料を前記強制払い出し手段の作動により前記貯留部外に排出可能な位置に配置されたサイロの固体燃料排出方法であって、
前記貯留部に貯留される固体燃料の物性情報を取得する工程と、
前記物性情報に基づいて、前記貯留部に貯留された固体燃料の自然流下による前記貯留部外への排出と、前記強制払い出し手段の作動による前記貯留部外への排出とを前記第1排出口及び前記第2排出口から行う第1の排出方法と、前記第1排出口を前記開閉部材で閉塞し、前記強制払い出し手段の作動による前記第2排出口からの排出を行う第2の排出方法のいずれかを決定する工程と、
決定された排出方法で前記貯留部に貯留される固体燃料の前記貯留部外への排出を実行することを特徴とするサイロの固体燃料排出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体燃料を貯留するサイロ、サイロシステム及びサイロの固体燃料排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境問題への取り組みとして低炭素社会の実現が求められている。例えば、石炭を用いて発電を行う火力発電所では、石炭とバイオマス固体燃料とを混焼することによって発電に用いられる石炭の使用量を減らし、CO2を削減する技術が積極的に導入されている。
【0003】
バイオマス固体燃料や石炭などの複数の固体燃料を組み合わせて混焼する場合には、混焼することによって発生する硫黄分や窒素分の濃度調整、及び、硫黄酸化物や窒素酸化物の発生量の均一化を図るために、複数の固体燃料の混合割合の調整が行われる。このため、一般には、固体燃料の物性ごとにサイロを設置して、物性の異なる固体燃料をそれぞれのサイロに貯留し、各サイロから所望の混合割合となるように固体燃料を払い出して混合している(特許文献1など)。また、特許文献2には、物性の異なる複数の固体燃料が貯留可能なように四つの縦型の貯留槽が一体的に形成されたサイロが開示されている。このサイロでは、四つの縦型の貯留槽の底部にそれぞれ設けられた排出口から自然流下によって固体燃料が排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-133749号公報
【文献】特開平7-279476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、石炭を燃料として用いた火力発電所において、バイオマス固体燃料を新たに加える場合には、バイオマス固体燃料を貯留するためのサイロを新たに設置する必要がある。しかしながら、既存の火力発電所の敷地内に新たなサイロを設置する場合、設置スペースが限られているため、用地の確保が容易ではなかった。このため、バイオマス固体燃料を貯留するためのサイロを新たに設置せず、石炭を貯留していたサイロを、バイオマス固体燃料を貯留するためのサイロとして用いることが求められていた。しかしながら、単に石炭とバイオマス燃料とでサイロを共用しても、石炭とバイオマス固体燃料との物性が異なることに起因して、サイロのホッパー部内でバイオマス固体燃料のブリッジが形成されることなどにより、バイオマス固体燃料の払い出し不良が発生するおそれがあり、このような払い出し不良の課題は、石炭とバイオマス固体燃料とに限らず、異なる物性を有する固体燃料の貯留に単一のサイロを共用する場合に生じ得る共通の課題であった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、異なる物性を有する固体燃料の貯留に共用しても適切に固体燃料を払い出すことができるサイロ、サイロシステム及びサイロの固体燃料排出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るサイロは、固体燃料を貯留可能であって、貯留される固体燃料を排出する第1排出口及び第2排出口を有する貯留部と、前記貯留部に貯留された固体燃料を前記第2排出口に強制的に導くことが可能な強制払い出し手段と、を有し、前記第1排出口は貯留された固体燃料を自然流下により前記貯留部外に排出可能な位置に配置され、前記第2排出口は貯留された固体燃料を前記強制払い出し手段の作動により前記貯留部外に排出可能な位置に配置されたことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の一側面は、前記第1排出口から排出された固体燃料及び/または前記第2排出口から排出された固体燃料を、所定の搬送先へ搬送する搬送手段を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の一側面は、前記強制払い出し手段は、前記貯留部内に配置された軸中心に回転可能なブレードと、該ブレードの軸中心を所定方向に移動可能な移動部とを有し、前記ブレードの回転と移動により、貯留された固体燃料を前記第2排出口に導くことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の一側面は、前記貯留部に貯留された固体燃料を自然流下により前記第1排出口に導く斜面部を有し、一部が自然流下による貯留された固体燃料の前記第2排出口からの排出を防ぐよう構成されたホッパー部と、前記第1排出口を開閉する開閉部材とを有することを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の一側面は、前記第1排出口から排出された固体燃料を移送するための移送手段を備えることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の一側面は、前記移送手段は、前記固体燃料を一定量毎に分けて移送することが可能な構成を備えることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の一側面は、前記貯留部は、異なる種類の前記固体燃料を分割して貯留することが可能に区分けされていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明に係るサイロシステムは、固体燃料を貯留可能であって、貯留される固体燃料を排出する第1排出口及び第2排出口を有する貯留部と、前記貯留部に貯留された固体燃料を前記第2排出口に強制的に導くことが可能な強制払い出し手段と、前記第1排出口を開閉する開閉部材と、を有し、前記第1排出口は貯留された固体燃料を自然流下により前記貯留部外に排出可能な位置に配置され、前記第2排出口は貯留された固体燃料を前記強制払い出し手段の作動により前記貯留部外に排出可能な位置に配置されたサイロと、前記貯留部に貯留される固体燃料の物性に基づいて、前記貯留部に貯留された固体燃料の前記貯留部外への排出方法を決定し、決定された排出方法に応じて前記開閉部材と前記強制払い出し手段の作動を制御する制御部と、を有することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の一側面は、前記制御部は、前記貯留部に貯留される固体燃料の物性に基づいて、前記貯留部に貯留された固体燃料の自然流下による前記貯留部外への排出と、前記強制払い出し手段の作動による前記貯留部外への排出を前記第1排出口及び前記第2排出口から行う第1の排出方法と、前記第1排出口を前記開閉部材で閉塞し、前記強制払い出し手段の作動による前記第2排出口からの排出を行う第2の排出方法のいずれかを決定し、決定された排出方法に応じて前記開閉部材と前記強制払い出し手段との作動を制御することを特徴とするものである。
【0016】
また本発明の一側面は、前記貯留部の下部には、前記第1排出口及び前記第2排出口と連通したホッパー部が設けられており、前記制御部は、前記物性に基づいて算出された固体燃料のマスフロー限界角が、前記ホッパー部のホッパー角以下の場合には前記第1の排出方法に、前記ホッパー部のホッパー角より大きい場合には前記第2の排出方法に決定することを特徴とするものである。
【0017】
また本発明の一側面は、前記貯留部の下部には、前記第1排出口及び前記第2排出口と連通したホッパー部が設けられており、前記制御部は、前記物性に基づいて算出された固体燃料のマスフロー限界角が、前記ホッパー部のホッパー角より大きい場合であるか、もしくは前記固体燃料の閉塞限界径が、前記第1排出口の直径より大きい場合には前記第2の排出方法に決定することを特徴とするものである。
【0018】
また本発明の一側面は、前記貯留部の下部には、前記第1排出口及び前記第2排出口と連通したホッパー部が設けられており、前記制御部は、前記物性に基づいて算出された固体燃料のマスフロー限界角が、前記ホッパー部のホッパー角以下であり、且つ前記固体燃料の閉塞限界径が、前記第1排出口の直径以下だった場合には前記第1の排出方法に決定することを特徴とするものである。
【0019】
また本発明の一側面は、前記制御部は、前記物性に基づいて算出された固体燃料の前記強制払い出し手段による粉化率が所定値以下の場合、前記第2の排出方法に決定することを特徴とするものである。
【0020】
また、本発明の一側面は、前記貯留部に貯留される固体燃料の物性情報を前記制御部に入力する入力手段を有し、前記制御部は、前記入力手段により入力される固体燃料の物性情報に基づいて、前記貯留部に貯留される固体燃料の前記貯留部外への排出方法を決定することを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の一側面は、前記物性情報と前記貯留部に貯留される固体燃料を識別する識別情報とを対応付けて記憶した記憶部を有し、前記制御部は、前記入力手段により特定される固体燃料の識別情報と、前記記憶部で対応付けられた前記物性情報とに基づいて、固体燃料の前記貯留部外への排出方法を決定することを特徴とするものである。
【0022】
また、本発明に係るサイロの固体燃料排出方法は、固体燃料を貯留可能であって、貯留される固体燃料を排出する第1排出口及び第2排出口を有する貯留部と、前記貯留部に貯留された固体燃料を前記第2排出口に強制的に導くことが可能な強制払い出し手段と、前記第1排出口を開閉する開閉部材と、を有し、前記第1排出口は貯留された固体燃料を自然流下により前記貯留部外に排出可能な位置に配置され、前記第2排出口は貯留された固体燃料を前記強制払い出し手段の作動により前記貯留部外に排出可能な位置に配置されたサイロを有し、前記貯留部に貯留される固体燃料の物性情報を取得する工程と、前記物性情報に基づいて、前記貯留部に貯留された固体燃料の自然流下による前記貯留部外への排出と、前記強制払い出し手段の作動による前記貯留部外への排出とを前記第1排出口及び前記第2排出口から行う第1の排出方法と、前記第1排出口を前記開閉部材で閉塞し、前記強制払い出し手段の作動による前記第2排出口からの排出を行う第2の排出方法のいずれかを決定する工程と、決定された排出方法で前記貯留部に貯留される固体燃料の前記貯留部外への排出を実行することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るサイロ、サイロシステム及びサイロの固体燃料排出方法は、異なる物性を有する固体燃料の貯留に共用しても適切に固体燃料を払い出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施形態に係るサイロの概略構成を示した図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る三つのホッパー部を上方から見た図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るサイロシステムの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、回転式払い出し機が位置する箇所でホッパー部をホッパー部並び方向と直交する方向から見た図である。
【
図5】
図5は、ホッパー部の要部をホッパー部並び方向から見た図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るサイロにおける固体燃料の受け入れから払い出しまでの一連の流れの一例を示したフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係るサイロにおける固体燃料の払い出し方法の決定制御の一例を示したフローチャートである。
【
図8】
図8は、サイロの貯留槽内に三つのホッパー部を分割するための分割壁を設けた場合を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係るサイロ、サイロシステム及びサイロからの固体燃料の排出方法の一実施形態について説明する。なお、本実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0026】
図1は、実施形態に係るサイロ1の概略構成を示した図である。
図2は、実施形態に係る三つのホッパー部3A,3B,3Cを上方から見た図である。
【0027】
サイロ1は、底部7上に設けられた貯留槽2を有しており、火力発電所で発電のために用いられる異なる物性を有する異種の固体燃料の貯留に、貯留槽2を共用することを意図して設置される。すなわち、サイロ1には、単一の貯留槽2内に、例えば固体燃料として、石炭が貯留されたり、石炭に替えてバイオマス固体燃料が貯留されたりする。なお、異なる物性を有する固体燃料としては、石炭とバイオマス固体燃料とのように種類が異なる固体燃料に限るものではない。例えば、石炭は産地によって物性に違いが生じ得るため、産地が異なった石炭なども、本実施形態においては異なる物性を有する固体燃料として扱う。なお、本実施形態では、一つの貯留槽2には複数種類の固体燃料が混在して貯留されない場合で説明するが、一つの貯留槽2に複数種類の固体燃料が一度に貯留されても良い。
【0028】
図3は、実施形態に係るサイロシステムの構成を示すブロック図である。サイロ1は、火力発電所の敷地内に設置されており、例えば、火力発電所の各施設を一元的に管理可能な制御部200と電気的に接続されたサイロシステムを構成している。そして、制御部200に電気的に接続された入力手段である入力部100からの入力に基づいて、制御部200は、サイロ1における貯留槽2からの固体燃料の払い出しに関する種々の動作、例えば、スライドゲート4A,4B,4Cや回転式払い出し機8A,8B,8Cや振動フィーダ5A,5B,5Cやベルトコンベア6A,6B,6Cや駆動機構90A,90B,90Cなどの動作を制御する。なお、入力部100とサイロ1における貯留槽2からの固体燃料の払い出しに関する種々の動作を制御する制御部200とは、サイロ1に一体的に構成されているものであっても、サイロ1とは別体で有線接続や無線通信で接続されたものであっても良い。また、入力部100及び制御部200は、上記機能を制御する専用の装置ではなく他の機能と共用して用いられる端末装置(携帯端末やパーソナルコンピュータ)で構成されるものであっても良い。
【0029】
図1に示すように、サイロ1においては、貯留槽2内に三つのホッパー部3A,3B,3Cが横に並んで設けられている。なお、以下の説明においては、貯留槽2内で三つのホッパー部3A,3B,3Cが並んでいる方向をホッパー部並び方向という。サイロ1では、三つのホッパー部3A,3B,3Cの構成は同じため、以下ではホッパー部3Aの構成について説明し、ホッパー部3B,3Cの構成については説明を省略する。
【0030】
ホッパー部3Aは、
図1に示すように、サイロ高さ方向下側に向かうに連れて間隔が狭くなるように対向した二つのホッパー斜面部301A,302Aと、ホッパー斜面部301A,302Aの下端と繋がった平面状のホッパー底部32Aと、ホッパー斜面部301A,302A及びホッパー底部32Aによって囲まれた空間に設けられたコーンバッフル31Aとによって構成されている。
図2に示すように、ホッパー斜面部301A,302Aとホッパー底部32Aとコーンバッフル31Aとは、ホッパー部並び方向と直交する方向に延在している。
図1に示すように、コーンバッフル31Aの上部は、ホッパー部並び方向の断面が三角形であり、頂部311Aと、サイロ高さ方向下側に向かうに連れてホッパー斜面部301Aとの間隔が狭くなるように傾斜した斜面312Aと、サイロ高さ方向下側に向かうに連れてホッパー斜面部302Aとの間隔が狭くなるように傾斜した斜面313Aとを有している。
【0031】
図2に示すように、ホッパー底部32Aにおけるホッパー斜面部301Aとコーンバッフル31Aとの間に位置する部分には、ホッパー部3A内の固体燃料を自然流下によって貯留槽2外に排出するための円形状の複数の自然流下用排出口33Aが、ホッパー部並び方向と直交する方向に所定間隔をあけて設けられている。これら自然流下用排出口33Aのそれぞれには、駆動手段である駆動機構90Aによって駆動されて、自然流下用排出口33Aの開口が可能な開閉部材であるスライドゲート4A(
図1参照)が設けられている。また、
図1に示すように、ホッパー底部32Aにおけるコーンバッフル31Aの下方に位置する部分には、ホッパー部3A内の固体燃料を後述する強制払い出し手段によって強制的に払い出すための強制払い出し用排出口34Aが設けられている。この強制払い出し用排出口34Aは、ホッパー部並び方向と直交する方向に長尺な長方形の開口である。なお、ホッパー部のコーンバッフル31Aの下方端部とホッパー底部32Aとの間の隙間は、貯留される固体燃料が強制払い出し手段による強制払い出しが作動していない場合に、自然流下により強制払い出し用排出口34Aから排出しないような隙間寸法で構成されている。
【0032】
図1に示すように、強制払い出し用排出口34Aの下方には、固体燃料を搬送するためのベルトコンベア6Aが設けられている。強制払い出し用排出口34Aから払い出された固体燃料は、ベルトコンベア6A上に落下して、ベルトコンベア6Aによって搬送先に搬送される。また、自然流下用排出口33Aの下方には、自然流下用排出口33Aから払い出された固体燃料を、ベルトコンベア6Aに移送するための移送手段である定量切り出しフィーダとしての振動フィーダ5Aが設けられている。自然流下用排出口33Aから払い出された固体燃料は、振動フィーダ5Aによって振動を加えられながら一定量毎に分けられてベルトコンベア6A上に移送され、ベルトコンベア6Aによって搬送先に搬送される。なお、本実施形態においては、固体燃料を一定量毎に分けて移送する手段として振動フィーダを例として説明しているが、他の定量移送手段、例えば既に公知のものとして、一定量をベルトコンベアに向けて払い出す払い出しフィーダや、チェーンコンベアであっても良い。
【0033】
図4は、回転式払い出し機8Aが位置する箇所でホッパー部3Aをホッパー部並び方向と直交する方向から見た図である。
図5は、ホッパー部3Aの要部をホッパー部並び方向から見た図である。なお、サイロ1においては、ホッパー部3A,3B,3Cにそれぞれ設けられた回転式払い出し機の構成は同じため、ホッパー部3Aに設けられた回転式払い出し機8Aを例に挙げて説明する。
【0034】
図4に示すように、ホッパー部3Aには、強制払い出し用排出口34Aの上方であって、一部がコーンバッフル31Aに内包された回転式払い出し機8Aが設けられている。また、ホッパー部3Aには、回転式払い出し機8Aが強制払い出し用排出口34Aの上方を往復移動可能なように、コーンバッフル31Aの下部にレール9Aが強制払い出し用排出口34Aに沿って設けられている。
【0035】
回転式払い出し機8Aは、複数のブレードを有するホイール81Aと、ホイール81Aの回転軸82Aと、回転軸82Aが接続された駆動部83Aと、レール9A上を走行可能な車輪84Aと、強制払い出し用排出口34を通してベルトコンベア6上に固体燃料を落下させるためのガイドシュート85Aとを備えている。ホイール81Aは、回転軸82Aを中心に駆動部83Aからの回転駆動力によって回転し、ホイール81Aの回転面とホッパー底部32Aの上面とが略平行となっている。そして、回転式払い出し機8Aは、ホイール81Aを回転させながら、駆動部83Aからの駆動力によって車輪84Aを駆動させてレール9上を往復移動することにより、ホッパー部3A内の固体燃料を掻き集めて強制払い出し用排出口34Aから強制的に払い出すことができる。
【0036】
強制払い出し用排出口34Aの下方に設けられたベルトコンベア6Aは、
図5に示すように、回転式払い出し機8Aの移動方向であるホッパー部並び方向と直交する方向に延在するベルト61Aと、ベルト61Aを搬送する複数の搬送ローラ62Aと、複数の搬送ローラ62Aのうちの少なくとも1つを回転駆動させるための不図示の駆動装置とを備えている。そして、強制払い出し用排出口34Aから強制的に払い出された固体燃料は、ガイドシュート85A内を通ってベルトコンベア6Aのベルト61A上に落下する。
【0037】
また、
図5に示すように、ホッパー部3Aの自然流下用排出口33Aの下方に設けられた振動フィーダ5Aは、サブホッパー部51Aとフィーダ部52Aと不図示の発振部とを有している。スライドゲート4Aによって開口された自然流下用排出口33Aから払い出された固体燃料は、サブホッパー部51Aから、ベルトコンベア6Aに向かって下方に傾斜したフィーダ部52Aに流れ落ち前記発振部によってフィーダ部52Aで振動を加えられながら一定量毎にベルトコンベア6Aのベルト61A上へ移送される。
【0038】
なお、ホッパー部3Aでは、自然流下用排出口33Aと強制払い出し用排出口34Aとで単一のベルトコンベア6Aを兼用しているが、これに限るものではない。すなわち、自然流下用排出口33Aと強制払い出し用排出口34Aとにそれぞれ対応させて、ホッパー部3Aに二つのベルトコンベア6Aを設けても良い。
【0039】
サイロ1においては、貯留槽2内に貯留する固体燃料に応じて固体燃料の払い出し方法を、第1の払い出しモードと第2の払い出しモードとのどちらかに選択的に切り替え可能となっている。なお、以下の説明においては、上述したようにサイロ1の貯留槽2内に設けられた三つのホッパー部3A,3B,3Cの構成が同じため、それぞれを区別するために各要素の符号に付した添え字「A」,「B」,「C」を省略する。
【0040】
第1の払い出しモードでは、スライドゲート4によって自然流下用排出口33を開口させて、ホッパー部3内の固体燃料を自然流下によって自然流下用排出口33から払い出す自然流下払い出しと、回転式払い出し機8を作動させてホッパー部3内の固体燃料を強制的に強制払い出し用排出口34から払い出す強制払い出しとを併せて行うモードである。ホッパー部3では、自然流下用排出口33との位置関係などによって、コーンバッフル31の斜面313とホッパー斜面部301,302との間に存在する固体燃料などを自然流下用排出口33から払い出すことができず、ホッパー部3内に固体燃料が残留してしまう。そのため、第1の払い出しモードでは、以下のように自然流下払い出しと強制払い出しとを併用する。
(1)まず、回転式払い出し機8を停止させた状態で、自然流下用排出口33を開口させて自然流下によって可能な限りホッパー部3内の固体燃料を自然流下用排出口33から排出する。
(2)その後、スライドゲート4によって自然流下用排出口33を閉塞し、回転式払い出し機8を作動させて、ホッパー部3内に残留した固体燃料を強制的に強制払い出し用排出口34から払い出す。
【0041】
なお、自然流下払い出しから強制払い出しへの切り替えは、例えば、自然流下用排出口33から固体燃料が排出されなくなったことを、自然流下用排出口33の下方近傍に設けられた不図示の固体燃料検知センサによって検知された場合に行えば良い。この固体燃料検知センサとしては、例えば、自然流下用排出口33からの固体燃料の落下経路を挟むように対向して設けられた発光素子と受光素子とを有するものを用いることができる。そして、固体燃料検知センサは、発光素子からの光を受光素子が受光しているときに、自然流下用排出口33から固体燃料が排出されていないことを検知する。また、固体燃検知センサは、発光素子からの光が受光素子で受光されないときに、自然流下用排出口33から固体燃料が排出されていることを検知する。
【0042】
第2の払い出しモードでは、スライドゲート4によって自然流下用排出口33を閉塞した状態で回転式払い出し機8を作動させ、ホッパー部3内の固体燃料を強制払い出し用排出口34のみから強制的に払い出すものである。
【0043】
ここで、ホッパー部3のホッパー斜面部301,302の水平に対する角度であるホッパー角は、ホッパー部3内での固体燃料によるブリッジ形成やファンネルフローを抑制するために、貯留槽2内に貯留する予定の全ての種類の固体燃料に対して、固体燃料のマスフローが生じる限界角であるマスフロー限界角よりも大きいことが望ましい。しかしながら、固体燃料の物性によってはホッパー角をマスフロー限界角よりも大きくすると、ホッパー斜面部301,302が急角度の斜面になり過ぎて、同じ設置面積に対するホッパー部3の容量が著しく少なくなってしまう。その結果、貯留槽2全体で固体燃料を貯留することが可能な容量が少なくなり過ぎてしまい経済性の悪化を招いてしまう。
【0044】
そのため、サイロ1においては、貯留槽2に貯留する予定の全ての種類の固体燃料のうち、少なくとも1種類の固体燃料に対してマスフロー限界角よりも大きく、且つ、ホッパー部3の容量が経済性を有するようなホッパー角で設計されている。しかしながら、貯留される固体燃料の物性によっては、設計されているサイロ1のホッパー角に対するマスフロー限界角が大きくなるような場合があり、その場合、貯留される固体燃料によって上述した経済性の悪化が依然として解消できない。したがって、複数の固体燃料の貯留を共用するサイロ1における、このような経済性の悪化の問題を、貯留される固体燃料の払い出しの方法を適した払い出し方法で実行することにより解消するものである。
【0045】
すなわち、貯留槽2内に貯留する予定の全ての種類の固体燃料の物性を、所定の物性試験によって予め求めておき、その求めた固体燃料の物性に基づいて算出される当該固体燃料のマスフロー限界角が、設計されているホッパー角以下の場合には上述した第1の払い出しモードで払い出しを実行し、ホッパー角より大きい場合には第2の払い出しモードで払い出しを実行する。例えば、貯留槽2を石炭とバイオマス固体燃料との貯留に共用する場合、貯留槽2内に石炭を貯留したときには、第2の払い出しモードによって払い出しを実行し、貯留槽2内にバイオマス固体燃料を貯留したときには、第1の払い出しモードによって払い出しを実行する。
【0046】
なお、制御部200が有する不図示の記憶部に、固体燃料の物性と、その物性によって決定される払い出し方法(第1の払い出しモードまたは第2の払い出しモード)との関係を、予めルックアップテーブルなどによって記憶させておいても良い。その場合、入力部100から固体燃料の物性情報が入力されると、制御部200が入力された物性情報に基づいてルックアップテーブルで対応付けられた払い出し方法(第1の払い出しモードまたは第2の払い出し方法)を選択、決定するようにしても良い。また入力部100からの入力は物性情報を直接入力するものの他、記憶部で登録されている前記物性情報と関連付けられた、固体燃料を識別する識別情報(ID)の形で入力するものであっても良く、その場合、入力されたIDに関連付けられた前記物性情報が制御部200に入力される構成となる。
【0047】
次に、サイロ1における固体燃料の受け入れから払い出しまでの一連の流れについて説明する。
図6は、実施形態に係るサイロ1における固体燃料の受け入れから払い出しまでの一連の流れの一例を示したフローチャートである。
【0048】
まず、サイロ1の貯留槽2に固体燃料を受け入れる(ステップS1)。次に、制御部200は、貯留槽2に受け入れた固体燃料の物性を、所定の物性試験によって予め検出した物性データを用いて確認する(ステップS2)。なお、前記所定の物性試験としては、例えば、貯留槽2に受け入れる固体燃料の一部を抜き取って、圧密状態における固体燃料の摩擦力や嵩密度などの物性データを検出する。次に、制御部200は、貯留槽2に受け入れた固体燃料の物性に基づいて、固体燃料の払い出し条件を決定する(ステップS3)。なお、固体燃料の払い出し条件とは、自然流下方式によって固体燃料を払い出すときに生じ得る、固体燃料によるホッパー部3内でのブリッジ形成や自然流下用排出口33の閉塞などのトラブルを回避するための条件である。そして、固体燃料の払い出し条件としては、例えば、前述したように固体燃料の物性に基づいて算出されたマスフロー限界角と閉塞限界径である。なお、閉塞限界径は、固体燃料によって閉塞が生じる限界の自然流下用排出口33の直径であり、閉塞限界径よりも小さい直径の場合に自然流下用排出口33の閉塞が生じる。次に、制御部200は、固体燃料の物性に基づいて算出した固体燃料の払い出し条件に基づいて、固体燃料の払い出し方法を第1の払い出しモードと第2の払い出しモードとのどちらかに決定する(ステップS4)。
【0049】
図7は、
図6のステップS4における固体燃料の払い出し方法の決定制御の一例を示したフローチャートである。まず、制御部200は、予め確認した固体燃料の物性に基づいて、固体燃料を自然流下による払い出しが可能か否かを判断する(ステップS41)。例えば、制御部200は、算出したマスフロー限界角が設計されているホッパー角より大きいか、算出した閉塞限界径が設計されている自然流下用排出口33の直径よりも大きいか、の少なくとも一方であるときに、固体燃料を自然流下によって払い出し可能ではない(ステップS41でNo)と判断する。一方、制御部200は、算出したマスフロー限界角が設計されているホッパー角以下、且つ、算出した閉塞限界径が設計されている自然流下用排出口33の直径以下のときに、固体燃料を自然流下によって払い出し可能である(ステップS41でYes)と判断する。そして、固体燃料を自然流下によって払い出し可能であると判断した場合(ステップS41でYes)、予め制御部200の記憶部に記憶されている固体燃料毎に登録されたサイロ1の回転式払い出し機8により粉砕される可能性を数値化した値(粉化率)を参照し、貯留されている固体燃料の粉化率が所定値α以下か否かを判断する(ステップS42)。
【0050】
この粉化率判断ステップ(ステップS42)は、仮に固体燃料の強制的払い出しを行った場合に、回転しているホイール81によって固体燃料が粉砕されて粉化されるおそれがあるかどうかを判断するステップである。固体燃料が粉砕されると、払い出したときやベルトコンベア6による搬送中などに、固体燃料の粉塵が舞ってベルトコンベア6の周辺に堆積するなどの不具合が生じ得る。したがって、当該判断ステップにてそのような不具合が発生する可能性を判断し、より迅速に貯留部外への払い出しが行える第2払い出しモードでの実施が可能かどうかを判断するものである。なお、粉化率とは、ペレット燃料の量の内、粉化したものの量の比率(%)を示すものである。ここでは、この粉化率(%)を粉砕された固体燃料の度合いを判断する指標として用いており、所定値αは使用される回転式払い出し機8やベルトコンベア6の構成、貯留される固体燃料の物性等を考慮して設定される粉化率の値である。
【0051】
そして、所定値α以下と判断できる場合(ステップS42でYes)、すなわち強制払い出しを実行しても固体燃料の粉砕のおそれが低い固体燃料と判断できる場合には、第2の払い出しモードに決定する(ステップS44)。一方、所定値α以下と判断できない場合(ステップS42でNo)、強制払い出しによる粉砕のおそれが低いとはいえないと判断し、第1の払い出しモードに決定する(ステップS43)。
【0052】
なお、本実施形態のフローチャートでは、上述した粉化判断ステップ(ステップS42)を通しているが、サイロ1の構成や排出速度等によっては当該判断は行わず、自然流下による払い出しが可能か否かの判断ステップ(ステップS41)で、そのまま第1の払い出しモードか第2の払い出しモードかを決定するものであっても良い。すなわち、自然流下による払い出しが可能と判断した場合(ステップS41でYes)には、第1の払い出しモードに決定し、自然流下による払い出しが可能でないと判断した場合(ステップS41でNo)には、第2の払い出しモードに決定するものであっても良い。
【0053】
図6に戻って、このようにして、制御部200が固体燃料の払い出し方法を決定した後は、固体燃料の払い出し要求があるまで固体燃料を貯留槽2で保管する(ステップS5)。そして、固体燃料の払い出し要求があったら、制御部200はスライドゲート4または回転式払い出し機8を作動させて、決定した固体燃料の払い出し方法により貯留槽2から固体燃料を払い出す(ステップS6)。
【0054】
このようにサイロ1においては、固体燃料を自然流下によって払い出すための自然流下用排出口33と、固体燃料を回転式払い出し機8によって強制的に払い出すための強制払い出し用排出口34とを設けて、固体燃料の物性に応じて、固体燃料の払い出しモードを第1の払い出しモードと第2の払い出しモードとのどちらかを制御部200が選択して決定する。これにより、異なる物性を有する固体燃料の貯留に貯留槽2を共用しても、適切に固体燃料を払い出すことが可能となる。
【0055】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、
図8に示すように、サイロ1の貯留槽2内には、三つのホッパー部3A,3B,3Cをホッパー部並び方向で区分けするための分割壁20A,20Bを設けても良い。これにより、サイロ1の貯留槽2内に物性の異なる複数種類の固体燃料を分割して同時に貯留することが可能となる。また、サイロ1の貯留槽2にホッパー部3を一つだけ設けて、貯留槽2内に物性の異なる複数種類の固体燃料を分割して同時に貯留することが可能なように、貯留槽2内を分割壁などによって区分けしても良い。
【符号の説明】
【0056】
1 サイロ
2 貯留槽
3,3A,3B,3C ホッパー部
4,4A,4B,4C スライドゲート
5A,5B,5C 振動フィーダ
6,6A,6B,6C ベルトコンベア
8,8A,8B,8C 回転式払い出し機
20A,20B 分割壁
33,33A,33B,33C 自然流下用排出口
34,34A,34B,34C 強制払い出し用排出口
90A,90B,90C 駆動機構
100 入力部
200 制御部