(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】物品搬送車
(51)【国際特許分類】
B65D 43/02 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
B65D43/02
(21)【出願番号】P 2018214036
(22)【出願日】2018-11-14
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】沖田 修
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴紀
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-082181(JP,A)
【文献】特開2005-067727(JP,A)
【文献】特開2018-115672(JP,A)
【文献】実開昭52-097890(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2006/0237924(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/02
B65D 45/02
B65D 53/10
B65D 85/84
H01L 21/68
B61D 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を有すると共に液体が収容された容器を搬送する物品搬送車であって、
前記容器が載置される載置部と、
前記載置部に載置された前記容器の前記開口部を塞ぐ塞ぎ位置と前記塞ぎ位置よりも上方に位置して前記開口部を開放する開放位置との間で昇降する蓋部と、
前記蓋部を昇降駆動する駆動部と、を備え、
前記蓋部は、基部と、前記開口部の端縁である開口端部に接触する押え面に設けられて前記液体と反応しない材質の保護部材と、側方から前記基部に螺合して前記基部に前記保護部材を固定する複数の締結部材と、前記締結部材の落下を防止する落下防止部と、を備え、
前記落下防止部は、上下方向視で前記締結部材と重複するように配置され、前記締結部材よりも下方において前記基部よりも外側に突出すると共に、上方に向けて開口する溝部を備える、物品搬送車。
【請求項2】
前記載置部は、規定の搬送方向に前記容器を搬送するコンベヤを備え、
前記落下防止部は、前記基部の側面における、前記コンベヤの前記搬送方向に交差する方向に延在する部分である交差側面部に設けられている、請求項1に記載の物品搬送車。
【請求項3】
前記落下防止部における前記基部から外側に突出する方向を突出方向として、前記溝部の前記突出方向の幅は、前記締結部材の全長よりも長い、請求項1又は2に記載の物品搬送車。
【請求項4】
前記落下防止部は、前記基部よりも外側に突出する側において上方に立ち上がって前記溝部を形成する外側壁部を備え、
前記外側壁部は、前記押え面に沿った側方視において、前記締結部材と重複していない、請求項1から3の何れか一項に記載の物品搬送車。
【請求項5】
前記基部と前記保護部材とは、上下方向視で同一形状であり、
前記蓋部は、前記保護部材を前記基部に固定するための固定部材を更に備え、
前記固定部材は、前記基部の側面に沿って配置されていると共に、前記基部の側面と前記保護部材の側面とに接触する第1面と前記保護部材の下面に接触する第2面とを有し、
前記落下防止部は、前記基部に対して前記固定部材よりも外側に設置され、
前記落下防止部と前記固定部材とが、前記締結部材によって前記基部の側面に対して共締めされている、請求項1から4の何れか一項に記載の物品搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上面に開口部を有すると共に液体が収容された容器を搬送する物品搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005-82181号公報には、液体が収容された搬送容器(5)を、搬送容器(5)に蓋をした状態で搬送する搬送車両(1)(物品搬送車)が開示されている(背景技術において括弧内の符号は参照する文献のもの。)。搬送容器(5)は、搬送車両(1)に備えられたローラコンベヤ(31)に載置した状態で搬送され、搬送容器(5)の搬送先及び搬送元では、ローラコンベヤ(31)の上の搬送容器(5)をスライドさせることによって、搬送容器(5)を移載する。搬送容器(5)の蓋(13)は、搬送車両(1)に搭載されて蓋(13)を昇降可能な蓋装置(8)によって実現されている。蓋装置(8)において、蓋(13)は、蓋本体部(13a)と、下方に突出した四角錐状の膨出部(13b)とを備えて構成されている。搬送途中で液体が跳ねた場合には、膨出部(13b)の側面に沿って滴が下方に流れ、膨出部(13b)の先端から液体が搬送容器(5)の中に落下する。これにより、蓋(13)に液体が残留しにくくなり、蓋(13)を外して搬送容器(5)を移動させた後、蓋(13)の下面に付着した液体がローラコンベヤ(31)に落下することを抑制することができる。
【0003】
このように、搬送容器(5)を搬送する際には、搬送容器(5)の内部に収容された液体が跳ねて、蓋(13)の下面に接触することがある。例えば、蓋(13)と液体とが化学反応を生じる組成の場合、液体を汚染してしまうおそれがある。このため、このような蓋の下面に液体とは反応しない材質の保護部材を貼ることがある。この保護部材は、例えば接着剤等によって蓋本体部(13a)に貼り付けることも可能であるが、経年劣化等を考慮して、ボルトなどの締結部材を用いて取り付けられる場合もある。締結部材は、搬送容器(5)の搬送途中に締結部材が緩んだ場合でも、搬送容器(5)の内部(液体の中)に落下しないような位置に設けられる。しかし、蓋(13)を上昇させてローラコンベヤ上を搬送容器(5)が移動している状態では、緩んだ締結部材が搬送容器(5)の内部に落下し得る位置関係となる場合がある。このような場合において、締結部材が搬送容器(5)の内部に落下すると、締結部材によって搬送容器(5)の内部の液体が汚染されるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記背景に鑑みて、液体が充填された容器を、容器に蓋をした状態で搬送する物品搬送車において、蓋に取り付けられた締結部材が液体の中に落下しないような構造が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた、上面に開口部を有すると共に液体が収容された容器を搬送する物品搬送車は、1つの態様として、前記容器が載置される載置部と、前記載置部に載置された前記容器の前記開口部を塞ぐ塞ぎ位置と前記塞ぎ位置よりも上方に位置して前記開口部を開放する開放位置との間で昇降する蓋部と、前記蓋部を昇降駆動する駆動部と、を備え、前記蓋部は、基部と、前記開口部の端縁である開口端部に接触する押え面に設けられて前記液体と反応しない材質の保護部材と、側方から前記基部に螺合して前記基部に前記保護部材を固定する複数の締結部材と、前記締結部材の落下を防止する落下防止部と、を備え、前記落下防止部は、上下方向視で前記締結部材と重複するように配置され、前記締結部材よりも下方において前記基部よりも外側に突出すると共に、上方に向けて開口する溝部を備える。
【0007】
締結部材は、側方から基部に螺合するため、蓋部が塞ぎ位置にある状態においては、液体と接触することはない。また、蓋部が開放位置にある状態においても、蓋部の直下に容器が載置されている状態では、上下方向視で、締結部材と容器の開口部とが重複しないため、締結部材が抜け落ちたとしても、その締結部材が容器に収容された液体の中に落下する可能性は低い。一方、蓋部が開放位置にある状態において、蓋部の下方で容器が移動している場合には、上下方向視で、締結部材と容器の開口部とが重複する場合がある。この状態で、締結部材が抜け落ちると、締結部材が容器に収容された液体の中に落下し、液体を汚染するおそれがある。しかし、本構成によれば、締結部材よりも下方において基部よりも外側に突出すると共に、上方に向けて開口する溝部を有した落下防止部が備えられている。締結部材が抜け落ちた場合、当該締結部材は、溝部に受け止められて、落下防止部よりも下方には落下しない。従って、蓋部と容器との位置関係に拘わらず、締結部材が容器に収容された液体の中に落下することが防止される。このように、本構成によれば、液体が充填された容器を、容器に蓋をした状態で搬送する物品搬送車において、蓋に取り付けられた締結部材が液体の中に落下しないような構造を提供することができる。
【0008】
物品搬送車のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】搬送先又は搬送元と物品搬送車との間で容器を移載する説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、物品搬送車の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、物品搬送車10の斜視図であり、
図2は、物品搬送車10による搬送対象の容器9の斜視図である。本実施形態では、例えば半導体工場においてシリコンウエハ(不図示)を容器9の中で液体LQに浸した状態で搬送する無軌道自走式の物品搬送車10を例として説明する。しかし、物品搬送車10は、軌道上を走行するものであってもよい。また、搬送対象の物品としての容器9には、シリコンウエハと、それを浸す液体LQとが収容されている形態に限らず、他の固形物とそれを浸す液体LQが収容されている形態であってもよいし、液体LQのみを収容する形態であってもよい。
【0011】
以下、物品搬送車10が直進する際の走行方向に沿った方向を前後方向Y、水平面に沿うと共に前後方向Yに直交する方向を横幅方向X、水平面に直交する方向を上下方向Zとして説明する。物品搬送車10は、床面上を走行可能な走行車輪19を有する自走式の台車本体15と、台車本体15の上面に設けられて容器9が載置される載置部11と、台車本体15の前端及び後端において上面から上方Z1に向けて立設された一対の支柱壁16と、一対の支柱壁16に架け渡された天井部17と、天井部17に取り付けられた蓋装置18とを備える。
【0012】
載置部11は、規定の搬送方向T(横幅方向X)に容器9を搬送するコンベヤ14を備えている。
図3は、搬送先又は搬送元と物品搬送車10との間で容器9を移載する例を示している。
図3に示すように、物品搬送車10は、例えばシリコンウエハの処理装置82等が設置された搬送先又は搬送元である移載対象箇所80との間で容器9を移載することができる。移載対象箇所80にも例えばローラ式のコンベヤ81が設けられており、物品搬送車10のコンベヤ14と移載対象箇所80のコンベヤ81とが連続する状態で、容器9が移載される。尚、
図3では、理解を容易にするために、天井部17及び蓋装置18が無い状態の物品搬送車10を模式的に示している。
【0013】
このように、物品搬送車10は、上面に開口部91を有すると共に液体LQが収容された容器9を搬送する。物品搬送車10は、容器9を搬送する際に、容器9の内部に収容された液体LQが跳ねて容器9の外に飛び出さないように、蓋装置18により開口部91を塞ぐことができる。
図4の斜視図は、蓋装置18における蓋部12を拡大したものであり、
図5の断面図は、蓋装置18における蓋部12及び駆動部13を示している。
図1、
図4、
図5等に示すように、蓋装置18は、蓋部12と、蓋部12を昇降駆動する駆動部13とを備える。蓋部12は、載置部11に載置された容器9の開口部91を塞ぐ塞ぎ位置(
図5の2点鎖線の位置)と塞ぎ位置よりも上方Z1に位置して開口部91を開放する開放位置(
図5の実線の位置)との間で昇降する。
【0014】
蓋部12は、駆動部13により、塞ぎ位置と開放位置との間で上下方向Zに移動する。
図5に示すように、駆動部13は、例えばラックピニオン機構を備えた昇降装置30と、昇降装置30により昇降される棒状の昇降部材31と、昇降部材31に連結された蓋支持部材35と、蓋支持部材35と基部1とを連結する連結部材36とを備える。蓋支持部材35は、基部1に平行に設置された板状部材であり、水平方向における中央部において昇降部材31と連結されている。
図5に示すように、蓋支持部材35の水平方向の端部、つまり、昇降部材31を挟んで蓋支持部材35の両端部には、ガイド棒32が連結されている。昇降装置30が設置された昇降装置支持部材37には、ガイド棒32が連通するガイド筒33が設置されている。昇降装置30により昇降部材31が上下方向Zに移動させられると、ガイド棒32がガイド筒33に案内されて上下方向Zに移動する。これにより、蓋支持部材35の傾きが抑制され、蓋支持部材35は、概ね水平面に平行な状態を維持して昇降する。
【0015】
連結部材36は、ガイド棒32よりも内側において蓋支持部材35に設置され、蓋部12の基部1を吊り下げ支持している。基部1は、連結部材36により、蓋支持部材35と概ね平行な状態で吊り下げ支持されている。上述したように、蓋支持部材35は、概ね水平面に平行な状態を維持して昇降する。従って、基部1も、概ね水平面に平行な状態を維持して昇降する。
【0016】
図4等に示すように、蓋部12は、基部1と、保護部材2と、基部1に保護部材2を固定する複数の締結部材5と、締結部材5の落下を防止する落下防止部4とを備える。保護部材2は、液体LQと反応しない材質で形成されており、開口部91の端縁である開口端部9tに接触する押え面12aに設けられている。締結部材5は、側方から基部1に螺合して基部1に保護部材2を固定する。
【0017】
上述したように、蓋部12は、容器9を搬送する際に、容器9の内部に収容された液体LQが跳ねて容器9の外に飛び出さないように、容器9の開口部91を塞ぐ。このため、蓋部12の下面(押え面12a)は液体LQに触れる場合がある。蓋部12が液体LQと化学反応を生じる材質の場合には、蓋部12から容器9の内部に落下した滴が、容器9に収容された液体LQを汚染するおそれがある。特に、容器9が液体LQにより半導体ウェハを保護して搬送するような場合には、液体LQの汚染により半導体ウェハを汚染するおそれがある。このため、蓋部12の下面は液体LQと反応しない材質であることが好ましい。上述したように、押え面12aには保護部材2が設けられており、この保護部材2は、液体LQと反応しない材質である。
【0018】
保護部材2は、基部1の下面の全体を覆うように設けられている。本実施形態では、基部1と保護部材2とは、上下方向Z視で同一形状である。例えば、基部1と保護部材2とは、接着剤等を用いて接着することも可能である。しかし、経年劣化等によって保護部材2が基部1から剥がれることを抑制するため、保護部材2は、上述したように締結部材5によって基部1に固定されている。
【0019】
本実施形態では、
図4に示すように、蓋部12は、保護部材2を基部1に固定するための固定部材3を更に備えている。固定部材3は、基部1の側面1s(及び保護部材2の側面2s)に沿って配置されていると共に、基部1の側面1sと保護部材2の側面2sとに接触する第1面3aと保護部材2の下面2u(
図6参照)に接触する第2面3bとを有している。
図4に示すように、固定部材3は、上下方向Z視で矩形状の基部1及び保護部材2の角部を挟んで2辺に接触するように、上下方向Z視でL字状に形成されている。固定部材3は、水平面に直交する方向での断面形状もL字状に形成されている。上下方向Zに沿った第1面3aが基部1及び保護部材2に接触し、水平面に沿った第2面3bが保護部材2に接触するように配置された状態で、締結部材5により樹脂性のワッシャ6を介して固定部材3が側方から基部1に固定される。尚、固定部材3は、角部を挟んで2辺に接触するように、上下方向Z視でL字状に形成される形態に限らず、1辺にのみ接触するように、上下方向Z視で直線状に形成されていてもよい。
【0020】
一般的に締結部材5は金属であり、容器9に収容された液体LQと反応する可能性がある。しかし、締結部材5は、側方から基部1に螺合するため、蓋部12が塞ぎ位置にある状態において液体LQが跳ねても、液体LQと接触することはない。また、蓋部12が開放位置にある状態においても、蓋部12の直下に容器9が載置されている状態では、上下方向Z視で、締結部材5と容器9の開口部91とは重複しないため、締結部材5が抜け落ちたとしても、締結部材5が容器9に収容された液体LQの中に落下することはない。
【0021】
但し、蓋部12が開放位置にある状態において、蓋部12の下方Z2で容器9が搬送方向Tに移動している場合には、上下方向Z視で、締結部材5と容器9の開口部91とが重複する状態となる場合がある。この状態で、締結部材5が抜け落ちると、締結部材5が容器9に収容された液体LQの中に落下し、液体LQを汚染するおそれがある。
【0022】
このため、蓋部12は、締結部材5の落下を防止する落下防止部4を備えている。
図4及び
図6に示すように、落下防止部4は、上下方向Z視で締結部材5と重複するように配置されている。そして、落下防止部4は、締結部材5よりも下方Z2において基部1よりも外側O(突出方向P)に突出すると共に、上方Z1に向けて開口する溝部7を備える。
図4に示すように、落下防止部4は、基部1に対して固定部材3よりも外側Oに設置されている。そして、落下防止部4と固定部材3とは、締結部材5によって基部1の側面1sに対して共締めされている。締結部材5が抜け落ちた場合、当該締結部材5は、溝部7に受け止められて、落下防止部4よりも下方Z2には落下しない。従って、蓋部12と容器9との搬送方向Tにおける位置関係に拘わらず、締結部材5が容器9に収容された液体LQの中に落下することが防止される。
【0023】
本実施形態では、蓋部12が上下方向Z視で矩形状であり、辺が搬送方向Tに平行するように設置されている。このため、基部1の4箇所の側面1sの内、コンベヤ14の搬送方向Tに沿った方向に延在する側面1sは、蓋部12が開放位置にある状態において、蓋部12の下方Z2で容器9が移動しても、上下方向Z視で、開口部91と重複しない。従って、この側面1sに対して螺合されている締結部材5と開口部91とも上下方向Z視で重複しない。
【0024】
一方、基部1の4箇所の側面1sの内、コンベヤ14の搬送方向Tに交差する方向Sに延在する側面1sである交差側面部1ssは、蓋部12の下方Z2で容器9が移動した場合に、上下方向Z視で、開口部91と重複することがある。このため、交差側面部1ssに対して螺合されている締結部材5と開口部91とは、上下方向Z視で重複する場合があり、締結部材5が抜け落ちた場合には、容器9に収容された液体LQの中に当該締結部材5が落下するおそれがある。
【0025】
従って、落下防止部4は、基部1の側面1sにおける、コンベヤ14の搬送方向Tに交差する方向Sに延在する部分である交差側面部1ssに設けられていると好適である。当然ながら、基部1の全ての側面1sに、落下防止部4が設けられていてもよい。
【0026】
図6に示すように、落下防止部4は、基部1の側面1sに当接する内側壁部41と、基部1よりも外側Oに突出する側において上方Z1に立ち上がって内側壁部41に対向する外側壁部42と、内側壁部41と外側壁部42とを水平面に沿ってつなぐ底部43と、内側壁部41と外側壁部42と底部43とをつなぐ横壁部44(
図4も参照)とを有する。内側壁部41と外側壁部42と底部43とを横壁部44とにより囲まれた空間により、溝部7が形成され、底部43と対向する側が開口している。上下方向Zにおいて、落下防止部4の内側壁部41の長さは、外側壁部42の長さよりも長い。落下防止部4は、内側壁部41と固定部材3とが、締結部材5によって基部1の側面1sに対して共締めされることによって、基部1に取り付けられる。
【0027】
上述したように、締結部材5は、側方から基部1に螺合するが、外側壁部42が締結部材5を螺合させる際の妨げとなるおそれがある。このため、
図6に示すように、外側壁部42は、押え面12aに沿った側方視において、締結部材5と重複しないように形成されている。当然ながら、工具の工夫により、押え面12aに沿った側方視において、締結部材5と外側壁部42とが重複していても、適切に締結部材5を基部1に螺合させることができる場合には、締結部材5と外側壁部42とが重複していてもよい。
【0028】
尚、
図6に示すように、落下防止部4における基部1から外側Oに突出する方向を突出方向Pとして、溝部7の突出方向Pの幅Wは、締結部材5の全長Lよりも長いことが好ましい。幅Wが全長Lよりも長いと、締結部材5が抜けた場合に、溝部7において当該締結部材5を適切に受け止めることができる。但し、締結部材5が抜け落ちる直前には、締結部材5の先端部が固定部材3の係合孔に引っ掛かった状態で、締結部材5の頭が下方Z2に移動し、締結部材5が斜め下方に向いた状態になると考えられる。従って、そのような姿勢となることを考慮すれば、幅Wが全長L以下となる形態を妨げるものではない。
【0029】
〔その他の実施形態〕
以下、その他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用されるものに限られず、矛盾が生じない限り、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0030】
(1)上記においては、保護部材2を基部1に固定するための固定部材3を備える形態を例示したが、固定部材3を備えることなく、例えば
図7に示すように、保護部材2が基部1に固定されてもよい。
図7に示す例では、保護部材2と落下防止部4とが、締結部材5によって基部1の側面1sに対して共締めされている。
【0031】
(2)上記においては、基部1と保護部材2とが、上下方向Z視で同一形状である形態を例示した。しかし、保護部材2は、
図7に示すように、上下方向Z視で基部1よりも大きい形状であってもよい。また、保護部材2は、少なくとも開口部91を覆うような大きさであればよく、上下方向Z視で基部1よりも小さい形状であってもよい。この場合、固定部材3の第2面3bを
図6に示す形態よりも内側に延長すると好適である。
【0032】
〔実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送車10の概要について簡単に説明する。
【0033】
上面に開口部(91)を有すると共に液体(LQ)が収容された容器(9)を搬送する物品搬送車(10)は、1つの態様として、前記容器(9)が載置される載置部(11)と、前記載置部(11)に載置された前記容器(9)の前記開口部(91)を塞ぐ塞ぎ位置と前記塞ぎ位置よりも上方(Z1)に位置して前記開口部(91)を開放する開放位置との間で昇降する蓋部(12)と、前記蓋部(12)を昇降駆動する駆動部(13)と、を備え、前記蓋部(12)は、基部(1)と、前記開口部(91)の端縁である開口端部(9t)に接触する押え面(12a)に設けられて前記液体(LQ)と反応しない材質の保護部材(2)と、側方から前記基部(1)に螺合して前記基部(1)に前記保護部材(2)を固定する複数の締結部材(5)と、前記締結部材(5)の落下を防止する落下防止部(4)と、を備え、前記落下防止部(4)は、上下方向(Z)視で前記締結部材(5)と重複するように配置され、前記締結部材(5)よりも下方において前記基部(1)よりも外側(O)に突出すると共に、上方(Z1)に向けて開口する溝部(7)を備える。
【0034】
締結部材(5)は、側方から基部(1)に螺合するため、蓋部(12)が塞ぎ位置にある状態においては、液体(LQ)と接触することはない。また、蓋部(12)が開放位置にある状態においても、蓋部(12)の直下に容器(9)が載置されている状態では、上下方向(Z)視で、締結部材(5)と容器(9)の開口部(91)とが重複しないため、締結部材(5)が抜け落ちたとしても、その締結部材(5)が容器(9)に収容された液体(LQ)の中に落下する可能性は低い。一方、蓋部(12)が開放位置にある状態において、蓋部(12)の下方(Z2)で容器(9)が移動している場合には、上下方向(Z)視で、締結部材(5)と容器(9)の開口部(91)とが重複する場合がある。この状態で、締結部材5が抜け落ちると、締結部材5が容器9に収容された液体LQの中に落下し、液体LQを汚染するおそれがある。しかし、本構成によれば、締結部材(5)よりも下方において基部(1)よりも外側(O)に突出すると共に、上方(Z1)に向けて開口する溝部(7)を有した落下防止部(4)が備えられている。締結部材(5)が抜け落ちた場合、当該締結部材(5)は、溝部7に受け止められて、落下防止部(4)よりも下方(Z2)には落下しない。従って、蓋部(12)と容器(9)との位置関係に拘わらず、締結部材(5)が容器(9)に収容された液体(LQ)の中に落下することが防止される。このように、本構成によれば、液体が充填された容器(9)を、容器(9)に蓋をした状態で搬送する物品搬送車(10)において、蓋に取り付けられた締結部材(5)が液体(LQ)の中に落下しないような構造を提供することができる。
【0035】
ここで、前記載置部(11)が、規定の搬送方向(T)に前記容器(9)を搬送するコンベヤ(14)を備え、前記落下防止部(4)は、前記基部(1)の側面(1s)における、前記コンベヤ(14)の前記搬送方向(T)に交差する方向(S)に延在する部分である交差側面部(1ss)に設けられていると好適である。
【0036】
基部(1)の側面(1s)における、コンベヤ(14)の搬送方向(T)に沿った方向に延在する部分は、蓋部(12)が開放位置にある状態において、蓋部(12)の下方(Z2)で容器(9)が移動しても、上下方向(Z)視で、開口部(91)と重複しない。従って、この側面(1s)に対して螺合されている締結部材(5)と開口部(91)とも上下方向(Z)視で重複しない。一方、交差側面部(1ss)は、蓋部(12)の下方(Z2)で容器(9)が移動した場合に、上下方向(Z)視で、開口部(91)と重複することがある。従って、交差側面部(1ss)に対して螺合されている締結部材(5)と開口部(91)とは、上下方向(Z)視で重複する場合があり、締結部材(5)が抜け落ちた場合には、容器(9)に収容された液体(LQ)の中に当該締結部材(5)が落下するおそれがある。本構成によれば、交差側面部(1ss)に落下防止部(4)が設けられているので、締結部材(5)が容器(9)に収容された液体(LQ)の中に落下することを効果的に防止できる。
【0037】
また、前記落下防止部(4)における前記基部(1)から外側(O)に突出する方向を突出方向(P)として、前記溝部(7)の前記突出方向(P)の幅(W)が、前記締結部材(5)の全長(L)よりも長いと好適である。
【0038】
溝部(7)の突出方向(P)の幅(W)が締結部材(5)の全長(L)よりも長いと、締結部材(5)が抜けた場合に、溝部(7)において当該締結部材(5)を適切に受け止めることができる。
【0039】
また、落下防止部(4)は、前記基部(1)よりも外側(O)に突出する側において上方(Z1)に立ち上がって前記溝部(7)を形成する外側壁部(42)を備え、前記外側壁部(42)は、前記押え面(12a)に沿った側方視において、前記締結部材(5)と重複していないと好適である。
【0040】
締結部材(5)は、側方から基部(1)に螺合する。外側壁部(42)が、押え面(12a)に沿った側方視において、締結部材(5)と重複しないように形成されていると、側方から締結部材(5)を基部(1)に螺合させる場合に、外側壁部(42)が工具等の通り道を妨げて作業効率を低下させることが抑制される。
【0041】
また、前記基部(1)と前記保護部材(2)とは、上下方向(Z)視で同一形状であり、前記蓋部(12)は、前記保護部材(2)を前記基部(1)に固定するための固定部材(3)を更に備え、前記固定部材(3)は、前記基部(1)の側面(1s)に沿って配置されていると共に、前記基部(1)の側面(1s)と前記保護部材(2)の側面(2s)とに接触する第1面(31)と前記保護部材(2)の下面(2u)に接触する第2面(3b)とを有し、前記落下防止部(4)は、前記基部(1)に対して前記固定部材(3)よりも外側(O)に設置され、前記落下防止部(4)と前記固定部材(3)とが、前記締結部材(5)によって前記基部(1)の側面(1s)に対して共締めされていると好適である。
【0042】
締結部材(5)により、保護部材(2)を基部(1)に直接固定すると、固定箇所において保護部材(2)に大きな機械的負荷が掛かる場合がある。固定部材(2)を介して保護部材(2)を基部(1)に固定することによって、強い固定力を得ることができると共に、保護部材(2)に掛かる負荷も抑制することができる。また、落下防止部(4)と固定部材(3)とは、締結部材(5)によって共締めされるので、固定部材(3)を用いても、当該固定部材(3)を取り付けるための部材(例えば締結部材(5)など)が増加せず、また、取り付ける工程も増加しない。
【符号の説明】
【0043】
1 :基部
1s :側面
2 :保護部材
2s :側面
2u :下面
3 :固定部材
4 :落下防止部
5 :締結部材
7 :溝部
9 :容器
9t :開口端部
10 :物品搬送車
11 :載置部
12 :蓋部
12a :押え面
13 :駆動部
14 :コンベヤ
42 :外側壁部
91 :開口部
L :全長
LQ :液体
O :外側
P :突出方向
T :搬送方向
W :幅
Z :上下方向