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特許6992950封止構造、表示パネル、表示装置及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】封止構造、表示パネル、表示装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20220105BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220105BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220105BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20220105BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20220105BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
G09F9/30 309
G09F9/00 338
G09F9/30 308Z
G09F9/30 365
H01L27/32
H05B33/02
H05B33/04
H05B33/14 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019543029
(86)(22)【出願日】2017-09-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-16
(86)【国際出願番号】 CN2017101729
(87)【国際公開番号】W WO2018171131
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2020-04-06
(31)【優先権主張番号】201710174086.3
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】李 云飛
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0172623(US,A1)
【文献】特開2007-200840(JP,A)
【文献】特開2011-028210(JP,A)
【文献】特開2015-002177(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/00-9/46
H01L27/32
51/50
H05B33/00-33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
封止構造であって、
封止すべき基板上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層の前記基板から離れた面に形成された金属層と、
前記金属層及び前記絶縁層を覆っている無機封止層と
を含み、
前記絶縁層の前記金属層の縁に接触する部分には、離隔して設置された複数の絶縁溝が形成されており、前記金属層の縁には、離隔して配列された複数の金属縁飾りが形成されており、一部又は全部の前記金属縁飾りは、前記無機封止層により覆われ、複数の前記金属縁飾りと前記金属層とは同一層に設置され、複数の前記金属縁飾りの前記絶縁層における正投影は、複数の前記絶縁溝に一対一対応し、前記金属縁飾りの各々の前記絶縁層における正投影は、対応する前記絶縁溝のノッチと部分的に重なることを特徴とする封止構造。
【請求項2】
離隔して設置された複数の絶縁溝は、前記絶縁層の前記金属層の縁に接触する部分に周期的に設置され、離隔して配列された複数の前記金属縁飾りは、前記金属層の縁の前記無機封止層により覆われる部分に周期的に形成され、複数の前記絶縁溝の設置周期と複数の前記金属縁飾りの設置周期とは同一であることを特徴とする請求項1に記載の封止構造。
【請求項3】
前記絶縁層は、封止すべき基板上に形成された第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に形成された第2絶縁層とを含み、
前記金属層は前記第2絶縁層の前記第1絶縁層から離れた面に形成され、前記絶縁溝は前記第2絶縁層に設置され、前記絶縁溝は前記第2絶縁層を貫通することを特徴とする請求項1に記載の封止構造。
【請求項4】
前記金属縁飾りの各々の前記絶縁層における正投影の半分は、対応する前記絶縁溝のノッチと重なることを特徴とする請求項1に記載の封止構造。
【請求項5】
前記絶縁溝のノッチの形状は、前記金属縁飾りの輪郭と同一又は異なることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の封止構造。
【請求項6】
前記金属縁飾りの輪郭は、正方形、長方形、円形、楕円形、平行四辺形又は台形であり、
前記絶縁溝のノッチの形状は、正方形、長方形、円形、楕円形、平行四辺形又は台形であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の封止構造。
【請求項7】
前記絶縁溝のノッチは、前記絶縁層の前記封止すべき基板から離れた面に位置することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の封止構造。
【請求項8】
前記金属縁飾りの材質は前記金属層の材質と異なっていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の封止構造。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の封止構造を含む表示パネルであって、
前記封止構造の絶縁層は、前記表示パネルの表示基板上に形成されていることを特徴とする表示パネル。
【請求項10】
前記表示基板は、フレキシブルOLED表示基板であることを特徴とする請求項9に記載の表示パネル。
【請求項11】
請求項9乃至10のいずれか一項に記載の表示パネルを含む表示装置。
【請求項12】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の封止構造を製造する方法であって、
封止すべき基板上に絶縁層を形成し、離隔して配列された複数の絶縁溝を前記絶縁層に形成するステップと、
前記絶縁層の前記基板から離れた面に金属層を形成し、離隔して配列されかつ一部又は全部が無機封止層により覆われる複数の金属縁飾りを前記金属層の縁に形成するステップと、
前記金属層及び前記絶縁層を覆う前記無機封止層を、前記金属層の前記絶縁層から離れた面に形成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
離隔して配列された複数の金属縁飾りを前記金属層の縁に形成するステップは、
一回パターニング工程を通じて、離隔して配列された複数の金属縁飾りを有する金属層を形成するステップを含み、
前記金属層の前記絶縁層から離れた面に無機封止層を形成するステップは、
無機封止層を使用して前記金属層及び前記絶縁層を覆うステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
離隔して配列された複数の金属縁飾りを前記金属層の縁に形成するステップは、
複数の前記金属縁飾りを製造し、製造された複数の前記金属縁飾りを前記金属層の縁に離隔して形成するステップを含み、
前記金属層の前記絶縁層から離れた面に無機封止層を形成するステップは、
前記無機封止層を使用して前記金属層及び前記絶縁層を覆うステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記絶縁層は、第1絶縁層と、第2絶縁層とを含み、
封止すべき基板上に絶縁層を形成するステップは、
封止すべき基板上に前記第1絶縁層を形成し、且つ前記第1絶縁層の前記基板から離れた面に前記第2絶縁層を形成するステップを含み、
前記絶縁層の前記基板から離れた面に金属層を形成するステップは、
前記第2絶縁層の前記第1絶縁層から離れた面に前記金属層を形成するステップを含み、
離隔して配列された複数の絶縁溝を前記絶縁層に設置するステップは、
離隔して設置され、前記第2絶縁層を貫通する複数の絶縁溝を前記第2絶縁層に形成するステップを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示技術に関し、特に、封止構造、表示パネル、表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブル表示パネルは、軽薄化された自発光表示パネルであって、良好な表示効果を持つだけではなく、実際使用環境の要求に適応するように、折り曲げを実現することもできる。
【0003】
既存のフレキシブル表示パネルは、通常、フレキシブル表示基板と、フレキシブル表示基板の表面に設けられた封止構造層とを含む。具体的に、封止構造は、フレキシブル表示パネル上に形成された絶縁層と、絶縁層のフレキシブル表示パネルから離れた面に形成された金属層と、金属層の絶縁層から離れた面に形成された無機封止層とを含み、無機封止層は、金属層の直線縁に対する密封を実現する。
【0004】
上記の封止構造は、一定の封止役割を果たしているが、金属層の縁は直線であるため、無機封止層と金属層との接触部位が線形構造であり、無機封止層は金属層の縁が生長する時に単一法則を現している。金属層の直線縁と無機封止層の間に隙間が形成される時、外界の水分・酸素は金属層の直線縁に沿って表示領域に浸透しやすく、従って表示パネルの正常使用に影響を及ぼし、ひいては素子を無効にさせるため、既存の封止構造のフレキシブル表示パネルに対する封止効果は良くない。
【発明の概要】
【0005】
本発明が解決しようとする技術課題は、封止構造を提供して、表示パネルの封止効果を向上させ、外界の水分・酸素が表示領域へ浸透するのを効果的に遮断し、表示パネルの正常使用を確保することである。
【0006】
一態様において、封止構造を提供する。前記封止構造は、絶縁層と、金属層と、無機封止層とを含み、前記絶縁層は、封止すべき基板上に形成され、前記金属層は、前記絶縁層の前記基板から離れた面に形成され、前記無機封止層は、前記金属層及び前記絶縁層を覆い、
前記絶縁層の前記金属層の縁に接触する部分には、離隔して設置された複数の絶縁溝が形成されており、前記金属層の縁には、離隔して配列された複数の金属縁飾りが形成されており、一部又は全部の前記金属縁飾りは、前記無機封止層により覆われ、複数の前記金属縁飾りと前記金属層とは同一層に設置され、複数の前記金属縁飾りの前記絶縁層における正投影は、複数の前記絶縁溝に一対一対応し、前記金属縁飾りの各々の前記絶縁層における正投影は、対応する前記絶縁溝のノッチと部分的に重なる。
【0007】
さらに、離隔して設置された複数の絶縁溝は、前記絶縁層の前記金属層の縁に接触する部分に周期的に設置され、離隔して配列された複数の金属縁飾りは、前記金属層の縁の前記無機封止層により覆われる部分に周期的に形成され、複数の前記絶縁溝の設置周期と複数の前記金属縁飾りの設置周期とは同一である。
【0008】
さらに、前記絶縁層は、封止すべき基板上に形成された第1絶縁層と、前記第1絶縁層の上に形成された第2絶縁層とを含み、前記金属層は前記第2絶縁層の前記第1絶縁層から離れた面に形成され、前記絶縁溝は前記第2絶縁層に設置され、前記絶縁溝は前記第2絶縁層を貫通する。
【0009】
さらに、前記金属縁飾りの各々の前記絶縁層における正投影の半分は、対応する前記絶縁溝のノッチと重なる。
【0010】
さらに、前記基板が表示基板である場合、前記絶縁溝の深さは、前記金属層の厚さの二倍より大きく且つピクセルサイズより小さい。
【0011】
さらに、前記基板が表示基板である場合、前記金属縁飾りの輪郭は、弧形であり、前記金属縁飾りの半径は、前記金属層の厚さの二倍より大きく且つピクセルサイズより小さい。
【0012】
さらに、前記絶縁溝のノッチの形状は、前記金属縁飾りの輪郭と同一又は異なる。
【0013】
さらに、前記金属縁飾りの輪郭は、正方形、長方形、円形、楕円形、平行四辺形又は台形であり、
前記絶縁溝のノッチの形状は、正方形、長方形、円形、楕円形、平行四辺形又は台形である。
【0014】
別の態様において、上記の封止構造を含む表示パネルを更に提供する。前記封止構造の絶縁層は、前記表示パネルの表示基板上に形成されている。
【0015】
さらに、前記表示基板は、フレキシブルOLED表示基板である。
【0016】
別の態様において、上記の表示パネル含む表示装置を更に提供する。
【0017】
別の態様において、上記の封止構造を製造する方法を更に提供する。前記方法は、
封止すべき基板上に絶縁層を形成し、離隔して配列された複数の絶縁溝を前記絶縁層に形成するステップと、
前記絶縁層の前記基板から離れた面に金属層を形成し、離隔して配列されかつ一部又は全部が無機封止層により覆われる複数の金属縁飾りを前記金属層の縁に形成するステップと、
前記金属層及び前記絶縁層を覆う前記無機封止層を、前記金属層の前記絶縁層から離れた面に形成するステップとを含む。
【0018】
さらに、離隔して配列された複数の金属縁飾りを前記金属層の縁に形成するステップは、一回パターニング工程を通じて、離隔して配列された複数の金属縁飾りを有する金属層を形成するステップを含み、
前記金属層の前記絶縁層から離れた面に無機封止層を形成するステップは、無機封止層を使用して前記金属層及び前記絶縁層を覆うステップを含む。
【0019】
さらに、離隔して配列された複数の金属縁飾りを前記金属層の縁に形成するステップは、複数の前記金属縁飾りを製造し、製造された複数の前記金属縁飾りを前記金属層の縁に離隔して形成するステップを含み、
前記金属層の前記絶縁層から離れた面に無機封止層を形成するステップは、前記無機封止層を使用して前記金属層及び前記絶縁層を覆うステップを含む。
【0020】
さらに、前記絶縁層は、第1絶縁層と、第2絶縁層とを含み、封止すべき基板上に絶縁層を形成するステップは、封止すべき基板上に前記第1絶縁層を形成し、且つ前記第1絶縁層の前記金属基板から離れた面に前記第2絶縁層を形成するステップを含み、
前記絶縁層の前記基板から離れた面に金属層を形成するステップは、前記第2絶縁層の前記第1絶縁層から離れた面に前記金属層を形成するステップを含み、
離隔して設置され、前記第2絶縁層を貫通する複数の絶縁溝を前記第2絶縁層に形成するステップを含む。
【0021】
従来技術に比べ、本発明は以下の利点を含む。
【0022】
本発明は、封止構造、表示パネル、表示装置及びその製造方法を提供する。本発明に係る封止構造において、複数の金属縁飾り及び複数の絶縁溝の設置に基づいて、無機封止層は金属層の縁が生長する時に多様性の配列特徴を示し、従来技術における無機封止層の生長の単一法則を打ち破る。金属縁飾り及び絶縁溝の設置は、水分・酸素浸入抵抗力及び浸入経路の長さを増加させるため、表示パネルへの外界の水分・酸素の浸入を効果的に遮断することができ、表示パネルの封止効果を向上させ、表示パネルの使用寿命を延長させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来の表示パネルの構造模式図である。
図2】従来の表示パネルの封止構造の構造模式図である。
図3】従来の表示パネルの封止構造の平面構造模式図である。
図4】従来の表示パネルの封止構造の水分・酸素侵食経路の立体構造模式図である。
図5】改善された表示パネルの封止構造の平面構造模式図である。
図6】改善された表示パネルの封止構造の水分・酸素侵食経路の立体構造模式図である。
図7】本発明の実施例に係る封止構造の平面構造模式図である。
図8】本発明の実施例に係る封止構造の水分・酸素侵食経路の立体構造模式図である。
図9】本発明の実施例に係る別の封止構造の平面構造模式図である。
図10】本発明の実施例に係る別の封止構造の平面構造模式図である。
図11】本発明の実施例に係る上記の封止構造を製造する方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0024】
1 絶縁層
2 金属層
3 無機封止層
4 絶縁溝
5 金属縁飾り
6 表示基板
7 金属線
11 第1絶縁層
12 第2絶縁層
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の上記の目的、特徴及び利点をより明らかで分かりやすくするために、以下では、図面及び具体的な実施形態を結び付けて本発明を更に詳細に説明することにする。
【0026】
本発明の記述において、特に説明がない限り、「複数」の意味は二つ又は二つ以上である。用語「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等が指し示す方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づいたものであり、単に本発明の記述を容易にし且つ記述を簡略化するために用いられ、指された部品又は素子が必ずしも特定の方位を持ち、特定の方位で構造及び操作されることを明示又は暗示するものではないため、本発明に対する制限として理解されるべきではない。
【0027】
本発明の記述において、説明すべきことは、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「装着」、「互いに連なる」、「接続」は広義的に理解されるべきである。例えば、固定接続であり得、着脱可能な接続でもあり得、或いは、一体に接続されるものでもあり得る。なお、機械的接続でもあり得、電気的接続でもあり得る。なお、直接接続されるものでもあり得、中間媒体を介して間接接続されるものでもあり得る。当業者にとって、具体的な状況に基づいて本発明における上記の用語の具体的な意味を理解することができる。
【0028】
以下、図面及び実施例を結び付けて本発明の具体的な実施形態を更に詳細に記述することにする。以下の実施例は、本発明を説明するために用いられるが、本発明の範囲を制限するものではない。
【0029】
図1は、従来の表示パネルの構造模式図である。図1に示す表示パネルは、表示基板6と、発光層を封止するための封止構造とを含み、当該封止構造は表示基板6上に設置される。
【0030】
表示パネルの密封性を確保し、外界の水分・酸素が表示パネルの内部へ浸入するのを防止するために、通常、表示パネルに対して封止処理を行って、封止構造を形成する。図2は、従来の表示パネルの封止構造の構造模式図である。図2が示す封止構造は、表示基板6を覆っている第1絶縁層11と、第1絶縁層11の表示基板6から離れた面に形成された第2絶縁層12と、第2絶縁層12上に位置する金属層2と、金属層2及び第2絶縁層12上に敷設された無機封止層3とを含む。
【0031】
図1に示す表示パネルにおける金属層2の縁は直線構造であるため、図1に示すAA′区域内の金属線7のような金属層2の露出部位と無機封止層3の境目部位において、無機封止層3の金属層2に対する生長緻密性が比較的に低いため、金属層2と無機封止層3の境目部位は、直線構造の水分・酸素侵食経路が形成されやすい。図3及び図4において、矢印方向は水分・酸素侵食経路の方向である水分・酸素浸入方向を表す。外界の水分・酸素は直線経路に沿って表示パネルの内部に浸入しやすく、従って表示パネルの正常表示に影響を及ぼし、表示パネルの使用寿命を低下させる。
【0032】
従来の表示パネルの封止構造の封止効果を向上させるために、従来技術は表示パネルの封止構造に対して改善を行った。即ち、水分・酸素侵食経路を延長し、表示パネルの封止効果を向上させるために、金属層2の縁に幾つかのパターンを作製した。図5は、改善された表示パネルの封止構造である。図5に示す封止構造において、金属層2の縁に複数の方形構造をなす金属縁飾り5を形成し、複数の金属縁飾り5は周期的配列になり、金属層2と無機封止層3の境目部位に形成された水分・酸素侵食経路は折り曲げ構造である。図6において、矢印方向は水分・酸素侵食経路の方向を表し、外界の水分・酸素は折り曲げ経路に沿って表示パネルの内部に浸入する。
【0033】
従来の表示パネルの封止構造に比べ、改善された封止構造は比較的に良い封止効果を持つが、折り曲げられている水分・酸素侵食経路は平面経路であり続けるため、水分・酸素の浸入抵抗力が比較的に小さく、水分・酸素は依然として平面経路に沿って表示パネルの内部に浸入しやすく、表示パネルの性能に悪影響を及ぼす。
【0034】
表示パネルの封止構造の封止効果をさらに向上させるために、本発明の実施例は新型の封止構造を研究開発した。本発明の実施例に係る封止構造を使用して表示パネルを封止することができ、他の封止すべき基板を封止することもできる。
【0035】
図7は本発明の実施例に係る封止構造の平面構造模式図であり、図8は本発明の実施例に係る封止構造の水分・酸素侵食経路の立体構造模式図である。図7及び図8における矢印方向は、水分・酸素侵食方向である。図7及び図8を参考すると分かるように、本発明の実施例に係る封止構造は、絶縁層1と、金属層2と、無機封止層3とを含み、絶縁層1は封止すべき基板上に形成され、金属層2は絶縁層1の基板から離れた面に形成され、無機封止層3は金属層及び絶縁層2を覆っており、絶縁層1の金属層2の縁に接触する部分には、離隔して設置された複数の絶縁溝4が形成されており、金属層2の縁には、離隔して配列された複数の金属縁飾り5が形成されており、一部又は全部の金属縁飾り5は無機封止3により覆われ、複数の金属縁飾り5と金属層2とは同一層に設置され、複数の金属縁飾り5の絶縁層1における正投影は複数の絶縁溝4に一対一対応し、金属縁飾り5の各々の絶縁層1における正投影は対応する絶縁溝4のノッチと部分的に重なる。
【0036】
本発明の実施例に記載の金属縁飾り5は一定のパターン構造を有し、折り曲げられている水分・酸素侵食経路を形成するために用いられ、金属縁飾り5の材質は金属層2の材質と同一又は異なって良い。金属縁飾り5は、一回パターニング工程を通じて製造されても良く、予め製造され、後で金属層2の縁に形成されても良い。前記絶縁溝4のノッチは、絶縁層1の封止すべき基板から離れた面に位置する。
【0037】
本発明の実施例は、金属層2の縁及び金属層2の下方の絶縁層1に一定のパターンを有する金属縁飾り5及び絶縁溝4を形成するため、無機封止層3と金属層2の縁とにより形成される水分・酸素侵食経路は、平面方向において折り曲げがあるだけではなく、垂直方向においても起伏があり、従って、無機封止層3は金属層2の縁で生長する時に多様性の配列特徴を示し、従来技術における無機封止層3の生長の単一法則を打ち破る。当該構造は、浸入経路の長さを増加すると共に、水分・酸素侵食の抵抗力を増加したため、外界の水分・酸素の浸入を効果的に遮断することができ、比較的に良い封止効果を持つ。
【0038】
さらに、離隔して設置された複数の絶縁溝4は、絶縁層1と金属層2の縁とが接触する部分に周期的に設置され、離隔して配列された複数の金属縁飾り5は、金属層2の縁が無機封止層により覆われた部分に周期的に形成され、複数の絶縁溝4の設置周期と複数の金属縁飾り5の設置周期とは同一である。
【0039】
複数の絶縁溝4と複数の金属縁飾り5とが同一周期で設置されるのは、単位長さの金属層2の縁の垂直方向における水分・酸素浸入抵抗力及び折り曲げ経路の長さを増加することができ、従って封止構造の封止効果をさらに向上させる。本発明の実施例は、複数の絶縁溝4及び複数の金属縁飾り5の配列方式を限定せず、すべて本発明の実施例に適用される他の配列方式は全て可能である。
【0040】
さらに、本発明の実施例に記載の絶縁層1は、絶縁溝4は単一層絶縁層1に形成され且つ当該絶縁層1を貫通しておらず、絶縁溝4は封止すべき基板と絶縁される単一層構造であって良い。前記絶縁層1は、第1絶縁層11と第2絶縁層12とを含み、第1絶縁層11は封止すべき基板上に形成され、第2絶縁層12は第1絶縁層11上に形成され、金属層2は第2絶縁層12の第1絶縁層11から離れた面に形成され、絶縁溝4は第2絶縁層12に設置され且つ第2絶縁層12を貫通する二層構造であっても良い。
【0041】
さらに、各々の金属縁飾り5の絶縁層における正投影の半分は、対応する絶縁溝4のノッチと重なる。金属縁飾り5の絶縁溝4との交互配列及び対応する半分の重なりに基づいて、封止構造が比較的に良い封止効果を持ち、外界の水分・酸素浸入を効果的に阻止することができる。
【0042】
さらに、絶縁溝4のノッチの形状は金属縁飾り5の輪郭と同一であっても良いし、異なっても良く、実際によって設置して良い。金属縁飾り5の輪郭は、正方形、長方形、円形、楕円形、平行四辺形又は台形のように多種多様であって良い。絶縁溝4のノッチの形状は、正方形、長方形、円形、楕円形、平行四辺形又は台形のように多種多様であって良い。図9及び図10を参照すると、図9において、金属縁飾り5の輪郭は台形構造であり、絶縁溝4のノッチの形状は台形構造である。図10において、金属縁飾り5の輪郭は円形構造であり、絶縁溝4のノッチの形状は円形構造である。
【0043】
多量の実験結果は、絶縁溝4の深さが金属層2の厚さの二倍より大きい場合、水分・酸素浸入経路は比較的に明らかな高低起伏効果を持ち、水分・酸素浸入を効果的に阻止することができ、金属縁飾り5の輪郭が弧形である場合、金属縁飾り5の半径は金属層2の厚さの二倍より大きく、水分・酸素侵食の長さを効果的に増加することができることを明らかにした。
【0044】
本発明の実施例に係る封止構造を使用して表示パネルを封止することができる。表示パネルを封止する時、金属線のような金属層2が表示パネルに入る過程において十分な長さを有し、且つ十分長い水分・酸素侵食経路を有することを確保するためには、絶縁溝4の深さは金属層2の厚さの二倍より大きく且つピクセルサイズより小さく、弧形をなす金属縁飾り5の半径は金属層2の厚さの二倍より大きく且つピクセルサイズより小さいのが好ましい。一つのピクセルは複数のサブピクセルからなり、ピクセルサイズは複数のサブピクセルからなるピクセルの矩形の辺長さであり、例えば、赤、緑、青の三種類のサブピクセルからなるピクセルの場合、ピクセルサイズは、サブピクセル組み合わせの矩形の辺長さである。
【0045】
本発明の実施例は、上記の封止構造を含む表示パネルを更に提供する。封止構造の絶縁層は、表示パネルの表示基板上に形成され、表示パネルの発光層を封止するために用いられる。
【0046】
上記の封止構造は比較的に良い封止効果を持つため、水分・酸素浸入を効果的に阻止することができる。このため、封止された表示パネルは比較的良い封止効果を持ち、外界の水分・酸素が表示パネル内部に入り難く、表示パネルは比較的長い使用寿命を有する。
【0047】
表示基板は、フレキシブルOLED表示基板又は他の表示基板であって良い。表示基板がフレキシブルOLED表示基板である場合、本発明の実施例に係る封止構造を使用してフレキシブルOLED表示パネルの発光層を封止することができ、封止されたフレキシブルOLED表示パネルは比較的に良い封止効果を持つ。
【0048】
本発明の実施例は、上記の表示パネルを含む表示装置を更に提供する。表示装置は、上記の表示パネルの特徴を持ち、比較的に良い封止効果を持つ。
【0049】
本発明の実施例は、上記の封止構造を製造する方法を更に提供する。図11は、本発明の実施例に係る上記の封止構造を製造する方法のフローチャートである。図11に示す上記の封止構造を製造する方法は下記のステップを含む。
【0050】
ステップ101で、封止すべき基板上に絶縁層を形成し、離隔して配列された複数の絶縁溝を絶縁層に形成する。
【0051】
ステップ102で、絶縁層の基板から離れた面に金属層を形成し、離隔して配列された複数の金属縁飾りを金属層の縁に形成し、一部又は全部の金属縁飾りは無機封止層により覆われている。
【0052】
ステップ103で、金属層の絶縁層から離れた面に無機封止層を形成し、無機封止層は金属層及び絶縁層を覆っている。
【0053】
本発明の実施例に係る上記の封止構造を製造する方法によれば、それぞれ金属層縁及び絶縁層に金属縁飾り及び絶縁溝を設置したため、無機封止層と金属層縁とにより形成される水分・酸素侵食経路は、平面方向において折り曲げがあるだけではなく、且つ垂直方向においても起伏があり、従って、無機封止層は金属層の縁が生長する時に多様性の配列特徴を示し、従来技術における無機封止層の生長の単一法則を打ち破る。当該構造は、浸入経路の長さを増加すると共に、水分・酸素侵食の抵抗力を増加したため、外界の水分・酸素の浸入を効果的に遮断することができ、比較的に良い封止効果を持つ。
【0054】
上記の方案に基づいて、金属層縁の金属縁飾りは異なる工程を通じて作り得るため、離隔して配列された複数の金属縁飾りを金属層の縁に形成するステップは、一回パターニング工程を通じて、離隔して配列された複数の金属縁飾りを有する金属層を形成するステップを含んで良く、
金属層の絶縁層から離れた面に無機封止層を形成するステップは、無機封止層を使用して前記金属層及び前記絶縁層を覆うステップを含んで良い。
【0055】
上記の実現方式以外に、離隔して配列された複数の金属縁飾りを金属層の縁に形成するステップは、複数の金属縁飾りを製造し、製造された複数の金属縁飾りを金属層の縁に離隔して形成するステップを更に含んで良く、
金属層の絶縁層から離れた面に無機封止層を形成するステップは、無機封止層を使用して金属層及び絶縁層を覆うステップを含んで良い。
【0056】
好ましくは、絶縁層は、第1絶縁層と、第2絶縁層とを含んで良く、封止すべき基板上に絶縁層を形成するステップは、封止すべき基板上に第1絶縁層を形成し、第1絶縁層の金属基板から離れた面に第2絶縁層を形成するステップを含んで良く、
絶縁層の前記基板から離れた面に金属層を形成するステップは、第2絶縁層の第1絶縁層から離れた面に金属層を形成するステップを含んで良く、
離隔して配列された複数の絶縁溝を絶縁層上に設置するステップは、離隔して設置された複数の絶縁溝を第2絶縁層に形成し、絶縁溝は第2絶縁層を貫通しているステップを含んで良い。
【0057】
本発明は、封止構造、表示パネル、表示装置及びその製造方法を提供する。本発明に係る封止構造において、複数の金属縁飾り及び複数の絶縁溝の設置に基づいて、無機封止層は金属層の縁が生長する時に多様性の配列特徴を示し、従来技術における無機封止層の生長の単一法則を打ち破る。金属縁飾り及び絶縁溝の設置は、水分・酸素浸入抵抗力及び浸入経路の長さを増加させるため、表示パネルへの外界の水分・酸素の浸入を効果的に遮断することができ、表示パネルの封止効果を向上させ、表示パネルの使用寿命を延長させる。
【0058】
本明細書における各実施例はいずれも漸進的な方式を採用して記述され、各実施例において重点的に説明されたものは全て他の実施例との相違点であり、各々の実施例の間の同一又は類似の部分は互いに参照し合えば良い。
【0059】
以上、本発明に係る封止構造、表示パネル、表示装置及びその製造方法を詳細に紹介した。本文において具体的なケースを応用して本発明の原理及び実施形態を述べたが、上記の実施例の説明は単に本発明の方法及びその核となる思想の理解を促進するために用いられる。同時に、当業者にとって、本発明の思想に基づいて具体的実施形態及び応用範囲においていずれも変更箇所があり得るようになる。上記のものをまとめると、本明細書の内容は、本発明に対する制限として理解されるべきではない。
【0060】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年3月22日に提出された中国特許出願第201710174086.3号の優先権を主張し、ここで、全文に亘って上記の中国特許出願に開示された内容を引用し、本出願の一部とする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11