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特許6992953生海苔異物分離装置(生海苔異物分離除去装置)における生海苔(生海苔塊、又は異物、異物塊を含む)の共回り防止装置と、共回り防止方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】生海苔異物分離装置(生海苔異物分離除去装置)における生海苔(生海苔塊、又は異物、異物塊を含む)の共回り防止装置と、共回り防止方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 17/60 20160101AFI20220105BHJP
   B03B 5/28 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A23L17/60 103C
B03B5/28 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017146347
(22)【出願日】2017-07-28
(65)【公開番号】P2019024381
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】鰐部 幸政
【審査官】緒形 友美
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-335919(JP,A)
【文献】特開2016-168037(JP,A)
【文献】特開平11-346733(JP,A)
【文献】特開平08-140637(JP,A)
【文献】特開2007-306832(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0004535(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/60
B03B 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生海苔排出口を有する選別ケーシングと、
この選別ケーシングの環状空間、又は当該選別ケーシングに配備した選別リングの環状空間に遊嵌した回転板と、
前記回転板と前記選別リング、又は、この回転板と前記選別ケーシング、とで形成したクリアランスの何れかの箇所に備え、かつこの回転板と共回りする生海苔、生海苔塊、又は異物、異物塊の何れかの共回り防止手段と、
をそれぞれ設けた生海苔、及び海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置において、
前記共回り防止手段は、
前記回転板の放射方向端面、又は、前記選別ケーシング又は前記選別リングの軸心方向端面に、先端が、前記クリアランスに張り出す掬い延設部を有する本体と、
この本体の長手方向の辺部に設けた傾斜面、スロープ、又は掬い面の何れかでなる掬い部と、
でなる突起物とし、
前記本体の前記先端の鉛直端面は、前記クリアランス内に臨む、
構成とした、
ことを特徴とする生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置。
【請求項2】
前記本体の長手方向の辺部は、少なくとも、第1辺部と第2辺部とを備え、この第1辺部とこの第2辺部とには、前記突起物の裏面の水平面に対して、鋭角を備えた面を備えた前記掬い部を設けることを特徴とする請求項1に記載の生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置。
【請求項3】
前記本体と、前記掬い部は、先端側が幅広形状とすることを特徴とする請求項2に記載の生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置。
【請求項4】
前記先端側の幅広形状は、前記クリアランスに向かって、徐々に広がっていることを特徴とする請求項3に記載の生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置。
【請求項5】
前記本体は、板状の平坦な形状とすることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置。
【請求項6】
前記掬い部は、前記本体に複数本設けることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載の生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置。
【請求項7】
前記掬い部を複数本設ける形状では、この掬い部は、対称関係となること特徴とする請求項6に記載の生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置。
【請求項8】
前記本体の裏面に窪み部を備えることを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載の生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置。
【請求項9】
前記窪み部は、前記鉛直端面より視認し、山形形状、凹部、又はトンネルとすることを特徴とする請求項8に記載の生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置。
【請求項10】
請求項1に記載の生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置を採用し、
この生海苔異物分離装置に備えた生海苔排出口を有する選別ケーシングの環状空間、又は当該選別ケーシングに配備した選別リングの環状空間に遊嵌した回転板を備え、
前記回転板と前記選別リング、又は、この回転板と前記選別ケーシング、とで形成したクリアランスの何れかの箇所に備え、かつこの回転板と共回りする生海苔、生海苔塊、又は異物、異物塊の何れかの共回り防止手段を備えてなり、
この共回り防止手段は、
前記回転板の放射方向端面、又は、前記選別ケーシング又は前記選別リングの軸心方向端面に、先端が、前記クリアランスに張り出す掬い延設部を有する本体と、
この本体の長手方向の辺部に設けた傾斜面、スロープ、又は掬い面の何れかでなる掬い部と、
でなる突起物とし
前記本体の前記先端の鉛直端面は、前記クリアランス内に臨む、
構成とし、
この構成を利用し、
前記クリアランスを通過せず、前記回転板と共回りする前記生海苔、前記生海苔塊、又は前記異物、前記異物塊の流れAに変化を付与し、
この掬い上げた前記生海苔、前記生海苔塊、又は前記異物、前記異物塊の流れAを、前記クリアランスより離れるようにし、
前記掬い上げた前記生海苔、前記生海苔塊、又は前記異物、前記異物塊の流れAを、前記生海苔混合液槽の生海苔混合液Bの表面に向かって浮遊させることを特徴とする生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生海苔・海水混合液(生海苔混合液)から異物を分離除去し、備え付けのタンク、又は次の装置に、選別した生海苔を、送るための生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置と、共回り防止方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明と関連がある特許発明として、本出願人が提案する特許第3966527号公報(文献(1))に記載の請求項1の発明は、生海苔排出口を有する選別ケーシング、及び回転板、この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段、並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において、前記防止手段を、突起・板体の突起物とし、この突起物を前記選別ケーシングの円周端面に設ける構成とし、また、請求項3の発明は、突起・板体の突起物である前記防止手段を回転板または選別ケーシングの円周面に設ける構成とし、請求項4の発明は、突起・板体の突起物である防止手段を選別ケーシングと回転板で形成されるクリアランスに設ける構成である。
【0003】
前項の共回り防止手段を備えた生海苔異物分離除去装置では、生海苔混合液槽に海苔混合液が導入され、この導入された生海苔混合液の生海苔は、回転板とともに回転しつつ、吸込み用ポンプにより回転板と選別ケーシングで形成される異物分離除去用のクリアランスに導かれる。この生海苔は、クリアランスを通過して分離処理される。この分離処理された生海苔(海水を含む)は、選別ケーシングのケーシング内底面から排出口を経由してタンク(良質タンク)に導かれる。
【0004】
しかし、生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置と、併せて共回り防止方法に関し、さらなる工夫が考えられる。
【0005】
その他、他社の技術として、特許第5843273号公報(文献(2))に記載の「生海苔の異物分離装置」がある。この発明は、クリアランスの上部側(選別ケーシングの上方開放側)の幅(径方向の幅)と、下部側(選別ケーシングの外底部側)の幅との間隔を、回転板の上下移動で、適宜制御すること(隙間調整回転板の制御機構)、及びクリアランスの入り口に、エッジ効果が期待できる窪みを形成し、クリアランスを通過できない異物を選別除去する。
【0006】
前記文献(1)、(2)においては、クリアランスの詰まり防止と、回転板と共に回る生海苔等を排除し、クリアランスが、生海苔を効率よく通過できる状況(正常なクリアランス環境を維持する)の確保と、生海苔を効率的に良質タンク内に貯留するか、又は関連する海苔機器に供給し、効率的、かつ合理的な運転を図ることを意図する。しかしながら、この種の装置・方法においては、必ずしも、十分とは云えないと考えられる。
【0007】
これを解決するには、回転板と共に回る生海苔塊、又は異物塊等の流れ(生海苔の流れ)を、掬い部の働きで確保しつつ、かつクリアランスに詰まる蓋然性がある生海苔塊、又は異物塊等の流れを確保し、必要により、生海苔塊等を解し、又は細かくし(例えば、切断・分離して)共回りを防止することと、併せて、クリアランスに、生海苔塊、又は異物塊(塊とは、生海苔混合液槽において、旋回流水で生海苔が浮遊状態でないことを云う。また異物も同様な状態を云う)が近づいた状態で、生海苔塊、又は異物塊を、速やかに、跳ね飛ばすことが、最も有効であり、かつクリアランスの隙間確保には最適である。しかしながら、これまでには、前記要望を応え得る文献は、散見されないのが現況である。
【0008】
【文献】特許第3966527号公報
【文献】特許第5843273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記に鑑み、本発明は、回転板と共に回る生海苔塊、又は異物塊とか、クリアランスに詰まった生海苔塊、又は異物塊等の流れ(生海苔の流れ)を、確実、かつ速やかに確保しつつ、かつその切断、又は分離等をする手段を備えている。その一例が、板材が備える特殊形態、又は板材の取付け等の配備に特徴がある傾斜面(掬い部)を備えた突起物を利用し、かつクリアランスを、常に正常な状態に維持する。例えば、生海苔塊、異物塊とか、又は共回りする生海苔、生海苔塊等を、クリアランスから離れた箇所(例えば、後述する隅に)に流す効果(掬い上げ、及び/又は、跳ね飛ばし等による流れ)を確保する。この正常な状態を、運転作業中に、絶え間なく、自動的に行うことを特徴とする。従って、作業者の視認とか、前記生海苔の流れ、或いは生海苔塊等を解すか、又は細かくする(例えば、切断・分離)等に特殊な物理的な手段を採用せずに、クリアランスを、常に正常な状態に維持し、良質な選別生海苔を効率的に、かつ確実に供給する生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置(生海苔異物分離装置の共回り防止装置)と、その方法とを提案する。例えば、以下のことを意図する。1. 生海苔(原藻)に根、スケール等の原藻異物が存在し、生海苔塊が発生し易い状況、生海苔の厚みが不均等の状況等の場合と、併せて、回転板と共に回る生海苔、生海苔塊、又は異物塊等、及びクリアランスを通過せず共回りする生海苔・生海苔塊、又は異物・異物塊を、確実に、かつ速やかに分離処理(共回り防止と異物を、選別・分離処理(異物の分離処理))することで、クリアランスを通過した選別された生海苔(良質な生海苔)を、確実に、かつ望ましくは、定量供給する。2. 生海苔が束状、捩じれ、絡み付き等の異常な状態で、生海苔が展開した状態でない、所調、生海苔の動きが正常でないときでも、例えば、回転板と共に回る(又はつられ回りする)生海苔塊、又は異物塊、及びクリアランス、及び/又は、近傍での共回りを、確実に、かつ速やかに防止し(処理し)、高品質の乾海苔の生成に要する生海苔を、確実に、かつ定量供給できる。3. 生海苔に異物が入り込むとか、付着している等の異常の状態、又は生海苔の厚みが不均等の状態、或いは、回転板と共回りする生海苔、生海苔塊、異物塊の流れが発生しても、共回りする生海苔、生海苔塊、等を掬い揚げ、かつ掬い上げ生海苔の流れ(A)を確保することで、前記クリアランスには至らない流れにより、クリアランス、及び/又は、近傍での共回りを、確実に、かつ速やかに防止し、高品質の乾海苔の生成に資する生海苔を、確実に、かつ定量供給できる。4. 1~3により、効率的・連続的に、異物分離と、共回り防止とを図り、もって、従来の異物分離作業の能率低下、関連装置の停止、海苔加工システム全体の停止等の回避を図り、海苔製造業者の要望を達成できる高品質の乾海苔の生成に要する生海苔を、確実に、かつ定量生成できる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記1~4を達成するために、請求項1~請求項10を提案する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明は、生海苔排出口を有する選別ケーシングと、
選別ケーシングの環状空間、又は選別ケーシングに配備した選別リングの環状空間に遊嵌した回転板と、
回転板と選別リング、又は、回転板と選別ケーシング、とで形成したクリアランスの何れかの箇所に備え、かつ回転板と共回りする生海苔、生海苔塊、又は異物、異物塊の何れかの共回り防止手段と、
をそれぞれ設けた生海苔、及び海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置において、
共回り防止手段は、
回転板の放射方向端面、又は、選別ケーシング又は選別リングの軸心方向端面に、先端が、クリアランスに張り出す掬い延設部を有する本体と、
本体の長手方向の辺部に設けた傾斜面、スロープ、又は掬い面の何れかでなる掬い部と、
でなる突起物とし、
本体の先端の鉛直端面は、クリアランス内に臨む、
構成とした、
生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置であり、回転板と共に回る生海苔、生海苔塊、又は異物、異物塊、及びクリアランスに詰まった生海苔、生海苔塊、又は異物、異物塊を、確実に、かつ速やかに排除できる。また、効率的・連続的な異物分離を図り、かつ高品質の乾海苔の生成に要する生海苔を、確実に、かつ定量供給できるとともに、併せて従来の異物分離作業の能率低下、関連装置の停止、海苔加工システム全体の停止等の回避が図れることと、海苔製造業者の要望を達成できる。尚、板材は、単なる共回りの解消にとどまらず、良品(良質)の生海苔の動きを矯正し、かつ、効率的にクリアランスに導く働きを行うことが高速度撮影で確認されている。また、掬い部の働きで、クリアランス、及び/又は、その近傍の共回り生海苔、及び/又は、生海苔塊を、海水混合液に戻すか、望ましくは、クリアランスから離した箇所の海水混合液に導くか、又は海水混合液の流れに添って表面、及び/又は、生海苔混合液槽の隅に向かっての流れを確保すること(クリアランスからの生海苔の通過を、常時、確保できる状況を確保すること)、或いは共回りの危険性を解除できる等の実益がある。また、生海苔の展開状態を確保し、換言すると、良品生海苔に再生できる状態となること等の特徴がある。
【0012】
請求項2の発明は、本体の長手方向の辺部は、少なくとも、第1辺部と第2辺部とを備え、第1辺部と第2辺部とには、突起物の裏面の水平面に対して、鋭角を備えた面を備えた掬い部を設けることを特徴とする請求項1に記載の生海苔異物分離装置であり、回転板と共に回る生海苔塊、又は異物塊、及びクリアランスに詰まった生海苔塊、又は異物塊を、確実に、かつ速やかに排除できる等、請求項1と同じ効果が期待できる。また、掬い部の働きで、クリアランス、及び/又は、その近傍の共回り生海苔、及び/又は、生海苔塊を、生海苔混合液の液中の適所に、流れるように掬い揚げ、共回り防止を図りつつ、生海苔の展開状態を確保できる特徴がある。
【0014】
請求項3の発明は、本体と、掬い部は、先端側が幅広形状とする生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置であり、請求項1、又は請求項2の目的を達成するに最適で、かつ概念的な、突起物の本体と傾斜面の構造を提案できる。
【0015】
請求項4の発明は、先端側の幅広形状は、クリアランスに向かって、徐々に広がっている生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置であり、請求項1、又は請求項2の目的を達成するに最適で、かつ概念的な、突起物の先端側の構造を提案できる。
【0016】
請求項5の発明は、本体は、板状の平坦な形状とする生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置であり、請求項2と同じ効果が期待できる。
【0017】
請求項6の発明は、掬い部は、本体に複数本設ける生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置であり、請求項2と同じ効果が期待できる。
【0018】
請求項7の発明は、掬い部を複数本設ける形状では、掬い部、対称関係となる生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置であり、請求項7を凌駕する効果が期待できる。
【0019】
請求項8の発明は、本体の裏面に窪み部を備える生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置であり、生海苔の共回り防止に最適な突起物を提供できる。
【0020】
請求項9の発明は、窪み部は、鉛直端面より視認し、山形形状、凹部、又はトンネルとする生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置であり、請求項8と同じ効果が期待できる。
【0022】
請求項10の発明は、請求項1に記載の生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止装置を採用し、
生海苔異物分離装置に備えた生海苔排出口を有する選別ケーシングの環状空間、又は選別ケーシングに配備した選別リングの環状空間に遊嵌した回転板を備え、
回転板と選別リング、又は、回転板と選別ケーシング、とで形成したクリアランスの何れかの箇所に備え、かつ回転板と共回りする生海苔、生海苔塊、又は異物、異物塊の何れかの共回り防止手段を備えてなり、
共回り防止手段は、
回転板の放射方向端面、又は、選別ケーシング又は選別リングの軸心方向端面に、先端が、クリアランスに張り出す掬い延設部を有する本体と、
本体の長手方向の辺部に設けた傾斜面、スロープ、又は掬い面の何れかでなる掬い部と、
でなる突起物であって、
本体の先端の鉛直端面は、クリアランス内に臨む、
構成とし、
この構成を利用し、
クリアランスを通過せず、回転板と共回りする生海苔、生海苔塊、又は異物、異物塊の流れAに変化を付与し、
掬い上げた生海苔、生海苔塊、又は異物、異物塊の流れAを、クリアランスより離れるようにし、
掬い上げた生海苔、生海苔塊、又は異物、異物塊の流れAを、生海苔混合液槽の生海苔混合液Bの表面に向かって浮遊させる生海苔異物分離装置における生海苔の共回り防止方法であり、請求項1と同じ効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】生海苔異物分離装置の一例と、関連装置の一部を示した縮尺模式図
図2】生海苔異物分離装置の生海苔混合液槽の要部の拡大断面図、及び選別リングと突起物等の細部をさらに拡大し詳細に示した図
図3】異物分離部の選別ケーシングに固定する選別リングと、選別リングに内嵌めした突起物とを示した俯瞰図
図4-1】第1実施例の突起物を示した平面図
図4-2】第1実施例の突起物を示した右側面図
図4-3】第1実施例の突起物を示した左側面図
図4-4】第1実施例の突起物を示した裏面図
図5】第1実施例の突起物を、選別リングに固定した状態の平面図
図6】第3実施例の突起物を、回転板に固定した状態の平面図
図6-1】図6の突起物の要部を拡大して示した、一部欠截の平面図
図7図4-1~図4-4の第1実施例の突起物を選別リングに取付けた場合に、主として、共回り生海苔、及び/又は、生海苔塊等の流れ(掬い揚げ)を確保しつつ、生海苔混合液の液中の適所に流れる状態の一例の状態を示した一部欠截の模式図
図8-1】第2実施例の突起物を示した平面図
図8-2】第2実施例の突起物を示した裏面図
図8-3】第2実施例の突起物を示した俯瞰図
図8-4】第2実施例の突起物を選別リングに取付けた一例を示した俯瞰図
図8-5】第2実施例の突起物を選別リングに取付けた他の一例を示した俯瞰図
図9-1】第3実施例の突起物を回転板に取付けた一例を示した一部欠截の平面図
図9-2】第3実施例の突起物を回転板に取付けた他の一例を示した平面図
図10図8-4の構成の突起物及び選別リングが、主として、生海苔混合液等の流れ(掬い揚げ)を確保し得る一例の状態を示した一部欠截の模式図
図11図8-5の構成の突起物及び選別リングが、別の働きをするとともに、共回り生海苔、及び/又は、生海苔塊等の流れ(掬い揚げ)を確保し得る、生海苔混合液の所定の箇所に流れる状態の一例の状態を示した一部欠截の模式図
図12】第1実施例の各例
図13】第3実施例の各例
図14】第3実施例のその他の各例
図15】第3実施例のさらにその他の各例
図16】第4実施例の突起物であり、(a)はその俯瞰図、(b)は選別リングに取付けた一例を示した俯瞰図
図17】別の突起物を、それぞれ示した概念端面図であって、何れも、本発明の範疇であり、縮尺した形態を一覧表に分類した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0025】
1は生海苔異物分離装置(良品生海苔選別装置)の一例で、この生海苔異物分離装置1は、生海苔混合液をプールする上方開放部を備えた生海苔混合液槽2と、生海苔混合液槽2の内底面200に設けた、例えば、壺形、瓶形、或いは椀形であって、容器となる選別ケーシング3と、選別ケーシング3の内底面300より上方に立設した環状壁301に架承した環状形状の選別リング5と、選別リング5の上面5a(表面)、又は図示しないが、選別ケーシング3の上面と、略同じ上面7a(表面)を備えるように、当該選別リング5の円形穴(環状空間)か、又は図示しないが、選別ケーシング3の円形穴(環状空間)にクリアランス6をもって遊嵌した回転板7と、回転板7を支持する、前記選別ケーシング3の内底面300より垂架した回転軸8と、この回転軸8を支持する選別ケーシング3の中央302に設けた軸受け10と、この回転軸8を回転するモータ11とで構成されている。尚、図示しないが、選別ケーシング3と選別リング5とが、一体型では、選別リング5は、選別ケーシング3と読み替え可能である。また、その働き等も同じである。例えば、後述するクリアランス6は、選別ケーシング3と回転板7とで形成される。換言すると、回転板7は、選別ケーシング3の上板に形成した円形穴に、クリアランス6をもって遊嵌されている。
【0026】
図中20は生海苔混合液貯留槽21に繋いだホースで、このホース20により、生海苔混合液貯留槽21内の生海苔混合液を生海苔異物分離装置1に供給する。
【0027】
また、22は選別ケーシング3の内底面300に複数個設けた選別された生海苔を取出す生海苔排出口、23は生海苔排出口22に繋いだ配管であり、クリアランス6において分離処理された(選別された)生海苔を、この生海苔排出口22と、配管23とで、生海苔をプールする生海苔タンク12(良質生海苔タンク)か、又は次の海苔製造装置かに、供給する(クリアランス6の生海苔の通過量を、確保する)。
【0028】
前述のホース20は、生海苔・海水(生海苔とする)を溜める生海苔混合液貯留槽21と連通しており、定量の生海苔を、その開口より、生海苔混合液槽2に供給する。図中25はホースで、海水、又は水を、生海苔異物分離装置1に供給する。図中26はポンプである。
【0029】
以下、生海苔混合液からの異物分離除去と、共回り(生海苔)等に関して説明すると、生海苔異物分離装置1の生海苔混合液槽2は、分離した生海苔を吸い込むクリアランス6(後述する)、及び選別ケーシング3と、選別ケーシング3の環状壁301に設けた選別リング5と、選別リング5の環状開口に内嵌めされた(挿設された)回転板7と、選別リング5の環状開口と回転板7の環状周面とで形成した、生海苔混合液槽2で旋回する生海苔を、誘引するとともに、生海苔が通過するクリアランス6と、で構成されており、回転板7は、モータ11に設けた図示しない出力軸に支持されている。回転板7は、モータ11が回転することにより、所定の速度で回転する。
【0030】
従って、生海苔混合液槽2内にある、水深100mm~200mm程度の生海苔混合液Bは、回転板7の回転により旋回し、生海苔混合液Bの生海苔、及び/又は、異物、並びに、海水(水)は、旋回する液の流れで、かつ略展開された状態の流れとなる。旋回流の下で、比重分離されて、異物は、生海苔混合液槽2の内底面200の槽隅部201に導かれ、ここに留まる。一方、生海苔(生海苔X2)は、ポンプ26の吸引により、順次、クリアランス6の方向に導かれ、クリアランス6を通過する。その後、生海苔タンク12等に導かれる。
【0031】
そして、後述する、クリアランス6を通過(通過)できない異物、その他の生海苔(再生可能な生海苔)は、突起物30、31等の働きで、クリアランス6、及び/又は、選別リング5と、回転板7から離れ、生海苔混合液槽2の生海苔混合液Bに導くか、又は生海苔混合液Bの流れB1に添って液内を流れることで、共回りの危険性を解除できる。そして、生海苔の展開状態を確保し、換言すると、生海苔X2(良質生海苔)に再生できる状態となること等の働きがある。また、前記クリアランス6から離れ、生海苔混合液槽2の生海苔混合液Bに導くか、又は生海苔混合液Bの流れB1に添って流れ、生海苔混合液槽2の液中(生海苔混合液B)の隅に向かって流れることと、併せて共回り生海苔塊等の切断、分離等の作業も有り得る。このクリアランス6から離れ、生海苔混合液槽2の生海苔混合液Bに導かれるか、又は生海苔混合液Bの流れB1に添って、生海苔混合液槽2の隅に向かった流す役割とか、或いはクリアランス6から離れた箇所の生海苔混合液に向くる役割を果たす為には、例えば、選別リング5か、又は回転板7に取付けた突起物30(掬い部で囲繞されたシルクハット帽子型を呈する突起物30)、又は後述する長方形状を呈する突起物31(後述するばち型を呈する突起物31)の本体3000(3100)、及びその上面3000a(天板面)(3100a)は、選別リング5の上面5aか、又は回転板7の上面7aより上方にあることを要件とする。尚、突起物30の一部は、回転板7の端面(外周面外側、円周端面、又は上面外側)より放射方向に出るように、選別リング5(又は選別ケーシング3)の端面(内周面内側、内周端面、又は上面内側)より軸芯側に出るように、又は回転板7と選別リング5(又は選別ケーシング3)とで形成したクリアランス6に臨むように設ける。そして、回転板7、選別リング5(又は選別ケーシング3)、又はクリアランス6の何れかの箇所に、単独に、又はそれぞれに、一基、又は複数基、或いはそれぞれ一組、又は複数組で備える。
【0032】
第1実施例の突起物30(傾斜面で囲繞されたシルクハット帽子型を呈する突起物)の、好ましい、各実施例を説明する。図3図5と、図7図8-5と、図10図12に示した、後述する掬い部で囲繞された長方形状の突起物30について説明すると、全体形状は、長方形の本体3000と、この本体3000の裏面3000bに凸部3001を、その両長手方向の辺部3000c、3000dに傾斜面の掬い部3002、3003、を有するとともに、当該本体3000には、取付孔3004、3005が開設してある。また、この本体3000の裾部3000eには、対の三角錐形の先端3006a、3006bを有する掬い延設部3006がある。そして、前記先端3006a、3006bの背面部(本体側)には、傾斜面の掬い部3007、3008を有しており、この傾斜面の掬い部3007、3008は、傾斜面の掬い部3002、3003と繋がるが、その繋目は、傾斜面のカーブ掬い部3009a、3009bとなっている。突起物30は、平面視すると、シルクハット形である。図中3010は、掬い延設部3006の末広がり鉛直端面(両長手方向の辺部3000c、3000dと直交する短辺3000f)である。この鉛直端面3010は、平面視して緩やかな凹曲面(選別リング5の内周面5bの曲面と相似曲面)である(先端3006aから先端3006bに向かった凹カーブ形状である)。尚、図示しないが、鉛直端面3010は、凹カーブ形状のみでなく、選別リン
グ5の内周面5bの曲面と相似でない鉛直端面3010、例えば、図示しないが、平面視して直線状、凹凸形状等も有り得る。また、クリアランス6に臨んだ掬い延設部3006の先端3006a、3006bは、生海苔の旋回と合わせて、クリアランス6から離れる方向に向かって、積極的な流れを生成する。その結果は、図7の(A)(掬い上げ生海苔の流れの結果)として、一例を示している。以上の流れにより(この積極的な流れで)、共回り生海苔、生海苔塊等(原則として、共回り生海苔塊とする)をクリアランス6外に流すとともに、必要により、共回り生海苔塊等の切断、分離をする。即ち、共回り生海苔塊等を無くすか、その解消を図る。
【0033】
生海苔混合液槽2の生海苔X(展開状態の生海苔)、生海苔混合液X1(塊状となった生海苔)、生海苔(良質生海苔)等の撹拌と旋回等の各効果を、主として発揮できる突起物30の寸法関係の一例を、実験結果を基に説明すると、以下となる(図4-1~図4-4参照)。
【0034】
本体3000の長さは、20mm~32mmとし、望ましくは、28mm 本体3000の裾幅は、18mm~26mmとし、望ましくは、22mm 本体3000の高さは、5mm~9mmとし、望ましくは、6mm 生海苔混合液槽2の生海苔X、生海苔混合液X1等において、掬い上げ生海苔の流れA(掬い揚げ)を確保し得る役割を、主として発揮できる突起物30の寸法関係の一例を、実験結果を基に説明すると、以下となる。
【0035】
傾斜面の掬い部3002、3003と、傾斜面の掬い部3007、3008の角度は、40°~50°とし、望ましくは、45° カーブ形状で、かつ傾斜面の掬い部3009a、3009bのカーブ角度は、130°~140°とし、望ましくは、135° また、先端3006a、3006bに関して、前記掬い上げ生海苔の流れA(掬い揚げ)を確保し得る役割を、主として発揮できる寸法関係の一例を、実験結果を基に説明すると、以下となる。
【0036】
本体3000よりの突出寸法は、6mm~10mmとし、望ましくは、8mm 先端3006a、3006bの広がり(C)は、60°~130°とし、望ましくは、100° 突起物30の凸部3001は、選別リング5の上面5aの溝50、又は回転板7の上面7aの溝70に設け、取付孔3004、3005に差込んだ止め具32、33(嵌合、接着、取付等の手段を含む)で固定する。突起物30の本体3000の両長手方向の辺部3000c、3000dは、選別リング5(又は選別ケーシング3)の円周方向、又は、回転板7の回転方向において、直交(直交に近似)する位置に配備される。この配備状態で、傾斜面の掬い延設部3006の鉛直端面3010は、選別リング5の内周面5b(内周端面、端面)より軸芯方向に突出(突起物30を選別リング5に取付けた一例である)する例と、又は、後述する回転板7の外周面7b(外周端面、端面)より放射方向に突出(突起物31を回転板7に取付けた一例である)する例があり、何れも、クリアランス6内の隙間に臨む構造である。また、本体3000の掬い延設部3006(鉛直端面3010)のカーブ形状は、選別リング5の内周面5bと相似曲面である。但し、選別リング5の内周面5b、又は回転板7の外周面7bの曲面と相似でない鉛直端面3010、例えば、平面視して直線状の鉛直端面3010、又は3106も有り得る。
【0037】
ここで、突起物30により生海苔がクリアランス6から離れ、生海苔混合液槽2の生海苔混合液Bに導かれるか、又は生海苔混合液Bの流れB1に添って隅に向かって流れる、即ち、掬い上げ生海苔の流れA(共回り生海苔塊等を含む)に関して説明する。例えば、図7に示した例がある。この一例では、回転板7が正転(例えば、一方向に回転)する場合には、突起物30の一方側の長手方向の辺部3000cの掬い部3002(傾斜面)と、先端3006aの傾斜面の掬い部3007を利用して、クリアランス6近傍の共回りの生海苔、生海苔塊等(クリアランス6を通過しない、生海苔、生海苔塊、異物塊)の流れ(掬い上げ生海苔の流れA)を確保するか(共回りを回避するか)、又は切断、分離する。従って、クリアランス6の近辺で発生する共回りの解消と、生海苔Xの正常な流れの確保等に役立つ特徴がある。また、クリアランス6に臨んだ先端3006aと先端3006bによる切断、分離ができる。掬い上げ生海苔の流れAの状況は、図示しないが、回転板7が反転(例えば、他方向に回転)する場合には、突起物30の一方の長手方向の辺部3000dにある掬い部3003(傾斜面)と、先端3006bの掬い部3008が働き、例えば、生海苔混合液X1の流れの確保(共回りの回避)とか、又はクリアランス6から離れる、所謂、掬い上げ生海苔の流れAを確保しつつ、生海苔X2は、クリアランス6を通過し、選別ケーシング3の内底面300を経由し、その後、生海苔排出口22より配管23から、生海苔タンク12に供給される。即ち、生海苔X2を、クリアランス6の働きで(クリアランス6に、ポンプの吸込み力を確実に付与し)、効率的で、かつ確実に、次の工程に供給できる。また、掬い部3002、3003の働きで、クリアランス6、及び/又は、その近傍の共回り生海苔、及び/又は、共回り生海苔塊を、生海苔混合液Bに戻すか、望ましくは、生海苔混合液Bの表面に向かって浮遊させて、共回り防止を図りつつ、生海苔の展開状態(生海苔X2の状態)を確保できることと、併せて、掬い上げ生海苔の流れAを確保できる等の特徴がある。
【0038】
好ましい、第2実施例の突起物30を、図8-1~図8-5に示した各図を基にして説明する。この第2実施例の特徴は、本体3000の鉛直端面3010に設けた窪み部3012であり、窪み部3012は、本体3000の裏面3000bであって、鉛直端面3010から後横断方向の辺部3013、又は奥面側に向かって設けるが、その形状は、例えば、山形形状、凹部、又はトンネル等とする。窪み部3012は、共回りする生海苔、生海苔塊等とか、クリアランス6を通過しない生海苔・生海苔塊等を、逃がすこと(生海苔・生海苔塊等を誘導する道となる)、又は隅等に追いやる(クリアランス6より離す)こと、等を意図する。窪み部3012は、本体3000の後横断方向の辺部3013に向かって形成されており、後横断方向の辺部3013に貫通することも有り得る。尚、図8-4と図8-5との違いは、選別リング5に、窪み部3012と位置合わせされた切欠きが存在するかどうかである。切欠きの有る図8-5の形態の方が、共回りする生海苔、生海苔塊等やクリアランス6を通過しない生海苔・生海苔塊等を逃がす効果等に優れている。本体3000の凹カーブ鉛直端面3010は、選別リング5に取付けるタイプである。尚、図示のように、選別リング5に、窪み部3012に対応した切欠き部を有することは、共回り防止等の目的を達成するために望ましい。
【0039】
突起物30が、生海苔混合液槽2の生海苔X(展開状態の生海苔)、生海苔混合液X1(塊状となった生海苔)、生海苔X2(良質な選別生海苔)等の撹拌と旋回等の補助効果を、主として発揮できる寸法関係の一例は、前述の第1実施例に準ずる。また、突起物30の働きで、例えば、生海苔混合液槽2の生海苔Xとか、又は生海苔混合液X1中において、掬い上げ生海苔の流れAを確保できることと、この生海苔X、又は生海苔混合液X1のスムースな流れ確保できる特徴がある。そして、この突起物30の寸法関係の一例は、前述の第1実施例の1)~5)、及び8) 先端3006a、3006bの裾幅は、本体3000より狭く、8mm~15mmとし、望ましくは、10mm9) 先端3006a、3006bの掬い部の角度は、35°~50°とし、望ましくは、40°である。
【0040】
この突起物30は、取付孔3004、3005に差込んだ止め具32、33で、選別リング5の上面5aに固定する。但し、図示しないが、本体部3000の裏面3000bで、かつ窪み部3012の両外側に位置し、かつ長手方向に向かって凸部3001を形成し、選別リング5の上面5aの溝50等への確実な嵌入と、突起物30の固定を図ることも有効である。突起物30の本体3000の両長手方向の3000c、3000dは、選別リング5の円周方向、及び、回転板7の回転方向において、直交する位置に配備される。この配備状態で、鉛直端面3010は、選別リング5の内周面5bより軸芯方向に突出(突起物30を選別リング5に取付けた一例である)する。同様に、回転板7の外周面7bより放射方向に突出する(突起物30を回転板7に取付けた一例である)。しかも、突起物30の鉛直端面は、クリアランス6内の隙間に臨む構造である。また、鉛直端面3006の曲面は、選別リング5の内周面5bの曲面、又は回転板7の外周面7bの曲面と相似曲面である(但し一例であり、相似でない鉛直端面、例えば、平面視して直線状の鉛直端面も有り得る)。
【0041】
ここで、突起物30により生海苔がクリアランス6から離れ、生海苔混合液槽2の生海苔混合液Bに導かれるか、又は生海苔混合液Bの流れB1に添って混合液中の適所に向かって流れる、掬い上げ生海苔の流れAに関して説明する。例えば、図10図11に示した第2実施例の構成がある。この一例では、回転板7が正転(例えば、一方向に回転)する場合には、突起物30の一方側の長手方向の辺部3000cの掬い部3002(傾斜面)と、先端3006aの傾斜面の掬い部3007を利用して、クリアランス6の近傍の共回りの生海苔、生海苔塊(クリアランス6より通過しない生海苔、生海苔塊、異物塊)等の流れ(掬い上げ生海苔の流れA)を確保するか(共回りを回避するか)、又は切断、分離する。従って、クリアランス6の近辺で発生する共回り現象の解消と、生海苔Xの正常な流れの確保等に役立つ特徴がある。また、クリアランス6に臨んだ、傾斜面の掬い延設部3006、及び/又は、先端3006a、3006bによる切断、分離ができる。また、掬い上げ生海苔の流れAの状況は、図示しないが、突起物30の一方側の長手方向の辺部3000dの掬い部3003が働き、例えば、共回りの生海苔混合液X1(塊状生海苔)とか、図示しない、生海苔X、異物等が、クリアランス6に絡まり(絡まり、捩れ状況で、例えば、ダンベルのような状況で絡まり)状況があった場合においても、この絡まった生海苔、生海苔塊、異物、異物塊等に対して、掬い上げ生海苔の流れAを確保し、かつクリアランス6から離れていく、所謂、掬い上げ生海苔の流れAと、掬い上げ生海苔の流れの結果(A)とになり、生海苔X2のみを、クリアランス6から、選別ケーシング3の内底面300を経由し、その後、生海苔排出口22より配管23から、生海苔タンク12に供給される。即ち、生海苔X2の通過量を、突起物30と、クリアランス6との働き(クリアランス6に、ポンプの吸込み力が働き)で、確保できるとともに、効率的に、かつ確実に確保できる。この生海苔X2を、常時、定量に、次の工程に供給できる。尚、図示しないが、回転板7が逆転(例えば、他方向に回転)する場合には、他方の長手方向の辺部3000dにある掬い部3003が働き、前述と同じような状況となる。第1実施例とか、その他の場合も、これに準ずる。
【0042】
尚、本発明において好適な突起物30、31は、上記の実施例のものに限定されない。例えば、図12図16に平面視及び斜視して示した、その他の実施例の形態がある。この例における構造と、取付け方、及び/又は特徴は、何れも、前述の各実施例に準ずる。
【0043】
図12は、「A-1」:前述した各実施例の説明であり、掬い部3002、3003・掬い延設部3006・掬い部3007、3008(掬い部3002、3003に対して幅広形状の先端側の掬い部3007、3008)・カーブ掬い部3009a、3009bで形成した、シルクハット等の形状の帽子型である。
【0044】
図12は、「A-2」と「A-3」:A-1の変形形態であり、頂辺の角を丸める(符号なし)等とするとともに、詳細には
、各部の比率を変更した形態である。
【0045】
図12は、「A-4-1」:A-2のさらなる変形形態であり、掬い部3002、3003・掬い延設部3006・掬い部3007、3008・カーブ掬い部3009a、3009bを、鉛直端面である擬似掬い部(符号なし)、及び擬似掬い延設部(符号なし)としたものである。
【0046】
図12は、「A-4-2」:A-4-1の変形形態であり、各部の比率を変更したものである。
【0047】
図13は、「B-1」:A-1の変形形態であり、掬い延設部3006を有さないものである。
【0048】
図13は、「B-2」:B-1の変形形態であり、掬い部3002、3003の比率を変更したものである。
【0049】
図13は、「B-3」:B-2の変形形態であり、掬い部3002、3003の比率を変更したものである。
【0050】
図13は、「B―4」:B-3の変形形態であり、掬い部3002、3003の比率を変更したものである。
【0051】
図14は、「C-1」:B-2の変形形態であり、掬い延設部3006の代わりに、底辺の角を鉛直に面取りした擬似掬い延設部(符号なし)を形成したものである。
【0052】
図14は、「C-2」:C-1の変形形態であり、頂辺の角を丸め、かつ掬い部3102、3013を無くしたものである。
【0053】
図14は、「C-3」:C-2の変形形態であり、各部の比率を変更したものである。
【0054】
図15は、「D」:A-1の変形形態であり、頂辺の角を丸め、掬い延設部3006を、内側に面取りした擬似掬い延設部(符号なし)とし、かつ各部の比率を変更したものである。
【0055】
図16(a)は、「B-1」~「B-4」の変形形態であり、矢視方向から正面視して、第1辺部と第2辺部をくの字形で、かつ上下方向で、対称形状にすることと、下方向の傾斜面を、例えば、選別リング5の溝50に陥入する構造が望ましい。即ち、突起物30の安定した取付けと、前述の如く、掬い部3002等による掬い上げ、及び/又は、跳ね飛ばし等による流れが期待できる。尚、図示しないが、くの字形の掬い部3002等は、回転方向に向かって、何れか一方のみの例も有り得る。また、同図(b)は選別リング5への取付状態を示している。尚、突起物30を、選別リング5の溝50に陥入する際には、選別リング5の上面5aと、掬い部3002等におけるくの字形の折曲り部位とが、同じとなる必要はないが、望ましくは、同じとすることが、安定性とか、目的達成には有効である。また、図示しないが、図16(a)の変形形態は、回転板7、又は選別ケーシング3においても採用できる。
【0056】
図17の例は、想定できる突起物30の好適な各形態であり、当然に、前述した各実施例と、同じ流れとか、効果、特徴とを、期待できるとともに、本発明の範疇である。
【0057】
前記掬い部3002、3003、3007、3008等は、傾斜面、スロープ、後述する掬い面とするが、その他として、同じ働きをする、例えば、階段の形状とか、鋸形状等とかを採用できる。
【0058】
尚、請求項2に記載の掬い部3002、3003は、第1辺部~第3辺部に設けるとの内容は、本体3000の長手方向の辺部3000c(第1辺部)と3000d(第2辺部)とか、鉛直端面3010・後横断方向の辺部3013(第3辺部)に形成した傾斜面を示しており、この長手方向の辺部3000c・3000dとか、鉛直端面3010・後横断方向の辺部3013とかを選択して、傾斜面とすることを意味する。図4-1参照。
【0059】
長手方向の辺部3000cと、長手方向の辺部3000dとは、突起物30の裏面3000bの面に対して鋭角を備えた面となる、所謂、上り傾斜面となる掬い部3002、3003である。また、後横断方向の辺部3013の掬い部(図示しない)とか、鉛直端面3010の掬い部(図示しない)も同様である。また、掬い延設部3006のカーブ掬い部3009a・3009b(第4辺部)も同じである(請求項2に含まれる)。
【0060】
さらに第3実施例における突起物31(傾斜面で囲繞された一文字型とか、ばち型を呈する突起物)は、前述の第1・第2実施例と基本の構造を共有するので、相違点を説明する。また関連する番号は、30の桁を31の桁として図示する場合も有り得る。突起物31は、図6及び図6-1と、図9-1及び図9-2と、図13と、図14等は一文字型であり、図15は、ばち型である。
【0061】
本体3100の凸カーブ形状の鉛直端面3106は、図9-1及び図9-2に示したように、例えば、回転板7に取付けるタイプであり、回転板7の外周面7bより放射方向に、僅かに突出することと、この外周面7b(外周端面、端面)の曲面と相似形となっている(但し、一例であり、図示しないが、相似でない鉛直端面3106、例えば、平面視して直線状の鉛直端面3106も有り得る)。裏面3100bの鉛直端面3106から後部端面3108(後部の鉛直端面3107)に向かって、前述の窪み部3012を設けることも有り得る。図中3100aは本体3100の上面である。尚、長手方向の辺部3100c(第1辺部)と3100d(第2辺部)とか、鉛直端面3106・後横断方向の辺部3107(第3辺部)、又は内向き傾斜3109の第4辺部とかを備えた突起物31の形状(形態)は、図示の例の如く、一文字、ばち型が望ましいが、一例である。何れにしても、掬い部3102、3103(傾斜面)を設けることが基本である(第1・第2実施例も同じ)。図14参照。その他は、省略するが、前述の第1・第2実施例と同じである。
【0062】
そして、図6の如く、突起物31の裏面3100bの凸部3101は、回転板7の上面7aの溝70に設け、取付孔3104、3105に差込んだ止め具32、33(図示せず。嵌合、接着、取付等の手段を含む)で固定する。突起物31を回転板7に陥入し、固定を図る。その他は、前述の第1実施例に準ずる。
【0063】
この突起物31の本体3100の両長手方向の辺部3100c、3100dは、回転板7の回転方向において、直交する位置に配備される。この配備状態で、鉛直端面3106は、回転板7の外周面7bより放射方向に突出する。しかも、突起物31の鉛直端面3106は、クリアランス6内に臨む構造である。この一例では、突起物31の鉛直端面3106は、平面視して切欠きカーブ形状か、又は緩やかな凸曲面(回転板7の外周面7bの曲面と相似曲面)、或いは図示しないが直線状等である。
【0064】
突起物31を、回転板7に固定する構造を、図6等に開示し、説明したが、本質的には、選別リング5に固定した各例と同じと考えられる。但し、共回り生海苔等に向かって動く構造であり、長手方向の辺部3100c、3100dの掬い部3102、3103を備える。そして、本体3100の鉛直端面3107、換言すると、後横断方向の辺部3108と、鉛直端面3106とは、同じ幅(横断方向の幅を云う)となっている。また、先端3100eの鉛直端面3106、及び/又は、内向き傾斜面3109(回転板7の曲面と相似形とするが、直線形、内向き湾曲面も有り得る)とする。突起物31は、共回り生海苔塊等を掬い上げることと、前述の如く、隅に向かって流すとともに、生海苔の正常な流れの確保等に役立つ特徴がある。この第3実施例の突起物31のその他の作用、及び/又は、その他の構造等は、前記第1・2実施例の突起物30に準ずる。尚、後横断方向の辺部3108と、鉛直端面3106との幅が異なる例も有り得る(図14参照)。
【0065】
その他として、前記掬い面3002、3003、3102、3103等は、図示しないが、前述した、本体3000、3100、先端3006a、3006b、3100e、3106a、3106b、或いは掬い部3002、3003、3102、3103等とか、又は端面等に設けた形状、数、その他の形態においては、図17等に示した各種の端面形状、又は端面に設けた形状を参考として、同じ働きをする、所謂、類似する形状(傾斜面、スロープ、又は階段等の形状)を採用する。また、前述した各形状の組合せ形状でも可能である。
【0066】
尚、選別リング5、回転板7の上面5a、7aにそれぞれ設置される突起物30、31の個数は任意であり、例えば、1つ、選別リング5、又は回転板7の周面に対向し(直径方向に)2つ、適宜間隔等により(周面上に120°の間隔で3つ)のような方法が考えられる。
【0067】
また、突起物31に関するその他の構造と効果とは、前述した突起物30に準ずる。尚、突起物30、31の各辺部に設けた掬い部3007、3008等は、傾斜面の形態で説明したが、図示しない、スロープ、又は掬い面の何れかにおいても、同じような効果が期待でき、本発明の範疇である。尚、図示しないが、例えば、各実施例の突起物30の第1辺部と第2辺部とに、掬い部3002等を形成するが、この第1辺部と第2辺部の長手方向の辺部3000c等の一部でも可能である。
【0068】
前述した各構造は、本発明の好ましい一例の説明である。従って、本発明は前述した各実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造とか、同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範曙である。
【符号の説明】
【0069】
1 生海苔異物分離装置
2 生海苔混合液槽
200 内底面
201 槽隅部
3 選別ケーシング
300 内底面
301 環状壁
302 中央
5 選別リング
5a 上面
5b 内周面
50 溝
6 クリアランス
7 回転板
7a 上面
7b 外周面
70 溝
71 切欠き部
8 回転軸
10 軸受け
11 モータ
12 生海苔タンク
20 ホース
21 生海苔混合液貯留槽
22 生海苔排出口
23 配管
25 ホース
26 ポンプ
30 突起物
3000 本体
3000a 上面
3000b 裏面
3000c 長手方向の辺部
3000d 長手方向の辺部
3000e 裾部
3000f 短辺
3001 凸部
3002 掬い部
3003 掬い部
3004 取付孔
3005 取付孔
3006 掬い延設部
3006a 先端
3006b 先端
3007 掬い部
3008 掬い部
3009a カーブ掬い部
3009b カーブ掬い部
3010 鉛直端面
3012 窪み部
3013 後横断方向の辺部
31 突起物
3100 本体
3100a 上面
3100b 裏面
3100c 長手方向の辺部
3100d 長手方向の辺部
3100e 先端
3101 凸部
3102 掬い部
3103 掬い部
3104 取付孔
3105 取付孔
3106 鉛直端面
3106a 先端
3106b 先端
3107 鉛直端面
3108 後横断方向の辺部
3109 内向き傾斜面
32 止め具
33 止め具
X 生海苔
X1 生海苔混合液
X2 生海苔
A 掬い上げ生海苔の流れ
(A) (掬い上げ生海苔の流れの結果)
B 生海苔混合液
B1 生海苔混合液の流れ
C 広がり
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図5
図6
図6-1】
図7
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図8-4】
図8-5】
図9-1】
図9-2】
図10
図11
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図16
図17