(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-02-03
(54)【発明の名称】鏝先クリーナー及び該鏝先クリーナーを有するはんだ付け装置
(51)【国際特許分類】
B23K 3/02 20060101AFI20220127BHJP
B23K 3/06 20060101ALI20220127BHJP
B23K 3/08 20060101ALI20220127BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20220127BHJP
【FI】
B23K3/02 H
B23K3/06 K
B23K3/08
H05K3/34 507Z
(21)【出願番号】P 2017225016
(22)【出願日】2017-11-22
【審査請求日】2020-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】390014834
【氏名又は名称】株式会社ジャパンユニックス
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100072453
【氏名又は名称】林 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 智之
(72)【発明者】
【氏名】山口 真哉
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-080367(JP,A)
【文献】特開昭61-147968(JP,A)
【文献】実開昭60-080056(JP,U)
【文献】特開昭60-133972(JP,A)
【文献】実開昭53-149030(JP,U)
【文献】独国特許発明第19727181(DE,C1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00 - 3/08、31/02、33/00
B23K 9/00、9/007 - 9/013、9/04、9/14 - 10/02、
37/00 - 37/08
H05K 3/32 - 3/34
B08B 1/00 - 1/04、5/00 - 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ鏝と、該はんだ鏝の鏝先に線状はんだを供給するはんだ供給ノズルと、前記鏝先を浄化する鏝先クリーナーとを有するはんだ付け装置であって、
前記はんだ鏝とはんだ供給ノズルとは、鏝先とノズル先端との間にはんだ送り間隔を保
った状態で一体的に変位自在なるように結合され、
前記鏝先クリーナーは、箱形のケーシングと、ケーシングの内部に
配置されていて、相互に水平且つ平行に
延びる回転軸を中心に回転する2つの回転ブラシとを有し、
前記2つの回転ブラシは、複数の金属線条により形成されていて、各々の回転ブラシのブラシ径は前記はんだ送り間隔より小径であり、かつ、前記2つの回転ブラシは、
互いに直交する平面視
、側面視
、前記回転軸視の何れにおいても相互に重ならない位置に配置されている、
ことを特徴とするはんだ付け装置。
【請求項2】
前記回転ブラシを形成する前記複数の金属線条は、該回転ブラシの回転軸に直交する方向に配設され、該金属線条の先端によって前記鏝先をクリーニングすることを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け装置。
【請求項3】
前記回転ブラシを形成する前記複数の金属線条は、該回転ブラシの回転軸に平行に配設され、該金属線条の側面によって前記鏝先をクリーニングすることを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け装置。
【請求項4】
前記ブラシ径は0.5-10.0mmの範囲内にあることを特徴とする請求項1-3の何れかに記載のはんだ付け装置。
【請求項5】
鏝先に糸はんだを供給するはんだ供給ノズルを有し、該鏝先とノズル先端との間にはんだ送り間隔が保たれているはんだ鏝をクリーニングするための鏝先クリーナーであって、
前記鏝先クリーナーは、箱形のケーシングと、ケーシングの内部に
配置されていて、相互に水平且つ平行に
延びる回転軸を中心に回転する2つの回転ブラシとを有し、
前記2つの回転ブラシは、複数の金属線条により形成されていて、各々の回転ブラシのブラシ径は前記はんだ送り間隔より小径であり、かつ、前記2つの回転ブラシは、
互いに直交する平面視
、側面視
、前記回転軸視の何れにおいても相互に重ならない位置に配置されている、
ことを特徴とする
鏝先クリーナー。
【請求項6】
前記回転ブラシを形成する前記複数の金属線条は、該回転ブラシの回転軸に直交する方向に配設され、該金属線条の先端によって前記鏝先をクリーニングすることを特徴とする請求項5に記載の鏝先クリーナー。
【請求項7】
前記回転ブラシを形成する前記複数の金属線条は、該回転ブラシの回転軸に平行に配設され、該金属線条の側面によって前記鏝先をクリーニングすることを特徴とする請求項5に記載の鏝先クリーナー。
【請求項8】
前記回転ブラシの回転軸に沿った長さは、前記ブラシ径の5倍以上であることを特徴とする請求項5-7の何れかに記載の鏝先クリーナー。
【請求項9】
前記ブラシ径は0.5-10.0mmの範囲内にあることを特徴とする請求項5-8の何れかに記載の鏝先クリーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ鏝の鏝先に付着した炭化物を除去する鏝先クリーナー、及び、該鏝先クリーナーを備えたはんだ付け装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板と電子部品とのはんだ付けすべき部分(はんだ付け対象)をはんだ付けする場合、特許文献1に開示されたようなはんだ鏝が使用される。このはんだ鏝は、はんだ付け対象に接触して該はんだ付け対象を加熱する鏝先と、鏝先に連結された円筒形状の鏝胴部と、鏝先を加熱するヒータとを有し、前記ヒータで鏝先を加熱し、加熱された鏝先ではんだを溶かしてはんだ付けを行うように構成されている。
【0003】
はんだ付けを繰り返し行っていくと、鏝先にはんだやフラックス等の炭化物がこびりつき易く、該炭化物が鏝先に付着した状態ではんだ付けを行うと、該炭化物が、鏝先からはんだへの熱の伝導を妨げたり、はんだのぬれ性を損ねたりし、はんだ不良を起こす原因になる。
【0004】
その問題を解決するため、従来から、鏝先に付着した炭化物の除去を行う鏝先クリーナーが使われている。この種のものとして、例えば、
図16に示すように、ケーシングの内部に並べて配設された2つの回転ブラシ51A,51Bを有し、該回転ブラシ51A,51Bに、はんだ鏝40の鏝先41を接触させることで、鏝先41の浄化を行う鏝先クリーナー50がある。ところが、この鏝先クリーナー50は、大径の回転ブラシ51A,51Bを使用しているため、鏝先41に線状はんだを供給するはんだ供給ノズル42を備えたはんだ鏝40をクリーニングする場合には、鏝先41とはんだ供給ノズル42との間に回転ブラシ51A,51Bを挿入することができず、このため、鏝先41を隅々まで浄化することができない。
【0005】
一方、特許文献2には、ケーシングの内部に、斜め上下に位置をずらして配された2つの回転ブラシを有する鏝先クリーナーが開示されているが、2つの回転ブラシ径が大径であるため、前記鏝先クリーナー50と同様に、鏝先とはんだ供給ノズルとの間に挿入することができず、このため、鏝先を隅々まで浄化するのが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】登録実用新案第3001893号公報
【文献】特開2001-179189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の技術的課題は、はんだ供給ノズルを備えたはんだ鏝の鏝先を、前記はんだ供給ノズルの存在に拘わらず隅々まで浄化することができる鏝先クリーナーと、このような鏝先クリーナーを備えたはんだ付け装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明によれば、はんだ鏝と、該はんだ鏝の鏝先に線状はんだを供給するはんだ供給ノズルと、前記鏝先を浄化する鏝先クリーナーとを有するはんだ付け装置であって、前記はんだ鏝とはんだ供給ノズルとは、鏝先とノズル先端との間にはんだ送り間隔を保った状態で一体的に変位自在なるように結合され、前記鏝先クリーナーは、箱形のケーシングと、ケーシングの内部に配置されていて、相互に水平且つ平行に延びる回転軸を中心に回転する2つの回転ブラシとを有し、前記2つの回転ブラシは、複数の金属線条により形成されていて、各々の回転ブラシのブラシ径は前記はんだ送り間隔より小径であり、かつ、前記2つの回転ブラシは、互いに直交する平面視、側面視、前記回転軸視の何れにおいても相互に重ならない位置に配置されていることを特徴とするはんだ付け装置が提供される。
【0009】
本発明において好ましくは、前記回転ブラシを形成する前記複数の金属線条は、該回転ブラシの回転軸に直交する方向に配設され、該金属線条の先端によって前記鏝先をクリーニングすることである。
または、前記回転ブラシを形成する前記複数の金属線条は、該回転ブラシの回転軸に平行に配設され、該金属線条の側面によって前記鏝先をクリーニングすることもできる。
また、前記ブラシ径は0.5-10.0mmの範囲内にあることでもよい。
【0010】
また、前記課題を解決するため、本発明によれば、鏝先に糸はんだを供給するはんだ供給ノズルを有し、該鏝先とノズル先端との間にはんだ送り間隔が保たれているはんだ鏝をクリーニングするための鏝先クリーナーであって、前記鏝先クリーナーは、箱形のケーシングと、ケーシングの内部に配置されていて、相互に水平且つ平行に延びる回転軸を中心に回転する2つの回転ブラシとを有し、前記2つの回転ブラシは、複数の金属線条により形成されていて、各々の回転ブラシのブラシ径は前記はんだ送り間隔より小径であり、かつ、前記2つの回転ブラシは、互いに直交する平面視、側面視、前記回転軸視の何れにおいても相互に重ならない位置に配置されていることを特徴とする鏝先クリーナーが提供される。
【0011】
前記鏝先クリーナーにおいては、回転ブラシを形成する前記複数の金属線条は、該回転ブラシの回転軸に直交する方向に配設され、該金属線条の先端によって前記鏝先をクリーニングすることが望ましい。
または、前記回転ブラシを形成する前記複数の金属線条は、該回転ブラシの回転軸に平行に配設され、該金属線条の側面によって前記鏝先をクリーニングすることでもよい。
【0012】
また、前記鏝先クリーナーにおいては、前記回転ブラシの回転軸に沿った長さは、前記ブラシ径の5倍以上であることが望ましい。
また、前記ブラシ径は0.5-10.0mmの範囲内にあることが望ましい。。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、鏝先クリーナーが、ケーシングの内部にブラシ径の小さい2つの回転ブラシを有していて、これら2つの回転ブラシのブラシが平面視においても側面視においても互いに重ならないように配設されているため、はんだ供給ノズルを備えたはんだ鏝の鏝先であっても、回転ブラシをはんだ供給ノズルに接触させることなく、前記鏝先を隅々まで浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るはんだ付け装置の一実施形態を示す正面図である。
【
図2】本発明に係る鏝先クリーナーを示す外観斜視図である。
【
図3】ケース本体に取り付けられた蓋とブラシ駆動部を覆うカバーとを取り外した状態を示す外観斜視図である。
【
図8】第2回転ブラシによって鏝先クリーニングを行っている状態を示す部分拡大断面図である。
【
図9】第1回転ブラシによって鏝先クリーニングを行っている状態を示す部分拡大断面図である。
【
図10】前記回転ブラシの第1変形例を示す外観斜視図である。
【
図11】前記回転ブラシの第2変形例を示す外観斜視図である。
【
図12】前記回転ブラシの第3変形例を示す外観斜視図である。
【
図13】前記回転ブラシの第4変形例を示す外観斜視図である。
【
図16】従来の鏝先クリーナーによって鏝先クリーニングを行っている状態を示す部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るはんだ付け装置60を示すものであって、このはんだ付け装置60は、はんだ付けロボットの作業用アーム70の先端に装着されるはんだ付けヘッド61と、前記鏝先41を浄化する鏝先クリーナー1とを有している。
【0016】
前記はんだ付けヘッド61は、ヘッド本体62と、前記はんだ付けヘッド61を前記作業用アーム70に取り付けるためのアーム取付部63と、前記ヘッド本体62を鉛直軸に対して必要な傾斜角度で連結するための弧状の連結フレーム64とを有している。前記ヘッド本体62は、はんだ鏝40と、はんだ鏝40を保持する鏝ホルダー65と、はんだ鏝40の鏝先41に線状はんだを供給するはんだ供給ノズル42と、はんだ供給ノズル42を、はんだ鏝40に対する傾斜角度を調節自在なるように支持するノズルホルダー66とを含んでおり、前記はんだ鏝40とはんだ供給ノズル42とは、鏝先41とノズル42の先端42aとの間にはんだ送り間隔Gを保った状態で一体的に変位自在なるように結合されている。はんだ付けを行う場合には、前記はんだ鏝40に内臓されたヒーターにより鏝先41を加熱して、該鏝先41をプリント配線基板等のはんだ付け対象に押し付け、はんだ供給ノズル42から供給される糸状のはんだを溶融させることではんだ付けするように構成されている。
なお、このようなはんだ付けヘッド61を有するはんだ付け装置60は、通常の自動はんだ付け装置において公知の構成を有するものであることから、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0017】
前記鏝先クリーナー1について説明する。
この鏝先クリーナー1は、
図2-
図6に示すように、箱形のケーシング2と、該ケーシング2の内部に互いに平行且つ水平に配置された第1回転ブラシ20A及び第2回転ブラシ20Bと、これら第1及び第2回転ブラシ20A,20Bを回転させるブラシ駆動部24とを有している。
前記ケーシング2は、前記第1及び第2回転ブラシ20A,20Bが取り付けられたケース本体2Aと、ケース本体2Aに着脱自在に装着された蓋2Bとで構成されている。
【0018】
前記ケース本体2Aは、前後方向に間隔を隔てて対向配置された前板3及び後板4と、これら前板3及び後板4の下端に連結された底板5とにより、断面コ字状に形成されている。
また、前記蓋2Bは、ケーシング2の上面を覆う矩形の天板6と、天板6の両端縁から垂直に下向きに延びてケーシング2の側面を覆う第1側板7及び第2側板8とにより、断面コ字状に形成されている。この蓋2Bは、前記第1側板7及び第2側板8がケース本体2Aの左右に位置する向きで該ケース本体2Aに取り付けられている。
また、前記底板5は、幅方向両側に段部5aが設けられていて、ケース本体2Aに蓋2Bを取り付けると、この段部5aに第1及び第2側板7,8の縁部が突き当たることによって、蓋2Bが位置決めされる。そして、前記蓋2Bは、前記底板5に設けられたねじ製の留具9,9によって、前記第1及び第2側板7,8がケース本体2Aに取り付けられている。
【0019】
また、前記蓋2Bには、天板6から第2側板8にかけて開口する鏝先挿入口10が形成されていて、この鏝先挿入口10を通じて前記鏝先41がケーシング2の内部に挿入される。
【0020】
図3に示すように、前記第1回転ブラシ20Aは、先端部がケース本体2Aの前板3に設けられた第1軸受部11に支持されると共に、基端部がケース本体2Aの後板4側に配された第1カップリング材12に支持されて、第1の回転軸L1を中心に回転自在である。また、第2回転ブラシ20Bは、先端部がケース本体2Aの前板3に設けられた第2軸受部13に支持されると共に、基端部が後板4側に配された第2カップリング材14に支持されて、第2の回転軸L2を中心に回転自在である。
【0021】
前記第1回転ブラシ20A及び第2回転ブラシ20Bは、複数の金属線条21により形成されていると共に、互いに同一形状に形成されている。前記第1及び第2回転ブラシ20A,20Bを形成する複数の金属線条21は、0.1-0.2mm程度の線径を有する細径の線条であって、回転軸L1,L2に直交する方向に配設され、該金属線条21の先端で前記鏝先41をクリーニングするものであり、該金属線条21の先端に外接する仮想円柱面がブラシ面として構成されている。
図7の拡大図に示すように、前記金属線条21は、細長いブラシ軸21aに第1及び第2回転軸L1,L2に沿って螺旋状に巻かれて成るスクリューブラシであって、その螺旋のピッチは一定である。
【0022】
また、前記第1回転ブラシ20Aと第2回転ブラシ20Bとは、前記ケーシング2の幅方向に間隔をあけて配設されると共に、鉛直方向にも間隔をあけて配設されている。具体的には、前記第1回転ブラシ20Aと第2回転ブラシ20Bとは、
図5に示すように、ケーシング2の幅方向に、前記ブラシ面の直径、すなわちブラシ径D1の約5倍程の間隔を隔てて配置され、鉛直方向には、
図4に示すように、相互間に前記ブラシ径D1の約1/2倍程度の間隔をあけた状態で、前記第1回転ブラシ20Aが第2回転ブラシ20Bより上方に配置されている。このように、これら2つの回転ブラシ20A,20Bは、ケーシング2の上から見た場合(平面視)でも幅方向の横から見た場合(側面視)でも、相互に重ならないように配設されている。
【0023】
前記第1及び第2回転ブラシ20A,20Bは、前記回転軸L1,L2方向の一端側に、前記金属線条21が設けられたブラシ部22を有すると共に、他端側に、前記第1及び第2カップリング材12,14に固定された丸棒状のシャフト部23を有している。前記ブラシ部22は、ケース本体2Aに蓋2Bを被せた状態で、鏝先挿入口10の丁度真下に位置している。なお、前記シャフト部23の径とブラシ径D1とは同径に形成されているが、ブラシ径D1は、シャフト部23の径より大きくても小さくてもよい。
【0024】
前記第1及び第2回転ブラシ20A,20Bのブラシ径D1は、0.5mm-10.0mmの範囲にあるように形成されている。その範囲の中で好ましい値としては、通常のはんだ付け装置で用いられているはんだ鏝の鏝先とはんだ供給ノズルとのはんだ送り間隔を考慮すると、1.5mm-6mmの範囲にあることが好ましく、より好ましくは2mm前後である。
また、前記ブラシ部22の前記回転軸L1及びL2に沿った長さは、前記ブラシ径D1の5倍以上であることが好ましく、本実施形態では、前記ブラシ部22の長さはブラシ径D1の約6倍程の長さに形成されている。
【0025】
なお、前記第1及び第2回転ブラシ20A,20Bを取り外す場合には、第1カップリング材12及び第2カップリング材14の六角ボルト15を緩め、該シャフト部23を第1カップリング材12及び第2カップリング材14から離脱させると共に、該回転ブラシ20A,20Bの先端部を第1及び第2軸受部11,13から離脱させればよい。また、新しい回転ブラシを取り付ける場合には逆の手順を踏んで組付けていけばよい。
【0026】
前記ケーシング2の内部には、第1及び第2回転ブラシ20A,20Bによって掻き落とされた炭化物を収容するためのダストボックス16が設けられている。このダストボックス16は、上面が開放された矩形の箱形に形成され、前記第1及び第2回転ブラシ20A,20Bの真下に配置されている。また、ケース本体2Aの底板5には、該ケース本体2Aの幅方向に並ぶ2つのガイドピン17,17が取り付けられていて、前記ダストボックス16を取り出すとき、該ダストボックス16が、前記ガイドピン17,17にガイドされて前記底板5上をケース本体2Aの幅方向にスライドする。
【0027】
また、この鏝先クリーナー1は、前記第1及び第2回転ブラシ20A,20Bを回転させるための前記ブラシ駆動部24を有している。
該ブラシ駆動部24は、前記ケース本体2Aの後板4よりも後方に設けられていて、モーター25と、動力伝達機構26と、前記モーター25を支持するフレーム30と、これらモーター25、動力伝達機構26、フレーム30を覆うカバー33とを有している。前記モーター25は、該モーター25の回転軸L3が、前記第1及び第2の回転軸L1,L2と平行となる向きで前記フレーム30に固定されている。
【0028】
前記動力伝達機構26は、モーター25の回転を第1及び第2回転ブラシ20A,20Bに減速して伝達し、且つ、これら第1及び第2回転ブラシ20A,20Bを相互に逆向きに回転させる。この動力伝達機構26は、第1カップリング材12に連結された第1ギヤ27と、第2カップリング材14に連結された第2ギヤ29と、これら第1ギヤ27及び第2ギヤ29が噛み合う不図示の複数の従動ギヤとを有し、前記第1ギヤ27及び第2ギヤ29が、前記従動ギヤを介して前記モーター25のギヤに連結されている。
【0029】
前記モーター25が回転すると、その回転力が動力伝達機構26により第1回転ブラシ20Aと第2回転ブラシ20Bとに伝達され、これら第1及び第2回転ブラシ20A,20Bは、
図6に矢印a、矢印bで示すように、内側に向けて同期的に回転する。
【0030】
また、前記フレーム30は、ねじ31によって前記後板4に固定されていて、フレーム30の幅方向一端側には、前記モーター25に電力を供給するためのコネクタ32がねじ34で止められている。
【0031】
前記構成を有する鏝先クリーナー1を使用して、はんだ鏝40の鏝先41をクリーニングする場合は、前記モーター25を駆動して第1及び第2回転ブラシ20A及び20Bを
図6の矢印a,b方向へ回転させると共に、炭化物が付いたはんだ鏝40の鏝先41を、前記鏝先挿入口10から鏝先クリーナ1内部に挿入させて、第1及び第2回転ブラシ20A,20Bの何れかに接触させる。
【0032】
この場合、前記鏝先41の、はんだ供給ノズル42側を向く第1側面41aを浄化するには、
図8に示すように、該第1側面41aを第2回転ブラシ20Bに接触させる。このとき、前記第1回転ブラシ20Aが該第2回転ブラシ20Bから離間した位置にあり、また、該第2回転ブラシ20Bのブラシ径D1は鏝先41の側面41aとはんだ供給ノズル42の先端42aとのはんだ送り間隔Gより小径であることから、該第2回転ブラシ20Bが前記鏝先41と該はんだ供給ノズル42との間に挿入された状態になり、その状態で、鏝先41を上下動させたり第2回転軸L2方向に横移動させたりすることにより、第1側面41aを上端部から下端部に至るまで隅々まで浄化することができる。
【0033】
また、前記鏝先41の、前記第1側面41aに背向する第2側面41bを浄化するときは、
図9に示すように、該第2側面41bを第1回転ブラシ20Aに接触させる。このとき、前記第2回転ブラシ20Bは前記第1回転ブラシ20Aより下方に配置されているため、はんだ供給ノズル42の先端が該第2回転ブラシ20Bに接触するのが避けられ、この状態で前記鏝先41を上下動させたり第1回転軸L1方向に横移動させたりすることにより、前記第2側面41bを隅々まで浄化することができる。
前記はんだ鏝40の傾斜角度が図示した例よりも大きい場合でも、前記第2回転ブラシ20Bは、第1回転ブラシ20Aよりも低い位置にあるため、該第2回転ブラシ20Bが鏝先41を浄化する際の障害になりにくい。
【0034】
このように、前記鏝先クリーナー1は、はんだ供給ノズル42を備えたはんだ鏝40の鏝先41を、前記はんだ供給ノズル42に第1及び第2回転ブラシ20A,20Bを接触させることなく、該第1及び第2回転ブラシ20A,20Bによって隅々まで浄化することができる。
【0035】
鏝先41から剥離した炭化物は、第1及び第2回転ブラシ20A,20Bの回転に沿って真下に落下し、ダストボックス16内に収容される。該ダストボックス16内に炭化物が溜まったら、該ダストボックス16をケーシング2から取り出し、前記炭化物を適宜廃棄する。
【0036】
なお、前記第1及び第2回転ブラシ20A,20Bは、各々の回転軸L1,L2方向に細長く形成されているため、鏝先41のクリーニングによって一部の金属線条21が変形したり摩耗したりした場合には、前記回転軸L1,L2の方向に位置をずらして使用することができる。
また、鏝先41の浄化によって前記金属線条21に付着した炭化物は、先端が尖った工具で金属線条21から掻き落とすことにより除去することができる。
【0037】
また、前記回転ブラシは、例えば、
図10に示す回転ブラシ20Cのように、前記金属線条21を、前記ブラシ軸21aを中心として放射状に密集させて配設することにより、円柱状に形成することもできる。
または、
図11に示す回転ブラシ20Dのように、前記金属線条21の束を、ブラシ軸21aを中心に90°間隔で十字状に配設することにより、該金属線条21が4方向に突出するように構成することもできるし、
図12に示す回転ブラシ20Eのように、該金属線条21の束を180°間隔で配設することにより、金属線条21が2方向に突出するように構成することもできる。さらには、前記金属線条21の束を120°間隔で配設することにより、前記金属線条21が3方向に突出するように構成することもできる。
【0038】
或いは、
図13-
図15に示す回転ブラシ20Fのように構成することもできる。この回転ブラシ20Fは、前記シャフト部23に、回転軸Lと直交するブラシ固定端面23aが設けられ、複数の金属線条21が、このブラシ固定端面23aに固定されて回転軸Lに平行に延びている。前記金属線条21の線径は、0.5-1.0mm程度であることが好ましく、より好ましくは0.8mm程度であり、このような金属線条21が、前記ブラシ固定端面23aに一端を固定されて、回転軸Lを中心とする同一円周上に等間隔に配置され、各金属線条21の側面によって鏝先41をクリーニングするように構成されている。従って、全ての前記金属線条21に外接する仮想円柱面Cがブラシ面である。
図示した例では、6本の金属線条が等間隔で設けられているが、該金属線条21の線径や本数、配設間隔等については、適宜変更可能である。
また、前記回転ブラシ20Fは、シャフト部23のみケース本体2A(カップリング材)に支持されることで片持ち状に支持される構成であるが、前記金属線条21の先端部もシャフトに支持させることもできる。
【0039】
また、前記2つの回転ブラシは、互いに同一ブラシ形状及び同一ブラシ径に形成されているが、両者のブラシ形状及び/又はブラシ径は互いに異なっていても良い。
【符号の説明】
【0040】
1 鏝先クリーナー
2 ケーシング
20A-20F 回転ブラシ
21 金属線条
22 ブラシ部
40 はんだ鏝
41 鏝先
42 はんだ供給ノズル
60 はんだ付け装置
D1,D2 ブラシ径
G はんだ送り間隔