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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】農作業機用制御装置および草刈り機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/43 20060101AFI20220128BHJP
   A01B 63/00 20060101ALI20220128BHJP
   A01D 69/00 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
A01D34/43
A01B63/00 Z
A01D69/00 303A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2017110921
(22)【出願日】2017-06-05
(65)【公開番号】P2018201416
(43)【公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宝蔵 伸行
(72)【発明者】
【氏名】垣見 明彦
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 準
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-046218(JP,A)
【文献】特開2009-089609(JP,A)
【文献】実開昭59-020327(JP,U)
【文献】実開昭59-191131(JP,U)
【文献】実開昭58-193432(JP,U)
【文献】特開2001-319548(JP,A)
【文献】実開昭61-114745(JP,U)
【文献】特開2011-150947(JP,A)
【文献】特開2009-277431(JP,A)
【文献】特開平10-172389(JP,A)
【文献】国際公開第91/015864(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 59/00 - 79/02
A01D 34/42 - 34/90
G05G 1/00 - 9/10
H01H 25/00 - 25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の突起部を有し、前記第1の突起部の動作に応じて電流供給状態および電流遮断状態のいずれかを制御する第1のスイッチと、
第2の突起部を有し、前記第2の突起部の動作に応じて電流供給状態および電流遮断状態のいずれかを制御する第2のスイッチと、
回動中心を有し、前記第1の突起部の動作および前記第2の突起部の動作を制御する操作部と、
前記操作部に固定され、前記第1のスイッチを切り替える第1の固定部と、
前記操作部に固定され、前記第2のスイッチを切り替える第2の固定部と、
を含み、
前記第1の固定部は、第1の押圧部および第2の押圧部を含み、
前記第2の固定部は、第3の押圧部および第4の押圧部を含み、
前記操作部を第1の方向に回動させたときに前記第1の押圧部が前記第1の突起部を押圧する、又は前記操作部を第1の方向の逆方向に回動させたときに前記第2の押圧部が前記第1の突起部を押圧することにより、前記第1のスイッチは電流供給状態に切り替えられ、前記第2のスイッチは電流遮断状態であり
前記操作部を前記第1の方向と異なる第2の方向に回動させたときに前記第3の押圧部が前記第2の突起部を押圧する、又は前記操作部を第2の方向の逆方向に回動させたときに前記第4の押圧部が前記第2の突起部を押圧することにより、前記第2のスイッチは電流供給状態に切り替えられ、前記第1のスイッチは電流遮断状態である
農作業機用制御装置。
【請求項2】
前記操作部の下部を含む平面から前記回動中心までの高さと、前記平面から前記第1の突起部までの高さと、前記平面から前記第2の突起部までの高さとは、同じである、
請求項1に記載の農作業機用制御装置。
【請求項3】
前記第1の方向は、前記回動中心に対して前記第1のスイッチが配置される方向であって、
前記第2の方向は、前記回動中心に対して前記第2のスイッチが配置される方向である、
請求項1または2に記載の農作業機用制御装置。
【請求項4】
前記第1の方向と、前記第2の方向とがなす角は、90°である、
請求項1乃至3のいずれか一に記載の農作業機用制御装置。
【請求項5】
第1の突起部を有し、前記第1の突起部の動作に応じて電流供給状態および電流遮断状態のいずれかを制御する第1のスイッチと、
第2の突起部を有し、前記第2の突起部の動作に応じて電流供給状態および電流遮断状態のいずれかを制御する第2のスイッチと、
回動中心を有し、前記第1の突起部の動作および前記第2の突起部の動作を制御する操作部と、
前記操作部に固定され、前記第1のスイッチを切り替える第1の固定部と、
前記操作部に固定され、前記第2のスイッチを切り替える第2の固定部と、を含み、
前記第1の固定部は、第1の開孔部を有し、
前記第2の固定部は、第2の開孔部を有し、
前記第1の突起部は、前記第1の開孔部に貫通し、
前記第2の突起部は、前記第2の開孔部に貫通し、
前記操作部を第1の方向に回動させたときに、前記第1のスイッチは前記第1の固定部により電流供給状態に切り替えられ、
前記操作部を第2の方向に回動させたときに、前記第2のスイッチは前記第2の固定部により電流供給状態に切り替えられる、
農作業機用制御装置。
【請求項6】
前記操作部は、復元力を有する、
請求項1乃至5のいずれか一に記載の農作業機用制御装置。
【請求項7】
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、トグルスイッチである、
請求項1乃至6のいずれか一に記載の農作業機用制御装置。
【請求項8】
第1の突起部を有する第1のスイッチと、
第2の突起部を有する第2のスイッチと、
第1の回動軸および第2の回動軸を有する操作部と、
前記操作部に固定され、第1の開孔部を有し、前記第1のスイッチを切り替える第1の固定部と、
前記操作部に固定され、第2の開孔部を有し、前記第2のスイッチを切り替える第2の固定部と、を有し、
前記第1の開孔部は、前記第1の回動軸の延長上にあり、
前記第2の開孔部は、前記第2の回動軸の延長上にあり、
前記操作部の動作により、前記第1の固定部又は前記第2の固定部が移動して、前記第1のスイッチ又は第2のスイッチを切り替える、
農作業機用制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一に記載の農作業機用制御装置を含む、
草刈り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農作業機に関する。特に、走行機体の後部に装着される、草刈り機および作業部の位置を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農道や荒れ地の雑草を除去するため草刈り作業を行う農作業機として草刈り機が知られている。一般的に、草刈り機は、トラクタ等の走行機体によって作業部を牽引することにより草刈り作業を進める。近年は、草刈り作業を行う作業部が走行機体の側方に移動可能となっていて、走行機体の側方において草刈り作業を行うオフセットタイプの草刈り機が知られている。特許文献1は、オフセットタイプの草刈り機の作業部を所定の位置に移動させるために、作業者が操作する操作部(制御機構)を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-244953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された草刈り機の場合、1本のレバーを用いて操作することができるが、操作部において必要とされる電流は作業部が動作するために必要な電流に比べて微弱である。そのため、操作部と作業部との間に別途リレーを介する必要があり、制御機構が高価になってしまう。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、安価でかつ操作性の良い制御装置を有する草刈り機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、第1の突起部を有し、第1の突起部の動作に応じて電流供給状態および電流遮断状態のいずれかを制御する、第1のスイッチと、第2の突起部を有し、第2の突起部の動作に応じて電流供給状態および電流遮断状態のいずれかを制御する、第2のスイッチと、回動中心を有し、第1の突起部の動作および第2の突起部の動作を制御する操作部と、を含み、操作部を第1の方向に回動させたときに、第1のスイッチは電流供給状態となり、第2のスイッチは電流遮断状態となり、操作部を第2の方向に回動させたときに、第2のスイッチは電流供給状態となり、第1のスイッチは電流遮断状態となる、農作業機用制御装置が提供される。
【0007】
上記農作業機用制御装置は、操作部の下部を含む平面から回動中心までの高さと、平面から第1の突起部までの高さと、平面から第2の突起部までの高さとは、同じであってもよい。
【0008】
上記農作業機用制御装置において、第1の方向は、第1のスイッチの方向であって、第2の方向は、第2のスイッチの方向であってもよい。
【0009】
上記農作業機用制御装置において、第1の方向と、第2の方向とがなす角は、90°であってもよい。
【0010】
上記農作業機用制御装置は、操作部と、第1のスイッチとの間に第1の固定部を有し、操作部と、第2のスイッチとの間に第2の固定部を有し、第1の固定部は、操作部に固定され、第1の開孔部を有し、第2の固定部は、操作部に固定され、第2の開孔部を有し、第1の突起部は、第1の開孔部に貫通し、第2の突起部は、第2の開孔部に貫通してもよい。
【0011】
上記農作業機用制御装置において、操作部は、復元力を有してもよい。
【0012】
上記農作業機用制御装置において、第1のスイッチおよび第2のスイッチは、トグルスイッチであってもよい。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、第1の突起部を有する第1のスイッチと、第2の突起部を有する第2のスイッチと、第1の回動軸および第2の回動軸とを有する操作部と、操作部と第1のスイッチとの間に配置され、第1の開孔部を有する第1の固定部と、操作部および第2のスイッチとの間に配置され、第2の開孔部を有する第2の固定部と、を有し、第1の開孔部は、第1の回動軸の延長上にあり、第2の開孔部は、第2の回動軸の延長上にある、農作業機用制御装置が提供される。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、上記農作業機用制御装置を含む草刈り機が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、安価でかつ操作性の良い制御装置を有する草刈り機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態における草刈り機の構成を示す上面図である。
図2】本発明の一実施形態における草刈り機の構成を示す側面図である。
図3】本発明の一実施形態における草刈り機の構成を示す背面図である。
図4】本発明の一実施形態における草刈り機の制御装置を示す上面部分断面図である。
図5】本発明の一実施形態における草刈り機の制御装置を示す側面部分断面図である。
図6】本発明の一実施形態における草刈り機の制御装置の固定部を示す側面部分断面図である。
図7】本発明の一実施形態における草刈り機の制御装置を回動させたときの側面部分断面図である。
図8】本発明の一実施形態における草刈り機の作業部が右方向へオフセット移動した状態を示す上面図である。
図9】本発明の一実施形態における草刈り機の作業部が右方向へオフセット移動した状態を示す背面図である。
図10】本発明の一実施形態における草刈り機の作業部が上方(反時計回り)に回動した状態を示す背面図である。
図11】本発明の一実施形態における草刈り機の制御装置の固定部を示す側面部分断面図である。
図12】本発明の一実施形態における草刈り機の制御装置を示す上面部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の草刈り機の実施形態について説明する。但し、本発明の草刈り機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
また、説明の便宜上、上方、下方、前方、後方、右方、左方といった方向を示す語句を用いるが、作業状態の草刈り機に対して重力の働く方向を下方とし、その逆を上方とする。また、走行機体の進行する方向が前方であり、その逆が後方である。さらに、前方に向かって、右側が右方であり、左側が左方である。
【0019】
(1-1.草刈り機の構成)
以下、本実施形態における草刈り機100の概略の構成について、図1図3を用いて説明する。図1は、本実施形態の草刈り機100の構成を示す上面図である。図2は、本実施形態の草刈り機100の構成を示す側面図である。図3は、本実施形態の草刈り機100の構成を示す背面図である。
【0020】
本実施形態における草刈り機100は、装着部10、オフセット機構部20、動力伝達部30、作業部40、回動機構部50(図2図3参照)および制御装置300を備えている。具体的には、草刈り機100は、トラクタ等の走行機体200に対して装着部10により連結される。装着部10と作業部40とは、オフセット機構部20及び動力伝達部30を介して連結される。これにより、走行機体200の走行に従って草刈り機100が牽引され、作業部40による草刈り作業が行われる。制御装置300は、走行機体200に配置され、作業者により操作される。また、詳細は後述するが、作業部40は、オフセット機構部20及び回動機構部50を介して制御装置300により作業位置が制御される。なお、図面上では、制御装置300に接続された配線は省略して説明する。
【0021】
装着部10は、トラクタ等の走行機体200の2つの後方タイヤ210の間に設けられた三点リンク機構220(ただし、ここではロワーリンクのみ点線で示す)に対して連結される。三点リンク機構220は、通常、トップリンク、リフトロッド及びロワーリンクで構成される。三点リンク機構220は、公知の機構であるため、ここでの説明は省略する。
【0022】
装着部10は、走行機体200の幅方向である左右方向に延びるヒッチフレーム11を備え、ヒッチフレーム11は、走行機体200の後部に設けられた三点リンク機構220に連結可能に構成されている。ヒッチフレーム11の中央下部にはギアボックス(図示せず)が設けられ、このギアボックスに走行機体200から動力を受ける入力軸(図示せず)が設けられている。入力軸は、走行機体200に設けられたPTO軸230からユニバーサルジョイント(図示せず)を介して動力が伝達される構成となっている。
【0023】
オフセット機構部20は、作業部40のオフセット移動を行うための機構である。具体的には、オフセット機構部20は、制御装置300を操作したときに、作業部40を、走行機体200の進行方向に対して側方にオフセットした位置に移動させることができる。オフセット機構部20は、後述するオフセットフレーム21、リンクロッド22、支持フレーム23及び伸縮部材24を有する。
【0024】
動力伝達部30は、装着部10の入力軸(図示せず)で受けた走行機体200からの動力を、作業部40側に伝達するための機構である。
【0025】
作業部40は、実際に草刈り作業を行う部位であり、後述する作業ローター41、ローターカバー42、2枚の側板43及び刈刃駆動部44を有する。作業部40は、刈刃駆動部44が、動力伝達部30より伝達された動力を受けて作業ローター41を駆動することにより草刈り作業を行う。
【0026】
回動機構部50は、走行機体200の進行方向を軸としたとき、その軸を中心として作業部40を回動させるための機構である。制御装置300を操作することにより動力伝達部30から出力された動力は、第1伝達軸51、回動機構部50及び第2伝達軸52を介して刈刃駆動部44へと伝達される。
【0027】
(1-2.制御装置の構成)
次に、制御装置300の構成について、図4~6を用いて詳細に説明する。
【0028】
図4は、制御装置300の上面部分断面図である。図5は、制御装置300の側面部分断面図である。制御装置300は、操作部310、スイッチ330、スイッチ350、固定部370、支持部380及びばね部390を有する。
【0029】
操作部310は、スイッチ330およびスイッチ350の動作を制御する機能を有する。操作部310は、作業者が握りやすいように把持部315を有する。把持部315は、作業者により把持され、操作部310は所定の方向に傾動操作される。把持部315の長さおよび太さは、作業者が操作しやすいように適宜設定される。また、この例では、操作部310は、左右方向の回動軸401および前後方向の回動軸403を有し、回動中心400は、左右方向の回動軸401と、前後方向の回動軸403との交点である。操作部310は、傾動操作された方向に対して回動中心400を起点として回動する。操作部310の下側には、固定部370と支持部380との間にばね部390が操作部310の周りを囲うように設けられている。ばね部390が設けられることにより、操作部310を倒す操作をした場合、ばね部390が縮んで復元力が発生する。そのため、倒した操作部310から作業者が手を放したときに、操作部310は元の位置に戻る。
【0030】
スイッチ330およびスイッチ350は、作業部40の所定の方向の動作を制御する機能を有する。スイッチ330は、スイッチ本体部335および突起部340を有する。スイッチ350は、スイッチ本体部355および突起部360を有する。突起部340は、物理的な力を受けたときに(例えば上下方向に押圧されたときに)回動する。この例では、スイッチ330は、作業部40の左右方向の動作を制御するスイッチである。また、突起部360は、物理的な力を受けたときに(例えば上下方向に押圧されたときに)回動する。この例では、スイッチ350は、作業部40の上下方向の動作を制御するスイッチである。スイッチ330およびスイッチ350には、トグルスイッチが用いられる。突起部340および突起部360が動作することにより、スイッチ本体部335およびスイッチ本体部355の電気回路(電流供給状態あるいは電流遮断状態)が切り替わり、オフセット機構部20および回動機構部50に電気信号を送る。
【0031】
また、回動中心400に対してスイッチ330が配置される方向をD1とし、回動中心400に対してスイッチ350が配置される方向をD2とする。このとき、スイッチ330およびスイッチ350は、方向D1と方向D2とがなす角度(θ)が90°となるように配置される。
【0032】
固定部370は、操作部310に固定されている。なお、固定部370は、操作部310の把持部315と回動中心400との間に配置される。固定部370は、操作部310と、スイッチ330(特にスイッチ本体部335)との間に配置される。同様に、固定部370は、操作部310と、スイッチ350(特にスイッチ本体部355)との間に配置される。固定部370は、開孔部371および開孔部373を有する。開孔部371は、スイッチ330の突起部340の一部が貫通するように配置されている。なお、突起部340は固定部370が回動中心400を中心にして回動したときに開孔部371から抜けない程度に貫通して配置されている。開孔部373は、スイッチ350の突起部360の一部が貫通するように配置されている。なお、突起部360も突起部340と同様に固定部370が回動中心400を中心にして回動したときに開孔部373から抜けない程度に貫通して配置されている。固定部370、開孔部371および開孔部373は、操作部310の回動とともに回動中心400を中心にして回動する。
【0033】
また、開孔部371および開孔部373の端部は、回動するときに突起部340および突起部360と接触する。そのため、開孔部371および開孔部373の端部は、面取りされていてもよい。これにより、突起部340および突起部360の損傷が抑えられ、また滑らかな動作が可能となる。また、操作部310の上端310Aから回動中心400までの長さL1は、回動中心400から開孔部371および開孔部373までの長さL2に比べて大きく配置されてもよい。これにより、小さな力で操作部310を操作することができる。
【0034】
図6は、制御装置300の一部を抜粋した側面部分断面図である。図6に示すように、操作部310の下部に当たる支持部380を含む平面380Aから回動中心400までの高さ(H0)と、平面380Aからスイッチ330の突起部340(より具体的には突起部340の中心線)までの高さ(H1)と、平面380Aからスイッチ350の突起部360(より具体的には突起部360の中心線)までの高さ(H2)とは、同じとなるように配置されている。言い換えれば、開孔部371の中心は、図4に示す前後方向の回動軸403の延長線上にあり、開孔部373の中心は、左右方向の回動軸401の延長線上にある。
【0035】
(1-3.その他の部材の構成)
次に、草刈り機100のその他の部材について、図1図3を用いて説明する。
【0036】
オフセットフレーム21は、中空状部材で構成される長尺のフレームであり、動力伝達部30の下方に配置される。オフセットフレーム21の一端は、ヒッチフレーム11に対して水平面上で回動可能に連結され、他端は、支持フレーム23に連結される。
【0037】
リンクロッド22は、筒状部材で構成される長尺の部材であり、オフセットフレーム21と同程度の長さを有する。リンクロッド22の一端は、ヒッチフレーム11に対して水平面上で回動可能に連結され、他端は、支持フレーム23に連結される。なお、ヒッチフレーム11上におけるオフセットフレーム21とリンクロッド22の連結位置は、異なる位置となっている。
【0038】
支持フレーム23は、短尺の部材であり、オフセットフレーム21とリンクロッド22とを相互に連結する部材である。支持フレーム23に対し、オフセットフレーム21及びリンクロッド22は、共に回動可能に連結される。また、支持フレーム23は、ヒッチフレーム11に対して略平行に配置される。
【0039】
以上の構成により、ヒッチフレーム11、オフセットフレーム21、リンクロッド22及び支持フレーム23は、それぞれを各辺とする平行四辺形のリンク機構を構成する。このリンク機構により、オフセット機構部20は、作業部40をオフセット移動させることができる。
【0040】
伸縮部材24は、オフセット機構部20の動力源(アクチュエータ)であり、例えば電動シリンダ、油圧シリンダ等で構成される。伸縮部材24の一端は、ヒッチフレーム11に連結され、他端は、オフセットフレーム21の後方側(例えば、支持フレーム23との連結部分の付近)に連結される。伸縮部材24の伸縮により、オフセット機構部20が駆動され、作業部40のオフセット量(左右方向への移動量)を制御することができる。
【0041】
作業ローター41は、側板43の間に配置された回転軸41a及び回転軸41aに放射状に複数設けられた刈刃41bを含む。回転軸41aは、走行機体200の進行方向に対して直交する水平方向に設けられる。作業ローター41は、回転軸41aを回転させて刈刃41bにより雑草等を刈り取る。
【0042】
ローターカバー42は、作業ローター41を覆って配置されるカバー部材である。ローターカバー42は、刈刃41bによって刈り取られた雑草、雑草に付着する土、作業面(地表面)に落ちている小石などの飛散を防止すると共に、刈り取られた雑草を再び刈刃41bに戻し、細かく破砕する効果を有する。
【0043】
側板43は、ボールベアリング等を介して回転軸41aを回転可能に支持すると共に、ローターカバー42を支持する。また、左方の側板43に対して刈刃駆動部44が設けられている。
【0044】
刈刃駆動部44は、走行機体200から動力伝達部30を介して伝達された回転動力を、作業ローター41の回転軸41aに伝達する。刈刃駆動部44は、図2に示されるように、駆動プーリー44a、従動プーリー44b、ベルト44c及びテンショナー44dを含む。ベルト44cは、駆動プーリー44aと従動プーリー44bとの間に巻き掛けられている。テンショナー44dは、駆動プーリー44aから従動プーリー44bに向かってベルト44cが押し出される側に配置され、ベルト44cの内側から外側に向かって張力を与えている。
【0045】
上述した構造の刈刃駆動部44では、駆動プーリー44aが動力伝達部30から伝達された回転動力により回転し、ベルト44cを介して従動プーリー44bへ回転動力を伝達する。従動プーリー44bは、駆動プーリー44aから与えられた回転動力を回転軸41aに伝達し、作業ローター41を駆動する。
【0046】
(1-4.草刈り機の動作)
次に、制御装置300を操作した場合の作業部40の動作について説明する。図7は、制御装置300を操作した時の側面部分断面図である。図8は、草刈り機100の作業部40を右方向へオフセット移動した後の通常時の作業状態を示す上面図である。図9は、草刈り機100の作業部40を右方向へオフセット移動した後の通常時の作業状態を示す背面図である。なお、「通常時」とは、作業部40が、非作業状態から作業状態に向かってオフセット移動したままの状態を指す。つまり、作業部40が走行機体200の進行方向に対して側方にオフセット移動し、水平面に対して略平行な位置にある状態を指す。例えば、走行機体200が走行する地表面の草刈り作業を行う状態が、通常時の作業状態に対応する。
【0047】
まず、制御装置300の操作部310は一方側又は他方側に傾動操作されることにより図7(A)および(B)に示すように時計回り(CW方向)、または反時計回り(CCW方向)に回動する。
【0048】
図7(A)の場合、操作部310が一方側(D1方向)に傾動操作されたときに、固定部370も連動して回動する。このとき、固定部370の開孔部371が下方に移動する際に、スイッチ330の突起部340が開孔部371の端部(図7(A)拡大図に示す端部371P1)により上方から下方へ向けて押圧される。これにより、突起部340は、元の位置から下方に移動する。突起部340が下方に移動すると、スイッチ330のスイッチ本体部335の電気回路が切り替わる。このとき電気回路が切り替わることにより、作業部40を動作させるための電気信号がオフセット機構部20に送られる。その結果、図8および図9に示すように、草刈り機100の背面側から見た時の右方向(D3方向)に作業部40が移動する。なお、作業者が操作部310から手を離せば(操作部310の傾動動作が解除されると)、ばね部390により操作部310は元の位置に戻る。操作部310が元の位置に戻ると、突起部340も元の位置に戻り、電気信号が遮断され、作業部40の移動が止まる。その後、作業部40を駆動させることにより、草刈り作業が開始される。
【0049】
なお、図7(A)に示すように、操作部310をD1方向(右方向)に動かした場合には、操作部310は回動軸401(図4参照)を起点にして回動する。このとき、図6にて上述したように、操作部310の下部に当たる支持部380を含む平面380Aから回動中心400までの高さ(H0)と、平面380Aからスイッチ330の突起部340までの高さ(H1)と、平面380Aからスイッチ350の突起部360までの高さ(H2)とは、同じである。そのため、回動軸403(図4参照)を起点とした操作部310の回動は起こらず、突起部360は動かないままとなる。したがって、上記操作ではスイッチ330のみが動作し(電流供給状態となり)、スイッチ350は動作しない(電流遮断状態となる)。
【0050】
また、図7(B)の場合、操作部310が他方側(D1と反対方向)に傾動操作されたときに、固定部370も連動して回動する。このとき、固定部370の開孔部371が上方に移動する際に、スイッチ330の突起部340が開孔部371の端部により下方から上方へ向けて押圧される。これにより、突起部340は、元の位置から上方に移動する。突起部340が上方に移動すると、スイッチ330のスイッチ本体部335の電気回路が切り替わる。このとき電気回路が切り替わることにより、作業部40を動作させるための電気信号がオフセット機構部20に送られる。その結果、作業部40は、草刈り機100の背面側から見て左側に移動する。
【0051】
次に、作業部40がオフセットした状態において、操作部310を図4に示す上方(D2方向)に移動させたときには、開孔部373の端部がスイッチ350の突起部360を動かすことにより、スイッチ350のスイッチ本体部355の電気回路が切り替わる。このとき電気回路が切り替わることにより、作業部40を動作させるための電気信号が回動機構部50に送られる。これにより、草刈り機100は、図10に示すように作業部40がオフセットした状態で上方(ここでは反時計回り)に回動する。なお、図10に示される状態は、作業部40が地表面よりも上方に位置する傾斜面(法面)の草刈り作業を行う状態である。作業者が操作部310から手を離し(操作部310の傾動動作が解除され)、ばね部390により操作部310が元の位置に戻ると、突起部360も元の位置に戻り、電気信号が遮断され、作業部40の移動が止まる。
【0052】
なお、操作部310を上方(図4のD2方向)に動かした場合には、操作部310は回動軸403を起点にして回動することとなる。この場合、回動軸401を起点とした操作部310の回動は起こらない。したがって、上記操作においてはスイッチ350のみが動作し(電流供給状態となり)、スイッチ330は動作しない(電流遮断状態となる)。
【0053】
以上に示したように、本実施形態では、操作部が回動し、操作部に連動して動く固定部に設けられた開孔部の端部とスイッチの突起部とが直接接触することにより、突起部が動作し、スイッチの電流供給状態-電流遮断状態が制御される。従来の制御機構では、操作性を向上させようとすると、微弱電流を用いたスイッチで制御し、リレー(継電器)を介在して、作業部を動作させる必要があった。しかしながら、本実施形態を用いることにより、制御装置は、作業部と同等の大きさの電流(例えば20A以上40A以下、具体的には30A)を流すことができるため、リレー(継電器)などを設けずに直接動作させることが可能である。
【0054】
また、本実施形態を用いることにより、制御装置300は、一つの操作部で作業部の左右方向ならびに回動方向への動作を操作・制御することができる。したがって、本発明の一実施形態を用いることにより、操作部を複数設けずに、安価でかつ操作性の良い制御装置を有する草刈り機を提供することができる。
【0055】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0056】
(変形例1)
本発明の実施形態では、固定部370に開孔部が2つ設けられる例を示したが、これに限定されない。固定部370は、2つ以上設けられて、それぞれの固定部に開孔部が一つ設けられてもよい。
【0057】
(変形例2)
本発明の実施形態では、スイッチ330およびスイッチ350としてトグルスイッチを用いる例を示したが、これに限定されない。例えば、スイッチ330およびスイッチ350にはロッカースイッチが用いられてもよい。この場合、固定部370には開孔部ではなく、凸部が設けられてもよい。
【0058】
(変形例3)
本発明の実施形態では、固定部が円状の開孔部を有する例を示したが、これに限定されない。例えば、図11に示すように開孔部374は、円弧状を有してもよい。この場合、操作部310の下部に当たる支持部380を含む平面380Aから回動中心400までの高さ(H0)と、平面380Aからスイッチ330の突起部340までの高さ(H1)と、平面380Aからスイッチ350の突起部360の中心線までの高さ(H2)とは、異なってもよい。
【0059】
(変形例4)
本発明の実施形態では、スイッチ330およびスイッチ350がそれぞれ別々に動作する例を示したが、これに限定されない。例えば、図12に示すように、スイッチ330およびスイッチ350を同時に動作させてもよい。
【0060】
(変形例5)
本発明の実施形態では、回動中心400に対してスイッチ330が配置される方向D1と、回動中心400に対してスイッチ350が配置される方向D2とがなす角(θ)が90°となる例を説明したが、60°でもよいし、適宜設定すればよい。この場合、変形例3で示したように、開孔部が円弧状を有してもよい。
【符号の説明】
【0061】
10・・・装着部、11・・・ヒッチフレーム、20・・・オフセット機構部、21・・・オフセットフレーム、22・・・リンクロッド、23・・・支持フレーム、24・・・伸縮部材、30・・・動力伝達部、40・・・作業部、50・・・回動機構部、51・・・第1伝達軸、52・・・第2伝達軸、200・・・走行機体、210・・・後方タイヤ、220・・・三点リンク機構、230・・・PTO軸、300・・・制御装置、310・・・操作部、315・・・把持部、330・・・スイッチ、335・・・スイッチ本体部、340・・・突起部、350・・・スイッチ、355・・・スイッチ本体部、360・・・突起部、370・・・固定部、371・・・開孔部、373・・・開孔部、380・・・支持部、390・・・ばね部、400・・・回動中心、401・・・回動軸、403・・・回動軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12