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  • 特許-車両制御システムおよびその方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】車両制御システムおよびその方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/0965 20060101AFI20220105BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20220105BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G08G1/0965
B60T7/12 C
G08G1/16 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020134986
(22)【出願日】2020-08-07
(62)【分割の表示】P 2017245299の分割
【原出願日】2017-12-21
(65)【公開番号】P2020187795
(43)【公開日】2020-11-19
【審査請求日】2020-08-07
(31)【優先権主張番号】15/413,578
(32)【優先日】2017-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500164385
【氏名又は名称】デンソー インターナショナル アメリカ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】ウィリュムズ マシュー
(72)【発明者】
【氏名】サン ボー
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-154128(JP,A)
【文献】国際公開第2017/002471(WO,A1)
【文献】特開2013-019680(JP,A)
【文献】特開2010-237792(JP,A)
【文献】特開2008-052341(JP,A)
【文献】特開2008-151532(JP,A)
【文献】実開昭57-194198(JP,U)
【文献】特開2000-123282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/0965
B60T 7/12
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを取得するカメラモジュール(40)と、
前記カメラモジュールによって取得された前記画像データに基づいて、活性化された表示器をもつ優先車両の位置を検出し、活性化された表示器をもつ前記優先車両が対象車両の前から接近しているか否か、および、活性化された表示器をもつ前記優先車両が前記対象車両の後ろから接近しているか否かを決定し、活性化された表示器をもつ前記優先車両が前から接近している場合、前記画像データに基づいて前記対象車両が走行している道路の種別を識別するように構成された検出モジュールであって、活性化された前記表示器をもつ前記優先車両は、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、および、活性化された停車表示サインをもつスクールバスを含む検出モジュール(30)と、
前記検出モジュールによって、活性化された表示器をもつ前記優先車両が前から接近していることを決定し、かつ、前記対象車両がハイウェーまたは中央に分離帯を備える道路を走行中ではないと決定する場合、検出された前記優先車両と前記対象車両とが互いに接近しつつあることに応答して前記対象車両を減速させ、または、前記検出モジュールによって、活性化された表示器をもつ前記優先車両が後ろから接近していることを決定した場合、前記優先車両が接近していることを前記対象車両の運転者に警報し、検出された前記優先車両と前記対象車両とが互いに接近しつつあることに応答して前記対象車両を減速させる車両制御モジュール(60)とを備える車両制御システム。
【請求項2】
前記対象車両が、前記検出モジュール、および前記車両制御モジュールを備える請求項1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
さらに、前記画像データを取得し、前記カメラモジュールに前記画像データを入力する複数のカメラを備える請求項1または請求項2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
さらに、前記優先車両から経路データを取得する情報通信モジュールを備え、前記検出モジュールは、前記経路データに基づいて、前記対象車両に対する前記優先車両の位置を検出するように構成されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両制御システム。
【請求項5】
前記車両制御モジュールは、前記対象車両を減速させるために前記対象車両のブレーキを活性化するように構成されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両制御システム。
【請求項6】
前記車両制御モジュールは、前記対象車両を完全な停車まで減速させるために前記対象車両のブレーキを活性化するように構成されている請求項5に記載の車両制御システム。
【請求項7】
前記車両制御モジュールは、活性化された表示器をもつ前記優先車両と前記対象車両とが互いに近づいていることを前記検出モジュールが検出した場合に、前記優先車両から遠ざけるように前記対象車両を移動させるように構成されている請求項1から請求項6のいずれかに記載の車両制御システム。
【請求項8】
前記車両制御モジュールは、前記優先車両から遠ざけるように前記対象車両を移動させるために、前記対象車両のステアリングシステムおよびブレーキシステムの少なくともいずれかを操作するように構成されている請求項7に記載の車両制御システム。
【請求項9】
前記車両制御モジュールは、前記優先車両から遠ざけるように、前記対象車両が走行中である車線の路肩または横へ前記対象車両を移動させるために、前記対象車両のステアリングシステムおよびブレーキシステムの少なくともいずれかを操作するように構成されている請求項7または請求項8に記載の車両制御システム。
【請求項10】
活性化された前記表示器をもつ前記優先車両は、活性化された緊急表示灯をもつ緊急車両、および、活性化された警報灯をもつ二次車両の少なくともいずれかを含む請求項1から請求項9のいずれかに記載の車両制御システム。
【請求項11】
対象車両の検出モジュールによって、対象車両のカメラモジュールが取得した画像データに基づいて、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、および、活性化された停車表示サインをもつスクールバスと、前記対象車両に対する前記スクールバスの位置とを検出し、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、および、活性化された停車表示サインをもつスクールバスが前記対象車両の前から接近しているか否か、および、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、および、活性化された停車表示サインをもつスクールバスが前記対象車両の後ろから接近しているか否かを決定し、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、および、活性化された停車表示サインをもつスクールバスが前から接近している場合、前記画像データに基づいて前記対象車両が走行している道路の種別を識別すること、および、
前記検出モジュールによって、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、および、活性化された停車表示サインをもつスクールバスと、対象車両に対する前記スクールバスの位置とを検出し、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、および、活性化された停車表示サインをもつ前記スクールバスが前から接近している場合、前記対象車両が走行している道路の種別を識別すること、および、
前記検出モジュールによって、前記対象車両がハイウェーまたは中央に分離帯を備える道路を走行中ではないと決定され、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、および、活性化された停車表示サインをもつ前記スクールバスと前記対象車両とが互いに接近しつつあることが検出された場合、車両制御モジュールによって、前記対象車両を完全な停車に到達させるためにブレーキをかけることを備える車両制御方法。
【請求項12】
さらに、カメラモジュールから前記検出モジュールに入力されたカメラデータに基づいて、活性化された停車表示サインをもつ前記スクールバスを検出すること、および、前記停車表示サインの検出に応答して、前記車両制御モジュールによって、前記対象車両にブレーキをかけることを備える請求項11に記載の車両制御方法。
【請求項13】
さらに、前記スクールバスによって送信され、前記対象車両の通信モジュールから前記検出モジュールに受信された経路データに基づいて、前記対象車両に対する前記スクールバスの位置を検出することを備える請求項11または請求項12に記載の車両制御方法。
【請求項14】
さらに、前記検出モジュールによって、活性化された緊急表示灯をもつ緊急車両が前から接近していることを決定し、かつ、前記対象車両がハイウェーまたは中央に分離帯を備える道路を走行中ではないと決定する場合、活性化された緊急表示灯をもつ緊急車両と前記対象車両とが互いに接近しつつあることに応答して、車両制御モジュールによって、前記対象車両にブレーキをかけ、または、前記検出モジュールによって、活性化された緊急表示灯をもつ緊急車両が後ろから接近していることを決定した場合、前記車両制御モジュールによって、前記緊急車両が接近していることを前記対象車両の運転者に警報し、かつ、活性化された緊急表示灯をもつ緊急車両と前記対象車両とが互いに接近しつつあることに応答して、前記車両制御モジュールによって、前記対象車両にブレーキをかけることを備える請求項11から請求項13のいずれかに記載の車両制御方法。
【請求項15】
さらに、前記緊急車両によって送信され、前記対象車両の通信モジュールから前記検出モジュールに受信された経路データに基づいて、前記対象車両に対する前記緊急車両の位置を検出することを備える請求項14に記載の車両制御方法。
【請求項16】
さらに、活性化された緊急表示灯をもつ前記緊急車両と前記対象車両とが互いに近づいていることを前記検出モジュールが検出した場合に、前記対象車両の走行車線の路肩または横へ前記対象車両を移動させるために、前記対象車両を操舵することを備える請求項14または請求項15に記載の車両制御方法。
【請求項17】
さらに、活性化された緊急表示灯をもつ前記緊急車両と前記対象車両とが互いに近づいていることを前記検出モジュールが検出した場合に、前記対象車両を完全な停車に到達させるためにブレーキをかけることを備える請求項14から請求項16のいずれかに記載の車両制御方法。
【請求項18】
さらに、前記検出モジュールによって、活性化された警報灯をもつ二次車両と、対象車両に対する前記二次車両の位置とを検出し、活性化された警報灯をもつ前記二次車両が前から接近している場合、前記対象車両が走行している道路の種別を識別すること、および、
前記検出モジュールによって、前記対象車両がハイウェーまたは中央に分離帯を備える道路を走行中ではないと決定され、活性化された警報灯をもつ前記二次車両と前記対象車両とが互いに接近しつつあることが検出された場合、車両制御モジュールによって、前記対象車両にブレーキをかけることを備える請求項11から請求項17のいずれかに記載の車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、緊急車両とスクールバスとを含む優先されるべき優先車両のために対象車両の減速または停車を支援する車両制御システムおよび車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この項は、発明に関連する背景技術を開示するが、それは公知の従来技術として開示されるものではない。
【0003】
運転者が障害を識別することと、衝突を回避することとを支援するシステムは、広く普及しつつある。現状のシステムは、それらの意図される使用にふさわしい効果を発揮しているが、それらには依然として改良が求められている。特許文献1-特許文献6参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第3638179号明細書
【文献】米国特許第6056374号明細書
【文献】米国特許第6252519号明細書
【文献】米国特許第8589014号明細書
【文献】米国特許第9053637号明細書
【文献】米国特許第9249742号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、現状のシステムは、緊急車両(例えば、救急車、警察用車両および消防用車両)に対して車両を停車し、道を譲る、あるいは、学生、生徒、または児童を乗せたり降ろしたりするスクールバスのために停車するといった法的必要条件に十分に応えていない。
【0006】
この開示は、上記の問題点に鑑み、その解決を図る車両制御システムおよび車両制御方法を提供することを目的とする。
【0007】
この項は、開示の概略を与えるが、その全範囲またはその全特徴の包括的な開示ではない。法律は、道路の利用に関して優先度が高い優先車両と、この優先車両より優先度が低い一般車両とを規定する。法律は、一般車両の利用者に対して、優先車両がその優先業務を遂行中には、優先車両に対して道路の利用を譲ることを推奨、または義務付けている場合がある。優先車両の利用者は、優先業務を遂行中であることを、表示灯を活性化することにより、周囲の道路の利用者に対して知らせる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この開示は、画像データを取得するカメラモジュール(40)と、カメラモジュールによって取得された画像データに基づいて、活性化された表示器をもつ優先車両の位置を検出し、活性化された表示器をもつ優先車両が対象車両の前から接近しているか否か、および、活性化された表示器をもつ優先車両が対象車両の後ろから接近しているか否かを決定し、活性化された表示器をもつ優先車両が前から接近している場合、画像データに基づいて対象車両が走行している道路の種別を識別するように構成された検出モジュールであって、活性化された表示器をもつ優先車両は、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、および、活性化された停車表示サインをもつスクールバスを含む検出モジュール(30)と、検出モジュールによって、活性化された表示器をもつ優先車両が前から接近していることを決定し、かつ、対象車両がハイウェーまたは中央に分離帯を備える道路を走行中ではないと決定する場合、検出された優先車両と対象車両とが互いに接近しつつあることに応答して対象車両を減速させ、または、検出モジュールによって、活性化された表示器をもつ優先車両が後ろから接近していることを決定した場合、優先車両が接近していることを対象車両の運転者に警報し、検出された優先車両と対象車両とが互いに接近しつつあることに応答して対象車両を減速させる車両制御モジュール(60)とを備える車両制御システムを提供する。
この開示は、対象車両の検出モジュールによって、対象車両のカメラモジュールが取得した画像データに基づいて、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、および、活性化された停車表示サインをもつスクールバスと、対象車両に対するスクールバスの位置とを検出し、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、および、活性化された停車表示サインをもつスクールバスが対象車両の前から接近しているか否か、および、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、および、活性化された停車表示サインをもつスクールバスが対象車両の後ろから接近しているか否かを決定し、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、および、活性化された停車表示サインをもつスクールバスが前から接近している場合、画像データに基づいて対象車両が走行している道路の種別を識別すること、および、検出モジュールによって、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、および、活性化された停車表示サインをもつスクールバスと、対象車両に対するスクールバスの位置とを検出し、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、および、活性化された停車表示サインをもつスクールバスが前から接近している場合、対象車両が走行している道路の種別を識別すること、および、検出モジュールによって、対象車両がハイウェーまたは中央に分離帯を備える道路を走行中ではないと決定され、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、および、活性化された停車表示サインをもつスクールバスと対象車両とが互いに接近しつつあることが検出された場合、車両制御モジュールによって、対象車両を完全な停車に到達させるためにブレーキをかけることを備える車両制御方法を提供する。
この開示は、活性化された表示灯をもつ優先車両の検知に応答して、一般車両の利用者が適切な処置をとることを支援する車両制御システムおよび車両制御方法を提供する。望ましい処置は、優先車両に道路の利用を譲ること、例えば、対象車両の速度を遅くすることで追い越しを容易にすることによって提供できる。また、望ましい処置は、優先車両を避けること、例えば、優先車両から遠ざかることによって提供できる。また、望ましい処置は、優先車両の利用者を安心させること、例えば、対象車両の速度を遅くすることによって提供できる。
【0009】
この開示は、活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両の検知、または活性化された停車表示灯または停車表示サインを備えたスクールバスの検知に応じて、対象車両の速度を遅くするための車両制御システムおよび車両制御方法を提供する。この発明を適用可能な分野はここでの開示によって明らかにされる。この発明の概要における説明と具体的な例示とは、具体的な説明を与える用途だけを意図したものであって、本発明の技術的範囲を限定することを意図したものではない。
【0010】
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【0011】
ここに説明された図面は、選択された実施形態を図示するためだけのものであって、すべての実用的な可能性を示すものではない。そして、ここに説明された図面は、発明の範囲を限定することを意図するものではない。複数の図面の図示にわたって、対応する参照符号は、対応する部分を指している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、例示的な対象車両に搭載されたこの開示に係る車両用安全システムを示すブロック図である。
図2A図2Aは、緊急車両またはスクールバスに代表される優先車両を検知することによって、対象車両の速度を低下させるためのこの開示に係る方法を示すフローチャートである。
図2B図2Bは、図2Aの続きを示すフローチャートである。
図3A図3Aは、この開示に係る、対象車両による緊急車両の検出の状態を示す配置図である。
図3B図3Bは、この開示に係る、優先車両の検出に応答して対象車両の速度を低下させた状態を示す配置図である。
図4図4は、この開示に係る、車車間通信を用いた、優先車両の検出と、優先車両が意図したルートとを示す配置図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に対応する部分および/または関連付けられる部分には同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
【0014】
以下、発明の複数の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
最初に図1を参照する。この開示に係る車両用安全システム10は、例示的な対象車両20に搭載されるように図示されている。車両用安全システム10は、この開示における車両制御システムおよび車両制御方法を提供する。車両の語は、乗り物として広義に解釈されるべきである。車両は乗用車として例示されているが、この開示における車両用安全システム10(および、図2Aおよび図2Bに図示された方法110)は、他の適切な乗り物、例えば、任意の適切な商用車、大量輸送車両、軍用車両、レクリエーショナルビークル、全地形車両、オートバイ、建設機械、個人の輸送装置、船、および航空機などに利用することができる。
【0016】
この明細書において、以下の定義も含めて、語句「モジュール(module)」または語句「コントローラ(Controller)」は、語句「回路」と置き換え可能である。語句「モジュール」は、コードを実行するプロセッサハードウェア(共有型、専用型、または、組織化型)、および、コードを格納するメモリハードウェア(共有型、専用型、または、組織化型)を参照するか、または、その一部である。コードは、ここに記述されたモジュール、制御装置、およびシステムの特徴を提供するように構成される。語句「メモリハードウェア」はコンピュータ読み取り可能な記録媒体の一態様である。語句「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、ここに使用されるように、媒体、例えば搬送波を通して伝搬される遷移的な電気信号、または遷移的な電磁信号にまで拡張されることはない。語句「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、したがって、実体的、かつ非遷移的なものである。非遷移的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体の非制限的な例は、不揮発性メモリ装置(例えば、フラッシュメモリ装置、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ装置(EPROM)、または、マスク型の読み取り専用メモリ装置)、揮発性メモリ装置(例えば、静的ランダムアクセスメモリ装置(SRAM装置)、または動的ランダムアクセスメモリ(DRAM装置))、磁気記憶媒体(例えば、アナログまたはデジタル磁気テープ、またはハードディスクドライブ)、および、光記憶装置(例えば、CD、DVD、および、ブルーレイディスク)である。
【0017】
車両用安全システム10は、緊急車両および/またはスクールバスを検出するモジュール30を含んでいる。モジュール30は、緊急車両/スクールバス検出モジュールとも呼ばれる。モジュール30はスクールバスおよび/または緊急車両(例えば救急車、消防車、警察用車両など)の対象車両20に対する位置を検出するように構成されている。モジュール30は、緊急車両の緊急表示灯が活性化されているか否か、および、スクールバスの停車表示灯が活性化されているか否か(および、選択可能なオプションとして、展開可能な停車表示サインが活性化されているか否か)を検出するように構成されている。図3Aは、対象車両20が、緊急表示灯が活性化されている緊急車両22を検出した典型的な状況を提示している。図3Bでは、車両用安全システム10は、この開示にそって、対象車両20を減速し、対象車両20を路肩に移動させている。
【0018】
モジュール30は、任意の適切な方法で、活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両および/または活性化された停車表示灯を備えたスクールバスを検出するように構成されている。例えば、車両用安全システム10は、前方カメラ42Aおよび/または後方カメラ42Bのような、対象車両20に搭載された複数のカメラからデータを受け取るカメラモジュール40を含むことができる。カメラモジュール40は、対象車両20のまわりの環境の、前方カメラ42Aおよび/または後方カメラ42Bによって集められた画像データを受け取り、処理して、モジュール30へ画像データを入力する。モジュール30は、対象車両20の近くにあるいかなる緊急車両をも識別するように画像データを分析し、それらの緊急表示灯が活性化されているか否かを決定し、対象車両20に対する緊急車両の位置および距離を決定する。さらに、モジュール30は、対象車両20の近くにあるいかなるスクールバスをも識別し、スクールバスの停車表示灯が活性化されているか否か(および、選択可能なオプションとして、展開可能な停車表示サインが活性化されているか否か)、および、対象車両20に対するスクールバスの位置および距離を識別するように構成されていてもよい。
【0019】
さらに、モジュール30は、カメラモジュール40から受け取られた画像データに基づいて、対象車両20が走行している道路の種別を決定するように構成されている。例えば、モジュール30は、対象車両20が、複線道路、ハイウェーなどを走行中であるか、道路が中央の分離帯を有するか否か、および道路が路肩を有するか否かを決定することができる。モジュール30は、対象車両20が走行中の道路における、特定の車線を決定するようにも構成されている。
【0020】
モジュール30は、車車間通信を通して緊急車両および/またはスクールバスによって送信されたデータに基づいて、活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両、活性化された停車表示灯を備えたスクールバス、および、各々の予定経路を検出するようにも構成されている。これは、緊急車両およびスクールバスが対象車両20からの視界の外側にいても、対象車両20が検出することを有利に可能にする。図4は、対象車両20が、活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両22の存在を検知することができる典型的な状況と、対象車両20が緊急車両22に道路を譲る必要があるか否かを決定するための緊急車両22の予定される経路を図示している。緊急車両および/またはスクールバスによる位置と経路のデータ放送は、車両用安全システム10の通信モジュール50へ入力される。緊急車両および/またはスクールバスによる位置と経路のデータ放送は、通信モジュール50に接続されている車両アンテナ52によって対象車両20に受け取られる。通信モジュール50は、受信したデータを処理し、データをモジュール30に送るように構成されている。車車間通信は、いかなる適切な通信基準および通信プロトコルによって提供されていてもよい。
【0021】
車両用安全システム10はさらに車両制御モジュール60を含んでいる。車両制御モジュール60は、任意の適切な方法で、対象車両20の速度を落とし、かつ対象車両20を完全な停車に到達させるように構成される。例えば、車両制御モジュール60は、対象車両20のブレーキを作動させるように制御すること、および/または、対象車両20の変速機をシフトダウンさせるように制御することができ、最終的には、対象車両20を停車させる。車両制御モジュール60は、さらに、任意の適切な方法で対象車両20の操舵を制御するように構成される。例えば、車両制御モジュール60は、対象車両20の走行方向を制御するために、タイヤの操舵角度を制御すること、および/または、異なるタイヤのブレーキを選択的に制御することができる。車両制御モジュール60は、緊急車両に道路を譲るために、対象車両20が(例えば図3Bを参照)走行している道路の路肩へ、または、道路に路肩がない場合、対象車両20が走行中の特定の車線の横へ出るように、対象車両20を操舵することができる。
【0022】
車両制御モジュール60は、モジュール30との通信関係にある。活性化された緊急表示灯をもつ緊急車両と対象車両20とが互いに接近しつつあることをモジュール30が検出すると、モジュール30は、緊急車両に道路を譲るように、徐々で、滑らかで、かつ、安全な方法(例えば、0.1Gの制動力をかけること)で対象車両20を減速させるように車両制御モジュール60に指令を出力する。モジュール30は、さらに、路肩が利用可能な場合に、道路の路肩へ対象車両20を操舵するように車両制御モジュール60に指令を出力する(例えば図3Bを参照)。路肩が利用可能でない場合、モジュール30は任意の適切で安全な方法で、緊急車両が対象車両20を安全に抜くことができるように、緊急車両の経路から出るように対象車両20を操舵するように車両制御モジュール60に指令を出力する。任意の適切で安全な方法は、対象車両20が走行している特定の車線の横に出ること(例えば、右側に出ること)である。
【0023】
対象車両20の前にスクールバスが停車したことをモジュール30が検出した場合、モジュール30は、徐々に、滑らかに、かつ、安全に、(例えば、0.1Gの制動力を適用することによって)対象車両20を停車に到達させるように、車両制御モジュール60に指令を出力する。いくつかのアプリケーション(プログラム)では、モジュール30は、スクールバスが停車している車線が、対象車両20がいる車線の走行方向と反対方向の交通のための車線である場合、対象車両20を止めるように車両制御モジュール60に指令を出力しないように構成されてもよい。モジュール30は、緊急車両に道路を譲り、スクールバスのために停車することに関するすべての地域的な法律に対象車両20が従うように、車両制御モジュール60を通して対象車両20を制御するように構成されてもよい。
【0024】
さらに、車両用安全システム10は、警報モジュール70を含むことができる。警報モジュール70は、活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両、および活性化された停車表示灯を備えたスクールバスに関して、対象車両20の運転者へ警報するために、いかなる適切な装置および/またはシステムを含んでいてもよい。例えば、警報モジュール70は、対象車両20に関連のある緊急車両および/またはスクールバスの位置を表示するディスプレイ、または、緊急車両および/またはスクールバスについて、運転者に通知するのに十分な他の適切な視覚的なおよび/または聴覚的な警報機器を含むことができる。警報モジュール70は、モジュール30によって、あるいは他の適切な方法で車両制御モジュール60によって直接に制御することができる。
【0025】
図2Aおよび図2Bは、この開示に係る車両制御方法を図示している。方法は、活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両の検出に応じて、および/または、活性化された停車表示灯を備えたスクールバスの検出に応じて、対象車両20を減速し、停車させるための方法110である。方法110は、車両用安全システム10、または他の適切なシステムで実行することができる。方法110は、説明の目的のためだけに、システム10によって実行されるものとして説明されている。
【0026】
最初にブロック112を参照する。方法110は、ブロック112からスタートし、ブロック114において、対象車両20、または他の適切な車両が運転される。ブロック116において、モジュール30は、上述した方法によって、対象車両20の前から、活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両が接近しているか否かを決定する。ブロック118において、モジュール30は、対象車両20に後ろから接近してくるような、活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両があるか否かを決定する。ブロック120において、モジュール30は、図4に例示されたように、対象車両20の経路に接近してくるような、活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両があるか否かを決定する。この決定は、活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両と対象車両20とが接近する経路は前方で交差するか否かの判定でもある。
【0027】
ブロック116において、活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両が対象車両20の前から接近していることをモジュール30が決定する場合、方法110はブロック130に進む。そこでは、モジュール30は、対象車両20が走行している道路の種別を識別する。道路がハイウェーか、中央の分離帯を有する場合、方法110はブロック114に戻り、ブロック114から図2Aおよび図2Bに図示された処理を継続する。ブロック130において、対象車両20が、ハイウェーまたは中央に分離帯を備える道路を走行中ではないとモジュール30が決定する場合、方法110はブロック132に進む。
【0028】
ブロック132において、モジュール30あるいは車両制御モジュール60は、対象車両20の運転者に対して、対象車両20が緊急車両に接近しているという警報を出すために警報モジュール70を活性化する。ブロック132から、方法110はブロック134に進む。そこでは、モジュール30は、道路が1車線を超える複数の車線を有する場合、対象車両20が、どの車線を走行中かを識別する。ブロック134において、対象車両20が最も右端の車線にいることが決定される場合、道路が対象車両20の右への路肩を含んでいても含んでいなくても、モジュール30が識別するところにより、方法110はブロック136に進む。道路が路肩を含んでいる場合、ブロック138において、モジュール30は、路肩へ対象車両20を導くように車両制御モジュール60に指令を出力する。ブロック134において、対象車両20が右車線(最も右端の車線)にいないこと、しかし、最も右端の車線よりも左側の車線にいることを決定する場合、方法110はブロック140に進む。ブロック140において、モジュール30は、対象車両20が走行中の現在の車線の右側へ対象車両20を操舵させるように車両制御モジュール60に指令を出力する。
【0029】
ブロック138およびブロック140から、方法110はブロック142に進む。ブロック142においては、モジュール30は、滑らかに、かつ徐々に対象車両20を減速するように、車両制御モジュール60に指令を出力する。ブロック142から、方法110はブロック144に進み、そこでは、モジュール30は、活性化された緊急表示灯をもつ緊急車両の位置の観測を継続する。もし、緊急車両がまだ対象車両20を追い越していなければ、モジュール30は、完全な停止へ向かって対象車両20の速度を落とすように車両制御モジュール60に指令を出力し続ける。対象車両20が完全に止まる前に、緊急車両が対象車両20を追い越す場合、対象車両20は必ずしも完全な停止に達しなくてもよい。緊急車両が対象車両20を追い越した後に、方法110はブロック144からブロック146に進み、そこでは、モジュール30は、運転者に対象車両20の運転操作を戻すように車両制御モジュール60に指令を出力する。ブロック146から、方法110はブロック114に戻る。
【0030】
ブロック116において、モジュール30が対象車両20の前から接近する活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両を検知しない場合、方法110はブロック118へ進む。ブロック118において、モジュール30が対象車両20の後ろから接近する活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両を検知する場合、方法はブロック118からブロック132に進む。方法は、ブロック132から、上述した順序と同様に、ブロック134、136、138、140、142、144、および146を通ってブロック114に進む。
【0031】
ブロック118において、モジュール30が対象車両20の後ろから接近する活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両を検出しない場合、方法110はブロック120に進む。ブロック120において、モジュール30が活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両が、対象車両20の予定される走行経路に、例えば、前方の交差点に、接近していることを検出する場合、方法110はブロック120からブロック150に進む。ブロック150において、モジュール30は、緊急車両が接近していることを、対象車両20の運転者に警報するように警報モジュール70に指令を出力する。指令は、直接的に与えられてもよく、車両制御モジュール60を経由して間接的に与えられてもよい。警報は任意の適切な視覚的なおよび/または聴覚的な警報によって与えられる。方法110は、上述のように、ブロック150からブロック142に進む。方法110は、ブロック142から、ブロック144およびブロック146に進み、ブロック114に戻る。
【0032】
ブロック120において、モジュール30が対象車両20の予定される走行経路に接近する活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両を検出しない場合、方法110はブロック122に進む。ブロック122において、モジュール30は、活性化された停車表示灯をもつスクールバスが乗降のために前方で停車しているか否かを検出する。活性化された停車表示灯は、スクールバスが乗降のために停車していることを示している。場合によっては、スクールバスが乗降のために停車していることを示す停車表示サインが利用される。ブロック122において、モジュール30が活性化された停車表示灯を備えた停車するスクールバスを検出しない場合、方法110はブロック146に進み、最終的にブロック114に戻る。
【0033】
ブロック122において、モジュール30が活性化された停車表示灯を備える停車しているスクールバスを検出する場合、方法110はブロック152に進む。ブロック152において、モジュール30は、バスは中央の分離帯の向こうの反対車線にいるか否かを決定する。モジュール30は、スクールバスが、対象車両20の現在の車線の反対に流れる車線、および対象車両20の反対の中央の分離帯の横にいるか否かを決定する。ブロック152において、モジュール30がスクールバスは対象車両20から中央の分離帯の反対側における反対車線にいることを決定する場合、方法110はブロック146に進み、最終的にブロック114に戻る。ブロック152において、スクールバスが中央の分離帯の反対側の反対車線にいないことをモジュール30が決定する場合、方法110はブロック154に進む。
【0034】
ブロック154において、モジュール30は、直接的に、または車両制御モジュール60を経由して間接的に、警報モジュール70に指令する。モジュール30は、警報モジュール70によって、活性化された停車表示灯を備えたスクールバスが前に停車していることを、対象車両20の運転者に通知するような、運転者に対する適切な警報を出す。ブロック154から、方法110は、ブロック142と同じであるブロック156に進む。ブロック156から、方法110はブロック158に進む。ブロック158において、モジュール30が、スクールバスが移動し始めたか否かを検出する。一旦スクールバスが移動し始めたことをモジュール30が決定すると、方法110はブロック158からブロック146に進み、最終的にブロック114に戻る。
【0035】
この開示は、システムと方法を提供する。システムと方法とは、活性化された緊急表示灯を備えた緊急車両、および活性化された停車表示灯を備えたスクールバスの存在を検出するだけではなく、対象車両を減速する、そして、場合により最終的に完全に停車させる。この開示は、緊急車両に対して道路を譲り、スクールバスのために停車することを要求する法律に、対象車両20の運転者が従い、対象車両20の運転者および他の者の安全性を向上することを可能とする。
【0036】
なお、ブロック134などにおける語句「右」は、法律に依存して「左」と読み代えられる場合がある。例えば、右側通行の場合、右車線は、走行車線、低速車線とも呼ばれ、左車線は追越車線、高速車線とも呼ばれる。例えば、左側通行の場合、右車線は追越車線、高速車線とも呼ばれ、左車線は走行車線、低速車線とも呼ばれる。また、語句「路肩」は退避帯と呼ばれてもよい。語句「モジュール」は、「部」または「手段」と置き換え可能である。語句「ブロック」は、「ステップ」または「段階」と置き換え可能である。
【0037】
優先車両は、法的に定められた権利によって、道路上において、他車(対象車両は、一般車両とも呼ばれる)より優先される車両である。それら優先車両は、自らが優先状態にあることを周囲に示すために、活性化される表示灯または表示サイン(標識)を有する。優先車両のひとつである緊急車両は、例えば救急車、消防車、警察用車両などを含み、例えば赤色回転灯を有する。優先車両のひとつであるスクールバスは、幼稚園および/または保育園の児童、園児のためのバス、小学生、中学生、または高校生のためのバスなどを含み、例えば乗降停車表示灯、または乗降停車表示標識を有する。
【0038】
この開示は、表示灯または表示サイン(標識)の活性化を識別することによって有利な効果を生み出す。また、この開示は、対象車両を減速させることによって有利な効果を生み出す。また、この開示は、対象車両を停車させるまで減速することによって有利な効果を生み出す。また、この開示は、対象車両の予定経路、および、優先車両の予定経路の交差に応答することによって有利な効果を生み出す。また、この開示は、中央の分離帯によって仕切られた反対車線の優先車両に応答しないことによって有利な効果を生み出す。逆に、反対車線であっても、中央の分離帯によって仕切られていない反対車線の優先車両に応答することによって有利な効果を生み出す。これらの条件は、法律に応じて設定することができる。また、対象車両に適用される法律は、対象車両が走向する地域に応じて自動的に切り換えることができる。
【0039】
この明細書の開示は、以下に述べる概念を含む。
【0040】
(1)活性化された表示器をもつ優先車両の位置を検出するように構成された検出モジュールと、検出モジュールによって、活性化された表示器をもつ優先車両が検出され、かつ、検出された優先車両と対象車両とが互いに接近しつつあることに応答して対象車両を減速させる車両制御モジュールとを備える車両制御システム。
【0041】
(2)対象車両が、検出モジュール、および車両制御モジュールを備える(1)に記載の車両制御システム。(3)さらに、カメラモジュールを備え、カメラモジュールから画像データを受け取るために検出モジュールはカメラモジュールと情報通信可能であり、検出モジュールは画像データに基づいて優先車両を検出するように構成されている(1)または(2)に記載の車両制御システム。(4)さらに、画像データを取得し、カメラモジュールに画像データを入力する複数のカメラを備える(3)に記載の車両制御システム。(5)さらに、優先車両から経路データを取得する情報通信モジュールを備え、検出モジュールは、経路データに基づいて、対象車両に対する優先車両の位置を検出するように構成されている(1)から(4)のいずれかに記載の車両制御システム。(6)車両制御モジュールは、対象車両を減速させるために対象車両のブレーキを活性化するように構成されている(1)から(4)のいずれかに記載の車両制御システム。(7)車両制御モジュールは、対象車両を完全な停車まで減速させるために対象車両のブレーキを活性化するように構成されている(6)に記載の車両制御システム。
【0042】
(8)車両制御モジュールは、活性化された表示器をもつ優先車両と対象車両とが互いに近づいていることを検出モジュールが検出した場合に、優先車両から遠ざけるように対象車両を移動させるように構成されている(1)から(7)のいずれかに記載の車両制御システム。(9)車両制御モジュールは、優先車両から遠ざけるように対象車両を移動させるために、対象車両のステアリングシステムおよびブレーキシステムの少なくともいずれかを操作するように構成されている(8)に記載の車両制御システム。(10)車両制御モジュールは、優先車両から遠ざけるように、対象車両が走向中である車線の路肩または横へ対象車両を移動させるために、対象車両のステアリングシステムおよびブレーキシステムの少なくともいずれかを操作するように構成されている(8)または(9)に記載の車両制御システム。(11)活性化された表示器をもつ優先車両は、活性化された緊急表示灯をもつ緊急車両、活性化された停車表示灯をもつスクールバス、活性化された停車表示サインをもつスクールバス、および、活性化された警報灯をもつ二次車両の少なくともいずれかを含む(1)から(10)のいずれかに記載の車両制御システム。
【0043】
(12)対象車両の検出モジュールによって、活性化された緊急表示灯をもつ緊急車両と、対象車両に対する緊急車両の位置とを検出すること、および、検出モジュールによって、活性化された緊急表示灯をもつ緊急車両と対象車両とが互いに接近しつつあることが検出された場合、車両制御モジュールによって、対象車両にブレーキをかけることを備える車両制御方法。
【0044】
(13)さらに、カメラモジュールから検出モジュールに入力されたカメラデータに基づいて緊急車両を検出することを備える(12)に記載の車両制御方法。(14)さらに、緊急車両によって送信され、対象車両の通信モジュールから検出モジュールに受信された経路データに基づいて、対象車両に対する緊急車両の位置を検出することを備える(12)または(13)に記載の車両制御方法。(15)さらに、活性化された緊急表示灯をもつ緊急車両と対象車両とが互いに近づいていることを検出モジュールが検出した場合に、対象車両の走向車線の路肩または横へ対象車両を移動させるために、対象車両を操舵することを備える(12)から(14)のいずれかに記載の車両制御方法。(16)さらに、活性化された緊急表示灯をもつ緊急車両と対象車両とが互いに近づいていることを検出モジュールが検出した場合に、対象車両を完全な停車に到達させるためにブレーキをかけることを備える(12)から(15)のいずれかに記載の車両制御方法。
【0045】
(17)対象車両の検出モジュールによって、活性化された停車表示灯、または、活性化された停車表示サインをもつスクールバスと、対象車両に対するスクールバスの位置とを検出すること、および、検出モジュールによって、活性化された停車表示灯、または、活性化された停車表示サインをもつスクールバスと対象車両とが互いに接近しつつあることが検出された場合、車両制御モジュールによって、対象車両を完全な停車に到達させるためにブレーキをかけることを備える車両制御方法。(18)さらに、カメラモジュールから検出モジュールに入力されたカメラデータに基づいて、活性化された停車表示サインをもつスクールバスを検出すること、および、停車表示サインの検出に応答して、車両制御モジュールによって、対象車両にブレーキをかけることを備える(17)に記載の車両制御方法。(19)さらに、スクールバスによって送信され、対象車両の通信モジュールから検出モジュールに受信された経路データに基づいて、対象車両に対するスクールバスの位置を検出することを備える(17)または(18)に記載の車両制御方法。
【0046】
(20)対象車両の検出モジュールによって、活性化された警報灯をもつ二次車両と、対象車両に対する二次車両の位置とを検出すること、および、検出モジュールによって、活性化された警報灯をもつ二次車両と対象車両とが互いに接近しつつあることが検出された場合、車両制御モジュールによって、対象車両にブレーキをかけることを備える車両制御方法。
【0047】
以上に述べた実施形態の説明は、図示と説明のために与えられたものである。そこには、発明を限定する意図や、網羅的にする意図はない。それぞれの個別の構成要素、または特定の実施形態の特徴は、その特定の実施形態に限定されない。しかし、具体的に図示され説明されていない限り、適用可能であれば、それらは互いに入れ替え可能であり、特定の選ばれた実施形態において利用可能である。それらは、多くの手法に変形可能でもある。それらの変形例は発明からの派生物として考慮されるべきではなく、すべてのそれらの変形例は発明の技術的範囲に属するべきものとして意図されている。
【0048】
例示された実施形態は、この開示が完全になるように、そして、この開示が当業者に技術的範囲を完全に伝えるように提供されている。特定の成分、装置、および方法の例示のような多数の特定の詳細な説明は、この開示の実施形態についての完全な理解を提供するために述べられている。特定の詳細が採用される必要がない場合があること、例示された実施形態が多数の異なる形態によって実施可能であること、そして、何も開示の範囲を限定するように解釈されるべきではないことは当業者には明白である。いくつかの例示された実施形態では、周知の方法、周知の装置構造、および周知の技術は、詳細に記述されない。
【0049】
ここに使用される用語は、特別の例示された実施形態だけを記述するためのものであり、制限的な意図はない。ここに使用されるように、文脈が明確に反対のことを示さない限り、1つを示す語は複数形をも含むように意図されている。用語「備える」「有する」「含む」「もつ」は、包括的であって、したがって記述された特徴、整数、ステップ、操作、要素、および/または部品の存在を述べており、しかし、ひとつまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、部品、および/またはそれらの組み合わせの追加または存在を除外しない。ここに説明された方法の工程、処理、および操作は、実行の順序として特別に指定されない限り、説明され、または図示された特定の順序での実行を要求するものとして解釈されない。さらに、追加的な、または代替的な工程が採用可能であるとも理解されるべきである。
【0050】
ひとつの要素または層と、他の要素または層とが、「上に」、「連結されて」、「接続されて」、または「組み合わせられて」のように参照される場合、ひとつの要素または層と、他の要素または層とは、「直接に」または「介在要素または介在層が存在して」上に、連結されて、接続されて、または組み合わせられていてもよい。反対に、ひとつの要素または層と、他の要素または層とが、「直接に上に」、「直接に連結され」、「直接に接続され」、または「直接に組み合わせられ」と参照される場合、そこには介在要素または介在層は存在しなくてもよい。複数の要素の間の関係を説明する他の用語(例えば、「の間」と「の間に直接に」、「隣接する」と「直接に隣接する」など)は、同様に解釈されるべきである。ここに使用されるように、用語「および/または」は、関連付けて列挙された要素のすべての1つ、または、複数のすべての組み合わせを含んでいる。
【0051】
ここでは、様々な要素、部品、領域、層、および/または区分について記述するために、第1、第1、第3などの用語が使用されることがあるが、それらの要素、部品、領域、層、および/または区分はそれらの用語では限定されない。これらの用語はひとつの要素、部品、領域、層、また区分を他の要素、部品、領域、層、また区分から区別するために単純に使用される。文脈によって明示されない限り、「第1」、「第2」および他の数詞は使用された場合に順序または順番を意味しない。したがって、例示された実施形態の教示から外れずに、ここに記述の第1要素、第1部品、第1領域、第1層、および第1区分は、第2要素、第2部品、第2領域、第2層、および第2区分としても記述可能である。
【0052】
空間的な相対的な用語、例えば、「内部の」、「外部の」、「の下に」「以下に」「より低い」、「上に」、「上部の」などは、図面に図示されたひとつの要素または特徴の他の要素または特徴に対する関係を記述するための記載を簡単にするために用いられている。空間的に相対的な用語は、図の中に描かれた方向に加えて、使用または操作において装置の異なる方向を包含するように意図されている。例えば、図の中の装置がひっくり返される場合、他の要素または特徴の「以下に」または「下に」と記述された要素または特徴は、他の要素または特徴の「上に」と方向付けられる。したがって、例えば、用語「以下に」は「上に」と「以上に」の両方を包含することができる、装置は他の方向付けられてもよく(90度回転された方向、または他の方向)、また、ここに用いられた空間的な相対的説明用語はそのように適合的に解釈されてもよい。
【0053】
他の実施形態
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0054】
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 車両用安全システム、
20 対象車両、 22 緊急車両、
30 緊急車両および/またはスクールバスを検出するモジュール、
40 カメラモジュール、 42A 前方カメラ、 42B 後方カメラ、
50 通信モジュール、 52 車両アンテナ、
60 車両制御モジュール、
70 警報モジュール。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4