(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-13
(45)【発行日】2022-01-13
(54)【発明の名称】油性毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/891 20060101AFI20220105BHJP
A61K 8/892 20060101ALI20220105BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20220105BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/892
A61K8/37
A61Q5/12
(21)【出願番号】P 2017235123
(22)【出願日】2017-12-07
【審査請求日】2020-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 理人
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-269726(JP,A)
【文献】特開2008-273902(JP,A)
【文献】特開2017-193498(JP,A)
【文献】特開2010-100543(JP,A)
【文献】特開2010-265195(JP,A)
【文献】特開2015-227302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)25℃条件下における動粘度が10~100,000mm
2/sであるジメチルポリシロキサン 80~92質量%、
(B)ジメチコノール
4.8~9.6質量%、
(C)イソノナン酸イソノニル 3~10質量%、
を含有し、前記(B)成分と前記(C)成分の含有量の質量比(B)/(C)が0.48~3.2であることを特徴とする油性毛髪化粧料。
【請求項2】
25℃の条件下で粘度が500~2,500mPa・sであることを特徴とする請求項1に記載の油性毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性毛髪化粧料に関するものであり、さらに詳しくは塗布時のツヤ感に優れ、しっとり感があり、べたつき感が少なく、塗布時からのツヤの持続性に優れ、塗布性のよい油性毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヘアオイルは毛髪に油分を補い、ツヤ感やしっとり感を与えることを目的として使用される頭髪化粧料の一種であり、従来より、オリーブ油等の植物油、流動パラフィン等の鉱物油が主成分として用いられてきた。近年では、特にシリコーンオイル等を配合したヘアオイルがべたつかない使用感のヘアオイルとしてニーズが高まっている。
【0003】
特許文献1には、使用中ののびや広がりがなめらかで、さらに、仕上がりのしなやかさ、軽さ、しっとり感やまとまり易さ、ツヤ感を付与する効果にも優れたヘアオイルを目的として、エステル化合物、25℃における粘度が1,000mPa・s以上の高分子シリコーンおよび揮発性油剤を含有したヘアオイルが開示されている。特許文献2には、べたつきを抑えられ、仕上がりの軽さに優れ、使用後のツヤ感およびハリ・コシ感の付与に優れた油性毛髪化粧料を目的として、揮発性炭化水素、植物油および25℃における粘度が1万mPa・s以上かつ500万mPa・s以下のジメチコノールを含有した油性毛髪化粧料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-269726号公報
【文献】特開2008-273902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のヘアオイルでは、オリゴマーエステルを用いているため、毛髪にしっとり感は得られるが、オリゴマーエステルのべたつき感が生じ、また、揮発性油剤を使用しているため毛髪のツヤ感を持続させることは困難であった。特許文献2の油性毛髪化粧料では、揮発性炭化水素を用いているため、使用後のツヤ感は得られるが、ツヤ感を持続させることは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、(A)ジメチルポリシロキサン、(B)ジメチコノール、(C)イソノナン酸イソノニルを含有し、前記(B)成分と前記(C)成分の含有量の質量比(B)/(C)が0.48~3.2であることを特徴とする油性毛髪化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、塗布時のツヤ感に優れ、しっとり感があり、べたつき感が少なく、塗布時からのツヤの持続性に優れ、塗布性のよい油性毛髪化粧料が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明による油性毛髪化粧料には、塗布時のツヤ感に優れる観点から、(A)ジメチルポリシロキサンを含有する。
【0010】
本発明に用いる前記(A)成分の25℃条件下における動粘度は、塗布性の観点から2~1,000,000mm2/sのものが好ましく、より好ましくは10~100,000mm2/sである。
【0011】
本発明に用いる前記(A)成分は、油性毛髪化粧料中に含有されていればよいが、好ましくは80~92質量%がよく、より好ましくは85~92質量%がよい。前記(A)成分が80質量%未満の場合、塗布時のツヤ感がなくなるおそれがある。一方、前記(A)成分が92質量%を超える場合、べたつき感が生じるおそれがある。
【0012】
本発明による油性毛髪化粧料には、しっとり感の観点から、(B)ジメチコノールを含有する。
【0013】
本発明に用いる前記(B)成分は、ジメチルポリシロキサンの末端メチル基が水酸基になったものである。ジメチコノールの25℃における動粘度は、好ましくは500,000mm2/s以上、さらに好ましくは1,000,000mm2/s以上であり、また、べたつきのなさ、剤の伸ばしやすさの観点から好ましくは65,000,000mm2/s以下、さらに好ましくは35,000,000mm2/s以下である。
【0014】
本発明に用いる前記(B)成分は、油性毛髪化粧料中に含有されていればよいが、好ましくは4.8~9.6質量%がよく、より好ましくは7.2~9.6質量%がよい。前記(B)成分が4.8質量%未満の場合、しっとり感がなくなるおそれがある。一方、前記(B)成分が9.6質量%を超える場合、べたつき感が生じるおそれがある。
【0015】
本発明による油性毛髪化粧料には、べたつき感の少なさの観点から、(C)イソノナン酸イソノニルを含有する。
【0016】
本発明に用いる前記(C)成分は、油性毛髪化粧料中に含有されていればよいが、好ましくは3~10質量%がよく、より好ましくは5~10質量%がよい。前記(C)成分が3質量%未満の場合、べたつき感を生じるおそれがある。一方、前記(C)成分が10質量%を超える場合、塗布性が悪くなるおそれがある。
【0017】
本発明による油性毛髪化粧料には、前記(B)成分および前記(C)成分を含有するが、塗布時からのツヤの持続性に優れる観点から、油性毛髪化粧料の含有量の質量比(B)/(C)が好ましくは、0.48~3.2がよく、より好ましくは0.96~2.4がよい。油性毛髪化粧料の含有量の質量比(B)/(C)が0.48未満および3.2を超える場合、塗布時からのツヤの持続性が得られない。
【0018】
本発明による油性毛髪化粧料の粘度は、塗布性の観点から25℃条件下で500~2,500mPa・sが好ましく、より好ましくは900~2,500mPa・sがよい。油性毛髪化粧料の粘度が500mPa・s未満の場合、毛髪から垂れ落ちる恐れがある。一方、油性毛髪化粧料の粘度が2,500mPa・sを超える場合、のびが悪くなるおそれがある。
【0019】
本発明による25℃条件下における粘度は、常法にて調製して得られた油性毛髪化粧料をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、25℃で1日間静置した後に、ヘリカルスタンド付B型粘度計(モデル:デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)により、M3号ローターを用いて25℃、12rpmで1分間回転させた後に測定したものである。
【0020】
本発明の油性毛髪化粧料には、上記必須成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、化粧料一般に使用される成分を配合することができる。例えば、油性成分、界面活性剤、紫外線吸収剤、糖類、酸化防止剤、防腐剤、美容成分、香料等を用いることができ、これらは1種または2種以上含有してもよい。
【0021】
本発明による油性毛髪化粧料は、水を含有せず、透明液状の油性化粧料としてヘアトリートメント等に用いることができる。
【実施例】
【0022】
以下に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0023】
本明細書に示す評価試験において、油性毛髪化粧料に含まれる成分およびその含有量を種々変更しながら実施した。各成分の含有量を示す単位はすべて質量%であり、これを常法にて調製した。
【0024】
(評価方法)
下記の評価項目について各々下記評価方法により評価を行った。各試料について専門パネラー10名より、各評価項目について、下記5段階絶対評価基準にて評価し、評点を付け、各パネラー全員の評点合計から、その平均値の小数点第二位を四捨五入して算出し、下記4段階評価結果とした。塗布時からのツヤの持続性に関する(d)の項目については試料塗布後、通常の生活をしてもらい3時間後に測定した。
【0025】
[官能評価項目]
(a)塗布時のツヤ感
(b)しっとり感
(c)べたつき感の少なさ
(d)塗布時からのツヤの持続性
(e)塗布性
【0026】
[5段階絶対評価基準]
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
【0027】
[4段階評価結果]
◎:4点以上
○:3点以上4点未満
△:2点以上3点未満
×:2点未満
【0028】
【0029】
【表2】
※1:X-21-5613(信越化学工業株式会社製)
【0030】
実施例1~9より、「塗布時のツヤ感」、「しっとり感」、「べたつき感の少なさ」、「塗布時からのツヤの持続性」および「塗布性」に関して良好な結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明により、塗布時のツヤ感に優れ、しっとり感があり、べたつき感が少なく、塗布時からのツヤの持続性に優れ、塗布性のよい油性毛髪化粧料を提供することができる。