(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】視線誘導標示装置及び踏切停止線照射装置
(51)【国際特許分類】
E01F 9/582 20160101AFI20220105BHJP
E01F 9/608 20160101ALI20220105BHJP
E01F 9/615 20160101ALI20220105BHJP
【FI】
E01F9/582
E01F9/608
E01F9/615
(21)【出願番号】P 2017210917
(22)【出願日】2017-10-31
【審査請求日】2020-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】391013531
【氏名又は名称】株式会社吾妻製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100111659
【氏名又は名称】金山 聡
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 修
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-127108(JP,A)
【文献】特開2012-004896(JP,A)
【文献】特開2011-126357(JP,A)
【文献】登録実用新案第3120789(JP,U)
【文献】特開2012-154083(JP,A)
【文献】特開2001-026914(JP,A)
【文献】特開2001-040625(JP,A)
【文献】特開2012-255271(JP,A)
【文献】特開2004-251034(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/582
E01F 9/608
E01F 9/615
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の方向に配置され低電圧で発光する複数の光源と、
前記複数の光源と対向する位置に配置され、前記複数の光源から放出される光を前記一の方向に拡散する拡散板と、
前記複数の光源と前記拡散板を収納するボックスを備え、
前記一の方向に配置された複数の光源のうち端側の光源の光軸は、前記拡散板に垂直な方向から所定の角度で傾いて
おり、
前記複数の光源から放出され前記拡散板で拡散された光は、前記拡散板から一定距離離れた位置で繋がってライン光となり、路肩や路面に照射されるようにしたこと
を特徴とする視線誘導標示装置。
【請求項2】
前記所定の角度は、前記拡散板に垂直な方向から外側に15度~45度であることを特徴とする請求項1記載の視線誘導標示装置。
【請求項3】
前記複数の光源に電力を供給する太陽電池電源装置と、前記ボックスをポールに取り付ける取付具をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の視線誘導標示装置。
【請求項4】
一の方向に配置され低電圧で発光する複数の光源と、
前記複数の光源と対向する位置に配置され、前記複数の光源から放出される光を前記一の方向に拡散する拡散板と、
前記複数の光源と前記拡散板を収納するボックスと、
前記複数の光源に電力を供給する太陽電池電源装置と、
前記ボックスをポールに取り付ける取付具を備え、
前記一の方向に配置された複数の光源のうち端側の光源の光軸は、前記拡散板に垂直な方向から所定の角度で傾いており、前記複数の光源から放出され前記拡散板によって拡散された
光は、前記拡散板から一定距離離れた位置で繋がってライン光となり、踏切の停止線に照射
されるようにしたこと
を特徴とする踏切停止線照射装置。
【請求項5】
前記所定の角度は、前記拡散板に垂直な方向から外側に15度~45度であることを特徴とする請求項4記載の踏切停止線照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面に標示された線(路面標示線)や路肩の位置を示すための誘導標示を行う視線誘導標示装置、及び、踏切と交差する道路の路面に標示された停止線を照射する踏切停止線照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積雪地域においては、道路に雪が積もると路面に標示された線(路面標示線)や路肩が雪に隠れて見えなくなるため、雪道を走る車両に対して路面標示線や路肩の位置を示すための誘導標示が必要となる。このため、雪が積もった道路に対してライン光を照射し、ドライバーに路面標示線や路肩の位置を視認させる装置が提案されている。
例えば、特許文献1(特開2001-40625号公報)には、凸レンズの焦点位置に発光ダイオードが対向配置されて発光ダイオードの光が凸レンズによりほぼ平行光に屈折されて放出されるようになされた自発光ユニットが数多く配設されて発光部が形成され、各自発光ユニットよりの平行光が発光部より路面に向けて放出され、この平行光により路面にスポット光としてのライン標示が描出されるようになされた路面標示装置が開示されている。
また、特許文献2(特開2012-127108号公報)には、内面に波形の屈折面を形成し、外面を平滑に形成したレンズを光源の前方に配置することにより、路肩にスネルの法則に基づく光の屈折でライン状に拡散した照射領域を形成する視線誘導灯が開示されている。
さらに、特許文献3(特開2012-154083号公報)には、積雪する道路の上方に設置され、道路面または道路の外側線等に向けて、上方から扇状光を照射して、雪道上に線状光を映し出す道路用ライン表示装置が開示されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1の路面標示装置では、ライン照射を行う発光部に、発光ダイオード(LED)を備えて平行光を放出する自発光ユニットが数多く配設されていることから、装置が大型化し、積雪による重みに耐えるだけの強度が必要となるばかりか、発光部から長時間継続してライン光を照射するためには、商用電源あるいは大容量のバッテリ等の大型電源装置が必要となり、山間部等の商用電源や大型電源装置がない地域では使用できないという問題がある。
また、特許文献2の視線誘導灯においては、レンズ4に対向して凹曲レンズ溝6の溝方向と直角方向に複数のLED3が配置されているが、各LED3の光軸の方向が全て同じで、各LED3から放出される光(円錐状に広がった光)は、同じ角度範囲でレンズ4に入射し、レンズ4で拡散される角度範囲も同じとなることから、照射されるライン光のラインを長くするには、LED3をレンズ4から離してLED3の配置間隔を長くする必要あるが、そのようにするとレンズ4の面積が大きくなってLED3を収納するボックスが大型化し、積雪による重みに耐えるだけの強度が必要となるばかりか、落雪により歩行者や自転車等の通行の妨げになる等道路脇に設置されたポール取り付けるのに適していないという問題が生ずる。
さらに、特許文献3の道路用ライン表示装置では、多数のLEDが円弧状に配置された光源より扇状光を照射するため、特許文献1と同様に、装置が大型化し、積雪による重みに耐えるだけの強度が必要となるばかりか、商用電源あるいは大容量のバッテリ等の大型電源装置が必要となり、山間部等の商用電源や大型電源装置がない地域では使用できないという問題がある。
【0004】
次に、踏切においては、安全性を確保するため、遮断機が設けられ、車両を遮断機の手前で停止させるための停止線が路面に標示されているが、夜間等に踏切や停止線の位置等を視認させるための照明装置等を設けることが提案されている。
例えば、特許文献4(特開2011-126357号公報)には、道路と一または複数並ぶ線路が平面交差する踏切で、列車の接近ないし通過の有無に関わりなく、前記踏切内道路の領域全体を照らす第1光源と、列車が接近ないし通過する際に、前記踏切内道路のうち列車が通過する線路と少なくとも重なる領域を前記第1光源による照度よりも高い照度に照らす第2光源を備えた踏切照明装置が開示されている。
また、特許文献5(実用新案登録第3120789号公報)には、列車の接近を検知して検知信号を出力する列車検知センサと、光透過性を有し押圧耐性に優れたカバーを備え前記踏切の車両停止線に並行して埋設されるケースと、前記カバー側に発光面を向けて前記ケース内に収納された複数個のLEDと、前記列車検知センサからの検知信号を受けて前記LEDの点灯を制御する表示制御手段とを備えた踏切道路における車両停止位置の表示装置が開示されている。
しかしながら、特許文献4の踏切照明装置では、第1光源が遮断機の間にある踏切内道路の領域全体を照らすことから、遮断機の位置より外側に標示されている停止線までは照らされず、ドライバーが停止線の位置を視認できないという問題が生ずる。
また、特許文献5の車両停止位置の表示装置では、複数個のLEDを収納したケースが車両停止線に並行して埋設されており、舗装されていない道路等と交差する踏切では、発光面と対向して設けられたカバーが泥等で覆われ、LEDの光が遮断されてLEDによる標示が視認できないという問題が生ずる。
さらに、遮断機や照明装置が取り付けられていない踏切では、夜間に少なくとも停止線の位置を視認させることが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-40625号公報
【文献】特開2012-127108号公報
【文献】特開2012-154083号公報
【文献】特開2011-126357号公報
【文献】実用新案登録第3120789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、商用電源や大型電源装置でない独立した低電圧の小型電源が使用でき、道路脇に設置されたポール取り付けるのに適した小型の装置で一定の長さのライン光が照射できるようし、また、踏切において、夜間等に車両の停止線を確実に視認できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、一の方向に配置され低電圧で発光する複数の光源と、前記複数の光源と対向する位置に配置され、前記複数の光源から放出される光を前記一の方向に拡散する拡散板と、前記複数の光源と前記拡散板を収納するボックスを備え、前記一の方向に配置された複数の光源のうち端側の光源の光軸は、前記拡散板に垂直な方向から所定の角度で傾いており、前記複数の光源から放出され前記拡散板で拡散された光は、前記拡散板から一定距離離れた位置で繋がってライン光となり、路肩や路面に照射されるようにした視線誘導標示装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記所定の角度は、前記拡散板に垂直な方向から外側に15度~45度である視線誘導標示装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、前記複数の光源に電力を供給する太陽電池電源装置と、前記ボックスをポールに取り付ける取付具をさらに備えている視線誘導標示装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、一の方向に配置され低電圧で発光する複数の光源と、前記複数の光源と対向する位置に配置され、前記複数の光源から放出される光を前記一の方向に拡散する拡散板と、前記複数の光源と前記拡散板を収納するボックスと、前記複数の光源に電力を供給する太陽電池電源装置と、前記ボックスをポールに取り付ける取付具を備え、 前記一の方向に配置された複数の光源のうち端側の光源の光軸は、前記拡散板に垂直な方向から所定の角度で傾いており、前記複数の光源から放出され前記拡散板によって拡散された光は、前記拡散板から一定距離離れた位置で繋がってライン光となり、踏切の停止線に照射されるようにした踏切停止線照射装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、前記所定の角度は、前記拡散板に垂直な方向から外側に15度~45度である踏切停止線照射装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明の視線誘導標示装置においては、商用電源や大型電源装置でない独立した低電圧の小型電源が使用でき、道路脇に設置されたポール取り付けるのに適した小型の装置で一定の長さのライン光が照射できるという効果を奏する。
【0013】
請求項2に記載の発明の視線誘導標示装置においては、さらに、一定以上の長さと明るさのライン光が照射できるという効果を奏する。
【0014】
請求項3に記載の発明の視線誘導標示装置においては、請求項1又は請求項2の発明と同様の効果を奏する。
【0015】
請求項4に記載の発明の踏切停止線照射装置においては、踏切において、夜間等に車両の停止線を確実に視認できるという効果を奏する。
【0016】
請求項5に記載の発明の踏切停止線照射装置においては、請求項4の発明と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態の視線誘導標示装置をポールに取り付けた状態の斜視図である。
【
図2】
図1に示す視線誘導標示装置の平面図である。
【
図3】
図1に示す視線誘導標示装置の正面図である。
【
図4】
図1に示視線誘導標示装置の右側面図である。
【
図7】凹凸面を上側にした状態の拡散板13の斜視図と正面図である。
【
図8】視線誘導標示装置1の電源となる太陽電池電源装置とそれに接続されるLED回路の構成を示したブロック図である。
【
図10】ボックス10を拡散板13が下面にくるようにして正面から見た内部の状態であって、LED光源31~33からの光の拡散状態を示した説明図である。
【
図11】LED光源を2個と4個取り付けた場合の状態を示した説明図である。
【
図12】LED光源31からの光が拡散板13の長手方向と直角方向(溝13mの方向)に対してどのように広がるかを示した説明図である。
【
図13】本発明の実施形態の踏切停止線照射装置を踏切に設置したポールに取り付けた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について説明する。
[視線誘導標示装置]
図1は、本発明の実施形態の視線誘導標示装置をポールに取り付けた状態の斜視図、
図2は、
図1に示す視線誘導標示装置の平面図、
図3は、
図1に示す視線誘導標示装置の正面図、
図4は、
図1に示視線誘導標示装置の右側面図、
図5は、
図3のA-A断面図、
図6は、
図4のB-B断面図である。
図において、1は視線誘導標示装置、2はポール、3、4は固定バンド、10はボックス、11は後ケース、12は前ケース、12aは開口部、13は拡散板、14は光源取付板、14aは正面、14b、14cは傾斜面、14d、14eは底面、20は取付具、21はボックス取付具、22は連結具、23はポール取付具、23a、23b、23c、23dは挿入孔、24a、24b、24c、24dはネジ、25a、25bはナット、26は長穴、31、32、33はLED光源である。
【0019】
[視線誘導標示装置1の構成]
図1~6に示すように視線誘導標示装置1は、金属製のボックス10、金属製の取付具20、太陽電池電源装置(後述する)等から構成されている。
ボックス10は、直方体形状の枠体で正面部が開口された後ケース11、直方体形状の枠体で背面部が開口された前ケース12、拡散板13、台形状に膨らんだ形状の光源取付板14、LED光源31~33等から構成されている。
ボックス10おいては、後ケース11の背面部の内側面に光源取付板14の底面14d、14eがネジ止め(図示せず)され、光源取付板14の正面14a、傾斜面14b、14cにLED光源31~33が取り付けられ、前ケース12の正面部の内側面に開口部12を覆うように拡散板13が押え板(図示せず)で押し付け固定され、後ケース11の内側に前ケース12が嵌め込まれてネジとナット(図示せず)により固定されている。
取付具20は、横断面がコの字状のボックス取付具21、横断面がコの字状の連結具22、及び横断面が台形状のポール取付具23から構成されている。
取付具20においては、ボックス取付具21の正面部がボックス10の後ケース11の背面部にネジとナット(図示せず)により固定され、連結具22の背面部がポール取付具23の正面部にネジとナット(図示せず)により固定され、ポール取付具23が、上側の挿入孔23a、23bに通された固定バンド3と、下側の挿入孔23c、23dに通された固定バンド4によりポール2に固定されている。
そして、ボックス取付具21の両側面部の外側面に連結具22の両側面部の内側面が重なるようにして、ネジ24a、24b、24c、24dとネット25a、25bによりボックス取付具21と連結具22連結されている。
すなわち、ボックス取付具21と連結具22を貫通するネジ穴にネジ24c、24dがネジ込まれ、ボックス取付具21の両側面部に設けられた円弧状の長穴26(
図5参照)と、これと重なるように連結具22の両側面部に設けられた穴にネジ24a、24bが挿入され、ネジ24a、24bにナット25a、25bが螺合されている。
これにより、ナット25a、25bを緩めて、ボックス取付具21をネジ24c、24dを中心に回動させることができ、ポール2に対するボックス10の取付け角度を変えることができる。
【0020】
[拡散板13、LED光源31~33]
図7(a)は、凹凸面を上側にした状態の拡散板13の斜視図、
図7(b)は、
図7(a)の拡散板13の正面図である。
拡散板13は、メタクリル樹脂(アクリル樹脂)やポリエチレン樹脂等からなる透明なプラスチック板であり、
図7(a)、(b)に示すように、拡散板13の上側の面13aには、円柱状の溝13mと溝13mによって形成されるプリズム13pからなる凹凸パターンが形成され、拡散板13の下側の面13bは平滑な面となっている。
拡散板13の上側の面13に入射した光は、溝13m(プリズム13p)と直角方向に拡散され、溝13mの曲率半径を大きくするほど拡散の度合いは大きくなる。
そして、拡散板13は、ボックス10前ケース12の正面部の内側面に、溝13m(プリズム13p)がLED光源31~33と対向するように取り付けられ、LED光源31~33からの光を、溝13m(プリズム13p)と直角方向に拡散する。
また、LED光源31~33は、円筒状のケースの内部に発光ダイオード(LED)を内蔵した円筒状のケースの出射面側に凸レンズ等が取り付けられたものであり、6~24ボルトの低電圧の直流電源で発光するようになっている。
この場合、LED光源31~33は、拡散板13に対して溝13mと直角方向に配置され、LED光源31~33からの光は、溝13mと直角方向に拡散されることから、ライン光として照射される。
【0021】
[太陽電池電源装置、LED回路]
図8は、視線誘導標示装置1の電源となる太陽電池電源装置とそれに接続されるLED回路の構成を示したブロック図、
図9は、
図8のLED回路の回路図である。
図において、40は太陽電池電源装置、41はソーラーパネル、42はコントローラー、43はバッテリー、50はLED回路、51~53はLED、54は抵抗である。
太陽電池電源装置40は、ソーラーパネル41、コントローラー42及びバッテリー43等から構成され、太陽光を受けたソーラーパネル41が発電した電気は、コントローラー42によってバッテリー43に蓄電される。
LED回路50は、LED51、52、53と抵抗54が直列に接続された回路からなり、コントローラー42に接続されており、LED51、52、53は、LED光源31、32、33の発光素子である。
コントローラー42は、ソーラーパネル41が発電した電気をバッテリー43に流し、ソーラーパネル41が発電しなくなると、バッテリー43に蓄えられた電気をLED回路50に流し、LED51、52、53を発光させる。
これにより、昼間はソーラーパネル41によって発電された電気がバッテリー43に蓄えられ、夜間にバッテリー43に蓄えられ電気がLED回路50に供給されてLED51、52、53が発光し、LED光源31、32、33から光が照射される。
LED光源31~33(LED51~53)は、6~24ボルトの低電圧の直流電源で発光するため、ソーラーパネル41は、縦横の大きさが200~400mm程度で容量が5~15W程度の小型のものでよく、バッテリー43も電池容量が12~24Ahの小型のものでよく、太陽電池電源装置40を独立した小型のものとすることができる。
【0022】
[視線誘導標示装置1によるライン光の照射]
次に、視線誘導標示装置1によるライン光の照射について説明する。
図10は、ボックス10を拡散板13が下面にくるようにして正面から見た内部の状態であって、LED光源31~33からの光の拡散状態を示した説明図である。
図において、A31、A32、A33はLED光源31、32、33の光軸、L1a、L1b、L2a、L2b、L3a、L3bはLED光源31、32、33からの光線、P1、P2、P3はLED光源31、32、33から照射される光の角度範囲である。
図10に示すように、LED光源31の光軸A31は、拡散板13と垂直方向にあり、LED光源32の光軸A32は、拡散板13と垂直方向な方向から外側(LED光源31からみてLED光源32側)にθの角度で傾いており、LED光源33の光軸A33は、拡散板13と垂直方向な方向から外側(LED光源31からみてLED光源33側)にθの角度で傾いている。
そして、LED光源31からの光(光線)は、拡散板13に当たって溝13mと直角方向に拡散されて角度範囲P1の光線L1a、L1bとなり、LED光源32とLED光源33からの光も、拡散板13に当たって溝13mと直角方向に拡散されてそれぞれ角度範囲P2の光線L2a、L2bと角度範囲P3の光線L3a、L3bとなる。
角度範囲P1の光線L1a、L1bと角度範囲P2の光線L2a、L2bと角度範囲P3の光線L3a、L3bは、拡散板13から一定距離離れた位置で繋がってライン光となり、路肩や路面等に照射される。
この場合、LED光源32、33が取り付けられる光源取付板14の傾斜面14b、14cの傾斜角度を変えることにより、LED光源32、33の光軸A32、A33の角度θを変えることができ、角度θが大ききほど照射されるライン光は長くなるが照度は低くなる。
視線誘導標示装置1により路肩や路面等に照射されるライン光は、一定以上の長さと明るさの光とする必要があり、そのためには、角度θを15度~45度とすることが好ましく、特に角度θを30度とすることが最も好ましい。
【0023】
また、LED光源の数は、上記実施形態のように3個に限定されるものではなく、2個、4個あるいはそれ以上であってもよい。
図11は、LED光源を2個と4個取り付けた場合の状態を示した説明図であり、図において、15、16は光源取付板、15a、15b、16a~16dは傾斜面、34~39はLED光源、A30は拡散板13に垂直な線、A34~A39はLED光源34~39の光軸である。
LED光源を2個とする場合は、
図11(a)に示すように、光源取付板15をV字状の傾斜面15a、15bを備えたものとして、傾斜面15a、15bにLED光源34、35を取り付ければよい。
このとき、LED光源34、35の光軸A34、35は、線A30に対してθ1の角度で傾いている。角度θ1は、15度~45度が好ましく、特に30度が最も好ましい
また、LED光源を4個とする場合は、
図11(b)に示すように、光源取付板16を傾きの異なる傾斜面16a、16bと傾斜面16c、16dを備えたものとして、傾斜面16a、16b、16c、16dにLED光源36、37、38、39を取り付ければよい。
このとき、LED光源36、37の光軸A36、37は、線A30に対してθ2の角度で傾いており、LED光源38、39の光軸A38、39は、線A30に対してθ3の角度で傾いている。角度θ3は、角度θ2より大きく、15度~45度とするのが好ましく、特に30度とするのが最も好ましい
【0024】
ここで、LED光源31~33から照射されるライン光をラインと直角方向に収束させる手段について説明する。
図12は、LED光源31からの光が拡散板13の長手方向と直角方向(溝13mの方向)に対してどのように広がるかを示した説明図であり、同図(a)は、LED光源31からの光が拡散板13のみを透過する場合、同図(b)は、リニアフレネルレンズと拡散板13を透過する場合を示している。
図において、60はリニアフレネルレンズ、M1a、M1b、M2a、M2bはLED光源31からの光線、Q1は光線M1a、M1bの角度範囲、Q2は光線M2a、M21bの角度範囲である。
図12(a)に示すように、LED光源31からの光(光線)は、拡散板13では、溝13mの方向には屈折されず、角度範囲Q1の光線M1a、M1bとなって路肩や路面等に照射される。
これに対して
図12(b)に示すように、拡散板13のLED光源31側にリニアフレネルレンズ60をそのレンズ面が拡散板13側にくるように配置すると、LED光源31からの光(光線)は、リニアフレネルレンズ60で光軸A31に収束するように屈折され、角度範囲Q1より狭い角度範囲Q2の光線M2a、M2bとなって路肩や路面等に照射される。
他のLED光源32、33からの光も、LED光源31からの光と同様にリニアフレネルレンズ60によって、光軸A31に収束するように屈折されて路肩や路面等に照射される。
よって、LED光源31~33から照射されるライン光のラインと直角方向の幅が広くなり、ライン光が一定の明るさにならない場合は、LED光源31~33と拡散板13の間にリニアフレネルレンズ60を設置することにより、上記ライン光のラインと直角方向の幅を狭くし、一定の明るさのライン光とすることができる。
【0025】
[踏切停止線照射装置]
次に、踏切停止線照射装置について説明する。
図13は、本発明の実施形態の踏切停止線照射装置を踏切に設置したポールに取り付けた状態の斜視図である。
図において、70、80は踏切停止線照射装置、71、81は取付具、72、73、82、83は固定バンド、91、92はポール、93は線路、94は道路、95、96は停止線、LB1、LB2はライン光である。
図13に示すようには踏切停止線照射装置70は、ボックス10、取付具20と同じ構造でボックス10を取り付ける向きが異なる取付具71、太陽電池電源装置40(図示せず)等から構成され、踏切停止線照射装置80は、踏切停止線照射装置70と同一構造であり、取付具81、太陽電池電源装置40(図示せず)等から構成されている。
道路94は、踏切93と交差し、踏切93の前後に停止線95、96が標示され、停止線95、96の横の道路94から外れた位置に、L字型のポール91、92が設置されている。
踏切停止線照射装置70は、ポール91の水平部分に固定バンド72、73で固定され、踏切停止線照射装置80も、ポール92の水平部分に固定バンド82、83で固定されている。
そして、踏切停止線照射装置70のボックス10の内部に取り付けられたLED光源から、停止線95を覆うライン光LB1が照射され、踏切停止線照射装置80のボックス10の内部に取り付けられたLED光源から、停止線96を覆うライン光LB2が照射される。
これにより、踏切93に遮断機や照明装置が取り付けられていなくても、踏切を渡るドライバー等に対して、夜間に停止線95、96の位置を視認させることできる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の視線誘導標示装置は、商用電源や大型電源装置でない独立した低電圧の小型電源が使用でき、道路脇に設置されたポール取り付けるのに適した小型の装置で一定の長さのライン光を路肩や路面等に照射できるものであり、本発明の踏切停止線照射装置は、踏切において夜間等に車両の停止線を照射して確実にその位置を視認できるようにするものである。
【符号の説明】
【0027】
1 視線誘導標示装置
2 ポール
3、4 固定バンド
10 ボックス
11 後ケース
12 前ケース
12a 開口部
13 拡散板
13m 溝
13p プリズム
14 光源取付板
14a 正面
14b、14c 傾斜面
14d、14e 底面
15 光源取付板
15a、15b 傾斜面
16 光源取付板
16a~16d 傾斜面
20 取付具
21 ボックス取付具
22 連結具
23 ポール取付具
23a、23b、23c、23d 挿入孔
24a、24b、24c、24d ネジ
25a、25b ナット
26 長穴
31~39 LED
40 太陽電池電源装置
41 ソーラーパネル
42 コントローラー
43 バッテリー
50 LED回路
51~53 LED
54 抵抗
60 リニアフレネルレンズ
70、80 踏切停止線照射装置
71、81 取付具
72、73、82、83 固定バンド
91、92 ポール
93 線路
94 道路
95、96 停止線
A30 線
A31、A32、A33、A34、A35、A36、A37、A38、A39 光軸
L1a、L1b、L2a、L2b、L3a、L3b 光線
LB1、LB2 ライン光
M1a、M1b、M2a、M2b 光線
P1、P2、P3、Q1、Q2 角度範囲